説明

通信装置及び通信制御プログラム

【課題】データ通信前とデータ通信中の使用者の操作性を高める通信装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】通信装置10は、所定の距離内に位置する通信機器20と電界結合又は磁界結合を行う複数の通信部110a乃至110e、各通信部110a乃至110eと、所定の制御内容を示す制御情報とを対応させて記憶した記憶部130、電界結合又は磁界結合を行っている通信部110a乃至110eに対応する制御情報を、記憶部130から取得する制御情報取得部120a、制御情報取得部120aが取得した制御情報を用いて、通信部110a乃至110eの内で、電界結合又は磁界結合を行っている通信部の通信を制御する制御部120と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置及び通信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信装置を互いに3cm程度の所定距離に近接する(かざす)ことにより、通信装置間で数100Mbpsの通信速度(通信帯域)でデータ通信を行う技術(いわゆる近接無線通信システム)が開発されている。例えば、特許文献1には、通信装置が通信相手の通信装置と3cm程度の所定距離に位置した時に、通信装置間で静電界や誘導電界等の電界結合を行い、通信装置間でUWB(Ultra Wide Band)等の高周波信号を伝送する技術が開示されている。これにより、映像や音楽等のコンテンツのデータ容量が数100メガバイト以上あっても、通信装置間で、数秒ほどでコンテンツを送受信できるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−312074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、複数のデータを記憶している通信装置から、他の通信装置にデータを送信する場合、データ通信を行う前に、使用者は、送信させるデータを複数のデータの中から選択する操作を行う必要があった。また、ある通信装置から、複数のデータ記憶場所を備える通信装置にデータを送信する場合、データ通信を行う前に、使用者は、受信させるデータの記憶場所を複数のデータ記憶場所の中から選択する操作を行う必要があった。
【0005】
また、特許文献1では、データ通信時にストリーミングを行う場合、通信装置等に設けられている早送りボタンや巻戻しボタン等を操作して、ストリーミングの早送りや巻戻し等を行うこともできるが、通信装置を互いに近接した状態でボタン操作を行うのは難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、データ通信前とデータ通信中の使用者の操作性を高めることができる、通信装置及び通信制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点に係る通信装置は、
所定の距離内に位置する通信機器と電界結合又は磁界結合を行う複数の通信手段と、
当該通信手段と、所定の制御内容を示す制御情報とを対応させて記憶した記憶手段と、
前記電界結合又は磁界結合を行っている前記通信手段に対応する制御情報を、前記記憶手段から取得する取得手段と、
当該取得手段が取得した前記制御情報を用いて所定の制御を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の観点に係る通信制御プログラムは、
コンピュータに、
電界結合又は磁界結合を行っている通信部に対応する所定の制御内容を示す制御情報を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得した前記制御情報を用いて所定の制御を行う制御工程と、
を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る通信装置及び通信制御プログラムによれば、データ通信前とデータ通信中の使用者の操作性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る通信装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る選択情報を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る表示制御情報を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る早送り速度制御情報を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る巻戻し速度制御情報を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る通信装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態に係る通信装置が行う全体の処理を示すフロー図である。
【図9】本発明の実施形態に係る通信装置が行う選択処理を示すフロー図である。
【図10】本発明の実施形態に係る通信装置が行うストリーミング処理を示すフロー図である。
【図11】本発明の実施形態に係る通信装置が行う表示制御処理を示すフロー図である。
【図12】(a)表示装置の画面に表示するトップメニューを示す図である。(b)表示装置の画面においてカーソルが移動したときの様子を示す図である。
【図13】表示装置の画面に表示するストリーミング可能なファイル等の一覧を示した図である。
【図14】表示装置の画面に表示する確認画面を示した図である。
【図15】表示装置の画面に表示する表示制御の内容を表す各種キーを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態にかかる通信システム1を、図面を参照して説明する。
【0012】
通信システム1は、図1に示すように、通信装置10と、携帯機器20と、表示装置30と、を備える。
【0013】
通信装置10は、5つの通信部110a乃至110eを備え、各通信部110a乃至110eは、通信装置10の上面部100の所定位置に設けられる。携帯機器20は、通信部210を備える。通信装置10の各通信部110a乃至110eと、携帯機器20の通信部210とは、これらが相互に所定距離(例えば3cm程度)内に位置したとき、相互に電界結合を行い、相互に通信を行う。また、通信装置10は、所定の制御内容を示す制御情報を、各通信部110a乃至110eに対応させて記憶している。
【0014】
通信装置10は、使用者が通信装置10の上面部100付近に携帯機器20を近接させ、上面部100付近で携帯機器20を移動させることにより、通信部210と電界結合を行う。この場合に、通信装置10は、電界結合を行った通信部110に対応する制御情報を取得し、取得した制御情報に基づいて所定の制御を行う。
【0015】
通信装置10は、例えば、通信部110a乃至110eが配置された上面部100と各通信部110a乃至110eに接続されたコンピュータから構成される。
【0016】
携帯機器20は、通信装置10の5つの通信部110a乃至110eと通信が可能な通信部210を備える、例えばデジタルムービーカメラ等の携帯可能な通信機器で構成される。表示装置30は、液晶テレビや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等から構成され、通信装置10から供給される映像・音声データで表された映像を表示し、音声を出力する。
【0017】
次に、図2を参照して通信装置10の機能構成を説明する。通信装置10は、通信部110a乃至110eと、制御部120と、記憶部130と、読出・書込部140と、を備える。
【0018】
各通信部110a乃至110eは、所定距離内に通信部210が位置したときに、通信部210と相互に電界結合を行い、通信を行う。各通信部110a乃至110eは、通信部210と相互に電界結合が行われたことに応じて発生した電界強度を検出し、検出した電界強度を表す電界信号を制御部120に供給する。
【0019】
制御部120は、プロセッサ等から構成され、通信装置10の各部の制御を含む通信装置10全体の制御を行う。また、制御部120は、電界強度を検出した通信部110(つまり、通信部110a乃至110eの何れか)から受け取る電界信号を用いて、携帯機器20の通信部210に最も近い通信部110を特定し、特定した通信部110に対応する制御情報を制御情報記憶部131bから取得する制御情報取得部120aを備える。制御部120は、制御情報取得部120aが取得した制御情報に基づいて制御情報で示される所定の制御を行う。
【0020】
記憶部130は、制御部120の制御のもと、制御部120が処理中に生成したデータ、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc)、又はフラッシュメモリカードなどの記録媒体40から読み出した記録データ等、各種データを適宜記憶する。また、記憶部130は、プログラム記憶部131a及び制御情報記憶部131bを備える。
【0021】
プログラム記憶部131aは、制御部120が読み出して実行する後述の通信制御プログラムを記憶している。制御情報記憶部131bは、各通信部110a乃至110eの識別情報と、各通信部110a乃至110eが電界結合されたことに応答して実行する制御の内容を示す制御情報とを対応付けて記憶している。
【0022】
ここで、各通信部110a乃至110eは、唯1つの操作に使用されるのではなく、この通信システム1の動作の場面に応じて様々な操作に使用される。このため、1つの各通信部110a乃至110eには、動作局面に応じて、複数の制御情報が対応付けられている。よって、制御情報記憶部131bは、各通信部110a乃至110eの識別情報と複数の制御情報とを対応付けて記憶している。
【0023】
例えば、通信装置10は、携帯機器20の移動に従って、メニュー上のカーソルを移動し、カーソルが指示する項目を選択・決定する動作(以下、選択動作という)を行う。このような動作局面に備えて、制御情報記憶部131bには、例えば、図3に示すように、通信部110の識別情報と選択処理の内容を示す制御情報(以下区別のため、選択情報と呼ぶ)とが対応付けられて記憶されている。具体的に説明すると、制御情報記憶部131bは、通信部110aの識別情報と選択対象の「決定(選択)」処理を示す制御情報、通信部110bの識別情報とカーソルを「上方向」に移動する処理を示す制御情報、通信部110cの識別情報とカーソルを「下方向」に移動する処理を示す制御情報、通信部110dの識別情報とカーソルを「右方向」に移動する処理を示す情報、通信部110eの識別情報とカーソルを「左方向」に移動する処理を示す情報を、それぞれ対応付けて記憶している。
【0024】
制御部120が、各通信部110a乃至110eに対応付けられた各選択情報に基づいて、選択対象の選択・決定を行うことにより、通信(送信)対象データの選択や、当該通信データの通信(送信)先を選択することが可能となる。換言すると、各通信部110a乃至110eは、あたかも、各種選択キーとして機能する。この場合、通信部110aは決定キー、通信部110bは上カーソルキー、通信部110cは下カーソルキー、通信部110dは右カーソルキー、通信部110eは左カーソルキーとして機能する。
【0025】
例えば、通信装置10は、携帯機器20が記憶しているデータをストリーミング受信し、表示装置30に出力する動作(以下、ストリーミング動作という)を行う。このような動作局面に備えて、制御情報記憶部131bには、例えば、図4に示すように、通信部110の識別情報と表示装置30の画面に表示するデータの表示制御の内容を表す表示制御情報(以下、区別のため、表示制御情報と呼ぶ)とが対応付けられて記憶されている。具体的に説明すると、制御情報記憶部131bは、通信部110aの識別情報と「通常再生(1倍速再生)」を行う表示制御情報、通信部110bの識別情報と「早送り」を行う表示制御情報、通信部110cの識別情報と「巻戻し」を行う表示制御情報、通信部110dの識別情報と「次のチャプター」に移動する表示制御情報、通信部110eの識別情報と「前のチャプター」に移動する表示制御情報を、それぞれ対応付けて記憶している。
【0026】
制御部120が、各通信部110a乃至110eに対応付けられた各表示制御情報に基づいて通信データのストリーミングを制御することにより、ストリーミング映像の再生・停止等が可能となる。この場合、通信部110aは再生キー、通信部110bは早送りキー、通信部110cは巻戻しキー、通信部110dは次チャプターキー、通信部110eは前チャプターキーとして機能する。
【0027】
また、制御情報記憶部131bは、ストリーミングの早送り速度を制御する早送り速度制御情報を記憶している。この早送り速度制御情報は、通信部110aが検出する電界強度をEc1、通信部110bが検出する電界強度をEc2として、その差を求めた値(X=Ec2−Ec1)について、一定の範囲毎に、ストリーミングの早送り速度を対応付けた情報である。
【0028】
例えば、制御情報記憶部131bは、図5に示すように、通信部110aが検出する電界強度(Ec1)と通信部110bが検出する電界強度(Ec2)との差の値(X=Ec2ーEc1)について、a<X≦bの場合「1.5倍速」、b<X≦cの場合「3倍速」、c<X≦dの場合「4.5倍速」、d<X≦eの場合「6倍速」というように、所定の通信部110a及び110bからそれぞれ得られる電界強度の差の値を一定の範囲毎に分け、一定の範囲毎に分けた電界強度の差の値と早送り速度の値とを対応付ける。
【0029】
また、制御情報記憶部131bは、ストリーミングの巻戻し速度を制御する巻き戻し速度制御情報を記憶している。この巻き戻し速度制御情報は、通信部110aが検出する電界強度をEc1、通信部110cが検出する電界強度をEc3として、その差を求めた値(Y=Ec3−Ec1)について、一定の範囲毎に、ストリーミングの巻戻し速度の値とを対応付けた情報である。
【0030】
例えば、制御情報記憶部131bは、図6に示すように、通信部110aが検出する電界強度(Ec1)と通信部110cが検出する電界強度(Ec3)との差の値(Y=Ec3ーEc1)について、f<Y≦gの場合「1.5倍速」、g<Y≦hの場合「3倍速」、h<Y≦iの場合「4.5倍速」、i<Y≦jの場合「6倍速」というように、所定の通信部110a,110cから得られる電界強度の差の値を一定の範囲毎に分け、一定の範囲毎に分けた電界強度の差の値と巻戻し速度の値とを対応付ける。
【0031】
図2の読出・書込部140は、制御部120の制御のもと、記録媒体40に記録された記録データを読み出し、制御部120に供給する。また、読出・書込部140は、制御部120の制御のもと、記録データを記録媒体40に書き込む(記録する)。
【0032】
次に、図7を参照して、通信装置10のハードウェア構成を説明する。図示するように、通信装置10は、電界カプラ素子111a乃至111eと、電界検出回路112a乃至112eと、CPU(Central Processing Unit)121と、一次記憶装置122と、送受信回路123と、二次記憶装置131と、メディアコントローラ141と、を備える。
【0033】
図2の通信部110a乃至110eは、図7に示す電界カプラ素子111a乃至111eと電界検出回路112a乃至112eとによってそれぞれ実現される。
【0034】
電界カプラ素子111a乃至111eは、例えば3cm程度の所定距離内に、携帯機器20に備えられた電界カプラ素子211が位置したときに、電界カプラ素子211と相互に電界結合を行い、通信を行う。電界カプラ素子111a乃至111eは、携帯機器20の電界カプラ素子211に備えられた結合用電極との間で高周波信号を伝送する結合用電極と、結合用電極における電気的結合を強くする共振スタブとから構成される。各電界カプラ素子111a乃至111eは、それぞれ対応する電界検出回路112a乃至112eに接続されている。また、各電界カプラ素子111a乃至111eは、携帯機器20の結合用電極との間で伝送される高周波信号を伝送する信号線を介して送受信回路123に接続されている。
【0035】
各電界検出回路112a乃至112eは、それぞれ対応する電界カプラ素子111a乃至111eが携帯機器20の電界カプラ素子211と相互に電界結合が行われたことに応じて電界強度を検出し、検出した電界強度を表す電界信号をCPU121に供給する。
【0036】
図7に示すCPU121は、一次記憶装置122と送受信回路123と協働することで、図2の制御部120を実現する。一次記憶装置122は、RAM(Random Access Memory)等によって構成され、CPU121のワーキングメモリ等として機能する。つまり、CPU121が、他の構成要素(例えば、各電界検出回路112a乃至112eや記録媒体40)から受け取る各種データ、及び、CPU121が、他の構成要素(例えば、二次記憶装置131や表示装置30)に供給する各種データは、一旦、一次記憶装置122の記憶領域に記録される。送受信回路123は、CPU121の制御のもと、CPU121から受け取ったデータで搬送波を変調処理し、変調処理により得られた高周波信号を、電界カプラ素子111a乃至111eの何れかに供給する。また、送受信回路123は、CPU121の制御のもと、電界カプラ素子111a乃至111eの何れかから受け取る高周波信号を復調処理し、復調処理して得られるデータ(ベースバンド信号)をCPU121に供給する。
【0037】
図7に示す二次記憶装置131は、図2の記憶部130を実現する。二次記憶装置131は、ハードディスク又はフラッシュメモリ等によって構成され、通信制御プログラム及び所定の制御情報等を記憶している。
【0038】
図7に示すメディアコントローラ141は、図2の読出・書込部140を実現する。メディアコントローラ141は、データの読み出しや書き込みを行うインターフェース装置である。
【0039】
表示装置30は、駆動回路と表示パネルとから構成されている。制御部120は、各種映像データから、例えば、RGB(RED−GREEN−BLUE)データ等の表示用データを生成し、生成した表示用データを駆動回路に供給する。駆動回路は、制御部120から供給された表示用のデータに基づいて表示パネルを駆動し、表示用のデータによって表される各種映像を表示パネルに表示させる。
【0040】
図2及び図7に示す記録媒体40は、携帯機器20から転送された各種コンテンツデータを、メディアコントローラ141によって書き込まれる。また、記録媒体40に記録されたコンテンツデータは、メディアコントローラ141によって読み出された後に、表示装置30に出力されても良い。
【0041】
次に、図8乃至図11を参照して、通信装置10の動作を説明する。先ず、通信装置10が行う上記の選択動作について説明を行う。
【0042】
使用者が通信装置10の電源を入れる(電源スイッチをオン状態にする)と、制御部120は、表示装置30の画面にトップメニューを表示するデータを供給する。表示装置30は、当該データを制御部120から受け取り、制御部120の制御のもと、その画面にトップメニューを表示する(図8のステップS801)。表示装置30の画面(表示パネル)には、図12(a)に示すように、ストリーミング処理を示す選択項目31a、ダウンロード処理を示す選択項目31b、及びダウンロード済みデータの再生処理を示す選択項目31cと、各選択項目31a乃至31cの何れかを指し示すカーソル32とが表示される。
【0043】
制御部120は、使用者の操作によりトップメニューの各選択項目31a乃至31cの何れかが選択されるのを待ち受ける。
【0044】
使用者は、表示装置30の画面に表示されたトップメニューの各選択項目31a乃至31cとカーソル32とを確認し、通信装置10の上面部100付近で携帯機器20を移動する。
【0045】
例えば、カーソル32を「上方向」に移動する場合、使用者は、通信装置10の上面部100の中央から所定方向の位置に携帯機器20を移動する。尚、所定方向とは、例えば、通信装置10と表示装置30とを接続する接続コードが設けられた方向に予め設定されている。通常、接続コードが設けられた方向に表示装置30が設置されるため、接続コードが設けられた方向は、表示装置30に向いたユーザにとって前方向であり、カーソル32の上方向と観念的に関連づけ易いためである。このため、以下単に、上記所定方向を上面部100の中央から上方向と定義し、同様に、下方向(つまり、所定方向の逆方向)、左方向、及び右方向を定義する。
【0046】
また、カーソル32を「下方向」に移動する場合、使用者は、通信装置10の上面部100の中央から下方向の位置に携帯機器20を移動する。
【0047】
また、カーソル32により指示された選択対象の「決定」をする場合、使用者は、通信装置10の上面部100の中央位置に携帯機器20を移動する。
【0048】
携帯機器20の通信部210は、その移動に従って、通信装置10の通信部110(110a乃至110eの何れか)と3cm程度の所定距離内に位置したとき、通信部110(110a乃至110eの何れか)と相互に電界結合を行う。
【0049】
これに応じて、通信部210と相互に電界結合した通信部110(110a乃至110eの何れか)は、それぞれ電界結合により発生した電界の強度を検出し、当該電界強度を表す電界信号を、制御部120に供給する。
【0050】
制御部120は、当該通信部110から電界信号を受け取ると、タイマ割り込み等により、プログラム記憶部131aから通信制御プログラムを読み出す。制御部120は、トップメニューに示された各選択項目31a乃至31cの何れかを選択する選択処理を行うため、この局面では図9に示す選択処理を実行する(図9のSTART)。
【0051】
制御情報取得部120aは、通信部110(110a乃至110eの何れか)から受け取った電界信号を用いて、携帯機器20の通信部210に最も近い通信部を特定する(図9のステップS901)。
【0052】
ここで、制御部120が受け取る電界信号により表される電界強度は、通信部110と通信部210との間(結合用電極間)の距離の4乗に反比例する。つまり、制御情報取得部120aは、電界強度が最大である電界信号を制御部120に供給した通信部110を、通信部210に最も近い通信部として特定する。
【0053】
なお、制御情報取得部120aは、使用者の誤操作等を防ぐため、一定時間以上、予め設定された値以上の電界強度を表す電界信号が制御部120に供給された場合にのみ、通信部210に最も近い通信部110の特定を行うようにしても良い。
【0054】
また、制御情報取得部120aは、通信部210との距離が最も近く、その距離が同じ通信部を2つ以上特定した場合、予め設定された優先順位に従って通信部210に最も近い通信部110の特定を行うようにしても良い。
【0055】
その後、制御情報取得部120aは、ステップS901で特定した、携帯機器20の通信部210に最も近い通信部に対応する制御情報を、制御情報記憶部131bから取得する(図9のステップS902)。
【0056】
具体的に、制御情報取得部120aが通信部110aを携帯機器20の通信部210に最も近い通信部として特定した場合(図9のステップS901)、制御情報取得部120aは、図3に示すテーブルから識別情報「110a」に基づいて「決定」を行う処理を示す選択情報を制御情報記憶部131bから取得し(図9のステップS902)する。次に、制御部120は、表示装置30の画面に表示されたカーソル32により指示された項目の「決定」を行う(図9のステップS903)。つまり、この局面では、通信部110aは決定キーとして機能し、制御部120は、使用者が行った決定キーの操作に基づいて、表示装置30の画面に表示されたカーソル32により指示された項目に対応する処理を実行する制御を行う。
【0057】
また、制御情報取得部120aが通信部110bを携帯機器20の通信部210に最も近い通信部として特定した場合(図9のステップS901)、制御情報取得部120aは、図3に示すテーブルから「上方向」に移動する処理を示す選択情報を制御情報記憶部131bから取得し(図9のステップS902)、制御部120は、表示装置30の画面に表示されたカーソル32を「上方向」に移動する(図9のステップS903)。つまり、この局面では、通信部110bは上カーソルキーとして機能し、制御部120は、使用者が行った上カーソルキーの操作に基づいて、表示装置30の画面に表示されたカーソル32を上方向にある項目に移動し、当該項目を指示する制御を行う。
【0058】
また、制御情報取得部120aが通信部110cを携帯機器20の通信部210に最も近い通信部として特定した場合(図9のステップS901)、制御情報取得部120aは、「下方向」に移動する処理を示す選択情報を制御情報記憶部131bから取得し(図9のステップS902)、制御部120は、表示装置30の画面に表示されたカーソル32を「下方向」に移動する(図9のステップS903)。つまり、この局面では、通信部110cは下カーソルキーとして機能し、制御部120は、使用者が行った上カーソルキーの操作に基づいて、表示装置30の画面に表示されたカーソル32を下方向にある項目に移動し、当該項目を指示する制御を行う。
【0059】
次に、通信装置10が行う上記のストリーミング動作について説明を行う。本実施の形態では、使用者が携帯機器20を移動する操作に従って、制御部120が、表示装置30の画面に表示されたストリーミング処理を示す選択項目31aにカーソル32を移動し、当該選択項目31aの決定を行う。図12(b)に示すように、使用者がカーソル32の移動により選択された項目を認識しやすいように、表示装置30は、制御部120の制御のもと、カーソル32により指示された項目(ここでは選択項目31a)を反転表示または点滅表示等する。
【0060】
次に、図10を参照して、通信装置10の制御部120が実行するストリーミング処理を説明する。なお、以下、図8に示した上記トップメニューから選択項目を決定する処理や、図9に示した選択処理と同様の処理については、適宜に重複する説明を省略する。
【0061】
制御部120は、携帯機器20の通信部210と相互に電界結合を行っている通信部110(例えば通信部110a)を介して、携帯機器20の記憶部(図示しない)等のディレクトリを参照する。次に、制御部120は、ストリーミングが可能なファイル(フォルダを含む)の一覧を表すデータを作成し、これを表示装置30に供給する。表示装置30は、当該一覧データを制御部120から受け取り、制御部120の制御のもと、ストリーミング可能ファイル等の一覧を表示する(図10のステップS1001)。
【0062】
表示装置30の画面(表示パネル)には、図13に示すように、携帯機器20において記憶、管理されているストリーミング可能なファイル等の一覧が階層表示(ツリー表示)される。このとき、表示装置30の画面上のカーソル32の位置を使用者が認識しやすいように、表示装置30は、制御部120の制御のもと、カーソル32により指示されたファイル等(例えば、最上層のファイル)を反転表示または点滅表示等する。制御部120は、使用者の操作によりストリーミングを行う対象のファイルが選択されるのを待ち受ける。
【0063】
使用者は、表示装置30の画面に表示されたストリーミング可能なファイル等の一覧とカーソル32とを確認し、上記トップメニューから選択項目を決定したときに使用者が行った操作と同様、通信装置10の上面部100付近で携帯機器20を移動させる。
【0064】
例えば、同じ階層の一つ上又は下にあるファイル等を選択する場合、使用者は、通信装置10の上面部100の中央から上方向の位置又は下の位置に携帯機器20をそれぞれ移動する。
【0065】
また、一つ下の階層又は上の階層にあるファイル等を選択する場合、使用者は、通信装置10の上面部100の中央から右方向の位置又は左の位置に携帯機器20をそれぞれ移動する。
【0066】
また、表示装置30の画面に表示されたカーソル32により指示されたファイルをストリーミング対象のファイルとして「決定」する場合、使用者は、通信装置10の上面部100の中央位置に携帯機器20を移動する。
【0067】
携帯機器20の移動に従って、携帯機器20の通信部210と相互に電界結合した通信装置10の通信部110(110a乃至110eの何れか)は、制御部120に電界信号を供給すると、制御部120は、図9に示す選択処理を実行する(上記ステップS901乃至903)。
【0068】
具体的には、制御情報取得部120aが選択対象の「決定」を行う処理を示す選択情報を制御情報記憶部131bから取得した場合、制御部120は、表示装置30の画面に表示されたカーソル32により指示されたファイルをストリーミング対象のファイルとして決定する。
【0069】
また、制御情報取得部120aがカーソルを「上方向」に移動する処理を示す選択情報又は「下方向」に移動する処理を示す選択情報を制御情報記憶部131bから取得した場合、制御部120は、表示装置30の画面に表示されたカーソル32を「上方向」又は「下方向」にそれぞれ移動して同じ階層の一つ上にあるファイル等を選択する。
【0070】
また、制御情報取得部120aがカーソルを「右方向」に移動する処理を示す選択情報又は「左方向」に移動する処理を示す選択情報を制御情報記憶部131bから取得した場合、制御部120は、表示装置30の画面に表示されたカーソル32を「右方向」又は「左方向」にそれぞれ移動して一つ下の階層にあるファイル等を選択する。
【0071】
表示装置30の画面に表示されていたカーソル32は、制御情報取得部120aが取得した選択情報に従って移動する。このとき、使用者がカーソル32の移動により選択されたファイル等を認識しやすいように、表示装置30は、制御部120の制御のもと、カーソル32により指示されたファイル等を反転表示や点滅表示等する。
【0072】
その後、制御部120は、表示装置30の画面に表示されたストリーミング可能ファイル等の一覧からストリーミングされるファイルが決定されたか否かを判定する(図10のステップS1002)。
【0073】
上記選択処理においてストリーミングを行う対象のファイル等が決定されていない場合(ステップ1002;No)、制御部120は、ステップS1001に戻り、カーソル32移動後のストリーミング可能ファイル等の一覧を表示装置30に表示する制御を行う。一方、上記選択処理においてストリーミングを行う対象のファイル等が決定された場合(ステップS1002;Yes)、制御部120は、確認画面を表示装置30の画面(表示パネル)に表示する(図10のステップS1003)。
【0074】
表示装置30の画面には、上記選択処理(図9のステップS901乃至S903)により選択、決定された、ストリーミングを行う対象のファイル名等が表示される。表示装置30は、制御部120の制御のもと、例えば、図14に示すように、上記選択処理を行って決定したファイルのストリーミングを行うか否かを、使用者に選択させる確認画面を表示する(ステップS1003)。制御部120は、当該ファイルのストリーミングを実行するか否かを選択する使用者の操作を待ち受ける。
【0075】
使用者は、表示装置30の画面に表示された項目(図14に示すYesとNoの項目)とカーソル32とを確認し、上記と同様、通信装置10の上面部100付近で携帯機器20を移動する。
【0076】
携帯機器20の移動に従って、携帯機器20の通信部210と相互に電界結合した通信装置10の通信部110(110a乃至110eの何れか)は、制御部120に電界信号を供給する。制御部120は、当該通信部110から電界信号を受け取ると、上記と同様、図9に示す選択処理を実行する(上記ステップS901乃至903)。
【0077】
その後、制御部120は、表示装置30に表示された確認画面において、ストリーミングを実行する選択がされたか否かを判定する(図10のステップS1004)。
【0078】
上記選択処理においてストリーミングの実行が決定されなかった場合(Noの項目が決定された場合)(ステップ1004;No)、制御部120は、ステップS1001に戻り上記処理を繰り返す。一方、上記選択処理において、ストリーミングの実行が決定された場合(Yesの項目が決定された場合)(ステップS1004;Yes)、制御部120は、上記ストリーミングを行う対象のファイルのストリーミングを実行し、ストリーミングデータを表示装置30に再生表示する制御を行う(図10のステップS1005)。
【0079】
その後、制御部120は、通信装置10と携帯機器20との間で行う通信を制御する。上記図9に示す選択処理において決定キーとして機能する通信部110aは、制御部120の制御のもと、携帯機器20の通信部210との間で通信を行う。通信部110aは、上記選択処理により決定したストリーミングされるファイルを指定し、これを携帯機器20の通信部210に要求する。
【0080】
これに応じて、携帯機器20の通信部210は、携帯機器20の制御部(図示しない)の制御のもと、要求されたファイルをストリーミングデータとして、所定の通信帯域(例えば、数10Mbps)により、通信部110aに送信する。通信部110aは、通信部210から順次受信したストリーミングデータを制御部120に供給する。制御部120は、通信部110aから順次受け取るストリーミングデータをもとに、例えばRGBデータ等の表示用データを生成し、生成した表示用データを表示装置30の駆動回路に供給する。駆動回路は、制御部120から供給された表示用のデータに基づいて表示パネルを駆動し、表示用データによって表される各種映像を表示装置30の画面(表示パネル)に表示させる。
【0081】
また、表示装置30の画面(表示パネル)には、図15に示すように、再生キー15a、早送りキー15b、巻戻しキー15c、次チャプターキー15d、前チャプターキー15e等、ストリーミングデータの表示制御の内容(使用者が行った操作に対応して行われる表示制御の内容)を表す各種キーが表示される。各種キー15a乃至15eは、現在のストリーミングデータの表示制御の内容を使用者が認識しやすいように、表示装置30は、制御部120の制御のもと、表示制御の内容に対応する各種キー15の反転表示や点滅表示等する。例えば、現在のストリーミングデータが通常再生により表示装置30の画面に表示されている場合、通常再生に相当する再生キー15aが反転表示等される。
【0082】
その後、制御部120は、ストリーミングデータの表示制御を要求する使用者の操作を待ち受ける。
【0083】
使用者は、表示装置30の画面に再生表示されているストリーミングデータ、各種キー15(15a乃至15e)を確認し、上記と同様、通信装置10の上面部100付近で携帯機器20を移動する。
【0084】
例えば、表示装置30の画面に表示されているストリーミングデータを早送りする場合及び巻戻す場合において、使用者は、通信装置10の上面部100の中央から上方向の位置及び下方向の位置に携帯機器20をそれぞれ移動する。
【0085】
また、表示装置30の画面に表示されているストリーミングデータを次のチャプターに進める場合及び前のチャプターに戻す場合において、使用者は、通信装置10の上面部100の中央から右方向の位置及び左方向の位置に携帯機器20を移動する。
【0086】
また、表示装置30の画面に表示されているストリーミングデータを通常の再生速度で再生する場合、使用者は、通信装置10の上面部100の中央位置に携帯機器20を移動する。
【0087】
携帯機器20の移動に従って、携帯機器20の通信部210と相互に電界結合した通信装置10の通信部110(110a乃至110eの何れか)は、制御部120に電界信号を供給する。
【0088】
制御部120は、当該通信部110から電界信号を受け取ると、タイマ割り込み等により、プログラム記憶部131aから通信制御プログラムを読み出す。制御部120は、表示装置30の画面に表示されたストリーミングデータの表示制御を行うため、この局面では図11に示す表示制御処理を実行する(図11のSTART)。
【0089】
具体的に、制御情報取得部120aが通信部110bを携帯機器20の通信部210に最も近い通信部として特定した場合(図11のステップS1101)、制御情報取得部120aは、制御情報記憶部131bに記憶された図4のテーブルから識別情報「110b」に基づいて「早送り」を表す表示制御情報を取得し(図11のステップS1102)する。次に、制御情報取得部120aを有する制御部120は、表示装置30の画面に表示されたデータを早送りする制御を行う(図11のステップS1103)。つまり、この局面では、通信部110bは早送りキーとして機能し、制御部120は、使用者が行った早送りキー操作に基づいて、表示装置30の画面に表示されたデータを早送りする。
【0090】
また、制御情報取得部120aが「早送り」を表す表示制御情報を制御情報記憶部131bから取得した場合、制御情報取得部120aは、通信部110a及び110bから供給された電界信号により表される電界強度に基づいて、早送り速度を制御する早送り速度制御情報を、制御情報記憶部131bが記憶する図5のテーブルから取得する。
【0091】
具体的には、制御情報取得部120aは、通信部110aの電界強度Ec1と、通信部110bの電界強度Ec2との差の値(X=Ec2−Ec1)を求め、その値(X)が含まれる範囲に対応付けられた早送り速度制御情報を図5のテーブルから取得する。
【0092】
次に、制御部120は、制御情報取得部120aが取得した早送り速度制御情報により表される早送り速度により、表示装置30の画面に表示されたデータを早送りする制御を行う。例えば、電界強度Ec1と、通信部110bの電界強度Ec2との差の値がa<X≦bの範囲にある場合「1.5倍速」の早送り速度を表す早送り速度制御情報を取得し、制御部120は、表示装置30の画面に表示されたデータを1.5倍速で早送りを行う。つまり、携帯機器20を、通信部110a,110b間で移動することにより、通信部110a,110bと通信部210との位置関係に応じて、早送り速度を調節することができる。
【0093】
また、制御情報取得部120aが通信部110cを携帯機器20の通信部210に最も近い通信部として特定した場合(図11のステップS1101)、制御情報取得部120aは、図4のテーブルから識別情報「110c」に基づいて「巻戻し」を表す表示制御情報を取得し(図11のステップS1102)、制御部120は、表示装置30の画面に表示されたデータを巻き戻す制御を行う(図11のステップS1103)。つまり、この局面では、通信部110cは巻き戻しキーとして機能し、制御部120は、使用者が行った巻き戻しキー操作に基づいて、表示装置30の画面に表示されたデータを巻き戻す。
【0094】
また、制御情報取得部120aが「巻戻し」を表す表示制御情報を制御情報記憶部131bから取得した場合、制御情報取得部120aは、通信部110a及び110cから供給された電界信号により表される電界強度に基づいて、巻戻し速度を制御する巻戻し速度制御情報を、制御情報記憶部131bが記憶する図6のテーブルから取得する。
【0095】
制御情報取得部120aは、通信部110aの電界強度Ec1と、通信部110cの電界強度Ec3との差の値(Y=Ec3−Ec1)を求め、その値(Y)が含まれる範囲に対応付けられた巻戻し速度制御情報を図6のテーブルから取得する。
【0096】
制御部120は、制御情報取得部120aが取得した巻戻し速度制御情報により表される巻戻し速度により、表示装置30の画面に表示されたデータを巻き戻す制御を行う。例えば、電界強度Ec1と、通信部110bの電界強度Ec3との差の値がg<Y≦hの範囲にある場合「3倍速」の巻戻し速度を表す巻戻し速度制御情報を取得し、制御部120は、表示装置30の画面に表示されたデータを3倍速で巻戻しを行う。つまり、携帯機器20を、通信部110a,110c間で移動することにより、通信部110a,110bと通信部210との位置関係に応じて、巻き戻し速度を調節することができる。
【0097】
また、制御情報取得部120aが携帯機器20の通信部210に最も近い通信部として通信部110dを特定した場合及び通信部110eを特定した場合(図11のステップS1101)、「次のチャプター」に移動する表示制御情報及び「前のチャプター」に移動する表示制御情報を制御情報記憶部131bからそれぞれ取得し(図11のステップS1102)、制御部120は、表示装置30の画面に表示されたデータにより表される現在のチャプターを次のチャプターに進める表示制御及び前のチャプターに進める表示制御を行う(図11のステップS1103)。つまり、この局面では、通信部110dは次チャプターキーとして機能し、制御部120は、使用者が行った次チャプターキー操作に基づいて、表示装置30の画面に表示されたデータを次のチャプターに進める。またつまり、この局面では、通信部110dは前チャプターキーとして機能し、制御部120は、使用者が行った前チャプターキー操作に基づいて、表示装置30の画面に表示されたデータを前のチャプターに戻す。
【0098】
また、制御情報取得部120aが通信部110aを携帯機器20の通信部210に最も近い通信部として特定した場合(図11のステップS1101)、制御情報取得部120aは、「通常再生(1倍速再生)」を行う表示制御情報を制御情報記憶部131bから取得し(図11のステップS1102)、制御部120は、表示装置30の画面に表示されたデータを通常の速度(1倍速)で再生する表示制御を行う(図11のステップS1103)。つまり、この局面では、通信部110aは再生キーとして機能し、制御部120は、使用者が行った再生キー操作に基づいて、表示装置30の画面に表示されたデータを通常の速度(1倍速)で再生する。
【0099】
その後、制御部120は、例えば、上記表示制御処理を行った後、または一定時間毎に、表示装置30の画面に表示されているストリーミングデータの再生が終了したか否かを判定する(図11のステップS1106)。
【0100】
ストリーミングデータの再生が終了していない場合(ステップ1006;No)、制御部120は、ステップS1005に戻り、表示装置30の画面においてストリーミングデータの表示を継続して行い、制御部120は、ストリーミングデータの表示制御を要求する使用者の操作を待ち受ける。使用者は、ストリーミングデータの再生が終了するまで(ステップS1006;Yes)、通信装置10の上面部100付近で携帯機器20を移動させることにより、各種操作キーとして機能する通信部110a乃至110eの何れかを介して表示装置30の画面に表示されているストリーミングデータの表示制御を要求することができる。一方、ストリーミングデータの再生が終了した場合(ステップS1006;Yes)、制御部120は、ストリーミング処理を終了する(図10のEND)、その後、制御部120は、ステップS801に戻り、トップメニューを再表示する。
【0101】
なお、本実施の形態では、トップメニューの選択項目31aが決定されたことに従って、これに対応するストリーミング処理を行ったが、他の選択項目31b,31cが決定された場合も、これと同様にして行うことができる。
【0102】
例えば、図12(a)のダウンロード処理を示す選択項目31bが決定された場合、当該ダウンロード処理を実行するためには、ダウンロード対象のファイルの指定、当該ファイルの格納先となるフォルダの指定、及びダウンロードの実行の決定を行う必要があるが、これらも、使用者が通信装置10の上面部100付近で携帯機器20を移動することにより行うことができる。
【0103】
また、図12(a)のダウンロード済みデータの再生処理を示す選択項目31cが選択、決定された場合、当該データの再生処理を実行するためには、再生対象となるファイルの指定、当該ファイルの再生を実行する決定、及び表示装置30の画面に表示される再生データの表示制御を行う必要があるが、これらも、上記と同様、使用者が通信装置10の上面部100付近で携帯機器20を移動することにより行うことができる。
【0104】
以上、本実施形態に係る通信装置10によれば、使用者が通信装置10の上面部100の付近で携帯機器20を移動する簡単な操作により、ダウンロード、ストリーミング、ダウンロード済みのデータ再生等の処理を実行することができる。これにより、特に、データ通信前とデータ通信中の使用者の操作性を高めることができる。
【0105】
なお、上記実施形態では、電界結合を利用して通信装置間で無線通信を形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、磁界結合を利用する場合でも同様に実施することができる。
【0106】
また、上記実施形態の通信制御プログラムは、持ち運び可能な記録媒体(CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、又は、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)等)に記録され、通信装置10に供給されてもよい。また、当該通信制御プログラムは、ネットワークを介して通信装置10に供給されてもよい。当該通信制御プログラムが記録された一次記憶装置122、二次記憶装置131、又は、持ち運び可能な記録媒体40は、コンピュータが読み取り可能なプログラム製品になる。さらに、当該通信制御プログラムは、機能の少なくとも一部が専用回路によって実現されたコンピュータを動作させるものであってもよい。つまり、コンピュータは、全体として、上述の処理を行うものであればよく、プログラムは、そのようなコンピュータを動作させるものであればよい。
【0107】
その他、本実施形態の通信装置10の各構成は、適宜に、分割、組み合わせて実現することも可能である。例えば、通信装置10は、接続する機器を通信装置10の構成として用いても良い。具体的に、パーソナルコンピュータを通信装置10として用いる場合、コンピュータ本体に、制御部120、記憶部130、読出・書込部140を備え、その他の通信部110a乃至110eを構成する装置をコンピュータ本体に接続して使用することもできる。
【0108】
その他、本発明は上記の実施形態及び図面によって限定されるものではなく、上記の実施形態及び図面に適宜変更等を加えることは可能である。
【符号の説明】
【0109】
10・・・通信装置、100・・・上面部、110a乃至110e・・・通信部、111a乃至111e・・・電界カプラ素子、112a乃至112e・・・電界検出回路、120・・・制御部、120a・・・制御情報取得部、121・・・CPU、122・・・一次記憶装置、123・・・送受信回路、130・・・記憶部、131a・・・プログラム記憶部、131b・・・制御情報記憶部、140・・・読出・書込部、141・・・メディアコントローラ、20・・・携帯機器、210・・・通信部、30・・・表示装置、40・・・記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の距離内に位置する通信機器と電界結合又は磁界結合を行う複数の通信手段と、
当該通信手段と、所定の制御内容を示す制御情報とを対応させて記憶した記憶手段と、
前記電界結合又は磁界結合を行っている前記通信手段に対応する制御情報を、前記記憶手段から取得する取得手段と、
当該取得手段が取得した前記制御情報を用いて所定の制御を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記通信手段は、前記通信機器と前記電界結合又は磁界結合が行われることに応じて電界強度又は磁界強度を検出し、
前記取得手段は、前記通信手段が検出した電界強度又は磁界強度のうち最も大きい電界強度又は磁界強度を検出した通信手段に対応する制御情報を、前記記憶手段から取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御情報は、前記通信機器と通信を行う通信データの選択、及び、当該通信データの通信先の選択を行うための選択情報を含み、
前記制御手段は、前記選択情報を用いて前記通信機器との間で通信を行う通信データ、及び、当該通信データの通信先を選択し、前記選択された通信先との間で前記通信データを通信するように前記通信手段を制御する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御情報は、前記通信機器と通信を行う通信データのストリーミングを制御するための表示制御情報を含み、
前記制御手段は、前記表示制御情報を用いて前記通信機器との間で行うストリーミングを制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記通信手段が検出する電界強度又は磁界強度を所定の範囲毎に前記ストリーミングの早送り又は巻戻しの速度を制御する速度制御情報と対応付けて記憶し、
前記取得手段は、前記電界結合又は磁界結合を行っている通信手段が検出した前記電界強度又は磁界強度に基づいて前記記憶手段から前記速度制御情報を取得し、
前記制御手段は、前記取得手段が取得した前記速度制御情報を用いて前記通信機器との間で行うストリーミングの早送り又は巻戻しの速度を制御する、
ことを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
コンピュータに、
電界結合又は磁界結合を行っている通信部に対応する所定の制御内容を示す制御情報を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得した前記制御情報を用いて所定の制御を行う制御工程と、
を行わせることを特徴とする通信制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−205597(P2011−205597A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73659(P2010−73659)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】