説明

通気層形成用スぺーサーとこのスペーサーを使用した通気層の形成方法

【課題】 本発明の第一目的は、取付が簡単な通気層形成用スペーサーを提供することであり、本発明の第二目的は、施工に便利な通気層の形成方法を提供することである。
【解決手段】 本発明の通気層形成用スペーサー1は、壁体内の空間に挿入される断熱材4と外壁材2の壁面との間に設置して通気層を形成するものであって、前記スペーサー1は短冊形状のシート11の表面に通気方向に連通する中空凸部12が複数個直列配置されて設けられているものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、壁体内の空間に挿入される断熱材と壁面との間に設置して通気層を形成する通気層形成用スペーサーと通気層の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、壁体内の空間に挿入される断熱材と壁面との間に通気層を形成する手段は、例えば、特開昭63−15606号公報に記載されている。上記公報記載のものは、壁体内の空間に断熱材を挿入し、この断熱材の表面を通気性を有するシートで覆って内壁材側に取り付け、断熱材と外壁材との間に通気層を形成するものである。
【0003】また、上記とは別に、壁体内の空間に挿入される断熱材と壁面との間に隙間を形成するためのスペーサーが、実公平4−20884号公報に記載されている。上記スペーサーは、断面方形の筒体であって、この筒体の両端に取付片が突設され、さらに筒体の中間部に補強用の折込み片が形成されているものであって、上記取付片を折曲げて外壁板に接するように骨組材間に取り付け、その内側に断熱材を挿入するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来技術において、前者の公報記載のものは、断熱材の表面を通気性を有するシートで覆って断熱材と外壁材との間に通気層を形成するものであるから、このシートが大面積となり取扱・取付が面倒であるという問題がある。
【0005】また、後者の公報記載のものは、スペーサーの取付片を折曲げて外壁板に接するように骨組材間に取り付けるものであるから、断熱材と壁面との間に隙間が形成されるものの、このスペーサーは筒体の両側が骨組材により閉塞され、通気層を形成するものではない。
【0006】さらにまた、上記の従来技術においては、いずれも、壁体内の空間に断熱材を挿入する施工作業の際、断熱材は自立性がないため折り曲がり、挿入作業がやり難いという問題と、断熱材の固定にタッカー等で固定しなければならないので、取付作業の工数がかかるという問題がある。
【0007】本発明は、上記の従来技術の問題を解決するためになされたもので、本発明の第一目的は、取付が簡単な通気層形成用スペーサーを提供することであり、本発明の第二目的は、施工に便利な通気層の形成方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1と2記載の発明は、上記第一目的を達成するためになされたものであり、請求項3記載の発明は、上記第二目的を達成するためになされたものである。
【0009】請求項1記載の通気層形成用スペーサーは、壁体内の空間に挿入される断熱材と壁面との間に設置して通気層を形成する通気層形成用スペーサーであって、前記スペーサーはシート状になされ、このシート状スペーサーの表面に通気方向に連通する中空凸部が設けられているものである。
【0010】請求項2記載の通気層形成用スペーサーは、前記スペーサーが短冊形状のシート状になされている請求項1記載のものである。
【0011】請求項3記載の通気層形成用スペーサーは、前記スペーサーの裏面に粘着剤層が形成されている請求項1または2記載のものである。
【0012】請求項4記載の通気層の形成方法は、前記スペーサーの裏面側をあらかじめ断熱材に取りつけ、この断熱材を壁体内の空間に挿入し、スペーサーを介して断熱材と壁面との間に通気層を形成する請求項1〜3記載のスペーサーを使用した通気層の形成方法である。
【0013】(作用)請求項1、2または3記載の通気層形成用スペーサーは、シート状になされ、このシート状スペーサーの表面に通気方向に連通する中空凸部が設けられているものであるから、この凸部により自立性を持たせることができ、取付・取扱に便利である。
【0014】請求項2記載の通気層形成用スペーサーは、短冊形状のシート状になされているものであるから、取付・取扱に一層便利であり、しかも壁面の大きさに関係なく使用できる。さらにまた、短冊形状のスペーサーを間隔をあけて設置すれば、材料の節減を図ることができる。
【0015】請求項3記載の通気層形成用スペーサーは、スペーサーの裏面に粘着剤層が形成されているものであるから、取付が容易である。
【0016】請求項4記載の通気層の形成方法は、前記スペーサーの裏面側をあらかじめ断熱材に取りつけ、この断熱材を壁体内の空間に挿入し、スペーサーを介して断熱材と壁面との間に通気層を形成するものであるから、施工時にスペーサーを取り付ける手間が省ける。また、グラスウールのような柔らかい断熱材であっても自立性を確保でき、断熱材の挿入時に折れ曲がることがなく、また、タッカーや釘等で固定しなくても壁体内に収めることができ、施工に便利である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のシート状スペーサーにおいて、シート材料は厚紙や合成樹脂等の材料が好適に使用できる。このシート材料の表面には、通気方向に連通する中空凸部が設けられているが、この中空凸部の断面形状は半円、三角もしくは四角等のいずれの形状になされていてもよい。また、上記中空凸部は、通気方向に対して連続するもの、あるいは複数個に分割されているもの、いずれでもよい。さらにまた、この中空凸部は、通気方向と直角の方向に単列ないしは複数列に並列配置されて設けられていてもよい。
【0018】本発明のスペーサーにおいて、シート材料を壁面とほぼ同じ大きさの長方形状として設置するものであってもよいが、シート材料を長尺の短冊形状となし、この短冊形状のシート状スペーサーを壁面に複数並列して設置するのがよい。
【0019】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1、及び図2は、本発明の一実施例であって、図1(イ)図は通気層形成用スペーサーの斜視図、(ロ)図は(イ)図の通気層形成用スペーサーの側面図であり、図2は図1の通気層形成用スペーサーの使用状態を示すもので、(イ)図はスペーサーが取り付けられた外壁材の斜視図、(ロ)図は通気層が形成された壁体の断面図である。図3は、本発明の別の実施例であって、通気層形成用スペーサーが取り付けられた断熱材の斜視図である。
【0020】1、1Aは通気層形成用スペーサー、11、11Aはシート、12、12Aは中空凸部、2は外壁材、3は内壁材、4は断熱材である。
【0021】まず、本発明の一実施例を図1と図2を基づいて説明する。通気層形成用スペーサー1は、段ボール等に使用される厚紙で形成されたものであって、短冊状のシート11の表面に、このシート11と略同じ幅の断面くの字形状の中空凸部12が多数直列配置して設けられている。また、上記シート11の裏面には、アクリル系の粘着剤が塗布された粘着剤層13が形成され、この粘着剤層13には離型紙14が取り付けられている。
【0022】上記の通気層形成用スペーサー1は、図2(イ)図に示すように、外壁材2の裏面側に複数並列され、粘着剤層13を介して取り付けられ、中空凸部12が通気方向に連通するようになされ、壁体内の空間に挿入された断熱材4と外壁材2との間に通気層を形成している。
【0023】つぎに、上記通気層形成用スペーサー1の使用方法を説明しながら、本実施例の作用を述べる。外壁材2は、図示省略の建物の柱や梁等の構造材に取り付けられており、この建物の床下側から小屋裏側に向かう壁体の垂直方向に通気層を形成するものである。そこで、外壁材2の裏面側に、離型紙14を取り除いた通気層形成用スペーサー1をほぼ等間隔をおいて垂直方向に向けて貼り付け、柱と梁とで仕切られた空間に断熱材4を挿入し、内壁材3を柱や梁に取り付ける。すると、図2R>2(ロ)に示すように、スペーサー1の中空凸部12により、断熱材4と外壁材2との間に垂直方向に向かう通気層が形成される。
【0024】本実施例の通気層形成用スペーサー1は、短冊状シート1の表面に通気方向に連通する中空凸部12が多数直列配置されて設けられているものであるから、この凸部12により自立性を持たせることができ、取付・取扱に便利であり、しかも壁面の大きさに関係なく使用できる。さらにまた、短冊形状のスペーサー1を間隔をあけて設置しているので、材料の節減を図ることができる。
【0025】また、本実施例の通気層形成用スペーサー1は、裏面に離型紙14付き粘着剤層13が形成されているものであるから、外壁材2への取付が容易である。
【0026】つぎに、本発明の別の実施例を図3を参照して説明する。本実施例は、通気層形成用スペーサー1Aを使用した通気層の形成方法に関するものであって、上記の通気層形成用スペーサー1Aは、長方形状のシート11Aが折り曲げられ、通気方向に連通する断面くの字形状の中空凸部12Aが多数並列して設けられたものである。また、上記シート11Aには、多数の通気孔15Aが設けられ、後述する断熱材4に含まれる湿気を透過できるようになされている。
【0027】上記スペーサー1Aの裏面側に接着剤を塗布してあらかじめ断熱材4に取り付け、このスペーサー1Aを外壁材の裏面側に向けて、断熱材34を壁体内の空間に挿入し、スペーサー1Aを介して断熱材4と外壁材との間に通気層を形成する。
【0028】本実施例の通気層の形成方法は、スペーサー1Aの裏面側をあらかじめ断熱材4に取りつけ、この断熱材4を壁体内の空間に挿入し、スペーサー1Aを介して断熱材4と外壁材裏面との間に通気層を形成するものであるから、断熱材4がグラスウールのような柔らかいものであっても自立性を確保でき、断熱材4の挿入時に折れ曲がることがなく、また、タッカーや釘等で固定しなくても壁体内に収めることができ、施工に便利である。
【0029】
【発明の効果】請求項1、2または3記載の通気層形成用スペーサーは、シート状になされ、このシート状スペーサーの表面に通気方向に連通する中空凸部が設けられているものであるから、この凸部により自立性を持たせることができ、取付・取扱に便利である。殊に、建物ユニットを工場の自動化されたラインで生産する工程に使用すると、スペーサーの取付工数の低減を図ることができる。
【0030】請求項2記載の通気層形成用スペーサーは、短冊形状のシート状になされているものであるから、取付・取扱に一層便利であり、しかも壁面の大きさに関係なく使用できる。さらにまた、短冊形状のスペーサーを間隔をあけて設置すれば、材料の節減を図ることができる。
【0031】請求項3記載の通気層形成用スペーサーは、シート状スペーサーの裏面に粘着剤層が形成されているものであるから、取付が容易である。
【0032】請求項4記載の通気層の形成方法は、前記スペーサーの裏面側をあらかじめ断熱材に取りつけ、この断熱材を壁体内の空間に挿入し、スペーサーを介して断熱材と壁面との間に通気層を形成するものであるから、施工時にスペーサーを取り付ける手間が省ける。また、グラスウールのような柔らかい断熱材であっても自立性を確保でき、断熱材の挿入時に折れ曲がることがなく、また、タッカーや釘等で固定しなくても壁体内に収めることができ、施工に便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であって、(イ)図は通気層形成用スペーサーの斜視図、(ロ)図は(イ)図の通気層形成用スペーサーの側面図である。
【図2】図1の通気層形成用スペーサーの使用状態を示すもので、(イ)図はスペーサーが取り付けられた外壁材の斜視図、(ロ)図は通気層が形成された壁体の断面図である。
【図3】図3は、本発明の別の実施例であって、通気層形成用スペーサーが取り付けられた断熱材の斜視図である。
【符号の説明】
1、1A 通気層形成用スペーサー
11、11A シート
12、12A 中空凸部
2 外壁材
3 内壁材
4 断熱材

【特許請求の範囲】
【請求項1】 壁体内の空間に挿入される断熱材と壁面との間に設置して通気層を形成する通気層形成用スペーサーであって、前記スペーサーはシート状になされ、このシート状スペーサーの表面に通気方向に連通する中空凸部が設けられていることを特徴とする通気層形成用スペーサー。
【請求項2】 前記スペーサーが短冊形状のシート状になされている請求項1記載の通気層形成用スペーサー。
【請求項3】 前記スペーサーの裏面に粘着剤層が形成されている請求項1または2記載の通気層形成用スペーサー。
【請求項4】 前記スペーサーの裏面側をあらかじめ断熱材に取りつけ、この断熱材を壁体内の空間に挿入し、スペーサーを介して断熱材と壁面との間に通気層を形成する請求項1〜3記載のスペーサーを使用した通気層の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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