説明

通気履物

【解決手段】履物は、本底(2)において横穴(8)を介して外部に連通している縦溝(6)と、中底(9)において縦溝に直接連通して前記溝から中底の周囲へ向けて空気を導く横断溝(10)とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気性のある靴底を有する履物に関する。
【背景技術】
【0002】
長い間、靴底に形成された通気回路網を用いて履物の内部に通気性をもたせ、靴底内に設けられた適切な通気穴を通して外気を足裏に供給することが求められていた。
【0003】
TH.GRIMMEISEN会社は、この分野の先駆者であった(1961年4月28日に出願されたフランス特許1295561)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
その性質により、通気回路網の構造によっていくつかの課題が生じている。
−最適な位置に十分な量の空気を導くこと;
−靴底の強度を弱めないこと;
−足に対して効率的な支持を維持すること;
−土踏まずの問題を引き起こさないこと;
−費用がかかる作業で製造しないこと。
【0005】
多くの解決方法が提案されているが、これら種々の課題を同時に解決することに成功していない(FR8202541、FR8604692、FR8800850、EP1093729、WO2004/037031、FR9110484、EP1369048)。
【0006】
本発明の目的は、通気性の問題を全面的に解決することを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このことは、本発明により達成することができる。すなわち、本発明は、本底(outer sloe)と中底(insole)に分配して設けられ、本底に設けられた横穴を通って空気が供給される通気回路網を備えた履物であって、通気回路網は、本底において本底の領域から形成されるとともにかかと部から本底の先端に延びる縦溝を有し、溝の両側であって溝の前方部分に、本底全体の領域の少なくとも50%に相当する荷重に耐える領域が維持され、この溝は本底に設けられた横穴を介して外側と連通し、かつ通気回路網は、中底において中底の裏面に形成された横断溝を有し、本底の縦溝に直接連通するとともに、この溝から中底の周囲へ向けて空気を導くことを特徴とする履物である。
【0008】
好ましい実施の形態において、履物は以下の特徴を一つ以上有している。
−本底の縦溝は、かかと部から本底の先端に向かって徐々に広がるとともに、丸みを帯びた部分において閉ざされるようにその先端近傍において狭まっていること;
−本底のかかと部は、かかと部が負荷に耐えるためにくり抜かれることがない本底の中央部分の周囲に形成された凹部からなる室を有していること;
−中底は、その溝とともに完全に成形によって製作されること;
−通気する空気の通路に半透過性材料が挿入され、空気を通す一方で湿気を止めること;
−前記材料は、空気取り入れ口に設置されること;
−前記材料は、本底内に設けられた室および/または縦溝の内面にコーティングされていること。
【0009】
これから、本発明による履物の典型的な実施の形態を、添付した図面を参照しながら述べる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に、本底2と上側部材(upper)3からなる履物1が示されている。本底2は、かかと部に位置する室4と、この室から前方部分に延びる縦溝とともに製作されている。
【0011】
図示された場合においては、室(図2および図6)は、かかと部を構成するためにくり抜かれることがない中央部分5の周囲に配置された4つの空洞4を形成している。また、一つの溝6が、この室から本底の先端近辺に縦方向に延び、本底の上反り部分において初めのうちは徐々に広がっていき、その後徐々に狭まり、本底の前方部分において丸みを帯びている。
【0012】
横穴7、8が、かかと部および本底の側面に形成されて、室4に開口するとともに、縦溝6に開口している。
【0013】
取り外し自在な中底9は、その裏面において横方向に中底を横断する溝10を有し、この溝10は、中底の縦方向側面に対応する位置に設けられた切欠きまで延びている。
【0014】
これらの溝は、中底とともに成形によって製作する際に形成され、本底側に開口し、中底に柔軟性を付加するとともに、室および本底の縦溝から靴底の両側方に向かう空気の通り道を提供している。この実施の形態においては、穴7、8は、前方部分の領域およびかかと部の領域において本底の下部にそれぞれ取り付けられる2つの滑り止め部分13、14の取り付けのために使用される中空スタッド11、12に閉ざされるように係合することができる。
【0015】
これらの部分は、U字状に形成され、スタッドが設けられた翼部と、小さな突起部15、16が設けられた反対側の翼部とを有し、この突起部15、16は、図8に示すように、本底の頂部に可能ならば適切な切欠きに取り付け可能になっている。
【0016】
中底は、半固体状の材料からなり、横断溝以外には通気手段を有していないこと、とりわけ、中底を厚さ方向に貫通する穴を有していないことが好ましい。
【0017】
この中底は、例えば、半固体状の発砲体から形成され、快適層(comfort layer)に覆われている。
【0018】
履物内に水が浸入することを防止するために、空気を透過することができる一方で水を透過することができない材料が、通路7、8内の膜(membrane)として、または本底の室および溝の内面のコーティングとして用いられている。
【0019】
この材料としては、図示しないが、例えば、それ自体で知られているゴアテックス(Gor−TexTM)を用いることができる。
【0020】
本発明は、上述した実施の形態に制限されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、右側からみた右足用の履物の側面図である。
【図2】図2は、図1の履物の分解図である。
【図3】図3は、本底に取り付けるための取り外し自在な滑り止め付属物の斜視図である。
【図4】図4は、本底に取り付けるための取り外し自在な滑り止め付属物の斜視図である。
【図5】図5は、滑り止め付属物が取り付けられた図1の履物の靴底を示す図である。
【図6】図6は、履物を右側からみた本底の上方斜視図である。
【図7】図7は、中底および本底の側面を示す図である。
【図8】図8は、履物を左側からみた上方斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本底(2)と中底(9)に分配して設けられ、本底に設けられた横穴(8、8)を通って空気が供給される通気回路網を備えた履物であって、
通気回路網は、本底において本底の表面に形成されるとともにかかと部から本底の先端近傍に延びる縦溝(6)を有し、溝の両側であって溝の前方部分に、本底全体の領域の少なくとも50%に相当する負荷に耐える領域が形成され、この溝は本底に設けられた横穴(8、8)を介して外側と連通し、
かつ通気回路網は、中底(9)において中底の裏面に形成された横断溝(10)を有し、本底の縦溝(6)に直接連通するとともに、この溝から中底の周囲へ向けて空気を導くことを特徴とする履物。
【請求項2】
中底(9)は、取り外し自在であることを特徴とする請求項1に記載の通気履物。
【請求項3】
前記縦中央溝(6)は、かかと部から本底の先端に向かって徐々に広がるとともに、丸みを帯びた部分によって閉ざされるようにその先端に向かって狭まり、足が、本底のうちこの溝の周囲に支持されることを特徴とする請求項1または2に記載の通気履物。
【請求項4】
本底のかかと部は、かかと部が負荷に耐えるためにくり抜かれることがない本底の中央部分(5)の周囲に形成された室(4)を有し、この室に、かかと部に設けられた横穴(7、7)を介して空気が供給されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の通気履物。
【請求項5】
前記室(4)は、前記縦溝(6)に連通していることを特徴とする請求項4に記載の通気履物。
【請求項6】
前記室(4)は、中底側に開口していることを特徴とする請求項4または5に記載の通気履物。
【請求項7】
中底(9)は、その溝(10)とともに成形によって製作されることを特徴とする請求置く1乃至6のいずれかに記載の通気履物。
【請求項8】
空気を通す一方で水を止めるために、通気する空気の通路に半透過性材料が挿入されたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の通気履物。
【請求項9】
前記材料は、前記横穴(7、7;8、8)に設置されることを特徴とする請求項8に記載の通気履物。
【請求項10】
前記材料は、本底(2)に設けられた室(4)および/または縦溝(6)の内面にコーティングされていることを特徴とする請求項8に記載の通気履物。
【請求項11】
穴(7、7;8、8)は、足の親指のつけ根のふくらみ部の領域およびかかと部の領域において本底の下部にそれぞれ取り付けられる2つの滑り止め部分(13、14)の取り付けのために使用される中空スタッド(11、12)を受け入れて閉ざされることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の通気履物。
【請求項12】
前記部分(13、14)は、U字状に形成され、スタッド(11、12)が設けられた翼部と、本底の頂部に可能ならば切欠きに取り付けられる小さな突起部(15、16)が設けられた反対側の翼部とを有することを特徴とする請求項11に記載の通気履物。
【請求項13】
中底(9)は、半固体状の発砲体から形成され、快適層に覆われていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の通気履物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−522033(P2009−522033A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549041(P2008−549041)
【出願日】平成19年1月5日(2007.1.5)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000012
【国際公開番号】WO2007/077396
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508204663)
【氏名又は名称原語表記】THEODORE GRIMMEISEN
【Fターム(参考)】