説明

通気性が向上したかさ高複合体

本発明の複合体は、活性粒子と、かさ高繊維と、バインダー粒子との乾燥混合物が表面に付着した基材を含む。本発明の複合体は、かさ高繊維が混入されていない従来技術の複合体よりも、通気性が高く空気抵抗が少ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性粒子と、かさ高繊維と、バインダー粒子とを含む複合平坦シート構造に関し、このような複合体は、複合体の通気性が向上すると好都合となる流体濾過用途において有用となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の特徴は新規であると考えられ、本発明の特徴的な要素は、特に添付の特許請求の範囲に記載している。図面は、説明のみを目的としており、一定の縮尺で描かれたものではない。しかし、構成および操作方法の両方としての本発明自体は、添付の図面とともに以下の好ましい実施形態の説明を参照することによって最もよく理解できるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0003】
本発明の好ましい実施形態の説明において、類似の参照番号が本発明の類似の特徴を表している図面の図1を本明細書において参照する。図面における本発明の特徴は、必ずしも一定の縮尺で示されているわけではない。
【0004】
本発明の複合体は、個別の基材の表面上に付着した、かさ高繊維と、活性粒子と、バインダー粒子との乾燥混合物を含み、複合体を、バインダー粒子の軟化温度までであるが、かさ高繊維または活性粒子の溶融温度よりは低温に加熱することで、活性粒子とかさ高繊維とが互いに合体し、個別の基材とも合体する。活性粒子の周囲で実質的に屈曲しないように高デニールかさ高繊維を複合体に混入することによって、このかさ高繊維は、複合体の動力学を犠牲にすることなく、約20%を超えて通気性を増加させ、空気抵抗を大きく減少させる。好ましくは、本発明の複合体の通気性は、0.5インチ水柱において約200scfmを超える。
【0005】
本発明の複合体は、活性粒子の充填比率を高くすることによって優れた吸着力または吸収力を有する平坦シート構造である。バインダー粒子は寸法が小さいので、静電気力およびファンデルワール(van der Waal)力によって、バインダー粒子が活性粒子およびかさ高繊維に付着するが、動力学が最適となるように活性粒子の表面領域の大部分は維持される。活性粒子およびかさ高繊維に付着しやすいこと以外に、バインダー粒子は固有の粘着力も有する。
【0006】
本発明の平坦シート複合体は、流体濾過用途、特に建物用の加熱、換気、空調(HVAC)システム中のエアフィルター、自動車のエアフィルター、ならびに水または他の液体の濾過用途において有用である。この平坦シート複合体は、ひだを付けたり、らせん状に巻いたり、またはひだ付けとらせん巻きとの両方を行ったりすることができる。
【0007】
好ましくは、本発明の複合体は、規模および低コストの利益が得られるように連続方法を使用して製造され、ロール製品として製造することができる。後にインラインで切断、細断、および/またはひだ付けの作業を行うこともできる。
【0008】
本発明の複合体中に使用される基材は、あらゆる個別の平坦シート構造であってよく、限定するものではないがそのようなものとしては、ウェビング、紙、ティッシュペーパー、タオル地、布地、ならびに織布または不織材料を挙げることができる。基材は、比較的脆性または堅牢であってよい。好ましくは、複合体を連続生産するために、ローレットローラーによる取り扱いに基材が耐えることができる。
【0009】
本発明の複合体の製造に使用すると好ましい基材の1つは、約0.5インチ水柱における通気性が約600scfm(静的立方フィート/分(static cubic feet/minute))を超え、より好ましくは約800scfmを超える不織材料である。基材の通気性が非常に高いと、結果として得られる本発明の複合体の通気性も高くなる。
【0010】
最も好ましい基材は、熱可塑性バインダーを有する湿式法または乾式法の不織材料である場合がある。好ましくは、熱可塑性バインダーは、約20重量%〜約30重量%、より好ましくは約25重量%の量で存在するラテックスバインダーである。このような好ましい基材は、Columbus,MississippiのAmerican Nonwovens Corporationより商品名SRF5037Bで市販されている。不織布は約20〜約25g/平方ヤードの坪量を有することができるが、結果として得られる複合体がひだ付きである場合は、不織基材の坪量を約30〜約35g/平方ヤードまたはそれを超えるまで増加させることが好ましい。
【0011】
本発明の複合体に機能性付与および/または補強を行うために、粒状、繊維、ウィスカー、または粉末のいずれかの形態の1種類以上の活性粒子を複合体中に提供することができる。有用な活性粒子の種類としては、限定するものではないが、金属、金属塩、金属酸化物、アルミナ、炭素、活性炭、シリケート、セラミックス、ゼオライト、珪藻土、活性ボーキサイト、フラー土、硫酸カルシウム、二酸化チタン、マグネシア、水酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化鉄、パーライト、タルク、クレー、骨炭、水酸化カルシウム、カルシウム塩、またはそれらの組み合わせを挙げることができる。このような活性物質は、重金属または揮発性有機化合物(VOC)などの汚染物質の吸着を促進することができる。特定の用途に依存して、活性物質は、微生物遮断能力を付与するために化学処理することもできる。
【0012】
濾過材として使用する場合に、複合体を通過する流体の流れを実質的に妨害しないのに十分な量で活性粒子が存在する。活性粒子の量は、複合体の特定の用途にも依存する。好ましくは、活性粒子は、基材上に配置される乾燥混合物の全重量を基準にして約80重量%を超える量、より好ましくは約85重量%を超える量で存在する。最高約90重量%などのより高い活性粒子濃度も考慮され、本発明の範囲内である。活性粒子の好ましいレイダウンは約250g/mから約600g/mを超えるまでである。濾過用途においては、好ましいレイダウンを370g/m〜約450g/mとすることができる。
【0013】
活性粒子の粒度は、約1〜約5000μmであってよい。活性粒子が小さくなると、紙への活性粒子の充填比率を高くすることができる。しかし、粒度が小さいと、複合体中で活性粒子がより高密度で充填される場合があるので、一部の用途においては、より大きな粒子がより望ましい場合もある。通気性が向上した空気濾過用途の場合、約20×50のメッシュサイズを有するヤシ系炭素が好ましい場合がある。
【0014】
本発明の複合体中のかさ高繊維は、好ましくは約25を超え、好ましくは約30を超え、より好ましくは約45を超える高いデニール数を有する。複合体をかさ高くするためにこのような高デニール繊維を使用することによって、繊維が、活性粒子周囲で屈曲することなく、実質的に直線状で棒状を維持しやすくなり、活性粒子周囲の気流が増加する。
【0015】
これらの繊維は、凝集が実質的に起こらず容易に分散可能であることが好ましい。したがって、繊維または繊維トウが、繊維の全重量を基準にして約5重量%以下の含水率を有することが好都合である。繊維または繊維トウは、さらに凝集を減少させるためにその表面の静電荷を減少させるサイズ剤で処理することもできる。このようなサイズ剤は当分野において周知である。
【0016】
好ましくは、かさ高繊維は、基材上に配置される乾燥混合物の全重量を基準にして約3重量%〜約12重量%の量で存在し、およびより好ましくは約5〜約10重量%、最も好ましくは約6重量%〜8重量%の量で存在する。約6.35ミリメートル(0.25インチ)以下、好ましくは約3.175ミリメートル(0.125インチ)の繊維長さに繊維トウを細断することが好ましい。約6.35ミリメートルよりも長い繊維は、絡まったり、活性粒子および/またはバインダー粒子の周囲に巻き付いたりする傾向が生じることがあり、活性粒子およびバインダーと混合しても十分に分散しない場合がある。
【0017】
高い固有強度を有する繊維を使用することが好ましい。そのような繊維としては、限定するものではないが、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、アクリロニトリル、「ベクトラン」(VECTRAN)などの液晶ポリマーなどのポリマー;金属;ガラス;イオン交換樹脂;エンジニアリング樹脂;またはそれらの組み合わせが挙げられる。有機および無機繊維および/またはウィスカーの組み合わせも考慮され、本発明の範囲内である。例えば、ガラス、セラミック、または金属の繊維とポリマー繊維とを併用することができる。
【0018】
好ましいかさ高繊維は、約45のデニール数を有し、約6.35ミリメートルの長さに切断され、約5重量%以下の含水率を有するポリエステル繊維である。このようなポリエステル繊維は、Arcadia,South CarolinaのWilliam Barnet & Son,LLCより市販されている。
【0019】
活性粒子およびかさ高繊維を合体させ、それらを下にある基材に接着するためにバインダーが使用される。この目的では、バインダーは、非常に小さい粒子の形態である必要があり、それらの粒子が活性粒子の機能を妨害せず、かさ高繊維をもつれさせたりしないために十分小さい体積で存在する必要がある。好ましくは、バインダーは平均40μm以下の有効直径を有し、平均20μmが最適な大きさである。
【0020】
有用なバインダーとしては、限定するものではないが、ポリオレフィン、ポリハロゲン化ビニル、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルサルフェート、ポリビニルホスフェート、ポリビニルアミン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオキシジアゾール、ポリトリアゾール、ポリカルボジイミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリアリーレンオキシド、ポリエステル、ポリアリーレート、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ホルムアルデヒド−尿素、エチル−酢酸ビニルコポリマー、それらのコポリマーおよびブロックインターポリマー、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。上記材料の変形および他の有用なポリマーとしては、ヒドロキシル、ハロゲン、低級アルキル基、低級アルコキシ基、単環式アリール基などの基で置換されたものが挙げられる。他の使用できる可能性のある材料としては、ポリスチレンなどのポリマー、およびアクリロニトリル−スチレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、ならびに他の結晶質または非晶質のポリマーおよび構造などが挙げられる。
【0021】
本発明において有用となり得るバインダーのより詳細な一覧としては、末端キャップされたポリアセタール、例えばポリ(オキシメチレン)またはポリホルムアルデヒド、ポリ(トリクロロアセトアルデヒド)、ポリ(n−バレルアルデヒド)、ポリ(アセトアルデヒド)、およびポリ(プロピオンアルデヒド);アクリルポリマー、例えばポリアクリルアミド、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アクリル酸エチル)、およびポリ(メタクリル酸メチル);フルオロカーボンポリマー、例えばポリ(テトラフルオロエチレン)、過フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、ポリ(フッ化ビニリデン)、およびポリフッ化ビニル);ポリアミド、例えばポリ(6−アミノカプロン酸)またはポリ(e−カプロラクタム)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)、およびポリ(11アミノウンデカン酸);ポリアラミド、例えばポリ(イミノ−1,3−フェニレンイミノイソフタロイル)またはポリ(m−フェニレンイソフタルアミド);パリレン、例えばポリ−2−キシリレン、およびポリ(クロロ−1−キシリレン);ポリアリールエーテル、例えばポリ(オキシ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)、またはポリ(p−フェニレンオキシド);ポリアリールスルホン、例えばポリ(オキシ−1,4−フェニレンスルホニル−1,4−フェニレン−オキシ−1,4−フェニル−エン−イソプロピリデン−1,4−フェニレン)、およびポリ(スルホニル−1,4−フェニレン−オキシ−1,4−フェニレンスルホニル4,4’−ビフェニレン);ポリカーボネート、例えばポリ−(ビスフェノールA)またはポリ(カルボニルジオキシ−1,4−フェニレンイソプロピリデン−1,4−フェニレン);ポリエステル、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)、およびポリ(シクロヘキシル−エン−1,4−ジメチレンテレフタレート)、またはポリ(オキシメチレン−1,4−シクロへキシレンメチレンオキシテレフタロイル);ポリアリールスルフィド、例えばポリ(p−フェニレンスルフィド)またはポリ(チオ−1,4− フェニレン);ポリイミド、例えばポリ(ピロメリトイミド−1,4−フェニレン);ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ(2−ブテン)、ポリ(1−ペンテン)、ポリ(2−ペンテン)、ポリ(3−メチル−1−ペンテン)、およびポリ(4−メチル−1−ペンテン);ビニルポリマー、例えばポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、およびポリ(塩化ビニル);ジエンポリマー、例えば1,2−ポリ−1,3−ブタジエン、1,4−ポリ−1,3−ブタジエン、ポリイソプレン、およびポリクロロプレン;ポリスチレン;ならびに以上のもののコポリマー、例えばアクリロニトリルブタジエン−スチレン(ABS)コポリマーが挙げられる。有用となり得るポリオレフィンとしては、ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ(2−ブテン)、ポリ(1−ペンテン)、ポリ(2−ペンテン)、ポリ(3−メチル−1−ペンテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などが挙げられる。
【0022】
好適なバインダーの例は、Cincinnati,OhioのQuantum Chemical Company製造の微細ポリオレフィン粉末であるMICROTHENE(登録商標)Fであり、例えば、商品名FN−510で販売されるそれらの低密度ポリエチレン、および商品名FE−532で販売されるそれらのエチレン−酢酸ビニルコポリマーなどである。好ましくは、活性粒子の吸着性または吸収性を妨害することなく、かさ高繊維および活性粒子を互いに効率的に合体させ、下にある基材と効率的に合体させるのに十分な量でバインダーが存在する。約370〜約450g/mのレイダウンを有する複合体においては、乾燥混合物の全重量を基準にしてバインダーは約7重量%〜9重量%の量で存在する。
【0023】
本発明の複合体は、好ましくは、米国特許第5,792,513号に開示されるような乾式連続方法を使用して製造される。典型的には、処理される基材が供給ロールによって提供される。基材供給ロールの下流には、ホッパーからの活性粒子と、かさ高繊維と、バインダー粒子との乾燥混合物を受け取り、基材の上面にその乾燥混合物を適用するようにローレットローラーが配置されている。
【0024】
乾燥混合物は、好ましくは活性炭などの活性粒子をかさ高繊維と混合することによって製造される。バインダー粒子を使用せずに活性粒子およびかさ高繊維をともに混合すると、活性粒子の重量および構造が繊維上の静電荷を散逸させるので、活性粒子中への繊維の分散性を高めることができる。繊維の分散をさらに改善するために、5重量%以下の水分などの低含水率を繊維が有することが好ましい。活性炭を使用する場合、混合中に活性炭の破砕および剪断が起こらないように注意するべきである。例えば、Larvik,NorwayのForberg International ASより入手可能なフォルベルク(Forberg)リボンミキサーなどのリボンブレンダーを使用して、活性粒子およびかさ高繊維を混合することができる。次に、活性粒子およびかさ高繊維の混合物にバインダーを加える。
【0025】
ローレットローラーの表面は、実質的に連続なコーティングが得られるように設計することができるし、あるいは、基材表面上にストライプなどの特殊な模様のコーティングが得られるように設計することもできる。はけまたはその他の装置を使用して、ローレットローラーからの乾燥混合物の除去を促進することができる。その後、基材は、加熱しながらアイドラーローラーと駆動ローラーとの間のニップに通される。アイドラーローラーおよび駆動ローラーのいずれかまたは両方を加熱することができる。ニップ内のウェブに対する所望の圧力を維持するため、アイドラーローラーの軸にロッドを介して空気圧シリンダーが接続される。繊維によって得られるかさ高性を維持するためにアイドラーローラーと駆動ローラーとの間の間隔は、複合体の所望の厚さに固定することができる。
【0026】
加熱された1つ以上のローラーの表面を通過するときに、バインダー粒子の軟化温度またはそれよりわずかに高温まで複合体が加熱されて、アイドラーローラーと駆動ローラーとの間のニップに複合体が入る。このニップ内で、バインダー材料は、最小限の圧力下で活性材料およびウェブ材料と融合する。あるいは、ラミネーターを介して複合体を供給することによってバインダーを加熱することもできる。このようなラミネーターは当分野において周知である。
【0027】
バインダーをその軟化温度まで加熱すると、バインダー粒子は粘着性になるが、活性粒子の活性面に流れ込んだり活性面を汚したりすることはなく、乾燥混合物中の繊維のかさ高作用を妨害することもない。バインダーの軟化温度よりもはるかに高い温度まで複合体を加熱すると、かさ高繊維に悪影響が生じて、繊維の軟化や変形が起こることがある。かさ高繊維は、元の状態のままで、実質的に棒状に維持されることが好ましい。
【0028】
下にある基材と同じ材料の場合も異なる材料の場合もある第2の基材を表面シートとして複合体に加えることができる。この第2の基材は、別の供給ロールから供給され、同様にローラーのニップの間、および融合される乾燥混合物の上に通され、あるいは、ラミネーターが使用される場合は、複合体の上部に供給されてから、ラミネーターに入る。したがって、ローラーまたはラミネーターを離れて得られる複合体は、表面および底面のシート、フィルム、または不織層を有し、乾燥混合物がそれらの間に挟まれる。ニップを離れると、バインダー粒子は冷却して固化し、それによって所望の複合体が形成される。より高温まで加熱すると、下にある基材に悪影響が生じることがある。
【0029】
複合体は、ロール製品として販売するために巻き取りロール上に通すことができるし、あるいは、所定の寸法にするため、および/またはひだを付けるために後に切断または型押しを行うこともできる。複合体にひだを付ける場合、特定の用途に依存するが、例えば約30〜35g/平方ヤード以上などの高い坪量を有する基材を使用することが望ましい場合がある。しかし、基材の坪量が高いと、結果として得られる複合体の通気性が低下する場合がある。当業者であれば、特定の用途において通気性の低下が重要であるかどうかを決定できる。
【0030】
本発明の複合体は、活性粒子の動力学を犠牲にしたり低下させたりすることなく、活性粒子の充填量を増加させながら高い通気性が望まれる流体濾過用途、特に空気濾過用途において有用である。
(実施例/試験)
【0031】
以下の実施例は本発明を説明するために提供するものであり、本発明の範囲を限定するために構成されたものではない。
【0032】
Owings Mill,MarylandのAir Techniques,InternationalのモデルTDA−100Pを使用して、エアロゾル遮断および通気抵抗の測定を行った。直径5.3インチの円形試料を、合成脂肪族炭化水素油の0.18μmの粒子の単一分散体(monodispersion)の影響下におき、これらの試験では32scfmの流速で使用した。
【0033】
長さ約3.175ミリメートルおよび約45デニールを有する約6重量%のポリエステル繊維と、85重量%の20×50メッシュのヤシ炭素と、MICROTHENE(登録商標)FN−510を含む9重量%のバインダー粒子との乾燥混合物を、約370g/mのレイダウンで基材上に供給した。上面および底面の両方の基材は、Columbus,MissouriのAmerican Nonwovens Corp.より入手した商品名SRF5037Bで販売されるウェットレイド不織布であった。この坪量は21g/平方ヤードであった。この複合体は、平均で0.23mm HOの空気抵抗を有した。比較として、同じヤシ炭素および9重量%バインダーで得られた同じレイダウンを有し、どちらもOld Hickory,TennesseeのBBA Nonwovens Reemay,Inc.より入手可能なREEMAY(商標)2275の底面基材と、REEMAY(商標)2004の上面基材とを使用した複合体は、平均で0.34mm HOの空気抵抗を有した。乾燥混合物にかさ高繊維を混入することによって、本発明の複合体の空気抵抗が約30%減少する。繊維を加えことで複合体の効率も増加し、繊維を含有する複合体の効率が平均で17.28%となるのに対し、比較例の複合体の効率は平均で14.20%となった。
【0034】
450g/mのレイダウンを使用して本発明の複合体を作製すると、かさ高繊維を混入した本発明の複合体は、空気抵抗が平均で0.38mm HOとなり、一方、かさ高繊維を有さない複合体は空気抵抗が平均で0.43mm HOとなった。この高いレイダウンにおいて、かさ高繊維によって空気抵抗が約12%減少した。繊維を加えることで複合体の効率も増加し、繊維を含有する複合体の効率が平均で19.02%となるのに対し、比較例の複合体の効率は平均で17.78%となった。
【0035】
Hagarstown,MarylandのFrazier Precision Instruments Company製造の織物浸透装置(fabric penetration machine)を0.5インチ(12.7ミリメートル)水柱の圧力で使用して通気性試験を行った。370g/mのレイダウンを有しかさ高繊維を有する本発明の複合体の場合、フレーザー(Frazier)通気性は約200scfmを超えたが、繊維を有さない比較例の複合体の場合は約155〜約175scfmである。
【0036】
特定の好ましい実施形態とともに本発明を特に説明してきたが、以上の説明を考慮すれば当業者には多くの代替案、修正、および変形が明らかとなることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の範囲および意図の範囲内にあるこのようなあらゆる代替案、修正、および変形を含むことを考慮している。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の複合体の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面を有する個別の基材と、
前記基材の前記第1の表面上に付着した乾燥混合物とを含む複合体であって、前記乾燥混合物は、活性粒子と、バインダー粒子と、約20を超えるデニール数を有するかさ高繊維とを含み、
前記複合体を、前記バインダー粒子の軟化温度までであるが、前記活性粒子および前記かさ高繊維の溶融温度よりは低温に加熱することで、軟化したバインダー粒子によって、前記活性粒子および前記かさ高繊維が互いに合体し、前記基材とも合体する、複合体。
【請求項2】
前記基材が、約600scfmを超える通気性を有する不織層を含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
前記基材が、約800scfmを超える通気性を有する不織層を含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項4】
前記基材が、ラテックスバインダーをさらに含むウェットレイド不織層を含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項5】
前記活性粒子が、吸着剤、吸収剤、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項6】
前記活性粒子が、約20×50メッシュの平均粒度を有する活性炭を含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項7】
前記かさ高繊維が約30を超えるデニール数を有する、請求項1に記載の複合体。
【請求項8】
前記かさ高繊維が約45を超えるデニール数を有する、請求項1に記載の複合体。
【請求項9】
前記乾燥混合物の全重量を基準にして、前記かさ高繊維が約3〜約12重量%の量で存在する、請求項1に記載の複合体。
【請求項10】
前記かさ高繊維が、ポリマー、金属、ガラス、イオン交換樹脂、エンジニアリング樹脂、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項11】
前記かさ高繊維が、約45のデニール数を有するポリエステルを含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項12】
前記複合体が、約200scfmを超える通気性を有する、請求項1に記載の複合体。
【請求項13】
請求項1に記載の複合体を含む流体濾過システム。

【図1】
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【公表番号】特表2008−508092(P2008−508092A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523718(P2007−523718)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/026451
【国際公開番号】WO2006/014932
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(507337876)ケイエクス テクノロジーズ エルエルシー (6)
【Fターム(参考)】