説明

通気性と滑り止め性能があり、VOC発生量の少ないタイルカーペット及びその製造方法

【課題】
近年では、シックハウス症候群に代表されるように、住宅建材から生じる有害物質による生活環境汚染問題が取り上げられ、室内空気環境ガイドラインによって規制されるようになってきている。カーペットにおいても施工時に使用する接着剤やカーペット自身から発生するとされるVOCをなくすことが課題になってきている。
【解決手段】
本発明では、タイルカーペット全体を通気性のある構造体とし、VOC発生の少ない材料で構成させ、さらにタイルカーペット裏面に通気性のある滑り止め用樹脂層を塗布することにより、VOCの発生量を低減し、しかも置き敷き施工した場合でも、床面やカーペット裏面を腐食したりカビが発生したりしないタイルカーペットを得ることができることを見出し、本発明に至ったものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フローリングやフリーアクセスフロア等の床面に接着剤を使用しないで直接施工するタイルカーペットでVOCの発生量の少ないタイルカーペットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイルカーペットは、カーペット表皮層の下側に目止めを施し、塩ビ樹脂層と、塩ビ樹脂層中にガラス繊維布等からなる補強層を積層して作られるのが一般的で、床面には接着剤や粘着剤を使用して固定される。また、一般家庭において、フローリング等の床面にタイルカーペットを施工する場合は、カーペットを一年に何度も敷きかえることから、接着剤は使用しないで施工(置き敷き施工)することが多い。しかしながら、この場合床面やカーペット裏面にカビが発生したり腐食したりして問題となっていた。
【0003】
また、近年では、シックハウス症候群に代表されるように、住宅建材から生じる有害物質による生活環境汚染問題が取り上げられ、ホルムアルデヒドや、トルエンやキシレンなどの芳香族環を有する難分解性のVOC(揮発性有機化合物)も、室内空気環境ガイドラインによって規制されるようになってきている。カーペットにおいても施工時に使用する接着剤やカーペット自身から発生するとされるVOCをなくすことが課題になってきている。
【0004】
特許文献1では、カーペットのコーティング材中に炭を微粉砕した炭パウダーを分散さして、ホルムアルデヒドなどのVOCの発生を抑えてその影響を低減するカーペットを開示しているが、VOCの発生の無いカーペットには到っていない。
【0005】
また、特許文献2では、カーペット地の裏面を加熱し、バックステッチ部を溶融させてから不織布層と接着一体化する製造方法を開示し、VOCの発生原因であるラテックスの使用をなくしたカーペットを提示しているが、パイル糸の抜糸強度やカーペットの硬さ等に問題があり、満足のいくものではない。
【特許文献1】特開2000−287819号公報
【特許文献2】特開2009−268529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来から広く使われているタイルカーペットは、合成繊維をパイル糸としスパンボンド基布にタフティングマシン(植毛機)によってパイルを植込んで、カーペット表皮層とし、この下側に目止めを施し、補強層と塩ビ樹脂層の裏打ちを施して熱処理し、所要の大きさに裁断されて製造される。
【0007】
パイル糸としてはナイロン製の糸が、スパンボンド基布としてはポリエステルスパンボンド基布が多く使われている。また、塩ビ樹脂層中には多くの可塑剤を混入していることから、VOCの発生は避けられないものとなっている。また、床面に施工する場合には、接着剤や粘着剤を使用するし、当然これらの接着剤や粘着剤から発生するVOCもあり、課題とされている。また、接着剤や粘着剤を使用しないで、置き敷き施工した場合には、床面やカーペット裏面にカビが発生したり腐食したりして問題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑み、タイルカーペット全体を通気性のある構造体とし、VOC発生の少ない材料で構成させ、さらにタイルカーペット裏面に通気性のある滑り止め用樹脂層を塗布することにより、VOCの発生量を低減し、しかも置き敷き施工した場合でも、床面やカーペット裏面を腐食したりカビが発生したりしないタイルカーペットを得ることができることを見出し、本発明に至ったものである。前記課題を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
[1]タイルカーペットにおいて、カーペット表皮層の下側を造膜しない通気性のある目止め層によって目止めを施し、前記目止め層の下側に半溶融状態の熱可塑性樹脂粉体同士が融着してできた小塊同士が部分的に融着して、カーペット表面側から裏面側まで連通する空隙を有する接着層を有し、前記接着層に含まれる補強層と、さらに前記接着層の下側にクッション性と通気性のある不織布層を積層し、前記不織布層の下側全体に滑り止め用樹脂層が凹凸状に塗布され凸状以外の滑り止め用樹脂層が造膜しないで通気性が確保されていることを特徴とするタイルカーペット。
【0010】
[2]前記目止め層として泡状にしたEVA系樹脂が用いられ、前記接着層の熱可塑性樹脂粉体としてポリオレフィン系樹脂が用いられ、前記補強層としてガラス繊維布、ポリエステル繊維布から選択される一層または複数の補強層が前記接着層中に含まれており、前記不織布層としてニードルパンチ不織布が用いられ、前記滑り止め用樹脂層としてアクリル系発泡樹脂が用いられていることを特徴とする前項1記載のタイルカーペット。
【0011】
[3]造膜しない通気性のある目止め層によって目止めを施したカーペット表皮層の目止め層側を上にして一定速度で搬送しつつ、前記目止め層面上に熱可塑性樹脂粉体を散布し、次いでこの粉体を半溶融状態まで加熱して接着層とし、その上側に補強層と、滑り止め用樹脂層が凹凸状に塗布され凸状以外の滑り止め用樹脂層が造膜しないで通気性が確保されている不織布層とを重ねあわせ、ロールで加圧し、前記熱可塑性樹脂粉体同士が半溶融状態にまで加熱されて融着してできた小塊同士が部分的に融着してカーペット表面側から裏面側まで連通する空隙を有する接着層を介して、カーペット表皮層と補強層と不織布層とを接着一体化することを特徴とするタイルカーペットの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明では、カーペット表皮層の下側を造膜しない通気性のある目止め層によって目止めを施しているので、パイル糸がしっかりと固定されると同時に通気性のあるカーペット表皮層が維持される。また、前記目止め層の下側に半溶融状態の熱可塑性樹脂粉体同士が融着してできた小塊同士が部分的に融着して、カーペット表面側から裏面側まで連通する空隙を有する接着層とするので、通気性の確保された接着層とすることができる。さらに補強層が前記接着層に含まれるので、タイルカーペットの寸法安定性を確保することができる。さらにまた前記接着層の下側にクッション性と通気性のある不織布層を積層するのでカーペット表皮層から不織布層までの通気性が確保される。前記不織布層の下側全体に滑り止め用樹脂層が凹凸状に塗布され凸状以外の滑り止め用樹脂層が造膜しないで通気性が確保されているのでタイルカーペット全体の通気性が確保でき、凸状に塗布された滑り止め用樹脂層が有効に作用して滑り止め効果を発揮して、タイルカーペットの使用時にずれることなく使用することができる。また、タイルカーペット全体の通気性が確保されるので、床面やカーペット裏面を腐食させたり、カビが発生することのないタイルカーペットとすることができる。
【0013】
第2の発明では、前記目止め層として泡状にしたEVA系樹脂が用いられ、前記接着層の熱可塑性樹脂粉体としてポリオレフィン系樹脂が用いられ、前記補強層としてガラス繊維布、ポリエステル繊維布から選択される一層または複数の補強層が前記接着層中に含まれており、前記不織布層としてニードルパンチ不織布が用いられ、前記滑り止め用樹脂層としてアクリル系発泡樹脂が用いられているので、VOCの発生量が低減されたタイルカーペットとすることができる。
【0014】
第3の発明では、造膜しない通気性のある目止め層によって目止めを施したカーペット表皮層の目止め層側を上にして一定速度で搬送しつつ、前記目止め層面上に熱可塑性樹脂粉体を散布し、次いでこの粉体を半溶融状態まで加熱して接着層とし、その上側に補強層と、滑り止め用樹脂層が凹凸状に塗布され凸状以外の滑り止め用樹脂層が造膜しないで通気性が確保されている不織布層とを重ねあわせ、ロールで加圧し、前記熱可塑性樹脂粉体同士が半溶融状態にまで加熱されて融着してできた小塊同士が部分的に融着してカーペット表面側から裏面側まで連通する空隙を有する接着層を介してカーペット表皮層と補強層と不織布層とを接着一体化するので、タイルカーペット全体の通気性が確保され、床面やカーペット裏面を腐食させたり、カビが発生することのないタイルカーペットを連続的に生産する製造方法とすることができる。また、凸状に塗布された滑り止め用樹脂層が有効に作用して滑り止め効果を発揮して、使用時にずれることなく使用することができるタイルカーペットの製造方法とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のタイルカーペットについて、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明のタイルカーペットの一実施形態を示す断面図である。同図においてタイルカーペット1はカーペット表皮層2と、目止め層3と、接着層4と、前記接着層4に含まれる補強層5と、クッション性と通気性のある不織布層6と、前記不織布層の下側全体に滑り止め用樹脂層7が積層した構造体となっている。また、前記カーペット表皮層2は、基布2−2にパイル糸2−1が植設されている。前記滑り止め用樹脂層7は、凹凸状に塗布され凸部7−1と凸部以外の滑り止め用樹脂層で造膜しないで通気性が確保されている凹部7−2となっている。
【0016】
カーペット表皮層2は、基布2−2にパイル糸2−1が植設されて構成される。基布としては特に限定されないが、ポリエステルスパンボンド基布が好ましく一般的である。また、パイル糸としても特に限定されないが、燃焼時に有害ガスの発生の少ないオレフィン系のものが好ましい。基布にパイルが植設されたカーペット表皮層は、造膜しない通気性のある目止め層3で固着される。
【0017】
目止め層3は、造膜しないように泡状にした樹脂組成物を塗布し乾燥するのが好ましい。樹脂としては、EVA系樹脂が、VOCの発生量が少なく、カーペット表皮層の通気性を確保しつつパイル糸を基布に固着するのに好ましい。
【0018】
接着層4は、熱可塑性樹脂粉体を散布し、次いでこの粉体を半溶融状態まで加熱して形成される。熱可塑性樹脂粉体としては、ポリオレフィン系樹脂を用いるのが好ましい。具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、APAO(アモルファスポリオレフィン)、等が挙げられる。この熱可塑性樹脂粉体の塗布量、即ち接着層4の目付としては、200〜700g/mに設定されるのが好ましい。200g/m未満では十分な接着力が得られなくなるので好ましくないし、700g/mを超えると十分な通気性が得られなくなり好ましくない。
【0019】
また前記熱可塑性樹脂粉体の平均粒径は、90〜1000μmであるのが好ましい。90μm未満では、粉体が舞い上がりやすく作業環境が悪化するので好ましくない。1000μmを超えると熱可塑性樹脂粉体を加熱したときに溶融しにくく十分な接着強度を得られなくなるので好ましくない。
【0020】
さらに、本発明のタイルカーペットにおいては、寸法を安定させるために補強層5として、ガラス繊維布またはポリエステル繊維布を、一層または複数層介在させることが推奨される。このガラス繊維布としては、目付30〜50g/m程度の不織布、ならびに目付25〜45g/m程度の織布および組布が好適である。補強層5は、接着層4に配置され樹脂を含浸し一体化する。
【0021】
本発明では、タイルカーペットの最下層部にクッション性と通気性のある不織布層6に滑り止め用樹脂層7が固着されたものを積層している。前記滑り止め用樹脂層は、アクリル系重合体を有するエマルジョンを発泡したアクリル系発泡樹脂を凹凸形状に塗布し乾燥することにより、滑り止め用樹脂層7を形成する。前記滑り止め用樹脂層の凸部は、滑り止め用樹脂層の表面に多数の微小窪みと、前記微小窪みの内に微小空隙を有し、真空吸着力を有する滑り止め用樹脂層が形成されている。また、前記滑り止め用樹脂層の凹部は、滑り止め用樹脂層が造膜しないで通気性が確保されている滑り止め用樹脂層となっている。そのため、本発明のタイルカーペットは、最上層のカーペット表皮層2から最下層部の滑り止め用樹脂層7が固着された不織布層6まで通気性が確保される。
【0022】
前記不織布層6としてはポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリオレフィン繊維等の合成繊維等または羊毛、木綿等の天然繊維等を単一または複数混合したものを挙げられるが、ポリエステル繊維が耐熱性、燃焼性、反り防止の面からも好ましい。厚みは1.0〜5.0mm、望ましくは2.0〜5.0mmであって、見かけ密度が0.05〜0.15g/cmさらに好ましくは0.08〜0.12g/cmである。厚みが1.0mmより薄ければ熱可塑性樹脂粉体即ち接着層4の保護やクッション性の役割を果たすことができず、厚みが5.0mmを超える場合では、施工時に不織布層内で剥離しやすく、接着強度の満足のいくものとはならない。
【0023】
不織布層としては、スパンボンド不織布、ケミカルボンド不織布、ニードルパンチ不織布等が挙げられるが、本発明においては、別工程で発泡樹脂層を塗布後乾燥して巻取られることから、曲げに対して皺が入りにくく、加熱時に熱収縮を起こし、逆反りの発生を防ぐニードルパンチ不織布が好適である。
【0024】
次に、図2は本発明のタイルカーペットの製造工程の一実施形態を示す概略図である。予め別工程で造膜しない通気性のある目止め層3によって目止めを施したカーペット表皮層2の目止め層側を上にして一定速度で搬送しつつ、前記目止め層3面上に熱可塑性樹脂粉体を散布し、次いでこの粉体を半溶融状態まで加熱して接着層4とし、その上側に補強層5としてガラス織布を積層し、予め別工程でクッション性と通気性のある不織布に滑り止め用樹脂層7を塗布し乾燥した不織布層7を重ねあわせ、ロールで加圧し、前記熱可塑性樹脂粉体同士が半溶融状態にまで加熱されて融着してできた小塊同士が部分的に融着してカーペット表面側から裏面側まで連通する空隙を有する接着層を介してカーペット表皮層と補強層と不織布層とを接着一体化した後、冷却し指定寸法に裁断してタイルカーペットとするものである。
【実施例】
【0025】
次ぎに実施例により、本発明を具体的に説明する。なお実施例における特性値の測定は次のように行った。
(1)滑り抵抗試験
ズレ防止性、吸着強度の測定として、滑り抵抗試験を行ない測定した。20×20cmの試験サンプルに8kgの垂直荷重を均一にかけ、試験サンプルを水平方向に引っ張り、その最大静止摩擦力を引っ張り試験機で測定し150N以上を合格とした。
(2)寸法安定性
JIS L4406の常態時の測定を行ない、裁断寸法と比較し縦方向、横方向ともに0.1%以下を合格とした。
(3)TVOC
JIS A 1901(20L小型チャンバー法)にて測定。400μg/m未満を合格とした。
【0026】
<実施例1>
ポリエステルスパンボント基布に、3060デシテックス288fのポリエステル糸を植設し、パイル目付680g/mのループパイルのカーペット表皮を作成した。次にこの表皮層の裏面側に泡状にしたEVA系樹脂組成物を180g/m(乾燥後)で塗工して目止めを施したカーペット表皮層を作成した。次に、このカーペット表皮層2の目止め層側を上にして一定速度で搬送し、前記目止め層3面上に熱可塑性樹脂粉体(平均粒径200μmのポリエチレン樹脂粉体)を400g/m散布し過熱した。一部では複数の粒子がほぼ融着しあい、他の部分では隣の粒子と融着が始まった状態として、加熱炉から出し、この上にガラス織布(目付40g/m)と、予め別工程でアクリル系滑り止め用樹脂を畝状に塗布し(塗布量300g/m、凸部幅4mm、高さ1mm、凹部幅11mm)乾燥した不織布層7(ポリエステル製ニードルパンチ、目付500g/m)を重ねあわせ、ロールで加圧し、前記融着した接着層を介してカーペット表皮層と補強層と不織布層とを接着一体化した。
【0027】
このようにして得られたタイルカーペットの特性値を測定したところ、滑り抵抗試験では200N、寸法安定性は縦方向、横方向共に0.04%で合格であった。TVOCの測定では、30μg/mで合格であった。
【0028】
<実施例2>
実施例1において、ガラス織布(目付40g/m)に替えてガラス織布(目付50g/m)とした以外は実施例1と同様にしてタイルカーペットを作成した。この時の滑り抵抗試験では200N、寸法安定性は縦方向、横方向共に0.06%で合格であった。TVOCの測定も、30μg/mで合格であった。
【0029】
<比較例1>
実施例1において、熱可塑性樹脂粉体に替えて、Tダイ押出機から押出したポリエチレン樹脂フィルム(塗布量400g/m)とした以外は、実施例1と同様にしてタイルカーペットを作成した。滑り抵抗試験、寸法安定性、TVOCの測定では、合格であったが、一ヶ月間の使用で、カーペット裏面にカビの発生があり不合格であった。
【0030】
<比較例2>
実施例1において、補強層のガラス織布を挿入しないとした以外は実施例1と同様にしてタイルカーペットを作成した。滑り抵抗試験、TVOCの測定では、合格であったが、寸法安定性において縦方向、横方向共に0.11%で不合格となった。
【0031】
<比較例3>
実施例1において、アクリル系滑り止め用樹脂を塗布しないでタイルカーペットを作成したところ、滑り抵抗試験では20Nとなり、置き敷き施工のできないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0032】
タイルカーペットは、重歩行用としてオフィス等の床材に使用されることが多いが、本発明のタイルカーペットは、VOCの発生量が少なく、カーペットのかもし出す豪華な雰囲気をもつ中歩行用の床材として、一般家庭用はもちろん、ホテル、オフィス等にひろく採用される可能性は高い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のタイルカーペット概略断面図
【図2】本発明の製造工程概略図
【符号の説明】
【0034】
1 タイルカーペット
2 カーペット表皮層
3 目止め層
4 接着層
5 補強層
6 不織布層
7 滑り止め樹脂層
8 熱可塑性樹脂粉体
9 加熱炉
2−1 パイル糸
2−2 基布
7−1 凸部
7−2 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイルカーペットにおいて、カーペット表皮層の下側を造膜しない通気性のある目止め層によって目止めを施し、前記目止め層の下側に半溶融状態の熱可塑性樹脂粉体同士が融着してできた小塊同士が部分的に融着して、カーペット表面側から裏面側まで連通する空隙を有する接着層を有し、前記接着層に含まれる補強層と、さらに前記接着層の下側にクッション性と通気性のある不織布層を積層し、前記不織布層の下側全体に滑り止め用樹脂層が凹凸状に塗布され凸状以外の滑り止め用樹脂層が造膜しないで通気性が確保されていることを特徴とするタイルカーペット。
【請求項2】
前記目止め層として泡状にしたEVA系樹脂が用いられ、前記接着層の熱可塑性樹脂粉体としてポリオレフィン系樹脂が用いられ、前記補強層としてガラス繊維布、ポリエステル繊維布から選択される一層または複数の補強層が前記接着層中に含まれており、前記不織布層としてニードルパンチ不織布が用いられ、前記滑り止め用樹脂層としてアクリル系発泡樹脂が用いられていることを特徴とする請求項1記載のタイルカーペット。
【請求項3】
造膜しない通気性のある目止め層によって目止めを施したカーペット表皮層の目止め層側を上にして一定速度で搬送しつつ、前記目止め層面上に熱可塑性樹脂粉体を散布し、次いでこの粉体を半溶融状態まで加熱して接着層とし、その上側に補強層と、滑り止め用樹脂層が凹凸状に塗布され凸状以外の滑り止め用樹脂層が造膜しないで通気性が確保されている不織布層とを重ねあわせ、ロールで加圧し、前記熱可塑性樹脂粉体同士が半溶融状態にまで加熱されて融着してできた小塊同士が部分的に融着してカーペット表面側から裏面側まで連通する空隙を有する接着層を介してカーペット表皮層と補強層と不織布層とを接着一体化することを特徴とするタイルカーペットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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