説明

通気構造を適用した二重窓

【解決手段】
本発明は、室外窓と室内窓で構成された二重窓構造に関し、室外窓の窓枠に外部の空気が循環できるように通気装置や通気口を設け、中間層の温度と湿度を自然に調節することによって結露が発生するのを防止し、高層建物の外壁に設けられる二重窓の場合、室内窓と室外窓との間の中間層を気圧緩衝空間として用い、気圧差による問題を防止する二重窓を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二重窓に関し、特に室外窓を開放しなくても室内窓と室外窓との間に形成された空間部に外部の空気を自然に流入させることができる構造を有する二重窓に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、アパート及び住商複合建物には室内窓と室外窓からなる二重窓又はカーテンウォールが設けられている。特に、二重窓は、断熱性と遮音性を確保することができる長所があるが、バルコニ拡張が合法化され広い室内空間を確保するために、一般消費者は室外窓と室内窓との間隔を減らした二重窓や二重カーテンウォールを好んでいる。
【0003】
図1は、一般的な二重窓の構造を概略的に示した図面であって、従来の二重窓は、壁体(図示せず)に固定された窓フレーム10、窓フレーム10に設けられた窓枠フレーム20及び30、そして窓枠フレーム20及び30にそれぞれ設けられた室内窓40及び室外窓50を備えており、室内窓40と室外窓50との間には、所定の空間部60が形成される。
【0004】
室内窓40と室外窓50との間の空間部60が狭い二重窓は、優れた断熱性能、遮音性能を維持しながらも広い室内空間を確保することができる長所があるが、冬季に室外温度と室内温度の顕著な差によって室外窓50の内面(室内側対応面)に多量の結露水(図1で70で表示)が発生する。
【0005】
この結露水は、室内窓40と窓枠フレーム20との間の隙間を介して室内に流入することがあり、室内に流入した結露水は、カビ、シミ、掃除の問題、結氷などの多様な問題を引き起こす。また、窓に発生した結露水は、室内からの外部視野の確保を妨害する。
【0006】
特に、断熱性能に優れた二重窓では、室内窓40と室外窓50との間の空間部60で発生するこのような問題を解決するために、室内窓40又は室外窓50を随時開けて換気をしなければならない短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記のような問題を解決するためのもので、本発明の目的は、室外窓又は室内窓を開放していない状態でも室内窓と室外窓との間の空間部に外部の空気を自然に流入させ、結露現象を予防することができる通気口を有する二重窓を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明の一形態によれば、多数の垂直フレーム及び水平窓フレームと、前記水平窓フレームと垂直窓フレームによって定義された各領域に開閉可能に設けられ、その間に空間部が形成されるように離隔配置された室外窓及び室内窓と、を備える二重窓が提供される。
【0009】
このとき、前記水平窓フレームには通気手段が形成されており、前記通気手段を介して外部の空気が室内窓と室外窓との間の空間部に流入することができることが望ましい。
【0010】
ここで、前記通気手段は、室外窓と室内窓との間の空間に対応する水平窓フレームの一面に形成された貫通ホールと、外部の空気に対応する水平窓フレームの一面に形成された開口と、前記開口と貫通ホールとを連結する流路と、を備えることが望ましい。
【0011】
本発明の一形態に係る二重窓で前記垂直窓フレームは、両外側垂直窓フレーム及び内側垂直窓フレームに区分され、前記内側垂直窓フレームには換気口が形成されることが望ましい。
【0012】
このとき、前記換気口は内側垂直窓フレームの上端部及び下端部に形成され、前記換気口はいずれか1つの領域の室内窓と室外窓との間の空間部と、これに隣接したいずれか1つの領域の室内窓と室外窓との間の空間部とを連結することが望ましい。
【0013】
このとき、前記いずれか1つの内側垂直窓フレームには上端部に換気口が形成され、これに隣接する内側垂直窓フレームには下端部に換気口が形成されることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上で説明した通り、本発明に係る二重窓は、水平窓フレームに外部の空気が室内窓と室外窓との間の空間部に循環できるように通気構造や通気口を設け、前記空間部の温度と湿度を自然に調節することによって結露が生じるのを防止することができ、垂直窓フレームに水平交差換気口を形成してそれぞれの領域に開閉窓を設けなくてもよい長所がある。また、前記空間部を気圧緩衝空間として用い、気圧差によって生じる問題を防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の二重窓の概念図である。
【図2】本発明の一実施例に係る二重窓の概念図である。
【図3】本発明の一実施例に係る二重窓を構成する水平窓フレームを示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例に係る二重窓を示す一部切開斜視図である。
【図5】図4に対応する図面であって、図4に示された二重窓の底面斜視図である。
【図6】本発明の他の実施例に係る二重窓の多様な適用例を示す図面である。
【図7】本発明の他の実施例に係る二重窓の多様な適用例を示す図面である。
【図8】本発明の他の実施例に係る二重窓の多様な適用例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照して本発明の好適な実施例に係る二重窓を具体的に説明する。
【0017】
図2は、本発明の一実施例に係る二重窓の構造を概略的に示した図面であって、本発明の一実施例に係る二重窓は、壁体(図示せず)に固定された窓フレーム110、窓フレーム110に設けられた窓枠フレーム120及び130、そして窓枠フレーム120及び130にそれぞれ設けられた室内窓140及び室外窓150を備える。
【0018】
ここで、前記窓フレーム110は、上部及び下部水平窓フレーム111及び112、そして上部水平窓フレーム111と下部水平窓フレーム112の両終端にそれぞれ固定された2つの垂直窓フレーム(図示せず)で構成される。
【0019】
一方、室内窓140と室外窓150との間に形成された空間部160は、閉じた状態の室内窓140と室外窓150によって気密状態が維持される。
【0020】
本発明の一実施例に係る二重窓は、室外窓150を支持する窓フレーム110に外部の空気が室内窓140と室外窓150との間の空間部160に流入することができる通気手段100を備える。
【0021】
この通気手段100を介して室内窓140と室外窓150との間に形成された空間部160に流入した外部の空気は、対流現象によって前記空間部160内で循環し、従って、外側又は室内窓には空間部160と外部の温度差による結露現象が発生しない。
【0022】
このような機能を行う通気手段100の具体的な構成及び機能を説明する。
【0023】
図3は本発明の一実施例に係る二重窓を構成する通気手段が形成された水平窓フレームの断面図であり、図4及び図5は本発明の一実施例に係る二重窓を構成する通気手段が形成された水平窓フレームの部分断面斜視図であって、図4は前記で説明した状態を、図5は下記で説明する状態をそれぞれ示している。
【0024】
一方、図3、図4及び図5に表示された矢印は、通気手段100を介して外部から室外窓と室内窓との間の空間部に流入する空気の流れを示す。
【0025】
本発明の一実施例に係る二重窓を構成する通気手段100は、水平窓フレーム、例えば下部水平窓フレーム112に形成される。具体的には、通気手段100は、室外窓150と室内窓160との間の空間に対応する水平窓フレーム102の一面に形成された貫通ホール112−1、外部と対応する水平窓フレーム102の一面に形成された開口112−2及び前記開口と貫通ホールを連結する流路112−3を備えることができる。従って、前記空間部160は、貫通ホール112−1、流路112−3及び開口112−2を介して外部と連通される。
【0026】
一方、図3、図4及び図5では、貫通ホール112−1が一定の長さを有するスリット形状からなっていることを示しているが、これに制限されはしない。
【0027】
このように形成された貫通ホール112−1は、室外窓150と室内窓140との間の空間160に対応し、従って、外部の空気は通気手段100を構成する流路112−3及び貫通ホール112−1を介して空間部160内に流入(矢印で表示)する。
【0028】
前記のような通気手段100を介して外部から流入した外部の空気によって空間部160内の温度と湿度が自然に調節され、従って、室内窓又は室外窓に結露が発生するのを防止することができる。
【0029】
一方、高層建物の外壁に設けられた二重窓又はカーテンウォールに本発明に用いられる通気手段を設けることにより、室外窓と室内窓との間の空間部は気圧緩衝空間の機能を行うことができ、従って、外部と室内との間の気圧差で発生し得る問題を予防することができる長所がある。
【0030】
以下、通気手段を介して流入した外部空気の流れの経路をより詳細に説明する。
【0031】
図5で、通気手段100を構成する流路112−3は、窓フレーム110の下部水平窓フレーム112の内部に設けられたガスケット112−4の上部に形成され、貫通ホール112−1は、空間部160に対応する窓フレーム110の下部水平窓フレーム112に形成される。
【0032】
一方、流路112−3の一終端は下部水平窓フレーム112の一面に形成された開口112−2と連通され、従って、流路112−3は外部(大気)と連通される。
【0033】
窓フレーム110の下部水平窓フレーム112に形成された開口112−2を介して流入した外部の空気は、下部水平窓フレーム112内の流路112−3及び水平窓フレーム112に形成された貫通ホール112−1を介して室外窓150と室内窓140との間の空間部160に流入する。
【0034】
このような構造を有する通気手段100を備えた二重窓では、室外窓150を閉じた状態でも外部の空気が室外窓150と室内窓140との間の空間部160に流入することができる。従って、ユーザが室内窓140と室外窓150を開かない場合にも、前記通気手段100を介して室内窓140と室外窓150との間に形成された空間部160に流入することができ、これにより空間部160と外部の温度差による結露現象は発生しない。
【0035】
一方、前記のような機能を行う通気手段100は、窓の大きさに応じてその形成される数、貫通ホールの形状及び数などを異にすることができるのはもちろんである。
【0036】
ここまでは窓フレームに単一の窓枠フレームが設けられた二重窓を例に挙げて説明したが、本発明はこれに制限されず、例えばカーテンウォールのように多数の窓枠フレームが設けられた窓フレームにも適用できる。
【0037】
図6〜図8には、単一の窓フレームに多数の窓枠フレームが設けられた二重窓(又はカーテンウォール)を示している。
【0038】
窓フレームは、上部及び下部水平窓フレーム、そして上部及び下部水平フレームに固定された多数の垂直窓フレームからなり、このような水平及び垂直窓フレームにより、窓フレームは窓枠フレームがそれぞれ装着される多数の領域に区画される。このように、上部及び下部水平窓フレーム及び2つの垂直窓フレームによって形成された各領域には、室外窓と内層がそれぞれ装着される。
【0039】
このような構造を有する二重窓では、各領域に対応する下部水平窓フレームに図2〜図5を通じて説明した通気手段100がそれぞれ形成される。
【0040】
各通気手段は各領域に装着された室内窓と室外窓との間の空間部に対応し、この通気手段の構成及びその機能は図2〜図5を通じて説明したのと同一であり、従って、これに関する重複説明は省略する。
【0041】
一方、窓フレームの各領域ごとに通気手段を必ずしも設ける必要はない。例えば、隣接する2つの領域を区分する垂直窓フレームに、両領域の空間部(室外窓と室内窓との間の空間部)を連通させる換気口(図4の500)を形成し、2つの領域のいずれか1つの領域の下部水平窓フレームにのみ通気手段を形成することにより、窓フレームの全ての領域で図2〜図5を通じて説明した二重窓で得ることができる効果を同一に得ることができる。
【0042】
図6〜図8は、一部領域の下部水平窓フレームにのみ通気手段が構成され、垂直窓フレームに水平換気口が形成された二重窓での空気の流れを示している。空気の流れは、それぞれの適用例で水平交差換気口を通過する矢印方向に進む。ここで、図6〜図8は、室内ではなく室外で窓フレームの室外窓を観察した状態を示しており、前記室外窓の設置時に室内窓は1つの開閉窓に設けることもでき、2つの領域に分割することもできる。
【0043】
図6〜図8に示したそれぞれの適用例を説明すると、水平交差換気口を垂直窓フレームに形成させ、垂直窓フレームにより分割されるそれぞれの領域には、上部及び下部開閉窓を設けなくてもよいことが分かり、これは既存の垂直窓フレームの上部及び下部に必ず開閉窓を設けなければならない窓構造に比べて設置費用を節減できる。
【0044】
図6は、ある垂直窓フレーム220の上部及び下部に換気口500を形成し、これに隣接した垂直窓フレーム230には換気口を形成していない構造を示している。ここで、最外側の垂直窓フレーム210又は250は除き、換気口500が形成された垂直窓フレーム220又は240によって分割された領域のいずれか1つの領域の下部水平窓フレーム292には、図2〜図5を通じて説明した通気手段100が形成されているのはもちろんである。
【0045】
このような構造の二重窓では、隣接する2つの領域の2つの空間部(室外窓と室内窓との間の空間)には、単一の通気手段を介して外部から流入した空気が循環するようになる。
【0046】
一方、下部水平窓フレーム292に通気手段を構成しない場合、2つの領域のいずれか1つの領域の室外窓にのみ開閉窓700を形成すれば、2つの領域の各空間部への外部空気の流入がなされる。
【0047】
図7は、窓フレーム300の最外側垂直窓フレーム310、350を除いた全ての垂直窓フレーム320、330及び340の上部及び下部に換気口を設けた構造を示している。
【0048】
このような構造では、換気口を介して全ての領域の空間部(室外窓と室内窓との間の空間)が互いに連通されており、従って、少なくともいずれか1つの領域の下部水平窓フレーム392に形成された通気手段を介して流入した外部の空気が全ての領域の空間部内で循環できるようになる。
【0049】
一方、下部水平窓フレーム392に通気手段を構成しない場合、いずれか1つの領域の室外窓にのみ開閉窓を形成すれば、全ての領域の各空間への外部空気の流入がなされる。
【0050】
図8は、いずれか1つの垂直窓フレーム420又は440には下部に換気口を形成し、これに隣接した垂直窓フレーム430には上部に換気口を形成した構造400を示し、このような構造でも換気口を介して全ての領域の空間部(室外窓と室内窓との間の空間)が互いに連通され、従って、少なくともいずれか1つの領域の下部水平窓フレーム492に形成された通気手段を介して流入した外部の空気が全ての領域の空間部内で循環できる。
【0051】
一方、下部水平窓フレーム492に通気手段を構成しない場合、いずれか1つの領域の室外窓にのみ開閉窓700を形成すれば、全ての領域の各空間部への外部空気の流入がなされる。
【0052】
前記で説明した本発明の望ましい実施例は例示のために開示されたものであって、本発明に関する通常の知識を有する当業者であれば、本発明の思想と範囲内で多様な修正、変更、付加が可能であり、このような修正、変更及び付加は特許請求の範囲に属するものと見なければならない。
【符号の説明】
【0053】
10、110、300:窓フレーム、20、30、120、130:窓枠フレーム、40:室内窓、50:室外窓、60、160:空間部、70:結露水、100:通気手段、102、111、112、292、392、492:水平窓フレーム、112−1:貫通ホール、112−2:開口、112−3:流路、112−4:ガスケット、140:室内窓、150:室外窓、220、230、240、250、310、320、330、340、350、420、430、440:垂直窓フレーム、500:換気口、700:開閉窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の垂直窓フレーム及び水平窓フレームと、
前記水平窓フレームと垂直窓フレームによって定義された各領域に設けられ、その間に空間部が形成されるように離隔された多数の室外窓及び室内窓と、
を備え、
前記水平窓フレームには通気手段が形成されており、前記通気手段を介して外部の空気が室内窓と室外窓との間の空間部に流入することができることを特徴とする二重窓。
【請求項2】
前記通気手段は、
室外窓と室内窓との間の空間に対応する水平窓フレームの一面に形成された貫通ホールと、外部と対応する水平窓フレームの一面に形成された開口と、前記開口と貫通ホールを連結する流路と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の二重窓。
【請求項3】
前記垂直窓フレームは両外側垂直窓フレーム及び多数の内側垂直窓フレームに区分され、
前記内側垂直窓フレームには換気口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の二重窓。
【請求項4】
前記換気口は、内側垂直窓フレームの上端部及び下端部に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の二重窓。
【請求項5】
前記換気口は、いずれか1つの領域の室内窓と室外窓との間の空間部と、これに隣接したいずれか1つの領域の室内窓と室外窓との間の空間部とを連結することを特徴とする請求項3に記載の二重窓。
【請求項6】
前記いずれか1つの内側垂直窓フレームには上端部に換気口が形成され、これに隣接する内側垂直窓フレームには下端部に換気口が形成されることを特徴とする請求項3に記載の二重窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−508124(P2011−508124A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540584(P2010−540584)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【国際出願番号】PCT/KR2008/007718
【国際公開番号】WO2009/084879
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(509286787)エルジー・ハウシス・リミテッド (49)
【氏名又は名称原語表記】LG HAUSYS,LTD.
【住所又は居所原語表記】20,Yoido−dong,youngdungpo−gu,Seoul150−721,Republic of Korea
【Fターム(参考)】