説明

通水機能回復方法及び装置

【課題】排水性舗装の目詰まりを効率良く除去させ、この排水性舗装の通水機能を回復させるのに好適な通水機能回復方法及び装置を提供する。
【解決手段】排水性舗装Gの表面より50〜200mm離れた位置にノズル18を設け、ノズルより液体Dを噴出させて、液体を直径1〜100μmの液滴サイズで、かつ、10〜500m/秒の速度で排水性舗装に衝突させることにより排水性舗装の洗浄を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通水機能回復方法及び装置に係り、特に、排水性舗装の目詰まりを解消させることにより通水機能を回復させるのに好適な通水機能回復方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年において、排水性舗装が広く普及するようになってきた。この排水性舗装は、路面上に水が溜まらないために、車道において高速走行安全性が維持できたり、歩道等において跳ねが防止できたり、従来の舗装より優れた点が多い。また、透水性舗装となっているものが多く、雨水等を路床に浸透させることにより、地下水涵養効果も得られている。
【0003】
ところが、その反面、この排水性舗装は、従来の一般的なアスファルト舗装よりも大きな空隙が連続して形成され、これにより通水経路が形成される構造となっているため、この空隙に土砂や塵埃、ゴミ等の異物が詰まり易く、そのまま放置すると通水機能が低下することとなる。したがって、この通水機能の低下を防ぐべく、定期的な洗浄作業が必須である。
【0004】
この洗浄方法及び装置については、従来より各種の提案がなされており(たとえば、特許文献1参照。)、所定の効果が得られている。この特許文献1の提案は、洗浄用のノズルとしてオリフィスタイプノズルとファンタイプノズルを併用し、ノズルからの吐出圧力を20〜70MPaの範囲に設定し、かつ、ノズルと舗装面との距離を所定の範囲に設定するものである。
【0005】
その他、10MPa前後の高圧水を舗装面に噴射して洗浄を行う方式や、洗浄剤を併用する方式等が提案されている。
【特許文献1】特許第3295389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、現在までに提案されたり実用化されているこの種の装置は、いずれも満足のいく性能が得られているとは言い難い。すなわち、10MPa前後に加圧した洗浄水をノズルから噴出させて、ノズル出口近傍の連続流領域(霧状になる前の領域)を使用する洗浄方式では、洗浄水が連続している状態となり、洗浄効果が少ない上に使用水量が多く不経済でもある。
【0007】
一方、20〜100MPa前後に加圧した洗浄水をノズルから噴出させて、ノズル出口近傍の液滴流領域(洗浄水が連続しておらず、液滴状になる領域)を使用する洗浄方式では、ノズルの特性上、ノズルから舗装面(被洗浄面)までの距離を200mm以上にする必要があり、高い洗浄効果が得られない。また、この洗浄方式で使用されるノズルも被洗浄面に衝突する際の平面パターンが円形であり、使用上でも効率が悪かった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、排水性舗装の目詰まりを効率良く除去させ、この排水性舗装の通水機能を回復させるのに好適な通水機能回復方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、請求項1に係る本発明は、排水性舗装の表面より50〜200mm離れた位置にノズルを設け、該ノズルより液体を噴出させて、該液体を直径1〜100μmの液滴サイズで、かつ、10〜500m/秒の速度で前記排水性舗装に衝突させることにより該排水性舗装の洗浄を行うことを特徴とする排水性舗装の通水機能回復方法を提供する。
【0010】
請求項1に係る本発明によれば、直径1〜100μmのサイズで、かつ10〜500m/秒の速度で液滴を排水性舗装に衝突させる。このような条件で液体を噴出させることにより、従来不可能であった、近距離、具体的には、排水性舗装の表面より50〜200mm離れた位置にノズルを設けることができ、また、洗浄効果を格段に向上させることができる。
【0011】
すなわち、液滴のサイズを、排水性舗装の空壁サイズより小さい直径1〜100μmとすれば、液滴が排水性舗装の内部まで浸透し、洗浄効果が格段に向上する。また、このサイズの液滴が10〜500m/秒の速度で衝突しても排水性舗装の受けるダメージは大きくなく、使用上問題がない。
【0012】
請求項2に係る本発明は、前記ノズルより噴出させる液体を10〜30MPaに加圧することを特徴とする。請求項2に係る本発明によれば、このような条件で液体を加圧することにより、上記の液滴サイズ及び液滴速度が得られやすい。
【0013】
請求項3に係る本発明は、前記ノズルより噴出させる液体の流量を100〜150L/分とすることを特徴とする。請求項3に係る本発明によれば、洗浄効果を高レベルに維持した状態で、液体の流量を従来より大幅に削減できる。
【0014】
請求項4に係る本発明は、前記ノズルより噴出させる液体が前記排水性舗装に衝突する際の平面パターンが偏平形状であり、該偏平形状の縦横比が1対50〜1対10であることを特徴とする。請求項4に係る本発明によれば、噴出させる液体の平面パターンを所定の偏平形状とするので、少ない数のノズルで広い幅の洗浄範囲を確保することが可能になる。
【0015】
請求項5に係る本発明は、前記洗浄後の液体を回収することを特徴とする。請求項5に係る本発明によれば、洗浄後の液体を回収して再利用することができるので、経済性が向上する。
【0016】
請求項6に係る本発明は、排水性舗装の上を移動可能な台車と、前記台車に支持され、前記排水性舗装の表面より50〜200mm離れた位置に設けられる1以上のノズルと、前記台車に搭載され、液体を収納できるタンクと、前記台車に搭載され、前記液体を加圧しながら前記ノズルに供給するポンプと、を備える排水性舗装の通水機能回復装置であって、前記ノズルより噴出される液体が、直径1〜100μmの液滴サイズとなり、かつ、10〜500m/秒の速度で前記排水性舗装に衝突するようになっていることを特徴とする排水性舗装の通水機能回復装置を提供する。
【0017】
請求項6に係る本発明によれば、直径1〜100μmのサイズで、かつ10〜500m/秒の速度で液滴を排水性舗装に衝突させるので、従来不可能であった、近距離、具体的には、排水性舗装の表面より50〜200mm離れた位置にノズルを設けることができ、また、洗浄効果を格段に向上させることができる。
【0018】
請求項7に係る本発明は、前記台車の移動方向と略直角をなす水平方向に複数個の前記ノズルが配列されていることを特徴とする。請求項7に係る本発明によれば、複数個のノズルが配列されているので、広い幅の洗浄範囲を確保することが可能になる。
【0019】
請求項8に係る本発明は、前記台車に、前記排水性舗装に衝突した液体の回収が可能な吸引装置が設けられていることを特徴とする。請求項8に係る本発明によれば、液体の回収が可能な吸引装置が設けられているので、洗浄後の液体を回収して再利用することができ、経済性が向上する。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、直径1〜100μmのサイズで、かつ10〜500m/秒の速度で液滴を排水性舗装に衝突させるので、従来不可能であった、近距離、具体的には、排水性舗装の表面より50〜200mm離れた位置にノズルを設けることができ、また、洗浄効果を格段に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面に従って、本発明に係る通水機能回復方法及び装置の好ましい実施の形態について詳説する。先ず、第1の実施の形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る通水機能回復方法及び装置が適用される路面洗浄車両10の構造図であり、(a)は側面図であり、(b)は背面図である。この路面洗浄車両10は、排水性舗装の上を移動可能な台車である大型トラック12の荷台12A上に、タンク14、ポンプ16、複数のノズル18、18…等が搭載されている通水機能回復装置である。
【0023】
タンク14は、洗浄用の液体を収納できるもので、たとえば容量が2立方メートルのものが使用できる。タンク14は、荷台12A上に直接載置される。
【0024】
ポンプ16は、洗浄用の液体を加圧しながらノズル18、18…に供給するもので、洗浄用の液体を10〜30MPaに加圧できることが好ましい。このようなポンプ16としては、高圧プランジャポンプ、アブレイシブウオータージェット加工に使用されている高圧ポンプ、超高圧ポンプ等、公知の各種ポンプが採用できる。ポンプ16は、大型トラック12の荷台12Aの後部に固定配置される。
【0025】
ノズル18、18…は、大型トラック12の移動方向、すなわち図1(a)の左右方向と略直角をなす水平方向、すなわち図1(b)の左右方向に配列されている。これらのノズル18、18…は、スプレーバー20に固定され、このスプレーバー20は、ステー22、22を介して荷台12Aの後端部分に支持されている。そして、ステー22、22の長さを調節することにより、ノズル18、18…の先端と排水性舗装の表面Gとの距離が50〜200mmの範囲で調整可能となっている。
【0026】
なお、ポンプ16よりノズル18、18…への洗浄用の液体の供給は、洗浄液配管24により行われる。
【0027】
その他、洗浄機能とは直接の関係はないが、荷台12Aの後端部分にはテールランプユニット26が設けられている。このテールランプユニット26は、路面洗浄車両10が洗浄作業をしている際に、その旨を表示するためのものであり、低速での走行中に、他車両による追突を防止する等の効果を期して設けられたものである。
【0028】
次に、ノズル18の構成について説明する。ノズル18は、既述したようにスプレーバー20により支持されている。図2及び図3は、このノズル18を説明するもので、図2はノズル18の断面図であり、図3はノズル18の下面図である。ノズル18は、吐出口32を有するノズルチップ34と、このノズルチップ34が内挿されているノズルケース36とから構成されている。吐出口32は、図3に示されるように縦長で、中央部が前方(図2中下側)に向けて拡開した楕円状に形成されている。ノズル18の種類は、後述する噴射パターンにより、各種の仕様のものが採用できる。
【0029】
以上で説明したポンプ16とノズル18、18…との組み合わせにより、ノズル18より噴出される液体が、直径1〜100μmの液滴サイズとなり、かつ、10〜500m/秒の速度で排水性舗装Gに衝突するように設定可能となっている。
【0030】
図4は、ポンプ16による加圧を10MPaとし、ノズル18の先端と測定箇所との距離を100mmとした場合の、噴出液滴の面積相当径(Area Equivalent Diameter)の分布を示すグラフである。図4において、横軸は面積相当径(単位:μm)であり、縦軸は度数(N)を示す。図4の条件において、体積平均粒子径は、34.52μmであり、平均粒子速度は、46.53m/秒であった。
【0031】
この測定は、SDPA(Shadow Doppler Particle Analizer)によって行った。SDPAとは、光束中を粒子が通過するときの影に着目し、従来のLDV(Laser Doppler Velocimeter )とを組み合わせることにより、粒子の形状と速度を同時に、しかもin situ で計測する計測器であり、たとえば、カノマックス技術研究所より販売されているものが使用できる。
【0032】
図5は、ポンプ16による加圧条件をパラメータとして5〜20MPaまで4段階に変化させ、ノズル18の先端と測定箇所との距離と粒子速度との関係を測定した結果をまとめたグラフである。
【0033】
図6は、同じく、ポンプ16による加圧条件をパラメータとして5〜20MPaまで4段階に変化させ、ノズル18の先端と測定箇所との距離と体積粒子径との関係を測定した結果をまとめたグラフである。
【0034】
図5及び図6の結果より、上記の条件において、ノズル18より噴出される液体が、直径1〜100μmの液滴サイズとなり、かつ、10〜500m/秒の速度で排水性舗装Gに衝突するようになっていることが解る。
【0035】
このノズル18より噴出される液体が排水性舗装に衝突する際の平面パターンは偏平形状であり、縦横のサイズは、それぞれ5mm、160mmである。したがって、この偏平形状の縦横比は、1対32である。この縦横比は、1対50〜1対10の範囲が好ましい。
【0036】
図7は、このノズル18より噴出される液体の偏平長手方向のエネルギー分布を算出した結果を示すグラフである。横軸は、測定位置であり、縦軸は運動エネルギーである。この運動エネルギーEは、液滴の質量mと液滴の粒子速度vより、E=Σ(mv2 /2)の式より算出した値である。
【0037】
図7のグラフより解るように、液体の偏平長手方向のエネルギー分布は、中央部と両端部とで差異はあるものの、洗浄効果が大幅に異なるレベルではないことが見て取れる。
【0038】
次に、図1に示される路面洗浄車両10の作用について説明する。対象となる排水性舗装Gの上を所定速度にて路面洗浄車両10を走行させる。同時に、ポンプ16により洗浄用の液体を10〜30MPaの範囲の圧力で加圧しながら、排水性舗装の表面より50〜200mm離れた位置に支持されたノズル18、18…に供給し、ノズル18、18…より、排水性舗装の空壁サイズより小さい直径1〜100μmのサイズで、かつ10〜500m/秒の速度になった液滴Dを排水性舗装Gに衝突させる。
【0039】
これにより、液滴Dが排水性舗装Gの内部まで浸透し、格段に向上した洗浄効果が得られる。また、このサイズの液滴Dが10〜500m/秒の速度で衝突しても排水性舗装Gの受けるダメージは大きくなく、使用上問題がない。
【0040】
次に、本発明に係る通水機能回復方法及び装置の第2の実施の形態について説明する。なお、図1に示される第1の実施形態と同一、類似の部材については、同様の符号を附し、その説明を省略する。本実施形態においては、排水性舗装の洗浄のみならず、洗浄後の液体の回収をも行う。
【0041】
図8は、本発明に係る通水機能回復方法及び装置が適用される路面洗浄車両100の構造図であり、(a)は側面図であり、(b)は背面図であり、(c)は(a)の破線円A内の部分拡大図である。
【0042】
この路面洗浄車両100は、排水性舗装の上を移動可能な台車である大型トラック12の荷台12A上に、前方より、吸引装置42、洗浄液用のタンク14、ポンプ16、汚濁液用のタンク40、複数のノズル18、18…等が搭載されている通水機能回復装置である。
【0043】
汚濁液用のタンク40は、洗浄後の回収した液体を収納できるもので、たとえば容量が1立方メートルのものが使用できる。なお、洗浄液用のタンク14の容量も略同一とする。吸引装置42は、洗浄後の液体を回収するためのもので、ブロワーや真空ポンプ(たとえば、ロータリー式真空ポンプ)等が使用できる。
【0044】
ノズル18、18…の直後には、その先端が排水性舗装Gに近接するように、吸い口44、44が配されており、この吸い口44、44により洗浄後の液体の略全量が回収できるようになっている。すなわち、横方向に並べて設けられる吸い口44、44の開口は、路面洗浄車両100の走行方向を向き、また、路面洗浄車両100の略全幅において、洗浄後の液体を回収できるように構成されている。
【0045】
吸い口44、44の上端には吸引配管46、46の一端が接続されており、この吸引配管46、46の他端は汚濁液用のタンク40に接続されている。更に、汚濁液用のタンク40と吸引装置42とは、配管48により連結されている。これにより、汚濁液用のタンク40の内部は減圧状態に維持可能となっている。
【0046】
次に、図8に示される路面洗浄車両100の作用について説明する。対象となる排水性舗装Gの上を所定速度にて路面洗浄車両100を走行させる。同時に、ポンプ16により洗浄用の液体を10〜30MPaの範囲の圧力で加圧しながら、排水性舗装の表面より50〜200mm離れた位置に支持されたノズル18、18…に供給し、ノズル18、18…より、排水性舗装の空壁サイズより小さい直径1〜100μmのサイズで、かつ10〜500m/秒の速度になった液滴Dを排水性舗装Gに衝突させる。また、吸引装置42を運転して、汚濁液用のタンク40の内部を減圧状態に維持する。
【0047】
これにより、液滴Dが排水性舗装Gの内部まで浸透し、格段に向上した洗浄効果が得られる。また、このサイズの液滴Dが10〜500m/秒の速度で衝突しても排水性舗装Gの受けるダメージは大きくなく、使用上問題がない。
【0048】
また、洗浄後の液体は、吸い口44、44より回収され、吸引配管46、46を経て汚濁液用のタンク40に収納される。したがって、路面洗浄車両100によれば、洗浄後の液体を回収して再利用することができるので、経済性が向上する。
【0049】
次に、本発明に係る通水機能回復方法及び装置の第3の実施の形態について説明する。なお、図1に示される第1の実施形態、及び図8に示される第2の実施形態と同一、類似の部材については、同様の符号を附し、その説明を省略する。本実施形態においては、洗浄後の液体の回収を行う構成にカバーを附加した。
【0050】
図9は、本発明に係る通水機能回復方法及び装置が適用される路面洗浄車両102の構造図であり、(a)は側面図であり、(b)は背面図であり、(c)は(a)の破線円B内の部分拡大断面図である。
【0051】
図9(c)に示されるように、この路面洗浄車両102の後端の下部には、ノズル18、18…及び吸い口44、44を覆う升形状のカバー50が設けられており、ノズル18、18…より噴出された液滴Dがカバー50の外部に流出しにくい構造となっている。そして、カバー50の上端には吸引配管52の一端が接続されており、この吸引配管52の他端は汚濁液用のタンク40に接続されている。
【0052】
したがって、吸い口44、44より回収できなかった洗浄後の液体は、吸引配管52を経て汚濁液用のタンク40に回収されるようになっている。
【0053】
次に、図9に示される路面洗浄車両102の作用について説明する。対象となる排水性舗装Gの上を所定速度にて路面洗浄車両102を走行させる。同時に、ポンプ16により洗浄用の液体を10〜30MPaの範囲の圧力で加圧しながら、排水性舗装の表面より50〜200mm離れた位置に支持されたノズル18、18…に供給し、ノズル18、18…より、排水性舗装の空壁サイズより小さい直径1〜100μmのサイズで、かつ10〜500m/秒の速度になった液滴Dを排水性舗装Gに衝突させる。また、吸引装置42を運転して、汚濁液用のタンク40の内部を減圧状態に維持する。
【0054】
これにより、液滴Dが排水性舗装Gの内部まで浸透し、格段に向上した洗浄効果が得られる。また、このサイズの液滴Dが10〜500m/秒の速度で衝突しても排水性舗装Gの受けるダメージは大きくなく、使用上問題がない。
【0055】
また、洗浄後の液体は、吸い口44、44より回収され、吸引配管46、46を経て汚濁液用のタンク40に収納される。更に、吸い口44、44より回収できなかった洗浄後の液体は、吸引配管52を経て汚濁液用のタンク40に収納される。したがって、路面洗浄車両102によれば、洗浄後の液体を効率よく回収して再利用することができるので、経済性が向上する。
【0056】
次に、本発明に係る通水機能回復方法及び装置の第4の実施の形態について説明する。なお、図1に示される第1の実施形態、図8に示される第2の実施形態、及び図9に示される第3の実施形態と同一、類似の部材については、同様の符号を附し、その説明を省略する。本実施形態においては、洗浄液の再利用を行う構成を附加した。
【0057】
図10は、本発明に係る通水機能回復方法及び装置が適用される路面洗浄車両104の構造図であり、(a)は側面図であり、(b)はタンク60の部分拡大断面図である。
【0058】
このタンク60は、図8に示される第2の実施形態、及び図9に示される第3の実施形態の洗浄液用のタンク14及び汚濁液用のタンク40に代えて設けられたもので、内部が間仕切り62により二分されている。具体的には、タンク60における間仕切り62の前方は、洗浄液タンク64となっており、間仕切り62の後方は、汚濁液タンク66となっている。
【0059】
洗浄液タンク64は、図8及び図9の洗浄液用のタンク14に対応するもので、内部の洗浄液64Aが、図示しない配管によりポンプ16を経てノズル18、18…に供給可能となっている。汚濁液タンク66は、図8及び図9の汚濁液用のタンク40に対応するもので、吸引配管46及び配管48が接続されている。
【0060】
洗浄液タンク64と汚濁液タンク66との間には、間仕切り62を貫通する配管68が設けられており、この配管68の汚濁液タンク66側の一端の取り付けられたろ過フィルタ70より吸引される汚濁液66Aが配管68の中途に設けられた低圧ポンプ72で圧送されて、洗浄液タンク64内にあるこの配管68の他端より、ろ過済みの洗浄液64Aとして洗浄液タンク64に供給されるようになっている。すなわち、汚濁液タンク66内部の汚濁液66Aの目詰まり物66Bは、汚濁液タンク66の底に沈殿し、また、液中に浮遊する目詰まり物66Bも、ろ過フィルタ70により除去され、洗浄液タンク64への混入が防止されるようになっている。
【0061】
次に、図10に示される路面洗浄車両104の作用について説明する。対象となる排水性舗装Gの上を所定速度にて路面洗浄車両104を走行させる。同時に、ポンプ16により洗浄用の液体を10〜30MPaの範囲の圧力で加圧しながら、排水性舗装の表面より50〜200mm離れた位置に支持されたノズル18、18…に供給し、ノズル18、18…より、排水性舗装の空壁サイズより小さい直径1〜100μmのサイズで、かつ10〜500m/秒の速度になった液滴Dを排水性舗装Gに衝突させる。また、吸引装置42を運転して、汚濁液用のタンク40の内部を減圧状態に維持する。
【0062】
これにより、液滴Dが排水性舗装Gの内部まで浸透し、格段に向上した洗浄効果が得られる。また、このサイズの液滴Dが10〜500m/秒の速度で衝突しても排水性舗装Gの受けるダメージは大きくなく、使用上問題がない。
【0063】
また、洗浄後の液体は、吸い口44、44より回収され、吸引配管46、46を経て汚濁液タンク66に収納される。汚濁液タンク66に収納された汚濁液66Aの目詰まり物66Bは、汚濁液タンク66の底に沈殿する。また、汚濁液66Aの液中に浮遊する目詰まり物66Bも、ろ過フィルタ70により除去された状態で、配管68を経て洗浄液タンク64へ圧送され、ろ過済みの洗浄液64Aとして洗浄液タンク64に供給される。したがって、路面洗浄車両104によれば、洗浄後の液体を回収して即時に再利用することができるので、経済性が向上する。
【0064】
以上、本発明に係る通水機能回復方法及び装置の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
【0065】
たとえば、路面洗浄車両の台車として大型トラック12を使用したが、これ以外のものを台車として使用することもできる。
【0066】
また、複数のノズル18、18…が荷台12Aの後端部分に横1列に搭載されているが、ノズル18、18…のこれ以外の搭載位置、配列形態を採用することもできる。
【0067】
更に、洗浄後の液体回収機構やタンク60の構成等についても、本実施形態以外の各種形態が採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施の形態の路面洗浄車両の構造図
【図2】本発明の実施例に使用するノズルの断面図
【図3】図2に示したノズルの下面図
【図4】噴出液滴の面積相当径の分布を示すグラフ
【図5】ノズルの先端と測定箇所との距離と粒子速度との関係を測定した結果を示すグラフ
【図6】ノズルの先端と測定箇所との距離と体積粒子径との関係を測定した結果を示すグラフ
【図7】ノズルより噴出される液体の偏平長手方向のエネルギー分布を示すグラフ
【図8】本発明の第2の実施の形態の路面洗浄車両の構造図
【図9】本発明の第3の実施の形態の路面洗浄車両の構造図
【図10】本発明の第4の実施の形態の路面洗浄車両の構造図
【符号の説明】
【0069】
10…路面洗浄車両、12…大型トラック、12A…荷台、14…タンク、16…ポンプ、18…ノズル、20…スプレーバー、22…ステー、24…洗浄液配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水性舗装の表面より50〜200mm離れた位置にノズルを設け、
該ノズルより液体を噴出させて、該液体を直径1〜100μmの液滴サイズで、かつ、10〜500m/秒の速度で前記排水性舗装に衝突させることにより該排水性舗装の洗浄を行うことを特徴とする排水性舗装の通水機能回復方法。
【請求項2】
前記ノズルより噴出させる液体を10〜30MPaに加圧することを特徴とする請求項1に記載の排水性舗装の通水機能回復方法。
【請求項3】
前記ノズルより噴出させる液体の流量を100〜150L/分とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水性舗装の通水機能回復方法。
【請求項4】
前記ノズルより噴出させる液体が前記排水性舗装に衝突する際の平面パターンが偏平形状であり、該偏平形状の縦横比が1対50〜1対10であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の排水性舗装の通水機能回復方法。
【請求項5】
前記洗浄後の液体を回収することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の排水性舗装の通水機能回復方法。
【請求項6】
排水性舗装の上を移動可能な台車と、
前記台車に支持され、前記排水性舗装の表面より50〜200mm離れた位置に設けられる1以上のノズルと、
前記台車に搭載され、液体を収納できるタンクと、
前記台車に搭載され、前記液体を加圧しながら前記ノズルに供給するポンプと、を備える排水性舗装の通水機能回復装置であって、
前記ノズルより噴出される液体が、直径1〜100μmの液滴サイズとなり、かつ、10〜500m/秒の速度で前記排水性舗装に衝突するようになっていることを特徴とする排水性舗装の通水機能回復装置。
【請求項7】
前記台車の移動方向と略直角をなす水平方向に複数個の前記ノズルが配列されていることを特徴とする請求項6に記載の排水性舗装の通水機能回復装置。
【請求項8】
前記台車に、前記排水性舗装に衝突した液体の回収が可能な吸引装置が設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載の排水性舗装の通水機能回復装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−37356(P2006−37356A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214428(P2004−214428)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【出願人】(000117009)旭サナック株式会社 (194)