速度調節可能な薬剤伝達システム
【課題】複数の自給式の直列接続されたガルバニ電源を設けられる経皮的イオン導入による治療薬剤伝達システムを提供する。
【解決手段】各々が酸化可能種と還元可能種を含む複数のガルバニ電源を有し、前記複数ガルバニ電源のうちの少なくとも1つが治療薬剤のための第1の伝達チャンバと接触した酸化可能種、治療薬剤のための第2の伝達チャンバと接触した還元可能種をさらに含む活性薬剤電源であり、前記経皮的イオン導入による伝達システムの全体的なガルバニ電位が前記活性薬剤ガルバニ電源の合計となるように前記複数ガルバニ電源を直列接続する導体を有する。
【解決手段】各々が酸化可能種と還元可能種を含む複数のガルバニ電源を有し、前記複数ガルバニ電源のうちの少なくとも1つが治療薬剤のための第1の伝達チャンバと接触した酸化可能種、治療薬剤のための第2の伝達チャンバと接触した還元可能種をさらに含む活性薬剤電源であり、前記経皮的イオン導入による伝達システムの全体的なガルバニ電位が前記活性薬剤ガルバニ電源の合計となるように前記複数ガルバニ電源を直列接続する導体を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本出願は、1999年12月30日に出願した仮出願番号60/173,710号に基づいて優先権主張する完全な出願であって、タイトルは速度調節可能な薬剤伝達システムである。
【0002】
(I.発明の分野)
本発明は、一般的にイオン導入法として知られる、起電力印加の使用による治療薬剤(therapeutic agents)の経皮伝達(transdermal delivery)に関する。さらに特定すると、本発明はイオン導入法のための自給式で定量的に自己制約型で、伝達速度が可変ないし調節可能なシステムを目指す。本システムは、電極と薬剤を含む皮膚に当てるできれば小さい貼付材に含まれることが好ましい。皮膚に貼付されると、本システムは回路を完成され、所望の量の治療薬剤の伝達に対応する測りとって限定された持続時間で自発的に電流が流れ始める。本システムはアノード制限またはカソード制限であってもよい。
【0003】
(II.関連技術)
イオン導入の方法は1908年にLeDucによって報告され、それ以来、ピロカルピン、デキサメタゾン、およびリドカインのようなイオン荷電した化合物の伝達に用途を見出されてきた。この伝達方法では、正電荷を帯びたイオンは電気分解の電気系アノードの側で皮膚を通って押し進められ、負電荷を帯びたイオンは電気分解の電気系カソードの側で皮膚を通って押し進められる。
【0004】
イオン導入装置でもって、アノードとカソードとの間の電流レベルと印加時間(普通、mA分の単位で述べられる)は直接的に薬剤伝達の量と相関する。イオン導入システムでの薬剤伝達の効率は、薬剤分子によって運ばれる電流の、薬剤と同じ電荷を有する競合的な非医薬イオンによって運ばれる電流に対する比率によって測定できる。
【0005】
今のところ、イオン導入装置はありきたりに患者に取り付けられる2つの電極を有し、各々がワイヤを介してマイクロプロセッサ制御された電気装置に接続される。薬剤は装置が作動すると体内に伝達されるように一方ないし両方の電極の下に配置される。装置は電流と印加時間を調節するように設計される。そのような装置の例は米国特許第5,254,081号および5,431,625号に述べられている。これらの装置のための電力は、普通、DCバッテリーによって供給され、マイクロプロセッサで制御された回路に電力が供給されると電極に電圧が印加されて調節された電流を生じることができる。電流と時間(mA分)の自動制御は過剰な治療薬剤の投与量が伝達されるのを防止するために大いに有利である。しかしながら、これらのバッテリー電力供給型のマイクロプロセッサ・システムは、患者が装置に「ワイヤで縛り付けられる」という事実で不利であり、それが患者の動作および正常な日常生活の遂行能力を制限する。通常の印加期間は約20分間から2時間であってそれが装置、施療者、および患者の時間を浪費する。
【0006】
マイクロプロセッサで制御されたイオン導入システムの重大な利点は、システムが使用される間で時間の関数として電流を調節する能力である。例えば、薬剤を急速に体循環に投与するためには最初に高い流速が望まれる。しかしながら、後になると血漿の薬剤レベルを最適に維持するために低い流速に調節することが望まれる可能性がある。
【0007】
さらに最近になって、電気回路と電源が単一の貼付材に集積化された身体装着可能なイオン導入システムが開発された。これらのシステムは、それらが外部ワイヤを必要とせず、はるかに小さなサイズである点で有利である。そのようなシステムの例は米国特許第5,358,483号、第5,458,569号、第5,466,217号、第5,605,536号、および第5,651,768号に見出すことができる。しかしながらこれらのシステムもやはり欠点を有する。それらは比較的柔軟性に欠け、多数の電子部品、バッテリー電源および電気的相互接続を必要とするせいで高価である。
【0008】
イオン導入電流を駆動するための電力はまたガルバニ電気手段によっても供給可能であり、それは異なるアノードおよびカソード材料を利用してそれらが身体に接触すると自発的な電流を生じる。これらのシステムは、別々の電気回路とバッテリー電源を必要としないことに利点を有する。経皮的でないがガルバニ電気手段を利用したイオン導入装置は、付着したあるいは近傍のバクテリアを殺すために表面から微量作用の金属イオンを伝達するように設計された体内埋め込み用装置を報告する特許第5,322,520号に述べられている。
【0009】
ガルバニ電力を薬剤の経皮的伝達の手段として示唆する装置は特許第5,162,042号および第5,405,317号に述べられている。これらの装置は伝達される薬剤の量が自動的に調節されず、有毒になる可能性のある薬剤過剰投与を防止するためにある時間でもって身体から装置を外す必要があるという点で不利である。
【0010】
米国指定で、米国仮出願60/098,652号に基づいて優先権主張する、本出願と同じ譲受人に譲渡される係属出願のPCT/US99/18861号で、ガルバニ電力を使用し、かつ既知の投与容量を供給するイオン導入貼付材が述べられている。したがって、このシステムは特定の投与量の後に自動的に遮断するように設計することができ、過剰投与の危険性が取り除かれる。その係属出願はいずれかの目的でここに参考資料で取り入れることとする。
【0011】
米国特許第5,685,837号でHorstmannは直列に装備したシート状のガルバニ素子を電源として使用する経皮的な治療システムを記述している。その装置は高内部抵抗素子を使用して一定電流強度を発生するか、または低内部抵抗素子を使用して徐々に減衰する電流強度を発生するかいずれかの能力を有する。低内部抵抗と減衰する電流は、ガルバニ素子の電解質層へのイオンの形成によって引き起こされる。
【0012】
それは有利に見えるが、Horstmannのシステムには実用上の或る不利がある。減衰電流を達成するために極めて薄い電解質層が必要となるのである。薄層は製造ないし使用の間に機械的破損を受け易い。また、Horstmannのシステムの徐々に減衰する電流よりもむしろ高い程度の電流でそれが急峻に低下する方が最適であって、それにより最少限の時間で既知の投入投与量を投与することができる。Horstmannのシステムを使用して投与される実際の投入投与量は、電圧のネルンスト勾配が非直線的な減衰速度であるため正確には判らず、したがってこのシステムは実際の時間規模の間にゼロまで下がらないであろう。
【0013】
すべてのガルバニ電気システムに関する1つの制限は、実際に使用することのできる使用者本位の材料が供給限定されることである。多くの材料はそれ自体が毒性である可能性があり、かつ/またはそれらは製造工程の中で加工することが困難であるかもしれない。重大な問題は水と反応性のある材料にあり、したがって使用の間で薬剤溶液のpHを変化させる可能性がある。pH変化は皮膚に有害となりかねず、または薬剤と有害な反応を引き起こす可能性がある。例えば、出願人らは亜鉛(E0=−0.763)は優れたガルバニ材料となるが、マグネシウム(E0=−2.37)はイオン導入法の薬剤チャンバでpH変化を引き起こすことをことを発見した。塩化銀(E0=+0.222)は薬剤チャンバのpHに影響を与えないが、二酸化マンガン(E0=+1.23)は影響を与える。したがって、ガルバニ式で電力供給されるシステムで得られる電圧は材料の安定性ないし適合性によって制限される。もちろん、他の多様な種が様々な環境下で酸化ないし還元可能な種としての用途を有する可能性がある。
【0014】
ガルバニ式で電源供給されるシステムのまた別の拘束ないし制限は、使用の間で電圧(および薬剤伝達)を上げたり下げたりできないことである。電圧は使用されるガルバニの1/2反応で固定され、過程で変化させることはできない。薬剤の丸薬を投薬するような伝達速度を上げる環境では、これは重大な不利点である。したがって、そのような装置で電位上昇が使用できることは、現在、大きな利点となるであろう。
【0015】
本発明の第1の目的は、水と接しても非pH反応性でかつ製造工程で使用されるときに安定な材料を使用して、いかなる所望の時間−電圧プロファイルでも供給可能な(したがって薬剤投与の速度プロファイルを注文に合わせられる)ガルバニ式に電源供給されるイオン導入装置を提供することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、マイクロプロセッサを必要としない回路部品を使用して、いかなる所望の時間−電圧ないし伝達プロファイルでも供給可能なイオン導入装置を提供することである。
【0017】
本発明のまた別の目的は、既知の投入投与量のために電圧を安定したレベルに維持し、後になって少なくとも第2の既知の電圧に迅速な様式で電圧を上げるか下げるかして調節する自動性能を有するイオン導入装置を、集積化マイクロプロセッサを必要とせずに供給することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、薬剤の丸薬を投薬するために、使用時にさらに高い電圧に調節することのできる、ガルバニ式に電源供給されるシステムを提供することである。
【0019】
本発明のさらに別の目的は、並列接続された抵抗器装置と組み合わせて様々なクーロン容量のガルバニ電源をいくつか直列接続で使用することによって電位レベルを経時的に可変にすることができる、ガルバニ式に電源供給されるシステムを提供することである。
【0020】
本明細書、図面および添付の特許請求範囲を熟読すると、当業者にはその他の目的および利点が分かるであろう。
【0021】
(発明の概要)
本発明によるイオン導入貼付材は、少なくとも3つのチャンバ、すなわちカチオン薬剤チャンバ、アニオン薬剤チャンバ、および付加的なガルバニ電源ないし電池を最も単純な形式で含む。本システムはまた、1つまたは複数の並列接続された抵抗装置ないしもっと複雑な様式のその他の部品と一緒に直列のそのような電池をも有することがある。カチオン薬剤チャンバでは、電気化学的に酸化可能な種を含むかまたはそれでコーティングされた電極が含まれる。アニオン薬剤チャンバでは、電気化学的に還元可能な種を含むかまたはそれでコーティングされた電極が含まれる。これらのチャンバは既知の距離、最適には0.1から2cmの間の距離で隔てられる。カチオンのチャンバの電極およびアニオンのチャンバの電極は電気的に伝導性の素子によって中間にある追加の電池ないし電池群に接続される。中間にある電池ないし電池群に延びる電気的伝導性素子の対向する両端部は、もしも反対側が酸化種であれば還元種で構成されるかまたはそれでコーティングされ、またはもしも反対側が還元種であれば酸化種で構成される。
【0022】
正味の結果はガルバニ対または電源の直列接続であり、それがイオン導入システムの印加電位を増倍する。酸化種として亜鉛を使用し、還元種として塩化銀を使用し、中間のチャンバないしガルバニ電源を有して約2ボルトの印加電位を供給し、また2つの中間チャンバないしガルバニ電源をも使用して約3ボルトの印加電位を供給するイオン導入システムの例示を採用する実施形態が図面に示され、制限されない概念を例証している。本発明のガルバニ・システムの合計の印加電位は利用する中間チャンバの数に直接相関する。中間のガルバニ電源ないし対の数が所望の合計電位に依存して変わり得ることは明らかであろう。
【0023】
加えて、1つないし複数の抵抗器装置が1つないし複数のガルバニ電源と並列に接続されることもある。これはすべての電源が動作している間の多数電源の直列動作を保証し、システム内で枯渇した少な目の容量の電池を横断して径路を供給し、それによって治療薬剤はより低速で投与され続けることができる。
【0024】
加えて、1つないし複数の中間の電源ないしチャンバを回路に切り換えるか、または1つないし複数のガルバニ電源を望みのままにバイパスないし分路するために1つないし複数の切り換え装置がイオン導入貼付材に設けられることがあり得る。抵抗器ではなくて切り換え装置がやはり、回路抵抗を追加することなしに消耗したガルバニ電源をバイパスするのに使用可能であり、最初に治療材料の丸薬を供給することが望まれる場合、すべての直列接続のガルバニ電源ないし電池が最初の期間について使用されて1つまたは複数が消耗し、それにより後の時間では電位が低下する。
【0025】
こうして、中間のチャンバのうちの1つまたは複数は、初期の材料の丸薬が伝達されきった時間に消耗を生じる方式で制限されるアノードないしカソードとすることができる。その後、並列の抵抗器ないし切り換え器が低速で伝達を続けることを可能にするように導電径路を供給する。切り換え装置はまた、イオン導入貼付材にあるガルバニ電流全体を遮断するか、またはたとえばバイパス導体回路によるなどで追加の直列接続ガルバニ電源に切り換えるために使用することもできる。
【0026】
さらに別のタイプの構成では、ガルバニ電源は反対の極性で直列接続されることもあり、それによって容量の低い方の電源が治療薬ないし薬剤の伝達電源に対向し、初期に低容量の方の電源が枯渇するまで薬剤の伝達を遅延させることができる。
【0027】
酸化可能種および還元可能種は、イオン導入貼付材が身体に接触すると自発的な電位を供給して電流を流すように選択される。適切な酸化可能種の例は亜鉛であり、適切な還元可能種は塩化銀である。この組み合わせは多くの用途で有利となり得るが、本発明の範囲としての制限を意味するものではなく、単に範例の方式で提供されるものである。
【0028】
本発明のイオン導入の過程の間で、電流が流れると、カチオン性薬剤のチャンバにある酸化可能種と1つないし複数の中間の電池が酸化状態になり、一方、アニオン性薬剤のチャンバにある還元可能種と中間の電池が還元状態になる。ガルバニ式に誘導される電流は、酸化可能種または還元可能種のどちらが制限条件の量であろうともいずれかが枯渇するまで流れ続けるであろう。電流の量と供給制限条件にある酸化可能種ないし還元可能種の量との間の関係は理論的にファラデー定数で表わされ、制限条件となる還元可能種ないし酸化可能種の1グラム当量が1ファラデー(96,487クーロン)の静電荷を供給するであろう。本発明のイオン導入貼付材は、供給制限条件にある酸化可能種ないし還元可能種の0.00000062から0.00062グラム当量までの間の重量に対応する約0.06から60クーロンまでの間の範囲で固定された既知の電荷を最適に伝達するであろう。
【0029】
本発明のイオン導入法の電極の調製は、既知の限定量の電気的活性種が何らかのアノード電極、何らかのカソード電極、または多重電極の中ないし上に取り込まれる必要があるので厳密なものである。カチオン性薬剤のチャンバの電極の調製では、酸化可能材料が既知の重量と純度で使用されることもあり、または既知量の酸化可能コーティングが電気的に伝導性の基材の表面に堆積されることもある。例えば、既知の酸化可能種含有量をもつ電極を作製するために既知量の溶融亜鉛がワイヤ基材上に堆積されることもある。アニオン性薬剤のチャンバの電極の調製では既知量の還元可能材料が電気的に伝導性の基材の表面に堆積されることもある。例えば、既知の還元可能種含有量をもつ電極を作製するために既知量の溶融塩化銀がワイヤ基材上に堆積されることもある。場合によっては、塩化物の存在下で銀のワイヤを電気分解で酸化して塩化銀のコーティングを作製するような、電気分解ないし電気メッキ工程によって既知量の塩化銀が電極表面に生成されることもあり得る。
【0030】
本発明のイオン導入法の電極を調製するための好ましい解決法は、可撓性基材上の導電性軌跡にわたって既知量の電気活性材料を有する薄いコーティングをスクリーン印刷することによるものである。この方法は、イオン導入貼付材に組み込むための制御された投与量のガルバニ式バッテリーを生じる。その他の回路素子もまた、薄膜、スクリーン印刷または当該技術状態によるそのような方法を使用して作製することができる。
【0031】
貼付材のその他の態様には気密性の裏地材料が含まれ、それは3M社のポリエチレン・テープ#1523、#1526(3M Corporation,St.Paul,Minnesotaから入手可能)、またはその他の閉鎖材料で構成されてもよい。電極を固定保持し、裏地材料に取り付けられるのは電池壁規定層であって、中間のチャンバ空洞ならびにアノードとカソードの電池空洞を規定する独立した開口を有する。電池壁規定層は3M社の#1772ないし同様の材料で構成されてもよい。電池壁規定層によって規定される空洞の各々に吸着層が加えられ、電池空洞に流体を保持するのに役立つ。この吸着層は、ポリアクリルアミドのような水溶液と接触するとゲルを形成する材料であってもよく、あるいはコットン、ガーゼ、ないしその他の親水性材料であってもよい。イオン導入装置を皮膚に固着するために粘着層が使用され、それもまた3M社の#1523ないし#1526のような材料で構成されてもよい。
【0032】
制御された投与量のイオン導入装置を使用するために、伝達されるべきカチオンを含む溶液がカチオン性薬剤のチャンバに入れられ、アニオン材料を含む溶液がアニオン性薬剤のチャンバに注入される。中間のチャンバは装置の上部ないし底部のいずれかのアクセス・ポートを通して導電性の塩で満たされることが好ましい。場合によっては、中間のチャンバは塩を含んだゲルないしペーストで前もって満たされることもある。アニオン性ないしカチオン性薬剤のチャンバとは異なり、中間のチャンバないし電源ないし電源群は皮膚に接触しないようにされる。その後、この貼付材は薬剤を投与すべき身体部分に当てられ、貼付材底部の粘着層または上に重ねられる包帯材料によって皮膚に接着される。いったん皮膚に接触すると、電流を通して薬剤化合物を伝達することができるように電気回路が完成される。
【0033】
(詳細な説明)
本発明の詳細な説明で、経時的に変化する速度を使用する性能を有した、進歩した多重電源、多重速度型のガルバニ式経皮薬剤伝達システムの原理を例示する。極めて限定した数の範例的構成および材料組成を使用して実施形態を説明する。しかしながら本発明の概念で包含される原理の応用ははるかに広範囲であり、実際には一次および中間ないし治療薬剤含有ないし追加のガルバニ電源ないしチャンバ、多数の導体と一緒になった抵抗素子ないし装置およびその他の回路素子、ガルバニ対(酸化可能種と還元可能種)、伝達されるべき治療薬剤および身体装着可能な貼付材の実際の構成について多くの構成が可能であると考えられる。したがって、ここで示す記述と説明は範例として意図したものであり、いかなる方式でも本発明の範囲を制限することを意味しない。ガルバニ式電源、ガルバニ式チャンバ、ガルバニ対のような用語は互換的に使用される。
【0034】
図面のうち図1、2および6から9までは、本発明の多重電源、多重速度、経時的可変性、ガルバニ式概念を例示するいくつかのイオン導入システムを図式的に描くことを意図するものである。身体装着可能なイオン導入貼付材の図式的表現は10で示されており、それにはカチオン性薬剤チャンバ12およびアニオン性薬剤チャンバ14を含む主要な2つのチャンバのガルバニ対が含まれる。カチオン性チャンバ12は亜鉛でもよい酸化可能材料の供給源16を有し、アニオン性チャンバ14は塩化銀でもよい還元可能材料の供給源18を有する。第1の追加的ないし中間のチャンバないし電源20はチャンバ12と14との間に位置し、それ自体が、同じ(Zn)または材料16とは異なる材料であってもよい酸化可能材料22と、同じ(AgCl)または材料18とは異なる材料であってもよい還元可能材料24とを含む。これらは中間チャンバ内で導電的な関係で含まれる。
【0035】
図2は図1のイオン導入システムを示しているが、しかし中間チャンバ20で使用されるものと同じでも異なっていてもよい酸化可能材料の供給源28と還元可能材料の供給源30とを含む第2の中間チャンバ26を有する。図1で導体32、34はチャンバ12、20および18を直列に導通させる。図2で追加の中間導体36は中間チャンバ20と26を直列に接続するために設けられる。随意追加の抵抗器装置23は図1で、ガルバニ電源(12、14)と20と並列に、導体32と34との間で点線で接続して示され、一対の随意追加の抵抗装置23aおよび23bが図2で2つの中間電源20および26と並列に接続されて示される。抵抗器を使用した場合、すべての電源が活動状態の間は電源が直列に動作し、並列接続された電源が枯渇状態になると回路に連続性を供給する。範例の抵抗器装置23,23a,23bの値は任意であってもよいが、通常は皮膚抵抗にほぼ等しいか、または概して1Kオームから100Kオームまでの範囲で通常は10Kオームであるかもしれない。
【0036】
図7bは図1に描いた図式的なイオン導入装置のための単純な回路図を描いており、そこでは抵抗23はイオン導入式輸送に使用される貼付材装置が遭遇する平均的な皮膚抵抗に概して等価の約10Kオームである。
【0037】
図7aは図7bに描いた図式的装置の動作をグラフで表わしており、初期の高い丸薬伝達70が72で対22/24が枯渇して72で急激に減衰し、元の値の約1/4である74での値となり、同じ量で、直列抵抗器23が加えられると電位が半分に切り取られて抵抗が2倍になることに気が付く。もう1つの大きな低下は対16、18が枯渇すると76で生じ、78で伝達が急速に0に落ちる。これは、それゆえ、処置の着手時ないし開始時に薬剤を多めに投与し、その後に低めの投与量を長時間行なうという1つの実施形態を描くものである。この薬剤伝達プロファイルは、体内でできるだけ迅速に治療的レベルまで到達させ、その後に長時間にわたって治療的レベルよりもわずかに上に薬剤レベルを維持するのに適した低い薬剤伝達速度にすることが望ましい用途に適している。
【0038】
図9は図1および7bに示したものと同様の構成に由来する実際の実験データを表わしている。その図で曲線80と82との間に一定の差異はあるが、それらは明らかに初期の高速注入の丸薬投与とそれに続く低速での長めの期間と最終的な電流消滅を示している。
【0039】
最後に、図1および7bのそれらと類似した回路を表わす図8bを参照すると、第2ないし追加の電源22、24が対向する極性で接続されてそれにより22、24によって生じる電流が図8aの90で示したような16、18によって生じるそれと反対になっていることが異なる点であり、これが、最初は回路の支線につながれた皮膚に流れる正味の電流を無くし、それにより92で対22、24のアノードないしカソードが枯渇するまでイオン導入による伝達を生じなくさせ、その後に伝達電流が急速に0.05mAまで上昇し、そこで一次ないし薬剤伝達対16、18の寿命の残りの間を通して94で実質的に一定のままとなる。薬剤伝達対16/18にある電極の枯渇で、電流は再び96で急速に低下し、98で0となる。
【0040】
少数の範例からでさえ当業者であれば電子回路の設計で数多くの変形に到達できることは明らかであり、あり得る電流−時間プロファイルに基づいて殆どすべての想像可能な所望の薬剤伝達プロファイルを生じる回路を構築する。こうして、電池が様々なクーロン容量を有し得ることおよび外部抵抗が変えられることを考慮すると、殆どすべての数の電池および抵抗器で直列および並列の組み合わせが可能である。さらに、直列ではなくて並列に追加の電池を使用することによって伝達に追加の時間を加えることができることに留意すべきである。
【0041】
図3の分解組み立て図は図1に描いたものと同様の実施形態に関してイオン導入電極と導体のシステムの1つの好ましい解決策を描くものである。それは裏地材料層50の層を含み、これは3M社のポリエチレン・テープ#1523、#1526またはその他のそのような閉鎖用の膜であってもよく、中間の電池の充満ポートは52で示される。二重ガルバニ電源システムは裏地層50の下で可撓性の回路スクリーン層54上に印刷されて示される。電池壁規定層は56で示され、チャンバのための吸着層は58、60および62で示される。最後の底部粘着層は64で示される。
【0042】
図4の断面図は、図1で表わされるものと同様でそれゆえ同じ参照番号が使用できる、本発明の一中間チャンバ・バージョンを使用する間の電子とイオンの流れを描くものである。中間のチャンバないし電源20は一次対12、14と同じかまたは短い使用寿命を有してもよい。この方式で、一次対12、14による伝達速度を増倍するであろう中間電源20は、カチオン性薬剤チャンバ電極の酸化可能材料16が枯渇するかまたはアニオン性薬剤チャンバ電極の還元可能材料18が枯渇するかのいずれかで電流が本質的にゼロとなって薬剤化合物の伝達が完了するように量を制御する。
【0043】
図5は本発明によって調製されたバッテリーから流れる時間の関数としての電流の固定伝達を描いている。この実験で、制限供給の亜鉛が酸化可能種としてはたらき、還元可能種は塩化銀であり、1つの中間電池を使用した。比較の目的で、やはり亜鉛を制限供給の酸化可能種として使用し、かつ塩化銀を還元可能種として使用する従来のガルバニ式システムの電流−時間プロファイルも同様に図表化する。図示したように、電流レベル(したがって薬剤伝達速度)は本発明の方が高く、これは印加電圧がより高い(2ボルトvs.1ボルト)せいである。
【0044】
図6は一体化した切り換え器を備え、やはり亜鉛と塩化銀を酸化可能種および還元可能種として使用する、図1と同様の本発明を描くものである。切り換え器を「A」の位置に作動させると高い印加電圧(このケースでは2ボルト)および高い方の薬剤流が可能になる。切り換え器を「B」の位置に合わせると電圧が低下(このケースでは1ボルト)し、低い方の薬剤流になる。加えて、これは単純な切り換え器アッセンブリでもって高および低流速の間で薬剤流のマニュアル調節を可能にするために本発明がどのようにして変形され得るかを示す。加えて、図示した中間位置で電流は遮断され得る。
【0045】
特許の法令に従うため、および当業者にこの新規な原理を応用し、かつ必要とされる特定の構成要素を作製して使用するのに必要な情報を供給するためにかなり詳細に本発明をここに説明してきた。しかしながら、本発明が特定の異なる機器および装置で実施可能であり、本発明の範囲を逸脱することなく機器および操作手法の両方に対して様々な変形が実施可能であることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による、一次ガルバニ対ないし電源を有し、かつ二次ガルバニ対ないし電源を有する中間チャンバを有するガルバニ式のイオン導入システムの概略図である。
【図2】一次ガルバニ対ないし電源と2つの中間チャンバないし電源とを有する、図1のものと類似したガルバニ式のイオン導入システムの概略図である。
【図3】図1のものと同様の実施形態としてスクリーン印刷した回路システムを含むイオン導入貼付材の実施形態の組み立てを示す分解組み立て図である。
【図4】やはり図1のものと類似した本発明の一中間電源バージョンの中のイオンの流れを図式的に描いた断面図である。
【図5】本発明の一中間電源バージョンと中間ガルバニ電源のない従来のガルバニ式システムとの間で電流−時間プロファイルのプロットを比較した図である。
【図6】マニュアルでさらに高い電圧とさらに低い電圧による活性化の調節および遮断の設定を可能にするために図1のシステムと接続した切り換えメカニズムを含んだ図である。
【図7a】1つの追加電源および皮膚抵抗に近似した並列抵抗を使用したときのグラフを描いた図である。
【図7b】1つの追加電源および皮膚抵抗に近似した並列抵抗を使用したときの回路図である。
【図8a】電源の極性を対向させた構成に関して得た図7aと同様のグラフを描いた図である。
【図8b】電源の極性を対向させた構成に関して得た図7bと同様の回路図である。
【図9】図7bの構成を使用して得た実際の実験データを表わす図である。
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本出願は、1999年12月30日に出願した仮出願番号60/173,710号に基づいて優先権主張する完全な出願であって、タイトルは速度調節可能な薬剤伝達システムである。
【0002】
(I.発明の分野)
本発明は、一般的にイオン導入法として知られる、起電力印加の使用による治療薬剤(therapeutic agents)の経皮伝達(transdermal delivery)に関する。さらに特定すると、本発明はイオン導入法のための自給式で定量的に自己制約型で、伝達速度が可変ないし調節可能なシステムを目指す。本システムは、電極と薬剤を含む皮膚に当てるできれば小さい貼付材に含まれることが好ましい。皮膚に貼付されると、本システムは回路を完成され、所望の量の治療薬剤の伝達に対応する測りとって限定された持続時間で自発的に電流が流れ始める。本システムはアノード制限またはカソード制限であってもよい。
【0003】
(II.関連技術)
イオン導入の方法は1908年にLeDucによって報告され、それ以来、ピロカルピン、デキサメタゾン、およびリドカインのようなイオン荷電した化合物の伝達に用途を見出されてきた。この伝達方法では、正電荷を帯びたイオンは電気分解の電気系アノードの側で皮膚を通って押し進められ、負電荷を帯びたイオンは電気分解の電気系カソードの側で皮膚を通って押し進められる。
【0004】
イオン導入装置でもって、アノードとカソードとの間の電流レベルと印加時間(普通、mA分の単位で述べられる)は直接的に薬剤伝達の量と相関する。イオン導入システムでの薬剤伝達の効率は、薬剤分子によって運ばれる電流の、薬剤と同じ電荷を有する競合的な非医薬イオンによって運ばれる電流に対する比率によって測定できる。
【0005】
今のところ、イオン導入装置はありきたりに患者に取り付けられる2つの電極を有し、各々がワイヤを介してマイクロプロセッサ制御された電気装置に接続される。薬剤は装置が作動すると体内に伝達されるように一方ないし両方の電極の下に配置される。装置は電流と印加時間を調節するように設計される。そのような装置の例は米国特許第5,254,081号および5,431,625号に述べられている。これらの装置のための電力は、普通、DCバッテリーによって供給され、マイクロプロセッサで制御された回路に電力が供給されると電極に電圧が印加されて調節された電流を生じることができる。電流と時間(mA分)の自動制御は過剰な治療薬剤の投与量が伝達されるのを防止するために大いに有利である。しかしながら、これらのバッテリー電力供給型のマイクロプロセッサ・システムは、患者が装置に「ワイヤで縛り付けられる」という事実で不利であり、それが患者の動作および正常な日常生活の遂行能力を制限する。通常の印加期間は約20分間から2時間であってそれが装置、施療者、および患者の時間を浪費する。
【0006】
マイクロプロセッサで制御されたイオン導入システムの重大な利点は、システムが使用される間で時間の関数として電流を調節する能力である。例えば、薬剤を急速に体循環に投与するためには最初に高い流速が望まれる。しかしながら、後になると血漿の薬剤レベルを最適に維持するために低い流速に調節することが望まれる可能性がある。
【0007】
さらに最近になって、電気回路と電源が単一の貼付材に集積化された身体装着可能なイオン導入システムが開発された。これらのシステムは、それらが外部ワイヤを必要とせず、はるかに小さなサイズである点で有利である。そのようなシステムの例は米国特許第5,358,483号、第5,458,569号、第5,466,217号、第5,605,536号、および第5,651,768号に見出すことができる。しかしながらこれらのシステムもやはり欠点を有する。それらは比較的柔軟性に欠け、多数の電子部品、バッテリー電源および電気的相互接続を必要とするせいで高価である。
【0008】
イオン導入電流を駆動するための電力はまたガルバニ電気手段によっても供給可能であり、それは異なるアノードおよびカソード材料を利用してそれらが身体に接触すると自発的な電流を生じる。これらのシステムは、別々の電気回路とバッテリー電源を必要としないことに利点を有する。経皮的でないがガルバニ電気手段を利用したイオン導入装置は、付着したあるいは近傍のバクテリアを殺すために表面から微量作用の金属イオンを伝達するように設計された体内埋め込み用装置を報告する特許第5,322,520号に述べられている。
【0009】
ガルバニ電力を薬剤の経皮的伝達の手段として示唆する装置は特許第5,162,042号および第5,405,317号に述べられている。これらの装置は伝達される薬剤の量が自動的に調節されず、有毒になる可能性のある薬剤過剰投与を防止するためにある時間でもって身体から装置を外す必要があるという点で不利である。
【0010】
米国指定で、米国仮出願60/098,652号に基づいて優先権主張する、本出願と同じ譲受人に譲渡される係属出願のPCT/US99/18861号で、ガルバニ電力を使用し、かつ既知の投与容量を供給するイオン導入貼付材が述べられている。したがって、このシステムは特定の投与量の後に自動的に遮断するように設計することができ、過剰投与の危険性が取り除かれる。その係属出願はいずれかの目的でここに参考資料で取り入れることとする。
【0011】
米国特許第5,685,837号でHorstmannは直列に装備したシート状のガルバニ素子を電源として使用する経皮的な治療システムを記述している。その装置は高内部抵抗素子を使用して一定電流強度を発生するか、または低内部抵抗素子を使用して徐々に減衰する電流強度を発生するかいずれかの能力を有する。低内部抵抗と減衰する電流は、ガルバニ素子の電解質層へのイオンの形成によって引き起こされる。
【0012】
それは有利に見えるが、Horstmannのシステムには実用上の或る不利がある。減衰電流を達成するために極めて薄い電解質層が必要となるのである。薄層は製造ないし使用の間に機械的破損を受け易い。また、Horstmannのシステムの徐々に減衰する電流よりもむしろ高い程度の電流でそれが急峻に低下する方が最適であって、それにより最少限の時間で既知の投入投与量を投与することができる。Horstmannのシステムを使用して投与される実際の投入投与量は、電圧のネルンスト勾配が非直線的な減衰速度であるため正確には判らず、したがってこのシステムは実際の時間規模の間にゼロまで下がらないであろう。
【0013】
すべてのガルバニ電気システムに関する1つの制限は、実際に使用することのできる使用者本位の材料が供給限定されることである。多くの材料はそれ自体が毒性である可能性があり、かつ/またはそれらは製造工程の中で加工することが困難であるかもしれない。重大な問題は水と反応性のある材料にあり、したがって使用の間で薬剤溶液のpHを変化させる可能性がある。pH変化は皮膚に有害となりかねず、または薬剤と有害な反応を引き起こす可能性がある。例えば、出願人らは亜鉛(E0=−0.763)は優れたガルバニ材料となるが、マグネシウム(E0=−2.37)はイオン導入法の薬剤チャンバでpH変化を引き起こすことをことを発見した。塩化銀(E0=+0.222)は薬剤チャンバのpHに影響を与えないが、二酸化マンガン(E0=+1.23)は影響を与える。したがって、ガルバニ式で電力供給されるシステムで得られる電圧は材料の安定性ないし適合性によって制限される。もちろん、他の多様な種が様々な環境下で酸化ないし還元可能な種としての用途を有する可能性がある。
【0014】
ガルバニ式で電源供給されるシステムのまた別の拘束ないし制限は、使用の間で電圧(および薬剤伝達)を上げたり下げたりできないことである。電圧は使用されるガルバニの1/2反応で固定され、過程で変化させることはできない。薬剤の丸薬を投薬するような伝達速度を上げる環境では、これは重大な不利点である。したがって、そのような装置で電位上昇が使用できることは、現在、大きな利点となるであろう。
【0015】
本発明の第1の目的は、水と接しても非pH反応性でかつ製造工程で使用されるときに安定な材料を使用して、いかなる所望の時間−電圧プロファイルでも供給可能な(したがって薬剤投与の速度プロファイルを注文に合わせられる)ガルバニ式に電源供給されるイオン導入装置を提供することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、マイクロプロセッサを必要としない回路部品を使用して、いかなる所望の時間−電圧ないし伝達プロファイルでも供給可能なイオン導入装置を提供することである。
【0017】
本発明のまた別の目的は、既知の投入投与量のために電圧を安定したレベルに維持し、後になって少なくとも第2の既知の電圧に迅速な様式で電圧を上げるか下げるかして調節する自動性能を有するイオン導入装置を、集積化マイクロプロセッサを必要とせずに供給することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、薬剤の丸薬を投薬するために、使用時にさらに高い電圧に調節することのできる、ガルバニ式に電源供給されるシステムを提供することである。
【0019】
本発明のさらに別の目的は、並列接続された抵抗器装置と組み合わせて様々なクーロン容量のガルバニ電源をいくつか直列接続で使用することによって電位レベルを経時的に可変にすることができる、ガルバニ式に電源供給されるシステムを提供することである。
【0020】
本明細書、図面および添付の特許請求範囲を熟読すると、当業者にはその他の目的および利点が分かるであろう。
【0021】
(発明の概要)
本発明によるイオン導入貼付材は、少なくとも3つのチャンバ、すなわちカチオン薬剤チャンバ、アニオン薬剤チャンバ、および付加的なガルバニ電源ないし電池を最も単純な形式で含む。本システムはまた、1つまたは複数の並列接続された抵抗装置ないしもっと複雑な様式のその他の部品と一緒に直列のそのような電池をも有することがある。カチオン薬剤チャンバでは、電気化学的に酸化可能な種を含むかまたはそれでコーティングされた電極が含まれる。アニオン薬剤チャンバでは、電気化学的に還元可能な種を含むかまたはそれでコーティングされた電極が含まれる。これらのチャンバは既知の距離、最適には0.1から2cmの間の距離で隔てられる。カチオンのチャンバの電極およびアニオンのチャンバの電極は電気的に伝導性の素子によって中間にある追加の電池ないし電池群に接続される。中間にある電池ないし電池群に延びる電気的伝導性素子の対向する両端部は、もしも反対側が酸化種であれば還元種で構成されるかまたはそれでコーティングされ、またはもしも反対側が還元種であれば酸化種で構成される。
【0022】
正味の結果はガルバニ対または電源の直列接続であり、それがイオン導入システムの印加電位を増倍する。酸化種として亜鉛を使用し、還元種として塩化銀を使用し、中間のチャンバないしガルバニ電源を有して約2ボルトの印加電位を供給し、また2つの中間チャンバないしガルバニ電源をも使用して約3ボルトの印加電位を供給するイオン導入システムの例示を採用する実施形態が図面に示され、制限されない概念を例証している。本発明のガルバニ・システムの合計の印加電位は利用する中間チャンバの数に直接相関する。中間のガルバニ電源ないし対の数が所望の合計電位に依存して変わり得ることは明らかであろう。
【0023】
加えて、1つないし複数の抵抗器装置が1つないし複数のガルバニ電源と並列に接続されることもある。これはすべての電源が動作している間の多数電源の直列動作を保証し、システム内で枯渇した少な目の容量の電池を横断して径路を供給し、それによって治療薬剤はより低速で投与され続けることができる。
【0024】
加えて、1つないし複数の中間の電源ないしチャンバを回路に切り換えるか、または1つないし複数のガルバニ電源を望みのままにバイパスないし分路するために1つないし複数の切り換え装置がイオン導入貼付材に設けられることがあり得る。抵抗器ではなくて切り換え装置がやはり、回路抵抗を追加することなしに消耗したガルバニ電源をバイパスするのに使用可能であり、最初に治療材料の丸薬を供給することが望まれる場合、すべての直列接続のガルバニ電源ないし電池が最初の期間について使用されて1つまたは複数が消耗し、それにより後の時間では電位が低下する。
【0025】
こうして、中間のチャンバのうちの1つまたは複数は、初期の材料の丸薬が伝達されきった時間に消耗を生じる方式で制限されるアノードないしカソードとすることができる。その後、並列の抵抗器ないし切り換え器が低速で伝達を続けることを可能にするように導電径路を供給する。切り換え装置はまた、イオン導入貼付材にあるガルバニ電流全体を遮断するか、またはたとえばバイパス導体回路によるなどで追加の直列接続ガルバニ電源に切り換えるために使用することもできる。
【0026】
さらに別のタイプの構成では、ガルバニ電源は反対の極性で直列接続されることもあり、それによって容量の低い方の電源が治療薬ないし薬剤の伝達電源に対向し、初期に低容量の方の電源が枯渇するまで薬剤の伝達を遅延させることができる。
【0027】
酸化可能種および還元可能種は、イオン導入貼付材が身体に接触すると自発的な電位を供給して電流を流すように選択される。適切な酸化可能種の例は亜鉛であり、適切な還元可能種は塩化銀である。この組み合わせは多くの用途で有利となり得るが、本発明の範囲としての制限を意味するものではなく、単に範例の方式で提供されるものである。
【0028】
本発明のイオン導入の過程の間で、電流が流れると、カチオン性薬剤のチャンバにある酸化可能種と1つないし複数の中間の電池が酸化状態になり、一方、アニオン性薬剤のチャンバにある還元可能種と中間の電池が還元状態になる。ガルバニ式に誘導される電流は、酸化可能種または還元可能種のどちらが制限条件の量であろうともいずれかが枯渇するまで流れ続けるであろう。電流の量と供給制限条件にある酸化可能種ないし還元可能種の量との間の関係は理論的にファラデー定数で表わされ、制限条件となる還元可能種ないし酸化可能種の1グラム当量が1ファラデー(96,487クーロン)の静電荷を供給するであろう。本発明のイオン導入貼付材は、供給制限条件にある酸化可能種ないし還元可能種の0.00000062から0.00062グラム当量までの間の重量に対応する約0.06から60クーロンまでの間の範囲で固定された既知の電荷を最適に伝達するであろう。
【0029】
本発明のイオン導入法の電極の調製は、既知の限定量の電気的活性種が何らかのアノード電極、何らかのカソード電極、または多重電極の中ないし上に取り込まれる必要があるので厳密なものである。カチオン性薬剤のチャンバの電極の調製では、酸化可能材料が既知の重量と純度で使用されることもあり、または既知量の酸化可能コーティングが電気的に伝導性の基材の表面に堆積されることもある。例えば、既知の酸化可能種含有量をもつ電極を作製するために既知量の溶融亜鉛がワイヤ基材上に堆積されることもある。アニオン性薬剤のチャンバの電極の調製では既知量の還元可能材料が電気的に伝導性の基材の表面に堆積されることもある。例えば、既知の還元可能種含有量をもつ電極を作製するために既知量の溶融塩化銀がワイヤ基材上に堆積されることもある。場合によっては、塩化物の存在下で銀のワイヤを電気分解で酸化して塩化銀のコーティングを作製するような、電気分解ないし電気メッキ工程によって既知量の塩化銀が電極表面に生成されることもあり得る。
【0030】
本発明のイオン導入法の電極を調製するための好ましい解決法は、可撓性基材上の導電性軌跡にわたって既知量の電気活性材料を有する薄いコーティングをスクリーン印刷することによるものである。この方法は、イオン導入貼付材に組み込むための制御された投与量のガルバニ式バッテリーを生じる。その他の回路素子もまた、薄膜、スクリーン印刷または当該技術状態によるそのような方法を使用して作製することができる。
【0031】
貼付材のその他の態様には気密性の裏地材料が含まれ、それは3M社のポリエチレン・テープ#1523、#1526(3M Corporation,St.Paul,Minnesotaから入手可能)、またはその他の閉鎖材料で構成されてもよい。電極を固定保持し、裏地材料に取り付けられるのは電池壁規定層であって、中間のチャンバ空洞ならびにアノードとカソードの電池空洞を規定する独立した開口を有する。電池壁規定層は3M社の#1772ないし同様の材料で構成されてもよい。電池壁規定層によって規定される空洞の各々に吸着層が加えられ、電池空洞に流体を保持するのに役立つ。この吸着層は、ポリアクリルアミドのような水溶液と接触するとゲルを形成する材料であってもよく、あるいはコットン、ガーゼ、ないしその他の親水性材料であってもよい。イオン導入装置を皮膚に固着するために粘着層が使用され、それもまた3M社の#1523ないし#1526のような材料で構成されてもよい。
【0032】
制御された投与量のイオン導入装置を使用するために、伝達されるべきカチオンを含む溶液がカチオン性薬剤のチャンバに入れられ、アニオン材料を含む溶液がアニオン性薬剤のチャンバに注入される。中間のチャンバは装置の上部ないし底部のいずれかのアクセス・ポートを通して導電性の塩で満たされることが好ましい。場合によっては、中間のチャンバは塩を含んだゲルないしペーストで前もって満たされることもある。アニオン性ないしカチオン性薬剤のチャンバとは異なり、中間のチャンバないし電源ないし電源群は皮膚に接触しないようにされる。その後、この貼付材は薬剤を投与すべき身体部分に当てられ、貼付材底部の粘着層または上に重ねられる包帯材料によって皮膚に接着される。いったん皮膚に接触すると、電流を通して薬剤化合物を伝達することができるように電気回路が完成される。
【0033】
(詳細な説明)
本発明の詳細な説明で、経時的に変化する速度を使用する性能を有した、進歩した多重電源、多重速度型のガルバニ式経皮薬剤伝達システムの原理を例示する。極めて限定した数の範例的構成および材料組成を使用して実施形態を説明する。しかしながら本発明の概念で包含される原理の応用ははるかに広範囲であり、実際には一次および中間ないし治療薬剤含有ないし追加のガルバニ電源ないしチャンバ、多数の導体と一緒になった抵抗素子ないし装置およびその他の回路素子、ガルバニ対(酸化可能種と還元可能種)、伝達されるべき治療薬剤および身体装着可能な貼付材の実際の構成について多くの構成が可能であると考えられる。したがって、ここで示す記述と説明は範例として意図したものであり、いかなる方式でも本発明の範囲を制限することを意味しない。ガルバニ式電源、ガルバニ式チャンバ、ガルバニ対のような用語は互換的に使用される。
【0034】
図面のうち図1、2および6から9までは、本発明の多重電源、多重速度、経時的可変性、ガルバニ式概念を例示するいくつかのイオン導入システムを図式的に描くことを意図するものである。身体装着可能なイオン導入貼付材の図式的表現は10で示されており、それにはカチオン性薬剤チャンバ12およびアニオン性薬剤チャンバ14を含む主要な2つのチャンバのガルバニ対が含まれる。カチオン性チャンバ12は亜鉛でもよい酸化可能材料の供給源16を有し、アニオン性チャンバ14は塩化銀でもよい還元可能材料の供給源18を有する。第1の追加的ないし中間のチャンバないし電源20はチャンバ12と14との間に位置し、それ自体が、同じ(Zn)または材料16とは異なる材料であってもよい酸化可能材料22と、同じ(AgCl)または材料18とは異なる材料であってもよい還元可能材料24とを含む。これらは中間チャンバ内で導電的な関係で含まれる。
【0035】
図2は図1のイオン導入システムを示しているが、しかし中間チャンバ20で使用されるものと同じでも異なっていてもよい酸化可能材料の供給源28と還元可能材料の供給源30とを含む第2の中間チャンバ26を有する。図1で導体32、34はチャンバ12、20および18を直列に導通させる。図2で追加の中間導体36は中間チャンバ20と26を直列に接続するために設けられる。随意追加の抵抗器装置23は図1で、ガルバニ電源(12、14)と20と並列に、導体32と34との間で点線で接続して示され、一対の随意追加の抵抗装置23aおよび23bが図2で2つの中間電源20および26と並列に接続されて示される。抵抗器を使用した場合、すべての電源が活動状態の間は電源が直列に動作し、並列接続された電源が枯渇状態になると回路に連続性を供給する。範例の抵抗器装置23,23a,23bの値は任意であってもよいが、通常は皮膚抵抗にほぼ等しいか、または概して1Kオームから100Kオームまでの範囲で通常は10Kオームであるかもしれない。
【0036】
図7bは図1に描いた図式的なイオン導入装置のための単純な回路図を描いており、そこでは抵抗23はイオン導入式輸送に使用される貼付材装置が遭遇する平均的な皮膚抵抗に概して等価の約10Kオームである。
【0037】
図7aは図7bに描いた図式的装置の動作をグラフで表わしており、初期の高い丸薬伝達70が72で対22/24が枯渇して72で急激に減衰し、元の値の約1/4である74での値となり、同じ量で、直列抵抗器23が加えられると電位が半分に切り取られて抵抗が2倍になることに気が付く。もう1つの大きな低下は対16、18が枯渇すると76で生じ、78で伝達が急速に0に落ちる。これは、それゆえ、処置の着手時ないし開始時に薬剤を多めに投与し、その後に低めの投与量を長時間行なうという1つの実施形態を描くものである。この薬剤伝達プロファイルは、体内でできるだけ迅速に治療的レベルまで到達させ、その後に長時間にわたって治療的レベルよりもわずかに上に薬剤レベルを維持するのに適した低い薬剤伝達速度にすることが望ましい用途に適している。
【0038】
図9は図1および7bに示したものと同様の構成に由来する実際の実験データを表わしている。その図で曲線80と82との間に一定の差異はあるが、それらは明らかに初期の高速注入の丸薬投与とそれに続く低速での長めの期間と最終的な電流消滅を示している。
【0039】
最後に、図1および7bのそれらと類似した回路を表わす図8bを参照すると、第2ないし追加の電源22、24が対向する極性で接続されてそれにより22、24によって生じる電流が図8aの90で示したような16、18によって生じるそれと反対になっていることが異なる点であり、これが、最初は回路の支線につながれた皮膚に流れる正味の電流を無くし、それにより92で対22、24のアノードないしカソードが枯渇するまでイオン導入による伝達を生じなくさせ、その後に伝達電流が急速に0.05mAまで上昇し、そこで一次ないし薬剤伝達対16、18の寿命の残りの間を通して94で実質的に一定のままとなる。薬剤伝達対16/18にある電極の枯渇で、電流は再び96で急速に低下し、98で0となる。
【0040】
少数の範例からでさえ当業者であれば電子回路の設計で数多くの変形に到達できることは明らかであり、あり得る電流−時間プロファイルに基づいて殆どすべての想像可能な所望の薬剤伝達プロファイルを生じる回路を構築する。こうして、電池が様々なクーロン容量を有し得ることおよび外部抵抗が変えられることを考慮すると、殆どすべての数の電池および抵抗器で直列および並列の組み合わせが可能である。さらに、直列ではなくて並列に追加の電池を使用することによって伝達に追加の時間を加えることができることに留意すべきである。
【0041】
図3の分解組み立て図は図1に描いたものと同様の実施形態に関してイオン導入電極と導体のシステムの1つの好ましい解決策を描くものである。それは裏地材料層50の層を含み、これは3M社のポリエチレン・テープ#1523、#1526またはその他のそのような閉鎖用の膜であってもよく、中間の電池の充満ポートは52で示される。二重ガルバニ電源システムは裏地層50の下で可撓性の回路スクリーン層54上に印刷されて示される。電池壁規定層は56で示され、チャンバのための吸着層は58、60および62で示される。最後の底部粘着層は64で示される。
【0042】
図4の断面図は、図1で表わされるものと同様でそれゆえ同じ参照番号が使用できる、本発明の一中間チャンバ・バージョンを使用する間の電子とイオンの流れを描くものである。中間のチャンバないし電源20は一次対12、14と同じかまたは短い使用寿命を有してもよい。この方式で、一次対12、14による伝達速度を増倍するであろう中間電源20は、カチオン性薬剤チャンバ電極の酸化可能材料16が枯渇するかまたはアニオン性薬剤チャンバ電極の還元可能材料18が枯渇するかのいずれかで電流が本質的にゼロとなって薬剤化合物の伝達が完了するように量を制御する。
【0043】
図5は本発明によって調製されたバッテリーから流れる時間の関数としての電流の固定伝達を描いている。この実験で、制限供給の亜鉛が酸化可能種としてはたらき、還元可能種は塩化銀であり、1つの中間電池を使用した。比較の目的で、やはり亜鉛を制限供給の酸化可能種として使用し、かつ塩化銀を還元可能種として使用する従来のガルバニ式システムの電流−時間プロファイルも同様に図表化する。図示したように、電流レベル(したがって薬剤伝達速度)は本発明の方が高く、これは印加電圧がより高い(2ボルトvs.1ボルト)せいである。
【0044】
図6は一体化した切り換え器を備え、やはり亜鉛と塩化銀を酸化可能種および還元可能種として使用する、図1と同様の本発明を描くものである。切り換え器を「A」の位置に作動させると高い印加電圧(このケースでは2ボルト)および高い方の薬剤流が可能になる。切り換え器を「B」の位置に合わせると電圧が低下(このケースでは1ボルト)し、低い方の薬剤流になる。加えて、これは単純な切り換え器アッセンブリでもって高および低流速の間で薬剤流のマニュアル調節を可能にするために本発明がどのようにして変形され得るかを示す。加えて、図示した中間位置で電流は遮断され得る。
【0045】
特許の法令に従うため、および当業者にこの新規な原理を応用し、かつ必要とされる特定の構成要素を作製して使用するのに必要な情報を供給するためにかなり詳細に本発明をここに説明してきた。しかしながら、本発明が特定の異なる機器および装置で実施可能であり、本発明の範囲を逸脱することなく機器および操作手法の両方に対して様々な変形が実施可能であることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による、一次ガルバニ対ないし電源を有し、かつ二次ガルバニ対ないし電源を有する中間チャンバを有するガルバニ式のイオン導入システムの概略図である。
【図2】一次ガルバニ対ないし電源と2つの中間チャンバないし電源とを有する、図1のものと類似したガルバニ式のイオン導入システムの概略図である。
【図3】図1のものと同様の実施形態としてスクリーン印刷した回路システムを含むイオン導入貼付材の実施形態の組み立てを示す分解組み立て図である。
【図4】やはり図1のものと類似した本発明の一中間電源バージョンの中のイオンの流れを図式的に描いた断面図である。
【図5】本発明の一中間電源バージョンと中間ガルバニ電源のない従来のガルバニ式システムとの間で電流−時間プロファイルのプロットを比較した図である。
【図6】マニュアルでさらに高い電圧とさらに低い電圧による活性化の調節および遮断の設定を可能にするために図1のシステムと接続した切り換えメカニズムを含んだ図である。
【図7a】1つの追加電源および皮膚抵抗に近似した並列抵抗を使用したときのグラフを描いた図である。
【図7b】1つの追加電源および皮膚抵抗に近似した並列抵抗を使用したときの回路図である。
【図8a】電源の極性を対向させた構成に関して得た図7aと同様のグラフを描いた図である。
【図8b】電源の極性を対向させた構成に関して得た図7bと同様の回路図である。
【図9】図7bの構成を使用して得た実際の実験データを表わす図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)複数の自給式で直列接続されたガルバニ電源と、
(b)1つまたは複数の前記ガルバニ電源と並列に接続された抵抗装置とによって特徴付けられる、経皮的なイオン導入による治療薬剤伝達システム。
【請求項2】
前記複数のガルバニ電源が、クーロン容量のさらに少ない1つまたは複数の電源を有する、請求項1に記載のイオン導入システム。
【請求項3】
前記複数ガルバニ電源のうちの1つまたは複数がスクリーン印刷を使用して調製された電極を有する、請求項1に記載のイオン導入システム。
【請求項4】
そのようなガルバニ電源が直列に接続された、請求項2に記載のイオン導入システム。
【請求項5】
反対の極性関係で直列に接続され、かつ抵抗器装置と並列に接続された低いクーロン容量の電源を含み、それによって低いクーロン容量の電源の枯渇の後にのみイオン導入による伝達電流が皮膚に流れる一対のガルバニ電源を有する、請求項1に記載のイオン導入システム。
【請求項6】
1つまたは複数の前記ガルバニ電源が既知のクーロン容量である、請求項1に記載のイオン導入システム。
【請求項7】
前記直列接続のガルバニ電源と交差して接続された切り換え装置をさらに含む、請求項1に記載のイオン導入システム。
【請求項8】
前記低いクーロン容量の電源と交差して接続された切り換え装置をさらに含む、請求項2に記載のイオン導入システム。
【請求項9】
(a)各々が酸化可能種と還元可能種を含む複数のガルバニ電源を含み、
(b)前記複数ガルバニ電源のうちの少なくとも1つが、
(1)治療薬剤のための第1の伝達チャンバと接触した酸化可能種と、
(2)治療薬剤のための第2の伝達チャンバと接触した還元可能種とをさらに含む活性薬剤電源であり、
(c)前記経皮的イオン導入による伝達システムの全体のガルバニ電位が前記活性薬剤電源の合計である前記複数ガルバニ電源を直列に接続する導体を含み、
(d)前記ガルバニ電源のうちの少なくとも1つと並列に接続された抵抗器装置を含む、治療薬剤を経皮的に伝達するためのイオン導入システム。
【請求項10】
少なくとも1つの低いクーロン容量のガルバニ電源を含む、請求項9に記載のイオン導入システム。
【請求項11】
等しくないクーロン容量の直列に接続されたガルバニ電源に並列に接続された抵抗器装置をさらに含む、請求項9に記載のイオン導入システム。
【請求項12】
薬剤電源が少なくとも1つの他の電源よりも高いクーロン容量を有する、請求項11に記載のイオン導入システム。
【請求項13】
薬剤電源と第2の電源を含み、前記第2の電源が枯渇するまで治療薬剤が最初に高い速度で伝達され、その後に低速になるように薬剤電源がより高いクーロン容量を有する一対の直列接続されたガルバニ電源を有する、請求項11に記載のイオン導入システム。
【請求項14】
直列接続された薬剤電源と第2のガルバニ電源が反対の極性で接続され、それにより前記第2の電源が枯渇するまで正味ないし電流が流れない、請求項13に記載のイオン導入システム。
【請求項15】
使用者が所望の伝達電位を選択するのを可能にするために、前記薬剤電源に直列接続された1つまたは複数の電源を選択的にバイパスする切り換え手段をさらに含む、請求項9に記載のイオン導入システム。
【請求項16】
前記ガルバニ電流の通過を阻止するための切り換え手段をさらに含む、請求項9に記載のイオン導入システム。
【請求項17】
並列に接続された複数のガルバニ電源をさらに含む、請求項9に記載のイオン導入システム。
【請求項18】
前記切り換え手段が低い方のクーロン容量のガルバニ電源が枯渇によって供給され、それによって付随する電流を開く、請求項16に記載のイオン導入システム。
【請求項19】
前記ガルバニ電源内の前記酸化可能種が普通のものである、請求項9に記載の伝達システム。
【請求項20】
前記ガルバニ電源内の前記還元可能種が普通のものである、請求項9に記載の伝達システム。
【請求項21】
前記ガルバニ電源内の前記酸化可能種と前記還元可能種が普通のものである、請求項9に記載の伝達システム。
【請求項22】
前記酸化可能種と前記還元可能種で構成されるグループから選択される1つの種が既知の少量で前記電源のうちの少なくとも1つに供給され、前記イオン導入システムで1つまたは複数の前記電源の既知の固定クーロン容量を与える、請求項9に記載の伝達システム。
【請求項23】
前記酸化可能種がMgとZnから選択され、かつ前記還元可能種がAgClである、請求項9に記載の伝達システム。
【請求項24】
前記電源すべてのクーロン容量が既知である、請求項22に記載の伝達システム。
【請求項25】
既知で固定の電位とクーロン容量の第1の自給式ガルバニ電源を使用した皮膚貼付の経皮的イオン導入の伝達システムを使用して治療薬剤の既知投与量を伝達する方法であって、1つまたは複数の追加の自給式ガルバニ電源を前記第1の自給式ガルバニ電源と直列に供給し、前記固定電位を上昇させ、経皮的な伝達速度を上昇させるステップを含み、そこでは追加の自給式ガルバニ電源が並列の抵抗器装置を供給される、方法。
【請求項26】
直列接続されることになる自給式ガルバニ電源の数を治療薬剤の伝達に関連して選択的に決定するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
複数の追加の自給式ガルバニ電源が供給される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
各々のガルバニ電源が既知の固定クーロン容量を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つの追加ガルバニ電源が前記第1よりも低いクーロン容量を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項1】
(a)複数の自給式で直列接続されたガルバニ電源と、
(b)1つまたは複数の前記ガルバニ電源と並列に接続された抵抗装置とによって特徴付けられる、経皮的なイオン導入による治療薬剤伝達システム。
【請求項2】
前記複数のガルバニ電源が、クーロン容量のさらに少ない1つまたは複数の電源を有する、請求項1に記載のイオン導入システム。
【請求項3】
前記複数ガルバニ電源のうちの1つまたは複数がスクリーン印刷を使用して調製された電極を有する、請求項1に記載のイオン導入システム。
【請求項4】
そのようなガルバニ電源が直列に接続された、請求項2に記載のイオン導入システム。
【請求項5】
反対の極性関係で直列に接続され、かつ抵抗器装置と並列に接続された低いクーロン容量の電源を含み、それによって低いクーロン容量の電源の枯渇の後にのみイオン導入による伝達電流が皮膚に流れる一対のガルバニ電源を有する、請求項1に記載のイオン導入システム。
【請求項6】
1つまたは複数の前記ガルバニ電源が既知のクーロン容量である、請求項1に記載のイオン導入システム。
【請求項7】
前記直列接続のガルバニ電源と交差して接続された切り換え装置をさらに含む、請求項1に記載のイオン導入システム。
【請求項8】
前記低いクーロン容量の電源と交差して接続された切り換え装置をさらに含む、請求項2に記載のイオン導入システム。
【請求項9】
(a)各々が酸化可能種と還元可能種を含む複数のガルバニ電源を含み、
(b)前記複数ガルバニ電源のうちの少なくとも1つが、
(1)治療薬剤のための第1の伝達チャンバと接触した酸化可能種と、
(2)治療薬剤のための第2の伝達チャンバと接触した還元可能種とをさらに含む活性薬剤電源であり、
(c)前記経皮的イオン導入による伝達システムの全体のガルバニ電位が前記活性薬剤電源の合計である前記複数ガルバニ電源を直列に接続する導体を含み、
(d)前記ガルバニ電源のうちの少なくとも1つと並列に接続された抵抗器装置を含む、治療薬剤を経皮的に伝達するためのイオン導入システム。
【請求項10】
少なくとも1つの低いクーロン容量のガルバニ電源を含む、請求項9に記載のイオン導入システム。
【請求項11】
等しくないクーロン容量の直列に接続されたガルバニ電源に並列に接続された抵抗器装置をさらに含む、請求項9に記載のイオン導入システム。
【請求項12】
薬剤電源が少なくとも1つの他の電源よりも高いクーロン容量を有する、請求項11に記載のイオン導入システム。
【請求項13】
薬剤電源と第2の電源を含み、前記第2の電源が枯渇するまで治療薬剤が最初に高い速度で伝達され、その後に低速になるように薬剤電源がより高いクーロン容量を有する一対の直列接続されたガルバニ電源を有する、請求項11に記載のイオン導入システム。
【請求項14】
直列接続された薬剤電源と第2のガルバニ電源が反対の極性で接続され、それにより前記第2の電源が枯渇するまで正味ないし電流が流れない、請求項13に記載のイオン導入システム。
【請求項15】
使用者が所望の伝達電位を選択するのを可能にするために、前記薬剤電源に直列接続された1つまたは複数の電源を選択的にバイパスする切り換え手段をさらに含む、請求項9に記載のイオン導入システム。
【請求項16】
前記ガルバニ電流の通過を阻止するための切り換え手段をさらに含む、請求項9に記載のイオン導入システム。
【請求項17】
並列に接続された複数のガルバニ電源をさらに含む、請求項9に記載のイオン導入システム。
【請求項18】
前記切り換え手段が低い方のクーロン容量のガルバニ電源が枯渇によって供給され、それによって付随する電流を開く、請求項16に記載のイオン導入システム。
【請求項19】
前記ガルバニ電源内の前記酸化可能種が普通のものである、請求項9に記載の伝達システム。
【請求項20】
前記ガルバニ電源内の前記還元可能種が普通のものである、請求項9に記載の伝達システム。
【請求項21】
前記ガルバニ電源内の前記酸化可能種と前記還元可能種が普通のものである、請求項9に記載の伝達システム。
【請求項22】
前記酸化可能種と前記還元可能種で構成されるグループから選択される1つの種が既知の少量で前記電源のうちの少なくとも1つに供給され、前記イオン導入システムで1つまたは複数の前記電源の既知の固定クーロン容量を与える、請求項9に記載の伝達システム。
【請求項23】
前記酸化可能種がMgとZnから選択され、かつ前記還元可能種がAgClである、請求項9に記載の伝達システム。
【請求項24】
前記電源すべてのクーロン容量が既知である、請求項22に記載の伝達システム。
【請求項25】
既知で固定の電位とクーロン容量の第1の自給式ガルバニ電源を使用した皮膚貼付の経皮的イオン導入の伝達システムを使用して治療薬剤の既知投与量を伝達する方法であって、1つまたは複数の追加の自給式ガルバニ電源を前記第1の自給式ガルバニ電源と直列に供給し、前記固定電位を上昇させ、経皮的な伝達速度を上昇させるステップを含み、そこでは追加の自給式ガルバニ電源が並列の抵抗器装置を供給される、方法。
【請求項26】
直列接続されることになる自給式ガルバニ電源の数を治療薬剤の伝達に関連して選択的に決定するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
複数の追加の自給式ガルバニ電源が供給される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
各々のガルバニ電源が既知の固定クーロン容量を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つの追加ガルバニ電源が前記第1よりも低いクーロン容量を有する、請求項25に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【公開番号】特開2007−14793(P2007−14793A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228645(P2006−228645)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【分割の表示】特願2001−549729(P2001−549729)の分割
【原出願日】平成12年10月4日(2000.10.4)
【出願人】(502237663)トラヴァンティ ファーマ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【分割の表示】特願2001−549729(P2001−549729)の分割
【原出願日】平成12年10月4日(2000.10.4)
【出願人】(502237663)トラヴァンティ ファーマ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
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