説明

速硬、高初期強度バインダー

【課題】リン酸セメントを含むセメント様修復材料として使用するための速硬、高初期強度バインダーを提供すること。
【解決手段】水と実質的にi)水性溶液中でマグネシウムイオンを提供できる化合物、ii)リン酸カリウム化合物、およびiii)所望により更なるリン酸源からなる活性成分との混合物を形成することを含む(ここで、該混合物は実質的にアンモニアまたはアンモニウムイオン含有化合物非存在下で形成させる)、セメント様物質により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセメント様バインダーに関する。より具体的に、本発明は、リン酸セメントを含むセメント様修復材料として使用するための速硬、高初期強度バインダーに関する。
【背景技術】
【0002】
高初期強度のセメント様バインダーは過去にセメント構造物の修復用として、または構造物を形成するためのセメント様組成物の成分として使用されている。これらの物質の一つのクラスにおいて、リン酸アンモニウムのMgOのようなマグネシウムイオン提供物質との反応が、バインダー物質を製造するのに使用されている。国際特許公開WO96/35647は、カリウムストルーブ石をリン酸アンモニウム反応物から製造する機構を記載する。Al、Ca、MgまたはNaのリン酸塩のような他の金属リン酸塩をリン酸アンモニウムと組み合わせて、またはその変わりに使用することが提案されている。
【0003】
USPN2,522,548は、金属酸化物または水酸化物(Ca、MgまたはZn)、第一金属リン酸塩(Mg、Ca、Zn、Mn、AlまたはFe)および第一アルカリ金属リン酸塩(NaまたはK)から製造したリン酸バインダーで製造した金属鋳造のための耐火性モールドの製造を記載する。バインダーは充填剤と凝固遅延剤を組み合わせ得る。
【0004】
USPN4,444,594は、天井タイルとして適用する、鉱物綿と適合するバインダー物質として適当な酸硬化無機組成物を記載する。バインダーはMgO、酸リン酸、塩化物、または硫酸塩、アミノアルコールと水を反応させて製造する。充填剤をバインダーに添加し得る。酸リン酸はリン酸アンモニウム(好ましい)、リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムであり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
慣用の修復バインダーまたはモルタルの使用により遭遇する問題の一つは、ストルーブ石を形成するためのMgOまたはMgOHのようなアルカリ土類金属酸化物または水酸化物との水中での反応のために通常リン酸アンモニウム水和物を成分として含むことである。リン酸アンモニウム塩とアルカリ土類金属の反応はアンモニアをガスとして放出し、泡の原因となり、望ましくない環境的臭気を発生させる。このようなバインダーまたはセメントの室内での使用は非常に制限されている。
【0006】
慣用の物質での更なる問題は、アルカリ土類金属イオンとリン酸アンモニウム塩との反応が非常に速く、バインダー硬化がほとんど即時であり、作業者が生産物を適切に“仕上げる”能力を制限する。凝固遅延剤が、従って、修復を必要とする構造物を処理するための組成物を有効に機能させるのに必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明の目的は、製造においてアンモニアガスの発生をさける、リン酸セメントを基本にした高初期強度バインダーを提供することである。
【0008】
バインダーの作業能および仕上げの操作を行うための硬化時間を有する、高初期強度バインダーを提供することが本発明の更なる目的である。
【0009】
本発明は、その有用性がセメント様構造物の修復物質を含む、高強度、速硬モルタルに有用なセメント様バインダーの製造法に関する。結合システムは、マグネシウム源とリン酸カリウムおよび水の反応によるカリウムストルーブ石の形成を基本にしている。それでも硬化が速いが、このバインダーの硬化時間はストルーブ石の硬化時間より遅い。不活性充填剤が、この物質を含むモルタルに含まれ、そして凝固遅延剤が、硬化前の作業可能時間を長くするために配合物に含まれてもよい。
【0010】
本発明の有意な利点は、ストルーブ石を基本にした速硬性モルタルの産業で使用される、慣用性のアンモニアまたはアンモニアイオン含有物質の排除である。モルタルの使用におけるアンモニア放出の回避は、非常にその適用性を広める。
【0011】
本発明は、水と実質的にi)水性溶液中でマグネシウムイオンを提供できる化合物、ii)リン酸カリウム化合物、およびiii)所望により更なるリン酸源からなる活性成分との混合物を形成することを含む(ここで、該混合物は実質的にアンモニアまたはアンモニウムイオン含有化合物非存在下で形成させる)、セメント様物質の製造法を提供する。一つの態様において、マグネシウムイオンの提供ができる化合物はMgO、そしてリン酸カリウム化合物がKHPOである。
【0012】
本発明は更に水と実質的にi)水性溶液中でマグネシウムイオンを提供できる化合物、ii)リン酸カリウム化合物、およびiii)所望により更なるリン酸源からなる活性成分との混合物を形成する(ここで、該混合物は実質的にアンモニアまたはアンモニウムイオン含有化合物非存在下で形成させる)ことにより製造したセメント様バインダーを損傷部に適用することを含む、セメント構造物の損傷部の修復法も提供する。
【0013】
一つの態様において、本発明のセメント様バインダーは、混合物の製造が実質的に不活性な充填剤を添加することを含む、モルタルを製造するための混合物として形成される。
【0014】
本発明は更に不活性充填剤、水、ならびに実質的にi)水性溶液中でマグネシウムイオンを提供できる化合物、ii)リン酸カリウム化合物、およびiii)所望により更なるリン酸源からなる活性成分との混合物を形成する(ここで、該混合物は実質的にアンモニアまたはアンモニウムイオン含有化合物非存在下で形成させる)ことにより製造したモルタルを損傷部に適用することを含む、セメント構造物の損傷部の修復法を提供する。
【0015】
本発明は、コンクリート、フローリング材料、グラウトおよびセメント構造物の修復またはパッチ物質等に有用な、高強度、速硬セメント様組成物を製造するための方法およびバインダー配合物を提供する。本発明の方法および組成物は、それを流し込み、または配置する場所の非常に近くで水と混合する、建築素材に有用である。
【0016】
本発明の物質は室内で使用できることが望まれ、そのためそれを製造するために使用する配合物に使用できる成分が制約される。例えば、修復物質として使用されている先行技術のアンモニウムイオン含有配合物は、水により開始される反応中アンモニアガスを発生させ、従って一般に室内では使用できない。
【0017】
本発明は高強度セメント様バインダーの製造を可能にする配合物および方法を、実質的にアンモニアまたはアンモニウムイオン含有化合物非存在下で提供することにより、アンモニアガスの発生を排除する。
【0018】
本発明の結合システムは、マグネシウムの源をKHPOのようなリン酸カリウム化合物と水と反応させることによる、カリウムストルーブ石(MgKPO6HO)の形成を基本にしている。この方法は、水と実質的にi)水性溶液中でマグネシウムイオンを提供できる化合物、ii)リン酸カリウム化合物からなる活性成分との混合物を形成することを含む(ここで、該混合物は実質的にアンモニアまたはアンモニウムイオン含有化合物非存在下で形成させる)。好ましい態様において、マグネシウムマグネシウムイオンの提供ができる化合物はMgO、そしてリン酸カリウム化合物がKHPOである。
【0019】
本発明で使用できるマグネシウムイオンの他の源は、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム水和物、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、チオ硫酸マグネシウム、亜硝酸マグネシウム、チオシアン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム(1塩基)、臭化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、硝酸マグネシウムおよびこれらの融和性混合物を含むが、これらに限定されない。
【0020】
活性成分(即ち、マグネシウム源、リン酸カリウム化合物、凝固遅延剤、付加的リン酸源および水)を基本にして、配合物は好ましくは約10から約35重量%、好ましくは約13から約30重量%のマグネシウム源化合物、および約30から約60重量%、好ましくは約30から約56重量%のリン酸カリウム化合物を含む。水は一般に約15から約40重量%、好ましくは約16から約39重量%で添加し、配合物の他の成分の間の反応を開始させる。
【0021】
このようにして製造したセメント様バインダーは、グラウトとして、もしくはパッチまたは修復材料として、硬化前にバインダーを目的表面に適用することにより使用できる。
【0022】
なお急速硬化ではあるが、このバインダーの硬化時間はストルーブ石の硬化時間より遅い。これは流し込み、モールド、パッチまたは他の型に、塑性段階で作業することを可能にする。
【0023】
所望により、一般に3重量%までの凝固遅延剤の混合物への任意の添加により、硬化時間を更に遅くできる。適当な凝固遅延剤の例は、オキシボロン化合物、ポリリン酸、ポリリン酸の塩、カルボン酸、カルボン酸の塩、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の塩、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸の塩、ハロゲン、硝酸、亜硝酸、または硫酸のアルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0024】
本発明のセメント様バインダー用の適当な凝固遅延剤の更なる例は、ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム10水和物、トリメチルホウ酸のようなトリアルコキシホウ酸、トリアリールホウ酸、ニトリロトリス(メチレン)トリス(ホスホン)酸およびその五ナトリウム塩、クエン酸、クエン酸ナトリウム(1塩基性または2塩基性)、トリメリト酸(水和物)、ニトリロ三酢酸三ナトリウム塩(1水和物)、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ナトリウムシリコフロライド、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどを含むが、これらに限定されない。
【0025】
バインダーの他のリン酸源は、所望によりリン酸カリウムに加えて、または一部それと置き換えて使用し得る。付加的リン酸源は、バインダーの分散剤および/または反応の加速剤として機能し得、物質の強度進展に寄与できる。このようなリン酸源の例は、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウムおよびトリポリリン酸ナトリウムカリウムを含むが、これらに限定されない。付加的リン酸源は、混合物中の他の成分に、約20重量%まで、好ましくは約15重量%までの量で添加できる。
【実施例】
【0026】
本発明のセメント様バインダーおよび方法の実施例例を、先行技術のアンモニウムイオン含有配合物と比較して行った。マグネシウム源、リン酸源、水および所望により凝固遅延剤を混合し、モールドに置き、硬化させる。特異的バインダー混合物成分およびその量は下記表1に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
最初の混合物の流動性を評価し、硬化時間をASTM C-191に記載のVicat装置で測定し、成形品の圧縮強度をASTM C-109に記載のように24時間後に試験した。結果を下記表2に示す。
【0029】
【表2】

【0030】
比較例1、4および7は硬化中に大量のアンモニアガスを発生させ、強度試料がその鋳型からはみ出した。比較例3、6および9は混合中、および強度試料の流し込み後数分間、アモニアガスを発生させた。これにより物質が鋳型から流出し、次いで縮んで戻り、高い多孔性の半形成の立方体となった。比較試料の大部分がその急速な硬化中のガス発生により破損し、そのため24時間圧縮強度試験を行うことができなかった。
【0031】
約45分以内で、まだ幾分急速であるが、比較物質よりも遅く硬化する本発明の実施例のバインダーでは、問題は発生しなかった。本発明の全サンプルの24時間圧縮強度は、試験に供することができた比較サンプルの最良のものと同等かそれよりよかった。
【0032】
試験の第2のシリーズを、本発明の実施例を先行技術セメント様バインダーと比較するために、上記のように行った。この試験において、異なる配合物で硬化時間を一致させるようにするために、凝固遅延剤の量を変えた。バインダー配合物を下記表3に示す。
【0033】
【表3】


【0034】
初期混合物の流動性を評価し、硬化時間を測定し、成形品の圧縮強度を24時間後にまた測定した。試験の結果を下記表4に示す。
【0035】
実施例 流動性 硬化時間(分) 24時間圧縮強度(MPa)
比較例10 作業可能 17 10.9
11 作業可能 16 10.9
比較例12 流動性 58 30.3
13 作業可能 44 5.1
14 作業可能 44 5.2
比較例15 作業可能 29 19.6
比較例16 作業可能 41 20.7
比較例17 作業可能 25 52.6
比較例18 流動性 22 19.4
【0036】
比較例10、15および16は強度試料がその鋳型から流れ出すほど大量のアンモニアガスを放出した。
比較例12において、NHPO、水およびKCOは、ガス発生がMgOおよびホウ酸を添加する以前に起きるように、30分以上反応させた;ガスは硬化過程中依然として発生し、強度試験の試料の製造を困難とした。
【0037】
比較例17において、KCOを500ミクロン以下に粉砕し、ガス発生がMgOおよびホウ酸を添加する前まで起きるように、NHPO、水およびKCOを約30分間反応させた。
【0038】
比較例18において、KCOを混合水に溶解し、次いで、ガス発生がMgOおよびホウ酸を添加する前までに起きるように、NHPO、水そしてKCOを30分以上反応させた;ガスは硬化過程中もなお発生し、強度試験の試料の製造を困難とした。
【0039】
アンモニアガス発生に関する問題は、本発明の実施例により避けれられ、許容できる硬化時間および圧縮強度が達成された。
本発明のセメント様バインダーは、シリカ砂、クラスFフライアッシュ、タルク、クレイベース砂、シリカフュームおよびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない実質的に不活性な充填剤を含むモルタル配合物で有用である。
【0040】
本発明のモルタル組成物を完成するために、得られるモルタルの重量を基本にして、不活性充填剤が、約60から約85%、好ましくは約70%から約80%の量で、セメント様バインダーに添加され得る。
【0041】
セメント様モルタルを本発明の方法に従って製造し、初期硬化時間、24時間および7日の両方の圧縮強度を測定した。配合物および試験結果は下記に実施例19−24として示す。
【0042】
実施例19
反応性粉末
(29% MgO、60% KHPO、11%トリポリリン酸ナトリウム): 553g
フライアッシュ: 392g
シリカ砂: 2354g
水: 345mL

初期硬化時間=18分
24時間圧縮強度=28.0Mpa
7日圧縮強度=29.8Mpa
【0043】
実施例20
反応性粉末
(21.8% MgO、72% KHPO、0.9%ホウ酸、5.3%トリポリリン酸ナトリウム): 553g
フライアッシュ: 392g
シリカ砂: 2354g
水: 345mL

初期硬化時間=38分
24時間圧縮強度=14.2Mpa
7日圧縮強度=25.5Mpa
【0044】
実施例21
反応性粉末
(45%% MgO、55% KHPO): 553g
フライアッシュ: 392g
シリカ砂: 2354g
水: 345mL

初期硬化時間=24分
24時間圧縮強度=21.9Mpa
7日圧縮強度=22.0Mpa
【0045】
実施例22
反応性粉末
(45% MgO、50% KHPO、5%トリポリリン酸ナトリウム): 553g
フライアッシュ: 392g
シリカ砂: 2354g
水: 345mL

初期硬化時間=14分
24時間圧縮強度=19.2Mpa
7日圧縮強度=25.1Mpa
【0046】
実施例23
反応性粉末
(33.2% MgO、50% KHPO、3.5%ホウ酸、13.3%トリポリリン酸ナトリウム): 553g
フライアッシュ: 392g
シリカ砂: 2354g
水: 345mL

初期硬化時間=37分
24時間圧縮強度=24.7Mpa
7日圧縮強度=35.1Mpa
【0047】
実施例24
反応性粉末
(21.5% MgO、50% KHPO、3.5%ホウ酸、25%トリポリリン酸ナトリウム): 553g
フライアッシュ: 392g
シリカ砂: 2354g
水: 345mL

初期硬化時間=89分
24時間圧縮強度=4.1Mpa
7日圧縮強度=14.7Mpa
【0048】
本発明のモルタルは、ストルーブ石により結合しているモルタルと類似の特性であり、即ち、速硬、高初期強度、容積安定であり、ほとんどの基材に安定に優れた結合をした。しかしながら、本発明のカリウムストルーブ石モルタルは反応副産物としてのアンモニアガスの発生を排除し、望ましい程度に遅いが、なお急速な硬化をし、より低い硬化熱の発生をもたらす。これらの利点は、モルタルの室内での使用、コーティング剤でのコートおよびその場での仕上げを可能にする。
【0049】
上記の本発明のセメント様組成物は、乾燥形で配合することができ、この混合物へ水を添加することにより活性化する。従って、このようなセメント様組成配合物は好ましくは本質的にi)水性溶液中でマグネシウムイオンを提供できる化合物、ii)リン酸カリウム化合物、およびiii)所望により更なるリン酸源からなる活性成分を含む;ここで、該混合物において、アンモニアまたはアンモニウムイオン含有化合物は実質的に存在しない。活性成分は好ましくは約10から約35部のマグネシウムイオン提供化合物、約30から約60部のリン酸カリウム化合物および約20部までの付加的リン酸源の量で存在する。配合物は更に実質的に不活性充填剤、および所望により凝固遅延剤を含み得る。
【0050】
このように、本発明の目的が達成されたことが示される。上記の実施例は、説明の目的のためのみであり、本発明がそれに限定されることはない。他の活性成分、充填剤、凝固遅延剤、分散剤、加速剤および他の混合物などを、本明細書に開示および記載の本発明の精神から離れることなく本発明のセメント様物質に添加し得ることは理解される。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲および同等な態様に入り得るすべての修飾および変形を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアまたはアンモニウムイオン含有化合物の不存在下、水と、(i)水溶液中でマグネシウムイオンを提供できるマグネシウム化合物および(ii)五酸化リンを提供できるリン酸カリウム化合物を、当該マグネシウム化合物と当該リン酸カリウム化合物由来五酸化リンとの重量比約0.25ないし1未満:1の割合で含む活性成分を混合することを特徴とする、アンモニアを発生することなく迅速な硬化が可能であり、優れた初期強度を達成するバインダーとして有用な、セメント様組成物を製造する方法。
【請求項2】
アンモニアまたはアンモニウムイオン含有化合物の不存在下、水と、(i)水溶液中でマグネシウムイオンを提供できるマグネシウム化合物および(ii)五酸化リンを提供できるリン酸カリウム化合物を、当該マグネシウム化合物と当該リン酸カリウム化合物由来五酸化リンとの重量比約0.25ないし1未満:1の割合で含む活性成分を混合することによって調製された、アンモニアを発生することなく迅速な硬化が可能であり、優れた初期強度を達成するバインダーとして有用な、セメント様組成物をセメント様構造の損傷部に適用することを特徴とする、損傷部の修復方法。
【請求項3】
アンモニアまたはアンモニウムイオン含有化合物の不存在下、不活性充填剤と、水と、(i)水溶液中でマグネシウムイオンを提供できるマグネシウム化合物および(ii)五酸化リンを提供できるリン酸カリウム化合物を、当該マグネシウム化合物と当該リン酸カリウム化合物由来五酸化リンとの重量比約0.25ないし1未満:1の割合で含む活性成分を混合することによって調製された、アンモニアを発生することなく迅速な硬化が可能であり、優れた初期強度を達成するバインダーとして有用な、モルタルをセメント様構造の損傷部に適用することを特徴とする、損傷部の修復方法。
【請求項4】
(i)マグネシウムイオンを提供できるマグネシウム化合物および(ii)五酸化リンを提供できるリン酸カリウム化合物を、当該マグネシウム化合物と当該リン酸カリウム化合物由来五酸化リンとの重量比約0.25ないし1未満:1の割合で含有し、かつ、当該マグネシウム化合物と当該リン酸カリウム化合物がそれぞれ約10〜15重量部と約30〜60重量部の量で含有されている活性成分を含んでおり、アンモニアまたはアンモニウムイオン含有化合物を含んでいないことを特徴とする、水に添加されるべきセメント様組成物。
【請求項5】
活性成分がさらなるリン酸源を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
活性成分がさらなるリン酸源を含む、請求項2記載の方法。
【請求項7】
活性成分がさらなるリン酸源を含む、請求項3記載の方法。
【請求項8】
さらなるリン酸源の量が約20重量部までである、請求項4記載の組成物。

【公開番号】特開2007−326775(P2007−326775A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178764(P2007−178764)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【分割の表示】特願平10−285154の分割
【原出願日】平成10年10月7日(1998.10.7)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】