説明

速答訓練システム

【課題】択一形式の問題の速答訓練を情報技術(IT)を利用して効率よく行うこと。
【解決手段】択一問題の練習教材を蓄積するサーバと、通信ネットワークを介して前記サーバから練習教材をダウンロードする情報端末装置とを備え、この情報端末装置において、択一問題の各問の回答制限時間を、複数の異なった回答制限時間から使用者に選択させ、情報端末装置の表示画面に択一問題を一問ずつ表示し、表示された択一問題を使用者が選択した回答制限時間内で回答するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は速答訓練システムに関し、特に、択一形式の問題の速答訓練を情報技術(Information Technology (IT))を利用して行う速答訓練システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の問題を解く試験において高得点をとるための一方策は、決められた回答制限時間内で少なくとも全問を回答することであり、できれば、全問回答後に回答を見直す余裕をもつようにすることである。特に、問題文と回答選択肢から構成される択一問題は、問題形式がほぼ一定であるため、択一問題をドリル学習(繰り返し学習)で練習すれば速答力を上げることができる。しかしながら、従来の「紙に印刷された練習問題」を使って速答訓練を行なっても、回答制限時間を種々設定して行なうとしても使用者の自主管理に任せていたのでは、「速読力」及び「速答力」を効率よく向上させることは非常に難しい。
【0003】
ところで、近年の情報技術(IT)の発達に伴い、通信ネットワークを利用した通信教育システムが種々提案されている。例えば、特許文献1では、複数の使用者(受験生)の情報端末装置を、通信ネットワークを介して試験機関のサーバに接続し、使用者毎に異なる試験開始時刻及び試験終了時刻を設定し、試験開始時刻に各使用者の情報端末装置に試験問題を配信し、試験終了時刻後に各使用者の情報端末装置から答案を受信する通信教育システムが開示されている。しかしながら、上記の特許文献1を含め、従来の情報技術を利用した学習訓練システムでは、択一問題の速答力訓練について何ら開示あるいは示唆する点は存在しない。
【特許文献1】特開2004−94214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、「紙に印刷された練習問題」を用いた「択一問題の速答訓練」は、使用者(受験生)の自主管理に任されている面が多く、このため速答力向上のための訓練としては非常に効率が悪いという従来の問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、択一問題の練習教材を蓄積するサーバと、通信ネットワークを介して前記サーバから練習教材をダウンロードする情報端末装置とを備え、この情報端末装置において、択一問題の各問の回答制限時間を複数の異なった回答制限時間から使用者に選択させ、情報端末装置の表示画面に択一問題を一問ずつ表示し、表示された択一問題を使用者が選択した回答制限時間内で回答するようにした速答訓練システムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、サーバからダウンロードした択一問題の各問の回答制限時間を、複数の異なった回答制限時間から使用者に選択させるようにしているので、例えば、回答制限時間を段階的に短縮してドリルの回答練習をすれば、速答力訓練として非常に効率がよいという顕著な効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0008】
図1は、本実施の形態を実現するためのネットワークシステムの一例を示す図であり、図示のシステムは、通信ネットワーク10と、この通信ネットワーク10に接続したサーバ12と複数の情報端末装置14とを有する。以下、情報端末装置として携帯電話を例にとって説明するが、本発明は、後述するように、携帯電話以外の携帯情報端末やパーソナルコンピュータなどにも応用可能である。
【0009】
システム運用者は、ドリル(同一形式の複数の練習問題)をサーバ10に格納し、使用者(契約者)は、サーバ10からドリルを自己の携帯電話14にダウンロードする。
【0010】
図2〜図7は使用者の携帯電話14のディスプレイに表示される画面であり、これらの画面を参照して本実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
図2(a)はスタート画面であり、『スタート』ボタンを選択すると図2(b)のメインメニュー画面に変わる。
【0012】
図2(b)のメインメニュー画面において:
(1)『本日のドリルをダウンロード』を選択すると、新しいドリルが日単位で通信ネットワーク10を介してサーバ12からダウンロードされる。誤って同日に2回以上『本日のドリルのダウンロード』を選択した場合には、画面上に「本日のドリルは既にダウンロード済みです」などのメッセージが表示される。なお、本発明は日単位でのダウンロードに限定されるものではなく、例えば、2日単位、半日単位、数時間単位のようにすることも可能である。
【0013】
(2)『タイムトライアル模試』を選択すると、ダウンロードした最新のドリルで模擬試験を受けることができる。このタイムトライアル模試はドリル毎に1回のみ実施できる。タイムトライアル模試を中途で止めた場合には再度の実施はできない。模試の成績(結果)は携帯電話内に蓄積されて後述の成績グラフで表すことができる。なお、中途で実施を止めた場合の成績データは、成績グラフ表示のデータとして使用できないので、携帯電話内には蓄積されない。
【0014】
(3)『ドリルの練習』を選択すると、図4で説明する種々のドリル練習を行うことができる。
【0015】
(4)『成績グラフ』を選択すると、過去の複数回のタイムトライアル模試の結果がグラフで表示される。
【0016】
(5)『お知らせ』を選択すると、利用者への連絡、例えば、システム保守によるサービスの一時中止、契約内容の変更などが表示される。
【0017】
(6)『契約情報・手続き』を選択すると、契約に関する種々の情報(契約料、契約期間、契約料の支払方法、契約の注意事項など)、及び、契約手続を行うための画面が表示される。
【0018】
(7)『システムの使用方法』を選択すると、システムの使用方法が表示される。例えば、『本日のドリルのダウンロード』『ドリルの練習』についての使用説明、ダウンロードされるドリルに含まれる択一問題の総数、ドリル全問の回答制限時間、タイムトライアル模試での各問の回答制限時間などが表示される。なお、タイムトライアル模試での各問当たりの回答制限時間については、システム運用者が「択一問題の総数」及び「全問の回答制限時間」を考慮して決定する。
【0019】
図2(b)において、『本日のドリルをダウンロード』を選択すると、携帯電話14のディスプレイには図2(c)の画面が表示される。図2(c)において、使用者が『後で実施(メインメニューへ)』を選択すると、図2(b)のメインメニュー画面に戻る。
【0020】
一方、図2(c)において『タイムトライアル模試』を選択すると、図3(a)に示すタイムトライアル模試の第1問目の択一問題が表示される。上述したように、タイムトライアル模試での各問の回答制限時間はシステム運用者により予め決められおり、各問の回答制限時間の経過は、例えば、図3に示すように、表示画面の下部の破線バーの長さで表示される。或いは、表示画面の空きスペースに経過時間をデジタル表示してもよい。ユーザが一問を回答制限時間内に回答すると、正解或いは不正解に拘わらず、次の択一問題が表示される。回答制限時間内に回答できなかった場合には次の択一問題が強制的に表示される。
【0021】
図3(b)は、タイムトライアル模試の第2問目の表示画面である。この画面は、上述の図3(a)のものと実質上同一なので説明を省略する。図3(c)は、ドリルの最終問題に回答した直後の画面であり、画面下部にドリルの全問の数と正解数が表示される点で、図3(a)及び図3(b)と異なっている。タイムトライアル模試の結果は、成績グラフのデータとして携帯電話内のメモリに蓄積される。
【0022】
図3に示した各画面の『パス』を使用者が選択すると、現在の問題から次の問題に移行する。この『パス』の機能は後述する図5での説明でも同様である。
【0023】
図2(b)の画面で『ドリルの練習』を選択すると、図4(a)の画面が表示される。使用者が図4(a)の画面に表示された『今回のドリル』『前回のドリル』『前々回のドリル』の内から希望するドリルを選択すると、図4(b)の画面が表示される。
【0024】
図4(b)において、
(1)『タイムフリーレビュー』を選択すると、時間制限なしにドリルの練習を行うことができる。したがって、使用者は、各問の回答制限時間を気にすることなく、辞書や参考書を見ながら問題を解くことができる。
【0025】
(2)『タイムトライアル(1)−25秒』を選択すると、ドリルの択一問題の各問の回答制限時間が25秒に設定される。設定時間である25秒は例示であり、ドリルの種類によってシステム運用者が予め設定するものである。
【0026】
(3)『タイムトライアル(2)−20秒(=模試)』を選択すると、ドリルの択一問題の各問の回答制限時間は、上述のタイムトライアル(1)の場合より5秒短い20秒に設定される。この回答制限時間は『タイムトライアル模試』における回答制限時間と同一に設定される。
【0027】
(4)『タイムトライアル(3)−15秒』を選択すると、ドリルの択一問題の各問当たりの回答制限時間は上述のタイムトライアル(2)よりも5秒短い15秒に設定される。
【0028】
このように、『ドリルの練習』において、択一問題の各問の回答制限時間を3段階に分けて何れかを選択できるようにしているので、例えば、『タイムトライアル(1)−25秒』でドリルの練習をした後、『タイムトライアル(2)−20秒(=模試)』を経て、『タイムトライアル(3)−15秒』を実施するように、段階的に回答制限時間を短縮していけば、速答訓練を効率よくできるという効果がある。
【0029】
図4(b)に示したタイムトライアル(1)(2)(3)の回答制限時間(25秒、20秒、15秒)は単なる例示である。実際には、例えば、速答訓練効果を考慮して『タイムトライアル(2)』の各問あたりの回答制限時間を決め、この回答制限時間を中心にして前後に適切な時間差を設けて『タイムトライアル(1)』及び『タイムトライアル(3)』の各問当たりの回答制限時間を求めるようにすればよい。なお、各問の回答制限時間は3段階ではなく4段階以上としてもよい。
【0030】
図5は、「タイムトライアル(2)−20秒(=模試)」を選択した場合の第1問から第3問までの表示画面を示す図である。
【0031】
図5(a)は、第1問目が正解の場合の表示画面であり、正解の場合は「正解」の文字が表示される。図面の下部の破線バーは1問当たりの制限時間の経過時間を示している。図5(b)は、第2問目が不正解の場合の画面であり、不正解の場合は「不正解」の文字を表示する他に正解を表示する。図面の下部の破線バーは図5(a)と同様である。図5(c)は、第3問目の回答が回答制限時間内になされなかった場合の表示画面であり、この時間切れは不正解とみなされて「不正解」の文字が表示されると共に正解が表示される。図5(c)図面の下部の破線バーは「時間切れ」なので画面の右端に達している。以後、ドリルの最終問題までの各問題について、場合に応じて上述の画面が表示される。
【0032】
図6はタイムトライアル模試の過去の複数回の成績をグラフで表示する画面を示し、この「成績グラフ」画面は、図2(b)のメインメニューで『成績グラフ』を選択することにより表示される。図6に示す「成績グラフ」画面では、過去30回の成績がグラフ表示されている。更に、本実施例の場合、使用者は、過去30回の成績グラフの他に、例えば、過去60回、過去100回の成績グラフを表示できるようになっている。
【0033】
図7は、本発明の変形例を示す図であり、この変形例では、「タイムトライアル模試」「タイムトライアル(1)〜(3)」において「問題文と選択肢を同時に表示する」のではなく「選択肢を表示してから一定時間後に問題文を表示する」ようにしている。問題文と選択肢を同時に表示する場合であっても、ユーザによっては選択肢を先に見て問題文を読む訓練をすることができるが、この変形例では、選択肢を読んでから問題文を読んで回答する訓練を強制的に行うものである。
【0034】
なお、ドリルの最終問の解答を終えたときに時間が余っており、且つ、『パス』した問題があれば、パスした問題を問題番号の若い順に表示して回答させるようにすることもできる。更に、パスした全問題に対して回答し終えても更に時間の余裕があれば、第1問から問題を表示して回答を見直すようにすることもできる。
【0035】
以上、本発明を携帯電話に応用した実施の形態を説明したが、本発明は、携帯電話に限定されることなく、他の携帯情報端末、例えば、PDA(Personal Digital Assistance)、ゲーム機、カーナビゲーション端末などにも応用可能である。更に、本発明は、上述の携帯情報端末だけでなく、インターネットに接続できるPC(Personal Computer)、デジタルTV(Television)などにも応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施の形態に使用するハードウエアを示す図。
【図2】実施の形態を説明するための携帯電話の表示画面を示す図。
【図3】実施の形態を説明するための携帯電話の表示画面を示す図。
【図4】実施の形態を説明するための携帯電話の表示画面を示す図。
【図5】実施の形態を説明するための携帯電話の表示画面を示す図。
【図6】実施の形態を説明するための携帯電話の表示画面を示す図。
【図7】図2から図6で説明した実施の形態の変形例を説明するための図。
【符号の説明】
【0037】
10 通信ネットワーク
12 サーバ
14 情報通信端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
択一問題の練習教材を蓄積するサーバと、通信ネットワークを介して前記サーバから練習教材をダウンロードする情報端末装置とを備え、該情報端末装置において、択一問題の各問の回答制限時間を複数の異なった回答制限時間から使用者に選択させ、情報端末装置の表示画面に択一問題を一問ずつ表示し、表示された択一問題を前記選択した回答制限時間内で使用者に回答させるようにしたことを特徴とする速答訓練システム。
【請求項2】
選択した前記回答制限時間内に使用者が回答した場合、或いは、選択した前記回答制限時間内に使用者が回答しない場合には、次の択一問題を情報端末装置の表示画面に表示することを特徴とする請求項1に記載の速答訓練システム。
【請求項3】
前記情報端末装置の表示画面に回答制限時間の経過時間を示すことを特徴とする請求項1または2に記載の速答訓練システム。
【請求項4】
択一問題の全問に回答すると、正解回答数及び不正解回答数を情報端末装置の表示画面に表示することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の速答訓練システム。
【請求項5】
前記複数の異なった回答制限時間は、問題の難易度、所定時間に回答すべき問題数などを勘案して練習教材の提供者が設定することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の速答訓練システム。
【請求項6】
択一問題の問題文と回答選択肢とを同時に前記情報端末装置の表示画面に表示することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の速答訓練システム。
【請求項7】
択一問題の回答選択肢を表示した後に択一問題の問題文を表示することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の速答訓練システム。
【請求項8】
前記情報端末装置は、携帯電話などの移動体通信端末であることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の速答訓練システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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