連結組立式封緘具
【課題】製作が容易、使用目的に合わせて細やかな仕様変更が可能、且つ従来品に比べて、安価且つ高級感のある連結組立式封緘具を提供する。
【解決手段】衣服等の商品へ係止するための手段を有する係止部材と、前記係止部材に連結部を介して、商品表示札を懸吊するための手段を有する吊下げ部材を連結する。
【解決手段】衣服等の商品へ係止するための手段を有する係止部材と、前記係止部材に連結部を介して、商品表示札を懸吊するための手段を有する吊下げ部材を連結する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
商品に商品表示札を懸吊するための封緘具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣服等の製造時に取付ける商品表示札は、合成樹脂製の安全ピンを衣服等に装着し、前記安全ピンに糸を結び付け、糸を商品表示札の孔に通して安全ピンに緊結することで、衣服等に懸吊されている。衣服出荷時に行う折れ針混入検査では、合成樹脂製の安全ピンを使用することで、金属製の安全ピンを使用していた時と比べ、検知器の誤反応が殆どなく高い検査効率を実現している。(例えば特許文献1参照。)
【0003】
また、前記合成樹脂製安全ピンに糸を結び付ける煩雑な作業を省略するために、安全ピンとフィラメント部を合成樹脂で一体成型した一体型封緘具が提案されている。前記一体型封緘具のフィラメント部の一端は安全ピンと一体成型され、他方は自由端となっており、該自由端を商品表示札に開けられた孔に貫通させ、前記安全ピンに設けられた係止孔に嵌着することで、環状のワイヤが商品表示札を環の内側に含んだ状態で前記安全ピンに接合され、安全ピンを衣服等に装着することで商品表示札を懸吊している。
【0004】
このように一体型封緘具は安全ピンとフィラメント部が一体成型であり、前記安全ピンの係止孔へフィラメント部を嵌着する際はワンタッチで可能なため、以前までの糸を結び付ける煩雑な作業が省略され、衣服等への商品表示札取付作業を迅速に進めることが可能となっている。さらに、安全ピン部分をフック状部材に変更することで、カバン等の安全ピンを通せない商品へも使用することを可能としている。(例えば特許文献2参照。)
【0005】
上記のように一方では衣服等への商品表示札取付の効率を上げるための発明が行われているが、他方では商品表示用の封緘具が合成樹脂製であるため、高級感の演出が非常に難しく、高価な商品への表示札取付には使用を敬遠されてしまう問題がある。
【0006】
そこで、高価な商品には図13に示すように、ブランドロゴを表示するための表示型封緘具9を使用することで、高級感を演出する方法がとられている。前記表示型封緘具9は、合成樹脂で成形された表示部材上蓋91と表示部材下皿92を合わせて構成されたブランドロゴを表示した表示部材6と、該表示部材6に設けられた連結孔94と、前記表示部材6を貫通するように載置された糸状物24と、該糸状物24の両端に固定された刺入部95とから構成されている。
【0007】
図13(A)に示すように、表示部材6に糸状物24を配置した後、表示部材上蓋91と表示部材下皿92を嵌合部93で合わせて接着し、表示封緘具9が完成する。使用の際は、糸状物24の一方に商品表示札27を通した後、刺入部95を連結孔94に嵌合し、他方の糸状物24を衣類のボタン穴等に通した後、前述と同様刺入部95を連結孔94に嵌合し、商品表示札を衣類に懸吊する。前記表示封緘具9はブランドロゴの表示や糸を使用することで高級感を演出している。
【特許文献1】特開平09−154603
【特許文献2】特開2001−261055
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記一体型封緘具により商品表示札等の取付作業の効率は上昇したが、フィラメント部を一体成型するため、製作工程が複雑となった。
【0009】
具体的には、まず金型が安全ピン部分とフィラメント部を一体とする形状となるため複雑となる。また製作工程では、延伸側と固定型からなる金型に合成樹脂を注入成形したのち、金型の延伸側を延伸させることでフィラメント部を成形する金型内延伸を行う。そのため、延伸側の金型を移動させる装置等の複雑な機構を備えた金型内延伸装置が必要となり、設備が高価なものとなっている。
【0010】
また、安全ピンや鍵状部材等の大きさや形状を変更する際、その度に金型を製作する必要があり、市場からの細かい要求に機動的に応えることは難しいのが現状である。
【0011】
他方、前記一体型封緘具は、材質が合成樹脂のためフィラメント部が弾性を持ち常に略環形状を維持しており、高級感の演出の要求に応えられていないのが現状である。
【0012】
また、前記ブランドロゴ入りの表示型封緘具9は、合成樹脂のフィラメント部の代わりに、糸を使用しブランドロゴを表示することで高級感を出しているが、前記表示型封緘具9の生産は、分割された表示部材の間に糸を通し、その後、接着剤により接着して組立てるため、この作業は手作業となり、生産効率が低いという問題を抱えている。例えば、組立作業の際、接着剤の量が多く、連結孔94が詰まってしまい使用できない等の不良品が発生する等、生産効率の向上が課題となっている。
【0013】
以上より本発明の目的は、製作が容易、使用目的に合わせて細やかな仕様変更が可能、且つ従来品に比べて、安価且つ高級感のある連結組立式封緘具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明に係る連結組立式封緘具は、衣服等の商品へ係止するための手段を有する係止部材と、前記係止部材に連結部を介して、商品表示札を懸吊するための手段を有する吊下げ部材を連結することを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明に係る連結組立式封緘具は、前記係止部材と吊下げ部材とは複数種類が準備されており、前記係止部材と吊下げ部材のうち任意の1組を選び、連結することを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明に係る連結組立式封緘具は、前記係止部材に合成樹脂製の安全ピン型係止部材又は鍵型係止部材を準備し、前記吊下げ部材に、糸状物の一端と途中部分に、合成樹脂製の挿通頭部を持つ雄部と、挿通孔を持つ雌部をそれぞれ設けた糸型吊下げ部材2と、糸状物の一端に前記商品表示札を挟持するための挟持部材を設けた挟持部糸型吊下げ部材4と、合成樹脂製のチェーンの一端に前記商品表示札を挟持するための挟持部材を設けた挟持部チェーン型吊下げ部材5と、金属製のボールチェーンの一端に前記商品表示札を挟持するための挟持部材を設けた挟持部ボールチェーン型吊下げ部材を準備し、それぞれ任意の1つを選び、連結して構成することを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明に係る連結組立式封緘具は、前記係止部材と前記吊下げ部材の間に連結部を介して、ブランド名等を表示するための表示部材6が連結されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明に係る連結組立式封緘具は、前記係止部材に、糸状物の両端に連結部を設けた糸型係止部材31と、合成樹脂製のチェーンの両端に連結部を設けたチェーン型係止部材32と、金属製のボールチェーンの両端に連結部を設けたボールチェーン型係止部材33を準備したことを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明に係る連結組立式封緘具は、前記係止部材と表示部材の連結に、糸状物を通すための孔を持つ連結具62を使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
連結部を有した衣服等の商品へ係止するための複数種類の係止部材と、商品表示札を懸吊するための複数種類の吊下げ部材を自在に組み合わせることで、その時の要求に合わせた封緘具を低コスト且つ迅速に提供することが可能となる。
【0021】
係止部材と吊下げ部材とを独立して供給することで、合成樹脂、糸、金属等異なる材質からなる封緘具を製作することが可能となり、衣服等の商品の高級感を演出しながら、さらに、ブランドロゴ等の表示を行う表示部材を組み合わせることで、商品イメージに合い、且つ独自性の極めて高い封緘具を組み合わせて製作することが可能となる。
【0022】
また、係止部材と吊下げ部材を別に製作するため、従来のフィラメント部を成形するための延伸工程が不必要となるため、金型内延伸装置が不必要となり、製造装置のコストを低く抑えることが可能である。
【0023】
さらに、従来の手作業による封緘具組立て時に発生する不良品等の無駄を省き、生産性を高めることが可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を図に示す実施形態を参照して具体的に説明する。
【0025】
図1は本発明の連結組立式封緘具の実施例の1つを示している。衣服等に係止するための係止部材は合成樹脂製の安全ピン型係止部材1を用いており、該安全ピンは衣服等の商品に係止する際、大きな穴を開けないように先端を鋭くした第1刺入部13を持っており、衣服等にボタン穴等の安全ピンを通す場所がないときでも、衣服等の商品へ負担をかけずに封緘具を懸吊することを可能としている。
【0026】
糸型吊下げ部材2は、木綿製の糸である糸状物24の一方に合成樹脂製の第2連結部21、他方に合成樹脂製の第2刺入部23を固定し、前記糸状物24の途中に第2嵌入部22を固定しており、第2刺入部23を商品表示札27の穴に通し、第2嵌入部22に嵌入することで、商品表示札27を糸型吊下げ部材2に懸吊することを可能としている。
【0027】
また、前記安全ピン型係止部材1と糸型吊下げ部材2は互いに連結するための、第1連結部11と第2連結部21をそれぞれ有しており、図4はその連結手段の拡大図である。係止部材1の第1連結部11は爪17と連結孔16を具備した雌部となっており、糸型吊下げ部材2の第2連結部21は、頭部25と首部26を具備した雄部となっている。連結孔16を貫通させた第2接続部21をさらに押し込む事で、頭部25により押し広げられた爪17が首部26に係り、安全ピン型係止部材1と糸型吊下げ部材2が容易に固定される。
【0028】
図2及び図3は図1とは異なる組合せで、本発明の連結組立式封緘具を使用する場合を示している。
【0029】
図2は吊下げ部材に挟持部糸型吊下げ部材4を使用した際の図であり、挟持部材41により商品表示札27を挟持するよう構成されている。
【0030】
図3は係止部材に鍵型係止部材3を使用し、吊下げ部材に挟持部チェーン吊下げ型部材5を使用した際の図である。以上のように係止部材と吊下げ部材を自在に選び、組み合わせることで商品のイメージ等に合わせた封緘具を柔軟に提供することが可能となっている。
【0031】
本発明の連結組立式封緘具は、衣服等に係止するための係止部材と商品表示札に係止するための吊下げ部材が独立しており、この2つの部材は連結部によって連結して構成することを特徴とする封緘具である。本発明封緘具は2つに独立しているため、対象となる商品によって組合せを自由に変更することが可能であり、より商品のイメージに近い封緘具を選ぶことが可能となっており、従来の封緘具変更に伴う金型製作等の多くの時間及び費用をかけることなく、市場の要求に機動的に応えることが可能となった。
【0032】
また、従来の合成樹脂による一体成型であったフィラメント部に対して、本発明の連結組立式封緘具は糸や合成樹脂製又は金属製のチェーン、又はボールチェーン等を使用することで、高級感を演出している。同時に、合成樹脂製の一体型封緘具はフィラメント部が他の部分と比べ細くなっており、金型製作時には多くの時間がかかっていたが、本発明の封緘具は新たに金型を製作する際にも、フィラメント部がないため形状が従来に比べ単純になっている。
【実施例1】
【0033】
図5は衣服等の商品へ係止するための糸型係止部材31と、商品表示札等を係止するための糸型吊下げ部材2の間に、ブランドロゴ等を表示するための合成樹脂製の表示部材6を加えた組合せを示している。
【0034】
図5(A)は本発明の封緘具を連結する前の状態を示している。糸型連結部材31は木綿糸や化学繊維等の糸状物の両端に、合成樹脂製の第1連結部11が各々固定されており、この糸状物24を衣服等のボタン穴、カバン等の取手、靴の紐を通す穴等に通して、前記2つの第1連結部11を、該第1連結部11に対応するように表示部材6の一端に設けられた連結孔61に嵌入し連結する。これによりブランドロゴ等を表示する表示部材6が衣服等の商品に懸吊される。続いて、糸型吊下げ部材2は糸状物24の一方に合成樹脂製の第2連結部21、他方に第2刺入部23を固定され、糸状物24の途中に第2嵌入部22を固定されており、第2刺入部23を商品表示札27の穴に通した後、第2嵌入部22に嵌入及び固定することで商品表示札27は係止される。そして、第2連結部21と対応する表示部材6の連結孔61に、前記第2連結部21を嵌入、固定して本発明の連結組立式封緘具は使用される。
【0035】
図6は金属又は合成樹脂製のチェーン52の両端に第1連結部11を固定したチェーン型係止部材32と、前記チェーン型吊下げ部材5を表示部材6と組み合わせた封緘具を示している。
【0036】
図7は糸状物等を通すための孔と第1連結部63を備えた連結具62と、ボールチェーン33を組み合わせたものを連結ボールチェーン型係止部材33とし、この連結ボールチェーン型係止部材33と表示部材6と挟持部チェーン型吊下げ部材5を組み合わせた封緘具である。
【0037】
図8(A)は本発明の連結組立式封緘具の使用時の状態を示している。図8(B)は衣服のボタン穴に装着した様子、図8(C)はカバンに装着した様子を示している。木綿糸等の糸状物24の両端に合成樹脂製の第1刺入部18と第1嵌入部19を固定し、連結具の穴と衣服等の商品のボタン穴等に糸状物24を通した後、前記第1嵌入部18に第1刺入部19を嵌入させ固定する。次に連結具62の第1連結部63に対応する連結孔61を持つ表示部材6に、前記連結具62を嵌入し固定する。次に吊下げ部材に挟持部糸型吊下げ部材4を使用し、挟持部材41に商品表示札27を挟持、固定した後、他方の第2連結部21を表示部材6に嵌入、固定することで、本発明の連結組合式封緘具は、商品表示札27を衣服等の商品に懸吊する。図9には図8(A)を分解した状態を示している。
【0038】
図10は表示部材6と糸型吊下げ部材2との連結部を拡大した図である。前記表示部材6は合成樹脂製で、連結孔61と爪64を具備しており、糸型吊下げ部材2の第2連結部21は、頭部25と首部26を具備した雄部となっている。前記連結孔61を貫通させた第2接続部21をさらに押し込む事で、頭部25により押し広げられた爪17が首部26に係り、表示部材6と糸型吊下げ部材2がワンタッチで固定される。
【0039】
本発明に使用する合成樹脂はポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール等を目的に合わせて選択、使用することができる。
【0040】
図11は連結部の形状が異なる場合を示しており、糸状物24に固定され頭部81と首部82からなる第2連結部80を第1連結部70の連結孔72に嵌入し、さらに押し込むことで合成樹脂製の爪71が、前記第2連結部80の首部82に係り、第1連結部70及び第2連結部80の連結がワンタッチで行える。
【0041】
図12は糸状物24に固定された合成樹脂製の頭部84と爪85からなる第2連結部83を第1連結部73の連結孔75に嵌入し、さらに押し込むことで第2連結部83の爪85が、第1連結部73の連結片74に押され縮みながら、連結片74の部分を通過する。連結片74の部分を通過した爪85は弾性力により元の形に復元されることで、第1連結部73の連結片74に係り、第1連結部73及び第2連結部83の連結がワンタッチで行える。
【実施例2】
【0042】
図14は安全ピン型係止部材1の正面図、図15(A)は図14のA−A矢視拡大断面図、(B)はB−B矢視拡大断面図、(C)はC−C矢視断面図を示している。また、図16(1)は図14の左側面図、図16(2)は右側面図、図16(3)は底面図を示している。さらに図17は安全ピン型係止部材1の使用時の状態を示しており、図18は図17のE−E矢視拡大断面図を示している。
【0043】
衣服等の商品へ係止するための手段を有する係止部材である安全ピン型係止部材1は、略U字形の湾曲部15の両端をそれぞれ延長して一方に外力を加えても変形量の少ない棒状部131と、その先端に前記湾曲部15に対向させて形成した第1嵌入部12と、他方の先端を針状に形成した第1刺入部13と、前記第1刺入部13を係止するための係止凹部14と、吊下げ部材と連結するための第1連結部11を備えており、合成樹脂で一体に成形され、全長Lは25ミリから45ミリの大きさとなっている。
【0044】
前記安全ピン型係止部材1の第1刺入部13は、衣服等の係止すべき場所に通した後、係止凹部14の溝に嵌入すると、前記安全ピン型係止部材1の持つ弾性力により、第1刺入部13は係止凹部14の溝に押し付けるように保持され、衣服等の商品に懸吊される。ここで商品等を扱う際に、商品表示札27等を引っ掛けるなどして、封緘具に外力がかかることがあり、安全ピン型係止部材1の湾曲部15を外側に引っ張る方向に外力がかかる。この時、本発明で使用する安全ピン型係止部材1は、湾曲部15に対して棒状部131を太く形成しているため、外力による変形する場所はほとんどが湾曲部15となり、第1刺入部13は、係止凹部14から引き抜かれる方向に張力が働く。ここで、係止凹部14の長さL2を5ミリから25ミリとすることで、前記張力により第1刺入部13と湾曲部15が外方向に撓んで、係止凹部14から不意に抜けてしまうことを防止している。
【0045】
前述のように係止凹部14を長めに形成することで、安全ピン型係止部材1の商品等からの脱落を防止している。そのため、従来の合成樹脂製安全ピンのように、第1刺入部に係止鉤を設け、係止凹部に前記係止鉤を勘合するための係止片を設け、これらを嵌合する
構造を採用する必要がなくなり、第1刺入部を従来に比べ細く形成することが可能となった。
【0046】
具体的には第1刺入部13は直径1ミリ程度の円柱状部と、鋭い先端部とから構成されており、ボタン穴等の懸吊すべき場所がない場合であっても、衣服等に大きな穴を開けずに第1刺入部を衣服等に貫通させることで安全ピン型係止部材を懸吊することが可能となっている。また、従来の係止鉤がないため、安全ピン型係止部材1を貫通させた衣服から取り外す際、衣服等に係止鉤が引掛かり、衣服を傷めることがなくなった。
【0047】
図19(A)は安全ピン型係止部材1と糸型吊下げ部材2を連結して構成した本発明の1例である連結組立式封緘具を衣服等の商品へ懸吊した状態を示したものであり、図19(B)は、特に織りネーム28に封緘具を懸吊した状態の拡大図を示したものである。
前記織りネーム28の長手方向に対して垂直な方向の長さは、商品により変化に富んだものである。これに対して、本発明で使用している安全ピン型係止部材1は、係止凹部14と湾曲部15の間に他の部材が存在しないように成形し、織りネーム28が通される空間の長さL1を、15ミリから35ミリとなるように成形する事で、従来の合成樹脂製安全ピンに比べ長さL1を長くすることを可能としている。そのため、幅の異なる多種の織りネーム28に本発明で使用している安全ピン型係止部材は使用することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の連結組立式封緘具の1例を示した図である。
【図2】本発明の連結組立式封緘具の1例を示した概略図である。
【図3】本発明の連結組立式封緘具の1例を示した概略図である。
【図4】本発明の連結組立式封緘具の連結部の構造を示した拡大図である。
【図5】本発明の連結組立式封緘具の表示部材を使用した1例を示した概略図である。
【図6】本発明の連結組立式封緘具の表示部材を使用した組合せ例を示した概略図である。
【図7】本発明の連結組立式封緘具の表示部材を使用した組合せ例を示した概略図である。
【図8】本発明の連結組立式封緘具の表示部材を使用した際の商品への装着図である。
【図9】本発明の連結組立式封緘具の表示部材を使用した際の部品図である。
【図10】本発明の連結組立式封緘具の表示部材における連結部の構造を示した拡大図である。
【図11】本発明の連結組立式封緘具の連結部における構造の1例を示した概略図である。
【図12】本発明の連結組立式封緘具の連結部における構造の1例を示した概略図である。
【図13】従来例の表示封緘具の分解図及び組立て図である。
【図14】安全ピン型係止部材を示した概略図である。
【図15】安全ピン型係止部材の拡大断面図である。
【図16】安全ピン型係止部材の左側面図、右側面図、底面図である。
【図17】安全ピン型係止部材の使用状態を示した概略図である。
【図18】安全ピン型係止部材の長手方向の断面図である。
【図19】本発明の連結組立式封緘具を使用した際の商品への装着図である。
【符号の説明】
【0049】
1 安全ピン型係止部材
2 糸型吊下げ部材
3 鍵型係止部材
4 挟持部糸型吊下げ部材
5 挟持部チェーン型吊下げ部材
6 表示部材
9 表示型封緘具
11 第1連結部
21 第2連結部
24 糸状物
27 商品表示札
31 糸型係止部材
32 チェーン型係止部材
33 ボールチェーン型係止部材
34 ボールチェーン
41 挟持部材
【技術分野】
【0001】
商品に商品表示札を懸吊するための封緘具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣服等の製造時に取付ける商品表示札は、合成樹脂製の安全ピンを衣服等に装着し、前記安全ピンに糸を結び付け、糸を商品表示札の孔に通して安全ピンに緊結することで、衣服等に懸吊されている。衣服出荷時に行う折れ針混入検査では、合成樹脂製の安全ピンを使用することで、金属製の安全ピンを使用していた時と比べ、検知器の誤反応が殆どなく高い検査効率を実現している。(例えば特許文献1参照。)
【0003】
また、前記合成樹脂製安全ピンに糸を結び付ける煩雑な作業を省略するために、安全ピンとフィラメント部を合成樹脂で一体成型した一体型封緘具が提案されている。前記一体型封緘具のフィラメント部の一端は安全ピンと一体成型され、他方は自由端となっており、該自由端を商品表示札に開けられた孔に貫通させ、前記安全ピンに設けられた係止孔に嵌着することで、環状のワイヤが商品表示札を環の内側に含んだ状態で前記安全ピンに接合され、安全ピンを衣服等に装着することで商品表示札を懸吊している。
【0004】
このように一体型封緘具は安全ピンとフィラメント部が一体成型であり、前記安全ピンの係止孔へフィラメント部を嵌着する際はワンタッチで可能なため、以前までの糸を結び付ける煩雑な作業が省略され、衣服等への商品表示札取付作業を迅速に進めることが可能となっている。さらに、安全ピン部分をフック状部材に変更することで、カバン等の安全ピンを通せない商品へも使用することを可能としている。(例えば特許文献2参照。)
【0005】
上記のように一方では衣服等への商品表示札取付の効率を上げるための発明が行われているが、他方では商品表示用の封緘具が合成樹脂製であるため、高級感の演出が非常に難しく、高価な商品への表示札取付には使用を敬遠されてしまう問題がある。
【0006】
そこで、高価な商品には図13に示すように、ブランドロゴを表示するための表示型封緘具9を使用することで、高級感を演出する方法がとられている。前記表示型封緘具9は、合成樹脂で成形された表示部材上蓋91と表示部材下皿92を合わせて構成されたブランドロゴを表示した表示部材6と、該表示部材6に設けられた連結孔94と、前記表示部材6を貫通するように載置された糸状物24と、該糸状物24の両端に固定された刺入部95とから構成されている。
【0007】
図13(A)に示すように、表示部材6に糸状物24を配置した後、表示部材上蓋91と表示部材下皿92を嵌合部93で合わせて接着し、表示封緘具9が完成する。使用の際は、糸状物24の一方に商品表示札27を通した後、刺入部95を連結孔94に嵌合し、他方の糸状物24を衣類のボタン穴等に通した後、前述と同様刺入部95を連結孔94に嵌合し、商品表示札を衣類に懸吊する。前記表示封緘具9はブランドロゴの表示や糸を使用することで高級感を演出している。
【特許文献1】特開平09−154603
【特許文献2】特開2001−261055
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記一体型封緘具により商品表示札等の取付作業の効率は上昇したが、フィラメント部を一体成型するため、製作工程が複雑となった。
【0009】
具体的には、まず金型が安全ピン部分とフィラメント部を一体とする形状となるため複雑となる。また製作工程では、延伸側と固定型からなる金型に合成樹脂を注入成形したのち、金型の延伸側を延伸させることでフィラメント部を成形する金型内延伸を行う。そのため、延伸側の金型を移動させる装置等の複雑な機構を備えた金型内延伸装置が必要となり、設備が高価なものとなっている。
【0010】
また、安全ピンや鍵状部材等の大きさや形状を変更する際、その度に金型を製作する必要があり、市場からの細かい要求に機動的に応えることは難しいのが現状である。
【0011】
他方、前記一体型封緘具は、材質が合成樹脂のためフィラメント部が弾性を持ち常に略環形状を維持しており、高級感の演出の要求に応えられていないのが現状である。
【0012】
また、前記ブランドロゴ入りの表示型封緘具9は、合成樹脂のフィラメント部の代わりに、糸を使用しブランドロゴを表示することで高級感を出しているが、前記表示型封緘具9の生産は、分割された表示部材の間に糸を通し、その後、接着剤により接着して組立てるため、この作業は手作業となり、生産効率が低いという問題を抱えている。例えば、組立作業の際、接着剤の量が多く、連結孔94が詰まってしまい使用できない等の不良品が発生する等、生産効率の向上が課題となっている。
【0013】
以上より本発明の目的は、製作が容易、使用目的に合わせて細やかな仕様変更が可能、且つ従来品に比べて、安価且つ高級感のある連結組立式封緘具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明に係る連結組立式封緘具は、衣服等の商品へ係止するための手段を有する係止部材と、前記係止部材に連結部を介して、商品表示札を懸吊するための手段を有する吊下げ部材を連結することを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明に係る連結組立式封緘具は、前記係止部材と吊下げ部材とは複数種類が準備されており、前記係止部材と吊下げ部材のうち任意の1組を選び、連結することを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明に係る連結組立式封緘具は、前記係止部材に合成樹脂製の安全ピン型係止部材又は鍵型係止部材を準備し、前記吊下げ部材に、糸状物の一端と途中部分に、合成樹脂製の挿通頭部を持つ雄部と、挿通孔を持つ雌部をそれぞれ設けた糸型吊下げ部材2と、糸状物の一端に前記商品表示札を挟持するための挟持部材を設けた挟持部糸型吊下げ部材4と、合成樹脂製のチェーンの一端に前記商品表示札を挟持するための挟持部材を設けた挟持部チェーン型吊下げ部材5と、金属製のボールチェーンの一端に前記商品表示札を挟持するための挟持部材を設けた挟持部ボールチェーン型吊下げ部材を準備し、それぞれ任意の1つを選び、連結して構成することを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明に係る連結組立式封緘具は、前記係止部材と前記吊下げ部材の間に連結部を介して、ブランド名等を表示するための表示部材6が連結されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明に係る連結組立式封緘具は、前記係止部材に、糸状物の両端に連結部を設けた糸型係止部材31と、合成樹脂製のチェーンの両端に連結部を設けたチェーン型係止部材32と、金属製のボールチェーンの両端に連結部を設けたボールチェーン型係止部材33を準備したことを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明に係る連結組立式封緘具は、前記係止部材と表示部材の連結に、糸状物を通すための孔を持つ連結具62を使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
連結部を有した衣服等の商品へ係止するための複数種類の係止部材と、商品表示札を懸吊するための複数種類の吊下げ部材を自在に組み合わせることで、その時の要求に合わせた封緘具を低コスト且つ迅速に提供することが可能となる。
【0021】
係止部材と吊下げ部材とを独立して供給することで、合成樹脂、糸、金属等異なる材質からなる封緘具を製作することが可能となり、衣服等の商品の高級感を演出しながら、さらに、ブランドロゴ等の表示を行う表示部材を組み合わせることで、商品イメージに合い、且つ独自性の極めて高い封緘具を組み合わせて製作することが可能となる。
【0022】
また、係止部材と吊下げ部材を別に製作するため、従来のフィラメント部を成形するための延伸工程が不必要となるため、金型内延伸装置が不必要となり、製造装置のコストを低く抑えることが可能である。
【0023】
さらに、従来の手作業による封緘具組立て時に発生する不良品等の無駄を省き、生産性を高めることが可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を図に示す実施形態を参照して具体的に説明する。
【0025】
図1は本発明の連結組立式封緘具の実施例の1つを示している。衣服等に係止するための係止部材は合成樹脂製の安全ピン型係止部材1を用いており、該安全ピンは衣服等の商品に係止する際、大きな穴を開けないように先端を鋭くした第1刺入部13を持っており、衣服等にボタン穴等の安全ピンを通す場所がないときでも、衣服等の商品へ負担をかけずに封緘具を懸吊することを可能としている。
【0026】
糸型吊下げ部材2は、木綿製の糸である糸状物24の一方に合成樹脂製の第2連結部21、他方に合成樹脂製の第2刺入部23を固定し、前記糸状物24の途中に第2嵌入部22を固定しており、第2刺入部23を商品表示札27の穴に通し、第2嵌入部22に嵌入することで、商品表示札27を糸型吊下げ部材2に懸吊することを可能としている。
【0027】
また、前記安全ピン型係止部材1と糸型吊下げ部材2は互いに連結するための、第1連結部11と第2連結部21をそれぞれ有しており、図4はその連結手段の拡大図である。係止部材1の第1連結部11は爪17と連結孔16を具備した雌部となっており、糸型吊下げ部材2の第2連結部21は、頭部25と首部26を具備した雄部となっている。連結孔16を貫通させた第2接続部21をさらに押し込む事で、頭部25により押し広げられた爪17が首部26に係り、安全ピン型係止部材1と糸型吊下げ部材2が容易に固定される。
【0028】
図2及び図3は図1とは異なる組合せで、本発明の連結組立式封緘具を使用する場合を示している。
【0029】
図2は吊下げ部材に挟持部糸型吊下げ部材4を使用した際の図であり、挟持部材41により商品表示札27を挟持するよう構成されている。
【0030】
図3は係止部材に鍵型係止部材3を使用し、吊下げ部材に挟持部チェーン吊下げ型部材5を使用した際の図である。以上のように係止部材と吊下げ部材を自在に選び、組み合わせることで商品のイメージ等に合わせた封緘具を柔軟に提供することが可能となっている。
【0031】
本発明の連結組立式封緘具は、衣服等に係止するための係止部材と商品表示札に係止するための吊下げ部材が独立しており、この2つの部材は連結部によって連結して構成することを特徴とする封緘具である。本発明封緘具は2つに独立しているため、対象となる商品によって組合せを自由に変更することが可能であり、より商品のイメージに近い封緘具を選ぶことが可能となっており、従来の封緘具変更に伴う金型製作等の多くの時間及び費用をかけることなく、市場の要求に機動的に応えることが可能となった。
【0032】
また、従来の合成樹脂による一体成型であったフィラメント部に対して、本発明の連結組立式封緘具は糸や合成樹脂製又は金属製のチェーン、又はボールチェーン等を使用することで、高級感を演出している。同時に、合成樹脂製の一体型封緘具はフィラメント部が他の部分と比べ細くなっており、金型製作時には多くの時間がかかっていたが、本発明の封緘具は新たに金型を製作する際にも、フィラメント部がないため形状が従来に比べ単純になっている。
【実施例1】
【0033】
図5は衣服等の商品へ係止するための糸型係止部材31と、商品表示札等を係止するための糸型吊下げ部材2の間に、ブランドロゴ等を表示するための合成樹脂製の表示部材6を加えた組合せを示している。
【0034】
図5(A)は本発明の封緘具を連結する前の状態を示している。糸型連結部材31は木綿糸や化学繊維等の糸状物の両端に、合成樹脂製の第1連結部11が各々固定されており、この糸状物24を衣服等のボタン穴、カバン等の取手、靴の紐を通す穴等に通して、前記2つの第1連結部11を、該第1連結部11に対応するように表示部材6の一端に設けられた連結孔61に嵌入し連結する。これによりブランドロゴ等を表示する表示部材6が衣服等の商品に懸吊される。続いて、糸型吊下げ部材2は糸状物24の一方に合成樹脂製の第2連結部21、他方に第2刺入部23を固定され、糸状物24の途中に第2嵌入部22を固定されており、第2刺入部23を商品表示札27の穴に通した後、第2嵌入部22に嵌入及び固定することで商品表示札27は係止される。そして、第2連結部21と対応する表示部材6の連結孔61に、前記第2連結部21を嵌入、固定して本発明の連結組立式封緘具は使用される。
【0035】
図6は金属又は合成樹脂製のチェーン52の両端に第1連結部11を固定したチェーン型係止部材32と、前記チェーン型吊下げ部材5を表示部材6と組み合わせた封緘具を示している。
【0036】
図7は糸状物等を通すための孔と第1連結部63を備えた連結具62と、ボールチェーン33を組み合わせたものを連結ボールチェーン型係止部材33とし、この連結ボールチェーン型係止部材33と表示部材6と挟持部チェーン型吊下げ部材5を組み合わせた封緘具である。
【0037】
図8(A)は本発明の連結組立式封緘具の使用時の状態を示している。図8(B)は衣服のボタン穴に装着した様子、図8(C)はカバンに装着した様子を示している。木綿糸等の糸状物24の両端に合成樹脂製の第1刺入部18と第1嵌入部19を固定し、連結具の穴と衣服等の商品のボタン穴等に糸状物24を通した後、前記第1嵌入部18に第1刺入部19を嵌入させ固定する。次に連結具62の第1連結部63に対応する連結孔61を持つ表示部材6に、前記連結具62を嵌入し固定する。次に吊下げ部材に挟持部糸型吊下げ部材4を使用し、挟持部材41に商品表示札27を挟持、固定した後、他方の第2連結部21を表示部材6に嵌入、固定することで、本発明の連結組合式封緘具は、商品表示札27を衣服等の商品に懸吊する。図9には図8(A)を分解した状態を示している。
【0038】
図10は表示部材6と糸型吊下げ部材2との連結部を拡大した図である。前記表示部材6は合成樹脂製で、連結孔61と爪64を具備しており、糸型吊下げ部材2の第2連結部21は、頭部25と首部26を具備した雄部となっている。前記連結孔61を貫通させた第2接続部21をさらに押し込む事で、頭部25により押し広げられた爪17が首部26に係り、表示部材6と糸型吊下げ部材2がワンタッチで固定される。
【0039】
本発明に使用する合成樹脂はポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール等を目的に合わせて選択、使用することができる。
【0040】
図11は連結部の形状が異なる場合を示しており、糸状物24に固定され頭部81と首部82からなる第2連結部80を第1連結部70の連結孔72に嵌入し、さらに押し込むことで合成樹脂製の爪71が、前記第2連結部80の首部82に係り、第1連結部70及び第2連結部80の連結がワンタッチで行える。
【0041】
図12は糸状物24に固定された合成樹脂製の頭部84と爪85からなる第2連結部83を第1連結部73の連結孔75に嵌入し、さらに押し込むことで第2連結部83の爪85が、第1連結部73の連結片74に押され縮みながら、連結片74の部分を通過する。連結片74の部分を通過した爪85は弾性力により元の形に復元されることで、第1連結部73の連結片74に係り、第1連結部73及び第2連結部83の連結がワンタッチで行える。
【実施例2】
【0042】
図14は安全ピン型係止部材1の正面図、図15(A)は図14のA−A矢視拡大断面図、(B)はB−B矢視拡大断面図、(C)はC−C矢視断面図を示している。また、図16(1)は図14の左側面図、図16(2)は右側面図、図16(3)は底面図を示している。さらに図17は安全ピン型係止部材1の使用時の状態を示しており、図18は図17のE−E矢視拡大断面図を示している。
【0043】
衣服等の商品へ係止するための手段を有する係止部材である安全ピン型係止部材1は、略U字形の湾曲部15の両端をそれぞれ延長して一方に外力を加えても変形量の少ない棒状部131と、その先端に前記湾曲部15に対向させて形成した第1嵌入部12と、他方の先端を針状に形成した第1刺入部13と、前記第1刺入部13を係止するための係止凹部14と、吊下げ部材と連結するための第1連結部11を備えており、合成樹脂で一体に成形され、全長Lは25ミリから45ミリの大きさとなっている。
【0044】
前記安全ピン型係止部材1の第1刺入部13は、衣服等の係止すべき場所に通した後、係止凹部14の溝に嵌入すると、前記安全ピン型係止部材1の持つ弾性力により、第1刺入部13は係止凹部14の溝に押し付けるように保持され、衣服等の商品に懸吊される。ここで商品等を扱う際に、商品表示札27等を引っ掛けるなどして、封緘具に外力がかかることがあり、安全ピン型係止部材1の湾曲部15を外側に引っ張る方向に外力がかかる。この時、本発明で使用する安全ピン型係止部材1は、湾曲部15に対して棒状部131を太く形成しているため、外力による変形する場所はほとんどが湾曲部15となり、第1刺入部13は、係止凹部14から引き抜かれる方向に張力が働く。ここで、係止凹部14の長さL2を5ミリから25ミリとすることで、前記張力により第1刺入部13と湾曲部15が外方向に撓んで、係止凹部14から不意に抜けてしまうことを防止している。
【0045】
前述のように係止凹部14を長めに形成することで、安全ピン型係止部材1の商品等からの脱落を防止している。そのため、従来の合成樹脂製安全ピンのように、第1刺入部に係止鉤を設け、係止凹部に前記係止鉤を勘合するための係止片を設け、これらを嵌合する
構造を採用する必要がなくなり、第1刺入部を従来に比べ細く形成することが可能となった。
【0046】
具体的には第1刺入部13は直径1ミリ程度の円柱状部と、鋭い先端部とから構成されており、ボタン穴等の懸吊すべき場所がない場合であっても、衣服等に大きな穴を開けずに第1刺入部を衣服等に貫通させることで安全ピン型係止部材を懸吊することが可能となっている。また、従来の係止鉤がないため、安全ピン型係止部材1を貫通させた衣服から取り外す際、衣服等に係止鉤が引掛かり、衣服を傷めることがなくなった。
【0047】
図19(A)は安全ピン型係止部材1と糸型吊下げ部材2を連結して構成した本発明の1例である連結組立式封緘具を衣服等の商品へ懸吊した状態を示したものであり、図19(B)は、特に織りネーム28に封緘具を懸吊した状態の拡大図を示したものである。
前記織りネーム28の長手方向に対して垂直な方向の長さは、商品により変化に富んだものである。これに対して、本発明で使用している安全ピン型係止部材1は、係止凹部14と湾曲部15の間に他の部材が存在しないように成形し、織りネーム28が通される空間の長さL1を、15ミリから35ミリとなるように成形する事で、従来の合成樹脂製安全ピンに比べ長さL1を長くすることを可能としている。そのため、幅の異なる多種の織りネーム28に本発明で使用している安全ピン型係止部材は使用することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の連結組立式封緘具の1例を示した図である。
【図2】本発明の連結組立式封緘具の1例を示した概略図である。
【図3】本発明の連結組立式封緘具の1例を示した概略図である。
【図4】本発明の連結組立式封緘具の連結部の構造を示した拡大図である。
【図5】本発明の連結組立式封緘具の表示部材を使用した1例を示した概略図である。
【図6】本発明の連結組立式封緘具の表示部材を使用した組合せ例を示した概略図である。
【図7】本発明の連結組立式封緘具の表示部材を使用した組合せ例を示した概略図である。
【図8】本発明の連結組立式封緘具の表示部材を使用した際の商品への装着図である。
【図9】本発明の連結組立式封緘具の表示部材を使用した際の部品図である。
【図10】本発明の連結組立式封緘具の表示部材における連結部の構造を示した拡大図である。
【図11】本発明の連結組立式封緘具の連結部における構造の1例を示した概略図である。
【図12】本発明の連結組立式封緘具の連結部における構造の1例を示した概略図である。
【図13】従来例の表示封緘具の分解図及び組立て図である。
【図14】安全ピン型係止部材を示した概略図である。
【図15】安全ピン型係止部材の拡大断面図である。
【図16】安全ピン型係止部材の左側面図、右側面図、底面図である。
【図17】安全ピン型係止部材の使用状態を示した概略図である。
【図18】安全ピン型係止部材の長手方向の断面図である。
【図19】本発明の連結組立式封緘具を使用した際の商品への装着図である。
【符号の説明】
【0049】
1 安全ピン型係止部材
2 糸型吊下げ部材
3 鍵型係止部材
4 挟持部糸型吊下げ部材
5 挟持部チェーン型吊下げ部材
6 表示部材
9 表示型封緘具
11 第1連結部
21 第2連結部
24 糸状物
27 商品表示札
31 糸型係止部材
32 チェーン型係止部材
33 ボールチェーン型係止部材
34 ボールチェーン
41 挟持部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服等の商品へ係止するための手段を有する係止部材と、前記係止部材に連結部を介して、商品表示札を懸吊するための手段を有する吊下げ部材を連結することを特徴とする連結組立式封緘具。
【請求項2】
前記係止部材と吊下げ部材とは複数種類が準備されており、前記係止部材と吊下げ部材のうち任意の1組を選び、連結することを特徴とする請求項1に記載の連結組立式封緘具。
【請求項3】
前記係止部材に合成樹脂製の安全ピン型係止部材又は鍵型係止部材を準備し、前記吊下げ部材に、糸状物の一端と途中部分に、合成樹脂製の挿通頭部を持つ雄部と、挿通孔を持つ雌部をそれぞれ設けた糸型吊下げ部材と、糸状物の一端に前記商品表示札を挟持するための挟持部材を設けた挟持部糸型吊下げ部材と、合成樹脂製のチェーンの一端に前記商品表示札を挟持するための挟持部材を設けた挟持部チェーン型吊下げ部材と、金属製のボールチェーンの一端に前記商品表示札を挟持するための挟持部材を設けた挟持部ボールチェーン型吊下げ部材を準備し、それぞれ任意の1つを選び、連結して構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の連結組立式封緘具。
【請求項4】
前記係止部材と前記吊下げ部材の間に連結部を介して、ブランド名等を表示するための表示部材が連結されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の連結組立式封緘具。
【請求項5】
前記係止部材に、糸状物の両端に連結部を設けた糸型係止部材と、合成樹脂製のチェーンの両端に連結部を設けたチェーン型係止部材と、金属製のボールチェーンの両端に連結部を設けたボールチェーン型係止部材を準備したことを特徴とする請求項4に記載の連結組立式封緘具。
【請求項6】
前記係止部材と表示部材の連結に、糸状物を通すための孔を持つ連結具を使用することを特徴とする請求項5に記載の連結組立式封緘具。
【請求項1】
衣服等の商品へ係止するための手段を有する係止部材と、前記係止部材に連結部を介して、商品表示札を懸吊するための手段を有する吊下げ部材を連結することを特徴とする連結組立式封緘具。
【請求項2】
前記係止部材と吊下げ部材とは複数種類が準備されており、前記係止部材と吊下げ部材のうち任意の1組を選び、連結することを特徴とする請求項1に記載の連結組立式封緘具。
【請求項3】
前記係止部材に合成樹脂製の安全ピン型係止部材又は鍵型係止部材を準備し、前記吊下げ部材に、糸状物の一端と途中部分に、合成樹脂製の挿通頭部を持つ雄部と、挿通孔を持つ雌部をそれぞれ設けた糸型吊下げ部材と、糸状物の一端に前記商品表示札を挟持するための挟持部材を設けた挟持部糸型吊下げ部材と、合成樹脂製のチェーンの一端に前記商品表示札を挟持するための挟持部材を設けた挟持部チェーン型吊下げ部材と、金属製のボールチェーンの一端に前記商品表示札を挟持するための挟持部材を設けた挟持部ボールチェーン型吊下げ部材を準備し、それぞれ任意の1つを選び、連結して構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の連結組立式封緘具。
【請求項4】
前記係止部材と前記吊下げ部材の間に連結部を介して、ブランド名等を表示するための表示部材が連結されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の連結組立式封緘具。
【請求項5】
前記係止部材に、糸状物の両端に連結部を設けた糸型係止部材と、合成樹脂製のチェーンの両端に連結部を設けたチェーン型係止部材と、金属製のボールチェーンの両端に連結部を設けたボールチェーン型係止部材を準備したことを特徴とする請求項4に記載の連結組立式封緘具。
【請求項6】
前記係止部材と表示部材の連結に、糸状物を通すための孔を持つ連結具を使用することを特徴とする請求項5に記載の連結組立式封緘具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−139737(P2009−139737A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317330(P2007−317330)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000134464)株式会社トスカ (23)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000134464)株式会社トスカ (23)
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