説明

連結装置及び連結構造体

【課題】被連結部材同士の連結作業が容易で、且つ被連結部材同士の連結位置の調整を自由に行うことが可能な連結装置及び連結構造体を提供する。
【解決手段】連結装置15は、内部の溝幅よりも幅狭の開口部16を形成するように先端同士が溝幅方向において互いに対向する一対の突出片部17を有する溝条14を備えた支柱12と梁13とを連結する。そして、連結装置15は、2つの特定連結部21と、各特定連結部21に対して回動可能な状態で一体に設けられるとともに、溝条14の開口部16を介して該溝条14に対して挿脱可能となる挿脱位置と、溝条14の内部に挿入された状態において特定連結部21とで各突出片部17を挟持する挟持位置との間で回動される回動部材22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばフェンスを構成するパネルやその支柱などの被連結部材同士を連結するための連結装置及びその連結装置を使用して構築されたフェンスなどの連結構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、フェンスは、平板状のフェンス本体と、該フェンス本体を支持する支柱とを備えており、通常、フェンス本体と支柱とが連結金具(連結装置)によって連結されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の連結金具は、フェンス本体を支持する支持部と、ネジを挿通するためのネジ透孔を有する固定部とを備えている。また、固定部には回転自在にネジが配置されるとともに、該ネジは略矩形板状をなす裏板の中央部に形成されたナット部に螺入されている。
【0003】
そして、連結金具の裏板を支柱に設けられたC字溝条内に挿入した状態で、ネジをC字溝条の底壁のネジ受に螺入することで、固定部に裏板が引き寄せられて、C字溝条の対向片が固定部と裏板とで締着挟持される。これにより、連結金具の支持部に支持されたフェンス本体が支柱の所定位置に連結状態となって支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−336704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の連結金具は、支柱に対してネジで固定しなければならない上に、支柱に予め形成されたネジ受がある位置でしか固定できないため、作業性が悪く、支柱に対する固定位置の調整も自由にできないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、被連結部材同士の連結作業が容易で、且つ被連結部材同士の連結位置の調整を自由に行うことが可能な連結装置及び連結構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、連結装置に係る請求項1に記載の発明は、内部の溝幅よりも幅狭の開口部を形成するように先端同士が溝幅方向において互いに対向する一対の突出片部を有する溝条を備えた被連結部材を少なくとも含む複数の被連結部材同士を連結するための連結装置において、前記各被連結部材のうち対応する前記被連結部材とそれぞれ連結される複数の連結部と、前記各連結部のうち前記溝条を有する前記被連結部材と連結される連結部である特定連結部に対して回動可能な状態で一体に設けられるとともに、前記溝条の開口部を介して該溝条に対して挿脱可能となる挿脱位置と、前記溝条の内部に挿入された状態において前記特定連結部とで前記各突出片部を挟持する挟持位置との間で回動される回動部材とを備えたことを要旨とする。
【0008】
上記構成によれば、回動部材を被連結部材の溝条の開口部を介して該溝条に対して挿入した状態で挿脱位置から挟持位置に回動することで、回動部材と特定連結部とで各突出片部が挟持される。そして、連結装置における特定連結部以外の連結部に他の被連結部材を連結することで、被連結部材同士の連結作業を容易に行うことができる。また、回動部材を挟持位置から挿脱位置に回動することで、連結装置を被連結部材の溝条に沿って自由に移動させることができるので、被連結部材同士の連結位置の調整を自由に行うことができる。したがって、被連結部材同士の連結作業を容易に行うことができるとともに、被連結部材同士の連結位置の調整を自由に行うことが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記回動部材は、前記挿脱位置から前記挟持位置に回動するに連れて該回動部材と前記特定連結部とによる前記各突出片部に対する挟持力を大きくさせるように、該回動部材の回動方向に沿って傾斜する傾斜面を備えていることを要旨とする。
【0010】
上記構成によれば、傾斜面により、回動部材を挿脱位置から挟持位置に円滑に導くことが可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記回動部材は、前記挿脱位置から前記挟持位置に回動した場合に、前記各突出片部に当接して前記挟持位置の状態を保持する保持面を備えており、前記保持面は、前記各突出片部における該保持面が当接する面である当接面と平行であるとともに、前記回動方向に沿って前記傾斜面に隣接していることを要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、保持面により、回動部材を挟持位置で精度よく保持することができるとともに、回動部材を挟持位置から挿脱位置に容易に回動することが可能となる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記回動部材は、前記特定連結部を貫通するように設けられるとともに、前記溝条の内部に挿入される側とは前記特定連結部を挟んだ反対側に該回動部材を回動させるための回動部を備えており、該回動部は、前記特定連結部に前記回動部を収容可能に形成された収容部内に該回動部の軸線方向において前記収容部から突出しないように設けられていることを要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、収容部に回動部が該収容部から突出しないように収容されるため、回動部が他の部材と係合することを抑制することが可能となる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の発明において、前記回動部材における前記挿脱位置と前記挟持位置との間の回動角度は、360度未満であることを要旨とする。
【0013】
上記構成によれば、回動部材を挿脱位置と挟持位置との間で迅速に回動することが可能となる。
また、連結構造体に係る請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の連結装置を用いて前記各被連結部材同士を連結して構築されたことを要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、被連結部材同士の連結作業を容易に行うことができるとともに、被連結部材同士の連結位置の調整を自由に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被連結部材同士の連結作業が容易で、且つ被連結部材同士の連結位置の調整を自由に行うことが可能な連結装置及び連結構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態におけるパーテションの骨組みを示す斜視図。
【図2】パーテションの骨組みにおける支柱と梁とを連結装置によって連結した状態を示す要部拡大斜視図。
【図3】連結装置の斜視図。
【図4】連結装置の斜視図。
【図5】回動部材の斜視図。
【図6】支柱の溝条内において回動部材が挿脱位置にあるときの状態を示す正面図。
【図7】支柱の溝条内において回動部材が挟持位置にあるときの状態を示す正面図。
【図8】支柱の溝条内において回動部材を挿脱位置から挟持位置に回動して支柱に連結装置を連結したときの状態を示す断面図。
【図9】変更例の連結装置を示す斜視図。
【図10】別の変更例の連結装置を示す斜視図。
【図11】更に別の変更例の連結装置を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の連結構造体を住宅などのエクステリアに用いられるパーテションの骨組みに具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、連結構造体としてのパーテションの骨組み11は、矩形枠状をなしている。骨組み11は、互いに対向するように立設された一対の被連結部材としての支柱12と、各支柱12における上端部間及び下端部間に互いに対向するように架設された被連結部材としての一対の梁13とを備えている。
【0018】
図1及び図2に示すように、各支柱12の内外の両側面及び各梁13の下側の面には、それらの長手方向全体にわたって延びる溝条14がそれぞれ形成されている。そして、各支柱12と各梁13とは、骨組み11の四隅の部分において溝条14が形成された面でそれぞれ連結装置15によって連結されている。したがって、パーテションの骨組み11は、連結装置15を用いて各支柱12と各梁13とを連結することによって構築される。
【0019】
図2に示すように、各溝条14は、それらの内部の溝幅よりも幅狭の開口部16を形成するように先端同士が溝幅方向(各支柱12及び各梁13の短手方向)において互いに対向する一対の突出片部17をそれぞれ有している。各突出片部17における当接面としての内側面(溝条14の内部側の面)17aは、それぞれ対応する溝条14の内部空間に臨んでいる。
【0020】
また、各支柱12及び各梁13における溝条14が形成された面には、各突出片部17と隣接するとともに各突出片部17の突出方向と直交する方向に突出する一対の突出部18がそれぞれ形成されている。各突出部18は、溝幅方向において各突出片部17を挟んだ両側に位置している。
【0021】
各突出部18の内側面18aは、溝幅方向において互いに対向するとともに、各突出片部17の外側面(溝条14の内部側とは反対側の面)17bと直交した状態で隣接している。したがって、各突出部18の内側面18aは、各突出片部17の外側面17bと各突出部18の先端面18bとの段差になっている。
【0022】
次に、連結装置15の構成について詳述する。
図3及び図4に示すように、連結装置15は、略矩形状の金属板をその長手方向の中央でほぼ直角に屈曲してなるL字板状の本体20を備えている。本体20における屈曲部20aを境とした両側の部分は、それぞれ略正方形板状をなす連結部である特定連結部21とされている。
【0023】
これら2つの特定連結部21は、互いに同一の構成になっている。各特定連結部21は、図2に示すように、一辺の長さが、各溝条14の溝幅方向における各突出片部17間の距離(開口部16の幅)よりも長く、且つ各溝条14の溝幅方向における各突出部18間の距離よりも若干短くなるように設定されている。
【0024】
図3〜図5に示すように、各特定連結部21の内面の中央部には、底部に貫通孔(図示略)を有する収容部としての収容凹部21aがそれぞれプレス加工によって形成されている。このため、各特定連結部21の外面における中央部は、収容凹部21aと対応するように隆起している。
【0025】
各特定連結部21における中央部には、回動部材22が該各特定連結部21に対して回動可能な状態でそれぞれ一体となるように、貫設されている。すなわち、回動部材22は、特定連結部21の収容凹部21aの貫通孔(図示略)に回動可能に挿通された状態で、該特定連結部21に支持されている。
【0026】
この場合、各回動部材22は、それぞれ対応する特定連結部21と直交する軸線を中心に回動可能になっている。回動部材22は、特定連結部21の外面と対向する略矩形板状をなす回動板23を備えている。回動板23は、その中心部を挟んで対向する2組のコーナー部のうちの一方は直角の直角コーナー部24になっているとともに他方は円弧状の円弧コーナー部25になっている。
【0027】
回動板23における特定連結部21との対向面23a上における直角コーナー部24と対応する両端部には、回動板23の短手方向において円弧コーナー部25から直角コーナー部24に向かって上昇傾斜する三角形状の傾斜面26がそれぞれ形成されている。すなわち、傾斜面26は、回動板23の中心を通る軸線(回動部材22の軸線)を中心に回動したときの回動方向に沿って傾斜している。
【0028】
また、回動板23の対向面23a上において、回動板23の短手方向における傾斜面26の円弧コーナー部25側とは反対側には、平坦な三角形状の保持面27が傾斜面26と連続して隣接するように形成されている。すなわち、保持面27は、回動板23の中心を通る軸線(回動部材22の軸線)を中心に回動したときの回動方向に沿って傾斜面26に隣接している。そして、傾斜面26は、回動板23(回動部材22)の回動方向において、保持面27に近づくにつれて徐々に幅広となっている。この場合、保持面27は、回動板23の対向面23a上からの高さが、傾斜面26よりも高くなっている。
【0029】
また、本実施形態では、回動板23における傾斜面26及び保持面27は、該回動板23をプレス加工することによって対向面23a上に隆起するように形成されている。このため、回動板23における対向面23aとは反対側の面には、対向面23a上に隆起させて形成された傾斜面26及び保持面27と対応する窪みが形成される。なお、傾斜面26と保持面27とを合わせた形状は、回動部材22の軸線方向から見て台形状をなしている。
【0030】
回動板23の対向面23a上における中央部には、該回動板23をプレス加工することによって保持面27とほぼ同じ高さまで隆起するように、円形の隆起部28が形成されている。このため、回動板23における対向面23aとは反対側の面には、対向面23a上に隆起させて形成された隆起部28と対応する円形の凹部29が形成される。凹部29の底部における中央部には、略矩形状の孔30が回動板23を貫通するように形成されている。
【0031】
回動部材22は、上述した特定連結部21の収容凹部21aの貫通孔(図示略)に回動可能に挿通される円柱状の軸部31を備えている。軸部31の軸方向における一端には、特定連結部21の内側に位置するように円板状の回動部32が形成される一方、軸部31の軸方向における他端には、回動板23の孔30に嵌入可能な略矩形柱状の嵌入部33が特定連結部21の外側に位置するように形成されている。したがって、回動部32は、回動板23とは特定連結部21を挟んだ反対側に位置している。
【0032】
回動部32は、特定連結部21の収容凹部21aの貫通孔(図示略)よりも径が大きく、且つ収容凹部21a内に収容可能となるように構成されている。そして、回動部32は、該回動部32の軸線方向(回動部材22の軸線方向)において収容凹部21a内から突出しないように、該収容凹部21a内に収容されている。さらに、回動部32の中央部には、六角レンチ(図示略)を挿入して回動させるための六角穴34が形成されている。そして、軸部31に形成された嵌入部33は、特定連結部21の外側において、回動板23の孔30に嵌入された状態で回動板23にかしめられて固定されている。
【0033】
図6〜図8に示すように、溝条14の各突出片部17の厚さは、回動板23の対向面23aと特定連結部21の外面との距離よりも薄く、且つ回動板23の保持面27と特定連結部21の外面との距離よりも僅かに厚くなるように設定されている。また、回動部材22の回動板23の短手方向の長さは、溝条14の溝幅方向における各突出片部17間の距離(開口部16の幅)よりも若干短くなるように設定されている。一方、回動部材22の回動板23の長手方向の長さは、溝条14の溝幅方向における各突出片部17間の距離(開口部16の幅)よりも長く、且つ溝条14の溝幅よりも僅かに短くなるように設定されている。
【0034】
回動部材22は、回動板23の長手方向が溝条14の長手方向と一致するときの位置が、溝条14の内部に対して回動板23を開口部16から挿脱可能な挿脱位置(図6に示す位置)とされている。一方、回動部材22は、回動板23が溝条14の内部に挿入された状態において回動板23の長手方向が溝条14の溝幅方向と一致するときの位置が、回動板23と特定連結部21とで各突出片部17を挟持する挟持位置(図7に示す位置)とされている。したがって、本実施形態では、回動部材22における挿脱位置と挟持位置との間の回動角度は90度になっている。
【0035】
次に、連結装置15によって支柱12と梁13とを連結する際の作用について説明する。
さて、連結装置15によって支柱12と梁13とを連結する場合には、まず、回動部材22の2つの回動板23のうちの一方を挿脱位置に回動して、支柱12の溝条14の内部に開口部16から挿入する。すると、溝条14の内部に挿入した回動板23と対応する特定連結部21の外面は、各突出部18間において各突出片部17の外側面17bに当接する。続いて、連結装置15を支柱12の溝条14に沿って摺動させて所望の連結位置まで移動させる。
【0036】
続いて、回動部材22の回動部32の六角穴34に六角レンチ(図示略)を挿入して、回動板23の各円弧コーナー部25が回動方向の前側となるように、回動板23を挿脱位置から挟持位置に向かって回動させる。すると、回動板23の傾斜面26が各突出片部17の内側面17aに摺接した状態となる。
【0037】
この状態で、回動板23を挟持位置に向かってさらに回動させると、傾斜面26における内側面17aとの摺接位置が保持面27側に徐々に近づくため、各突出片部17に対する回動板23と特定連結部21との挟持力が徐々に大きくなる。このとき、回動部材22の回動に伴って特定連結部21(本体20)も回動しようとするが、該特定連結部21は各突出部18の内側面18aに当接するため、その回動が規制される。
【0038】
そして、回動板23が挟持位置まで回動されると、内側面17aに、該内側面17aと平行な保持面27が圧接し、各突出片部17に対する回動板23と特定連結部21との挟持力が最大になる。すなわち、内側面17aに対する保持面27の圧接によって、回動板23(回動部材22)の挟持位置の状態が保持される。このとき、回動板23の各直角コーナー部24は、該回動板23の回動方向において溝条14の内側壁に当接している。
【0039】
このため、連結装置15が支柱12に対して強固に連結される。その後、この連結装置15における回動部材22の他方の回動板23を、上述の支柱12の場合と同様に、挿脱位置に回動してから梁13の溝条14の内部に開口部16から挿入した状態で、挿脱位置から挟持位置まで回動することで、連結装置15が梁13に対して強固に連結される。これにより、支柱12と梁13とが連結装置15によって強固に連結される。
【0040】
そして、上述と同様にして、一対の支柱12と一対の梁13とで矩形状の枠が形成されるように、これらを連結装置15によって互いに連結することで、上述したパーテションの骨組み11が形成される。なお、連結装置15による支柱12と梁13との連結状態を解除する場合には、連結装置15の回動板23(回動部材22)を挟持位置から挿脱位置に回動させた後、それぞれの溝条14の内部から開口部16を介して回動板23をそれぞれ抜脱すればよい。
【0041】
以上詳述した実施形態によれば次のような効果が発揮される。
(1)連結装置15は、各特定連結部21に対してそれぞれ回動可能な状態で一体に設けられた回動部材22を備えている。このため、各回動部材22の回動板23を支柱12及び梁13のそれぞれの溝条14に開口部16を介してそれぞれ挿入した状態で挿脱位置から挟持位置にそれぞれ回動することで、回動板23(回動部材22)と特定連結部21とで支柱12及び梁13のそれぞれの溝条14の各突出片部17が挟持される。これにより、支柱12と梁13とが連結装置15によって連結されるので、支柱12と梁13との連結作業を容易に行うことができる。
【0042】
加えて、連結装置15は、各回動部材22の回動板23を支柱12及び梁13のそれぞれの溝条14内に挿入した状態でも、回動板23を挟持位置に回動させない限り、各溝条14に沿って自由にスライド移動させることができるので、支柱12と梁13との連結位置の調整を自由に無段階で行うことができる。
【0043】
また、連結装置15は、各特定連結部21に対して各回動部材22が一体に設けられている上に、ねじやクリップなどの別部材を必要とすることなく支柱12と梁13とを連結することができるので、現場での連結作業時に、各回動部材22、及びねじやクリップなどを落としたり無くしたりすることがない。したがって、作業現場での連結作業効率を向上することができる。
【0044】
(2)連結装置15における回動部材22の回動板23には、該回動板23を溝条14内において挿脱位置から挟持位置に回動するに連れて該回動板23と特定連結部21とによる各突出片部17に対する挟持力を大きくさせるように、該回動板23の回動方向に沿って傾斜する傾斜面26が形成されている。このため、溝条14内において、傾斜面26により、回動板23(回動部材22)を挿脱位置から挟持位置に円滑に導くことができる。
【0045】
(3)連結装置15における回動部材22の回動板23には、該回動板23を溝条14内において挿脱位置から挟持位置に回動した場合に各突出片部17の内側面17aに圧接して挟持位置の状態を保持する保持面27が、傾斜面26に隣接して形成されている。このため、保持面27により、回動板23(回動部材22)を挟持位置で精度よく保持することができるとともに、回動板23を挟持位置から挿脱位置に容易に回動することができる。
【0046】
(4)連結装置15における回動部32は、該回動部32の軸線方向(回動部材22の軸線方向)において特定連結部21の収容凹部21a内から突出しないように、該収容凹部21a内に収容されている。このため、回動部32が他の部材と係合することを抑制することができる。
【0047】
(5)連結装置15における回動板23(回動部材22)における挿脱位置と挟持位置との間の回動角度は90度であるため、回動板23を挿脱位置と挟持位置との間で迅速に回動することができる。
【0048】
(変更例)
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・図9に示すように、連結装置15は、各特定連結部21のうちの一方を、回動部材22を有さない連結部40に変更するようにしてもよい。この場合、連結部40の中央部には、貫通孔41が形成される。
【0049】
このようにすれば、連結装置15によって、溝条14を有する被連結部材と溝条14を有さない被連結部材とを連結することができる。この場合、連結装置15と溝条14を有さない被連結部材とは、連結部40の貫通孔41を利用してねじやクリップなどで連結される。
【0050】
・図10に示すように、図9に示す連結装置15において、貫通孔41を有する連結部40を、特定連結部21の両側に形成するようにしてもよい。このようにすれば、例えば、上記実施形態のパーテションの骨組み11の梁13に特定連結部21を連結するとともに、各連結部40に貫通孔41を利用してねじやクリップなどで化粧パネルを連結することで、連結装置15によって骨組み11に表裏一対の化粧パネルを容易に取り付けることができる。
【0051】
・図11に示すように、連結装置15は、各特定連結部21にそれぞれ設けられた回動部材22のうちの一方を、その回動板23が対応する特定連結部21の内側に位置するように該特定連結部21に設けるようにしてもよい。
【0052】
・連結構造体は、連結装置15を用いて連結されるものであれば、住宅のエクステリアに用いられる門柱、ポスト、機能ポールなどであってもよい。
・連結装置15における回動板23(回動部材22)における挿脱位置と挟持位置との間の回動角度は必ずしも90度である必要はなく、360度未満であれば、例えば45度や180度などの任意の角度に変更してもよい。
【0053】
・連結装置15における回動部32は、必ずしも特定連結部21の収容凹部21a内から突出しないように該収容凹部21a内に収容する必要はなく、回動部32が収容凹部21a内から突出していてもよい。
【0054】
・連結装置15における回動板23の保持面27は、必ずしも各突出片部17の内側面17aと平行でなくてもよい。
・連結装置15における回動板23の保持面27は、省略してもよい。
【0055】
・連結装置15における回動板23の傾斜面26は、省略してもよい。
・回動部材22の回動部32の六角穴34を+形状の溝や−形状の溝に変更し、これらの溝にプラスドライバーやマイナスドライバーを挿入して回動部32(回動部材22)を挟持位置と挿脱位置との間で回動するようにしてもよい。
【0056】
・直角コーナー部24は、必ずしも直角にする必要はなく、鋭角あるいは鈍角にしてもよい。
・支柱12及び梁13には、それらの全面(4面)のうち少なくとも1面にそれぞれ溝条14を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
11…連結構造体としてのパーテションの骨組み、12…被連結部材としての支柱、13…被連結部材としての梁、14…溝条、15…連結装置、16…開口部、17…突出片部、17a…当接面としての内側面、21…連結部である特定連結部、21a…収容部としての収容凹部、22…回動部材、26…傾斜面、27…保持面、32…回動部、40…連結部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の溝幅よりも幅狭の開口部を形成するように先端同士が溝幅方向において互いに対向する一対の突出片部を有する溝条を備えた被連結部材を少なくとも含む複数の被連結部材同士を連結するための連結装置において、
前記各被連結部材のうち対応する前記被連結部材とそれぞれ連結される複数の連結部と、
前記各連結部のうち前記溝条を有する前記被連結部材と連結される連結部である特定連結部に対して回動可能な状態で一体に設けられるとともに、前記溝条の開口部を介して該溝条に対して挿脱可能となる挿脱位置と、前記溝条の内部に挿入された状態において前記特定連結部とで前記各突出片部を挟持する挟持位置との間で回動される回動部材と
を備えたことを特徴とする連結装置。
【請求項2】
前記回動部材は、前記挿脱位置から前記挟持位置に回動するに連れて該回動部材と前記特定連結部とによる前記各突出片部に対する挟持力を大きくさせるように、該回動部材の回動方向に沿って傾斜する傾斜面を備えていることを特徴とする請求項1に記載の連結装置。
【請求項3】
前記回動部材は、前記挿脱位置から前記挟持位置に回動した場合に、前記各突出片部に当接して前記挟持位置の状態を保持する保持面を備えており、
前記保持面は、前記各突出片部における該保持面が当接する面である当接面と平行であるとともに、前記回動方向に沿って前記傾斜面に隣接していることを特徴とする請求項2に記載の連結装置。
【請求項4】
前記回動部材は、前記特定連結部を貫通するように設けられるとともに、前記溝条の内部に挿入される側とは前記特定連結部を挟んだ反対側に該回動部材を回動させるための回動部を備えており、
該回動部は、前記特定連結部に前記回動部を収容可能に形成された収容部内に該回動部の軸線方向において前記収容部から突出しないように設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の連結装置。
【請求項5】
前記回動部材における前記挿脱位置と前記挟持位置との間の回動角度は、360度未満であることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の連結装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の連結装置を用いて前記各被連結部材同士を連結して構築された連結構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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