説明

連続エッジパターン付きのサブパネルを有するフローリングシステム

ラミネートフローリング用厚板は、装飾モチーフ、エンボス転写表面の凹凸、陥凹周囲、及び係止機構を含む。隣接する厚板をほぼ正確に位置合わせすることにより、エンボス転写パターンを隣接するフローリングパネルを跨いで実質的に連続させることができる。周辺に窪みを設けることにより、フローリングパネルのエッジが早期に磨耗する現象を防止する。フローリングシステム内の個々の厚板は、装飾モチーフ及び/又はエンボス加工表面の凹凸(即ちパターン)を有する少なくとも一つの部分サブパネルを含むことができ、これは、隣接する部分サブパネル又は厚板のパターンと組み合わさる。各厚板は、厚板の一つのエッジの一部分に隣接する複数のエッジパターン、及びこれらのエッジパターンに隣接する少なくとも一つのバルクパターンを含むことができる。フローリングシステム内の一つ又は複数の厚板の複数のエッジパターンは互いにほぼ同じである。一つの厚板に隣接して配置されたとき、バルクパターンはほぼ連続するパターンを個々の厚板内に形成する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本出願は、2003年10月21日出願の、「Flooring System Having Sub-Panels with Complementary Edge Patterns」と題する米国特許出願番号10/689、510を参照により本明細書の一部とする。米国出願番号10/689、510は、2003年2月27日出願の、「Flooring System Having Complementary Sub-Panels」と題する米国出願番号10/374、751(弁護士側管理番号5724.017.22)の一部継続出願であり、米国出願番号10/374、751は、2003年1月28日出願の、「Flooring System Having Complementary Sub-Panels」と題する同時係属中の米国出願番号10/352、248(弁護士側管理番号5724.017.21)の一部継続出願であり、米国出願番号10/352、248は、2002年5月3日出願の、「Embossed-In-Register Panel System」と題する同時係属中の米国出願番号10/137、319(弁護士側管理番号5724.017.00)の一部継続出願であり、2001年7月31日出願の「Embossed-In-Register Manufacturing Process」と題する同時係属中の米国出願番号09/903、807(弁護士側管理番号5724.016.00)、及び1999年12月13日出願の「Direct Laminated Floor」と題する米国特許第6、401、415号を、本明細書において開示される本出願の全ての目的のために、参照により本明細書の一部に包含する。
【0002】
発明の背景
発明の技術分野
本発明はラミネート加工材料に関する。具体的には、本発明は、装飾モチーフ、及び装飾モチーフが機械加工によりエンボス転写された表面の凹凸を有する継ぎ合わせラミネート加工材料から成るフローリングシステムに関する。
【0003】
関連技術の説明
外観及び触感により、高級木材、スレート、グラナイト、石、れんが、及びコンクリートのような従来の建築資材及び仕上げフローリング材は、一般的に消費者の好むところである。しかしながら、このような従来の建築資材及び仕上げフローリング材は、製造及び施工のコストが高い傾向にある。例えば、硬質木材製フロアは非常に高級感のある豪華な外観を呈するが、このようなフロアを施工するために必要な材料及び労力には法外なコストが掛かる。
従来の建築資材及び仕上げフローリング材の代わりに使用できる多くの代替材があり、それらには、高圧ラミネート(HPL)、直接押出ラミネート(DPL)、及び連続式ラミネート(CPL)等のラミネートが含まれる。しかしながら、このような代替材は通常、従来の建築資材及び仕上げフローリング材のリアルな外観及び凹凸を持たない。例えば、木目のモチーフの外側表面を有するほとんどの代替フローリング材は贋物に見え、本物の木材ではないと容易に見分けることができる。更に、高品質のHPL、DPL、又はCPLボードは視覚的に木材のように見えるが、凹凸によりこれらのボードが本物ではないことが容易に分かる。
【0004】
従来の建築資材及び仕上げフローリング材の代替材の大部分に関する問題は、これらの表面の凹凸が装飾モチーフに一致しないことである。例えば、代替フローリング材の節の視覚的外観は、節の表面の凹凸の特徴に一致しない。従って、これらの代替フローリング材の魅力は大幅に低下する。
代替フローリング材の表面の凹凸を、これらのフローリング材の装飾モチーフに一致させるために使用される一の手法は、化学エンボス加工として知られる技術である。化学エンボス加工では、代替材の表面の凹凸は、装飾モチーフを創り出すインクを表面の下の層に添加される物質と化学反応させることにより形成される。或る程度綺麗に仕上がるが、結果として得られる表面の凹凸は、従来の材料の持つ凹凸のシャープさ、及び3次元的特徴に欠ける。
【0005】
従来の建築資材及び仕上げフローリング材の代替材料として、ラミネート材を機械的にエンボス加工して表面の凹凸を形成することができる。例えば米国特許出願09/903807及び米国特許第6401415号を参照されたい。これらの文献の内容は、参照により本明細書に包含する。このような方法によって、装飾モチーフを有し、高品質な3次元凹凸に一致するエンボス転写ラミネート材が製造される。エンボス転写ラミネート材は、機械的エンボス及び装飾モチーフの高精度の転写を必要とする。エンボス転写ラミネート材の利点は、従来の製品の外観及び触感をリアルに再現できることである。
使用するフローリングシステムの種類に関係なく、フローリング材は容易に作業現場に移動させることができなければならず、また容易且つ迅速に設置できなければならない。このために、フローリングシステムにアセンブリ兼係止機構を取り入れて現場施工を容易にすることができる。一の種類のアセンブリ兼係止機構は、パネル群を接続するために使用される舌状片及び溝システムである。このような舌状片及び溝システムは、Cherryによる米国特許第2057135号、及びUrbainによる米国特許第2046593号に開示されている。例えば、図1は、クリップ12を使用してパネルを互いに固定する舌状片及び溝システム11を示すものと考えることができる。
【0006】
別の種類のアセンブリ兼係止機構はChevauxによる米国特許第3946529号に開示されており、この場合のフローリングシステム13は、図2を見ると、フローリングの下に配置される舌状片及び溝システムを使用して接続されているように思われる。
更に別のアセンブリ兼係止機構はKajiwaraによる米国特許第5295341号に示されている。この場合、ラミネートボードには溝−舌状片ジョイントのようなスナップ嵌合型係止方式が取り付けられる。その結果、ラミネートボードを接着剤無しで組み立てることができる。図3によれば、複数のラミネートボードには溝型コネクタ16の形態の係止手段、及び舌状片コネクタ18が設けられる。溝型コネクタ16は前方突出溝20を有し、舌状片18には、細長溝26によって分離された一対の前方で分岐する側壁22及び24が設けられている。これらの側壁は後方係止表面28及び36を含む。これらの側壁は互いに圧縮されていることにより係止構造を実現する。
【0007】
別の種類のアセンブリ兼係止機構は、Martenssonによる米国特許第6101778号に提案されているスナップ嵌合型係止用ジョイントである。図4に示されるように、複数のラミネートボードには、舌状片−溝アセンブリを形成する溝6及び舌状片7により構成される係止手段が設けられている。溝6及び舌状片7は水密材料により作製することができ、部分9がスロット4に丁度収まるようにスナップ嵌合させることができる。
前述のアセンブリ兼係止機構が有用であることが判明したが、これらの機構はこれまで、エンボス転写装飾モチーフ又は図柄が個々のエンボス転写ラミネートの間の継ぎ目を横断して位置合わせされるようなエンボス転写ラミネートシステムには使用されることがなかった。これは、エンボス転写ラミネートボードにより構成されるシステムの視覚的印象、及び凹凸の印象を極めて悪くする。従って、エンボスによって転写されたパターンを維持しながら視覚及び凹凸パターンが継ぎ目を横断する新規のエンボス転写ラミネートシステムが実現すれば有利である。更に有利なのは、エンボスによって転写されたパターンを維持しながら視覚及び凹凸パターンが継ぎ目を横断する構成の、継ぎ合わせエンボス転写ラミネートボードにより構成されるエンボス転写ラミネートシステムである。
【0008】
更に、前述のフローリングシステムは磨耗耐性が比較的低い。いずれの特定理論にも拘束されないとすれば、早期老化(磨耗)は周辺エッジ又は周辺エッジの近傍で、及び/又は舌状片及び溝ラインに沿って始まると考えられる。前述のフローリングシステムはほぼ同じ高さに(レベルに)分布する表面の凹凸を有するので、各パネルの中心及び周辺がユーザ(例えば歩行者)に同じ量だけ接触する。しかしながら、各パネルの周辺はパネルの中心よりも実質的に弱いので、最初に劣化する。
加えて、フローリングシステムは通常、1つの厚板のよりも長い装飾モチーフ又はパターンデザインを持たない。例えば、木材片を含むウッドフロアを再現するように設計されたフローリングシステムでは、木材片パターンの長さは通常、単一の厚板の長さ以下である。この構成は、施工者が、施工される1つの厚板に1を超える厚板を継ぎ足す必要がないため、従来技術によるフローリングシステムにおいて望ましい。
【0009】
従って、代替材が従来の製品と同じ外観及び触感を有し、且つ早期磨耗に対する耐性が向上した、代替の建築資材又は仕上げフローリング材を製造する効果的な方法が必要であり、本方法では、単一厚板の長さよりも長いデザインモチーフ又はパターン要素を形成する機能を維持しながら、使用する厚板の数を最小にできる。
【0010】
発明の概要
従って、本発明の目的は、先行技術に関する制約及び不具合に起因する問題の内の一つ以上の問題をほぼ解決するエンボス転写フローリングシステムを提供することである。
本発明の一の利点は、エンボス転写装飾モチーフを有する個々の隣接厚板を含むエンボス転写フローリングシステムを提供し、このフローリングシステムでは、表面の凹凸及び装飾モチーフの少なくとも一方が、隣接するフローリング用厚板の間でほぼ正確に位置合わせされる。
【0011】
本発明の別の利点は、エンボス転写装飾モチーフを有するフローリング用厚板を継ぎ合わせたエンボス転写フローリングシステムを提供し、このフローリングシステムでは、表面の凹凸及び装飾モチーフの少なくとも一方が、隣接するフローリング用厚板の間でほぼ正確に位置合わせされることにより、ほぼ連続するエンボス転写パターンが継ぎ合わせたフローリング用厚板を跨いで形成される。
本発明の別の利点は、例えば個々のフローリング用厚板の周辺の表面に窪みを設け、フローリング用厚板の周辺の上部表面を、周辺によって取り囲まれるフローリング用厚板の上部表面の一部分の下方に位置させることができるようなフローリング用厚板を含むことができる、エンボス転写フローリングシステムを提供する。
【0012】
本発明の別の利点は、周辺を画定する複数の辺と、周辺の少なくとも一つの第1部分に近接して配置される複数のエッジパターンであって、複数のエッジパターンの内の少なくとも2つがほぼ同じである複数のエッジパターンと、複数のエッジパターンに隣接し、且つ周辺の少なくとも一つの第2部分に近接して配置される少なくとも一つのバルクパターンであって、少なくとも一つのバルクパターンとそれに隣接する一つのエッジパターンがほぼ連続するパターンを形成する少なくとも一つのバルクパターンとを含む一つの厚板を提供する。
本発明の別の利点は、所定の方向に沿って互いに隣接する少なくとも2つの厚板を備えたフローリングシステムを提供する。本システムにおいて各厚板は、周辺を構成する複数の辺と、周辺の少なくとも一つの第1部分に近接して配置される複数のエッジパターンであって、複数のエッジパターンの内の少なくとも2つがほぼ同じである複数のエッジパターンと、複数のエッジパターンに隣接し、且つ周辺の少なくとも一つの第2部分に近接して配置される少なくとも一つのバルクパターンであって、少なくとも一つのバルクパターンと、少なくとも一つのバルクパターンに隣接する一つのエッジパターンがほぼ連続するパターンを形成する少なくとも一つのバルクパターンとを含み、少なくとも2つの厚板のエッジパターンはほぼ連続するパターンを形成する。
本発明の更に別の利点は、周辺を構成する複数の辺と、その上に装飾モチーフを有する表面とを含むフロアパネルを提供し、前記装飾モチーフは、パネルの複数の辺の各々に隣接する少なくとも2つのエッジパターンと、パネルの内側に位置し、且つ各辺のエッジパターンに隣接する少なくとも一つのバルクパターンとを含み、一辺に沿った少なくとも一つのエッジパターンは、反対側の辺に沿った対応する位置のエッジパターンとほぼ同じであり、一辺に沿った装飾モチーフの少なくとも一部分は、反対側の装飾モチーフの対応する部分とは有意に異なる。
【0013】
本発明の更に別の特徴及び利点が後述で明らかされ、その一部は後述の記載により、又は本発明を実施することにより、認識することができる。本発明のこれら及び他の利点は、本明細書及び請求の範囲、並びに添付図面に特に指摘される構造によって実現及び達成される。
ここで、前述の概略的説明、及び後述の詳細な説明は例示的且つ説明的なものであり、請求の範囲に規定される本発明を更に詳細に説明することを目的としたものであることを理解されたい。
【実施例】
【0014】
本発明を更に深く理解するために本明細書に含まれ、本明細書に組み込まれて本明細書の一部分を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、詳細な説明とともに本発明の原理を説明するために使用される。
以下に、添付図面にその実施例を示す本発明の実施形態を詳細に参照する。
【0015】
図5は、本発明の原理によるフローリング用厚板の構成要素の概要を示している。
図5に示すように、エンボス転写フローリングシステムは、例えば少なくとも一つのフローリング用厚板を含む。本発明の一態様では、各フローリング用厚板は、基板材料(例えば、中密度又は高密度繊維ボード、チップボードなど)により作製されるボード基板34と、所定の樹脂を含浸させてボード基板34の上及び/又は下に配置される少なくとも一つのベースシート36(例えば、クラフトペーパーシート)と、重合可能な樹脂(例えば、メラミンのようなフェノール)を含浸させてボード基板の上に配置される厚さ約0.15mmの装飾用ペーパーシート38と、装飾用ペーパーシート38の上に配置される少なくとも一つの保護用オーバーレイシート30とを含むことができる。本発明の一態様では、各保護用オーバーレイシート30は、コランダム(Al)、シリカなどを含有するメラミン樹脂溶液を含浸させた高耐久ペーパーにより作製することができる。本発明の別の態様では、異なるペーパーを装飾用ペーパーシート38とボード基板34との間に配置することができる。本発明の一態様では、少なくとも一つの保護用オーバーバーレイシート30及びベースシート36に樹脂を含浸させることができる。本発明の別の態様では、少なくとも一つの保護用オーバーバーレイシート30及びベースシート36に含浸させる樹脂は、装飾用ペーパーシート38に含浸させるために使用されるメラミン樹脂とは異なるものとすることができる。
【0016】
本発明の一態様では、フローリングシステム内の複数のフローリング用厚板は、ほぼ同じペーパー、樹脂などにより作製することができる。例えば、フローリングシステム内のフローリング用厚板は、ほぼ同じペーパー繊維(例えば、ほぼ同じ灰分、色、及び配向を持つ)から成るペーパーを同じペーパー加工機によって作製することができる。更に、フローリングシステム内の複数のフローリング用厚板は、加工スプールの単一の連続セクションから出てくるペーパーを使用して作製することができる。フローリングシステムのフローリング用厚板を作製するために用いることができる前述のペーパー使用制約条件の全てによって、含浸ペーパーは、プレスして硬化させた後に確実にほぼ同じ最終寸法を有する。本発明の一態様では、フローリングシステム内のフローリング用厚板を作製するために使用されるペーパーの倉庫は、ペーパーを保管する時間、温度、及び湿度を維持してフローリング用厚板の寸法の均一性が容易に確保されるように制御することができる。本発明の別の態様では、フローリングシステム内の複数のフローリング用厚板は、同じ製造業者が製造するセルロースペーストを使用して作製することができる。本発明の更に別の態様では、フローリングシステム内の複数のフローリング用厚板は、同じ製造業者が製造する樹脂を使用して作製することができる。本発明の更に別の態様では、樹脂は、実質的に同じ供給業者から供給されるパウダーを含み、ほぼ同じ化学的及び物理的品質を有し、及び同じ反応機で混合することができる。更に、フローリングシステム内の複数のフローリング用厚板は、ほぼ一定の固体成分を有する樹脂を使用して作製することができる。フローリング用厚板を作製するために用いることができる前述の樹脂使用制約条件の全てによって、含浸ペーパーは、プレスして硬化させた後に、確実にほぼ同じ最終寸法を有する。本発明の更に別の態様では、フローリングシステム内の複数のフローリング用厚板の各々は、ほぼ同じ含浸プロセスを使用して作製することができる。例えば、種々のペーパーシートをメラミン樹脂に浸す場合、ペーパーには一定のメラミン樹脂を均一に吸収させる必要がある。更に、種々のペーパーシートが樹脂を吸収する度合いに影響を与えるので、含浸機のベルト張力及び振動を正確に制御する必要がある。
【0017】
本発明の原理によれば、前述のシート及び基板を組み立てて、継ぎ合わせた複数のフローリング用厚板を含むエンボス転写フローリングシステムとすることができる。このようなフローリングシステムを実現するために、図6に示すプレス機のようなプレス機を使用して各フローリング用厚板に、装飾用ペーパーシート44上に配列された装飾モチーフをエンボス転写することができる。
図6に示すように、プレス機は、例えば、ベース42、上部プレス54、及び上部プレスプレート56を含むことができる。本発明の一態様では、上部プレスプレートはエンボスパターン(例えば、3次元的な凹凸を持つ表面)を含むことができる。従って、エンボスパターンは、例えば、あらゆるデザインの隆起、ドット、窪みなどを含むことができ、このデザインは、装飾用ペーパーシート44の上に形成される装飾モチーフに位置合わせすることができる。
【0018】
本発明の原理によれば、フローリング用厚板へのエンボス転写を可能にするためには、ボード基板40上に配置される装飾用の含浸ペーパーシート44を上部プレスプレートのエンボスパターンに対して正確に位置合わせしなければならない。本発明の一態様では、プレスプレートのエンボスパターンと装飾モチーフとの位置合わせは、プレスがロック位置にあり、ボードが加圧されているときに確実に行う必要がある。必要な制御の精度は、使用する装飾モチーフに応じて変化する。例えば、木目調のエンボス転写モチーフを、隣接するエンボス転写フローリング用厚板を跨いで位置合わせするためには、隣接するフローリング用厚板に位置合わせされない木目調のエンボス転写モチーフの位置合わせよりも高い位置合わせ精度が必要になる。
装飾用ペーパーシート44上の装飾モチーフと上部プレスプレート56上のエンボスパターンとの位置合わせは、ボード基板40の周辺の約2〜3ミリメートルの材料をミリングプロセスにより除去して、幾つかの基準面(例えば、ボードエッジ)、及び厳密に制御された寸法を有するボード基板を形成することにより可能になる。次に、ボード基板40より約8mm又は10mmだけ小さい外形寸法を有する装飾用の含浸ペーパーシート44をボード基板40の上に配置する。本発明の一態様では、装飾用の含浸ペーパーシート44は、ボードエッジを位置合わせ手段として使用することによりボード基板40の上に配置することができる。本発明の一態様では、位置合わせマークをボード基板40上に配置し、装飾用ペーパーシート44上に設けられる位置合わせマークと位置合わせすることができる。
【0019】
本発明の一態様では、装飾用ペーパーシート44は静電気によってボード基板40に接着することができる。接着後、装飾用ペーパーシート44及びボード基板40をキャリッジ上に配置してプレス機に送り込む。静電気によって、ボード基板40をキャリッジで移動する間に装飾用ペーパーシート44がボード基板40から何かの拍子にずれる現象をほぼ防ぐことができる。本発明の一態様では、プレス機の中に入る直前にキャリッジを停止させることにより、装飾用ペーパーシート44を、例えばツイーザ(図示せず)を使用して、ボード基板40上に正確に配置することができる。本発明の別の態様では、ツイーザを使用して、下部プレスプレート上に配置されたボード基板40の上に装飾用ペーパーシート44を正確に配置することができる。本発明の一態様では、装飾用ペーパーシート44、少なくとも一つの保護用オーバーレイシート46、及び任意のベースシート48は、プレス機内に配置する前にボード基板40の上に配置することができる。装飾用ペーパーシート44をボード基板40の上に配置した後で、キャリッジをプレス機の外に移動することができる。次に、位置合わせシステムによって、装飾用ペーパーシート44/ボード基板40から成るシステムを上部プレスプレート56のエンボスパターンに位置合わせすることができる。本発明の一態様では、位置合わせシステムは、ボードエッジを使用することにより、装飾モチーフ44を上部プレスプレート56上のエンボスパターンにほぼ正確に位置合わせすることができる。プレス機は、位置合わせが完了した後で動作させることができる。
本発明の一態様では、図5に示す構成要素がプレス機内で位置合わせされ、エンボスパターンに位置合わせされた後、種々のシート及び基板をプレスし、樹脂がなじむまで所定の時間に亘って硬化させ、硬度及び磨耗性が非常に高いフローリング用厚板を作製することができる。例えば、プレス機に挿入されてエンボスパターンに位置合わせされた後、ボード基板40、装飾用ペーパーシート44、保護用オーバーレイシート46、及び任意のベースシート48を約160〜220℃の温度で加熱し、約20〜40Kg/cmの圧力を約20〜60秒間に亘って加えることによりプレス接着することができる。従って、上部プレス54が、上部プレスプレート56のエンボスパターンを装飾用ペーパーシート44及びボード基板40の構造にプレスする。温度及び圧力を組み合わせて加えることにより、装飾用ペーパーシート44とボード基板40とが融着する。位置合わせシステムによって、装飾用ペーパーシート44が上部プレスプレート56のエンボスパターンと確実に概ね位置合わせされる。従って、種々のシートに含まれるメラミン樹脂を硬化させることができ、エンボス転写厚板を作製することができる。
【0020】
本発明の一態様では、融着部品の空隙率は、樹脂(例えば、メラミン)をゆっくりと硬化させることにより最小にすることができる。従って、加工温度を下げる場合、プレス機内部の種々のシートをプレスする時間を長くする。本発明の別の態様では、プレスプレート56を約160〜220℃に加熱すると、プレスプレートに含まれるエンボスパターンを拡大することができる。従って、プレスプレート56上のエンボスパターンは、パターンの拡大を相殺するように設けることができる。従って、エンボスパターンの寸法は、図5の構成要素に含まれる樹脂を硬化させる場合に、装飾モチーフのデザインにこれらの寸法がほぼ対応するように設定される。
本発明の原理によれば、エンボス加工表面の凹凸を、装飾モチーフを有する個々のフローリング用厚板に押し付けることができる。本発明の一態様では、エンボス加工表面の凹凸に装飾モチーフが転写される。従って、エンボス転写フローリング用厚板を作製することができる。本発明の別の態様では、複数のエンボス転写フローリング用厚板を継ぎ合わせてエンボス転写フローリングシステムを形成することができる。本発明の更に別の態様では、隣接するフローリング用厚板のエンボス転写パターンの少なくとも一部分を互いに対してほぼ正確に位置合わせし、フローリングシステム内の隣接フローリング用厚板に跨るほぼ連続するエンボス転写パターンを形成することができる。
上述のエンボス転写プロセスは、深さ約2mm未満のエンボス加工表面の凹凸に適するが、表面の凹凸がこれよりも深い場合には問題が生じる。深い表面の凹凸を押し付けることができるエンボスパターンは、例えば、比較的大きなプレスプレート突起を必要とし、これらの突起はボード表面全体に加わる圧力の均一性を損ない易い。このように圧力の妨げによって、最終製品に変形が生じ得る。本発明の一態様では、エンボス加工表面の凹凸は、ボード基板40の、深い表面の凹凸が必要な位置に窪みを設けることにより、約0.2mmより深く形成することができる。本発明の一態様では、窪み形成プロセスは、上述のように、ボード基板40の周辺をミリング加工する前に、ミリング加工している間に、又はミリング加工した後で行なうことができる。本発明の別の態様では、ボードエッジを使用してボード基板40の窪み形成部分の境界の位置決めを行なうことができる。
【0021】
図7に示すように、上述のプロセスに従って作製されるエンボス転写フローリング用厚板60は、任意で、保護用パッド層50を一方の側に含むことができる。エンボス加工表面の凹凸は、装飾用ペーパーシート44の装飾モチーフ68に転写される。「転写(registration)」という用語は、エンボス加工表面の凹凸が、装飾用ペーパーシート44の装飾モチーフにほぼ正確に位置合わせされることを指す。エンボス転写フローリング用厚板を提供することにより、個々のフローリング用厚板に天然材料をリアルに再現することができる。図7に示す装飾モチーフは木目調のイメージ及び凹凸をリアルに表現しているが、厚板セラミック、コンクリート、大理石などの他のエンボス転写デザインを形成できることを理解されたい。
本発明の原理によれば、個々のフローリング用厚板の各々は、例えば少なくとも一つの係止機構を含むことができる。
【0022】
本発明の一態様では、係止機構は、装飾モチーフに合わせてボード基板40の表面にエンボスパターンを押し付ける前に、ボード基板40内に取り付けることができる。従って、係止機構は、個々のボード基板40の内部に設けることができる。次に、係止機構を使用して個々のボード基板を互いに継ぎ合わせて厚板構造を形成することができる。次に、厚板構造をプレス54に挿入することができる。エンボスパターンを厚板構造に押し付け、及び融着構成成分を互いに融合した後、厚板構造をプレス54から取り外す。次に、融着した厚板構造内部のエンボス転写フローリング用厚板60は、係止機構を解除することにより分離される。本発明の一態様では、切断工具を使用して分離を容易にし、装飾モチーフに傷が付くことを確実に防ぐことができる。
本発明の別の態様では、係止機構は、装飾モチーフに合わせてボード基板40の表面にエンボスパターンを押し付けた後でボード基板40内に取り付けることができる。従って、例えば4’×8’の比較的大きなサイズを有するボード基板40は、プレス54によってエンボス加工することができる。次に、結果として得られるエンボス転写基板を切断して複数の個別のエンボス転写フローリング用厚板60を作成することができる。本発明の一態様では、個々のエンボス転写フローリング用厚板60のエッジは平滑なエッジ及び正確な寸法を有することができる。本発明の一態様では、切断は整形工具、ミリング工具、切断工具、分離工具などを使用して行なうことができる。本発明の一態様では、ボード基板はプレス機によって切断することができる。従って、ボード基板40を切断し、例えば300mmx300mm、400mmx400mm、600mmx600mm、1、200mmx300mm、1、200mmx400mmなどの寸法を有する複数の木材ユニット(例えば、木材ストリップ)を作成することができる。次に、係止機構を個々のエンボス転写フローリング用厚板60に取り付けることができる。本発明の一態様では、係止機構はフローリング用厚板の表面の下に隠れるように配置することができるか、又は見えるように配置することができる。
【0023】
本発明の原理によれば、係止機構は、フローリング用厚板の、ボードエッジ、位置合わせマーク、装飾モチーフ、及び表面の凹凸の内の少なくとも一つをミリング工具に位置合わせすることにより、個々のエンボス転写フローリング用厚板60に取り付けることができる。ミリング工具を前述の位置合わせ可能な機構に位置合わせすることにより、係止機構をボード基板40の辺にミリング加工することができ、これにより、フローリング用厚板60を互いに継ぎ合わせると、装飾モチーフの少なくとも一部分が連続パターンを形成し、エンボス転写パターンの少なくとも一部分が、隣接するフローリング用厚板を跨いでほぼ連続する表面の凹凸を形成する。
本発明の原理によれば、エンボス転写フローリング用厚板60は、エンボス転写ラミネート材60の4辺全てに沿った係止機構64(例えば、舌状片及び溝係止方式、スナップ嵌合型係止方式などの内の少なくとも一つ)を含むことができる。例えば、スナップ嵌合型係止方式は、エンボス転写フローリング用厚板60の4辺全てに取り付けることができ、複数のエンボス転写フローリング用厚板60を接続して一つのエンボス転写フローリングシステム300を形成するために使用することができる(図8に示す)。係止機構の数及び位置は、エンボス転写フローリングシステムの所望の構成によって決定される。例えば、エンボス転写フローリングシステムが角に接する場合、係止機構は2つ必要になるだけである(辺に沿って)。
【0024】
図8に示すように、エンボス転写フローリング用厚板A及びBは、例えば、4つの辺に沿って(例えば、継ぎ目J1、J2、J3、及びJ4に沿って)係止機構を含むことができる。エンボス転写フローリング用厚板C及びDは、例えば、4つの辺に沿って(例えば、継ぎ目J1、J2、J3、及び図示しない別の継ぎ目に沿って)係止機構を含むことができる。
前述の係止機構を含むエンボス転写フローリング用厚板は、接着剤を使用して又は使用せずに、互いに対して固く取り付けられて、エンボス転写ラミネートシステム300を形成することができる。複数のエンボス転写フローリング用厚板を互いに継ぎ合わせて、フローリング又はプランキングなどにあらゆる所望の形状を得ることができる。エンボス転写フローリング用厚板を互いに継ぎ合わせることにより、隣接するフローリング用厚板のエンボス転写パターンの少なくとも一部分が互いに対して概ね位置合わせされ、ほぼ連続するイメージ及びエンボス加工表面の凹凸がフローリングシステム内の複数のフローリング用厚板を跨いで形成される。
【0025】
図8及び9は、個々のエンボス転写フローリング用厚板60の各々に取り付けられた一種の係止機構を含む例示的エンボス転写フローリングシステム300を示す。図9は、スナップ嵌合型舌状片及び溝係止機構が取り付けられたフローリング用厚板を含む例示的エンボス転写フローリングシステムを示す。本発明の一態様では、スナップ嵌合型舌状片及び溝係止機構を各エンボス転写ラミネート材60の側壁に設けて、確実に、隣接するフローリング用厚板のエンボス転写パターンを互いに対してほぼ位置合わせし、フローリングシステム内でほぼ連続させることができる。
図9は、ライン9−9に沿った図8の断面図を示している。図示のように、係止機構は、溝230、舌状片200、通路210、及び縁220をエンボス転写フローリング用厚板60のエッジに沿って形成することにより設けることができる。エンボス転写フローリング用厚板60の係止機構は、舌状片200を、隣接するエンボス転写フローリング用厚板の溝230に挿入することにより、互いに継ぎ合わせることができる。次に、縁220を通路210内に固定することにより、隣接するエンボス転写フローリング用厚板60を継ぎ合わせて一つのエンボス転写フローリングシステム300とすることができる。本発明の一態様では、A、B、C、及びDの記号で示すエンボス転写フローリング用厚板60は、接着剤を使用して、又は使用しないで互いに継ぎ合わせることができる。ここで、他の種類の係止機構を個々のエンボス転写フローリング用厚板60の辺に取り付けることができることを理解されたい。
【0026】
再度、図8によれば、エンボス転写フローリング用厚板60の各々は、例えばエンボス転写厚板セラミックモチーフG1を持つことができる。厚板セラミックモチーフは、方形、矩形、三角形、円形、楕円形、他のいずれかの形状又はデザインの複数の厚板を含むことができ、これらの厚板はグラウトラインによって分離される。本発明の一態様では、グラウトラインの幅Wh、Wv、及びボード内グラウト幅Wはほぼ等しくすることができる。エンボス転写フローリング用厚板60にスナップ嵌合型舌状片及び溝係止機構を取り付ける場合、各エンボス転写ラミネート材A、B、C、及びDの上の継ぎ目J1、J2、J3、及びJ4に隣接するグラウトの幅は、ボード内グラウト幅Wのほぼ半分である。例えば、継ぎ目J1を跨ぐ、垂直方向の厚板のグラウト幅(Wv)は、エンボス転写ラミネート材A、B、C、及びDの上のグラウトラインにより構成されるので、エンボス転写ラミネート材A、B、C、及びDをJ1で継ぎ合わせると、垂直方向のグラウト幅(Wv)はほぼ(W)に等しくなる。従って、継ぎ目に隣接するいずれかのエンボス転写フローリング用厚板60の上のグラウト幅はボード内グラウト幅(W)の半分である。本発明の別の態様では、水平方向のグラウト幅Wh及び垂直方向のグラウト幅Wvは、これらの幅がボード内グラウト幅Wの寸法にほぼ等しくなるように制御することができる。しかしながら、エンボス転写フローリング用厚板のグラウト幅の寸法は、取り付ける係止機構及び表現される装飾モチーフの種類によって変わることを理解されたい。
【0027】
グラウトラインに加えて、多くの他の装飾モチーフを本発明のエンボス転写フローリングシステムに使用することができる。図10及び11に示すように、例えば、隣接し合うフローリング用厚板の継ぎ目J5及びJ6を跨いで概ね位置合わせされた木目調表面G2を表す装飾モチーフを提供することができる。本発明の原理によれば、木目調パターンは通常、フローリング用厚板の位置合わせが必要な周辺に位置する要素(例えば、木目調ライン、節423など)を、厚板セラミックモチーフの場合よりも多く含む。従って、木目調モチーフの位置合わせは、一般的に、厚板セラミックモチーフのグラウトライン部分の位置合わせよりもよりも難しい。例えば、エンボス転写フローリング用厚板Eの上の節423の第1部分を、エンボス転写フローリング用厚板Fの上の節423の第2部分に位置合わせするのは、一般的に、隣接するフローリング用厚板の継ぎ目を跨いでグラウトライン幅を位置合わせするより複雑である。従って、係止機構を設ける場合、リアルなエンボス転写フローリングシステム400を確実に施工するには、図形要素(例えば、木目調ライン及び節423)の全てを考慮に入れる必要がある。本発明の一態様では、装飾モチーフの少なくとも一部分を位置合わせマークとして使用することにより、隣接するフローリング用厚板と正確な位置合わせを確実に行なうことができる。
本発明の別の態様では、エンボス転写フローリングシステム400内の個々のフローリング用厚板は、ライン11−11に沿った図10の断面図を表わす図11に示すように、スナップ嵌合型係止方式により互いに継ぎ合わせることができる。この場合も同じように、係止機構を設けるために位置合わせ方法を使用することにより、エンボス転写ラミネートシステム400が、継ぎ目J5及びJ6を跨いでほぼ連続する表面の凹凸423を持つ。任意で、エンボス転写ラミネート材60は、ベースシート48の下に保護パッド層70を有する。
【0028】
図12A及び12Bは、本発明の原理によるフローリング用厚板の模式図を示す。
図12A及び12Bに示すように、各エンボス転写フローリング用厚板の周辺Pの上部表面には、フローリング用厚板の、周辺によって取り囲まれる部分の上部表面の下に窪みを形成することができる。フローリング用厚板の主表面Msに接触するオブジェクトO(例えば、ユーザの靴、車輪など)は通常、周辺の表面が窪んでいるため、周辺Psの表面に接触することがない。本発明の一態様では、周辺は、フローリング用厚板の、エッジから中心に向かって約3.175mmに亘る部分を含むことができる。本発明の別の態様では、フローリング用厚板の周辺の表面の窪みの深さは約0.794mmである。本発明の別の態様では、フローリング用厚板の周辺の少なくとも一部分の表面に窪みを設けなくともよく、これについて図13を参照しながら後述で更に詳細に議論する。
従って、エンボス転写パターンをフローリング用厚板のエッジに設けることができ、及び隣接するフローリング用厚板の上に形成されるエンボス転写パターンに位置合わせすることができ、更には個々のフローリング用厚板のエッジが早期に磨耗する現象を防止することができる。
【0029】
図8及び10では、フローリングシステム内の個々のフローリング用厚板がほぼ同じサイズ、及び形状を有し、継ぎ合わされた各フローリング用厚板の各辺は、一つの隣接フローリング用厚板だけに継ぎ合わされているが、フローリングシステム内の個々のフローリング用厚板のサイズ(例えば、幅及び/又は長さ)及び形状(例えば、矩形、方形、三角形、六角形など)は変えることができることを理解されたい。本発明の一態様では、個々のフローリング用厚板はパズル又はモザイクと同じように組み立てることができる相補的な形状を有することができる。更に、本発明の一態様では、個々のフローリング用厚板の辺が、一つよりも多くの隣接フローリング用厚板と接することができる。
本発明の原理によれば、フローリングシステム内のフローリング用厚板は、各厚板の少なくとも一つの辺が、少なくとも2つの他のサブパネルに隣接する少なくとも一つのサブパネルを含むように配置することができる。本発明の別の態様では、各厚板の全体又は一部が少なくとも一つのサブパネルを含むことができ、これについて後述で更に詳細に説明する。
【0030】
図13Aでは、例えば、厚板130Aの部分サブパネル134Aを、厚板130Aに隣接する厚板130Bの隣接する部分サブパネル136Bに対して相補的なサブパネルとすることができる。この配置により、部分サブパネル134A及び136Bを一つの一体型サブパネルとし見せることができる。
更に図13Aによれば、厚板130A〜Fの各々は、少なくとも3つのサブパネルを含むことができ、これらのサブパネルの内の少なくとも一つは一体型サブパネルであり、これらのサブパネルの内の少なくとも2つは部分サブパネルである。例えば、132Aは一体型サブパネルであり、及び134A及び136Aは部分サブパネルである。
【0031】
本発明の一態様では、一体型サブパネル132Aは、エンボス加工表面に凹凸を含むか又は含まない完全な装飾モチーフを表示することができ、このエンボス加工表面の凹凸は装飾モチーフに転写してもしなくてもよい。本発明の別の態様では、厚板の部分サブパネル134A及び136Aは、エンボス加工表面に凹凸を含むか又は含まない、分離された不完全な装飾モチーフを表示することができ、このエンボス加工表面の凹凸は装飾モチーフに転写してもしなくてもよい。本発明の一態様では、隣接する厚板の隣接部分サブパネルは互いに対して相補的であるので、これらの部分サブパネルはほぼ完全な装飾モチーフ及び/又は表面の凹凸を提供し、ほぼ連続する一体型サブパネルのような外観を呈する。本発明の一態様では、相補的部分サブパネルは相補的な装飾モチーフ及び/又はエンボス加工表面の凹凸を持つことができる。従って、隣接する厚板の相補的な部分サブパネルが正しく位置合わせされると、ほぼ連続する(即ち完全な)装飾モチーフ及び/又はエンボス加工表面の凹凸が、隣接する相補的な部分サブパネルを跨いで形成される。本発明の一態様では、一つの厚板の内部の部分サブパネルは、ほぼ同じ装飾モチーフ及び/又はエンボス加工表面の凹凸を含んでも、含まなくてもよい。
【0032】
図13Bは、図13Aに示されるような例示的厚板130の模式図を示している。
本発明の一態様では、各厚板の周辺表面の一部分には、隣接するサブパネルが相補的でない位置に窪みを設けることができる。本発明の別の態様では、隣接するサブパネルが相補的である各厚板の周辺表面の一部分には窪みを設けないようにすることができる。図13Bによれば、参照番号138aで示す厚板130の各々の周辺「P」の上部表面の一部分に、これらの厚板の各々の主要表面(図12Bも参照のこと)よりもわずかに凹む窪みを設け、各厚板の早期磨耗を防止することができる。更に、参照番号138bで示す厚板130の各々の周辺の上部表面の一部分には窪みを設けず、サブパネルの主要表面とほぼ同一の平面とすることができる。厚板の各々の周辺表面の、一つの厚板の部分サブパネルの装飾モチーフ及び/又はエンボス加工表面の凹凸によって覆われない部分にのみ窪みを設けることにより、各厚板の総合的耐久性をさほど低下させることなく、相補的な部分サブパネル群を一体型サブパネルの一部分であるかのように見せることができる。本発明の更に別の態様では、各厚板の表面の一部分の、一つの厚板のサブパネルが互いに隣接する位置に窪みを設けることができる。図13Bによれば、参照番号138cで示す厚板130の各々の上部表面の一部分に、厚板の各々の主要表面(図12Bも参照のこと)よりもわずかに凹む窪みを設け、厚板のサブパネルの各々が同じ厚板の一部分ではないような視覚効果及び凹凸効果を提供することができる。
【0033】
図14A〜14Cは、本発明の更に別の態様におけるフローリングシステムの例示的厚板を示している。
図14A〜14Cによれば、図13A及び13Bに示す厚板と同様に、参照番号138aで示す厚板130の各々の周辺「P」の上部表面の一部分を面取りし、各厚板の早期磨耗を防止することができる。更に、参照番号138bで示す厚板130の各々の周辺の上部表面の一部分を面取りせず、これらをサブパネルの主要表面とほぼ同一の平面とすることができる。一つの厚板の部分サブパネルの装飾モチーフ及び/又はエンボス加工表面の凹凸に対応する位置で厚板の各々の周辺表面を面取りすることにより、厚板の各々の総合的耐久性をさほど低下させることなく、相補的な部分サブパネル群を一体型サブパネルの一部分であるかのように見せることができる。本発明の更に別の態様では、各厚板の表面の、一つの厚板のサブパネルが互いに隣接する部分に溝を設けることができる。
【0034】
図14B及び14Cは、ラインI−I’及びラインII−II’にそれぞれ沿った厚板130の断面図を示している。図14B及び14Cに示すように、参照番号138cで示す厚板130の各々の上部表面の一部分を面取りして溝を形成することができる。こうして、溝により、一つの厚板のサブパネルが別々のパネルであるかのような視覚効果及び凹凸効果を提供することができる。本発明の一態様では、138cの面取りによって、ほぼV字形の溝を形成することができる。しかしながら、面取りによって他の溝構造(例えば、U字形溝など)を形成することができることを理解されたい。本発明の一態様では、厚板130の各々の周辺表面部分138aの位置を面取りすることにより、隣接する厚板間に溝を形成する。従って、138aを面取りすることにより厚板の内の隣接する厚板間に形成される溝は、138cを面取りすることにより厚板内に形成される溝とほぼ同じ幅及び構造を持つ。
各厚板の周辺の窪ませた表面のモチーフ及び/又は表面の凹凸は、対応する厚板の主要表面のモチーフ/表面の凹凸に対応しても、しなくてもよい。従って、ほぼ連続するモチーフ及び/又は表面の凹凸は、いずれかの個々の厚板の周辺表面及び内部表面を跨いでいても、いなくともよい。一又は複数の位置合わせマーク(図示せず)を使用して、一つの装飾モチーフを厚板上で自己整合させることができる。本発明の一態様では、エンボス転写パターンはフリーパターン又はカスタムデザインとすることができる。ここで、ほぼ全てのエンボス転写パターン及び全ての装飾モチーフは、本発明の原理を適用することにより実現することができることを理解されたい。本発明の一態様では、厚板の位置合わせは、これらの厚板を互いに継ぎ合わせることにより目視で行なうことができる。従って、厚板130の位置合わせは、厚板の各々の装飾モチーフ及び/又はエンボス加工表面の凹凸を使用して行なうことができる。
【0035】
図13A、13B、及び14A〜14Cの厚板がほぼ矩形である構成について例示してきたが、本発明の原理によれば、フローリングシステム内の厚板は、他の形状及びサイズ(例えば幾何学的構造、フリー形状など)を有することができるか、或いは異なる寸法又は同様の寸法を有することができ、よってフローリング用厚板を「モザイク」式に配置するか、又は他の方法で規則的、半繰り返し的、或いはランダムにパネルを配列することができる。更に、各厚板が同じサブパネルレイアウトを有するように図示されているが、本発明の原理によれば、フローリングシステム内の厚板は他のサブパネルレイアウト(例えば、他のサブパネル形状、サイズなど)を有することができる。フローリングシステム内の個々の厚板は、一枚のボードから切り出して、フローリングシステムのフローリングパネル間の継ぎ目が見えないようにすることができる。更に、図13及び14に示すフローリングシステム内の厚板は接着剤を使用して又は使用しないで継ぎ合わせることができる。更には、エンボス加工表面の凹凸が、下地の装飾モチーフにほぼ正確に位置合わせされる場合について議論してきたが、下地の装飾モチーフに関係なく、ほぼどのようなエンボス加工表面の凹凸も本発明の厚板に押し付けることができることを理解されたい。更には、一つの厚板の装飾モチーフ及び/又はエンボス加工表面の凹凸は位置合わせする必要がなく、又は場合によっては隣接する厚板の装飾モチーフ及び/又はエンボス加工表面の凹凸と外観及び/又は凹凸が似通っていなくともよい。
本発明の原理によれば、前述の装飾モチーフ及び/又は装飾モチーフに対してエンボス転写することができるか又はできないエンボス加工表面の凹凸(本明細書では一括して「パターン」と表す)のいずれかを、前述の厚板のいずれかに適用し、少なくとも一つのバルクパターン及び少なくとも一つのエッジパターンを使用して厚板パターンの各々を形成することにより、所定方向に沿って配置された隣接厚板に跨るほぼ連続するパターンを形成することができる。
【0036】
本発明の一態様では、各エッジパターンは、各厚板の少なくとも一つのエッジの少なくとも一部分に沿って延びる周辺に設けることができる。本発明の別の態様では、各エッジパターンは、厚板の周辺から内部に向かって、所定の距離(例えば、約1ミリメートル、約1インチなど)だけに亘ることができる。本発明の別の態様では、少なくとも一つのバルクパターンは、少なくとも一つのエッジパターンに隣接して配置することができ、この場合、バルクパターンの、エッジパターンに隣接するエッジに設けられるパターンは、エッジパターンの、バルクパターンに隣接するエッジに設けられるパターンとほぼ連続する視覚/凹凸パターンを形成することができる。
本発明の一態様では、フローリングシステム内において所定方向に沿って互いに隣接するように配置された個々の厚板のパターンは、隣接する厚板のエッジパターンがほぼ連続するパターンを形成する場合、隣接する厚板のパターンを補完する(即ち、隣接する厚板を跨いでほぼ連続するパターンを形成する)ことができる。上述のフローリングシステムが、所定方向に沿って配置された複数の隣接厚板を含み、各厚板のエッジが、所定方向に沿って他の厚板のエッジパターンに隣接して配置される場合、隣接する厚板のエッジパターンは同じか又はほぼ同じである。隣接する厚板のエッジパターンが同じ又はほぼ同じであることによって、隣接する厚板を跨いで一つの連続するパターンを形成することができる。
【0037】
例えば、図15Aに示すように、厚板150の例示的厚板パターンは、互いにほぼ同じ2つのエッジパターン152と、及び一つのバルクパターン154とを含む。図15Aに示すように、ほぼ同じ2つのエッジパターン152は、厚板150の周辺に設けられ、厚板の両側のエッジの一部分に位置し、厚板150の内部に向かって所定の距離だけ亘って延びている。更に図15Aに示すように、バルクパターン154の、エッジパターン152に隣接するエッジに設けられるパターンは、エッジパターン152の、バルクパターンに隣接するエッジに設けられたパターンと、ほぼ連続するパターンを形成する。
次に、図15Bに示すように、図15Aに示すような複数の厚板150A、150B、150Cなどを、フローリングシステム内で所定方向に沿って互いに隣接させて配置することにより、各厚板のエッジが、所定方向に沿って他の厚板のエッジに隣接して配置される(例えば、厚板150Aの一つのエッジが厚板150Bの一つのエッジに隣接し、厚板150Cの一つのエッジが厚板150Dの一つのエッジに隣接するなど)。上述のように、バルクパターン154がエッジパターン152にほぼ正確に位置合わせされるため、個々の厚板150を跨ぐほぼ連続するパターンを形成することができる。
【0038】
本発明の一実施形態では、厚板が配置される所定方向は、厚板の隣接エッジパターン152に基づいているので、厚板を所定方向に配置するだけで、形成されるパターンは連続し、且つ自然な外観を呈する。この実施形態では、厚板を逆向きにするか、又は厚板をひっくり返すことにより、不連続パターンが形成される。しかしながら、別の実施形態では、周辺の一部分に沿ったエッジパターンは、厚板を逆向きにする、ひっくり返す、或いは配置し直すことによりパターンが壊れることがないように、即ちパターンが連続するように選択することができる。
別の実施形態では、所定の方向は、隣接する厚板を継ぎ合わせる相互係止機構に基づいて決定され、これらの厚板が所定方向以外の方向に配置される場合には正しく噛み合うことがないようにする。このような相互係止機構の一例は、接着剤を使用しない舌状片及び溝係止方式であり、この方式では、舌状片は厚板の少なくとも一つのエッジに沿って形成され、溝は反対側のエッジに沿って形成される。更に別の実施形態では、所定方向は、エッジパターン152、及び接着剤を使用しない係止機構の両方に基づいて決定される。
【0039】
本発明の原理によれば、バルクパターン154A〜154Fは同じでも同じでなくともよい。本発明の一態様では、フローリングシステム内のバルクパターン154の各々は独自のものとすることができる。更に、本発明の原理によれば、個々の厚板のエッジパターンはほぼ同じとすることができる。従って、フローリングシステム内の、ほぼ連続するパターンが所定方向に沿って形成される隣接する厚板のエッジパターンもほぼ同じである。ほぼ連続するパターンは、バルクパターン154A及びエッジパターン152Aが互いに位置合わせされてほぼ連続するパターンを形成するので、厚板150Aを横断する形で設けることができる。ほぼ連続するパターンは、個々に厚板150B、150Cなどを横断する形で設けることができる。というのは、これらそれぞれのバルクパターン154B、154Cなど、及びエッジパターン152B、152Cなども同様に、互いに位置合わせされてほぼ連続するパターンを形成するからである。
図15Bに示すフローリングシステム内の厚板150A〜150Fのエッジパターンは同じであるので、エッジパターン152Aはほぼ連続するパターンをエッジパターン152Bとともに形成し、エッジパターン152Cはほぼ連続するパターンをエッジパターン152Dとともに形成し、残りのエッジパターンも同じようにほぼ連続するパターンを形成する。従って、ほぼ連続するパターンは、厚板150Aと150Bを跨いで、厚板150Cと150Dを跨いで、残りの厚板も同様にして形成される。エッジパターン152Aとエッジパターン152Bとの境界又は継ぎ目は、外観上ほとんど分からないか、又はその存在感が最小に抑えられる。同様に、エッジパターン152Cとエッジパターン152Dとの境界又は継ぎ目は、外観上ほとんど分からないか、又はその存在感が最小に抑えられる。エッジパターン152Eとエッジパターン152Fと境界又は継ぎ目は、外観上ほとんど分からないか、又はその存在感が最小に抑えられる。
【0040】
エッジパターン152の全てがほぼ同じである構成の本発明の一実施形態では、所定方向に沿って互いに隣接配置される厚板を跨いでほぼ連続するパターンが形成される状態を維持しながら、厚板150A〜150Fのいずれかを、フローリングシステム内の他のいずれかの厚板の替わりに配置することができる。これは、一つの厚板のバルクパターンが全てそれぞれのエッジパターンとほぼ正確に位置合わせされて、ほぼ連続するパターンが厚板内に形成されており、且つフローリングシステム内で互いに隣接する厚板全てのエッジパターンが同じで、所定方向に沿って互いに隣接する厚板を跨いでほぼ連続するパターンが形成されているからである。
別の実施形態において、厚板の、隣接する右及び左のエッジパターン152はほぼ同じとすることができるが、反対側の左及び右のエッジパターン152は同じではない。
【0041】
例えば、図15Cでは、厚板150の一体型サブパネル132のパターンはバルクパターン154Gによって形成することができ、部分サブパネル134のパターンはバルクパターン154I及びエッジパターン152によって形成することができ、部分サブパネル136のパターンはバルクパターン154H及びエッジパターン152によって形成することができ、この場合、バルクパターン154G〜154Iは同じでもよく、異なっていてもよい。しかしながら、上述したように、厚板150の部分サブパネル部分134及び136の周辺部に設けられ、かつ厚板150のエッジの一部分に沿って延びるエッジパターン152は互いに同じである。従って、図13Aの図では、例えば厚板130A及び130Bが所定方向に沿って互いに隣接配置される場合、相補的な部分サブパネル134A及び136Bのエッジパターン152は互いにほぼ同じであり、及びほぼ連続するパターンを隣接する厚板を跨いで形成することができ、この場合、相補的な部分サブパネルのバルクパターンはほぼ連続するパターンの一部分となって、一体型サブパネルのように見える、及び/又は一体型サブパネルのような凹凸を示す。
更に、次に図15C及び15Dを参照すると、図13A〜14Cに示す厚板のような厚板を用いたフローリングシステムには、図15A及び15Bを参照しながら上に説明した工法を適用することにより、所定方向に沿って互いに隣接配置される厚板を跨いでほぼ連続するパターンを設けられることができる。図15Dは木目調パターンを図15Bに示す配置で有する厚板を示している。エッジパターン152Aは隣接エッジパターン152Bとほぼ同じであるので、厚板150A及び150Bはほぼ連続する木目調パターンの外観を呈し、このパターンは、エッジパターン152Aと、隣接厚板のエッジパターン152Bとの間の境界又は継ぎ目を跨いで延び、途切れることがない。
【0042】
更に、エッジパターン152A及び152Bは、厚板150Aと150Bとの間の境界又は継ぎ目の全長に沿って延びることがなく、これらの厚板の下半分の部分ボードの高さに相当する部分にのみ沿って延びているので、パターンは、厚板150Aと150Bとの間の境界の内、厚板の上半分の完全なボードの高さに相当する部分を跨いで連続しない。
上述のように、図13A〜14C、及び15Cに示す厚板を用いたフローリングシステムの内部では、厚板のサブパネルの内部のバルクパターンは同じでも、異なっていてもよい。本発明の一態様では、フローリングシステム内のバルクパターンの各々は固有パターンとすることができる。
【0043】
図15Eは、厚板のエッジパターンが全ての厚板において同じ(又はほぼ同じ)である構成の本発明の実施形態を示している。具体的には、図15Eは、4枚の厚板150A、150B、150C、及び150Dを示し、厚板150Aは厚板150Bの左側エッジに隣接し、且つ厚板150Cの上部エッジに隣接している。厚板150Dは厚板150Cの右側エッジに隣接し、且つ厚板150Bの下部エッジに隣接している。
この実施形態では、各厚板のデカール用紙は木目デザインを有する。しかしながら、本発明では、木目以外の他の天然素材デザインを用いることも可能である。厚板150Aの木目デザインは、例えばボードの上半分の完全ボード又はウッドストリップ155A、短い不完全ボード151A、及び長い不完全ボード153Aを含む。これらのボードの各々は、木目調パターンを有する。更に、短い不完全ボード151A及び長い不完全ボード153Aは、厚板の周辺の内、不完全ボード151A及び153Aの幅に対応する部分に沿って延びるエッジパターン152を有し、これらのエッジパターンは短い距離(例えば、1センチメートル)だけこれらのボードの内側に延びることができる。不完全ボード151A及び153Aのエッジパターン152は同じである。エッジパターン152はボードの内側に食い込んでいなくともよい。
【0044】
同様に、厚板150B、150C、及び150Dは、厚板の長さに渡って延びる完全ボード155B、155C、及び155Dをそれぞれ有し、且つ長いボード153B、153C、及び153Dにそれぞれ隣接する短いボード151B、151C、及151Dを有する。これらの短いボード及び長いボードの各々は、厚板の周辺の内、これらの短いボード及び長いボードの幅に相当する部分に沿って同じエッジパターン152を有する。
全ての短いボード151A〜D、長いボード153A〜D、及び完全ボード155A〜Dは木目調パターンを有し、これらのパターンは互いに異なるか、又は部分的に互いにかなり類似している。これらの不完全ボードのエッジパターン152のみがこの特定の実施例では同じである。更に、各不完全ボードのエッジパターン及び内部木目調パターンは連続パターンを形成する。即ち、これらのエッジパターン152が同じであるにも拘らず、全体として連続する木目調パターンが、全てが互いに異なる構成の短い不完全ボードと長い不完全ボードの各々の上に形成される。
【0045】
図15Eに示すように、厚板150A及び150Bが互いに隣接して配置される場合、完全ボード155A及び155Bは互いに隣接し、長いボード153Aと短いボード151Bが隣接する。完全ボードの隣接エッジが異なるため、完全ボード155A及び155Bは別々のボードの外観を呈し、木目調パターンはこれらのボードを跨いで不連続である。長いボード153A及び短いボード151Bのエッジパターン152は同じであるので、153A及び151Bの固有の木目調パターンは、厚板150A及び150Bを跨いで延びる固有の木目調パターンを有する単一の連続ボードが形成されているような外観を持つ。更に、完全連続ボードが、これらの厚板を跨いでボード153A及び151Bに延びる固有の木目調パターンの外観を持つことにより、厚板の間の境界又は継ぎ目の視認性又は外観が最小化される。同様に、ボード153C及び151Dを跨ぐ木目調パターンは連続している。
更に別の実施形態では、厚板150A、150B、150C、及び150Dは表面の凹凸を持つことができ、この表面の凹凸はデカール用紙の木目デザインにエンボス転写される。エッジパターン152は当該木目デザインの一部分であり、全ての厚板において同じ又はほぼ同じとすることができるので、エンボス加工表面の凹凸は、上述のように、隣接する厚板の不完全ボードに沿って連続しているように見える。更に別の実施形態では、エンボス転写表面の凹凸は、ボード間の継ぎ目を模擬した面取り部を含むことができるので、厚板150Aでは、例えば完全ボード155Aは、ボード155Aと不完全ボード151A及び153Aとの間の境界を含む当該ボードの周辺に沿って延びる面取り部を有する。不完全ボード151A及び153Aは、これらのボードが隣接する位置に面取り部を有するが、不完全ボードは、厚板150Aの周辺の内、エッジパターン152が位置する部分に沿って面取り部を有さない。このようにして、連続する木目調パターン及び該当するエンボス転写表面の凹凸は、面取り部によって途切れることなく、厚板150A及び150Bを跨いで連続して延びることができる。これによって更に、厚板の間の境界が目立たなくなる。
【0046】
全てのエッジパターン152を同じにすることにより、エッジパターン152は常に整列して2つの厚板の隣接する長いボードと短いボードとを跨いで延びる連続する木目調パターンの外観を形成するので、本発明により、全ての厚板を、長いボード153が別の厚板の短いボード151に隣接するような所定の方向に互いに組み合わせることができる。例えば、厚板150A及び150Bの位置が逆になる(これにより、厚板150Bが厚板150Cの上部エッジに隣接する)と、長いボード153Bのエッジパターン152が短いボード151Aのエッジパターンに一致するか、又は短いボード151Aのエッジパターンと整列し、ボード153B及び151Aには連続する木目調パターンが厚板150B及び150Aを跨いで形成される。
所定方向にいずれの厚板を隣接配置してもよいため、本発明によって、ラミネートフロアを張る際の複雑さが軽減される。パターンは整合することになる。更に別の実施形態では、厚板150には、舌状片が厚板の2つの隣接する周辺エッジの上に形成され、溝が反対側の2つの隣接する周辺エッジに形成された、接着剤を使用しない舌状片及び溝システムが設けられ、よって長いボード153は短いボード151に、例えばエッジパターン152が一致する位置で、整列する方向にのみこれらの厚板は組み合わせられる。
上述の例示的実施形態では、ウッドストリップのような装飾モチーフ及びデザインパターン要素が別々の隣接する厚板に跨がって延びる。しかしながら、ウッドストリップモチーフは厚板の長さに等しい長さを有するので、厚板を入れ替えることができ、確実に板張りが容易になる。
【0047】
図16は、本発明の別の例示的実施形態を示している。この実施形態では、少なくとも2つの異なる厚板160及び161を含むフローリングシステムは木目調モチーフを有し、この木目調モチーフはウッドストリップを模したデザインモチーフを含む。フローリングシステムは、単一の厚板の長さの2倍に等しい合計長を有することが可能な、隣接する厚板を跨いで延びるウッドストリップモチーフを有する。具体的には、図16に示すフローリングシステムは、第1厚板160及び第2厚板161を含む。第1厚板160は上部ウッドストリップ164及び下部ウッドストリップ165を含む。上部ウッドストリップ164の第1エッジの上には、ウッドストリップ164から隣接する厚板に木目調パターンを連続させるように選択されたエッジパターン162が設けられる。下部ウッドストリップ165は、厚板の、上部ウッドストリップ164のエッジパターン162が位置するエッジとは反対側の辺の上のウッドストリップのエッジにエッジパターン163を含む。エッジパターン(「連続パターン」とも呼ぶ)163は同様に、下部ウッドストリップ165から隣接する厚板に木目調パターンを連続させる。この実施形態の別の態様では、エッジパターン162及び163は異なっていても、同じでもよい。
既に述べたように、種々の材料を使用して本発明の厚板を作製することができる。これらの材料には、天然木材、パーティクルボードのような木材合板又はプラスチック合板、チップボード、又はラミネート材が含まれる。厚板は、装飾パターンを含むデカール用紙又は硬質ベニヤを含むこともできる。別の実施形態では、厚板は、一の種類の硬質木材を異なる種類の硬質木材に貼り合わせてできるベニヤを表面の上に置き、このベニヤを正確に切断してエッジパターンが上述のように位置合わせされるように作製することができる。
【0048】
ウッドストリップは、ウッドストリップのエッジ以外の部分にバルクパターンを有する。バルクパターンは下地のデザインパターンに対応する。即ち、バルクパターンは木目調、石、大理石、又は他の何らかのパターンとすることができる。エッジパターン162及び163はバルクパターンと連続するので、エッジパターン及びバルクパターンは連続パターンを形成する。継ぎ目パターン168及び169はバルクパターンと連続せず、不連続であるので、不連続パターンを間に挟む隣接するバルクパターンの間の不連続性が強調される。
第2厚板161は、上部ウッドストリップ166及び下部ウッドストリップ167を含む。上部ウッドストリップ166は、第1厚板160の上部ウッドストリップ164上にエッジパターン162が位置するエッジとは反対側のエッジに、エッジパターン162を含む。同様に、下部ウッドストリップ167は、第1厚板160上にエッジパターン163が位置するエッジとは反対側の、厚板161のエッジに沿ってエッジパターン163を含む。他の実施形態は、上部ウッドストリップと下部ウッドストリップの他に、更に別のウッドストリップを含む。
【0049】
第1ウッドストリップ160は、ウッドストリップの装飾モチーフの間の継ぎ目を表わす装飾モチーフを含む。上部ウッドストリップ164には、エッジパターン162が位置するエッジとは反対側の厚板のエッジ上に継ぎ目パターン168があり、上部ウッドストリップ164と下部ウッドストリップ165との間には完全な継ぎ目パターン169がある。更に、継ぎ目パターン168が、下部ウッドストリップ165の、エッジパターン163が位置するエッジとは反対側のエッジの上に設けられている。
同様に、第2厚板161の、エッジパターン162が位置するエッジとは反対側の厚板のエッジ上に継ぎ目パターン168があり、エッジパターン163が位置するエッジとは反対側の厚板のエッジ上に継ぎ目パターン168がある。更に、継ぎ目169が、上部ウッドストリップ166と下部ウッドストリップ167との間に延びている。
【0050】
継ぎ目168は、全幅継ぎ目とすることができる。即ち、これらの幅を継ぎ目パターン169の厚さと同じとすることができるか、又は別の実施形態では、継ぎ目パターン168の幅を継ぎ目パターン169の幅の半分にして、2つの隣接する継ぎ目パターン168が互いに隣接して配置される場合、これらの継ぎ目パターンが、継ぎ目パターン169の厚さに等しい厚さを有する一つの継ぎ目パターンを形成するようにすることができる。
フローリング用厚板160がフローリング用厚板161に隣接して配置される場合、下部ウッドストリップ165及び167は互いに隣接し、ウッドストリップ165及び167の対向する端部に位置する厚板のエッジ上のエッジパターン163は互いに接し、木目調厚板160と木目調厚板161とを跨いで連続するウッドストリップデザインを形成し、これによってフローリング用厚板160又は161の長さの2倍の長さを有するウッドストリップが形成される。ウッドストリップは、フローリング用厚板160の一端から、第2厚板161の遠位端に達する。更に別の第1フローリング用厚板160が第2フローリング用厚板161の他方の側に配置される場合、第2フローリング用厚板161の上部フローリング用厚板166は、第1フローリング用厚板160の上部ウッドストリップ164に隣接するので、上部ウッドストリップ166及び164のエッジパターン162が互いに接し、個々のフローリング用厚板の長さの2倍の長さに亘る一つのウッドストリップが、隣接フローリング用厚板161及び160の上部に跨がって連続する。従って、異なる厚板を2つだけ使用することにより、本発明のフローリングシステムは、厚板の2倍の長さのウッドストリップモチーフを有するウッドストリップのデザインを再現することができる。
【0051】
本実施形態の別の態様では、厚板のエッジの継ぎ目パターン168は、ウッドストリップの中心のバルクパターンと連続しないパターンに置き換えられ、このパターンは隣接する厚板の同じ不連続パターンに位置合わせされる。
本発明は木目調パターンに制限されないだけでなく、石パターン及び大理石パターン、更には人工又は芸術的デザインを用いることもできる。木目調パターンではなく大理石パターンを使用する別の例示的実施形態では、エッジパターン162及び163は大理石模様の部分とすることができ、これらの部分は隣接する厚板の対応するエッジパターンに位置合わせされてこれらの厚板に跨る連続的大理石模様を形成し、よって厚板の物理長よりも長い一つの大理石片又は大理石タイルの外観が得られる。
【0052】
更に別の実施形態では、本発明は、デカールパターンの他に、面取りエッジ及びエンボス転写表面の凹凸を含む。具体的には、面取り部が継ぎ目パターンと同じ幅を持つように継ぎ目パターン168及び169の縁をエンボス加工するか又は切断加工して面取り部を形成することができ、これにより別々のボードの光学的効果を増強することができる。更に、厚板160及び161では、表面の凹凸をデカールパターンにエンボス転写することもできるので、エンボス転写凹凸がエッジパターン162及び163に対応する表面の凹凸を含む。このようにして、エンボス転写表面の凹凸が一つの厚板から隣の厚板に連続する。更に、フローリングシステムには異なる厚板が2つしか含まれないので、厚板を張る作業が簡単である。これらの厚板を交互に張り合わせ、フローリング用厚板160がフローリング用厚板161と水平方向に交互に並ぶようにすることにより、1つのフローリング用厚板の長さの2倍の長さのウッドストリップが形成され、厚板の上部のウッドストリップ及び下部のウッドストリップがジグザグに配置される。
本発明は、図16Bに示す例示的実施形態のような更に別の実施形態を用いることができ、この実施形態では、フローリングシステムは4つの異なるフローリング用厚板を含む。これら4つのフローリング用厚板は、図16Aに示す第1及び第2フローリング用厚板160及び161、並びに別の2つのフローリング用厚板171及び172を含む。第3フローリング用厚板171は、上部ストリップ材173及び下部ストリップ材174を含む。ここで、上部ストリップ材173は、継ぎ目パターン168を厚板の両方のエッジ上に持ち、下部ストリップ材174は、エッジパターン163を厚板の両端に持つ。更に、第4厚板172は上部ストリップ材175及び下部ストリップ材176を含み、この場合、上部ストリップ材175はエッジパターン162を厚板の両端に持つが、下部ストリップ材176は継ぎ目パターン168によって区切られている。このフローリングシステムでは、2つの厚板が互いに隣接して配置されるとき、これらの厚板が、一つのストリップ材において互いに隣接する継ぎ目パターン168と、2つの厚板において隣接する一つのエッジパターン162又は163とを有する場合、複数の厚板を互いに隣接して配置することができる。前述のように、継ぎ目パターン168を、ストリップ材の中心のバルクパターンと連続しない継ぎ目以外のパターンに置き換えることができる。
【0053】
この例示的実施形態では、図16Bに示すように、厚板160は、フローリング用厚板171又は161の第1の側(図16Bでは左側)に隣接して配置することができるか、又は厚板160は厚板161及び172の第2の側(図16Bでは右側)に隣接して配置することができる。同様に、フローリング用厚板171は、厚板160又は161の第1の側又は左側に隣接して配置することができるか、或いは別の厚板171の第1の側(左側)又は第2の側(右側)に隣接して配置することができる。厚板161は、厚板160又は厚板171の右側か、或いは厚板172及び160の左側に配置することができる。最後に、厚板172は、厚板161の右側か、又は別の厚板172の右側か、厚板160の左側か、又は別の厚板172の左側に配置することができる。これにより、4つのフローリング用厚板の多数の組み合わせ及び配置が可能になるので、単一のフローリング用厚板の長さ以上の異なる長さを有する総合フローリングパターンデザインとして、多数のウッドストリップを提供することができる。例えば、厚板160、171、161、及び172が図16Bに示すような構成で互いに隣接して配置される場合、結果として得られるフローリングデザインは、フローリング用厚板171の単一厚板及び厚板172の下部ストリップ材の長さに等しい長さのウッドストリップを含む。しかしながら、フローリングデザインは、厚板160の下部ストリップ材から、厚板171の下部ストリップ材及び厚板161の下部ストリップ材の端部を横切って、厚板161の遠位端に達するウッドストリップのような、一つのフローリング用厚板の長さの3倍に等しい長さのウッドストリップも含む。更に、厚板171又は172を、所望の回数に亘って互いに隣接するように繰り返すことにより、フローリングデザインのウッドストリップの長さを単一厚板の長さの数倍の長さに延長することができる。厚板171及び172はそれぞれウッドストリップ174及び172を有し、これらのウッドストリップは不連続継ぎ目パターン168又は169によっていずれの側においても区切られることがなく、同じエッジパターン163又は162をいずれの側にも有することにより、この工法は可能である。このようにして、図16Bに示す、フローリング用厚板160、161、171、及び172を有するフローリングシステムにより、全体としてのフローリング用厚板システムの複雑さを増すことなく、可変の長さを持つウッドストリップを提供することができる。
【0054】
具体的には、施工業者は、隣接する厚板の対応するストリップ材の対応するパターンに隣接するエッジパターン又は不連続パターン(継ぎ目パターン168のような)が、上部ストリップ材又は下部ストリップ材に含まれるように、いずれのフローリング用厚板も他のいずれかのフローリング用厚板に隣接するように張ることができる。従って、継ぎ目パターン168を別の継ぎ目パターン168に隣接して配置する又は継ぎ目パターン169を別のパターン169に隣接して配置するという要件以外に板張りを複雑にする要素が無いことを承知した上で、施工業者は、システムの4つの異なる厚板を使用してフローリングパターンをデザインすることができる。
フローリングシステムを更に簡単にして、必要な厚板の種類を3つ、即ち厚板160、161、及び171又は172とすることができる。例えば、厚板160、161、及び171を用いる実施形態では、図16Bに示すように、任意の数の厚板171を厚板160と161との間に配置することができるので、隣接する下部ストリップ材165、複数の174、及び167によって形成される非常に長いウッドストリップを形成することができる。更に、厚板160及び161を互いに隣接して配置することにより、2つの上部ウッドストリップ又は2つの下部ウッドストリップに亘る、一つの厚板の長さの2倍に等しい長さのウッドストリップパターンを形成することができる。更に、この実施形態では、エッジパターンのみが同じである必要があるので、厚板の完全ボード、長いボード、及び短いボードの内部パターンを異ならせて、更に自然な外観を呈するフロアを提供することができる。
【0055】
フローリングシステムの厚板の数を更に減らして2つの厚板とすることができる。図16Cは、2つの厚板181及び182を有する別の実施形態を示している。第1厚板181は、継ぎ目としてパターニングされた不連続パターン183と、厚板181の上部ウッドストリップに対応する上部エッジパターン184と、下部ウッドストリップの両側に位置する下部エッジパターン185とを含む。第2厚板182は、第1厚板181上のエッジパターン184の位置とは反対側の、厚板の上部ストリップ材の上にエッジパターン184を含む。不連続パターン183は、エッジパターン184とは反対側の厚板のエッジ上に配置される。厚板182の下部ストリップ材は、両側エッジ上にエッジパターン185を含み、この場合、エッジパターン185の間には、隣接する2つの不連続パターンが下部ストリップ材の内側に位置する。
第1及び第2厚板が水平方向に互いに隣接して配置され、異なるストリップ材のエッジパターン184又は185が互いに隣接する場合、厚板の長さの2倍の長さに亘るウッドストリップのジグザグパターンが得られる。
【0056】
図16Dに示す更に別の実施形態においては、2つの厚板186及び187が、図16Cの2つの厚板の配置とは異なる、エッジパターン184及び185と、不連続パターン183との配置を有する。具体的には、第1厚板186は、上部ストリップ材の両端にエッジパターン184を、これらのエッジパターンの間に隣接する不連続パターン183を有し、更に下部ストリップ材の両端にエッジパターン185を、これらのエッジパターンの間に隣接する不連続パターン183を有する。第2厚板187は、エッジパターン184を両端に有する上部ストリップ材と、エッジパターン185を両端に有する下部ストリップ材とを有する。第2ストリップ材187は不連続パターンを全く含まない。厚板186及び187を隣合わせに且つ交互に配置することにより、厚板の長さの2倍の長さの木目調厚板がジグザグに配置されたフローリングデザインが得られる。更に、この実施形態では、厚板187は不連続パターンを全く含まないので、複数の厚板187を互いに隣接配置して、ウッドストリップの長さを厚板の長さの複数倍に等しいどのような長さにも延長することができる。
図16C及び16Dの実施形態では、エッジパターン184と185は同じでも、異なっていてもよいことを理解されたい。更に、厚板は、デザインパターンの一部として一つよりも多くのストリップ材を有しなくてもよいことを理解されたい。例えば、図16Eは、2つの厚板188及び189が、それぞれ一つのストリップ材の一部分のみを有する実施形態を示す。厚板188は、不連続パターン183を第1端に、連続エッジパターン184を反対側の第2端に有する。厚板189は、不連続パターン183を第2端に、連続エッジパターン184を第1端に有する。従って、厚板188及び189を水平方向に互いに隣接して配置することにより、長さが厚板の長さの2倍に亘り、且つ幅が厚板の幅に等しい単一のストリップデザインを形成することができる。
【0057】
図17に示す更に別の例示的実施形態は、図16Eに示すような厚板188及び189を含むが、更に第3の厚板190と第4の厚板191を含む。第3厚板190は、不連続パターン183を両方のエッジに含み、第4厚板191は連続エッジパターン184を両端に含む。
このような異なる厚板を4つ用いることにより、フローリングデザインは、互いに隣接配置される第3厚板の数に応じて、1つの厚板、2つの厚板、又は3つ以上の厚板の長さにほぼ等しい長さのストリップ材を有することができる。例示的配置では、厚板は、複数の行に亘って、第1厚板188、第2厚板189、第4厚板191、及び第3厚板190の順番で互いに隣接配置される。
【0058】
4つの厚板188〜191は、これらの厚板が1枚のデカール用紙を使用して加工することができるという更に別の利点をもたらす。デカール用紙はプレスされ、切断されて複数の厚板となり、次いでこれらの厚板をカートンにパックして出荷及び販売する。4つの厚板を収容するのに十分な幅を有するデカール用紙の場合、単一のデカール用紙を使用して4つの異なる厚板を得ることができる。このようにして、これらの厚板を一つのボードにプレスし、エンボス加工し、切断して、複数の厚板を作成し、同じカートンに梱包して一括して出荷する。
【0059】
図18は、フローリングシステムが4つのフローリング用厚板を含む本発明の実施形態を示している。フローリングシステムは4つの厚板200、202、204、及び206を含み、これらの厚板の各々は、2つの長い水平ストリップ材を含む表面デザインパターンを有する。厚板200、202、204、及び206は、類似のストリップ材の構成を有する。これらの厚板の下部には、厚板の両端のストリップ材の両側に不連続エッジパターン203を有する完全ストリップ材205が1つだけ配置される。単一の完全ストリップ材205A、C、及びDの、木目調パターンのような特定パターンは、厚板200、204、及び206の各々においてそれぞれ同じでも、異なっていてもよい。
厚板の上部には、2つの不完全ストリップ材208及び209が互いに隣接して配置され、継ぎ目又はジョイントを模した不連続パターン207によって分離される。不完全ストリップ材208A、C、及びD、並びに不完全ストリップ材209A、C、及びDの木目調パターンのような特定パターンは、厚板200、204、及び206の各々においてそれぞれ同じでも、異なっていてもよい。不完全ストリップ材208と209とが厚板の端部で接する位置における厚板のエッジ又は端部の一部は、4つの厚板200、202、204、及び206の全てにおいて同じ連続エッジパターン201である。連続エッジパターン201は、ストリップ材208及び209の全体パターン又はバルクパターンに連続するが、不完全ストリップ材208A、208C、208D、209A、209C、及び209Dのバルクパターンは異なっていてもよく、連続エッジパターンは同じである。このようにして、厚板200、202、204、及び206の内のいずれかが互いに隣接して配置される場合、例えば209Aと208Cのように、異なる厚板の隣接する不完全ストリップ材の連続エッジパターンを位置合わせして、一つの厚板を超える厚板の上部に亘る単一の完全ストリップ材の外観を形成する。
【0060】
不連続パターン207は、不連続パターン203と同じとすることができるか、又は互いに隣接配置された2つの不連続パターン203と同様の構成とすることができるか、或いは不連続パターン203とは全く別の構成とすることができる。厚板200、204、及び206の上部に沿った不連続パターン207の水平方向の位置は異なる。即ち、一対の不完全ストリップ材208及び209の長さは、厚板200、204、及び206の各々において異なってよい。例えば、厚板204の不完全ストリップ材208C及び209Cの長さは、厚板206の不完全ストリップ材208D及び209Dの長さとは異なる。従って、厚板200、204、及び206は、同じように配置された連続エッジパターン201、不連続エッジパターン203、並びに不完全及び完全ストリップ材208及び209を有するが、これらの不完全ストリップ材の長さは異なる。このようにして、厚板200、202、204、及び206により構成されるフロアは、不完全ストリップ材を互いに隣接配置することにより形成された異なる長さの完全ストリップ材により、更にランダムで自然な外観を呈する。
図18に示すように、フローリングシステムはまた、両端が不連続エッジパターン203によって区切られた厚板202の下部に一つの完全ストリップ材205Bを、及び端部近傍に連続エッジパターン201を含む厚板202の上部に単一の不完全ストリップ材210を含むことができる。厚板202を使用して、不完全ストリップ材の見かけ上の長さを一つの厚板分だけ伸ばすことができる。例えば、厚板200、202、及び204が互いに隣接配置される場合、これらの厚板は、等しい長さの3つの完全ストリップ材の上に一つの長いストリップ材が配置される外観を呈する。更に、不連続パターン207の配置が厚板200及び204では異なるので、長い完全厚板の長さが厚板の長さの整数倍に等しくならない。
【0061】
図19は、本発明の更に別の実施形態を示し、本実施例のフローリングシステムは4つの厚板220〜223を含む。3つの厚板221〜223はそれぞれ、その装飾パターンの異なる位置に不連続パターン224を含むので、2つの不完全ストリップ材226A及び227A、226B及び227B、及び226C及び227Cがそれぞれ形成される。不完全ストリップ材226及び227の長さは、不連続パターン224の配置が異なるために厚板によって異なる。これらの厚板の一つである厚板220は、不連続パターン224を含まないので、単一の不完全ストリップ材のみを形成する装飾パターンを有する。装飾パターンの、厚板のエッジに近い部分は、フローリングシステムの4つ全ての厚板220〜223の両側で同一の、連続エッジパターン225を形成する。連続エッジパターンは厚板上の全体的装飾パターンの連続する部分であり、この連続エッジパターンが別の厚板の別のエッジパターンに隣接配置されると、装飾パターンが継ぎ目なしに一つの厚板から次の厚板に続く。図19に示す4つの異なる厚板を有するフローリングシステムを使用してフロアパターンを形成することができ、このフロアパターンのウッドストリップは、厚板一つ分又は2つ分の長さを超える長さを含む種々の長さを有することができるが、この長さは厚板の長さの整数倍であるとは限らない。
【0062】
この技術分野の当業者であれば、本発明の技術思想又は技術範囲から逸脱せずに本発明に種々の変形及び変更を加え得ることが分かるであろう。従って、本発明は、請求の範囲及びその均等物の範囲に含まれる限りにおいて、本発明のそのような変形及び変更を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】関連技術によるアセンブリ兼係止機構を示す。
【図2】別の関連技術によるアセンブリ兼係止機構を示す。
【図3】更に別の関連技術によるアセンブリ兼係止機構を示す。
【図4】更に別の関連技術によるアセンブリ兼係止機構を示す。
【図5】本発明の原理によるエンボス転写フローリング用厚板の構成要素の斜視図である。
【図6】本発明の原理に従ってエンボス転写フローリング用厚板を製造する機能を備えたプレス機を示す。
【図7】本発明の一態様におけるエンボス転写フローリング用厚板を示す。
【図8】本発明の別の態様におけるエンボス転写フローリング用厚板システムの上面図である。
【図9】図8の線9−9に沿った断面図である。
【図10】本発明の更に別の態様におけるエンボス転写フローリング用厚板システムの上面図である。
【図11】図10の線11−11に沿った断面図である。
【図12】A及びBは、本発明の原理によるフローリング用厚板の周辺表面部分を含む模式図である。
【図13】A及びBは、本発明の更に別の態様におけるフローリングシステムを示す。
【図14】A〜Cは、本発明の更に別の態様におけるフローリングシステムの例示的厚板を示す。
【図15】A〜Eは、本発明の原理に従ってフローリング用厚板の上にパターンを形成する例示的方法を示す。
【図16】A〜Eは、本発明の原理に従ってフローリング用厚板の上にパターンを形成する別の例示的方法を示す。
【図17】本発明の原理に従ってフローリング用厚板の上にパターンを形成するまた別の例示的方法を示す。
【図18】本発明の原理に従ってフローリング用厚板の上にパターンを形成するまた別の例示的方法を示す。
【図19】本発明の原理に従ってフローリング用厚板の上にパターンを形成するまた別の例示的方法を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なるフローリング用厚板を備えたフローリングシステムであって、前記複数の異なるフローリング用厚板のうち少なくとも第1及び第2厚板が、厚板のエッジの一部分に沿って延びる第1エッジパターンと、厚板のエッジの残りの部分に沿って延びる第2エッジパターンとを有し、
第1及び第2エッジパターンが、第1厚板の、第2厚板において第1エッジパターン及び第2エッジパターンが位置する側とは反対側に配置され、
第1厚板の一つのエッジ上の第1及び第2エッジパターンの位置が、前記第1厚板の反対側のエッジ上における第1及び第2エッジパターンの位置とは異なる、フローリングシステム。
【請求項2】
更に、前記第1厚板の内側領域にバルクパターンを含む、請求項1記載のフローリングシステム。
【請求項3】
第1エッジパターンが、更に、前記バルクパターンと連続するデカールパターンの一部分を含み、第2エッジパターンが不連続パターンを含む、請求項1記載のフローリングシステム。
【請求項4】
第1エッジパターンのデカールパターンが木目調パターンであり、不連続パターンが継ぎ目である、請求項2記載のフローリングシステム。
【請求項5】
更に、第3厚板を備え、第3厚板は、両方のエッジ上の同じ部分に沿って延びる第1エッジ部分と、両方のエッジ上の同じ他方の部分に沿って延びる第2エッジ部分とを有する、請求項1記載のフローリングシステム。
【請求項6】
更に、第4フローリング用厚板を備え、第4フローリング用厚板は、両方のエッジ上の、第3厚板の第2エッジパターンが配置される部分とは異なる部分に沿って延びる第1エッジパターンを有する、請求項4記載のフローリングシステム。
【請求項7】
第1エッジパターンと第2エッジパターンが互いに異なる、請求項1記載のフローリングシステム。
【請求項8】
第1エッジパターンと第2エッジパターンは同じ高さであるが、第1及び第2フローリング用厚板の反対側に位置する、請求項1記載のフローリングシステム。
【請求項9】
複数の厚板を備えたフローリングシステムであって、前記複数の厚板の各々は、フローリング用厚板のエッジに沿って配置される複数のエッジパターンを有し、前記エッジパターンの各々はフローリング用厚板の両側のエッジに沿って配置され、前記複数の厚板のうちいずれか一つのエッジパターンは、前記複数のフローリング用厚板のうちの少なくとも2つの他のフローリング用厚板が前記第一のフローリング用厚板に隣接して配置される場合、前記2つの他のフローリング用厚板のエッジパターンと整列する、フローリングシステム。
【請求項10】
前記複数の異なる厚板のうち少なくとも一つの厚板における前記エッジパターンは、厚板の一つの側の複数のエッジパターンの配置が、厚板の反対側のエッジパターンの配置と一致するように配置される、請求項9記載のフローリングシステム。
【請求項11】
前記複数の異なる厚板のうち少なくとも一つの厚板において、一つの側の前記エッジパターンが、反対側の前記複数のエッジパターンの配置とは反対に配置される、請求項9記載のフローリングシステム。
【請求項12】
第1厚板、
第2厚板、
前記第1厚板の第1エッジの一部及び反対側の、前記第2厚板の第2エッジの一部に位置する第1エッジパターン、及び
前記第1厚板の第2エッジの一部及び前記第2厚板の第1エッジの一部に位置する第2エッジパターン
を備えたフローリングシステム。
【請求項13】
前記第2エッジパターンが位置する前記第1厚板の第2エッジの一部とはほぼ反対側の、前記第1厚板の第1エッジの一部分に位置する第2エッジパターンを更に備える、請求項12記載のフローリングシステム。
【請求項14】
前記第1エッジパターンが位置する前記第1厚板の第1エッジの一部とはほぼ反対側の、前記第1厚板の第2エッジの一部分に位置する第1エッジパターンを更に備える、請求項13記載のフローリングシステム。
【請求項15】
前記第1厚板の前記第2エッジパターンの間に不連続パターンを備える、請求項13記載のフローリングシステム。
【請求項16】
前記第1エッジパターンが不連続パターンである、請求項12記載のフローリングシステム。
【請求項17】
前記第1厚板の前記第1エッジパターンの間に不連続パターンを更に備える、請求項15記載のフローリングシステム。
【請求項18】
内部デカールパターンを有する複数の異なる厚板であって、前記厚板の各々が、前記第1エッジと、前記第1エッジとは反対側の第2エッジとを有する厚板と、
前記複数の異なる厚板のうち少なくとも2つの厚板の前記第1エッジの少なくとも一部の上の連続エッジパターンと、
前記複数の異なる厚板のうち少なくとも2つの厚板の前記第2エッジの少なくとも一部の上の連続エッジパターンと、
前記複数の異なる厚板のうち少なくとも2つの厚板の前記第1エッジの少なくとも一部の上の不連続エッジパターンと、
前記複数の異なる厚板のうち少なくとも2つの厚板の前記第2エッジの少なくとも一部の上の不連続エッジパターンと
を備える建築用パネルシステム。
【請求項19】
前記複数の異なる厚板のうち少なくとも一つの異なる厚板が、前記厚板の第1エッジ及び第2エッジの全体に沿って連続エッジパターンを有する、請求項18記載の建築用パネルシステム。
【請求項20】
前記異なる厚板が、更に、第3エッジ及び前記第3エッジとは反対側の第4エッジを含み、前記第3エッジの少なくとも一部分に連続エッジパターンが配置される、請求項18記載の建築用パネルシステム。
【請求項21】
前記第4エッジの少なくとも一部分に配置された連続エッジパターンを更に備え、
前記第1、第2、第3、又は第4エッジ上の前記連続パターンのいずれもが、異なるエッジ上の他のいずれのエッジパターンにも隣接しない、請求項20記載の建築用パネルシステム。
【請求項22】
フローリングパネルシステムであり、前記厚板がフローリング用厚板である、請求項18記載の建築用パネルシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2008−506051(P2008−506051A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519921(P2007−519921)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【国際出願番号】PCT/IB2005/003088
【国際公開番号】WO2006/003530
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(507008644)ファウス グループ インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】