説明

連続セルロースパルプ蒸解窯用の蒸解窯スクリーン

本発明は、内部で蒸解されたセルロールパルプを製造する連続蒸解窯用蒸解窯スクリーンに関する。蒸解窯スクリーンは、蒸解窯の壁に固定され、かつ、連続蒸解窯内に垂直に配置された多数のスクリーンバー(41a,42c,42a)を備え、固定されたスクリーンバーの間に排出スロット(S)を有し、前記排出スロット(S)を介して、蒸解窯のパルプ(P)のカラムから蒸解液を排出することができるようにされている。二番目のスクリーンバー(42a,42c)毎に、隣接するスクリーンバー(41a)に対して距離(D)だけ凹まして固定して配置することによって、スクリーンに対する排出容量を増大させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載したセルロースパルプの製造用の連続蒸解窯における蒸解窯スクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
幾つかの異なる蒸解窯スクリーンが、過去50年間の間に開発され、そして、連続蒸解窯から蒸解液を排出することができるようにするために使われている。適切に機能する蒸解窯スクリーンに対する要求は、以下の理由により増大している。
・既存の蒸解窯の処理量が、それらの元の生産能力をはるかに超えており、蒸解フローにおいて要求される蒸解液の排出量が増大していること。
・その生産能力が、一日当たりパルプ4000トンを超え、8メートルより大きな直径を有する大きな蒸解窯が必要とされていること。
【0003】
従来、スクリーンの設計には、「Chemical Pulping Book 6A」(ISBN 952−5216−06−3)のA537頁に示されているものが用いられている。これらのスクリーンは、スロット付き(ミルスロット付き)スクリーンプレート又は複数のバー(プロフィルバー)を有するスクリーンの何れかで製造され、「Chemical Pulping」の例は、Ahlstrom Machinery(Kamyr Inc.)から選ばれている。これらのスクリーン構造体は、大容量の蒸解液の排出が要求される場合に、蒸解窯の壁の全周の周りに複数の正方形スクリーン面で構成された連続スクリーンラインとして、又は、相互に重ねて配置された幾つかのスクリーンラインとして、正方形のスクリーン面の形態で、蒸解窯の壁に配置される。これらのスクリーン面は、一つの排出スロットが水平方向にも蒸解液の排出を可能にする容量を持っているので、複数の排出スロットを密接に配置することを必要としないことが、実際に証明されている。この場合、スクリーンは、パルプのカラムの中央からも蒸解液を排出するものであることが想定され、これは8〜10メートルの直径を有する蒸解窯においては4〜5メートルの距離に相当する。従って、しばしば、対応する領域を有し、各スクリーン面間に一つのブランクを備えた「スクエア」パターンとして公知のスクリーン面を蒸解窯の壁に配置すれば足りている。二つのスクリーンラインが相互に重ねて配置される場合、チェス盤パターンを有するスクリーン面が、蒸解窯のスクリーンセクションに形成される。
【0004】
スクリーンの設計には、スクリーンが詰まるようにならないことが重要であり、従って、垂直な排出スロットを有するスクリーンが好ましく、かつ、これにより、パルプの沈降カラムが、スクリーン面を超えて排出スロットに沿った方向に「滑り」下がり、研磨作用を提供して、排出スロットをフリーに維持することが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Kamyr ABは、1990年に、改良型排出スクリーンに対して米国特許第5,234,550号を取得した。このスクリーンでは、二つの異なるスクリーンバーのデザインが公開された。一つのデザイン(図1)は、チップのカラムに向いた複数の尖ったスクリーンバーを有し、これらの尖ったスクリーンバーの間に凹んだ排出スロットが設けられている。もう一つのデザイン(図2)は、台形波形表面に似たスクリーン面を有し、台形波型表面の底部に排出スロットが設けられている。これらのデザインの目的は、チップのカラムが、スクリーン面を超えて回転することを防止し、凹んだ排出スロットを形成することにある。
【0006】
Kamyr ABによって出願されたスェーデン特許SE501243(国際公開WO9516817)には、スクリーンの容量を改良する一つの概念が開示されており、同文献では、スクリーンバーと排出スロットが水平に配置されている。このデザインの最大の問題点は、蒸解窯の直径に合った曲線を持つように各スクリーンバーを曲げなければならないので、製造が困難で高価であることにある。
【0007】
スクリーンの機能を改善するために、Kamyr Inc.は、米国特許US6039841及び米国特許US6344112に対応する特許を出願しており、これらの特許では、スクリーンの排出スロットは、蒸解窯内でパルプのカラムが沈降する方向に対して30°〜60°傾けて配置されている。Kamyr ABが出願したスウェーデン特許SE501243(国際公開WO9516817)によるこの解決法の一つの利点は、蒸解窯の壁にボールベアリングのように集められたファイバーが排出されるリスクがないことにある。この場合、別の発明は、パルプのカラムに向いた吸引ポイントが、スロットを詰まらせ得る同じ位置で吸引が行われないように、できる限り、同じチップのフラグメント上でも吸引が行われないように、その位置を変更することにある。チップの単一のフラグメントが、スロットを局部的にのみブロックし得ることは望ましくなく、また、垂直な排出スロットを有するスクリーンの上下にある排出スロットが、局部的な障害物によって排出容量を超えてしまうことは望ましくない。また、傾斜スロットも、パルプのカラムが、それらを通過する時にスロットに対して衝撃を与えることになるので、スクリーンバー上に大きな負荷を生じさせる。上側に向いたエッジが、スロットの下流側にあると、パルプのカラムのハンギングのリスクが増大する。
【0008】
Kamyr ABのスウェーデン特許525611号は、改良発明を開示しており、この改良発明では、10°〜25°の範囲に入る角度でスロットを傾斜させて配置することによってスクリーンバー上の垂直な負荷が非常に減少する。
【0009】
蒸解窯で試され、Metso Paper Inc.によって出願された国際公開WO01/31117(米国特許第6,889,851)におけるさらに別の解決手段は、スクリーンバーを円形のロッドで構成するスクリーンデザインを公開している。チップのカラムに面する円形形状は、排出スロットに対して一直線上に並ぶチップの個々のフラグメントに有利な動きを与える。しかし、チップの密着したカラムの中、特に、チップが高い度合いで軟化され、同時に、非常に高い度合いでパッキングに曝される蒸解窯の下側部分では、チップのフラグメントが相互に絡まるので、チップの個々のフラグメントの動きが制限される。
【0010】
Kamyr ABが出願した米国特許US3,752,319号及びMetso Paper Inc.が出願した米国特許US6,312,590号に示された発明では、詰まりを防止するために、二番目のスクリーンバー毎に可動にされている。この解決手段は、構造が複雑で高価であり、黒液の高いフラクションに伴い不利なアルカリ性環境において詰まりを生じさせる危険がある。この場合、二番目のロッド毎に、一端がジョイントで吊下げられ、固定されたスクリーンバーに対して、スクリーンバーの一端でピボットピンを中心に回動できるようにされる。
【0011】
Kamyr ABは、連続蒸解窯の開発を始め、Kvaerner Pulpingの名称で中間期を続け、現在は、Metso Paper Incによって買収されている。Kamyr AB、Kamyr Inc.及びAhlstrom Machinery OYの米国及びフィンランドの販売会社は、現在、Andritz Inc.及びAndritz OYの名称で、それぞれ知られている。連続蒸解窯の開発の主要部分は、Kamyrとして以前から知られている範囲で、過去10年間はMetso Paperの内部で行われている。開発は、上述したように、集中して行われている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一の目的は、詰まりの危険を低減し、かつ、排出スロットの幅を実質的に大きくし、排出容量も高めるようにスクリーンデザインを改良することにある。
【0013】
本発明の第二の目的は、これらの利点を、原理上、排出スロットの公知の自己クリーニング効果を保持することとは異なる別の概念を必要とするそれらの欠点を実行することなしに得ることにある。
【0014】
本発明の第三の目的は、特に、パルプのカラムが高い度合いでパッキングに供される排出が困難な位置、具体的には、圧力が最大値になり、チップが軟化状態になる蒸解窯の底部で排出効果を高めることにある。高い度合いのパッキングでパルプの密着したカラムからの作用を利用することによって、これらの位置で、物理的な排出スロットより機能的測定において40%より大きい排出スロットを生み出すことが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により最適なデザインを与えることによって、以下の効果が得られる。
・スクリーンの自己クリーニング効果
・パルプのカラムに向いた大きな吸引スロット
・パルプのカラムからの非常に大きなファイバー片が解放されても、これらのファイバー片を通過させない吸引スロットにおける狭い凹まされた最小限のギャップ
・少ない構成部材による膨張に対する高い曲げ抵抗
【0016】
上述した目的は、請求項1の特徴部分による原理によって達成される。従属クレームは、この原理の好ましい実施例を明確にするものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】スクリーンセクションを備えた連続蒸解窯の概略図である。
【図2】蒸解窯のスクリーンセクションを通る横断面図である。
【図3】本発明に係るスクリーンの第一実施例である。
【図4】本発明に係るスクリーンの第二実施例である。
【図5】どのようにして、蒸解窯内でパルプのカラムが凹んだスクリーンバーを越えて拡張するかを示している。
【図6】蒸解窯内のスクリーンセクションにおけるスクリーン配置を横方向から示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して発明を実施するための形態を説明していく。
【0019】
図1は、連続蒸解窯1を示しており、この蒸解窯1内で、蒸解されたセルロースパルプが製造される。連続蒸解窯1は、チップ2が導入されるトップ部を有し、前記チップ2は、予めスチーム処理がされ、含浸されたものであり得る。蒸解窯1を通してチップが沈降する時に、蒸解処理が行われ、蒸解液が循環される。この蒸解液は、幾つかの蒸解窯スクリーン4a,4b,4cで排出され得る。最後の蒸解済パルプ3は、蒸解窯の底部から送り出される。チップは段階的に溶解され、元の木材の大部分、典型的には、クラフト処理において約50%が、例えば、テレビン、トールオイル及びヘミセルロースのような金属及び有機材料の形で蒸解液中に溶解され、黒液と共に蒸発処理で消失する。このことは、蒸解処理の間に蒸解窯内の充填度合いが高くなり、蒸解処理の間に蒸解液の調整をするために十分な量の液を引き出すことが常に困難になり、同時に、既に溶解された有機材料を引き出すことが困難になることを意味する。
【0020】
図2は、蒸解窯におけるスクリーンセクションの外観を概略的に示している。スクリーン面40は、蒸解窯の壁の拡張部(ステップアウト)に配置されており、スクリーンの上端部の蒸解窯の中央からの距離は、その上にある蒸解窯の壁7の蒸解窯の中央からの距離と同じにされている。スクリーン面は、高さHを有するが、スクリーンの高さが、Heで示された長さ延長するように、スクリーンの上にある蒸解窯の壁に接触するように延長することもできる。蒸解液の排出するためのチャンバはスクリーン面の外側に配置されている。前記チャンバは、しばしば、下部の収集チャンバ(ヘッダー)6の中に排液され、前記チャンバ6からパイプを解して蒸解液が排出される。
【0021】
図3は、本発明による蒸解窯スクリーンの第一実施例を示しており、このスクリーンは、複数の固定スクリーンバー41a,42aを備えている。これらのスクリーンバーは、連続蒸解窯内に垂直方向に配置され、固定スクリーンバー間に、排出スロットSが形成されている。蒸解液は、排出スロットSを通して蒸解窯内のパルプのカラムから排出される。本発明によれば、一方のスクリーンバー42aは固定されており、隣接するスクリーンバー41aに対して距離Dだけ凹まされている。距離Dは、スクリーンバーの内面間で確立されているものであり、前記内面は、チップのカラムに向けられている。図示実施例では、蒸解窯において多数のスクリーンバーが凹まされており、この実施例では、これらのスクリーンバーは、二番目のバー毎に対応している。代わりに、スクリーン表面において、凹ませるバーをもっと少なくすることができ、例えば、三番目のバー毎、四番目のバー毎に凹ませることもできる。
【0022】
凹まされたスクリーンバー42aは、最適な効果のために、距離Dだけ凹まされており、この距離Dは、少なくとも隣接するスロット間の排出スロットSの幅と同じ大きさであり、好ましくは、凹まされたスクリーンバーは、それらの全垂直方向長さに沿って距離Dだけ凹まされる。
図3に示したこの第一実施例における凹まされたスクリーンバー42aは、凹まされていないスクリーンバー41aの幅と等しい幅Wを有するが、凹まされたスクリーンバー42aの幅が、隣接するスクリーンバー41aの幅より大きくならないことが有利である。ここで、幅Wは、蒸解窯の円周方向に伸びる幅である。図4には、本発明の変形実施例が示されており、この実施例では、凹まされたスクリーンバー42aの幅Wは、隣接するスクリーンバー41aの幅より小さくされている。
蒸解窯スクリーンに高い耐久力を持たせ、かつ、バースクリーンの横方向の曲がりの危険を回避するために、有利には、全てのスクリーンバーに、蒸解窯内で径方向に、蒸解窯の円周方向の曲げ剛性より大きな曲げ剛性が持たせられる。径方向におけるスクリーンバーの寸法を、蒸解窯の円周方向におけるスクリーンバーの寸法より、少なくとも100%大きくすることによって、これは達成され得る。
【0023】
スクリーンバーの試験済の設計によれば、少なくとも凹まされていないスクリーンバーは、T字状の横断面を有し、滑走部分41aに、蒸解窯のチップのカラムに面する第一の広い滑走面を有し、かつ、径方向に狭められたウェブ部分41bを有する。このT字状の横断面は、図3及び図4の両方において凹まされていないスクリーンバーが有しており、これらのスクリーンバーは、パルプPのカラムからの径方向に向けられた力の殆どの部分を受ける。これらのスクリーンバーは、好ましくは、滑走部分41aとウェブ部分41bが単一の外形のロッドとして製造されるように、押出し成形によって製造される。
【0024】
排出スロット(S)は、典型的には、2〜10mmの間の寸法を有する。ここで、スロットは、蒸解処理で用いられるチップの性質に合わせられる。よりはっきりした輪郭を持ち、かつ、細かく分離された材料の含有量が少ない切断されたチップは、大きな排出スロットを有する蒸解窯内で蒸解され、細かく分離された材料の含有量が多いチップは、小さな排出スロットを必要とする。
【0025】
本発明によれば、凹まされたスクリーンバーは、好ましくは、隣接するスクリーンバー41aに対して距離Dだけ凹まされ、この寸法Dは、2〜10mmの間に入る。より好ましくは、凹まされたスクリーンバーは、次式で示される排出スロットSの寸法に基づいて決められた距離Dだけ、隣接するスクリーンバー41aに対して凹まされる。
D=1.0×S 〜 2.0×S
【0026】
図5は、どのようにして、パルプPのカラムが凹まされたスクリーンバー42cまで拡張するのかを示している。パルプのカラムは、蒸解窯が意図された方法で動作させられると、均一な動きで沈降する。チップは、床の上に投げ出されたトランプのように、既に、蒸解窯の頂部でパックされ、言い換えれば、それらの平坦な表面が相互に重なるようにされている。このパッキングにより、ガス雰囲気の蒸解窯において僅かに円錐状の形状ができ、その中で、チップは、液体のレベルより上に僅かにコーン形状のパイルを確立し、このコーンが、蒸解窯の中心から、蒸解窯の壁に向けて外側に滑り落ちる。チップは、相互の結語され、蒸解処理が進むと、チップは、柔らかくされ、有機材料の50%が蒸解液に溶解して、内部が崩れる。パッキングの度合いと、チップ片間の相互の結合力とは、蒸解処理の継続時間がのびるにつれて増加する。図5は、パルプのカラム内でチップ片がどのようにして相互に結合され、また、凹んだスクリーンバーの範囲内に、どのようにして、パルプのカラムが膨張して、それが、凹まされたスクリーンバーの接触する表面に向けて図面に示す方法で、膨れ上がるかを示している。膨張により、緩やかな曲線が生じる。
この時、チップPのカラムに面する吸引ギャップが、実際には、Sより拡げられていることは明らかであり、それは、S×√2の大きさのオーダーになり、具体的には、実際には、吸引ギャップの拡がりは、40%を上回っている。
膨張の度合いは、蒸解釜におけるチップのカラムがよくパックされている位置では小さくなり、好ましくは、蒸解窯の下側の位置では小さくなる。チップのカラムが、よくパックされ、膨張がスクリーン面を通る通路で生じなければ、ベッドからの吸引ギャップは、2×S+Wの大きさで得られる。この結果、Sの大きさに依存して100〜250%の吸引ギャップの増加が生じる。
【0027】
図6は、どのようにして蒸解窯スクリーンが、蒸解窯の壁に導入されるのかを図式的に示している。この図面では、凹まされていないスクリーンバー41aは、その内側滑走面と支持ウェブ部41bが示されており、滑走面には符号41a−sが付されている。凹まされたスクリーンバーの滑走面は(ここから見ると隠れていることを示すために)点線で示されており、符号42a−s/42c−sが付されている。図面から、蒸解窯のパルプのカラムに面している凹まされていないスクリーンバーの表面41a−sが、パルプのカラムの中心から、スクリーンバー41aを備えたスクリーンセクション(図1における4a,4b,4c参照)の直ぐ上にある蒸解窯7の壁と同じ距離をあけて配置されていることが明らかである。全ての第二スクリーンバー、即ち、凹まされたスクリーンバー42a/42cの滑走面は、凹まされていないスクリーンバーの滑走面41a−sに対して距離Dだけ凹まされている。
水平に配置された支持ビーム49は、好ましくは、蒸解窯のシェルの内壁に対してスクリーンバーの後方に配置される。支持ビームは、このましくは、図面に示すように、開放部分を有し、収集チャンバ(図2における符号6参照)内へ排出された蒸解液を排水することを可能にしている。
本発明による蒸解窯スクリーンは、好ましくは、パルプのカラムが高い度合いでパックに供される蒸解窯の下方部分、蒸解窯の半分の高さより下に配置されるか、又は、早くとも、黒液として公知の蒸解窯内で使われた蒸解液が排出されるスクリーンセクションの位置に配置される。
【0028】
本発明は、特許請求の範囲の範囲内で様々な方法で設計され得る。凹まされたスクリーンバーは、例えば、(米国特許第6,889,851号のように)円形の横断面を有し得、又、(米国特許5,234,550号の図1に示されているように)尖った形状を有し得る。基本原理は、凹まされていないスクリーンバーが、スクリーンセクションにおける径方向に向けられた力の殆どの部分を吸収し、同時に、凹まされたスクリーンバーが、凹まされたスクリーンバーの上で生じる膨張を支持するためにあるということである。制御された膨張形態を通して、実際上、拡げられる吸引ギャップが、スクリーンデザインに生じさせられることになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部で蒸解されたセルロールパルプを製造する連続蒸解窯(1)用蒸解窯スクリーン(4a,4b,4c)であって、
蒸解窯スクリーンが、蒸解窯の壁に固定され、かつ、連続蒸解窯内に垂直に配置された多数のスクリーンバー(41a,42c,42a)を備え、固定されたスクリーンバーの間に排出スロット(S)を有し、前記排出スロット(S)を介して、蒸解窯のパルプ(P)のカラムから蒸解液を排出することができるようにした蒸解窯スクリーンにおいて、
蒸解窯スクリーンにおける少なくとも一つのスクリーンバー(42a,42c)が、蒸解窯の壁に固定され、かつ、蒸解窯の壁に固定された隣接するスクリーンバー(41a)に対して距離(D)だけ凹まされている
ことを特徴とする蒸解窯スクリーン。
【請求項2】
蒸解窯スクリーンにおける複数の固定されたスクリーンバーが、隣接する固定されたスクリーンバーに対して凹まされており、好ましくは、二番目のスクリーンバー毎に凹まされている
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸解釜スクリーン。
【請求項3】
凹まされたスクリーンバーが、少なくとも隣接する固定されたスクリーンバー間の排出スロットの幅と同じ大きさの距離(D)だけ凹まされている
ことを特徴とする請求項2に記載の蒸解窯スクリーン。
【請求項4】
凹まされ固定されたスクリーンバーが、それらの垂直方向の長さ全体に沿って、距離(D)だけ凹まされている
ことを特徴とする請求項3に記載の蒸解窯スクリーン。
【請求項5】
凹まされ固定されたスクリーンバーが、隣接するスクリーンバーの幅を超えない幅(W)を有し、前記幅(W)が蒸解窯の円周方向に伸びる幅である
ことを特徴とする請求項4に記載の蒸解窯スクリーン。
【請求項6】
全ての固定されたスクリーンバーが、蒸解窯の円周方向の曲げ剛性より大きい蒸解窯の径方向の曲げ剛性を有し、
スクリーンバーの径方向の寸法が、蒸解窯の円周方向のスクリーンバーの寸法より少なくとも100%大きい
ことを特徴とする請求項5に記載の蒸解窯スクリーン。
【請求項7】
少なくとも凹まされていない固定されたスクリーンバーがT字状の横断面を有し、
滑走面(41a)の位置に、蒸解窯のチップのカラムの方向に面した第一の広い滑走面を備え、かつ、径方向に向けられた狭いウェブ部(41b)を有する
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の蒸解窯スクリーン。
【請求項8】
排出スロット(S)が、2〜10mmの間の寸法を有する
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の蒸解窯スクリーン。
【請求項9】
凹まされ固定されたスクリーンバーが、隣接する固定されたスクリーンバー(41a)に対して距離(D)だけ凹まされており、前記距離(D)が2〜10mmの間の寸法である
ことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の蒸解窯スクリーン。
【請求項10】
凹まされ固定されたスクリーンバーが、隣接する固定されたスクリーンバー(41a)に対して距離(D)だけ凹まされており、前記距離(D)が、排出スロットの寸法(S)にD=1.0×Sから2.0×Sの関係にある
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の蒸解窯スクリーン。
【請求項11】
蒸解窯のパルプ(P)のカラムに面し、凹まされてなく固定されたスクリーンバー(41a)の表面のパルプのカラムの中心からの距離が、スクリーンバー(41a)を備えたスクリーンセクション(4a,4b,4c)の直ぐ上にある蒸解窯(7)の壁のパルプのカラムの中心からの距離を同じになるように、前記スクリーンバー(41a)が配置されている
ことを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の蒸解窯スクリーン。
【請求項12】
蒸解窯スクリーンが、パルプのカラムが高い度合いでパックに供される蒸解窯の下方部分、蒸解窯の半分の高さより下に配置されるか、又は、早くとも、黒液として公知の蒸解窯内で使われた蒸解液が排出されるスクリーンセクションの位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の蒸解窯スクリーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−505503(P2011−505503A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535918(P2010−535918)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際出願番号】PCT/SE2008/051369
【国際公開番号】WO2009/070115
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(591014190)メッツオ ファイバー カルルスタード アクチボラグ (19)
【Fターム(参考)】