説明

連続用紙切断圧着装置

【課題】連続用紙の移送経路を短くして、小型で、軽量の切断圧着装置を提供する。
【課題の解決手段】単位用紙3が切り部2を介して多数連接されてなり、重ね合わせ面には、通常では接着せず、所定以上の圧が加えられると接着可能となる感圧性接着剤があらかじめ設けられて、重ね合わされてなる連続用紙1を、所定方向へ移送し、この移送経路上に、上下一対の低速ローラ32a,32bと、上下一対の高速ローラ34a,34bとを配置し、これら低速ローラ32a,32bと高速ローラ34a,34bの移送速度差を利用して単位用紙3毎に切断するとともに、高速ローラ34a,34bによる加圧で感圧性接着剤の接着条件を付与し、重ね合わせ面を接着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単位用紙が切り部を介して連接され、各単位用紙の重ね合わせ面には所定以上の圧が付与されると接着可能となる感圧性接着剤が塗布されてなる連続用紙を、重ね合わせ面で重ね合わせた状態で移送しながら、それぞれ上下一対の高速ローラと低速ローラの移送速度差を利用して単位用紙に切断する一方、上下対の圧着ローラで加圧することにより感圧性接着剤で重ね合わせ面を接着する、連続用紙切断圧着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の連続用紙切断圧着装置は、従来から知られているが、高速ローラと低速ローラからなる切断部と、圧着ローラからなる接着部とは、連続用紙の移送方向に間隔をおいて配置されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2678235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、装置全体を小型化するのが困難であるとともに、連続用紙の移送経路が長いので、この経路上で連続用紙が蛇行したり、連続用紙にシワが生じるなどのトラブルが発生しやすい、という不都合があった。
【0005】
本発明は、このような不都合を解消した連続用紙切断圧着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明の請求項1に係る連続用紙切断圧着装置は、単位用紙が切り部を介して多数連接されてなり、重ね合わせ面には、通常では接着せず、所定以上の圧が加えられると接着可能となる感圧性接着剤があらかじめ設けられ、重ね合わされてなる連続用紙を、所定方向へ移送し、この移送経路上に、上下一対の低速ローラと、上下一対の高速ローラとを配置し、これら低速ローラと高速ローラの移送速度差を利用して切り部で単位用紙毎に切断するとともに、前記低速ローラ及び/又は高速ローラによる加圧で感圧性接着剤の接着条件を付与し、重ね合わせ面を接着するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る連続用紙切断圧着装置によれば、上下一対の低速ローラと、上下一対の高速ローラとによって、切断動作を行なう一方、これらのローラの少なくとも一方によって圧着動作を行なうので、圧着ローラが不要になるため、装置の小型、軽量化が図られ、占有面積も小さくなり、また、使用電力も減少して省エネにもなり、さらに、処理に必要な用紙移送経路が短縮されて、用紙の蛇行やシワが減少するとともに、処理時の移送時間も短縮して単位時間あたりの処理枚数も増加するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】連続用紙切断圧着装置を含む処理装置の全体を示す概略的な斜視図。
【図2】処理対象となる連続用紙の表面側を示す斜視図。
【図3】連続用紙を構成する単位用紙の裏面側を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を封書作成用の連続用紙に適用した場合の好適な実施形態について添付図面に基づき説明する。
【0010】
はじめに、封書作成用の連続用紙について図2及び図3に基づき説明する。図2に示すように、連続用紙1は、切り部たる折り兼切り用ミシン目2を介して単位用紙3が縦方向に多数連接されてなる。図2及び図3に示すように、各単位用紙3は、上紙片4と下紙片5とが切り用ミシン目6を介して横方向に連接されている。各単位用紙3の両端部には、切り用ミシン目7a,7bを境として移送孔8a、8bが等間隔に多数透設されたマージナル部9a,9bが設けられている。
【0011】
図2及び図3に示すように、下紙片5には、切り用ミシン目6に沿って、移送孔8cが等間隔に多数透設されたマージナル部9cが切り用ミシン目7cを境として設けられている。上紙片4には、各切り用ミシン目6,7aの内側に沿って、それぞれ切り用ミシン目10b,10aが設けられている。一方、前記下紙片5には、各切り用ミシン目7b,7cの内側に沿って、それぞれ切り用ミシン目10d,10cが設けられている。
【0012】
すなわち、切り用ミシン目6で単位用紙3を上紙片4と下紙片5とに切り離し、これらの紙片4,5を重ねた時に、切り用ミシン目10aと10c、切り用ミシン目10bと10d、とがそれぞれ重なり合い、また、マージナル部9aと9cとが重なり合うもので、下紙片5のミシン目7bに沿ったマージナル部9bは、上紙片4とは重なり合わず突出した状態となる。さらに、単位用紙3の下端に沿って、前記切り用ミシン目10a,10b,10c,10dと直交するように延びる切り用ミシン目11が設けられている。
【0013】
図2で理解できるように、下紙片5の表面側には、各切り用ミシン目10c,10d,11の外側に位置して、左右対称なパターンで、通常では接着せず、所定以上の圧が付与されると接着可能となる、感圧性接着剤12a及び12bが塗布されている。そして、前記感圧性接着剤12aの縦方向に延びる部分は、前記感圧性接着剤12bの縦方向に延びる部分よりも外側に設けられることにより、連続状態にある単位用紙3が折り兼切り用ミシン目2でジグザグ状に折りたたまれた時に、対向面どうしの各感圧性接着剤12a,12b同士が接触しないようなパターンになっている。
【0014】
さらに、図3で理解できるように、上紙片4の裏面側には、各切り用ミシン目10a,10b,11の外側に位置して、前述と同一のパターンで感圧性接着剤12c及び12dが塗布されている。そして、これらの感圧性接着剤12c及び12dは、上紙片4と下紙片5とが切り重ねられた時に、感圧性接着剤12a及び12bとそれぞれ対接する一方、連続状態にある各単位用紙3が折り兼切り用ミシン目2でジグザグ状に折りたたまれた時に、対向面どうしの各感圧性接着剤12c,12dが接触しないようになっている。
【0015】
図2に示すように、上紙片4の表面側には宛名があらかじめ印字され、また、下紙片5の表面側には、例えば、案内文やメッセージ、請求金額、領収金額などの各種の通知情報があらかじめ印字されている。なお、これらの印字は、印字内容をデータ入力したコンピュータに連繋されたプリンタによって行なわれる。
【0016】
次に、上述した連続用紙1の処理装置を図1に基づいて説明する。処理装置は、連続用紙1の移送方向に順次配置した、重ね合わせ装置20と切断圧着装置30とスタック装置40とからなる。重ね合わせ装置20は、各折り兼切り用ミシン目2でジグザグ状に折り重ねられている連続用紙1を、上紙片4と下紙片5とに切り離して重ね合わせるものである。切断圧着装置30は、重ね合わせた連続用紙1を単位用紙3に切断し、感圧性接着剤12a,12b,12c,12dで重ね合わせ面を接着して、封書13を作成するものである。スタック装置40は、作成した封書13を順次積み重ねていくものである。
【0017】
重ね合わせ装置20は、連続用紙1をガイドローラ21を経て引き上げ、両端に位置する移送孔8a,8bにピンをそれぞれ係合して移送するトラクタ22a,22bと、上紙片4と下紙片5とに切り用ミシン目6で切り離すスリッタ23と、切り離された連続状態にある上紙片4と下紙片5とを各別に案内するガイドローラ24a,24b及びガイド板25a,25bと、前記連続状態にある上紙片4と下紙片5とを重ね合わせるガイドバー26を備えた重ね合わせガイド27と、重ね合わされた各紙片4,5をさらに移送するトラクタ28とから構成される。この重ね合わせ装置20には、トラクタ28に対応位置して各マージナル部9a,9c及び9bを切断するスリッタ29a,29bが付設されている。
【0018】
切断圧着装置30は、上紙片4と下紙片5とが重ね合わされた連続用紙1の一端側を軽く加圧して仮接着する上下一対の仮接着コロ31a,31bと、上下一対の低速回転をする低速ローラ32a,32bと、ブレード33と、上下一対の高速回転をする高速ローラ34a,34bとからなる。そして、前記低速ローラ32a,32bと高速ローラ34a,34bとの移送速度差により連続用紙1に適度の張力を与え、折り兼切り用ミシン目2にブレード33を当ててこのミシン目2を破断し、上紙片4と下紙片5とが重ね合わされた単位用紙3とするとともに、高速ローラ34a,34bによる加圧で上紙片4と下紙片5の重ね合わせ面の周縁を、感圧性接着剤12a,12b,12c,12dにより接着し、封書13とするものである。
【0019】
スタック装置40は、作成された封書13を順次積み重ねていくもので、図示してはいないが、積み重ね量に応じて昇降可能な載置台を備えており、積み重ね量が所定量になると、封書13は搬出されるものである。
【0020】
続いて、上述のように構成した処理装置による、連続用紙1の処理方法、すなわち封書13の作成方法を、図1に基づいて説明する。折り兼切り用ミシン目2でジグザグ状に折り重ねられた連続用紙1は、ガイドローラ21を経て引き上げられ、各移送孔8a,8bがトラクタ22a,22bのピンに係合されて水平方向に移送され、スリッタ23によって上紙片4と下紙片5とに切断される。
【0021】
上紙片4と下紙片5とは、各別にガイドローラ24a,24b及びガイド板25a,25bに案内されて、ガイドバー26を通過する際に重ね合わせガイド27によって、各紙片4,5の感圧性接着剤12a,12b,12c,12dを塗布した重ね合わせ面同士が対接するように、重ね合わされる。この重ね合わせ状態は、トラクタ28のピンに各紙片4,5の移送孔8a,8cが上下に重なって係合されることにより正規化される。そして、トラクタ28を通過する時に、重なり合った各マージナル部9a,9cはスリッタ29aにより、また、突出状態のマージナル部9bはスリッタ29bにより、それぞれ切り離される。
【0022】
次いで、仮接着コロ31a,31bの加圧により、重ねられた連続状態にある上紙片4と下紙片5の幅方向一端側の対接する感圧性接着剤12a,12b,12c,12d同士が仮接着される。そして、上下一対の低速ローラ32a,32bを経てブレード33の下を通過し、上下一対の高速ローラ34a,34bに至ると、前記各ローラ32a,32b,34a,34bの移送速度差によって適度の張力が付与され、折り兼切り用ミシン目2にブレード33が当接すると前記ミシン目2が破断されて単位用紙3となる。この時、前記上下一対の高速ローラ34a,34bによって加圧され、対接する感圧性接着剤12a,12b,12c,12d同士が完全に接着されて、封書13となる。
【0023】
このようにして作成された封書13は、スタック装置40の図示していない昇降可能な載置台に順次積み重ねられ、積み重ね量が所定量になると、搬出されるものである
【0024】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、切断圧着装置30には、仮接着コロ31a,31bを必ずしも設けなくてもよく、低速ローラ32a,32bで仮接着を行なってもよい。また、仮接着を行なうことなく、低速ローラ32a,32bを圧着ローラとし、この低速ローラ32a,32b通過時に接着動作を行なうことも可能である。さらに、低速ローラ32a,32bと高速ローラ34a,34bとを圧着ローラとして構成してもよい。またさらに、切断圧着装置30の前後に設けた重ね合わせ装置20とスタック装置40の構成は、処理対象である連続用紙1の構成に応じて種々変更可能であり、加えて、これらの装置20,40に換えて別の装置を切断圧着装置30と組み合わせて処理装置を構成したり、切断圧着装置30を独立した装置として使用することも可能である。さらにまた、切断圧着する連続用紙1は、3枚以上の用紙を重ね合わせたものでもよい。この連続用紙1の重ね合わせは、切り重ねに限らず、二つ折り、三つ折りなど、折り重ねでもよい。さらに、重ね合わせ面に設ける感圧性接着剤は、接着後に剥離可能な接着剤でもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 連続用紙
2 折り兼切り用ミシン目
3 単位用紙
4 上紙片
5 下紙片
6,7a,7b,7c,10a,10b,10c,10d,11 切り用ミシン目
12a,12b,12c,12d 感圧性接着剤
13 封書
20 重ね合わせ装置
30 切断接着装置
31a,31b 仮接着コロ
32a,32b 低速ローラ
33 ブレード
34a,34b 高速ローラ
40 スタック装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位用紙が切り部を介して多数連接されてなり、重ね合わせ面には、通常では接着せず、所定以上の圧が加えられると接着可能となる感圧性接着剤があらかじめ設けられて、重ね合わされてなる連続用紙を、所定方向へ移送し、この移送経路上で連続用紙を切り部で単位用紙毎に切断するとともに、加圧して感圧性接着剤の接着条件を付与し、重ね合わせ面を接着する、連続用紙の切断圧着装置であって、上下一対の低速ローラと、上下一対の高速ローラとを連続用紙の移送方向に間隔をおいて配置し、これら低速ローラと高速ローラの移送速度差を利用して切り部で単位用紙毎に切断するとともに、前記低速ローラ及び/又は高速ローラによる加圧で感圧性接着剤の接着条件を付与し、重ね合わせ面を接着することを特徴とする連続用紙切断加圧装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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