説明

連続紙プリンタ

【課題】印刷システムのコスト増を避けながら、印刷後の積み重なった用紙の側面から目視可能な位置を維持しつつ、搬送領域にエッジマークを印刷可能な連続紙プリンタを提供する。
【解決手段】エッジマーク印刷用の電気回路や印刷機構を有することなく、用紙端の搬送領域に印刷ジョブの境界等を示すエッジマークを印刷可能な連続紙プリンタおいて、ホストコンピュータより受信したエッジマークの印刷指示コマンド、または印刷システムの操作部からのエッジマーク印刷設定に従い、エッジマークを印刷システムが生成し通常の印刷データと重畳して印刷することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッジマークを印刷する連続紙プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、連続紙プリンタにおいて、印刷済み用紙の仕分けを容易にするため、積み重なった用紙の側面方向より目視可能なマークを、用紙端に印刷することがある。
【0003】
まず、図2により、両端に搬送領域を有する連続紙について説明する。この連続紙は、両端に一定の間隔で穴20が空いている。この穴20は印刷システム内部を用紙が通過する際に使用するものであり、穴20の空いている部分を含め用紙端から0.5インチ幅の部分を搬送領域21と呼ぶ。搬送領域21にはミシン目22が付いている場合がある。このような用紙では、ミシン目22により搬送領域21の切り離しが容易である。
【0004】
また、用紙端のミシン目22と直交する方向にも、一定間隔でミシン目23がついており、用紙は、このミシン目23で折りたたまれる。このミシン目23をページ境界と呼ぶ。1ページの印刷範囲24は、これらミシン目に囲まれた領域であり、通常の印刷データは、1ページの印刷範囲24に印刷される。尚、通常の印刷データとは、印刷システムのユーザが最終的に必要とする印刷結果であり、搬送領域には印刷されない。
【0005】
エッジマーク25は、ページの境界のミシン目23を跨いで印刷される。従って、ページ境界のミシン目23にて用紙が折り畳まれた際に、側面からエッジマーク25の有無を目視確認可能である。図2においては、エッジマークは搬送領域21に印刷されている。
【0006】
尚、エッジマーク25の形状は自由であるが、ジョブ毎に用紙を仕分けする目的で印刷する場合は線で十分である。例えば、ジョブ1はエッジマークを1本、ジョブ2はエッジマークを2本とすれば、ジョブ1とジョブ2の境界は容易に目視確認可能である。
【0007】
特許文献1は、カット紙の4辺にエッジマーク印刷用を行う方式について述べている。
【0008】
特許文献2では、ミシン目を有する用紙を開かずに内容を確認する手段として、エッジマークを使用している。
【0009】
特許文献3は、用紙側面に星形や文字など多様なエッジマークを印刷する手段について述べている。
【0010】
特許文献4では、エッジマーク印刷用の回路を設けている。
【0011】
特許文献5は、エッジマーク用に印刷機構を追加する手法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平5−11549号公報
【特許文献2】特開平1−125265号公報
【特許文献3】特開平10−044552号公報
【特許文献4】特開昭55−002012号公報
【特許文献5】特開平05−238098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1、特許文献2、特許文献3では、搬送領域ではなく、通常の印刷データを印刷する領域にエッジマークを印刷している。この方式では、通常の印刷データが1ページの印刷範囲の端部まで使用する場合、エッジマークと重なってしまう。
【0014】
印刷が重なることを回避するためには、通常の印刷データが使用できる範囲を、1ページの印刷範囲よりも小さくする必要がある。また、通常の印刷とエッジマークが重なっていない場合でも、仕分け後に、不要となったエッジマークの印刷部分を切り離す際に、通常の印刷データを損壊する恐れがある。従って、エッジマークは、通常の印刷範囲の外であり、尚且つミシン目により切り離しが容易な、搬送領域に印刷することが好ましい。
【0015】
しかし、搬送領域は用紙を搬送するための領域であるため、搬送領域へは印刷できない印刷システムも存在する。
【0016】
特許文献4、特許文献5では、エッジマーク用に電気回路、または印刷機構を追加している。このような方式により、搬送領域へのエッジマーク印刷が可能となる場合がある。しかし、エッジマーク専用の機構を必要とするため、印刷システムのコスト増は避けれらない。
【0017】
エッジマーク専用の電気回路や印刷機構を追加できない場合、エッジマークと通常の印刷を重畳したデータをホストコンピュータから受け取ることでエッジマークを印刷可能な場合がある。
【0018】
このような例について、図3により説明する。印刷システム1は、用紙を搬送し印刷を行う印刷機構部8、ホストコンピュータ12との通信や印刷機構部の制御を行う印刷システム制御部2より構成される。印刷機構部8は、印刷するための用紙を設置する用紙給紙部9、用紙への印刷を行う印刷部10、印刷済みの用紙をためておく用紙排出部11より構成される。印刷システム制御部2は、ホストコンピュータより印刷データを受信する受信部3、用紙に印刷可能なイメージデータを生成するする展開部4、印刷機構部を制御する印刷機構制御部7、及びユーザが印刷システムを操作するための操作部5より構成される。また、印刷部10は、搬送領域への印刷も可能である。このような印刷システムに接続されたホストコンピュータ12においては、通常の印刷データの幅に、搬送領域の幅を加えた用紙幅で印刷データを作成すれば良い。
【0019】
この印刷データは、印刷システム制御部の受信部3により受信された後、展開部4によりイメージデータに展開され、印刷機構制御部7を介して、印刷機構部8に送られ、用紙に印刷される。ホストコンピュータ12で生成されたデータにはエッジマークが含まれているため、印刷後の用紙にはエッジマークが印刷される。
【0020】
このような方式により印刷することで、エッジマーク専用の、電気回路や印刷機構を有さない印刷システムにおいて、エッジマークを印刷することが可能となる。しかしながら、この方式では、エッジマークを印刷しない場合でも、ホストコンピュータで作成する印刷データは、搬送領域の幅を考慮する必要がある。搬送領域の幅が考慮されていない場合、印刷位置は意図しないものとなってしまう。
【0021】
この様子を図4に示す。ページA40とページB41は、エッジマーク46があるため、通常の印刷データ44は、用紙搬送領域48を外れて印刷されている。しかしページC42は、エッジマーク46がないため、用紙搬送領域47に通常の印刷データ45が印刷されている。通常の印刷データ44の印刷位置は意図した印刷位置から搬送領域の幅45だけ移動している。
【0022】
また、予め罫線などが印刷されている、プレプリント紙と呼ばれる用紙に印刷する場合、罫線などの位置に合わせて、印刷位置を調整する場合がある。このような場合、ホストコンピュータの印刷データは変更せずに、印刷システムの操作部から、印刷位置を設定して、罫線に合わせて印刷を行う。
【0023】
この様子を図5に示す。ホストコンピュータから送られるページ57の印刷データのページ境界は50と53で示される。従ってエッジマーク58は、50と53を跨ぐ位置に、それぞれある。印刷位置を調整しない場合、50は用紙のページ境界51に、53は用紙のページ境界54に重なり、エッジマークはページ境界を跨ぐことができる。
【0024】
しかし、ページ57の通常の印刷データ56を、ページB57に予め印刷されている罫線52に合わせて印刷するため、印刷システムの操作部より印刷位置が調整値55だけずらされている。このような場合、エッジマーク58が用紙のページ境界を跨がなくなってしまい、印刷後の用紙が積み重なった状態で、側面よりエッジマーク58を目視確認できなくなってしまう。
【0025】
本発明は、上記した問題を鑑み、印刷システムのコスト増を避けながら、印刷後の積み重なった用紙の側面から目視可能な位置を維持しつつ、搬送領域にエッジマークを印刷可能な連続紙プリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
前記目的を達成するため、本発明の第1の手段は、エッジマーク印刷用の電気回路や印刷機構を有することなく、用紙端の搬送領域に印刷ジョブの境界等を示すエッジマークを印刷可能な連続紙プリンタおいて、ホストコンピュータより受信したエッジマークの印刷指示コマンド、または印刷システムの操作部からのエッジマーク印刷設定に従い、エッジマークを印刷システムが生成し通常の印刷データと重畳して印刷することを特徴とするものである。
【0027】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、印刷調整位置を考慮してエッジマークデータの生成及び重畳を実施する構成になっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0028】
前記第1の手段においては、エッジマークを印刷システムが生成し、通常の印刷データに重畳して印刷することで、特別な装置を付加することなく、エッジマークが印刷可能となり、エッジマークを印刷しない場合でも、搬送領域を考慮した空データを重畳するため、印刷位置は正しく保たれる。
【0029】
前記第2の手段においては、印刷調整位置を考慮してエッジマークデータの生成及び重畳を実施しているため、用紙のページ境界をまたぐエッジマークを印刷可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例に係る連続紙プリンタのブロック図である。
【図2】連続紙の例を示す平面図である。
【図3】従来の連続紙プリンタのブロック図である。
【図4】従来の連続紙プリンタにおいて、エッジマークがない場合に印刷位置が不正となる例を示した図である。
【図5】従来の連続紙プリンタにおいて、印刷位置を調整した結果、エッジマークが用紙のページ境界を跨がない例を示した図である。
【図6】本発明の連続紙プリンタにおいて、エッジマークがなくとも、印刷位置が正しくなる例を示した図である。
【図7】本発明の連続紙プリンタにおいて、印刷位置を調整しても、エッジマークが用紙のページ境界を跨ぐ例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に本発明の一実施例になる連続紙プリンタを示す。
【0032】
本発明の連続紙プリンタ1は、用紙を搬送し印刷を行う印刷機構部8、及びホストコンピュータ12との通信や印刷機構部の制御を行う印刷システム制御部2より構成される。印刷機構部8は、印刷するための用紙を設置する用紙給紙部9、用紙への印刷を行う印刷部10、印刷済みの用紙をためておく用紙排出部11より構成される。印刷制御部2は、ホストコンピュータ12より印刷データを受信する受信部3、印刷データを用紙に印刷可能なイメージデータに展開する展開部4、エッジマークを生成するエッジマーク生成部6、印刷機構部8を制御する印刷機構制御部7、及びユーザが連続紙プリンタを操作するための操作部5より構成される。本実施例では、エッジマーク生成部6はソフトウエアのみで実現されており、エッジマーク生成用の電気回路や機構部は無い。
【0033】
通常の印刷データはホストコンピュータ12より印刷システムの受信部3に送られる。
この時、ホストコンピュータ12からエッジマークの本数を指示するコマンドを送っても良い。ホストコンピュータ12からエッジマークの本数を指示するコマンドを送れない場合は、印刷システムの操作部5より、エッジマークの印刷設定をあらかじめ行っておくことができる。また、プレプリント紙への印刷のため、印刷位置の調整を、操作部より行っておいても構わない。
【0034】
通常の印刷データは、展開部4でイメージデータに展開される。また、エッジマークの印刷指示及び印刷位置の調整に従い、エッジマークのイメージデータがエッジマーク生成部で作成され、通常の印刷データと重畳されて、印刷機構制御部7を介して、印刷機構部8に送られ、印刷される。
【0035】
通常、搬送領域は穴があいており、又ミシン目で切り離すので、非印刷領域として扱われる。印刷機構部では、搬送領域を除いた部分が印刷可能となっている。従って、本発明において、エッジマークを印刷するために搬送領域まで印刷できるようにしても、ユーザが使える印刷領域が狭くなることはない。
【0036】
ユーザが使用可能な領域は、搬送領域を除いた部分のままであり、変更は無い。搬送領域までユーザ領域とすることも可能であるが、この場合、エッジマークが必要ない場合に、ユーザデータが搬送領域に印刷されてしまう。このため、搬送領域はプリンタ側の管理とし、通常は空のイメージをユーザデータに重畳、エッジマークが必要なときはエッジマークを重畳し、ユーザデータが搬送領域に踏み込まないようする。
【0037】
次に、図6より、本実施例における、エッジマークの印刷指示がない場合の印刷位置について説明する。ページA40、ページB41はエッジマーク46があるため、搬送領域47を避けて通常の印刷データ43が印刷されている。ページC42はエッジマーク46を印刷しないが、図1におけるエッジマーク生成部により、搬送領域の幅45に等しい空の印刷データが重畳されているため、ページB41の通常の印刷データ43と同じ位置から、通常の印刷データ44を印刷できる。
【0038】
次に、図7より、印刷位置調整を行った場合のエッジマーク印刷位置について説明する。
【0039】
ホストコンピュータから送られるページ57の印刷データのページ境界は50と53で示される。印刷位置を調整しない場合、50は用紙のページ境界51に、53は用紙のページ境界54に重なる。
【0040】
しかし、ページ57の通常の印刷データ56を、ページ57に予め印刷されている罫線52に合わせて印刷するため、印刷システムの操作部より印刷位置が調整量55だけ移動されている。このような場合、エッジマークの生成及び通常の印刷データへの重畳時に、調整量55を考慮し、エッジマーク58をページ境界を跨ぐ位置に印刷する。
【0041】
なお、連続紙においては、用紙の空送りを実施する場合があるが、意図的な白紙印刷と、用紙の空送りによる白紙の区別がつかない。本発明によるエッジマーク生成の仕組みを適用することで白紙印刷時に、搬送領域へマークを印刷すれば、空送りによる白紙と、白紙印刷による白紙を区別することが可能となる。
【符号の説明】
【0042】
1:連続紙プリンタ、2:印刷制御部、3:受信部、4:展開部、5:操作部、6:エッジマーク生成部、7:印刷機構制御部、8:印刷機構部、9:用紙給紙部、10:印刷部、11:用紙排出部、20:穴、21:搬送領域、22:ミシン目、23:ミシン目、24:1ページの印刷範囲、25:エッジマーク、40:ページA、41:ページB、42:ページC、43:通常の印刷データ、44:通常の印刷データ、45:搬送領域の幅、46:エッジマーク、47:搬送領域、50:ホストコンピュータから送られた印刷データのページ境界、51:用紙のページ境界、52:用紙に予め印刷されている罫線、53:ホストコンピュータから送られた印刷データのページ境界、54:用紙のページ境界、55:印刷位置の調整量、56:通常の印刷データ、57:ページ、58:エッジマーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッジマーク印刷用の電気回路や印刷機構を有することなく、用紙端の搬送領域に印刷ジョブの境界等を示すエッジマークを印刷可能な連続紙プリンタおいて、ホストコンピュータより受信したエッジマークの印刷指示コマンド、または印刷システムの操作部からのエッジマーク印刷設定に従い、エッジマークを印刷システムが生成し通常の印刷データと重畳して印刷することを特徴とする連続紙プリンタ。
【請求項2】
印刷調整位置を考慮してエッジマークデータの生成及び重畳を実施する構成になっていることを特徴とする請求項1記載の連続紙プリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−158848(P2010−158848A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3273(P2009−3273)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】