説明

連続鋳造されたスラブの表面欠陥を検出かつ分類するための方法

【課題】本発明は、連続鋳造された製品の表面の外観に関するトポグラフィー情報を利用して、連続鋳造された製品の表面欠陥を検出かつ分類するための方法であって、欠陥および/または傷の正確な位置を定め、当該欠陥および/または傷を、位置および広がりの点で評価し、当該評価に対応して製品の継続加工前に除去し、またはプロセス最適化によって回避可能とする方法に関する。課題は、確実かつ実際に不可欠な欠陥評価だけを実施することにある。
【解決手段】一方で連続鋳造された一次製品のスラブ表面の欠陥および/または傷を、検出し、正確な位置で記憶し、他方で最終製品の欠陥および/または傷を、検出し、正確な位置で記憶し、次に一次製品の情報を最終製品の表面検査からの情報と比較し、最終製品に欠陥をもたらした情報、または欠陥もたらすことのある情報のみを、一次製品の欠陥および/または傷を除去するための情報として用いることによって、この課題解決は達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造された製品の表面の外観に関するトポグラフィー情報を利用して、連続鋳造された製品の表面欠陥を検出かつ分類するための方法であって、欠陥および/または傷の正確な位置を定め、当該欠陥および/または傷を評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続鋳造製品等の材料の表面欠陥を検出するための数多くの方法、および当該方法と関連した欠陥除去が知られている。例えば特許文献1によれば、表面欠陥を、自動的に検出し、継続加工前に、つまり圧延機列内での仕上げ圧延前に下流側に設けられる研削盤によって除去することができる。その際に、利用される研削盤は可逆動作可能であり、研削盤の上流側に配置される観察機構と研削盤の下流側に配置される観察機構とによって、順次、または広い面にわたって分布するように、欠陥を確認し次いで除去することができる。
【0003】
この方法では欠陥の評価は、記憶したパターンとの比較に基づいて行われ、欠陥検出の品質、従って除去は、記憶されたデータに依存することとなる。
【0004】
しかしながら、このことによっては必ずしも不必要な作業プロセスを避けることができない。
【0005】
基本的には、圧延製品、例えば熱間鋼帯または薄板に欠陥を生じさせる表面欠陥のみを検出かつ評価すべきであって、スラブ表面の他の傷をすべて考慮すべきでないであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0880023号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の課題は、一層確実かつ実際に不可欠な欠陥評価だけを実施し、次に除去することを達成できる方法を提供することにある。
【0008】
このように得られた情報は、評価に応じて、製品の継続加工前に欠陥除去に利用され、または最終製品の可能な品質の早期判定および分類に利用される必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、連続鋳造された表面の外観に関するトポグラフィー情報を利用して、連続鋳造された製品の表面欠陥を検出かつ分類するための方法であって、欠陥および/または傷の正確な位置が定められ、欠陥および/または傷が、位置および広がりの点で評価され、当該評価に対応して製品の継続加工前に除去される方法において、一方で連続鋳造された一次製品のスラブ表面の欠陥および/または傷が、検出され、正確な位置で記憶され、他方で最終製品の欠陥および/または傷が、検出され、正確な位置で記憶され、次に一次製品の情報が最終製品の表面検査からの情報と比較され、最終製品に欠陥をもたらした情報、または欠陥をもたらすことのある情報のみが一次製品の欠陥および/または傷を除去するための情報として用いられることによって解決される。
【0010】
本発明によれば、連続鋳造されたスラブの表面のトポグラフィーが好適な方法で定められることとなる。その際、可視光範囲または非可視光範囲内で作動する光学法またはマイクロ波に基づく方法が応用される。光学分野ではストライプ投影法または立体視法が利用される。レーザに基づく方法も可能である。単数または複数のこれらの方法によって検出された表面トポグラフィー情報は位置を定めて、つまり位置に対応して記憶される。検出されたトポグラフィー変化の評価は、好適な分類法、例えばニューラルネットワーク等を介して行うことができる。
【0011】
本発明により本方法が特徴とする学習段階の間に分類法が最適化され、この分類法は重大でない表面の傷と、仕上げ圧延製品、ここでは熱間鋼帯または薄板に表面欠陥を生じもしくは生じた重大な表面欠陥との間を区別することができる。
【0012】
このため、最終製品の表面検査の結果をスラブ検査システムと関連付けることが行われる。特に、最終製品上の欠陥の絶対位置をスラブ表面上の絶対位置に換算することが行われる。これによって、総変形度、横圧延・縦圧延比等のパススケジュールデータがモデルに含められることとなる。スラブ上の予想される表面欠陥の位置に関する情報は、記憶され、仕上げ圧延後に検査システムにより定められる情報と比較され、その結果、ここでは自己学習の効果が得られることとなる。
【0013】
分類法、例えばニューラルネットワークによって見出されたトポグラフィーと表面欠陥発生確率との間の関係は、次に予測に利用されることとなる。
【0014】
本方法は、高温スラブ表面および低温スラブ表面を計測することができ、測定中にスラブまたは測定機構のいずれかが移動する。この移動は不連続ステップでも、または連続的でも行うことができる。
【0015】
このように得られたトポグラフィー情報は、分類結果に対応して、それらの絶対位置で記憶することができる。
【0016】
スラブ表面の継続加工前に除去可能な表面欠陥または最終製品に品質の損失を生じさせる表面欠陥が、存在するか否かの判断は、上述のように、学習プロセスを必要とする。この学習は検査担当者の設定によって手動で行うことができる。しかしながら、この場合、主観的誤りが生じるおそれがある。従って、本発明によれば、このような課題は最終製品の表面検査システムと関連付けることによって克服されることとなる。
【0017】
スラブを直接利用しないか、またはスラブを購入して非連続の設備(スラブ連続鋳造設備および圧延装置)において本方法を適用する場合、この学習のアルゴリズムは長期的なデータベースを介して実現することができる。
【0018】
他の可能性としては、自動化スラブ検査内で当該システムを利用することにある。その場合、欠陥はマーキングロボットによってマーキングされ、修理のための発見が容易となる。位置情報は、自動修理のために加工センターに転送することもできる。
【0019】
以下、図面を参考に本発明に係る方法が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】人為的な傷、つまり欠陥が加えられた試料を示す図である。
【図2】試料、しかも図1の線5のストライプ投影法による計測結果を示す図である。
【図3】この線のトポグラフィー評価を示す図である。
【図4】測定機構の実施例を示す図である。
【図5】本発明による検査評価システムの原理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本方法を説明するために試料に傷を人為的に加えたことが、図1にて認めることができる。図の右側に線が表されており、以下の説明のため、例えば、ここでは線5を引き合いに出す。
【0022】
試料はストライプ投影法によって計測され、線5についての結果が図2に示されている。トポグラフィー情報は、図3に示したように点状の欠陥への分類を可能とする。
【0023】
図4は、投影機とカメラとを有する測定装置をスラブ輸送に役立つローラテーブルの上方に配置した例を示す。
【0024】
最後に図5はなお基本的理念を示しており、一次製品、つまりスラブ上の欠陥および/または傷が第1の表面検査によって検出され、次に第2の検査機構が圧延済み最終製品上の欠陥および/または傷を検出する。次に行われる比較によって、最初に検出された欠陥のいずれが、次に最終製品でも欠陥を生じるのかの推定および判断を下すことができる。これによって、一次製品における欠陥評価の向上をもたらす学習プロセスを作動させることができ、最終製品にとって不利な欠陥のみを除去するという結果がもたらされることとなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続鋳造された製品の表面の外観に関するトポグラフィー情報を利用して連続鋳造された製品の表面欠陥を検出かつ分類する方法であって、欠陥および/または傷の正確な位置を定め、欠陥および/または傷を、位置および広がりの点で評価し、当該評価に対応して製品の継続加工前に除去し、またはプロセスの最適化によって回避可能とする方法において、
一方で連続鋳造された一次製品のスラブ表面の欠陥および/または傷を、検出し、正確な位置で記憶し、
他方で最終製品の欠陥および/または傷を、検出し、正確な位置で記憶し、
次に一次製品の情報を最終製品の表面検査からの情報と比較して、最終製品に欠陥をもたらした情報、または欠陥もたらすことのある情報のみを、一次製品の欠陥および/または傷を除去するための情報として用いることを特徴とする方法。
【請求項2】
可視範囲または非可視範囲内で作動する光学法によってトポグラフィー情報を定めることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
レーザまたはマイクロ波に基づく方法によってトポグラフィー情報を定めることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
ストライプ投影法または立体視法によってトポグラフィー情報を得ることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項5】
電磁放射線の可視光源または非可視光源によってトポグラフィー情報を得ることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
検出され、かつ位置を確認して記憶された情報を、ニューラルネットワーク等の分類法を介して評価することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
学習段階中、スラブ表面のうち熱間鋼帯または薄板等の仕上げ圧延製品に表面欠陥を生じる領域のみを、欠陥ありとして評価し、または情報として用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
最終製品上の欠陥の絶対位置をスラブ表面上の絶対位置に換算し、これによって、総変形度、横圧延・縦圧延比等のパススケジュールデータを情報として用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ニューラルネットワークまたは別の方法によって見出されたトポグラフィーと表面欠陥発生確率との間の関係が予測に利用されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
得られたトポグラフィー情報を、結果に応じて、それらの絶対位置で記憶することを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記利用することを自動化スラブ検査内で実施し、欠陥をマーキングロボットによってマーキングすることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
情報の比較により得られた加工情報を、自動修理のために加工センターに転送することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−524695(P2010−524695A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504437(P2010−504437)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【国際出願番号】PCT/DE2008/000582
【国際公開番号】WO2008/128504
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(500031054)エスエムエス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト (31)
【氏名又は名称原語表記】SMS Siemag AG
【住所又は居所原語表記】Eduard−Schloemann−Strasse 4, D−40237 Duesseldof, Germany
【Fターム(参考)】