説明

連続鋳造設備のセグメント交換装置

【課題】鋳込み床の機器の配置制限が少なく、かつ、セグメント交換作業を効率化できる連続鋳造設備のセグメント交換装置を提供する。
【解決手段】セグメントSのガイド輪gと吊具10のガイド輪13とを案内するレール21、31で構成された可動ガイド20および複数の固定ガイド30を備え、可動ガイド20が上下方向に移動することにより、可動ガイド20のレール21と、複数の固定ガイド30のうちのいずれかの固定ガイド30のレール31とが、選択的に接続可能となっている。セグメント交換位置が一か所であり、鋳込み床Fに設置される機器の配置制限が少なくなる。天井クレーンの停止位置が固定された一か所であり、セグメント交換作業を効率化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造設備のセグメント交換装置に関する。さらに詳しくは、連続鋳造設備のモールド下方に湾曲して配置された複数のセグメントを保守点検のため取り出したり、挿入したりするセグメント交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のセグメント交換装置の一例として特許文献1に記載のものがある。
図12に示すように、特許文献1に記載のセグメント交換装置は、湾曲して配置された複数のセグメント101に沿って、各セグメント設置位置からストランド湾曲中心方向に延在し、さらに鉛直上方に延びる複数本の固定ガイドレール108を備えている。各セグメント101は天井クレーンのフック111に吊下げた吊具112によって吊られ、前記各固定ガイドレール108に沿って上方に取り出される。
ここで、固定ガイドレール108は、セグメント101と同数設けられており、それぞれの上端部がストランドの長手方向に並ぶように設けられている。この固定ガイドレール108の上端部の位置が、セグメント101を挿入したり抜き出したりするセグメント交換位置となっている。
【0003】
一方、一般に、セグメント101の上方には鋳込み床があり、この鋳込み床には種々の機器が設置されるため、これらの機器と天井クレーンや取り出されたセグメント101とが干渉しないようにセグメント交換位置を配置する必要がある。
【0004】
しかるに、セグメント交換位置がストランドの長手方向に並んで設けられていると、それらの近くには機器を設置することができないため、鋳込み床に設置される機器の配置が制限されてしまうという問題がある。
また、セグメント交換作業においては、各セグメント交換位置まで天井クレーンを移動させる必要があるため、天井クレーンの停止位置が多くなり作業が煩雑になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2555908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、鋳込み床の機器の配置制限が少なく、かつ、セグメント交換作業を効率化できる連続鋳造設備のセグメント交換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の連続鋳造設備のセグメント交換装置は、モールドの下方に湾曲して配置され、両側面にガイド輪が取り付けられた複数のセグメントを有する連続鋳造設備に設けられるセグメント交換装置であって、屈曲自在なリンクを複数個連結しており、両側面にガイド輪が取り付けられた吊具と、前記セグメントのガイド輪と前記吊具のガイド輪とを案内するレールで構成された可動ガイドと、前記セグメントのガイド輪と前記吊具のガイド輪とを案内するレールで構成され、該レールの一端が前記セグメントの設置場所に設けられた複数の固定ガイドと、を備え、前記可動ガイドが上下方向に移動することにより、該可動ガイドのレールと、前記複数の固定ガイドのうちのいずれかの固定ガイドのレールとが、選択的に接続可能となっていることを特徴とする。
第2発明の連続鋳造設備のセグメント交換装置は、第1発明において、前記複数の固体ガイドのうちの一または複数の固定ガイドのレールの一端の向きと、他の固定ガイドのレールの一端の向きとが互いに対向するように形成されており、前記可動ガイドの姿勢を変えることにより、該可動ガイドのレールの一端が、前記一または複数の固定ガイドのレールの一端と接続可能な状態と、前記他の固定ガイドのレールの一端と接続可能な状態とで切り換え可能であることを特徴とする。
第3発明の連続鋳造設備のセグメント交換装置は、第1または第2発明において、前記可動ガイドが挿入され、該可動ガイドが上下方向に移動するように案内する案内手段を備え、前記可動ガイドの長尺方向の寸法は、該可動ガイドを前記案内手段の最下部まで移動させたときに、該可動ガイドの上端が鋳込み床より下方に位置する寸法であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、可動ガイドが上下方向に移動することにより、可動ガイドのレールといずれかの固定ガイドのレールとが選択的に接続可能となっているので、可動ガイドの位置であるセグメント交換位置が一か所であり、鋳込み床に設置される機器の配置制限が少なくなる。また、セグメント交換位置が一か所であるから、天井クレーンの停止位置が固定された一か所であり、セグメント交換作業を効率化できる。
第2発明によれば、一または複数の固定ガイドのレールの一端の向きと、他の固定ガイドのレールの一端の向きとが互いに対向するように形成されているので、多数の固定ガイドが設けられる場合においても、一の可動ガイドですべての固定ガイドに接続可能であり、セグメント交換位置が一か所となる。また、既存の連続鋳造設備の構成に合わせてセグメント交換位置を任意に設定することができる。
第3発明によれば、可動ガイドの上端を鋳込み床より下方に位置する状態で保持することで、可動ガイドを収納できるので、可動ガイドを収納するためのスペースを別途設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るセグメント交換装置の側面図である。
【図2】同セグメント交換装置の吊具の正面図である。
【図3】同セグメント交換装置の吊具の側面図である。
【図4】同セグメント交換装置の一方の可動ガイドの(a)正面図、(b)側面図である。
【図5】(a)は図4(a)におけるVa-Va線矢視断面図、(b)は図4(a)におけるVb-Vb線矢視断面図である。
【図6】同セグメント交換装置の他方の可動ガイドの正面図である。
【図7】図1におけるVII-VII線矢視断面図である。
【図8】図1におけるVIII-VIII線矢視断面図である。
【図9】セグメント交換作業の動作説明図である。
【図10】セグメント交換作業の動作説明図である。
【図11】可動ガイドを収納した状態のセグメント交換装置の側面図である。
【図12】従来のセグメント交換装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明が適用される連続鋳造設備は、モールドMの下方に多数のセグメントSが湾曲して配置されたものである。各セグメントSには、その両側面に一対のガイド輪g,gが取り付けられている。符号rは、鋳片を上下で挟んでガイドするためのガイドロールを示している。
また、セグメントSの上方には鋳込み床Fが設けられている。
【0011】
さて、本発明の一実施形態に係るセグメント交換装置1を説明する。
図1に示すように、セグメント交換装置1は、吊具10と、可動ガイド20と、セグメントSと同数の固定ガイド30(30a〜30g)とから構成されている。可動ガイド20および固定ガイド30は、セグメントSおよび吊具10を案内するためのものである。
【0012】
まず、吊具10を説明する。
図2および図3に示すように、吊具10は複数のリンク11とフック12とから構成されたものである。複数のリンク11は互いに連結しており、屈曲自在に構成されている。各リンク11の両側面には、ガイド輪13が取り付けられている。複数のリンク11のうち最下端のリンク11には、フック12が取り付けられている。このフック12は、前記セグメントSのガイド輪gに掛合するためのものである。
鋳込み床Fの上方には天井クレーンが設けられており、この天井クレーンのフックfに吊具10の最上端のリンク11が吊り下げられている。
なお、吊具10の長さは、一番長尺な固定ガイド30に従って吊具10を案内したときでも、フック12がセグメントSのガイド輪gに掛合できる長さに設定されている。
【0013】
つぎに、可動ガイド20を説明する。
セグメント交換装置1には、セグメントSの両側面に取り付けられたガイド輪g,gと、吊具10のリンク11の両側面に取り付けられたガイド輪13,13とを案内するために、一対の可動ガイド20a,20bが備えられている。
図4および図5には、そのうちの一方の可動ガイド20aが示されている。可動ガイド20aは、長尺の板状部材であり、その表面に一対の側壁21a、21bが設けられている。一対の側壁21a、21bは、可動ガイド20aの中心に沿って平行に設けられているが、可動ガイド20aの下端部においては、一方の側面(図4における左側面)に向かうように屈曲されている。また、側壁21aは側壁21bに比べて長尺となっており、可動ガイド20の上方よりでは側壁21aのみが設けられるようになっている。また、側壁21aおよび側壁21bの上端部は、それぞれ側面に向かって開くように形成されている。これら側壁21aおよび側壁21bにより、セグメントSのガイド輪g,g、およびリンク11のガイド輪13,13を案内するレール21が構成されている。なお、以下では、レール21の下端を可動側接続端21cと称する。
【0014】
また、可動ガイド20aには複数の挿入孔22が形成されている。この挿入孔22は固定ガイド30と同数だけ形成されている。その機能は後述する。
【0015】
さらに、可動ガイド20aの両側面下方よりには、一対の摺動片23,23が設けられている。この摺動片23,23は長尺の板状部材であり、可動ガイド20aの側面から突出するように設けられている。その機能は後述する。
【0016】
他方の可動ガイド20bは、図6に示すように、上記可動ガイド20aとほぼ同様の構成であるが、可動ガイド20aとは左右勝手違いに形成されている。具体的には、可動ガイド20aにおいては側壁21aが図4における左側、側壁21bが図4における右側に設けられているが、可動ガイド20bにおいては側壁21aが図6における右側、側壁21bが図6における左側に設けられている。そして、可動ガイド20bのレール21の可動側接続端21cは、可動ガイド20aのレール21の可動側接続端21cとは逆の側面(図6における右側面)に向かうように屈曲されている。
【0017】
図1および図7に示すように、セグメント交換装置1には上記可動ガイド20を上下方向に移動するように案内する案内手段40が備えられている。
案内手段40は可動ガイド20を覆うような平面視C字型の部材であり、その長尺方向が鉛直方向に沿って設けられている。案内手段40には可動ガイド20の摺動片23,23が挿入される溝41,41が形成されており、摺動片23,23が溝41,41に対して摺動することにより、可動ガイド20が上下方向に移動するように案内される。
【0018】
なお、案内手段40は、2つの可動ガイド20a、20bに対して一つずつ設けられている。そして、可動ガイド20a、20bは、案内手段40,40に挿入された状態で、そのレール21,21同士が対向するようになっている。そのため、一対の可動ガイド20a、20bのレール21,21にセグメントSのガイド輪g,g、およびリンク11のガイド輪13,13を挿入することにより、吊具10およびセグメントSを案内できるようになっている。
【0019】
図8に示すように、鋳込み床Fには一対の固定用ブロック50,50が取り付けられている。この固定用ブロック50には挿入孔51が形成されており、この挿入孔51と可動ガイド20のいずれかの挿入孔22とにピン52を挿入することで、可動ガイド20を位置決めできるようになっている。また、ピン52を挿入する挿入孔22を変えることで、可動ガイド20の高さ位置を変更できるようになっている。
【0020】
なお、固定用ブロック50,50は、取り外し可能とすることができる。後述のセグメント交換作業の間のみ、固定用ブロック50,50を取り付けるようにすることで、鋳込み床Fに設置される他の機器の配置制限が少なくすることができる。
【0021】
つぎに、固定ガイド30を説明する。
図1に示すように、セグメント交換装置1にはセグメントSと同数の固定ガイド30a〜30gが設けられている。各固定ガイド30は、一対の側壁で構成されたレール31を有しており、このレール31によりセグメントSの両側面に取り付けられたガイド輪g,gと、吊具10のリンク11の両側面に取り付けられたガイド輪13,13とを案内できるようになっている。
【0022】
鋳造ストランドの上流側に設置されたセグメントSに対応する固定ガイド30a〜30cは、レール31の一端が各セグメントSの設置場所に設けられ、そこからストランド湾曲中心に向けて延設されている。そしてレール31の他端(以下、固定側接続端31cという)は、側面視において案内手段40の鋳造ストランド上流側に設けられている。
一方、鋳造ストランドの下流側に設置されたセグメントSに対応する固定ガイド30d〜30gは、レール31の一端が各セグメントSの設置場所に設けられ、そこからストランド湾曲中心に向けて延設された後、上に向けて延設され、さらに鋳造ストランド上流に向けて延設されている。そしてレール31の他端(固定側接続端31c)は、側面視において案内手段40の鋳造ストランド下流側に設けられている。
すなわち、上流側の固定ガイド30a〜30cのレール31の固定側接続端31cの向きと、下流側の固定ガイド30d〜30gのレール31の固定側接続端31cの向きとは互いに対向しており、それらレール31の固定側接続端31cの間に、可動ガイド20が挿入されるようになっている。
【0023】
また、各固定ガイド30a〜30gのレール31の固定側接続端31cの高さ位置は、それぞれ異なるように構成されている。そのため、可動ガイド20が上下方向に移動することにより、可動ガイド20のレール21の可動側接続端21cと、いずれかの固定ガイド30のレール31の固定側接続端31cとが接続できるようになっている。ここで、可動ガイド20に形成された挿入孔22は、可動側接続端21cがいずれかの固定側接続端31cと接続する位置に形成されており、ピン52を挿入する挿入孔22を変えることで、可動ガイド20と接続する固定ガイド30を選択できるようになっている。
【0024】
また、可動ガイド20aと20bとは左右勝手違いに形成されているので、可動ガイド20aと可動ガイド20bとの位置を交換して案内手段40に挿入することにより、可動側接続端21cが、上流側の固定ガイド30a〜30cのレール31の固定側接続端31cに接続可能な状態と、下流側の固定ガイド30d〜30gのレール31の固定側接続端31cに接続可能な状態とを切り換えることができる。
【0025】
なお、セグメントSの両側面に取り付けられたガイド輪g,gと、吊具10のリンク11の両側面に取り付けられたガイド輪13,13とを案内するために、各固定ガイド30は一対ずつ備えられている。すなわち、図1においては、各固定ガイド30のうち片方のみを示している。
そして、対となる固定ガイド30,30は、そのレール31,31同士が対向するように配置されており、そのレール31,31にセグメントSのガイド輪g,g、およびリンク11のガイド輪13,13を挿入することにより、吊具10およびセグメントSを案内できるようになっている。
【0026】
つぎに、セグメント交換装置1を用いたセグメント交換作業について説明する。
まず、鋳造ストランドの最上流に設置されたセグメントSの交換作業について説明する。
図9(a)に示すように、可動ガイド20を上下方向に移動させ、可動側接続端21cと、最上流のセグメント設置位置に接続された固定ガイド30aの固定側接続端31cとを接続させ、所定の挿入孔22にピン52を挿入して位置決めする。これにより、可動ガイド20のレール21と固定ガイド30aのレール31とが接続される。
【0027】
つぎに、天井クレーンによって吊具10を下降させ、吊具10のガイド輪13を可動ガイド20のレール21に挿入する。すなわち、可動ガイド20の水平方向の位置がセグメント交換位置となっている。
このとき、可動ガイド20の上方よりでは側壁21aのみが設けられるようになっているので、吊具10を吊り下げた天井クレーンを一方向に走行させ、この側壁21aに横からガイド輪13を接触させるようにすれば、天井クレーンをセグメント交換位置に容易に位置決めできる。
【0028】
つぎに、天井クレーンによって吊具10をさらに下降させていくと、吊具10は可動ガイド20のレール21により案内され、さらに固定ガイド30aのレール31により案内され、吊具10のフック12は最上流に設置されたセグメントSのガイド輪gまで到達する。
【0029】
そこで、吊具10のフック12を、セグメントSのガイド輪gに掛合させる。そして、天井クレーンによって、吊具10を上昇させると、セグメントSのガイド輪gおよび吊具10のガイド輪13は、いずれも固定ガイド30のレール31に沿って上昇し、ついで可動ガイド20のレール21に沿って上昇する。このため、吊具10のフック12に掛合されたセグメントSを引き出すことができるのである。もちろん同様にして、セグメントSを挿入することもできる。
以上のようにして、最上流に設置されたセグメントSの交換作業が行われる。
【0030】
上流側に設置された他のセグメントSの交換作業は以下のように行われる。
図9(b)、(c)に示すように、可動ガイド20を上下方向に移動させ、可動側接続端21cと、交換対象のセグメントSのセグメント設置位置に接続された固定ガイド30b(30c)の固定側接続端31cとを接続させ、所定の挿入孔22にピン52を挿入して位置決めする。これにより、可動ガイド20のレール21と固定ガイド30b(30c)のレール31とが接続される。
その後は、前述の最上流に設置されたセグメントSの交換作業と同様の作業をすることで、上流側に設置された任意のセグメントSの交換作業を行うことができる。
【0031】
下流側に設置されたセグメントSの交換作業は以下のように行われる。
まず、可動ガイド20aと可動ガイド20bとの位置を交換して案内手段40に挿入して、可動側接続端21cが、下流側の固定ガイド30d〜30gのレール31の固定側接続端31cに接続可能な状態に切り換える。
【0032】
つぎに、図10(d)〜(g)に示すように、可動ガイド20を上下方向に移動させ、可動側接続端21cと、交換対象のセグメントSのセグメント設置位置に接続された固定ガイド30d(30e〜30g)の固定側接続端31cとを接続させ、所定の挿入孔22にピン52を挿入して位置決めする。これにより、可動ガイド20のレール21と固定ガイド30d(30e〜30g)のレール31とが接続される。
その後は、前述の最上流に設置されたセグメントSの交換作業と同様の作業をすることで、下流側に設置された任意のセグメントSの交換作業を行うことができる。
【0033】
なお、図11に示すように、セグメント交換作業以外のときには、可動ガイド20は案内手段40の最下部まで移動されている。そして、可動ガイド20の長尺方向の寸法は、案内手段40の最下部まで移動させたときに、その上端が鋳込み床Fの上面より下方に位置する寸法となっており、可動ガイド20上方の鋳込み床Fに設けられたハッチを閉めることができるようになっている。
このように、セグメント交換作業以外のときには、可動ガイド20を案内手段40に挿入した状態で収納できるので、可動ガイド20を収納するためのスペースを別途設ける必要がない。
【0034】
以上のごとく、可動ガイド20を上下方向に移動させることにより、可動ガイド20のレール21といずれかの固定ガイド30のレール31とを選択的に接続することができるので、任意のセグメントSの交換作業を行うことができる。
ここで、可動ガイド20を上下方向に移動させたとしてもセグメント交換位置は変化しない。すなわち、交換作業を行う対象のセグメントSの設置場所によらずセグメント交換位置が一か所となる。そのため、鋳込み床Fに設置される他の機器の配置制限が少なくなる。
【0035】
また、セグメント交換位置が一か所であるから、天井クレーンの停止位置が固定された一か所であり、セグメント交換作業を効率化できる。
【0036】
(他の実施形態)
固定ガイド30の形状および配置は、上記実施形態に限られず任意に構成することができる。
例えば、固定側接続端31cが案内手段40の鋳造ストランド上流側に設けられる上流側の固定ガイドの数と、固定側接続端31cが案内手段40の鋳造ストランド下流側に設けられる下流側の固定ガイドの数の配分を任意に選択することができる。また、上流側の固定ガイドのみ、あるいは、下流側の固定ガイドのみを設けるようにしてもよい。
【0037】
このように、固定ガイド30の形状および配置の構成を選択することで、可動ガイド20の位置、すなわちセグメント交換位置を自在に設定することができる。そのため、既存の連続鋳造設備の天井クレーンの位置に合わせて、また、鋳込み床Fに設置される機器等に干渉しないようにセグメント交換位置を任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 セグメント交換装置
10 吊具
20 可動ガイド
21 レール
21c 可動側接続端
30 固定ガイド
31 レール
31c 固定側接続端
40 案内手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モールドの下方に湾曲して配置され、両側面にガイド輪が取り付けられた複数のセグメントを有する連続鋳造設備に設けられるセグメント交換装置であって、
屈曲自在なリンクを複数個連結しており、両側面にガイド輪が取り付けられた吊具と、
前記セグメントのガイド輪と前記吊具のガイド輪とを案内するレールで構成された可動ガイドと、
前記セグメントのガイド輪と前記吊具のガイド輪とを案内するレールで構成され、該レールの一端が前記セグメントの設置場所に設けられた複数の固定ガイドと、を備え、
前記可動ガイドが上下方向に移動することにより、該可動ガイドのレールと、前記複数の固定ガイドのうちのいずれかの固定ガイドのレールとが、選択的に接続可能となっている
ことを特徴とする連続鋳造設備のセグメント交換装置。
【請求項2】
前記複数の固体ガイドのうちの一または複数の固定ガイドのレールの一端の向きと、他の固定ガイドのレールの一端の向きとが互いに対向するように形成されており、
前記可動ガイドの姿勢を変えることにより、該可動ガイドのレールの一端が、前記一または複数の固定ガイドのレールの一端と接続可能な状態と、前記他の固定ガイドのレールの一端と接続可能な状態とで切り換え可能である
ことを特徴とする請求項1記載の連続鋳造設備のセグメント交換装置。
【請求項3】
前記可動ガイドが挿入され、該可動ガイドが上下方向に移動するように案内する案内手段を備え、
前記可動ガイドの長尺方向の寸法は、該可動ガイドを前記案内手段の最下部まで移動させたときに、該可動ガイドの上端が鋳込み床より下方に位置する寸法である
ことを特徴とする請求項1または2記載の連続鋳造設備のセグメント交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−245522(P2012−245522A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116499(P2011−116499)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(502235326)住友重機械テクノフォート株式会社 (122)
【Fターム(参考)】