説明

遊技場用システム

【課題】遊技場における顔認証による遊技者の特定を良好に行えるようにする。
【解決手段】管理装置5は、遊技者が遊技機2にて遊技を開始し、顔認証カメラ3dにより撮影した遊技者の顔画像が既に記憶されているか否かを判定することで、遊技を開始した遊技者が個人データを記憶済である記憶済遊技者及び個人データを未記憶である未記憶遊技者の何れの遊技者であるか判定する場合に、遊技を開始した遊技者が記憶済遊技者である可能性が高い場合であれば、遊技を開始した遊技者が未記憶遊技者である可能性が高い場合に比べ、個人データが記憶済遊技者及び未記憶遊技者の何れの遊技者に対応しているかの判定指標である一致率を低く設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の遊技機が設置された遊技場に設けられる遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技場において、遊技機にて遊技を行う遊技者を管理する技術が提案されている。例えば特許文献1には、遊技機毎にカメラを設け、そのカメラで撮像した遊技者の顔を識別することにより、遊技者を特定することが記載されている。又、撮像した遊技者の顔を記憶することで、遊技者が遊技機にて遊技を開始した場合に、他の遊技機にて遊技を行ってから移動してきた遊技者であるのか、又は新たに来場した遊技者であるのかを特定することが可能となる。具体的には、既に記憶している遊技者の顔画像である撮像情報と今回遊技を開始した遊技者の撮像情報とを比較し、撮像情報が一致すれば、他の遊技機にて遊技を行ってから移動してきた遊技者であると特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−277284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、顔を識別する際に同一人物と判定するための撮像情報の一致率を極端に高くすると、撮像方向や撮像状態によっては、同一人物であるにも関わらず別人と判定してしまう虞がある。又、撮像情報の一致率を極端に低くすると、別人であるにも関わらず同一人物であると判定してしまう虞がある。特に、遊技場には多数の遊技者が来場するものであり、記憶している撮像情報が膨大な量となり易く、上記した問題が発生し易い。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技場における顔認証による遊技者の特定を良好に行うことができる遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明は、複数種類の遊技機が設置された遊技場に設けられる遊技場用システムであって、各遊技機に対応して設けられ、対応する遊技機にて遊技を行う遊技者を撮像する撮像手段と、前記撮像手段の撮像結果から抽出した遊技者を識別可能な情報である識別情報と、その遊技者が遊技を行った遊技機又は遊技機の種類を示す情報である遊技機情報とを対応付けた個人データを記憶する個人データ記憶手段と、前記撮像手段が遊技者を撮像した場合の前記識別情報が既に前記個人データ記憶手段に記憶されているか否かを、当該識別情報と情報の一致率が所定値以上となる識別情報が前記個人データ記憶手段に記憶されているか否かを判定することで、前記個人データが記憶済である記憶済遊技者及び前記個人データが未記憶である未記憶遊技者の何れの遊技者に対応しているかを特定する遊技者特定手段と、前記遊技者特定手段の特定結果が前記未記憶遊技者である場合、その未記憶遊技者に対応した個人データを新たに前記個人データ記憶手段に登録する個人データ新規登録手段と、前記遊技者特定手段の特定結果が前記記憶済遊技者である場合、その記憶済遊技者が今回遊技を行った遊技機の遊技機情報を対応付けて、その記憶済遊技者の個人データを更新する個人データ更新手段と、遊技を開始した遊技者が前記記憶済遊技者である期待度を特定可能な遊技開始条件を特定する開始条件特定手段と、を備え、前記遊技者特定手段は、前記開始条件特定手段の特定結果が、遊技を開始した遊技者が前記記憶済遊技者である可能性が高いことに対応している場合、遊技を開始した遊技者が前記未記憶遊技者である可能性が高いことに対応している場合に比べ、前記一致率を低くすることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記開始条件特定手段は、遊技者が遊技に使用する遊技価値を所持していること、遊技者が遊技を開始した時刻が所定時刻であること、又は遊技場への会員登録を行っている遊技者であること、のうち何れか1つを特定することを特徴とする請求項1に記載した遊技場用システム。
【0008】
請求項3に記載した発明は、前記遊技者特定手段は、遊技に使用する遊技価値を所持した遊技者が遊技を開始した場合、その遊技者が前記記憶済遊技者である可能性が高いものとして、前記一致率を低くすることを特徴とする請求項1又は2に記載した遊技場用システム。
【0009】
請求項4に記載した発明は、前記遊技者特定手段は、前記一致率の初期値である初期一致率にて前記検索を行い、当該検索の結果、当該初期一致率以上となる識別情報を記憶していなかった場合に、遊技を開始した遊技者が前記未記憶遊技者である可能性が高いことに対応している場合、未記憶遊技者であると特定する一方、遊技を開始した遊技者が前記記憶済遊技者である可能性が高いことに対応している場合、前記一致率を初期一致率よりも低くして再度検索を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載した発明によれば、遊技を開始した遊技者が記憶済遊技者である可能性が高い場合に、遊技を開始した遊技者が未記憶遊技者である可能性が高い場合に比べ、個人データが記憶済遊技者及び未記憶遊技者の何れの遊技者に対応しているかの判定指標である一致率を低くし、記憶済遊技者である可能性に応じて一致率を変化させることで、遊技を開始した遊技者を効率良く特定することができる。
【0011】
請求項2に記載した発明によれば、遊技者が遊技に使用する遊技価値を所持していること、遊技者が遊技を開始した時刻が所定時刻であること、又は遊技場への会員登録を行っている遊技者であることの条件を満たす場合に、一致率を低くすることで、遊技を開始した遊技者を効率良く特定することができる。
【0012】
請求項3に記載した発明によれば、遊技に使用する遊技価値を所持した遊技者が遊技を開始した場合に、一致率を低くすることで、遊技を開始した遊技者を効率良く特定することができる。
【0013】
請求項4に記載した発明によれば、最初に初期一致率にて検索を行うことで、検索精度が極端に低くなることを防止することができ、更に、記憶済遊技者である可能性が高いにも関わらず、初期一致率にて検索した場合に一致する情報を発見できなかったことを条件として、一致率を下げて検索を再度行うことで、記憶済遊技者であるにも関わらず、未記憶遊技者であると特定してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による管理装置を含む遊技場用システムの全体を概略的に示す図
【図2】管理装置の機能ブロック図
【図3】遊技開始条件特定処理を示すフローチャート
【図4】個人データ検索処理を示すフローチャート
【図5】一致率再設定処理を示すフローチャート
【図6】遊技終了特定処理を示すフローチャート
【図7】遊技場における遊技機のレイアウトを概略的に示す図
【図8】検索順序が自動入力された場合の移動履歴集計結果画面を示す図
【図9】検索順序を手動入力する場合の移動履歴集計結果画面を示す図
【図10】遊技者ID「777」の遊技者の個人データ画面を示す図
【図11】遊技者ID「555」の遊技者の個人データ画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、遊技場用システム1の全体構成を概略的に示している。遊技場内には複数台の遊技機2が設置されており、各遊技機2に1対1に対応して貸出装置3が設置されている。本実施形態では遊技機2としてパチンコ機を想定しており、遊技媒体として玉(所謂パチンコ玉)を想定している。これら遊技機2及び貸出装置3は、2台ずつ中継装置4に接続されている。
【0016】
遊技機2や貸出装置3等から出力される後述する遊技信号は、中継装置4を介して管理装置5に送信される。管理装置5は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、LAN6を介して中継装置4に接続されていると共に、出力手段としてのモニタ7や図示しないプリンタ等に接続されている。尚、図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機2が管理装置5の管理対象となっている。又、遊技場内には、計数装置や管理装置5の管理対象となるスロットマシン等も設置されている。尚、これ以降、遊技機2がパチンコ機として説明するが、スロットマシンの場合も同様である。
【0017】
遊技機2は、所謂パチンコ機として周知の構成であり、玉を盤面に発射するためのハンドル2a、玉を入賞させるための普図入賞口2b及び始動口2c、玉の入賞に応じて表示図柄(役物)が変動する液晶表示部2d、大当たり時に開放する大入賞口2e、受皿2f、保留数表示部2g、受皿2fから溢れた玉を一時的に貯留する下玉受皿2h、下玉受皿2hからの玉を受ける可動玉受皿2i、及び案内腕2j等を備えている。
【0018】
遊技機2は、始動口2cへの玉の入賞(始動入賞)に応じて予め設定されている当選確率(大当たり確率)で大当たり抽選を行い、その抽選結果に基づき所謂特別図柄(特図)による図柄変動を液晶表示部2dにて実行し、液晶表示部2dに停止表示された図柄が大当たり図柄の場合に大当たり状態を発生させる。尚、始動口2cは、普図入賞口2bへの入賞に伴って行われる普図抽選の抽選結果により入賞率が変動する所謂電チュータイプの入賞口である。
【0019】
又、遊技機2は、図柄変動中に発生した始動入賞に対応する図柄変動を、予め設定された上限値(例えば4個)まで保留可能に構成されている。保留された図柄変動は、その保留数が保留数表示部2gに表示されると共に、実行中の図柄変動の終了後に順次実行される。遊技機2は、大当たりに当選して大当たり状態が発生すると、対応するラウンド数に応じた回数分だけ大入賞口2eを開放する。この場合、大当たり状態の終了後に所謂確率変動状態や時短状態となる構成であっても良い。大当たり時に払出された玉は、受皿2fから溢れると下玉受皿2hに一旦貯留され、遊技者の操作により可動玉受皿2iに導かれる。可動玉受皿2iに導かれた玉は、案内腕2jを経由して貸出装置3に送られる。尚、案内腕2jは、旋回可能に設けられている。
【0020】
このような構成の遊技機2及びその周辺機器は、遊技者による玉の打ち込みや上記した始動口2cへの始動入賞等の遊技者による遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を出力する。
【0021】
「アウト信号」:使用玉を回収する図示しないアウトBOXから出力される使用媒体数(アウト)を特定可能な信号である。回収玉(使用玉、打込玉)10玉に対して1パルスが出力されるので、アウト信号数×10を使用媒体数(アウト)として特定する。尚、遊技機2から直接出力される信号であっても良い。遊技機2の稼動状態を判定するための稼動信号に相当する。
「セーフ信号」:遊技機2から出力される払出媒体数(セーフ)を特定可能な信号である。払出玉数10玉に対して1パルスが出力されるので、セーフ信号数×10を払出媒体数(セーフ)として特定する。尚、補給装置(図示省略)から出力される補給信号をセーフ信号としても良い。
【0022】
「始動入賞信号」:遊技機2から出力される始動口2cへの入賞(始動入賞)を特定可能な信号である。始動口2cへの入賞1回につき1パルスが出力されるので、始動入賞信号の入力に応じて始動入賞を特定する。
「図柄変動信号」:始動口2cへの始動入賞により変動(作動)を開始する図柄変動(役物作動)を特定可能な信号である。図柄変動の確定時(終了時)に出力されるので、信号入力に応じて図柄変動(スタート)を特定する。尚、図柄変動の開始時に出力される信号であっても良い。
「大当たり信号」:遊技機2から出力される大当たり状態である期間を特定可能な信号である。大当たり状態中にレベル出力されるので、大当たり信号受信中を大当たり状態中として特定する。
【0023】
貸出装置3は、遊技データ等を表示するタッチパネル式の液晶表示部3a、遊技機2に玉を払出す玉払出口3b、遊技者が貨幣(対価)を投入する貨幣投入口3c、顔認証カメラ3d(撮像手段に相当)、カード挿入口3e、計数部3f、発行釦3g、及び再遊技釦3h等を備えている。液晶表示部3aには、遊技者による遊技の進行に伴って、図柄変動回数(スタート回数)や大当たり確率等の周知の遊技データが表示される。遊技者が貨幣投入口3cに貨幣を投入すると、投入した貨幣に応じた数の玉が玉払出口3bから遊技機2の受皿2fに払出される。貸出装置3は、以下に示す遊技信号を出力する。
【0024】
「売上信号」:遊技者に対する貸出玉25玉毎に1パルスが出力されるので、売上信号数×25を貸出玉数として特定し、その貸出玉数に貸出単価(例えば4円)を乗じた値を売上額として特定する。
「再遊技信号」:遊技者が遊技により獲得した玉のうち貸出装置3の計数部3fにて計数した計数玉(獲得玉)を対価として払出される玉1玉に対して1パルスが出力されるので、再遊技信号数×1を再遊技玉数として特定する。
【0025】
貸出装置3の顔認証カメラ3dは、例えば周知のCMOSセンサやCCDセンサ等の撮像素子を有しており、対応する(貸出装置3が設けられている)遊技機2に着席した遊技者の顔を撮像する。即ち、顔認証カメラ3dは、対応する遊技機2にて遊技する遊技者を特定可能な顔画像(識別情報)を取得する。顔認証カメラ3dは中継装置4に接続されており、撮像した遊技者の顔画像を中継装置4を介して管理装置5に送信する。
【0026】
カード挿入口3eは、その内部に図示しない読出装置を有し、会員カード8が挿入されると、会員カード8に記録されている会員ID等の情報を取得する。そのため、貸出装置3は、会員カード8が挿入されると、その会員カード8を所有する遊技者毎に集計された遊技データや他の遊技機2の遊技データ等を表示可能となる。尚、会員カード8が挿入されない場合であって、一部の操作や表示が可能な構成としても良い。
【0027】
計数部3fは、貸出装置3の下部に設けられており、案内腕2jを経由して計数部3fに導かれた玉を計数し、その計数した玉数を一時的に記憶する。貸出装置3は、遊技者が発行釦3gを操作したことに応じて、玉数が記録されたカード等の記録媒体又は玉数が印字されたレシート等を発行する。又、遊技者が再遊技釦3hを操作したことに応じて、計数部3fで計数された玉数の範囲内の玉(再遊技玉)を玉払出口3bから遊技機2の受皿2fに払出す。このとき、計数された玉数は減算される。このように、本実施形態では、遊技機2毎に設けられている貸出装置3が計数機能を有することで、遊技機2毎に計数機が設けられている構成と等しくなっている。
【0028】
図2は、管理装置5の構成を示す機能ブロック図である。管理装置5は、CPU5a、ROM5b、RAM5c、上記した遊技信号や顔認証カメラ3dで取得した顔画像等の各種の情報の送受信を行う入力手段である入出力部5d、顔画像やコンピュータプログラム等を記憶するための大容量の記憶装置であるHDD5e等を備えたコンピュータで構成されている。この管理装置5は、例えばHDD5eに記憶しているコンピュータプログラムにしたがって作動し、入出力部5dに入力される遊技機2や貸出装置3等からの遊技信号に基づいて、遊技機2の稼動状態を特定すると共に、遊技機2毎の遊技データや遊技機2が属する機種毎の遊技データを算出し、遊技情報として管理する。具体的には、管理装置5は、遊技情報として、遊技機2や貸出装置3等から入力される遊技信号に基づいて、アウト、セーフ、差玉、スタート回数、特賞回数(大当たり回数)、出玉率又は売上等の遊技データを遊技機2毎に算出、集計及び管理する。又、その遊技データに基づいて機種毎の遊技データの集計を行う。尚、管理装置5が管理する遊技データは例示したものに限定されない。
【0029】
又、管理装置5は、本発明に関連して、個人データ記憶部5f(個人データ記憶手段に相当)、遊技者特定部5g(遊技者特定手段に相当)、個人データ新規登録部5h(個人データ新規登録手段に相当)、個人データ更新部5i(個人データ更新手段に相当)、遊技実行特定部5j、遊技終了特定部5k、特別時間特定部5l、及び開始条件特定部5m(開始条件特定手段に相当)を備えている。これら個人データ記憶部5f、遊技者特定部5g、個人データ新規登録部5h、個人データ更新部5i、遊技実行特定部5j、及び遊技終了特定部5k、特別時間特定部5l、及び開始条件特定部5mは、何れもCPU5aにより実行されるコンピュータプログラムによりソフトウェア的に実現されている。
【0030】
個人データ記憶部5fは、顔認証カメラ3dが撮像した遊技者を識別可能な顔画像と、その遊技者が遊技を行った遊技機2又は遊技機2の種類を示す情報である遊技機情報とを対応付けた個人データを記憶する。遊技者特定部5gは、顔認証カメラ3dが遊技者を撮像したことに応じて、個人データ記憶部5fを検索し、例えば輪郭抽出や特徴点の抽出等の画像処理を行うことで、顔認証カメラ3dが撮像した遊技者の顔画像と個人データ記憶部5fに記憶されている顔画像とを照合し、それらの顔画像が同一人物のものであるか否かを一致率に基づいて判定し、その遊技者の顔画像が既に個人データ記憶部5fに記憶されているか否かを判定する。
【0031】
即ち、遊技者特定部5gは、例えば輪郭抽出や特徴点の抽出等の画像処理を行い、顔認証カメラ3dが撮像した遊技者の顔画像と個人データ記憶部5fに記憶されている顔画像との一致率が所定値以上であれば、遊技者の顔画像が既に個人データ記憶部5fに記憶されている顔画像と一致すると判定し、個人データが記憶済である記憶済遊技者に対応していると特定し、一方、顔認証カメラ3dが撮像した遊技者の顔画像と個人データ記憶部5fに記憶されている顔画像との一致率が所定値未満であれば、遊技者の顔画像が個人データ記憶部5fに記憶されている顔画像と一致しないと判定し、個人データが未記憶である未記憶遊技者に対応していると特定する。又、遊技者特定部5gは、複数の遊技機2を複数種類に区分して管理すると共に、何れの遊技機区分にて遊技を行っていた遊技者の個人データを検索するかを、遊技者が遊技を開始した遊技機2によって決定する。
【0032】
個人データ新規登録部5hは、遊技者特定部5gが未記憶遊技者を特定した場合に、その未記憶遊技者に対応した個人データを新たに個人データ記憶部5fに登録する。個人データ更新部5iは、遊技者特定部5gが記憶済遊技者を特定した場合に、その記憶済遊技者が今回遊技を行った遊技機2の遊技機情報を対応付けて、その記憶済遊技者の個人データを更新する。
【0033】
遊技実行特定部5jは、例えば顔認証カメラ3dにより遊技者を撮像していること、アウト信号等の遊技機2の稼動状態を特定可能な稼動信号を入力していること、会員カード8又は金額情報が記憶されたカード等のカード挿入口3eへの挿入状態を検出していること等に基づいて、遊技者が遊技機2にて遊技を行っていることを特定する。遊技終了特定部5kは、例えば顔認証カメラ3dによる遊技者の撮像を終了したこと、アウト信号等の遊技機2の稼動状態を特定可能な稼動信号の入力を終了したこと、会員カード8又は金額情報が記憶されたカード等のカード挿入口3eへの挿入状態の検出を終了したこと等に基づいて、遊技者が遊技機2にて遊技を終了したことを特定する。特別時間特定部5lは、遊技者の個人データを検索対象から除外するか否かの判定指標である特別時間を特定する。開始条件特定部5mは、遊技を開始した遊技者が記憶済遊技者である期待度を特定可能な遊技開始条件を特定する。
【0034】
次に、上記した構成の作用について説明する。
管理装置5は、上記した遊技データの集計等に加えて、図3に示す遊技開始条件特定処理、図4に示す個人データ検索処理、図5に示す一致率再設定処理、図6に示す遊技終了特定処理を実行している。以下、これらの処理について順次説明する。尚、これらの処理は上記した個人データ記憶部5f、遊技者特定部5g、個人データ新規登録部5h、個人データ更新部5i、遊技実行特定部5j、遊技終了特定部5k、遊技終了特定部5k、特別時間特定部5l、及び開始条件特定部5m等が実行する処理であるが、説明を簡略化するために以下では主体を管理装置5とし、管理装置5が実行する処理であるとして説明する。
【0035】
(1)遊技開始条件特定処理
管理装置5は、遊技開始条件特定処理を開始すると、遊技者の遊技開始を特定したか否かを判定する(A1)。具体的には、管理装置5は、顔認証カメラ3dによる遊技者の撮像を開始したこと、アウト信号等の遊技機2の稼動状態を特定可能な稼動信号の入力を開始したこと、会員カード8又は金額情報が記憶されたカード等のカード挿入口3eへの挿入状態の検出を開始したこと等に基づいて、遊技者の遊技開始を特定したか否かを判定する。
【0036】
管理装置5は、遊技者の遊技開始を特定したと判定すると(A1:YES)、遊技を開始した遊技者が玉(持玉)を所有する遊技者(玉所有遊技者)であるか否かを判定する(A2)。具体的には、管理装置5は、遊技者が玉を購入していない(玉の貸出を受けていない)状態で、アウトBOXからのアウト信号の入力を判定すると、遊技を開始した遊技者が玉所有遊技者であると判定し(A2:YES)、遊技を開始した遊技者が玉所有遊技者であると特定する(A3)。
【0037】
一方、管理装置5は、遊技者が玉を購入した(玉の貸出を受けた)状態で、アウトBOXからのアウト信号の入力を判定すると、遊技を開始した遊技者が玉所有遊技者でないと判定し(A2:NO)、遊技を開始した遊技者が玉所有遊技者でないと特定し、遊技を開始した遊技者が残金有カードを所有する遊技者(残金有カード所有遊技者)であるか否かを判定する(A4)。具体的には、管理装置5は、遊技者が残金有カードをカード挿入口3eに挿入した状態で、アウトBOXからのアウト信号の入力を判定すると、遊技を開始した遊技者が残金有カード所有遊技者であると判定し(A4:YES)、遊技を開始した遊技者が残金有カード所有遊技者であると特定する(A5)。
【0038】
一方、管理装置5は、遊技者が残金有カードをカード挿入口3eに挿入していない状態で、アウトBOXからのアウト信号の入力を判定すると、遊技を開始した遊技者が残金有カード所有遊技者でないと判定し(A4:NO)、遊技を開始した遊技者が残金有カード所有遊技者でないと特定する。
【0039】
次いで、管理装置5は、遊技を終了した遊技者に対応した個人データを抽出する(A6)。即ち、管理装置5は、遊技の終了を特定していない(別の遊技機2にて遊技を進行中である)遊技者の個人データを、後述する個人データ検索処理(図4参照)における検索対象から除外する一方、遊技の終了を特定している(別の遊技機2にて遊技を進行中でない)遊技者の個人データを、個人データ検索処理における検索対象とする。尚、管理装置5は、遊技を終了した遊技者を後述する遊技終了特定処理(図6参照)にて登録している。
【0040】
次いで、管理装置5は、遊技者が今回遊技を開始した時刻である遊技開始時刻と、抽出した個人データの遊技を(最終で)終了した遊技終了時刻とを比較し、両者の時刻の関係上からあり得ない(台移動が不可能であると想定され得る)遊技者の個人データを特定し、その特定した個人データを検索対象から除外する(A7)。即ち、遊技場において様々な機種の遊技機2が設置されている場合、図7に示すように、遊技者が今回遊技を開始した遊技機2が例えば「パチンコ機Aマックス」の1番台である場合、遊技者が今回遊技を開始した遊技開始時刻と、抽出した個人データの遊技終了時刻との差が設定時間(特別時間に相当)を超えている個人データを個人データ検索処理における検索対象から除外する一方、設定時間を超えていない個人データを個人データ検索処理における検索対象とする。図7にて示す数値(「0」、「10」、「15」(単位は秒)等)は上記した設定時間であり、この設定時間は例えば遊技場の管理者による手動入力により遊技機2毎に設定する時間である。
【0041】
具体的に説明すると、図7に示す例では、「パチンコ機Aマックス」の1番台に対応し、例えば「パチンコ機Bミドル」に対しては設定時間を「0秒」に設定し、「パチンコ機Cミドル」に対しては設定時間を「10秒」に設定している。この設定時間は、基準とする「パチンコ機Aマックス」の1番台からの距離と概ね比例している。即ち、基準とする「パチンコ機Aマックス」の1番台からの距離が短い(遊技者が台移動するのに要する時間が短い)ほど設定時間を小さい値に設定し、距離が長い(遊技者が台移動するのに要する時間が長い)ほど設定時間を大きい値に設定している。尚、本実施形態のように遊技機2が1階と2階とに設置されており、遊技者が階を跨って(階段を経由して)台移動する場合もあり得れば、その階段を経由する分の移動時間を考慮して設定時間を設定すれば良い。
【0042】
この場合、例えば1階に設置されている「パチンコ機Fライト」であれば、「パチンコ機Aマックス」の1番台を基準とした設定時間を「10秒」に設定しているので、「パチンコ機Aマックス」の1番台の遊技開示時刻から遡って「10秒」よりも以前の遊技終了時刻が記録されている(遊技を終了したタイミングが現在からみて「10秒」以内である)個人データを検索対象から除外し、「10秒」を超えた遊技終了時刻が記録されている(遊技を終了したタイミングが現在からみて「10秒」を超えている)個人データを検索対象とする。又、例えば2階に設置されている「パチンコ機Bミドル」であれば、「パチンコ機Aマックス」の1番台を基準とした設定時間を「25秒」又は「30秒」に設定しているので、「パチンコ機Aマックス」の1番台の遊技開示時刻から遡って「25秒」又は「30秒」よりも以前の遊技終了時刻(遊技を終了したタイミングが現在からみて「25秒」又は「30秒」以内である)が記録されている個人データを検索対象から除外し、「25秒」又は「30秒」を超えた遊技終了時刻が記録されている(遊技を終了したタイミングが現在からみて「25秒」又は「30秒」を超えている)個人データを検索対象とする。他の機種についても同様である。
【0043】
管理装置5は、このようにして遊技開始時刻と遊技終了時刻との関係から検索対象とする個人データを限定した後に、個人データ検索処理に移行する(A8)。そして、管理装置5は、個人データ検索処理を終了すると、リターンする。尚、管理装置5は、遊技者がいない場合又は遊技者が既に遊技中である場合等、遊技者の遊技開始を特定しなかったと判定すると(A1:NO)、リターンする。
【0044】
(2)個人データ検索処理
管理装置5は、個人データ検索処理を開始すると、初期一致率を設定する(B1)。具体的には、管理装置5は、初期一致率を例えば「80%」に設定する。一致率とは、遊技を開始した遊技者の顔画像から抽出した特徴点と、既に記憶されている個人データの顔画像から抽出した特徴点とを照合し、それら両者の特徴点が一致した割合であり、両者の顔画像が同一人物のものであるか否かを判定する際の判定指標(判定基準)である。一致率が高い値であるほど同一人物のものであると判定する基準が厳しく、一致率が低い値であるほど同一人物のものであると判定する基準が緩い。
【0045】
次いで、管理装置5は、検索順序を設定する(B2)。ここで、検索順序を設定する方法について説明する。管理装置5は、遊技者が遊技を開始した遊技機2の貸単価、機種、タイプに応じて検索順序を設定する。本実施形態では、遊技者が遊技を開始した遊技機2と同じ貸単価であり、且つ同じ機種である遊技機2を第1優先順序に設定し、遊技者が遊技を開始した遊技機2と同じ貸単価であり、機種は異なるものの、同じタイプである遊技機2を第2優先順序に設定し、遊技者が遊技を開始した遊技機2と機種及びタイプは異なるものの、同じ貸単価である遊技機2を第3優先順序に設定する。ここでいう同じタイプとは、パチンコ機であれば、マックス(大当たり確率が「1/400」のタイプ)、ミドル(大当たり確率が「1/350」〜「1/300」のタイプ)、ライト(大当たり確率が「1/100」のタイプ)で区分され、スロットマシンであれば、ノーマル(ボーナスの連荘のみでメダルを増やしていくタイプ)、ART(ARTのみ又はボーナスとARTでメダルを増やしていくタイプ)で区分される。
【0046】
即ち、図8に示すように、遊技者が遊技を開始した遊技機2が貸単価「4円」(4円貸単価)であれば、集計回数(サンプル数)の累計が所定値(例えば「500」)以上であることを条件として、複数の項目の中から集計回数が多い上位の3項目である「4円貨単価の同じ機種」の遊技機2、「4円貨単価の同じタイプ」の遊技機2、「4円貨単価のその他パチンコ」の遊技機2を、「4円貨単価の同じ機種」を第1優先順序に設定し、「4円貨単価の同じタイプ」を第2優先順序に設定し、「4円貨単価のその他パチンコ」を第3優先順序に設定する。集計回数は、遊技者が台移動した際の移動元となった回数である。つまり、遊技者が遊技を開始した場合に、何れの遊技機2から移動してきたかの履歴を集計しておき、移動元となった回数の多い項目(区分)に対応した遊技機2にて遊技を行っていた遊技者の個人データから優先的に検索する。そして、複数の項目として、遊技機2の機種、種別(パチンコ機、スロットマシン)、遊技媒体(玉又はメダル)の単価、遊技機2のタイプ(マックス、ミドル、ライト、ART、ノーマル、ST、Aタイプ等)を設定している。尚、移動元となった回数に限らず、移動元となった頻度(割合)を算出し、移動元となった頻度が所定値以上であることを条件として、複数の項目の中から頻度が高い上位の3項目を優先順序に設定しても良い。又、予め設定しておく項目の内容は、任意に決定して良いことは言うまでもない。
【0047】
この場合、管理装置5は、移動履歴集計結果画面11をモニタ7に表示する際に、第1優先順序として設定した「4円貨単価の同じ機種」を第1優先順序表示領域11aに自動的に表示し、第2優先順序として設定した「4円貨単価の同じタイプ」を第2優先順序表示領域11bに自動的に表示し、第3優先順序として設定した「4円貨単価のその他パチンコ」を第3優先順序表示領域11cに自動的に表示することで、それぞれの優先順序を遊技場の管理者に対して報知する。
【0048】
一方、管理装置5は、集計回数の累計が所定値以上でなければ(所定値未満であれば)、移動履歴集計結果画面11をモニタ7に表示する際に、第1優先順序表示領域11a、第2優先順序表示領域11b、第3優先順序表示領域11cを空欄とすると共に、「検索順序を設定してください。」というガイダンスを表示し、検索順序の設定を遊技場の管理者に対して要求する。この場合、遊技場の管理者は検索順序を手動で設定する。尚、管理装置5は、それぞれの集計回数が所定値以上でない場合に、上記したように検索順序の設定を遊技場の管理者に対して要求することに限らず、検索順序の設定を遊技場の管理者に対して要求することなく、予め初期設定している検索順序を自動的に設定し、それら自動的に設定した第1優先順序、第2優先順序、第3優先順序をそれぞれ第1優先順序表示領域11a、第2優先順序表示領域11b、第3優先順序表示領域11cに自動的に表示することで、それぞれの優先順序を遊技場の管理者に対して報知するようにしても良い。
【0049】
管理装置5は、このようにして設定した検索順序にしたがって個人データを順次検索すする。管理装置5は、第1優先順序に対応した個人データ、即ち、図8に示す例では「4円貨単価の同じ機種」の個人データを検索し(B3)、顔画像の一致率がその時点で設定している一致率を満たすか否かを判定し、該当する個人データ(該当データ)があるか否かを判定する(B4)。
【0050】
管理装置5は、第1優先順序に対応した個人データの検索結果により、顔画像の一致率がその時点で設定している一致率を満たし、該当する個人データがあると判定すると(B4:YES)、遊技を開始した遊技機2の情報(遊技機種、台番)及び遊技開始時刻を登録するように既存の個人データを更新する(B5)。
【0051】
即ち、管理装置5は、図10に示すように、記憶済遊技者である「遊技者ID777」の遊技者がパチンコ機Aの12番台にて遊技を開始した場合であれば、当日のそれまでの移動履歴であるパチンコ機Aの5番台での遊技開始時刻(10:00)、遊技終了時刻(10:30)、パチンコ機Aの10番台での遊技開始時刻(10:40)、遊技終了時刻(13:15)に続いて、パチンコ機Aの12番台での遊技開始時刻(13:21)を記録し、「遊技者ID777」の個人データを更新する。この場合、管理装置5は、遊技者の個人データ画面12をモニタ7に表示することで、更新した後の「遊技者ID777」の個人データを遊技場の管理者に対して報知する。
【0052】
そして、管理装置5は、このようにして「遊技者ID777」の遊技者がパチンコ機Aの12番台にて遊技を開始したことを特定したことで、「遊技者ID777」の個人データについて遊技を終了した遊技者に対応した個人データとしての登録を解除し(B6)、リターンする。
【0053】
一方、管理装置5は、第1優先順序に対応した個人データの検索結果により、顔画像の一致率がその時点で設定している一致率を満たすことなく、該当する個人データがないと判定すると(B4:NO)、第2優先順序に対応した個人データ、即ち、図8に示す例では「4円貨単価の同じタイプ」の個人データを検索し(B7)、該当する個人データがあるか否かを判定する(B8)。管理装置5は、第2優先順序に対応した個人データの検索結果により、該当する個人データがあると判定すると(B8:YES)、上記したステップB5、B6を行う。
【0054】
又、管理装置5は、第2優先順序に対応した個人データの検索結果により該当する個人データがないと判定すると(B8:NO)、第3優先順序に対応した個人データ、即ち、図8に示す例では「4円貨単価のその他パチンコ」の個人データを検索し(B9)、該当する個人データがあるか否かを判定する(B10)。管理装置5は、第3優先順序に対応した個人データの検索結果により該当する個人データがあると判定すると(B10:YES)、上記したステップB5、B6を行う。
【0055】
又、管理装置5は、第3優先順序に対応した個人データの検索結果により該当する個人データがないと判定すると(B10:NO)、その他の検索対象となる個人データ、即ち、図8に示す例では、「4円貨単価の同じ機種」、「4円貨単価の同じタイプ」、「4円貨単価のその他パチンコ」の何れでもない個人データを検索し(B11)、該当する個人データがあるか否かを判定する(B12)。管理装置5は、その他の検索対象となる個人データの検索結果により該当する個人データがあると判定すると(B12:YES)、上記したステップB5、B6を行う。
【0056】
管理装置5は、このように遊技者が遊技を開始した遊技機2が貸単価「4円」であれば、「4円貨単価の同じ機種」の個人データ、「4円貨単価の同じタイプ」の個人データ、「4円貨単価のその他パチンコ」の個人データを、検索対象として順次変更しながら該当する個人データがあるか否かを判定する。即ち、遊技者が遊技を開始した遊技機2の機種やタイプに応じて、移動元であった可能性が高いと想定される遊技機2を特定し、その遊技機2にて遊技を行っていた遊技者の個人データを優先して検索する。尚、遊技者が台移動する傾向は、曜日、日付、イベントの有無等の区分を抽出することで把握するようにすれば良い。
【0057】
又、管理装置5は、その他の検索対象となる個人データの検索結果により該当する個人データがないと判定すると(B12:NO)、後述する一致率再設定処理(図5参照)に移行する(B13)。そして、管理装置5は、一致率再設定処理を終了すると、一致率再設定処理にて一致率を変更したか否かを判定する(B14)。管理装置5は、一致率再設定処理にて一致率を変更したと判定すると(B14:YES)、その変更後の一致率にて上記したステップB3以降を再度行う。一方、管理装置5は、一致率再設定処理にて一致率を変更しなかったと判定すると(B14:NO)、遊技を開始した遊技機2の情報(遊技機種、台番)及び遊技開始時刻を登録するように新規の個人データを作成し(ステップS15)、リターンする。
【0058】
即ち、管理装置5は、図11に示すように、未記憶遊技者である「遊技者ID555」の遊技者がパチンコ機Fの7番台にて遊技を開始した場合であれば、パチンコ機Fの7番台での遊技開始時刻(14:50)を記録し、新たに「遊技者ID555」の個人データを作成する。この場合、管理装置5は、遊技者の個人データ画面12をモニタ7に表示することで、作成した「遊技者ID555」の個人データを遊技場の管理者に対して報知する。
【0059】
(3)一致率再設定処理
管理装置5は、一致率再設定処理を開始すると、現在の(その時点で設定している)一致率が初期一致率であるか否かを判定する(C1)。管理装置5は、現在の一致率が初期一致率であると判定すると(C1:YES)、遊技を開始した遊技者が玉所有遊技者及び残金有カード所有遊技者の何れかであるか否かを判定し(C2)、遊技を開始した遊技者が玉所有遊技者及び残金有カード所有遊技者の何れかであると判定すると(C2:YES)、現在の一致率である初期一致率から第1一致率に変更し(C3)、リターンする。管理装置5は、第1一致率を初期一致率よりも低い確率である例えば「70%」に設定し、このように初期一致率から当該初期一致率よりも低い確率である第1一致率に変更することで、遊技を開始した遊技者の顔画像が個人データに登録されている顔画像と一致易くする。
【0060】
又、管理装置5は、現在の一致率が初期一致率でないと判定すると(C1:NO)、現在の(その時点で設定している)一致率が第1一致率であるか否かを判定する(C4)。管理装置5は、現在の一致率が第1一致率であると判定すると(C4:YES)、遊技を開始した遊技者が玉所有遊技者であるか否かを判定し(C5)、遊技を開始した遊技者が玉所有遊技者であると判定すると(C5:YES)、現在の一致率である第1一致率から第2一致率に変更し(C6)、リターンする。管理装置5は、第2一致率を第1一致率よりも更に低い確率である例えば「60%」に設定し、このように第1一致率から当該第1一致率よりも低い確率である第2一致率に変更することで、遊技を開始した遊技者の顔画像が個人データに登録されている顔画像と更に一致易くする。
【0061】
管理装置5は、現在の一致率が初期一致率及び第1一致率の何れでもない(第2一致率である)と判定すると(C4:NO)、その現在の一致率を変更することなく、リターンする。尚、本実施形態では、一致率を変更する条件として、遊技を開始した遊技者が玉所有遊技者及び残金有カード所有遊技者の何れかであれば、初期一致率から第1一致率に変更し、遊技を開始した遊技者が玉所有遊技者であれば、第1一致率から第2一致率に変更する場合を説明したが、遊技を開始した遊技者が残金有カード所有遊技者であれば、第1一致率から第2一致率に変更するようにしても良い。
【0062】
上記した構成では、遊技を開始した遊技者が玉所有遊技者や残金有カード所有遊技者であるか否かに応じて一致率を「80%」から「60%」まで引下げている。即ち、遊技を開始した遊技者が玉所有遊技者や残金有カード所有遊技者であれば、記憶済遊技者である可能性が高く、一致率を引下げれば記憶済遊技者であると特定し得る可能性が高まることから、一致率「80%」から「60%」まで引下げるようにし、一方、遊技を開始した遊技者が玉所有遊技者や残金有カード所有遊技者でなければ、記憶済遊技者である可能性が低く、一致率を引下げたとしても記憶済遊技者であると特定し得る可能性が低いことから、一致率を引下げないようにしている。このように一致率を「80%」から「60%」まで引下げることで、遊技を開始した遊技者を記憶済遊技者であると効率良く特定することができる。
【0063】
(4)遊技終了特定処理
管理装置5は、遊技終了特定処理を開始すると、遊技者の遊技終了を特定したか否かを判定する(D1)。具体的には、管理装置5は、顔認証カメラ3dによる遊技者の撮像を終了したこと、アウト信号等の遊技機2の稼動状態を特定可能な稼動信号の入力を終了したこと、会員カード8又は金額情報が記憶されたカード等のカード挿入口3eへの挿入状態の検出を終了したこと等に基づいて、遊技者の遊技終了を特定したか否かを判定する。
【0064】
管理装置5は、遊技者の遊技終了を特定したと判定すると(D1:YES)、遊技終了時刻を個人データに登録し(D2)、遊技を終了した遊技者に対応した個人データとして登録し(D3)、リターンする。
【0065】
以上に説明したように本実施形態によれば、管理装置5において、遊技者が遊技機2にて遊技を開始し、顔認証カメラ3dにより撮影した遊技者の顔画像が既に記憶されているか否かを判定することで、遊技を開始した遊技者が個人データを記憶済である記憶済遊技者及び個人データを未記憶である未記憶遊技者の何れの遊技者であるか判定する場合に、複数の遊技機2を区分(機種、種別、遊技媒体の単価、タイプ等)に応じて管理し、遊技を開始した遊技機2により何れの区分にて遊技を行っていた遊技者の個人データを検索するかを決定するようにしたので、遊技者が遊技を開始した遊技機2に応じて何れの区分の個人データを検索するかを変化させることができ、遊技機2に応じて個人データの検索順序を変化させたり、検索対象とする個人データを変化させたりすることができ、効率の良い検索方法を選択することができる。
【0066】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
移動元となった遊技機の集計回数に関わらず、検索順序が予め決定されている構成としても良い。この場合、遊技者が台移動した際の移動元となった回数を集計しなくとも良い。
【0067】
上記した実施形態におけるサンプル数が少ない場合や、遊技機の集計回数に関わらず検索順序が予め決定されている場合の検索順序として、遊技者にとって有利な特別遊技状態である大当たり状態やボーナス状態が発生する確率が異なる複数の遊技機が設置されている場合であれば、遊技者が遊技を開始した遊技機と特別遊技状態が発生する確率が同じ区分の遊技機にて遊技を行っていた遊技者の個人データを、他の区分の遊技機にて遊技を行っていた遊技者の個人データよりも先に検索するようにしても良い。例えば大当たり確率が「1/400」の機種、大当たり確率が「1/350」〜「1/300」の機種、大当たり確率が「1/100」の機種が設置されている場合であれば、大当たり確率が「1/400」の機種から大当たり確率が「1/100」の機種に台移動する等、大当たり確率が異なる機種の間で台移動する傾向が低く、大当たり確率が「1/400」の機種の間で台移動する等、大当たり確率が同じ機種の間で台移動する傾向が高いことから、大当たり確率が同じ程度の遊技機にて遊技を行っていた遊技者の個人データを他の遊技機にて遊技を行っていた遊技者の個人データよりも先に検索することで、大当たり確率が同じ程度の遊技機から移動してきた遊技者を効率良く特定することができる。
【0068】
上記した実施形態におけるサンプル数が少ない場合や、遊技機の集計回数に関わらず検索順序が予め決定されている場合の検索順序として、貨幣を対価として遊技に使用する遊技価値の単価が異なる複数の遊技機が設置されている場合であれば、遊技者が遊技を開始した遊技機と遊技価値の単価が同じ区分の遊技機にて遊技を行っていた遊技者の個人データを、他の区分の遊技機にて遊技を行っていた遊技者の個人データよりも先に検索するようにしても良い。例えば貸単価「4円」の機種、貸単価「2円」の機種、貸単価「1円」の機種が設置されている場合であれば、貸単価「4円」の機種から貸単価「1円」の機種に台移動する等、貸単価が異なる機種の間で台移動する傾向が低く、貸単価「4円」の機種の間で台移動する等、貸単価が同じ機種の間で台移動する傾向が高いことから、貸単価が同じ程度の遊技機にて遊技を行っていた遊技者の個人データを他の遊技機にて遊技を行っていた遊技者の個人データよりも先に検索することで、貸単価が同じ程度の遊技機から移動してきた遊技者を効率良く特定することができる。
【0069】
上記した実施形態におけるサンプル数が少ない場合や、遊技機の集計回数に関わらず検索順序が予め決定されている場合の検索順序として、第1遊技価値を使用して遊技が進行する第1遊技機と、第2遊技価値を使用して遊技が進行する第2遊技機とが設置され、第1遊技価値には貨幣を対価として遊技者に付与する場合の単価が異なる高単価第1遊技価値と低単価第1遊技価値とが設けられていると共に、第2遊技価値には貨幣を対価として遊技者に付与する場合の単価が異なる高単価第2遊技価値と低単価第2遊技価値とが設けられている場合であれば、遊技を開始した遊技機の区分が高単価第1遊技価値に対応していれば、高単価第2遊技価値に対応した区分の遊技機にて遊技を行っていた遊技者の個人データを他の区分の遊技機にて遊技を行っていた遊技者の個人データよりも先に検索すると共に、遊技を開始した遊技機の区分が高単価第2遊技価値に対応していれば、高単価第1遊技価値に対応した区分の遊技機にて遊技を行っていた遊技者の個人データを他の区分の遊技機にて遊技を行っていた遊技者の個人データよりも先に検索するようにしても良い。例えば貸単価「4円」のパチンコ機、貸単価「1円」のパチンコ機、貸単価「20円」のスロットマシン、貸単価「5円」のスロットマシンが設置されている場合であれば、遊技者が貸単価「4円」のパチンコ機と貸単価「20円」のスロットマシンとで台移動する傾向が高く、遊技者が貸単価「1円」のパチンコ機と貸単価「5円」のスロットマシンとで台移動する傾向が高く、即ち、種別を変えて台移動する場合には貸単価の高低が同じ程度の機種で台移動する傾向にあることに着目し、貸単価の高低が同じ程度の機種にて遊技を行っていた遊技者、即ち、貸単価「4円」のパチンコ機と貸単価「20円」のスロットマシンとで台移動した遊技者、又は貸単価「1円」のパチンコ機と貸単価「5円」のスロットマシンとで台移動した遊技者の個人データを他の機種にて遊技を行っていた遊技者の個人データよりも先に検索することで、貸単価の高低が同じ程度の機種から移動してきた遊技者を効率良く特定することができる。
【0070】
上記した実施形態におけるサンプル数が少ない場合や、遊技機の集計回数に関わらず検索順序が予め決定されている場合の検索順序として、遊技を開始した遊技機の貸単価との差額が小さい機種から順に設定するようにしても良い。例えば貸単価「4円」のパチンコ機、貸単価「2円」のパチンコ機、貸単価「1円」のパチンコ機が設置されている場合、遊技を開始した遊技機の貸単価が「4円」であれば、第1優先順序を貸単価「4円」のパチンコ機に設定し、第2優先順序を貸単価「2円」のパチンコ機に設定し、第3優先順序を貸単価「1円」のパチンコ機に設定するようにしても良い。
【0071】
上記した実施形態におけるサンプル数が少ない場合や、遊技機の集計回数に関わらず検索順序が予め決定されている場合の検索順序として、新台入替等のイベントの対象機種がある場合、遊技者がイベントの対象機種を好んで台移動する傾向にあることに着目し、イベントの対象機種の周辺の遊技機にて遊技を行っていた遊技者の個人データを他の機種にて遊技を行っていた遊技者の個人データよりも先に検索するようにしても良い。
【0072】
又、上記した実施形態は検索順序を設定した場合を説明したが、検索順序を設定しないようにしても良い。
複数の項目の中から集計回数が多い上位の3項目を第1優先順序、第2優先順序、第3優先順序として設定したが、集計回数を採用しない構成とし、優先順序を限定しないようにしても良い。
【0073】
個人データに対応付けられる情報が遊技機の機種及び台番である場合を説明したが、遊技媒体の単価やタイプ等が加えられても良い。又、機種及び台番のうち何れか一方のみでも良い。
【0074】
遊技場の管理者による手動入力により設定時間を設定するようにしたが、遊技機の位置関係に基づいて設定時間が自動的に設定されても良い。その場合、本実施形態で例示したように階段を考慮することに加え、例えば貸単価が異なる遊技機同士が柵で仕切られている構成等の遊技者の移動が制限されている構成を考慮した上で、設定時間が自動的に設定されるようにしても良い。
【0075】
遊技を終了している遊技者の遊技終了時刻を特定することで検索対象から除外する個人データを決定することに限らず、設定時間よりも前に遊技を開始した遊技者を特定することで検索対象から除外する個人データを決定するようにしても良い。
【0076】
初期一致率、第1一致率、第2一致率は、それぞれ「80%」、「70%」、「60%」以外の値であっても良い。
一致率を変更する条件としては、遊技を開始した遊技者が玉所有遊技者又は残金有カード所有遊技者の何れかであることに限らず、遊技を開始した遊技者が会員カードを挿入したことであっても良い。即ち、遊技を開始した遊技者が会員カードを挿入していれば、一致率を変更する一方、遊技を開始した遊技者が会員カードを挿入していなければ、一致率を変更しないようにしても良い。
【0077】
遊技者が遊技場に来場した時刻(遊技場に滞在している時間)に応じて個人データが登録済であるか否かを判定するようにしても良い。即ち、例えば遊技場に来場した直後であり、遊技場に滞在している時間が短ければ、個人データを登録済である可能性が低いと判定する一方、遊技場に来場した直後でなく(来場してから所定時間が経過しており)、遊技場に滞在している時間が長ければ、個人データを登録済である可能性が高いと判定するようにしても良い。又、遊技場の営業時間帯に応じて個人データが登録済であるか否かを判定するようにしても良い。即ち、遊技場の開店直後であれば、個人データを登録済である可能性が低いと判定し、遊技場の閉店直前であれば、個人データを登録済である可能性が高いと判定するようにしても良い。遊技者が遊技場に来場した時刻、遊技者が遊技場に滞在している時間は、例えば遊技場の出入口に監視カメラを設け、遊技場へ来場した遊技者を特定することで計算すれば良い。
【0078】
初期一致率を一律に設定するようにしたが、遊技を開始した遊技者が記憶済遊技者である可能性が高いと特定し得る場合と、遊技を開始した遊技者が未記憶遊技者である可能性が高いと特定し得る場合とで、初期一致率を異ならせても良い。即ち、前者の場合には初期一致率を低く設定し、後者の場合には初期一致率を高く設定しても良い。
【0079】
遊技の終了を特定していない遊技者の個人データを個人データ検索処理における検索対象から除外する一方、遊技の終了を特定している遊技者の個人データを個人データ検索処理における検索対象とし(ステップA6〜A8)、個人データ検索処理にて個人データが登録済みであると(ステップB4、B8、B10、B12の何れかでYES)、遊技を終了した遊技者に対応した個人データとしての登録を解除することで(ステップB6)、遊技の終了を特定している遊技者のうち新たに別の遊技機にて遊技を開始した遊技者を除外するようにしたが、個人データ検索処理にて個人データが登録済みであるか否かを判定する前、つまり、個人データ検索処理に移行する前に、例えば遊技者を特定可能な情報と遊技機の稼動を示す信号(アウト信号等)とを対応付けて遊技中の遊技者を特定することで、遊技の終了を特定している遊技者が新たに別の遊技機にて遊技を開始したか否かを判定し、遊技の終了を特定している遊技者のうち新たに別の遊技機にて遊技を開始した遊技者を除外するようにしても良い。
【0080】
対象となる遊技機は、点数による遊技を可能とする所謂封入式やクレジット式の遊技機であっても良い。この点を考慮し、遊技媒体と点数とを包含して遊技価値と表現する。
遊技機のスペックや設定した値等、例示した全ての数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。勿論、その他の遊技情報も、直接的、間接的を問わず適宜最適な特定方法にて特定すれば良い。
管理装置が行う情報処理の一部を中継装置等の他の装置にて行っても良い。即ち、遊技場用システムとしては管理装置や中継装置等を含む広義の遊技場用システムの概念も含む。
【符号の説明】
【0081】
図面中、1は遊技場用システム、2は遊技機、3dは顔認証カメラ(撮像手段)、5fは個人データ記憶部(個人データ記憶手段)、5gは遊技者特定部(遊技者特定手段)、5hは個人データ新規登録部(個人データ新規登録手段)、5iは個人データ更新部(個人データ更新手段)、5mは開始条件特定部(開始条件特定手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の遊技機が設置された遊技場に設けられる遊技場用システムであって、
各遊技機に対応して設けられ、対応する遊技機にて遊技を行う遊技者を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段の撮像結果から抽出した遊技者を識別可能な情報である識別情報と、その遊技者が遊技を行った遊技機又は遊技機の種類を示す情報である遊技機情報とを対応付けた個人データを記憶する個人データ記憶手段と、
前記撮像手段が遊技者を撮像した場合の前記識別情報が既に前記個人データ記憶手段に記憶されているか否かを、当該識別情報と情報の一致率が所定値以上となる識別情報が前記個人データ記憶手段に記憶されているか否かを判定することで、前記個人データが記憶済である記憶済遊技者及び前記個人データが未記憶である未記憶遊技者の何れの遊技者に対応しているかを特定する遊技者特定手段と、
前記遊技者特定手段の特定結果が前記未記憶遊技者である場合、その未記憶遊技者に対応した個人データを新たに前記個人データ記憶手段に登録する個人データ新規登録手段と、
前記遊技者特定手段の特定結果が前記記憶済遊技者である場合、その記憶済遊技者が今回遊技を行った遊技機の遊技機情報を対応付けて、その記憶済遊技者の個人データを更新する個人データ更新手段と、
遊技を開始した遊技者が前記記憶済遊技者である期待度を特定可能な遊技開始条件を特定する開始条件特定手段と、を備え、
前記遊技者特定手段は、前記開始条件特定手段の特定結果が、遊技を開始した遊技者が前記記憶済遊技者である可能性が高いことに対応している場合、遊技を開始した遊技者が前記未記憶遊技者である可能性が高いことに対応している場合に比べ、前記一致率を低くすることを特徴とする遊技場用システム。
【請求項2】
前記開始条件特定手段は、遊技者が遊技に使用する遊技価値を所持していること、遊技者が遊技を開始した時刻が所定時刻であること、又は遊技場への会員登録を行っている遊技者であること、のうち何れか1つを特定することを特徴とする請求項1に記載した遊技場用システム。
【請求項3】
前記遊技者特定手段は、遊技に使用する遊技価値を所持した遊技者が遊技を開始した場合、その遊技者が前記記憶済遊技者である可能性が高いものとして、前記一致率を低くすることを特徴とする請求項1又は2に記載した遊技場用システム。
【請求項4】
前記遊技者特定手段は、前記一致率の初期値である初期一致率にて前記検索を行い、当該検索の結果、当該初期一致率以上となる識別情報を記憶していなかった場合に、遊技を開始した遊技者が前記未記憶遊技者である可能性が高いことに対応している場合、未記憶遊技者であると特定する一方、遊技を開始した遊技者が前記記憶済遊技者である可能性が高いことに対応している場合、前記一致率を初期一致率よりも低くして再度検索を行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1に記載した遊技場用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−59487(P2013−59487A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199454(P2011−199454)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000108937)ダイコク電機株式会社 (893)
【Fターム(参考)】