説明

遊技機の球皿構造

【課題】賞球として払い出された遊技球が球皿から溢れ出る際の演出を効果的に行って遊技者に充分な出球感を付与する。
【解決手段】賞球として払い出された遊技球Bを貯留する球皿1を備えた遊技機において、球皿1の前側壁15に球皿1内の余剰な遊技球Bを球皿前方から球皿外へ溢流放出させる開口16を設ける。開口16にはこれを開閉するための扉部材3を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機の球皿構造に関し、特に皿内に貯留できない余剰の遊技球を皿外へ排出する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上皿の外周壁に遊技球の溢出口を設けるとともに下皿内の底面直上に受入れ口を設けて、溢出口と受入れ口とを遊技機の枠厚内に設けた溢出通路で連通して、略コの字状に上皿から溢出通路を経て下皿内に余剰の遊技球を溢流させる構造が示されている。また、特許文献2においては、上皿と下皿との間の開閉パネルの表側に透光性材料よりなる前面球流下路を設けて、上皿から上記球流下路を経て下皿内に余剰の遊技球を溢流させる構造が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−209
【特許文献2】特開平8−206321
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構造では上皿の外周壁に溢出口が設けられていることから上皿から溢れ出る遊技球を前方から視認することが可能であり、また特許文献2の構造では透明な球流下路を溢流し流下する遊技球を前方から視認することが可能ではあるものの、いずれの構造においても、大当り時等に賞球として払い出された遊技球が球皿から溢れ出るという遊技者にとって至福の時間を効果的に演出するには未だ充分でないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、賞球として払い出された遊技球が球皿から溢れ出る際の演出を効果的に行って遊技者に充分な出球感を付与できる遊技球の球皿構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本第1発明では、賞球として払い出された遊技球(B)を貯留する球皿(1)を備えた遊技機において、球皿(1)の前側壁(15)に球皿(1)内の余剰な遊技球(B)を球皿前方から球皿外へ溢流放出させる開口(16)を設けたことを特徴とする。
【0007】
本第1発明においては、遊技球貯留部内の余剰の遊技球が開口を通って豪快に前方へ溢流放出させられるから遊技者に充分な出球感を与えることができる。
【0008】
本第2発明では、上記開口(16)の下端を上記球皿(1)の内底面よりも所定高さ上方に形成し、遊技球(B)が所定高さ以上に貯留されたときに当該遊技球(B)の溢流放出が開始されるようにする。
【0009】
本第2発明においては、遊技球が貯留されて所定高さ以上になると余剰の遊技球は何らの操作を要することなく開口から溢流放出される。
【0010】
本第3発明では、開口(16)に当該開口を開閉するための扉部材(3)を設ける。
【0011】
本第3発明においては、扉部材の開閉によって貯留状態と排出状態を適切に切り替えて球皿内の遊技球貯留量を任意に調整することができる。
【0012】
本第4発明では、扉部材(3)の実質高さを開口(16)の高さよりも低くする。
【0013】
本第4発明においては、扉部材を閉じた状態で払い出された遊技球が貯留されて扉部材の高さを越えると、余剰の遊技球は何らの操作を要することなく扉部材を乗り越えて開口から溢流放出される。球皿内の遊技球貯留量を調整したい場合には扉部材を開放すれば任意量の余剰の遊技球を開口から放出することができる。
【0014】
本第5発明では、開口(16)の前方に、溢れ出た余剰な遊技球(B)の飛散を防止するとともに下方へ向けて落下させる飛散防止部材(2)を設ける。
【0015】
本第5発明においては、開口から溢れ出た遊技球が不用意に前方へ飛び出して散乱することが防止される。
【0016】
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の遊技球の球皿構造によれば、賞球として払い出された遊技球が球皿から溢れ出る際の演出を効果的に行って遊技者に充分な出球感を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】球皿の平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】球皿の開口部の斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
図1には遊技機の球皿の平面図を示す。図1において、左右方向へ延びる球皿1はその平面状の後面(図1の上面)1aが、遊技機の本体枠前面に設けた図略の前板に一体に連続している。球皿1の前面1bは前方へ膨出する曲面をなし、球皿1の上面中央部は凹陥して左右方向へ延びて遊技球貯留部1cとなっている。遊技球貯留部1cの一端には賞球払出口11が開口し、遊技球貯留部1c内に形成された遊技球流路は、賞球払出口11に続く上流側から他端の下流方向へ下り傾斜する第1流路12と、遊技球貯留部1cの他端にて第1流路12から一端方向へ折り返し、仕切壁14によって区画されつつその流路幅が遊技球1個分まで漸次狭まる第2流路13とから構成されている(図2)。第2流路13の下流側は第1流路12の上流側の下方を立体交差して延びて、本体枠内に設けられた図略の遊技球発射装置へ至っている。なお、第1流路12の前方寄りの底面は前方に向けてやや下り傾斜させてある。
【0020】
図3に示すように、遊技球貯留部1cの前側壁15はその中央部が一定幅で当該貯留部1cの底面(内底面)と略同一の高さまで切り欠かれて開口16となっており、開口16の前方には上下方向へ開放する遊技球落下空間Sが形成されている(図2参照)。遊技球落下空間Sの前方にはこれを遮るように板状の飛散防止部材2が設けられている。飛散防止部材2はその前面2aが左右に位置する前面1bに滑らかに連続するようにこれら前面1bと同じ高さで設けられている。飛散防止部材2は透光性の材料で構成されており、前方から開口16部分が視認できるようになっている。
【0021】
上記開口16にはこれを開閉する扉部材3が設けられている。扉部材3は開口16の幅よりやや小さい幅の矩形板体で、上端をやや前方へ傾斜させた起立姿勢で開口16を閉鎖するように位置させられている。ここで、扉部材3の実質高さ(垂直方向の高さ)h1は開口16の高さh2よりも低くしてある。この高さh1は高さh2よりも遊技球1個分以上低くするのが好ましい。扉部材3は下端の両側に突設された軸部31によって開口16の内壁に支持されて前方へ傾倒回動可能となっている。軸部31の外周にはトーションバネ等の付勢部材32(図4)が配設されて、付勢部材32の両端がそれぞれ球皿1(より具体的には前側壁15)の内壁と扉部材3の側面中間位置に形成された係止突起33に当接させられ、付勢部材32のバネ力によって扉部材3は開口16を閉鎖する起立姿勢に保持されている。
【0022】
球皿1の、開口16に近い前側壁15上面にこれから突出して円形の操作片41が位置しており、当該操作片41からは下方へ操作シャフト42が延びている。操作シャフト42の下端は、前側壁15内に設けた操作アーム43の中間位置に相対回動可能に連結されている。操作アーム43はその基端が前側壁15(より具体的には前面1b)の内側に設けた支軸44に結合されて上下方向へ旋回可能となっている。
【0023】
操作アーム43は後上方へ斜めに延びており、その先端部にはアーム長手方向へ延びる長孔45が形成されて、当該長孔45内に上記係止突起33が位置している。なお、係止突起33は開口16の内壁に形成された、扉部材3の軸部31を中心とする円弧状の長孔17を貫通して前側壁15内に進入している。
【0024】
このような構造の球皿において、扉部材3が起立し開口16が閉鎖されている状態(図1参照)では、賞球払出口11から遊技球貯留部1c内に払い出された賞球(遊技球)Bは第1流路12から第2流路13を経て順次一個づつ遊技球発射装置へ送られる。大当り等によって多数の賞球Bが賞球払出口11から払い出されると、遊技球貯留部1c内の遊技球Bが過剰になり、遊技球Bの貯留高が高さh1を越えると、これ以後に払い出された賞球は余剰球として扉部材を乗り越えて開口から前方の球皿外へ溢流放出されて、遊技球落下空間S内を落下する(図中の白矢印)。これにより、飛散防止部材2を介して前方からこれを視認する遊技者に充分な出球感を与えることができる。この場合、開口16から溢流した遊技球Bの一部がたとえ前方へ飛び出しても、遊技球Bは飛散防止部材2の後面に当接して前方への飛散が防止されるとともに、前方への勢いを失って遊技球落下空間Sを下方へ向けて落下させられる。
【0025】
球皿1内の遊技球貯留量を調整したい場合には、操作片41を押し下げると(図4の矢印)、操作シャフト42を介して操作アーム43が下方へ旋回させられる(図4の鎖線)。係止突起33は、変位する長孔45と長孔17の交点に常に位置するように移動させられ、これに伴い扉部材3が付勢部材32のバネ力に抗して前方へ傾倒回動させられる(図4の鎖線)。これにより開口16が開放されて、遊技球貯留部1c内の遊技球が余剰球として前方へ溢れ出る。この場合、遊技球貯留部1c内の遊技球は大きく開いた開口16を通って豪快に前下方へ溢流させられて遊技球落下空間S内を落下するから、飛散防止部材2を介して前方からこれを視認する遊技者に充分な出球感を与えることができる。
【0026】
特に本実施形態では扉部材3をその下端の軸部31を中心に前方へ回動開放させるようにしたから、扉部材3の開放動作が認識し易い上に、球圧に耐えかねて扉部材3が開放したかのようなダイナミック感が得られる。また、本実施形態では、開口16を最も目立つ遊技球貯留部1cの前側壁15の中央部に設けたから、遊技者に充分な出球感を与える上で有利である。
【0027】
なお、球皿1が一体皿、ないし上下皿の下皿である場合には、開口16から溢流させた遊技球を球箱で直接受けるようにすることができる。また、球皿1が上下皿の上皿である場合には、開口16から溢流させた遊技球を下皿で受けるようにすることができ、この場合には上皿から下皿への球抜き流路を本体枠内に設ける必要が無いから、本体枠の構造を簡素化することができる。
【0028】
(その他の実施形態)
上記実施形態において、扉部材3の実質高さh1を開口の高さh2と同一にして、扉部材3を閉鎖した状態では開口16からの余剰球の溢流放出が行われないようにし、余剰球を放出する場合には必ず扉部材3の開放操作を行うようにしても良い。また、上記第1実施形態では開口16に扉部材3を設けたが、遊技球貯留部1cの底面よりも高い位置(例えば球半個分以上)に開口16の最下端が位置するように設けて、遊技球貯留部1c内の遊技球が必要以上の高さに積み上がったときに上記開口16より溢流するようにすれば、扉部材3は特に設ける必要が無い。
【0029】
扉部材3を、平行リンク機構などを利用して起立姿勢を保ったまま前方ないし前下方へ移動させることによって開口16を開放するような構造とすれば、移動後の扉部材3に飛散防止部材2の機能を果たさせることが可能となり、この場合は別途飛散防止部材2を設ける必要が無くなる。なお扉部材の開閉機構はこれらに限定されるものではなく、ソレノイドなどの電気的駆動源を用いるなど他の機構を用いてもよい。
【0030】
飛散防止部材2の上端を遊技者の手が置きやすい形状として手置き部と兼用し、当該手置き部又は手置き部周辺に演出操作部を設ける構造としても良い。こうすることで遊技者が楽に演出操作を行うことができるとともに、強打による演出操作部の操作を抑制し、演出操作部の破損等を未然に防止することができる。また、上記開口16は必ずしも前側壁15の上端まで切欠いてあるものである必要は無い。また、開口16は必ずしも左右の中央に配置しなくてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…球皿、15…前側壁、16…開口、2…飛散防止部材、3…扉部材、43…操作アーム、B…遊技球(賞球)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
賞球として払い出された遊技球を貯留する球皿を備えた遊技機において、前記球皿の前側壁に前記球皿内の余剰な遊技球を球皿前方から球皿外へ溢流放出させる開口を設けたことを特徴とする遊技機の球皿構造。
【請求項2】
前記開口の下端を前記球皿の内底面よりも所定高さ上方に形成し、前記遊技球が所定高さ以上に貯留されたときに当該遊技球の溢流放出が開始されるようにした請求項1に記載の遊技機の球皿構造。
【請求項3】
前記開口に当該開口を開閉するための扉部材を設けた請求項1又は2に記載の遊技機の球皿構造。
【請求項4】
前記扉部材の実質高さを前記開口の高さよりも低くした請求項3に記載の遊技機の球皿構造。
【請求項5】
前記開口の前方に、溢れ出た前記余剰な遊技球の飛散を防止するとともに下方へ向けて落下させる飛散防止部材を設けた請求項1ないし4のいずれかに記載の遊技機の球皿構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−152360(P2012−152360A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13638(P2011−13638)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(500077959)株式会社MRD (150)
【Fターム(参考)】