説明

遊技機

【課題】 不正行為等による異常動作や故障等を容易且つ迅速に検出する。
【解決手段】 本発明は、遊技用装置2により貸し出された遊技媒体を使用して遊技を行う遊技機3であって、遊技用装置2に挿入された遊技媒体貸出用記録媒体の残数を表示可能な表示部46と、遊技機1を構成する部位の動作を検出するための検出手段19,20,33と、検出手段19,20,33により出力される検出信号に基づき、表示部46に前記部位の動作を状態表示として出力させる払出制御装置39とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関し、特に、遊技用装置により貸し出された遊技球や遊技メダル等の遊技媒体を使用して遊技を行う遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機においては、現金の代わりにプリペイドカード等の遊技媒体貸出用記録媒体を使用する遊技機が主流になってきており、この種の遊技機では、遊技球や遊技メダル等の遊技媒体を遊技者に貸し出すための遊技用装置が遊技機に隣接して設けられている。
【0003】
そして、例えば、パチンコ遊技機の場合には、遊技者が遊技用装置のカード挿入口にプリペイドカードを挿入することによりパチンコ遊技機に遊技球が払い出され、遊技領域に打ち出された遊技球が始動入賞口や大入賞口等の入賞装置に入賞することを契機として、遊技者に対して賞球が払い出され、遊技者に利益を供与するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−331156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の遊技機においては、遊技機を構成する部位の異常動作等の状態表示が遊技機の背面側に設置される払出制御装置に出力されるようになっているため、前記構成部位の不正行為による異常動作や故障等の発見が遅れるおそれがあり、遊技機の保守管理の効率化を図ることが難しいといった問題があった。
【0005】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、不正行為等による異常動作や故障等を容易且つ迅速に検出し、遊技機の保守管理の効率化を図ることのできる遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、遊技用装置2により貸し出された遊技媒体を使用して遊技を行う遊技機1であって、遊技用装置2に挿入された遊技媒体貸出用記録媒体の残数を遊技機1の前面側において表示可能な表示部46と、遊技機1を構成する部位の動作を検出するための検出手段19,20,33と、検出手段19,20,33により出力される検出信号に基づき、表示部46に前記部位の動作を状態表示として出力させる払出制御装置39とを備えていることを特徴とする。
【0007】
そして、好ましくは、検出手段19,20,33は、遊技機3を構成する部位の異常動作を検出し、この異常動作をエラー検出信号として出力可能なエラー検出手段を含んでおり、払出制御装置39は、エラー検出手段19,20,33から出力されたエラー検出信号に基づき、表示部46に前記部位の異常動作をエラー表示として出力可能なように構成されているのがよい。
【0008】
また、エラー検出手段19,20,33は、遊技領域13に配設された入賞装置17,18への遊技球の入賞を検出するための検出センサ19,20を含んでおり、検出センサ19,20は、コネクタを介して電気的に接続され、該コネクタの抜脱を前記エラー検出信号として出力可能なように構成されていてもよい。
【0009】
さらに、前記検出手段は、球払出装置31の球払い出し動作時に検出信号を出力可能な動作検出手段を含んでおり、払出制御装置39は、前記検出手段から出力された検出信号に基づき、表示部46に球払出装置31の動作表示を出力可能なように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、遊技機を構成する部位の異常動作等の動作を状態表示として出力する表示部が、店員等の管理者が視認し易い遊技機の前面側に設けられているため、前記構成部位が不正行為等により異常動作したり、故障したりする異常が発生した場合でも、管理者は、その異常を迅速且つ確実に発見することができ、その後の処置を迅速且つ適切に行うことができるようになるため、保守管理の効率化を図ることが可能となる。
【0011】
また、検出手段が入賞装置への遊技球の入賞を検出する検出センサを含んでいる場合には、検出センサのコネクタが抜脱された時に遊技球の払い出し動作が行なわれることがない。したがって、遊技球が入賞装置に入賞していないのに誤って賞球が払い出されるおそれがなくなり、遊技機の信頼性を高めることができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る遊技機について説明する。なお、以下の説明では、本発明をパチンコ遊技機に適用した場合について例示して説明する。
【0013】
先ず、図1〜図4を参照しつつ、本実施の形態に係るパチンコ遊技機の構成について説明する。ここで、図1は本実施の形態に係るパチンコ遊技機の概略構成を示す正面図、図2はパチンコ遊技機を示す正面図、図3はパチンコ遊技機を示す背面図、図4はパチンコ遊技機の構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、このパチンコ遊技機1は、パチンコ遊技機1に隣接して設けられた遊技用装置2により貸し出された遊技球を使用して遊技を行うタイプのパチンコ遊技機であり、遊技用装置2には、遊技媒体貸出用記録媒体を挿入するためのカード挿入口4が設けられている。
【0015】
図2に示すように、パチンコ遊技機1は、外郭方形枠サイズに形成されて縦向きの固定保持枠を成す外枠7の開口前面に、外枠7に合わせて方形枠サイズに形成された開閉搭載用の前枠8が、外枠7の正面左側上下に取り付けられたヒンジ金具9a,9bによって外枠7に対して開閉可能に取り付けられていると共に、外枠7の正面右側に設けられた施錠装置10により閉鎖状態に保持されるようになっている。
【0016】
前枠8の上部領域には、遊技盤11が収容されており、遊技盤11は、所定板厚の積層合板の表面にセルを貼り付けてルーター加工した化粧版を基板とし、その前面側には、環状に取り付けられたガイドレール12に囲まれて、略円形状の遊技領域13が形成されている。遊技領域13には、その略中央部に画像表示装置14の表示部15が配置されており、画像表示装置14の表示部15の周りには、センター飾り16、及び始動入賞口17や大入賞口18等の入賞装置がそれぞれ配設されている。そして、始動入賞口17には始動入賞口検出スイッチ19が取付けられ、大入賞口18には大入賞口検出スイッチ20が取付けられ、始動入賞口検出スイッチ19及び大入賞口検出スイッチ20には、それぞれ、コネクタ(図示せず)を介してハーネス(図示せず)が電気的に接続されている。また、遊技領域13の下端部には、アウト口21が配設されており、始動入賞口17や大入賞口18等に入賞せずに落下したアウト球を遊技盤11の背面側から機外に排出できるようになっている。
【0017】
また、前枠8の前面上部側には、遊技盤11を視認可能なように透明なガラス板を備えたガラス扉22が横向き開閉可能且つ着脱可能に取り付けられ、このガラス扉22は、常には施錠装置10により遊技盤11の前面を覆うように閉鎖状態に保持されている。
【0018】
前枠8の前面下部側であって、ガラス扉22の下方には、球皿23が横向き開閉可能且つ着脱可能に取り付けられ、球皿23は、常には施錠装置(図示せず)により閉鎖状態に保持されている。この球皿23には、前面側に膨出して球貯留部24が形成されており、この球貯留部24には正面左側に遊技球貸出操作部43が設けられ、遊技球貸出操作部43には、球貸しボタン44と、返却ボタン45と、液晶タイプの表示部46が設けられている。さらに、球貯留部24の正面右側下部には、発射ハンドル25が前方に突出して取り付けられており、発射ハンドル25を回転操作することにより、球貯留部24に供給された遊技球が遊技領域13内に発射されるようになっている。
【0019】
一方、図3に示すように、前枠8の背面側には裏セット盤26が複数(図3では5個)のレバー27により着脱可能に設けられている。そして、裏セット盤26の各部には、遊技島の球貯留装置(図示せず)からの予備賞球を貯留する貯留タンク28、貯留タンク28内に貯留された予備賞球を整列させて流下させる予備賞球案内流路29、球圧を軽減して予備賞球を下方に流下させるカーブレール30、賞球の払い出し処理を行う球払出装置31、球払出装置31から払い出された賞球を球皿23に導く賞球排出経路32がそれぞれ設けられている。そして、予備賞球案内流路29の出口近傍には球切れ検出スイッチ33(図4参照)が設けられ、球払出装置31には払い出された賞球を計数可能な賞球カウントスイッチ34(図4参照)が設けられている。
【0020】
また、図3及び図4に示すように、裏セット盤26には、パチンコ遊技機の動作を統括的に制御する主制御装置35、画像表示装置14の画像表示や音響装置47の効果音等の演出、電飾装置36の効果ランプ等の制御を行うサブ制御装置37、球払出装置31の払出モータ38等の球払い出し動作を制御する払出制御装置39、遊技球を所定の発射強度や発射タイミングで発射するように発射モータ40等の発射動作を制御する発射制御装置41、前記各種制御装置35,37,39,41及び電子部品に電力を供給する電源装置42等がそれぞれ配設されている。
【0021】
次に、図1〜図6を参照しつつ、本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機の作用について説明する。ここで、図5は遊技球を検出した時に入賞口検出スイッチが出力する検出信号を示す図、図6はコネクタを抜脱した時に入賞口検出スイッチが出力するエラー検出信号を示す図である。
【0022】
遊技者が遊技用装置2のカード挿入口4に遊技媒体貸出用記録媒体を挿入し、遊技球貸出操作部43の球貸しボタン44を押すと、払出制御装置39は、球払出装置31に所定数の遊技球を払い出させると共に、遊技用装置2に対して球払出信号を送出し、球払出装置31が遊技球の払い出し動作をしている間、表示部46にその動作メッセージを表示させる。これに対して、遊技用装置2は、遊技媒体貸出用記録媒体の度数を減少させ、その残数を示す残数検出信号をパチンコ遊技機1側に送出する。そして、パチンコ遊技機1では、この残数検出信号に基づき、払出制御装置39が遊技球貸出操作部43の表示部46にその残数を表示させる。
【0023】
このようにしてパチンコ遊技機1の球貯留部24に遊技球が払い出された状態で、遊技者が発射ハンドル25を正面時計回り方向に回転させると、遊技球は、所定の割合で遊技領域13に向かって発射される。そして、遊技領域13内に打ち出された遊技球が、始動入賞口17に入賞すると、始動入賞口検出スイッチ19は、その遊技球の入賞を検出し、図5に示すように、最低電位(MIN)より残留電位分高いローレベル(L)状態から最大電位(MAX)より残留電位分低いハイレベル(H)状態に電位が上昇する波形を有する検出信号を主制御装置35に出力する。
【0024】
主制御装置35は、この検出信号に基づき、ハイレベル(H)状態の電位が閾値を超えており、しかも、最大電位(MAX)より残留電位分低いことを検出すると、遊技球が始動入賞口17に入賞したと判断し、抽選用の乱数を取得して大当りの抽選を行い、取得した乱数が大当り用の乱数か否かを判定する。そして、この取得した乱数が大当り用の乱数であると判定した場合には、その乱数の示す図柄を決定し、サブ制御装置37に対して図柄表示の制御コマンドを出力する。サブ制御装置37は、この制御コマンドに基づき、画像表示装置14の表示部15に、所要の図柄変動表示を行わせた後、その決定した図柄を停止表示させ、この結果、遊技は通常遊技から特別遊技(大当り遊技)に移行される。
【0025】
このような過程を経て、特別遊技(大当り遊技)に突入すると、大入賞口18が開放され、大入賞口18に遊技球が入賞すると、大入賞口検出スイッチ20は、その遊技球の入賞を検出し、図5に示すように、最低電位(MIN)より残留電位分高いローレベル(L)状態から最大電位(MAX)より残留電位分低いハイレベル(H)状態に電位が上昇する波形を有する検出信号を主制御装置35に出力する。
【0026】
主制御装置35は、この検出信号に基づき、ハイレベル(H)の電位が閾値を超えており、しかも、最大電位(MAX)より残留電位分低いことを検出すると、遊技球が大入賞口18に入賞したと判断し、払出制御装置39に対して球払い出しの制御コマンドを出力する。払出制御装置39は、この制御コマンドに基づき、球払出装置31に所定数の遊技球を払い出させると共に、遊技用装置2に対して球払出信号を送出し、球払出装置31が遊技球の払い出し動作をしている間、表示部46にその動作メッセージを表示させる。そして、所定の条件が成立した時、特別遊技は終了する。
【0027】
一方、不正行為等により始動入賞口検出スイッチ19又は大入賞口検出スイッチ20のコネクタが抜脱された場合には、始動入賞口検出スイッチ19又は大入賞口検出スイッチ20は、図6に示すように、最低電位(MIN)より残留電位分高いローレベル(L)状態から最大電位(MAX)まで電位が上昇する波形を有するエラー検出信号を主制御装置35に出力する。主制御装置35は、このエラー検出信号に基づき、電位がハイレベル(H)を超えて最大電位(MAX)まで達していることを検出すると、コネクタが抜脱したと判断し、払出制御装置39に対して制御コマンドを出力し、払出制御装置39は、この制御コマンドに基づき、エラー検出信号を送出し、表示部46にエラーメッセージを表示させる。
【0028】
このように、払出制御装置39は、球払出装置31が遊技球の払い出し動作を行っている間、及び、不正行為等により始動入賞口検出スイッチ19又は大入賞口検出スイッチ20のコネクタが抜脱された場合には、店員等の管理者が視認し易い表示部46に表示を出力させるようになっている。したがって、パチンコ遊技機1を構成する部位が、不正行為等により異常動作したり、故障したりする異常が発生した場合でも、管理者は、その異常を迅速且つ確実に発見することができ、その後の処置を迅速且つ適切に行うことができるようになるため、保守管理の効率化を図ることが可能となる。
【0029】
また、始動入賞口検出スイッチ19又は大入賞口検出スイッチ20のコネクタが抜脱された時には、主制御装置35は、払出制御装置31に対して球払い出しの制御コマンドを出力することがないため、遊技球が入賞装置に入賞していないのに誤って賞球が払い出されるおそれがなくなり、遊技機の信頼性を高めることができる。
【0030】
なお、上記した実施の形態においては、始動入賞口検出スイッチ19や大入賞口検出スイッチ20から出力されたエラー検出信号に基づき、表示部46にエラーメッセージを表示させるようになっているが、これは単なる例示に過ぎず、例えば、図4に示すように、球払出装置31に補給される遊技球がなくなったことを球切れ検出スイッチ33が検出した時に表示部46にエラーメッセージを表示させるように構成する等、各種変更が可能である。
【0031】
また、遊技球貸出操作部43に設ける表示部46の数やタイプは各種変更が可能であり、例えば、動作表示の場合には表示部46を点灯させ、エラー表示の場合には点滅させるように構成したり、或いは、パチンコ遊技機1の各構成部位に対応付けて複数の表示部を設けるように構成したりすることが可能である。
【0032】
さらに、本発明は、スロットマシン等、上記したパチンコ遊技機以外の遊技機にも適用可能であることは言う迄もない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機の概略構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機を示す正面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機を示す背面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機において遊技球を検出した時に検出スイッチが出力する検出信号を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機においてコネクタを抜脱した時に検出スイッチが出力するエラー検出信号を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 パチンコ遊技機
2 遊技用装置
4 カード挿入口
13 遊技領域
17 始動入賞口
18 大入賞口
19 始動入賞口検出スイッチ
20 大入賞口検出スイッチ
31 球払出装置
33 球切れ検出スイッチ
39 払出制御装置
46 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技用装置により貸し出された遊技媒体を使用して遊技を行う遊技機であって、
前記遊技用装置に挿入された遊技媒体貸出用記録媒体の残数を遊技機の前面側において表示可能な表示部と、
前記遊技機を構成する部位の動作を検出するための検出手段と、
該検出手段により出力される検出信号に基づき、前記表示部に前記部位の動作を状態表示として出力させる払出制御装置と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記検出手段は、前記遊技機を構成する部位の異常動作を検出し、この異常動作をエラー検出信号として出力可能なエラー検出手段を含んでおり、前記払出制御装置は、前記エラー検出手段から出力されたエラー検出信号に基づき、前記表示部に前記部位の異常動作をエラー表示として出力可能なように構成されている請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記エラー検出手段は、遊技領域に配設された入賞装置への遊技球の入賞を検出するための検出センサを含んでおり、該検出センサは、コネクタを介して電気的に接続され、該コネクタの抜脱を前記エラー検出信号として出力可能なように構成されている請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記検出手段は、球払出装置の球払い出し動作時に検出信号を出力可能な動作検出手段を含んでおり、前記払出制御装置は、前記動作検出手段から出力された検出信号に基づき、前記表示部に前記球払出装置の動作表示を出力可能なように構成されている請求項1に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−280431(P2006−280431A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100908(P2005−100908)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】