説明

遊技機

【課題】個々の遊技者が最適に遊技を行える環境を容易に作り出すことができる遊技機を提供することにある。
【解決手段】主制御基板20(メインCPU20a)は、遊技者の掌の温度を検知する温度センサSE3の検知結果に基づき、発射装置18のグリップ部の温度を調節するための環境調節情報を生成する。また、メインCPU20aは、生成した環境調節情報に基づく調節信号S3を調節部31に出力する。そして、調節部31は、該調節信号S3の指示内容に基づき発射装置18のグリップ部の温度を自動調節する。また、調節操作部Cを操作することで、調節操作部Cの操作による指示内容に基づく調節信号S6が調節部31に出力され、調節部31は該調節信号S6の指示内容に基づきグリップ部の温度を再調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を行う遊技者に対する遊技機本体を構成する各種の機構成部材の環境を任意に調節可能に構成された遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一種であるパチンコ機は、図柄組み合わせゲームが行われる図柄表示装置、遊技領域に遊技球を発射する発射装置、及び遊技中に各種音声を出力する音声出力装置(スピーカ)などの各種の機構成部材を備えている。このようなパチンコ機では、遊技者が発射装置を操作すると遊技領域内に遊技球が発射され、該遊技球が所定の入賞口(始動入賞口)に入賞することにより、図柄表示装置では図柄組み合わせゲームが行われるようになっている。また、音声出力装置では、図柄組み合わせゲームの進行状況に応じて所定の効果音などが出力されるようになっている。そして、これらの各種の機構成部材は、パチンコ機本体に対して一義的に決められた配置(所定の位置、角度)や動作状態(表示の明暗、音量など)で設けられている。
【0003】
ところで、遊技を行う遊技者は、個々にその体格(又は体型)が異なっている。また、ある遊技者は図柄表示装置の表示が見易いと感じたのに他の遊技者は図柄表示装置の表示が見難いと感じたりするなど、遊技者の感覚も様々であった。換言すれば、個々の遊技者が最適に遊技を行っていると感じることができる環境(機構成部材の配置や動作状態など)は、遊技者の体格や感覚に応じて異なっている。そのため、前述のように、パチンコ機本体に対して一義的に決められた配置や動作状態で各種の機構成部材が設けられたパチンコ機にあっては、全ての遊技者が、個々の体格や感覚に応じた最適な環境下で遊技を行っているとは言い難かった。
【0004】
そこで、このような問題を解決するために、例えば、特開平10−113427号公報に示された構成(以下、「従来構成」という。)が提案されている。この従来構成では、発射装置の配置が調節可能に構成されており、遊技者が、自身の体格や好みに合わせて発射装置の配置を任意に調節できるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来構成においては、遊技者が遊技を行う度に(パチンコ機の前に設置された椅子に着座する度に)、発射装置などの機構成部材の配置を調節することを前提としている。また、パチンコ機は、複数の遊技者により遊技が行われるため、発射装置などの機構成部材の配置は、個々の遊技者が自身の好みに合わせて任意に調節してしまうことが考えられる。そのため、遊技者が遊技を行う度に機構成部材の調節を行う場合には、前回の遊技時に作り出した最適に遊技を行える環境を再び作り出すことが難しいと共に煩わしかった。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、個々の遊技者が最適に遊技を行える環境を容易に作り出すことができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、遊技盤の遊技領域に遊技球を発射する発射装置を備え、前記発射装置を操作する際に遊技者が把持するグリップ部の温度を調節可能に構成された遊技機において、前記グリップ部の温度を調節する調節手段と、前記グリップ部に設けられ、前記グリップ部を把持する遊技者の掌の温度を検知する遊技者情報検知手段と、前記遊技者情報検知手段の検知結果をもとに、前記グリップ部を把持した時の遊技者の掌の温度に応じて前記グリップ部の温度を自動調節するための環境調節情報を生成し、その生成した環境調節情報に対応する調節内容を指示する調節信号を前記調節手段に出力する環境調節情報生成手段と、機本体の前面側に設けられ、かつ前記グリップ部の温度を遊技者が手動調節する調節内容を指示する調節操作手段と、前記調節操作手段で指示された調節内容を検知し、その調節内容を指示する調節信号を前記調節手段に出力する検知手段と、を備え、前記調節手段は、前記環境調節情報生成手段からの前記調節信号の指示内容にしたがって前記遊技者情報検知手段が検知した前記グリップ部を把持した時の遊技者の掌の温度に応じて前記グリップ部の温度を自動調節するとともに、前記検知手段からの前記調節信号の指示内容にしたがって前記調節操作手段を操作した前記遊技者の手動調節による調節内容で前記グリップ部の温度を調節し、前記自動調節した前記グリップ部の温度を、前記遊技者による前記調節操作手段の操作によって再調節可能に構成したことを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遊技機において、遊技者の着座を検知する着座検知手段の検知結果を入力する検知結果入力手段を備え、前記遊技者情報検知手段は、前記着座検知手段により前記遊技者の着座が検知されることを契機に前記グリップ部を把持した時の遊技者の掌を検知することを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、個々の遊技者が最適に遊技を行える環境を容易に作り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をその一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という。)に具体化した一実施形態を図1〜図8に基づき説明する。なお、以下の説明における「上」「下」「左」「右」は、特に断りのない場合、機表側から見た場合の「上」「下」「左」「右」を示すものとする。
【0011】
図1にはパチンコ機(遊技機本体)10の機表側が略示されており、パチンコ機10において機体の外郭をなす外枠11の開口前面側には、各種の機構成部材をセットする縦長方形の中枠12が開閉及び着脱自在に組み付けられている。また、中枠12の前面側には、機内部に配置された遊技盤13を透視保護するためのガラス枠を備えた前枠14と上球皿15が共に横開き状態で開閉可能に組み付け整合されている。さらに、上球皿15の両側方には、所定の音声(効果音)を出力するための音声出力装置としてのスピーカ16が機裏側に配置されるように設けられている。さらに、中枠12の下部には下球皿17、発射装置18等が装着されている。また、発射装置18には、遊技者が該発射装置18を操作する際に把持するグリップ部18aが備えられている。
【0012】
また、遊技盤13の遊技領域13aの略中央には、図柄を可変(変動)させて図柄組み合わせゲームを行う図柄表示装置19が配設されている。そして、図柄表示装置19には、液晶画面からなる可視表示部Hが設けられており、当該可視表示部Hには、複数列(例えば、3列)の図柄が各列毎に表示されるようになっている。従って、遊技者は、可視表示部Hに表示された各列の図柄の組み合わせから大当り状態、リーチ状態又ははずれ状態のいずれかの状態を認識することができる。そして、図柄組み合わせゲームの結果、全列の図柄が同一の図柄からなる組み合わせとなった場合には、多数の遊技球(賞球)を獲得できるチャンスが遊技者に付与されるようになっている。
【0013】
そして、パチンコ機10は、遊技場に据え付けられた通称「島」とも呼ばれる設置枠台Kに設置されるようになっている。また、設置枠台Kに設置された各パチンコ機10には、その前方側に椅子CH(図3に示す。)が設置されており、遊技者(図3において符号Pで示す。)は、椅子CHに着座した状態で遊技を行うことができるようになっている。
【0014】
一方、パチンコ機10の機裏側には、遊技全体を制御するために各種の制御信号を出力する主制御基板(以下、「主基板」という。)20が装着されている(図1に破線で示す。)。また、主基板20には、図柄表示装置19に対して図柄制御を実行する図柄制御基板(以下、「図柄基板」という。)21が接続されている(図1に破線で示す。)。また、主基板20には、スピーカ16からの音声出力(効果音など)を制御(音声制御)する音声制御基板(以下、「音声基板」という。)22が接続されている(図1に破線で示す。)。さらに、パチンコ機10の機裏側には、遊技者が発射装置18を操作することにより、遊技領域13aに発射される遊技球の発射制御を行う発射制御基板(以下、「発射基板」という。)23が装着されている(図1に破線で示す。)。
【0015】
ここで、本実施形態における主基板20、図柄基板21、音声基板22及び発射基板23の具体的構成及び接続態様を図2に基づき説明する。
まず、主基板20は、パチンコ機10全体を制御するメインCPU20aを備えており、該メインCPU20aにはROM20b及びRAM20cが接続されている。そして、ROM20bには、パチンコ機10を制御するための各種制御プログラムが記憶保持されている。また、RAM20cには、パチンコ機10の稼動中に適宜書き換えられる各種制御情報が記憶保持されるようになっている。
【0016】
また、図柄基板21は、主基板20(メインCPU20a)から入力した制御信号に対応する制御コマンドに基づき図柄制御を実行するサブCPU21aを備えている。また、サブCPU21aには、ROM21b及びRAM21cが接続されている。そして、ROM21bには、図柄制御を実行するための制御プログラムが記憶保持されている。また、RAM21cには、パチンコ機10の稼動中に適宜書き換えられる各種情報などが記憶保持されるようになっている。
【0017】
また、音声基板22は、主基板20(メインCPU20a)から入力した制御信号に対応する制御コマンドに基づき音声制御を実行するサブCPU22aを備えている。また、サブCPU22aには、ROM22b及びRAM22cが接続されている。そして、ROM22bには、音声制御を実行するための制御プログラムが記憶保持されている。また、RAM22cには、パチンコ機10の稼動中に適宜書き換えられる各種情報などが記憶保持されるようになっている。
【0018】
また、発射基板23は、発射装置18と接続され、該発射基板23は、遊技者が発射装置18を操作することにより、遊技領域13aに発射される遊技球の発射制御を行うようになっている。具体的には、発射基板23は、発射装置18に対して、遊技球が所定の発射タイミング(例えば、100個/分)で発射されるように発射制御信号を出力するようになっている。
【0019】
そして、本実施形態のパチンコ機10は、該パチンコ機10で遊技を行う遊技者に対する各種の機構成部材(特に、スピーカ16、発射装置18、図柄表示装置19(可視表示部H))の環境を任意に調節可能に構成されている。なお、以下の説明において、特に断りのない場合、「機構成部材」としては、スピーカ16、発射装置18、図柄表示装置19(可視表示部H)を示すものとする。また、「遊技者に対する機構成部材の環境」とは、遊技者に対する機構成部材の視覚的環境、聴覚的環境、触覚的環境及び操作的環境である。
【0020】
なお、「視覚的環境」とは、遊技者の視覚器官(目)に関係する環境である。この視覚的環境としては、視覚情報(図柄など)を表示する図柄表示装置19(可視表示部H)の配置(上下位置、傾き)や動作状態(表示の明暗(濃淡)などの表示具合)が該当する。また、「聴覚的環境」とは、遊技者の聴覚器官(耳)に関係する環境である。この聴覚的環境としては、聴覚情報(効果音など)を出力するスピーカ16の配置(スピーカ16の向き)や動作状態(音量などの音声出力具合)が該当する。また、「触覚的環境」とは、遊技者の触覚器官(手(掌))に関係する環境である。この触覚的環境としては、遊技者が遊技球を発射する際に把持する発射装置18のグリップ部18aの状態(温度など)が該当する。また、「操作的環境」とは、遊技者の操作性に関係する環境である。この操作的環境としては、遊技者が遊技球を発射する際に操作する発射装置18の配置(上下左右斜め前後位置)が該当する。
【0021】
そして、本実施形態では、前述の各種環境を遊技者が最適と感じるように機構成部材の配置や動作状態などを自動調節又は手動調節できるようになっている。
最初に、自動調節を行うための具体的な構成について図1〜図3に基づき説明する。なお、本実施形態では、自動調節により、図柄表示装置19(可視表示部H)の配置(上下位置)及び動作状態(明暗)を、スピーカ16の動作状態(音量)を、グリップ部18aの状態(温度)を調節できるようになっている。
【0022】
この自動調節の場合には、遊技者の身体的特徴(遊技者情報)や遊技場の遊技環境を各種センサで検知し、該検知内容に基づき機構成部材の配置や動作状態などを調節するようになっている。なお、「遊技者の身体的特徴」とは、遊技を行う遊技者の身体の特徴であり、遊技者固有の身長や座高などの体格(体型)や、体調又は外的要因(気候、室温など)に応じて変動する手(掌)の温度などである。また、「遊技場の遊技環境」とは、遊技場で遊技を行う遊技者が置かれている環境であり、遊技場の光量(明るさ)や騒音量(騒がしさ)などである。例えば、照明器具が多く設置されている遊技場では、遊技者が明るい環境に置かれていることになる。また、パチンコ機10の設置台数や稼動数が多い遊技場又は音楽や場内アナウンスを大音量で流している遊技場では、遊技者が騒がしい環境に置かれていることになる。
【0023】
そして、遊技者の身体的特徴や遊技場の遊技環境を検知する各種センサは、設置枠台Kに設置された各パチンコ機10に対応するように配設されている。また、各種センサの検知内容は、各パチンコ機10の主基板20(メインCPU20a)に出力されるようになっている。そして、メインCPU20aは、各種センサの検知内容から遊技者の身体的特徴や遊技場の遊技環境を判別し、その判別結果から遊技者が最適に遊技を行うことができる環境を自動調節により作り出すための環境調節情報を生成するようになっている。従って、主基板20のメインCPU20aは、環境調節情報を生成する環境調節情報生成手段として機能する。
【0024】
以下、前述した各種センサについて具体的に説明する。
前記パチンコ機10の上部には、遊技者情報検知手段としての人検知センサSE1が配設されている。この人検知センサSE1は、図3に示すように、椅子CHに着座した遊技者の頭の位置付近を検知範囲としてあり、該検知範囲に存在する遊技者の頭の位置を検知している。そして、人検知センサSE1は、着座状態にある遊技者の頭の位置が、前記検知範囲において予め定めた複数の分割領域(上位置、中位置、下位置)のうちどの領域に存在するかを検知している。
【0025】
また、椅子CHの着座部CHaには、該椅子CHに遊技者が着座しているか否かを検知する着座センサSE2が配設されている(図3に示す。)。この着座センサSE2は、着座部CHaに対する荷重の変化により、遊技者が着座したか否かを検知している。そして、着座センサSE2は、パチンコ機10に遊技者が存在するか否かを検知する遊技者存在検知手段として機能する。また、発射装置18のグリップ部18aには、遊技者情報検知手段としての温度センサSE3が配設されている(図1に示す。)。この温度センサSE3は、発射装置18のグリップ部18aを把持する遊技者の手(掌)の温度を検知している。
【0026】
また、設置枠台Kには、パチンコ機10の上部に位置するように光検知センサSE4及び音検知センサSE5(共に遊技環境検知手段となる)が配設されている。前記光検知センサSE4は遊技場の光量(明るさ)を検知していると共に、音検知センサSE5は遊技場の騒音量(騒がしさ)を検知している。
【0027】
そして、メインCPU20aは、着座センサSE2が遊技者の着座を検知した状態(ON信号を出力した状態)において、人検知センサSE1及び温度センサSE3の検知内容から遊技者の身体的特徴(座高(身長)の高さ、手の温度)を判別するようになっている。また、メインCPU20aは、着座センサSE2が遊技者の着座を検知した状態(ON信号を出力した状態)において、光検知センサSE4及び音検知センサSE5の検知内容から遊技場の遊技環境(明るさ、騒がしさ)を判別するようになっている。このようにメインCPU20aは、着座センサSE2が遊技者の着座を検知した状態において、各センサSE1,SE3〜SE5の検知内容から遊技者の身体的特徴や遊技場の遊技環境を判別することで、遊技者が存在することを前提に機構成部材の配置や動作状態などを調節することができる。例えば、人検知センサSE1及び着座センサSE2の検知内容から遊技者の身体的特徴を判別することで、設置枠台K間の遊技場通路を歩いている遊技者や椅子CHに着座していない遊技者と、遊技を行う(又は行おうとしている)遊技者との判別を行うことができる。
【0028】
そして、メインCPU20aは、人検知センサSE1及び着座センサSE2の検知内容から、どのような座高(身長)の遊技者が椅子CHに着座したかを判別している。例えば、着座センサSE2がON信号を出力し、人検知センサSE1が上位置を検知した場合、メインCPU20aは、該検知内容から座高の高い(又は身長の高い)遊技者であることを判別できる。また、着座センサSE2がON信号を出力し、人検知センサSE1が下位置を検知した場合、メインCPU20aは、該検知内容から座高の低い(又は身長の低い)遊技者であることを判別できる。また、着座センサSE2がON信号を出力し、人検知センサSE1が中位置を検知した場合、メインCPU20aは、該検知内容から標準的な(設計時の想定による)座高(又は身長)の遊技者であることを判別できる。
【0029】
また、メインCPU20aは、温度センサSE3及び着座センサSE2の検知内容から、遊技者がどのような手の温度であるかを判別している。例えば、着座センサSE2がON信号を出力し、温度センサSE3が低温度を検知した場合、メインCPU20aは、該検知内容から手の温度が低い遊技者であることを判別できる。また、着座センサSE2がON信号を出力し、温度センサSE3が高温度を検知した場合、メインCPU20aは、該検知内容から手の温度が高い遊技者であることを判別できる。
【0030】
また、メインCPU20aは、光検知センサSE4及び着座センサSE2の検知内容から、遊技者がどのような明るさの中で遊技を行っているかを判別している。例えば、着座センサSE2がON信号を出力し、光検知センサSE4が光量多を検知した場合、メインCPU20aは、該検知内容から明るい環境の中で遊技者が遊技を行っていることを判別できる。また、着座センサSE2がON信号を出力し、光検知センサSE4が光量少を検知した場合、メインCPU20aは、該検知内容から暗い環境の中で遊技者が遊技を行っていることを判別できる。
【0031】
また、メインCPU20aは、音検知センサSE5及び着座センサSE2の検知内容から、遊技者がどのような騒がしさの中で遊技を行っているかを判別している。例えば、着座センサSE2がON信号を出力し、音検知センサSE5が騒音大を検知した場合、メインCPU20aは、該検知内容から騒がしい環境の中で遊技者が遊技を行っていることを判別できる。また、着座センサSE2がON信号を出力し、音検知センサSE5が騒音小を検知した場合、メインCPU20aは、該検知内容から静かな環境の中で遊技者が遊技を行っていることを判別できる。
【0032】
そして、図2に示すように、メインCPU20aには、図柄基板21に接続された図柄表示装置19(可視表示部H)の配置や動作状態を調節する調節部25が接続されている。この調節部25は、可視表示部Hの配置や動作状態を調節する調節機構26と、該調節機構26を制御する制御回路27を備えている。従って、制御回路27からの指示に基づき調節機構26は、可視表示部Hの配置として上下位置及び角度(遊技盤13の表面に対する可視表示部Hの傾き)を調節できるようになっている。なお、「遊技盤13の表面に対する可視表示部Hの傾き」とは、パチンコ機10の前後方向への傾きである。また、調節機構26は、可視表示部Hの動作状態として表示の明暗を調節できるようになっている。
【0033】
そして、メインCPU20aは、遊技者の座高(身長)に対して該遊技者が最適に遊技を行うことができるように可視表示部Hの上下位置を調節するための環境調節情報を生成する。また、メインCPU20aは、遊技場の明るさに対して遊技者が最適に遊技を行うことができるように可視表示部Hの表示の明暗を調節するための環境調節情報を生成する。そして、メインCPU20aは、環境調節情報を調節信号S1として調節部25の制御回路27に出力し、該制御回路27は、調節信号S1に基づき調節機構26を制御する。
【0034】
また、メインCPU20aには、音声基板22に接続されたスピーカ16の配置や動作状態を調節する調節部28が接続されている。この調節部28は、スピーカ16の配置や動作状態を調節する調節機構29と、該調節機構29を制御する制御回路30を備えている。従って、制御回路30からの指示に基づき調節機構29は、スピーカ16の配置として上下左右の向きを、スピーカ16の動作状態として音量を調節できるようになっている。
【0035】
そして、メインCPU20aは、遊技場の騒がしさに対して遊技者が最適に遊技を行うことができるようにスピーカ16の音量を調節するための環境調節情報を生成する。そして、メインCPU20aは、環境調節情報を調節信号S2として調節部28の制御回路30に出力し、該制御回路30は、調節信号S2に基づき調節機構29を制御する。
【0036】
また、メインCPU20aには、発射基板23に接続された発射装置18の配置やグリップ部18aの温度を調節する調節部31が接続されている。この調節部31は、発射装置18の配置やグリップ部18aの温度を調節する調節機構32と、該調節機構32を制御する制御回路33を備えている。従って、制御回路33からの指示に基づき調節機構32は、発射装置18の配置として上下左右斜め位置及びグリップ部18aの温度を調節できるようになっている。
【0037】
そして、メインCPU20aは、遊技者の手の温度に対して該遊技者が最適に遊技を行うことができるようにグリップ部18aの温度を調節するための環境調節情報を生成する。そして、メインCPU20aは、環境調節情報を調節信号S3として調節部31の制御回路33に出力し、該制御回路33は、調節信号S3に基づき調節機構32を制御する。
【0038】
次に、遊技者の指示(又は遊技者の操作)による手動調節によって機構成部材の配置や動作状態を調節するための構成を図1及び図6に基づき説明する。なお、本実施形態では、手動調節により、図柄表示装置19(可視表示部H)の配置(上下位置、傾き)及び動作状態(明暗)を、スピーカ16の配置(上下左右の向き)及び動作状態(音量)を調節できるようになっている。また、同じく手動調節により、発射装置18の配置(上下左右斜め)及びグリップ部18aの状態(温度)を調節できるようになっている。
【0039】
この手動調節の場合には、遊技者が機構成部材の配置や動作状態などを直接指示することにより、自身の好みに応じて環境を調節できるようになっている。
そして、図1に示すように、上球皿15の前面側略中央には、遊技者が機構成部材の配置や動作状態を調節する際に、その調節内容を指示するための調節操作部Cが設けられている。以下、図6に基づき調節操作部Cを説明する。
【0040】
この調節操作部Cには、可視表示部Hの配置や動作状態を指示するための表示装置調節操作部(以下、「表示操作部」という。)HCが設けられている。
前記表示操作部HCは、可視表示部Hの上下位置を3段階に調節できるように、基本位置ボタン40、上位置ボタン41及び下位置ボタン42を備えている。そして、基本位置ボタン40は、可視表示部Hが上下方向において基本位置となるように調節を指示するボタンとされている。なお、可視表示部Hの基本位置は、パチンコ機10の設計仕様に基づき適宜決定され、例えば、機前面側から見た場合に図柄表示装置19の略中央となる位置である。また、上位置ボタン41は該基本位置よりも可視表示部Hが上方の位置となるように調節を指示するボタンとされる一方で、下位置ボタン42は該基本位置よりも可視表示部Hが下方の位置となるように調節を指示するボタンとされている。
【0041】
また、表示操作部HCは、可視表示部Hの傾きを3段階に調節できるように、基本位置ボタン43、前傾位置ボタン44及び後傾位置ボタン45を備えている。そして、基本位置ボタン43は、可視表示部Hが遊技盤13の表面に対する傾き(角度)において基本位置となるように調節を指示するボタンとされている。なお、可視表示部Hの基本位置は、パチンコ機10の設計仕様に基づき適宜決定され、例えば、可視表示部Hの表面(表示面)が遊技盤13の表面に対して傾きが略0(零)度となる位置である。また、前傾位置ボタン44は該基本位置に対して可視表示部Hが前傾する位置となるように調節を指示するボタンとされる一方で、後傾位置ボタン45は該基本位置に対して可視表示部Hが後傾する位置となるように調節を指示するボタンとされている。
【0042】
また、表示操作部HCは、可視表示部Hの表示の明暗を段階的に調節できるように、明ボタン46及び暗ボタン47を備えている。そして、明ボタン46は可視表示部Hの表示の明るさが暗→明となるように調節を指示するボタンとされる一方で、暗ボタン47は可視表示部Hの表示の明るさが明→暗となるように調節を指示するボタンとされている。なお、可視表示部Hの表示の明暗は、両ボタン46,47の操作により、予め定めた範囲内(例えば、基準の明るさに対して明暗両方向に各3段階)において指示できるようになっている。
【0043】
そして、可視表示部Hは、遊技中に遊技者が最も注目する部位であると共に、遊技者に対して視覚情報を表示するようになっている。従って、この可視表示部Hの配置や動作状態を調節できるようにすることで、遊技者は視覚的な面において最適な環境下(最適な視覚的環境下)で遊技を行うことができる。
【0044】
また、調節操作部Cには、スピーカ16の配置や動作状態を指示するためのスピーカ調節操作部(以下、「音操作部」という。)SCが設けられている。
前記音操作部SCは、スピーカ16の向きを5方向に調節できるように、基本ボタン48、上方向ボタン49、下方向ボタン50、左方向ボタン51及び右方向ボタン52を備えている。そして、基本ボタン48は、スピーカ16が基本方向を向くように調節を指示するボタンとされている。なお、スピーカ16の基本方向は、パチンコ機10の設計仕様に基づき適宜決定され、例えば、遊技者に対して略正面(略対向)に向けられる方向である。また、上方向ボタン49は該基本方向よりもスピーカ16が上方の方向を向くように調節を指示するボタンとされる一方で、下方向ボタン50は該基本方向よりもスピーカ16が下方の方向を向くように調節を指示するボタンとされている。また、左方向ボタン51は該基本方向よりもスピーカ16が左方の方向を向くように調節を指示するボタンとされる一方で、右方向ボタン52は該基本方向よりもスピーカ16が右方の方向を向くように調節を指示するボタンとされている。
【0045】
また、音操作部SCは、スピーカ16の音量を段階的に調節できるように、音量大ボタン53及び音量小ボタン54を備えている。そして、音量大ボタン53は、スピーカ16の音量が小→大となるように調節を指示するボタンとされる一方で、音量小ボタン54は、スピーカ16の音量が大→小となるように調節を指示するボタンとされている。なお、スピーカ16の音量は、両ボタン53,54の操作により、予め定めた範囲内(例えば、基準の音量に対して大小両方向に各3段階)において指示できるようになっている。
【0046】
そして、スピーカ16は、遊技中、遊技者に対して聴覚情報である各種音声(効果音)が出力される部位となっている。従って、このスピーカ16の配置や動作状態を調節できるようにすることで、遊技者は聴覚的な面において最適な環境下(最適な聴覚的環境下)で遊技を行うことができる。
【0047】
また、調節操作部Cには、発射装置18の配置やグリップ部18aの温度を指示するための発射装置調節操作部(以下、「発射操作部」という。)LCが設けられている。
前記発射操作部LCは、発射装置18の配置を9位置に調節できるように、基本位置ボタン57、上位置ボタン58、下位置ボタン59、左位置ボタン60、右位置ボタン61、左上位置ボタン62、左下位置ボタン63、右上位置ボタン64及び右下位置ボタン65を備えている。そして、基本位置ボタン57は、発射装置18が基本位置となるように調節を指示するボタンとされている。なお、発射装置18の基本位置は、パチンコ機10の設計仕様に基づき適宜決定され、例えば、前記8位置(上下左右斜め)の略中央となる位置である。
【0048】
また、上位置ボタン58及び下位置ボタン59は、該基本位置よりも発射装置18が上方の位置又は下方の位置となるように調節を指示するボタンとされている。また、左位置ボタン60及び右位置ボタン61は、該基本位置よりも発射装置18が左方の位置又は右方の位置となるように調節を指示するボタンとされている。また、左上位置ボタン62及び左下位置ボタン63は、該基本位置よりも発射装置18が左斜め上の位置又は左斜め下の位置となるように調節を指示するボタンとされている。また、右上位置ボタン64及び右下位置ボタン65は、該基本位置よりも発射装置18が右斜め上の位置又は右斜め下の位置となるように調節を指示するボタンとされている。
【0049】
また、発射操作部LCは、グリップ部18aの温度を段階的に調節できるように、高温ボタン66及び低温ボタン67を備えている。そして、高温ボタン66は、グリップ部18aの温度が低温→高温となるように調節を指示するボタンとされる一方で、低温ボタン67は、グリップ部18aの温度が高温→低温となるように調節を指示するボタンとされている。なお、グリップ部18aの温度は、両ボタン66,67の操作により、予め定めた範囲内(例えば、基準の温度に対して高低両方向に各3段階)において指示できるようになっている。
【0050】
そして、発射装置18は、遊技領域13aに遊技球を発射する際に遊技者が操作する部位となっている。従って、この発射装置18の配置を調節できるようにすることで、遊技者は操作的な面において最適な環境下(最適な操作的環境下)で遊技を行うことができる。さらに、発射装置18のグリップ部18aは、遊技中、遊技者が把持する部位であり、このグリップ部18aの温度を調節できるようにすることで、遊技者は触覚的な面において最適な環境下(最適な触覚的環境下)で遊技を行うことができる。
【0051】
そして、図2に示すように、調節操作部Cには、該調節操作部Cの操作による指示内容(機構成部材の調節内容)を検知する検知部70が接続されている。この検知部70は、調節操作部Cに設けられた表示操作部HC、音操作部SC、発射操作部LCの操作に基づく遊技者の指示内容を検知するようになっている。
【0052】
また、検知部70には、調節部25,28,31が各別に接続されている。そして、検知部70は、表示操作部HCが操作されると、その指示内容を検知すると共に該指示内容に基づく調節信号S4を調節部25の制御回路27に出力するようになっている。この調節信号S4を入力した制御回路27は、その指示内容に基づき調節機構26を制御するようになっている。また、検知部70は、音操作部SCが操作されると、その指示内容を検知すると共に該指示内容に基づく調節信号S5を調節部28の制御回路30に出力するようになっている。この調節信号S5を入力した制御回路30は、その指示内容に基づき調節機構29を制御するようになっている。また、検知部70は、発射操作部LCが操作されると、その指示内容を検知すると共に該指示内容に基づく調節信号S6を調節部31の制御回路33に出力するようになっている。この調節信号S6を入力した制御回路33は、その指示内容に基づき調節機構32を制御するようになっている。
【0053】
また、検知部70は、主基板20(メインCPU20a)とも接続され、調節操作部Cの指示内容に基づく調節信号S4〜S6をメインCPU20aに出力するようになっている。そして、メインCPU20aは、入力した調節信号S4〜S6に対応する指示内容をRAM20cに記憶するようになっている。また、主基板20には、RAM20cに記憶保持された指示内容を環境情報として外部出力する出力手段としてのリード/ライト装置(以下、「R/W装置」という。)71が双方向に信号の入出力が可能な形態で接続されている。
【0054】
このR/W装置71は、図1に破線で示すように、上球皿15の内部であって、調節操作部Cの左方に配設されている。また、R/W装置71には、メインCPU20aからの指示により、環境情報が書込まれる記憶媒体としての磁気カード72(図2に示す。)を挿入する挿入口73が設けられている。また、メインCPU20aは、R/W装置71に磁気カード72が挿入された状態で、調節操作部Cに設けられた返却ボタンR(図6に示す。)が操作されると、R/W装置71に対して環境情報の書込み指示をするようになっている。そして、該指示を受けたR/W装置71は環境情報を磁気カード72に書込み、該磁気カード72を挿入口73から遊技者に返却するようになっている。従って、遊技者は、環境情報が書込まれた磁気カード72を自身で保有することができる。なお、磁気カード72は、パチンコ機10から自動発行される形態又は遊技店が発行する形態のいずれであっても良い。
【0055】
一方、メインCPU20aは、R/W装置71に環境情報が書込まれた磁気カード72が挿入されると、R/W装置71を介して環境情報を読込みRAM20cに記憶するようになっている。そして、メインCPU20aは、RAM20cに記憶させた環境情報の内容に基づき各調節部25,28,31に対して調節信号S7,S8,S9を出力するようになっている。また、該調節信号S7,S8,S9を入力した各調節部25,28,31は、前述同様に、機構成部材の配置や動作状態を調節するようになっている。
【0056】
次に、各調節部25,28,31の調節機構26,29,32のうち、調節機構26における可視表示部Hの配置を調節するための機構の一例を図7及び図8に基づき説明する。なお、以下の説明において、可視表示部Hの配置を調節するための機構を「位置角度調節機構P」という。そして、図7(a)〜(c)に示した位置角度調節機構Pは、右側が機表側、左側が機裏側となっている。また、図8(a)〜(c)は、機裏側から見た位置角度調節機構Pを図示している。
【0057】
前記位置角度調節機構Pは、制御回路27に接続され、該制御回路27からの指示を受けて、可視表示部Hの上下位置を調節する際に該可視表示部Hを上下移動させる正逆回転可能なモータ75を備えている。また、位置角度調節機構Pは、制御回路27に接続され、該制御回路27からの指示を受けて、可視表示部Hの角度(傾き)を調節する際に該可視表示部Hを揺動させる油圧又はエア式のシリンダ76を備えている。
【0058】
そして、モータ75及びシリンダ76は、上下方向に延びるように配設された左右一対の案内レール77,78を支持する左右方向に延びる複数本(本実施形態では4本)の支持板79に装着されている。具体的には、モータ75は2本の支持板79に本体が固定配置されていると共に、シリンダ76は、そのロッド80の先端が最上方に位置する支持板79に取り付けられている。また、両案内レール77,78の下端側には、該案内レール77,78を支持すると共に、該両案内レール77,78の揺動(前傾動作及び後傾動作)を許容する支持軸81が設けられている。
【0059】
また、両案内レール77,78には、図柄表示装置19の可視表示部Hが固定される固定板82が上下方向に摺動自在に装着されている。この固定板82には、両案内レール77,78と対応する位置に断面凹状をなす左右一対の案内部材83,84が上下方向に所定の間隔を空けて2組設けられている。そのため、固定板82は、両案内レール77,78に各案内部材83,84が係合されることにより、両案内レール77,78に対して摺動自在に装着されることになる。また、固定板82には、モータ75の回転軸85に連結されたピニオン86に噛合されるラック87が上下方向に延設されている。
【0060】
従って、制御回路27からの指示を受けて回転駆動するモータ75の正回転方向又は逆回転方向の回転力は、ピニオン86を介してラック87に動力伝達され、該ラック87により直線移動(上下移動)時の推力に変換される。そして、固定板82に装着された可視表示部Hは、モータ75が正回転(=時計回り方向への回転)すると、図8(c)に示すように、両案内レール77,78に摺動案内されながら下方位置(下降位置)に移動する。その結果、可視表示部Hは、図8(a)に示す基本位置に対して下方の位置に配置される。また、固定板82に装着された可視表示部Hは、モータ75が逆回転(=反時計回り方向への回転)すると、図8(b)に示すように、両案内レール77,78に摺動案内されながら上方位置(上昇位置)に移動する。その結果、可視表示部Hは、図8(a)に示す基本位置に対して上方の位置に配置される。
【0061】
そして、案内レール78には、可視表示部H(固定板82)が基本位置、上昇位置又は下降位置のいずれの位置に配置されているかを検知する上昇位置センサSE6及び下降位置センサSE7が設けられている。前記上昇位置センサSE6は、可視表示部Hが基本位置よりも上方の位置に移動した際に、固定板82の上端部82a側を検知できる位置に設けられている。その一方で、下降位置センサSE7は、可視表示部Hが基本位置よりも下方の位置に移動した際に、固定板82の下端部82b側を検知できる位置に設けられている。また、両位置センサSE6,SE7は、可視表示部Hが基本位置に配置されている状態で、固定板82の上端部82a側及び下端部82b側を検知できない位置に設けられている。
【0062】
そして、両位置センサSE6,SE7は、図2に示すように、主基板20のメインCPU20aに接続されており、固定板82を検知すると、メインCPU20aにON信号を出力するようになっている。なお、両位置センサSE6,SE7は、固定板82を検知していない場合、メインCPU20aにOFF信号を出力するようになっている。
【0063】
また、制御回路27からの指示を受けて伸縮駆動するシリンダ76の伸びる方向又は縮む方向の推力は、ロッド80を介して両案内レール77,78に動力伝達される。そして、固定板82に装着された可視表示部Hは、ロッド80を介して伸びる方向への推力が動力伝達されると、図7(b)に示すように、支持軸81を揺動基点として前傾位置に傾動する。その結果、可視表示部Hは、図7(a)に示す基本位置に対して前傾した位置に配置される。また、固定板82に装着された可視表示部Hは、ロッド80を介して縮む方向への推力が動力伝達されると、図7(c)に示すように、支持軸81を揺動基点として後傾位置に傾動する。その結果、可視表示部Hは、図7(a)に示す基本位置に対して後傾した位置に配置される。
【0064】
次に、このように構成されたパチンコ機10において、機構成部材の配置や動作状態を調節し、遊技者が最適に感じることができる環境を作り出すための態様を具体的に説明する。なお、以下の説明では、その一例として、可視表示部Hの配置(上下位置)を自動調節又は手動調節で調節する態様を中心に説明する。
【0065】
最初に、可視表示部Hの配置が自動調節により調節される態様を図2〜図5に基づき説明する。
図3に示すように、遊技者が椅子CHに着座すると、着座部CHaに配設された着座センサSE2は、主基板20のメインCPU20aにON信号を出力する。また、パチンコ機10の上部に配設された人検知センサSE1は、遊技者の頭の位置が上位置、中位置又は下位置のどの領域に存在するか検知し、該検知信号をメインCPU20aに出力する。一方、メインCPU20aは、人検知センサSE1及び着座センサSE2の検知内容から遊技者の身体的特徴(座高の高低)を判別する。そして、メインCPU20aは、該判別結果(遊技者の身体的特徴)から該遊技者に適する可視表示部Hの配置を決定する。
【0066】
具体的には、図4に示すように、人検知センサSE1の検知内容が上位置の場合、座高の高い遊技者であることを判別し、目線の位置が高い遊技者に合わせて可視表示部Hの配置として上昇位置を決定する。また、人検知センサSE1の検知内容が下位置の場合、座高の低い遊技者であることを判別し、目線の位置が低い遊技者に合わせて可視表示部Hの配置として下降位置を決定する。また、人検知センサSE1の検知内容が中位置の場合、標準的な座高の遊技者であることを判別し、目線の位置が標準的な遊技者に合わせて可視表示部Hの配置として基本位置を決定する。
【0067】
そして、遊技者に適する可視表示部Hの配置を決定したメインCPU20aは、図7及び図8に示した位置角度調節機構Pに設けられた上昇位置センサSE6及び下降位置センサSE7の検知内容から可視表示部Hの現在の配置を判定する。また、メインCPU20aは、その判定結果に基づき可視表示部Hが遊技者に適する配置となるように自動調節するための環境調節情報を生成する。
【0068】
具体的には、図5(a)〜(c)に示すように、メインCPU20aは、上昇位置センサSE6からON信号を入力し、かつ、下降位置センサSE7からOFF信号を入力している場合、可視表示部Hが上昇位置(図8(b))に配置されていることを判定する。また、メインCPU20aは、上昇位置センサSE6からOFF信号を入力し、かつ、下降位置センサSE7からOFF信号を入力している場合、可視表示部Hが基本位置(図8(a))に配置されていることを判定する。また、メインCPU20aは、上昇位置センサSE6からOFF信号を入力し、かつ、下降位置センサSE7からON信号を入力している場合、可視表示部Hが下降位置(図8(c))に配置されていることを判定する。
【0069】
そして、メインCPU20aは、可視表示部Hを上昇位置に配置する場合(図5(a))、可視表示部Hが既に上昇位置に配置されていれば、その状態を維持させるための環境調節情報を生成する。また、メインCPU20aは、可視表示部Hが基本位置に配置されていれば、該基本位置から上昇位置まで上昇移動させるための環境調節情報を生成する。また、メインCPU20aは、可視表示部Hが下降位置に配置されていれば、該下降位置から上昇位置まで上昇移動させるための環境調節情報を生成する。
【0070】
また、メインCPU20aは、可視表示部Hを基本位置に配置する場合(図5(b))、可視表示部Hが上昇位置に配置されていれば、該上昇位置から基本位置まで下降移動させるための環境調節情報を生成する。また、メインCPU20aは、可視表示部Hが既に基本位置に配置されていれば、その状態を維持させるための環境調節情報を生成する。また、メインCPU20aは、可視表示部Hが下降位置に配置されていれば、該下降位置から基本位置まで上昇移動させるための環境調節情報を生成する。
【0071】
また、メインCPU20aは、可視表示部Hを下降位置に配置する場合(図5(c))、可視表示部Hが上昇位置に配置されていれば、該上昇位置から下降位置まで下降移動させるための環境調節情報を生成する。また、メインCPU20aは、可視表示部Hが基本位置に配置されていれば、該基本位置から下降位置まで下降移動させるための環境調節情報を生成する。また、メインCPU20aは、可視表示部Hが既に下降位置に配置されていれば、その状態を維持させるための環境調節情報を生成する。
【0072】
そして、メインCPU20aは、生成した環境調節情報に基づき調節信号S1を調節部25の制御回路27に出力する。また、制御回路27は、該調節信号S1の指示内容に基づき、調節機構26(この場合、位置角度調節機構P)を制御し、該調節機構26は、可視表示部Hの配置を自動調節する。その結果、可視表示部Hの配置は、遊技者の身体的特徴(座高の高さ)に適する位置に配置される。そのため、遊技者は、椅子CHに着座した段階で、最適と感じられる視覚的環境下で遊技を開始することができる。そして、遊技者は、可視表示部Hの表示内容を略水平目線に近い状態で視認することができる。
【0073】
また、メインCPU20aは、温度センサSE3の検知内容から発射装置18のグリップ部18aの温度を調節するための環境調節情報を生成する。即ち、手の温度が低い遊技者の場合には、グリップ部18aの温度を高くするための環境調節情報を生成し、手の温度が高い遊技者の場合には、グリップ部18aの温度を低くするための環境調節情報を生成する。そして、メインCPU20aは、生成した環境調節情報に基づき調節信号S3を調節部31の制御回路33に出力する。また、制御回路33は、該調節信号S3の指示内容に基づき、調節機構32を制御し、該調節機構32は、グリップ部18aの温度を自動調節する。従って、遊技者は、椅子CHに着座した段階で、最適と感じられる触覚的環境下で遊技を開始することができる。
【0074】
また、メインCPU20aは、光検知センサSE4の検知内容から可視表示部Hの表示の明暗を調節するための環境調節情報を生成する。即ち、遊技場の光量が多い場合には、可視表示部Hの表示を明るくするための環境調節情報を生成し、遊技場の光量が少ない場合には、可視表示部Hの表示を暗くするための環境調節情報を生成する。そして、メインCPU20aは、生成した環境調節情報に基づき調節信号S1を調節部25の制御回路27に出力する。また、制御回路27は、該調節信号S1の指示内容に基づき、調節機構26を制御し、該調節機構26は、可視表示部Hの表示の明暗を自動調節する。従って、遊技者は、椅子CHに着座した段階で、最適と感じられる視覚的環境下で遊技を開始することができる。
【0075】
また、メインCPU20aは、音検知センサSE5の検知内容からスピーカ16の音量を調節するための環境調節情報を生成する。即ち、遊技場が騒がしい場合には、スピーカ16の音量を大きくするための環境調節情報を生成し、遊技場が静かな場合には、スピーカ16の音量を小さくするための環境調節情報を生成する。そして、メインCPU20aは、生成した環境調節情報に基づき調節信号S2を調節部28の制御回路30に出力する。また、制御回路30は、該調節信号S2の指示内容に基づき、調節機構29を制御し、該調節機構29は、スピーカ16の音量を自動調節する。従って、遊技者は、椅子CHに着座した段階で、最適と感じられる聴覚的環境下で遊技を開始することができる。
【0076】
このように、各調節部25,28,31は、メインCPU20aが生成した環境調節情報に基づき、可視表示部Hの配置や表示の明暗、スピーカ16の音量、グリップ部18aの温度を夫々自動調節しており、調節手段として機能する。
【0077】
次に、可視表示部Hの配置が手動調節により調節される態様を図2及び図6に基づき説明する。なお、遊技者が椅子CHに着座すると、可視表示部Hの配置は、前述した自動調節により調節が行われるようになっており、遊技者による手動調節は、該自動調節後に行われることになる。
【0078】
即ち、遊技者は、自動調節後の可視表示部Hの配置に対して調節操作部C(表示操作部HC)を操作することにより再調節を行うことができる。例えば、自動調節後の可視表示部Hの配置が基本位置であって、該配置を上方に変更したい場合、遊技者は、表示操作部HCの上位置ボタン41を押下操作する。すると、検知部70は、上位置ボタン41の押下操作に基づく指示内容(可視表示部Hを上昇位置にする。)を検知する。また、検知部70は、該検知結果に基づく調節信号S4を調節部25の制御回路27及び主基板20のメインCPU20aに対して出力する。この調節信号S4を入力した制御回路27は、該指示内容に基づき調節機構26(位置角度調節機構P)を制御する。そして、調節機構26は、可視表示部Hを基本位置(図8(a))から上昇位置(図8(b)まで上昇移動させる。その結果、移動後の可視表示部Hは基本位置よりも上方の配置となる上昇位置に配置される。一方、調節信号S4を入力したメインCPU20aは、該指示内容をRAM20cに記憶する。
【0079】
また、遊技者は、自動調節された可視表示部Hの表示の明暗、スピーカ16の音量及びグリップ部18aの温度についても、前述同様に、調節操作部C(表示操作部HC、音操作部SC、発射操作部LC)を操作することにより再調節を行うことができる。
【0080】
具体的には、可視表示部Hの表示の明暗を再調節する場合、遊技者は、表示操作部HCの明ボタン46又は暗ボタン47のいずれかを操作する。また、スピーカ16の音量を再調節する場合、遊技者は、音操作部SCの音量大ボタン53又は音量小ボタン54のいずれかを操作する。また、グリップ部18aの温度を再調節する場合、遊技者は、発射操作部LCの高温ボタン66又は低温ボタン67のいずれかを操作する。そして、検知部70は、これらの指示内容を検知し、各調節部25,28,31(各制御回路27,30,33)及びメインCPU20aに対して調節信号S4〜S6を出力する。また、調節信号S4〜S6を入力した各制御回路27,30,33は、該指示内容に基づき各々調節機構26,29,32を制御する。一方、調節信号S4〜S6を入力したメインCPU20aは、該指示内容をRAM20cに記憶する。
【0081】
このように、遊技者は、調節操作部Cを操作することにより、可視表示部Hの配置や表示の明暗、スピーカ16の音量、グリップ部18aの温度を夫々手動調節できるようになっており、調節操作部Cは再調節手段として機能する。
【0082】
さらに、遊技者は、調節操作部Cを操作することにより、スピーカ16の配置や発射装置18の配置を手動調節することもできる。そして、検知部70は、これらの指示内容を検知し、調節部28,31(制御回路30,33)及びメインCPU20aに対して調節信号S5,S6を出力する。また、調節信号S5,S6を入力した各制御回路30,33は、該指示内容に基づき各々調節機構29,32を制御する。一方、調節信号S5,S6を入力したメインCPU20aは、該指示内容をRAM20cに記憶する。
【0083】
従って、遊技者は、調節操作部Cの操作により、機構成部材の配置や動作状態などを調節することで、自身の好みに応じた最適な環境を作り出すことができる。また、自動調節で作り出された環境を遊技者の指示により再調節できるようにすることで、遊技者の好みを反映させた環境を作り出すことができる。
【0084】
また、遊技を終了した遊技者は、次回の遊技時においても同一の環境下で遊技を行えるように、手動調節後の機構成部材の配置や動作状態などをパチンコ機10から出力する。即ち、遊技者は、磁気カード72をR/W装置71の挿入口73に挿入し、調節操作部Cに設けられた返却ボタンRを押下操作する。すると、主基板20のメインCPU20aは、RAM20cに記憶した手動調節時の指示内容を環境情報として書込むようにR/W装置71に指示する。そして、該指示を受けたR/W装置71は、環境情報を磁気カード72に書込み、該磁気カード72を遊技者に返却する。
【0085】
そして、次回、来店した遊技者は、自身の保有する磁気カード72をR/W装置71の挿入口73に挿入する。すると、磁気カード72に書込まれた環境情報が読込まれ、メインCPU20aは読込んだ環境情報をRAM20cに記憶する。そして、メインCPU20aは、該環境情報に基づき調節信号S7〜S9を各調節部25,28,31(各制御回路27,30,33)に出力する。また、該調節信号S4〜S6を入力した各制御回路27,30,33は、該指示内容に基づき各々調節機構26,29,32を制御する。その結果、機構成部材の配置や動作状態などは、前回の遊技時と同一の環境となるように調節される。なお、環境情報に基づく調節は、前述した自動調節後に行われるようになっている。従って、遊技者は、前回の遊技時と同一の環境下で遊技を行うことができると共に、該環境を容易に作り出すことができる。
【0086】
このように、主基板20のメインCPU20aは、磁気カード72から読込んだ環境情報に基づき機構成部材の配置や動作状態などを調節するように各調節部25,28,31を制御しており、制御手段としても機能する。
【0087】
従って、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)遊技者の身体的特徴(実施形態では座高(身長)の高低など)に基づき、機構成部材の配置や動作状態などの環境を自動調節するように構成されている。そのため、遊技者は、遊技を行う度に機構成部材の配置や動作状態などが自身の体型(体格)などに適合するか否かを考えながら調節する必要がなくなる。従って、個々の遊技者が最適に遊技を行える環境を容易に作り出すことができる。
【0088】
(2)また、遊技場の遊技環境(実施形態では明るさ、騒がしさ)に基づき、機構成部材の配置や動作状態などの環境を自動調節するように構成されている。従って、遊技者の体型(体格)だけではなく、遊技場の遊技環境に対しても個々の遊技者が最適に遊技を行える環境を容易に作り出すことができる。
【0089】
(3)また、機構成部材の配置や動作状態などが自動調節されるため、遊技者は、椅子CHに着座するだけで、最適に遊技を行える環境を得ることができる。また、遊技者の身体的特徴や遊技場の遊技環境から遊技者にとって最適と考えられる環境(機構成部材の配置や動作状態など)を遊技者に対して自動的に付与(提供)することができる。
【0090】
(4)メインCPU20aは、各種センサSE1〜SE5の検知内容から遊技者の身体的特徴や遊技場の遊技環境を判別し、その判別結果から自動調節を行うための環境調節情報を生成している。そのため、個々の遊技者によって異なる身体的特徴や遊技場毎(又はその時々の遊技場の状況毎)に異なる遊技環境に対して柔軟に対応でき、これらの状況に応じて最適に遊技を行える環境を作り出すことができる。また、機構成部材の配置や動作状態などを自動調節するための構成が簡単であり、導入に掛かる費用(パチンコ機10の導入費、設置枠台Kの改造費など)の増加を抑制することができる。
【0091】
(5)自動調節後の機構成部材の配置や動作状態などを調節操作部Cの操作により遊技者が手動で再調節できるようになっている。従って、遊技者は、自身の好み、個性又は感覚などを反映させた環境を作り出すことができる。即ち、遊技者は、自身にとってより最適な環境を作り出すことができる。
【0092】
(6)調節操作部Cの操作によって調節された機構成部材の配置や動作状態などは、環境情報として遊技者に出力されるようになっている。そのため、遊技者は、自身が最適に遊技を行える環境を保有することができる。また、環境情報は磁気カード72に書込まれると共に、メインCPU20aは磁気カード72に書込まれた環境情報に基づき機構成部材の配置や動作状態などを調節するようなっている。そのため、遊技者は、前回の遊技時と同様に最適に遊技を行える環境を迅速、かつ、容易に作り出すことができる。
【0093】
(7)可視表示部Hの配置や動作状態を調節できるようになっている。そのため、遊技者は、遊技中に最も注目する部位の調節がなされることで、視覚的な面において最適な環境で遊技を行うことができる。従って、遊技者は、可視表示部Hの表示内容が見易くなり、表示演出を十分に楽しむことができる。
【0094】
(8)スピーカ16の配置や動作状態を調節できるようになっている。そのため、遊技者は、遊技中の各種音声(効果音)が出力される部位の調節がなされることで、聴覚的な面において最適な環境で遊技を行うことができる。従って、遊技者は、スピーカ16から出力される音声が聞き易くなり、音声演出を十分に楽しむことができる。
【0095】
(9)発射装置18の配置を調節できるようになっている。そのため、遊技者は、遊技球を発射する際に操作する部位の調節がなされることで、操作性の面において最適な環境で遊技を行うことができる。従って、遊技者は、長時間に亘って遊技を行っても疲労感が感じにくく、疲労の少ない環境で遊技を楽しむことができる。また、発射装置18のグリップ部18aの温度を調節できるようになっている。そのため、遊技者は、触覚的な面において最適な環境で遊技を行うことができる。
【0096】
なお、前記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、スピーカ16は、配置及び動作状態のうち少なくともいずれか一方を調節できるように構成しても良い。また、スピーカ16の動作状態として音域、音質、音声内容又は複数のスピーカ16が配設されている場合には音声出力バランスなどその他の音声出力具合を調節できるようにしても良い。また、スピーカ16の配置として、上下左右斜め位置や角度などを調節できるようにしても良い。即ち、調節可能とするスピーカ16の配置及び動作状態は任意に選択することができる。さらに、これらの調節は、自動調節又は手動調節のいずれであっても良い。
【0097】
・前記実施形態において、可視表示部Hは、配置及び動作状態のうち少なくともいずれか一方を調節できるように構成しても良い。また、可視表示部Hの動作状態として色合い(色の配合)、文字やキャラクタの大きさ(表示形態)などその他の表示具合を調節できるようにしても良い。即ち、調節可能とする可視表示部Hの配置及び動作状態は任意に選択することができる。さらに、これらの調節は、自動調節又は手動調節のいずれであっても良い。
【0098】
・前記実施形態において、発射装置18は、配置及び動作状態のうち少なくともいずれか一方を調節できるように構成しても良い。例えば、発射装置18の動作状態として単位時間当りの発射球数や打ち出しの強弱などの球発射具合を調節できるようにしても良い。また、発射装置18の配置として、角度(傾き)などを調節できるようにしても良い。即ち、調節可能とするスピーカ16の配置及び動作状態は任意に選択することができる。さらに、これらの調節は、自動調節又は手動調節のいずれであっても良い。
【0099】
・前記実施形態では、機構成部材の配置や動作状態を各調節部25,28,31の各調節機構26,29,32で調節するようになっているが、機構成部材の動作状態を図柄基板21、音声基板22、発射基板23の指示により調節を行うようにしても良い。即ち、主基板20(メインCPU20a)又は検知部70は、動作状態の調節に関する調節信号S1〜S9を前記各基板21〜23に出力し、該信号を入力した前記各基板21〜23が動作状態を調節するようにしても良い。この場合、各基板21〜23は、調節手段又は再調節手段として機能する。
【0100】
・前記実施形態において、遊技中の遊技者の姿勢(椅子CHへの凭れ具合)を検知し、該検知内容に基づき可視表示部Hの配置を自動調節するようにしても良い。この場合、遊技者の姿勢を検知する姿勢検知センサとして例えば圧力センサなどを椅子CHの背凭れに配設し、該センサの検知内容に基づきメインCPU20aが環境調節情報を生成する。なお、姿勢検知センサは、遊技者の遊技姿勢(遊技者情報)を検知する遊技者情報検知手段として機能する。
【0101】
・前記実施形態において、人検知センサSE1、光検知センサSE4及び音検知センサSE5は、パチンコ機10の本体側又は設置枠台K側のいずれに配設されていても良い。
・前記実施形態では、遊技者が調節操作部Cを操作することにより、機構成部材の配置や動作状態を手動調節しているが、調節操作部Cを省略しても良い。即ち、可視表示部H、スピーカ16及び発射装置18を遊技者の手で直接触れて操作し、その配置などを調節できるようにしても良い。この場合、直接操作する手段が再調節手段として機能する。
【0102】
・前記実施形態では、環境情報を磁気カード72に書込むようになっているが、R/W装置71が環境情報を外部出力する形態は適宜変更しても良い。例えば、ICチップ内蔵式カードなどその他の記憶媒体に環境情報を書込み外部出力しても良い。また、環境情報をバーコード等の情報に変換した後、用紙に印刷して外部出力しても良い。そして、該用紙に印刷されたバーコードから環境情報を読込むようにしても良い。さらに、R/W装置71に代えて、パチンコ機10にプリンタを設け、環境情報をプリント出力しても良い。この場合、遊技者は、次回の遊技時、プリント出力された環境情報の内容を見ながら調節操作部Cを操作して手動調節を行うことができる。
【0103】
・前記実施形態では、環境情報を読込んだ主基板20(メインCPU20a)の指示により機構成部材の配置や動作状態などが調節されているが、主基板20に代えて他の制御手段の指示により機構成部材の配置や動作状態などを調節するようにしても良い。例えば、他の制御手段として、図柄基板21、音声基板22又は発射基板23でも良いし、機構成部材の配置や動作状態などの調節を専門的に行う専用基板であっても良い。
【0104】
・前記実施形態では、可視表示部H、スピーカ16及び発射装置18の配置や動作状態などを調節(自動又は手動)できるようになっているが、他の機構成部材の配置や動作状態などを調節(自動又は手動)できるようにしても良い。例えば、下球皿17の角度(中枠12の表面に対する傾き)などの配置を調節できるようにしても良い。また、前枠14の上部側に設けられた電飾ランプ88(図1に示す)の色合いや明暗などの電飾表示具合(動作状態)を調節できるようにしても良い。
【0105】
・前記実施形態は、パチンコ機10に具体化したが、スロットマシン(パチスロ)、遊技球を遊技媒体としたスロットマシン、アレンジボール機、雀球機など他の遊技機に具体化することもできる。例えば、スロットマシンでは、図柄表示装置、スタートレバー及びストップボタンなどの配置を調節(自動又は手動)できるようにしても良い。
【0106】
次に前記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
・前記再調節手段による調節後の前記機構成部材の環境を環境情報として所定の出力形態で外部出力する出力手段をさらに備えた遊技機。以下、この技術的思想を「技術的思想1」とする。
【0107】
・前記出力手段は、前記環境情報を所定の記憶媒体に書込み、該記憶媒体を外部出力するように構成されていると共に、外部出力された前記記憶媒体から前記環境情報を読込み、該環境情報に基づき、前記機構成部材の環境を調節するように前記調節手段を制御する制御手段をさらに備えた前記技術的思想1に記載の遊技機。
【0108】
・前記調節手段は、遊技者に対する前記機構成部材の視覚的環境、聴覚的環境、触覚的環境及び操作的環境のうち少なくともいずれか一つの環境を調節するように構成された遊技機。
【0109】
・前記調節手段は、前記環境調節情報に基づき、遊技領域に設けられた図柄表示装置の配置及び表示具合のうち少なくともいずれか一方を調節するように構成された遊技機。
・前記調節手段は、前記遊技環境検知手段が検知した遊技場の明るさに関する環境調節情報に基づき、遊技領域に設けられた図柄表示装置の表示具合を調節するように構成された遊技機。
【0110】
・前記調節手段は、前記環境調節情報に基づき、遊技領域に遊技球を発射する発射装置の配置及び球発射具合のうち少なくともいずれか一方を調節するように構成された遊技機。
【0111】
・前記調節手段は、前記遊技者情報検知手段が検知した遊技者の掌の温度に関する環境調節情報に基づき、遊技領域に遊技球を発射する発射装置を構成し、該発射装置を操作する際に遊技者が把持するグリップ部の温度を調節するように構成された遊技機。
【0112】
・前記調節手段は、前記環境調節情報に基づき、遊技中に各種音声を出力する音声出力装置の配置及び音声出力具合のうち少なくともいずれか一方を調節するように構成された遊技機。
【0113】
・前記調節手段は、前記遊技環境検知手段が検知した遊技場の騒音に関する環境調節情報に基づき、遊技中に各種音声を出力する音声出力装置の音声出力具合を調節するように構成された遊技機。
【0114】
・前記再調節手段は、遊技者の指示又は遊技者の操作により、遊技領域に設けられた図柄表示装置の配置及び表示具合のうち少なくともいずれか一方を調節するように構成された遊技機。
【0115】
・前記再調節手段は、遊技者の指示又は遊技者の操作により、遊技領域に遊技球を発射する発射装置の配置及び球発射具合のうち少なくともいずれか一方を調節するように構成された遊技機。
【0116】
・前記再調節手段は、遊技者の指示又は遊技者の操作により、遊技中に各種音声を出力する音声出力装置の配置及び音声出力具合のうち少なくともいずれか一方を調節するように構成された遊技機。
【0117】
・遊技者の身体的特徴及び遊技姿勢のうち少なくともいずれか一方の遊技者情報を検知する遊技者情報検知手段と、該遊技者情報検知手段の検知結果に基づき、遊技機本体を構成する各種の機構成部材の環境を調節するための環境調節情報を生成する環境調節情報生成手段と、該環境調節情報生成手段が生成した前記環境調節情報に基づき、遊技者に対する前記機構成部材の環境を自動調節する調節手段とを備えた遊技システム。
【0118】
・遊技場の遊技環境を検知する遊技環境検知手段と、該遊技環境検知手段の検知結果に基づき、遊技機本体を構成する各種の機構成部材の環境を調節するための環境調節情報を生成する環境調節情報生成手段と、該環境調節情報生成手段が生成した前記環境調節情報に基づき、遊技者に対する前記機構成部材の環境を自動調節する調節手段とを備えた遊技システム。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】パチンコ遊技機の機表側を示す正面図。
【図2】機構成部材の配置や動作状態などを調節するための電気的構成を示すブロック図。
【図3】椅子に着座した状態の遊技者を示す模式図。
【図4】人検知センサ及び着座センサの検知内容から決定される可視表示部の配置を説明する説明図。
【図5】(a)は可視表示部を上昇位置に調節するために生成される環境調節情報を説明する説明図、(b)は可視表示部を基本位置に調節するために生成される環境調節情報を説明する説明図、(c)は可視表示部を下降位置に調節するために生成される環境調節情報を説明する説明図。
【図6】調節操作部を示す平面図。
【図7】(a)は可視表示部が基本位置に配置された状態を示す側面図、(b)は可視表示部が前傾位置に配置された状態を示す側面図、(c)は可視表示部が後傾位置に配置された状態を示す側面図。
【図8】(a)は可視表示部が基本位置に配置された状態を示す背面図、(b)は可視表示部が上昇位置に配置された状態を示す背面図、(c)は可視表示部が下降位置に配置された状態を示す背面図。
【符号の説明】
【0120】
C…調節操作部(調節操作手段)、H…可視表示部(機構成部材)、SE1…人検知センサ(遊技者情報検知手段)、SE3…温度センサ(遊技者情報検知手段)、SE4…光検知センサ(遊技環境検知手段)、SE5…音検知センサ(遊技環境検知手段)、10…パチンコ機(遊技機)、16…スピーカ(機構成部材、音声出力装置)、18…発射装置(機構成部材)、18a…グリップ部(機構成部材)、19…図柄表示装置(機構成部材)、20a…メインCPU(環境調節情報生成手段)、25,28,31…調節部(調節手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤の遊技領域に遊技球を発射する発射装置を備え、前記発射装置を操作する際に遊技者が把持するグリップ部の温度を調節可能に構成された遊技機において、
前記グリップ部の温度を調節する調節手段と、
前記グリップ部に設けられ、前記グリップ部を把持する遊技者の掌の温度を検知する遊技者情報検知手段と、
前記遊技者情報検知手段の検知結果をもとに、前記グリップ部を把持した時の遊技者の掌の温度に応じて前記グリップ部の温度を自動調節するための環境調節情報を生成し、その生成した環境調節情報に対応する調節内容を指示する調節信号を前記調節手段に出力する環境調節情報生成手段と、
機本体の前面側に設けられ、かつ前記グリップ部の温度を遊技者が手動調節する調節内容を指示する調節操作手段と、
前記調節操作手段で指示された調節内容を検知し、その調節内容を指示する調節信号を前記調節手段に出力する検知手段と、を備え、
前記調節手段は、前記環境調節情報生成手段からの前記調節信号の指示内容にしたがって前記遊技者情報検知手段が検知した前記グリップ部を把持した時の遊技者の掌の温度に応じて前記グリップ部の温度を自動調節するとともに、前記検知手段からの前記調節信号の指示内容にしたがって前記調節操作手段を操作した前記遊技者の手動調節による調節内容で前記グリップ部の温度を調節し、
前記自動調節した前記グリップ部の温度を、前記遊技者による前記調節操作手段の操作によって再調節可能に構成したことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技者の着座を検知する着座検知手段の検知結果を入力する検知結果入力手段を備え、
前記遊技者情報検知手段は、前記着座検知手段により前記遊技者の着座が検知されることを契機に前記グリップ部を把持した時の遊技者の掌を検知する請求項1に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−260449(P2007−260449A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186307(P2007−186307)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【分割の表示】特願2002−35652(P2002−35652)の分割
【原出願日】平成14年2月13日(2002.2.13)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】