説明

遊技機

【課題】部品点数を削減して構造をシンプルにしながらも、ワープ導入口から導入された遊技球の転動動作そのものを遊技者の興味の対象とし得るようにした遊技機を提供する。
【解決手段】本パチンコ機では、ステージSが、導入した遊技球Baを振分け部58に向けて転動させる振分転動路49と、振り分けられた遊技球を転動させて第1始動チャッカーに入賞させ得る低確転動路50と、振り分けられた遊技球を転動させて第1始動チャッカーに低確転動路50より高確率で入賞させ得る高確転動路48と、をステージSの左右幅方向に並んで延びるように有している。振分け部58は、導入されて振分転動路49を転動する遊技球を、主にその慣性の大小で振り分けるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に係り、詳しくは、遊技領域にセンター飾り等のセンター役物を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技機、例えばパチンコ機として、球受け皿に滞留している遊技球が、発射ハンドルの操作に応じて遊技盤の遊技領域に打ち出された後、遊技領域の障害釘や風車等に導かれつつ盤面を流下して、各種入賞口に入球し、或いは入球せずに遊技盤下部のアウト口に流入するように構成されたものが知られている。
【0003】
このようなパチンコ機では、一般入賞口に入球した際にそれに対応した個数の遊技球が払い出され、また始動チャッカーに入球した際には、これに基づいて大当たり抽選(即ち、特別遊技状態に移行するか否かの抽選)が行われると共に、所定数の遊技球が払い出され、当該抽選の結果に応じて、遊技盤の中央部分に設けられた液晶等の画像表示装置の画面上で所定の演出表示が行われる。大当たりの発生時(即ち、特別遊技状態の抽選での当選時)には、アタッカーと呼ばれる大入賞口が開放し、入球に対応して多量の遊技球が払い出される遊技者に有利な特別遊技状態となる。
【0004】
このような従来のパチンコ機において、以下のように構成したものが知られている(特許文献1参照)。すなわち、該パチンコ機は、センター飾りに、ワープ導入口と遊技球ステージとの間にあってワープ導入口から導入された遊技球の進路を少なくとも2つのルートに振り分ける振り分け装置を備えている。この振り分け装置は、ワープ導入口から導入された遊技球の始動チャッカーへの入賞確率が相互に異なる第1のルートと第2のルートとに振り分けるための第1及び第2クルーンを有している。当該パチンコ機では、このような構成を有することにより、ワープ導入口から導入された遊技球の転動動作そのものが遊技者の興味の対象となり得る。
【0005】
【特許文献1】特開2006−115893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載のパチンコ機では、上記振り分け装置が、ワープ導入口からの遊技球を第1のルートと第2のルートとに振り分けるための2つのクルーンを鉛直方向に重なる形で備えており、また遊技球ステージが、遊技球を始動チャッカーに入賞させるように導く第1のステージ、及び遊技球を始動チャッカーに第1のステージより低い確率で入賞させるように導く第2のステージを備えている。そして、2つのクルーンのうち上側の第1のクルーンにより上記第1のルートに振り分けられた遊技球が第1のステージに送られ、かつ2つのクルーンのうち下側の第2のクルーンにより上記第2のルートに振り分けられた遊技球が第2のステージに送られるように構成されている。
【0007】
このため、当該パチンコ機にあっては、ワープ導入口から導入された遊技球の転動動作そのものを遊技者の興味の対象とすることはできるものの、少なくとも、上下に配置した2つのクルーンや、これらクルーンを支える支持部材などを備えなければ、ワープ導入口から導入した遊技球を円滑に振り分けることができない。これにより、部品点数が嵩んで装置構成が大型化するなどの虞があった。
【0008】
そこで本発明は、部品点数を削減して構造をシンプルにできるものでありながら、ワープ導入口から導入された遊技球の転動動作そのものを遊技者の興味の対象とし得るように構成し、もって上述した課題を解決した遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る本発明は(例えば図1ないし図5参照)、遊技領域(3a)に、センター役物(23)及び該センター役物(23)の下方に配置された始動入賞口(27)を備え、かつ前記センター役物(23)に、前記遊技領域(3a)に打ち出された遊技球(Ba)を導入し得るワープ導入口(37)と、該ワープ導入口(37)からの遊技球を転動させると共にその転動方向を振り分ける振分け部(58)を有するステージ(S)と、を備え、前記遊技領域(3a)に遊技球を打ち出して遊技してなる遊技機(1)において、
前記ステージ(S)は、前記ワープ導入口(37)から導入した遊技球(Ba)を前記振分け部(58)に向けて転動させる振分転動路(49)と、前記振分け部(58)で振り分けられた遊技球を転動させて前記始動入賞口(27)に入賞させ得る低確転動路(50)と、前記振分け部(58)で振り分けられた遊技球を転動させて前記始動入賞口(27)に前記低確転動路(50)より高い確率で入賞させ得る高確転動路(48)と、を前記ステージ(S)の左右幅方向に並んで延びるように有し、かつ、
前記振分け部(58)は、前記ワープ導入口(37)から導入されて前記振分転動路(49)を転動する遊技球(Ba)を、主にその慣性の大小で振り分けるように構成されてなる、
ことを特徴とする遊技機(1)にある。
【0010】
請求項2に係る本発明は(例えば図3参照)、前記振分け部(58)が、前記振分転動路(49)の後端部中央を臨むように位置して、該振分転動路(49)を転動してきた遊技球を当接させて前記低確転動路(50)と前記高確転動路(48)とに振り分ける振分け突起(58a)と、前記振分転動路(49)の後端部と前記振分け突起(58a)との間に位置して前記高確転動路(48)への遊技球の移行率を低減する凸部(59)と、を有してなる、
請求項1記載の遊技機(1)にある。
【0011】
請求項3に係る本発明は(例えば図3参照)、前記低確転動路(50)が前記ステージ前側に位置し、かつ前記高確転動路(48)が前記ステージ奥側に位置し、
前記振分転動路(49)の下側に、前記高確転動路(48)を前記低確転動路(50)に連通する連通孔(49a)を有し、
前記高確転動路(48)は、前記振分け部(58)で振り分けられて転動してきた遊技球のうち、係合した遊技球を前記連通孔(49a)及び前記低確転動路(50)を介して前記始動入賞口(27)側に落下させるための落下誘導凹部(48a)を有してなる、
請求項1又は2記載の遊技機(1)にある。
【0012】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る本発明によると、ワープ導入口から導入されて振分転動路を順次転動して遊技者の注目を惹く遊技球のうち、転動力に勢いのあるもの(慣性の大きいもの)を高確転動路側に多く振り分け、転動力に勢いがないもの(慣性の小さいもの)を低確転動路側に多く振り分けることができるので、例えば慣性の大きい遊技球のみを乗り上げさせて高確転動路に移行させるだけの簡素な手段を講じることで、ワープ導入口から導入された遊技球を円滑に振り分け、遊技球の転動動作そのものを遊技者の興味の対象とし得る遊技機を提供することができる。
【0014】
請求項2に係る本発明によると、振分け部が、遊技球を当接させて低確転動路と高確転動路とに振り分ける振分け突起と、高確転動路への遊技球の移行率を低減する凸部とを有するので、振分転動路を振分け突起に対して高確転動路側に偏って転動してきた遊技球であっても、慣性が小さければ高確転動路側には誘導せずに、慣性が大きいもののみを高確転動路側に誘導することができ、遊技球を主にその慣性の大小で振り分ける簡素な構造を実現することができる。
【0015】
請求項3に係る本発明によると、振分け部で振り分けられて高確転動路を転動する遊技球を、落下誘導凹部によって高確転動路から低確転動路に移動させ、始動入賞口に導いて高い確率で入賞させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る遊技機の実施形態として、遊技場等に設置されるパチンコ機を図面に沿って説明する。なお、後述する各実施の形態では、本発明の遊技機を所謂1種1種のパチンコ機として述べるが、本発明はこれに限らず、他の種別のパチンコ機にも適用可能であることは勿論である。なお、図1は、本発明の実施形態におけるパチンコ機1の外部構造を示す正面図である。
【0017】
本パチンコ機1は、図1に示すように、発射ハンドル2の操作で遊技球(所謂パチンコ玉)を遊技盤3の遊技領域3aに向かって打ち出しつつ遊技を行うもので、所謂確率変動等の大当たりが発生した状態でアタッカー5に入球した遊技球に対応する数の遊技球を払い出すように構成されている。上記確率変動当たり(「確変当たり」とも言う)とは、抽選の結果、確変モードの大当たりが当選したとき、少なくとも当該確変モードによる遊技状態において次なる大当たりを引くまでの間、遊技者に有利な付加価値を付与し得る特殊状態を意味する。これに対し、当該特殊状態にならない大当たりとして「通常当たり」がある。
【0018】
図1に示すように、本実施形態におけるパチンコ機1は、開口を有する枠体状の筐体6と、この筐体6に開閉可能に装着された前扉7とを有しており、前扉7の前面には、透明ガラス9を有するガラス枠10が開閉可能に取り付けられている。透明ガラス9の奥側には、遊技盤3が配設されている。前扉7における遊技盤3の左右には演出用照明装置11が配設されており、前扉7における遊技盤3の上部中央には演出用照明装置8が配設されている。そして、前扉7における遊技盤3の左右上方及び左右下方にはスピーカー(図示せず)を有する放音装置12がそれぞれ配設されている。また、ガラス枠10における右側部には、前扉7を筐体6側に施錠し解放するための施錠装置13が配設されている。なお、筐体6及び前扉7等から遊技機本体が構成される。
【0019】
前扉7における遊技盤3の下方には皿ユニット16が設けられており、皿ユニット16における右上部には、賞球及び貸球を含む遊技球が供給される球供給口17が設けられ、皿ユニット16における右上部壁面には、球貸ボタン19a及びプリペイドカード返却ボタン19bが設けられている。皿ユニット16には、該皿ユニット16上の遊技球を発射装置(図示せず)付近から皿ユニット下部の球排出口(図示せず)を通して下方に排出するための第1球抜きボタン20aと、皿ユニット16上の遊技球を球供給口17付近から上記球排出口を通して下方に排出するための第2球抜きボタン20bとが設けられている。
【0020】
また、皿ユニット16の右部には、発射装置を操作して遊技球を遊技領域3aに向けて打ち出すための発射ハンドル2が配設されている。更に、皿ユニット16の左下方には灰皿21、及び遊技者参加ボタン(所謂チャンスボタン)22が配設されている。なお、図1中の符号14は、発射ハンドル2の操作で発射された遊技球を遊技領域3aに導くガイドレールを示している。
【0021】
遊技領域3aの中央部には、該遊技領域3aに打ち出された遊技球の一部を導入するワープ導入口37を有するセンター飾り(センター役物)23が配設されている。このセンター飾り23の中央部分には開口部44が形成され、かつ該開口部44の上部中央には演出装置33が配置され、該開口部44の下部にはステージSが配置されている。遊技盤3には画像表示装置35が、開口部44から画面35aを露出させた状態で遊技盤裏面から装着されている。センター飾り23の下部左右には、大当たり抽選(即ち、特別遊技状態の抽選)に寄与しない一般の入賞が行われる一般入賞口25a,25b,25cが配設されており、センター飾り23の下方には、第1及び第2始動チャッカー27,28と、アタッカー5とが順次配設されている。
【0022】
第1及び第2始動チャッカー27,28は、大当たり抽選実行の契機となり得る入賞が行われるものであり、第2始動チャッカー28は、始動チャッカー開閉ソレノイド70(図5参照)によって開放位置と閉止位置とに開閉動作するように作動させられる。第1始動チャッカー27の直上方には、所謂命釘としての一対の障害釘30が打ち込まれている。第2始動チャッカー28は、直上方に配置された第1始動チャッカー27の底部により、図1に示す閉塞状態では遊技球を入賞しないように構成されている。
【0023】
アタッカー5は、大当たり発生時に開放され、遊技領域3aに打ち出されて転動落下する遊技球を入賞させるものであり、大当たり発生中、例えば、1回の開放で9個の入球を完了した時点で閉じ、当該開閉動作を15回繰り返すように構成される。なお、これらの入球数並びに開閉動作の回数は、9個や15回に限定されることはなく、必要に応じて適宜設定され得るものである。
【0024】
遊技領域3aには、センター飾り23の左中央部に風車31が配設されており、ステージSの下方における第1及び第2始動チャッカー27,28の左右には、普通図柄作動ゲート(スルーゲート)32が配設されている。この普通図柄作動ゲート32は、第2始動チャッカー28を開閉動作させるための抽選の契機となる遊技球通過が行われる役物である。
【0025】
そして、遊技領域3aにおける普通図柄作動ゲート32、一般入賞口25a,25b,25c、第1及び第2始動チャッカー27,28等の周囲には、ステージSから零れた遊技球や、発射されてからステージSに関与せずに落下してくる遊技球を適宜散らし、或いは入球に導くようにするための障害釘30を含む多数の障害釘が打ち込まれている。また、ワープ導入口37の周囲及びその上方側にも、遊技球を適宜散らし、或いは入球に導くようにするための多数の障害釘が打ち込まれている。このような本パチンコ機1では、遊技領域3aに打ち出された遊技球を第1及び第2始動チャッカー27,28等に、ステージSを介して入球させ又はステージSを介さず直接入球させ得るように遊技が進められる。
【0026】
なお、本実施形態における「ワープ導入」という語句は、遊技領域3aに打ち出された遊技球を、当該遊技領域3aの比較的下側に位置する不図示の道釘等を経ることなく、第1始動チャッカー27の上に導くことを意味する概念である。また、上記「道釘」とは、遊技領域3aにおいて第1始動チャッカー27の左右に打ち込まれた複数本の障害釘(図示せず)の列を意味するもので、上方から転動落下してきた遊技球を第1及び第2始動チャッカー27,28方向に導く役割を担っている。
【0027】
次に、本パチンコ機1におけるセンター飾り23及びステージSの構造を、図2及び図3を参照して説明する。なお、図2はセンター飾り23の正面図である。図3はステージSを示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のb−b線で断面した側面断面図である。
【0028】
図2に示すように、センター飾り23は、遊技盤3に形成された開口(図示せず)を前後から挟んだ状態で、該遊技盤3の表面と裏面とにそれぞれネジ止めされた前枠体23a及び後枠体23bを有している。これら両枠体23a,23bは、遊技盤3を挟んで結合された状態で開口部44を形成する。
【0029】
センター飾り23は、開口部44の左方を向くワープ導入口37と、開口部44の上側に配置された演出装置33と、開口部44の下側に設けられたステージSと、開口部44の右側下部に配置された照明役物26と、を有している。該照明役物26は、導火線状の発光部26aを上部に有する丸い爆弾型の役物であり、爆発状態を表現する発光部29を下部に有している。また、センター飾り23は、開口部44の左側に位置するワープ導入口37から導入される遊技球をステージSに放出する球放出口34を有している。
【0030】
図3に示すように、上記ステージSは、該ステージSの左右幅方向に並んで延びるように設けられた高確転動路48、振分転動路49及び低確転動路50を有している。高確転動路48はステージSの奥側に位置し、かつ低確転動路50はステージSの前側に位置しており、振分転動路49は、これら高確転動路48と低確転動路50との間に位置している。また、ステージSの後側には、画像表示装置35の画面35a(図1参照)との間に一定の距離をあけるための壁部39が形成されている。
【0031】
高確転動路48は、振分け部58で振り分けられた遊技球を転動させて第1始動チャッカー27に低確転動路48より高い確率で入賞させ得るように構成されている。高確転動路48は、振分け部58で振り分けられて転動してきた遊技球のうち、係合した遊技球を連通孔49a及び低確転動路50を介して第1始動チャッカー27側に落下させるための落下誘導凹部48aを有している。高確転動路48は、落下誘導凹部48aの左右に、それぞれ浅く形成された凹部48b,48cを有している。
【0032】
振分転動路49は、ワープ導入口37から導入した遊技球Baを振分け部58に向けて転動させ得るように、ワープ導入口37側から下降するように傾斜した後、左右方向に平坦に延び、更に、振分け部58に向かってやや上昇するように傾斜している。振分転動路49の下側には、高確転動路48を低確転動路50に連通する連通孔49aが形成されている。振分転動路49の下側における連通孔49aの左右には、凹部48b,48cから遊技球を低確転動路50側に導くための連通孔49b,49cが形成されている。
【0033】
連通孔49aは、低確転動路50の平坦面50aを経由して第1始動チャッカー27の直上方に遊技球Baを落下させ得るように設けられており、放出されて落下する遊技球が一対の障害釘30の間を通って第1始動チャッカー27にほぼ確実に(つまり、97〜99%の高確率で)入賞し得るように位置決め形成されている。
【0034】
低確転動路50は、振分け部58で振り分けられた遊技球を転動させて第1始動チャッカー(始動入賞口)27に、高確転動路48より低い確率で入賞させ得るように構成されている。低確転動路50は、上記平坦面50aの左右に、それぞれ浅く形成された凹部50b,50cを有している。これら凹部50b,50cは、それぞれ連通孔49b,49cから受けた遊技球Baをやや転動させた後、第1始動チャッカー27とは異なる方向に落下させるように位置決め形成されている。
【0035】
振分け部58は、ワープ導入口37から導入されて振分転動路49を転動する遊技球Baを、主にその慣性の大小で振り分けるように構成されている。すなわち、振分け部58は、振分転動路49の後端部中央を臨むように位置して、該振分転動路49を転動してきた遊技球を当接させて低確転動路48と高確転動路50とに振り分ける振分け突起58aと、該振分け突起58aに隣接し、かつ高確転動路48及び低確転動路50にそれぞれ対向する湾曲凹部58b,58cと、振分転動路49の後端部と振分け突起58aとの間に位置して高確転動路48への遊技球の移行率を低減する凸部59と、を有している。
【0036】
図3(b)に示すように、ステージSは全体的に、周囲に比して高くせり上がっている振分転動路49と、該振分転動路49の奥側において低く、且つ連通孔49a,49b,49cの各底部と同レベルに延びる高確転動路48と、該振分転動路49の手前側において高確転動路48より更に低く形成されて延びる低確転動路50と、を備えて構成される。
【0037】
ついで、本パチンコ機1の背面構造について図4を参照して説明する。同図は、本パチンコ機1の背面構造を示す背面図である。
【0038】
すなわち、図4に示すように、パチンコ機1の前扉背面における上部左方には、賞球タンク43が取り付けられており、この賞球タンク43の下方に、副制御基板38、主制御基板40、及び払出し制御基板51がこの順に配設されている。また、前扉背面における上部右方には、外部端子板52が取り付けられており、この外部端子板52の下方に、整列待機通路45、賞球装置46、賞球排出通路47、電源ユニット41、及び発射装置(図示せず)用の発射制御基板53がこの順に配設されている。パチンコ機1の前扉背面における左側部には、施錠装置13が配設されている。
【0039】
次に、本実施形態におけるパチンコ機1の制御系を図5に沿って説明する。なお、同図は本パチンコ機の制御系を示すブロック図である。
【0040】
すなわち、本制御系は、遊技制御装置80と、該遊技制御装置80に電気的に接続された、始動チャッカー開閉ソレノイド70、アタッカー開閉ソレノイド71、放音装置12、演出用照明装置8,11、及び画像表示装置35と、を備えている。
【0041】
遊技制御装置80は、図4に示した主制御基板40や副制御基板38等から構成されている。主制御基板40は、本パチンコ機1の動作全体を統括的に管理するものであり、当該パチンコ機1の動作全体を管理するシステムプログラム及び遊技用の実行プログラムが予め記憶された半導体メモリ等からなる記憶部(図示せず)と、これらのプログラムを実行する不図示のマイクロプロセッサ(MPU)とを備えている。また、副制御基板38は、主に画像表示、効果音等の演出、効果光等の表示制御を行うように構成されている。
【0042】
遊技制御装置80は、入賞判定手段81、入賞信号出力手段82、第1抽選手段83、第2抽選手段84、普通図柄抽選手段94、遊技制御手段86、保留手段87、作動制御手段88、作動判定手段89、作動決定手段90、演出制御手段91、及び表示制御手段92を備えている。
【0043】
入賞判定手段81は、発射ハンドル2の操作で作動する発射装置(図示せず)によって遊技領域3aに打ち出された遊技球が第1及び第2始動チャッカー27,28、一般入賞口25a,25b,25c、アタッカー5等の何れかに入賞したとき、当該入賞があった旨を判定する。入賞信号出力手段82は、入賞判定手段81によって入賞が判定されたとき、対応する第1及び第2始動チャッカー27,28、一般入賞口25a,25b,25c、アタッカー5等に入賞した旨の入賞信号を出力する。
【0044】
第1及び第2抽選手段83,84は、それぞれ、入賞信号出力手段82からの第1及び第2始動チャッカー27,28に対応する入賞信号の入力時、最大保留球数未満での入賞を契機として、次なる大当たりを当選させるまで遊技者に有利な付加価値を付与し得る特殊状態となる確率変動当たり、及び上記特殊状態とならない通常当たりのうちの何れか一方に当選するように、不図示の抽選用メモリから当たり当選乱数値を取得して、大当たり抽選(特別遊技状態の抽選)を実行する。
【0045】
普通図柄抽選手段94は、第2始動チャッカー28を開閉動作させるための普通図柄抽選を、普通図柄作動ゲート32への遊技球通過を契機として行う。
【0046】
遊技制御手段86は、放音装置12、演出用照明装置8,11、演出装置33に放音、発光、駆動動作の演出をさせる契機となる指令を、演出制御手段91に送る。また、遊技制御手段86は、予め設定された演出データや、第1及び第2抽選手段83,84での抽選結果に応じて、画像表示装置35に表示すべき大当たり抽選に関連する演出内容に関する信号を表示制御手段92に送る。
【0047】
保留手段87は、第1、第2抽選手段83,84のいずれかから出力された変動パターン信号を入力し、変動パターンを、第1、第2始動チャッカー27,28への入賞の都度に行われた抽選の結果となる保留球として順次記憶する。当該記憶状況は、大当たり抽選保留表示装置(図示せず)に、始動チャッカー27,28双方での合計が例えば最大8個の保留球となるように点灯表示される。
【0048】
作動制御手段88は、作動決定手段90の作動開始決定の旨の信号に基づき、始動チャッカー開閉ソレノイド70に駆動信号を送って該ソレノイド70を作動させ、第2始動チャッカー28を開放又は閉塞動作させる。更に作動制御手段88は、アタッカー開閉ソレノイド71に駆動信号を送って該ソレノイド71を作動させ、第1、第2抽選手段83,84での抽選による大当たり発生時にアタッカー5を開放して所定数入賞が終了する(又は所定時間が経過する)毎に閉塞する動作を所定回数(所定ラウンド)だけ繰り返すように制御する。
【0049】
作動判定手段89は、始動チャッカー開閉ソレノイド70及びアタッカー開閉ソレノイド71を作動させるための条件を満たすか否かを判定する。作動決定手段90は、作動判定手段89からの信号を受けて、始動チャッカー開閉ソレノイド70、アタッカー開閉ソレノイド71の作動開始をそれぞれに決定する。
【0050】
演出制御手段91は、遊技制御手段86からの指令に応答して、放音装置12を放音駆動し、演出用照明装置8,11を発光駆動し、演出装置33を発光及び/又は動作させるように駆動し、遊技者の聴覚や視覚に訴える演出を行う。
【0051】
表示制御手段92は、遊技制御手段86からの信号に従って、画像表示装置35を駆動し、大当たり抽選結果を中心とした内容等の演出を、遊技者の視覚に訴えるように演出表示する。その際、表示制御手段92は、第1及び第2抽選手段83,84それぞれによる各抽選結果を、画像表示装置35の画面35aに時系列的に表示する。
【0052】
次に、本パチンコ機1による作用について、図6のフローチャートを併せて参照しつつ説明する。
【0053】
すなわち、本パチンコ機1に対面して着座した遊技者が発射ハンドル2を握り、適宜の角度に回動操作すると(ステップS1)、発射装置の作動で遊技球が所定の時間間隔で遊技領域3aに向けて連続的に発射される。すると、遊技領域3aに打ち出されて転動落下する多数の遊技球は、第1、第2始動チャッカー27,28や一般入賞口25a,25b,25cに適時入賞し、或いは、これらに関与せずに転動落下して、遊技領域3a最下部のアウト口(図示せず)から遊技盤3背面側に排出される。
【0054】
遊技領域3aに打ち出された遊技球の一部がワープ導入口37に入球すると、その遊技球は、球放出口34からステージSに放出される。この際、ステージSに放出された遊技球は、図3に示すように振分転動路49を転動して振分け部58に向かい、振分け突起58aに当接する。この場合、振分転動路49を転がり移動するときの偏り具合によって、振分け突起58aへの当接による高確転動路48と低確転動路50に対する移行状況が変わる。
【0055】
つまり、ワープ導入口37から導入されて振分転動路49を順次転動して遊技者の注目を惹く遊技球Baのうち、転動力に勢いのあるもの(慣性の大きいもの)は高確転動路48側に多く振り分けられ、転動力に勢いがないもの(慣性の小さいもの)は低確転動路50側に多く振り分けられる。
【0056】
例えば、振分け突起58aで高確転動路48側に向けられた際に、凸部59を湾曲凹部58b側に乗り越え得る勢いを持って転がり移動してきた遊技球Baは、湾曲凹部58bを経由して高確転動路48に進入することができる。しかし、凸部59を湾曲凹部58b側に乗り越え得る勢いで転がり移動してきた場合であっても、振分け突起58aへの突入時の偏りに起因して低確転動路50側に振り分けられた場合には、凸部60を乗り越えて低確転動路50側に向かい、湾曲凹部58cを経由して該低確転動路50に進入することとなる。逆に、凸部59を湾曲凹部58b側に乗り越えるだけの勢いを持たない遊技球Baは、たとえ振分け突起58aで高確転動路48側に向けられても、凸部59を乗り越えることができず、低確転動路50側に向かい、湾曲凹部58cを経由して該低確転動路50に進入する。
【0057】
そして、高確転動路48に振り分けられた遊技球Baは、その勢いとタイミングにより、落下誘導凹部48a、凹部48b,48cの何れかに導かれ、連通孔49a,49b,49cの何れかを経由し、平坦面50a、凹部50b,50cの何れかを介してステージSから落下する。その際、落下誘導凹部48aから連通孔49aを経由して第1始動チャッカー27に向けて落下した遊技球Baは、高い入賞確率(略100%)で第1始動チャッカー27に入賞するが、障害釘30への当接状況によっては入賞できないこともある。
【0058】
一方、凹部50b,50cから放出される遊技球Baの多くは、第1始動チャッカー27とは異なる方向に落下するが、場合によっては、障害釘30の左右に打ち込まれた所謂ジャンプ釘(図示せず)や、このジャンプ釘から左右方向に配列された道釘(図示せず)で弾き返されることで、障害釘30に絡んでその間を落下して第1始動チャッカー27に入賞することもある。
【0059】
ところで、第1及び第2始動チャッカー27,28や一般入賞口25a,25b,25cの何れかに遊技球が入賞した場合には、入賞判定手段81が当該入賞を判定し、且つ入賞信号出力手段82が入賞信号を出力する(ステップS2)。
【0060】
そして、大当たり抽選で当選した場合(ステップS3)、第1、第2抽選手段83,84のうち該当する側が当たりフラグをオンすると、演出用メモリに格納された演出乱数値に基づく抽選で、大当たりの種別、つまり確変当たり又は通常当たりに対応する変動パターンが決定される。
【0061】
ステップS4において、画像表示装置35に表示されるべき当たり図柄がセットされ、第1抽選手段83又は第2抽選手段84は、その旨の変動パターン信号を出力すると共に、当該変動パターン信号に基づく演出表示が終了するまでは次の変動パターン信号を送信しないようにするために図柄変動禁止フラグをオンし、当該オンした図柄変動禁止フラグを解除する時間を計測するための図柄変動タイマをセットし、変動パターン信号の送信に応じて保留球数を1デクリメントする。一方、大当たり抽選で外れた場合には、演出用メモリに格納された演出乱数値に基づく抽選で、変動の結果、外れに対応する図柄が最終的に揃う旨の変動パターンが決定される。これにより、画像表示装置35に表示される外れ図柄がセットされ、第1抽選手段83又は第2抽選手段84は、その旨の変動パターン信号を出力すると共に、図柄変動禁止フラグをオンし、図柄変動タイマをセットし、変動パターン信号の送信に応じて保留球数を1デクリメントする。
【0062】
以上のようにして、遊技制御手段86が、画像表示装置35の画面35aに表示すべき演出内容に関する信号を、表示制御手段92に送信することに基づき、表示制御手段92は、画像表示装置35を適時駆動し、大当たり抽選結果に関する内容等を、遊技者の視覚に訴えるように演出表示することとなる(ステップS5)。この際、遊技制御手段86から指令が出ていれば、演出制御手段91は、画面35a上の演出に合わせて、放音装置12を放音駆動し、演出用照明装置8,11を発光駆動し、或いは、演出装置33を発光及び/又は回動させるように駆動して、演出を盛り上げるように作動制御する。
【0063】
そして、例えば、大当たり有効ラインで装飾図柄が揃い、画面35a上に大当たり決定の抽選結果が表れた場合、作動制御手段88は、作動決定手段90の作動開始決定の旨の信号に基づき、所定のタイミングでアタッカー開閉ソレノイド71に駆動信号を送り、当該ソレノイド71を作動させてアタッカー5を開放し、所定数入賞が終了する(又は所定時間が経過する)毎に閉塞する動作を所定回数(所定ラウンド)だけ繰り返させる。これにより、アタッカー5に入賞した遊技球に対応する多量の遊技球が球供給口17から皿ユニット16に払い出されることとなる(ステップS6)。
【0064】
以上のように本実施形態によると、慣性の大きい遊技球のみを乗り上げさせて高確転動路48に移行させるだけの簡素な手段を講じるだけで、ワープ導入口37から導入された遊技球Baを円滑に振り分け、遊技球Baの転動動作そのものを遊技者の興味の対象とし得るパチンコ機1を提供することができる。また、振分け部58が、遊技球Baを当接させて低確転動路50と高確転動路48とに振り分ける振分け突起58aと、高確転動路48への遊技球Baの移行率を低減する凸部59とを有することで、振分転動路49を振分け突起58aに対して高確転動路48側に偏って転動してきた遊技球Baであっても、慣性が小さければ高確転動路48側には誘導せずに、慣性が大きいもののみを高確転動路48側に誘導することができ、遊技球Baを主にその慣性の大小で振り分ける簡素な構造が実現する。
【0065】
そして、本実施形態では、振分転動路49の下側に、高確転動路48を低確転動路50に連通する連通孔49aを有し、高確転動路48が、振分け部58で振り分けられて転動してきた遊技球のうち、係合した遊技球を連通孔49a及び低確転動路50を介して第1始動チャッカー27側に落下させるための落下誘導凹部48aを有している。このため、振分け部58で振り分けられて高確転動路48を転動する遊技球Baを、落下誘導凹部48aによって高確転動路48から低確転動路50に移動させ、第1始動チャッカー27に導いて高い確率で入賞できる。
【0066】
以上、本発明をその好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明の遊技機は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施した遊技機も、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態におけるパチンコ機の外部構造を示す正面図である。
【図2】本実施形態のセンター飾りを遊技盤から取り外した状態で示す正面図である。
【図3】本実施形態のステージを示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のb−b線で断面した側面断面図である。
【図4】本実施形態のパチンコ機の背面構造を示す背面図である。
【図5】本実施形態の制御系を示すブロック図である。
【図6】本実施形態の作用を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1 遊技機(パチンコ機)
3a 遊技領域
23 センター役物(センター飾り)
27 始動入賞口(第1始動チャッカー)
37 ワープ導入口
48 高確転動路
48a 落下誘導凹部
49 振分転動路
49a 連通孔
50 低確転動路
58 振分け部
58a 振分け突起
59 凸部
Ba 遊技球
S ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域に、センター役物及び該センター役物の下方に配置された始動入賞口を備え、かつ前記センター役物に、前記遊技領域に打ち出された遊技球を導入し得るワープ導入口と、該ワープ導入口からの遊技球を転動させると共にその転動方向を振り分ける振分け部を有するステージと、を備え、前記遊技領域に遊技球を打ち出して遊技してなる遊技機において、
前記ステージは、前記ワープ導入口から導入した遊技球を前記振分け部に向けて転動させる振分転動路と、前記振分け部で振り分けられた遊技球を転動させて前記始動入賞口に入賞させ得る低確転動路と、前記振分け部で振り分けられた遊技球を転動させて前記始動入賞口に前記低確転動路より高い確率で入賞させ得る高確転動路と、を前記ステージの左右幅方向に並んで延びるように有し、かつ、
前記振分け部は、前記ワープ導入口から導入されて前記振分転動路を転動する遊技球を、主にその慣性の大小で振り分けるように構成されてなる、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記振分け部は、前記振分転動路の後端部中央を臨むように位置して、該振分転動路を転動してきた遊技球を当接させて前記低確転動路と前記高確転動路とに振り分ける振分け突起と、前記振分転動路の後端部と前記振分け突起との間に位置して前記高確転動路への遊技球の移行率を低減する凸部と、を有してなる、
請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記低確転動路が前記ステージ前側に位置し、かつ前記高確転動路が前記ステージ奥側に位置し、
前記振分転動路の下側に、前記高確転動路を前記低確転動路に連通する連通孔を有し、
前記高確転動路は、前記振分け部で振り分けられて転動してきた遊技球のうち、係合した遊技球を前記連通孔及び前記低確転動路を介して前記始動入賞口側に落下させるための落下誘導凹部を有してなる、
請求項1又は2記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−212426(P2008−212426A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54920(P2007−54920)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】