説明

遊技機

【課題】乱数として適用され、所定の期間毎に更新される複数の数値が同期するのを防ぐ。
【解決手段】乱数更新処理は、タイマ割り込み毎に実行され、乱数の種類毎に加算判定値と乱数判定値とがテーブルに登録されている。テーブルに最初に登録された種類の乱数を処理対象とする(S101)。タイマ割り込みよりも短い時間で値が更新されるリフレッシュレジスタの下位4ビットを加算値の初期値とし(S102)、加算値がその加算判定値よりも小さくなるまで、加算値から加算判定値を繰り返して減算するが(S103、S104)、この繰り返し回数は、リフレッシュレジスタから抽出した値に応じて異なる。処理対象とした乱数の現在の値に求められた加算値を加算して、更新後の乱数の値とする(S105〜S108)。処理対象としていない乱数が残っていれば、次にテーブルに登録された種類の乱数を処理対象とし(S109)、ステップS102に戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機において乱数として用いられる数値の更新に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機は、遊技領域に打ち出された遊技球が所定の入賞口を通過したときに、賞球としての遊技球を払い出すことで遊技が進行するものである。特に遊技球が始動入賞口と呼ばれる特定の入賞口を通過したときに抽選を行って、その抽選結果に従って可変表示装置上で特別図柄を変動表示させ、一定期間が経過した後にその表示結果を導出表示させる特図ゲームを行っている。
【0003】
特図ゲームの結果を表示するまでに、どのような変動表示パターンで特別図柄を変動表示させるか、或いはどのようなパターンの予告を行うかといったことは、乱数の抽出による抽選によって決定している。このような乱数は、例えばタイマ割り込みなどにより所定の期間毎に更新されるが、単純に更新を行ったのでは、その値が周期的に同期してしまう。
【0004】
乱数の値が周期的に同期してしまうと、周期的に同じ処理が行われてしまうこととなってしまう。そこで、乱数の値の同期を防ぐことは、パチンコ遊技機などの遊技機においては重要な課題となっており、例えば、1回のタイマ割り込みで乱数の値が更新される回数を、タイマ割り込みよりも短い時間間隔で更新されるレジスタの値を用いて決定する遊技機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−119721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
遊技の進行に用いられる乱数が1種類だけであれば、特許文献1の技術でも十分に乱数の値の周期的な同期を防ぐことができるが、一般的には、遊技の進行に用いられる乱数の種類は1種類だけではない。複数種類の乱数を用いている場合には、特許文献1に記載の技術では、異なる種類の乱数の間で値が同期してしまう場合も生じてしまう。異なる種類の乱数の間で値が同期することも、それぞれの乱数について周期的に値が同期してしまうのと同様に好ましいことではない。
【0007】
本発明は、例えば乱数として適用され、所定の期間毎に更新される複数の数値が同期するのを防ぐことができる遊技機、数値更新方法及びそのためのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかる遊技機は、
予め定められた第1範囲内で数値(先に更新される乱数)を更新する第1の数値更新手段(RAM112、ステップS105〜S107)と、
予め定められた第2範囲内で数値(後に更新される乱数)を更新する第2の数値更新手段(RAM112、ステップS105〜S107)と、
前記第1、第2の数値更新手段が数値を更新する時間間隔よりも短い時間間隔で数値を更新する第3の数値更新手段(CPU111のリフレッシュレジスタ)とを備え、
前記第1の数値更新手段から抽出された数値と前記第2の数値更新手段から抽出された数値とは、互いに異なる処理に用いられ、
前記第1、第2の数値更新手段はそれぞれ、前記第3の数値更新手段から抽出された数値に対応した更新値を用いて数値を更新し(ステップS105〜S107)、
前記第1の数値更新手段による数値の更新のために前記第3の数値更新手段から数値を抽出するタイミングから、前記第2の数値更新手段による数値の更新のために前記第3の数値更新手段から数値を抽出するまでの期間に、不定期な遅延時間を挿入する遅延時間挿入手段(ステップS103、S104)をさらに備える
ことを特徴とする。
【0009】
上記遊技機では、遅延時間挿入手段による不定期な遅延時間の挿入によって、第1の数値更新手段が用いる更新値と第2の数値更新手段が用いる更新値とに規則性が発生しないこととなる。これにより、第1、第2の数値更新手段による数値の更新が同期するのを防ぐことができる。
【0010】
上記遊技機は、
前記第3の数値更新手段が数値の更新を行う時間間隔よりも長い時間間隔でタイマ割り込みを発生させるタイマ割り込み手段(図4(b))をさらに備えるものとしてもよい。この場合において、
前記第1、第2の数値更新手段は、少なくとも前記タイマ割り込み手段により発生されたタイマ割り込みにより起動されて、それぞれ数値を更新するものとすることができる(ステップS23)。
【0011】
上記遊技機において、
前記遅延時間挿入手段は、前記第1の数値更新手段による数値の更新のために前記第3の数値更新手段から抽出した数値に対応した時間を、前記不定期な遅延時間として挿入するものとすることができる。
【0012】
この場合には、第1〜第3の数値更新手段に加えて、さらに別の数値更新手段を用いることなく、不定期な遅延時間を挿入することができるようになる。
【0013】
ここで、上記遊技機は、
前記第3の数値更新手段から抽出した数値を所定の基準値ずつ前記基準値よりも小さくなるまで繰り返して減算する減算手段(ステップS103、S104)をさらに備えるものとすることができ、
前記第1の数値更新手段は、前記第3の数値更新手段から抽出した数値に対して前記減算手段による減算を行わせると共に、前記減算の結果として求められた数値を更新値として用いて数値を更新することができ、
前記遅延時間挿入手段は、前記第1の数値更新手段による数値の更新のために前記第3の数値更新手段から抽出した数値に対して前記減算手段による減算結果が得られるまでに要した時間を、前記不定期な遅延時間として挿入するものとできる。
【0014】
この場合には、減算手段による減算回数が不定となるので、減算回数に応じて不定期な遅延時間を容易に挿入することができる。また、第1の数値更新手段が減算手段の減算結果を更新値として用いて数値を更新することで、1回当たりで数値が更新される範囲を限ることができる。
【0015】
また、前記第2の数値更新手段も、前記第1の数値更新手段が実行するのと共通のプログラムを実行して、前記第3の数値更新手段から抽出した数値により数値を更新するものとすることができる。
【0016】
この場合には、第2の数値更新手段による数値の更新も第1の数値更新手段による数値の更新と同一の処理プログラムを用いて実行できることとなる。
【0017】
上記遊技機において、
前記第3の数値更新手段は、メモリ(RAM112)に記憶されたデータ内容のリフレッシュ動作のために用いることが可能なリフレッシュレジスタに含まれるものとすることができる。
【0018】
ここで、前記第3の数値更新手段は、前記リフレッシュレジスタの一部のビットによって構成されたものであってもよい(ステップS102)。
【0019】
このようにリフレッシュレジスタを利用することにより、第3の数値更新手段として特別な構成を用意する必要がない。リフレッシュレジスタの一部のビットを第3の数値更新手段として利用する場合、第1、第2の数値更新手段が数値の更新に用いる更新値の生成方法との関係で、或いは第1、第2の数値更新手段による数値の更新を実際に行うための演算装置の構成との関係で、次のような効果が得られる。
【0020】
すなわち、前記減算手段による減算結果を更新値として用いるものとした場合、同じ基準値を用いて最終的な減算結果が得られるまでの最大の減算回数が限られることとなる。また、前記減算手段を構成する減算器のビット数がリフレッシュレジスタ全体のビット数よりも少なくても、リフレッシュレジスタのビットのうち演算装置のビット数以内を使用することで、減算の処理を高速に行うことができる。
【0021】
上記遊技機において、
前記第1範囲内に含まれる値の個数と、前記第2範囲内に含まれる値の個数とは、互いに素であることが好ましい。
【0022】
これにより、第1、第2の数値更新手段による数値の更新が同期するのをさらに防ぐことができる。
【0023】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点にかかる数値更新方法は、
予め定められた第1範囲内で更新される第1の数値と、前記第1の数値とは別に発生され、予め定められた第2範囲内で前記第1の数値とは別に更新される第2の数値とをそれぞれ更新するための方法であって、
前記第1、第2の数値が更新される時間間隔よりも短い時間間隔で数値を更新する短期数値更新手段(CPU111のリフレッシュレジスタ)から抽出した数値(ステップS102)に対応した更新値を用いて前記第1の数値を更新するステップ(ステップS105〜S107)と、
前記短期数値更新手段から抽出した数値に対応した更新値を用いて前記第2の数値を更新するステップ(ステップS105〜S107)と、
前記第1の数値を抽出して、第1の制御処理を行わせるステップと、
前記第2の数値を抽出して、前記第1の制御処理とは異なる第2の制御処理を行わせるステップと、
前記第1の数値の更新のために前記短期数値更新手段から数値を抽出するタイミングから、前記第2の数値の更新のために前記短期数値更新手段から数値を抽出するまでの期間に、不定期な遅延時間を挿入するステップ(ステップS103、S104)と
を含むことを特徴とする。
【0024】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点にかかるプログラムは、
予め定められた第1範囲内で更新される第1の数値と、前記第1の数値とは別に発生され、予め定められた第2範囲内で前記第1の数値とは別に更新される第2の数値とをそれぞれ更新するためのプログラムであって、
前記第1、第2の数値が更新される時間間隔よりも短い時間間隔で数値を更新する短期数値更新手段(CPU111のリフレッシュレジスタ)から抽出した数値(ステップS102)に対応した更新値を用いて前記第1の数値を更新する第1の数値更新手段(ステップS105〜S107)、
前記短期数値更新手段から抽出した数値に対応した更新値を用いて前記第2の数値を更新する第2の数値更新手段(ステップS105〜S107)、
前記第1の数値更新手段から数値を抽出して、第1の制御処理を行わせる第1の数値抽出手段、
前記第2の数値更新手段から数値を抽出して、前記第1の制御処理とは異なる第2の制御処理を行わせる第2の数値抽出手段、及び、
前記第1の数値の更新のために前記短期数値更新手段から数値を抽出するタイミングから、前記第2の数値の更新のために前記短期数値更新手段から数値を抽出するまでの期間に、不定期な遅延時間を挿入する遅延時間挿入手段(ステップS103、S104)
としてコンピュータ装置を機能させることを特徴とする。
【0025】
上記第2の観点にかかる数値更新方法、または上記第3の観点にかかるプログラムでは、第1の数値の更新に用いる更新値と第2の数値の更新に用いる更新値とが必ずしも一致しないこととなる。これにより、第1、第2の数値の更新が同期するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明によれば、遅延時間挿入手段による不定期な遅延時間の挿入によって、第1の数値更新手段が用いる更新値と第2の数値更新手段が用いる更新値とに規則性が発生しないこととなるので、第1、第2の数値更新手段による数値の更新が同期するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態にかかるパチンコ遊技機の正面図である。
【図2】図1のパチンコ遊技機の制御回路の構成を示すブロック図である。
【図3】特図ゲームを行う際に抽出される乱数の種類と、それぞれの加算値及び乱数値の範囲を登録したテーブルである。
【図4】(a)は、遊技制御基板の基本回路内のCPUが実行するメイン処理を示すフローチャートであり、(b)は、タイマ割り込み処理を示すフローチャートである。
【図5】図4の乱数更新処理を詳細に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0029】
図1は、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機の正面図である。パチンコ遊技機1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を指示固定する遊技機用枠(ガラス扉枠)20とから構成されている。遊技盤2は、ガイドレールによって囲まれたほぼ円形状の遊技領域を形成している。
【0030】
遊技盤2の遊技領域のほぼ中央位置には、LCDからなる可変表示部4が設けられている。可変表示部4は、特図ゲームを行うためのものである。特図ゲームでは、例えば同一の種類の図柄が揃って停止することにより、大当たりとなる。可変表示部4は、特図ゲームを行うためのものであり、特図ゲームに伴って、特別図柄を変動表示させると共に、予告やその他の演出のための背景画像やキャラクタ画像等を表示する。可変表示部4には、左、中及び右の3つの表示領域で特別図柄が変動表示され、特図ゲームは、これら3つの領域で同じ数字が揃って停止することによって大当たりとなる。最終停止までに2つの領域で同じ数字が揃って停止すると、リーチとなる。特図ゲームについては、さらに後述する。
【0031】
可変表示部4の上側中央には、回転駆動されて演出を行う役物11が設けられている。可変表示部4の下側には、特図ゲームの保留記憶を表示するための特別図柄保留記憶表示部10が設けられている。可変表示部4の左右には、装飾ランプ13a、13bがそれぞれ設けられている。また、左下と右下の遊技領域の端部にある装飾の中にも装飾ランプ13c、13dが設けられている。
【0032】
可変表示部4の下方位置には、電動チューリップ型役物(普通電動役物)6を兼用する特別図柄始動口(スタートチャッカ)5が配設されている。特図ゲームは、特別図柄始動口5を遊技球が通過することによって開始される。特別図柄始動口5の両側には、遊技球の通過により普図ゲームを開始させるための通過ゲート7a、7bが設けられている。特別図柄始動口5の遊技球の通過は、それぞれ最大4つまで保留記憶され、特別図柄保留記憶表示部10に表示される。
【0033】
特別図柄始動口5の下側には、大当たり発生時にソレノイド等を駆動することで開放動作を行う大入賞口(第1種特別電動役物:アタッカ)8が配設されている。大入賞口8は、特別図柄始動口5への入賞に基づいて特図ゲームが行われた結果大当たりとなった場合に、開放動作を行う。この開放動作は、遊技球が大入賞口8の内部の特定領域(図示せず)を通過することを条件として、最大15ラウンドして行うものであり、この制御を大当たり制御と呼ぶ。また、可変表示部4の左右と、通過ゲート7a、7bの下側には、遊技球の通過によって賞球が払い出される入賞口9a〜9dが設けられている。大入賞口8の右側には、普図ゲームの結果を○または×で示す普通図柄表示部12が設けられている。
【0034】
ガラス扉枠20には、遊技領域を囲むようにして複数の遊技効果LED14a〜14hが設けられている。また、ガラス扉枠20の上部左右側(遊技効果LED14a、14bの内側)には、スピーカ15a、15bが設けられている。可変表示部4に表示される画像の変化に伴って、またはこの画像とは独立して、遊技効果LED14a〜14hが発光し、スピーカ15a、15bから音声が出力される。
【0035】
ガラス扉枠20の遊技領域の下側には、遊技領域に打ち出す遊技球を供給するための打球供給皿21が設けられている。その下側には、打球供給皿21への払い出しができなくなった賞球を払い出すための余剰球受皿22が設けられている。その右側には、遊技領域に遊技球を打ち出す発射モータ(図示せず)を駆動するための打球操作ハンドル23が設けられている。ガラス扉枠20の遊技領域の左側には、払い出しを完了していない賞球があることを示す賞球ランプ17が、遊技領域の上側には、払い出すべき賞球が切れてしまったことを報知する球切れランプ18が設けられている。また、パチンコ遊技機1の左側には、プリペイドカードを挿入し、遊技球の貸し出しを受けるためのプリペイドカードユニット200が設けられている。
【0036】
図2は、パチンコ遊技機1の制御回路の構成を示すブロック図である。パチンコ遊技機1の制御回路は、電源基板100、遊技制御基板101、演出制御基板102、及び払出制御基板104に大きく分けられる。
【0037】
遊技制御基板101は、パチンコ遊技機1における遊技の進行全体の流れを制御するためのメイン側の制御基板であり、CPU(Central Processing Unit)111、RAM(Random Access Memory)112、ROM(Read Only Memory)113及びI/O(Input/Output)ポート114を含む1チップマイクロコンピュータからなる基本回路110を搭載している。また、遊技制御基板101は、スイッチ回路120、ソレノイド回路130、情報出力回路140及びアドレスデコード回路150を搭載している。
【0038】
CPU111は、計時機能、タイマ割り込み機能、及び乱数発生機能を備え、ROM113に記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する制御を行うと共に、パチンコ遊技機1の制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。RAM112は、CPU111がプログラムを実行する際の作業領域として使用される。ROM113は、CPU111が実行するプログラムや固定的なデータを記憶する。I/Oポート114は、基本回路110に接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0039】
RAM112は、DRAM(Dynamic RAM)が使用されており、記憶しているデータ内容を維持するためのリフレッシュ動作が必要となる。CPU111には、このリフレッシュ動作を行うためのリフレッシュレジスタが設けられている。リフレッシュレジスタは、8ビットからなり、そのうちの下位7ビットがCPU111がROM113から命令をフェッチする度に自動的にインクリメントされるもので、その値の更新は、1命令の実行時間毎に行われるので、後述する各種の乱数の更新(この間に複数の命令が実行される)に比べてかなり高速で行われるものとなっている。
【0040】
スイッチ回路120は、通過ゲート7を通過した遊技球を検出するためのゲートスイッチ37、特別図柄始動口5を通過した遊技球を検出するための始動口スイッチ35、大入賞口8を通過した遊技球を検出するためのカウントスイッチ38、大入賞口8の特定領域を通過した遊技球を検出するためのVカウントスイッチ30、及び入賞口9a〜9dを通過した遊技球を検出するための入賞口スイッチ39に接続されている。また、満タンスイッチ53、球切れスイッチ52、及び球払出装置105が払い出した賞球をカウントするための賞球カウントスイッチ51にも接続されている。スイッチ回路120は、各スイッチ37、35、38、30、39、53、52及び51から出力されてくる信号を、I/Oポート114を介してCPU111に入力させる。
【0041】
ソレノイド回路130は、電動チューリップ型役物6を駆動するためのソレノイド45、大入賞口8の開閉を駆動するためのソレノイド48、及び大入賞口8内の内部にあり、遊技球を特定領域に寄せるためのシーソー(図示せず)を駆動するためのソレノイド40に接続されている。ソレノイド回路130は、I/Oポート114から出力される制御信号に基づいて、ソレノイド40、45及び48に駆動制御信号(励磁信号)を出力する。
【0042】
情報出力回路140は、I/Oポート114から出力された制御信号に基づいて、大当たりの発生中を示す大当たり情報、確率変動状態(大当たり表示態様のうちの特別な表示態様により発生)にあることを示す確変情報、特図ゲームの始動に関する情報である始動情報、支払われた賞球に関する情報である賞球情報等の各種情報を、パチンコホール(遊技店)の管理コンピュータ等の外部コンピュータに対して出力する。
【0043】
アドレスデコード回路150は、CPU111から出力されたアドレス信号を入力し、デコードする。デコードした結果、CPU111の制御対象がRAM112、ROM113及びI/Oポート114のいずれであるかを選択するための信号を、CPU111に出力する。
【0044】
払出制御基板104は、球払出装置105とプリペイドカードユニット200とに接続されており、遊技球の貸し出しのために必要な情報をプリペイドカードユニット200との間でやりとりし、また、球払出装置105に貸し出された遊技球または入賞により賞球として払い出される遊技球を払い出させるための制御回路を備えている。
【0045】
演出制御基板102は、パチンコ遊技機1における演出の実行を制御するためのサブ側の制御基板であり、遊技制御基板101の基本回路110と同様なCPU121、RAM122、ROM123及びI/Oポート124を含む1チップマイクロコンピュータからなる基本回路120を搭載している。また、演出制御基板102は、それぞれCPU121からの指令に基づいて、可変表示部4に表示させる画像を描画するためのビデオプロセッサ(VDP)125と、スピーカ15から出力する音声を再生するためのオーディオプロセッサ(ADP)126とを搭載している。
【0046】
次に、特図ゲームについてより詳細に説明する。特図ゲームは、可変表示部4において特別図柄を一定期間変動表示させた後、その結果を示すものであるが、その特別図柄の変動表示パターンには複数のパターンがある。また、特図ゲームが行われている場合には、特別図柄の可変表示とは別に、可変表示部4に所定の背景図柄を表示させたり、所定のキャラクタ図柄を表示させたりして、予告が行なわれる場合がある。特図ゲームを行う際には、この変動表示パターン及び予告パターン(或いは予告なし)を決定するために、乱数の抽出による抽選が行われる。
【0047】
図3は、特図ゲームを行う際に抽出される乱数の種類と、それぞれの加算値及び乱数値の範囲を登録したテーブルである。図示するように、乱数の種類としては、変動パターン種別選択用乱数、変動パターン用乱数、リーチ判定用乱数、予告パターン用乱数、及び予告用乱数の5種類が登録されている。各種の乱数について、その数値を更新するためのカウンタがRAM112に設けられている。これらの乱数は、後述するタイマ割り込み毎に更新される。
【0048】
加算値は、1回のタイマ割り込みで乱数の値に加算する値であるが、その値はタイマ割り込みの都度異なることとなる。この加算値は、CPU111内のリフレッシュレジスタから取得した値に基づいて求められるものであり、一時的な変数として加算値を記憶するための領域がRAM112に設けられている。加算判定値は、演算途中の加算値と比較される値である。より詳細に説明すると、リフレッシュレジスタから取得した値の下位4ビットが加算値の初期値となり、その後、現在の加算値が加算判定値よりも小さくなったと判定されるまで、現在の加算値から加算判定値を減算した値を加算値として更新していく。
【0049】
乱数値は、それぞれの乱数がとり得る値の範囲を示すものである。乱数判定値は、最終的に求められた加算値を加算したことによる更新後の乱数の値が取り得る値の範囲であるかを判定するために用いられ、加算値を加算して更新した後の乱数の値が取り得る値の範囲を越えているときには、加算値を加算した乱数の値から乱数判定値を減算した値を更新後の乱数の値とする。
【0050】
図3のテーブルに登録された各種の乱数について説明すると、変動パターン種別選択用乱数は、特図ゲームの変動表示パターンの種別を決定するための乱数であり、加算値の範囲は0〜3、加算判定値は4、乱数値の範囲は0〜250、乱数判定値は251となっている。変動パターン用乱数は、特図ゲームの変動表示パターンを決定するための乱数であり、加算値の範囲は0〜7、加算判定値は8、乱数値の範囲は0〜240、乱数判定値は241となっている。リーチ判定用乱数は、特定の変動表示パターン(リーチパターン)を決定するための乱数であり、加算値の範囲は0〜7、加算判定値は8、乱数値の範囲は0〜210、乱数判定値は211となっている。
【0051】
予告パターン用乱数は、特図ゲームにおいて予告を行う場合の予告パターンを決定するための乱数であり、加算値の範囲は0〜7、加算判定値は8、乱数値の範囲は0〜78、乱数判定値は79となっている。予告用乱数は、特図ゲームにおいて予告を行うか否かを決定するための乱数であり、加算値の範囲は0〜3、加算判定値は4、乱数値の範囲は0〜178、乱数判定値は179となっている。
【0052】
なお、それぞれの乱数が取り得る値の個数(ここでは、乱数判定値に同じ)は、互いに素となっている。また、いずれの種類の乱数についても、加算値の範囲と乱数値の範囲との関係として、更新後の乱数値を求める際に8ビットのカウンタがオーバーフローしないように、最大の乱数値に最大の加算値を加算した値が255(FFh)を越えないように定められている。
【0053】
なお、特図ゲームを行うためには、図3に示した各種の乱数の他に、特図ゲームで大当たりとするかどうかを決定するための大当たり乱数と、確定図柄(予定停止図柄)を決定するための表示図柄乱数も用いられている。これらの乱数は、図3に示した各乱数とは異なり、特別図柄始動口5を遊技球が通過したときに抽出される。また、更新の方法も、図3に示した各乱数とは異なるが、その詳細な説明については省略する。
【0054】
以下、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1における遊技動作について説明する。図4は、遊技制御基板101の基本回路110内のCPU111が実行する処理を示すフローチャートである。パチンコ遊技機1の電源が投入されると、図4(a)に示すメイン処理が実行されることとなる。
【0055】
メイン処理では、まず初期設定処理が行われる(ステップS11)。初期設定処理では、後述する割り込み処理を実行するタイミングを規定するタイマ割り込み時間(例えば、2msec)をCPU111に設定する処理が行われる。これにより、電源投入等によるリセット後、最初の割り込み処理が実行されるタイミングを規定するための計時が開始される。また、初期設定処理においては、種々のタイマをセットするための処理も行われる。
【0056】
初期設定処理が終了すると、この電源投入前に生じた電源エラーによる電源遮断時における状態のバックアップがされていないかどうかを判定する(ステップS12)。電源遮断時における状態のバックアップがされていれば、バックアップされていた状態を復元して、電源エラーの前の状態に復帰する(ステップS13)。そして、復帰した電源エラーの前の状態からの処理を継続して行う。
【0057】
電源遮断時における状態のバックアップがされていなければ、RAM112を初期化すること、及び各種フラグの初期化などの処理が行われる(ステップS14)。次に、演出制御基板102、払出制御基板104などのサブ基板などに初期コマンドを送信し、これらのサブ基板の状態を初期化させる(ステップS15)。
【0058】
サブ基板の初期化が行われると、大当たり乱数及び表示図柄乱数を更新する処理が行われる(ステップS16)。さらに、大当たり乱数に設定すべき初期値を決定する初期値決定用乱数を更新する処理が行われる(ステップS17)。次に、変動パターン種別選択用乱数、変動パターン用乱数、リーチ判定用乱数、予告パターン用乱数及び予告用乱数をそれぞれ更新する乱数更新処理が行われる(ステップS18)。この乱数更新処理の詳細については後述する。
【0059】
ステップS15でサブ基板の初期化が終了した後には、ステップS16〜S18の処理が無限ループで繰り返して実行されることとなる。この間に設定したタイマ割り込み時間が到来してタイマ割り込みが入る毎に、図4(b)のタイマ割り込み処理が実行され、タイマ割り込み処理が終了すると、再度ステップS16〜S18の無限ループの処理が実行されることとなる。
【0060】
タイマ割り込み処理では、まずゲートスイッチ37、カウントスイッチ38、Vカウントスイッチ30等の状態を入力し、各入賞口や通過ゲートに対する入賞があったか否かを判定するスイッチ処理を行う(ステップS21)。なお、始動口スイッチ35による始動入賞の判定は、後述する特別柄プロセス処理において行っている。
【0061】
次に、パチンコ遊技機1の内部に備えられている自己診断機能によって種々の異常診断を行い、その結果に応じて必要ならば警報を発生させる等の処理を含むエラー処理を行う(ステップS22)。次に、ステップS18と同様に、変動パターン種別選択用乱数、変動パターン用乱数、リーチ判定用乱数、予告パターン用乱数及び予告用乱数をそれぞれ更新する乱数更新処理が行われる(ステップS23)。この乱数更新処理の詳細については後述する。
【0062】
さらに、初期値決定用乱数を更新する処理が行われ(ステップS24)、大当たり乱数及び表示図柄乱数を更新する処理が行われる(ステップS25)。ここで、初期値決定用乱数は、大当たり乱数の値が周期的に更新されるのを避けるために、例えば大当たり乱数の値が最大値に達した後に最初に行われるタイマ割り込み処理で、大当たり乱数の値として設定する初期値を決定するための乱数である。
【0063】
ステップS23〜S25における各種の乱数値の更新が終了すると、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。この特別図柄プロセス処理では、特別図柄プロセスフラグに従って、上記した各種の乱数を抽出して、特図ゲームの結果を大当たりとするか、特図ゲームにおける確定図柄をどの種類の図柄とするか、特図ゲームの変動表示パターンをどのパターンとするか、などの抽選を行う処理が含まれる。また、その処理結果に応じて、必要なコマンドを生成する。特別図柄プロセス処理の詳細については、後述する。
【0064】
次に、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。この普通図柄プロセス処理では、普通図柄を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。また、その処理結果に応じて、普図ゲームコマンドなどのコマンドを生成する。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
【0065】
次に、特別図柄コマンド処理を行う(ステップS28)。この特別図柄コマンド処理は、ステップS26において各種のコマンドが生成されていれば、これを基本回路110から演出制御基板102へ伝送する処理である。次に、普通図柄コマンド処理を行う(ステップS29)。この普通図柄コマンド処理は、普通図柄を表示制御するためのコマンドを基本回路110から演出制御基板102へ伝送する処理である。
【0066】
次に、情報出力回路140を介して確変情報、大当たり情報、始動情報、賞球情報等の情報を外部に出力する情報出力処理を行う(ステップS30)。次に、ソレノイド45、48、40を励磁制御するための制御信号をソレノイド回路130に出力するソレノイド出力処理を行う(ステップS31)。次に、基本回路110から払出制御基板104に賞球個数信号と賞球可能信号とを送信して、賞球の払出指令を行うための賞球処理を行う(ステップS32)。
【0067】
次に、保留記憶処理を行う(ステップS33)。この保留記憶処理は、例えば、特別図柄始動口5に遊技球の入賞があって保留記憶が増加した場合や特別図柄の変動が開始されて保留記憶が減少した場合などの保留記憶数が変化した場合に、保留記憶数の表示変更を指示するための保留記憶数コマンドを基本回路110から演出制御基板102へ伝送する処理である。このステップS33の処理が終了すると、前述したステップS16及びS17の無限ループの処理に戻る。
【0068】
次に、ステップS18及びS23の乱数更新処理について詳しく説明する。図5は、ステップS18またはS23において遊技制御基板101のCPU111が実行する乱数更新処理を詳細に示すフローチャートである。乱数更新処理では、まず、更新処理の対象とする乱数の種類を図3のテーブルの最初に登録されている変動パターン種別選択用乱数に設定する(ステップS101)。
【0069】
次に、リフレッシュレジスタが現在示している値を抽出し、上位4ビットをマスクすることにより、その下位4ビットの値を加算値の初期値として求める(ステップS102)。次に、加算値が所定対象となっている乱数について図3のテーブルに登録されている加算判定値よりも小さいかどうかを判定する(ステップS103)。加算値が加算判定値以上であれば、現在の加算値から加算判定値を減算した値を新たな加算値として求め(ステップS104)、ステップS103の処理に戻る。
【0070】
加算値が加算判定値よりも小さくなっていれば、処理対象となっている乱数の現在の値(乱数カウンタが示す値)に加算値を加算して、当該乱数の値を更新する(ステップS105)。次に、この更新後の乱数の値が、所定対象となっている乱数について図3のテーブルに登録する乱数判定値よりも小さいかどうかを判定する(ステップS106)。更新後の乱数の値が乱数判定値よりも小さければ、そのままステップS108の処理に進む。更新後の乱数の値が乱数判定値以上であれば、ステップS105で更新した乱数の値から乱数判定値を減算した値を更新後の乱数の値として(ステップS107)、ステップS108の処理に進む。
【0071】
ステップS108では、図3のテーブルに登録されている乱数のうちで、更新処理の対象とされていない乱数が残っているかどうかを判定する。更新処理の対象とされていない乱数が残っていれば、更新処理の対象を図3のテーブルに次に登録されている乱数として(ステップS109)、ステップS102の処理に戻る。更新処理の対象としていない乱数が残っていなければ、乱数更新処理を終了して、図4(b)のフローチャートに復帰する。
【0072】
なお、ステップS102でリフレッシュレジスタの下位4ビットを加算値の初期値として設定してから、ステップS103の判定結果がYESとなって更新処理の対象とした乱数の加算値が確定するまでに、ステップS103及びS104が実行される回数は、リフレッシュレジスタから取得した値に応じて不定になっている。これは、どの種類の乱数を更新処理の対象とした場合も同じである。
【0073】
変動パターン種別選択用乱数を更新処理の対象としてリフレッシュレジスタの値を抽出してから変動パターン用乱数を更新処理の対象としてリフレッシュレジスタの値を抽出するまでの遅延時間は、変動パターン種別選択用乱数を更新処理の対象として抽出したリフレッシュレジスタの値から加算値を生成されるまでに実行されるステップS103及びS104の回数が異なってくることにより、不定期なものとなる。
【0074】
変動パターン選択用乱数を更新処理の対象としてリフレッシュレジスタの値を抽出してからリーチ判定用乱数を更新処理の対象としてリフレッシュレジスタの値を抽出するまでの遅延時間、リーチ判定用乱数を更新処理の対象としてリフレッシュレジスタの値を抽出してから予告パターン用乱数を更新処理の対象としてリフレッシュレジスタの値を抽出するまでの遅延時間、予告パターン用乱数を更新処理の対象としてリフレッシュレジスタの値を抽出してから予告用乱数を更新処理の対象としてリフレッシュレジスタの値を抽出するまでの遅延時間についても、同様に不定期なものとなる。
【0075】
次に、ステップS26の特別図柄プロセス処理について詳しく説明する。特別図柄プロセス処理では、特別図柄プロセスフラグの状態に従って、特図ゲームを実行するために必要となる各種の処理を行う。ここで、CPU111は、始動口スイッチ35により特別図柄始動口5を遊技球が通過したこと(始動入賞)が検出されているときには、大当たり乱数と表示図柄乱数とを抽出し、その値を特別図柄判定用のバンクに保留記憶させる。但し、4つのバンクに既に保留記憶されていれば、当該始動入賞は無効となる。
【0076】
先の始動入賞に基づく保留記憶が全てなくなった状態であると、特図ゲームの開始条件が成立するものとなる。このタイミングで、CPU111は、変動パターン種別選択用乱数、変動パターン用乱数、リーチ判定用乱数、予告パターン用乱数、及び予告用乱数を抽出する。また、特別図柄判定用のバンクに保留記憶しておいた値に基づいて特図ゲームの結果を大当たりとするか否か、確定図柄をどの種類の図柄とするかを決定すると共に、ここで抽出した各乱数の値に基づいて変動表示パターンと予告パターン(または予告なし)を決定する。さらに、ここで決定した特図ゲームの結果、確定図柄、変動表示パターン及び予告パターンを特定可能な特図ゲームコマンドを生成する。
【0077】
特図ゲームの終了タイミング(開始時に決定した変動表示パターンにより特定可能)となると、CPU111は、特別図柄判定用のバンクに保存しておいた値に応じた確定図柄を特定可能な確定コマンドを生成する。なお、特図ゲームコマンド及び確定コマンドは、それが生成された後に最初に行われる特別図柄コマンド処理において遊技制御基板101から演出制御基板102に送信される。
【0078】
一方、演出制御基板102においては、遊技制御基板101から特図ゲームコマンドを受信すると、その特図ゲームコマンドに基づいて特図ゲームを実行し、確定コマンドを受信すると、特図ゲームの確定図柄を表示するが、演出制御基板102における処理については、本発明と関係がないので、詳細な説明を省略する。
【0079】
以上説明したように、この実施の形態にかかるパチンコ遊技機1では、図3のテーブルに登録されたそれぞれの乱数を更新する場合には、その更新の際の加算値は、CPU111のリフレッシュレジスタから抽出された値に従って決定される。この加算値を決定する場合には、加算判定値より小さくなるまでリフレッシュレジスタから抽出された値から繰り返して加算判定値を減算していくが、その繰り返し回数は、リフレッシュレジスタから抽出された値の違いによって異なるものとなる。
【0080】
この繰り返し回数の違いは、先に更新される乱数のためにリフレッシュレジスタの値を抽出してから次に更新される乱数のためにリフレッシュレジスタから値を抽出するまでの遅延時間が不定なものとなる。このため、この間にリフレッシュレジスタの値が更新される回数が不定になり、先に更新された乱数の加算値と次の更新される乱数の加算値とに規則性が発生しない。これにより、図3のテーブルに登録された複数種類の乱数の更新が同期するのを防ぐことができる。
【0081】
先に更新される乱数のためにリフレッシュレジスタの値を抽出してから次に更新される乱数のためにリフレッシュレジスタから値を抽出するまでの遅延時間は、減算の繰り返し回数によって容易に不定なものとすることができる。また、遅延時間を決定するためだけに用いられる特別な手段を設ける必要もない。それぞれの乱数の加算値を決めるための数値は、CPU111に備えられているリフレッシュレジスタを利用することで、加算値を決定するためだけに用いられる特別な手段を設ける必要もない。
【0082】
CPU111のリフレッシュレジスタは、8ビット長を有しているが、そのうちの下位4ビットだけが各種の乱数の加算値を求めるために用いられている。それぞれの乱数の加算判定値は、4または8であるが、リフレッシュレジスタの下位4ビットでは0〜15の範囲の値しかとらないため、加算値が求められるまでの減算回数を4回または2回以内に限ることができる。また、CPU111の減算器が4ビットしかなくても、加算判定値の減算を1回の処理で高速に行うことができる。
【0083】
また、図3のテーブルに登録されたそれぞれの乱数の加算値は、リフレッシュレジスタから抽出した値からそれぞれの加算判定値よりも小さくなるまで繰り返し減算された値を用いているため、1回の乱数更新処理あたりで更新される大きさを限ることができる。また、いずれの乱数についても、ステップS102〜S107の処理を行って更新されるため、処理を簡単にできると共に、プログラムを短く記述することができる。
【0084】
ところで、図3のテーブルに登録された変動パターン種別選択用乱数、変動パターン用乱数、リーチ判定用乱数、予告パターン用乱数、及び予告用乱数がそれぞれ取り得る値の個数は、251、241、211、79、179であり、互いに素となっている。このため、これらの乱数の更新が同期するのをさらに防ぐことができるようになる。
【0085】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形態様について説明する。
【0086】
上記の実施の形態では、乱数の種類毎に、リフレッシュレジスタからの値の抽出、加算値の算出、及び乱数の値の更新という処理を行っていた。つまり、先に更新される乱数の更新が終了してから、後に更新される乱数について、リフレッシュレジスタからの値の抽出と加算値の算出とを行うものとしていた。これに対して、各乱数について更新処理を行う前に、全ての乱数についての加算値を求めるようにしてしまってもよい。この場合でも、リフレッシュレジスタの値の抽出から最終的な加算値が求められるまでに加算判定値との比較及び減算が行われる回数は不定となるので、1の乱数に関してリフレッシュレジスタから値を抽出してから次の乱数に関してリフレッシュレジスタから値を抽出するまでの期間が不定なものとなる。
【0087】
上記の実施の形態では、タイマ割り込み毎に変動パターン種別選択用乱数、変動パターン用乱数、リーチ判定用乱数、予告パターン用乱数、及び予告用乱数を更新するための加算値は、CPU111のリフレッシュレジスタから抽出された値に従って求められていた。しかしながら、タイマ割り込み時間よりも短い時間間隔で更新される値(例えば、CPU111の命令カウンタの値、システムクロックなどにより更新されるハードウェア乱数(CPU111内に設けられた手段によるものでも、外部に別個に設けられた手段によるものでも可)の値など)を抽出して、これらの乱数を更新するための加算値を求めてもよい。
【0088】
リフレッシュレジスタは、RAM112としてDRAMにより構成されたものが適用されており、そのデータ内容のリフレッシュ動作のために用いられるものであった。RAM112としてリフレッシュ動作が不要なSRAM(Static RAM)を適用した場合、そのためにリフレッシュレジスタはなくてもよい。もっとも、リフレッシュ動作のために用いられることがなくても、CPU111がリフレッシュレジスタを備えていれば、これを加算値の生成のために用いることは可能である。
【0089】
また、1の乱数に関してリフレッシュレジスタの値を抽出してから次の乱数についてリフレッシュレジスタの値を抽出するまでの遅延時間は、最終的な加算値を求めるまでにステップS103、S104が実行される回数によって求められていたが、これに限るものではない。リフレッシュレジスタの値(または上記の他の値)に応じた回数だけNOP命令(何もしない)を実行することで、不定期な遅延時間を挿入するものとしてもよい。
【0090】
上記の実施の形態では、変動パターン種別選択用乱数、変動パターン用乱数、リーチ判定用乱数、予告パターン用乱数、及び予告用乱数は、タイマ割り込み毎にリフレッシュレジスタから抽出された値に応じた加算値ずつ加算更新されるものとなっていたが、これらの乱数の更新方法は、これに限られるものではない。例えば、リフレッシュレジスタから抽出された値に応じた値ずつ減算更新していくものとしても、リフレッシュレジスタから抽出された値との排他的論理和により減算していくものとしてもよい。
【0091】
上記の実施の形態では、変動パターン種別選択用乱数、変動パターン用乱数、リーチ判定用乱数、予告パターン用乱数、及び予告用乱数の5種類の乱数の更新について本発明を適用した場合について説明した。しかしながら、上記した方法により更新される乱数の数や種類は、これに限られるものではない。特図ゲームを行うため以外に用いられる乱数についても、上記の更新方法を適用することができる。演出制御基板102における処理において用いられる乱数についても、上記の更新方法を適用することができる。
【0092】
上記の実施の形態では、プリペイドカードによって球貸しを行うカードリーダ(CR:Card Reader)式の第1種パチンコ遊技機を例にとって説明したが、画像表示装置を有するものであれば、例えば第2種或いは第3種に分類されるパチンコ遊技機や、一般電役機、またはパチコンと呼ばれる確率設定機能付き弾球遊技機等であってもよい。さらには、プリペイドカードによって球貸しを行うCR式パチンコ遊技機(CR機)だけでなく、現金によって球貸しを行うパチンコ遊技機(現金機)にも適用可能である。また、パチンコ遊技機だけでなく、スロットマシンにおいてもタイマ割り込みが発生する都度更新される乱数について、本発明を適用することができる。
【0093】
さらには、パチンコ遊技機やスロットマシンの動作をシミュレーションするゲーム機等にも本発明を適用することができる。ゲーム機の記憶装置としてDRAMを使用していれば、同様のリフレッシュレジスタが含まれるため、ここから各乱数の加算値を生成するための値を取得すればよい。リフレッシュレジスタが含まれていなくても、ハードウェアによりタイマ割り込みよりも高速に更新される何らかのレジスタの値を取得して、これを用いて各乱数の加算値を生成すればよい。このゲーム機のプログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納したり、Web上のサーバ装置からゲーム機にダウンロードさせるものとして、ゲーム機とは別に流通させることができる。
【符号の説明】
【0094】
1 パチンコ遊技機
101 遊技制御基板
111 CPU
112 RAM
113 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた第1範囲内で数値を更新する第1の数値更新手段と、
予め定められた第2範囲内で数値を更新する第2の数値更新手段と、
前記第1、第2の数値更新手段が数値を更新する時間間隔よりも短い時間間隔で数値を更新する第3の数値更新手段とを備え、
前記第1の数値更新手段から抽出された数値と前記第2の数値更新手段から抽出された数値とは、互いに異なる処理に用いられ、
前記第1、第2の数値更新手段はそれぞれ、前記第3の数値更新手段から抽出された数値に対応した更新値を用いて数値を更新し、
前記第1の数値更新手段による数値の更新のために前記第3の数値更新手段から数値を抽出するタイミングから、前記第2の数値更新手段による数値の更新のために前記第3の数値更新手段から数値を抽出するまでの期間に、不定期な遅延時間を挿入する遅延時間挿入手段をさらに備える
ことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−17600(P2010−17600A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249454(P2009−249454)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【分割の表示】特願2003−92099(P2003−92099)の分割
【原出願日】平成15年3月28日(2003.3.28)
【出願人】(000144153)株式会社三共 (5,148)
【Fターム(参考)】