遊技機
【課題】シリンダー錠に電子錠を加えてこれらを使い分けできるようにした遊技機であって、電子錠を使用する場合にシリンダー錠の鍵穴を塞いで防犯性の向上を図るようにした遊技機を提供する。
【解決手段】機枠4の前面に軸着され遊技盤6が装着される本体枠5と、本体枠5の前面に軸着され遊技盤6の前面を覆う透明板保持枠2と、本体枠5と透明板保持枠2とを施錠・開錠する施錠装置33と、を備え、施錠装置33に、これを操作するシリンダー錠24を設けると共に外部から電気的信号を入力することで該施錠装置33を操作する電子錠38の取付部を設け、シリンダー錠24に被着してその前端面を覆い鍵穴28を塞ぐ鍵カバー部材44を備え、これは切り裂き可能な素材により形成され、遊技機Pには鍵カバー部材44を保持し保管しておく挿入保持孔46を設けてなる。
【解決手段】機枠4の前面に軸着され遊技盤6が装着される本体枠5と、本体枠5の前面に軸着され遊技盤6の前面を覆う透明板保持枠2と、本体枠5と透明板保持枠2とを施錠・開錠する施錠装置33と、を備え、施錠装置33に、これを操作するシリンダー錠24を設けると共に外部から電気的信号を入力することで該施錠装置33を操作する電子錠38の取付部を設け、シリンダー錠24に被着してその前端面を覆い鍵穴28を塞ぐ鍵カバー部材44を備え、これは切り裂き可能な素材により形成され、遊技機Pには鍵カバー部材44を保持し保管しておく挿入保持孔46を設けてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダー錠に電子錠を加え、これらを使い分けできるようにした遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一種として代表的なものにパチンコ遊技機が有る。該パチンコ遊技機は、遊技盤が装着される遊技機本体と該遊技機本体の前面に配置され開閉自在に軸着される透明板保持枠とからなり、該遊技機本体には該透明板保持枠を必要なときのみ開放できるようにシリンダー錠が装着されている。
【0003】
しかしながら、前記シリンダー錠を備えたパチンコ遊技機にあっては、例えば、パチンコホールで各パチンコ遊技機に遊技者がぎっしりと付いて遊技をしている混み合った状態で、しかも、遊技中にトラブルが発生して透明板保持枠を開ける必要が生じた場合、ホールの係員がその間に割り込んでシリンダー錠の鍵穴に鍵を差し込み透明板保持枠を開けなくてはならない。これは、他の遊技客の邪魔になるなどサービス上好ましくない。このため、鍵を使ったシリンダー錠の開錠のし易さが求められていた。
【0004】
これに対し、近時、鍵を使うことなく例えば電波、赤外線等の無線手段によってアクチュエータを作動させ開錠する遠隔操作式の開錠手段、すなわち、電子錠、が出現しつつある。この電子錠にあっては、例えば電源が取れない場所での透明板保持枠や本体枠の開錠ができないばかりか、パチンコホールにパチンコ遊技機を設置した後に電源供給できない状態で透明板保持枠と本体枠を誤って閉めてしまった場合にも、パチンコ遊技機の前面側より施錠装置を破壊しなければ該透明板保持枠と本体枠とは開けられないという問題点がある。
【0005】
これらの点に鑑み、例えば、特許文献1に示されるようにシリンダー錠に電子錠を加え、シリンダー錠と電子錠とを使い分けできるようにしたパチンコ遊技機が出現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4263467号公報(第3−5頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に係るパチンコ遊技機にあっては、必然的にシリンダー錠がパチンコ遊技機の前面側に配置され、電子錠がその裏面側に配置されている。従って、パチンコホールで電子錠のみを使用する場合においても、シリンダー錠はそのまま配置されその鍵穴が外部に露出しているので、遊技客が該鍵穴にガムや爪楊枝などの異物を挿入するといったいたずらをすることがあった。しかも、せっかく電子錠が設けられているにも拘わらず、シリンダー錠の鍵穴が前面に露出していることは、電子錠の最大の利点である防犯性の向上が十分に発揮できてないことになる。
【0008】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、シリンダー錠に電子錠を加えこれらを使い分けできる遊技機であって、パチンコホールにて電子錠のみを使用する場合は、シリンダー錠の鍵穴を塞ぐようにして、いたずらを未然に防ぎ防犯性の向上を図るようにした遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため本発明の遊技機は、機枠の前面に開閉自在に軸着され遊技盤が装着される本体枠と、前記本体枠の前面に開閉自在に軸着され前記遊技盤の前面を覆う透明板保持枠と、前記本体枠と前記透明板保持枠とを施錠・開錠する施錠装置と、を備えてなる遊技機であって、前記施錠装置に、この施錠装置を操作するシリンダー錠を設けると共に外部から電気的信号を入力することで該施錠装置を操作する電子錠の取付部を設け、前記シリンダー錠に着脱自在に被着して該シリンダー錠の前端面を覆いその鍵穴を塞ぐ鍵カバー部材を備え、前記鍵カバー部材は工具によって切り裂き可能な素材により形成され、遊技機には前記鍵カバー部材を保持し保管しておく挿入保持孔を設けたことを特徴とする。
【0010】
この際、前記鍵カバー部材は、一端面を閉塞しかつ他端面を開放した円筒状に形成されるものと両端面を開放した円筒状に形成されるものとの二種類揃えられていることが好ましい。
【0011】
また、前記一端面を閉塞しかつ他端面を開放した円筒状に形成される鍵カバー部材と前記両端面を開放した円筒状に形成される鍵カバー部材とは、他端面側で接続片により一体に接続されていることが好ましい。
【0012】
更に、前記鍵カバー部材は、前記シリンダー錠の前端面に取着されるように円板状に形成され、その一側面の中心に前記シリンダー錠の鍵穴に挿通する鍵穴挿入片を突設してなることが好ましい。
【0013】
更にまた、前記鍵カバー部材における前記シリンダー錠の前端面と当接する前側壁に、前記シリンダー錠の鍵穴に対応する中心部分を残してその周囲に切取用開孔を開設することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る遊技機は、本体枠と透明板保持枠とを施錠・開錠する施錠装置を備え、該施錠装置に、この施錠装置を操作するシリンダー錠を設けると共に外部から電気的信号を入力することで該施錠装置を操作する電子錠の取付部を設け、シリンダー錠に被着して該シリンダー錠の前端面を覆いその鍵穴を塞ぐ鍵カバー部材を備え、該鍵カバー部材は工具によって切り裂き可能な素材により形成され、遊技機には鍵カバー部材を保持し保管しておく挿入保持孔を設けるようにした。そして、パチンコホールにて電子錠の取付部に電子錠を取り付ける。営業中に電子錠のみを使用する場合には、シリンダー錠を鍵カバー部材により被着して鍵穴を塞ぐようにしたので、これにより、シリンダー錠の鍵穴にガムや爪楊枝といった異物を挿入するといういたずらやゴト師による不正行為が抑制され、防犯性の向上を図ることができるという効果を奏する。また、電子錠のみを使用するパチンコホールにおいては、パチンコホールの従業員が必要と判断した以外の(例えば不正行為を目的とする)鍵カバー部材の破損による痕跡を従業員がいち早く発見可能となり、不正が行なわれた後の対応も早急に行なうことができるという効果も有る。また、各パチンコホールにとっては、電子錠の開閉システムの有無という環境の相違、シリンダー錠のみを使用するか、電子錠のみを使用するか、これらのいずれも使用するかといった営業方針の相違が有るが、それら各パチンコホールの要望に容易に対応できるという効果も有る。
【0015】
この際、鍵カバー部材は、一端面を閉塞しかつ他端面を開放した円筒状に形成されるものと両端面を開放した円筒状に形成されるものとの二種類揃えておけば、仮に、電子錠を使用せずシリンダー錠を使用して営業する場合には、前記両端面が開放された鍵カバー部材を使用する。これにより、シリンダー錠の鍵穴が露出して該シリンダー錠が使用できる。また、シリンダー錠の外径よりも該シリンダー錠を挿通する挿入通孔の内径の方が大きくても、鍵カバー部材の肉厚がその隙間を塞ぎ、その隙間から行われる不正行為を未然に防ぐことができるという効果が有る。
【0016】
また、前記一端面を閉塞しかつ他端面を開放した円筒状に形成される鍵カバー部材と両端面を開放した円筒状に形成される鍵カバー部材とを他端面側で接続片により一体に接続するようにすれば、それぞれ別個に備えられているよりも紛失しにくく、鍵カバー部材の保管も便利であるという効果が有る。
【0017】
更に、鍵カバー部材として、前記シリンダー錠の前端面に取着されるように円板状に形成され、その一側面の中心にシリンダー錠の鍵穴に挿通する鍵穴挿入片を突設してなるものを使用すれば、鍵カバー部材がコンパクトに形成でき、取り扱い易く製造コストも低廉になし得るという効果が有る。
【0018】
いずれの場合も、前記鍵カバー部材におけるシリンダー錠の前端面と当接する部位に、シリンダー錠の鍵穴に対応する中心部分を残してその周囲に切取用開孔を開設するようにすれば、該切取用開孔に先の尖った工具を挿入して鍵カバー部材が簡単に破壊でき、鍵穴を容易に露出できるので、シリンダー錠を直ちに使用したいという緊急時の対応がスムーズに行なえ対応がし易いという効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】透明板保持枠と球受皿を開放した本発明に係るパチンコ遊技機の正面図。
【図2】表から見た本体枠の分解斜視図。
【図3】裏から見た本体枠の分解斜視図。
【図4】(イ)は本発明に係る鍵カバー部材の拡大斜視図、(ロ)は他の鍵カバー部材の拡大斜視図。
【図5】裏側から見た本体枠の一部拡大斜視図。
【図6】本体枠の一部拡大側面断面図。
【図7】鍵カバー部材の使用状態を示すパチンコ遊技機の要部拡大側面図。
【図8】鍵カバー部材の使用状態を示すパチンコ遊技機の要部拡大側面図。
【図9】(イ)(ロ)は鍵カバー部材対の拡大斜視図。
【図10】裏から見た本体枠の分解斜視図。
【図11】他の鍵カバー部材の使用状態を示すパチンコ遊技機の要部拡大側面図。
【図12】他の鍵カバー部材の使用状態を示すパチンコ遊技機の要部拡大側面図。
【図13】(イ)(ロ)は他の鍵カバー部材の拡大裏面斜視図。
【図14】裏側から見た本体枠の一部拡大斜視図。
【図15】本体枠の一部拡大側面断面図。
【図16】他の鍵カバー部材の使用状態を示すパチンコ遊技機の要部拡大側面図。
【図17】他の鍵カバー部材の使用状態を示すパチンコ遊技機の要部拡大側面図。
【図18】球受皿が一体に成形される透明板保持枠を開放したパチンコ遊技機の正面図。
【図19】同表から見た本体枠の分解斜視図。
【図20】鍵カバー部材の使用状態を示すパチンコ遊技機の要部拡大側面図。
【図21】鍵カバー部材の使用状態を示すパチンコ遊技機の要部拡大側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る遊技機の最良の実施の形態を図面に基づき詳しく説明する。本発明は、パチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機、メダル又はパチンコ球を遊技媒体として用いる回動式遊技機などの遊技機に適用されるが、この内、その一例としてパチンコ遊技機に適用される場合について説明する。図1は透明板保持枠と球受皿を開放した本発明に係るパチンコ遊技機の正面図、図2は表から見た本体枠の分解斜視図、図3は裏から見た本体枠の分解斜視図である。
【0021】
パチンコ遊技機Pは、遊技機本体1と該遊技機本体1の前面に開閉自在に軸着される透明板保持枠2及びこの下方に配置される球受皿3とからなる。遊技機本体1は、縦長長方形状の機枠4を有し、該機枠4の前側に本体枠5が開閉自在に装着される。該遊技機本体1すなわち本体枠5に、遊技盤6が着脱自在に装着される。遊技盤6の前面には、渦巻き状に敷設された内側・外側ガイドレール7a,7bにより囲われるようにして遊技領域である遊技部6aが形成される。
【0022】
前記遊技盤6の遊技部6aには、その中央に文字、数字等の図柄を変動表示する変動表示装置8が配設される。また、その下方に遊技部6aに打ち込まれた遊技球が入賞することにより変動表示装置8に表示された図柄を変動させる始動入賞口9が配置され、更に、その下方に一度に多くの入賞球を発生する大型の入賞装置10が配置される。図中、11は一般の入賞口である。遊技部6aの中央下縁に、遊技部6aに打ち込まれた遊技球であっていずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球をアウト球として遊技盤6の後側へ排出するアウト球口12が設けられている。
【0023】
透明板保持枠2は、中央に前記遊技盤6の遊技部6aが臨む窓開口13が開設され、該窓開口13に該窓開口13を覆うように透明なガラス板または透明な合成樹脂板を前後に一定の間隔離して平行に配置した透明板ユニット14が取着されている。
【0024】
球受皿3は、本体枠5の一側に軸着される取付基板15と、その前面に装着される球皿部16と、から主として構成される。該球皿部16にパチンコ遊技機Pの裏側に配設した球払出装置(図示せず。)から払い出される遊技球であるパチンコ球が貯留され、貯留されたパチンコ球は本体枠5の前面下部に装着された打球発射装置17に供給されることになる。前記取付基板15の裏面には、前記球皿部16から受け入れられるパチンコ球を打球発射位置へ一個ずつ間歇的に供給するための打球供給装置18が取着されている。打球発射装置17は、本体枠5の前面に取着される基板19と該基板19の前面に取着される発射レール20と、上端部を基板19に軸着され該基板19に沿って往復回動し該発射レール20上面に供給されるパチンコ球を打球する打球槌21と、から構成されている。また、本体枠5の下部前面であってその一側すなわち球受皿3の解放側に、球皿部16の前面と面一となる装飾部材22が突設され、該装飾部材22に前記打球発射装置17から発射されるパチンコ球の打球力を調整するための打球力調整ハンドル23が取着される。更に、装飾部材22であって打球力調整ハンドル23の上方にシリンダー錠24が配設されている。
【0025】
前記装飾部材22をもう少し詳しく説明すると、該装飾部材22は合成樹脂製であって図2、図3に示すように後面が開放する箱枠状に形成されると共に、下部の広幅突部22aとその上部に一体に設けられる狭幅突部22bとからなる。広幅突部22aに前後両端面が開放され前記打球力調整ハンドル23が挿通される円筒状の挿通孔25が形成され、狭幅突部22bに前後両端面が開放され前記シリンダー錠24が挿通される円筒状の挿入通孔26が形成されている。また、挿入通孔26は、図7に示すようにその前端内周縁に環状リブ27が設けられている。挿入通孔26の内径はシリンダー錠24の外径よりも少し大きく、シリンダー錠24前端の鍵穴28が臨む前端開口29の内径がシリンダー錠24の外径とほぼ一致している。装飾部材22の裏側に、該装飾部材22を正面から見た大きさとほぼ同じ大きさからなる金属製の不正防止板30が配置される。該不正防止板30には、前記挿入通孔26に対応して該挿入通孔26と連通する第一透孔31が開設される。そして、装飾部材22は、その裏側に不正防止板30を当接した状態で本体枠5の下部前面の所定位置に固着されることになる。装飾部材22が固着された状態では、前記挿入通孔26が不正防止板30に開設された第一透孔31を介して本体枠5に形成され前後端面が開放した円筒状の第二透孔32と連通する。
【0026】
図3に示すように本体枠5の一側すなわち開放側の外側に、本体枠5または透明板保持枠2を施錠または開錠する施錠装置33がビス59止めにより配置固定される。該施錠装置33は、本体枠5の側壁に固着される縦長の固定板34を備え、該固定板34の外側面に重なるようにして上下に摺動する可動板35が設けられる。前記固定板34と該可動板35は平板部が共に前後方向に沿って配置され、その下部が内側(パチンコ遊技機Pを正面から見て左側)へ窪むように屈曲しており、図5、図7に示すように該固定板34の窪み部36部位に、前後に位置してシリンダー錠24を配置固定する第一取付部63aと後記する電子錠38を配置固定する第二取付部63bとが一直線状に設けられる。第一取付部63aに、鍵穴28を前側へ向けるようにしてシリンダー錠24が配置固定される。該シリンダー錠24の錠軸24aは後方へ突出しており、該錠軸24aの後端に略三日月状の前カム片37が固着されている。一方、第二取付部63bの電子錠38は、シリンダー錠24の後側に近接しかつシリンダー錠24と一体に固着されるようにして配置される。電子錠38とは、電波、赤外線、超音波等の無線手段またはパチンコホールにおける中央制御装置からの指令によりアクチュエータによって透明板保持枠2または本体枠5の開錠を行なう開錠機構である。そして、該電子錠38の錠軸38aは前方へ突出されると共に前記シリンダー錠24の錠軸24aと同一中心軸線上に位置し、その錠軸38aの先端に前記前カム片37と同じ大きさの略三日月状からなる後カム片39が固着されている。前カム片37と後カム片39は互いに同一中心軸線と直交する平行な面内でそれぞれ往復回動する。ところで、シリンダー錠24は、あらかじめパチンコ遊技機Pの組立工場で施錠装置33に取着されてそのまま出荷されるのが通常であるが、電子錠38はパチンコホールの営業上の方針が有ることから、工場からの出荷時には取り付けられておらず、ほとんど各パチンコホールで取り付けられる。ただ、場合によっては組立工場からパチンコ遊技機Pが出荷されるときにすでに電子錠38が取着されている場合もある。
【0027】
シリンダー錠24の外周面の後端部と電子錠38の外周面の前端部にそれぞれ平行な支持板24b、支持板38bが設けられ、これら支持板24b,38bの両端部に互いに連通する螺子挿通孔64,65が開設されている。シリンダー錠24側の各螺子挿通孔64と電子錠38側の各螺子挿通孔65には、カラー66を介在させて電子錠38側から螺子棒67を挿通し、各先端を施錠装置33の固定板34を切り起こして突設される保持片68に開設された取付孔69に挿通させる。各取付孔69から突出した各螺子棒67の先端に、ナット70を螺締する。これにより、シリンダー錠24と電子錠38とがカラー66の長さ間隔離れて固定される。前記シリンダー錠24の前カム片37と電子錠38の後カム片39の先端部は、可動板35であってシリンダー錠24の錠軸24a及び電子錠38の錠軸38aを挟んでその上下部に開設された上係止孔61aと下係止孔61bに入り、それら前・後カム片37,39を上下動させる。例えば、シリンダー錠24の鍵穴28に挿入した鍵(図示せず。)をパチンコ遊技機Pを正面から見て時計回り方向に回動させると、シリンダー錠24の錠軸24aも同方向へ回動し、前カム片37の下側部が下係止孔61bに入って可動板35を上動させる。一方、シリンダー錠24の鍵穴28に挿入した鍵(図示せず。)を逆にパチンコ遊技機Pを正面から見て反時計回方向に回動させると、シリンダー錠24の錠軸24aも同方向へ回動し、前カム片37の上側部が上係止孔61aに入って可動板35を下動させるようになっている。電子錠38についても同様にして可動板35を上下動できるようになっている。このように施錠装置33を作動させるに、シリンダー錠24または電子錠38を使い分けできるようにしている。
【0028】
詳しい説明は省略するが、前記固定板34の前端縁部の上下位置に上向きの爪を前端に有しかつスプリング等の弾発手段により前端が常に上方へ付勢される一対の係合突片40,40が上下に摺動自在に取着されている。これら係合突片40,40は前記可動板35が下動するのに伴い該可動板35と係合し前記弾発手段に抗してその先端部を下げるようになっている。また、前記固定板34の後端縁部の上下位置に上向きの爪を前端に有しかつスプリング等の弾発手段により前端が常に上方へ付勢される一対の係合片42,42が軸着されている。これら係合片42,42は前記可動板35が上動するのに伴い該可動板35と係合し前記弾発手段に抗してその先端部を下げるようになっている。
【0029】
前記一対の係合突片40,40は、図1に示すように透明板保持枠2の裏面一側に設けられた上下の係合杆41,41に係脱自在に係合し、前記一対の係合片42,42は機枠4の一側内面に設けられた係止杆(図示せず。)に係脱自在に係合する。よって、本体枠5を閉じた状態では、該本体枠5側の施錠装置33における一対の係合片42,42が機枠4の一対の係止杆に係合している。また、透明板保持枠2を閉じた状態では、本体枠5側の施錠装置33における一対の係合突片40,40が透明板保持枠2の一対の係合杆41,41に係合している。
【0030】
そこで、例えばシリンダー錠24の鍵穴28に鍵(図示せず。)を挿入して、時計回り方向に回動させると施錠装置33の可動板35が上動して一対の係合片42,42と機枠4側の一対の係止杆との係合が外れ、本体枠5が開放できるようになる。一方、前記鍵穴28に挿入した鍵を反時計回り方向に回動させると、施錠装置33の可動板35が下動して一対の係合突片40,40と透明板保持枠2側の一対の係合杆41,41との係合が外れ、透明板保持枠2が開放できるようになる。電子錠38にあっても、パチンコホールの中央制御装置からの指令を電子錠38に出力することにより、前記シリンダー錠24と同じ動作が行なえるようになっている。ちなみに、前記本体枠5や透明板保持枠2は開放させた状態から、それぞれそのまま後方へ押し込むのみで係合突片40や係合片42が係合杆41や係止杆に自動的に係合する。これら説明では、シリンダー錠24と共に電子錠38も固着した状態を示したが、そもそもパチンコホールで電子錠38を使用しない場合は、図7と同じように第一取付部材63aに支持板24bを後側にしてシリンダー錠24を配置し、各螺子挿通孔64及び取付孔69に前記螺子棒67より短い螺子(図示せず。)を挿通し、保持片68の前側で各螺子にナット70を螺締する。これにより、シリンダー錠24が固着される。組立工場からは、ほとんどこの状態でパチンコ遊技機Pが出荷されることになる。
【0031】
ところで、本発明のようにシリンダー錠24と電子錠38を備え、これらの利点を生かしたパチンコ遊技機Pにあっては、該シリンダー錠24に鍵穴28を露出した状態で被着する鍵カバー部材44(44a)と鍵穴28を塞ぐ前側壁45を有する鍵カバー部材44(44b)とを備えている。これら鍵カバー部材44を更に詳しく説明すると、この鍵カバー部材44は、合成樹脂材により成形され図4(イ)に示すように二種類ある。一方の鍵カバー部材44aは、両端面が開放する短筒状に形成され外径が前記本体枠5に設けられた挿入通孔26の内径とほぼ同じであって、内径がシリンダー錠24の外径とほぼ同じに形成されている。他方の鍵カバー部材44bは、前端面が前側壁45により完全に塞がれると共に後端面は開放し短筒状に形成されている。また、他方の鍵カバー部材44bは、同様に外径が前記本体枠5に設けられた挿入通孔26の内径とほぼ同じであって、内径がシリンダー錠24の外径とほぼ同じに形成されている。
【0032】
例えば、組立工場においてパチンコ遊技機Pの組み立てが終了しパチンコホールの設置島に配置されるまでの間、パチンコホールにて入れ替えや配置場所の変更のためパチンコ遊技機Pを取り外したままでいる間、または、パチンコ遊技機Pを同じグループ内のパチンコホールから他のパチンコホールに移動させる場合の間は、鍵を使って透明板保持枠2を開放したい場合がある。このような場合はシリンダー錠24が使える状態にしておく必要がある。このため、本体枠5を開放した状態でビス59を外して施錠装置33を取り外し、シリンダー錠24を装飾部材22から抜く。次に、シリンダー錠24に両端面が開放される一方の鍵カバー部材44aを被着する。そして、再び、施錠装置33をビス59により元の位置に取り付け、図7に示すようにシリンダー錠24を挿入通孔26に挿入する。この状態では、パチンコ遊技機Pの前面に挿入通孔26を介してシリンダー錠24の鍵穴28が露出し、パチンコ遊技機Pの前側から鍵穴28に鍵を挿入してシリンダー錠24が操作できるようになっている。前端面が塞がれた他方の鍵カバー部材44bは、図5に示すように本体枠5の一側下部に設けられた挿入保持孔46に挿入して保管しておく。該挿入保持孔46は、図6に示すように前端面が閉塞され後端面が開放し、その内径は鍵カバー部材44a,44bの外径とほぼ一致している。また、挿入保持孔46の中心軸線に沿った長さは、鍵カバー部材44a,44bにおける同方向の長さより少し長く設定され、後端縁の上縁に下方を向く爪片47が設けられている。該爪片47は、挿入保持孔46に挿入した鍵カバー部材44a,44bが抜け出て無用に落下しないようにするためである。
【0033】
これに対し、例えば、パチンコホールで電子錠38をシリンダー錠24を備えたパチンコ遊技機Pに追加して配置し電子錠38のみを使用する場合、パチンコホールでシリンダー錠24と電子錠38の両方を配置したパチンコ遊技機Pで電子錠38のみを使用する場合は、いたずら行為防止や不正行為防止のためシリンダー錠24が使えない状態としておく必要がある。このため、各パチンコ遊技機Pにつき本体枠5を開放した状態でビス59を外し、施錠装置33のシリンダー錠24を装飾部材22から抜く。そして、シリンダー錠24の先端部にそれまで被着されていた両端面が開放される一方の鍵カバー部材44aを取り外す。そして、前端面が閉塞された他方の鍵カバー部材44bをシリンダー錠24の先端部に被着する。そして、再び、施錠装置33をビス59により元の位置に取り付け、図8に示すようにシリンダー錠24を挿入通孔26に挿入する。この状態では、シリンダー錠24の鍵穴28が前側壁45により塞がれ、そのままではパチンコ遊技機Pの前側から鍵を鍵穴28に挿入してシリンダー錠24を操作するということができなくなる。ちなみに、両端面が開放された一方の鍵カバー部材44aは、本体枠5の一側下部に設けられた挿入保持孔46に挿入して保管しておく。
【0034】
なお、鍵カバー部材44の交換に、前記のように施錠装置33を取り外さなくても、シリンダー錠24や電子錠38を施錠装置33に組み付ける前記螺子棒67,67を外しシリンダー錠24と電子錠38を外して鍵カバー部材44の交換を行うようにしても良い。
【0035】
これによって、パチンコホールにあってはシリンダー錠24から電子錠38に切り替えることができ、例えば、営業中に球詰まりが生じてそのトラブルを解消させるためには、トラブルの発生したパチンコ遊技機Pにあって電子錠38を電気的に作動させて透明板保持枠2を開きパチンコホールの係員がその対処にあたる。また、営業後にすべてのパチンコ遊技機Pについて掃除をする際は、すべての電子錠38を電気的に作動させることにより、すべてのパチンコ遊技機Pにつき透明板保持枠2を開放させることができ、その掃除をスムーズに行なえることになる。一方、シリンダー錠24は他方の鍵カバー部材44bにより被着され、前面の鍵穴28が閉塞されているので、該シリンダー錠24の鍵穴28に爪楊枝のような異物を挿入することや該シリンダー錠24を使っての不正行為を抑制することができる。
【0036】
事故により電子錠38の配線が切断されたり電子錠38の駆動装置の故障などを原因として、電子錠38が電気的に作動しなくなったとき、またはパチンコホールの設置島に電源供給できない状態でパチンコ遊技機Pを設置し、誤って透明板保持枠2と本体枠5とを閉めてしまったときは、先の尖った工具でパチンコ遊技機Pの前側から鍵カバー部材44の前側壁45を切り裂いて鍵穴28を露出させる。そして、この状態で鍵穴28に鍵を差し込んでシリンダー錠24を作動させ、透明板保持枠2や本体枠5を開閉する。
【0037】
図4(ロ)に示す鍵カバー部材44のうち、他方の鍵カバー部材44cは、前記先の尖った工具で鍵カバー部材44cを切り裂く場合に切り裂き易いように、鍵穴28に対応する中心部分45aを残してその周囲に複数の切取用開孔48を開設し、隣り合う切取用開孔48,48間に幅の細い連結片49を形成した構成からなる。これにより、連結片49はその一端が中心部分45aに達しかつ他端が前端外周縁に達する。このような鍵カバー部材44によっても鍵穴28へのいたずらや不正行為を抑制できるばかりか、鍵穴28を露出したい場合は、切取用開孔48に先の尖った工具の先端を介入させて前記連結片49を切断すれば良く、その作業が簡単に行なえる。
【0038】
図9乃至図12は鍵カバー部材対を示す。図9(イ)に示すように該鍵カバー部材対50は、前記一方の鍵カバー部材44aと他方の鍵カバー部材44bとをその後端縁で接続片51により一体に接続して形成される。一方の鍵カバー部材44aと他方の鍵カバー部材44bとは、それら中心軸線が互いに平行になるように配置される。この場合は、一方の鍵カバー部材44aと他方の鍵カバー部材44bとが接続片51により接続されたまま使用されるので、図10のように装飾部材22に設けられシリンダー錠24を挿通させる挿入通孔26の下方に、一方の鍵カバー部材44aを該挿入通孔26に挿入したとき、他方の鍵カバー部材44bを挿入しておくための挿入保持孔52が設けられている。この挿入保持孔52は前端面が塞がれ、後端面が開放している。この場合、鍵カバー部材対50を本体枠5の裏側から装飾部材22側へ挿入しなければならないので、本体枠5と不正防止板30には、それぞれ鍵カバー部材対50が挿通し得る大きさの縦長透孔60,30aが開設されている。
【0039】
そこで、シリンダー錠24が使用できる状態とするには、ビス59を外し本体枠5から施錠装置33を取り外してシリンダー錠24の先端部に両端が開放される鍵カバー部材44aを被着する。該鍵カバー部材44aの下には、接続片51を介してもう一方の鍵カバー部材44bが連なっている。よって、施錠装置33を元の位置に固着すると共に鍵カバー部材対50を二つの縦長透孔30a,60を介して装飾部材22内に配置する。そして、図11に示すように両端面が開放される一方の鍵カバー部材44aが被着されたシリンダー錠24を挿入通孔26に挿入する。この際、下方の鍵カバー部材44bは挿入保持孔52に挿入される。このとき、接続片51にはビス挿通孔51aが開設され、該ビス挿通孔51aを介して該ビス挿通孔51aと連通する装飾部材22裏面のビス孔62にビス59が螺締される。このようにして、鍵カバー部材対50の無用な落下を防いでいる。
【0040】
また、シリンダー錠24を使用せずに電子錠38のみを使用する場合は、本体枠5からビス59を外し施錠装置33を取り外すと共に、前記鍵カバー部材対50を外す。次に、鍵カバー部材対50を二つの縦長透孔30a,60を介して装飾部材22内に配置すると共に装飾部材22の裏面のビス孔62に接続片51のビス59を螺締する。そして、ビス59止めすることにより施錠装置33を元の位置に固着する。これにより、図12に示すように前端面が閉塞される他方の鍵カバー部材44bを被着したシリンダー錠24が挿入通孔26に挿入される。また、この状態で、下方の両端面が開放された鍵カバー部材44aが挿入保持孔52に挿入される。このように、互いの鍵カバー部材44a,44bを接続片51により接続しておけば、どちらか一方を紛失してしまうといったことが少なく使い勝手も良い。
【0041】
図9(ロ)に示す鍵カバー部材対50のうち、他方の鍵カバー部材44cは、前記のように先の尖った工具で鍵カバー部材44cを切り裂く場合に切り裂き易いように、鍵穴28に対応する中心部分45aを残してその周囲に複数の切取用開孔48を開設し、隣り合う切取用開孔48,48間に幅の細い連結片49を形成した構成からなる。これにより、鍵穴28へのいたずらや不正行為を抑制できるばかりか、鍵穴28を露出したい場合は、切取用開孔48に先の尖った工具の先端を介入させて前記連結片49を切断すれば良く、その作業が簡単に行なえる。
【0042】
図13乃至図17も、他の実施の形態に係る鍵カバー部材を示すもので、この鍵カバー部材53も合成樹脂材から成形されるが、シリンダー錠24の前面にのみ被せられるものである。該鍵カバー部材53は、図13(イ)に示すようにシリンダー錠24の外径と同じ外径を有する円板からなり、円板裏面の中心部にはシリンダー錠24の鍵穴28に挿入する鍵穴挿入片54が突設されている。該鍵カバー部材53はシリンダー錠24の前端面のみで外周面には被着されないので、装飾部材22の挿入通孔26の内径もシリンダー錠24の外径とほぼ同じに設定されている。
【0043】
また、図14、図15に示すように、本体枠5の裏面下部に前記鍵カバー部材53を使用しないときに、該鍵カバー部材53を収納し保管しておく挿入保持孔55が形成されている。該挿入保持孔55は、深さが浅く、その後端面の内周縁に挿入した鍵カバー部材53が簡単に外れないように保持しておく掛止片56が突設されている。
【0044】
そこで、シリンダー錠24が使用できる状態では、図16に示すようにシリンダー錠24の前端面が開放すなわち鍵穴28が露出した状態にしておく。これにより、必要なときにパチンコ遊技機Pの前側から鍵穴28に鍵を差し込んで施錠装置33を操作させることができる。
【0045】
一方、電子錠38を使用しシリンダー錠24を使用しない場合は、本体枠5を開きビス59を取って施錠装置33を外し、図17に示すように鍵穴28に鍵穴挿入片54を挿入してシリンダー錠24の前端面に鍵カバー部材53を取着する。これにより、鍵カバー部材53がその周縁を前側の環状リブ27と後側のシリンダー錠24の前端面とにより挟着されしっかりと固定される。
【0046】
この実施の形態にあっても、図13(ロ)に示すように円板状の鍵カバー部材53の鍵穴28に対応する中心部分53aを残してその周囲に切取用開孔57を開設し隣り合う切取用開孔57,57間に幅の細い連結片58を形成した構成としても良い。また、鍵カバー部材53の裏面であって中心部分53aにシリンダー錠24の鍵穴28に挿通される鍵穴挿入片54が突設されている。よって、連結片58は、その一端が中心部分53aに達しかつ他端が前端外周縁に達するようになっている。
【0047】
このように本発明に係るパチンコ遊技機Pは、本体枠5と透明板保持枠2とを施錠・開錠する施錠装置33を備え、該施錠装置33に、この施錠装置33を操作するシリンダー錠24を設けると共に外部から電気的信号を入力することで該施錠装置33を操作する電子錠38の第二取付部63bを設け、シリンダー錠24に被着して該シリンダー錠24の前端面を覆いその鍵穴28を塞ぐ鍵カバー部材44を備え、該鍵カバー部材44は先端の尖った工具によって切り裂き可能な素材により形成され、遊技機Pには鍵カバー部材44を保持し保管しておく挿入保持孔46を設けるようにした。そして、パチンコホールにて電子錠38の第二取付部63bに電子錠38を取り付け、営業中に電子錠38のみを使用する場合には、シリンダー錠24を鍵カバー部材44により被着して鍵穴28を塞ぐようにする。これにより、シリンダー錠24の鍵穴28にガムや爪楊枝といった異物を挿入するといったいたずらやゴト師による不正行為が抑制され、防犯性の向上を図ることができる。また、電子錠38のみを使用するパチンコホールにおいては、パチンコホールの従業員が必要と判断した以外の(例えば不正行為を目的とする)鍵カバー部材44の破損による痕跡を従業員がいち早く発見可能となり、不正が行なわれた後の対応も早急に行なうことができる。また、各パチンコホールにとっては、電子錠38の開閉システムの有無という環境の相違、シリンダー錠24のみを使用するか、電子錠38のみを使用するか、これらのいずれも使用するかといった営業方針の相違が有るが、それら各パチンコホールの要望に容易に対応できる。
【0048】
前記鍵カバー部材44、鍵カバー部材対50、鍵カバー部材53は、いずれも合成樹脂材により成形されると説明したが、先端の尖った工具で引き裂くことができることを条件として、他の素材、例えばゴム、エラストマー、樹脂を含有した紙、薄いアルミ板であっても良い。
【0049】
図18乃至図21は、球受皿3を共に一体に成形した透明板保持枠2aを備えたパチンコ遊技機P1を示すもので、本発明に係るパチンコ遊技機Pと構成はほとんど同じなので、同一部位は同一符号を付すことによって詳しい説明は省略する。該パチンコ遊技機P1は、シリンダー錠24を挿通させる挿入通孔26が該透明板保持枠2aに設けられている。また、透明板保持枠2aの下部裏面に、使用されない鍵カバー部材44を保持しておくための挿入保持孔46が設けられている。そこで、例えば前記のように組立工場においてパチンコ遊技機P1の組み立てが終了しパチンコホールの設置島に配置されるまでの間、パチンコホールにて入れ替えや配置場所の変更のためパチンコ遊技機P1を取り外したままでいる間、または、パチンコ遊技機P1を同じグループ内のパチンコホールから他のパチンコホールに移動させる場合の間は、鍵を使って透明板保持枠2aを開放したい場合があり、このような場合はシリンダー錠24が使える状態にしておく必要がある。
【0050】
このため、本体枠5を開放した状態でビス59を外して施錠装置33を取り外し、シリンダー錠24を透明板保持枠2aの挿入通孔26から抜く。次に、シリンダー錠24に両端面が開放される一方の鍵カバー部材44aを被着する。そして、再びビス59締めして施錠装置33を元の位置に取り付け、図20に示すようにシリンダー錠24を挿入通孔26に挿入する。この状態では、パチンコ遊技機P1の前面に挿入通孔26を介してシリンダー錠24の鍵穴28が露出し、パチンコ遊技機P1の前側から鍵穴28に鍵を挿入してシリンダー錠24が操作できるようになっている。図18に示すように他方の前端面が塞がれた鍵カバー部材44bは、透明板保持枠2aの一側下部に設けられた挿入保持孔46に挿入して保管しておく。該挿入保持孔46は、前端面が閉塞され後端面が開放し、その内径は鍵カバー部材44a,44bの外径とほぼ一致している。また、挿入保持孔46の中心軸線に沿った長さは、鍵カバー部材44a,44bにおける同方向の長さより少し長く設定され、後端縁の上縁に下方を向く爪片47が設けられている。該爪片47は、挿入保持孔46に挿入した鍵カバー部材44a,44bが抜け出て無用に落下しないようにするためである。
【0051】
これに対し、例えばパチンコホールで電子錠38をシリンダー錠24を備えたパチンコ遊技機P1に追加して配置し電子錠38のみを使用する場合、パチンコホールでシリンダー錠24と電子錠38の両方を配置したパチンコ遊技機P1で電子錠38のみを使用する場合は、いたずら行為防止や不正行為防止のためシリンダー錠24が使えない状態としておく必要がある。このため、各パチンコ遊技機P1につき本体枠5を開放した状態でビス59を外し、施錠装置33のシリンダー錠24を透明板保持枠2aの挿入通孔26から抜く。次に、シリンダー錠24の先端部にそれまで被着されていた両端面が開放される一方の鍵カバー部材44aを取り外す。更に、前端面が閉塞された他方の鍵カバー部材44bをシリンダー錠24の先端部に被着する。そして、再び、ビス59締することにより施錠装置33を元の位置に取り付け、図21に示すようにシリンダー錠24を挿入通孔26に挿入する。この状態では、シリンダー錠24の鍵穴28が前側壁45により塞がれ、そのままではパチンコ遊技機P1の前側から鍵を鍵穴28に挿入してシリンダー錠24を操作するということができなくなる。ちなみに、両端面が開放された一方の鍵カバー部材44aは、透明板保持枠2aの一側下部に設けられた挿入保持孔46に挿入して保管される。
【0052】
このような構成のパチンコ遊技機P1にあっても、パチンコホールでシリンダー錠24から電子錠38に切り替えることができ、例えば、営業中に球詰まりが生じてそのトラブルを解消させるためには、トラブルの発生したパチンコ遊技機P1にあって電子錠38を電気的に作動させて透明板保持枠2aを開きパチンコホールの係員がその対処にあたる。また、営業後にすべてのパチンコ遊技機P1について掃除をする際は、すべての電子錠38を電気的に作動させることにより、すべてのパチンコ遊技機P1につき透明板保持枠2aを開放させることができ、その掃除をスムーズに行なえることになる。一方、シリンダー錠24は他方の鍵カバー部材44bにより被着され、前面の鍵穴28が閉塞されているので、該シリンダー錠24の鍵穴28に爪楊枝のような異物を挿入することや該シリンダー錠を使っての不正行為を抑制することができる。
【符号の説明】
【0053】
2 透明板保持枠
4 機枠
5 本体枠
6 遊技盤
24 シリンダー錠
26 挿入通孔
28 鍵穴
33 施錠装置
38 電子錠
44 鍵カバー部材
44a 一方の鍵カバー部材
44b 他方の鍵カバー部材
48 切取用開孔
49 連結片
54 鍵穴挿入片
P パチンコ遊技機
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダー錠に電子錠を加え、これらを使い分けできるようにした遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一種として代表的なものにパチンコ遊技機が有る。該パチンコ遊技機は、遊技盤が装着される遊技機本体と該遊技機本体の前面に配置され開閉自在に軸着される透明板保持枠とからなり、該遊技機本体には該透明板保持枠を必要なときのみ開放できるようにシリンダー錠が装着されている。
【0003】
しかしながら、前記シリンダー錠を備えたパチンコ遊技機にあっては、例えば、パチンコホールで各パチンコ遊技機に遊技者がぎっしりと付いて遊技をしている混み合った状態で、しかも、遊技中にトラブルが発生して透明板保持枠を開ける必要が生じた場合、ホールの係員がその間に割り込んでシリンダー錠の鍵穴に鍵を差し込み透明板保持枠を開けなくてはならない。これは、他の遊技客の邪魔になるなどサービス上好ましくない。このため、鍵を使ったシリンダー錠の開錠のし易さが求められていた。
【0004】
これに対し、近時、鍵を使うことなく例えば電波、赤外線等の無線手段によってアクチュエータを作動させ開錠する遠隔操作式の開錠手段、すなわち、電子錠、が出現しつつある。この電子錠にあっては、例えば電源が取れない場所での透明板保持枠や本体枠の開錠ができないばかりか、パチンコホールにパチンコ遊技機を設置した後に電源供給できない状態で透明板保持枠と本体枠を誤って閉めてしまった場合にも、パチンコ遊技機の前面側より施錠装置を破壊しなければ該透明板保持枠と本体枠とは開けられないという問題点がある。
【0005】
これらの点に鑑み、例えば、特許文献1に示されるようにシリンダー錠に電子錠を加え、シリンダー錠と電子錠とを使い分けできるようにしたパチンコ遊技機が出現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4263467号公報(第3−5頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に係るパチンコ遊技機にあっては、必然的にシリンダー錠がパチンコ遊技機の前面側に配置され、電子錠がその裏面側に配置されている。従って、パチンコホールで電子錠のみを使用する場合においても、シリンダー錠はそのまま配置されその鍵穴が外部に露出しているので、遊技客が該鍵穴にガムや爪楊枝などの異物を挿入するといったいたずらをすることがあった。しかも、せっかく電子錠が設けられているにも拘わらず、シリンダー錠の鍵穴が前面に露出していることは、電子錠の最大の利点である防犯性の向上が十分に発揮できてないことになる。
【0008】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、シリンダー錠に電子錠を加えこれらを使い分けできる遊技機であって、パチンコホールにて電子錠のみを使用する場合は、シリンダー錠の鍵穴を塞ぐようにして、いたずらを未然に防ぎ防犯性の向上を図るようにした遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため本発明の遊技機は、機枠の前面に開閉自在に軸着され遊技盤が装着される本体枠と、前記本体枠の前面に開閉自在に軸着され前記遊技盤の前面を覆う透明板保持枠と、前記本体枠と前記透明板保持枠とを施錠・開錠する施錠装置と、を備えてなる遊技機であって、前記施錠装置に、この施錠装置を操作するシリンダー錠を設けると共に外部から電気的信号を入力することで該施錠装置を操作する電子錠の取付部を設け、前記シリンダー錠に着脱自在に被着して該シリンダー錠の前端面を覆いその鍵穴を塞ぐ鍵カバー部材を備え、前記鍵カバー部材は工具によって切り裂き可能な素材により形成され、遊技機には前記鍵カバー部材を保持し保管しておく挿入保持孔を設けたことを特徴とする。
【0010】
この際、前記鍵カバー部材は、一端面を閉塞しかつ他端面を開放した円筒状に形成されるものと両端面を開放した円筒状に形成されるものとの二種類揃えられていることが好ましい。
【0011】
また、前記一端面を閉塞しかつ他端面を開放した円筒状に形成される鍵カバー部材と前記両端面を開放した円筒状に形成される鍵カバー部材とは、他端面側で接続片により一体に接続されていることが好ましい。
【0012】
更に、前記鍵カバー部材は、前記シリンダー錠の前端面に取着されるように円板状に形成され、その一側面の中心に前記シリンダー錠の鍵穴に挿通する鍵穴挿入片を突設してなることが好ましい。
【0013】
更にまた、前記鍵カバー部材における前記シリンダー錠の前端面と当接する前側壁に、前記シリンダー錠の鍵穴に対応する中心部分を残してその周囲に切取用開孔を開設することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る遊技機は、本体枠と透明板保持枠とを施錠・開錠する施錠装置を備え、該施錠装置に、この施錠装置を操作するシリンダー錠を設けると共に外部から電気的信号を入力することで該施錠装置を操作する電子錠の取付部を設け、シリンダー錠に被着して該シリンダー錠の前端面を覆いその鍵穴を塞ぐ鍵カバー部材を備え、該鍵カバー部材は工具によって切り裂き可能な素材により形成され、遊技機には鍵カバー部材を保持し保管しておく挿入保持孔を設けるようにした。そして、パチンコホールにて電子錠の取付部に電子錠を取り付ける。営業中に電子錠のみを使用する場合には、シリンダー錠を鍵カバー部材により被着して鍵穴を塞ぐようにしたので、これにより、シリンダー錠の鍵穴にガムや爪楊枝といった異物を挿入するといういたずらやゴト師による不正行為が抑制され、防犯性の向上を図ることができるという効果を奏する。また、電子錠のみを使用するパチンコホールにおいては、パチンコホールの従業員が必要と判断した以外の(例えば不正行為を目的とする)鍵カバー部材の破損による痕跡を従業員がいち早く発見可能となり、不正が行なわれた後の対応も早急に行なうことができるという効果も有る。また、各パチンコホールにとっては、電子錠の開閉システムの有無という環境の相違、シリンダー錠のみを使用するか、電子錠のみを使用するか、これらのいずれも使用するかといった営業方針の相違が有るが、それら各パチンコホールの要望に容易に対応できるという効果も有る。
【0015】
この際、鍵カバー部材は、一端面を閉塞しかつ他端面を開放した円筒状に形成されるものと両端面を開放した円筒状に形成されるものとの二種類揃えておけば、仮に、電子錠を使用せずシリンダー錠を使用して営業する場合には、前記両端面が開放された鍵カバー部材を使用する。これにより、シリンダー錠の鍵穴が露出して該シリンダー錠が使用できる。また、シリンダー錠の外径よりも該シリンダー錠を挿通する挿入通孔の内径の方が大きくても、鍵カバー部材の肉厚がその隙間を塞ぎ、その隙間から行われる不正行為を未然に防ぐことができるという効果が有る。
【0016】
また、前記一端面を閉塞しかつ他端面を開放した円筒状に形成される鍵カバー部材と両端面を開放した円筒状に形成される鍵カバー部材とを他端面側で接続片により一体に接続するようにすれば、それぞれ別個に備えられているよりも紛失しにくく、鍵カバー部材の保管も便利であるという効果が有る。
【0017】
更に、鍵カバー部材として、前記シリンダー錠の前端面に取着されるように円板状に形成され、その一側面の中心にシリンダー錠の鍵穴に挿通する鍵穴挿入片を突設してなるものを使用すれば、鍵カバー部材がコンパクトに形成でき、取り扱い易く製造コストも低廉になし得るという効果が有る。
【0018】
いずれの場合も、前記鍵カバー部材におけるシリンダー錠の前端面と当接する部位に、シリンダー錠の鍵穴に対応する中心部分を残してその周囲に切取用開孔を開設するようにすれば、該切取用開孔に先の尖った工具を挿入して鍵カバー部材が簡単に破壊でき、鍵穴を容易に露出できるので、シリンダー錠を直ちに使用したいという緊急時の対応がスムーズに行なえ対応がし易いという効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】透明板保持枠と球受皿を開放した本発明に係るパチンコ遊技機の正面図。
【図2】表から見た本体枠の分解斜視図。
【図3】裏から見た本体枠の分解斜視図。
【図4】(イ)は本発明に係る鍵カバー部材の拡大斜視図、(ロ)は他の鍵カバー部材の拡大斜視図。
【図5】裏側から見た本体枠の一部拡大斜視図。
【図6】本体枠の一部拡大側面断面図。
【図7】鍵カバー部材の使用状態を示すパチンコ遊技機の要部拡大側面図。
【図8】鍵カバー部材の使用状態を示すパチンコ遊技機の要部拡大側面図。
【図9】(イ)(ロ)は鍵カバー部材対の拡大斜視図。
【図10】裏から見た本体枠の分解斜視図。
【図11】他の鍵カバー部材の使用状態を示すパチンコ遊技機の要部拡大側面図。
【図12】他の鍵カバー部材の使用状態を示すパチンコ遊技機の要部拡大側面図。
【図13】(イ)(ロ)は他の鍵カバー部材の拡大裏面斜視図。
【図14】裏側から見た本体枠の一部拡大斜視図。
【図15】本体枠の一部拡大側面断面図。
【図16】他の鍵カバー部材の使用状態を示すパチンコ遊技機の要部拡大側面図。
【図17】他の鍵カバー部材の使用状態を示すパチンコ遊技機の要部拡大側面図。
【図18】球受皿が一体に成形される透明板保持枠を開放したパチンコ遊技機の正面図。
【図19】同表から見た本体枠の分解斜視図。
【図20】鍵カバー部材の使用状態を示すパチンコ遊技機の要部拡大側面図。
【図21】鍵カバー部材の使用状態を示すパチンコ遊技機の要部拡大側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る遊技機の最良の実施の形態を図面に基づき詳しく説明する。本発明は、パチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機、メダル又はパチンコ球を遊技媒体として用いる回動式遊技機などの遊技機に適用されるが、この内、その一例としてパチンコ遊技機に適用される場合について説明する。図1は透明板保持枠と球受皿を開放した本発明に係るパチンコ遊技機の正面図、図2は表から見た本体枠の分解斜視図、図3は裏から見た本体枠の分解斜視図である。
【0021】
パチンコ遊技機Pは、遊技機本体1と該遊技機本体1の前面に開閉自在に軸着される透明板保持枠2及びこの下方に配置される球受皿3とからなる。遊技機本体1は、縦長長方形状の機枠4を有し、該機枠4の前側に本体枠5が開閉自在に装着される。該遊技機本体1すなわち本体枠5に、遊技盤6が着脱自在に装着される。遊技盤6の前面には、渦巻き状に敷設された内側・外側ガイドレール7a,7bにより囲われるようにして遊技領域である遊技部6aが形成される。
【0022】
前記遊技盤6の遊技部6aには、その中央に文字、数字等の図柄を変動表示する変動表示装置8が配設される。また、その下方に遊技部6aに打ち込まれた遊技球が入賞することにより変動表示装置8に表示された図柄を変動させる始動入賞口9が配置され、更に、その下方に一度に多くの入賞球を発生する大型の入賞装置10が配置される。図中、11は一般の入賞口である。遊技部6aの中央下縁に、遊技部6aに打ち込まれた遊技球であっていずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球をアウト球として遊技盤6の後側へ排出するアウト球口12が設けられている。
【0023】
透明板保持枠2は、中央に前記遊技盤6の遊技部6aが臨む窓開口13が開設され、該窓開口13に該窓開口13を覆うように透明なガラス板または透明な合成樹脂板を前後に一定の間隔離して平行に配置した透明板ユニット14が取着されている。
【0024】
球受皿3は、本体枠5の一側に軸着される取付基板15と、その前面に装着される球皿部16と、から主として構成される。該球皿部16にパチンコ遊技機Pの裏側に配設した球払出装置(図示せず。)から払い出される遊技球であるパチンコ球が貯留され、貯留されたパチンコ球は本体枠5の前面下部に装着された打球発射装置17に供給されることになる。前記取付基板15の裏面には、前記球皿部16から受け入れられるパチンコ球を打球発射位置へ一個ずつ間歇的に供給するための打球供給装置18が取着されている。打球発射装置17は、本体枠5の前面に取着される基板19と該基板19の前面に取着される発射レール20と、上端部を基板19に軸着され該基板19に沿って往復回動し該発射レール20上面に供給されるパチンコ球を打球する打球槌21と、から構成されている。また、本体枠5の下部前面であってその一側すなわち球受皿3の解放側に、球皿部16の前面と面一となる装飾部材22が突設され、該装飾部材22に前記打球発射装置17から発射されるパチンコ球の打球力を調整するための打球力調整ハンドル23が取着される。更に、装飾部材22であって打球力調整ハンドル23の上方にシリンダー錠24が配設されている。
【0025】
前記装飾部材22をもう少し詳しく説明すると、該装飾部材22は合成樹脂製であって図2、図3に示すように後面が開放する箱枠状に形成されると共に、下部の広幅突部22aとその上部に一体に設けられる狭幅突部22bとからなる。広幅突部22aに前後両端面が開放され前記打球力調整ハンドル23が挿通される円筒状の挿通孔25が形成され、狭幅突部22bに前後両端面が開放され前記シリンダー錠24が挿通される円筒状の挿入通孔26が形成されている。また、挿入通孔26は、図7に示すようにその前端内周縁に環状リブ27が設けられている。挿入通孔26の内径はシリンダー錠24の外径よりも少し大きく、シリンダー錠24前端の鍵穴28が臨む前端開口29の内径がシリンダー錠24の外径とほぼ一致している。装飾部材22の裏側に、該装飾部材22を正面から見た大きさとほぼ同じ大きさからなる金属製の不正防止板30が配置される。該不正防止板30には、前記挿入通孔26に対応して該挿入通孔26と連通する第一透孔31が開設される。そして、装飾部材22は、その裏側に不正防止板30を当接した状態で本体枠5の下部前面の所定位置に固着されることになる。装飾部材22が固着された状態では、前記挿入通孔26が不正防止板30に開設された第一透孔31を介して本体枠5に形成され前後端面が開放した円筒状の第二透孔32と連通する。
【0026】
図3に示すように本体枠5の一側すなわち開放側の外側に、本体枠5または透明板保持枠2を施錠または開錠する施錠装置33がビス59止めにより配置固定される。該施錠装置33は、本体枠5の側壁に固着される縦長の固定板34を備え、該固定板34の外側面に重なるようにして上下に摺動する可動板35が設けられる。前記固定板34と該可動板35は平板部が共に前後方向に沿って配置され、その下部が内側(パチンコ遊技機Pを正面から見て左側)へ窪むように屈曲しており、図5、図7に示すように該固定板34の窪み部36部位に、前後に位置してシリンダー錠24を配置固定する第一取付部63aと後記する電子錠38を配置固定する第二取付部63bとが一直線状に設けられる。第一取付部63aに、鍵穴28を前側へ向けるようにしてシリンダー錠24が配置固定される。該シリンダー錠24の錠軸24aは後方へ突出しており、該錠軸24aの後端に略三日月状の前カム片37が固着されている。一方、第二取付部63bの電子錠38は、シリンダー錠24の後側に近接しかつシリンダー錠24と一体に固着されるようにして配置される。電子錠38とは、電波、赤外線、超音波等の無線手段またはパチンコホールにおける中央制御装置からの指令によりアクチュエータによって透明板保持枠2または本体枠5の開錠を行なう開錠機構である。そして、該電子錠38の錠軸38aは前方へ突出されると共に前記シリンダー錠24の錠軸24aと同一中心軸線上に位置し、その錠軸38aの先端に前記前カム片37と同じ大きさの略三日月状からなる後カム片39が固着されている。前カム片37と後カム片39は互いに同一中心軸線と直交する平行な面内でそれぞれ往復回動する。ところで、シリンダー錠24は、あらかじめパチンコ遊技機Pの組立工場で施錠装置33に取着されてそのまま出荷されるのが通常であるが、電子錠38はパチンコホールの営業上の方針が有ることから、工場からの出荷時には取り付けられておらず、ほとんど各パチンコホールで取り付けられる。ただ、場合によっては組立工場からパチンコ遊技機Pが出荷されるときにすでに電子錠38が取着されている場合もある。
【0027】
シリンダー錠24の外周面の後端部と電子錠38の外周面の前端部にそれぞれ平行な支持板24b、支持板38bが設けられ、これら支持板24b,38bの両端部に互いに連通する螺子挿通孔64,65が開設されている。シリンダー錠24側の各螺子挿通孔64と電子錠38側の各螺子挿通孔65には、カラー66を介在させて電子錠38側から螺子棒67を挿通し、各先端を施錠装置33の固定板34を切り起こして突設される保持片68に開設された取付孔69に挿通させる。各取付孔69から突出した各螺子棒67の先端に、ナット70を螺締する。これにより、シリンダー錠24と電子錠38とがカラー66の長さ間隔離れて固定される。前記シリンダー錠24の前カム片37と電子錠38の後カム片39の先端部は、可動板35であってシリンダー錠24の錠軸24a及び電子錠38の錠軸38aを挟んでその上下部に開設された上係止孔61aと下係止孔61bに入り、それら前・後カム片37,39を上下動させる。例えば、シリンダー錠24の鍵穴28に挿入した鍵(図示せず。)をパチンコ遊技機Pを正面から見て時計回り方向に回動させると、シリンダー錠24の錠軸24aも同方向へ回動し、前カム片37の下側部が下係止孔61bに入って可動板35を上動させる。一方、シリンダー錠24の鍵穴28に挿入した鍵(図示せず。)を逆にパチンコ遊技機Pを正面から見て反時計回方向に回動させると、シリンダー錠24の錠軸24aも同方向へ回動し、前カム片37の上側部が上係止孔61aに入って可動板35を下動させるようになっている。電子錠38についても同様にして可動板35を上下動できるようになっている。このように施錠装置33を作動させるに、シリンダー錠24または電子錠38を使い分けできるようにしている。
【0028】
詳しい説明は省略するが、前記固定板34の前端縁部の上下位置に上向きの爪を前端に有しかつスプリング等の弾発手段により前端が常に上方へ付勢される一対の係合突片40,40が上下に摺動自在に取着されている。これら係合突片40,40は前記可動板35が下動するのに伴い該可動板35と係合し前記弾発手段に抗してその先端部を下げるようになっている。また、前記固定板34の後端縁部の上下位置に上向きの爪を前端に有しかつスプリング等の弾発手段により前端が常に上方へ付勢される一対の係合片42,42が軸着されている。これら係合片42,42は前記可動板35が上動するのに伴い該可動板35と係合し前記弾発手段に抗してその先端部を下げるようになっている。
【0029】
前記一対の係合突片40,40は、図1に示すように透明板保持枠2の裏面一側に設けられた上下の係合杆41,41に係脱自在に係合し、前記一対の係合片42,42は機枠4の一側内面に設けられた係止杆(図示せず。)に係脱自在に係合する。よって、本体枠5を閉じた状態では、該本体枠5側の施錠装置33における一対の係合片42,42が機枠4の一対の係止杆に係合している。また、透明板保持枠2を閉じた状態では、本体枠5側の施錠装置33における一対の係合突片40,40が透明板保持枠2の一対の係合杆41,41に係合している。
【0030】
そこで、例えばシリンダー錠24の鍵穴28に鍵(図示せず。)を挿入して、時計回り方向に回動させると施錠装置33の可動板35が上動して一対の係合片42,42と機枠4側の一対の係止杆との係合が外れ、本体枠5が開放できるようになる。一方、前記鍵穴28に挿入した鍵を反時計回り方向に回動させると、施錠装置33の可動板35が下動して一対の係合突片40,40と透明板保持枠2側の一対の係合杆41,41との係合が外れ、透明板保持枠2が開放できるようになる。電子錠38にあっても、パチンコホールの中央制御装置からの指令を電子錠38に出力することにより、前記シリンダー錠24と同じ動作が行なえるようになっている。ちなみに、前記本体枠5や透明板保持枠2は開放させた状態から、それぞれそのまま後方へ押し込むのみで係合突片40や係合片42が係合杆41や係止杆に自動的に係合する。これら説明では、シリンダー錠24と共に電子錠38も固着した状態を示したが、そもそもパチンコホールで電子錠38を使用しない場合は、図7と同じように第一取付部材63aに支持板24bを後側にしてシリンダー錠24を配置し、各螺子挿通孔64及び取付孔69に前記螺子棒67より短い螺子(図示せず。)を挿通し、保持片68の前側で各螺子にナット70を螺締する。これにより、シリンダー錠24が固着される。組立工場からは、ほとんどこの状態でパチンコ遊技機Pが出荷されることになる。
【0031】
ところで、本発明のようにシリンダー錠24と電子錠38を備え、これらの利点を生かしたパチンコ遊技機Pにあっては、該シリンダー錠24に鍵穴28を露出した状態で被着する鍵カバー部材44(44a)と鍵穴28を塞ぐ前側壁45を有する鍵カバー部材44(44b)とを備えている。これら鍵カバー部材44を更に詳しく説明すると、この鍵カバー部材44は、合成樹脂材により成形され図4(イ)に示すように二種類ある。一方の鍵カバー部材44aは、両端面が開放する短筒状に形成され外径が前記本体枠5に設けられた挿入通孔26の内径とほぼ同じであって、内径がシリンダー錠24の外径とほぼ同じに形成されている。他方の鍵カバー部材44bは、前端面が前側壁45により完全に塞がれると共に後端面は開放し短筒状に形成されている。また、他方の鍵カバー部材44bは、同様に外径が前記本体枠5に設けられた挿入通孔26の内径とほぼ同じであって、内径がシリンダー錠24の外径とほぼ同じに形成されている。
【0032】
例えば、組立工場においてパチンコ遊技機Pの組み立てが終了しパチンコホールの設置島に配置されるまでの間、パチンコホールにて入れ替えや配置場所の変更のためパチンコ遊技機Pを取り外したままでいる間、または、パチンコ遊技機Pを同じグループ内のパチンコホールから他のパチンコホールに移動させる場合の間は、鍵を使って透明板保持枠2を開放したい場合がある。このような場合はシリンダー錠24が使える状態にしておく必要がある。このため、本体枠5を開放した状態でビス59を外して施錠装置33を取り外し、シリンダー錠24を装飾部材22から抜く。次に、シリンダー錠24に両端面が開放される一方の鍵カバー部材44aを被着する。そして、再び、施錠装置33をビス59により元の位置に取り付け、図7に示すようにシリンダー錠24を挿入通孔26に挿入する。この状態では、パチンコ遊技機Pの前面に挿入通孔26を介してシリンダー錠24の鍵穴28が露出し、パチンコ遊技機Pの前側から鍵穴28に鍵を挿入してシリンダー錠24が操作できるようになっている。前端面が塞がれた他方の鍵カバー部材44bは、図5に示すように本体枠5の一側下部に設けられた挿入保持孔46に挿入して保管しておく。該挿入保持孔46は、図6に示すように前端面が閉塞され後端面が開放し、その内径は鍵カバー部材44a,44bの外径とほぼ一致している。また、挿入保持孔46の中心軸線に沿った長さは、鍵カバー部材44a,44bにおける同方向の長さより少し長く設定され、後端縁の上縁に下方を向く爪片47が設けられている。該爪片47は、挿入保持孔46に挿入した鍵カバー部材44a,44bが抜け出て無用に落下しないようにするためである。
【0033】
これに対し、例えば、パチンコホールで電子錠38をシリンダー錠24を備えたパチンコ遊技機Pに追加して配置し電子錠38のみを使用する場合、パチンコホールでシリンダー錠24と電子錠38の両方を配置したパチンコ遊技機Pで電子錠38のみを使用する場合は、いたずら行為防止や不正行為防止のためシリンダー錠24が使えない状態としておく必要がある。このため、各パチンコ遊技機Pにつき本体枠5を開放した状態でビス59を外し、施錠装置33のシリンダー錠24を装飾部材22から抜く。そして、シリンダー錠24の先端部にそれまで被着されていた両端面が開放される一方の鍵カバー部材44aを取り外す。そして、前端面が閉塞された他方の鍵カバー部材44bをシリンダー錠24の先端部に被着する。そして、再び、施錠装置33をビス59により元の位置に取り付け、図8に示すようにシリンダー錠24を挿入通孔26に挿入する。この状態では、シリンダー錠24の鍵穴28が前側壁45により塞がれ、そのままではパチンコ遊技機Pの前側から鍵を鍵穴28に挿入してシリンダー錠24を操作するということができなくなる。ちなみに、両端面が開放された一方の鍵カバー部材44aは、本体枠5の一側下部に設けられた挿入保持孔46に挿入して保管しておく。
【0034】
なお、鍵カバー部材44の交換に、前記のように施錠装置33を取り外さなくても、シリンダー錠24や電子錠38を施錠装置33に組み付ける前記螺子棒67,67を外しシリンダー錠24と電子錠38を外して鍵カバー部材44の交換を行うようにしても良い。
【0035】
これによって、パチンコホールにあってはシリンダー錠24から電子錠38に切り替えることができ、例えば、営業中に球詰まりが生じてそのトラブルを解消させるためには、トラブルの発生したパチンコ遊技機Pにあって電子錠38を電気的に作動させて透明板保持枠2を開きパチンコホールの係員がその対処にあたる。また、営業後にすべてのパチンコ遊技機Pについて掃除をする際は、すべての電子錠38を電気的に作動させることにより、すべてのパチンコ遊技機Pにつき透明板保持枠2を開放させることができ、その掃除をスムーズに行なえることになる。一方、シリンダー錠24は他方の鍵カバー部材44bにより被着され、前面の鍵穴28が閉塞されているので、該シリンダー錠24の鍵穴28に爪楊枝のような異物を挿入することや該シリンダー錠24を使っての不正行為を抑制することができる。
【0036】
事故により電子錠38の配線が切断されたり電子錠38の駆動装置の故障などを原因として、電子錠38が電気的に作動しなくなったとき、またはパチンコホールの設置島に電源供給できない状態でパチンコ遊技機Pを設置し、誤って透明板保持枠2と本体枠5とを閉めてしまったときは、先の尖った工具でパチンコ遊技機Pの前側から鍵カバー部材44の前側壁45を切り裂いて鍵穴28を露出させる。そして、この状態で鍵穴28に鍵を差し込んでシリンダー錠24を作動させ、透明板保持枠2や本体枠5を開閉する。
【0037】
図4(ロ)に示す鍵カバー部材44のうち、他方の鍵カバー部材44cは、前記先の尖った工具で鍵カバー部材44cを切り裂く場合に切り裂き易いように、鍵穴28に対応する中心部分45aを残してその周囲に複数の切取用開孔48を開設し、隣り合う切取用開孔48,48間に幅の細い連結片49を形成した構成からなる。これにより、連結片49はその一端が中心部分45aに達しかつ他端が前端外周縁に達する。このような鍵カバー部材44によっても鍵穴28へのいたずらや不正行為を抑制できるばかりか、鍵穴28を露出したい場合は、切取用開孔48に先の尖った工具の先端を介入させて前記連結片49を切断すれば良く、その作業が簡単に行なえる。
【0038】
図9乃至図12は鍵カバー部材対を示す。図9(イ)に示すように該鍵カバー部材対50は、前記一方の鍵カバー部材44aと他方の鍵カバー部材44bとをその後端縁で接続片51により一体に接続して形成される。一方の鍵カバー部材44aと他方の鍵カバー部材44bとは、それら中心軸線が互いに平行になるように配置される。この場合は、一方の鍵カバー部材44aと他方の鍵カバー部材44bとが接続片51により接続されたまま使用されるので、図10のように装飾部材22に設けられシリンダー錠24を挿通させる挿入通孔26の下方に、一方の鍵カバー部材44aを該挿入通孔26に挿入したとき、他方の鍵カバー部材44bを挿入しておくための挿入保持孔52が設けられている。この挿入保持孔52は前端面が塞がれ、後端面が開放している。この場合、鍵カバー部材対50を本体枠5の裏側から装飾部材22側へ挿入しなければならないので、本体枠5と不正防止板30には、それぞれ鍵カバー部材対50が挿通し得る大きさの縦長透孔60,30aが開設されている。
【0039】
そこで、シリンダー錠24が使用できる状態とするには、ビス59を外し本体枠5から施錠装置33を取り外してシリンダー錠24の先端部に両端が開放される鍵カバー部材44aを被着する。該鍵カバー部材44aの下には、接続片51を介してもう一方の鍵カバー部材44bが連なっている。よって、施錠装置33を元の位置に固着すると共に鍵カバー部材対50を二つの縦長透孔30a,60を介して装飾部材22内に配置する。そして、図11に示すように両端面が開放される一方の鍵カバー部材44aが被着されたシリンダー錠24を挿入通孔26に挿入する。この際、下方の鍵カバー部材44bは挿入保持孔52に挿入される。このとき、接続片51にはビス挿通孔51aが開設され、該ビス挿通孔51aを介して該ビス挿通孔51aと連通する装飾部材22裏面のビス孔62にビス59が螺締される。このようにして、鍵カバー部材対50の無用な落下を防いでいる。
【0040】
また、シリンダー錠24を使用せずに電子錠38のみを使用する場合は、本体枠5からビス59を外し施錠装置33を取り外すと共に、前記鍵カバー部材対50を外す。次に、鍵カバー部材対50を二つの縦長透孔30a,60を介して装飾部材22内に配置すると共に装飾部材22の裏面のビス孔62に接続片51のビス59を螺締する。そして、ビス59止めすることにより施錠装置33を元の位置に固着する。これにより、図12に示すように前端面が閉塞される他方の鍵カバー部材44bを被着したシリンダー錠24が挿入通孔26に挿入される。また、この状態で、下方の両端面が開放された鍵カバー部材44aが挿入保持孔52に挿入される。このように、互いの鍵カバー部材44a,44bを接続片51により接続しておけば、どちらか一方を紛失してしまうといったことが少なく使い勝手も良い。
【0041】
図9(ロ)に示す鍵カバー部材対50のうち、他方の鍵カバー部材44cは、前記のように先の尖った工具で鍵カバー部材44cを切り裂く場合に切り裂き易いように、鍵穴28に対応する中心部分45aを残してその周囲に複数の切取用開孔48を開設し、隣り合う切取用開孔48,48間に幅の細い連結片49を形成した構成からなる。これにより、鍵穴28へのいたずらや不正行為を抑制できるばかりか、鍵穴28を露出したい場合は、切取用開孔48に先の尖った工具の先端を介入させて前記連結片49を切断すれば良く、その作業が簡単に行なえる。
【0042】
図13乃至図17も、他の実施の形態に係る鍵カバー部材を示すもので、この鍵カバー部材53も合成樹脂材から成形されるが、シリンダー錠24の前面にのみ被せられるものである。該鍵カバー部材53は、図13(イ)に示すようにシリンダー錠24の外径と同じ外径を有する円板からなり、円板裏面の中心部にはシリンダー錠24の鍵穴28に挿入する鍵穴挿入片54が突設されている。該鍵カバー部材53はシリンダー錠24の前端面のみで外周面には被着されないので、装飾部材22の挿入通孔26の内径もシリンダー錠24の外径とほぼ同じに設定されている。
【0043】
また、図14、図15に示すように、本体枠5の裏面下部に前記鍵カバー部材53を使用しないときに、該鍵カバー部材53を収納し保管しておく挿入保持孔55が形成されている。該挿入保持孔55は、深さが浅く、その後端面の内周縁に挿入した鍵カバー部材53が簡単に外れないように保持しておく掛止片56が突設されている。
【0044】
そこで、シリンダー錠24が使用できる状態では、図16に示すようにシリンダー錠24の前端面が開放すなわち鍵穴28が露出した状態にしておく。これにより、必要なときにパチンコ遊技機Pの前側から鍵穴28に鍵を差し込んで施錠装置33を操作させることができる。
【0045】
一方、電子錠38を使用しシリンダー錠24を使用しない場合は、本体枠5を開きビス59を取って施錠装置33を外し、図17に示すように鍵穴28に鍵穴挿入片54を挿入してシリンダー錠24の前端面に鍵カバー部材53を取着する。これにより、鍵カバー部材53がその周縁を前側の環状リブ27と後側のシリンダー錠24の前端面とにより挟着されしっかりと固定される。
【0046】
この実施の形態にあっても、図13(ロ)に示すように円板状の鍵カバー部材53の鍵穴28に対応する中心部分53aを残してその周囲に切取用開孔57を開設し隣り合う切取用開孔57,57間に幅の細い連結片58を形成した構成としても良い。また、鍵カバー部材53の裏面であって中心部分53aにシリンダー錠24の鍵穴28に挿通される鍵穴挿入片54が突設されている。よって、連結片58は、その一端が中心部分53aに達しかつ他端が前端外周縁に達するようになっている。
【0047】
このように本発明に係るパチンコ遊技機Pは、本体枠5と透明板保持枠2とを施錠・開錠する施錠装置33を備え、該施錠装置33に、この施錠装置33を操作するシリンダー錠24を設けると共に外部から電気的信号を入力することで該施錠装置33を操作する電子錠38の第二取付部63bを設け、シリンダー錠24に被着して該シリンダー錠24の前端面を覆いその鍵穴28を塞ぐ鍵カバー部材44を備え、該鍵カバー部材44は先端の尖った工具によって切り裂き可能な素材により形成され、遊技機Pには鍵カバー部材44を保持し保管しておく挿入保持孔46を設けるようにした。そして、パチンコホールにて電子錠38の第二取付部63bに電子錠38を取り付け、営業中に電子錠38のみを使用する場合には、シリンダー錠24を鍵カバー部材44により被着して鍵穴28を塞ぐようにする。これにより、シリンダー錠24の鍵穴28にガムや爪楊枝といった異物を挿入するといったいたずらやゴト師による不正行為が抑制され、防犯性の向上を図ることができる。また、電子錠38のみを使用するパチンコホールにおいては、パチンコホールの従業員が必要と判断した以外の(例えば不正行為を目的とする)鍵カバー部材44の破損による痕跡を従業員がいち早く発見可能となり、不正が行なわれた後の対応も早急に行なうことができる。また、各パチンコホールにとっては、電子錠38の開閉システムの有無という環境の相違、シリンダー錠24のみを使用するか、電子錠38のみを使用するか、これらのいずれも使用するかといった営業方針の相違が有るが、それら各パチンコホールの要望に容易に対応できる。
【0048】
前記鍵カバー部材44、鍵カバー部材対50、鍵カバー部材53は、いずれも合成樹脂材により成形されると説明したが、先端の尖った工具で引き裂くことができることを条件として、他の素材、例えばゴム、エラストマー、樹脂を含有した紙、薄いアルミ板であっても良い。
【0049】
図18乃至図21は、球受皿3を共に一体に成形した透明板保持枠2aを備えたパチンコ遊技機P1を示すもので、本発明に係るパチンコ遊技機Pと構成はほとんど同じなので、同一部位は同一符号を付すことによって詳しい説明は省略する。該パチンコ遊技機P1は、シリンダー錠24を挿通させる挿入通孔26が該透明板保持枠2aに設けられている。また、透明板保持枠2aの下部裏面に、使用されない鍵カバー部材44を保持しておくための挿入保持孔46が設けられている。そこで、例えば前記のように組立工場においてパチンコ遊技機P1の組み立てが終了しパチンコホールの設置島に配置されるまでの間、パチンコホールにて入れ替えや配置場所の変更のためパチンコ遊技機P1を取り外したままでいる間、または、パチンコ遊技機P1を同じグループ内のパチンコホールから他のパチンコホールに移動させる場合の間は、鍵を使って透明板保持枠2aを開放したい場合があり、このような場合はシリンダー錠24が使える状態にしておく必要がある。
【0050】
このため、本体枠5を開放した状態でビス59を外して施錠装置33を取り外し、シリンダー錠24を透明板保持枠2aの挿入通孔26から抜く。次に、シリンダー錠24に両端面が開放される一方の鍵カバー部材44aを被着する。そして、再びビス59締めして施錠装置33を元の位置に取り付け、図20に示すようにシリンダー錠24を挿入通孔26に挿入する。この状態では、パチンコ遊技機P1の前面に挿入通孔26を介してシリンダー錠24の鍵穴28が露出し、パチンコ遊技機P1の前側から鍵穴28に鍵を挿入してシリンダー錠24が操作できるようになっている。図18に示すように他方の前端面が塞がれた鍵カバー部材44bは、透明板保持枠2aの一側下部に設けられた挿入保持孔46に挿入して保管しておく。該挿入保持孔46は、前端面が閉塞され後端面が開放し、その内径は鍵カバー部材44a,44bの外径とほぼ一致している。また、挿入保持孔46の中心軸線に沿った長さは、鍵カバー部材44a,44bにおける同方向の長さより少し長く設定され、後端縁の上縁に下方を向く爪片47が設けられている。該爪片47は、挿入保持孔46に挿入した鍵カバー部材44a,44bが抜け出て無用に落下しないようにするためである。
【0051】
これに対し、例えばパチンコホールで電子錠38をシリンダー錠24を備えたパチンコ遊技機P1に追加して配置し電子錠38のみを使用する場合、パチンコホールでシリンダー錠24と電子錠38の両方を配置したパチンコ遊技機P1で電子錠38のみを使用する場合は、いたずら行為防止や不正行為防止のためシリンダー錠24が使えない状態としておく必要がある。このため、各パチンコ遊技機P1につき本体枠5を開放した状態でビス59を外し、施錠装置33のシリンダー錠24を透明板保持枠2aの挿入通孔26から抜く。次に、シリンダー錠24の先端部にそれまで被着されていた両端面が開放される一方の鍵カバー部材44aを取り外す。更に、前端面が閉塞された他方の鍵カバー部材44bをシリンダー錠24の先端部に被着する。そして、再び、ビス59締することにより施錠装置33を元の位置に取り付け、図21に示すようにシリンダー錠24を挿入通孔26に挿入する。この状態では、シリンダー錠24の鍵穴28が前側壁45により塞がれ、そのままではパチンコ遊技機P1の前側から鍵を鍵穴28に挿入してシリンダー錠24を操作するということができなくなる。ちなみに、両端面が開放された一方の鍵カバー部材44aは、透明板保持枠2aの一側下部に設けられた挿入保持孔46に挿入して保管される。
【0052】
このような構成のパチンコ遊技機P1にあっても、パチンコホールでシリンダー錠24から電子錠38に切り替えることができ、例えば、営業中に球詰まりが生じてそのトラブルを解消させるためには、トラブルの発生したパチンコ遊技機P1にあって電子錠38を電気的に作動させて透明板保持枠2aを開きパチンコホールの係員がその対処にあたる。また、営業後にすべてのパチンコ遊技機P1について掃除をする際は、すべての電子錠38を電気的に作動させることにより、すべてのパチンコ遊技機P1につき透明板保持枠2aを開放させることができ、その掃除をスムーズに行なえることになる。一方、シリンダー錠24は他方の鍵カバー部材44bにより被着され、前面の鍵穴28が閉塞されているので、該シリンダー錠24の鍵穴28に爪楊枝のような異物を挿入することや該シリンダー錠を使っての不正行為を抑制することができる。
【符号の説明】
【0053】
2 透明板保持枠
4 機枠
5 本体枠
6 遊技盤
24 シリンダー錠
26 挿入通孔
28 鍵穴
33 施錠装置
38 電子錠
44 鍵カバー部材
44a 一方の鍵カバー部材
44b 他方の鍵カバー部材
48 切取用開孔
49 連結片
54 鍵穴挿入片
P パチンコ遊技機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機枠の前面に開閉自在に軸着され遊技盤が装着される本体枠と、前記本体枠の前面に開閉自在に軸着され前記遊技盤の前面を覆う透明板保持枠と、前記本体枠と前記透明板保持枠とを施錠・開錠する施錠装置と、を備えてなる遊技機であって、
前記施錠装置に、この施錠装置を操作するシリンダー錠を設けると共に外部から電気的信号を入力することで該施錠装置を操作する電子錠の取付部を設け、
前記シリンダー錠に着脱自在に被着して該シリンダー錠の前端面を覆いその鍵穴を塞ぐ鍵カバー部材を備え、前記鍵カバー部材は工具によって切り裂き可能な素材により形成され、遊技機には前記鍵カバー部材を保持し保管しておく挿入保持孔を設けたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記鍵カバー部材は、一端面を閉塞しかつ他端面を開放した円筒状に形成されるものと両端面を開放した円筒状に形成されるものとの二種類揃えられている請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記一端面を閉塞しかつ他端面を開放した円筒状に形成される鍵カバー部材と前記両端面を開放した円筒状に形成される鍵カバー部材とは、他端面側で接続片により一体に接続されている請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記鍵カバー部材は、前記シリンダー錠の前端面に取着されるように円板状に形成され、その一側面の中心に前記シリンダー錠の鍵穴に挿通する鍵穴挿入片を突設してなる請求項1記載の遊技機。
【請求項5】
前記鍵カバー部材における前記シリンダー錠の前端面と当接する前側壁に、前記シリンダー錠の鍵穴に対応する中心部分を残してその周囲に切取用開孔を開設した請求項1乃至4のうちのいずれか1記載の遊技機。
【請求項1】
機枠の前面に開閉自在に軸着され遊技盤が装着される本体枠と、前記本体枠の前面に開閉自在に軸着され前記遊技盤の前面を覆う透明板保持枠と、前記本体枠と前記透明板保持枠とを施錠・開錠する施錠装置と、を備えてなる遊技機であって、
前記施錠装置に、この施錠装置を操作するシリンダー錠を設けると共に外部から電気的信号を入力することで該施錠装置を操作する電子錠の取付部を設け、
前記シリンダー錠に着脱自在に被着して該シリンダー錠の前端面を覆いその鍵穴を塞ぐ鍵カバー部材を備え、前記鍵カバー部材は工具によって切り裂き可能な素材により形成され、遊技機には前記鍵カバー部材を保持し保管しておく挿入保持孔を設けたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記鍵カバー部材は、一端面を閉塞しかつ他端面を開放した円筒状に形成されるものと両端面を開放した円筒状に形成されるものとの二種類揃えられている請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記一端面を閉塞しかつ他端面を開放した円筒状に形成される鍵カバー部材と前記両端面を開放した円筒状に形成される鍵カバー部材とは、他端面側で接続片により一体に接続されている請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記鍵カバー部材は、前記シリンダー錠の前端面に取着されるように円板状に形成され、その一側面の中心に前記シリンダー錠の鍵穴に挿通する鍵穴挿入片を突設してなる請求項1記載の遊技機。
【請求項5】
前記鍵カバー部材における前記シリンダー錠の前端面と当接する前側壁に、前記シリンダー錠の鍵穴に対応する中心部分を残してその周囲に切取用開孔を開設した請求項1乃至4のうちのいずれか1記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−72697(P2011−72697A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229229(P2009−229229)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(591044614)株式会社足立ライト工業所 (114)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(591044614)株式会社足立ライト工業所 (114)
【Fターム(参考)】
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