説明

遊技機

【課題】限られたスペース内に複数の構成部品を配設することができる遊技機を提供すること。
【解決手段】可動演出部302A〜302Cは、演出表示装置9の上方に退避した退避位置と、演出表示装置9の前面側の演出位置と、の間で回動可能に設けられているとともに、これら可動演出部302A〜302Cを回動可能に支持する揺動板304は、左右方向を向く軸心周りに揺動可能に設けられている。よって、可動演出部302A〜302Cは、退避位置において起立姿勢から傾倒姿勢に姿勢を変更した後、退避位置から演出位置まで回動させることができることで、回動途中で揺動板304全体を後方にずらさなくても、第2演出ユニット400の右側面部400bとの接触を回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の遊技を行うことが可能であり、複数の構成部品からなる遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機として、所定の賭け数を設定し、スタート操作が行われたときに、複数種類の識別情報の可変表示が行われるスロットマシンや、遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、遊技領域に設けられている入賞口などの始動入賞領域に遊技媒体が入賞したときに複数種類の識別情報の可変表示が行われるパチンコ遊技機などがある。
【0003】
また、例えばパチンコ遊技機において、飾り図柄の可変表示が行われる表示装置の外側に位置する待機位置と、該表示装置の前側に位置する動作位置と、の間で動作する複数の可動演出部を備えたものがある。しかし、このように複数の可動演出部を限られたスペース内に配設しようとする場合、互いの可動範囲が重畳して動作位置にて互いに干渉することがあるため、各可動演出部を予め前後方向の異なる位置に配設することで、各可動演出部が動作位置まで移動したときに前後方向に重畳して配置されるようにしたもの等があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−92651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の遊技機では、複数の可動演出部を前後方向に異なる位置に配設する必要があることで、限られた前後スペース内に複数の可動演出部を配設する場合、配設の自由度が制限されてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、限られたスペース内に複数の構成部品を配設することができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の遊技機は、
所定の遊技を行うことが可能であり、複数の構成部品からなる遊技機(パチンコ遊技機1)であって、
前記複数の構成部品は、
第1位置(退避位置)と第2位置(演出位置)との間で変位(回動)可能に設けられた可動部品(可動演出部302Aの棒状部320b)と、
前記第1位置と前記第2位置との間の可動範囲(回動範囲)内に配設され、前記可動部品が変位する際の退避対象となる被退避部品(第2演出ユニット400の右側面部400b)と、を含み、
前記可動部品は、
前記可動範囲内で変位するときに、第1姿勢(起立姿勢)から前記被退避部品に接触しないように該第1姿勢に対し傾倒する第2姿勢(傾倒姿勢)に姿勢変更可能に構成されている(図13参照)、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、可動部品の可動範囲内に被退避部品を配設することで、複数の構成部品を限られたスペース内に効率よく配設できるばかりか、第1姿勢から第2姿勢に傾倒させるだけで被退避部品との接触を回避できることで、接触を回避するために、可動部品と被退避部品とを予め変位方向に対し交差する方向にずらして配設する必要がないため、限られたスペース内に複数の構成部品を自由に配設することができる。
尚、前記構成部品とは、所定の演出を行うための演出部材や装飾部材、あるいは、遊技に関連して設けられる遊技用部品や遊技機を構成する構造物等を含む。
【0008】
本発明の手段1に記載の遊技機は、請求項1に記載の遊技機であって、
前記可動部品(可動演出部302Aの棒状部320b)を前記第1位置(退避位置)と前記第2位置(演出位置)との間で変位させる第1駆動手段(回動モータ305A、駆動ギヤ312、従動ギヤ313、固定板316等の駆動力伝達機構)と、
前記可動部品を前記第1姿勢(起立姿勢)と前記第2姿勢(傾倒姿勢)とに変更させる第2駆動手段(揺動板304、揺動モータ306、軸受孔342、回動部材351、連結軸352、揺動軸355)と、
前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段の駆動制御を行う駆動制御手段(演出制御用CPU)と、を備え、
前記駆動制御手段は、前記可動部品を、前記第1位置において前記第2駆動手段により前記第1姿勢から前記第2姿勢に変更させた後、前記第1駆動手段により前記第1位置から前記第2位置まで変位させる(図12、14参照)、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、可動部品を姿勢変更してから変位を開始することで、変位させながら姿勢変更すること等がないので、被退避部品との接触を確実に回避できるとともに、駆動制御が容易になる。
【0009】
本発明の手段2に記載の遊技機は、請求項1または手段1に記載の遊技機であって、
所定の表示手段(演出表示装置9)を備え、
前記可動部品(可動演出部302Aの棒状部320b)は、
前記表示手段に対し、該可動部品の変位方向に対し交差する方向(前後方向)にずれた位置に配設され(図12参照)、
前記第2位置(演出位置)において、前記表示手段に対する前記変位方向の離間寸法が前記第1位置(退避位置)よりも短く、かつ、前記表示手段側に傾倒する前記第2姿勢をなす(図12(c)参照)、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、第2位置においては、表示手段に対して、第1位置よりも変位方向に近づくだけでなく、傾倒により変位方向に対し交差する方向にも近づくことで、表示手段と可動部品とで関連性を有する演出等を実行しやすくなる。
【0010】
本発明の手段3に記載の遊技機は、請求項1、手段1、手段2のいずれかに記載の遊技機であって、
前記被退避部品(第2演出ユニット400の右側面部400b)は、
前記可動部品(可動演出部302Aの棒状部320b)が前記可動範囲内で変位するときに、前記第1姿勢(起立姿勢)である場合に接触し、前記第2姿勢(傾倒姿勢)である場合に接触しない接触部(右側面部400bの所定箇所)と、
前記第1位置(退避位置)において前記可動部品よりも遊技者側に配設され、該可動部品が前記第1姿勢である場合でも接触しない重畳部(前面部400aの上部)と、を含む、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、第1位置において、可動部品を被退避部品に対し重畳するように配設できることで、可動部品と被退避部品とを限られたスペース内に効率よく配設できる。また、可動部品を第1姿勢としても重畳部に接触することがないばかりか、接触部が邪魔になって内部が見えにくくなるため、見栄えが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】パチンコ遊技機を示す正面図である。
【図2】パチンコ遊技機を示す背面図である。
【図3】主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。
【図4】(a)は各種演出ユニットを示す正面図、(b)は図4(a)のC−C断面図である。
【図5】図4の各種演出ユニットを斜め下から見た状態示す斜視図である。
【図6】図4の各種演出ユニットを斜め上から見た状態示す斜視図である。
【図7】第1演出ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図8】駆動ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図9】図4(a)のA−A断面図である。
【図10】(a)は図4(a)のB−B断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図11】(a)は可動演出部が退避位置にあるとき、(b)は演出位置にあるときを示す正面図である。
【図12】(a)は可動演出部の起立姿勢、(b)(c)は傾倒姿勢を示す図である。
【図13】可動演出部の可動範囲と第2演出ユニットとの関係を説明する説明図である。
【図14】演出装置の動作状況の一例を示す図である。
【図15】第2球誘導部材に遊技球が衝突した状態を示す正面図である。
【図16】図15のD−D断面図である。
【図17】図16の要部拡大図である。
【図18】変形例としての演出ユニットを示す概略図である。
【図19】演出ユニットが適用された遊技機の他の一例であるスロットマシンを示す正面図である。
【図20】演出ユニットが適用された遊技機のさらに他の一例であるスロットマシンを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施例を図面に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0013】
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、パチンコ遊技機を示す背面図である。図3は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
パチンコ遊技機1は、図1及び図2に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠100と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101と、で主に構成されている。前面枠101の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
【0015】
下扉枠103の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠102の背面には、遊技盤6が前面枠101に対して着脱可能に取り付けられている。
【0016】
遊技盤6は、特に詳細な図示はしないが、遊技領域7が前面に形成された透明なアクリル板とその背面に取り付けられるスペーサ部材からなり、該遊技盤6の背面側には、演出表示装置9及び演出制御基板80や遊技に関連する遊技用部品等を含む変動表示制御ユニット49が一体的に組み付けられている(図2参照)。
【0017】
図1に戻って、遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄(演出図柄)を可変表示する複数の可変表示部を含む演出表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
【0018】
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)8aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
【0019】
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
【0020】
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
【0021】
第1特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
【0022】
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組合せが停止表示される。
【0023】
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13aを有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14a(例えば、近接スイッチ)及び第1入賞確認スイッチ14b(例えば、フォトセンサ)によって検出される。
【0024】
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する入賞装置の下側には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口13bを有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15a及び入賞確認スイッチ15bによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13aよりも、第2始動入賞口13bに遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口13bに入賞しない。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
【0025】
また、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bの検出結果及び第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。
【0026】
以下、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
【0027】
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口13bに極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口13aは演出表示装置9の直下に設けられているが、演出表示装置9の下端と第1始動入賞口13aとの間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口13aの周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口13aの周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口13aに導きづらくして、第2始動入賞口13bの入賞率の方を第1始動入賞口13aの入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
【0028】
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。なお、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
【0029】
また、演出表示装置9の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部9aと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部9bとが設けられている。なお、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
【0030】
なお、この実施例では、図1に示すように、第2始動入賞口13bに対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13aおよび第2始動入賞口13bのいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
【0031】
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は大入賞口扉を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって大入賞口扉が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。
【0032】
大入賞口内には、大入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23a)が設けられている。この実施例では、大入賞口内で、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aとが配置されている(本例では、カウントスイッチ23が上側に配置され、第3入賞確認スイッチ23aが下側に配置されている)。従って、この実施例では、大入賞口内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まずカウントスイッチ23で検出され、次いで第3入賞確認スイッチ23aで検出される。
【0033】
カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置20において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置20において大入賞口が開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置20において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
【0034】
第1特別図柄表示器8aの右側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
【0035】
なお、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置20の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
【0036】
特別可変入賞球装置20の周辺には普通入賞装置の入賞口29a〜29dが設けられ、入賞口29a,29cに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30aによって検出され、入賞口29b,29dに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30bによって検出される。各入賞口29a〜29dは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。なお、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13bや大入賞口も、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。
【0037】
遊技領域7の左側には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aを有する装飾部材25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾LED25aは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
【0038】
図1および図2では、図示を省略しているが、左枠ランプ28bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球ランプが設けられ、天枠ランプ28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプが設けられている。なお、賞球ランプおよび球切れランプは、賞球の払出中である場合や球切れが検出された場合に、演出制御基板に搭載された演出制御用マイクロコンピュータによって点灯制御される。さらに、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
【0039】
遊技者の操作により、後述する打球発射装置から発射された遊技球は、発射球案内通路(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
【0040】
遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ15aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
【0041】
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄とは異なる所定の小当り図柄(所定表示結果)であると「小当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄及び小当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
【0042】
特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。また、特図ゲームでの可変表示結果が「小当り」になった後には、大当り遊技状態とは異なる小当り遊技状態に制御される。
【0043】
演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示(変動表示)が開始される。そして、飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにおける確定飾り図柄の停止表示により可変表示が終了するまでの期間では、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された飾り図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない飾り図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の飾り図柄が大当り組合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリアなど)では飾り図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける全部又は一部で飾り図柄が大当り組合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
【0044】
次に、パチンコ遊技機1の背面の構造について図2を参照して説明する。図2は、遊技機を背面から見た背面図である。図2に示すように、パチンコ遊技機1の背面側では、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70、ランプドライバ基板35、および球払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。なお、遊技制御基板31は基板収納ケース150に収納されている。
【0045】
さらに、パチンコ遊技機1背面側には、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板90やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板90には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
【0046】
なお、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
【0047】
なお、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。なお、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。なお、この実施例では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
【0048】
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板91が設置されている。ターミナル基板91には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。なお、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
【0049】
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レールを通り、カーブ樋を経て払出ケース97aで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上方には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ43が設けられている。球切れスイッチ43が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れスイッチ43が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構からパチンコ遊技機1に対して遊技球の補給が行なわれる。
【0050】
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払出されて打球供給皿3が満杯になると、遊技球は、余剰球誘導通路を経て余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払出されると、感知レバー(図示略)が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ(図示略)を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチがオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに打球発射装置の駆動も停止する。
【0051】
図3は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図3には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)156が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
【0052】
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
【0053】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、乱数回路60が内蔵されている。乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
【0054】
乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
【0055】
乱数回路60は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
【0056】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路60が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路60が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路60が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
【0057】
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aへの始動入賞が生じたときに乱数回路60から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
【0058】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路61が内蔵されている。なお、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
【0059】
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
【0060】
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
【0061】
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。なお、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板31)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
【0062】
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15a、第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23、第3入賞確認スイッチ23aおよび各入賞口スイッチ30a,30bからの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21と、基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。
【0063】
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置9との表示制御を行う。
【0064】
演出制御基板80は、演出制御用CPUおよびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU(図示略)は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU(図示略)は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
【0065】
演出制御用CPU(図示略)は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU(図示略)は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPUから入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
【0066】
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
【0067】
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
【0068】
さらに、演出制御用CPU(図示略)は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して回動モータ305A〜305Cや揺動モータ306に対して駆動信号を出力する。また、図3には特に図示しないが、演出制御用CPUは、入力ポートを介して位置検出スイッチ314,354からの信号を入力する。
【0069】
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなどの枠側に設けられている各LEDや、装飾LED25aなどの遊技盤側に設けられている各LEDに駆動信号を供給する。なお、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
【0070】
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
【0071】
次に、演出装置300の構造について、図4〜図15に基づいて説明する。図4は、(a)は各種演出ユニットを示す正面図、(b)は図4(a)のC−C断面図である。図5は、図4の各種演出ユニットを斜め下から見た状態示す斜視図である。図6は、図4の各種演出ユニットを斜め上から見た状態示す斜視図である。図7は、第1演出ユニットの構成を示す分解斜視図である。図8は、駆動ユニットの構成を示す分解斜視図である。図9は、図4(a)のA−A断面図である。図10は、(a)は図4(a)のB−B断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。図11は、(a)は可動演出部が退避位置にあるとき、(b)は演出位置にあるときを示す正面図である。図12は、(a)は可動演出部の起立姿勢、(b)(c)は傾倒姿勢を示す図である。図13は、可動演出部の可動範囲と第2演出ユニットとの関係を説明する説明図である。図14は、演出装置の動作状況の一例を示す図である。尚、以下の説明においては、パチンコ遊技機1の正面に対峙した状態を基準として上下左右方向を説明する。
【0072】
図4〜図6に示すように、演出表示枠ユニット200は、正面視横長長方形状をなす四角枠状に形成され、演出表示装置9の表示画面の周囲に設けられる。特に詳細な図示はしないが、各辺部は透光性を有するレンズ部材にて構成されており、図示しないLED等からの光により発光して表示画面の周囲を装飾できるようになっている。
【0073】
演出表示枠ユニット200の上辺部には、第1演出ユニット300が配設されているとともに、演出表示枠ユニット200の左辺部には、第2演出ユニット400が配設されており、第1演出ユニット300の左側の一端部は、第2演出ユニット400の上部背面側に対し前後方向に重畳するように配設されている。
【0074】
図7に示すように、第1演出ユニット300は、駆動ユニット301と、駆動ユニット301の前面側に左右方向に並設される可動演出部302A〜302Cと、遊技盤6等の所定箇所に固設され、駆動ユニット301の背面側を被覆するベース部材303と、から主に構成されている。
【0075】
駆動ユニット301は、図7〜図10に示すように、正面視横長長方形状に形成された揺動板304と、揺動板304の背面側に組み付けられる回動モータ305A〜305Cと、揺動板304の前面側に回動可能に配設される可動演出部302A〜302Cと、回動モータ305A〜305Cの駆動力を可動演出部302A〜302Cに伝達するための各種伝達部材と、揺動板304を左右方向を向く軸周りに回動させるための揺動モータ306と、揺動板304の上部に組み付けられる装飾部材307と、から主に構成される。
【0076】
揺動板304の前板304aは、正面視横長長方形状に形成され、中央左右側に形成された段部により、左領域304Lと、該左領域304Lよりも前方の中領域304Cと、該中領域304Cよりも前方の右領域と、に区画されている。つまり、各領域304L,304C,304Rはそれぞれ前後方向にずれた位置に配設され、それぞれに可動演出部302A〜302C及び回動モータ305A〜305Cや各種伝達部材が組み付けられている。
【0077】
ここで、揺動板304に対して回動可能に設けられた可動演出部302A〜302Cと、該可動演出部302A〜302Cを駆動する回動モータ305A〜305C及び該回動モータ305A〜305Cの駆動力を伝達する伝達部材の構成を説明する。尚、各可動演出部302A〜302Cの駆動力伝達機構は全て同様に構成されているため、ここでは可動演出部302Bの駆動力伝達機構についてのみ説明し、他の可動演出部302A,302Cの駆動力伝達機構の説明は省略することとする。
【0078】
回動モータ305Bは、前板304aに形成された円形の挿通口308の背面側を覆うように取り付けられる取付筒310の背面にネジにより固定される。取付筒310は、前面が開口する筒状部材にて構成され、その背壁には駆動軸305aを挿通するための挿通孔311が形成されている。
【0079】
取付筒310内には、挿通孔311を介して前方に突出された駆動軸305aの先端に固着される駆動ギヤ312と、図示しない前後方向を向く軸部材を中心に回動可能に設けられた駆動ギヤ312に噛合する従動ギヤ313と、該従動ギヤ313に一体化され、位置検出スイッチ314に検出される切欠部315aが形成された回動盤315と、回動盤315の前面に形成されたキー315bが嵌合可能なキー溝316aが背面に形成され、可動演出部302Bに固定される固定板316と、が設けられており、これら駆動ギヤ312、従動ギヤ313、回動盤315、キー315b、キー溝316a、固定板316により、回動モータ305Bの駆動力伝達機構が構成されている。
【0080】
可動演出部302Bは、回動台321と該回動台321の前面に組み付けられる回動部材320とから構成されている。回動台321は、板状部321aと該板状部321aの背面に突設された回動筒321bとを備え、前板304aに形成された回動軸孔330に回動筒321bを挿通することで、軸心周りに回動可能に支持される。この回動筒321bの後端には固定板316がネジにより固定される。
【0081】
また、板状部321aの背面における回動筒321bの近傍位置にはガイド片321cが突設されており、前板304aにおける回動軸孔330の近傍位置に形成された円弧状のガイド溝331に挿通されることで、揺動板304に対する回動台321の回動範囲(本実施例では約90度)を規制できるようになっている。
【0082】
回動部材320は、大砲を模した形状をなし、回動台321に取り付けられる基部(砲架部)及び該基部320aから延設される3本の棒状部320b(砲身部)から構成されている。基部は回動中心に配設され、棒状部320bは基部320aから左側方に向けて延設されており、このように左側方を向いたときに、左隣の回動部材320の基部320aの前面側に重畳する長さを有している。そして、各領域304L,304C,304Rは前後方向にずれた位置に配設されていることで、左隣の回動部材320の基部320aの前面に重畳するように配置される。尚、可動演出部302Aの棒状部320bは、第2演出ユニット400の背面側に位置する。
【0083】
前板304aの左右側背面には、支持部材340L,340Rが固設されている。支持部材340Lは、背面側に向けて延設され、先端部には前後方向に延びる長孔341が形成されているとともに、前側には軸受孔342が形成されている。軸受孔342は、前板304aの上下幅方向の略中央位置に形成され、長孔341は、軸受孔342よりも下後方位置に形成されている。
【0084】
揺動モータ306は、図示しないネジによりベース部材303に取り付けられた前後方向に延びる取付板350の左側面に固定されている。取付板350を貫通して右側に突出された揺動モータ306の駆動軸306aには、回動部材351が固着されている。
【0085】
回動部材351の右側面における回動中心からずれた周縁所定箇所には、連結軸352が突設されており、長孔341内を摺動可能に挿入されている。また、回動部材351の左側周縁にはフランジ部353が形成されており、該フランジ部353に形成された切欠部(図示略)を位置検出スイッチ354により検出することで、揺動板304が初期位置にあることが認識できるようになっている。また、駆動軸306aよりも前側には、揺動軸355が右側に向けて突設されており、軸受孔342に軸周りに回動可能に挿入されている。揺動軸355は、駆動軸306aと同高さ位置に配設されている。
【0086】
支持部材340Rは、右側面に揺動軸356が突設されている。揺動軸356は、揺動軸355と同心をなすように設けられており、図示しないネジによりベース部材303に取り付けられた前後方向に延びる取付板358に形成された軸受孔357内に、軸心周りに回動可能に挿入されている。
【0087】
よって、揺動モータ306により回動部材351が回動することにより、連結軸352が駆動軸306aを中心として周回する。これにより、連結軸352が挿入された長孔341が形成された支持部材340Lの先端部が、揺動軸355を中心として上下に揺さぶられることで、揺動板304が左右方向を向く揺動軸355を中心として上下に揺動する。
【0088】
第2演出ユニット400は、図4〜図6に示すように、非透光性を有する合成樹脂材により正面視略三日月状に形成され、演出表示枠ユニット200の左側辺の長手方向に延びる板材にて構成されている。詳しくは、前方を向く前面部400aと、前面部400aの右辺から後向きに屈曲する右側面部400bと、を有している。
【0089】
前面部400aの略中央部には透光性を有する合成樹脂材からなる発光部401が形成され、その背面側に配設されるLED(図示略)により発光するようになっている。これら発光部401及びその周囲に広がる非透光部は略平面状に形成されており、各可動演出部302A〜302Cよりも前方位置に配設されている。
【0090】
特に前面部400aの上部は、可動演出部302Aの前面側に重畳するように配設されていることで、可動演出部302Aの基部320aの一部及び棒状部320bを前面側からみ視認不能となるように隠蔽する隠蔽部を構成している。
【0091】
右側面部400bは、前面部400aの右側辺における上部、つまり隠蔽部を除く中央部から下部にかけて形成され、その後端は可動演出部302Aよりも後方にある。つまり、右側面部400bの上部に切欠部400c(図5及び図13参照)を形成することで、可動演出部302Aとの接触を回避している。切欠部400cは、前面部400aの右側辺上端から下方に向けて漸次背面側に傾斜する円弧状に形成されるものであり、後述するように可動演出部302Aが傾倒姿勢で回動する際には該可動演出部302Aの回動範囲に重ならず、起立姿勢で回動する際には重なるように形成されている。
【0092】
次に、各可動演出部302A〜302Cの動作状況について、図11〜図13に基づいて説明する。
【0093】
図11に示すように、各可動演出部302A〜302Cは、揺動板304の前面板304aに対し直交する(前後方向を向く)回動筒321bを中心として回動可能に設けられている。詳しくは、各棒状部320bが左側を向く退避位置(図11(a)参照)と、各棒状部320bが下側を向く演出位置(図11(b)参照)と、の間の約90度の回動範囲内で回動可能に設けられている。
【0094】
特に、退避位置では、各棒状部320bが、第1演出ユニット300の下方に位置する演出表示装置9の表示画面よりも上方に退避するとともに、演出位置では、各棒状部320bの先端部が演出表示装置9の表示画面の前面側に重畳するように配置される。
【0095】
尚、本実施例では、退避位置が駆動初期位置とされているが、演出位置が駆動初期位置であってもよい。また、退避位置における棒状部320bの向きなどは種々に変更可能であり、右向きや上向きであってもよい。さらに、回動範囲も90度に限定されず、180度や360度であってもよい。
【0096】
また、図12(a)に示すように、退避位置において、揺動板304は、前面板304aの上辺部が背面側に所定角度(本実施例では約5度)傾いて配設されている。すなわち、各可動演出部302A〜302Cは、前面板304aに対し垂直な回動筒321bを介して支持されているため、前面板304aの上辺部を背面側に僅かに傾けることで、各可動演出部302A〜302Cの荷重を下方から受けることができ、これにより回動軸に生じる捩れや回動軸孔330との接触による抵抗が小さくなる。よって、演出位置に比べて滞在時間が長い退避位置において回動筒321b等にかかる負荷が軽減されるため、耐久性が向上する。
【0097】
また、揺動板304は、図12(a)に示す起立状態において、揺動モータ306により回転部材351が回動して連結軸352が周回することで、左右方向を向く揺動軸355を中心として前面板304aの上辺部が前面側に所定角度(本実施例では約22度)回動して傾倒状態になる。
【0098】
よって、各可動演出部302A〜302Cは、揺動板304が起立状態にあるときには起立姿勢(図12(a)参照)をなし、傾倒状態にあるときには傾倒姿勢をなす(図12(b)参照)。すなわち、起立姿勢と傾倒姿勢とに姿勢変更可能とされている。
【0099】
ここで、各可動演出部302A〜302Cは、図12(a)に示す起立姿勢のまま、退避位置から演出位置まで回動させる場合、図12(a)中1点鎖線で示すように、棒状部320bが右側面部400bに接触して、演出位置まで回動させることができない。
【0100】
そこで、図12(b)に示す傾倒姿勢に姿勢変更することで、図12(c)に示すように、棒状部320bを右側面部400bに接触させることなく、演出位置まで回動させることができる。
【0101】
すなわち、図13に示すように、可動演出部302Aの棒状部320bは、退避位置と演出位置との間の回動範囲(図13(a)中右下がり斜線で示す領域)内で回動(変位)可能に設けられているとともに、右側面部400bは、前記回動範囲内に配設されている。そして棒状部320bは、回動範囲内で変位するときに棒状部320bに接触する起立姿勢と、右側面部400bに接触しないように該起立姿勢に対し傾倒する傾倒姿勢と、に姿勢変更可能に構成されている。
【0102】
このように姿勢が変更することで、可動演出部302Aの回動軌跡は、回動中心位置ではあまり変わらないものの、棒状部320bの先端側に向けて後方にずれていくことになる。
【0103】
また、第2演出ユニット400は、可動演出部302Aが起立姿勢である場合に接触し、傾倒姿勢である場合に接触しない接触部である右側面部400bと、退避位置において可動演出部302Aよりも遊技者側に配設され、該可動演出部302Aが起立姿勢である場合でも接触しない重畳部である前面部400aと、を含む。
【0104】
このように、第1演出ユニット300と第2演出ユニット400とは、第1演出ユニット300の左端部と第2演出ユニット400の上端部とが前後方向に重畳するように配設されているため、2つの演出ユニットを限られたスペース内に効率よく配設することができる。
【0105】
そして本実施例では、前面部400aは、可動演出部302Aが起立姿勢でも傾倒姿勢でも接触することはないが、右側面部400bは、可動演出部302Aが退避位置にあるとき、起立姿勢及び傾倒姿勢となっても接触することがないように、切欠部400cにより切り欠かれている。しかし、切欠部400cが下方まで大きく延設されていると、右側方に前面部400aの背面側の構造物や配線等が露呈して見栄えが悪くなってしまう。
【0106】
そこで、右側面部400bは、可動演出部302Aが起立姿勢で演出位置まで移動する途中で接触する位置(図13(b)中網線領域参照)、つまり、可動演出部302Aの回動範囲内であって、可動演出部302Aが傾倒姿勢で演出位置まで移動する場合には途中で接触することがない位置に配設されている。
【0107】
よって、前面部400aの右側面を極力被覆することができるとともに、演出位置まで移動させるのに、起立姿勢から傾倒姿勢に変更することで、可動演出部302Aにおける先端部側の移動軌跡が後方にずれて右側面部400bとの接触が回避される、すなわち、可動演出部302Aは、姿勢変更により右側面部400bから退避するため、可動演出部302A全体を後方にずらすように移動させるなど、大掛かりな駆動機構を構成しなくても、簡単に右側面部400bとの接触を回避することができる。
【0108】
このように、通常の退避位置では起立姿勢で維持することで、前述したように回動軸等にかかる負荷を軽減しつつ、演出位置まで移動する際には、揺動板304を介して起立姿勢から傾倒姿勢に姿勢変更するだけでよいので、右側面部400bとの接触を容易に回避することができる。
【0109】
図14には、第1演出ユニット300による演出の一例として、非確変大当りから確変大当りへ昇格する確変昇格演出が示されている。
【0110】
具体的に説明すると、例えば、図柄の可変表示結果として、非確変図柄の組合せ(ここでは「222」の組合せ)からなる大当り表示結果が表示された後、非確変図柄が再変動を開始したときに、揺動板304が揺動して各可動演出部302A〜302Cが起立姿勢から傾倒姿勢に姿勢変更され、退避位置から演出位置まで回動する。
【0111】
そして、演出表示装置9の表示画面において、下向きになった各棒状部320bの先端に対応する位置に、あたかも可変表示中の図柄に向けて砲撃したような表示画像が表示された後、確変図柄の組合せ(ここでは「777」の組合せ)からなる大当り表示結果が表示される。
【0112】
本実施例では、図12に示すように、演出表示装置9は、表示画面が各可動演出部302A〜302Cよりも背面側に奥まった位置に配設されており、各可動演出部302A〜302Cの棒状部320bを表示画面の前面側に重畳させることができるようになっている。そして、傾倒姿勢で演出位置まで回動させるようにすることで、演出位置において、棒状部320bの先端を表示画面により近づけることができる(図12(c)参照)。
【0113】
よって、棒状部320bと表示画面との間に大きな隙間ができることで、遊技者の目線位置が左右にずれた場合に、棒状部320bと画像との間に大きなずれが生じることが回避されるので、遊技者に違和感を与えることがない。
【0114】
尚、図14では確変昇格演出を一例として説明したが、言うまでもなく、確変昇格演出以外の各種演出(例えば、大当り予告演出やリーチ演出等)において、各可動演出部302A〜302Cの可動と演出表示装置9の表示とを関連付けた演出を実行可能としてもよい。
【0115】
次に、特別可変入賞球装置20及びその周辺の構造について、図15〜図17に基づいて説明する。図15は、第2球誘導部材に遊技球が衝突した状態を示す正面図である。図16は、図15のD−D断面図である。図17は、図16の要部拡大図である。
【0116】
本実施例の遊技領域7は、演出表示装置9の左右側に遊技球の流下領域が形成されている。右遊技領域に打ち出された遊技球は、演出表示装置9の右側を外レール(図示略)に沿うように誘導された後、第1球誘導部材500の上面に落下するようになっている。
【0117】
第1球誘導部材500の上面に落下した遊技球は、遊技領域7の中央側に向けて誘導された後、複数の障害釘Kにより、特別可変入賞球装置20、ゲート32、入賞口29d等に向けて誘導される。
【0118】
特別可変入賞球装置20は、横長長方形状に形成された大入賞口20b、該大入賞口20bを開閉する大入賞口扉20a、該大入賞口扉20aを開閉駆動する駆動機構(図示略)等から構成される。大入賞口扉20aは、左右方向を向く回動軸心(図示略)を中心として上辺部が前後方向に揺動する。
【0119】
また、大入賞口20bの前面側には、大入賞口20bからその下方の所定位置までの領域を前面側から被覆可能な大きさを有する大入賞口板570が、その背面に突設された取付部571を介して、遊技盤面6aの一部を構成する壁面20cから所定の離間幅寸法L20を隔てて設けられている。離間幅寸法L20は、遊技球の直径2Rよりも幅広で、かつ、遊技球2個分の長さ(2R×2=4R)よりも幅狭とされている(2R<L20<4R)。
【0120】
大入賞口板570の背面570aにおける大入賞口20bとの対向位置には、左右幅が大入賞口20bとほぼ同寸で、かつ、上下幅が大入賞口20bの上辺から下辺のやや下方位置までの長さを有する凹部572が形成されているとともに、背面570aの下端位置には、突出部573が左右幅方向に向けて形成されている。
【0121】
図17に示すように、凹部572における大入賞口20bとの対向面は、第1位置Aから下方の第2位置Bに向けて漸次大入賞口23bから離れる側(前側)に傾斜する上傾斜面572aと、第2位置Bから第3位置Cに向けて下方に延設される垂直面572bと、第3位置Cから第4位置Dに向けて漸次大入賞口23b側(後側)に向けて傾斜する下傾斜面572cと、から構成される。
【0122】
このように、大入賞口板570の背面570aにおける大入賞口20bとの対向位置に凹部572が形成されていることで、壁面20cと背面570aとの離間幅寸法が広がることで、大入賞口扉20aが開放位置まで揺動するときに該大入賞口扉20aと背面570aとの間を通過する遊技球Pが大入賞口扉20aから離れる方向に逃げやすくなるため、大入賞口扉20aと背面570aとの間に遊技球が挟まりにくくなる。
【0123】
さらに、凹部570における大入賞口扉20aの上部との対向面は、大入賞口扉20aと背面570aとの間を通過する遊技球Pの落下方向(垂直方向)に対して前後に傾斜する上傾斜面572aとされていることで、開放する大入賞口扉20aが遊技球Pを押出す押出方向F(大入賞口扉20aの前面に対し直交する方向)に対する上傾斜面572aの傾斜角度θが、垂直な背面570aに比べて大きくなるので、遊技球Pが下方に誘導されやすくなる。
【0124】
つまり、大入賞口扉20aの前面と上傾斜面572aとが平行に近づく程、遊技球Pが挟まれやすくなるのに対し、大入賞口扉20aの前面と上傾斜面572aとが側面視「ハ」の字形(非平行)をなすように下方が開放する程、大入賞口扉20aが遊技球Pを押出す押出方向Fに対する上傾斜面572aの傾斜角度θが大きくなるため、遊技球Pが挟まれにくくなる。
【0125】
特に大入賞口扉20aは、開放位置に近づくにつれて背面570aに対する傾斜角度が増大するのに対し、上傾斜面572aが下方に向けて漸次大入賞口23bから離れる側に傾斜することにより、大入賞口扉20aが開放位置に近づくほど大入賞口扉20aの前面と上傾斜面572aとの傾斜角度が増大するため、遊技球Pを挟み込むことなく押出すことで、下方に向けてスムーズに誘導することができる。
【0126】
また、背面570aの下部に、突出部573が左右方向に延設されている。突出部573は、大入賞口23bの下辺よりも下方位置に形成され、極力、第2球誘導部材550に近づけて配設されている。また、突出部573の上面は下方に向けて大入賞口20b側に傾斜する傾斜面とされており、落下してきた遊技球をできるだけ壁面20c側に誘導できるようになっている。
【0127】
これにより、突出部573の先端部と壁面20cとの離間幅寸法L21は、遊技球の直径2Rよりも大きく、背面570aと壁面20cとの離間幅寸法L20よりも短寸となるため(2R<L21<L20)、突出部573の先端部と壁面20cとの間を通過して第2球誘導部材550の転動面551上に落下した遊技球が大きく跳ね上がっても、突出部573の先端部と壁面20cとの間に入り込みにくくなるので、転動面551上に落下して跳ね上がった遊技球が、開放位置にある大入賞口扉20aに衝突して閉鎖位置側に押し込んでしまうことが防止される。
【0128】
第2球誘導部材550は、図15及び図16に示すように、第1球誘導部材500よりも左側下方であって、大入賞口20bの下方位置に設けられている。転動面551は、遊技盤面6aに対し略直交する起立姿勢で設けられ、前後幅寸法L12は、遊技球の直径2Rよりも幅広で、かつ、遊技盤面6aと透視窓102aとの離間幅寸法L11よりも若干幅狭に形成されている。尚、離間幅寸法L11は直径2Rの遊技球2個分の長さ(2R×2=4R)よりも幅狭とされている(2R<L12<L11<4R)。
【0129】
よって、第1球誘導部材500にて誘導され第2球誘導部材550上に流下してきた遊技球は、該第2球誘導部材550と透視窓102aとの間に挟まったりすり抜けたりすることなく、確実に転動面551上に落下して左側の可変入賞球装置15に向けて誘導されるようになっている。
【0130】
また、上転動平面551bの前後幅寸法L13は、遊技球の半径Rよりも短寸とされているため(R>L13)、側壁553付近に落下してきた遊技球は、上転動平面551bに衝突することなく、転動傾斜面551aに衝突するようになっている。
【0131】
一方、下転動平面551cの前後幅寸法L14は、遊技球の半径Rよりも長寸とされているとともに(R<L14)、転動傾斜面551aの傾斜角度が小さいことから、遊技盤面6a側の壁面20c近くを流下してきた遊技球は下転動平面551cに衝突し、該下転動平面551c上を転動可能とされている。
【0132】
このように、前後方向に水平な下転動平面551cを有することで、遊技球が転動傾斜面551aにより壁面20c側に寄せられて、該転動傾斜面551aと壁面20cとの2点に接触した状態のまま転動することが回避されるので、遊技球を下転動平面551c上で抵抗なく転動させてスムーズに誘導することができる。つまり、下転動平面551cは転動部を構成している。
【0133】
また、第1球誘導部材500及び複数の障害釘Kによって左側に誘導され流下してきた遊技球は、転動面551における上転動平面551bを除く長手方向の所定箇所に衝突する。離間幅寸法L11は、遊技球の直径2R以上の幅寸法を有しているので、転動面551に衝突した遊技球が透視窓102a側に跳ねる可能性があるが、転動傾斜面551aは遊技盤6側に向けて下方に傾斜しているため、透視窓102a近傍を流下してきた遊技球が遊技盤面6a側に向けて強制的に跳ね返されるようになる。
【0134】
尚、壁面20c近傍を流下してきた遊技球は、前後方向に略水平な下転動平面551cに衝突することがあるが、透視窓102aから離れているため、遊技機1の傾き等により透視窓102a側に跳ねたとしても勢いよくぶつかることもないし、少しでも前側にずれて衝突すれば、転動傾斜面551aに衝突して遊技盤面6a側に向けて跳ね返ることになる。
【0135】
これにより、遊技球が透視窓102aに跳ね返ることが防止され、透視窓102aを接触により傷つけることを抑制できるので、傷により体裁や耐久性が損なわれたり、視認性が低下したりすることが防止される。
【0136】
また、転動傾斜面551a及び下転動平面551cを含む転動面551は、幅方向の左側から右側に向けて下方に傾斜しているため、衝突して跳ね返った遊技球は、遊技盤面6a側だけでなく、転動面551の傾斜下位側、つまり遊技球の誘導方向に向けて跳ね返るようになる。よって、特定方向から転動傾斜面551a及び下転動平面551cに誘導される遊技球を、遊技盤面6a側ではあるものの前記特定方向、つまり遊技球の進入方向に跳ね返ってしまい、後続の遊技球と衝突してしまうことが防止される。
【0137】
また、転動傾斜面551aは、転動面551の一部に形成され、透視窓102a側から遊技盤面6a側に向けて下方に傾斜する傾斜面にて構成されているため、衝突部が転動面551に対し突設されることがないので、衝突した遊技球を遊技盤面6a側に跳ね返しつつ、転動面551の傾斜方向である左方向への転動を妨げない。つまり、転動傾斜面551aは、衝突部及び転動部双方を構成している。
【0138】
また、転動面551は、転動傾斜面551aの傾斜下位側から遊技盤面6aに向けて設けられる下転動平面551cと、転動傾斜面551aの傾斜上位側から透視窓102a側の側壁553に向けて設けられる上転動平面551bと、を含むことで、転動傾斜面551aの傾斜角度を確保しつつ、該転動傾斜面551aにおいて遊技球が透視窓102aや側壁553などに接触することにより衝突しない傾斜上位部や、遊技球が遊技盤面6aや壁面20cなどに接触することにより衝突しない傾斜下位部を平面にすることで、転動面551を構成する第2球誘導部材550の上下方向の幅寸法を極力抑制することができる。
【0139】
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、可動部品としての可動演出部302Aの棒状部320bの回動範囲内に、被退避部品としての第2演出ユニット400の右側面部400bを配設することで、可動演出部302Aや第2演出ユニット400を限られたスペース内に効率よく配設できる。
【0140】
また、起立姿勢から傾倒姿勢に傾倒させることで、可動演出部302Aの先端側(棒状部320b)の移動軌跡が後方にずれ、これにより右側面部400bとの接触が回避されるため、接触を回避するために、可動演出部302A全体を右側面部400bに対して予め後方にずらして配設したり、回動途中で後方にずらす必要等がないため、限られたスペース内に複数の演出部を自由に配設することができる。また、姿勢変更により動作態様を多様化できるため、演出効果が向上する。
【0141】
また、可動演出部302Aの棒状部320bを退避位置と演出位置との間で回動させる回動モータ305A、駆動ギヤ312、従動ギヤ313、固定板316等の駆動伝達機構と、棒状部320bを起立姿勢と傾倒姿勢とに変更させる揺動板304、揺動モータ306、軸受孔342、回動部材351、連結軸352及び揺動軸355等の揺動伝達機構と、これら回動モータ305A及び揺動モータ306の駆動制御を行う演出制御用CPUは、可動演出部302Aを、退避位置において揺動モータ306により起立姿勢から傾倒姿勢に変更させた後、回動モータ305Aによって退避位置から演出位置まで回動させる(図14参照)。このように、可動演出部302Aの姿勢を起立姿勢から傾倒姿勢に変更してから回転を開始することで、回転させながら姿勢変更すること等がないので、右側面部400aとの接触を確実に回避できるとともに、駆動制御が容易になる。
【0142】
また、可動演出部302Aの棒状部320bは、演出表示装置9の表示画面に対し前方にずれた位置に配設されており、演出位置において、演出表示装置9に対する回動方向の離間寸法が退避位置よりも短く、かつ、先端が演出表示装置側に傾倒する傾倒姿勢をなすことで、演出位置においては、演出表示装置9に対して、退避位置よりも回動方向に近づくだけでなく、傾倒により回動方向に対し交差する前後方向にも近づくことで、演出表示装置9と可動演出部302Aとで関連性を有する演出等を実行しやすくなる。
【0143】
また、第2演出ユニット400の右側面部400bは、可動演出部302Aの棒状部320bが起立姿勢である場合に接触し、傾倒姿勢である場合に接触しない接触部である右側面部400bの所定箇所と、退避位置において可動演出部302Aよりも遊技者側(前側)に配設され、該可動演出部302Aが起立姿勢である場合でも接触しない重畳部である前面部400aの上部と、を含むことで、退避位置において、可動演出部302Aを第2演出ユニット400に対し重畳するように配設できることで、可動演出部302Aと第2演出ユニット400とを限られたスペース内に効率よく配設できる。
【0144】
また、可動演出部302Aを起立姿勢としても前面部400aに接触することがないばかりか、右側面部400bが邪魔になって内部が見えにくくなるため、見栄えが向上する。
【0145】
また、本実施例では、可動部品としての可動演出部302A〜302Cは、前面板304aに対し垂直な回動筒321bを中心として、退避位置と演出位置との間を回動可能に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図18に示す変形例としての可動部品のように、ベース部に対し移動可能に設けられていればよい。
【0146】
図18は、本発明の変形例としての演出装置を示す概略図である。本変形例としての演出ユニット600は、ベース部としての揺動板603に対し上昇位置と下降位置との間で変位可能に設けられた第1演出部601と、上方の第1位置と下方の第2位置との間の可動範囲内に配設される第2演出部602と、から構成されている。
【0147】
第1演出部601は、上端が左右方向を向く揺動軸603aを中心として揺動可能に設けられた揺動板603の前面に、上下方向にスライド移動可能に設けられている。また、第1演出部601は、略垂直に起立する第1姿勢と前後方向に傾倒する第2姿勢とに姿勢変更可能である。
【0148】
第2演出部602は、第1演出部601の前面側に配設される前面板602aと底面板602bとを有している。前面板602aは第1演出部601を隠蔽する隠蔽部として機能し、底板502bの後端には切欠部602cが形成されている。そして、図15(a)に示すように、第1演出部601が第1姿勢のまま第2位置に移動する際には底面板602bと接触するようになっている。
【0149】
よって、第1演出部601は、第2位置まで移動する際、第1位置において揺動板603の揺動により第1姿勢から第2姿勢に変更した後(図15(b)参照)、下降を開始して第2位置まで移動する(図15(c)参照)。
【0150】
このように可動部品は、ベース部に対し変位可能に設けられていれば、上記実施例のように所定の回動軸を中心として回動可能に設けられていてもよいし、上記変形例のようにスライド移動可能に設けられていてもよい。
【0151】
また、前記実施例では、可動部品としての可動演出部302Aと、被退避部品としての第2演出ユニット400と、が記載されていたが、これら可動演出部302Aや第2演出ユニット400以外の構成部品を備えていてもよい。
【0152】
また、前記実施例では、構成部品の一例として、所定の演出を行うための演出部材である第1演出部及び第2演出部を記載したが、このような演出部材に限らず、装飾部材、あるいは、例えば遊技盤6の盤面上に設けられる各種入賞口や可変入賞装置15、特別可変入賞球装置20等の遊技に関連して設けられる各種遊技用部品や、パチンコ遊技機1を構成する構造物等を含む。
【0153】
また、前記実施例では、複数の構成部品のうち、一の可動部品に対し一の被退避部品が可動範囲内に配設されていたが、2以上の可動部品に対し一の被退避部品が可動範囲内に配設されていてもよいし、一の可動部品に対し複数の被退避部品が可動範囲内に配設されていてもよい。
【0154】
また、前記実施例では、退避位置において起立姿勢をなし、演出位置まで回動する途中で傾倒姿勢に変更するようになっていたが、退避位置において傾倒姿勢をなし、演出位置まで回動する途中で起立姿勢に変更してもよいし、退避位置及び演出位置において起立姿勢をなし、回動途中において右側面部400bとの干渉を回避する場所でのみ傾倒姿勢に変更するようにしてもよい。
【0155】
また、前記実施例では、可動演出部302Aは、ベース部としての揺動板304に対して姿勢変更するのではなく、揺動板304が揺動することで姿勢変更するようになっていたが、例えば、揺動板304を固定板とし、該固定板に対して回動可能、かつ、揺動可能に支持することにより姿勢変更可能としてもよい。
【0156】
また、前記実施例では、被退避部品としての第2演出ユニット400は、例えば遊技盤6に対し移動不能に設けられていたが、変位可能に設けられていてもよい。尚、このように可動部品及び被退避部品双方が変位可能に設けられている場合、双方の可動範囲が一部で重畳するように配設されていればよい。また、この場合、可動部品及び被退避部品双方が姿勢変更可能に設けられていてもよい。
【0157】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0158】
例えば、前記実施例に記載のパチンコ遊技機1は、遊技者に景品として遊技球が払い出され、遊技者は払い出された遊技球(貸し球の場合もある)を遊技領域に発射して遊技が行われる遊技機であったが、プリペイドカードや会員カード等の遊技用記録媒体の記録情報により特定される大きさの遊技用価値である度数を使用して、遊技に使用するための遊技得点を付与するとともに、付与された遊技得点または遊技による入賞により付与された遊技得点を使用して遊技機内に封入された遊技球を遊技領域に打ち込んで遊技者が遊技を行う遊技機にも本発明を適用することができる。
【0159】
すなわち、始動領域を遊技媒体(遊技球)が通過した後に、可変表示の開始を許容する開始条件の成立に基づいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示装置を備え、該可変表示装置に特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に移行させる遊技機であるが、遊技得点が0でないときに遊技得点を使用して遊技機内に封入された遊技球を遊技領域に打ち込んで遊技が行われ、遊技球の打ち込みに応じて遊技得点を減算し、遊技領域に設けられた入賞領域に遊技球が入賞することに応じて遊技得点を加算する遊技機にも本発明を適用することができる。そのような遊技機は、遊技得点の加算に使用可能な遊技用価値の大きさを特定可能な情報が記録された遊技用記録媒体を挿入するための遊技用記録媒体挿入口と、遊技用記録媒体挿入口に挿入された遊技用記録媒体に記録されている記録情報の読み出しを行う遊技用記録媒体処理手段とを備えていても良い。
【0160】
また、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状のパチンコ球(遊技球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えばメダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。
【0161】
また、前記実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機が適用されていたが、例えば遊技用価値(メダルやクレジット等)を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンにも適用可能である。
【0162】
例えば、図19に示すスロットマシン1000Aように、前記可変表示装置としてのリール2L、2C、2Rを透視可能とする透視窓1003の上方位置に、演出画像を表示するための演出表示装置1051が可変表示装置とは別個に配設されたものに可動部品及び被退避部品を配設する場合、該演出表示装置1051の左右側方位置に第1演出部1302L,1302Rを配設するとともに、第2演出部1400L,1400Rを、第1演出部1302L,1302Rの回動範囲内に配設すればよい。
【0163】
また、図20に示すスロットマシン1000Bように、前記可変表示装置としてのリール2L、2C、2Rを透視可能とする透視窓1003の周囲に演出画像を表示するための演出表示装置1052が配設されたものに可動部品及び被退避部品を配設する場合において、該演出表示装置1052の上方位置に第1演出部1302A,1302B,1302Cを配設するとともに、第2演出部1400L,1400Rを、第1演出部1302Aの回動範囲内に配設すればよい。また、特に図示しないが、左右側辺に沿って形成されたサイド枠1500L,1500R内等に可動部品及び被退避部品を配設してもよい。
【0164】
また、このようなスロットマシンにおいては、例えば、遊技者にとって有利なボーナス、遊技者に有利な操作態様を報知するアシストタイム(AT)、再遊技役の内部当選確率が高くなるリプレイタイム(RT)等、遊技者にとって有利な権利が付与される可能性を示唆する示唆演出やボーナス中演出等の種々の演出を実施する場合等において、可動部品及び被退避部品を用いることが可能である。
【0165】
また、遊技用価値としてパチンコ球(遊技媒体)を用いて遊技を行うスロットマシン、例えば、メダルの投入機構に加えて、遊技球の取込を行う球取込装置、球取込装置により取り込まれた遊技球を検出する取込球検出スイッチを設けるとともに、メダルの払出機構に加えて、遊技球の払い出しを行う球払出装置、球払出装置により払い出された遊技球を検出する払出球検出スイッチを設け、メダルおよび遊技球の双方を用いて賭数を設定してゲームを行うことが可能であり、かつ入賞の発生によってメダルおよび遊技球が払い出されるスロットマシンであってもよい。
【0166】
また、遊技者所有の遊技用価値としてのメダルの一部(例えば、50枚まで)をクレジットとして記憶可能であり、メダルまたはクレジットを用いることで遊技(ゲーム)を行うことができるスロットマシンにおいて、例えば貸出要求に応じて貸し出された価値や入賞に応じて付与された価値を全てクレジットとして記憶し、該クレジットのみの使用で遊技を行うことが可能な遊技機であってもよく、この場合、遊技用価値とはクレジットにあたる。
【0167】
また、本発明は、所定の遊技を行うことが可能な遊技機であればよく、例えば入賞や大当り等の発生など遊技を行うことにより成立する所定条件の成立にもとづいて有価価値を付与する遊技機にも適用可能である。
【0168】
また、有価価値とは、遊技を行うための遊技用価値としてのメダルや遊技球等の遊技媒体であってもよいし、賭数の設定をクレジットのみを使用して行う完全クレジット式であればクレジットを付与するものであればよい。
【符号の説明】
【0169】
1 パチンコ遊技機
200 演出表示枠ユニット
300 第1演出ユニット
301 駆動ユニット
302A〜C 可動演出部
304 揺動板
305A〜305C 回動モータ
306 揺動モータ
320b 棒状部
400 第2演出ユニット
400a 前面部
400b 右側面部
400c 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の遊技を行うことが可能であり、複数の構成部品からなる遊技機であって、
前記複数の構成部品は、
第1位置と第2位置との間で変位可能に設けられた可動部品と、
前記第1位置と前記第2位置との間の可動範囲内に配設され、前記可動部品が変位する際の退避対象となる被退避部品と、を含み、
前記可動部品は、
前記可動範囲内で変位するときに、第1姿勢から前記被退避部品に接触しないように該第1姿勢に対し傾倒する第2姿勢に姿勢変更可能に構成されている、
ことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−106722(P2013−106722A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253222(P2011−253222)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000144153)株式会社三共 (5,148)
【Fターム(参考)】