遊技機
【課題】払出装置を取り外した際に遊技球の球漏れを簡単且つ確実に防止することが可能な遊技機を提供する。
【解決手段】払出装置が取り外された際に、流路R1,R2を流下する遊技球Sを堰き止めるストッパユニット100は、遊技球Sの流下可能領域内に入り込んで遊技球Sを堰き止める閉鎖位置と流下可能領域外に回避して遊技球Sを流出口F1,F2から流出させる開放位置とに向けて回動可能に軸支されたストッパ106と、ストッパ106を閉鎖位置に向けて常時付勢する弾性部材と、設置領域側から押圧力を付与することにより、ストッパ106を弾性部材の付勢力に抗して閉鎖位置から開放位置に向けて回動させる押圧部材110とを備えており、流路R1,R2は、壁部44によって互いに並列した複数の流路R1,R2に分けて構成され、壁部44は、複数の流路R1,R2をそれぞれ流下する遊技球Sの半径よりも高く、直径よりも低い位置に設定されている。
【解決手段】払出装置が取り外された際に、流路R1,R2を流下する遊技球Sを堰き止めるストッパユニット100は、遊技球Sの流下可能領域内に入り込んで遊技球Sを堰き止める閉鎖位置と流下可能領域外に回避して遊技球Sを流出口F1,F2から流出させる開放位置とに向けて回動可能に軸支されたストッパ106と、ストッパ106を閉鎖位置に向けて常時付勢する弾性部材と、設置領域側から押圧力を付与することにより、ストッパ106を弾性部材の付勢力に抗して閉鎖位置から開放位置に向けて回動させる押圧部材110とを備えており、流路R1,R2は、壁部44によって互いに並列した複数の流路R1,R2に分けて構成され、壁部44は、複数の流路R1,R2をそれぞれ流下する遊技球Sの半径よりも高く、直径よりも低い位置に設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、特に払出装置を設置領域から取り外した際における遊技球の球漏れを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定数の遊技球の払い出しを行う払出装置が着脱可能に取り付けられた遊技機が知られている。その一例として、特許文献1には、流路間(案内樋と導出樋との間)に払出装置(球排出装置)を取り付けることで、複数の遊技球を流下させる一連の流路が構成される遊技機が開示されている。また、特許文献2には、別体に構成された払出装置(賞球払出装置、球貸払出装置)を流路間に独立して取り付けることで、故障が生じた払出装置のみを取り外して交換できる遊技機が開示されている。更に、特許文献3には、複数の払出装置(球払出ユニット)をまとめて流路間に取り付けることで、該当する払出装置のみを取り外して交換できる遊技機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−224343号公報
【特許文献2】特開2000−197748号公報
【特許文献3】特開2006−181352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した各特許文献の遊技機では、払出装置を流路間に取り付けることにより、当該払出装置の上流側の流路と下流側の流路とを互いに連続させることができる。このため、払出装置を流路間から取り外した状態では、上流側の流路の流出口が外部に直接露出することになる。このとき、上流側の流路内に遊技球が残留している場合には、その遊技球が上流側の流路を流下して流出口からこぼれ落ちてしまう(遊技球の球漏れ)。
【0005】
ここで、遊技球の球漏れを防止する方法としては、例えば払出装置を取り外す前に、予め上流側の流路内に残留している全ての遊技球を取り除く方法や、上流側の流路の流出口を塞いだ後に、払出装置を取り外す方法などを適用することができる。しかしながら、このような方法では、払出装置の取り外し操作に加えて、上述したような特段の操作を別途行わなければならず、手間がかかり面倒であるため、煩わしさに耐えない。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされており、その目的は、特段の操作を別途行うこと無く、払出装置を取り外した際における遊技球の球漏れを簡単且つ確実に防止することが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、第1の発明は、複数の遊技球が流下する流路と、前記流路に沿って延出した少なくとも1つの壁部と、前記流路を流下した前記遊技球を流出させる流出口とを有し、前記流路は、前記壁部によって互いに並列した複数の流路に分けて構成され、前記壁部は、複数の前記流路をそれぞれ流下する前記遊技球の半径よりも高く、直径よりも低い位置に設定されるレールユニットと、所定の設置領域に対して着脱可能に設置され、且つ前記レールユニットの前記流出口から流出した前記遊技球を受け入れて、その受け入れた前記遊技球を用いて所定数の前記遊技球の払い出しを行う払出装置と、前記払出装置が前記設置領域から取り外された際に、前記流路を流下する前記遊技球を堰き止めるストッパユニットとを具備し、ストッパユニットは、前記流路を流下する前記遊技球の流下可能領域内に入り込んで前記遊技球を堰き止める閉鎖位置と、前記流下可能領域外に回避して前記遊技球を前記流出口から流出させる開放位置とに向けて変位可能に軸支されたストッパと、前記ストッパを前記閉鎖位置に向けて常時付勢する弾性部材と、前記ストッパに係合され且つ前記設置領域に向けて延出されていると共に、前記設置領域側から押圧力を付与することにより、前記ストッパを前記弾性部材の付勢力に抗して前記閉鎖位置から前記開放位置に向けて変位させる押圧部材とを備え、前記ストッパユニットには、前記レールユニットの前記流路に対向した位置に、前記流路に向けて立ち上げられた傾斜部が前記流路に沿って延設されており、前記傾斜部の立ち上げ寸法を、前記流路の前記流出口に向うに従って徐々に大きく設定することで、前記流路の前記流出口に向うに従って下り勾配を成す傾斜面が形成されていると共に、前記ストッパユニットの上流側には、これに隣接して球均し部材が設けられており、前記球均し部材は、前記流路に沿って下流方向に延出した球均しプレートを備え、前記球均しプレートは、前記傾斜部の上流側に隣接したガイドによって前記流路方向に押圧され、前記傾斜面に連続して安定し、前記傾斜部とともに一連の球均し面を構成し、前記ストッパユニットの前記ストッパは、複数の前記流路相互を横断して延在されており、前記払出装置を前記設置領域から取り外した際に、前記払出装置によって前記押圧部材に付与されていた押圧力が解除され、前記ストッパが前記弾性部材の付勢力によって前記開放位置から前記閉鎖位置に向けて変位して前記壁部の頂部に当接することにより、複数の前記流路のそれぞれを前記流出口に向けて流下する前記遊技球を同時に堰き止める。
【0008】
第1の発明によれば、払出装置を設置領域から取り外した際に、弾性部材の付勢力によってストッパが遊技球の流下可能領域内に自動的に入り込むことにより、流路を流出口に向けて流下する遊技球を確実に堰き止めることができる。このとき必要となる操作は、払出装置の取り外し操作のみであり、特段の操作を別途行う必要は無い。このため、遊技球の球漏れを簡単に防止することができる。
更に、第1の発明によれば、複数の流路のそれぞれに遊技球を流下させることができるため、多数の遊技球を短時間に効率良く払い出すことができる。また、ストッパを複数の流路相互を横断して延在させたことにより、1つのストッパによって複数の流路を流下する遊技球を同時に堰き止めることができる。この場合、払出装置を取り外した際にストッパを壁部に当接させることにより、ストッパを閉鎖位置に安定して位置決めすることができる。これにより、遊技球の球漏れを確実に防止することができる。
【0009】
第2の発明において、前記ガイドには、前記流路の前記流出口に向うに従って下り勾配を成すガイド傾斜面が形成され、前記ガイド傾斜面の前記流路に対する傾斜角度は、前記ガイド傾斜面に隣接する前記傾斜部の傾斜面の前記流路に対する傾斜角度よりも小さい角度である。
【0010】
第2の発明によれば、流路を流下している複数の遊技球を流出口に向けてスムーズに流下させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特段の操作を別途行うこと無く、払出装置を取り外した際における遊技球の球漏れを簡単且つ確実に防止することが可能な遊技機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係る遊技機の正面側の構成を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施の形態に係る遊技機の背面側の構成を示す平面図。
【図3】払出装置及び球タンク並びにレールユニットの配置構成を示す斜視図。
【図4】払出装置の外観構成を示す斜視図。
【図5】払出装置の外観構成を他の方向から見た斜視図。
【図6】基板カバーが取り外された払出装置の外観構成を示す斜視図。
【図7】払出カバー後部が取り外された払出装置の外観構成を示す斜視図。
【図8】払出中間ベースが取り外された払出装置の外観構成を示す斜視図。
【図9】払出ギヤカバーが取り外された払出装置の外観構成を示す斜視図。
【図10】カム用ギヤが取り外された払出装置の外観構成を示す斜視図。
【図11】払出カバー前部が取り外された払出装置の外観構成を示す斜視図。
【図12】払出装置の分解斜視図。
【図13】払出装置の他の方向から見た分解斜視図。
【図14】図4に示された払出装置のX1−X1線に沿う断面図。
【図15】図4に示された払出装置のX2−X2線に沿う断面図。
【図16】図4に示された払出装置のY−Y線に沿う断面図。
【図17】図16の払出装置の平面図。
【図18】払出レバーを駆動するカムが駆動軸から連結機構を介して駆動装置に連結されている構成を抜き出して示す斜視図。
【図19】図18に示された構成を払出レバー側から見た平面図。
【図20】(a)は、第1流路の内部構成を示す図、(b)は、第2流路の内部構成を示す図。
【図21】図3に示された払出装置が設置領域から取り外された状態を示す斜視図。
【図22】図21に示されたストッパユニットがレールユニットから取り外された状態を示す斜視図。
【図23】ストッパユニットをその上面側から見た斜視図。
【図24】ストッパユニットをその下面側から見た斜視図。
【図25】図24に示されたストッパユニットからストッパ及び押圧部材が取り外された状態を示す斜視図。
【図26】ストッパユニットが取り付けられたレールユニットの構成を示す斜視図。
【図27】ストッパユニットの動作を説明するための側面図。
【図28】ストッパユニットの動作を説明するための正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態に係る遊技機について、添付図面を参照して説明する。なお、本実施の形態では、遊技機としてパチンコ機を想定する。
図1に示すように、本実施の形態に係るパチンコ機2は、遊技機島(図示しない)に取り付けるための外枠4と、外枠4の前面に回動自在に軸支された内枠6と、内枠6の背後に嵌装された図示しない各種の演出表示装置(LCD(Liquid Crystal Display)などの可変表示装置)とを備えており、内枠6の前面には、例えば入賞口などの遊技部材(図示しない)を備えて構成された遊技盤(図示しない)が着脱自在に装着されている。なお、演出表示装置による各種の演出表示は、内枠6背面に搭載された副制御基板8(図2)によって制御される。
【0014】
また、内枠6の前面には、ガラス板10が嵌められたフロント扉12が回動自在に軸支されており、フロント扉12の上側には光による演出を行うランプ14が取り付けられている。また、内枠6の前面下部側には、貸出球や賞球を受け止める上皿16と、上皿16が満杯時に溢れた遊技球を受け止める下皿18と、遊技球を発射させる際の発射力調節用のハンドル20と、音による演出を行うスピーカ22とが設けられている。また、上皿16には、遊技者が遊技球の貸し出し操作を行うための球貸し操作パネル24が設けられている。なお、ランプ14やスピーカ22などによる各種の演出は、内枠6背面に搭載された副制御基板8(図2)によって制御される。
【0015】
ここで、球貸し操作パネル24の球貸しボタン26を操作すると、図2に示すように、パチンコ機2に内蔵された払出・発射制御基板28と当該パチンコ機2に併設されたカードユニット(図示しない)との間で球貸し処理に関する信号が交信される。このとき、交信された信号に基づいて、払出・発射制御基板28が払出装置30を駆動制御することにより、内枠6(図1)上部に取り付けられた球タンク32からレールユニット34を流下した複数の遊技球のうち、所定数の遊技球が払出装置30によって1個ずつ払い出され、球通路36を流下して上皿16(図1)に供給される。
【0016】
上皿16に遊技球が供給された状態において、ハンドル20のレバー38(図1)を時計回り方向に回転させると、払出・発射制御基板28が発射装置の発射ソレノイド(図示しない)を駆動制御することにより、遊技球がガイドレール(図示しない)に沿って遊技領域に打ち出される。このとき、遊技領域に打ち出された遊技球が入賞すると、主制御基板40(図2)から払出・発射制御基板28に送信されたコマンドに基づいて、払出・発射制御基板28が払出装置30を駆動制御することにより、内枠6上部に取り付けられた球タンク32からレールユニット34を流下した複数の遊技球のうち、所定数の遊技球が払出装置30によって1個ずつ払い出され、球通路36を流下して上皿16に供給される。
【0017】
このようなパチンコ機2において、図3に示すように、払出装置30及び球タンク32並びにレールユニット34は、内枠6に固定された裏上部ベース42に取り付けられている。レールユニット34は、球タンク32に貯留されている複数の遊技球を流下させる流路と、流路を流下した遊技球を払出装置30に向けて流出させる流出口とを有している。この場合、レールユニット34には、流路に沿って延出した1つの壁部44(図21参照)が設けられており、当該流路は、壁部44によって互いに並列した2本の流路R1,R2(図21参照)に分けられたツインレールとして構成されている。これに応じて、流出口F1,F2(図21参照)も各流路R1,R2の下流側にそれぞれ構成されている。
【0018】
これにより、球タンク32に貯留されている複数の遊技球は、レールユニット34の2本の流路R1,R2を同時に流下し、各流路R1,R2の流出口F1,F2から払出装置30に向けて流出されることになる。なお、図面には一例として2つの流路R1,R2を構成したが、壁部44を例えば2つ以上設けることにより、流路の本数を3本以上に分けることができることは言うまでも無い。
【0019】
図4〜図8、図14及び図15に示すように、払出装置30は、レールユニット34の各流出口F1.F2から流出した遊技球をそれぞれ受け入れる2つの第1及び第2受入口G1,G2と、各受入口G1,G2から互いに並列して連続した2つの第1及び第2流路と、第1及び第2流路の途中に1つずつ回動可能に設けられた第1及び第2払出レバーL1,L2とを備えている。これにより、第1及び第2受入口G1,G2から第1及び第2流路を流下した複数の遊技球は、第1及び第2払出レバーL1,L2によって1個ずつ払い出されることになる。
【0020】
図12及び図13に示すように、払出装置30は、払出中間ベース46と、当該払出中間ベース46の両側を覆うように組み付けられる払出カバー前部48及び払出カバー後部50と、払出カバー前部48の外側(払出中間ベース46とは反対側)を覆うように組み付けられる払出ギヤカバー52と、払出カバー後部50の外側(払出中間ベース46とは反対側)を覆うように組み付けられる基板カバー54とを備えている。そして、これら各構成品46,48,50,52,54を相互に組み付けることにより、払出装置30は、1つの払出ユニットとして裏上部ベース42(図3)に取り付けられている。なお、払出装置30は、払出ギヤカバー52を裏上部ベース42に当接させた状態で取り付けられている。
【0021】
ここで、上述した各構成品46,48,50,52,54を相互に組み付ける方法としては、例えば、払出カバー後部50の上側端及び下側端から払出ギヤカバー52に向けて係合片50E(例えば、フック)を突設すると共に、払出中間ベース46及び払出カバー前部48の上側端及び下側端にそれぞれ係合片50Eを挿通させる窪み部46K,48Kを形成し、更に、払出ギヤカバー52の上側端及び下側端に係合片50Eが係合可能な係合凹部52Eを形成する。また、払出カバー後部50の上側端から基板カバー54に向けて係合凸部50Fを突設すると共に、基板カバー54の上側端に係合凸部50Fが係合可能な係合孔54Hを形成する。
【0022】
これによれば、例えば払出中間ベース46に払出カバー前部48を組み付けると共に、払出カバー前部48に払出ギヤカバー52を組み付けた後、払出カバー後部50を払出中間ベース46に組み付ける。このとき、当該払出カバー後部50の係合片50Eが払出中間ベース46及び払出カバー前部48の窪み部46K,48Kを介して払出ギヤカバー52の係合凹部52Eに係合することにより、払出中間ベース46及び払出カバー前部48並びに払出カバー後部50及び払出ギヤカバー52が相互に仮止めされる。続いて、基板カバー54を払出カバー後部50に組み付けると、係合凸部50Fが係合孔54Hに係合することにより、基板カバー54が払出カバー後部50に仮止めされる。この状態において、基板カバー54の外側から払出ギヤカバー52に亘ってネジ止めすることにより、上述した各構成品46,48,50,52,54を相互に締結させることができる。
【0023】
このような払出装置30において、第1受入口G1から連続した第1流路は、払出中間ベース46と払出カバー後部50との間に構成されており、一方、第2受入口G2から連続した第2流路は、払出中間ベース46と払出カバー前部48との間に構成されている。これにより、図16及び図17に示すように、第1及び第2流路は、払出中間ベース46を挟んで両側に互いに並列して連続している。
【0024】
具体的に説明すると、図14及び図20(a)に示すように、第1流路は、払出カバー後部50から払出中間ベース46に向けて略垂直に立ち上げられた第1流路壁50Pによって、第1上流路1Upと第1下流路1Dnとを形成して構成されている。この構成において、第1払出レバーL1は、第1上流路1Upと第1下流路1Dnとの間に回動可能に設けられている。これにより、第1受入口G1から受け入れられた複数の遊技球Sは、第1上流路1Upを流下した後、第1払出レバーL1によって第1下流路1Dnに向けて1個ずつ払い出されることになる。
【0025】
一方、図15及び図20(b)に示すように、第2流路は、払出カバー前部48から払出中間ベース46に向けて略垂直に立ち上げられた第2流路壁48Pによって、第2上流路2Upと第2下流路2Dnとを形成して構成されている。この構成において、第2払出レバーL2は、第2上流路2Upと第2下流路2Dnとの間に回動可能に設けられている。これにより、第2受入口G2に受け入れられた複数の遊技球Sは、第2上流路2Upを流下した後、第2払出レバーL2によって第2下流路2Dnに向けて1個ずつ払い出されることになる。
【0026】
また、第1上流路1Upの途中には、第1球抜きガイド56(図14及び図20(a))が回動可能に軸支されていると共に、第2上流路2Upの途中には、第2球抜きガイド58(図15及び図20(b))が回動可能に軸支されている。第1及び第2球抜きガイド56,58は、例えば払出カバー前部48から払出中間ベース46を貫通して延出した1本のガイド軸60(図7及び図8)に対して回動自在に軸支されている。更に、第1及び第2球抜きガイド56,58は、例えば払出カバー前部48から払出中間ベース46を貫通し且つ払出装置30(払出カバー後部50)の外部に向けて延出した1本の球抜きレバーシャフト62(図7及び図8)によって互いに連結されている。
【0027】
この場合、払出中間ベース46には、球抜きレバーシャフト62を貫通させるためのベース貫通孔46Hが長円弧状に形成されている。一方、払出カバー後部50には、操作プレート50a(図4及び図12)が外部に露出して設けられており、当該操作プレート50aには、ベース貫通孔46Hに対向し且つ同一形状を成した操作貫通孔50Hが形成されている。球抜きレバーシャフト62は、これら各貫通孔46H,50Hに挿通されており、操作プレート50aから外部に向けて延出した部分には、球抜きレバー64が取り付けられている。かかる構成において、球抜きレバー64を操作して、球抜きレバーシャフト62を各貫通孔46H,50Hに沿って移動させることにより、第1及び第2球抜きガイド56,58の双方を同時にガイド軸60回りに回動させることができる。
【0028】
また、球抜きレバーシャフト62は、その軸方向に沿って若干移動可能に構成されており、払出中間ベース46と払出カバー後部50(操作プレート50a)との間の領域において、球抜きレバーシャフト62には、環状部材66(図7及び図12)と付勢バネ68(図7及び図12)とが装着されている。この場合、環状部材66は、操作プレート50a寄りに配置され、球抜きレバーシャフト62に沿って移動自在に構成されている。一方、付勢バネ68は、環状部材66に対して払出中間ベース46寄りに配置されており、その一端が球抜きレバーシャフト62に形成された溝部62g(図8)に係止され、その他端が環状部材66に係止されている。
【0029】
これにより、環状部材66は、付勢バネ68の付勢力によって常に操作プレート50aに押圧された状態に維持される。このとき、環状部材66は、操作プレート50aから反力を受けることになるが、その反力は、当該環状部材66から付勢バネ68を介して球抜きレバーシャフト62に伝達され、当該球抜きレバーシャフト62を操作プレート50aから引っ込める方向に働くことになる。これにより、操作プレート50a外側で球抜きレバーシャフト62に取り付けられている球抜きレバー64は、球抜きレバーシャフト62によって、常に操作プレート50aに押し付けられた状態に維持される。
【0030】
また、球抜きレバー64には、操作プレート50aに対向した面に、一対の凸状部64T(図12及び図13)が設けられており、操作プレート50aには、各凸状部64Tが嵌合可能な凹状部H1,H2(図12)が操作貫通孔50Hの両端側にそれぞれ設けられている。ここで、球抜きレバー64を操作する際には、まず、当該球抜きレバー64を手前に引っ張る。このとき、球抜きレバー64の引張力によって球抜きレバーシャフト62が付勢バネ68の付勢力に抗して引っ張られる。これにより、球抜きレバーシャフト62が操作プレート50aの外部方向に若干移動することで、球抜きレバー64を操作プレート50aから離間させることができる。
【0031】
この状態を維持しつつ、球抜きレバーシャフト62を各貫通孔46H,50Hに沿って一端側に移動させた後、球抜きレバー64の引張力を解除すると、球抜きレバーシャフト62には、付勢バネ68の付勢力に起因した操作プレート50aからの反力が作用する。このとき、球抜きレバーシャフト62が操作プレート50aから引っ込む方向に移動することにより、球抜きレバー64が操作プレート50aに押し付けられる。これにより、球抜きレバー64の凸状部64Tが操作プレート50aの一端側の凹状部H1に嵌合する。
【0032】
このとき、第1及び第2球抜きガイド56,58は、図20(a),(b)の実線で示す球払出位置に回動して位置決めされる。この場合、第1及び第2受入口G1,G2から受け入れられた複数の遊技球Sは、第1及び第2上流路1Up,2Upを流下した後、第1及び第2球抜きガイド56,58のガイド面56s,58sによって第1及び第2払出レバーL1,L2に向けて流下する。そして、各払出レバーL1,L2を回動させることにより、第1及び第2下流路1Dn,2Dnに向けて1個ずつ払い出されることになる。
【0033】
また、当該球抜きレバー64を手前に引っ張って、球抜きレバー64を操作プレート50aから離間させた状態を維持しつつ、球抜きレバーシャフト62を各貫通孔46H,50Hに沿って他端側に移動させた後、球抜きレバー64の引張力を解除する。このとき、球抜きレバーシャフト62が操作プレート50aから引っ込む方向に移動することにより、球抜きレバー64が操作プレート50aに押し付けられる。これにより、球抜きレバー64の凸状部64Tが操作プレート50aの他端側の凹状部H2に嵌合する。
【0034】
このとき、第1及び第2球抜きガイド56,58は、図20(a),(b)の点線で示す球抜き位置に回動して位置決めされる。この場合、第1及び第2受入口G1,G2から受け入れられた複数の遊技球Sは、第1及び第2上流路1Up,2Upを流下した後、第1及び第2球抜きガイド56,58のガイド面56s,58sによって第1及び第2球抜き流路1Fr,2Frに案内される。これにより、球タンク32に貯留されている全ての遊技球Sを各球抜き流路1Fr,2Frから外部に排出させることができる。なお、各球抜き流路1Fr,2Frを流下した遊技球Sは、例えば遊技島に設置された回収装置(図示しない)に回収される。
【0035】
また、図7及び図12並びに図14及び図20(a)に示すように、払出装置30の払出中間ベース46には、球払出状態と球抜き状態とを検知する検知装置70が設けられており、検知装置70は、その基端が回動自在に軸支された検知スイッチ72を有している。検知スイッチ72には、その基端に付勢バネ(図示しない)が設けられており、当該付勢バネによって、検知スイッチ72は、常に、その先端が検知装置70から離間した回動状態(図20(a)の点線)となる向きに付勢されている。なお、図面では一例として、検知装置70は、払出中間ベース46の払出カバー後部50側に設けられている。
【0036】
更に、図7及び図8、図14及び図15、図20(a),(b)に示すように、第1及び第2球抜きガイド56,58には、突起部56T,58Tが設けられている。この場合、球抜きレバー64を操作して、その凸状部64Tを操作プレート50aの一端側の凹状部H1に嵌合させると、第1及び第2球抜きガイド56,58は、図20(a),(b)の実線で示す球払出位置に回動して位置決めされる。このとき、第1球抜きガイド56の突起部56Tによって検知スイッチ72が付勢バネの付勢力に抗して押圧される。この結果、検知スイッチ72は、基端回りに回動して、先端が検知装置70に接触した回動状態(図20(a)の実線で示す状態)に維持される。
【0037】
これに対して、球抜きレバー64を操作して、その凸状部64Tを操作プレート50aの他端側の凹状部H2に嵌合させると、第1及び第2球抜きガイド56,58は、図20(a),(b)の点線で示す球抜き位置に回動して位置決めされる。このとき、検知スイッチ72に対する第1球抜きガイド56の突起部56Tの押圧力が解除される。この結果、検知スイッチ72は、付勢バネの付勢力によって基端回りに回動して、その先端が検知装置70から離間した回動状態(図20(a)の点線で示す状態)に維持される。
【0038】
この場合、検知装置70は、検知スイッチ72の先端が検知装置70に接触したとき、第1及び第2球抜きガイド56,58が球払出位置に位置決めされたことを示す球払出信号を出力すると共に、検知スイッチ72の先端が検知装置70から離間したとき、第1及び第2球抜きガイド56,58が球抜き位置に位置決めされたことを示す球抜き信号を出力する。これにより、例えば球払出信号に基づいて、後述する駆動装置(モータ)Mを制御して各払出レバーL1,L2を回動させたり、或いは、例えば球抜き信号に基づいて、後述する駆動装置(モータ)Mを制御して各払出レバーL1,L2の回動を停止させるといったような各種の制御が可能となる。なお、検知装置70や駆動装置(モータ)Mは、払出カバー後部50に取り付けられた中継基板74(図6及び図12)を介して外部電源(図示しない)や払出・発射制御基板28(図2)などに接続されている。
【0039】
このような払出装置30において、図7及び図8、図14及び図15、図20(a),(b)に示すように、第1及び第2払出レバーL1,L2は、互いに同一形状を成しており、1本の払出レバー用軸76に対して回動可能に軸支されている。なお、払出レバー用軸76は、払出カバー前部48から払出中間ベース46を貫通して払出カバー後部50に亘って延在している。
【0040】
ここで、第1払出レバーL1は、第1上流路1Upに沿って下流する遊技球Sを停止させる停止部1Ltと、停止部1Ltよりも下流側に配置され且つ停止部1Ltによって停止されていた1個の遊技球Sを受け入れて保留可能な略凹形状を成した保留部1Lsとを備えている。この場合、第1払出レバーL1は、払出レバー用軸76から第1上流路1Upに向けて延出した上流側延出部1Exと、払出レバー用軸76から第1下流路1Dnに向けて略L字状に延出した下流側延出部1Eyとを備えて構成されている。この構成において、停止部1Ltは、上流側延出部1Exの外縁に設けられており、保留部1Lsは、下流側延出部1Eyの内縁に設けられている。
【0041】
一方、第2払出レバーL2は、第2上流路2Upに沿って下流する遊技球Sを停止させる停止部2Ltと、停止部2Ltよりも下流側に配置され且つ停止部2Ltによって停止されていた1個の遊技球Sを受け入れて保留可能な略凹形状を成した保留部2Lsとを備えている。この場合、第2払出レバーL2は、払出レバー用軸76から第2上流路2Upに向けて延出した上流側延出部2Exと、払出レバー用軸76から第2下流路2Dnに向けて略L字状に延出した下流側延出部2Eyとを備えて構成されている。この構成において、停止部2Ltは、上流側延出部2Exの外縁に設けられており、保留部2Lsは、下流側延出部2Eyの内縁に設けられている。
【0042】
また、第1払出レバーL1の上流側延出部1Exに対向する位置には、第1カムC1が配置されていると共に、第2払出レバーL2の上流側延出部2Exに対向する位置には、第2カムC2が配置されている。これら2つの第1及び第2カムC1,C2は、1本の駆動軸78に取り付けられており、当該駆動軸78は、払出カバー前部48から払出中間ベース46を貫通し且つ回動可能に設けられていると共に、所定の連結機構を介して駆動装置(モータ)Mに連結されている。この場合、駆動装置(モータ)Mは、払出カバー前部48と払出中間ベース46とに亘って支持されている。また、連結機構(図9及び図13)は、駆動装置(モータ)Mの出力軸80に固定された出力ギヤ82と、駆動軸78に固定されたカム用ギヤ84とを備えており、これら2つのギヤ82,84は、互いに歯合した状態に位置決めされている。なお、連結機構(出力ギヤ82、カム用ギヤ84)は、払出カバー前部48と払出ギヤカバー52との間に介在されている。
【0043】
更に、第1カムC1には、第1払出レバーL1を払出レバー用軸76回りに駆動(回動)させるための駆動部1Cdが所定方向に向けて突出されており、第2カムC2には、第2払出レバーL2を払出レバー用軸76回りに駆動(回動)させるための駆動部2Cdが所定方向に向けて突出されている。一方、第1払出レバーL1の上流側延出部1Exには、第1カムC1の駆動部1Cdが当接可能な当接部1Ldが形成されており、第2払出レバーL2の上流側延出部2Exには、第2カムC2の駆動部2Cdが当接可能な当接部2Ldが形成されている。
【0044】
この場合、駆動装置(モータ)Mを駆動させて出力軸80を回転させると、その回転運動は、出力ギヤ82を介してカム用ギヤ84に伝達され、駆動軸78を回転させる。このとき、駆動軸78と共に第1及び第2カムC1,C2が回転(駆動)し、これらカムC1,C2の駆動部1Cd,2Cdが第1及び第2払出レバーL1,L2の当接部1Ld,2Ldに当接することにより、第1及び第2払出レバーL1,L2は、第1のポジションと第2のポジションとに駆動(回動)される。
【0045】
ここで、第1のポジションとは、停止部1Lt,2Ltが第1及び第2上流路1Up,2Upから第1及び第2下流路1Dn,2Dnに流下する遊技球Sの流下可能領域内に入り込み、且つ保留部1Ls,2Lsが遊技球Sの流下可能領域外に回避した回動状態を指す。一方、第2のポジションとは、停止部1Lt,2Ltが遊技球Sの流下可能領域外に回避し、且つ保留部1Ls,2Lsが遊技球Sの流下可能領域内に入り込んだ回動状態を指す。一例として、図20(a)には、第1払出レバーL1が第2のポジションに駆動された状態が示されており、図20(b)には、第2払出レバーL2が第1のポジションに駆動された状態が示されている。なお、第1払出レバーL1の第1のポジション位置は、図20(b)の第2払出レバーL2の回動状態と同一であり、また、第2払出レバーL2の第2のポジション位置は、図20(a)の第1払出レバーL1の回動状態と同一であるため、その図面は省略する。
【0046】
また、払出レバー用軸76には、第1払出レバーL1に隣接して第1レバー用弾性体86(例えば、ねじりコイルばね)が設けられており、当該第1レバー用弾性体86は、その一端86aが払出中間ベース46に固定され、その他端86bが第1払出レバーL1の下流側延出部1Eyに固定されている。なお、第1レバー用弾性体86によって第1払出レバーL1を第1のポジション又は第2のポジションのいずれかの回動状態に付勢することができるが、ここでは一例として、第1払出レバーL1は、第1レバー用弾性体86の弾性力によって第2のポジションに回動した状態に付勢されている。
【0047】
同様に、払出レバー用軸76には、第2払出レバーL2に隣接して第2レバー用弾性体88(例えば、ねじりコイルばね)が設けられており、当該第2レバー用弾性体88は、その一端88aが払出カバー前部48に固定され、その他端88bが第2払出レバーL2の下流側延出部2Eyに固定されている。なお、第2レバー用弾性体88によって第2払出レバーL2を第1のポジション又は第2のポジションのいずれかの回動状態に付勢することができるが、ここでは一例として、第2払出レバーL2は、第2レバー用弾性体88の弾性力によって第2のポジションに回動した状態に付勢されている。
【0048】
この場合、第1及び第2払出レバーL1,L2は、第2のポジション(図20(a)参照)に回動した状態に維持され、その停止部1Lt,2Ltが遊技球Sの流下可能領域外に回避し、且つその保留部1Ls,2Lsが遊技球Sの流下可能領域内に入り込んだ状態に位置決めされる。このため、保留部1Ls,2Lsには、第1及び第2上流路1Up,2Upを流下している遊技球Sが1個受け入れられて保留される。
【0049】
この状態で、第1及び第2カムC1,C2を回転させて、その駆動部1Cd,2Cdを第1及び第2払出レバーL1,L2の当接部1Ld,2Ldに当接させると、第1及び第2払出レバーL1,L2は、第1及び第2レバー用弾性体86,88の付勢力に抗して払出レバー用軸76回りに回動し、第1のポジション(図20(b)参照)に駆動される。このとき、その停止部1Lt,2Ltが遊技球Sの流下可能領域内に入り込むと同時に、その保留部1Ls,2Lsが遊技球Sの流下可能領域外に回避する。これにより、第1及び第2上流路1Up,2Upを流下している遊技球Sを停止部1Lt,2Ltによって停止させると共に、保留部1Ls,2Lsに保留されていた1個の遊技球Sを第1及び第2下流路1Dn,2Dnに流下させる。
【0050】
そして、更に第1及び第2カムC1,C2を回転させて、その駆動部1Cd,2Cdと第1及び第2払出レバーL1,L2の当接部1Ld,2Ldとの当接状態を解除させると、第1及び第2払出レバーL1,L2は、第1及び第2レバー用弾性体86,88の付勢力によって払出レバー用軸76回りに回動し、第2のポジション(図20(a)参照)に戻される。このとき、その停止部1Lt,2Ltが遊技球Sの流下可能領域外に回避すると同時に、その保留部1Ls,2Lsが遊技球Sの流下可能領域内に入り込む。これにより、停止部1Lt,2Ltによって停止されていた1個の遊技球Sを流下させると共に、停止部1Lt,2Ltから流下した1個の遊技球Sを保留部1Ls,2Lsに受け入れて保留させる。
【0051】
このように、第1及び第2カムC1,C2を回転させることにより、第1及び第2払出レバーL1,L2によって遊技球Sを1個ずつ第1及び第2下流路1Dn,2Dnに向けて払い出すことができる。具体的には、第1及び第2カムC1,C2は、駆動軸78を介してカム用ギヤ84に直結されているため(図18及び図19)、カム用ギヤ84を1回転させると、これに伴い第1及び第2カムC1,C2も1回転することにより、第1及び第2払出レバーL1,L2によって1個ずつ合計2個の遊技球Sが払い出される。この場合、第1及び第2カムC1,C2の駆動部1Cd,2Cdの突出方向を互いに異なる方向に設定することで、第1及び第2払出レバーL1,L2を所定タイミングで交互に駆動(回動)させることができる。これにより、第1及び第2下流路1Dn,2Dnに向けて遊技球Sを1個ずつ交互に払い出すことができる。
【0052】
図面では一例として、第1及び第2カムC1,C2は、その駆動部1Cd,2Cdを互いに180°反転させた方向に向けた状態で駆動軸78に取り付けられている。これにより、カム用ギヤ84を半回転させる毎に、第1及び第2払出レバーL1,L2のいずれか一方から1個の遊技球Sを払い出すことができる。この場合、カム用ギヤ84の回転状態(例えば、回転位置、回転数)を検知することにより、第1及び第2払出レバーL1,L2によって払い出される遊技球Sの個数を把握(計数)することが可能である。
【0053】
そこで、払出装置30には、カム用ギヤ84に設けられた検知体90(図18及び図19)と、カム用ギヤ84と共に回転している検知体90の回転数を検知する回転数検知装置92(図10及び図15)とが設けられている。なお、回転数検知装置92は、中継基板74(図6及び図12)を介して外部電源(図示しない)や払出・発射制御基板28(図2)などに接続されている。また、検知体90は、カム用ギヤ84から払出カバー前部48に向けて突出しており、駆動軸78を挟んで両側の対称位置にそれぞれ1個ずつ設けられている。この場合、一対の検知体90は、第1及び第2カムC1,C2の駆動部1Cd,2Cdの突出方向に対して90°回転した位置にそれぞれ位置決めされている。
【0054】
回転数検知装置92は、払出カバー前部48に支持されており、当該払出カバー前部48に形成された開口48h(図10)からカム用ギヤ84に向けて構築されたフォトセンサ(図10及び図13)を備えている。フォトセンサには、発光素子94と受光素子96とが対向配置されており、これら発光素子94と受光素子96との間をカム用ギヤ84と共に回転する一対の検知体90が通過するように構成されている。この場合、発光素子94から受光素子96に向けて一定の光特性(例えば、光量、光強度)のレーザー光が常に照射されており、このとき、受光素子96から一定出力レベル(例えば、一定の電圧レベル又は電流レベル)の電気信号が出力されている。
【0055】
このような状態において、カム用ギヤ84の回転に伴って、一方の検知体90が発光素子94と受光素子96との間を通過した場合を想定すると、当該検知体90によってレーザー光が遮光され、その結果、発光素子94からのレーザー光が受光素子96に照射されなくなる。このとき、受光素子96から出力される電気信号の出力レベルが変化する。例えば出力レベルがゼロとなる。この場合、一対の検知体90は、第1及び第2カムC1,C2の駆動部1Cd,2Cdの突出方向に対して90°回転した位置に位置決めされているため、一方の検知体90が発光素子94と受光素子96との間を通過したとき、第1及び第2払出レバーL1,L2のいずれか一方から1個の遊技球Sが払い出されることになる。
【0056】
そして、更にカム用ギヤ84を回転させることにより、続いて他方の検知体90が発光素子94と受光素子96との間を通過すると、上記同様に、受光素子96から出力される電気信号の出力レベルが変化(例えば出力レベルがゼロに変化)する。このとき、第1及び第2払出レバーL1,L2のいずれか他方から1個の遊技球Sが払い出される。従って、受光素子96から出力される電気信号の出力レベルの変化状態(例えば、変化した回数)をカウントすることにより、第1及び第2払出レバーL1,L2によって払い出される遊技球Sの個数を把握(計数)することができる。
【0057】
ここで、払出・発射制御基板28(図2)から払出装置30に対して、例えば15個の遊技球Sを払い出す命令が送信された場合を想定すると、当該払出命令に基づいて中継基板74から駆動装置(モータ)Mに制御信号が送信され、これにより、駆動装置(モータ)Mの出力軸80を回転させる。このとき、出力軸80の回転運動は、出力ギヤ82を介してカム用ギヤ84に伝達され、当該カム用ギヤ84を回転させる。カム用ギヤ84には、駆動軸78を介して第1及び第2カムC1,C2が直結されているため、カム用ギヤ84の回転に伴って第1及び第2カムC1,C2も同様に回転する。
【0058】
まず、カム用ギヤ84の回転に伴って、一方の検知体90が発光素子94と受光素子96との間を通過したとき、受光素子96の出力レベルが変化するので、これを第1回目の変化状態としてカウントする。このとき、例えば第2カムC2の駆動部2Cdが第2払出レバーL2の当接部2Ldに当接し、第2払出レバーL2を第2レバー用弾性体88の付勢力に抗して第1のポジション(図20(b))に駆動(回動)させる。これにより、第2上流路2Upを流下している遊技球Sが停止部2Ltによって停止されると共に、保留部2Lsに保留されていた1個の遊技球Sが第2下流路2Dnに払い出される。一方、第1払出レバーL1は、第1レバー用弾性体86の弾性力によって第2のポジション(図20(a))に回動した状態に付勢されるため、その保留部1Lsには、第1上流路1Upを流下している遊技球Sが1個受け入れられて保留された状態となる。
【0059】
続いて、カム用ギヤ84を回転させることにより、他方の検知体90が発光素子94と受光素子96との間を通過したとき、受光素子96の出力レベルが変化するので、これを第2回目の変化状態としてカウントする。このとき、例えば第1カムC1の駆動部1Cdが第1払出レバーL1の当接部1Ldに当接し、第1払出レバーL1を第1レバー用弾性体86の付勢力に抗して第1のポジション(図20(b)と同様のポジション)に駆動(回動)させる。これにより、第1上流路1Upを流下している遊技球Sが停止部1Ltによって停止されると共に、保留部1Lsに保留されていた1個の遊技球Sが第1下流路1Dnに払い出される。一方、第2払出レバーL2は、第2レバー用弾性体88の弾性力によって第2のポジション(図20(a)と同様のポジション)に回動した状態に付勢されるため、その保留部2Lsには、第2上流路2Upを流下している遊技球Sが1個受け入れられて保留された状態となる。
【0060】
更に、カム用ギヤ84を回転させると、第1及び第2払出レバーL1,L2が交互に第1及び第2のポジションに駆動(回動)され、第1及び第2払出レバーL1,L2から交互に1個ずつ遊技球Sが払い出される。この間に、受光素子96の出力レベルの変化状態が15回カウントされたとき、第1及び第2払出レバーL1,L2によって合計15個の遊技球Sが払い出されたことになる。この後、駆動装置(モータ)Mが停止制御される。
【0061】
なお、駆動装置(モータ)Mの停止制御の方法としては、第15回目の変化状態がカウントされたとき、例えば回転数検知装置92から駆動装置(モータ)Mに停止制御信号を送信し、これにより、駆動装置(モータ)Mを停止させても良い。或いは、例えば受光素子96の出力レベルの変化状態を回転数検知装置92から中継基板74を介して払出・発射制御基板28にフィードバックする。そして、第15回目の変化状態がカウントされたとき、払出・発射制御基板28から駆動装置(モータ)Mに停止制御信号を送信し、これにより、駆動装置(モータ)Mを停止させても良い。要するに、駆動装置(モータ)Mを停止させることができれば、その停止制御方法に限定は無い。
【0062】
また、遊技球Sの払出タイミングや払出速度は、カム用ギヤ84の回転速度を増減変化させて、第1及び第2払出レバーL1,L2の駆動(回動)タイミングや速度を調節することにより、任意に設定することができるが、これは、パチンコ機2の使用目的や使用環境に応じて適宜設定されるため、ここでは特に限定しない。
【0063】
更に、上述した払出装置30には、第1及び第2払出レバーL1,L2が第2のポジションに駆動された際に、その保留部1Ls,2Lsに保留された1個の遊技球Sを検知する遊技球検知手段98が設けられている。この場合、遊技球検知手段98は、第1及び第2上流路1Up,2Upと第1及び第2下流路1Dn,2Dnとの間であって、保留部1Ls,2Lsに保留された状態の遊技球Sを直接検知できる位置にそれぞれ配置されている。これにより、第1及び第2払出レバーL1,L2が第2のポジションに駆動される毎に、その保留部1Ls,2Lsに遊技球Sが保留されているか否かを確実に検知することができる。なお、遊技球検知手段98としては、既に市販されている例えば磁気センサ、光学センサ、重量センサなどを適宜利用することができるため、ここでは特に限定しない。
【0064】
以上、本実施の形態によれば、従来のスプロケットに代えて第1及び第2払出レバーL1,L2を適用し、これを駆動することで、その保留部1Ls,2Lsに保留された1個の遊技球Sの払い出しを行うようにしたことにより、従来のような球挟み状態を生じさせること無く、所定数の遊技球Sを1球ずつ円滑に且つ正確に流下させて払い出すことができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、第1及び第2払出レバーL1,L2を第1及び第2カムC1,C2で駆動させるだけで、所定数の遊技球Sを1球ずつ交互に円滑且つ正確に流下させて払い出すことができる。そして、第1及び第2カムC1,C2で駆動させた後の第1及び第2払出レバーL1,L2は、第1及び第2レバー用弾性体86,88の付勢力によって第2のポジションに回動した状態に戻されて、その状態で安定する。この場合、各払出レバーL1,L2を戻す構造をシンプルに構成することが可能となり、その結果、払出装置30のコンパクト化及び低コスト化を図ることができる。これにより、パチンコ機2の製造コストを低減させることができる。
【0066】
また、本実施の形態において、第1及び第2上流路1Up,2Upを流下する遊技球Sから第1及び第2払出レバーL1,L2に作用する球圧を考慮すると、第1及び第2レバー用弾性体86,88の弾性力は、各払出レバーL1,L2を第2のポジションに戻す方向に付与されていることが好ましい。この場合、それぞれの払出レバーL1,L2は、各レバー用弾性体86,88の付勢力によって常に第2のポジションに戻された状態で安定する。この状態において、第1及び第2払出レバーL1,L2の保留部1Ls,2Lsは、遊技球Sの流下可能領域内に入り込んだ状態に位置決めされる。このため、当該保留部1Ls,2Lsには、第1及び第2上流路1Up,2Upを連続して流下している遊技球Sが1個受け入れられて保留され、その状態で第1及び第2払出レバーL1,L2の姿勢が安定することになる。このとき、当該払出レバーL1,L2によって常に1個の遊技球Sを払出直前の状態に位置付けることができる。これにより、球挟み状態の発生を完全に解消することが可能となり、その結果、第1及び第2カムC1,C2によって第1及び第2払出レバーL1,L2を第1のポジションに駆動させるだけで、所定数の遊技球Sを1球ずつ交互に迅速且つ確実に流下させて払い出すことができる。
【0067】
更に、本実施の形態によれば、第1及び第2流路にそれぞれ設けられた第1及び第2払出レバーL1,L2を該当する第1及び第2カムC1,C2で交互に駆動させるだけで、第1及び第2流路から所定数の遊技球Sを1個ずつ交互に流下させて払い出すことができる。例えば駆動軸78に固定されたカム用ギヤ84を1回転させるだけで、駆動軸78に取り付けられた第1及び第2カムC1,C2によって第1及び第2払出レバーL1,L2が1回ずつ交互に駆動され、これに同期して、第1及び第2流路から遊技球Sが1個ずつ交互に流下させて払い出される。これにより、遊技球Sの払出速度を向上させることができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、保留部1Ls,2Lsに保留された1個の遊技球Sを遊技球検知手段98によって直接検知するようにしたことで、払出直前の遊技球Sを素早く検知することができる。これにより、遊技球Sの過多払い出しを防止することができるため、所定数の遊技球Sを正確に流下させて払い出すことができる。
【0069】
なお、上述した実施の形態では、第1及び第2レバー用弾性体86,88によって第1及び第2払出レバーL1,L2を第2のポジション(図20(a))に回動した状態に付勢するように構成したが、これに代えて、第1及び第2レバー用弾性体86,88によって第1及び第2払出レバーL1,L2を第1のポジション(図20(b))に回動した状態に付勢するように構成しても良い。
【0070】
また、上述した実施の形態では、第1及び第2カムC1,C2で駆動させた後の第1及び第2払出レバーL1,L2を、第1及び第2レバー用弾性体86,88の付勢力によって第2のポジションに回動した状態に戻すように構成したが、これに代えて、第1及び第2カムC1,C2によって第1及び第2払出レバーL1,L2を第1及び第2のポジションに強制的に回動させるように構成しても良い。かかる構成では、第1及び第2レバー用弾性体86,88は不要となり、各々の払出レバーL1,L2からカムC1,C2を挟み込むように二股に延出した一対の作動レバー(図示しない)を構築すれば良い。
【0071】
この場合、カム用ギヤ84によって各カムC1,C2を回転させて、その駆動部1Cd,2Cdを一方の作動レバーに当接させることにより、第1及び第2払出レバーL1,L2を例えば第1のポジションに駆動(回動)させることができると共に、更に各カムC1,C2を回転させて、その駆動部1Cd,2Cdを他方の作動レバーに当接させることにより、第1及び第2払出レバーL1,L2を例えば第2のポジションに駆動(回動)させることができる。このような構成によれば、第1及び第2レバー用弾性体86,88が不要となった分だけ部品点数を削減することができるため、払出装置30の小型化及び低価格化を実現することができる。
【0072】
また、本実施の形態において、上述した払出装置30は、裏上部ベース42の設置領域42Pに対して着脱自在に取り付けられており、設置領域42Pには、払出装置30を囲むような位置関係に複数の保持片42sが突設されている。この場合、複数の保持片42sに沿って払出装置30を嵌め込んだ状態で、レールユニット34の流出口F1,F2に向けて押し込むことで、設置領域42Pに払出装置30を取り付けることができる(図3)。ところで、このような払出装置30は、例えばメンテナンスや交換の際に、図21に示すように、裏上部ベース42の設置領域42Pから取り外される場合がある。このとき、レールユニット34の各流路R1,R2内に遊技球が残留している場合には、その遊技球が流出口F1,F2からこぼれ落ちてしまう(遊技球の球漏れ)。
【0073】
そこで、このような遊技球の球漏れを防止するために、レールユニット34には、払出装置30が設置領域42Pから取り外された際に、2本の流路R1,R2を流出口F1,F2に向けて流下する遊技球を堰き止めるストッパユニット100(図21)が設けられている。ストッパユニット100は、レールユニット34の流出口F1,F2寄りの位置に着脱自在に係合して取り付けられており、図22に示すように、レールユニット34からストッパユニット100を取り外すことにより、当該レールユニット34の各流路R1,R2内に残留している遊技球の球抜き処理を効率良く且つスムーズに行うことが可能となる。なお、レールユニット34には、2本の流路R1,R2を囲むように側壁34wが対向して立ち上げられており、その流出口F1,F2寄りの側壁34w相互間には、ストッパユニット100を取り付けるための上部開口34kが構成されている。
【0074】
図23〜図27に示すように、ストッパユニット100は、レールユニット34(図22)の上部開口34kに沿った形状を成す上面プレート100tと、上面プレート100tの両側に対向配置された側面プレート100sと、レールユニット34の流出口F1,F2の上部側を一部覆うように配置された正面プレート100fとを備えて構成されている。また、上面プレート100tには、その両縁にそれぞれ複数(図面では一対)の位置決め係合部材102が設けられていると共に、側面プレート100sには、取付係合部材104がそれぞれ1つ設けられている。この場合、位置決め係合部材102は、その基端が上面プレート100tに固定され、その先端がレールユニット34の側壁34w(図21)を跨ぐように折り返されている。取付係合部材104は、レールユニット34の側壁34wにそれぞれ1つ形成された係合孔34h(図21)に向けて突出している。
【0075】
この構成によれば、ストッパユニット100をレールユニット34の上部開口34kに挿入すると、位置決め係合部材102が側壁34w上端に当接して係合すると共に、取付係合部材104が係合孔34hに入り込んで係合する。これにより、ストッパユニット100をレールユニット34の上部開口34kに位置決めして取り付けることができる。これに対し、ストッパユニット100をレールユニット34から取り外す場合には、取付係合部材104と係合孔34hとの係合状態を解除させて、ストッパユニット100をレールユニット34の上部開口34kから引き抜くことで、簡単に取り外すことができる。
【0076】
また、ストッパユニット100には、レールユニット34の2本の流路R1,R2にそれぞれ対向した位置に、各流路R1,R2に向けて立ち上げられた一対の傾斜部100Pが当該流路R1,R2に沿って延設されており、各傾斜部100Pの立ち上げ寸法は、流路R1,R2の流出口F1,F2に向うに従って徐々に大きく設定されている。これにより、各傾斜部100Pの立上端面(各流路R1,R2に対向する面)には、流路R1,R2の流出口F1,F2に向うに従って下り勾配を成す傾斜面1Ps,2Ps,3Psが形成される。なお、図面では一例として3段階に傾斜させた3つの傾斜面1Ps,2Ps,3Psによって各傾斜部100Pの立上端面を構成しているが、1つの傾斜面、2つの傾斜面或いは4つ以上の傾斜面によって各傾斜部100Pの立上端面を構成しても良い。
【0077】
この構成によれば、レールユニット34の流路R1,R2を流出口F1,F2に向って流下する遊技球の流下可能領域は、それぞれ、各傾斜部100Pの立上端面(傾斜面1Ps,2Ps,3Ps)によって流出口F1,F2に向うに従って狭められ、流出口F1,F2付近では、遊技球が1個ずつ整列して流下できる程度に絞られている。また、レールユニット34には、上部開口34kの上流側に隣接して、球均し部材Ub(図22及び図26)が設けられており、球均し部材Ubには、2本の流路R1,R2に沿って下流方向に延出した一対の球均しプレート1Ub,2Ubが設けられている。
【0078】
この場合、ストッパユニット100をレールユニット34の上部開口34kに取り付ける際に、一対の球均しプレート1Ub,2Ubは、一対の傾斜部100Pの上流側に隣接したガイドQ(図24及び図25)によって流路R1,R2方向に押圧され、傾斜面1Psに連続して安定する。これにより、球均しプレート1Ub,2Ubから立上端面(傾斜面1Ps,2Ps,3Ps)に亘って一連の球均し面が構成される。この結果、レールユニット34の各流路R1,R2を相互に重なり合った状態で流下している複数の遊技球は、球均しプレート1Ub,2Ubから立上端面(傾斜面1Ps,2Ps,3Ps)に沿って均されながら流出口F1,F2に向ってスムーズに流下する。
【0079】
更に、上述したストッパユニット100は、遊技球の流下可能領域内に入り込んだ閉鎖位置(図23及び図27の点線で示す位置)と流下可能領域外に回避した開放位置(図23及び図27の実線で示す位置)とに向けて回動可能に軸支されたストッパ106と、ストッパ106を閉鎖位置に向けて常時付勢する弾性部材108と、ストッパ106に係合され且つ設置領域42P(図21)に向けて延出されていると共に、設置領域42P側から押圧力を付与することにより、ストッパ106を弾性部材108の付勢力に抗して閉鎖位置から開放位置に向けて回動させる押圧部材110とを備えている。
【0080】
ストッパ106は、レールユニット34の各流路R1,R2に向けて立ち上げられた一対の傾斜部100Pの間に介在されており、各傾斜部100P相互から内方に向けて且つ互いに対向して突設された一対の回動軸112に軸支されている。具体的に説明すると、ストッパ106は、各回動軸112に回動自在に嵌合した一対の軸受Brを有する回動中心部106mと、回動中心部106mから上面プレート100tに向けて延出し且つ押圧部材110の基端110eが当接された作動部106fと、回動中心部106mから正面プレート100fの下端に向けて延出した堰き止め部106sとを備えている。また、堰き止め部106sには、その延出端から下方(流路R1,R2方向)に向けて突出した堰き止め片106tが設けられている。
【0081】
弾性部材108(例えば、ねじりコイルばね)は、一方側の回動軸112に巻回されており、その一端108aが一方側の傾斜部100Pに係止され、その他端108bが回動中心部106mに係止されている。これにより、図27の点線で示すように、ストッパ106は、弾性部材108の付勢力によって回動軸112回りに回動して、その堰き止め部106sの堰き止め片106tが流路R1,R2に向けて回動する方向に付勢された状態に維持される。
【0082】
押圧部材110は、円柱形状を成しており、ストッパ106の作動部106fに当接した基端110eから正面プレート100fを貫通して延出し、その延出端には、設置領域42P側から押圧力を受けるための押圧面110tが形成されている。また、押圧部材110は、正面プレート100fに固定されたホルダ114の貫通孔114h(図25)に挿通された状態で支持されており、貫通孔114hに沿って移動自在に構成されている。
【0083】
ところで、弾性部材108の付勢力によってストッパ106が回動すると、その作動部106fが回動して押圧部材110の基端110eを押圧することにより、当該押圧部材110が正面プレート100fから押し出されることになる。このとき、押圧部材110に対する作動部106fの押圧力によっては、押圧部材110が正面プレート100fから抜け出して脱落する虞がある。そこで、押圧部材110には、その基端110eとホルダ114との間に、環状の脱落防止部材116が取り付けられている。これにより、押圧部材110が作動部106fによって押し出されても、図27の点線で示すように、脱落防止部材116がホルダ114に当て付くことで、それ以上、押圧部材110が移動するのを抑止することができる。従って、押圧部材110が正面プレート100fから抜け出して脱落することは無い。
【0084】
ここで、上述したストッパユニット100をレールユニット34の上部開口34kに取り付けた状態において、払出装置30(図3)を設置領域42Pに設置した際に、払出装置30によって押圧部材110に押圧力を付与すると、図27の実線で示すように、押圧部材110がホルダ114の貫通孔114h(図25)に沿って正面プレート100fから押し込まれる。このとき、作動部106fに対する押圧部材110の押し込み量に応じて、ストッパ106が弾性部材108の付勢力に抗して閉鎖位置から開放位置に向けて回動する。この結果、堰き止め部106sの堰き止め片106tが流下可能領域外に回避する(図27及び図28の実線参照)。これにより、各流路R1,R2を流下した遊技球S(図28の二点鎖線参照)は、その流出口F1,F2から払出装置30に向けて流出される。
【0085】
これに対して、払出装置30を設置領域42Pから取り外すと、払出装置30によって押圧部材110に付与されていた押圧力が解除される。このとき、ストッパ106が弾性部材108の付勢力によって開放位置から閉鎖位置に向けて回動し、これに伴って、図27の点線で示すように、作動部106fが回動して押圧部材110の基端110eを押圧することにより、当該押圧部材110が正面プレート100fから押し出される。この結果、堰き止め部106sの堰き止め片106tが流下可能領域内に入り込む(図27及び図28の点線参照)。
【0086】
ところで、2本の流路R1,R2間に立ち上げられた壁部44は、各流路R1,R2をそれぞれ流下する遊技球S(図28の二点鎖線参照)よりも低い位置に設定されている。具体的には、壁部44の頂部44tの高さは、各流路R1,R2を流下する遊技球Sよりも低く設定されている。この場合、流下可能領域内に入り込んだストッパ106(堰き止め部106s)の堰き止め片106tは、壁部44の頂部44tに当接し、その状態で安定して位置決めされる。また、堰き止め部106sの堰き止め片106tは、各流路R1,R2相互を横断して延在されている。これにより、各流路R1,R2を流出口F1,F2に向けて流下した遊技球S(図28の二点鎖線参照)は、堰き止め片106tによって流出口F1,F2の直前で同時に堰き止められる。
【0087】
以上、本実施の形態によれば、払出装置30を設置領域42Pから取り外した際に、弾性部材108の付勢力によってストッパ106が遊技球S(図28の二点鎖線参照)の流下可能領域内に自動的に入り込むことにより、レールユニット34の各流路R1,R2を流出口F1,F2に向けて流下する遊技球を確実に堰き止めることができる。このとき必要となる操作は、払出装置30の取り外し操作のみであり、特段の操作を別途行う必要は無い。このため、遊技球Sの球漏れを簡単に防止することができる。
【0088】
また、本実施の形態によれば、ストッパユニット100に傾斜部100Pを延設したことによって、各流路R1,R2を流下している複数の遊技球は、傾斜部100Pによって均されながら流出口F1,F2に向って流下する。この場合、遊技球相互が重なり合ったままで流下すると、球詰まりの原因となるが、このような重なり合った複数の遊技球を傾斜部100Pによって均しながら流下させることができる。これにより、各流路R1,R2を流下している複数の遊技球を流出口F1,F2に向けてスムーズに流下させることができる。
【0089】
更に、本実施の形態によれば、2本の流路R1,R2のそれぞれに遊技球を流下させることができるため、多数の遊技球を短時間に効率良く払い出すことができる。また、ストッパ106(堰き止め部106s)の堰き止め片106tを各流路R1,R2相互を横断して延在させたことにより、1つのストッパ106によって各流路R1,R2を流下する遊技球を同時に堰き止めることができる。この場合、払出装置30を取り外した際にストッパ106を壁部44の頂部44tに当接させることにより、ストッパ106を閉鎖位置に安定して位置決めすることができる。これにより、遊技球の球漏れを確実に防止することができる。
【0090】
また、上述した実施の形態では、払出装置30によって押圧部材110の押圧面110tに押圧力を付与する部分について特に言及しなかったが、払出中間ベース46のレールユニット34側に押圧部118(図5〜図7)を設け、当該押圧部118から押圧面110tに押圧力を付与するようにすることが好ましい。この場合、払出中間ベース46は、押圧部材110の押圧方向に沿って板状に延在しており、払出装置30の他の構成に比べて押圧方向に沿って高い剛性を奏する。これにより、押圧面110tに対する押圧力付与を確実に行うことができる。また、払出装置30の耐久性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0091】
44 壁部
100 ストッパユニット
106 ストッパ
108 弾性部材
110 押圧部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、特に払出装置を設置領域から取り外した際における遊技球の球漏れを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定数の遊技球の払い出しを行う払出装置が着脱可能に取り付けられた遊技機が知られている。その一例として、特許文献1には、流路間(案内樋と導出樋との間)に払出装置(球排出装置)を取り付けることで、複数の遊技球を流下させる一連の流路が構成される遊技機が開示されている。また、特許文献2には、別体に構成された払出装置(賞球払出装置、球貸払出装置)を流路間に独立して取り付けることで、故障が生じた払出装置のみを取り外して交換できる遊技機が開示されている。更に、特許文献3には、複数の払出装置(球払出ユニット)をまとめて流路間に取り付けることで、該当する払出装置のみを取り外して交換できる遊技機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−224343号公報
【特許文献2】特開2000−197748号公報
【特許文献3】特開2006−181352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した各特許文献の遊技機では、払出装置を流路間に取り付けることにより、当該払出装置の上流側の流路と下流側の流路とを互いに連続させることができる。このため、払出装置を流路間から取り外した状態では、上流側の流路の流出口が外部に直接露出することになる。このとき、上流側の流路内に遊技球が残留している場合には、その遊技球が上流側の流路を流下して流出口からこぼれ落ちてしまう(遊技球の球漏れ)。
【0005】
ここで、遊技球の球漏れを防止する方法としては、例えば払出装置を取り外す前に、予め上流側の流路内に残留している全ての遊技球を取り除く方法や、上流側の流路の流出口を塞いだ後に、払出装置を取り外す方法などを適用することができる。しかしながら、このような方法では、払出装置の取り外し操作に加えて、上述したような特段の操作を別途行わなければならず、手間がかかり面倒であるため、煩わしさに耐えない。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされており、その目的は、特段の操作を別途行うこと無く、払出装置を取り外した際における遊技球の球漏れを簡単且つ確実に防止することが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、第1の発明は、複数の遊技球が流下する流路と、前記流路に沿って延出した少なくとも1つの壁部と、前記流路を流下した前記遊技球を流出させる流出口とを有し、前記流路は、前記壁部によって互いに並列した複数の流路に分けて構成され、前記壁部は、複数の前記流路をそれぞれ流下する前記遊技球の半径よりも高く、直径よりも低い位置に設定されるレールユニットと、所定の設置領域に対して着脱可能に設置され、且つ前記レールユニットの前記流出口から流出した前記遊技球を受け入れて、その受け入れた前記遊技球を用いて所定数の前記遊技球の払い出しを行う払出装置と、前記払出装置が前記設置領域から取り外された際に、前記流路を流下する前記遊技球を堰き止めるストッパユニットとを具備し、ストッパユニットは、前記流路を流下する前記遊技球の流下可能領域内に入り込んで前記遊技球を堰き止める閉鎖位置と、前記流下可能領域外に回避して前記遊技球を前記流出口から流出させる開放位置とに向けて変位可能に軸支されたストッパと、前記ストッパを前記閉鎖位置に向けて常時付勢する弾性部材と、前記ストッパに係合され且つ前記設置領域に向けて延出されていると共に、前記設置領域側から押圧力を付与することにより、前記ストッパを前記弾性部材の付勢力に抗して前記閉鎖位置から前記開放位置に向けて変位させる押圧部材とを備え、前記ストッパユニットには、前記レールユニットの前記流路に対向した位置に、前記流路に向けて立ち上げられた傾斜部が前記流路に沿って延設されており、前記傾斜部の立ち上げ寸法を、前記流路の前記流出口に向うに従って徐々に大きく設定することで、前記流路の前記流出口に向うに従って下り勾配を成す傾斜面が形成されていると共に、前記ストッパユニットの上流側には、これに隣接して球均し部材が設けられており、前記球均し部材は、前記流路に沿って下流方向に延出した球均しプレートを備え、前記球均しプレートは、前記傾斜部の上流側に隣接したガイドによって前記流路方向に押圧され、前記傾斜面に連続して安定し、前記傾斜部とともに一連の球均し面を構成し、前記ストッパユニットの前記ストッパは、複数の前記流路相互を横断して延在されており、前記払出装置を前記設置領域から取り外した際に、前記払出装置によって前記押圧部材に付与されていた押圧力が解除され、前記ストッパが前記弾性部材の付勢力によって前記開放位置から前記閉鎖位置に向けて変位して前記壁部の頂部に当接することにより、複数の前記流路のそれぞれを前記流出口に向けて流下する前記遊技球を同時に堰き止める。
【0008】
第1の発明によれば、払出装置を設置領域から取り外した際に、弾性部材の付勢力によってストッパが遊技球の流下可能領域内に自動的に入り込むことにより、流路を流出口に向けて流下する遊技球を確実に堰き止めることができる。このとき必要となる操作は、払出装置の取り外し操作のみであり、特段の操作を別途行う必要は無い。このため、遊技球の球漏れを簡単に防止することができる。
更に、第1の発明によれば、複数の流路のそれぞれに遊技球を流下させることができるため、多数の遊技球を短時間に効率良く払い出すことができる。また、ストッパを複数の流路相互を横断して延在させたことにより、1つのストッパによって複数の流路を流下する遊技球を同時に堰き止めることができる。この場合、払出装置を取り外した際にストッパを壁部に当接させることにより、ストッパを閉鎖位置に安定して位置決めすることができる。これにより、遊技球の球漏れを確実に防止することができる。
【0009】
第2の発明において、前記ガイドには、前記流路の前記流出口に向うに従って下り勾配を成すガイド傾斜面が形成され、前記ガイド傾斜面の前記流路に対する傾斜角度は、前記ガイド傾斜面に隣接する前記傾斜部の傾斜面の前記流路に対する傾斜角度よりも小さい角度である。
【0010】
第2の発明によれば、流路を流下している複数の遊技球を流出口に向けてスムーズに流下させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特段の操作を別途行うこと無く、払出装置を取り外した際における遊技球の球漏れを簡単且つ確実に防止することが可能な遊技機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係る遊技機の正面側の構成を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施の形態に係る遊技機の背面側の構成を示す平面図。
【図3】払出装置及び球タンク並びにレールユニットの配置構成を示す斜視図。
【図4】払出装置の外観構成を示す斜視図。
【図5】払出装置の外観構成を他の方向から見た斜視図。
【図6】基板カバーが取り外された払出装置の外観構成を示す斜視図。
【図7】払出カバー後部が取り外された払出装置の外観構成を示す斜視図。
【図8】払出中間ベースが取り外された払出装置の外観構成を示す斜視図。
【図9】払出ギヤカバーが取り外された払出装置の外観構成を示す斜視図。
【図10】カム用ギヤが取り外された払出装置の外観構成を示す斜視図。
【図11】払出カバー前部が取り外された払出装置の外観構成を示す斜視図。
【図12】払出装置の分解斜視図。
【図13】払出装置の他の方向から見た分解斜視図。
【図14】図4に示された払出装置のX1−X1線に沿う断面図。
【図15】図4に示された払出装置のX2−X2線に沿う断面図。
【図16】図4に示された払出装置のY−Y線に沿う断面図。
【図17】図16の払出装置の平面図。
【図18】払出レバーを駆動するカムが駆動軸から連結機構を介して駆動装置に連結されている構成を抜き出して示す斜視図。
【図19】図18に示された構成を払出レバー側から見た平面図。
【図20】(a)は、第1流路の内部構成を示す図、(b)は、第2流路の内部構成を示す図。
【図21】図3に示された払出装置が設置領域から取り外された状態を示す斜視図。
【図22】図21に示されたストッパユニットがレールユニットから取り外された状態を示す斜視図。
【図23】ストッパユニットをその上面側から見た斜視図。
【図24】ストッパユニットをその下面側から見た斜視図。
【図25】図24に示されたストッパユニットからストッパ及び押圧部材が取り外された状態を示す斜視図。
【図26】ストッパユニットが取り付けられたレールユニットの構成を示す斜視図。
【図27】ストッパユニットの動作を説明するための側面図。
【図28】ストッパユニットの動作を説明するための正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態に係る遊技機について、添付図面を参照して説明する。なお、本実施の形態では、遊技機としてパチンコ機を想定する。
図1に示すように、本実施の形態に係るパチンコ機2は、遊技機島(図示しない)に取り付けるための外枠4と、外枠4の前面に回動自在に軸支された内枠6と、内枠6の背後に嵌装された図示しない各種の演出表示装置(LCD(Liquid Crystal Display)などの可変表示装置)とを備えており、内枠6の前面には、例えば入賞口などの遊技部材(図示しない)を備えて構成された遊技盤(図示しない)が着脱自在に装着されている。なお、演出表示装置による各種の演出表示は、内枠6背面に搭載された副制御基板8(図2)によって制御される。
【0014】
また、内枠6の前面には、ガラス板10が嵌められたフロント扉12が回動自在に軸支されており、フロント扉12の上側には光による演出を行うランプ14が取り付けられている。また、内枠6の前面下部側には、貸出球や賞球を受け止める上皿16と、上皿16が満杯時に溢れた遊技球を受け止める下皿18と、遊技球を発射させる際の発射力調節用のハンドル20と、音による演出を行うスピーカ22とが設けられている。また、上皿16には、遊技者が遊技球の貸し出し操作を行うための球貸し操作パネル24が設けられている。なお、ランプ14やスピーカ22などによる各種の演出は、内枠6背面に搭載された副制御基板8(図2)によって制御される。
【0015】
ここで、球貸し操作パネル24の球貸しボタン26を操作すると、図2に示すように、パチンコ機2に内蔵された払出・発射制御基板28と当該パチンコ機2に併設されたカードユニット(図示しない)との間で球貸し処理に関する信号が交信される。このとき、交信された信号に基づいて、払出・発射制御基板28が払出装置30を駆動制御することにより、内枠6(図1)上部に取り付けられた球タンク32からレールユニット34を流下した複数の遊技球のうち、所定数の遊技球が払出装置30によって1個ずつ払い出され、球通路36を流下して上皿16(図1)に供給される。
【0016】
上皿16に遊技球が供給された状態において、ハンドル20のレバー38(図1)を時計回り方向に回転させると、払出・発射制御基板28が発射装置の発射ソレノイド(図示しない)を駆動制御することにより、遊技球がガイドレール(図示しない)に沿って遊技領域に打ち出される。このとき、遊技領域に打ち出された遊技球が入賞すると、主制御基板40(図2)から払出・発射制御基板28に送信されたコマンドに基づいて、払出・発射制御基板28が払出装置30を駆動制御することにより、内枠6上部に取り付けられた球タンク32からレールユニット34を流下した複数の遊技球のうち、所定数の遊技球が払出装置30によって1個ずつ払い出され、球通路36を流下して上皿16に供給される。
【0017】
このようなパチンコ機2において、図3に示すように、払出装置30及び球タンク32並びにレールユニット34は、内枠6に固定された裏上部ベース42に取り付けられている。レールユニット34は、球タンク32に貯留されている複数の遊技球を流下させる流路と、流路を流下した遊技球を払出装置30に向けて流出させる流出口とを有している。この場合、レールユニット34には、流路に沿って延出した1つの壁部44(図21参照)が設けられており、当該流路は、壁部44によって互いに並列した2本の流路R1,R2(図21参照)に分けられたツインレールとして構成されている。これに応じて、流出口F1,F2(図21参照)も各流路R1,R2の下流側にそれぞれ構成されている。
【0018】
これにより、球タンク32に貯留されている複数の遊技球は、レールユニット34の2本の流路R1,R2を同時に流下し、各流路R1,R2の流出口F1,F2から払出装置30に向けて流出されることになる。なお、図面には一例として2つの流路R1,R2を構成したが、壁部44を例えば2つ以上設けることにより、流路の本数を3本以上に分けることができることは言うまでも無い。
【0019】
図4〜図8、図14及び図15に示すように、払出装置30は、レールユニット34の各流出口F1.F2から流出した遊技球をそれぞれ受け入れる2つの第1及び第2受入口G1,G2と、各受入口G1,G2から互いに並列して連続した2つの第1及び第2流路と、第1及び第2流路の途中に1つずつ回動可能に設けられた第1及び第2払出レバーL1,L2とを備えている。これにより、第1及び第2受入口G1,G2から第1及び第2流路を流下した複数の遊技球は、第1及び第2払出レバーL1,L2によって1個ずつ払い出されることになる。
【0020】
図12及び図13に示すように、払出装置30は、払出中間ベース46と、当該払出中間ベース46の両側を覆うように組み付けられる払出カバー前部48及び払出カバー後部50と、払出カバー前部48の外側(払出中間ベース46とは反対側)を覆うように組み付けられる払出ギヤカバー52と、払出カバー後部50の外側(払出中間ベース46とは反対側)を覆うように組み付けられる基板カバー54とを備えている。そして、これら各構成品46,48,50,52,54を相互に組み付けることにより、払出装置30は、1つの払出ユニットとして裏上部ベース42(図3)に取り付けられている。なお、払出装置30は、払出ギヤカバー52を裏上部ベース42に当接させた状態で取り付けられている。
【0021】
ここで、上述した各構成品46,48,50,52,54を相互に組み付ける方法としては、例えば、払出カバー後部50の上側端及び下側端から払出ギヤカバー52に向けて係合片50E(例えば、フック)を突設すると共に、払出中間ベース46及び払出カバー前部48の上側端及び下側端にそれぞれ係合片50Eを挿通させる窪み部46K,48Kを形成し、更に、払出ギヤカバー52の上側端及び下側端に係合片50Eが係合可能な係合凹部52Eを形成する。また、払出カバー後部50の上側端から基板カバー54に向けて係合凸部50Fを突設すると共に、基板カバー54の上側端に係合凸部50Fが係合可能な係合孔54Hを形成する。
【0022】
これによれば、例えば払出中間ベース46に払出カバー前部48を組み付けると共に、払出カバー前部48に払出ギヤカバー52を組み付けた後、払出カバー後部50を払出中間ベース46に組み付ける。このとき、当該払出カバー後部50の係合片50Eが払出中間ベース46及び払出カバー前部48の窪み部46K,48Kを介して払出ギヤカバー52の係合凹部52Eに係合することにより、払出中間ベース46及び払出カバー前部48並びに払出カバー後部50及び払出ギヤカバー52が相互に仮止めされる。続いて、基板カバー54を払出カバー後部50に組み付けると、係合凸部50Fが係合孔54Hに係合することにより、基板カバー54が払出カバー後部50に仮止めされる。この状態において、基板カバー54の外側から払出ギヤカバー52に亘ってネジ止めすることにより、上述した各構成品46,48,50,52,54を相互に締結させることができる。
【0023】
このような払出装置30において、第1受入口G1から連続した第1流路は、払出中間ベース46と払出カバー後部50との間に構成されており、一方、第2受入口G2から連続した第2流路は、払出中間ベース46と払出カバー前部48との間に構成されている。これにより、図16及び図17に示すように、第1及び第2流路は、払出中間ベース46を挟んで両側に互いに並列して連続している。
【0024】
具体的に説明すると、図14及び図20(a)に示すように、第1流路は、払出カバー後部50から払出中間ベース46に向けて略垂直に立ち上げられた第1流路壁50Pによって、第1上流路1Upと第1下流路1Dnとを形成して構成されている。この構成において、第1払出レバーL1は、第1上流路1Upと第1下流路1Dnとの間に回動可能に設けられている。これにより、第1受入口G1から受け入れられた複数の遊技球Sは、第1上流路1Upを流下した後、第1払出レバーL1によって第1下流路1Dnに向けて1個ずつ払い出されることになる。
【0025】
一方、図15及び図20(b)に示すように、第2流路は、払出カバー前部48から払出中間ベース46に向けて略垂直に立ち上げられた第2流路壁48Pによって、第2上流路2Upと第2下流路2Dnとを形成して構成されている。この構成において、第2払出レバーL2は、第2上流路2Upと第2下流路2Dnとの間に回動可能に設けられている。これにより、第2受入口G2に受け入れられた複数の遊技球Sは、第2上流路2Upを流下した後、第2払出レバーL2によって第2下流路2Dnに向けて1個ずつ払い出されることになる。
【0026】
また、第1上流路1Upの途中には、第1球抜きガイド56(図14及び図20(a))が回動可能に軸支されていると共に、第2上流路2Upの途中には、第2球抜きガイド58(図15及び図20(b))が回動可能に軸支されている。第1及び第2球抜きガイド56,58は、例えば払出カバー前部48から払出中間ベース46を貫通して延出した1本のガイド軸60(図7及び図8)に対して回動自在に軸支されている。更に、第1及び第2球抜きガイド56,58は、例えば払出カバー前部48から払出中間ベース46を貫通し且つ払出装置30(払出カバー後部50)の外部に向けて延出した1本の球抜きレバーシャフト62(図7及び図8)によって互いに連結されている。
【0027】
この場合、払出中間ベース46には、球抜きレバーシャフト62を貫通させるためのベース貫通孔46Hが長円弧状に形成されている。一方、払出カバー後部50には、操作プレート50a(図4及び図12)が外部に露出して設けられており、当該操作プレート50aには、ベース貫通孔46Hに対向し且つ同一形状を成した操作貫通孔50Hが形成されている。球抜きレバーシャフト62は、これら各貫通孔46H,50Hに挿通されており、操作プレート50aから外部に向けて延出した部分には、球抜きレバー64が取り付けられている。かかる構成において、球抜きレバー64を操作して、球抜きレバーシャフト62を各貫通孔46H,50Hに沿って移動させることにより、第1及び第2球抜きガイド56,58の双方を同時にガイド軸60回りに回動させることができる。
【0028】
また、球抜きレバーシャフト62は、その軸方向に沿って若干移動可能に構成されており、払出中間ベース46と払出カバー後部50(操作プレート50a)との間の領域において、球抜きレバーシャフト62には、環状部材66(図7及び図12)と付勢バネ68(図7及び図12)とが装着されている。この場合、環状部材66は、操作プレート50a寄りに配置され、球抜きレバーシャフト62に沿って移動自在に構成されている。一方、付勢バネ68は、環状部材66に対して払出中間ベース46寄りに配置されており、その一端が球抜きレバーシャフト62に形成された溝部62g(図8)に係止され、その他端が環状部材66に係止されている。
【0029】
これにより、環状部材66は、付勢バネ68の付勢力によって常に操作プレート50aに押圧された状態に維持される。このとき、環状部材66は、操作プレート50aから反力を受けることになるが、その反力は、当該環状部材66から付勢バネ68を介して球抜きレバーシャフト62に伝達され、当該球抜きレバーシャフト62を操作プレート50aから引っ込める方向に働くことになる。これにより、操作プレート50a外側で球抜きレバーシャフト62に取り付けられている球抜きレバー64は、球抜きレバーシャフト62によって、常に操作プレート50aに押し付けられた状態に維持される。
【0030】
また、球抜きレバー64には、操作プレート50aに対向した面に、一対の凸状部64T(図12及び図13)が設けられており、操作プレート50aには、各凸状部64Tが嵌合可能な凹状部H1,H2(図12)が操作貫通孔50Hの両端側にそれぞれ設けられている。ここで、球抜きレバー64を操作する際には、まず、当該球抜きレバー64を手前に引っ張る。このとき、球抜きレバー64の引張力によって球抜きレバーシャフト62が付勢バネ68の付勢力に抗して引っ張られる。これにより、球抜きレバーシャフト62が操作プレート50aの外部方向に若干移動することで、球抜きレバー64を操作プレート50aから離間させることができる。
【0031】
この状態を維持しつつ、球抜きレバーシャフト62を各貫通孔46H,50Hに沿って一端側に移動させた後、球抜きレバー64の引張力を解除すると、球抜きレバーシャフト62には、付勢バネ68の付勢力に起因した操作プレート50aからの反力が作用する。このとき、球抜きレバーシャフト62が操作プレート50aから引っ込む方向に移動することにより、球抜きレバー64が操作プレート50aに押し付けられる。これにより、球抜きレバー64の凸状部64Tが操作プレート50aの一端側の凹状部H1に嵌合する。
【0032】
このとき、第1及び第2球抜きガイド56,58は、図20(a),(b)の実線で示す球払出位置に回動して位置決めされる。この場合、第1及び第2受入口G1,G2から受け入れられた複数の遊技球Sは、第1及び第2上流路1Up,2Upを流下した後、第1及び第2球抜きガイド56,58のガイド面56s,58sによって第1及び第2払出レバーL1,L2に向けて流下する。そして、各払出レバーL1,L2を回動させることにより、第1及び第2下流路1Dn,2Dnに向けて1個ずつ払い出されることになる。
【0033】
また、当該球抜きレバー64を手前に引っ張って、球抜きレバー64を操作プレート50aから離間させた状態を維持しつつ、球抜きレバーシャフト62を各貫通孔46H,50Hに沿って他端側に移動させた後、球抜きレバー64の引張力を解除する。このとき、球抜きレバーシャフト62が操作プレート50aから引っ込む方向に移動することにより、球抜きレバー64が操作プレート50aに押し付けられる。これにより、球抜きレバー64の凸状部64Tが操作プレート50aの他端側の凹状部H2に嵌合する。
【0034】
このとき、第1及び第2球抜きガイド56,58は、図20(a),(b)の点線で示す球抜き位置に回動して位置決めされる。この場合、第1及び第2受入口G1,G2から受け入れられた複数の遊技球Sは、第1及び第2上流路1Up,2Upを流下した後、第1及び第2球抜きガイド56,58のガイド面56s,58sによって第1及び第2球抜き流路1Fr,2Frに案内される。これにより、球タンク32に貯留されている全ての遊技球Sを各球抜き流路1Fr,2Frから外部に排出させることができる。なお、各球抜き流路1Fr,2Frを流下した遊技球Sは、例えば遊技島に設置された回収装置(図示しない)に回収される。
【0035】
また、図7及び図12並びに図14及び図20(a)に示すように、払出装置30の払出中間ベース46には、球払出状態と球抜き状態とを検知する検知装置70が設けられており、検知装置70は、その基端が回動自在に軸支された検知スイッチ72を有している。検知スイッチ72には、その基端に付勢バネ(図示しない)が設けられており、当該付勢バネによって、検知スイッチ72は、常に、その先端が検知装置70から離間した回動状態(図20(a)の点線)となる向きに付勢されている。なお、図面では一例として、検知装置70は、払出中間ベース46の払出カバー後部50側に設けられている。
【0036】
更に、図7及び図8、図14及び図15、図20(a),(b)に示すように、第1及び第2球抜きガイド56,58には、突起部56T,58Tが設けられている。この場合、球抜きレバー64を操作して、その凸状部64Tを操作プレート50aの一端側の凹状部H1に嵌合させると、第1及び第2球抜きガイド56,58は、図20(a),(b)の実線で示す球払出位置に回動して位置決めされる。このとき、第1球抜きガイド56の突起部56Tによって検知スイッチ72が付勢バネの付勢力に抗して押圧される。この結果、検知スイッチ72は、基端回りに回動して、先端が検知装置70に接触した回動状態(図20(a)の実線で示す状態)に維持される。
【0037】
これに対して、球抜きレバー64を操作して、その凸状部64Tを操作プレート50aの他端側の凹状部H2に嵌合させると、第1及び第2球抜きガイド56,58は、図20(a),(b)の点線で示す球抜き位置に回動して位置決めされる。このとき、検知スイッチ72に対する第1球抜きガイド56の突起部56Tの押圧力が解除される。この結果、検知スイッチ72は、付勢バネの付勢力によって基端回りに回動して、その先端が検知装置70から離間した回動状態(図20(a)の点線で示す状態)に維持される。
【0038】
この場合、検知装置70は、検知スイッチ72の先端が検知装置70に接触したとき、第1及び第2球抜きガイド56,58が球払出位置に位置決めされたことを示す球払出信号を出力すると共に、検知スイッチ72の先端が検知装置70から離間したとき、第1及び第2球抜きガイド56,58が球抜き位置に位置決めされたことを示す球抜き信号を出力する。これにより、例えば球払出信号に基づいて、後述する駆動装置(モータ)Mを制御して各払出レバーL1,L2を回動させたり、或いは、例えば球抜き信号に基づいて、後述する駆動装置(モータ)Mを制御して各払出レバーL1,L2の回動を停止させるといったような各種の制御が可能となる。なお、検知装置70や駆動装置(モータ)Mは、払出カバー後部50に取り付けられた中継基板74(図6及び図12)を介して外部電源(図示しない)や払出・発射制御基板28(図2)などに接続されている。
【0039】
このような払出装置30において、図7及び図8、図14及び図15、図20(a),(b)に示すように、第1及び第2払出レバーL1,L2は、互いに同一形状を成しており、1本の払出レバー用軸76に対して回動可能に軸支されている。なお、払出レバー用軸76は、払出カバー前部48から払出中間ベース46を貫通して払出カバー後部50に亘って延在している。
【0040】
ここで、第1払出レバーL1は、第1上流路1Upに沿って下流する遊技球Sを停止させる停止部1Ltと、停止部1Ltよりも下流側に配置され且つ停止部1Ltによって停止されていた1個の遊技球Sを受け入れて保留可能な略凹形状を成した保留部1Lsとを備えている。この場合、第1払出レバーL1は、払出レバー用軸76から第1上流路1Upに向けて延出した上流側延出部1Exと、払出レバー用軸76から第1下流路1Dnに向けて略L字状に延出した下流側延出部1Eyとを備えて構成されている。この構成において、停止部1Ltは、上流側延出部1Exの外縁に設けられており、保留部1Lsは、下流側延出部1Eyの内縁に設けられている。
【0041】
一方、第2払出レバーL2は、第2上流路2Upに沿って下流する遊技球Sを停止させる停止部2Ltと、停止部2Ltよりも下流側に配置され且つ停止部2Ltによって停止されていた1個の遊技球Sを受け入れて保留可能な略凹形状を成した保留部2Lsとを備えている。この場合、第2払出レバーL2は、払出レバー用軸76から第2上流路2Upに向けて延出した上流側延出部2Exと、払出レバー用軸76から第2下流路2Dnに向けて略L字状に延出した下流側延出部2Eyとを備えて構成されている。この構成において、停止部2Ltは、上流側延出部2Exの外縁に設けられており、保留部2Lsは、下流側延出部2Eyの内縁に設けられている。
【0042】
また、第1払出レバーL1の上流側延出部1Exに対向する位置には、第1カムC1が配置されていると共に、第2払出レバーL2の上流側延出部2Exに対向する位置には、第2カムC2が配置されている。これら2つの第1及び第2カムC1,C2は、1本の駆動軸78に取り付けられており、当該駆動軸78は、払出カバー前部48から払出中間ベース46を貫通し且つ回動可能に設けられていると共に、所定の連結機構を介して駆動装置(モータ)Mに連結されている。この場合、駆動装置(モータ)Mは、払出カバー前部48と払出中間ベース46とに亘って支持されている。また、連結機構(図9及び図13)は、駆動装置(モータ)Mの出力軸80に固定された出力ギヤ82と、駆動軸78に固定されたカム用ギヤ84とを備えており、これら2つのギヤ82,84は、互いに歯合した状態に位置決めされている。なお、連結機構(出力ギヤ82、カム用ギヤ84)は、払出カバー前部48と払出ギヤカバー52との間に介在されている。
【0043】
更に、第1カムC1には、第1払出レバーL1を払出レバー用軸76回りに駆動(回動)させるための駆動部1Cdが所定方向に向けて突出されており、第2カムC2には、第2払出レバーL2を払出レバー用軸76回りに駆動(回動)させるための駆動部2Cdが所定方向に向けて突出されている。一方、第1払出レバーL1の上流側延出部1Exには、第1カムC1の駆動部1Cdが当接可能な当接部1Ldが形成されており、第2払出レバーL2の上流側延出部2Exには、第2カムC2の駆動部2Cdが当接可能な当接部2Ldが形成されている。
【0044】
この場合、駆動装置(モータ)Mを駆動させて出力軸80を回転させると、その回転運動は、出力ギヤ82を介してカム用ギヤ84に伝達され、駆動軸78を回転させる。このとき、駆動軸78と共に第1及び第2カムC1,C2が回転(駆動)し、これらカムC1,C2の駆動部1Cd,2Cdが第1及び第2払出レバーL1,L2の当接部1Ld,2Ldに当接することにより、第1及び第2払出レバーL1,L2は、第1のポジションと第2のポジションとに駆動(回動)される。
【0045】
ここで、第1のポジションとは、停止部1Lt,2Ltが第1及び第2上流路1Up,2Upから第1及び第2下流路1Dn,2Dnに流下する遊技球Sの流下可能領域内に入り込み、且つ保留部1Ls,2Lsが遊技球Sの流下可能領域外に回避した回動状態を指す。一方、第2のポジションとは、停止部1Lt,2Ltが遊技球Sの流下可能領域外に回避し、且つ保留部1Ls,2Lsが遊技球Sの流下可能領域内に入り込んだ回動状態を指す。一例として、図20(a)には、第1払出レバーL1が第2のポジションに駆動された状態が示されており、図20(b)には、第2払出レバーL2が第1のポジションに駆動された状態が示されている。なお、第1払出レバーL1の第1のポジション位置は、図20(b)の第2払出レバーL2の回動状態と同一であり、また、第2払出レバーL2の第2のポジション位置は、図20(a)の第1払出レバーL1の回動状態と同一であるため、その図面は省略する。
【0046】
また、払出レバー用軸76には、第1払出レバーL1に隣接して第1レバー用弾性体86(例えば、ねじりコイルばね)が設けられており、当該第1レバー用弾性体86は、その一端86aが払出中間ベース46に固定され、その他端86bが第1払出レバーL1の下流側延出部1Eyに固定されている。なお、第1レバー用弾性体86によって第1払出レバーL1を第1のポジション又は第2のポジションのいずれかの回動状態に付勢することができるが、ここでは一例として、第1払出レバーL1は、第1レバー用弾性体86の弾性力によって第2のポジションに回動した状態に付勢されている。
【0047】
同様に、払出レバー用軸76には、第2払出レバーL2に隣接して第2レバー用弾性体88(例えば、ねじりコイルばね)が設けられており、当該第2レバー用弾性体88は、その一端88aが払出カバー前部48に固定され、その他端88bが第2払出レバーL2の下流側延出部2Eyに固定されている。なお、第2レバー用弾性体88によって第2払出レバーL2を第1のポジション又は第2のポジションのいずれかの回動状態に付勢することができるが、ここでは一例として、第2払出レバーL2は、第2レバー用弾性体88の弾性力によって第2のポジションに回動した状態に付勢されている。
【0048】
この場合、第1及び第2払出レバーL1,L2は、第2のポジション(図20(a)参照)に回動した状態に維持され、その停止部1Lt,2Ltが遊技球Sの流下可能領域外に回避し、且つその保留部1Ls,2Lsが遊技球Sの流下可能領域内に入り込んだ状態に位置決めされる。このため、保留部1Ls,2Lsには、第1及び第2上流路1Up,2Upを流下している遊技球Sが1個受け入れられて保留される。
【0049】
この状態で、第1及び第2カムC1,C2を回転させて、その駆動部1Cd,2Cdを第1及び第2払出レバーL1,L2の当接部1Ld,2Ldに当接させると、第1及び第2払出レバーL1,L2は、第1及び第2レバー用弾性体86,88の付勢力に抗して払出レバー用軸76回りに回動し、第1のポジション(図20(b)参照)に駆動される。このとき、その停止部1Lt,2Ltが遊技球Sの流下可能領域内に入り込むと同時に、その保留部1Ls,2Lsが遊技球Sの流下可能領域外に回避する。これにより、第1及び第2上流路1Up,2Upを流下している遊技球Sを停止部1Lt,2Ltによって停止させると共に、保留部1Ls,2Lsに保留されていた1個の遊技球Sを第1及び第2下流路1Dn,2Dnに流下させる。
【0050】
そして、更に第1及び第2カムC1,C2を回転させて、その駆動部1Cd,2Cdと第1及び第2払出レバーL1,L2の当接部1Ld,2Ldとの当接状態を解除させると、第1及び第2払出レバーL1,L2は、第1及び第2レバー用弾性体86,88の付勢力によって払出レバー用軸76回りに回動し、第2のポジション(図20(a)参照)に戻される。このとき、その停止部1Lt,2Ltが遊技球Sの流下可能領域外に回避すると同時に、その保留部1Ls,2Lsが遊技球Sの流下可能領域内に入り込む。これにより、停止部1Lt,2Ltによって停止されていた1個の遊技球Sを流下させると共に、停止部1Lt,2Ltから流下した1個の遊技球Sを保留部1Ls,2Lsに受け入れて保留させる。
【0051】
このように、第1及び第2カムC1,C2を回転させることにより、第1及び第2払出レバーL1,L2によって遊技球Sを1個ずつ第1及び第2下流路1Dn,2Dnに向けて払い出すことができる。具体的には、第1及び第2カムC1,C2は、駆動軸78を介してカム用ギヤ84に直結されているため(図18及び図19)、カム用ギヤ84を1回転させると、これに伴い第1及び第2カムC1,C2も1回転することにより、第1及び第2払出レバーL1,L2によって1個ずつ合計2個の遊技球Sが払い出される。この場合、第1及び第2カムC1,C2の駆動部1Cd,2Cdの突出方向を互いに異なる方向に設定することで、第1及び第2払出レバーL1,L2を所定タイミングで交互に駆動(回動)させることができる。これにより、第1及び第2下流路1Dn,2Dnに向けて遊技球Sを1個ずつ交互に払い出すことができる。
【0052】
図面では一例として、第1及び第2カムC1,C2は、その駆動部1Cd,2Cdを互いに180°反転させた方向に向けた状態で駆動軸78に取り付けられている。これにより、カム用ギヤ84を半回転させる毎に、第1及び第2払出レバーL1,L2のいずれか一方から1個の遊技球Sを払い出すことができる。この場合、カム用ギヤ84の回転状態(例えば、回転位置、回転数)を検知することにより、第1及び第2払出レバーL1,L2によって払い出される遊技球Sの個数を把握(計数)することが可能である。
【0053】
そこで、払出装置30には、カム用ギヤ84に設けられた検知体90(図18及び図19)と、カム用ギヤ84と共に回転している検知体90の回転数を検知する回転数検知装置92(図10及び図15)とが設けられている。なお、回転数検知装置92は、中継基板74(図6及び図12)を介して外部電源(図示しない)や払出・発射制御基板28(図2)などに接続されている。また、検知体90は、カム用ギヤ84から払出カバー前部48に向けて突出しており、駆動軸78を挟んで両側の対称位置にそれぞれ1個ずつ設けられている。この場合、一対の検知体90は、第1及び第2カムC1,C2の駆動部1Cd,2Cdの突出方向に対して90°回転した位置にそれぞれ位置決めされている。
【0054】
回転数検知装置92は、払出カバー前部48に支持されており、当該払出カバー前部48に形成された開口48h(図10)からカム用ギヤ84に向けて構築されたフォトセンサ(図10及び図13)を備えている。フォトセンサには、発光素子94と受光素子96とが対向配置されており、これら発光素子94と受光素子96との間をカム用ギヤ84と共に回転する一対の検知体90が通過するように構成されている。この場合、発光素子94から受光素子96に向けて一定の光特性(例えば、光量、光強度)のレーザー光が常に照射されており、このとき、受光素子96から一定出力レベル(例えば、一定の電圧レベル又は電流レベル)の電気信号が出力されている。
【0055】
このような状態において、カム用ギヤ84の回転に伴って、一方の検知体90が発光素子94と受光素子96との間を通過した場合を想定すると、当該検知体90によってレーザー光が遮光され、その結果、発光素子94からのレーザー光が受光素子96に照射されなくなる。このとき、受光素子96から出力される電気信号の出力レベルが変化する。例えば出力レベルがゼロとなる。この場合、一対の検知体90は、第1及び第2カムC1,C2の駆動部1Cd,2Cdの突出方向に対して90°回転した位置に位置決めされているため、一方の検知体90が発光素子94と受光素子96との間を通過したとき、第1及び第2払出レバーL1,L2のいずれか一方から1個の遊技球Sが払い出されることになる。
【0056】
そして、更にカム用ギヤ84を回転させることにより、続いて他方の検知体90が発光素子94と受光素子96との間を通過すると、上記同様に、受光素子96から出力される電気信号の出力レベルが変化(例えば出力レベルがゼロに変化)する。このとき、第1及び第2払出レバーL1,L2のいずれか他方から1個の遊技球Sが払い出される。従って、受光素子96から出力される電気信号の出力レベルの変化状態(例えば、変化した回数)をカウントすることにより、第1及び第2払出レバーL1,L2によって払い出される遊技球Sの個数を把握(計数)することができる。
【0057】
ここで、払出・発射制御基板28(図2)から払出装置30に対して、例えば15個の遊技球Sを払い出す命令が送信された場合を想定すると、当該払出命令に基づいて中継基板74から駆動装置(モータ)Mに制御信号が送信され、これにより、駆動装置(モータ)Mの出力軸80を回転させる。このとき、出力軸80の回転運動は、出力ギヤ82を介してカム用ギヤ84に伝達され、当該カム用ギヤ84を回転させる。カム用ギヤ84には、駆動軸78を介して第1及び第2カムC1,C2が直結されているため、カム用ギヤ84の回転に伴って第1及び第2カムC1,C2も同様に回転する。
【0058】
まず、カム用ギヤ84の回転に伴って、一方の検知体90が発光素子94と受光素子96との間を通過したとき、受光素子96の出力レベルが変化するので、これを第1回目の変化状態としてカウントする。このとき、例えば第2カムC2の駆動部2Cdが第2払出レバーL2の当接部2Ldに当接し、第2払出レバーL2を第2レバー用弾性体88の付勢力に抗して第1のポジション(図20(b))に駆動(回動)させる。これにより、第2上流路2Upを流下している遊技球Sが停止部2Ltによって停止されると共に、保留部2Lsに保留されていた1個の遊技球Sが第2下流路2Dnに払い出される。一方、第1払出レバーL1は、第1レバー用弾性体86の弾性力によって第2のポジション(図20(a))に回動した状態に付勢されるため、その保留部1Lsには、第1上流路1Upを流下している遊技球Sが1個受け入れられて保留された状態となる。
【0059】
続いて、カム用ギヤ84を回転させることにより、他方の検知体90が発光素子94と受光素子96との間を通過したとき、受光素子96の出力レベルが変化するので、これを第2回目の変化状態としてカウントする。このとき、例えば第1カムC1の駆動部1Cdが第1払出レバーL1の当接部1Ldに当接し、第1払出レバーL1を第1レバー用弾性体86の付勢力に抗して第1のポジション(図20(b)と同様のポジション)に駆動(回動)させる。これにより、第1上流路1Upを流下している遊技球Sが停止部1Ltによって停止されると共に、保留部1Lsに保留されていた1個の遊技球Sが第1下流路1Dnに払い出される。一方、第2払出レバーL2は、第2レバー用弾性体88の弾性力によって第2のポジション(図20(a)と同様のポジション)に回動した状態に付勢されるため、その保留部2Lsには、第2上流路2Upを流下している遊技球Sが1個受け入れられて保留された状態となる。
【0060】
更に、カム用ギヤ84を回転させると、第1及び第2払出レバーL1,L2が交互に第1及び第2のポジションに駆動(回動)され、第1及び第2払出レバーL1,L2から交互に1個ずつ遊技球Sが払い出される。この間に、受光素子96の出力レベルの変化状態が15回カウントされたとき、第1及び第2払出レバーL1,L2によって合計15個の遊技球Sが払い出されたことになる。この後、駆動装置(モータ)Mが停止制御される。
【0061】
なお、駆動装置(モータ)Mの停止制御の方法としては、第15回目の変化状態がカウントされたとき、例えば回転数検知装置92から駆動装置(モータ)Mに停止制御信号を送信し、これにより、駆動装置(モータ)Mを停止させても良い。或いは、例えば受光素子96の出力レベルの変化状態を回転数検知装置92から中継基板74を介して払出・発射制御基板28にフィードバックする。そして、第15回目の変化状態がカウントされたとき、払出・発射制御基板28から駆動装置(モータ)Mに停止制御信号を送信し、これにより、駆動装置(モータ)Mを停止させても良い。要するに、駆動装置(モータ)Mを停止させることができれば、その停止制御方法に限定は無い。
【0062】
また、遊技球Sの払出タイミングや払出速度は、カム用ギヤ84の回転速度を増減変化させて、第1及び第2払出レバーL1,L2の駆動(回動)タイミングや速度を調節することにより、任意に設定することができるが、これは、パチンコ機2の使用目的や使用環境に応じて適宜設定されるため、ここでは特に限定しない。
【0063】
更に、上述した払出装置30には、第1及び第2払出レバーL1,L2が第2のポジションに駆動された際に、その保留部1Ls,2Lsに保留された1個の遊技球Sを検知する遊技球検知手段98が設けられている。この場合、遊技球検知手段98は、第1及び第2上流路1Up,2Upと第1及び第2下流路1Dn,2Dnとの間であって、保留部1Ls,2Lsに保留された状態の遊技球Sを直接検知できる位置にそれぞれ配置されている。これにより、第1及び第2払出レバーL1,L2が第2のポジションに駆動される毎に、その保留部1Ls,2Lsに遊技球Sが保留されているか否かを確実に検知することができる。なお、遊技球検知手段98としては、既に市販されている例えば磁気センサ、光学センサ、重量センサなどを適宜利用することができるため、ここでは特に限定しない。
【0064】
以上、本実施の形態によれば、従来のスプロケットに代えて第1及び第2払出レバーL1,L2を適用し、これを駆動することで、その保留部1Ls,2Lsに保留された1個の遊技球Sの払い出しを行うようにしたことにより、従来のような球挟み状態を生じさせること無く、所定数の遊技球Sを1球ずつ円滑に且つ正確に流下させて払い出すことができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、第1及び第2払出レバーL1,L2を第1及び第2カムC1,C2で駆動させるだけで、所定数の遊技球Sを1球ずつ交互に円滑且つ正確に流下させて払い出すことができる。そして、第1及び第2カムC1,C2で駆動させた後の第1及び第2払出レバーL1,L2は、第1及び第2レバー用弾性体86,88の付勢力によって第2のポジションに回動した状態に戻されて、その状態で安定する。この場合、各払出レバーL1,L2を戻す構造をシンプルに構成することが可能となり、その結果、払出装置30のコンパクト化及び低コスト化を図ることができる。これにより、パチンコ機2の製造コストを低減させることができる。
【0066】
また、本実施の形態において、第1及び第2上流路1Up,2Upを流下する遊技球Sから第1及び第2払出レバーL1,L2に作用する球圧を考慮すると、第1及び第2レバー用弾性体86,88の弾性力は、各払出レバーL1,L2を第2のポジションに戻す方向に付与されていることが好ましい。この場合、それぞれの払出レバーL1,L2は、各レバー用弾性体86,88の付勢力によって常に第2のポジションに戻された状態で安定する。この状態において、第1及び第2払出レバーL1,L2の保留部1Ls,2Lsは、遊技球Sの流下可能領域内に入り込んだ状態に位置決めされる。このため、当該保留部1Ls,2Lsには、第1及び第2上流路1Up,2Upを連続して流下している遊技球Sが1個受け入れられて保留され、その状態で第1及び第2払出レバーL1,L2の姿勢が安定することになる。このとき、当該払出レバーL1,L2によって常に1個の遊技球Sを払出直前の状態に位置付けることができる。これにより、球挟み状態の発生を完全に解消することが可能となり、その結果、第1及び第2カムC1,C2によって第1及び第2払出レバーL1,L2を第1のポジションに駆動させるだけで、所定数の遊技球Sを1球ずつ交互に迅速且つ確実に流下させて払い出すことができる。
【0067】
更に、本実施の形態によれば、第1及び第2流路にそれぞれ設けられた第1及び第2払出レバーL1,L2を該当する第1及び第2カムC1,C2で交互に駆動させるだけで、第1及び第2流路から所定数の遊技球Sを1個ずつ交互に流下させて払い出すことができる。例えば駆動軸78に固定されたカム用ギヤ84を1回転させるだけで、駆動軸78に取り付けられた第1及び第2カムC1,C2によって第1及び第2払出レバーL1,L2が1回ずつ交互に駆動され、これに同期して、第1及び第2流路から遊技球Sが1個ずつ交互に流下させて払い出される。これにより、遊技球Sの払出速度を向上させることができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、保留部1Ls,2Lsに保留された1個の遊技球Sを遊技球検知手段98によって直接検知するようにしたことで、払出直前の遊技球Sを素早く検知することができる。これにより、遊技球Sの過多払い出しを防止することができるため、所定数の遊技球Sを正確に流下させて払い出すことができる。
【0069】
なお、上述した実施の形態では、第1及び第2レバー用弾性体86,88によって第1及び第2払出レバーL1,L2を第2のポジション(図20(a))に回動した状態に付勢するように構成したが、これに代えて、第1及び第2レバー用弾性体86,88によって第1及び第2払出レバーL1,L2を第1のポジション(図20(b))に回動した状態に付勢するように構成しても良い。
【0070】
また、上述した実施の形態では、第1及び第2カムC1,C2で駆動させた後の第1及び第2払出レバーL1,L2を、第1及び第2レバー用弾性体86,88の付勢力によって第2のポジションに回動した状態に戻すように構成したが、これに代えて、第1及び第2カムC1,C2によって第1及び第2払出レバーL1,L2を第1及び第2のポジションに強制的に回動させるように構成しても良い。かかる構成では、第1及び第2レバー用弾性体86,88は不要となり、各々の払出レバーL1,L2からカムC1,C2を挟み込むように二股に延出した一対の作動レバー(図示しない)を構築すれば良い。
【0071】
この場合、カム用ギヤ84によって各カムC1,C2を回転させて、その駆動部1Cd,2Cdを一方の作動レバーに当接させることにより、第1及び第2払出レバーL1,L2を例えば第1のポジションに駆動(回動)させることができると共に、更に各カムC1,C2を回転させて、その駆動部1Cd,2Cdを他方の作動レバーに当接させることにより、第1及び第2払出レバーL1,L2を例えば第2のポジションに駆動(回動)させることができる。このような構成によれば、第1及び第2レバー用弾性体86,88が不要となった分だけ部品点数を削減することができるため、払出装置30の小型化及び低価格化を実現することができる。
【0072】
また、本実施の形態において、上述した払出装置30は、裏上部ベース42の設置領域42Pに対して着脱自在に取り付けられており、設置領域42Pには、払出装置30を囲むような位置関係に複数の保持片42sが突設されている。この場合、複数の保持片42sに沿って払出装置30を嵌め込んだ状態で、レールユニット34の流出口F1,F2に向けて押し込むことで、設置領域42Pに払出装置30を取り付けることができる(図3)。ところで、このような払出装置30は、例えばメンテナンスや交換の際に、図21に示すように、裏上部ベース42の設置領域42Pから取り外される場合がある。このとき、レールユニット34の各流路R1,R2内に遊技球が残留している場合には、その遊技球が流出口F1,F2からこぼれ落ちてしまう(遊技球の球漏れ)。
【0073】
そこで、このような遊技球の球漏れを防止するために、レールユニット34には、払出装置30が設置領域42Pから取り外された際に、2本の流路R1,R2を流出口F1,F2に向けて流下する遊技球を堰き止めるストッパユニット100(図21)が設けられている。ストッパユニット100は、レールユニット34の流出口F1,F2寄りの位置に着脱自在に係合して取り付けられており、図22に示すように、レールユニット34からストッパユニット100を取り外すことにより、当該レールユニット34の各流路R1,R2内に残留している遊技球の球抜き処理を効率良く且つスムーズに行うことが可能となる。なお、レールユニット34には、2本の流路R1,R2を囲むように側壁34wが対向して立ち上げられており、その流出口F1,F2寄りの側壁34w相互間には、ストッパユニット100を取り付けるための上部開口34kが構成されている。
【0074】
図23〜図27に示すように、ストッパユニット100は、レールユニット34(図22)の上部開口34kに沿った形状を成す上面プレート100tと、上面プレート100tの両側に対向配置された側面プレート100sと、レールユニット34の流出口F1,F2の上部側を一部覆うように配置された正面プレート100fとを備えて構成されている。また、上面プレート100tには、その両縁にそれぞれ複数(図面では一対)の位置決め係合部材102が設けられていると共に、側面プレート100sには、取付係合部材104がそれぞれ1つ設けられている。この場合、位置決め係合部材102は、その基端が上面プレート100tに固定され、その先端がレールユニット34の側壁34w(図21)を跨ぐように折り返されている。取付係合部材104は、レールユニット34の側壁34wにそれぞれ1つ形成された係合孔34h(図21)に向けて突出している。
【0075】
この構成によれば、ストッパユニット100をレールユニット34の上部開口34kに挿入すると、位置決め係合部材102が側壁34w上端に当接して係合すると共に、取付係合部材104が係合孔34hに入り込んで係合する。これにより、ストッパユニット100をレールユニット34の上部開口34kに位置決めして取り付けることができる。これに対し、ストッパユニット100をレールユニット34から取り外す場合には、取付係合部材104と係合孔34hとの係合状態を解除させて、ストッパユニット100をレールユニット34の上部開口34kから引き抜くことで、簡単に取り外すことができる。
【0076】
また、ストッパユニット100には、レールユニット34の2本の流路R1,R2にそれぞれ対向した位置に、各流路R1,R2に向けて立ち上げられた一対の傾斜部100Pが当該流路R1,R2に沿って延設されており、各傾斜部100Pの立ち上げ寸法は、流路R1,R2の流出口F1,F2に向うに従って徐々に大きく設定されている。これにより、各傾斜部100Pの立上端面(各流路R1,R2に対向する面)には、流路R1,R2の流出口F1,F2に向うに従って下り勾配を成す傾斜面1Ps,2Ps,3Psが形成される。なお、図面では一例として3段階に傾斜させた3つの傾斜面1Ps,2Ps,3Psによって各傾斜部100Pの立上端面を構成しているが、1つの傾斜面、2つの傾斜面或いは4つ以上の傾斜面によって各傾斜部100Pの立上端面を構成しても良い。
【0077】
この構成によれば、レールユニット34の流路R1,R2を流出口F1,F2に向って流下する遊技球の流下可能領域は、それぞれ、各傾斜部100Pの立上端面(傾斜面1Ps,2Ps,3Ps)によって流出口F1,F2に向うに従って狭められ、流出口F1,F2付近では、遊技球が1個ずつ整列して流下できる程度に絞られている。また、レールユニット34には、上部開口34kの上流側に隣接して、球均し部材Ub(図22及び図26)が設けられており、球均し部材Ubには、2本の流路R1,R2に沿って下流方向に延出した一対の球均しプレート1Ub,2Ubが設けられている。
【0078】
この場合、ストッパユニット100をレールユニット34の上部開口34kに取り付ける際に、一対の球均しプレート1Ub,2Ubは、一対の傾斜部100Pの上流側に隣接したガイドQ(図24及び図25)によって流路R1,R2方向に押圧され、傾斜面1Psに連続して安定する。これにより、球均しプレート1Ub,2Ubから立上端面(傾斜面1Ps,2Ps,3Ps)に亘って一連の球均し面が構成される。この結果、レールユニット34の各流路R1,R2を相互に重なり合った状態で流下している複数の遊技球は、球均しプレート1Ub,2Ubから立上端面(傾斜面1Ps,2Ps,3Ps)に沿って均されながら流出口F1,F2に向ってスムーズに流下する。
【0079】
更に、上述したストッパユニット100は、遊技球の流下可能領域内に入り込んだ閉鎖位置(図23及び図27の点線で示す位置)と流下可能領域外に回避した開放位置(図23及び図27の実線で示す位置)とに向けて回動可能に軸支されたストッパ106と、ストッパ106を閉鎖位置に向けて常時付勢する弾性部材108と、ストッパ106に係合され且つ設置領域42P(図21)に向けて延出されていると共に、設置領域42P側から押圧力を付与することにより、ストッパ106を弾性部材108の付勢力に抗して閉鎖位置から開放位置に向けて回動させる押圧部材110とを備えている。
【0080】
ストッパ106は、レールユニット34の各流路R1,R2に向けて立ち上げられた一対の傾斜部100Pの間に介在されており、各傾斜部100P相互から内方に向けて且つ互いに対向して突設された一対の回動軸112に軸支されている。具体的に説明すると、ストッパ106は、各回動軸112に回動自在に嵌合した一対の軸受Brを有する回動中心部106mと、回動中心部106mから上面プレート100tに向けて延出し且つ押圧部材110の基端110eが当接された作動部106fと、回動中心部106mから正面プレート100fの下端に向けて延出した堰き止め部106sとを備えている。また、堰き止め部106sには、その延出端から下方(流路R1,R2方向)に向けて突出した堰き止め片106tが設けられている。
【0081】
弾性部材108(例えば、ねじりコイルばね)は、一方側の回動軸112に巻回されており、その一端108aが一方側の傾斜部100Pに係止され、その他端108bが回動中心部106mに係止されている。これにより、図27の点線で示すように、ストッパ106は、弾性部材108の付勢力によって回動軸112回りに回動して、その堰き止め部106sの堰き止め片106tが流路R1,R2に向けて回動する方向に付勢された状態に維持される。
【0082】
押圧部材110は、円柱形状を成しており、ストッパ106の作動部106fに当接した基端110eから正面プレート100fを貫通して延出し、その延出端には、設置領域42P側から押圧力を受けるための押圧面110tが形成されている。また、押圧部材110は、正面プレート100fに固定されたホルダ114の貫通孔114h(図25)に挿通された状態で支持されており、貫通孔114hに沿って移動自在に構成されている。
【0083】
ところで、弾性部材108の付勢力によってストッパ106が回動すると、その作動部106fが回動して押圧部材110の基端110eを押圧することにより、当該押圧部材110が正面プレート100fから押し出されることになる。このとき、押圧部材110に対する作動部106fの押圧力によっては、押圧部材110が正面プレート100fから抜け出して脱落する虞がある。そこで、押圧部材110には、その基端110eとホルダ114との間に、環状の脱落防止部材116が取り付けられている。これにより、押圧部材110が作動部106fによって押し出されても、図27の点線で示すように、脱落防止部材116がホルダ114に当て付くことで、それ以上、押圧部材110が移動するのを抑止することができる。従って、押圧部材110が正面プレート100fから抜け出して脱落することは無い。
【0084】
ここで、上述したストッパユニット100をレールユニット34の上部開口34kに取り付けた状態において、払出装置30(図3)を設置領域42Pに設置した際に、払出装置30によって押圧部材110に押圧力を付与すると、図27の実線で示すように、押圧部材110がホルダ114の貫通孔114h(図25)に沿って正面プレート100fから押し込まれる。このとき、作動部106fに対する押圧部材110の押し込み量に応じて、ストッパ106が弾性部材108の付勢力に抗して閉鎖位置から開放位置に向けて回動する。この結果、堰き止め部106sの堰き止め片106tが流下可能領域外に回避する(図27及び図28の実線参照)。これにより、各流路R1,R2を流下した遊技球S(図28の二点鎖線参照)は、その流出口F1,F2から払出装置30に向けて流出される。
【0085】
これに対して、払出装置30を設置領域42Pから取り外すと、払出装置30によって押圧部材110に付与されていた押圧力が解除される。このとき、ストッパ106が弾性部材108の付勢力によって開放位置から閉鎖位置に向けて回動し、これに伴って、図27の点線で示すように、作動部106fが回動して押圧部材110の基端110eを押圧することにより、当該押圧部材110が正面プレート100fから押し出される。この結果、堰き止め部106sの堰き止め片106tが流下可能領域内に入り込む(図27及び図28の点線参照)。
【0086】
ところで、2本の流路R1,R2間に立ち上げられた壁部44は、各流路R1,R2をそれぞれ流下する遊技球S(図28の二点鎖線参照)よりも低い位置に設定されている。具体的には、壁部44の頂部44tの高さは、各流路R1,R2を流下する遊技球Sよりも低く設定されている。この場合、流下可能領域内に入り込んだストッパ106(堰き止め部106s)の堰き止め片106tは、壁部44の頂部44tに当接し、その状態で安定して位置決めされる。また、堰き止め部106sの堰き止め片106tは、各流路R1,R2相互を横断して延在されている。これにより、各流路R1,R2を流出口F1,F2に向けて流下した遊技球S(図28の二点鎖線参照)は、堰き止め片106tによって流出口F1,F2の直前で同時に堰き止められる。
【0087】
以上、本実施の形態によれば、払出装置30を設置領域42Pから取り外した際に、弾性部材108の付勢力によってストッパ106が遊技球S(図28の二点鎖線参照)の流下可能領域内に自動的に入り込むことにより、レールユニット34の各流路R1,R2を流出口F1,F2に向けて流下する遊技球を確実に堰き止めることができる。このとき必要となる操作は、払出装置30の取り外し操作のみであり、特段の操作を別途行う必要は無い。このため、遊技球Sの球漏れを簡単に防止することができる。
【0088】
また、本実施の形態によれば、ストッパユニット100に傾斜部100Pを延設したことによって、各流路R1,R2を流下している複数の遊技球は、傾斜部100Pによって均されながら流出口F1,F2に向って流下する。この場合、遊技球相互が重なり合ったままで流下すると、球詰まりの原因となるが、このような重なり合った複数の遊技球を傾斜部100Pによって均しながら流下させることができる。これにより、各流路R1,R2を流下している複数の遊技球を流出口F1,F2に向けてスムーズに流下させることができる。
【0089】
更に、本実施の形態によれば、2本の流路R1,R2のそれぞれに遊技球を流下させることができるため、多数の遊技球を短時間に効率良く払い出すことができる。また、ストッパ106(堰き止め部106s)の堰き止め片106tを各流路R1,R2相互を横断して延在させたことにより、1つのストッパ106によって各流路R1,R2を流下する遊技球を同時に堰き止めることができる。この場合、払出装置30を取り外した際にストッパ106を壁部44の頂部44tに当接させることにより、ストッパ106を閉鎖位置に安定して位置決めすることができる。これにより、遊技球の球漏れを確実に防止することができる。
【0090】
また、上述した実施の形態では、払出装置30によって押圧部材110の押圧面110tに押圧力を付与する部分について特に言及しなかったが、払出中間ベース46のレールユニット34側に押圧部118(図5〜図7)を設け、当該押圧部118から押圧面110tに押圧力を付与するようにすることが好ましい。この場合、払出中間ベース46は、押圧部材110の押圧方向に沿って板状に延在しており、払出装置30の他の構成に比べて押圧方向に沿って高い剛性を奏する。これにより、押圧面110tに対する押圧力付与を確実に行うことができる。また、払出装置30の耐久性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0091】
44 壁部
100 ストッパユニット
106 ストッパ
108 弾性部材
110 押圧部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技球が流下する流路と、前記流路に沿って延出した少なくとも1つの壁部と、前記流路を流下した前記遊技球を流出させる流出口とを有し、前記流路は、前記壁部によって互いに並列した複数の流路に分けて構成され、前記壁部は、複数の前記流路をそれぞれ流下する前記遊技球の半径よりも高く、直径よりも低い位置に設定されるレールユニットと、
所定の設置領域に対して着脱可能に設置され、且つ前記レールユニットの前記流出口から流出した前記遊技球を受け入れて、その受け入れた前記遊技球を用いて所定数の前記遊技球の払い出しを行う払出装置と、
前記払出装置が前記設置領域から取り外された際に、前記流路を流下する前記遊技球を堰き止めるストッパユニットとを具備し、
ストッパユニットは、
前記流路を流下する前記遊技球の流下可能領域内に入り込んで前記遊技球を堰き止める閉鎖位置と、前記流下可能領域外に回避して前記遊技球を前記流出口から流出させる開放位置とに向けて変位可能に軸支されたストッパと、
前記ストッパを前記閉鎖位置に向けて常時付勢する弾性部材と、
前記ストッパに係合され且つ前記設置領域に向けて延出されていると共に、前記設置領域側から押圧力を付与することにより、前記ストッパを前記弾性部材の付勢力に抗して前記閉鎖位置から前記開放位置に向けて変位させる押圧部材とを備え、
前記ストッパユニットには、前記レールユニットの前記流路に対向した位置に、前記流路に向けて立ち上げられた傾斜部が前記流路に沿って延設されており、前記傾斜部の立ち上げ寸法を、前記流路の前記流出口に向うに従って徐々に大きく設定することで、前記流路の前記流出口に向うに従って下り勾配を成す傾斜面が形成されていると共に、
前記ストッパユニットの上流側には、これに隣接して球均し部材が設けられており、
前記球均し部材は、前記流路に沿って下流方向に延出した球均しプレートを備え、
前記球均しプレートは、前記傾斜部の上流側に隣接したガイドによって前記流路方向に押圧され、前記傾斜面に連続して安定し、前記傾斜部とともに一連の球均し面を構成し、
前記ストッパユニットの前記ストッパは、複数の前記流路相互を横断して延在されており、前記払出装置を前記設置領域から取り外した際に、前記払出装置によって前記押圧部材に付与されていた押圧力が解除され、前記ストッパが前記弾性部材の付勢力によって前記開放位置から前記閉鎖位置に向けて変位して前記壁部の頂部に当接することにより、複数の前記流路のそれぞれを前記流出口に向けて流下する前記遊技球を同時に堰き止めることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記ガイドには、前記流路の前記流出口に向うに従って下り勾配を成すガイド傾斜面が形成され、
前記ガイド傾斜面の前記流路に対する傾斜角度は、前記ガイド傾斜面に隣接する前記傾斜部の傾斜面の前記流路に対する傾斜角度よりも小さい角度であることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項1】
複数の遊技球が流下する流路と、前記流路に沿って延出した少なくとも1つの壁部と、前記流路を流下した前記遊技球を流出させる流出口とを有し、前記流路は、前記壁部によって互いに並列した複数の流路に分けて構成され、前記壁部は、複数の前記流路をそれぞれ流下する前記遊技球の半径よりも高く、直径よりも低い位置に設定されるレールユニットと、
所定の設置領域に対して着脱可能に設置され、且つ前記レールユニットの前記流出口から流出した前記遊技球を受け入れて、その受け入れた前記遊技球を用いて所定数の前記遊技球の払い出しを行う払出装置と、
前記払出装置が前記設置領域から取り外された際に、前記流路を流下する前記遊技球を堰き止めるストッパユニットとを具備し、
ストッパユニットは、
前記流路を流下する前記遊技球の流下可能領域内に入り込んで前記遊技球を堰き止める閉鎖位置と、前記流下可能領域外に回避して前記遊技球を前記流出口から流出させる開放位置とに向けて変位可能に軸支されたストッパと、
前記ストッパを前記閉鎖位置に向けて常時付勢する弾性部材と、
前記ストッパに係合され且つ前記設置領域に向けて延出されていると共に、前記設置領域側から押圧力を付与することにより、前記ストッパを前記弾性部材の付勢力に抗して前記閉鎖位置から前記開放位置に向けて変位させる押圧部材とを備え、
前記ストッパユニットには、前記レールユニットの前記流路に対向した位置に、前記流路に向けて立ち上げられた傾斜部が前記流路に沿って延設されており、前記傾斜部の立ち上げ寸法を、前記流路の前記流出口に向うに従って徐々に大きく設定することで、前記流路の前記流出口に向うに従って下り勾配を成す傾斜面が形成されていると共に、
前記ストッパユニットの上流側には、これに隣接して球均し部材が設けられており、
前記球均し部材は、前記流路に沿って下流方向に延出した球均しプレートを備え、
前記球均しプレートは、前記傾斜部の上流側に隣接したガイドによって前記流路方向に押圧され、前記傾斜面に連続して安定し、前記傾斜部とともに一連の球均し面を構成し、
前記ストッパユニットの前記ストッパは、複数の前記流路相互を横断して延在されており、前記払出装置を前記設置領域から取り外した際に、前記払出装置によって前記押圧部材に付与されていた押圧力が解除され、前記ストッパが前記弾性部材の付勢力によって前記開放位置から前記閉鎖位置に向けて変位して前記壁部の頂部に当接することにより、複数の前記流路のそれぞれを前記流出口に向けて流下する前記遊技球を同時に堰き止めることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記ガイドには、前記流路の前記流出口に向うに従って下り勾配を成すガイド傾斜面が形成され、
前記ガイド傾斜面の前記流路に対する傾斜角度は、前記ガイド傾斜面に隣接する前記傾斜部の傾斜面の前記流路に対する傾斜角度よりも小さい角度であることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2013−66733(P2013−66733A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−259915(P2012−259915)
【出願日】平成24年11月28日(2012.11.28)
【分割の表示】特願2007−130742(P2007−130742)の分割
【原出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(598098526)株式会社ユニバーサルエンターテインメント (7,628)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月28日(2012.11.28)
【分割の表示】特願2007−130742(P2007−130742)の分割
【原出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(598098526)株式会社ユニバーサルエンターテインメント (7,628)
【Fターム(参考)】
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