遊技機
【課題】遊技者が、所定限度内の遊技を安心して楽しむことができる遊技機を提供する。
【解決手段】遊技者が所定金額を前払いしたことを含む定額入金情報を受信する受信手段(ステップS411等)と、定額入金情報に基づいて、遊技者の利益としての持球数に無関係な遊技限度条件を設定する遊技限度設定手段(ステップS425等)と、定額入金情報を受信したことを必要条件として、定額入金情報に基づく定額遊技を可能とし、設定された遊技限度条件が成立すると、定額遊技を不能として遊技を終了させる遊技制御手段(ステップS422、S50、S434、S57等)としての機能を、封入球制御装置102等に設ける。
【解決手段】遊技者が所定金額を前払いしたことを含む定額入金情報を受信する受信手段(ステップS411等)と、定額入金情報に基づいて、遊技者の利益としての持球数に無関係な遊技限度条件を設定する遊技限度設定手段(ステップS425等)と、定額入金情報を受信したことを必要条件として、定額入金情報に基づく定額遊技を可能とし、設定された遊技限度条件が成立すると、定額遊技を不能として遊技を終了させる遊技制御手段(ステップS422、S50、S434、S57等)としての機能を、封入球制御装置102等に設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機などの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機がある(例えば特許文献1参照)。このような従来の遊技機は、例えば特許文献2に記載されているように、遊技球1個当りの定められた貸球金額に基づき、一定金額毎に貸し出された一定球数の遊技球(例えば100円で25個)を、定められた時間(1分間に100個以下)毎に遊技領域に発射し、遊技の結果として遊技球を獲得するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3832672号
【特許文献2】特開2000−84228号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の遊技機においては、遊技者は、想定外の球数の遊技球を獲得することもあるが、逆に想定外の金額を費やしてしまうこともある。例えば、400円/分(=100個/分×4円)を使用する可能性がある。つまり遊技者の想定する所定の金額で安心して遊技を楽しむことが難しいという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、遊技者の想定する所定の金額で安心して遊技を楽しむことが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、
所定の発射位置に導かれた遊技球を遊技領域内に発射して遊技を行うことが可能であるとともに、前記遊技領域に発射された遊技球による遊技結果に応じて遊技者の利益を増加させる制御装置を備え、前記遊技領域を経た遊技球を回収して前記発射位置に再び導くことにより、遊技球を循環使用可能な遊技機において、
前記制御装置は、
遊技者が所定金額を前払いしたことを含む定額入金情報を受信する受信手段と、
前記定額入金情報に基づいて、前記遊技者の利益としての持球数に無関係な遊技限度条件を設定する遊技限度設定手段と、
前記受信手段により前記定額入金情報を受信したことを必要条件として、前記定額入金情報に基づく遊技を可能とし、前記遊技限度設定手段により設定された遊技限度条件が成立すると、前記定額入金情報に基づく遊技を不能として当該遊技を終了させる遊技制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、
前記遊技限度条件は、
前記定額入金情報に基づく遊技開始からの経過時間が所定の遊技可能最大時間に到達すること、又は、前記定額入金情報に基づく遊技球の発射数が所定の発射可能最大数に到達すること、のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、
前記遊技限度条件が今後どの程度で成立するかが分かる情報(例えば、前記経過時間又は前記発射数に関する情報)を逐次更新して遊技者に報知する遊技進行度報知手段を備えることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、
前記制御装置は、
前記遊技者の利益としての持球数が所定の打ち止め個数に到達すると、前記遊技限度条件が成立していなくても、前記定額入金情報に基づく遊技を不能として当該遊技を終了させる打ち止め制御手段を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項5記載の発明は、
前記制御装置は、
前記遊技者の利益としての持球数を記憶する持球数記憶手段と、
前記定額入金情報に基づいて前記持球数の初期値を前記持球数記憶手段に設定する持球数初期値設定手段と、
遊技球を発射する毎に前記持球数を減少させる持球数減算手段と、
前記遊技領域に発射された遊技球による遊技結果として所定数の賞球が発生すると、当該賞球数に対応させて前記持球数を増加させる持球数加算手段と、を備え、
前記遊技制御手段は、前記遊技限度設定手段により設定された遊技限度条件が成立していない場合には、前記持球数の値がマイナスであっても、前記定額入金情報に基づく遊技を継続可能とすることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、
前記持球数に対応する情報を遊技者に報知する持球数報知手段を備え、この持球数報知手段は、前記持球数の値がマイナスになると、前記持球数の値がマイナスであることを遊技者が識別できる態様で前記情報を報知することを特徴とする。
請求項7記載の発明は、
前記定額入金情報に基づく遊技の開始時に、前記定額入金情報に基づく遊技限度条件が成立するまでの範囲での遊技が可能であることを含む遊技説明情報を遊技者に報知し、前記定額入金情報に基づく遊技の終了時に、前記定額入金情報に基づく遊技が終了することを含む遊技説明情報を遊技者に報知する遊技説明報知手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、遊技者は、所定金額を前払いすることによって、所定限度内(所定の遊技限度条件が成立するまでの範囲内)の遊技を安心して楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】パチンコ機の前面側斜視図である。
【図2】パチンコ機の遊技盤の前面図である。
【図3】パチンコ店のシステム構成図である。
【図4】パチンコ機の制御系を示すブロック図である。
【図5】遊技制御装置のメイン処理を示すフローチャートである。
【図6】タイマ割込み処理を示すフローチャートである。
【図7】遊技開始判定処理を示すフローチャートである。
【図8】遊技終了判定処理を示すフローチャートである。
【図9】特図ゲーム処理を示すフローチャートである。
【図10】特図普段処理を示すフローチャートである。
【図11】特図1変動開始処理1を示すフローチャートである。
【図12】特図1大当り判定処理を示すフローチャートである。
【図13】特図1停止図柄設定処理を示すフローチャートである。
【図14】大当り終了処理を示すフローチャートである。
【図15】特図表示中処理を示すフローチャートである。
【図16】特図表示中処理を示すフローチャートである。
【図17】賞球コマンド送信処理を示すフローチャートである。
【図18】始動口スイッチ監視処理を示すフローチャートである。
【図19】始動口入賞時共通処理を示すフローチャートである。
【図20】封入球制御装置の定額遊技制御処理を示すフローチャートである。
【図21】遊技開始監視処理を示すフローチャートである。
【図22】遊技開始ACK受信待ち処理を示すフローチャートである。
【図23】遊技終了監視処理を示すフローチャートである。
【図24】発射球検出スイッチ監視処理を示すフローチャートである。
【図25】ファール球検出スイッチ監視処理を示すフローチャートである。
【図26】賞球コマンド受信処理を示すフローチャートである。
【図27】アウト球検出スイッチ監視処理を示すフローチャートである。
【図28】操作・表示パネルの画面例を示す図である。
【図29】表示装置の画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の実施例1として、本発明を封入球式遊技機であるパチンコ機に適用した場合の形態例を、図面を参照して説明する。
A.パチンコ機の正面構成
最初に、図1によって本例のパチンコ機の全体構成について説明する。図1は本例のパチンコ機1(封入球式遊技機)の前面側斜視図である。
【0012】
このパチンコ機1は、いわゆる封入球式遊技機と称されるもので、遊技の進行を管理制御する遊技制御装置(図4参照)を備え、遊技機本体内に所定数(例えば、30個)の遊技球を封入しておき、遊技媒体貸出装置としてのカードユニット(CRユニット)より入力された情報(球貸し情報、或いは後述する定額入金情報)に基づき、前記封入された遊技球を遊技領域内に発射して遊技を行い、その遊技結果が所定の利益状態あるいはそれ以外の状態であるかの判定を行い、所定の利益状態の場合には所定数の賞球数に対応させて遊技者の利益(持球数)を増加させ、かつ遊技領域を経た遊技球を回収して発射位置に導くことにより、この封入された遊技球を循環使用してパチンコ遊技を行う機構になっている。また、このパチンコ機1は、遊技者が所定金額を前払いしたことを含む定額入金情報に基づいて、遊技者の利益としての持球数に無関係な所定の遊技限度条件(発射数が発射可能最大数に到達すること)が成立するまでの範囲内で遊技が可能となる機能を有し、以下では、この機能により実行される遊技(前記定額入金情報に基づく遊技)を定額遊技という。
【0013】
パチンコ機1は、当該パチンコ機1が設置される島に対して固定される機枠2と、この機枠2にヒンジ部3において回動可能に軸支されることによって、機枠2に対して開閉自在とされた前面枠4とを備える。この前面枠4には、遊技盤20(図2に示す)が取り付けられている。
【0014】
また前面枠4には、その前面上側を覆うようにガラス枠5が開閉自在に取付けられている。なお、このガラス枠5により保持されるガラス板(透明のプラスチックボードでもよい、符号は省略)を介して、遊技盤20の後述する遊技領域22が前面から視認可能となっている。またガラス枠5は、ヒンジ部3において前面枠4に開閉可能に軸支されている。
ここで、前面枠4は遊技枠という名称で呼称され、ガラス枠5は前枠という名称で呼称されることもあるが、本実施例では前面枠4、ガラス枠5で説明している。
【0015】
このガラス枠5の下側には下部パネル6が設けられ、下部パネル6には操作・表示パネル7が配置されている。操作・表示パネル7は、遊技限度条件が今後どの程度で成立するかが分かる情報(遊技球の発射数に関する情報)を逐次更新して遊技者に対して報知する遊技進行度報知手段、持球数に対応する情報を遊技者に対して報知する持球数報知手段、及び定額遊技の少なくとも開始時と終了時に遊技説明情報を報知する遊技説明報知手段を構成する(詳細は図28によって後述する)。
【0016】
また、パチンコ機1には遊技媒体貸出装置としてのカードユニット15(CRユニット:カード式球貸制御ユニット)が併設されている。カードユニット15は、カード挿入口16を有する。そして、一般の遊技(定額遊技でない遊技)の場合、このカード挿入口16に一般の遊技カード(後述する定額遊技カード除く)を挿入して、遊技者が例えば前記操作・表示パネル7に表示される球貸ボタン(図示省略)を操作することにより、所定度数の球貸し(持球数の増加)を行えるようになっている。
【0017】
また、定額遊技の場合には、後述するカード発行機52(図3)に遊技者が所定金額を投入して得た定額遊技用の遊技カード(以下、定額遊技カードという)を、遊技者がこのカードユニット15のカード挿入口16に挿入すると、この定額遊技カードに記憶された定額遊技に関する情報(即ち、遊技者が定額遊技のための所定金額を前払いしたことを含む定額入金情報)がパチンコ機1に送信され、パチンコ機1で定額遊技が可能となる構成となっている。なお、定額遊技カードに記憶されパチンコ機1に送信される前記定額入金情報は、遊技者が定額遊技をするための所定金額を前払いしたこと自体を示す情報である必要は必ずしもなく、遊技者が定額遊技をするための所定金額を前払いしたことと等価な情報(例えば、その所定金額に対応した種類の定額遊技が実行可能であることを示す情報、或いは当該定額遊技の実行を指令する情報)であってもよい。なお、定額遊技カードには、その他の情報も記憶可能であってもよい。例えば本例では、定額遊技終了時に定額遊技の結果として遊技者がプラスの持球数を獲得した場合、一般の遊技カードと同様に、その持球数のデータを定額遊技カードに記憶して景品交換等に利用できる構成となっている。
【0018】
図2に示すように、遊技盤20は、板状の基材(いわゆるベニア)の前面に遊技釘を植設したもので、その前面の略円形領域がガイドレール21で囲まれることにより遊技領域22が形成されたものである。遊技領域22は、打ち込まれた遊技球を上方から落下させつつアウトあるいはセーフの判定(入賞したか否かの判定)を行う領域であり、入賞口に遊技球が入って有効にセーフとなる場合は、入賞口の種類に応じて設定されている所定数の遊技球のデータが賞球として遊技者の持球数に加算される構成となっている。
また、図1に戻って、前面枠4の開閉側(図1において右側)の縁部には、前面枠4及びガラス枠5の施錠装置(図示省略)の鍵挿入部8が形成されている。
【0019】
また、ガラス枠5の下部に設けられた操作・表示パネル7は、例えば液晶表示器からなり、メッセージ、持球数、発射可能数などを表示したり、遊技の精算などの操作を行うためのものである(詳細は図28参照)。操作・表示パネル7の横には、遊技者が操作する押ボタン式の演出操作スイッチ9(図1及び図4参照)が設けられている。
また、下部パネル6には、効果音等を出力する下スピーカ10と、遊技球の発射操作を行う発射操作ハンドル11とが設けられている。
【0020】
さらに、図1において、符号12で示すものは、ガラス枠5の前面に設けられたLED(発光ダイオード)を発光源とする装飾ランプであり、符号13で示すものは、ガラス枠5の上部前面に設けられた複数のムービングライトである。図示省略しているが、ムービングライト13は、発光源としてLEDを備え、駆動源としてモータを備えている。ここで、装飾ランプ12とムービングライト13は図4に示す装飾表示LED141を構成する。
また、図1において、符号14a、14bで示すものは、ガラス枠5の上部左右両側に設けられた効果音等を出力する上スピーカである。
【0021】
B.遊技盤の前面構成
図2において、符号21は遊技盤20のガイドレールであり、既述したように、遊技盤前面の略円形領域がこのガイドレール21で囲まれることにより遊技領域22が形成されている。
遊技領域22には、図2に示すように、アウト球流入口23、センターケース24、第1始動入賞口25、普通電動役物(普電)としての第2始動入賞口26、変動入賞装置27、一般入賞口28〜31、普図始動ゲート32、多数の遊技釘(図示省略)などが設けられている。また、遊技盤20の遊技領域22外には、一括表示装置35が設けられている。なお遊技釘は、遊技領域22の上部に飛入した遊技球がこれに当たりながら流下するものであり、センターケース等の取付部分を除いた遊技領域内に複数本植設されている。
【0022】
センターケース24は、遊技盤20の裏側に取り付けられる表示装置41(図4に示す)の表示部41a(図2に示す)の前面周囲を囲む部材である。図示省略しているが、このセンターケース24には、演出又は装飾のためのLEDを発光源とするランプ類や、例えば表示装置41における演出表示と協働して演出効果を高める電動役物(モータやソレノイドなどの駆動源によって作動する可動部を有する役物)が設けられている。
なお、演出又は装飾のためのランプ類は、遊技盤20のセンターケース24以外の部分(遊技領域22外でもよい)にも設けられる。なお、遊技盤20(センターケース24含む)に設けられた演出又は装飾のためのランプ類は、盤装飾装置を構成する。また、センターケース24に設けられた電動役物は、盤演出装置を構成する。なお、盤演出装置を構成する電動役物は、遊技盤20のセンターケース24以外の箇所に設けられてもよい。
【0023】
表示装置41は、例えば液晶表示装置を含んで構成され、通常、変動表示装置と称されるものである。なお、表示装置41の名称としては、同様の機能を持つ部材の呼び名として、例えば特図表示装置、図柄変動装置、可変図柄表示装置、識別情報変動装置、識別情報変動表示装置など各種あるが、機能が同じものは同一の範疇である。
表示装置41は、数字や文字などの識別情報(特図という)を表示可能な表示部41a(画面)を有し、複数列の特図を表示可能である。例えば、左側と中央と右側に特図を縦3列に表示し、各列において数字や文字等よりなる特図を停止状態で表示(停止表示)したり、あるいは変動状態(例えば、縦方向にスクロールする状態)で表示(即ち、変動表示)したりすることが可能である。
【0024】
また、後述の図29に詳細を示すように、表示部41a(画面)には「定額遊技」などのメッセージも表示可能になっている。即ち本例の場合、表示装置41は、定額遊技の少なくとも開始時と終了時に遊技説明情報を報知する遊技説明報知手段を構成する。
さらに表示部41aには、上記特図とは別個に背景画像やキャラクタ画像などの演出用又は情報報知用の画像、或いは、いわゆる普図に相当する画像が表示可能である。なお、特図とは大当りに関連する変動表示ゲームで変動表示される識別情報であり、普図とは普図当り(大当りではない)に関連する変動表示ゲームで変動表示される識別情報である。
【0025】
また始動入賞口25,26は、後述するように特図の始動入賞口として機能する入賞口であり、本例では図2に示すように上下に並んで配設されている。上側の第1始動入賞口25は常に開口している。下側の第2始動入賞口26は、開閉部材26aを左右両側に有し、これら開閉部材26aが逆ハの字状に開くと入賞可能になり、図2に示すようにこれら開閉部材26aが閉じていると入賞不可能である。これら始動入賞口25,26は、センターケース24の中央部下方に配置されている。
【0026】
なお、第2始動入賞口は普通電動役物(普電)ともいい、普通変動入賞装置に相当する。
また変動入賞装置27は、開閉部材27bによって開閉される大入賞口27aを有する装置(いわゆるアタッカー)である。この大入賞口27aは、後述する大当りになったことを条件として開放されて遊技球が入賞可能となる。
【0027】
前述したように、例えば表示装置41の表示部41a(画面)には、特図とは別に普図の画像も表示しており、普図ゲームについて説明すると、以下の通りである。この場合、表示装置41は普図表示装置に相当する。
遊技球が普図始動ゲート32を通過したとき、表示部41a等(表示装置41とは別に独自の普図表示器を配置してもよい)で普図の変動表示による普図の変動表示ゲーム(以下、普図変動表示ゲームという)が行われ、停止した普図が所定の態様(特定表示態様)であれば、普図当りと呼ばれる特典が付与される。
【0028】
普図当りになると、第2始動入賞口26の一対の開閉部材26aが逆ハの字に開いた開状態に、所定の開放時間だけ一時的に保持される遊技が行われ、遊技球が始動入賞し易くなり、その分、特図の変動表示ゲームの実施回数が増えて大当りになる可能性が増す。
また、上記普図の変動表示ゲーム中に、普図始動ゲート32にさらに遊技球が入賞したときには、表示部41a等(表示装置41とは別に独自の普図始動記憶表示器を配置してもよい)で普図始動記憶の保留表示が実行されて、例えば4個まで記憶され、普図の変動表示ゲームの終了後に、その記憶に基づいて上記普図の変動表示ゲームが繰り返される。なお、普図の確率を高確率にすれば、普図当たりしやすくなる。
【0029】
ここで、時短について説明しておくと、以下のようなものである。
時短は「時間短縮」の略で、大当たり終了後、特図や普図の変動時間を通常よりも短縮し、時間効率を高めるとともに、普図当たり確率を高めて普通電動役物(普電)(第2始動入賞口26)の開放(普電の開放時間を通常よりも長くすることも含む)による始動口への入賞のサポートを行うことで、一定の特図の変動表示ゲームの実施回数まで持ち玉(持球数)を減らさずに効率よく特図を変動させる機能である。以下では、このような時短が実行されている状態を、普電サポート状態又は時短状態という。
【0030】
次に一括表示装置35は、いわゆる普図の表示や特図の表示、さらには特図や普図の始動記憶の保留表示(場合により、特図保留表示、普図保留表示という)や、遊技状態の表示を行うものであり、例えばLEDを発光源とする複数の表示器(例えば、1個の小さなランプよりなる表示器、或いは本特図としての数字等を表示可能な例えば7セグメントの表示器)によって構成される。なお、始動記憶の保留表示(場合により、単に始動記憶表示という)とは、変動表示ゲームが未実施の状態で保留されている始動記憶の数等を報知するための表示であり、一般的には、始動記憶毎にランプ等の点灯によって表示する。即ち、始動記憶が3個有れば、3個のランプを点灯させたり、3個の図形を表示させたりすることによって行われる。
【0031】
なお、この一括表示装置35の表示器によって表示されるものが本特図や本普図(正式な特図や普図)であるのに対して、前述の変動表示装置41の表示部等で行われる特図や普図の表示は、遊技者向けの演出用のダミー表示である。このため、遊技者から見て特図や普図といえば、このダミー表示の方を指している。なお以下では、このダミー表示であることを強調する場合に、例えば「飾り特図」と表記する。
このように、この一括表示装置35は、遊技者に認識しにくいかもしれないが後述の遊技制御装置101が直接制御するもので、遊技盤20の検査などで使用されるものである。例えば、より遊技者に認識しやすい遊技者向けの特図の始動記憶の表示(特図保留表示)は、例えば前述したように変動表示装置41の表示部、或いは遊技盤20に設けた複数のランプ(発光部)によって行われる。
【0032】
C.遊技店のシステム構成
次に、図3は本実施例のパチンコ機1が多数設置された遊技店のシステム構成を示す図である。
図3において、遊技店にはカード管理装置51、カード発行機52、カード精算機53、ホールコンピュータ54、多数のパチンコ機1a乃至1n及びカードユニット15a乃至15nが配置されている。
カード管理装置51はカード会社(図示略)と電話回線(例えば、ISDN等のデジタル回線)で結ばれており、カード会社は、プリペイドカードを遊技カード(記憶媒体)として発行したり、遊技店における遊技カードに関する精算を行ったり、また、必要に応じてカード管理装置51の各種情報を受信したりする。遊技店は、カードの発行情報とか、必要な情報をカード会社から得たり、問い合わせる等のために電話回線を介してカード会社と接続されている。
【0033】
カード管理装置51はカード発行機52、カード精算機53、多数のカードユニット15a乃至15nに対して情報伝送路55を介して接続されている。カード管理装置51はカード発行機52、カード精算機53、多数のカードユニット15a乃至15nを端末装置として扱い、これらの各端末装置の情報を管理する制御を行うとともに、各端末装置に挿入/排出される遊技カードの識別情報に基づいて各遊技カードに記憶された金額情報および遊技価値情報と同等の情報を記憶管理するような制御を行う。
【0034】
カード発行機52はカード会社から購入したカードを遊技カードとして遊技者に発行するもので、一般の遊技に関しては例えば1000円、2000円、3000円、5000円の遊技価値を付加して遊技カードを発行する。カード発行機52はカード管理装置51との間で情報伝送路55を介して情報(例えば、遊技カードの売上情報等)の転送を行うとともに、遊技カードの発行に必要な制御を行う。
【0035】
本例の場合、前述した定額遊技カードも、上記遊技カードの1種類としてこのカード発行機52から遊技者に発行される。例えば、遊技者が3000円投入することによって1時間(厳密には、6000個発射まで)遊技可能な定額遊技カード(以下、定額遊技カード3000という)が発行可能である。なお、定額遊技カードとしては、例えば金額等が異なるものが複数種類(4000円の定額遊技カード4000、5000円の定額遊技カード5000など)発行可能であってもよい。
【0036】
カード精算機53は遊技カードの度数残高や持球数に基づいて、遊技カードを精算するためのもので、例えば度数残高に応じた金額を返却したり、景品交換に必要な制御を行ったり、また、カード管理装置51との間で情報伝送路55を介して情報(例えば、景品交換のための制御情報等)の転送を行う。なお、定額遊技カードの場合には、金額の返却は不可能である。また定額遊技カードは、本例では、定額遊技の遊技終了時に持球数がプラスの場合にのみ遊技者に返却され、この場合遊技者は、この返却された定額遊技カードをカード精算機53に挿入して操作することで、持球数に応じた景品交換が可能である。
【0037】
カードユニット15a乃至15nは、遊技カードが挿入されることにより、遊技カードの情報(金額データ、持球数データ等)を読み取って球貸しを行ったり、遊技者の獲得した持球数を遊技カードに記憶したりするもので、カード管理装置51との間で情報伝送路55を介して情報(例えば、球貸しや持球数の記録のための制御情報等)の転送を行うとともに、遊技カードによる球貸し等に必要な制御を行う。
カードユニット15a乃至15nはそれぞれパチンコ機1a乃至1nに併設されて配置されており、両者の間は信号やデータの伝送が可能になっている。
【0038】
なお、定額遊技カードがカードユニットに挿入された場合には、既述したように、定額遊技カードに記憶された定額入金情報が対応するパチンコ機に送信され、当該パチンコ機でその定額入金情報に応じた遊技限度条件の定額遊技が可能となる。例えば定額遊技カード3000であると、定額遊技の遊技限度条件として遊技可能発射数が6000個という条件が設定され、遊技球の発射頻度が1分間に100個以下であれば、持球数にかかわらず60分以上の遊技が可能となる。
ホールコンピュータ54は遊技店の管理室に設置されるとともに、各パチンコ機1a乃至1nに対して情報伝送路56を介して接続され、各パチンコ機1a乃至1nからの遊技データ等を収集して遊技店の営業管理を行うものである。具体的には、多数のパチンコ機1a乃至1nから必要なデータを収集して各種遊技状態に対応するデータを整理し、整理したデータをディスプレイに表示させたり、営業上必要なデータの演算処理を行う。
【0039】
D.制御系の構成
次に、本例のパチンコ機1の制御系について、図4を参照して説明する。なお図や以下の説明において、「SW」はスイッチを意味し、「SOL」はソレノイドを意味する。また、図面では部材の名称が長い場合に図示がしにくくなるので、適宜、短めにして表記(図示)することがある。
パチンコ機1は、制御系の主な構成要素として、遊技制御装置101、封入球制御装置102、演出制御装置103、発射制御装置104を備えている。これらの各装置及び図4に示す各電子部品には電源装置(図示略)から必要な電源が供給される。なお、遊技制御装置101と封入球制御装置102を一体化して遊技制御装置とした構成でもよい。
【0040】
(遊技制御装置関係)
まず、パチンコ機1の遊技制御装置101の構成と、この遊技制御装置101に接続される機器について説明する。
遊技制御装置101は、遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)であって、CPU111、ROM112、RAM113及び検査装置のための試射試験端子114を備えている。
【0041】
CPU111は、封入球遊技を管理する遊技プログラムを実行して遊技制御に必要な演算処理を行う。ROM112は、遊技プログラムを格納しており、RAM113は遊技プログラムに基づく処理を実行する際にワークエリア(作業領域)として用いられる。
なお、CPU111、ROM112、RAM113は、遊技用演算処理装置としての遊技用マイクロコンピュータに相当し、例えばアミューズメントチップ用のICとして製造されている。
試射試験端子114は、CPU111から得られる各種の遊技情報を検査装置に伝送するためのケーブルが接続される端子である。なお、この試射試験端子114及び関連部品は、試験機関で使用されるもので、遊技場で使用される遊技制御装置には未実装となる。
【0042】
遊技制御装置101には、第1始動口スイッチ120(図4では始動口1SW)、第2始動口スイッチ121(図4では始動口2SW)、ゲートスイッチ122、入賞口スイッチ123、カウントスイッチ124、枠開放スイッチ125からの検出信号が入力される。
第1始動口スイッチ120は前記第1始動入賞口25に入賞した遊技球を1個ずつ検出する入賞球検出用のセンサであり、第2始動口スイッチ121は前記第2始動入賞口26に入賞した遊技球を1個ずつ検出する入賞球検出用のセンサである。
【0043】
カウントスイッチ124は前記変動入賞装置27の大入賞口に入賞した遊技球を検出する同様のセンサである。また、入賞口スイッチ123は一般入賞口28〜31に対して設けられた同様のセンサであり、一般入賞口がn個あるときには、それぞれに1個ずつ、全体としてn個設けられる。なお、一般入賞口のそれぞれに1個ずつセンサを設けるのではなく、複数の一般入賞口に対して、全体で1個のセンサを設けるようにしてもよい。ゲートスイッチ122は前記普図始動ゲート32を通過する遊技球を1個ずつ検出するセンサである。
これら遊技球を検出する上記各センサ120、121、122、123、124は、本例では近接スイッチであり、ハイレベルが11Vでロウレベルが7Vのような負論理の検出信号を出力するように回路構成されている。
また、枠開放スイッチ125ははガラス枠5が開放されていることを検出するセンサである。
【0044】
次に、遊技制御装置101は、封入球制御装置102、演出制御装置103、普電ソレノイド131、大入賞口ソレノイド132、普図・特図表示器133、及び外部情報端子板134と接続されている。なお、普図・特図表示器133は、前述の一括表示装置35を構成する表示器である。
普電ソレノイド131は第2始動入賞口26の開閉部材を開閉させるソレノイド、大入賞口ソレノイド132は変動入賞装置27の開閉部材を開閉させるソレノイドである。遊技制御装置101は、これらの普電ソレノイド131、大入賞口ソレノイド132、普図・特図表示器133(一括表示装置35)に対して必要な制御信号を出力する。
また、遊技制御装置101は封入球制御装置102に対して封入球遊技に必要な制御情報を出力するとともに、封入球制御装置102からは遊技球の回収などに関する情報が入力されるようになっている。
さらに、遊技制御装置101からは演出制御装置103に対して、パラレル通信でデータ(例えば、演出コマンド)が送信されるようになっている。
【0045】
また、遊技制御装置101からは外部情報端子板134を介してホールコンピュータ54に遊技情報が出力される。遊技情報としては、例えば遊技制御装置101に入力された信号を外部へ知らせる信号や、遊技進行の過程で発生する大当りを知らせる大当り信号、図柄を変動させるための条件となる始動口への入賞を知らせる始動口信号、図柄が変動開始、或いは、図柄の変動停止をトリガに図柄変動を知らせる図柄確定回数信号、遊技状態が遊技者に有利な状態であること(いわゆる確変状態、時短状態)を示す特典状態信号等がある。
【0046】
(演出制御装置関係)
次に、演出制御装置103の構成と、この演出制御装置103に接続される機器について説明する。
演出制御装置103は、主制御用マイコン、該主制御用マイコンの制御下でもっぱら映像制御を行う映像制御用マイコン、表示装置41への映像表示のための画像処理を行うグラフィックプロセッサとしてのVDP、各種のメロディや効果音などの出力を制御する音源LSIなどを有しているが、細かい構成は略している。
【0047】
演出制御装置103は遊技制御装置101のCPU111からの制御コマンド(8ビットのデータ信号)を解析し、演出内容を決定して表示装置41の出力映像の内容を制御したり、音源LSIへの再生音の指示をして下スピーカ10及び上スピーカ14a、14bを駆動して効果音等を出したり、前述した装飾LED141の駆動制御などの処理を実行するとともに、演出操作スイッチ9からの信号に応じて演出内容を決定して演出の制御を行う。
【0048】
(封入球制御装置関係)
次に、封入球制御装置102の構成と、この封入球制御装置102に接続される機器について説明する。
封入球制御装置102は、封入球遊技に必要な制御を行うもので、主に封入球の発射から回収までの処理(球貸し制御も含む。以下同様)を行う第1CPU151、ROM152及びRAM153と、操作・表示パネル7に関連する処理を行う第2CPU154、ROM155、RAM156及びVDP157と、通信インターフェース158とを備えている。
第1CPU151は、封入球の発射から回収までの制御に必要な演算処理を行う。ROM152は、封入球の発射から回収までの制御に必要なプログラムを格納しており、RAM153は同プログラムに基づく処理を実行する際にワークエリア(作業領域)として用いられる。なお、第1CPU151、ROM152及びRAM153は、例えばアミューズメントチップ用のICとして製造されている。
【0049】
第2CPU154は、操作・表示パネル7に関連する制御に必要な演算処理を行う。ROM155は、操作・表示パネル7に関連する制御に必要なプログラムを格納しており、るRAM156は同プログラムに基づく処理を実行する際にワークエリア(作業領域)として用いられる。VDP157は操作・表示パネル7に表示する画像、キャラクタ、フォントを駆動制御する。
通信インターフェース158はカードユニット15と封入球制御装置102との間の通信をサポートする処理を行う。
なお、通信インターフェース158はパチンコ機1側とカードユニット15側との配線接続のための基板である。この基板で両者の配線接続がされていないと、パチンコ機1では遊技球の発射が不可能となるように制御される。
【0050】
封入球制御装置102には、発射球検出スイッチ161、ファール球検出スイッチ162、アウト球検出スイッチ163、第1封入球検出スイッチ164(図4では封入球検出1SW)、第2封入球検出スイッチ165(図4では封入球検出2SW)からの検出信号が入力される。
発射球検出スイッチ161は発射ボリューム(詳細は後述)の操作によって遊技領域22に発射された球を1個ずつ検出するセンサであり、ファール球検出スイッチ162は遊技領域22に達せずにファールとなった球を1個ずつ検出するセンサである。アウト球検出スイッチ163は遊技領域22から回収した球(アウト球及びセーフ球の両方を含む)を1個ずつ検出するセンサである。
【0051】
第1封入球検出スイッチ164は、遊技球として封入されている球数の上限を検出するセンサであり、第2封入球検出スイッチ165は遊技球として封入されている球数の下限を検出するセンサである。これは、封入球が当該パチンコ機1に過不足なく封入されてい必要性から、現状の封入球数が上限以下であること、また下限以上であることをチェックして、適正な範囲に封入球数があることを確認するために設けられているものである。
【0052】
封入球制御装置102では、上記各スイッチ161乃至165からの検出信号を受けて、封入球の発射から回収までの球の挙動監視、ファール球の有無、封入球数のチェック等の処理を行うとともに、カードユニット15から送られてくる球貸し情報などに基づいて操作・表示パネル7に貸し球を加えて遊技者の持球数を表示するなどの制御を行う。なお、定額遊技の場合には、カードユニット15から送られてくる定額入金情報を、封入球制御装置102が通信インターフェース158を介して受信し、さらにこの定額入金情報を受信した封入球制御装置102は、遊技制御装置101に遊技開始コマンドを送信し(後述するステップS412)、これを契機として各制御装置101、102において定額遊技のための制御処理(詳細後述する)が実行される。
【0053】
次に、封入球制御装置102は、遊技制御装置101、発射制御装置104、操作・表示パネル7、カードユニット15と接続されている。
遊技制御装置101からは封入球制御装置102に対して賞球信号が出力され、これを受けて封入球制御装置102では遊技者の利益である持球数を電子的に増加させ、操作・表示パネル7に表示させる等の制御を行う。
一方、封入球制御装置102から遊技制御装置101に対して、賞球加算のエラー信号などの情報が出力される。
【0054】
発射制御装置104は封入球制御装置102から発射許可信号、停電検出信号を受けるようになっている。発射制御装置104は発射ボリューム171の操作に従って遊技球を発射位置まで送る球送りソレノイド172及び発射位置にある遊技球を発射する発射ソレノイド173を制御するとともに、発射制御装置104にはタッチセンサ174や発射停止スイッチ175からの信号が入力されている。タッチセンサ174は遊技者が発射ボリューム171を操作する発射操作ハンドル11にタッチしているか否かを検出するものであり、発射停止スイッチ175は遊技球の発射を一時的に停止するもので、遊技者によって操作されるものである。
【0055】
なお、上記発射ソレノイド173を含み発射操作ハンドル11の操作に応じて発射位置(図示省略)にある遊技球を遊技領域に発射する装置を発射装置という。この発射装置は、発射制御装置104を介して封入球制御装置102や遊技制御装置101によって制御され、これら制御装置の制御処理によって遊技球の発射が許可されている状態でのみ遊技球を発射することができる。遊技球の発射が許可されていない状態(禁止されている状態)では、発射位置に遊技球があり遊技者が発射操作ハンドル11を操作しても遊技球は発射されない。また、本例のパチンコ機1は、機内に封入された遊技球を循環使用するタイプの遊技機(封入球式遊技機)であるため、遊技領域に発射された遊技球を回収して上記球送りソレノイド172の動作によって発射装置の発射位置に再び供給するための遊技球の循環装置としての構成(図示省略)を備えている。
【0056】
また、封入球制御装置102からはエラー表示LED176に対して所定の異常(例えば、球の発射不能、球詰まりなど)の場合にエラー信号が出力され、エラー信号に応じてエラー表示LED176が点灯(あるいは点滅)する。
さらに、封入球制御装置102からは研磨装置モータ177に対して信号が出力され、この信号を受けて研磨装置モータ177はパチンコ機1の内部に封入されている封入球を研磨する研磨装置を作動させて、球の研磨を行う。なお、球の研磨はパチンコ機1の内部で行うのではなく、例えばパチンコ機1の外部(例えば、島設備)に封入球研磨装置を配置しておき、そこで球の研磨を行って、各台(即ち、各パチンコ機1)に供給するような構成でもよい。
【0057】
封入球制御装置102は操作・表示パネル7との間で信号の授受を行っており、操作・表示パネル7はLCDユニット181とタッチパネル182を備えている。LCDユニット181は液晶表示装置により構成され、球貸し時や遊技中などにおける情報を遊技者に報知するためのものである。具体的には、例えば定額遊技の場合、後述の図28に示すように、発射可能数、持球数、定額遊技の開始や終了等の説明の表示を行う他、精算、休憩などの操作ボタンが画面上に配置された構成となっている。そして、精算、休憩などの操作ボタンに対しては、タッチパネル182がLCDユニット181の表面上に配置されることにより、遊技者が指でタッチすることで、精算、休憩などの操作を行うことが可能になっている。
【0058】
E.遊技の概要
次に、本例のパチンコ機1で行われる遊技の概要や遊技の流れについて説明する。
まず、パチンコ機1には所定数の封入球が封入されて一定時間研磨装置で研磨されている。
遊技開始当初の時点(或いは遊技開始前の時点)では、客待ち状態(デモ中)となっており、客待ち画面の表示を指令するコマンドが遊技制御装置101のバッファから演出制御装置103に送信され、表示装置41の表示部41aには客待ち画面(動画又は静止画)が表示される。
【0059】
そして、遊技者がカードユニット15に一般の遊技カードを挿入して、所定単位度数の球貸し操作(例えば、操作・表示パネル7に表示される球貸ボタンを押す)を行うと、所定数の持球数(例えば、125個)が加算されて、操作・表示パネル7の持球数表示部に表示される。なおこの際、前記遊技カードの金額データは、前記所定数分(例えば、5000円分)だけ減額される。また、一般の遊技カードによる一般の遊技(定額遊技ではない遊技)では、持球数がゼロになると遊技球が発射できず遊技が継続できない。このため、遊技者は、持球数がゼロになるたびに球貸し操作を行って遊技を継続しなければならず、遊技球の発射数の割に賞球が少なく持球数が漸次減少する場合には、遊技カードの金額データが短時間で頻繁に減額されてしまい、短時間で多量の金額を使用することになる。
【0060】
これに対して、遊技者がカードユニット15に定額遊技カードを挿入することにより実行できる前述の定額遊技であると、持球数にかかわらず所定の遊技限度条件の範囲内で追加料金を投入することなく遊技が継続できる。即ち、遊技者がカードユニット15に定額遊技カードを挿入すると、図28に示すように操作・表示パネル7に発射可能数の初期値(定額遊技カード3000の場合には、6000個)が表示され、打ち止め等によって強制終了される場合を除いて、この発射可能数がゼロになるまでの時間(定額遊技カード3000の場合には、1時間以上)前払いした所定金額に基づく遊技(即ち、定額遊技)が可能となる。
【0061】
そして、上記一般の遊技或いは定額遊技において、遊技者が発射ボリューム171を操作すると、発射位置にある遊技球がガイドレール21を介して遊技領域22に打込まれ、打込まれた遊技球が特図の始動入賞口25又は26に入賞すると(即ち、特図の始動入賞があると)、特図の変動表示を指令するコマンドが遊技制御装置101から演出制御装置103に送信され、表示部41aにおいて特図(数字、文字、記号、模様等よりなるもの)が変動(例えば、スクロール)する表示(いわゆる変動表示)が行われて、特図の変動表示ゲーム(以下、特図変動表示ゲームという)が行われる。一方、入賞せずに外れた球は、アウト球流入口23に流入する。
遊技領域22を落下した球はアウトあるいはセーフとなって、遊技領域22を経た後に回収されて循環し、再び発射位置に導かれることになる。このようにして、封入された遊技球が循環使用されてパチンコ遊技が行われる。
【0062】
この発明概念は、以下のように示される。
遊技機本体内に所定数の遊技球を封入しておき、前記封入された遊技球を遊技領域内に発射して遊技を行うことが可能であるとともに、前記遊技領域に発射された遊技球による遊技結果に応じて遊技者の利益を増加させる制御装置を備え、前記遊技領域を経た遊技球を回収して発射位置に導くことにより、この封入された遊技球を循環使用して遊技を行う封入球式遊技機という概念である。
【0063】
ここで、前記遊技領域に発射された遊技球による遊技結果に応じて遊技者の利益を増加させるとは、いいかえると、遊技結果が所定の利益状態あるいはそれ以外の状態であるかの判定を行い、所定の利益状態の場合には所定数の賞球数に対応させて遊技者の利益を増加させることであり、例えば、遊技球がセーフになるか、アウトになるかの判定を行い、セーフと判定されたときには例えば遊技者の持球数を増加させることである。セーフには、入賞口(一般入賞口28〜31及び始動入賞口25,26を含む)に球が入ることが対応する。
【0064】
また、遊技結果に応じて遊技者の利益(例えば持球数)を増加させる態様には、セーフ球に基づいて賞球が持球数に加算される他に、後述の大当り(特別遊技状態)が発生して大入賞口が開放され、大入賞口に遊技球が入賞することによって大量の賞球が持球数に加算される場合も含み、これらは遊技者の利益を増加させることに相当する。なお、遊技者の利益としては、必ずしも遊技球の個数に対応した持球数に限らず、このような持球数の代りにポイント数を用いてもよい。但し本例では、特に示さない限り、遊技者の利益として遊技球の個数に対応した持球数を用いた態様で説明している。
また、遊技者の利益(持球数、或いはポイント数)は、前述したように遊技結果に応じて加算される一方で、遊技球の発射球数分だけ減算される。例えば、遊技者の利益として遊技球の個数に対応した持球数が用いられている場合には、遊技球の発射毎に持球数が「1」だけ減算される。
【0065】
そして、前述した特図変動表示ゲームの停止結果態様(変動表示により導出された特図の組合せ)が特別結果態様(例えば、「3、3、3」などのゾロ目)であれば、大当りと呼ばれる特典が遊技者に付与される。なお制御上は、例えば始動入賞があったことを条件として、大当り乱数等の値が抽出記憶されて、この抽出記憶された乱数値と予め設定された判定値とが判定時に比較判定され、この比較判定結果に基づいて、予め大当りとするか否かが決定され、この決定に応じて上記変動表示ゲームが開始される。
【0066】
また、変動表示ゲームの停止結果態様が特別結果態様のうちの特定の態様(例えば、「7、7、7」のゾロ目)であれば、上記大当りになるとともに、大当り遊技後(後述する特賞期間後)に、ゲーム状態が通常モードから確変モードへ移行する。この確変モードでは、特図が大当りになる確率(以下、特図の大当り確率という)を高める制御が行われる。また場合によっては、前述の時短状態とする制御も行われる。
【0067】
上記大当りになって大当り状態に移行すると、ファンファーレ期間(大当りになったことを演出する効果音の出力などが実行される期間)を経て、変動入賞装置27の大入賞口が、規定時間(例えば、30秒)を超えない範囲内において、例えば10個入賞までの期間だけ一時的に開放される開放動作(大当たりラウンド)が行われる。そしてこの開放動作は、規定のラウンド数だけ繰り返し行われる。また、この大当り状態では、大当り状態を演出したり大当りラウンド数等を遊技者に報知したりするための大当り画面の表示を指令するコマンドが遊技制御装置101から演出制御装置103に送信され、表示部41aでは、このような大当り中の表示が実行される。
【0068】
なお、この大当り状態になっている期間(ファンファーレ期間と、大入賞口が開放されている大当りラウンドの期間と、大当りラウンドと次の大当りラウンドの間のインターバル期間と、エンディング期間)が、特賞期間に相当する。
また上記大当りのラウンド数としては、例えば、通常は15ラウンド大当りが主の大当りであるが、プレミアとして16R大当りを発生させる構成でもよいし、その他の構成でもよい。また、いわゆる突確(出玉の少ない大当りを経由して大当り確率が変化する突然確変)として2ラウンド大当り等があってもよい。
【0069】
また、上記特図変動表示ゲーム中又は大当り中に、始動入賞口25又は26にさらに遊技球が入賞したときには、表示部41a等で特図の始動記憶の保留表示が行われて例えば4個まで記憶され、特図変動表示ゲーム又は大当り状態が終了した後に、その始動記憶に基づいて上記特図変動表示ゲームが繰り返されたり、客待ち状態に戻ったりする。
即ち、変動表示ゲームが大当りで終了すれば大当り状態に移行し、変動表示ゲームがはずれで終了し始動記憶があれば再度変動表示ゲームが実行され、変動表示ゲームがはずれで終了し始動記憶がなければ客待ち状態に戻り、大当りが終了して始動記憶があれば再度変動表示ゲームが実行され、大当りが終了して始動記憶がなければ客待ち状態に戻る流れとなっている。
【0070】
なお本形態例では、例えば特図の始動記憶(特図始動記憶)の表示を2種類(特図1保留表示と特図2保留表示)行うようにし、特図変動表示ゲームとして、2種類の変動表示ゲーム(第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲーム)を実行する。即ち、遊技球が第1始動入賞口25に入ることによる特図始動入賞(第1始動入賞)が発生すると、表示装置41にて特図1の変動表示による第1変動表示ゲームが行われる。そして、何れかの特図変動表示ゲーム中などに遊技球が第1始動入賞口25に入賞すると、第1始動記憶(特図1保留表示に対応する始動記憶)が1個記憶され、これに対して、上記特図変動表示ゲーム終了後などに、表示装置41にて特図1の変動表示による第1変動表示ゲームが行われる。
【0071】
また、遊技球が第2始動入賞口26に入ることによる特図始動入賞(第2始動入賞)が発生すると、表示装置41にて特図2の変動表示による第2変動表示ゲームが行われる。そして、何れかの特図変動表示ゲーム中などに遊技球が第2始動入賞口26に入賞すると、第2始動記憶(特図2保留表示に対応する始動記憶)が1個記憶され、これに対して、上記特図変動表示ゲーム終了後などに、表示装置41にて特図2の変動表示による第2変動表示ゲームが行われる構成となっている。なお、第1始動記憶と第2始動記憶の両方があるときには、予め設定されたルールに従って第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームのうちの何れかが先に実行される。例えば、第2始動入賞口26に対応する第2変動表示ゲームが優先的に行われる態様(即ち、第2始動記憶が優先的に消化される態様)、或いは2種類の変動表示ゲームが交互に行われる態様などが有り得る。
【0072】
一方、遊技中に、遊技球が普図始動ゲート32を通過したときは、表示部41a等で普図の変動表示による普図の変動表示ゲーム(以下、普図変動表示ゲームという)が行われる。そして、この普図変動表示ゲーム結果(停止した普図)が所定の態様(特定表示態様)であれば、普図当りと呼ばれる特典が付与される。
【0073】
この普図当りになると、第2始動入賞口26の一対の開閉部材26aが逆ハの字に開いた開状態に、所定の開放時間だけ一時的に保持される遊技が行われる。これにより、遊技球が始動入賞し易くなり、その分、特図の変動表示ゲームの実施回数が増えて大当りになる可能性が増す。
また、上記普図の変動表示ゲーム中に、普図始動ゲート32にさらに遊技球が入賞したときには、表示部41a等で普図始動記憶の保留表示が実行されて、例えば4個まで記憶され、普図の変動表示ゲームの終了後に、その記憶に基づいて上記普図の変動表示ゲームが繰り返される。
【0074】
次に、定額遊技について概略説明する。定額遊技では、持玉数の値がマイナスになることが可能であり、持球数がマイナスになっても、所定の遊技限度条件が成立するまでの範囲内で、遊技球の発射が可能な状態や入賞が有効に処理される状態が維持されて遊技が継続可能である。この遊技限度条件は、本例の場合、定額遊技開始からの遊技球の発射数(積算値)が所定の発射可能最大数(例えば、定額遊技カード3000の場合には6000個)に到達することである。このような遊技限度条件であれば、定められた発射頻度(1分間に100個以下)の場合、前述したように、例えば定額遊技カード3000の場合には最低でも1時間の遊技が可能である。なお、この定額遊技の遊技限度条件は、その他の態様でもよく、単純に時間で構成してもよい。例えば、遊技開始からの経過時間が所定の遊技可能最大時間(例えば、1時間)に到達することでもよい。遊技球の発射頻度は上述のように制限されているので、単純に時間で制限しても、遊技球の発射数は概略一定数以内に制限できる。
【0075】
F.制御系の動作
次に、遊技制御装置101及び封入球制御装置102の制御内容を説明する。最初に遊技制御装置101について図5〜図19により説明する。
(a)遊技制御装置のメイン処理
まず、図5により、遊技制御装置101のメイン処理を説明する。
このメイン処理は、CPU111に強制的にリセットがかけられたことに基づいて開始する。即ち、遊技制御装置101に電源を供給している電源装置(図示略)の電源スイッチがオン操作されると、所定のタイミングに(電源投入時の所定のリセット期間に)電源装置からリセット信号が遊技制御装置101に入力されてCPU111のリセット端子がオンし、その後このリセット信号が解除されると、CPU111が起動する。なお、停電からの電源復旧時にも、同様にリセット信号がオンした後に解除されてCPU111が起動する。また、作業者が遊技制御装置101のRAM113等の初期化をしようとする場合には、電源装置の初期化スイッチ(図示略)をオン操作しながら前記電源スイッチをオン操作する必要がある。
【0076】
そしてCPU111が起動すると、まず割込みを禁止し、CPU111に内蔵されるCPU周辺回路(シリアルポートを含む)の初期設定を行うとともに、RAM113へのアクセスを許可した後、全出力ポートにオフ信号(2値信号の「0」に相当する信号)を出力する(ステップS1乃至S4)。
なお、リセット信号によって各出力ポートはオフ設定(リセット)されているので、ソフト的に各出力ポートにオフ信号を出力する必要は必ずしもないが、ここでは念のためにステップS4が設けられている。
【0077】
次に、封入球制御基板(封入球制御装置102)との通信ライン確認がNGかどうかを判断する(ステップS5)。これは、遊技制御装置101と封入球制御装置102との間の通信ラインが確立しているかどうかを確認するもので、NGなら後述のステップS28にジャンプしてRWMアクセス(RAM113へのアクセス)を禁止した後、待機する。
一方、封入球制御装置102との通信ライン確認がOKなら、ステップS6に進んで、この時点での待機中(ウェイト中)に停電が発生したか否かを判別する。停電が発生していればステップS28にジャンプしてRWMアクセス(RAM113へのアクセス)を禁止した後、待機し、停電が発生していなければ、次のステップS7で演出制御基板(演出制御装置103)の起動待ちのウェイト時間が経過したか否かを判断する。起動待ちのウェイト時間が経過していなければ、ステップS5に戻ってルーチンを繰り返し、同ウェイト時間が経過すると、ステップS8に進んで電源装置の初期化スイッチを押しながらの電源投入であるかを判断する。
【0078】
初期化スイッチを押しながらの電源投入であれば、ステップS14にジャンプする。一方、初期化スイッチを押さないで電源投入したのであれば、ステップS9に進んでRAM113の停電検査領域1,2の全ての値が正常な停電検査領域チェックデータであるか否か判断し、正常であれば停電復帰時であるとしてステップS10に進み、異常であれば(正常に記憶されてなければ)通常の電源投入時であるとしてステップS14に進む。なお、停電検査領域チェックデータは、後述するステップS26で設定されるものである。このステップS9では、このように複数のチェックデータによって停電復帰時であるか否か判定するので、停電復帰時であるか否かの判断が信頼性高く為される。
【0079】
次にステップS10では、RAM113(図5ではRWMと表記、以下同様)のデータのチェックサムを算出し、ステップS11で電源遮断時のチェックサムと比較し、その値が正常(一致)か否かを判定する。このチェックサムが正常でない場合(即ちRAM113のデータが壊れているとき)には、ステップS14に進み、前記チェックサムが正常である場合にはステップS12に進む。
ステップS12では、停電復旧のための処理(初期値設定)を実行する。即ち、全ての停電検査領域をクリアし、チェックサム領域をクリアし、エラー及び不正監視に係る領域をリセットする。次いで、ステップS13で特図ゲーム処理番号に対応する停電復旧時のコマンド(停電復旧コマンド)を演出制御装置103に送信する。このステップS13を経ると、ステップS17に進む。
【0080】
初期化スイッチを押しながらの電源投入でステップS14にジャンプした場合やステップS9、S11からステップS14にジャンプした場合には、このステップS14を含めてステップS14〜16の処理を行う。
ステップS14以降の処理に進むと、遊技制御装置101のRAM113内のデータ(アクセス禁止領域を除く)を初期化するなどの処理を行う。即ち、ステップS14では使用する全てのRAM113の領域をクリアする。具体的には、RAM113において、アクセス禁止領域より前の全作業領域をクリアし、アクセス禁止領域より後の全スタック領域をクリアする。次いで、ステップS15で初期化すべき領域に電源投入時の初期値をセーブし、ステップS16で電源投入時のコマンド(電源投入コマンド)を演出制御装置103に送信する処理を行う。電源投入コマンドが送信されると、他の制御装置は、この電源投入コマンドを受けて、例えば演出制御装置103であれば枠演出装置のモータの動作位置を初期位置にするなどの初期化を行う。
【0081】
ステップS16を経ると、ステップS17に進み、例えばCPU111の内部に設けられたCTC(Counter/Timer Circuit)を起動する。CTCはタイマ割込みのための回路である。
次にステップS18では、CPU111に内蔵されるCPU周辺回路に設けられた乱数生成回路の起動設定を行う。この乱数生成回路によってハード的に特図や普図の各乱数のうちの一部が生成される。但し、これら乱数のうち一部の乱数の初期値は、後述するステップS20の処理によってソフト的に設定される。
【0082】
なお、特図に関連する乱数としては、大当り乱数(大当りとするか否かを決定するための乱数)、大当り図柄乱数1,2(大当り停止図柄決定用の乱数)、変動パターン乱数(リーチの有無等を含む変動パターンを決定する乱数)、停止図柄乱数(外れの停止図柄決定用の乱数)などがある。また、普図に関連する乱数としては、例えば、普図当り乱数(普図当りとするか否かを決定するための乱数)などがある。このうちステップS18,20で対象とする乱数は、例えば、大当り乱数、普図当り乱数、大当り図柄乱数1,2である。なお、上記特図に関する乱数は、特図が2種類ある場合、特図1と特図2で共通でもよいし、別個に設けられていてもよい。
【0083】
次いでステップS19では、割込みを許可し、次のステップS20では、初期値乱数更新処理を行う。初期値乱数更新処理は、遊技球を発射するタイミングを計って故意に当り等をねらうことが困難になるように、乱数の初期値を更新する処理である。
次いでステップS21に進み、停電監視信号のチェック回数(例えば2回)を設定し、次のステップS22で停電監視信号がオンしているか否か判定し、オンしていれば停電の最終判断のためのステップS23に進み、オンしていなければステップS20に戻る。通常運転中は、ステップS20〜S22を繰り返す。
【0084】
そして、ステップS23に進むと、前記チェック回数分だけ停電監視信号のオン状態が継続しているか否か判定し、この判定結果が肯定的であると停電発生と最終判断してステップS24に進み、否定的であれば停電発生と判断できないとしてステップS22に戻る。
なお停電監視信号がオンになると、この停電監視信号をNMI割込信号として、実行中の処理を中断してステップS24以降の停電処理を強制的に実行する態様でもよい。但し本例の構成であると、停電監視信号のオン状態をステップS23で複数回チェックするので、実際には停電が発生していないのにノイズ等によって停電監視信号が一時的かつ瞬間的にオンした場合に停電発生と誤判断してしまうことがないという利点がある。
【0085】
そしてステップS24に進むと、割込を禁止した後、次のステップS25で全ての出力をオフし(全ての出力ポートにオフデータを出力し)、次いでステップS26で停電情報設定処理を実行する。停電情報設定処理では、前述の停電検査領域チェックデータ1を停電検査領域1にセーブし、停電検査領域チェックデータ2を停電検査領域2にセーブする。
ステップS26を経ると、次のステップS27で、RAM113のデータのチェックサムを算出して所定のチェックサム領域にセーブし、次いでステップS28でRAM113へのアクセスを禁止した後、待機する。
なお、以上のステップS24〜S28の停電処理は、停電によって電源電圧がCPU111の動作電圧未満に低下する前に行われる。
【0086】
(b)遊技制御装置のタイマ割込処理
次に、遊技制御装置101のタイマ割込処理を図6により説明する。
このタイマ割込処理は、前述したメイン処理におけるステップS17,S19の処理によって開始され、所定のタイマ割込周期で繰り返し実行される。
【0087】
このタイマ割込処理では、まずステップS31で、必要に応じてレジスタの退避や割込みの禁止を実行した後、ステップS32の入力処理を実行する。この入力処理では、前述の各センサ類(始動口スイッチ120、121、ゲートスイッチ122、入賞口スイッチ123、カウントスイッチ124など)の検出信号の読み取りを実行する。具体的には、各センサの出力値をタイマ割込周期毎に判定し、同じレベルの出力値が規程回数(例えば、2回)以上継続した場合に、この出力値のレベルを各センサの検出信号の確定的な値として読み取る。なお、何れかのセンサがオンしていることが読み取られると、それを示すフラグ(入力フラグ)がたてられる。
【0088】
次に、ステップS33で、後述するステップS41,S42,S43,S44で設定された出力データを対応する出力ポートに設定し出力する出力処理を実行し、その後、ステップS34,S35で、乱数更新処理1,2をそれぞれ実行する。ここでは、特図に関連するソフト乱数及び普図に関連するソフト乱数の更新が行われる。特図に関連するソフト乱数としては、例えば、大当り図柄乱数1,2(大当り停止図柄決定用の乱数)、変動パターン乱数(リーチアクションの有無等を含む変動パターンを決定する乱数)、停止図柄乱数(外れの停止図柄決定用の乱数)などがある。ここでの、乱数の更新は、乱数を例えば「1」づつ増やすことにより実行される。したがって、このタイマ割込み処理のルーチンが繰り返される毎に、乱数が変り、このソフト乱数の抽出値がアトランダム性を保つようになる。
【0089】
なお、上記変動パターン乱数は、本例では変動パターン乱数1〜3の3種類が有る。このうち、変動パターン乱数1は後半変動(リーチ開始後の変動)のリーチ系統を選択するための乱数であり、変動パターン乱数2はリーチ系統の中から詳細な演出の振分(例えばプラス1コマで特図が停止するかマイナス1コマで特図が停止するか)を行うための乱数であり、変動パターン乱数3は前半変動(リーチ開始前までの変動)の態様を選択するための乱数である。また、上記変動パターン乱数は変動態様の全てを直接決定するものでもよいが、本例では、具体的な態様は演出制御装置103が決定する。例えば、変動時間とリーチ系統(リーチの大まかな種別)のみを変動パターン乱数1により決定し、決定した変動時間とリーチ系統に基づいて演出制御装置103が具体的な変動態様を決定する。
【0090】
次いで、ステップS36では、賞球数に対応する信号(コマンド)を封入球制御装置102に送信する処理(賞球コマンド送信処理)を行う。これは、一般入賞、始動入賞、変動入賞装置27への入賞があると、これらの入賞に対して予め設定された賞球数を持球数に加算するためのコマンドを送信するものである。
次いで、ステップS37で受信コマンド解析処理を行う。これは、封入球制御装置102から受信したコマンドを解析し、各種のフラグセット等を行うものである。次いで、ステップS38でエラー監視処理を実行する。これは、前述の各センサ類の未検出エラーや、賞球加算の過剰エラーや、ガラス枠5の開放状態、及び大入賞口27a、普電26の開放中以外での不正入賞などを監視するための処理である。
【0091】
例えば、このエラー監視処理で監視するエラーの種類は、以下の通りである。
・前枠開放(ガラス枠5開放)
・遊技枠開放(前面枠4開放)
・スイッチ異常(コネクタ抜け、スイッチ故障など)
・磁石不正
・振動不正
・電波不正
・封入球異常(これは、基本的に封入球制御装置102で監視するが、LED報知をするためにエラーの状態を遊技制御装置101(主基板)に伝えるようにする。LEDを制御するのは演出制御装置102であり、それと通信できるのは遊技制御装置101であるため。)
【0092】
封入球異常には、下記がある。
(a)封入球不足
(b)封入球過剰
(c)浮遊球発生
(d)通路球詰まり
【0093】
ステップS38を経ると、ステップS38aで遊技開始判定処理を行い、その後ステップS38bで遊技終了判定処理を行う。これら遊技開始判定処理と遊技終了判定処理は、定額遊技を含む遊技を開始又は終了するための処理であり、詳細は後述する。
ステップS38bを経ると、次いでステップS39に進み、精算中あるいは休憩中であるかを判定する。遊技者が精算中あるいは休憩中であれば、ステップS40乃至ステップS42をジャンプしてステップS43に進む。これは、遊技者が精算中あるいは休憩中であれば、封入球遊技を行わないので、ステップS43にジャンプするものである。
【0094】
精算中あるいは休憩中でなければ、ステップS40に進み、入賞口スイッチ監視処理を実行する。入賞口スイッチ監視処理は、前述したように設定される入力フラグ(特図の始動口スイッチ120、121、入賞口スイッチ123、及びカウントスイッチ124)を監視し、例えばカウントスイッチ124の入力フラグが設定されていると、15個の賞球の持球数加算を封入球制御装置102に要求する前準備などの処理を実行するものである。
【0095】
次に、ステップS41では、特図ゲーム処理を行う。この特図ゲーム処理では、特図の変動表示ゲーム全体の統括的制御が行われる。即ち、変動開始条件(変動表示ゲームの開始条件)の成立時において、大当り乱数の判定や、特図の停止図柄の組み合わせ(結果態様)を設定する処理や、特図の変動態様を設定する処理が行われる(詳細後述する)。
【0096】
ここで、変動開始条件の成立時とは、客待ち状態で始動口入賞があって変動表示ゲームが開始される時、変動表示ゲームがはずれで終了し始動記憶があって再度変動表示ゲームが実行される時、大当たりが終了して始動記憶があって再度変動表示ゲームが実行される時の3種類がある。
また、この特図ゲーム処理では、特図の変動表示ゲームに関する各種出力データを設定する処理も行われる。即ち、特図の変動表示ゲームの遊技状態に合わせて、例えば、演出制御装置103などへ送信するコマンドの内容(コマンドデータ)を設定する。
【0097】
次いで、ステップS42では、普図の変動表示ゲームのための処理を行う。即ち、普図の変動表示遊技の状態に合わせて演出制御装置103などへ送信するコマンドの内容を設定する処理などを行う。
次に、ステップS43では、セグメントLED編集処理を実行する。これは、ステップS41の特図ゲーム処理において決定された特図の図柄やステップS42の普図ゲーム処理において決定された普図の図柄、その他の情報を、一括表示装置35の本特図の表示器(LED、7セグメントの表示器)において表示するための処理である。
【0098】
次に、ステップS44では外部情報編集処理を実行する。これは、遊技制御装置101からホールコンピュータ54、カードユニット15等の外部装置へ出力しようとするデータの編集を行うものである。
その後、メインルーチンを再開すべく、ステップS45でタイマ割込み要求をクリアし、ステップS46で退避させたレジスタを復帰させ、ステップS47で割込を許可し、そして割込時に中断した処理に復帰(リターン)する。
【0099】
(c)遊技制御装置の遊技開始判定処理
次に、前記タイマ割込処理における遊技開始判定処理S38aを図7により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS48で遊技中であるか否か(後述するステップS50でセットされる遊技中フラグが既にセットされているか否か)を判定し、遊技中であれば(即ち遊技中フラグがセットされていれば)リターンし、遊技中でなければステップS49に進む。
【0100】
ステップS49では、遊技開始コマンドを封入球制御基板(封入球制御装置102)から受信したか否か判定し、受信したならステップS50に進み、受信していない場合にはリターンする。遊技開始コマンドは、定額遊技の場合、前述の定額遊技カードがカードユニット15に挿入されることによって封入球制御装置102から遊技制御装置101に送信されるコマンドであり(後述するステップS412参照)、挿入された定額遊技カードに対応した定額遊技の実行を指令するものである。
【0101】
なおパチンコ機1は、定額遊技専用台であってもよいが、本例の場合には、一般の遊技カードによる遊技も可能となっており、上記遊技開始コマンドは、一般の遊技カードがカードユニット15に挿入されることによっても封入球制御装置102から遊技制御装置101に送信される。但し、一般の遊技カードでは定額遊技ができないように制御する必要があるため、この一般の遊技カードが挿入された場合の遊技開始コマンドは、定額遊技の場合とは内容が異なる構成とされ、一般の遊技を開始することを指令するものである。
【0102】
ステップS50に進むと、遊技中フラグをセットし、次のステップS51で遊技開始ACKを封入球制御装置102に送信し、次のステップS52で遊技開始コマンドを演出制御装置103に送信し、次のステップS53で定額遊技開始に関する外部情報出力データを設定し、次のステップS54で定額遊技開始に関する試験信号出力データを設定し、その後リターンする。
【0103】
ここで、遊技中フラグは遊技中であるか否かを示すフラグである。なお、この遊技中フラグは、定額遊技の場合と、一般の遊技の場合とで異なるフラグがセットされるようにして、遊技中フラグによってどちらの遊技が遊技中か区別できるようにしてもよい。なお、後述するステップS219やステップS620の処理によって、この遊技中フラグがセットされていないと、賞球コマンドが送信されない(つまり、入賞しても賞球が持球数に加算されない)し、特図始動口に遊技球が入賞しても始動入賞として処理されない(つまり、特図変動表示ゲームの開始条件が成立しない)ので、この遊技中フラグがクリアされた状態のままでは実質的に遊技が開始されない。
【0104】
また、遊技開始ACKは、遊技開始コマンドを受け取ったことを封入球制御装置102に対して知らせるための応答信号である。
また、ステップS52の遊技開始コマンドは、ステップS49で受信判定する遊技開始コマンドと同様に、例えば、定額遊技カードが挿入されて定額遊技を実行することを遊技制御装置101から演出制御装置103にも指令するためのコマンドである。演出制御装置103では、遊技制御装置101から送信される例えば定額遊技の遊技開始コマンドを受信すると、後述する図29(a)に示すような遊技説明の表示を表示装置41で行うなどの処理をする構成となっている。
【0105】
(d)遊技制御装置の遊技終了判定処理
次に、前記タイマ割込処理における遊技終了判定処理S38bを図8により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS55で遊技中であるか否か(前述の遊技中フラグがセットされているか否か)を判定し、遊技中であれば(即ち遊技中フラグがセットされていれば)ステップS56に進み、遊技中でなければリターンする。
ステップS56では、遊技終了コマンドを封入球制御基板(封入球制御装置102)から受信したか否か判定し、受信したならステップS57に進み、受信していない場合にはリターンする。遊技終了コマンドは、定額遊技の場合、後述する封入球制御装置102の制御処理(ステップS435)で送信され、定額遊技の終了を指令するコマンドである。この遊技終了コマンドは、定額遊技の終了要因によって内容が異なる。定額遊技の終了の際、表示装置41に定額遊技終了の理由に対応する画面(図29(c)及び図29(d)により後述する)を表示させるためである。なお一般の遊技の場合、遊技終了コマンドは、例えば後述する精算ボタンが押されて精算開始となったときに封入球制御装置102から送信される。
【0106】
ステップS57に進むと、遊技中フラグをクリアし、次のステップS58で遊技終了コマンドを演出制御基板(演出制御装置103)に送信し、次のステップS59で遊技終了に関する外部情報出力データを設定し、次のステップS60で遊技終了に関する試験信号出力データを設定し、その後リターンする。ここで、ステップS58の遊技終了コマンドは、ステップS56で受信判定する遊技終了コマンドと同様に、定額遊技を終了することを演出制御装置103にも指令するためのコマンドである。演出制御装置103では、遊技制御装置101から送信される定額遊技の遊技終了コマンドを受信すると、後述する図29(c)又は図29(d)に示すような遊技説明の表示を表示装置41で行うなどの処理をする構成となっている。
【0107】
(e)遊技制御装置の特図ゲーム処理
次に、前記タイマ割込処理における特図ゲーム処理S41を図9により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS61で始動口スイッチ監視処理を実行する。これは、前述したように設定される入力フラグを監視し、始動口スイッチ120、121の入力フラグが設定されていると、大当たり乱数の値を抽出し記憶するなどの処理を実行するものである(詳細後述する)。
次いでステップS62でカウントスイッチ監視処理が行われる。これは、カウントスイッチ124の入力フラグが設定されていると、大入賞口27aに遊技球が入賞したとして、所定の処理を実行するものである。
【0108】
次いでステップS63では、特図ゲーム処理タイマが「0」でなければ、当該タイマの−1更新後に、ステップS64に進む。ステップS64では、特図ゲーム処理タイマ=「0」であるかどうかを判断し、「0」でなければ、ステップS73にジャンプしてステップS66乃至ステップS72の特図ゲーム処理は行わない。一方、特図ゲーム処理タイマ=「0」であれば、ステップS65に進む。
【0109】
なお、特図ゲーム処理タイマは、後述する処理番号による分岐後の各処理(ステップS66〜S72)において、それぞれ所定の値にタイマ値が設定されるものであり、この特図ゲーム処理タイマがタイムアップしたときにステップS65以降を実行すべきタイミングになるように設定される。これにより、ステップS63を実行した時点で、ステップS65以降を実行すべきタイミングになっていると、ステップS64の判定結果が肯定的になり、ステップS65以降(ステップS72〜S74含む)が実行される。そして、ステップS63を実行した時点で、ステップS65〜S72を実行すべきタイミングでない場合には、ステップS64の判定結果が否定的になり、ステップS73、S74のみが実行される構成となっている。
【0110】
次いで、ステップS65では処理番号により分岐する。ここでは、後述する処理番号による分岐のために、例えば特図ゲームシーケンス分岐テーブルを設定し、特図ゲーム処理番号に対応する処理の分岐先アドレスを取得し、分岐処理終了後のリターンアドレスをスタック領域に退避させる。次いで、処理番号により分岐する。
即ち、処理番号0でステップS66(特図普段処理)へ、処理番号1でステップS67(特図変動中処理)へ、処理番号2でステップS68(特図表示中処理)へ、処理番号3でステップS69(ファンファーレ/インターバル中処理)へ、処理番号4でステップS70(大入賞口開放中処理)へ、処理番号5でステップS71(大入賞口残存球処理)へ、処理番号6でステップS72(大当り終了処理)へ進む。なお、客待ち状態(デモ中)は、処理番号0である。
【0111】
そして、ステップS66(特図普段処理)では、特図保留数(特図変動表示ゲーム未実施で保留になっている特図始動記憶の数)がゼロで特図変動表示ゲームを実行中でないときには、客待ち状態の表示を表示装置41で行うための処理を行う。また、この特図普段処理では、次の特図変動表示ゲームを開始するための処理(特図変動開始処理)を行う。この特図変動開始処理では、特図1及び特図2の始動記憶を監視し、何れかの特図始動記憶があれば、対応する変動表示(第1又は第2変動表示)を開始するための設定(演出制御装置103に送信する変動パターンコマンドの設定など)を実行し、処理番号を1とした後にリターンする。特図保留数がゼロで次の特図変動表示ゲームを実行しない場合には、そのまま(処理番号は0のまま)リターンする。
【0112】
また、ステップS67(特図変動中処理)では、特図変動開始処理で設定された変動時間が経過するまで、特図を変動表示させるための処理が行われる。そして、前記変動時間が経過すると、特図の図柄を停止させるコマンド(図柄停止コマンド)を演出制御装置103に送信する処理を実行した後、処理番号を2としてリターンする。設定された変動時間が未経過のときは、そのままリターンする(処理番号は1のままとする)。
また、ステップS68(特図表示中処理)では、特図の変動表示結果を一定時間(1秒〜2秒)表示するための処理を行う。処理の最後に、大当りなら処理番号を3とし、はずれなら処理番号を0としてリターンする。
【0113】
また、ステップS69(ファンファーレ/インターバル中処理)では、大当り直後にはファンファーレ音等をスピーカ12a等から出力するファンファーレ処理を実行し、大当りのインターバル期間にはインターバル期間の表示等を実現するためのインターバル処理を実行し、変動入賞装置27の大入賞口開放を開始するタイミングで処理番号を4にする。
また、ステップS70(大入賞口開放中処理)は、変動入賞装置27の大入賞口27aを開放している間の処理である。大入賞口開放が終了すると処理番号を5にする。
【0114】
また、ステップS71(大入賞口残存球処理)では、大入賞口開放終了の間際に大入賞口27aに入った遊技球を確実にカウントするために一定時間待機する処理を行い、この一定時間が経過した後に、大当りのラウンドが残っているときには処理番号を3にし、大当りのラウンドが残っていないときには処理番号を6としてリターンする。
またステップS72(大当り終了処理)では、大当たり終了のための処理を行い、処理番号を0に戻してリターンする。
【0115】
次に、処理番号に応じた上記何れかの処理が終了すると、ステップS73に進み、特図1変動制御処理を行う。具体的には、特図1の一括表示装置35での表示(本特図1の表示)を制御するためのテーブルを準備し、この本特図1の変動表示のための制御処理を行う。
次いでステップS74に進み、特図2変動制御処理を行う。具体的には、特図2の一括表示装置35での表示(本特図2の表示)を制御するためのテーブルを準備し、この本特図2の変動表示のための制御処理を行い、その後リターンする。
【0116】
(f)遊技制御装置の特図普段処理
次に、前記特図ゲーム処理におけるステップS66で実行される特図普段処理を図10により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS81で特図2の保留数が「0」でないかどうかを判断する。ここでは、特図2の方を特図1よりも優先的に判断するため、先に特図2の保留数をチェックすることにしている。
【0117】
特図2の保留数が「0」であれば、続いてステップS82で特図1の保留数が「0」でないかどうかを判断する。ここで特図1の保留数が「0」であれば、すなわち、特図1、2の何れも保留数が「0」のときは、ステップS83に進み、客待ちデモ画面を開始済みかどうかを判断し、客待ちデモ画面を開始済みであれば、ステップS86で特図普段処理移行のデータを設定してリターンする。一方、客待ちデモ画面を開始済みでなければ、ステップS84で客待ちデモ中フラグをセットし、ステップS85で客待ちデモコマンドを演出制御装置103に送信する。これにより、演出制御装置103の制御により、表示装置41に客待ちデモ画面が表示されることになる。次いで、ステップS86で特図普段処理移行のデータ(処理番号0)を設定してリターンする。したがって、次回は特図普段処理に移行することになる。
【0118】
一方、ステップS81の判定結果がYESなら、すなわち、特図2の保留数が「0」でなければ保留があるので、ステップS87に分岐し、特図2変動開始処理1を実行してリターンする。
また、ステップS82の判定結果がYESなら、すなわち、特図1の保留数が「0」でなければ保留があるので、ステップS88に分岐し、特図1変動開始処理1(詳細は後述)を実行してリターンする。
【0119】
(g)遊技制御装置の特図1変動開始処理1
次に、前記特図普段処理におけるステップS88で実行される特図1変動開始処理1を図11により説明する。なお、特図2変動開始処理1(ステップS87)も以下と同様の処理を特図2について実行するものである。
このルーチンが開始されると、まずステップS91で特図1大当り判定処理を行う。これは、特図1に対応する大当り乱数が大当りしているかどうかを判定する処理である(詳細は後述)。次いで、ステップS92で特図1停止図柄設定処理を行う(詳細は後述)。これにより、特図1が大当り又は外れの何れであっても特図1の抽出乱数に対応した図柄が設定される。
次いで、ステップS93で特図1停止図柄番号に対応する試験信号出力データを設定する。これは、今回の特図1停止図柄を所定の試験装置で検査するために必要なデータを設定するものであり、設定データはタイマ割込み処理のステップS33で外部に出力される。次いで、ステップS94で特図1変動フラグをセットする。これにより、特図1あるいは特図2のどちらであるかを判断可能にする。
【0120】
次いで、ステップS95で変動パターンに関する情報を設定するテーブル(特図1用)を準備し、続くステップS96〜ステップS99の4つのステップで特図の変動に関する情報の細かな設定を行う。すなわち、ステップS96で特図情報設定処理、ステップS97で後半変動パターン設定処理、ステップS98で変動パターン設定処理、ステップS99で変動開始情報設定処理をそれぞれ行う。これにより、特図1がどのようなパターンで変動するかが細かく設定される。
次いで、ステップS100で特図1変動開始に関する試験信号出力データを設定する。これは、今回の特図1変動開始に関するデータを所定の試験装置で検査するために必要なデータを設定するものである。次いで、ステップS101で客待ちデモ中フラグをクリアして特図1の変動開始に備え、その後、ステップS102で特図変動中処理移行のデータ(処理番号1)を設定してリターンする。
【0121】
(h)遊技制御装置の特図1大当り判定処理
次に、前記特図1変動開始処理におけるステップS91で実行される特図1大当り判定処理を図12により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS111で特図1大当りフラグをクリアし、ステップS112で大当り乱数セーブ領域(特図1の保留数1用)から大当り乱数(なお、ここでの大当り乱数の意味は、大当りかどうかを判断するために始動入賞のタイミングで抽出された判定用の抽出乱数のことである)をロードする。これにより、始動入賞口25への遊技球の入賞時に格納した大当り乱数が取り出される。次いで、ステップS113で今回ロードした大当り乱数が下限判定値未満であるか否かを判定し、YESなら大当り発生ではないと判断してルーチンを終了してリターンし、NOならステップS114に進む。
【0122】
ここで、実際に大当りとなる乱数(大当り決定乱数)は一定の幅(ゾーン)で複数の値が配列されており、例えば高確率ならその幅が広く、低確率なら幅が狭く設定されている。そして、抽出した大当り乱数が複数の大当り決定乱数の何れかと等しいならば、大当り発生と判断する。
そのため、ステップS114では高確率中であるかを判断し、高確率中であればステップS115で高確率時の上限判定値を設定してステップS117に進み、高確率中でなければステップS116で低確率時の上限判定値を設定してステップS117に進む。ステップS117では今回ロードした大当り乱数が上限判定値を超えているか否かを判定し、YESなら大当り発生ではないと判断してリターンし、NOなら今回ロードした大当り乱数が大当り発生の乱数ゾーン(下限判定値以上で上限判定値以下の範囲)にあると判断してステップS118に進む。そして、ステップS118では大当り発生であるから、特図1大当りフラグをセットしてリターンする。
このようにして、大当り判定のための抽出乱数値を高確率時又は低確率時の大当り判定ゾーンの乱数値と比較して一致していれば、大当り発生と判断して特図1大当りフラグがセットされる。
【0123】
(i)遊技制御装置の特図1停止図柄設定処理
次に、前記特図1変動開始処理におけるステップS92で実行される特図1停止図柄設定処理を図13により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS121で特図1大当りかどうかを判断する。これは、特図1大当りフラグがセットされているか否かで判断する。特図1大当りでなければ、ステップS122に分岐してはずれ時の停止図柄番号(例えば、番号0)を設定するとともに、ステップS123ではずれ時の図柄情報(はずれという情報を意味する)を設定した後、ステップS124に進んで図柄情報に対応する飾り特図コマンドを設定する。ステップS124の処理は、変動開始タイミングや大当り開始タイミング等、送りたい時に飾り特図コマンドを送信できるようにRAM113に保存しておくもので、送信毎にコマンドを作成するのは手間がかかるからである。ステップS124を経るとリターンする。
【0124】
ここで、停止図柄番号について説明する、例えば停止図柄番号は0から101まであり、0がはずれ、1から100までが大当り、101が小当りの停止図柄というようになっている。1から100までには、いわゆる16R確変、16R通常、2R確変、2R通常のそれぞれに対応するような図柄情報が適宜、割り当てられている。このような図柄情報を用いれば、少ない組み合わせの情報で判断できる利点がある。例えば、特図1なら5種類、特図2なら9種類の情報を持つように設定しておく。これに対して、停止図柄番号のみで判断すると、102種類の値から判断しなくてはならなくなる。
【0125】
一方、ステップS121で特図1大当りと判断すれば、ステップS125に進み、大当り図柄乱数セーブ領域(特図1の保留数1用)から大当り図柄乱数をロードする。次いで、ステップS126で大当り図柄乱数に対応する停止図柄番号(例えば、番号1から100までの何れか)を設定する。次いで、ステップS127で低確率中であるかどうかを判定し、低確率中であればステップS128で低確率時の特図1大当り停止図柄情報テーブルを設定し、低確率中でなければ(高確率中又は時短中ならば)、ステップS129で高確率時、時短時の特図1大当り停止図柄情報テーブルを設定する。準備されている停止図柄情報テーブル上に定義されている情報としては、以下の4つがある。
(a)図柄情報
(b)確率変動判定フラグ
(c)ラウンド数上限値情報
(d)大入賞口開放情報
【0126】
なお、これらは停止図柄番号の数に合わせて複数のグループになっている。
また例えば、(a)の図柄情報と、他の三つの情報(確率変動判定フラグ等(b),(c),(d))は対応しており、図柄情報が決まれば他の三つの情報も決まる関係にある。
このように、大当り時には低確率、高確率、時短の状態に応じて特図1大当り停止図柄情報テーブルが設定される。
【0127】
ステップS128又はステップS129を経ると、次いで、ステップS130〜ステップS133に進み、停止図柄情報テーブル上に定義されている4つの情報について、それぞれ設定していく。まず、ステップS130で停止図柄番号に対応する図柄情報を取得し、セーブする。大当り時の停止図柄番号は前述したように番号1から100まであるので、その中で、例えば16R確変などに対応する大当り図柄情報を決定するものである。次いで、ステップS131で停止図柄番号に対応する確率変動判定フラグを取得し、セーブする。これは、大当り動作終了後に確率変動するのか否か、及び時短回数についての判定を行うフラグを取得するものである。
【0128】
次いで、ステップS132で停止図柄番号に対応するラウンド数上限値情報を取得し、セーブする。これは、何ラウンドの大当りであるかを示す情報を取得するものである。次いで、ステップS133で停止図柄番号に対応する大入賞口開放情報を取得し、セーブする。これは、ラウンド毎の大入賞口の開放動作を示す情報を取得するもので、例えば大入賞口の29秒フルオープン、4回開閉などの情報を取得する。ステップS133を経ると、ステップS124に進んで図柄情報に対応する飾り特図コマンドを設定し、その後、リターンする。
【0129】
(j)遊技制御装置の大当り終了処理
次に、特図ゲーム処理におけるステップS72で実行される大当り終了処理を図14により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS141で確率変動判定フラグは高確率突入フラグかどうかを判断する。これは、大当り終了後に特図の大当り確率を低確率か高確率の何れかにする必要があるので、その判断を行うためである。大当り確率が高確率に突入するのであれば、ステップS142〜ステップS148の処理に移行して、高確率の設定を行う。
【0130】
すなわち、まずステップS142で高確率の開始に関する外部情報出力データを設定し(ホールコンピュータ54に出力するため)、ステップS143で高確率の開始に関する試験信号出力データを設定する(所定の試験期間にデータを提供するため)。次いで、ステップS144で遊技状態表示番号を高確率時の値に設定する。これは、遊技者に特図の高確率モードを報知するためで、例えば一括表示装置35や表示装置41の画面で表示して知らせることになる。
【0131】
次いで、ステップS145で普図ゲームモードフラグを普図高確率・普電サポートフラグとしてセットする。これは、普図が高確率で、かつ普電の開放時間を延長する状態であることを内部制御が判断するために使用される。なお、本例では高確率モード(確変モード)中は、普電サポート状態(普図が高確率で、かつ普電が高確率で開閉して遊技球の始動入賞をサポートする状態)としているが、高確率モードにおいてこのような普電サポート状態(即ち、時短状態)としない態様でもよい。
【0132】
次いで、ステップS146で特図ゲームモードフラグを高確率・時短フラグとしてセットする。これは、特図が高確率で、かつ時短中であることを内部制御が判断するために使用される。
次いで、ステップS147で時短変動回数(時短状態での特図の変動回数)を「0」クリアする。次に、ステップS148で停電復旧時送信コマンド領域に演出制御装置103に送信するための確率情報コマンド(高確率)をセーブし、停電に備えて内部的に情報を保存しておく。ステップS148を経ると、ステップS157に進む。
【0133】
一方、ステップS141で大当り確率が高確率に突入しなければ、ステップS150〜ステップS156の処理に移行して、低確率の設定を行う。
この場合は、まずステップS150で時短の開始に関する外部情報出力データを設定し(ホールコンピュータ54に出力するため)、ステップS151で時短の開始に関する試験信号出力データを設定する(所定の試験期間にデータを提供するため)。次いで、ステップS152で遊技状態表示番号を時短時の値に設定する。これは、遊技者に時短状態であることを報知するためで、例えば一括表示装置35や表示装置41の画面で表示して知らせることになる。
【0134】
次いで、ステップS153で普図ゲームモードフラグを普図高確率・普電サポートフラグとしてセットする。これは、ステップS154と同様に、時短状態であることを内部制御が判断するために使用される。なお、本例では大当り後に所定変動回数だけ、低確率モード(通常モード)でも、普電サポート状態(時短状態)としているが、このように普電サポート状態にしない態様でもよい。
【0135】
次いで、ステップS154で特図ゲームモードフラグを低確率・時短フラグとしてセットする。これは、特図が低確率で、かつ時短中であることを内部制御が判断するために使用される。
次いで、ステップS155で時短変動回数を「変動回数初期値」(例えば、100回)を設定する。これにより、時短変動回数が特図の変動毎にカウントダウンしていき、所定の変動回数(例えば、100回)まで時短状態が継続し、その後、終了することになる。次いで、ステップS156で停電復旧時送信コマンド領域に演出制御装置103に送信するための確率情報コマンド(低確率)をセーブし、停電に備えて内部的に情報を保存しておく。ステップS156を経ると、ステップS157に進む。
【0136】
ステップS157では、移行するモードに対応する確率情報コマンド(ステップS148やS156のコマンドと同等のもの)を演出制御装置103に送信し、演出制御装置103で今回のモードの態様を演出する。次いで、ステップS158で大当り終了に関する外部情報出力データを設定する。これは、大当り中に出力していた信号をオフするものである。次いで、ステップS159で大当り終了に関する試験信号出力データを設定し、大当り中に出力していた試験信号をオフするようにする。
【0137】
次いで、ステップS160で確率変動判定フラグをクリアし、ステップS161でラウンドLED表示番号をリセット(今回の大当りラウンドを明示終了するため)し、ステップS162で大入賞口不正監視期間フラグを不正監視期間中としてセットする。これは、大当り中ではなくなるので、これ以降に大入賞口に入賞した球は不正入賞球であると判断するためにフラグを設定するものである。次いで、ステップS163で特図普段処理移行のデータ(処理番号0)を設定してリターンする。したがって、次回のルーチンでは特図普段処理に移行する。
【0138】
(k)遊技制御装置の特図表示中処理
次に、特図ゲーム処理におけるステップS68で実行される特図表示中処理を図15、図16により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS171で特図2が大当りであるか否かを判別し、大当りであればステップS174に分岐し、大当りでなければ、ステップS172に進む。ステップS172では同様に、特図1について大当りか否かを判別し、大当りであればステップS173に進み、大当りでなければステップS196にジャンプする。
特図2が大当りの場合は、ステップS174にて特図2大当りの開始に関する試験信号出力データを設定してステップS175に進み、特図1が大当りの場合は、ステップS173にて特図1大当りの開始に関する試験信号出力データを設定してステップS175に進む。何れも、所定の試験機関にデータを提供するためである。
【0139】
ステップS175では特図1大当りフラグ及び特図2大当りフラグをクリアし、続くステップS176で大当りのラウンド数上限値情報に対応するラウンド数上限値を設定する。大当りのラウンド数としては、前述したように、例えば通常は15ラウンド大当りが主の大当りであるが、プレミアとして16R大当りを発生させる構成であれば、16Rであってもよい。また、いわゆる突確(出玉の少ない大当りを経由して大当り確率が変化する突然確変)として2ラウンド大当りを発生させる構成であれば、2Rであってもよい。何れにしても、このステップS176でのラウンド数の上限値は、ステップS132で設定された結果により決まる。
【0140】
次いで、ステップS177でラウンド数上限値に対応するラウンドLED表示番号を設定し、演出制御装置103にて大当りのラウンド数の表示を演出させるようにする。
次いで、ステップS179で確率情報コマンド(低確率)を演出制御装置103に送信する。これは、大当り中は低確率であるため、低確率であことを演出制御装置103に知らせるためである。次いで、ステップS180で停止図柄に対応するファンファーレコマンドを演出制御装置103に送信する。これにより、このとき発生した大当りにふさわしいファンファーレコマンドが設定されて、大当りの映像や効果音などの演出が付与されることになる。次いで、ステップS181で停止図柄に対応する飾り特図コマンドを演出制御装置103に送信する。この処理により、停止図柄の表示が行われることになる。
【0141】
次いで、ステップS182で大入賞口開放情報と確率の状態に対応する外部情報出力データ(ホールコンピュータ54に出力する外部情報)を設定する。次いで、ステップS183で大当りの開始に関する外部情報出力データを設定する。次いで、ステップS184で高確率、時短の終了に関する試験信号出力データ(試験機関へのデータ)を設定する。次いで、ステップS185に進み、ラウンド数をリセットする。これにより、ラウンド数がゼロに戻される。
【0142】
次いで、ステップS186で普図ゲームモードフラグを普図低確率・普電サポートなしフラグとしてセットし、ステップS187で特図ゲームモードフラグを低確率としてセットし、ステップS188で遊技状態表示番号を低確率時の値に設定する。これにより、大当り中は、特図が低確率、普図も低確率で、遊技球の始動入賞のサポートがない状態になる。また、遊技状態表示番号が低確率時の値に設定されることで、高確率だった場合に、高確率を報知する表示が停止される。
【0143】
次いで、ステップS189で停電復旧時送信コマンド領域に確率情報コマンド(低確率)をセーブし、停電に備えて内部的に情報を保存しておく。次いで、ステップS190で高確率報知フラグをクリアする。高確率報知フラグは、高確率中に停電した場合、停電復旧後は高確率中であることを遊技者に報知するために設けているフラグであり、確率の状態が変化するまで報知するようにしているため、大当りになると低確率となるので、報知を終了させるためにクリアするものである。
【0144】
次いで、ステップS191で時短変動回数をリセットし、ステップS192で大入賞口不正監視期間フラグを不正監視期間外としてセットし、ステップS193で大入賞口不正入賞数をリセットする。大入賞口不正監視期間フラグは、大当りとなり、大入賞口が開放するようになった場合に、入賞した球は不正入賞ではないと判断するためのフラグである。なお、大当り中は大入賞口が開放していない時でも、正規入賞と判断する。また、大当りとなる度に、不正入賞数をクリアする。
このように、不可抗力や不正などで大当り中以外のときに大入賞口に入賞した遊技球のカウントをリセットしたり(特に、不可抗力によるカウントが蓄積して不正扱いとならないようにするために)、大入賞口への不正を監視する期間を外す。外さないと正規な大当り入賞とみなされず、不正入賞となるからである。
【0145】
次いで、ステップS194で大入賞口開放情報に対応するファンファーレ時間を設定する。これにより、このとき発生した大当りにふさわしいファンファーレの時間が設定されて、大当りの効果音の演出が行なわれることになる。次いで、ステップS195でファンファーレ処理移行のデータ(処理番号3)を設定して前述の特図ゲーム処理にリターンする。これは、特図表示中処理を終了して次の処理に相当するファンファーレ/インターバル中処理に移行させるためである。
【0146】
一方、ステップS171、172で特図1あるいは特図2の何れかの大当りでもなければ、図16に示すステップS196に分岐して時短中かどうかを判断する。時短中でなければ、ステップS207にジャンプして、特図普段処理移行のデータを設定して前述の特図ゲーム処理にリターンする。これにより、特図表示中処理を終了して次の処理に相当する特図普段処理に移行することになる。
【0147】
ステップS196で時短中のときは、ステップS197で時短変動回数を「―1」更新(すなわち、「1」だけデクリメント)してステップS198に進み、時短変動回数が「0」であるか否かを判断する。時短変動回数=初期値100回に設定されていた場合には、ステップS197で「1」ずつデクリメントされていくことになる。
ステップS198で時短変動回数が「0」でなければ、ステップS207にジャンプして、特図ゲーム処理にリターンし、ルーチンを繰り返す。ルーチンを繰り返して特別モード変動回数が「0」になると、ステップS200に進み、確率情報コマンド(時短終了)を演出制御装置103に送信する。これにより、演出制御装置103の制御により例えば時短終了の演出が行われる。
【0148】
次いで、ステップS201で時短終了に関する外部情報出力データを設定し、ステップS202で時短終了に関する試験信号出力データを設定する。これにより、ホールコンピュータ54に対して時短終了の情報が送信されたり、試験機関に対して時短終了の試験信号が送られたりする。次いで、ステップS203で普図ゲームモードフラグを普図低確率・普電サポートなしフラグとしてセットし、ステップS204で特図ゲームモードフラグを低確率としてセットする。これは、時短が終了するので、普図を低確率、普電サポートなしにしたり、特図を低確率にしたりするものである。
【0149】
次いで、ステップS205で遊技状態表示番号を低確率時の値に設定する。これにより、低確率であることを報知する表示が行われる。次いで、ステップS206で停電復旧時送信コマンド領域に確率情報コマンド(低確率)をセーブし、停電に備えて内部的に情報を保存しておく。次いで、ステップS207で特図普段処理移行のデータを設定し、リターンする。これは、特図表示中処理を終了して次の処理に相当する特図普段処理に移行させるものである。
【0150】
(l)遊技制御装置の賞球コマンド送信処理
次に、前記タイマ割込処理におけるステップS36で実行される賞球コマンド送信処理を図17により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS219で、遊技中であるか否か(前述の遊技中フラグがセットされているか否か)を判定し、遊技中であれば(即ち遊技中フラグがセットされていれば)ステップS221に進み、遊技中でなければステップS220に進む。
【0151】
ステップS220では、複数ある入賞数カウンタ領域の値を全てクリアする(値をゼロにする)処理を行い、リターンする。
ステップS221では、賞球コマンドの送信バッファがフル(満杯)か否かを判断する。この送信バッファは遊技制御装置101から封入球制御装置102に送る賞球コマンドを一時的に溜めておくものである。賞球コマンドの送信バッファがフルであれば、ルーチンを終了してリターンする。
【0152】
一方、賞球コマンドの送信バッファがフルでなければ、ステップS222に進んで入賞数カウンタ領域の値=0か否かを判断する。入賞数カウンタ領域の値=0であれば、賞球が無いと判断して、ステップS223に進んでチェックする入賞数カウンタ領域のアドレスを更新し、ステップS224で全領域のチェックが終了したか否かを判断する。全領域のチェックが終了していなければ、ステップS222に戻ってルーチンを繰り返し、全領域のチェックが終了すると、今回のルーチンを終了してリターンする。これは、入賞口の種類によって賞球数に差があるので、1個入賞に対して何個賞球するのかをそれぞれ区分してカウンタ領域を複数のアドレスに振り分けているため、全てのカウンタ領域に対応するアドレスをチェックものである。
【0153】
ステップS222で入賞数カウンタ領域の値=0でなければ、賞球すべき入賞数が存在するので、ステップS225に分岐して、対象の入賞数カウンタ領域(つまり、入賞数カウンタ領域の値=0でない領域)の値を「−1」だけ更新(デクリメント)する。次いで、ステップS226で入賞数カウンタ領域のアドレスに対応する賞球コマンドを封入球制御装置102に送信してリターンする。
【0154】
このように、入賞があると対応する入賞数カウンタ領域の値を更新し、そのアドレスに対応する賞球コマンドが送信バッファを介して遊技制御装置101から封入球制御装置102に送信する処理が行われる。この場合、遊技制御装置101と封入球制御装置102との間の賞球コマンド通信は単方向で行われるが、この例に限らず、例えば双方向で行う通信方式を採用してもよく、そのときは封入球制御装置102から遊技制御装置101に対してACKを返してもらうようにする。
【0155】
(m)遊技制御装置の始動口スイッチ監視処理
次に、特図ゲーム処理におけるステップS61で実行される始動口スイッチ監視処理を図18により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS620で、遊技中であるか否か(前述の遊技中フラグがセットされているか否か)を判定し、遊技中であれば(即ち遊技中フラグがセットされていれば)ステップS621に進み、遊技中でなければリターンする。
【0156】
ステップS621では、第1始動入賞口25内の第1始動口スイッチ120(図面では、始動口1スイッチと表記)に入力があるか否かを判定する。これは、第1始動入賞口25に入賞したかどうかを判断するものである。第1始動口スイッチ120に入力がなければ、ステップS624にジャンプし、入力があると、ステップS622に進んで、始動口1入賞時設定用テーブルを準備する。ここでの入賞時設定用テーブルは、第1始動入賞口25への入賞を監視するためのテーブルである。
次いで、ステップS623で始動口入賞時共通処理を行う(詳細後述する)。
【0157】
次いで、ステップS624に進み、普電入賞不正発生中か否かを判定する。これは、普通電動役物(普電)としての第2始動入賞口26への不正な入賞を監視するものである。なお、不正・入賞監視処理については、大入賞口への不正入賞の監視と、普電(普通電動役物)への不正入賞の監視とで、同じルーチンを採用している。
【0158】
ステップS624の判定結果がYES(不正あり)なら、ルーチンを終了してリターンする。一方、普電入賞不正発生中でなければ、ステップS625で普電作動中か否かを判定し、普電作動中でなければリターンし、普電作動中であればステップS626で第2始動入賞口26内の第2始動口スイッチ121(図面では、始動口2スイッチと表記)に入力があるか否かを判定する。これは、第2始動入賞口26(つまり、普電入賞口)に入賞したかどうかを判断するものである。第2始動口スイッチ121に入力がなければ、ルーチンを終了してリターンし、入力があると、正規な第2始動入賞口26への入賞があったとしてステップS628で始動口2入賞時設定用テーブルを準備する。ここでの入賞時設定用テーブルは、第2始動入賞口26への入賞を監視するためのテーブルである。
ステップS628を経ると、ステップS629で始動口入賞時共通処理を行い、その後ルーチンを終了し、リターンする。
【0159】
(n)遊技制御装置の始動口入賞時共通処理
次に、前記始動口スイッチ監視処理における始動口入賞時共通処理(S623、S629)を図19により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS651で始動口信号出力回路がカウンタオーバーしないなら、始動口信号出力回路のカウンタの値を「+1」だけ更新(インクリメント)する。これは、原則として始動入賞した全ての球を計数してホールコンピュータ54に外部情報として出力するためである。
【0160】
次いで、ステップS652で対象の特図保留数が上限値未満であるか否かを判定し、特図保留数が上限値以上であれば、ルーチンを終了してリターンする。
一方、特図保留数が上限値未満であれば、ステップS653に進んで対象の特図保留数(特図1と特図2がある)を「+1」だけ更新(インクリメント)する。次いで、ステップS654で対応する特図保留数コマンドを演出制御装置103に送信する。これにより、演出制御装置103により始動入賞に伴う特図保留数の更新の演出が行われる。
【0161】
次いで、ステップS656で大当り乱数を抽出する。これは、始動入賞のタイミングで特図を大当りとするか否かを判定するための大当り乱数の値を抽出するものである。次いで、ステップS657で対応する大当り乱数セーブ領域(特図の保留数用)に今回抽出した大当り乱数をセーブする。次いで、ステップS658で対象の始動口スイッチ(第1始動口スイッチ120又は第2始動口スイッチ121)に対応する大当り図柄乱数を抽出し、ステップS659で対応する大当り図柄乱数セーブ領域に今回抽出した大当り図柄乱数をセーブする。
【0162】
次いで、ステップS660で変動パターン乱数1を抽出し、対応する変動パターン乱数1セーブ領域にセーブする。次いで、ステップS661で変動パターン乱数2を抽出し、対応する変動パターン乱数2セーブ領域にセーブする。次いで、ステップS662で変動パターン乱数3を抽出し、対応する変動パターン乱数3セーブ領域にセーブする。変動パターン乱数1〜3は特図演出の変動態様を決めるための乱数である。
次いで、ステップS663で特図保留情報判定処理を行う。これは、今回始動入賞した遊技球に対応する保留記憶が大当りか否かを先読みするもので、例えば停止図柄、変動パターンも先読みし、演出制御装置103へ送信するためのものである。なお、上記の先読みした結果は保存しない。ステップS663を経ると、リターンする。
【0163】
次に、封入球制御装置102における定額遊技のための処理について図20乃至27により説明する。
(o)封入球制御装置の定額遊技制御処理
図20は、封入球制御装置102の定額遊技制御処理のフローチャートである。
このルーチンは例えば所定のタイマ割込周期で繰り返し実行される。ルーチンが開始されると、まずステップS401で定額遊技処理番号による分岐処理を行う。例えば、定額遊技処理番号0のときにはステップS402に進んで遊技開始監視処理を実行し、定額遊技処理番号1のときにはステップS403に進んで遊技開始ACK受信待ち処理を実行し、定額遊技処理番号2のときにはステップS404に進んで遊技終了監視処理を実行し、これら各処理の何れかを実行するとルーチンを終了してリターンする。
【0164】
(p)封入球制御装置の遊技開始監視処理
次に図21は、前記定額遊技制御処理におけるステップS402の遊技開始監視処理のフローチャートである。
このルーチンが開始されると、まずステップS411で、カードユニット15から送信される定額遊技カードの情報(即ち、遊技者が所定金額を前払いしたことを実質的に含む定額入金情報)を受信したか否か判定し、受信していればステップS412に進み、受信していなければリターンする。なお、既述したように、カードユニット15は定額遊技カードが挿入されるとこの定額入金情報を封入球制御装置102に送信する機能を有し、封入球制御装置102は、この定額入金情報を受信して本発明の受信手段として機能する。
【0165】
ステップS412に進むと、定額遊技の遊技開始コマンドを遊技制御装置101(主制御基板)に送信し、次のステップS413で遊技開始ACK受信待ち処理に移行するためのデータ(例えば定額遊技処理番号1)を設定し、リターンする。
【0166】
なお、ステップS412で送信された遊技開始コマンドは、遊技制御装置101の前述の遊技開始判定処理におけるステップS49で受信判定され、このステップS49で受信されたと判定されると、次のステップS50で前記遊技中フラグがセットされて遊技が可能となる。このため、この遊技開始コマンドが送信されてはじめて定額遊技が開始できる状態となる。なお本例は、一般の遊技カードでも一般の遊技が可能であるので、一般の遊技カードがカードユニット15に挿入された場合にも、同様の遊技開始コマンド(但し、一般の遊技を指令するもの)が遊技制御装置101に送信され、遊技制御装置101で前記遊技中フラグがセットされて遊技が可能となる。但し、既述したように一般の遊技カードが挿入されたときには、定額遊技ではないので、後述する発射可能数等の処理は行われず、図示省略した制御処理によって、従来どおりの球貸し動作によって増加する持球数がゼロになると遊技球の発射が不能となるように制御される。
【0167】
(q)封入球制御装置の遊技開始ACK受信待ち処理
次に図22は、前記定額遊技制御処理におけるステップS403の遊技開始ACK受信待ち処理のフローチャートを示す図である。
このルーチンが開始されると、まずステップS421で遊技開始ACKを遊技制御装置101から受信したか否か判定し、受信していればステップS422に進み、受信していなければステップS428に進む。遊技開始ACKは、遊技制御装置101の前述の遊技開始判定処理のステップS51で送信されるものであり、遊技制御装置101が封入球制御装置102から遊技開始コマンドを受信すると、その応答として封入球制御装置102に返信する信号である。
【0168】
そのため、封入球制御装置102は、遊技開始コマンドをステップS412で送信してからの経過時間を計時し、ステップS428では、この経過時間が規定の時間(受信タイム)を超えているか否か判定する。そして、前記経過時間が受信タイムを超えていると受信タイムアウトであるとしてステップS429に進み、前記経過時間が受信タイムを超えていないと、リターンして次のシーケンスでまたこのルーチンを繰り返す。
したがって、遊技開始コマンド送信から規定の受信タイム内に遊技開始ACKが受信されれば、ステップS422以降の処理が実行され、そうでなければ、遊技制御装置101が正常に動作していない(例えば遊技開始コマンドを正常に受信していない)等の障害が発生していると推定できるためステップS429以降の処理が実行される。
【0169】
ステップS429に進むと、定額遊技が開始できないので、遊技開始不可のコマンドをカードユニット15に送信し、次のステップS430で、遊技開始監視処理に移行するためのデータ(例えば定額遊技処理番号0)を設定して、その後リターンする。なお、上記遊技開始不可のコマンドを受けたカードユニット15では、定額遊技カードを返却(即ち、排出)するとともに、なんらかの異常で定額遊技が開始できないことをランプの点灯などで遊技者や店員に報知することが望ましい。
【0170】
一方、遊技開始ACKが正常に受信されてステップS422に進むと、まず遊技中フラグをセットする。これは、遊技制御装置101における遊技中フラグと同様に、遊技中にセットされるフラグであり、この遊技中フラグがセットされていないと、実質的に遊技が不能となり実行できないように制御される。具体的には、この遊技中フラグがセットされていないと、例えば封入球制御装置102が発射制御装置104に指令を送って発射ボリューム171が操作されても発射ソレノイド173を駆動しないように制御させて遊技球の発射装置を不能とする、或いは、封入球制御装置102が発射制御装置104に指令を送って球送りソレノイド172を駆動しないように制御させて遊技球の発射位置への供給を止めて遊技球の発射を不能とする、などの制御が実行される構成となっている。
【0171】
ステップS422を経ると、ステップS423で遊技開始のコマンドをカードユニット15に送信し、次のステップS424で持球数の初期値を設定し、次のステップS425で発射可能数の初期値を設定し、次のステップS426で回収球数残の初期値を設定し、次のステップS427で遊技終了監視処理に移行するためのデータ(例えば定額遊技処理番号2)を設定し、その後リターンする。
ここで、遊技開始のコマンドをカードユニット15に送信するのは、定額遊技の開始をカードユニット15に知らせるためである。このコマンドを受けたカードユニット15は、例えば、定額遊技開始済みのカードであることを、挿入されている定額遊技カードの記憶情報として書き込むなどの処理を行う。
【0172】
また、ステップS425、S426の処理は、定額遊技の基本的な終了条件として、遊技者の利益としての持球数に無関係な条件(本発明の遊技限度条件)を設定しており、これら処理により実現される機能は、本発明の遊技限度設定手段に相当する。即ち本例は、本発明の遊技限度条件を、定額入金情報に基づく遊技球の発射数(即ち、定額遊技における遊技球の発射数)が所定の発射可能最大数に到達すること、とした例である。そして、この発射可能最大数は上記ステップS425、S426の発射可能数及び回収球数残の初期値に相当する。
【0173】
また、持球数の初期値としては、例えば定額遊技カード3000の場合、3000円分であるので、1球4円として750個が設定される。また、発射可能数及び回収球数残の初期値(即ち、発射可能最大数)としては、例えば定額遊技カード3000の場合、6000個(1分間に100個発射するとして、1時間遊技ができる分)が設定される。回収球数残とは、発射可能最大数のうち遊技領域を経て回収されていない遊技球(具体的には、アウト球検出スイッチ163で検出されていない遊技球)の数、即ち、発射可能最大数から回収された遊技球の数(具体的には、アウト球検出スイッチ163で検出された遊技球)を差し引いた数を意味する。後述する処理によって、発射可能数は、遊技球が発射される毎に発射数分だけ減少し、回収球数残も発射された遊技球が回収されるたびにその個数分だけ減少するので、発射された全ての遊技球が回収されれば、発射可能数と回収球数残の値は等しくなる。
【0174】
なお、定額遊技カードの種類を金額別に複数設定し、定額遊技カードの種類毎に定額入金情報を異ならせ、封入球制御装置102では、ステップS411で受信したこの定額入金情報に基づいて定額遊技カードの種類を判別し、上記ステップS424乃至S426で設定する初期値をこの種類別に異ならせるようにしてもよい。
【0175】
(r)封入球制御装置の遊技終了監視処理
次に図23は、前記定額遊技制御処理におけるステップS404の遊技終了監視処理のフローチャートを示す図である。
このルーチンが開始されると、ステップS431乃至S433で定額遊技を終了して精算する終了条件が成立しているか否か判定し、成立していればステップS434以降を実行し、非成立ならリターンする。
即ち、まずステップS431で手動(遊技者の操作)による精算開始か否か判定する。具体的には、例えば後述する精算ボタン205が遊技者によって操作されたか否か判定し、遊技者の操作で精算開始が指令されたと判定した場合には、ステップS434に進み、そうでない場合にはステップS432に進む。
【0176】
次にステップS432では、持球数が規定の打ち止め個数(例えば、1万円分の景品交換が可能な1万個)以上に到達したか否か判定し、到達した場合にはステップS434に進み、未達のときにはステップS433に進む。
そしてステップS433では、回収球数残の値がゼロか否か判定し、ゼロの場合にはステップS434に進み、ゼロでないときにはステップS433に進む。
【0177】
なお本例では、発射可能最大数の全てを発射する前に、遊技者が自分の意思で定額遊技を終了し精算できる態様であり、そのために上記ステップS431が設けられている。また本例では、発射可能最大数の全てを発射していなくても、持球数が規定の打ち止め個数になると強制的に定額遊技を終了させる態様であるため、上記ステップS432が設けられている。打ち止め個数は、定額遊技カードの種類によって、異ならせてもよい。
【0178】
また本例は、前述したように、定額遊技中の遊技球の発射数が所定の発射可能最大数に到達することを本発明の遊技限度条件とした例であるため、これを実現するために上記ステップS433が設けられている。即ち、設定された発射可能最大数の遊技球が発射され、これが全て回収されると、回収球数残の値がゼロになり、ステップS434以降の処理(定額遊技を終了させる処理)が行われる構成となっている。この場合、発射可能最大数の遊技球が発射された時点(即ち、発射可能数がゼロになった時点)ではまだ、ステップS434以降の処理(定額遊技を終了させる処理)を行わない構成になっているが、これは次の理由による。即ち、発射された遊技球が全て回収される前に発射可能数がゼロになった時点ですぐに遊技を終了する処理を実行してしまうと、発射可能数がゼロになる直前に発射された遊技球が入賞等しても、この入賞が有効なものとして処理されない(例えば、その入賞による賞球数分の持球数の加算が行われない)恐れがあり、このような不具合を回避するためである。
【0179】
次にステップS434に進むと、遊技中フラグをクリアし、次にステップS435で終了条件に対応する遊技終了のコマンドを遊技制御装置101に送信し、ステップS436に進む。
ここで、遊技中フラグをクリアするのは、終了条件が成立したので、遊技を終了させるためである。遊技中フラグがクリアされると、既述したように、遊技不能となる。なお、図示省略した処理によって、この遊技終了に伴い、封入された遊技球が発射できる状態から遊技球が発射できない発射不能状態に切り替わる構成となっている。但し、この切り替えのタイミングは、この遊技中フラグがステップS434でクリアされた時点(即ち、回収球数残がゼロになりステップS433の判定結果が肯定的になった時点)ではなく、後述するステップS444で発射毎に減算される発射可能数がゼロになった時点であることが望ましい。発射可能数がゼロになった時点から、上記ステップS434が実行されるまでには時間(遊技球が全部回収されるまでの時間)があるため、この間に発射可能最大数を超えて遊技球が発射されることを防止する必要があるからである。
ちなみに、一般の遊技の場合には、持球数がゼロになった時点で発射不能状態に切り替えられる制御が行われる。
【0180】
また、ステップS435で遊技制御装置101に送信する遊技終了のコマンドは、終了条件によってその内容が異なっている。これは、成立した終了条件が、手動による精算開始(ステップS431で判定される条件)、持球数が打ち止め個数に到達した打ち止め(ステップS432で判定される条件)、及び発射数が発射可能最大数になったこと(ステップS433で判定される条件)、のうちのどれであるかを、遊技制御装置101に知らせるためである。
【0181】
次にステップS436では、持球数がゼロ未満か判定し、ゼロ未満ならステップS437で持球数をゼロとし、ステップS438に進む。これは、持球数がマイナスになっているとき、処理の便宜上持球数をゼロとするための処理である。
ステップS438に進むと、精算開始要求フラグをセットし、次のステップS439で遊技開始監視処理に移行するためのデータ(例えば定額遊技処理番号0)を設定してリターンする。上記ステップS438で、精算開始要求フラグがセットされることによって、封入球制御装置102とカードユニット15とにおいて、精算処理が開始される。
【0182】
精算処理は、ステップS438の時点で持球数がゼロのとき(ステップS436の時点ではマイナスである場合も含む)には、定額遊技カードを回収して遊技者に戻さないようにし、持球数がゼロでない値(プラスのデータ)のときには、その持球数のデータを景品交換のために定額遊技カードに書き込んで、定額遊技カードを排出して遊技者に返却するための処理である。なお、持球数がゼロのときには景品交換ができないので定額遊技カードを回収する構成としている。また、定額遊技カードを返却する際には、1枚のカードで複数回定額遊技が実行できないように、定額遊技終了済みであることが識別できるデータを定額遊技カードに書き込んでおく(或いは、定額入金情報を削除しておく)等の処理が実行される。
【0183】
(s)封入球制御装置の発射球検出スイッチ監視処理
次に図24は、封入球制御装置102の発射球検出スイッチ監視処理のフローチャートを示す図である。
このルーチンは、例えば所定のタイマ割込周期で繰り返し実行される。ルーチンが開始されると、まずステップS441で発射球検出スイッチ161に入力があったか(即ち、発射球が検出されたか)否か判定し、入力がなければリターンする。入力があれば、ステップS442に進んで盤面球数の値を「+1」だけ更新(インクリメント)し、次のステップS443で持球数の値を「−1」だけ更新(デクリメント)し、次のステップS444で発射可能数の値を「−1」だけ更新(デクリメント)し、リターンする。
【0184】
このルーチンによれば、遊技球が1個発射されるたびに、盤面球数が1個加算され、持球数と発射可能数が1個減算される。盤面球数は、発射されて回収されていない遊技球、即ち主に遊技盤面上(遊技領域内)を落下しつつある遊技球の数である。この盤面球数は、遊技領域での球詰まり等の異常がなければ、前述した回収球数残と発射可能数の差に等しい。
【0185】
(t)封入球制御装置のファール球検出スイッチ監視処理
次に図25は、封入球制御装置102のファール球検出スイッチ監視処理のフローチャートを示す図である。
このルーチンは例えば所定のタイマ割込周期で繰り返し実行される。ルーチンが開始されると、まずステップS451でファール球検出スイッチ162に入力があったか(即ち、ファール球が検出されたか)否か判定し、入力がなければリターンする。入力があれば、ステップS452に進んで盤面球数の値を「−1」だけ更新(デクリメント)し、次のステップS453で持球数の値を「+1」だけ更新(インクリメント)し、次いでステップS454で発射可能数の値を「+1」だけ更新(インクリメント)し、リターンする。
このルーチンによれば、ファール球(発射されたが遊技領域に到達しなかった遊技球)が1個回収されるたびに、盤面球数が1個減算され、持球数と発射可能数が1個加算される。ファールなので、遊技者の損失とならないよう、発射が無かったことにするためである。
【0186】
(u)封入球制御装置の賞球コマンド受信処理
次に図26は、封入球制御装置102の賞球コマンド受信処理のフローチャートを示す図である。
このルーチンは例えば所定のタイマ割込周期で繰り返し実行される。ルーチンが開始されると、まずステップS461で遊技制御装置101からの賞球コマンドが受信されたか判定し、受信された場合にはステップS462に進んで正常な賞球コマンドか判定し、正常ならばステップS463で受信した賞球コマンドに対応する値を持球数に加算し、リターンする。ステップS461、S462の判定結果が否定的の場合には、リターンする。
【0187】
このルーチンによれば、遊技制御装置101から正常な賞球コマンドが受信されると、受信した賞球コマンドで指定された賞球数分だけ持球数が増加する。なお、前述したように賞球コマンドは、入賞があると、遊技制御装置101のステップS226により封入球制御装置102に送信される。但し、ステップS219があるために、遊技中(遊技制御装置101において遊技中フラグがセットされている状態)でなければ、この賞球コマンドは送信されず、この場合入賞があっても持球数は増加しない。
【0188】
(v)封入球制御装置のアウト球検出スイッチ監視処理
次に図27は、封入球制御装置102のアウト球検出スイッチ監視処理のフローチャートを示す図である。
このルーチンは例えば所定のタイマ割込周期で繰り返し実行される。ルーチンが開始されると、まずステップS471でアウト球検出スイッチ163に入力があったか(即ち、アウト球が検出されたか)否か判定し、入力がなければリターンする。入力があれば、ステップS472に進んでアウト数の値を「+1」だけ更新(インクリメント)し、次のステップS473でアウト数が10以上か判定し、10以上でなければ(10未満ならば)ステップS476に進む。アウト数が10以上ならば、ステップS474でアウト数信号出力回数の値を「+1」だけ更新(インクリメント)し、次のステップS475でアウト数の値をゼロにする(0クリアする)処理を行い、ステップS476に進む。
ステップS476に進むと、盤面球数の値を「−1」だけ更新(デクリメント)し、次のステップS477で回収球数残の値を「−1」だけ更新(デクリメント)し、リターンする。
【0189】
このルーチンによれば、アウト球が1個回収されるたびに、盤面球数と回収球数残が1個減算される。なおアウト球は、発射されてセーフになった(入賞した)遊技球と、アウトになった(入賞しなかった)遊技球の両方を含む。即ち、アウト球は、遊技領域から排出され回収される全ての遊技球を意味する。また、アウト数信号とは、ホールコンピュータ54(管理装置)に出力される外部情報の一つである。このアウト数信号としては、アウト球10個分で1パルスの信号を出力している。そのため、上記ステップS472乃至S475では、アウト球の数をアウト数としてカウントし、このアウト数が10になるたびに、アウト数信号出力回数を1増加させてこのアウト数を0クリアしている。これにより、アウト数信号(アウト球10個分の信号)を出力した回数(上記パルスの数)がアウト数信号出力回数として計数される。
【0190】
G.定額遊技の具体例
次に、図28、図29を参照して定額遊技の具体例について説明する。
図28は、パチンコ機1に設けられている操作・表示パネル7を示す図である。
まず、図28(a)は定額遊技開始時の例であり、操作・表示パネル7にはメッセージなどを表示するメッセージ表示部201、発射可能な発射可能数を表示する発射可能数表示部202、持球数を表示する持球数表示部203が設けられているとともに、精算ボタン205、休憩ボタン206が画面上に配置されている。精算ボタン205及び休憩ボタン206は、タッチパネル182の機能として作動するもので、遊技者がこれらのボタンに触れると、オン(あるいはオン・オフの交互動作)するようになっている。
【0191】
精算ボタン205は遊技者が遊技結果の精算を望むときに操作するもの、休憩ボタン206は遊技者が一定時間(例えば、40分)の休憩を望むときに操作するものである。精算ボタン205を押すと、前述した手動による精算開始(ステップS431参照)となり、精算処理が行われて定額遊技カードがカードユニット15から排出される。なお前述したように、発射可能数がゼロになり次いで回収球数残もゼロになると遊技終了で精算開始となり、また持球数が打ち止め個数に到達したときも遊技終了で精算開始となる(ステップS432、S433参照)。こうして遊技終了となって封入球制御装置102及びカードユニット15における精算処理が行われた場合、遊技者は排出された遊技カードを持ってカード精算機53に挿入することで、カード精算機53にて景品交換のための精算を行うことができる(例えば、カード精算機53から景品交換レシートが排出され、このレシートを使ってホールのカウンタで景品と交換できる)。
【0192】
また、休憩ボタン206を押すと、休憩ボタン206が点灯状態になる。メッセージ表示部201に「休憩中」という表示をしてもよい。この休憩の際に、定額遊技カードは一旦排出するようにしてもよいが、不正防止等のため定額遊技カードは休憩中も遊技中も排出しないように制御してもよい。また休憩中は、他の遊技者が発射操作を行わないように、遊技球の発射を不能とする制御を行うことが望ましい。
【0193】
次に、定額遊技の具体例の詳細につき、場合分けして説明する。
<定額遊技開始時>
定額遊技開始時には、遊技者がパチンコ機1に併設されたカードユニット15に定額遊技カードを挿入する。これにより前述した遊技中フラグがセットされて遊技が可能となる。定額遊技カードが挿入されると、図28(a)に示すように、メッセージ表示部201に「定額遊技です 発射を開始して下さい」というメッセージが表示され、このとき、発射可能数は初期値として「残6000(個)」というように発射可能数表示部202に表示され、持球数表示部203には「750(個)」という持球数の初期値が表示される。これにより、遊技者は発射可能数の初期値=6000個の範囲内で遊技球を発射し遊技が行わる。ちなみに、定額遊技でない一般の遊技では、持球数の範囲内で遊技が行えることになるが、定額遊技の場合には持球数に無関係な遊技限度条件(この場合、発射数が所定の発射可能最大数=6000個に到達すること)の範囲内で遊技が可能となる。
【0194】
<定額遊技中>
遊技者が発射ボリューム171を操作することで、発射位置にある遊技球が遊技領域22に打込まれて、遊技が開始する。遊技領域22を落下した球はアウトあるいはセーフとなって、遊技領域22を経た後に回収されて循環し、再び発射位置に導かれる。このようにして、封入された遊技球が循環使用されてパチンコ遊技が行われる。
遊技球が特図の始動入賞口25又は26に入賞すると、表示装置41において特図が変動し、特図の変動表示ゲームが行われる。また、始動入賞あるいは一般入賞した場合には、入賞口に対応する賞球数が持球数に加算される(ステップS463参照)。
【0195】
さて、このような定額遊技中のときは、図28(b)に示すように、メッセージ表示部201に「定額遊技中 発射可能です」というメッセージが表示されて遊技者に報知される。このとき、この時点までの発射数が例えば4500個であるとすると、発射可能数としては「残1500(個)」(=6000個−4500個)という表示が発射可能数表示部202になされ、持球数表示部203には例えば「−200(個)」という表示がされている。これにより遊技者は、今は定額遊技中であり、あと1500個の遊技球が発射可能であり持球数は−200個という状態であることを知ることになる。なお、持球数が−200個とうことは、持球数が750個から950個減ったということであり、4500個発射して賞球が3550個(=4500個−950個)しか獲得できなかった状態であり、発射数よりも獲得した賞球数が少ない分だけ持球数が減ってしまい、その持球数が減った量(950個)が持球数の初期値(750個)よりも多いために持球数がマイナスとなった状態である。このように本例の定額遊技では、持球数がマイナスの値になっても、発射可能数が残っていれば(即ち、遊技限度条件が成立していなければ)、打ち止めの場合を除き、遊技球を発射して遊技が継続できる。
【0196】
ここで、本実施例における定額遊技と一般の遊技(定額遊技でない遊技)の態様を比較して説明すると、以下のようになる。
(A)定額遊技
持球数と無関係な発射可能数の初期値(遊技限度条件)が設定される。
発射毎に、持球数と発射可能数を減算(「1」ずつ減算)。
持球数に無関係に、発射可能数がゼロになるまで遊技可能。
持球数を増加させる球貸しはできない。
持球数はマイナスになることがある。
入賞毎に、入賞口に対応する賞球数を持球数に加算。
表示手段に「定額遊技」などと表示。
【0197】
(B)一般の遊技
持球数と無関係な遊技限度条件の設定はない。
発射毎に、持球数を減算(「1」ずつ減算)
持球数がゼロになるまで遊技可能。
持球数を増加させる球貸しができる。
持球数はマイナスにならない。
入賞毎に、入賞口に対応する賞球数を持球数に加算。
表示手段に例えば「一般遊技」などと表示してもよい。
【0198】
<定額遊技終了時(持球数有り)>
発射可能数がゼロになると、前述したように定額遊技は終了するが、この際に持球数が1個以上有る場合には、次のようになる。即ち、図28(c)に示すように、メッセージ表示部201に「遊技終了です 精算ボタンを押して下さい」というメッセージが表示されて遊技者に報知される。このとき、発射可能数としては「0(個)」という表示が発射可能数表示部202になされ、持球数表示部203には例えば「2000(個)」という表示がされている。そして、この状態で遊技者が、精算ボタン205にタッチすると、必要な情報(持球数2000個の情報など)が定額遊技カードに書き込まれた後に、定額遊技カードがカードユニット15から返却される。既述したように、遊技者はこの定額遊技カードを使って景品交換ができる。
【0199】
<定額遊技終了時(持球数無し)>
発射可能数がゼロになり定額遊技が終了した際に、持球数が0個又はマイナスの場合には、次のようになる。即ち、図28(d)に示すように、メッセージ表示部201に「遊技終了です 精算はございません」というメッセージが表示されて遊技者に報知される。このとき、発射可能数としては「0(個)」という表示が発射可能数表示部202になされ、持球数表示部203には例えば「−1050(個)」という表示がされている。そしてこの場合には、精算ボタン205は表示されず、定額遊技カードは返却されずカードユニット15の内部で取り込まれて回収される。景品交換の必要がないからである。なお、定額遊技カードが回収されることで、定額遊技カードの不正な再利用等が防止される。
【0200】
<手動による精算時>
定額遊技中に、遊技者が精算ボタン205にタッチすると、手動による精算が開始され、次のようになる。例えば、発射可能数がゼロになったときと同様に、持球数が1個以上有る場合には、図28(c)に示すようにメッセージ表示等が行われて(但し、発射可能数の表示はゼロではない)定額遊技カードが返却され、持球数が0個又はマイナスの場合には、図28(d)に示すようにメッセージ表示等が行われて(但し、発射可能数の表示はゼロではない)定額遊技カードが回収される。
【0201】
なお、このように手動による精算も発射可能数がゼロになったときと同様に扱うと、発射可能数が残っているのに、そのカードではもう定額遊技は行えなくなるので、遊技者が不満を感じる恐れがある。そこで、このような不満の恐れを解消するため、次のようにしてもよい。即ち既述したように、手動による精算の場合(あくまで発射可能数が1個以上残っている場合)に、定額遊技カードにその時点の発射可能数と持球数のデータ(マイナスでもよい)を書き込んで定額遊技カードを返却するようにし、その定額遊技カードを再度遊技者が何れかのパチンコ機1のカードユニット15に挿入すると、残りの発射可能数分の定額遊技を精算時の持球数を初期値としてそのパチンコ機1で実行できる構成としてもよい。
【0202】
<打ち止めによる終了時>
持球数が打ち止め個数になると、前述したように打ち止めにより定額遊技は終了するが、この際には次のようになる。即ち、図28(c)に示す終了時と略同様になる。但し、メッセージ表示部201には、例えば「打ち止め(遊技終了)です 精算ボタンを押して下さい」というメッセージが表示されて遊技者に報知される。またこのとき、発射可能数の残数が発射可能数表示部202になされ、持球数表示部203には打ち止め個数である「10000(個)」という表示がされる。そして、この状態で遊技者が、精算ボタン205にタッチすると、必要な情報(持球数10000個の情報など)が定額遊技カードに書き込まれた後に、定額遊技カードがカードユニット15から返却される。既述したように、遊技者はこの定額遊技カードを使って景品交換ができる。なお、打ち止めなので、発射可能数に残数があっても、それ以上は遊技ができない。
【0203】
次に、定額遊技時における表示装置41の表示部41aに表示される画面例について、図29を参照して説明する。
定額遊技開始時は、図29(a)に示すように、表示装置41の表示部41aの中央エリア41bに「定額遊技」、「所定数の発射が可能です」、「但し持球数10000個で打ち止めです」、「操作・表示パネルを確認して下さい」などのメッセージが表示される。これにより、遊技者はパチンコ機1の正面に位置する表示装置41の画面上から速やかに定額遊技の開始等を知ることができる。
【0204】
次いで、定額遊技中は、図29(b)に示すように、表示装置41の表示部41aの中央エリア41bに例えば特図に相当する3列の数字が変動表示される(この例では、「1」、「2」、「3」)。また、表示部41aの上部エリア41cには「定額遊技中…所定数の発射が可能です…持球数10000個で打ち止めです…」とのメッセージが画面上を図中右側から左側に流れていくようにテロップ表示され、さらに表示部41aの下部エリア41dには特図の始動記憶がドット表示される。これにより、遊技者は特図変動を気にしながらも、定額遊技中であること等を容易に知ることができる。
【0205】
次いで、定額遊技終了時は、図29(c)に示すように、表示装置41の表示部41aの中央エリア41bに「遊技終了」、「定額遊技が終了しました」、「操作・表示パネルを確認して下さい」とのメッセージが表示される。これにより、遊技者は定額遊技の終了を容易に知ることができる。
なお、打ち止めによる終了時には、図29(d)に示すように、表示装置41の表示部41aの中央エリア41bに「打ち止め(遊技終了)」、「おめでとうございます」、「打ち止めです」、「精算ボタンを押して下さい」とのメッセージが表示される。これにより、遊技者は打ち止めによる定額遊技の終了を容易に知ることができ、また打ち止めの喜びをより実感できる。
【0206】
H.一般遊技の具体例
次に、定額遊技でない一般の遊技について、説明しておく。一般の遊技は、一般の遊技カードをカードユニット15に挿入することにより可能となる。この場合、操作・表示パネル7には、図28における発射可能数表示部202の代りに、球貸し可能な球貸度数を表示する球貸度数表示部が設けられる。また、図28における例えば精算ボタン205の上方位置に球貸ボタンが設けられる。そして、遊技者がこの球貸ボタンを例えば1度数分だけ押した場合、メッセージ表示部201に「持球数に125個加算されました」というメッセージが表示され、このとき、残り度数は90というように球貸度数表示部に表示され、持球数表示部203には「125(個)」という表示がされる。これにより、遊技者は持球数=125個の範囲内で遊技が行える。また、持球数が少なくなった場合、遊技者は再度球貸ボタンを押すことによって、125個単位で持球数を増やすことができる。但し、球貸ボタンを押して持球数を増やすたびに、その分だけ球貸度数表示部に表示されている残り度数(即ち、挿入されている遊技カードの残額)は、漸次減ってゆく。
【0207】
本実施例によれば、以下のような効果がある。
以上のように本実施例のパチンコ機1は、制御装置(封入球制御装置102及び遊技制御装置101)が、遊技者が所定金額を前払いしたことを含む定額入金情報を受信する受信手段としての機能(ステップS411等)と、定額入金情報に基づいて、遊技者の利益としての持球数に無関係な遊技限度条件を設定する遊技限度設定手段としての機能(ステップS425等)と、定額入金情報を受信したことを必要条件として、定額入金情報に基づく遊技(即ち、定額遊技)を可能とし、設定された遊技限度条件が成立すると、定額入金情報に基づく遊技を不能として遊技を終了させる遊技制御手段としての機能(ステップS422、S50、S434、S57等)と、を備える。
【0208】
このため、遊技者が所定金額を前払いして得た定額遊技カードをカードユニット15に挿入して、この定額遊技カードの定額入金情報がパチンコ機1の制御装置で受信されると、定額遊技が可能となり、この定額遊技では、遊技者の利益としての持球数に無関係な遊技限度条件が設定され、この遊技限度条件(例えば、所定の発射可能最大数)の範囲内であれば、遊技者は追加の金額を投入することなく遊技が継続可能となる。したがって遊技者は、所定金額を前払いすることによって、所定限度内の遊技を安心して楽しむことができる。つまり、遊技者の想定する所定の金額で遊技を安心して楽しむことができる。また遊技者は、使用金額が決まっているので過度に遊技にのめり込むことがない。
【0209】
また、遊技場側は、所定の金額を遊技者の前払いで入手するので安定した売り上げを期待することができる。遊技場側は、最初に一定金額の売り上げがあり、出球の上限も設定されているので売り上げ及び利益を計算し易い。特に、本実施例では、遊技者の利益としての持球数が所定の打ち止め個数に到達すると、前記遊技限度条件が成立していなくても、前記定額入金情報に基づく遊技(即ち、定額遊技)を終了させる打ち止め制御手段としての機能(前述のステップS432等)を制御装置に設けている。このため、遊技者の持球数の上限が設定され、この上限を超えて持球数が増加することはないので、遊技場側はより安定した利益を期待することができ、売り上げ及び利益を特に計算し易い。
【0210】
また本実施例では、制御装置が、遊技者の利益としての持球数を記憶する持球数記憶手段(RAM153)と、定額入金情報に基づいて持球数の初期値を持球数記憶手段に設定する持球数初期値設定手段としての機能(ステップS424等)と、遊技球を発射する毎に持球数を減少させる持球数減算手段としての機能(ステップS443等)と、遊技領域に発射された遊技球による遊技結果として所定数の賞球が発生すると、当該賞球数に対応させて持球数を増加させる持球数加算手段としての機能(ステップS226、S463等)と、を備え、遊技限度条件が成立していない場合には、持球数の値がマイナスであっても、定額入金情報に基づく遊技を可能とする機能を有する。
【0211】
このため遊技者は、所定金額を前払いしたことによる定額遊技ではあるが、球貸しをして行う一般の遊技と同様な遊技感覚をもつことができる。即ち遊技者は、持球数がプラスであれば(厳密には、初期値よりも多ければ)勝っている、マイナスであれば負けているという、勝ち負けの感覚を十分に持って遊技を楽しむことができるので、適度な射幸心を演出することができる。また遊技者は、常に持球数がどれ位あるのか又はどれ位マイナスなのか(勝っているのか負けているのか)を容易に把握することができる。なお、一般の遊技であると前述したように、遊技カードの残り度数とゼロ以上の持球数が表示されるだけであるので、遊技で勝っているのか負けているのかは、球貸しに使ったカードの度数と現在の持球数とから計算をしないと分からない。しかし本例の定額遊技であると、持球数が初期値よりプラスであれば勝っている、マイナスであれば負けていることが明確であるので、持球数の表示から容易かつ瞬時に勝ち負けの状態が分かるという利点がある。
【0212】
また本実施例は、遊技限度条件が今後どの程度で成立するかが分かる情報(本例では、発射可能数の情報)を逐次更新して遊技者に対して報知する遊技進行度報知手段(操作・表示パネル7の発射可能数表示部202)を備える。
また、持球数に対応する情報を遊技者に対して報知する持球数報知手段(操作・表示パネル7の持球数表示部203)を備え、この持球数報知手段は、持球数の値がマイナスになると、持球数の値がマイナスであることを遊技者が識別できる態様で前記情報を報知する(図28(b))。
【0213】
また、定額入金情報に基づく遊技(定額遊技)の開始時に、定額入金情報に基づく遊技限度条件が成立するまでの範囲での遊技が可能であることを含む遊技説明情報を報知し、定額入金情報に基づく遊技の終了時に、定額入金情報に基づく遊技が終了することを含む遊技説明情報を報知する遊技説明報知手段(操作・表示パネル7、表示装置41)を備える。
このため、遊技の進行度や、持球数の状況(ひいては、勝ち負けの状況)、遊技の開始や終了及び遊技のルール等を遊技者によりわかりやすく認識させることができる。
【0214】
次に、本発明の変形例について説明する。
(1)上記実施例では、遊技終了時に持球数がゼロ以下のときには、定額遊技カードを回収して遊技者に返却しないようにしているが、これに限らない。例えば、手動による精算操作があって発射可能数がゼロでない場合には、持球数がゼロ以下でも、その時点の持球数のデータと発射可能数のデータを定額遊技カードに書き込んで遊技者に返却するようにし、返却された定額遊技カードを遊技者が別の遊技機のカードユニットに挿入すると、この別の遊技機で残りの発射可能数分の遊技が可能となる構成としてもよい。このようにすると、遊技者は定額遊技の途中で遊技機の台を変えることができる。
【0215】
(2)上記実施例では、遊技限度条件を発射可能数により定めているが、これに限るものではない。
例えば、遊技開始からの経過時間が所定の遊技可能最大時間に到達することを遊技限度条件としてもよい。この場合、例えば、定額遊技カードを挿入した時点(又は、カード挿入して最初の遊技球を発射した時点)からの経過時間が所定の遊技可能最大時間に到達したら遊技球の発射を不能とし、その後盤面球数がゼロになったら遊技中フラグをクリアし精算開始要求フラグをセットするなどの処理を実行して遊技を終了するプログラム構成とすればよい。また、操作・表示パネル7には、発射可能数表示部202の代りに、上記経過時間(又は遊技可能時間の残り時間)を時々刻々更新して表示する経過時間表示部を設けるとよい。また、休憩ボタン206が押されて休憩状態になったときには、上記経過時間の計時動作を止め、また、例えば休憩ボタン206が再度押されて休憩終了(遊技再開)となった時に残りの時間の計時動作を再開すればよい。また、遊技機の台を変えることができるようにした場合には、精算ボタン205が押されて行われる精算処理において経過時間の残り時間を定額遊技カードに書き込み、別の遊技機の台のカードユニットにそのカードを挿入すると残り時間分の遊技が可能となるよう構成すればよい。
また、発射可能数と遊技開始からの経過時間の両方で遊技限度条件を構成することもできる。即ち、発射数が所定の発射可能最大数に到達するか、或いは、遊技開始からの経過時間が所定の遊技可能最大時間に到達するか、どちらかの条件が成立すると、遊技限度条件が成立するといった態様でもよい。
【0216】
(3)上記実施例では、定額遊技ではない一般遊技も可能としているが、定額遊技しかできない定額遊技専用台であってもよい。
(4)上記実施例では、遊技制御装置及び封入球制御装置が、定額遊技を制御する本発明の制御装置として機能しているが、これに限るものではない。
例えば、定額遊技を制御する本発明の制御装置は、遊技制御装置又は封入球制御装置のうちの何れか一方でもよい。また遊技制御装置と封入球制御装置の機能を一つの制御装置で構成してもよい。
【0217】
(5)上記実施例では、定額遊技専用のカード(即ち定額遊技カード)によって定額遊技ができる構成としているが、これに限るものではない。
例えば、一般の遊技カードから定額遊技のための所定金額を減額することにより定額遊技ができるようにしてもよい。例えば、遊技者がカードユニットに一般の遊技カードを挿入し、カードユニット又は遊技機に設けられた定額遊技用のボタンを操作すると、挿入された遊技カードの残額から定額遊技のための所定金額が減額されるとともに、前述の定額入金情報がカードユニットから遊技機の制御装置に送信されて定額遊技が可能となる構成でもよい。或いは、カードユニットや遊技機に所定金額相当の現金を遊技者が直接投入することを必要条件として、遊技機の制御装置に前記定額入金情報が送信されて定額遊技が可能となる構成でもよい。
【0218】
(6)上記実施例では、遊技カードをカードユニットに挿入しているが、遊技機に遊技カードを挿入する態様(遊技機がカードユニットとしても機能する態様)でもよい。
(7)また、封入球式といっても、遊技球が全く遊技機本体の外部に出ない構成である必要はない。例えば、遊技球が一旦パチンコ機から外部に出て外部の研磨装置で研磨された後、パチンコ機内に再び戻されるような態様でもよい。
【0219】
(8)また、遊技球が循環使用されるといっても、遊技機内での完全な循環である必要はない。持球数を電子データで管理し、遊技機内部で発射位置に遊技球を供給できる機能があり、実物としての遊技球を遊技者が投入したり貸球として払い出したりしなくても、遊技球を発射して遊技を行える遊技機であれば、本発明を適用することができる。
【0220】
(9)また、遊技者の利益としての持球数は、持球数といっても、必ずしも遊技球の個数として扱われる必要はない。例えば、1ポイント、2ポイントといったようにポイントとして扱われ、持球数表示部203にも例えば「100ポイント」というように表示されてもよい。この場合、賞球の1個に対して1ポイントという関係に限らず、例えば賞球10個で1ポイント、賞球1個で10ポイントといったように、賞球数とポイント数の関係は各種の態様が有り得る。なお、「ポイント」でなく、「点」などの他の単位名称であってもよい。
【0221】
(10)上記実施例では、定額遊技に関する遊技者への報知では報知手段がメッセージ報知を主に行っているが、画面での報知に限らず、音、音声などの多様な報知演出を組み合わせてもよい。
(11)上記実施例では、遊技カードとしてカード会社が発行するプリペイドカードを使用しているが、遊技カード(記憶媒体)としては、遊技店が発行するハウスカードのようなものを使用してもよい。例えば、遊技店の会員に対してハウスカードを発行し、そこに貸球度数又は定額入金情報などを記憶して、一般の遊技や定額遊技を行うようにしてもい。また、ハウスカードには貯球データを格納可能にしてもい。
【0222】
(12)また上記実施例では、遊技限度条件が成立すると(例えば、発射数が所定の発射可能最大数になると)、遊技球の発射を不能にするとともに、遊技中フラグをクリアして、始動入賞を無効とし(ステップS620等)、さらには入賞による賞球の付与(持球数の加算)が行われないようにし(ステップS219等)、これら処理によって遊技を不能として定額遊技を終了させている。しかし、定額遊技終了時に「遊技を不能とする」具体的構成は、必ずしもこの態様に限られない。例えば、遊技球は発射できるが、入賞を無効にするだけでもよい。遊技球が発射できても、入賞が無効であれば、実質的に遊技ができないからである。但し、遊技者に遊技が終了したことを確実に分からせる、遊技終了したら遊技者を早めに退席させて遊技機の稼働率を高めるなどのためには、遊技球の発射を不能とすることが望ましい。また、不正な入賞などを確実に防止するためには、上記実施例のように、遊技球の発射を不能にし、かつ入賞を無効とする態様が優れている。なお、発射を不能とするには、既述したように、発射装置が機能しないようにする態様でもよいし、発射装置の発射位置に遊技球が供給されないようにする態様でもよい。
【0223】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0224】
1、1a乃至1n パチンコ機(封入球式遊技機)
7 操作・表示パネル(遊技進行度報知手段、持球数報知手段、遊技説明報知手段)
15、15a乃至15n カードユニット
20 遊技盤
25 第1始動入賞口
26 第2始動入賞口(普通電動役物(普電))
27 変動入賞装置
28〜31 一般入賞口
41 表示装置(遊技説明報知手段)
101 遊技制御装置(遊技制御手段、持球数加算手段)
102 封入球制御装置(受信手段、遊技限度設定手段、遊技制御手段、打ち止め制御手段、持球数初期値設定手段、持球数減算手段、持球数加算手段)
103 演出制御装置
104 発射制御装置
153 RAM(持球数記憶手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機などの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機がある(例えば特許文献1参照)。このような従来の遊技機は、例えば特許文献2に記載されているように、遊技球1個当りの定められた貸球金額に基づき、一定金額毎に貸し出された一定球数の遊技球(例えば100円で25個)を、定められた時間(1分間に100個以下)毎に遊技領域に発射し、遊技の結果として遊技球を獲得するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3832672号
【特許文献2】特開2000−84228号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の遊技機においては、遊技者は、想定外の球数の遊技球を獲得することもあるが、逆に想定外の金額を費やしてしまうこともある。例えば、400円/分(=100個/分×4円)を使用する可能性がある。つまり遊技者の想定する所定の金額で安心して遊技を楽しむことが難しいという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、遊技者の想定する所定の金額で安心して遊技を楽しむことが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、
所定の発射位置に導かれた遊技球を遊技領域内に発射して遊技を行うことが可能であるとともに、前記遊技領域に発射された遊技球による遊技結果に応じて遊技者の利益を増加させる制御装置を備え、前記遊技領域を経た遊技球を回収して前記発射位置に再び導くことにより、遊技球を循環使用可能な遊技機において、
前記制御装置は、
遊技者が所定金額を前払いしたことを含む定額入金情報を受信する受信手段と、
前記定額入金情報に基づいて、前記遊技者の利益としての持球数に無関係な遊技限度条件を設定する遊技限度設定手段と、
前記受信手段により前記定額入金情報を受信したことを必要条件として、前記定額入金情報に基づく遊技を可能とし、前記遊技限度設定手段により設定された遊技限度条件が成立すると、前記定額入金情報に基づく遊技を不能として当該遊技を終了させる遊技制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、
前記遊技限度条件は、
前記定額入金情報に基づく遊技開始からの経過時間が所定の遊技可能最大時間に到達すること、又は、前記定額入金情報に基づく遊技球の発射数が所定の発射可能最大数に到達すること、のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、
前記遊技限度条件が今後どの程度で成立するかが分かる情報(例えば、前記経過時間又は前記発射数に関する情報)を逐次更新して遊技者に報知する遊技進行度報知手段を備えることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、
前記制御装置は、
前記遊技者の利益としての持球数が所定の打ち止め個数に到達すると、前記遊技限度条件が成立していなくても、前記定額入金情報に基づく遊技を不能として当該遊技を終了させる打ち止め制御手段を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項5記載の発明は、
前記制御装置は、
前記遊技者の利益としての持球数を記憶する持球数記憶手段と、
前記定額入金情報に基づいて前記持球数の初期値を前記持球数記憶手段に設定する持球数初期値設定手段と、
遊技球を発射する毎に前記持球数を減少させる持球数減算手段と、
前記遊技領域に発射された遊技球による遊技結果として所定数の賞球が発生すると、当該賞球数に対応させて前記持球数を増加させる持球数加算手段と、を備え、
前記遊技制御手段は、前記遊技限度設定手段により設定された遊技限度条件が成立していない場合には、前記持球数の値がマイナスであっても、前記定額入金情報に基づく遊技を継続可能とすることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、
前記持球数に対応する情報を遊技者に報知する持球数報知手段を備え、この持球数報知手段は、前記持球数の値がマイナスになると、前記持球数の値がマイナスであることを遊技者が識別できる態様で前記情報を報知することを特徴とする。
請求項7記載の発明は、
前記定額入金情報に基づく遊技の開始時に、前記定額入金情報に基づく遊技限度条件が成立するまでの範囲での遊技が可能であることを含む遊技説明情報を遊技者に報知し、前記定額入金情報に基づく遊技の終了時に、前記定額入金情報に基づく遊技が終了することを含む遊技説明情報を遊技者に報知する遊技説明報知手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、遊技者は、所定金額を前払いすることによって、所定限度内(所定の遊技限度条件が成立するまでの範囲内)の遊技を安心して楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】パチンコ機の前面側斜視図である。
【図2】パチンコ機の遊技盤の前面図である。
【図3】パチンコ店のシステム構成図である。
【図4】パチンコ機の制御系を示すブロック図である。
【図5】遊技制御装置のメイン処理を示すフローチャートである。
【図6】タイマ割込み処理を示すフローチャートである。
【図7】遊技開始判定処理を示すフローチャートである。
【図8】遊技終了判定処理を示すフローチャートである。
【図9】特図ゲーム処理を示すフローチャートである。
【図10】特図普段処理を示すフローチャートである。
【図11】特図1変動開始処理1を示すフローチャートである。
【図12】特図1大当り判定処理を示すフローチャートである。
【図13】特図1停止図柄設定処理を示すフローチャートである。
【図14】大当り終了処理を示すフローチャートである。
【図15】特図表示中処理を示すフローチャートである。
【図16】特図表示中処理を示すフローチャートである。
【図17】賞球コマンド送信処理を示すフローチャートである。
【図18】始動口スイッチ監視処理を示すフローチャートである。
【図19】始動口入賞時共通処理を示すフローチャートである。
【図20】封入球制御装置の定額遊技制御処理を示すフローチャートである。
【図21】遊技開始監視処理を示すフローチャートである。
【図22】遊技開始ACK受信待ち処理を示すフローチャートである。
【図23】遊技終了監視処理を示すフローチャートである。
【図24】発射球検出スイッチ監視処理を示すフローチャートである。
【図25】ファール球検出スイッチ監視処理を示すフローチャートである。
【図26】賞球コマンド受信処理を示すフローチャートである。
【図27】アウト球検出スイッチ監視処理を示すフローチャートである。
【図28】操作・表示パネルの画面例を示す図である。
【図29】表示装置の画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の実施例1として、本発明を封入球式遊技機であるパチンコ機に適用した場合の形態例を、図面を参照して説明する。
A.パチンコ機の正面構成
最初に、図1によって本例のパチンコ機の全体構成について説明する。図1は本例のパチンコ機1(封入球式遊技機)の前面側斜視図である。
【0012】
このパチンコ機1は、いわゆる封入球式遊技機と称されるもので、遊技の進行を管理制御する遊技制御装置(図4参照)を備え、遊技機本体内に所定数(例えば、30個)の遊技球を封入しておき、遊技媒体貸出装置としてのカードユニット(CRユニット)より入力された情報(球貸し情報、或いは後述する定額入金情報)に基づき、前記封入された遊技球を遊技領域内に発射して遊技を行い、その遊技結果が所定の利益状態あるいはそれ以外の状態であるかの判定を行い、所定の利益状態の場合には所定数の賞球数に対応させて遊技者の利益(持球数)を増加させ、かつ遊技領域を経た遊技球を回収して発射位置に導くことにより、この封入された遊技球を循環使用してパチンコ遊技を行う機構になっている。また、このパチンコ機1は、遊技者が所定金額を前払いしたことを含む定額入金情報に基づいて、遊技者の利益としての持球数に無関係な所定の遊技限度条件(発射数が発射可能最大数に到達すること)が成立するまでの範囲内で遊技が可能となる機能を有し、以下では、この機能により実行される遊技(前記定額入金情報に基づく遊技)を定額遊技という。
【0013】
パチンコ機1は、当該パチンコ機1が設置される島に対して固定される機枠2と、この機枠2にヒンジ部3において回動可能に軸支されることによって、機枠2に対して開閉自在とされた前面枠4とを備える。この前面枠4には、遊技盤20(図2に示す)が取り付けられている。
【0014】
また前面枠4には、その前面上側を覆うようにガラス枠5が開閉自在に取付けられている。なお、このガラス枠5により保持されるガラス板(透明のプラスチックボードでもよい、符号は省略)を介して、遊技盤20の後述する遊技領域22が前面から視認可能となっている。またガラス枠5は、ヒンジ部3において前面枠4に開閉可能に軸支されている。
ここで、前面枠4は遊技枠という名称で呼称され、ガラス枠5は前枠という名称で呼称されることもあるが、本実施例では前面枠4、ガラス枠5で説明している。
【0015】
このガラス枠5の下側には下部パネル6が設けられ、下部パネル6には操作・表示パネル7が配置されている。操作・表示パネル7は、遊技限度条件が今後どの程度で成立するかが分かる情報(遊技球の発射数に関する情報)を逐次更新して遊技者に対して報知する遊技進行度報知手段、持球数に対応する情報を遊技者に対して報知する持球数報知手段、及び定額遊技の少なくとも開始時と終了時に遊技説明情報を報知する遊技説明報知手段を構成する(詳細は図28によって後述する)。
【0016】
また、パチンコ機1には遊技媒体貸出装置としてのカードユニット15(CRユニット:カード式球貸制御ユニット)が併設されている。カードユニット15は、カード挿入口16を有する。そして、一般の遊技(定額遊技でない遊技)の場合、このカード挿入口16に一般の遊技カード(後述する定額遊技カード除く)を挿入して、遊技者が例えば前記操作・表示パネル7に表示される球貸ボタン(図示省略)を操作することにより、所定度数の球貸し(持球数の増加)を行えるようになっている。
【0017】
また、定額遊技の場合には、後述するカード発行機52(図3)に遊技者が所定金額を投入して得た定額遊技用の遊技カード(以下、定額遊技カードという)を、遊技者がこのカードユニット15のカード挿入口16に挿入すると、この定額遊技カードに記憶された定額遊技に関する情報(即ち、遊技者が定額遊技のための所定金額を前払いしたことを含む定額入金情報)がパチンコ機1に送信され、パチンコ機1で定額遊技が可能となる構成となっている。なお、定額遊技カードに記憶されパチンコ機1に送信される前記定額入金情報は、遊技者が定額遊技をするための所定金額を前払いしたこと自体を示す情報である必要は必ずしもなく、遊技者が定額遊技をするための所定金額を前払いしたことと等価な情報(例えば、その所定金額に対応した種類の定額遊技が実行可能であることを示す情報、或いは当該定額遊技の実行を指令する情報)であってもよい。なお、定額遊技カードには、その他の情報も記憶可能であってもよい。例えば本例では、定額遊技終了時に定額遊技の結果として遊技者がプラスの持球数を獲得した場合、一般の遊技カードと同様に、その持球数のデータを定額遊技カードに記憶して景品交換等に利用できる構成となっている。
【0018】
図2に示すように、遊技盤20は、板状の基材(いわゆるベニア)の前面に遊技釘を植設したもので、その前面の略円形領域がガイドレール21で囲まれることにより遊技領域22が形成されたものである。遊技領域22は、打ち込まれた遊技球を上方から落下させつつアウトあるいはセーフの判定(入賞したか否かの判定)を行う領域であり、入賞口に遊技球が入って有効にセーフとなる場合は、入賞口の種類に応じて設定されている所定数の遊技球のデータが賞球として遊技者の持球数に加算される構成となっている。
また、図1に戻って、前面枠4の開閉側(図1において右側)の縁部には、前面枠4及びガラス枠5の施錠装置(図示省略)の鍵挿入部8が形成されている。
【0019】
また、ガラス枠5の下部に設けられた操作・表示パネル7は、例えば液晶表示器からなり、メッセージ、持球数、発射可能数などを表示したり、遊技の精算などの操作を行うためのものである(詳細は図28参照)。操作・表示パネル7の横には、遊技者が操作する押ボタン式の演出操作スイッチ9(図1及び図4参照)が設けられている。
また、下部パネル6には、効果音等を出力する下スピーカ10と、遊技球の発射操作を行う発射操作ハンドル11とが設けられている。
【0020】
さらに、図1において、符号12で示すものは、ガラス枠5の前面に設けられたLED(発光ダイオード)を発光源とする装飾ランプであり、符号13で示すものは、ガラス枠5の上部前面に設けられた複数のムービングライトである。図示省略しているが、ムービングライト13は、発光源としてLEDを備え、駆動源としてモータを備えている。ここで、装飾ランプ12とムービングライト13は図4に示す装飾表示LED141を構成する。
また、図1において、符号14a、14bで示すものは、ガラス枠5の上部左右両側に設けられた効果音等を出力する上スピーカである。
【0021】
B.遊技盤の前面構成
図2において、符号21は遊技盤20のガイドレールであり、既述したように、遊技盤前面の略円形領域がこのガイドレール21で囲まれることにより遊技領域22が形成されている。
遊技領域22には、図2に示すように、アウト球流入口23、センターケース24、第1始動入賞口25、普通電動役物(普電)としての第2始動入賞口26、変動入賞装置27、一般入賞口28〜31、普図始動ゲート32、多数の遊技釘(図示省略)などが設けられている。また、遊技盤20の遊技領域22外には、一括表示装置35が設けられている。なお遊技釘は、遊技領域22の上部に飛入した遊技球がこれに当たりながら流下するものであり、センターケース等の取付部分を除いた遊技領域内に複数本植設されている。
【0022】
センターケース24は、遊技盤20の裏側に取り付けられる表示装置41(図4に示す)の表示部41a(図2に示す)の前面周囲を囲む部材である。図示省略しているが、このセンターケース24には、演出又は装飾のためのLEDを発光源とするランプ類や、例えば表示装置41における演出表示と協働して演出効果を高める電動役物(モータやソレノイドなどの駆動源によって作動する可動部を有する役物)が設けられている。
なお、演出又は装飾のためのランプ類は、遊技盤20のセンターケース24以外の部分(遊技領域22外でもよい)にも設けられる。なお、遊技盤20(センターケース24含む)に設けられた演出又は装飾のためのランプ類は、盤装飾装置を構成する。また、センターケース24に設けられた電動役物は、盤演出装置を構成する。なお、盤演出装置を構成する電動役物は、遊技盤20のセンターケース24以外の箇所に設けられてもよい。
【0023】
表示装置41は、例えば液晶表示装置を含んで構成され、通常、変動表示装置と称されるものである。なお、表示装置41の名称としては、同様の機能を持つ部材の呼び名として、例えば特図表示装置、図柄変動装置、可変図柄表示装置、識別情報変動装置、識別情報変動表示装置など各種あるが、機能が同じものは同一の範疇である。
表示装置41は、数字や文字などの識別情報(特図という)を表示可能な表示部41a(画面)を有し、複数列の特図を表示可能である。例えば、左側と中央と右側に特図を縦3列に表示し、各列において数字や文字等よりなる特図を停止状態で表示(停止表示)したり、あるいは変動状態(例えば、縦方向にスクロールする状態)で表示(即ち、変動表示)したりすることが可能である。
【0024】
また、後述の図29に詳細を示すように、表示部41a(画面)には「定額遊技」などのメッセージも表示可能になっている。即ち本例の場合、表示装置41は、定額遊技の少なくとも開始時と終了時に遊技説明情報を報知する遊技説明報知手段を構成する。
さらに表示部41aには、上記特図とは別個に背景画像やキャラクタ画像などの演出用又は情報報知用の画像、或いは、いわゆる普図に相当する画像が表示可能である。なお、特図とは大当りに関連する変動表示ゲームで変動表示される識別情報であり、普図とは普図当り(大当りではない)に関連する変動表示ゲームで変動表示される識別情報である。
【0025】
また始動入賞口25,26は、後述するように特図の始動入賞口として機能する入賞口であり、本例では図2に示すように上下に並んで配設されている。上側の第1始動入賞口25は常に開口している。下側の第2始動入賞口26は、開閉部材26aを左右両側に有し、これら開閉部材26aが逆ハの字状に開くと入賞可能になり、図2に示すようにこれら開閉部材26aが閉じていると入賞不可能である。これら始動入賞口25,26は、センターケース24の中央部下方に配置されている。
【0026】
なお、第2始動入賞口は普通電動役物(普電)ともいい、普通変動入賞装置に相当する。
また変動入賞装置27は、開閉部材27bによって開閉される大入賞口27aを有する装置(いわゆるアタッカー)である。この大入賞口27aは、後述する大当りになったことを条件として開放されて遊技球が入賞可能となる。
【0027】
前述したように、例えば表示装置41の表示部41a(画面)には、特図とは別に普図の画像も表示しており、普図ゲームについて説明すると、以下の通りである。この場合、表示装置41は普図表示装置に相当する。
遊技球が普図始動ゲート32を通過したとき、表示部41a等(表示装置41とは別に独自の普図表示器を配置してもよい)で普図の変動表示による普図の変動表示ゲーム(以下、普図変動表示ゲームという)が行われ、停止した普図が所定の態様(特定表示態様)であれば、普図当りと呼ばれる特典が付与される。
【0028】
普図当りになると、第2始動入賞口26の一対の開閉部材26aが逆ハの字に開いた開状態に、所定の開放時間だけ一時的に保持される遊技が行われ、遊技球が始動入賞し易くなり、その分、特図の変動表示ゲームの実施回数が増えて大当りになる可能性が増す。
また、上記普図の変動表示ゲーム中に、普図始動ゲート32にさらに遊技球が入賞したときには、表示部41a等(表示装置41とは別に独自の普図始動記憶表示器を配置してもよい)で普図始動記憶の保留表示が実行されて、例えば4個まで記憶され、普図の変動表示ゲームの終了後に、その記憶に基づいて上記普図の変動表示ゲームが繰り返される。なお、普図の確率を高確率にすれば、普図当たりしやすくなる。
【0029】
ここで、時短について説明しておくと、以下のようなものである。
時短は「時間短縮」の略で、大当たり終了後、特図や普図の変動時間を通常よりも短縮し、時間効率を高めるとともに、普図当たり確率を高めて普通電動役物(普電)(第2始動入賞口26)の開放(普電の開放時間を通常よりも長くすることも含む)による始動口への入賞のサポートを行うことで、一定の特図の変動表示ゲームの実施回数まで持ち玉(持球数)を減らさずに効率よく特図を変動させる機能である。以下では、このような時短が実行されている状態を、普電サポート状態又は時短状態という。
【0030】
次に一括表示装置35は、いわゆる普図の表示や特図の表示、さらには特図や普図の始動記憶の保留表示(場合により、特図保留表示、普図保留表示という)や、遊技状態の表示を行うものであり、例えばLEDを発光源とする複数の表示器(例えば、1個の小さなランプよりなる表示器、或いは本特図としての数字等を表示可能な例えば7セグメントの表示器)によって構成される。なお、始動記憶の保留表示(場合により、単に始動記憶表示という)とは、変動表示ゲームが未実施の状態で保留されている始動記憶の数等を報知するための表示であり、一般的には、始動記憶毎にランプ等の点灯によって表示する。即ち、始動記憶が3個有れば、3個のランプを点灯させたり、3個の図形を表示させたりすることによって行われる。
【0031】
なお、この一括表示装置35の表示器によって表示されるものが本特図や本普図(正式な特図や普図)であるのに対して、前述の変動表示装置41の表示部等で行われる特図や普図の表示は、遊技者向けの演出用のダミー表示である。このため、遊技者から見て特図や普図といえば、このダミー表示の方を指している。なお以下では、このダミー表示であることを強調する場合に、例えば「飾り特図」と表記する。
このように、この一括表示装置35は、遊技者に認識しにくいかもしれないが後述の遊技制御装置101が直接制御するもので、遊技盤20の検査などで使用されるものである。例えば、より遊技者に認識しやすい遊技者向けの特図の始動記憶の表示(特図保留表示)は、例えば前述したように変動表示装置41の表示部、或いは遊技盤20に設けた複数のランプ(発光部)によって行われる。
【0032】
C.遊技店のシステム構成
次に、図3は本実施例のパチンコ機1が多数設置された遊技店のシステム構成を示す図である。
図3において、遊技店にはカード管理装置51、カード発行機52、カード精算機53、ホールコンピュータ54、多数のパチンコ機1a乃至1n及びカードユニット15a乃至15nが配置されている。
カード管理装置51はカード会社(図示略)と電話回線(例えば、ISDN等のデジタル回線)で結ばれており、カード会社は、プリペイドカードを遊技カード(記憶媒体)として発行したり、遊技店における遊技カードに関する精算を行ったり、また、必要に応じてカード管理装置51の各種情報を受信したりする。遊技店は、カードの発行情報とか、必要な情報をカード会社から得たり、問い合わせる等のために電話回線を介してカード会社と接続されている。
【0033】
カード管理装置51はカード発行機52、カード精算機53、多数のカードユニット15a乃至15nに対して情報伝送路55を介して接続されている。カード管理装置51はカード発行機52、カード精算機53、多数のカードユニット15a乃至15nを端末装置として扱い、これらの各端末装置の情報を管理する制御を行うとともに、各端末装置に挿入/排出される遊技カードの識別情報に基づいて各遊技カードに記憶された金額情報および遊技価値情報と同等の情報を記憶管理するような制御を行う。
【0034】
カード発行機52はカード会社から購入したカードを遊技カードとして遊技者に発行するもので、一般の遊技に関しては例えば1000円、2000円、3000円、5000円の遊技価値を付加して遊技カードを発行する。カード発行機52はカード管理装置51との間で情報伝送路55を介して情報(例えば、遊技カードの売上情報等)の転送を行うとともに、遊技カードの発行に必要な制御を行う。
【0035】
本例の場合、前述した定額遊技カードも、上記遊技カードの1種類としてこのカード発行機52から遊技者に発行される。例えば、遊技者が3000円投入することによって1時間(厳密には、6000個発射まで)遊技可能な定額遊技カード(以下、定額遊技カード3000という)が発行可能である。なお、定額遊技カードとしては、例えば金額等が異なるものが複数種類(4000円の定額遊技カード4000、5000円の定額遊技カード5000など)発行可能であってもよい。
【0036】
カード精算機53は遊技カードの度数残高や持球数に基づいて、遊技カードを精算するためのもので、例えば度数残高に応じた金額を返却したり、景品交換に必要な制御を行ったり、また、カード管理装置51との間で情報伝送路55を介して情報(例えば、景品交換のための制御情報等)の転送を行う。なお、定額遊技カードの場合には、金額の返却は不可能である。また定額遊技カードは、本例では、定額遊技の遊技終了時に持球数がプラスの場合にのみ遊技者に返却され、この場合遊技者は、この返却された定額遊技カードをカード精算機53に挿入して操作することで、持球数に応じた景品交換が可能である。
【0037】
カードユニット15a乃至15nは、遊技カードが挿入されることにより、遊技カードの情報(金額データ、持球数データ等)を読み取って球貸しを行ったり、遊技者の獲得した持球数を遊技カードに記憶したりするもので、カード管理装置51との間で情報伝送路55を介して情報(例えば、球貸しや持球数の記録のための制御情報等)の転送を行うとともに、遊技カードによる球貸し等に必要な制御を行う。
カードユニット15a乃至15nはそれぞれパチンコ機1a乃至1nに併設されて配置されており、両者の間は信号やデータの伝送が可能になっている。
【0038】
なお、定額遊技カードがカードユニットに挿入された場合には、既述したように、定額遊技カードに記憶された定額入金情報が対応するパチンコ機に送信され、当該パチンコ機でその定額入金情報に応じた遊技限度条件の定額遊技が可能となる。例えば定額遊技カード3000であると、定額遊技の遊技限度条件として遊技可能発射数が6000個という条件が設定され、遊技球の発射頻度が1分間に100個以下であれば、持球数にかかわらず60分以上の遊技が可能となる。
ホールコンピュータ54は遊技店の管理室に設置されるとともに、各パチンコ機1a乃至1nに対して情報伝送路56を介して接続され、各パチンコ機1a乃至1nからの遊技データ等を収集して遊技店の営業管理を行うものである。具体的には、多数のパチンコ機1a乃至1nから必要なデータを収集して各種遊技状態に対応するデータを整理し、整理したデータをディスプレイに表示させたり、営業上必要なデータの演算処理を行う。
【0039】
D.制御系の構成
次に、本例のパチンコ機1の制御系について、図4を参照して説明する。なお図や以下の説明において、「SW」はスイッチを意味し、「SOL」はソレノイドを意味する。また、図面では部材の名称が長い場合に図示がしにくくなるので、適宜、短めにして表記(図示)することがある。
パチンコ機1は、制御系の主な構成要素として、遊技制御装置101、封入球制御装置102、演出制御装置103、発射制御装置104を備えている。これらの各装置及び図4に示す各電子部品には電源装置(図示略)から必要な電源が供給される。なお、遊技制御装置101と封入球制御装置102を一体化して遊技制御装置とした構成でもよい。
【0040】
(遊技制御装置関係)
まず、パチンコ機1の遊技制御装置101の構成と、この遊技制御装置101に接続される機器について説明する。
遊技制御装置101は、遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)であって、CPU111、ROM112、RAM113及び検査装置のための試射試験端子114を備えている。
【0041】
CPU111は、封入球遊技を管理する遊技プログラムを実行して遊技制御に必要な演算処理を行う。ROM112は、遊技プログラムを格納しており、RAM113は遊技プログラムに基づく処理を実行する際にワークエリア(作業領域)として用いられる。
なお、CPU111、ROM112、RAM113は、遊技用演算処理装置としての遊技用マイクロコンピュータに相当し、例えばアミューズメントチップ用のICとして製造されている。
試射試験端子114は、CPU111から得られる各種の遊技情報を検査装置に伝送するためのケーブルが接続される端子である。なお、この試射試験端子114及び関連部品は、試験機関で使用されるもので、遊技場で使用される遊技制御装置には未実装となる。
【0042】
遊技制御装置101には、第1始動口スイッチ120(図4では始動口1SW)、第2始動口スイッチ121(図4では始動口2SW)、ゲートスイッチ122、入賞口スイッチ123、カウントスイッチ124、枠開放スイッチ125からの検出信号が入力される。
第1始動口スイッチ120は前記第1始動入賞口25に入賞した遊技球を1個ずつ検出する入賞球検出用のセンサであり、第2始動口スイッチ121は前記第2始動入賞口26に入賞した遊技球を1個ずつ検出する入賞球検出用のセンサである。
【0043】
カウントスイッチ124は前記変動入賞装置27の大入賞口に入賞した遊技球を検出する同様のセンサである。また、入賞口スイッチ123は一般入賞口28〜31に対して設けられた同様のセンサであり、一般入賞口がn個あるときには、それぞれに1個ずつ、全体としてn個設けられる。なお、一般入賞口のそれぞれに1個ずつセンサを設けるのではなく、複数の一般入賞口に対して、全体で1個のセンサを設けるようにしてもよい。ゲートスイッチ122は前記普図始動ゲート32を通過する遊技球を1個ずつ検出するセンサである。
これら遊技球を検出する上記各センサ120、121、122、123、124は、本例では近接スイッチであり、ハイレベルが11Vでロウレベルが7Vのような負論理の検出信号を出力するように回路構成されている。
また、枠開放スイッチ125ははガラス枠5が開放されていることを検出するセンサである。
【0044】
次に、遊技制御装置101は、封入球制御装置102、演出制御装置103、普電ソレノイド131、大入賞口ソレノイド132、普図・特図表示器133、及び外部情報端子板134と接続されている。なお、普図・特図表示器133は、前述の一括表示装置35を構成する表示器である。
普電ソレノイド131は第2始動入賞口26の開閉部材を開閉させるソレノイド、大入賞口ソレノイド132は変動入賞装置27の開閉部材を開閉させるソレノイドである。遊技制御装置101は、これらの普電ソレノイド131、大入賞口ソレノイド132、普図・特図表示器133(一括表示装置35)に対して必要な制御信号を出力する。
また、遊技制御装置101は封入球制御装置102に対して封入球遊技に必要な制御情報を出力するとともに、封入球制御装置102からは遊技球の回収などに関する情報が入力されるようになっている。
さらに、遊技制御装置101からは演出制御装置103に対して、パラレル通信でデータ(例えば、演出コマンド)が送信されるようになっている。
【0045】
また、遊技制御装置101からは外部情報端子板134を介してホールコンピュータ54に遊技情報が出力される。遊技情報としては、例えば遊技制御装置101に入力された信号を外部へ知らせる信号や、遊技進行の過程で発生する大当りを知らせる大当り信号、図柄を変動させるための条件となる始動口への入賞を知らせる始動口信号、図柄が変動開始、或いは、図柄の変動停止をトリガに図柄変動を知らせる図柄確定回数信号、遊技状態が遊技者に有利な状態であること(いわゆる確変状態、時短状態)を示す特典状態信号等がある。
【0046】
(演出制御装置関係)
次に、演出制御装置103の構成と、この演出制御装置103に接続される機器について説明する。
演出制御装置103は、主制御用マイコン、該主制御用マイコンの制御下でもっぱら映像制御を行う映像制御用マイコン、表示装置41への映像表示のための画像処理を行うグラフィックプロセッサとしてのVDP、各種のメロディや効果音などの出力を制御する音源LSIなどを有しているが、細かい構成は略している。
【0047】
演出制御装置103は遊技制御装置101のCPU111からの制御コマンド(8ビットのデータ信号)を解析し、演出内容を決定して表示装置41の出力映像の内容を制御したり、音源LSIへの再生音の指示をして下スピーカ10及び上スピーカ14a、14bを駆動して効果音等を出したり、前述した装飾LED141の駆動制御などの処理を実行するとともに、演出操作スイッチ9からの信号に応じて演出内容を決定して演出の制御を行う。
【0048】
(封入球制御装置関係)
次に、封入球制御装置102の構成と、この封入球制御装置102に接続される機器について説明する。
封入球制御装置102は、封入球遊技に必要な制御を行うもので、主に封入球の発射から回収までの処理(球貸し制御も含む。以下同様)を行う第1CPU151、ROM152及びRAM153と、操作・表示パネル7に関連する処理を行う第2CPU154、ROM155、RAM156及びVDP157と、通信インターフェース158とを備えている。
第1CPU151は、封入球の発射から回収までの制御に必要な演算処理を行う。ROM152は、封入球の発射から回収までの制御に必要なプログラムを格納しており、RAM153は同プログラムに基づく処理を実行する際にワークエリア(作業領域)として用いられる。なお、第1CPU151、ROM152及びRAM153は、例えばアミューズメントチップ用のICとして製造されている。
【0049】
第2CPU154は、操作・表示パネル7に関連する制御に必要な演算処理を行う。ROM155は、操作・表示パネル7に関連する制御に必要なプログラムを格納しており、るRAM156は同プログラムに基づく処理を実行する際にワークエリア(作業領域)として用いられる。VDP157は操作・表示パネル7に表示する画像、キャラクタ、フォントを駆動制御する。
通信インターフェース158はカードユニット15と封入球制御装置102との間の通信をサポートする処理を行う。
なお、通信インターフェース158はパチンコ機1側とカードユニット15側との配線接続のための基板である。この基板で両者の配線接続がされていないと、パチンコ機1では遊技球の発射が不可能となるように制御される。
【0050】
封入球制御装置102には、発射球検出スイッチ161、ファール球検出スイッチ162、アウト球検出スイッチ163、第1封入球検出スイッチ164(図4では封入球検出1SW)、第2封入球検出スイッチ165(図4では封入球検出2SW)からの検出信号が入力される。
発射球検出スイッチ161は発射ボリューム(詳細は後述)の操作によって遊技領域22に発射された球を1個ずつ検出するセンサであり、ファール球検出スイッチ162は遊技領域22に達せずにファールとなった球を1個ずつ検出するセンサである。アウト球検出スイッチ163は遊技領域22から回収した球(アウト球及びセーフ球の両方を含む)を1個ずつ検出するセンサである。
【0051】
第1封入球検出スイッチ164は、遊技球として封入されている球数の上限を検出するセンサであり、第2封入球検出スイッチ165は遊技球として封入されている球数の下限を検出するセンサである。これは、封入球が当該パチンコ機1に過不足なく封入されてい必要性から、現状の封入球数が上限以下であること、また下限以上であることをチェックして、適正な範囲に封入球数があることを確認するために設けられているものである。
【0052】
封入球制御装置102では、上記各スイッチ161乃至165からの検出信号を受けて、封入球の発射から回収までの球の挙動監視、ファール球の有無、封入球数のチェック等の処理を行うとともに、カードユニット15から送られてくる球貸し情報などに基づいて操作・表示パネル7に貸し球を加えて遊技者の持球数を表示するなどの制御を行う。なお、定額遊技の場合には、カードユニット15から送られてくる定額入金情報を、封入球制御装置102が通信インターフェース158を介して受信し、さらにこの定額入金情報を受信した封入球制御装置102は、遊技制御装置101に遊技開始コマンドを送信し(後述するステップS412)、これを契機として各制御装置101、102において定額遊技のための制御処理(詳細後述する)が実行される。
【0053】
次に、封入球制御装置102は、遊技制御装置101、発射制御装置104、操作・表示パネル7、カードユニット15と接続されている。
遊技制御装置101からは封入球制御装置102に対して賞球信号が出力され、これを受けて封入球制御装置102では遊技者の利益である持球数を電子的に増加させ、操作・表示パネル7に表示させる等の制御を行う。
一方、封入球制御装置102から遊技制御装置101に対して、賞球加算のエラー信号などの情報が出力される。
【0054】
発射制御装置104は封入球制御装置102から発射許可信号、停電検出信号を受けるようになっている。発射制御装置104は発射ボリューム171の操作に従って遊技球を発射位置まで送る球送りソレノイド172及び発射位置にある遊技球を発射する発射ソレノイド173を制御するとともに、発射制御装置104にはタッチセンサ174や発射停止スイッチ175からの信号が入力されている。タッチセンサ174は遊技者が発射ボリューム171を操作する発射操作ハンドル11にタッチしているか否かを検出するものであり、発射停止スイッチ175は遊技球の発射を一時的に停止するもので、遊技者によって操作されるものである。
【0055】
なお、上記発射ソレノイド173を含み発射操作ハンドル11の操作に応じて発射位置(図示省略)にある遊技球を遊技領域に発射する装置を発射装置という。この発射装置は、発射制御装置104を介して封入球制御装置102や遊技制御装置101によって制御され、これら制御装置の制御処理によって遊技球の発射が許可されている状態でのみ遊技球を発射することができる。遊技球の発射が許可されていない状態(禁止されている状態)では、発射位置に遊技球があり遊技者が発射操作ハンドル11を操作しても遊技球は発射されない。また、本例のパチンコ機1は、機内に封入された遊技球を循環使用するタイプの遊技機(封入球式遊技機)であるため、遊技領域に発射された遊技球を回収して上記球送りソレノイド172の動作によって発射装置の発射位置に再び供給するための遊技球の循環装置としての構成(図示省略)を備えている。
【0056】
また、封入球制御装置102からはエラー表示LED176に対して所定の異常(例えば、球の発射不能、球詰まりなど)の場合にエラー信号が出力され、エラー信号に応じてエラー表示LED176が点灯(あるいは点滅)する。
さらに、封入球制御装置102からは研磨装置モータ177に対して信号が出力され、この信号を受けて研磨装置モータ177はパチンコ機1の内部に封入されている封入球を研磨する研磨装置を作動させて、球の研磨を行う。なお、球の研磨はパチンコ機1の内部で行うのではなく、例えばパチンコ機1の外部(例えば、島設備)に封入球研磨装置を配置しておき、そこで球の研磨を行って、各台(即ち、各パチンコ機1)に供給するような構成でもよい。
【0057】
封入球制御装置102は操作・表示パネル7との間で信号の授受を行っており、操作・表示パネル7はLCDユニット181とタッチパネル182を備えている。LCDユニット181は液晶表示装置により構成され、球貸し時や遊技中などにおける情報を遊技者に報知するためのものである。具体的には、例えば定額遊技の場合、後述の図28に示すように、発射可能数、持球数、定額遊技の開始や終了等の説明の表示を行う他、精算、休憩などの操作ボタンが画面上に配置された構成となっている。そして、精算、休憩などの操作ボタンに対しては、タッチパネル182がLCDユニット181の表面上に配置されることにより、遊技者が指でタッチすることで、精算、休憩などの操作を行うことが可能になっている。
【0058】
E.遊技の概要
次に、本例のパチンコ機1で行われる遊技の概要や遊技の流れについて説明する。
まず、パチンコ機1には所定数の封入球が封入されて一定時間研磨装置で研磨されている。
遊技開始当初の時点(或いは遊技開始前の時点)では、客待ち状態(デモ中)となっており、客待ち画面の表示を指令するコマンドが遊技制御装置101のバッファから演出制御装置103に送信され、表示装置41の表示部41aには客待ち画面(動画又は静止画)が表示される。
【0059】
そして、遊技者がカードユニット15に一般の遊技カードを挿入して、所定単位度数の球貸し操作(例えば、操作・表示パネル7に表示される球貸ボタンを押す)を行うと、所定数の持球数(例えば、125個)が加算されて、操作・表示パネル7の持球数表示部に表示される。なおこの際、前記遊技カードの金額データは、前記所定数分(例えば、5000円分)だけ減額される。また、一般の遊技カードによる一般の遊技(定額遊技ではない遊技)では、持球数がゼロになると遊技球が発射できず遊技が継続できない。このため、遊技者は、持球数がゼロになるたびに球貸し操作を行って遊技を継続しなければならず、遊技球の発射数の割に賞球が少なく持球数が漸次減少する場合には、遊技カードの金額データが短時間で頻繁に減額されてしまい、短時間で多量の金額を使用することになる。
【0060】
これに対して、遊技者がカードユニット15に定額遊技カードを挿入することにより実行できる前述の定額遊技であると、持球数にかかわらず所定の遊技限度条件の範囲内で追加料金を投入することなく遊技が継続できる。即ち、遊技者がカードユニット15に定額遊技カードを挿入すると、図28に示すように操作・表示パネル7に発射可能数の初期値(定額遊技カード3000の場合には、6000個)が表示され、打ち止め等によって強制終了される場合を除いて、この発射可能数がゼロになるまでの時間(定額遊技カード3000の場合には、1時間以上)前払いした所定金額に基づく遊技(即ち、定額遊技)が可能となる。
【0061】
そして、上記一般の遊技或いは定額遊技において、遊技者が発射ボリューム171を操作すると、発射位置にある遊技球がガイドレール21を介して遊技領域22に打込まれ、打込まれた遊技球が特図の始動入賞口25又は26に入賞すると(即ち、特図の始動入賞があると)、特図の変動表示を指令するコマンドが遊技制御装置101から演出制御装置103に送信され、表示部41aにおいて特図(数字、文字、記号、模様等よりなるもの)が変動(例えば、スクロール)する表示(いわゆる変動表示)が行われて、特図の変動表示ゲーム(以下、特図変動表示ゲームという)が行われる。一方、入賞せずに外れた球は、アウト球流入口23に流入する。
遊技領域22を落下した球はアウトあるいはセーフとなって、遊技領域22を経た後に回収されて循環し、再び発射位置に導かれることになる。このようにして、封入された遊技球が循環使用されてパチンコ遊技が行われる。
【0062】
この発明概念は、以下のように示される。
遊技機本体内に所定数の遊技球を封入しておき、前記封入された遊技球を遊技領域内に発射して遊技を行うことが可能であるとともに、前記遊技領域に発射された遊技球による遊技結果に応じて遊技者の利益を増加させる制御装置を備え、前記遊技領域を経た遊技球を回収して発射位置に導くことにより、この封入された遊技球を循環使用して遊技を行う封入球式遊技機という概念である。
【0063】
ここで、前記遊技領域に発射された遊技球による遊技結果に応じて遊技者の利益を増加させるとは、いいかえると、遊技結果が所定の利益状態あるいはそれ以外の状態であるかの判定を行い、所定の利益状態の場合には所定数の賞球数に対応させて遊技者の利益を増加させることであり、例えば、遊技球がセーフになるか、アウトになるかの判定を行い、セーフと判定されたときには例えば遊技者の持球数を増加させることである。セーフには、入賞口(一般入賞口28〜31及び始動入賞口25,26を含む)に球が入ることが対応する。
【0064】
また、遊技結果に応じて遊技者の利益(例えば持球数)を増加させる態様には、セーフ球に基づいて賞球が持球数に加算される他に、後述の大当り(特別遊技状態)が発生して大入賞口が開放され、大入賞口に遊技球が入賞することによって大量の賞球が持球数に加算される場合も含み、これらは遊技者の利益を増加させることに相当する。なお、遊技者の利益としては、必ずしも遊技球の個数に対応した持球数に限らず、このような持球数の代りにポイント数を用いてもよい。但し本例では、特に示さない限り、遊技者の利益として遊技球の個数に対応した持球数を用いた態様で説明している。
また、遊技者の利益(持球数、或いはポイント数)は、前述したように遊技結果に応じて加算される一方で、遊技球の発射球数分だけ減算される。例えば、遊技者の利益として遊技球の個数に対応した持球数が用いられている場合には、遊技球の発射毎に持球数が「1」だけ減算される。
【0065】
そして、前述した特図変動表示ゲームの停止結果態様(変動表示により導出された特図の組合せ)が特別結果態様(例えば、「3、3、3」などのゾロ目)であれば、大当りと呼ばれる特典が遊技者に付与される。なお制御上は、例えば始動入賞があったことを条件として、大当り乱数等の値が抽出記憶されて、この抽出記憶された乱数値と予め設定された判定値とが判定時に比較判定され、この比較判定結果に基づいて、予め大当りとするか否かが決定され、この決定に応じて上記変動表示ゲームが開始される。
【0066】
また、変動表示ゲームの停止結果態様が特別結果態様のうちの特定の態様(例えば、「7、7、7」のゾロ目)であれば、上記大当りになるとともに、大当り遊技後(後述する特賞期間後)に、ゲーム状態が通常モードから確変モードへ移行する。この確変モードでは、特図が大当りになる確率(以下、特図の大当り確率という)を高める制御が行われる。また場合によっては、前述の時短状態とする制御も行われる。
【0067】
上記大当りになって大当り状態に移行すると、ファンファーレ期間(大当りになったことを演出する効果音の出力などが実行される期間)を経て、変動入賞装置27の大入賞口が、規定時間(例えば、30秒)を超えない範囲内において、例えば10個入賞までの期間だけ一時的に開放される開放動作(大当たりラウンド)が行われる。そしてこの開放動作は、規定のラウンド数だけ繰り返し行われる。また、この大当り状態では、大当り状態を演出したり大当りラウンド数等を遊技者に報知したりするための大当り画面の表示を指令するコマンドが遊技制御装置101から演出制御装置103に送信され、表示部41aでは、このような大当り中の表示が実行される。
【0068】
なお、この大当り状態になっている期間(ファンファーレ期間と、大入賞口が開放されている大当りラウンドの期間と、大当りラウンドと次の大当りラウンドの間のインターバル期間と、エンディング期間)が、特賞期間に相当する。
また上記大当りのラウンド数としては、例えば、通常は15ラウンド大当りが主の大当りであるが、プレミアとして16R大当りを発生させる構成でもよいし、その他の構成でもよい。また、いわゆる突確(出玉の少ない大当りを経由して大当り確率が変化する突然確変)として2ラウンド大当り等があってもよい。
【0069】
また、上記特図変動表示ゲーム中又は大当り中に、始動入賞口25又は26にさらに遊技球が入賞したときには、表示部41a等で特図の始動記憶の保留表示が行われて例えば4個まで記憶され、特図変動表示ゲーム又は大当り状態が終了した後に、その始動記憶に基づいて上記特図変動表示ゲームが繰り返されたり、客待ち状態に戻ったりする。
即ち、変動表示ゲームが大当りで終了すれば大当り状態に移行し、変動表示ゲームがはずれで終了し始動記憶があれば再度変動表示ゲームが実行され、変動表示ゲームがはずれで終了し始動記憶がなければ客待ち状態に戻り、大当りが終了して始動記憶があれば再度変動表示ゲームが実行され、大当りが終了して始動記憶がなければ客待ち状態に戻る流れとなっている。
【0070】
なお本形態例では、例えば特図の始動記憶(特図始動記憶)の表示を2種類(特図1保留表示と特図2保留表示)行うようにし、特図変動表示ゲームとして、2種類の変動表示ゲーム(第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲーム)を実行する。即ち、遊技球が第1始動入賞口25に入ることによる特図始動入賞(第1始動入賞)が発生すると、表示装置41にて特図1の変動表示による第1変動表示ゲームが行われる。そして、何れかの特図変動表示ゲーム中などに遊技球が第1始動入賞口25に入賞すると、第1始動記憶(特図1保留表示に対応する始動記憶)が1個記憶され、これに対して、上記特図変動表示ゲーム終了後などに、表示装置41にて特図1の変動表示による第1変動表示ゲームが行われる。
【0071】
また、遊技球が第2始動入賞口26に入ることによる特図始動入賞(第2始動入賞)が発生すると、表示装置41にて特図2の変動表示による第2変動表示ゲームが行われる。そして、何れかの特図変動表示ゲーム中などに遊技球が第2始動入賞口26に入賞すると、第2始動記憶(特図2保留表示に対応する始動記憶)が1個記憶され、これに対して、上記特図変動表示ゲーム終了後などに、表示装置41にて特図2の変動表示による第2変動表示ゲームが行われる構成となっている。なお、第1始動記憶と第2始動記憶の両方があるときには、予め設定されたルールに従って第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームのうちの何れかが先に実行される。例えば、第2始動入賞口26に対応する第2変動表示ゲームが優先的に行われる態様(即ち、第2始動記憶が優先的に消化される態様)、或いは2種類の変動表示ゲームが交互に行われる態様などが有り得る。
【0072】
一方、遊技中に、遊技球が普図始動ゲート32を通過したときは、表示部41a等で普図の変動表示による普図の変動表示ゲーム(以下、普図変動表示ゲームという)が行われる。そして、この普図変動表示ゲーム結果(停止した普図)が所定の態様(特定表示態様)であれば、普図当りと呼ばれる特典が付与される。
【0073】
この普図当りになると、第2始動入賞口26の一対の開閉部材26aが逆ハの字に開いた開状態に、所定の開放時間だけ一時的に保持される遊技が行われる。これにより、遊技球が始動入賞し易くなり、その分、特図の変動表示ゲームの実施回数が増えて大当りになる可能性が増す。
また、上記普図の変動表示ゲーム中に、普図始動ゲート32にさらに遊技球が入賞したときには、表示部41a等で普図始動記憶の保留表示が実行されて、例えば4個まで記憶され、普図の変動表示ゲームの終了後に、その記憶に基づいて上記普図の変動表示ゲームが繰り返される。
【0074】
次に、定額遊技について概略説明する。定額遊技では、持玉数の値がマイナスになることが可能であり、持球数がマイナスになっても、所定の遊技限度条件が成立するまでの範囲内で、遊技球の発射が可能な状態や入賞が有効に処理される状態が維持されて遊技が継続可能である。この遊技限度条件は、本例の場合、定額遊技開始からの遊技球の発射数(積算値)が所定の発射可能最大数(例えば、定額遊技カード3000の場合には6000個)に到達することである。このような遊技限度条件であれば、定められた発射頻度(1分間に100個以下)の場合、前述したように、例えば定額遊技カード3000の場合には最低でも1時間の遊技が可能である。なお、この定額遊技の遊技限度条件は、その他の態様でもよく、単純に時間で構成してもよい。例えば、遊技開始からの経過時間が所定の遊技可能最大時間(例えば、1時間)に到達することでもよい。遊技球の発射頻度は上述のように制限されているので、単純に時間で制限しても、遊技球の発射数は概略一定数以内に制限できる。
【0075】
F.制御系の動作
次に、遊技制御装置101及び封入球制御装置102の制御内容を説明する。最初に遊技制御装置101について図5〜図19により説明する。
(a)遊技制御装置のメイン処理
まず、図5により、遊技制御装置101のメイン処理を説明する。
このメイン処理は、CPU111に強制的にリセットがかけられたことに基づいて開始する。即ち、遊技制御装置101に電源を供給している電源装置(図示略)の電源スイッチがオン操作されると、所定のタイミングに(電源投入時の所定のリセット期間に)電源装置からリセット信号が遊技制御装置101に入力されてCPU111のリセット端子がオンし、その後このリセット信号が解除されると、CPU111が起動する。なお、停電からの電源復旧時にも、同様にリセット信号がオンした後に解除されてCPU111が起動する。また、作業者が遊技制御装置101のRAM113等の初期化をしようとする場合には、電源装置の初期化スイッチ(図示略)をオン操作しながら前記電源スイッチをオン操作する必要がある。
【0076】
そしてCPU111が起動すると、まず割込みを禁止し、CPU111に内蔵されるCPU周辺回路(シリアルポートを含む)の初期設定を行うとともに、RAM113へのアクセスを許可した後、全出力ポートにオフ信号(2値信号の「0」に相当する信号)を出力する(ステップS1乃至S4)。
なお、リセット信号によって各出力ポートはオフ設定(リセット)されているので、ソフト的に各出力ポートにオフ信号を出力する必要は必ずしもないが、ここでは念のためにステップS4が設けられている。
【0077】
次に、封入球制御基板(封入球制御装置102)との通信ライン確認がNGかどうかを判断する(ステップS5)。これは、遊技制御装置101と封入球制御装置102との間の通信ラインが確立しているかどうかを確認するもので、NGなら後述のステップS28にジャンプしてRWMアクセス(RAM113へのアクセス)を禁止した後、待機する。
一方、封入球制御装置102との通信ライン確認がOKなら、ステップS6に進んで、この時点での待機中(ウェイト中)に停電が発生したか否かを判別する。停電が発生していればステップS28にジャンプしてRWMアクセス(RAM113へのアクセス)を禁止した後、待機し、停電が発生していなければ、次のステップS7で演出制御基板(演出制御装置103)の起動待ちのウェイト時間が経過したか否かを判断する。起動待ちのウェイト時間が経過していなければ、ステップS5に戻ってルーチンを繰り返し、同ウェイト時間が経過すると、ステップS8に進んで電源装置の初期化スイッチを押しながらの電源投入であるかを判断する。
【0078】
初期化スイッチを押しながらの電源投入であれば、ステップS14にジャンプする。一方、初期化スイッチを押さないで電源投入したのであれば、ステップS9に進んでRAM113の停電検査領域1,2の全ての値が正常な停電検査領域チェックデータであるか否か判断し、正常であれば停電復帰時であるとしてステップS10に進み、異常であれば(正常に記憶されてなければ)通常の電源投入時であるとしてステップS14に進む。なお、停電検査領域チェックデータは、後述するステップS26で設定されるものである。このステップS9では、このように複数のチェックデータによって停電復帰時であるか否か判定するので、停電復帰時であるか否かの判断が信頼性高く為される。
【0079】
次にステップS10では、RAM113(図5ではRWMと表記、以下同様)のデータのチェックサムを算出し、ステップS11で電源遮断時のチェックサムと比較し、その値が正常(一致)か否かを判定する。このチェックサムが正常でない場合(即ちRAM113のデータが壊れているとき)には、ステップS14に進み、前記チェックサムが正常である場合にはステップS12に進む。
ステップS12では、停電復旧のための処理(初期値設定)を実行する。即ち、全ての停電検査領域をクリアし、チェックサム領域をクリアし、エラー及び不正監視に係る領域をリセットする。次いで、ステップS13で特図ゲーム処理番号に対応する停電復旧時のコマンド(停電復旧コマンド)を演出制御装置103に送信する。このステップS13を経ると、ステップS17に進む。
【0080】
初期化スイッチを押しながらの電源投入でステップS14にジャンプした場合やステップS9、S11からステップS14にジャンプした場合には、このステップS14を含めてステップS14〜16の処理を行う。
ステップS14以降の処理に進むと、遊技制御装置101のRAM113内のデータ(アクセス禁止領域を除く)を初期化するなどの処理を行う。即ち、ステップS14では使用する全てのRAM113の領域をクリアする。具体的には、RAM113において、アクセス禁止領域より前の全作業領域をクリアし、アクセス禁止領域より後の全スタック領域をクリアする。次いで、ステップS15で初期化すべき領域に電源投入時の初期値をセーブし、ステップS16で電源投入時のコマンド(電源投入コマンド)を演出制御装置103に送信する処理を行う。電源投入コマンドが送信されると、他の制御装置は、この電源投入コマンドを受けて、例えば演出制御装置103であれば枠演出装置のモータの動作位置を初期位置にするなどの初期化を行う。
【0081】
ステップS16を経ると、ステップS17に進み、例えばCPU111の内部に設けられたCTC(Counter/Timer Circuit)を起動する。CTCはタイマ割込みのための回路である。
次にステップS18では、CPU111に内蔵されるCPU周辺回路に設けられた乱数生成回路の起動設定を行う。この乱数生成回路によってハード的に特図や普図の各乱数のうちの一部が生成される。但し、これら乱数のうち一部の乱数の初期値は、後述するステップS20の処理によってソフト的に設定される。
【0082】
なお、特図に関連する乱数としては、大当り乱数(大当りとするか否かを決定するための乱数)、大当り図柄乱数1,2(大当り停止図柄決定用の乱数)、変動パターン乱数(リーチの有無等を含む変動パターンを決定する乱数)、停止図柄乱数(外れの停止図柄決定用の乱数)などがある。また、普図に関連する乱数としては、例えば、普図当り乱数(普図当りとするか否かを決定するための乱数)などがある。このうちステップS18,20で対象とする乱数は、例えば、大当り乱数、普図当り乱数、大当り図柄乱数1,2である。なお、上記特図に関する乱数は、特図が2種類ある場合、特図1と特図2で共通でもよいし、別個に設けられていてもよい。
【0083】
次いでステップS19では、割込みを許可し、次のステップS20では、初期値乱数更新処理を行う。初期値乱数更新処理は、遊技球を発射するタイミングを計って故意に当り等をねらうことが困難になるように、乱数の初期値を更新する処理である。
次いでステップS21に進み、停電監視信号のチェック回数(例えば2回)を設定し、次のステップS22で停電監視信号がオンしているか否か判定し、オンしていれば停電の最終判断のためのステップS23に進み、オンしていなければステップS20に戻る。通常運転中は、ステップS20〜S22を繰り返す。
【0084】
そして、ステップS23に進むと、前記チェック回数分だけ停電監視信号のオン状態が継続しているか否か判定し、この判定結果が肯定的であると停電発生と最終判断してステップS24に進み、否定的であれば停電発生と判断できないとしてステップS22に戻る。
なお停電監視信号がオンになると、この停電監視信号をNMI割込信号として、実行中の処理を中断してステップS24以降の停電処理を強制的に実行する態様でもよい。但し本例の構成であると、停電監視信号のオン状態をステップS23で複数回チェックするので、実際には停電が発生していないのにノイズ等によって停電監視信号が一時的かつ瞬間的にオンした場合に停電発生と誤判断してしまうことがないという利点がある。
【0085】
そしてステップS24に進むと、割込を禁止した後、次のステップS25で全ての出力をオフし(全ての出力ポートにオフデータを出力し)、次いでステップS26で停電情報設定処理を実行する。停電情報設定処理では、前述の停電検査領域チェックデータ1を停電検査領域1にセーブし、停電検査領域チェックデータ2を停電検査領域2にセーブする。
ステップS26を経ると、次のステップS27で、RAM113のデータのチェックサムを算出して所定のチェックサム領域にセーブし、次いでステップS28でRAM113へのアクセスを禁止した後、待機する。
なお、以上のステップS24〜S28の停電処理は、停電によって電源電圧がCPU111の動作電圧未満に低下する前に行われる。
【0086】
(b)遊技制御装置のタイマ割込処理
次に、遊技制御装置101のタイマ割込処理を図6により説明する。
このタイマ割込処理は、前述したメイン処理におけるステップS17,S19の処理によって開始され、所定のタイマ割込周期で繰り返し実行される。
【0087】
このタイマ割込処理では、まずステップS31で、必要に応じてレジスタの退避や割込みの禁止を実行した後、ステップS32の入力処理を実行する。この入力処理では、前述の各センサ類(始動口スイッチ120、121、ゲートスイッチ122、入賞口スイッチ123、カウントスイッチ124など)の検出信号の読み取りを実行する。具体的には、各センサの出力値をタイマ割込周期毎に判定し、同じレベルの出力値が規程回数(例えば、2回)以上継続した場合に、この出力値のレベルを各センサの検出信号の確定的な値として読み取る。なお、何れかのセンサがオンしていることが読み取られると、それを示すフラグ(入力フラグ)がたてられる。
【0088】
次に、ステップS33で、後述するステップS41,S42,S43,S44で設定された出力データを対応する出力ポートに設定し出力する出力処理を実行し、その後、ステップS34,S35で、乱数更新処理1,2をそれぞれ実行する。ここでは、特図に関連するソフト乱数及び普図に関連するソフト乱数の更新が行われる。特図に関連するソフト乱数としては、例えば、大当り図柄乱数1,2(大当り停止図柄決定用の乱数)、変動パターン乱数(リーチアクションの有無等を含む変動パターンを決定する乱数)、停止図柄乱数(外れの停止図柄決定用の乱数)などがある。ここでの、乱数の更新は、乱数を例えば「1」づつ増やすことにより実行される。したがって、このタイマ割込み処理のルーチンが繰り返される毎に、乱数が変り、このソフト乱数の抽出値がアトランダム性を保つようになる。
【0089】
なお、上記変動パターン乱数は、本例では変動パターン乱数1〜3の3種類が有る。このうち、変動パターン乱数1は後半変動(リーチ開始後の変動)のリーチ系統を選択するための乱数であり、変動パターン乱数2はリーチ系統の中から詳細な演出の振分(例えばプラス1コマで特図が停止するかマイナス1コマで特図が停止するか)を行うための乱数であり、変動パターン乱数3は前半変動(リーチ開始前までの変動)の態様を選択するための乱数である。また、上記変動パターン乱数は変動態様の全てを直接決定するものでもよいが、本例では、具体的な態様は演出制御装置103が決定する。例えば、変動時間とリーチ系統(リーチの大まかな種別)のみを変動パターン乱数1により決定し、決定した変動時間とリーチ系統に基づいて演出制御装置103が具体的な変動態様を決定する。
【0090】
次いで、ステップS36では、賞球数に対応する信号(コマンド)を封入球制御装置102に送信する処理(賞球コマンド送信処理)を行う。これは、一般入賞、始動入賞、変動入賞装置27への入賞があると、これらの入賞に対して予め設定された賞球数を持球数に加算するためのコマンドを送信するものである。
次いで、ステップS37で受信コマンド解析処理を行う。これは、封入球制御装置102から受信したコマンドを解析し、各種のフラグセット等を行うものである。次いで、ステップS38でエラー監視処理を実行する。これは、前述の各センサ類の未検出エラーや、賞球加算の過剰エラーや、ガラス枠5の開放状態、及び大入賞口27a、普電26の開放中以外での不正入賞などを監視するための処理である。
【0091】
例えば、このエラー監視処理で監視するエラーの種類は、以下の通りである。
・前枠開放(ガラス枠5開放)
・遊技枠開放(前面枠4開放)
・スイッチ異常(コネクタ抜け、スイッチ故障など)
・磁石不正
・振動不正
・電波不正
・封入球異常(これは、基本的に封入球制御装置102で監視するが、LED報知をするためにエラーの状態を遊技制御装置101(主基板)に伝えるようにする。LEDを制御するのは演出制御装置102であり、それと通信できるのは遊技制御装置101であるため。)
【0092】
封入球異常には、下記がある。
(a)封入球不足
(b)封入球過剰
(c)浮遊球発生
(d)通路球詰まり
【0093】
ステップS38を経ると、ステップS38aで遊技開始判定処理を行い、その後ステップS38bで遊技終了判定処理を行う。これら遊技開始判定処理と遊技終了判定処理は、定額遊技を含む遊技を開始又は終了するための処理であり、詳細は後述する。
ステップS38bを経ると、次いでステップS39に進み、精算中あるいは休憩中であるかを判定する。遊技者が精算中あるいは休憩中であれば、ステップS40乃至ステップS42をジャンプしてステップS43に進む。これは、遊技者が精算中あるいは休憩中であれば、封入球遊技を行わないので、ステップS43にジャンプするものである。
【0094】
精算中あるいは休憩中でなければ、ステップS40に進み、入賞口スイッチ監視処理を実行する。入賞口スイッチ監視処理は、前述したように設定される入力フラグ(特図の始動口スイッチ120、121、入賞口スイッチ123、及びカウントスイッチ124)を監視し、例えばカウントスイッチ124の入力フラグが設定されていると、15個の賞球の持球数加算を封入球制御装置102に要求する前準備などの処理を実行するものである。
【0095】
次に、ステップS41では、特図ゲーム処理を行う。この特図ゲーム処理では、特図の変動表示ゲーム全体の統括的制御が行われる。即ち、変動開始条件(変動表示ゲームの開始条件)の成立時において、大当り乱数の判定や、特図の停止図柄の組み合わせ(結果態様)を設定する処理や、特図の変動態様を設定する処理が行われる(詳細後述する)。
【0096】
ここで、変動開始条件の成立時とは、客待ち状態で始動口入賞があって変動表示ゲームが開始される時、変動表示ゲームがはずれで終了し始動記憶があって再度変動表示ゲームが実行される時、大当たりが終了して始動記憶があって再度変動表示ゲームが実行される時の3種類がある。
また、この特図ゲーム処理では、特図の変動表示ゲームに関する各種出力データを設定する処理も行われる。即ち、特図の変動表示ゲームの遊技状態に合わせて、例えば、演出制御装置103などへ送信するコマンドの内容(コマンドデータ)を設定する。
【0097】
次いで、ステップS42では、普図の変動表示ゲームのための処理を行う。即ち、普図の変動表示遊技の状態に合わせて演出制御装置103などへ送信するコマンドの内容を設定する処理などを行う。
次に、ステップS43では、セグメントLED編集処理を実行する。これは、ステップS41の特図ゲーム処理において決定された特図の図柄やステップS42の普図ゲーム処理において決定された普図の図柄、その他の情報を、一括表示装置35の本特図の表示器(LED、7セグメントの表示器)において表示するための処理である。
【0098】
次に、ステップS44では外部情報編集処理を実行する。これは、遊技制御装置101からホールコンピュータ54、カードユニット15等の外部装置へ出力しようとするデータの編集を行うものである。
その後、メインルーチンを再開すべく、ステップS45でタイマ割込み要求をクリアし、ステップS46で退避させたレジスタを復帰させ、ステップS47で割込を許可し、そして割込時に中断した処理に復帰(リターン)する。
【0099】
(c)遊技制御装置の遊技開始判定処理
次に、前記タイマ割込処理における遊技開始判定処理S38aを図7により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS48で遊技中であるか否か(後述するステップS50でセットされる遊技中フラグが既にセットされているか否か)を判定し、遊技中であれば(即ち遊技中フラグがセットされていれば)リターンし、遊技中でなければステップS49に進む。
【0100】
ステップS49では、遊技開始コマンドを封入球制御基板(封入球制御装置102)から受信したか否か判定し、受信したならステップS50に進み、受信していない場合にはリターンする。遊技開始コマンドは、定額遊技の場合、前述の定額遊技カードがカードユニット15に挿入されることによって封入球制御装置102から遊技制御装置101に送信されるコマンドであり(後述するステップS412参照)、挿入された定額遊技カードに対応した定額遊技の実行を指令するものである。
【0101】
なおパチンコ機1は、定額遊技専用台であってもよいが、本例の場合には、一般の遊技カードによる遊技も可能となっており、上記遊技開始コマンドは、一般の遊技カードがカードユニット15に挿入されることによっても封入球制御装置102から遊技制御装置101に送信される。但し、一般の遊技カードでは定額遊技ができないように制御する必要があるため、この一般の遊技カードが挿入された場合の遊技開始コマンドは、定額遊技の場合とは内容が異なる構成とされ、一般の遊技を開始することを指令するものである。
【0102】
ステップS50に進むと、遊技中フラグをセットし、次のステップS51で遊技開始ACKを封入球制御装置102に送信し、次のステップS52で遊技開始コマンドを演出制御装置103に送信し、次のステップS53で定額遊技開始に関する外部情報出力データを設定し、次のステップS54で定額遊技開始に関する試験信号出力データを設定し、その後リターンする。
【0103】
ここで、遊技中フラグは遊技中であるか否かを示すフラグである。なお、この遊技中フラグは、定額遊技の場合と、一般の遊技の場合とで異なるフラグがセットされるようにして、遊技中フラグによってどちらの遊技が遊技中か区別できるようにしてもよい。なお、後述するステップS219やステップS620の処理によって、この遊技中フラグがセットされていないと、賞球コマンドが送信されない(つまり、入賞しても賞球が持球数に加算されない)し、特図始動口に遊技球が入賞しても始動入賞として処理されない(つまり、特図変動表示ゲームの開始条件が成立しない)ので、この遊技中フラグがクリアされた状態のままでは実質的に遊技が開始されない。
【0104】
また、遊技開始ACKは、遊技開始コマンドを受け取ったことを封入球制御装置102に対して知らせるための応答信号である。
また、ステップS52の遊技開始コマンドは、ステップS49で受信判定する遊技開始コマンドと同様に、例えば、定額遊技カードが挿入されて定額遊技を実行することを遊技制御装置101から演出制御装置103にも指令するためのコマンドである。演出制御装置103では、遊技制御装置101から送信される例えば定額遊技の遊技開始コマンドを受信すると、後述する図29(a)に示すような遊技説明の表示を表示装置41で行うなどの処理をする構成となっている。
【0105】
(d)遊技制御装置の遊技終了判定処理
次に、前記タイマ割込処理における遊技終了判定処理S38bを図8により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS55で遊技中であるか否か(前述の遊技中フラグがセットされているか否か)を判定し、遊技中であれば(即ち遊技中フラグがセットされていれば)ステップS56に進み、遊技中でなければリターンする。
ステップS56では、遊技終了コマンドを封入球制御基板(封入球制御装置102)から受信したか否か判定し、受信したならステップS57に進み、受信していない場合にはリターンする。遊技終了コマンドは、定額遊技の場合、後述する封入球制御装置102の制御処理(ステップS435)で送信され、定額遊技の終了を指令するコマンドである。この遊技終了コマンドは、定額遊技の終了要因によって内容が異なる。定額遊技の終了の際、表示装置41に定額遊技終了の理由に対応する画面(図29(c)及び図29(d)により後述する)を表示させるためである。なお一般の遊技の場合、遊技終了コマンドは、例えば後述する精算ボタンが押されて精算開始となったときに封入球制御装置102から送信される。
【0106】
ステップS57に進むと、遊技中フラグをクリアし、次のステップS58で遊技終了コマンドを演出制御基板(演出制御装置103)に送信し、次のステップS59で遊技終了に関する外部情報出力データを設定し、次のステップS60で遊技終了に関する試験信号出力データを設定し、その後リターンする。ここで、ステップS58の遊技終了コマンドは、ステップS56で受信判定する遊技終了コマンドと同様に、定額遊技を終了することを演出制御装置103にも指令するためのコマンドである。演出制御装置103では、遊技制御装置101から送信される定額遊技の遊技終了コマンドを受信すると、後述する図29(c)又は図29(d)に示すような遊技説明の表示を表示装置41で行うなどの処理をする構成となっている。
【0107】
(e)遊技制御装置の特図ゲーム処理
次に、前記タイマ割込処理における特図ゲーム処理S41を図9により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS61で始動口スイッチ監視処理を実行する。これは、前述したように設定される入力フラグを監視し、始動口スイッチ120、121の入力フラグが設定されていると、大当たり乱数の値を抽出し記憶するなどの処理を実行するものである(詳細後述する)。
次いでステップS62でカウントスイッチ監視処理が行われる。これは、カウントスイッチ124の入力フラグが設定されていると、大入賞口27aに遊技球が入賞したとして、所定の処理を実行するものである。
【0108】
次いでステップS63では、特図ゲーム処理タイマが「0」でなければ、当該タイマの−1更新後に、ステップS64に進む。ステップS64では、特図ゲーム処理タイマ=「0」であるかどうかを判断し、「0」でなければ、ステップS73にジャンプしてステップS66乃至ステップS72の特図ゲーム処理は行わない。一方、特図ゲーム処理タイマ=「0」であれば、ステップS65に進む。
【0109】
なお、特図ゲーム処理タイマは、後述する処理番号による分岐後の各処理(ステップS66〜S72)において、それぞれ所定の値にタイマ値が設定されるものであり、この特図ゲーム処理タイマがタイムアップしたときにステップS65以降を実行すべきタイミングになるように設定される。これにより、ステップS63を実行した時点で、ステップS65以降を実行すべきタイミングになっていると、ステップS64の判定結果が肯定的になり、ステップS65以降(ステップS72〜S74含む)が実行される。そして、ステップS63を実行した時点で、ステップS65〜S72を実行すべきタイミングでない場合には、ステップS64の判定結果が否定的になり、ステップS73、S74のみが実行される構成となっている。
【0110】
次いで、ステップS65では処理番号により分岐する。ここでは、後述する処理番号による分岐のために、例えば特図ゲームシーケンス分岐テーブルを設定し、特図ゲーム処理番号に対応する処理の分岐先アドレスを取得し、分岐処理終了後のリターンアドレスをスタック領域に退避させる。次いで、処理番号により分岐する。
即ち、処理番号0でステップS66(特図普段処理)へ、処理番号1でステップS67(特図変動中処理)へ、処理番号2でステップS68(特図表示中処理)へ、処理番号3でステップS69(ファンファーレ/インターバル中処理)へ、処理番号4でステップS70(大入賞口開放中処理)へ、処理番号5でステップS71(大入賞口残存球処理)へ、処理番号6でステップS72(大当り終了処理)へ進む。なお、客待ち状態(デモ中)は、処理番号0である。
【0111】
そして、ステップS66(特図普段処理)では、特図保留数(特図変動表示ゲーム未実施で保留になっている特図始動記憶の数)がゼロで特図変動表示ゲームを実行中でないときには、客待ち状態の表示を表示装置41で行うための処理を行う。また、この特図普段処理では、次の特図変動表示ゲームを開始するための処理(特図変動開始処理)を行う。この特図変動開始処理では、特図1及び特図2の始動記憶を監視し、何れかの特図始動記憶があれば、対応する変動表示(第1又は第2変動表示)を開始するための設定(演出制御装置103に送信する変動パターンコマンドの設定など)を実行し、処理番号を1とした後にリターンする。特図保留数がゼロで次の特図変動表示ゲームを実行しない場合には、そのまま(処理番号は0のまま)リターンする。
【0112】
また、ステップS67(特図変動中処理)では、特図変動開始処理で設定された変動時間が経過するまで、特図を変動表示させるための処理が行われる。そして、前記変動時間が経過すると、特図の図柄を停止させるコマンド(図柄停止コマンド)を演出制御装置103に送信する処理を実行した後、処理番号を2としてリターンする。設定された変動時間が未経過のときは、そのままリターンする(処理番号は1のままとする)。
また、ステップS68(特図表示中処理)では、特図の変動表示結果を一定時間(1秒〜2秒)表示するための処理を行う。処理の最後に、大当りなら処理番号を3とし、はずれなら処理番号を0としてリターンする。
【0113】
また、ステップS69(ファンファーレ/インターバル中処理)では、大当り直後にはファンファーレ音等をスピーカ12a等から出力するファンファーレ処理を実行し、大当りのインターバル期間にはインターバル期間の表示等を実現するためのインターバル処理を実行し、変動入賞装置27の大入賞口開放を開始するタイミングで処理番号を4にする。
また、ステップS70(大入賞口開放中処理)は、変動入賞装置27の大入賞口27aを開放している間の処理である。大入賞口開放が終了すると処理番号を5にする。
【0114】
また、ステップS71(大入賞口残存球処理)では、大入賞口開放終了の間際に大入賞口27aに入った遊技球を確実にカウントするために一定時間待機する処理を行い、この一定時間が経過した後に、大当りのラウンドが残っているときには処理番号を3にし、大当りのラウンドが残っていないときには処理番号を6としてリターンする。
またステップS72(大当り終了処理)では、大当たり終了のための処理を行い、処理番号を0に戻してリターンする。
【0115】
次に、処理番号に応じた上記何れかの処理が終了すると、ステップS73に進み、特図1変動制御処理を行う。具体的には、特図1の一括表示装置35での表示(本特図1の表示)を制御するためのテーブルを準備し、この本特図1の変動表示のための制御処理を行う。
次いでステップS74に進み、特図2変動制御処理を行う。具体的には、特図2の一括表示装置35での表示(本特図2の表示)を制御するためのテーブルを準備し、この本特図2の変動表示のための制御処理を行い、その後リターンする。
【0116】
(f)遊技制御装置の特図普段処理
次に、前記特図ゲーム処理におけるステップS66で実行される特図普段処理を図10により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS81で特図2の保留数が「0」でないかどうかを判断する。ここでは、特図2の方を特図1よりも優先的に判断するため、先に特図2の保留数をチェックすることにしている。
【0117】
特図2の保留数が「0」であれば、続いてステップS82で特図1の保留数が「0」でないかどうかを判断する。ここで特図1の保留数が「0」であれば、すなわち、特図1、2の何れも保留数が「0」のときは、ステップS83に進み、客待ちデモ画面を開始済みかどうかを判断し、客待ちデモ画面を開始済みであれば、ステップS86で特図普段処理移行のデータを設定してリターンする。一方、客待ちデモ画面を開始済みでなければ、ステップS84で客待ちデモ中フラグをセットし、ステップS85で客待ちデモコマンドを演出制御装置103に送信する。これにより、演出制御装置103の制御により、表示装置41に客待ちデモ画面が表示されることになる。次いで、ステップS86で特図普段処理移行のデータ(処理番号0)を設定してリターンする。したがって、次回は特図普段処理に移行することになる。
【0118】
一方、ステップS81の判定結果がYESなら、すなわち、特図2の保留数が「0」でなければ保留があるので、ステップS87に分岐し、特図2変動開始処理1を実行してリターンする。
また、ステップS82の判定結果がYESなら、すなわち、特図1の保留数が「0」でなければ保留があるので、ステップS88に分岐し、特図1変動開始処理1(詳細は後述)を実行してリターンする。
【0119】
(g)遊技制御装置の特図1変動開始処理1
次に、前記特図普段処理におけるステップS88で実行される特図1変動開始処理1を図11により説明する。なお、特図2変動開始処理1(ステップS87)も以下と同様の処理を特図2について実行するものである。
このルーチンが開始されると、まずステップS91で特図1大当り判定処理を行う。これは、特図1に対応する大当り乱数が大当りしているかどうかを判定する処理である(詳細は後述)。次いで、ステップS92で特図1停止図柄設定処理を行う(詳細は後述)。これにより、特図1が大当り又は外れの何れであっても特図1の抽出乱数に対応した図柄が設定される。
次いで、ステップS93で特図1停止図柄番号に対応する試験信号出力データを設定する。これは、今回の特図1停止図柄を所定の試験装置で検査するために必要なデータを設定するものであり、設定データはタイマ割込み処理のステップS33で外部に出力される。次いで、ステップS94で特図1変動フラグをセットする。これにより、特図1あるいは特図2のどちらであるかを判断可能にする。
【0120】
次いで、ステップS95で変動パターンに関する情報を設定するテーブル(特図1用)を準備し、続くステップS96〜ステップS99の4つのステップで特図の変動に関する情報の細かな設定を行う。すなわち、ステップS96で特図情報設定処理、ステップS97で後半変動パターン設定処理、ステップS98で変動パターン設定処理、ステップS99で変動開始情報設定処理をそれぞれ行う。これにより、特図1がどのようなパターンで変動するかが細かく設定される。
次いで、ステップS100で特図1変動開始に関する試験信号出力データを設定する。これは、今回の特図1変動開始に関するデータを所定の試験装置で検査するために必要なデータを設定するものである。次いで、ステップS101で客待ちデモ中フラグをクリアして特図1の変動開始に備え、その後、ステップS102で特図変動中処理移行のデータ(処理番号1)を設定してリターンする。
【0121】
(h)遊技制御装置の特図1大当り判定処理
次に、前記特図1変動開始処理におけるステップS91で実行される特図1大当り判定処理を図12により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS111で特図1大当りフラグをクリアし、ステップS112で大当り乱数セーブ領域(特図1の保留数1用)から大当り乱数(なお、ここでの大当り乱数の意味は、大当りかどうかを判断するために始動入賞のタイミングで抽出された判定用の抽出乱数のことである)をロードする。これにより、始動入賞口25への遊技球の入賞時に格納した大当り乱数が取り出される。次いで、ステップS113で今回ロードした大当り乱数が下限判定値未満であるか否かを判定し、YESなら大当り発生ではないと判断してルーチンを終了してリターンし、NOならステップS114に進む。
【0122】
ここで、実際に大当りとなる乱数(大当り決定乱数)は一定の幅(ゾーン)で複数の値が配列されており、例えば高確率ならその幅が広く、低確率なら幅が狭く設定されている。そして、抽出した大当り乱数が複数の大当り決定乱数の何れかと等しいならば、大当り発生と判断する。
そのため、ステップS114では高確率中であるかを判断し、高確率中であればステップS115で高確率時の上限判定値を設定してステップS117に進み、高確率中でなければステップS116で低確率時の上限判定値を設定してステップS117に進む。ステップS117では今回ロードした大当り乱数が上限判定値を超えているか否かを判定し、YESなら大当り発生ではないと判断してリターンし、NOなら今回ロードした大当り乱数が大当り発生の乱数ゾーン(下限判定値以上で上限判定値以下の範囲)にあると判断してステップS118に進む。そして、ステップS118では大当り発生であるから、特図1大当りフラグをセットしてリターンする。
このようにして、大当り判定のための抽出乱数値を高確率時又は低確率時の大当り判定ゾーンの乱数値と比較して一致していれば、大当り発生と判断して特図1大当りフラグがセットされる。
【0123】
(i)遊技制御装置の特図1停止図柄設定処理
次に、前記特図1変動開始処理におけるステップS92で実行される特図1停止図柄設定処理を図13により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS121で特図1大当りかどうかを判断する。これは、特図1大当りフラグがセットされているか否かで判断する。特図1大当りでなければ、ステップS122に分岐してはずれ時の停止図柄番号(例えば、番号0)を設定するとともに、ステップS123ではずれ時の図柄情報(はずれという情報を意味する)を設定した後、ステップS124に進んで図柄情報に対応する飾り特図コマンドを設定する。ステップS124の処理は、変動開始タイミングや大当り開始タイミング等、送りたい時に飾り特図コマンドを送信できるようにRAM113に保存しておくもので、送信毎にコマンドを作成するのは手間がかかるからである。ステップS124を経るとリターンする。
【0124】
ここで、停止図柄番号について説明する、例えば停止図柄番号は0から101まであり、0がはずれ、1から100までが大当り、101が小当りの停止図柄というようになっている。1から100までには、いわゆる16R確変、16R通常、2R確変、2R通常のそれぞれに対応するような図柄情報が適宜、割り当てられている。このような図柄情報を用いれば、少ない組み合わせの情報で判断できる利点がある。例えば、特図1なら5種類、特図2なら9種類の情報を持つように設定しておく。これに対して、停止図柄番号のみで判断すると、102種類の値から判断しなくてはならなくなる。
【0125】
一方、ステップS121で特図1大当りと判断すれば、ステップS125に進み、大当り図柄乱数セーブ領域(特図1の保留数1用)から大当り図柄乱数をロードする。次いで、ステップS126で大当り図柄乱数に対応する停止図柄番号(例えば、番号1から100までの何れか)を設定する。次いで、ステップS127で低確率中であるかどうかを判定し、低確率中であればステップS128で低確率時の特図1大当り停止図柄情報テーブルを設定し、低確率中でなければ(高確率中又は時短中ならば)、ステップS129で高確率時、時短時の特図1大当り停止図柄情報テーブルを設定する。準備されている停止図柄情報テーブル上に定義されている情報としては、以下の4つがある。
(a)図柄情報
(b)確率変動判定フラグ
(c)ラウンド数上限値情報
(d)大入賞口開放情報
【0126】
なお、これらは停止図柄番号の数に合わせて複数のグループになっている。
また例えば、(a)の図柄情報と、他の三つの情報(確率変動判定フラグ等(b),(c),(d))は対応しており、図柄情報が決まれば他の三つの情報も決まる関係にある。
このように、大当り時には低確率、高確率、時短の状態に応じて特図1大当り停止図柄情報テーブルが設定される。
【0127】
ステップS128又はステップS129を経ると、次いで、ステップS130〜ステップS133に進み、停止図柄情報テーブル上に定義されている4つの情報について、それぞれ設定していく。まず、ステップS130で停止図柄番号に対応する図柄情報を取得し、セーブする。大当り時の停止図柄番号は前述したように番号1から100まであるので、その中で、例えば16R確変などに対応する大当り図柄情報を決定するものである。次いで、ステップS131で停止図柄番号に対応する確率変動判定フラグを取得し、セーブする。これは、大当り動作終了後に確率変動するのか否か、及び時短回数についての判定を行うフラグを取得するものである。
【0128】
次いで、ステップS132で停止図柄番号に対応するラウンド数上限値情報を取得し、セーブする。これは、何ラウンドの大当りであるかを示す情報を取得するものである。次いで、ステップS133で停止図柄番号に対応する大入賞口開放情報を取得し、セーブする。これは、ラウンド毎の大入賞口の開放動作を示す情報を取得するもので、例えば大入賞口の29秒フルオープン、4回開閉などの情報を取得する。ステップS133を経ると、ステップS124に進んで図柄情報に対応する飾り特図コマンドを設定し、その後、リターンする。
【0129】
(j)遊技制御装置の大当り終了処理
次に、特図ゲーム処理におけるステップS72で実行される大当り終了処理を図14により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS141で確率変動判定フラグは高確率突入フラグかどうかを判断する。これは、大当り終了後に特図の大当り確率を低確率か高確率の何れかにする必要があるので、その判断を行うためである。大当り確率が高確率に突入するのであれば、ステップS142〜ステップS148の処理に移行して、高確率の設定を行う。
【0130】
すなわち、まずステップS142で高確率の開始に関する外部情報出力データを設定し(ホールコンピュータ54に出力するため)、ステップS143で高確率の開始に関する試験信号出力データを設定する(所定の試験期間にデータを提供するため)。次いで、ステップS144で遊技状態表示番号を高確率時の値に設定する。これは、遊技者に特図の高確率モードを報知するためで、例えば一括表示装置35や表示装置41の画面で表示して知らせることになる。
【0131】
次いで、ステップS145で普図ゲームモードフラグを普図高確率・普電サポートフラグとしてセットする。これは、普図が高確率で、かつ普電の開放時間を延長する状態であることを内部制御が判断するために使用される。なお、本例では高確率モード(確変モード)中は、普電サポート状態(普図が高確率で、かつ普電が高確率で開閉して遊技球の始動入賞をサポートする状態)としているが、高確率モードにおいてこのような普電サポート状態(即ち、時短状態)としない態様でもよい。
【0132】
次いで、ステップS146で特図ゲームモードフラグを高確率・時短フラグとしてセットする。これは、特図が高確率で、かつ時短中であることを内部制御が判断するために使用される。
次いで、ステップS147で時短変動回数(時短状態での特図の変動回数)を「0」クリアする。次に、ステップS148で停電復旧時送信コマンド領域に演出制御装置103に送信するための確率情報コマンド(高確率)をセーブし、停電に備えて内部的に情報を保存しておく。ステップS148を経ると、ステップS157に進む。
【0133】
一方、ステップS141で大当り確率が高確率に突入しなければ、ステップS150〜ステップS156の処理に移行して、低確率の設定を行う。
この場合は、まずステップS150で時短の開始に関する外部情報出力データを設定し(ホールコンピュータ54に出力するため)、ステップS151で時短の開始に関する試験信号出力データを設定する(所定の試験期間にデータを提供するため)。次いで、ステップS152で遊技状態表示番号を時短時の値に設定する。これは、遊技者に時短状態であることを報知するためで、例えば一括表示装置35や表示装置41の画面で表示して知らせることになる。
【0134】
次いで、ステップS153で普図ゲームモードフラグを普図高確率・普電サポートフラグとしてセットする。これは、ステップS154と同様に、時短状態であることを内部制御が判断するために使用される。なお、本例では大当り後に所定変動回数だけ、低確率モード(通常モード)でも、普電サポート状態(時短状態)としているが、このように普電サポート状態にしない態様でもよい。
【0135】
次いで、ステップS154で特図ゲームモードフラグを低確率・時短フラグとしてセットする。これは、特図が低確率で、かつ時短中であることを内部制御が判断するために使用される。
次いで、ステップS155で時短変動回数を「変動回数初期値」(例えば、100回)を設定する。これにより、時短変動回数が特図の変動毎にカウントダウンしていき、所定の変動回数(例えば、100回)まで時短状態が継続し、その後、終了することになる。次いで、ステップS156で停電復旧時送信コマンド領域に演出制御装置103に送信するための確率情報コマンド(低確率)をセーブし、停電に備えて内部的に情報を保存しておく。ステップS156を経ると、ステップS157に進む。
【0136】
ステップS157では、移行するモードに対応する確率情報コマンド(ステップS148やS156のコマンドと同等のもの)を演出制御装置103に送信し、演出制御装置103で今回のモードの態様を演出する。次いで、ステップS158で大当り終了に関する外部情報出力データを設定する。これは、大当り中に出力していた信号をオフするものである。次いで、ステップS159で大当り終了に関する試験信号出力データを設定し、大当り中に出力していた試験信号をオフするようにする。
【0137】
次いで、ステップS160で確率変動判定フラグをクリアし、ステップS161でラウンドLED表示番号をリセット(今回の大当りラウンドを明示終了するため)し、ステップS162で大入賞口不正監視期間フラグを不正監視期間中としてセットする。これは、大当り中ではなくなるので、これ以降に大入賞口に入賞した球は不正入賞球であると判断するためにフラグを設定するものである。次いで、ステップS163で特図普段処理移行のデータ(処理番号0)を設定してリターンする。したがって、次回のルーチンでは特図普段処理に移行する。
【0138】
(k)遊技制御装置の特図表示中処理
次に、特図ゲーム処理におけるステップS68で実行される特図表示中処理を図15、図16により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS171で特図2が大当りであるか否かを判別し、大当りであればステップS174に分岐し、大当りでなければ、ステップS172に進む。ステップS172では同様に、特図1について大当りか否かを判別し、大当りであればステップS173に進み、大当りでなければステップS196にジャンプする。
特図2が大当りの場合は、ステップS174にて特図2大当りの開始に関する試験信号出力データを設定してステップS175に進み、特図1が大当りの場合は、ステップS173にて特図1大当りの開始に関する試験信号出力データを設定してステップS175に進む。何れも、所定の試験機関にデータを提供するためである。
【0139】
ステップS175では特図1大当りフラグ及び特図2大当りフラグをクリアし、続くステップS176で大当りのラウンド数上限値情報に対応するラウンド数上限値を設定する。大当りのラウンド数としては、前述したように、例えば通常は15ラウンド大当りが主の大当りであるが、プレミアとして16R大当りを発生させる構成であれば、16Rであってもよい。また、いわゆる突確(出玉の少ない大当りを経由して大当り確率が変化する突然確変)として2ラウンド大当りを発生させる構成であれば、2Rであってもよい。何れにしても、このステップS176でのラウンド数の上限値は、ステップS132で設定された結果により決まる。
【0140】
次いで、ステップS177でラウンド数上限値に対応するラウンドLED表示番号を設定し、演出制御装置103にて大当りのラウンド数の表示を演出させるようにする。
次いで、ステップS179で確率情報コマンド(低確率)を演出制御装置103に送信する。これは、大当り中は低確率であるため、低確率であことを演出制御装置103に知らせるためである。次いで、ステップS180で停止図柄に対応するファンファーレコマンドを演出制御装置103に送信する。これにより、このとき発生した大当りにふさわしいファンファーレコマンドが設定されて、大当りの映像や効果音などの演出が付与されることになる。次いで、ステップS181で停止図柄に対応する飾り特図コマンドを演出制御装置103に送信する。この処理により、停止図柄の表示が行われることになる。
【0141】
次いで、ステップS182で大入賞口開放情報と確率の状態に対応する外部情報出力データ(ホールコンピュータ54に出力する外部情報)を設定する。次いで、ステップS183で大当りの開始に関する外部情報出力データを設定する。次いで、ステップS184で高確率、時短の終了に関する試験信号出力データ(試験機関へのデータ)を設定する。次いで、ステップS185に進み、ラウンド数をリセットする。これにより、ラウンド数がゼロに戻される。
【0142】
次いで、ステップS186で普図ゲームモードフラグを普図低確率・普電サポートなしフラグとしてセットし、ステップS187で特図ゲームモードフラグを低確率としてセットし、ステップS188で遊技状態表示番号を低確率時の値に設定する。これにより、大当り中は、特図が低確率、普図も低確率で、遊技球の始動入賞のサポートがない状態になる。また、遊技状態表示番号が低確率時の値に設定されることで、高確率だった場合に、高確率を報知する表示が停止される。
【0143】
次いで、ステップS189で停電復旧時送信コマンド領域に確率情報コマンド(低確率)をセーブし、停電に備えて内部的に情報を保存しておく。次いで、ステップS190で高確率報知フラグをクリアする。高確率報知フラグは、高確率中に停電した場合、停電復旧後は高確率中であることを遊技者に報知するために設けているフラグであり、確率の状態が変化するまで報知するようにしているため、大当りになると低確率となるので、報知を終了させるためにクリアするものである。
【0144】
次いで、ステップS191で時短変動回数をリセットし、ステップS192で大入賞口不正監視期間フラグを不正監視期間外としてセットし、ステップS193で大入賞口不正入賞数をリセットする。大入賞口不正監視期間フラグは、大当りとなり、大入賞口が開放するようになった場合に、入賞した球は不正入賞ではないと判断するためのフラグである。なお、大当り中は大入賞口が開放していない時でも、正規入賞と判断する。また、大当りとなる度に、不正入賞数をクリアする。
このように、不可抗力や不正などで大当り中以外のときに大入賞口に入賞した遊技球のカウントをリセットしたり(特に、不可抗力によるカウントが蓄積して不正扱いとならないようにするために)、大入賞口への不正を監視する期間を外す。外さないと正規な大当り入賞とみなされず、不正入賞となるからである。
【0145】
次いで、ステップS194で大入賞口開放情報に対応するファンファーレ時間を設定する。これにより、このとき発生した大当りにふさわしいファンファーレの時間が設定されて、大当りの効果音の演出が行なわれることになる。次いで、ステップS195でファンファーレ処理移行のデータ(処理番号3)を設定して前述の特図ゲーム処理にリターンする。これは、特図表示中処理を終了して次の処理に相当するファンファーレ/インターバル中処理に移行させるためである。
【0146】
一方、ステップS171、172で特図1あるいは特図2の何れかの大当りでもなければ、図16に示すステップS196に分岐して時短中かどうかを判断する。時短中でなければ、ステップS207にジャンプして、特図普段処理移行のデータを設定して前述の特図ゲーム処理にリターンする。これにより、特図表示中処理を終了して次の処理に相当する特図普段処理に移行することになる。
【0147】
ステップS196で時短中のときは、ステップS197で時短変動回数を「―1」更新(すなわち、「1」だけデクリメント)してステップS198に進み、時短変動回数が「0」であるか否かを判断する。時短変動回数=初期値100回に設定されていた場合には、ステップS197で「1」ずつデクリメントされていくことになる。
ステップS198で時短変動回数が「0」でなければ、ステップS207にジャンプして、特図ゲーム処理にリターンし、ルーチンを繰り返す。ルーチンを繰り返して特別モード変動回数が「0」になると、ステップS200に進み、確率情報コマンド(時短終了)を演出制御装置103に送信する。これにより、演出制御装置103の制御により例えば時短終了の演出が行われる。
【0148】
次いで、ステップS201で時短終了に関する外部情報出力データを設定し、ステップS202で時短終了に関する試験信号出力データを設定する。これにより、ホールコンピュータ54に対して時短終了の情報が送信されたり、試験機関に対して時短終了の試験信号が送られたりする。次いで、ステップS203で普図ゲームモードフラグを普図低確率・普電サポートなしフラグとしてセットし、ステップS204で特図ゲームモードフラグを低確率としてセットする。これは、時短が終了するので、普図を低確率、普電サポートなしにしたり、特図を低確率にしたりするものである。
【0149】
次いで、ステップS205で遊技状態表示番号を低確率時の値に設定する。これにより、低確率であることを報知する表示が行われる。次いで、ステップS206で停電復旧時送信コマンド領域に確率情報コマンド(低確率)をセーブし、停電に備えて内部的に情報を保存しておく。次いで、ステップS207で特図普段処理移行のデータを設定し、リターンする。これは、特図表示中処理を終了して次の処理に相当する特図普段処理に移行させるものである。
【0150】
(l)遊技制御装置の賞球コマンド送信処理
次に、前記タイマ割込処理におけるステップS36で実行される賞球コマンド送信処理を図17により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS219で、遊技中であるか否か(前述の遊技中フラグがセットされているか否か)を判定し、遊技中であれば(即ち遊技中フラグがセットされていれば)ステップS221に進み、遊技中でなければステップS220に進む。
【0151】
ステップS220では、複数ある入賞数カウンタ領域の値を全てクリアする(値をゼロにする)処理を行い、リターンする。
ステップS221では、賞球コマンドの送信バッファがフル(満杯)か否かを判断する。この送信バッファは遊技制御装置101から封入球制御装置102に送る賞球コマンドを一時的に溜めておくものである。賞球コマンドの送信バッファがフルであれば、ルーチンを終了してリターンする。
【0152】
一方、賞球コマンドの送信バッファがフルでなければ、ステップS222に進んで入賞数カウンタ領域の値=0か否かを判断する。入賞数カウンタ領域の値=0であれば、賞球が無いと判断して、ステップS223に進んでチェックする入賞数カウンタ領域のアドレスを更新し、ステップS224で全領域のチェックが終了したか否かを判断する。全領域のチェックが終了していなければ、ステップS222に戻ってルーチンを繰り返し、全領域のチェックが終了すると、今回のルーチンを終了してリターンする。これは、入賞口の種類によって賞球数に差があるので、1個入賞に対して何個賞球するのかをそれぞれ区分してカウンタ領域を複数のアドレスに振り分けているため、全てのカウンタ領域に対応するアドレスをチェックものである。
【0153】
ステップS222で入賞数カウンタ領域の値=0でなければ、賞球すべき入賞数が存在するので、ステップS225に分岐して、対象の入賞数カウンタ領域(つまり、入賞数カウンタ領域の値=0でない領域)の値を「−1」だけ更新(デクリメント)する。次いで、ステップS226で入賞数カウンタ領域のアドレスに対応する賞球コマンドを封入球制御装置102に送信してリターンする。
【0154】
このように、入賞があると対応する入賞数カウンタ領域の値を更新し、そのアドレスに対応する賞球コマンドが送信バッファを介して遊技制御装置101から封入球制御装置102に送信する処理が行われる。この場合、遊技制御装置101と封入球制御装置102との間の賞球コマンド通信は単方向で行われるが、この例に限らず、例えば双方向で行う通信方式を採用してもよく、そのときは封入球制御装置102から遊技制御装置101に対してACKを返してもらうようにする。
【0155】
(m)遊技制御装置の始動口スイッチ監視処理
次に、特図ゲーム処理におけるステップS61で実行される始動口スイッチ監視処理を図18により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS620で、遊技中であるか否か(前述の遊技中フラグがセットされているか否か)を判定し、遊技中であれば(即ち遊技中フラグがセットされていれば)ステップS621に進み、遊技中でなければリターンする。
【0156】
ステップS621では、第1始動入賞口25内の第1始動口スイッチ120(図面では、始動口1スイッチと表記)に入力があるか否かを判定する。これは、第1始動入賞口25に入賞したかどうかを判断するものである。第1始動口スイッチ120に入力がなければ、ステップS624にジャンプし、入力があると、ステップS622に進んで、始動口1入賞時設定用テーブルを準備する。ここでの入賞時設定用テーブルは、第1始動入賞口25への入賞を監視するためのテーブルである。
次いで、ステップS623で始動口入賞時共通処理を行う(詳細後述する)。
【0157】
次いで、ステップS624に進み、普電入賞不正発生中か否かを判定する。これは、普通電動役物(普電)としての第2始動入賞口26への不正な入賞を監視するものである。なお、不正・入賞監視処理については、大入賞口への不正入賞の監視と、普電(普通電動役物)への不正入賞の監視とで、同じルーチンを採用している。
【0158】
ステップS624の判定結果がYES(不正あり)なら、ルーチンを終了してリターンする。一方、普電入賞不正発生中でなければ、ステップS625で普電作動中か否かを判定し、普電作動中でなければリターンし、普電作動中であればステップS626で第2始動入賞口26内の第2始動口スイッチ121(図面では、始動口2スイッチと表記)に入力があるか否かを判定する。これは、第2始動入賞口26(つまり、普電入賞口)に入賞したかどうかを判断するものである。第2始動口スイッチ121に入力がなければ、ルーチンを終了してリターンし、入力があると、正規な第2始動入賞口26への入賞があったとしてステップS628で始動口2入賞時設定用テーブルを準備する。ここでの入賞時設定用テーブルは、第2始動入賞口26への入賞を監視するためのテーブルである。
ステップS628を経ると、ステップS629で始動口入賞時共通処理を行い、その後ルーチンを終了し、リターンする。
【0159】
(n)遊技制御装置の始動口入賞時共通処理
次に、前記始動口スイッチ監視処理における始動口入賞時共通処理(S623、S629)を図19により説明する。
このルーチンが開始されると、まずステップS651で始動口信号出力回路がカウンタオーバーしないなら、始動口信号出力回路のカウンタの値を「+1」だけ更新(インクリメント)する。これは、原則として始動入賞した全ての球を計数してホールコンピュータ54に外部情報として出力するためである。
【0160】
次いで、ステップS652で対象の特図保留数が上限値未満であるか否かを判定し、特図保留数が上限値以上であれば、ルーチンを終了してリターンする。
一方、特図保留数が上限値未満であれば、ステップS653に進んで対象の特図保留数(特図1と特図2がある)を「+1」だけ更新(インクリメント)する。次いで、ステップS654で対応する特図保留数コマンドを演出制御装置103に送信する。これにより、演出制御装置103により始動入賞に伴う特図保留数の更新の演出が行われる。
【0161】
次いで、ステップS656で大当り乱数を抽出する。これは、始動入賞のタイミングで特図を大当りとするか否かを判定するための大当り乱数の値を抽出するものである。次いで、ステップS657で対応する大当り乱数セーブ領域(特図の保留数用)に今回抽出した大当り乱数をセーブする。次いで、ステップS658で対象の始動口スイッチ(第1始動口スイッチ120又は第2始動口スイッチ121)に対応する大当り図柄乱数を抽出し、ステップS659で対応する大当り図柄乱数セーブ領域に今回抽出した大当り図柄乱数をセーブする。
【0162】
次いで、ステップS660で変動パターン乱数1を抽出し、対応する変動パターン乱数1セーブ領域にセーブする。次いで、ステップS661で変動パターン乱数2を抽出し、対応する変動パターン乱数2セーブ領域にセーブする。次いで、ステップS662で変動パターン乱数3を抽出し、対応する変動パターン乱数3セーブ領域にセーブする。変動パターン乱数1〜3は特図演出の変動態様を決めるための乱数である。
次いで、ステップS663で特図保留情報判定処理を行う。これは、今回始動入賞した遊技球に対応する保留記憶が大当りか否かを先読みするもので、例えば停止図柄、変動パターンも先読みし、演出制御装置103へ送信するためのものである。なお、上記の先読みした結果は保存しない。ステップS663を経ると、リターンする。
【0163】
次に、封入球制御装置102における定額遊技のための処理について図20乃至27により説明する。
(o)封入球制御装置の定額遊技制御処理
図20は、封入球制御装置102の定額遊技制御処理のフローチャートである。
このルーチンは例えば所定のタイマ割込周期で繰り返し実行される。ルーチンが開始されると、まずステップS401で定額遊技処理番号による分岐処理を行う。例えば、定額遊技処理番号0のときにはステップS402に進んで遊技開始監視処理を実行し、定額遊技処理番号1のときにはステップS403に進んで遊技開始ACK受信待ち処理を実行し、定額遊技処理番号2のときにはステップS404に進んで遊技終了監視処理を実行し、これら各処理の何れかを実行するとルーチンを終了してリターンする。
【0164】
(p)封入球制御装置の遊技開始監視処理
次に図21は、前記定額遊技制御処理におけるステップS402の遊技開始監視処理のフローチャートである。
このルーチンが開始されると、まずステップS411で、カードユニット15から送信される定額遊技カードの情報(即ち、遊技者が所定金額を前払いしたことを実質的に含む定額入金情報)を受信したか否か判定し、受信していればステップS412に進み、受信していなければリターンする。なお、既述したように、カードユニット15は定額遊技カードが挿入されるとこの定額入金情報を封入球制御装置102に送信する機能を有し、封入球制御装置102は、この定額入金情報を受信して本発明の受信手段として機能する。
【0165】
ステップS412に進むと、定額遊技の遊技開始コマンドを遊技制御装置101(主制御基板)に送信し、次のステップS413で遊技開始ACK受信待ち処理に移行するためのデータ(例えば定額遊技処理番号1)を設定し、リターンする。
【0166】
なお、ステップS412で送信された遊技開始コマンドは、遊技制御装置101の前述の遊技開始判定処理におけるステップS49で受信判定され、このステップS49で受信されたと判定されると、次のステップS50で前記遊技中フラグがセットされて遊技が可能となる。このため、この遊技開始コマンドが送信されてはじめて定額遊技が開始できる状態となる。なお本例は、一般の遊技カードでも一般の遊技が可能であるので、一般の遊技カードがカードユニット15に挿入された場合にも、同様の遊技開始コマンド(但し、一般の遊技を指令するもの)が遊技制御装置101に送信され、遊技制御装置101で前記遊技中フラグがセットされて遊技が可能となる。但し、既述したように一般の遊技カードが挿入されたときには、定額遊技ではないので、後述する発射可能数等の処理は行われず、図示省略した制御処理によって、従来どおりの球貸し動作によって増加する持球数がゼロになると遊技球の発射が不能となるように制御される。
【0167】
(q)封入球制御装置の遊技開始ACK受信待ち処理
次に図22は、前記定額遊技制御処理におけるステップS403の遊技開始ACK受信待ち処理のフローチャートを示す図である。
このルーチンが開始されると、まずステップS421で遊技開始ACKを遊技制御装置101から受信したか否か判定し、受信していればステップS422に進み、受信していなければステップS428に進む。遊技開始ACKは、遊技制御装置101の前述の遊技開始判定処理のステップS51で送信されるものであり、遊技制御装置101が封入球制御装置102から遊技開始コマンドを受信すると、その応答として封入球制御装置102に返信する信号である。
【0168】
そのため、封入球制御装置102は、遊技開始コマンドをステップS412で送信してからの経過時間を計時し、ステップS428では、この経過時間が規定の時間(受信タイム)を超えているか否か判定する。そして、前記経過時間が受信タイムを超えていると受信タイムアウトであるとしてステップS429に進み、前記経過時間が受信タイムを超えていないと、リターンして次のシーケンスでまたこのルーチンを繰り返す。
したがって、遊技開始コマンド送信から規定の受信タイム内に遊技開始ACKが受信されれば、ステップS422以降の処理が実行され、そうでなければ、遊技制御装置101が正常に動作していない(例えば遊技開始コマンドを正常に受信していない)等の障害が発生していると推定できるためステップS429以降の処理が実行される。
【0169】
ステップS429に進むと、定額遊技が開始できないので、遊技開始不可のコマンドをカードユニット15に送信し、次のステップS430で、遊技開始監視処理に移行するためのデータ(例えば定額遊技処理番号0)を設定して、その後リターンする。なお、上記遊技開始不可のコマンドを受けたカードユニット15では、定額遊技カードを返却(即ち、排出)するとともに、なんらかの異常で定額遊技が開始できないことをランプの点灯などで遊技者や店員に報知することが望ましい。
【0170】
一方、遊技開始ACKが正常に受信されてステップS422に進むと、まず遊技中フラグをセットする。これは、遊技制御装置101における遊技中フラグと同様に、遊技中にセットされるフラグであり、この遊技中フラグがセットされていないと、実質的に遊技が不能となり実行できないように制御される。具体的には、この遊技中フラグがセットされていないと、例えば封入球制御装置102が発射制御装置104に指令を送って発射ボリューム171が操作されても発射ソレノイド173を駆動しないように制御させて遊技球の発射装置を不能とする、或いは、封入球制御装置102が発射制御装置104に指令を送って球送りソレノイド172を駆動しないように制御させて遊技球の発射位置への供給を止めて遊技球の発射を不能とする、などの制御が実行される構成となっている。
【0171】
ステップS422を経ると、ステップS423で遊技開始のコマンドをカードユニット15に送信し、次のステップS424で持球数の初期値を設定し、次のステップS425で発射可能数の初期値を設定し、次のステップS426で回収球数残の初期値を設定し、次のステップS427で遊技終了監視処理に移行するためのデータ(例えば定額遊技処理番号2)を設定し、その後リターンする。
ここで、遊技開始のコマンドをカードユニット15に送信するのは、定額遊技の開始をカードユニット15に知らせるためである。このコマンドを受けたカードユニット15は、例えば、定額遊技開始済みのカードであることを、挿入されている定額遊技カードの記憶情報として書き込むなどの処理を行う。
【0172】
また、ステップS425、S426の処理は、定額遊技の基本的な終了条件として、遊技者の利益としての持球数に無関係な条件(本発明の遊技限度条件)を設定しており、これら処理により実現される機能は、本発明の遊技限度設定手段に相当する。即ち本例は、本発明の遊技限度条件を、定額入金情報に基づく遊技球の発射数(即ち、定額遊技における遊技球の発射数)が所定の発射可能最大数に到達すること、とした例である。そして、この発射可能最大数は上記ステップS425、S426の発射可能数及び回収球数残の初期値に相当する。
【0173】
また、持球数の初期値としては、例えば定額遊技カード3000の場合、3000円分であるので、1球4円として750個が設定される。また、発射可能数及び回収球数残の初期値(即ち、発射可能最大数)としては、例えば定額遊技カード3000の場合、6000個(1分間に100個発射するとして、1時間遊技ができる分)が設定される。回収球数残とは、発射可能最大数のうち遊技領域を経て回収されていない遊技球(具体的には、アウト球検出スイッチ163で検出されていない遊技球)の数、即ち、発射可能最大数から回収された遊技球の数(具体的には、アウト球検出スイッチ163で検出された遊技球)を差し引いた数を意味する。後述する処理によって、発射可能数は、遊技球が発射される毎に発射数分だけ減少し、回収球数残も発射された遊技球が回収されるたびにその個数分だけ減少するので、発射された全ての遊技球が回収されれば、発射可能数と回収球数残の値は等しくなる。
【0174】
なお、定額遊技カードの種類を金額別に複数設定し、定額遊技カードの種類毎に定額入金情報を異ならせ、封入球制御装置102では、ステップS411で受信したこの定額入金情報に基づいて定額遊技カードの種類を判別し、上記ステップS424乃至S426で設定する初期値をこの種類別に異ならせるようにしてもよい。
【0175】
(r)封入球制御装置の遊技終了監視処理
次に図23は、前記定額遊技制御処理におけるステップS404の遊技終了監視処理のフローチャートを示す図である。
このルーチンが開始されると、ステップS431乃至S433で定額遊技を終了して精算する終了条件が成立しているか否か判定し、成立していればステップS434以降を実行し、非成立ならリターンする。
即ち、まずステップS431で手動(遊技者の操作)による精算開始か否か判定する。具体的には、例えば後述する精算ボタン205が遊技者によって操作されたか否か判定し、遊技者の操作で精算開始が指令されたと判定した場合には、ステップS434に進み、そうでない場合にはステップS432に進む。
【0176】
次にステップS432では、持球数が規定の打ち止め個数(例えば、1万円分の景品交換が可能な1万個)以上に到達したか否か判定し、到達した場合にはステップS434に進み、未達のときにはステップS433に進む。
そしてステップS433では、回収球数残の値がゼロか否か判定し、ゼロの場合にはステップS434に進み、ゼロでないときにはステップS433に進む。
【0177】
なお本例では、発射可能最大数の全てを発射する前に、遊技者が自分の意思で定額遊技を終了し精算できる態様であり、そのために上記ステップS431が設けられている。また本例では、発射可能最大数の全てを発射していなくても、持球数が規定の打ち止め個数になると強制的に定額遊技を終了させる態様であるため、上記ステップS432が設けられている。打ち止め個数は、定額遊技カードの種類によって、異ならせてもよい。
【0178】
また本例は、前述したように、定額遊技中の遊技球の発射数が所定の発射可能最大数に到達することを本発明の遊技限度条件とした例であるため、これを実現するために上記ステップS433が設けられている。即ち、設定された発射可能最大数の遊技球が発射され、これが全て回収されると、回収球数残の値がゼロになり、ステップS434以降の処理(定額遊技を終了させる処理)が行われる構成となっている。この場合、発射可能最大数の遊技球が発射された時点(即ち、発射可能数がゼロになった時点)ではまだ、ステップS434以降の処理(定額遊技を終了させる処理)を行わない構成になっているが、これは次の理由による。即ち、発射された遊技球が全て回収される前に発射可能数がゼロになった時点ですぐに遊技を終了する処理を実行してしまうと、発射可能数がゼロになる直前に発射された遊技球が入賞等しても、この入賞が有効なものとして処理されない(例えば、その入賞による賞球数分の持球数の加算が行われない)恐れがあり、このような不具合を回避するためである。
【0179】
次にステップS434に進むと、遊技中フラグをクリアし、次にステップS435で終了条件に対応する遊技終了のコマンドを遊技制御装置101に送信し、ステップS436に進む。
ここで、遊技中フラグをクリアするのは、終了条件が成立したので、遊技を終了させるためである。遊技中フラグがクリアされると、既述したように、遊技不能となる。なお、図示省略した処理によって、この遊技終了に伴い、封入された遊技球が発射できる状態から遊技球が発射できない発射不能状態に切り替わる構成となっている。但し、この切り替えのタイミングは、この遊技中フラグがステップS434でクリアされた時点(即ち、回収球数残がゼロになりステップS433の判定結果が肯定的になった時点)ではなく、後述するステップS444で発射毎に減算される発射可能数がゼロになった時点であることが望ましい。発射可能数がゼロになった時点から、上記ステップS434が実行されるまでには時間(遊技球が全部回収されるまでの時間)があるため、この間に発射可能最大数を超えて遊技球が発射されることを防止する必要があるからである。
ちなみに、一般の遊技の場合には、持球数がゼロになった時点で発射不能状態に切り替えられる制御が行われる。
【0180】
また、ステップS435で遊技制御装置101に送信する遊技終了のコマンドは、終了条件によってその内容が異なっている。これは、成立した終了条件が、手動による精算開始(ステップS431で判定される条件)、持球数が打ち止め個数に到達した打ち止め(ステップS432で判定される条件)、及び発射数が発射可能最大数になったこと(ステップS433で判定される条件)、のうちのどれであるかを、遊技制御装置101に知らせるためである。
【0181】
次にステップS436では、持球数がゼロ未満か判定し、ゼロ未満ならステップS437で持球数をゼロとし、ステップS438に進む。これは、持球数がマイナスになっているとき、処理の便宜上持球数をゼロとするための処理である。
ステップS438に進むと、精算開始要求フラグをセットし、次のステップS439で遊技開始監視処理に移行するためのデータ(例えば定額遊技処理番号0)を設定してリターンする。上記ステップS438で、精算開始要求フラグがセットされることによって、封入球制御装置102とカードユニット15とにおいて、精算処理が開始される。
【0182】
精算処理は、ステップS438の時点で持球数がゼロのとき(ステップS436の時点ではマイナスである場合も含む)には、定額遊技カードを回収して遊技者に戻さないようにし、持球数がゼロでない値(プラスのデータ)のときには、その持球数のデータを景品交換のために定額遊技カードに書き込んで、定額遊技カードを排出して遊技者に返却するための処理である。なお、持球数がゼロのときには景品交換ができないので定額遊技カードを回収する構成としている。また、定額遊技カードを返却する際には、1枚のカードで複数回定額遊技が実行できないように、定額遊技終了済みであることが識別できるデータを定額遊技カードに書き込んでおく(或いは、定額入金情報を削除しておく)等の処理が実行される。
【0183】
(s)封入球制御装置の発射球検出スイッチ監視処理
次に図24は、封入球制御装置102の発射球検出スイッチ監視処理のフローチャートを示す図である。
このルーチンは、例えば所定のタイマ割込周期で繰り返し実行される。ルーチンが開始されると、まずステップS441で発射球検出スイッチ161に入力があったか(即ち、発射球が検出されたか)否か判定し、入力がなければリターンする。入力があれば、ステップS442に進んで盤面球数の値を「+1」だけ更新(インクリメント)し、次のステップS443で持球数の値を「−1」だけ更新(デクリメント)し、次のステップS444で発射可能数の値を「−1」だけ更新(デクリメント)し、リターンする。
【0184】
このルーチンによれば、遊技球が1個発射されるたびに、盤面球数が1個加算され、持球数と発射可能数が1個減算される。盤面球数は、発射されて回収されていない遊技球、即ち主に遊技盤面上(遊技領域内)を落下しつつある遊技球の数である。この盤面球数は、遊技領域での球詰まり等の異常がなければ、前述した回収球数残と発射可能数の差に等しい。
【0185】
(t)封入球制御装置のファール球検出スイッチ監視処理
次に図25は、封入球制御装置102のファール球検出スイッチ監視処理のフローチャートを示す図である。
このルーチンは例えば所定のタイマ割込周期で繰り返し実行される。ルーチンが開始されると、まずステップS451でファール球検出スイッチ162に入力があったか(即ち、ファール球が検出されたか)否か判定し、入力がなければリターンする。入力があれば、ステップS452に進んで盤面球数の値を「−1」だけ更新(デクリメント)し、次のステップS453で持球数の値を「+1」だけ更新(インクリメント)し、次いでステップS454で発射可能数の値を「+1」だけ更新(インクリメント)し、リターンする。
このルーチンによれば、ファール球(発射されたが遊技領域に到達しなかった遊技球)が1個回収されるたびに、盤面球数が1個減算され、持球数と発射可能数が1個加算される。ファールなので、遊技者の損失とならないよう、発射が無かったことにするためである。
【0186】
(u)封入球制御装置の賞球コマンド受信処理
次に図26は、封入球制御装置102の賞球コマンド受信処理のフローチャートを示す図である。
このルーチンは例えば所定のタイマ割込周期で繰り返し実行される。ルーチンが開始されると、まずステップS461で遊技制御装置101からの賞球コマンドが受信されたか判定し、受信された場合にはステップS462に進んで正常な賞球コマンドか判定し、正常ならばステップS463で受信した賞球コマンドに対応する値を持球数に加算し、リターンする。ステップS461、S462の判定結果が否定的の場合には、リターンする。
【0187】
このルーチンによれば、遊技制御装置101から正常な賞球コマンドが受信されると、受信した賞球コマンドで指定された賞球数分だけ持球数が増加する。なお、前述したように賞球コマンドは、入賞があると、遊技制御装置101のステップS226により封入球制御装置102に送信される。但し、ステップS219があるために、遊技中(遊技制御装置101において遊技中フラグがセットされている状態)でなければ、この賞球コマンドは送信されず、この場合入賞があっても持球数は増加しない。
【0188】
(v)封入球制御装置のアウト球検出スイッチ監視処理
次に図27は、封入球制御装置102のアウト球検出スイッチ監視処理のフローチャートを示す図である。
このルーチンは例えば所定のタイマ割込周期で繰り返し実行される。ルーチンが開始されると、まずステップS471でアウト球検出スイッチ163に入力があったか(即ち、アウト球が検出されたか)否か判定し、入力がなければリターンする。入力があれば、ステップS472に進んでアウト数の値を「+1」だけ更新(インクリメント)し、次のステップS473でアウト数が10以上か判定し、10以上でなければ(10未満ならば)ステップS476に進む。アウト数が10以上ならば、ステップS474でアウト数信号出力回数の値を「+1」だけ更新(インクリメント)し、次のステップS475でアウト数の値をゼロにする(0クリアする)処理を行い、ステップS476に進む。
ステップS476に進むと、盤面球数の値を「−1」だけ更新(デクリメント)し、次のステップS477で回収球数残の値を「−1」だけ更新(デクリメント)し、リターンする。
【0189】
このルーチンによれば、アウト球が1個回収されるたびに、盤面球数と回収球数残が1個減算される。なおアウト球は、発射されてセーフになった(入賞した)遊技球と、アウトになった(入賞しなかった)遊技球の両方を含む。即ち、アウト球は、遊技領域から排出され回収される全ての遊技球を意味する。また、アウト数信号とは、ホールコンピュータ54(管理装置)に出力される外部情報の一つである。このアウト数信号としては、アウト球10個分で1パルスの信号を出力している。そのため、上記ステップS472乃至S475では、アウト球の数をアウト数としてカウントし、このアウト数が10になるたびに、アウト数信号出力回数を1増加させてこのアウト数を0クリアしている。これにより、アウト数信号(アウト球10個分の信号)を出力した回数(上記パルスの数)がアウト数信号出力回数として計数される。
【0190】
G.定額遊技の具体例
次に、図28、図29を参照して定額遊技の具体例について説明する。
図28は、パチンコ機1に設けられている操作・表示パネル7を示す図である。
まず、図28(a)は定額遊技開始時の例であり、操作・表示パネル7にはメッセージなどを表示するメッセージ表示部201、発射可能な発射可能数を表示する発射可能数表示部202、持球数を表示する持球数表示部203が設けられているとともに、精算ボタン205、休憩ボタン206が画面上に配置されている。精算ボタン205及び休憩ボタン206は、タッチパネル182の機能として作動するもので、遊技者がこれらのボタンに触れると、オン(あるいはオン・オフの交互動作)するようになっている。
【0191】
精算ボタン205は遊技者が遊技結果の精算を望むときに操作するもの、休憩ボタン206は遊技者が一定時間(例えば、40分)の休憩を望むときに操作するものである。精算ボタン205を押すと、前述した手動による精算開始(ステップS431参照)となり、精算処理が行われて定額遊技カードがカードユニット15から排出される。なお前述したように、発射可能数がゼロになり次いで回収球数残もゼロになると遊技終了で精算開始となり、また持球数が打ち止め個数に到達したときも遊技終了で精算開始となる(ステップS432、S433参照)。こうして遊技終了となって封入球制御装置102及びカードユニット15における精算処理が行われた場合、遊技者は排出された遊技カードを持ってカード精算機53に挿入することで、カード精算機53にて景品交換のための精算を行うことができる(例えば、カード精算機53から景品交換レシートが排出され、このレシートを使ってホールのカウンタで景品と交換できる)。
【0192】
また、休憩ボタン206を押すと、休憩ボタン206が点灯状態になる。メッセージ表示部201に「休憩中」という表示をしてもよい。この休憩の際に、定額遊技カードは一旦排出するようにしてもよいが、不正防止等のため定額遊技カードは休憩中も遊技中も排出しないように制御してもよい。また休憩中は、他の遊技者が発射操作を行わないように、遊技球の発射を不能とする制御を行うことが望ましい。
【0193】
次に、定額遊技の具体例の詳細につき、場合分けして説明する。
<定額遊技開始時>
定額遊技開始時には、遊技者がパチンコ機1に併設されたカードユニット15に定額遊技カードを挿入する。これにより前述した遊技中フラグがセットされて遊技が可能となる。定額遊技カードが挿入されると、図28(a)に示すように、メッセージ表示部201に「定額遊技です 発射を開始して下さい」というメッセージが表示され、このとき、発射可能数は初期値として「残6000(個)」というように発射可能数表示部202に表示され、持球数表示部203には「750(個)」という持球数の初期値が表示される。これにより、遊技者は発射可能数の初期値=6000個の範囲内で遊技球を発射し遊技が行わる。ちなみに、定額遊技でない一般の遊技では、持球数の範囲内で遊技が行えることになるが、定額遊技の場合には持球数に無関係な遊技限度条件(この場合、発射数が所定の発射可能最大数=6000個に到達すること)の範囲内で遊技が可能となる。
【0194】
<定額遊技中>
遊技者が発射ボリューム171を操作することで、発射位置にある遊技球が遊技領域22に打込まれて、遊技が開始する。遊技領域22を落下した球はアウトあるいはセーフとなって、遊技領域22を経た後に回収されて循環し、再び発射位置に導かれる。このようにして、封入された遊技球が循環使用されてパチンコ遊技が行われる。
遊技球が特図の始動入賞口25又は26に入賞すると、表示装置41において特図が変動し、特図の変動表示ゲームが行われる。また、始動入賞あるいは一般入賞した場合には、入賞口に対応する賞球数が持球数に加算される(ステップS463参照)。
【0195】
さて、このような定額遊技中のときは、図28(b)に示すように、メッセージ表示部201に「定額遊技中 発射可能です」というメッセージが表示されて遊技者に報知される。このとき、この時点までの発射数が例えば4500個であるとすると、発射可能数としては「残1500(個)」(=6000個−4500個)という表示が発射可能数表示部202になされ、持球数表示部203には例えば「−200(個)」という表示がされている。これにより遊技者は、今は定額遊技中であり、あと1500個の遊技球が発射可能であり持球数は−200個という状態であることを知ることになる。なお、持球数が−200個とうことは、持球数が750個から950個減ったということであり、4500個発射して賞球が3550個(=4500個−950個)しか獲得できなかった状態であり、発射数よりも獲得した賞球数が少ない分だけ持球数が減ってしまい、その持球数が減った量(950個)が持球数の初期値(750個)よりも多いために持球数がマイナスとなった状態である。このように本例の定額遊技では、持球数がマイナスの値になっても、発射可能数が残っていれば(即ち、遊技限度条件が成立していなければ)、打ち止めの場合を除き、遊技球を発射して遊技が継続できる。
【0196】
ここで、本実施例における定額遊技と一般の遊技(定額遊技でない遊技)の態様を比較して説明すると、以下のようになる。
(A)定額遊技
持球数と無関係な発射可能数の初期値(遊技限度条件)が設定される。
発射毎に、持球数と発射可能数を減算(「1」ずつ減算)。
持球数に無関係に、発射可能数がゼロになるまで遊技可能。
持球数を増加させる球貸しはできない。
持球数はマイナスになることがある。
入賞毎に、入賞口に対応する賞球数を持球数に加算。
表示手段に「定額遊技」などと表示。
【0197】
(B)一般の遊技
持球数と無関係な遊技限度条件の設定はない。
発射毎に、持球数を減算(「1」ずつ減算)
持球数がゼロになるまで遊技可能。
持球数を増加させる球貸しができる。
持球数はマイナスにならない。
入賞毎に、入賞口に対応する賞球数を持球数に加算。
表示手段に例えば「一般遊技」などと表示してもよい。
【0198】
<定額遊技終了時(持球数有り)>
発射可能数がゼロになると、前述したように定額遊技は終了するが、この際に持球数が1個以上有る場合には、次のようになる。即ち、図28(c)に示すように、メッセージ表示部201に「遊技終了です 精算ボタンを押して下さい」というメッセージが表示されて遊技者に報知される。このとき、発射可能数としては「0(個)」という表示が発射可能数表示部202になされ、持球数表示部203には例えば「2000(個)」という表示がされている。そして、この状態で遊技者が、精算ボタン205にタッチすると、必要な情報(持球数2000個の情報など)が定額遊技カードに書き込まれた後に、定額遊技カードがカードユニット15から返却される。既述したように、遊技者はこの定額遊技カードを使って景品交換ができる。
【0199】
<定額遊技終了時(持球数無し)>
発射可能数がゼロになり定額遊技が終了した際に、持球数が0個又はマイナスの場合には、次のようになる。即ち、図28(d)に示すように、メッセージ表示部201に「遊技終了です 精算はございません」というメッセージが表示されて遊技者に報知される。このとき、発射可能数としては「0(個)」という表示が発射可能数表示部202になされ、持球数表示部203には例えば「−1050(個)」という表示がされている。そしてこの場合には、精算ボタン205は表示されず、定額遊技カードは返却されずカードユニット15の内部で取り込まれて回収される。景品交換の必要がないからである。なお、定額遊技カードが回収されることで、定額遊技カードの不正な再利用等が防止される。
【0200】
<手動による精算時>
定額遊技中に、遊技者が精算ボタン205にタッチすると、手動による精算が開始され、次のようになる。例えば、発射可能数がゼロになったときと同様に、持球数が1個以上有る場合には、図28(c)に示すようにメッセージ表示等が行われて(但し、発射可能数の表示はゼロではない)定額遊技カードが返却され、持球数が0個又はマイナスの場合には、図28(d)に示すようにメッセージ表示等が行われて(但し、発射可能数の表示はゼロではない)定額遊技カードが回収される。
【0201】
なお、このように手動による精算も発射可能数がゼロになったときと同様に扱うと、発射可能数が残っているのに、そのカードではもう定額遊技は行えなくなるので、遊技者が不満を感じる恐れがある。そこで、このような不満の恐れを解消するため、次のようにしてもよい。即ち既述したように、手動による精算の場合(あくまで発射可能数が1個以上残っている場合)に、定額遊技カードにその時点の発射可能数と持球数のデータ(マイナスでもよい)を書き込んで定額遊技カードを返却するようにし、その定額遊技カードを再度遊技者が何れかのパチンコ機1のカードユニット15に挿入すると、残りの発射可能数分の定額遊技を精算時の持球数を初期値としてそのパチンコ機1で実行できる構成としてもよい。
【0202】
<打ち止めによる終了時>
持球数が打ち止め個数になると、前述したように打ち止めにより定額遊技は終了するが、この際には次のようになる。即ち、図28(c)に示す終了時と略同様になる。但し、メッセージ表示部201には、例えば「打ち止め(遊技終了)です 精算ボタンを押して下さい」というメッセージが表示されて遊技者に報知される。またこのとき、発射可能数の残数が発射可能数表示部202になされ、持球数表示部203には打ち止め個数である「10000(個)」という表示がされる。そして、この状態で遊技者が、精算ボタン205にタッチすると、必要な情報(持球数10000個の情報など)が定額遊技カードに書き込まれた後に、定額遊技カードがカードユニット15から返却される。既述したように、遊技者はこの定額遊技カードを使って景品交換ができる。なお、打ち止めなので、発射可能数に残数があっても、それ以上は遊技ができない。
【0203】
次に、定額遊技時における表示装置41の表示部41aに表示される画面例について、図29を参照して説明する。
定額遊技開始時は、図29(a)に示すように、表示装置41の表示部41aの中央エリア41bに「定額遊技」、「所定数の発射が可能です」、「但し持球数10000個で打ち止めです」、「操作・表示パネルを確認して下さい」などのメッセージが表示される。これにより、遊技者はパチンコ機1の正面に位置する表示装置41の画面上から速やかに定額遊技の開始等を知ることができる。
【0204】
次いで、定額遊技中は、図29(b)に示すように、表示装置41の表示部41aの中央エリア41bに例えば特図に相当する3列の数字が変動表示される(この例では、「1」、「2」、「3」)。また、表示部41aの上部エリア41cには「定額遊技中…所定数の発射が可能です…持球数10000個で打ち止めです…」とのメッセージが画面上を図中右側から左側に流れていくようにテロップ表示され、さらに表示部41aの下部エリア41dには特図の始動記憶がドット表示される。これにより、遊技者は特図変動を気にしながらも、定額遊技中であること等を容易に知ることができる。
【0205】
次いで、定額遊技終了時は、図29(c)に示すように、表示装置41の表示部41aの中央エリア41bに「遊技終了」、「定額遊技が終了しました」、「操作・表示パネルを確認して下さい」とのメッセージが表示される。これにより、遊技者は定額遊技の終了を容易に知ることができる。
なお、打ち止めによる終了時には、図29(d)に示すように、表示装置41の表示部41aの中央エリア41bに「打ち止め(遊技終了)」、「おめでとうございます」、「打ち止めです」、「精算ボタンを押して下さい」とのメッセージが表示される。これにより、遊技者は打ち止めによる定額遊技の終了を容易に知ることができ、また打ち止めの喜びをより実感できる。
【0206】
H.一般遊技の具体例
次に、定額遊技でない一般の遊技について、説明しておく。一般の遊技は、一般の遊技カードをカードユニット15に挿入することにより可能となる。この場合、操作・表示パネル7には、図28における発射可能数表示部202の代りに、球貸し可能な球貸度数を表示する球貸度数表示部が設けられる。また、図28における例えば精算ボタン205の上方位置に球貸ボタンが設けられる。そして、遊技者がこの球貸ボタンを例えば1度数分だけ押した場合、メッセージ表示部201に「持球数に125個加算されました」というメッセージが表示され、このとき、残り度数は90というように球貸度数表示部に表示され、持球数表示部203には「125(個)」という表示がされる。これにより、遊技者は持球数=125個の範囲内で遊技が行える。また、持球数が少なくなった場合、遊技者は再度球貸ボタンを押すことによって、125個単位で持球数を増やすことができる。但し、球貸ボタンを押して持球数を増やすたびに、その分だけ球貸度数表示部に表示されている残り度数(即ち、挿入されている遊技カードの残額)は、漸次減ってゆく。
【0207】
本実施例によれば、以下のような効果がある。
以上のように本実施例のパチンコ機1は、制御装置(封入球制御装置102及び遊技制御装置101)が、遊技者が所定金額を前払いしたことを含む定額入金情報を受信する受信手段としての機能(ステップS411等)と、定額入金情報に基づいて、遊技者の利益としての持球数に無関係な遊技限度条件を設定する遊技限度設定手段としての機能(ステップS425等)と、定額入金情報を受信したことを必要条件として、定額入金情報に基づく遊技(即ち、定額遊技)を可能とし、設定された遊技限度条件が成立すると、定額入金情報に基づく遊技を不能として遊技を終了させる遊技制御手段としての機能(ステップS422、S50、S434、S57等)と、を備える。
【0208】
このため、遊技者が所定金額を前払いして得た定額遊技カードをカードユニット15に挿入して、この定額遊技カードの定額入金情報がパチンコ機1の制御装置で受信されると、定額遊技が可能となり、この定額遊技では、遊技者の利益としての持球数に無関係な遊技限度条件が設定され、この遊技限度条件(例えば、所定の発射可能最大数)の範囲内であれば、遊技者は追加の金額を投入することなく遊技が継続可能となる。したがって遊技者は、所定金額を前払いすることによって、所定限度内の遊技を安心して楽しむことができる。つまり、遊技者の想定する所定の金額で遊技を安心して楽しむことができる。また遊技者は、使用金額が決まっているので過度に遊技にのめり込むことがない。
【0209】
また、遊技場側は、所定の金額を遊技者の前払いで入手するので安定した売り上げを期待することができる。遊技場側は、最初に一定金額の売り上げがあり、出球の上限も設定されているので売り上げ及び利益を計算し易い。特に、本実施例では、遊技者の利益としての持球数が所定の打ち止め個数に到達すると、前記遊技限度条件が成立していなくても、前記定額入金情報に基づく遊技(即ち、定額遊技)を終了させる打ち止め制御手段としての機能(前述のステップS432等)を制御装置に設けている。このため、遊技者の持球数の上限が設定され、この上限を超えて持球数が増加することはないので、遊技場側はより安定した利益を期待することができ、売り上げ及び利益を特に計算し易い。
【0210】
また本実施例では、制御装置が、遊技者の利益としての持球数を記憶する持球数記憶手段(RAM153)と、定額入金情報に基づいて持球数の初期値を持球数記憶手段に設定する持球数初期値設定手段としての機能(ステップS424等)と、遊技球を発射する毎に持球数を減少させる持球数減算手段としての機能(ステップS443等)と、遊技領域に発射された遊技球による遊技結果として所定数の賞球が発生すると、当該賞球数に対応させて持球数を増加させる持球数加算手段としての機能(ステップS226、S463等)と、を備え、遊技限度条件が成立していない場合には、持球数の値がマイナスであっても、定額入金情報に基づく遊技を可能とする機能を有する。
【0211】
このため遊技者は、所定金額を前払いしたことによる定額遊技ではあるが、球貸しをして行う一般の遊技と同様な遊技感覚をもつことができる。即ち遊技者は、持球数がプラスであれば(厳密には、初期値よりも多ければ)勝っている、マイナスであれば負けているという、勝ち負けの感覚を十分に持って遊技を楽しむことができるので、適度な射幸心を演出することができる。また遊技者は、常に持球数がどれ位あるのか又はどれ位マイナスなのか(勝っているのか負けているのか)を容易に把握することができる。なお、一般の遊技であると前述したように、遊技カードの残り度数とゼロ以上の持球数が表示されるだけであるので、遊技で勝っているのか負けているのかは、球貸しに使ったカードの度数と現在の持球数とから計算をしないと分からない。しかし本例の定額遊技であると、持球数が初期値よりプラスであれば勝っている、マイナスであれば負けていることが明確であるので、持球数の表示から容易かつ瞬時に勝ち負けの状態が分かるという利点がある。
【0212】
また本実施例は、遊技限度条件が今後どの程度で成立するかが分かる情報(本例では、発射可能数の情報)を逐次更新して遊技者に対して報知する遊技進行度報知手段(操作・表示パネル7の発射可能数表示部202)を備える。
また、持球数に対応する情報を遊技者に対して報知する持球数報知手段(操作・表示パネル7の持球数表示部203)を備え、この持球数報知手段は、持球数の値がマイナスになると、持球数の値がマイナスであることを遊技者が識別できる態様で前記情報を報知する(図28(b))。
【0213】
また、定額入金情報に基づく遊技(定額遊技)の開始時に、定額入金情報に基づく遊技限度条件が成立するまでの範囲での遊技が可能であることを含む遊技説明情報を報知し、定額入金情報に基づく遊技の終了時に、定額入金情報に基づく遊技が終了することを含む遊技説明情報を報知する遊技説明報知手段(操作・表示パネル7、表示装置41)を備える。
このため、遊技の進行度や、持球数の状況(ひいては、勝ち負けの状況)、遊技の開始や終了及び遊技のルール等を遊技者によりわかりやすく認識させることができる。
【0214】
次に、本発明の変形例について説明する。
(1)上記実施例では、遊技終了時に持球数がゼロ以下のときには、定額遊技カードを回収して遊技者に返却しないようにしているが、これに限らない。例えば、手動による精算操作があって発射可能数がゼロでない場合には、持球数がゼロ以下でも、その時点の持球数のデータと発射可能数のデータを定額遊技カードに書き込んで遊技者に返却するようにし、返却された定額遊技カードを遊技者が別の遊技機のカードユニットに挿入すると、この別の遊技機で残りの発射可能数分の遊技が可能となる構成としてもよい。このようにすると、遊技者は定額遊技の途中で遊技機の台を変えることができる。
【0215】
(2)上記実施例では、遊技限度条件を発射可能数により定めているが、これに限るものではない。
例えば、遊技開始からの経過時間が所定の遊技可能最大時間に到達することを遊技限度条件としてもよい。この場合、例えば、定額遊技カードを挿入した時点(又は、カード挿入して最初の遊技球を発射した時点)からの経過時間が所定の遊技可能最大時間に到達したら遊技球の発射を不能とし、その後盤面球数がゼロになったら遊技中フラグをクリアし精算開始要求フラグをセットするなどの処理を実行して遊技を終了するプログラム構成とすればよい。また、操作・表示パネル7には、発射可能数表示部202の代りに、上記経過時間(又は遊技可能時間の残り時間)を時々刻々更新して表示する経過時間表示部を設けるとよい。また、休憩ボタン206が押されて休憩状態になったときには、上記経過時間の計時動作を止め、また、例えば休憩ボタン206が再度押されて休憩終了(遊技再開)となった時に残りの時間の計時動作を再開すればよい。また、遊技機の台を変えることができるようにした場合には、精算ボタン205が押されて行われる精算処理において経過時間の残り時間を定額遊技カードに書き込み、別の遊技機の台のカードユニットにそのカードを挿入すると残り時間分の遊技が可能となるよう構成すればよい。
また、発射可能数と遊技開始からの経過時間の両方で遊技限度条件を構成することもできる。即ち、発射数が所定の発射可能最大数に到達するか、或いは、遊技開始からの経過時間が所定の遊技可能最大時間に到達するか、どちらかの条件が成立すると、遊技限度条件が成立するといった態様でもよい。
【0216】
(3)上記実施例では、定額遊技ではない一般遊技も可能としているが、定額遊技しかできない定額遊技専用台であってもよい。
(4)上記実施例では、遊技制御装置及び封入球制御装置が、定額遊技を制御する本発明の制御装置として機能しているが、これに限るものではない。
例えば、定額遊技を制御する本発明の制御装置は、遊技制御装置又は封入球制御装置のうちの何れか一方でもよい。また遊技制御装置と封入球制御装置の機能を一つの制御装置で構成してもよい。
【0217】
(5)上記実施例では、定額遊技専用のカード(即ち定額遊技カード)によって定額遊技ができる構成としているが、これに限るものではない。
例えば、一般の遊技カードから定額遊技のための所定金額を減額することにより定額遊技ができるようにしてもよい。例えば、遊技者がカードユニットに一般の遊技カードを挿入し、カードユニット又は遊技機に設けられた定額遊技用のボタンを操作すると、挿入された遊技カードの残額から定額遊技のための所定金額が減額されるとともに、前述の定額入金情報がカードユニットから遊技機の制御装置に送信されて定額遊技が可能となる構成でもよい。或いは、カードユニットや遊技機に所定金額相当の現金を遊技者が直接投入することを必要条件として、遊技機の制御装置に前記定額入金情報が送信されて定額遊技が可能となる構成でもよい。
【0218】
(6)上記実施例では、遊技カードをカードユニットに挿入しているが、遊技機に遊技カードを挿入する態様(遊技機がカードユニットとしても機能する態様)でもよい。
(7)また、封入球式といっても、遊技球が全く遊技機本体の外部に出ない構成である必要はない。例えば、遊技球が一旦パチンコ機から外部に出て外部の研磨装置で研磨された後、パチンコ機内に再び戻されるような態様でもよい。
【0219】
(8)また、遊技球が循環使用されるといっても、遊技機内での完全な循環である必要はない。持球数を電子データで管理し、遊技機内部で発射位置に遊技球を供給できる機能があり、実物としての遊技球を遊技者が投入したり貸球として払い出したりしなくても、遊技球を発射して遊技を行える遊技機であれば、本発明を適用することができる。
【0220】
(9)また、遊技者の利益としての持球数は、持球数といっても、必ずしも遊技球の個数として扱われる必要はない。例えば、1ポイント、2ポイントといったようにポイントとして扱われ、持球数表示部203にも例えば「100ポイント」というように表示されてもよい。この場合、賞球の1個に対して1ポイントという関係に限らず、例えば賞球10個で1ポイント、賞球1個で10ポイントといったように、賞球数とポイント数の関係は各種の態様が有り得る。なお、「ポイント」でなく、「点」などの他の単位名称であってもよい。
【0221】
(10)上記実施例では、定額遊技に関する遊技者への報知では報知手段がメッセージ報知を主に行っているが、画面での報知に限らず、音、音声などの多様な報知演出を組み合わせてもよい。
(11)上記実施例では、遊技カードとしてカード会社が発行するプリペイドカードを使用しているが、遊技カード(記憶媒体)としては、遊技店が発行するハウスカードのようなものを使用してもよい。例えば、遊技店の会員に対してハウスカードを発行し、そこに貸球度数又は定額入金情報などを記憶して、一般の遊技や定額遊技を行うようにしてもい。また、ハウスカードには貯球データを格納可能にしてもい。
【0222】
(12)また上記実施例では、遊技限度条件が成立すると(例えば、発射数が所定の発射可能最大数になると)、遊技球の発射を不能にするとともに、遊技中フラグをクリアして、始動入賞を無効とし(ステップS620等)、さらには入賞による賞球の付与(持球数の加算)が行われないようにし(ステップS219等)、これら処理によって遊技を不能として定額遊技を終了させている。しかし、定額遊技終了時に「遊技を不能とする」具体的構成は、必ずしもこの態様に限られない。例えば、遊技球は発射できるが、入賞を無効にするだけでもよい。遊技球が発射できても、入賞が無効であれば、実質的に遊技ができないからである。但し、遊技者に遊技が終了したことを確実に分からせる、遊技終了したら遊技者を早めに退席させて遊技機の稼働率を高めるなどのためには、遊技球の発射を不能とすることが望ましい。また、不正な入賞などを確実に防止するためには、上記実施例のように、遊技球の発射を不能にし、かつ入賞を無効とする態様が優れている。なお、発射を不能とするには、既述したように、発射装置が機能しないようにする態様でもよいし、発射装置の発射位置に遊技球が供給されないようにする態様でもよい。
【0223】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0224】
1、1a乃至1n パチンコ機(封入球式遊技機)
7 操作・表示パネル(遊技進行度報知手段、持球数報知手段、遊技説明報知手段)
15、15a乃至15n カードユニット
20 遊技盤
25 第1始動入賞口
26 第2始動入賞口(普通電動役物(普電))
27 変動入賞装置
28〜31 一般入賞口
41 表示装置(遊技説明報知手段)
101 遊技制御装置(遊技制御手段、持球数加算手段)
102 封入球制御装置(受信手段、遊技限度設定手段、遊技制御手段、打ち止め制御手段、持球数初期値設定手段、持球数減算手段、持球数加算手段)
103 演出制御装置
104 発射制御装置
153 RAM(持球数記憶手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の発射位置に導かれた遊技球を遊技領域内に発射して遊技を行うことが可能であるとともに、前記遊技領域に発射された遊技球による遊技結果に応じて遊技者の利益を増加させる制御装置を備え、前記遊技領域を経た遊技球を回収して前記発射位置に再び導くことにより、遊技球を循環使用可能な遊技機において、
前記制御装置は、
遊技者が所定金額を前払いしたことを含む定額入金情報を受信する受信手段と、
前記定額入金情報に基づいて、前記遊技者の利益としての持球数に無関係な遊技限度条件を設定する遊技限度設定手段と、
前記受信手段により前記定額入金情報を受信したことを必要条件として、前記定額入金情報に基づく遊技を可能とし、前記遊技限度設定手段により設定された遊技限度条件が成立すると、前記定額入金情報に基づく遊技を不能として当該遊技を終了させる遊技制御手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記遊技限度条件は、
前記定額入金情報に基づく遊技開始からの経過時間が所定の遊技可能最大時間に到達すること、又は、前記定額入金情報に基づく遊技球の発射数が所定の発射可能最大数に到達すること、のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技限度条件が今後どの程度で成立するかが分かる情報を逐次更新して遊技者に報知する遊技進行度報知手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記遊技者の利益としての持球数が所定の打ち止め個数に到達すると、前記遊技限度条件が成立していなくても、前記定額入金情報に基づく遊技を不能として当該遊技を終了させる打ち止め制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記遊技者の利益としての持球数を記憶する持球数記憶手段と、
前記定額入金情報に基づいて前記持球数の初期値を前記持球数記憶手段に設定する持球数初期値設定手段と、
遊技球を発射する毎に前記持球数を減少させる持球数減算手段と、
前記遊技領域に発射された遊技球による遊技結果として所定数の賞球が発生すると、当該賞球数に対応させて前記持球数を増加させる持球数加算手段と、を備え、
前記遊技制御手段は、前記遊技限度設定手段により設定された遊技限度条件が成立していない場合には、前記持球数の値がマイナスであっても、前記定額入金情報に基づく遊技を継続可能することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の遊技機。
【請求項6】
前記持球数に対応する情報を遊技者に報知する持球数報知手段を備え、この持球数報知手段は、前記持球数の値がマイナスになると、前記持球数の値がマイナスであることを遊技者が識別できる態様で前記情報を報知することを特徴とする請求項5に記載の遊技機。
【請求項7】
前記定額入金情報に基づく遊技の開始時に、前記定額入金情報に基づく遊技限度条件が成立するまでの範囲での遊技が可能であることを含む遊技説明情報を遊技者に報知し、前記定額入金情報に基づく遊技の終了時に、前記定額入金情報に基づく遊技が終了することを含む遊技説明情報を遊技者に報知する遊技説明報知手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の遊技機。
【請求項1】
所定の発射位置に導かれた遊技球を遊技領域内に発射して遊技を行うことが可能であるとともに、前記遊技領域に発射された遊技球による遊技結果に応じて遊技者の利益を増加させる制御装置を備え、前記遊技領域を経た遊技球を回収して前記発射位置に再び導くことにより、遊技球を循環使用可能な遊技機において、
前記制御装置は、
遊技者が所定金額を前払いしたことを含む定額入金情報を受信する受信手段と、
前記定額入金情報に基づいて、前記遊技者の利益としての持球数に無関係な遊技限度条件を設定する遊技限度設定手段と、
前記受信手段により前記定額入金情報を受信したことを必要条件として、前記定額入金情報に基づく遊技を可能とし、前記遊技限度設定手段により設定された遊技限度条件が成立すると、前記定額入金情報に基づく遊技を不能として当該遊技を終了させる遊技制御手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記遊技限度条件は、
前記定額入金情報に基づく遊技開始からの経過時間が所定の遊技可能最大時間に到達すること、又は、前記定額入金情報に基づく遊技球の発射数が所定の発射可能最大数に到達すること、のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技限度条件が今後どの程度で成立するかが分かる情報を逐次更新して遊技者に報知する遊技進行度報知手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記遊技者の利益としての持球数が所定の打ち止め個数に到達すると、前記遊技限度条件が成立していなくても、前記定額入金情報に基づく遊技を不能として当該遊技を終了させる打ち止め制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記遊技者の利益としての持球数を記憶する持球数記憶手段と、
前記定額入金情報に基づいて前記持球数の初期値を前記持球数記憶手段に設定する持球数初期値設定手段と、
遊技球を発射する毎に前記持球数を減少させる持球数減算手段と、
前記遊技領域に発射された遊技球による遊技結果として所定数の賞球が発生すると、当該賞球数に対応させて前記持球数を増加させる持球数加算手段と、を備え、
前記遊技制御手段は、前記遊技限度設定手段により設定された遊技限度条件が成立していない場合には、前記持球数の値がマイナスであっても、前記定額入金情報に基づく遊技を継続可能することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の遊技機。
【請求項6】
前記持球数に対応する情報を遊技者に報知する持球数報知手段を備え、この持球数報知手段は、前記持球数の値がマイナスになると、前記持球数の値がマイナスであることを遊技者が識別できる態様で前記情報を報知することを特徴とする請求項5に記載の遊技機。
【請求項7】
前記定額入金情報に基づく遊技の開始時に、前記定額入金情報に基づく遊技限度条件が成立するまでの範囲での遊技が可能であることを含む遊技説明情報を遊技者に報知し、前記定額入金情報に基づく遊技の終了時に、前記定額入金情報に基づく遊技が終了することを含む遊技説明情報を遊技者に報知する遊技説明報知手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2013−81532(P2013−81532A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221933(P2011−221933)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]