遊技機
【課題】パンタグラフ式の伸縮機構を用いてギミックを昇降させる際に、ギミックの横振れを防止しつつ、上昇途中でギミックからの負荷が増大することによって上昇速度が減速することを効果的に防止する。
【解決手段】ベース部材31により最下降位置から最上昇位置までの間を所定の経路に沿って昇降自在に支持された第1の昇降部材40と、第1の昇降部材を昇降させる昇降駆動機構60と、最下降位置から最上昇位置までの間を昇降自在に支持され、且つ上昇途中にある第1の昇降部材が所定の中間高さ位置に達した時に該第1の昇降部材により引き上げ開始されて最上昇位置まで上昇する第2の昇降部材45と、を備え、昇降駆動機構は、第1の昇降部材を昇降させるパンタグラフ65と、パンタグラフをガイドする昇降ガイド機構50、70と、モータMと、パンタグラフを昇降させる昇降機構80と、を有した可動盤面部品を備える。
【解決手段】ベース部材31により最下降位置から最上昇位置までの間を所定の経路に沿って昇降自在に支持された第1の昇降部材40と、第1の昇降部材を昇降させる昇降駆動機構60と、最下降位置から最上昇位置までの間を昇降自在に支持され、且つ上昇途中にある第1の昇降部材が所定の中間高さ位置に達した時に該第1の昇降部材により引き上げ開始されて最上昇位置まで上昇する第2の昇降部材45と、を備え、昇降駆動機構は、第1の昇降部材を昇降させるパンタグラフ65と、パンタグラフをガイドする昇降ガイド機構50、70と、モータMと、パンタグラフを昇降させる昇降機構80と、を有した可動盤面部品を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤面上において種々動作することによって遊技進行上特徴的な演出効果を発揮するように構成された可動盤面部品を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機においては、遊技盤の盤面に入賞口、風車、図柄表示装置、電飾装置等の各種盤面部品を設けて遊技内容の多様性を図っている。例えば、遊技の進行中における入賞、その他の状況変化を契機として可動盤面部品を種々の方向に動作させることにより演出効果を高めている。
例えば、遊技盤に設けられた始動入賞口に遊技球が入賞すると、遊技盤中の図柄表示装置に表示される図柄が変動を開始し、所定時間経過後に停止した図柄が予め定めた大当たり図柄となった場合に大当たり状態となり、遊技者が大量の出球を獲得できるようになっている。このような遊技機では、遊技の興趣を高めるために様々な表示演出が行われる。
例えば、特許文献1、2、3には、パンタグラフ式の伸縮機構を用いてギミックを遊技盤面に沿って昇降させる構成が開示されている。
しかし、パンタグラフ式の伸縮機構によってギミックを昇降させる場合、パンタグラフの横方向への振れによるギミック動作の不安定化、ギミックからの負荷によるモータへの負荷増大という問題があった。特に、ギミックからパンタグラフに加わる負荷が一定でなく、パンタグラフの伸張によりギミックを上昇させる過程でギミックからの負荷が増大する場合には、モータへの負荷が急増してギミックの上昇速度がばらついたり、遅くなることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−229055号公報
【特許文献2】特開2010−57829号公報
【特許文献3】特開2011−15737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のようにパンタグラフ式の伸縮機構によりギミックを昇降させる従来技術にあっては、パンタグラフ自体の欠点である横方向への振れによるギミックの振れ発生と、ギミックからの負荷によってパンタグラフの上昇速度にバラツキが発生するという問題があった。
即ち、パンタグラフはギミックをより高く上昇させる際に有効であるが、収縮状態から伸長開始する際にモータから大きな負荷を必要とする点と、伸長した長さが長い程、横方向に揺れが発生してギミックの動作が不安定化するという問題を有している。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、パンタグラフ式の伸縮機構を用いてギミックを昇降させる際に、ギミックの横振れを防止しつつ、上昇途中でギミックからの負荷が増大することによって上昇速度が減速することを効果的に防止することができる可動盤面部品を備えた遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、ベース部材と、該ベース部材により最下降位置から最上昇位置までの間を所定の経路に沿って昇降自在に支持された第1の昇降部材と、該第1の昇降部材を昇降させる昇降駆動機構と、最下降位置から最上昇位置までの間を昇降自在に支持され、且つ上昇途中にある該第1の昇降部材が所定の高さ位置に達した時に該第1の昇降部材により引き上げ開始されて前記最上昇位置まで上昇する第2の昇降部材と、を備え、前記昇降駆動機構は、前記第1の昇降部材と係合してこれを昇降させるパンタグラフと、該パンタグラフが所定の昇降軌道に沿って伸縮するようにガイドする昇降ガイド機構と、モータと、該モータの駆動力を前記パンタグラフに伝達して昇降させる昇降機構と、を有した可動盤面部品を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、前記パンタグラフは複数のリンク片をピンにより連結した伸縮自在な構成を備え、前記昇降ガイド機構は、前記パンタグラフの背面に沿って立設されたガイド壁を備え、該ガイド壁には前記パンタグラフを構成する複数のピンのうちの垂直方向へ移動する中間ピンの少なくとも一つを垂直にガイドする長穴と、前記第1の昇降部材と前記第2の昇降部材に夫々固定されて互いにスライド自在に係合するスライダー片と、から構成されていることを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、前記昇降機構は、前記モータの駆動力により回転するピニオンギヤと、前記パンタグラフの昇降方向と直交する水平方向へ進退自在に支持され、且つ該ピニオンギヤにより進退駆動される2つのラックギヤ部材と、を備え、前記各ラックギヤ部材は、前記パンタグラフを構成する最下部の各リンク片に対して回動自在に連結されており、一方の前記ラックギヤ部材は、前記パンタグラフの横方向位置に配置されており、前記パンタグラフが最収縮状態にある時における一方の前記ラックギヤ部材と一方の前記最下部のリンク片とのなす角度は鈍角であり、前記パンタグラフが伸長する程に該角度が小さくなるように構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、最収縮状態にある前記パンタグラフが伸長を開始する段階では、該パンタグラフには前記第1の昇降部材からの荷重のみが加わっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、パンタグラフ式の伸縮機構を用いてギミックを昇降させる際に、ギミックの横振れを防止しつつ、上昇途中でギミックからの負荷が増大することによって上昇速度が減速することを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る遊技機の一例としてのパチンコ遊技機を示した全体正面図である。
【図2】各種盤面部品を搭載した遊技盤の正面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る可動盤面部品の初期状態を示す正面側斜視図である。
【図4】(a)(b)及び(c)は可動盤面部品の変形手順を示す正面図である。
【図5】可動盤面部品の正面側分解斜視図である。
【図6】可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す正面図である。
【図7】可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す正面図である。
【図8】可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す正面図である。
【図9】可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す正面側斜視図である。
【図10】可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す正面側斜視図である。
【図11】可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す正面側斜視図である。
【図12】可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す背面図である。
【図13】可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す背面図である。
【図14】可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す背面図である。
【図15】(a)乃至(c)は図14のX−X断面図である。
【図16】(a)乃至(c)は図14のY−Y断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る遊技機の一例としてのパチンコ遊技機を示した全体正面図であり、図2は各種盤面部品を搭載した遊技盤の正面図である。
遊技盤1の前面側には、ガラス板を支持したガラス枠2が開閉可能に取り付けられている。また遊技盤1の下部には遊技球を貯留する受け皿部3と、受け皿部内の遊技球を発射する発射レバー4が設けられている。また、受け皿部3の上面には遊技機用ボタンスイッチや、遊技球の購入ボタン、購入取り消しボタン(何れも図示せず)が設けられている。
遊技盤1の裏面には、液晶画面、主制御基板とサブ制御基板等、遊技の進行、演出に関わる裏部品を組み付けた合成樹脂製の機構板(何れも図示せず)が開閉自在に装着されている。遊技盤1における遊技領域1aの周囲には、発射レバー4を操作することにより発射装置から発射された遊技球を遊技領域1aの上部に案内したり、アウト口10に案内する外レールR1、及び内レールR2が設けられている。
遊技盤1のほぼ中央部には、中央が開口したセンター部材5が配置される。センター部材5の内部には図柄表示装置6が配置されている。図柄表示装置6は、例えば、液晶表示装置等の液晶表示パネルによって構成され、通常動作状態の時は、図示しない特別図柄画像が表示される。また、いわゆる特別遊技状態の時は、特別遊技状態であることを示す演出画像等が表示される。
【0010】
センター部材5の下部には本発明に係る可動盤面部品30が設けられている。可動盤面部品30は、後述するように最下降位置から最上昇位置までの間を所定の経路に沿って昇降自在に支持された第1の昇降部材40と、第1の昇降部材を昇降させる昇降駆動機構60と、第1の昇降部材の下方において最下降位置から最上昇位置までの間を昇降自在に配置され、且つ上昇途中にある第1の昇降部材が所定の中間高さ位置に達した時に第1の昇降部材により引き上げられて最上昇位置まで上昇する第2の昇降部材45と、を備えている。
センター部材5の下方には、図柄表示装置6の特別図柄を可変表示させるための可変入賞装置11が設けられている。また、図柄表示装置6の左方の盤面には、普通図柄表示装置16に表示される普通図柄を作動させるためのゲート12が設けられている。さらに可変入賞装置11の右方には、特別遊技状態の一つである大当たり状態のときに開成状態になる開閉扉を有する大入賞口13が設けられている。
可変入賞装置11は、図柄表示装置6を可変表示させるための左右一対の開閉爪(可動片)を有する電動式チューリップを備えて構成される。
また遊技盤1には普通入賞口14やアウト口10等が設けられていると共に、風車15や図示しない多数の遊技釘が突設されている。遊技釘は、遊技球の落下速度を遅くすると共に、落下方向を複雑に変化させて遊技進行上の興趣を高めている。
【0011】
普通図柄表示装置16に表示される普通図柄は、1個または複数個の図柄を変動表示可能であり、普通図柄始動口としてのゲート12が遊技球を検出することを条件に、その図柄が乱数制御等により所定時間可変して停止するようになっている。
また図柄表示装置6に表示される特別図柄は、停止図柄が予め定められた図柄の組合せ、例えば同一図柄の組合せとなった場合に大当たり状態となるように構成されている。また特別図柄は可変入賞装置の電動式チューリップの開成動作により遊技球が誘導される下始動口(図示していない)において遊技球を検出することを条件に乱数制御等により表示がスクロールする等、所定の変動パターンで所定時間変動(可変)して図柄で停止するようになっている。その際、有効ライン上に2個の停止図柄が同一となった場合に、リーチ状態が発生し、このリーチ状態において、有効ライン上の最後の停止図柄が既に停止している2個の図柄と同一となった場合に大当たり状態が発生する。なお、特別図柄としては、数字図柄、アルファベット図柄、キャラクター図柄等が使用可能である。
【0012】
次に、図3は本発明の一実施形態に係る可動盤面部品の初期状態を示す正面側斜視図であり、図4(a)(b)及び(c)は可動盤面部品の変形手順を示す正面図であり、図5は可動盤面部品の正面側分解斜視図であり、図6、図7、及び図8は可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す正面図であり、図9、図10、及び図11は可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す正面側斜視図であり、図12、図13、及び図14は可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す背面図であり、図15(a)乃至(c)は図14のX−X断面図であり、図16(a)乃至(c)は図14のY−Y断面図である。
【0013】
可動盤面部品30は、遊技盤、或いはセンター部材5に固定されるベース部材31と、ベース部材31により最下降位置から最上昇位置までの間を所定の経路に沿って昇降自在に支持された第1の昇降部材40と、ベース部材31に支持されて第1の昇降部材40を昇降させる昇降駆動機構60と、第1の昇降部材の後方(又は、前方)においてベース部材により最下降位置から最上昇位置までの間を昇降自在に支持され、且つ上昇途中にある第1の昇降部材が所定の中間高さ位置に達した時に第1の昇降部材により引き上げられて最上昇位置まで上昇する第2の昇降部材45と、各昇降部材を安定して昇降させる昇降ガイド機構50、70と、を概略備えている。
【0014】
第1の昇降部材40、及び第2の昇降部材45としては、例えば遊技の演出内容に係わる文字、符号、キャラクター等を象ったギミックが用いられている。第1の昇降部材40と第2の昇降部材45は、二本の並行な昇降ガイド棒46によって係合している。即ち、第1の昇降部材40の上部背面には二本の昇降ガイド棒46の上端部を所定の間隔で固定する固定部材47が固定されると共に、第2の昇降部材45の上部背面には二本の昇降ガイド棒46をスライド自在に支持するスライド穴48aを有したスライド部材48が固定されている。また、二本の昇降ガイド棒46の下端部間は板状のストッパ49により連結されている。固定部材47は、昇降駆動機構60を構成するパンタグラフ65と連結されて上下方向への駆動力を受けるため、第1の昇降部材40、及び昇降ガイド棒46は、昇降駆動機構60によって直接昇降駆動される。第1の昇降部材40が最下降位置から上昇する過程において、ストッパ49がスライド部材48の高さ位置に到達する前段階では、第1の昇降部材は第2の昇降部材45と関係なく単独で上昇する一方で、ストッパ49がスライド部材48の下面に係合した時点以降はストッパ49、昇降ガイド棒46、固定部材47を介して第1の昇降部材が第2の昇降部材45を引き上げる。
【0015】
符号50は第1の昇降部材40の昇降軌道を安定させるための昇降ガイド機構であり、符号52はベース部材31の前面側に固定される中間ベース部材である。中間ベース部材52には固定側ガイドレール52aが設けられており、この固定側ガイドレール52aによって第1のスライダー片51aが昇降自在、且つ抜け落ち不能に支持され、第1のスライダー片51aによって第2のスライダー片51bが昇降自在、且つ抜け落ち不能に支持されている。第2のスライダー片51bは固定部材47(或いは、第1の昇降部材)に固定されているため、固定側ガイドレール52a、及び第2のスライダー片51bとの協働により、第1の昇降部材40の昇降軌道を安定させることができ、その結果として第2の昇降部材45の昇降軌道をも安定させることができる。
第1及び第2のスライダー片51a、51b、及び固定側ガイドレール52aは、昇降ガイド機構50を構成している。
なお、符号53はハーネスガイドであり、各昇降部材に搭載されたプリント基板に対して図示しない電源部からの電力を供給するハーネスをガイドする部材である。
【0016】
昇降駆動機構60は、第1の昇降部材40と係合してこれを昇降させるパンタグラフ65と、パンタグラフ65が所定の昇降軌道に沿って伸縮するようにガイドする昇降ガイド機構70と、モータMと、モータMの駆動力をパンタグラフ65に伝達して昇降させるラックアンドピニオン機構(昇降機構)80と、を有する。
ラックアンドピニオン機構(昇降機構)80は、第1のラックアンドピニオン81と、第2のラックアンドピニオン90と、を備えている。
モータMは、ベース部材31に固定される保持部材61によって支持されると共に、モータMの出力軸一体化された出力ギヤ62はベース部材31に設けた軸支部31aにより回転自在に軸支されたピニオンギヤ63の大径ギヤ部63aと噛合してこれを回転駆動する。大径ギヤ部63aには同軸状に小径ギヤ部63bが一体化されている。
【0017】
第1のラックアンドピニオン81は、パンタグラフの横方向に配置されている。
第1のラックアンドピニオン81は、ピニオンギヤ63(小径ギヤ部63b)と、小径ギヤ部63bと噛合する第1のラックギヤ部82aを上辺に有した第1のラックギヤ部材82と、第1のラックギヤ部材82を一方向(パンタグラフ上昇方向)に付勢する第1の弾性部材83と、を有しており、第1のラックギヤ部材82の一端部はパンタグラフ65の一方の最下部リンク片66aと回動自在に連結している。また、ベース部材31に固定されたガイドレール片84aは第1のラックギヤ部材82に固定されたスライダー84bを水平方向(パンタグラフの昇降方向と直交する方向)へスライド自在にガイドしている。
このため、モータMの駆動力がピニオンギヤ63を介して第1のラックギヤ部材82に伝達されて第1のラックギヤ部材を水平方向へ進退させ、第1のラックギヤ部材の水平方向への移動によってパンタグラフ65の一方の最下部リンク片が回動する。
【0018】
第1の弾性部材83は、パンタグラフを伸長(上昇)させる方向へ常時付勢する手段であり、第1のラックギヤ部材82は矢印イで示す方向へ付勢されている。第1の弾性部材83は、モータMがパンタグラフを伸長させる際の補助手段である。
また、第1のラックギヤ部材82の移動経路にはフォトインタラプタ(センサ)64を配置して、第1のラックギヤ部材の位置を検出することにより、パンタグラフ35が収縮位置にあるか伸長位置にあるかを判定する。
【0019】
次に、第2のラックアンドピニオン90は、第1のラックギヤ部材82の下辺に設けた第2のラックギヤ部82bと噛合するように、ベース部材の軸支部31bによって回転自在に軸支されたピニオンギヤ91と、ピニオンギヤ91と噛合するラックギヤ部92aを上辺に有した第2のラックギヤ部材92と、第2のラックギヤ部材92を一方向(パンタグラフ上昇方向)に付勢する第2の弾性部材93と、を有しており、第2のラックギヤ部材92の一端部はパンタグラフ65の他方の最下部リンク片66bと回動自在に連結している。ベース部材31に固定されたガイドレール片94aは第2のラックギヤ部材92に固定されたスライダー94bを水平方向(パンタグラフの昇降方向と直交する方向)へスライド自在にガイドしている。このため、第2のラックギヤ部材の水平方向への移動によってパンタグラフ65の他方の最下部リンク片が回動する。
第2の弾性部材93は、パンタグラフを収縮(下降)させる方向へ常時付勢する手段であり、第2のラックギヤ部材92は矢印ロで示す方向へ付勢されている。第2の弾性部材93は、モータMがパンタグラフを伸長させる際の補助手段である。
モータMが第1のラックギヤ部材82を水平方向へ進退させると、ピニオンギヤ91が回転し、第2のラックギヤ部材92を水平方向へ進退させる。モータからの駆動力が伝達されない場合には第2の弾性部材93の付勢によって第2のラックギヤ部材92は矢印ロで示す方向へ退避している。
【0020】
パンタグラフ65は、複数本の細長いリンク片66と、各リンク片66の中間部を回動自在に連結する中間ピン67と、各リンク片の端部間を回動自在に連結する端部ピン68と、を有している。最上部の中間ピン67aは固定部材47により軸支されており、パンタグラフの昇降駆動力を第1の昇降部材40に伝達する。一方の最下端のリンク片66aの端部は第1のラックギヤ部材82の一端部に設けた挿通穴82cに対して端部ピン68によって回動自在に連結されている。また、他方の最下端のリンク片66bの端部は第2のラックギヤ部材92の一端部に設けた挿通穴92bに対して端部ピン68によって回動自在に連結されている。
このため、モータMがパンタグラフ65を下降させる方向へ駆動している時には各弾性部材83、93の付勢力に抗して各ラックギヤ部材82、92は、夫々矢印イ、ロとは反対の方向へ移動して退避しているため、最下端の各リンク片66a、66bの下端部は何れも外側へ向けて移動しており、パンタグラフは収縮した状態にある。
【0021】
また、モータMがパンタグラフ65を伸長させる方向へ駆動している時には、各弾性部材83、93の付勢力を補助力として各ラックギヤ部材82、92は夫々矢印イ、ロで示す方向へ移動するため、最下端の各リンク片66a、66bの下端部は何れも内側へ向けて移動し、パンタグラフは伸長した状態となる。
パンタグラフ65が所定の昇降軌道に沿って伸縮するようにガイドする昇降ガイド機構70は、ベース部材31の縦壁(ガイド壁)に設けた上下方向へ延びる長穴71であり、この長穴71には少なくとも一つの中間ピン67(本例では、最下部の中間ピン)が上下動自在に嵌合することにより、パンタグラフが横方向へばたついたり、垂直な昇降軌道からずれることを防止する。
【0022】
次に、以上の構成を備えた可動盤面部品30における各昇降部材の昇降動作について図6乃至図16に基づいて説明する。
図1乃至図3、及び図4(a)には各昇降部材(パンタグラフ)が最下降位置にある状態が示されている。
各昇降部材40、45が最下降位置にある時に昇降駆動機構60は、図6(正面図)、図9(斜視図)、図12(背面図)に示した初期状態にある。即ち、各昇降部材40、45が最下降位置にある時にはパンタグラフ35が最も収縮した状態にあり、この時に各ラックギヤ部材82、92は、各弾性部材83、93に抗して最外側位置にある。各ラックギヤ部材82、92が最外側位置にあることにより、各ラックギヤ部材82、92と夫々回動自在に連結されたパンタグラフを構成する最下部のリンク片66a、66bは、下端部を最外側に位置させている。このため、他のリンク片66は全て最下降位置にある。
この時、最上部の中間ピン67a、固定部材47を介してパンタグラフ65と連結された第1の昇降部材40は最下降位置にあり、第2の昇降部材45も最下降位置にある。
また、この時、第1のラックギヤ部材82の端部がフォトインタラプタ64を遮蔽しているため、図示しない制御手段はパンタグラフ65が最下降位置にあることを知ることができる。
【0023】
次に、第1の昇降部材40が中間位置にあり、且つ第2の昇降部材45が最下降位置にある時に昇降駆動機構60は、図7(正面図)、図10(斜視図)、図13(背面図)に示した中間状態にある。
即ち、図6などに示した初期状態においてモータMを正転開始させると、駆動ギヤ62、ピニオンギヤ63が夫々矢印方向へ回転して第1のラックギヤ部材82を第1の弾性部材83の付勢方向と同じ方向である矢印イ方向へ移動させる。第1のラックギヤの第2のラックギヤ部82bと噛合するピニオンギヤ91を介して連結された第2のラックギヤ部材92も第2の弾性部材93の付勢方向と同じ方向である矢印ロ方向へ移動する。このため、最下部のリンク片66a、66bの下端部は等距離ずつ内側へ移動開始し、パンタグラフは全体として上向きに伸長を開始する。
この中間段階では、パンタグラフの上部と連結した固定部材47によって第1の昇降部材40だけが上昇させられており、固定部材47から下方へ延びる二本の昇降ガイド棒46はスライド部材48のスライド穴48aを通過して上昇する。昇降ガイド棒46の下端に固定されたストッパ49がスライド部材48の下面に当たってこれを引き上げるまでは第1の昇降部材45は上昇を開始しない。
第1のラックギヤ部材82が移動を開始してもその端部がフォトインタラプタ64を遮蔽している限り、制御手段はパンタグラフが最上昇位置に達した旨の判定を行わない。
【0024】
次に、各昇降部材40、45が最上昇位置に達した時に昇降駆動機構60は、図8(正面図)、図11(斜視図)、図14(背面図)に示した最上昇状態にある。
即ち、図7などに示した中間状態においてモータMを更に正転させると、第1のラックギヤ部材82は更に矢印イ方向へ移動し、第2のラックギヤ部材92も更に矢印ロ方向へ移動し、パンタグラフは上限に達する。
中間段階からパンタグラフが更に上昇すると、ストッパ49がスライド部材48の下面を引き上げるため、第2の昇降部材45が第1の昇降部材40と共に上昇を開始し、パンタグラフが図7等に示した上限位置に達した時点で両昇降部材40、45は上昇を停止する。この時、第1の昇降部材40は、図2中に鎖線で示したように図柄表示装置6の中央部を越えた上部にまで達しており、第2の昇降部材45は第1の昇降部材の直下に連続して配置された状態となっている。
【0025】
第1のラックギヤ部材82が矢印イ方向の限界位置に達した時に、フォトインタラプタ64から第1のラックギヤ部材の端部が離脱するため、制御手段はパンタグラフが最上昇位置に達した旨を判定する。なお、パンタグラフ65の昇降動作を直接フォトインタラプタによって検知する方が第1のラックギヤの動作からパンタグラフの動作を判定するよりは直接的であるように思えるが、万が一パンタグラフががたついて昇降動作に遅延が発生した場合に、昇降部材の動作状態を正しく判定できなくなる。このため、第1のラックギヤの動作に基づいて判定している。なお、パンタグラフの昇降動作を直接検知するフォトインタラプタを併用しても良い。
本発明では、パンタグラフを伸長させる際におけるモータMの正転出力に対する抵抗となる両昇降部材40、45等の重量、パンタグラフからの抵抗等を考慮して、各ラックギヤ部材82、92を弾性部材83、93によって補助付勢している。即ち、各弾性部材83、93は、パンタグラフを伸長させる方向へ向けて各ラックギヤ部材82、92を水平に付勢している。
又、パンタグラフ65に対して第1のラックアンドピニオン81を横方向に配置していることから可動盤面部品の高さ方向寸法、厚さ方向寸法を低減することができる。
【0026】
また、図12に示したパンタグラフの収縮(下降)状態では、第1のラックギヤ部材82の長手方向に沿った直線L1と、最下部のリンク片66aの長手方向に沿った直線L2との成す角度θ1は大きな鈍角となっているため、モータMをパンタグラフ上昇方向へ駆動することにより第1のラックギヤ部材82を第1の弾性部材83の付勢方向である矢印イ方向へ移動させる際に、第1の昇降部材40の重量を含めてパンタグラフ側から大きな負荷が加わる。このため、モータの始動時の負荷が大きくなるように見えるが、図7等に示した中間段階に達するまでは第1の昇降部材40だけが上昇するに過ぎず、第2の昇降部材45からの重量負荷は加わらないため、各弾性部材83、93による補助力を併せてモータの負荷を小さくすることができ、スムーズに上昇動作を開始することができる。
つまり、パンタグラフが最下降位置(最収縮状態)にある時には、最下部のリンク片66aとラックギヤ部材82との間の角度θ1が大きな鈍角となっているが、パンタグラフが伸長するに連れてこの角度θ1が小さくなるように構成されている。従って、最下降位置にある時のパンタグラフの姿勢を可能な限り低くしても上昇開始時の負荷が過大になることを防止できる、という利点を提供することができる。
次に、図13に示した中間段階では、第1のラックギヤ部材82の長手方向に沿った直線L1と、最下部のリンク片66aの長手方向に沿った直線L2との成す角度θ2は角度θ1よりも大幅に小さくなっているため、パンタグラフからの抵抗が既に小さくなっており、第2の昇降部材45からの荷重を加味しても小さい出力によって各ラックギヤ部材をパンタグラフ上昇方向へ移動させてパンタグラフをスムーズに上昇させることができる。
【0027】
次に、以上の構成を備えた本発明の可動盤面部品の昇降動作について説明する。
まず、図15、図16の断面図に基づいて各昇降部材を順次上昇させる手順について説明する。
図15(a)、図16(a)の初期状態では第1及び第2の昇降部材40、45は共に最下降位置にあるため、図1中に示すようにセンター部材5の開口の下縁から上部が僅かに突出した状態にある。次いで、モータMを正転方向へ駆動開始するとパンタグラフ65が伸長(上昇)を開始して図15(b)、図16(b)の中間段階に移行する。
第1の昇降部材40が最下降位置から上昇する過程において、ストッパ49がスライド部材48の高さ位置に到達する前段階では、第1の昇降部材は第2の昇降部材45と関係なく単独で上昇する一方で、ストッパ49がスライド部材48の下面に係合した時点以降はストッパ49、昇降ガイド棒46、固定部材47を介して第1の昇降部材が第2の昇降部材45を引き上げる。
第1の昇降部材が第2の昇降部材45と関係なく単独で上昇する期間中は、モータMに対する負荷が小さくなり、モータの耐久性の低下を防止することができる。また、上昇開始当初は、第1のラックギヤ部材82の長手方向に沿った直線L1と、最下部のリンク片66aの長手方向に沿った直線L2との成す角度θ1が大きな鈍角となっているため、モータへの負荷が増すように見えるが、第2の昇降部材45からの負荷がないため、モータは小さい出力でパンタグラフを伸長開始させることができる。
【0028】
次いで、中間段階から図15(c)、図16(c)に示した最上昇段階に達する過程では、ストッパ49がスライド部材48を係止しながら上昇するため、モータに加わる負荷が増大するが、この段階では第1のラックギヤ部材82の長手方向に沿った直線L1と、最下部のリンク片66aの長手方向に沿った直線L2との成す角度θ2は角度θ1よりも大幅に小さくなっているため、パンタグラフからの抵抗が既に小さくなっている。このため、弾性部材による付勢力との相乗効果により、モータに過大な負荷を与えることなくスピーディーな上昇動作を実現することができる。
つまり、パンタグラフが収縮状態から伸長状態に移行する過程における、昇降部材からパンタグラフに加わる負荷は一定ではなく、当初小さく、その後増大する。このため、モータの始動初期においてパンタグラフのリンク片からの負荷が大きかったとしても昇降部材からの荷重が小さいため、これらの初期負荷に対応した出力を有したモータを採用すれば可動盤面部品を耐久性よく長期的に駆動することが可能となる。
【0029】
昇降部材40、45を下降させる際には、モータMへの通電を遮断してパンタグラフを上昇させる方向への力を解消することによりパンタグラフは収縮し、各昇降部材は初期位置に下降して行く。パンタグラフの収縮時には弾性部材83、93からの抵抗が加わるが、弾性部材の付勢力に抗しながら各昇降部材、各リンク片等の重量により下降する。各昇降部材を迅速に下降させるためには、各昇降部材の重量を各弾性部材との兼ね合いである程度大きくする必要があり、各昇降部材の重量増はパンタグラフの伸長時には大きな抵抗となる。しかし、本発明では、パンタグラフの伸長初期には第1の昇降部材からの負荷しか加わらない構成としたので、小さい出力で伸長させることができる。
従来パンタグラフが伸長する過程で加わる負荷が増大すると左右へ揺れを起こし易かったが、本発明ではこのような不具合を解消することができる。
【0030】
また、パンタグラフを構成する2本の最下部リンク片66a、66bを横方向外側へ移動させるために夫々第1のラックアンドピニオン81と、第2のラックアンドピニオン90を配置し、弾性部材83、93によってパンタグラフ上昇方向へ補助付勢するようにしたので、出力の小さいモータを使用してコストを低減し、小型化することができる。
更に本発明ではパンタグラフ65の昇降動作を安定させる昇降ガイド機構50、70を備えているため、従来のパンタグラフの致命的な欠点であった動作中における横方向への揺れと、それに起因した動作のばたつき、昇降動作に要する時間のバラツキという不具合を解消することができる。即ち、まず昇降ガイド機構50は各昇降部材40、45を垂直な軌道に沿って案内するように構成したので、昇降部材自体の軌道が安定する。また、第1の昇降部材40と連結したパンタグラフから横揺れが伝搬したとしてもその影響を最小限に留めて各昇降部材は昇降動作することができる。次に、昇降ガイド機構70では、パンタグラフの中間ピン67の一つを上下方向へガイドする長穴71をベース部材に設けたことにより、モータの出力が一定であっても加重の変化に対応しつつ迅速に上昇させることができる。
【0031】
パンタグラフは一般にギミックを長い距離上昇させる手段として有効であるが、収縮状態から伸長開始する際にモータから大きな負荷を必要とする点と、伸長した距離が長い程、横方向に揺れが発生してギミックの動作が不安定化するという問題を有している。本発明では、パンタグラフの伸長、及び収縮に要する速度を迅速化しながらこのような不具合を共に解消することができる。
また、各種部品のレイアウトの結果として図柄表示装置6を奥寄りに配置することができた場合には図柄表示装置の前方に空間を確保することができるが、この空間を利用して可動盤面部品30を配置することが可能となる。可動盤面部品30は、2つの昇降部材を前後位置関係で配置し、しかもパンタグラフの横方向、下方向に、パンタグラフの厚みの範囲内でラックアンドピニオン機構を配置したので、薄型化が可能となり、狭い収納空間内に収納することができる。
【符号の説明】
【0032】
1…遊技盤、1a…遊技領域、2…ガラス枠、3…皿部、4…発射レバー、5…センター部材、10…アウト口、11…可変入賞装置、12…ゲート、13…大入賞口、14…普通入賞口、15…風車、16…普通図柄表示装置、30…可動盤面部品、31…ベース部材、31a…軸支部、31b…軸支部、35…パンタグラフ、40…昇降部材、45…昇降部材、46…昇降ガイド棒、47…固定部材、48…スライド部材、48a…スライド穴、49…ストッパ、50、70…昇降ガイド機構、51a…スライダー片、51b…スライダー片、52…中間ベース部材、52a…固定側ガイドレール、60…昇降駆動機構、61…保持部材、62…出力ギヤ、63…ピニオンギヤ、63a…大径ギヤ部、63b…小径ギヤ部、64…フォトインタラプタ、65…パンタグラフ、66…リンク片、66a…リンク片、66b…リンク片、67…中間ピン、67a…中間ピン、68…端部ピン、70…昇降ガイド機構、71…長穴、80…ラックアンドピニオン機構、81…第1のラックアンドピニオン、82…ラックギヤ部材、82a…ラックギヤ部、82b…ラックギヤ部、82c…挿通穴、83…弾性部材、84a…ガイドレール片、84b…スライダー、90…第2のラックアンドピニオン、91…ピニオンギヤ、92…ラックギヤ部材、92a…ラックギヤ部、92b…挿通穴、93…弾性部材、94a…ガイドレール片、94b…スライダー
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤面上において種々動作することによって遊技進行上特徴的な演出効果を発揮するように構成された可動盤面部品を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機においては、遊技盤の盤面に入賞口、風車、図柄表示装置、電飾装置等の各種盤面部品を設けて遊技内容の多様性を図っている。例えば、遊技の進行中における入賞、その他の状況変化を契機として可動盤面部品を種々の方向に動作させることにより演出効果を高めている。
例えば、遊技盤に設けられた始動入賞口に遊技球が入賞すると、遊技盤中の図柄表示装置に表示される図柄が変動を開始し、所定時間経過後に停止した図柄が予め定めた大当たり図柄となった場合に大当たり状態となり、遊技者が大量の出球を獲得できるようになっている。このような遊技機では、遊技の興趣を高めるために様々な表示演出が行われる。
例えば、特許文献1、2、3には、パンタグラフ式の伸縮機構を用いてギミックを遊技盤面に沿って昇降させる構成が開示されている。
しかし、パンタグラフ式の伸縮機構によってギミックを昇降させる場合、パンタグラフの横方向への振れによるギミック動作の不安定化、ギミックからの負荷によるモータへの負荷増大という問題があった。特に、ギミックからパンタグラフに加わる負荷が一定でなく、パンタグラフの伸張によりギミックを上昇させる過程でギミックからの負荷が増大する場合には、モータへの負荷が急増してギミックの上昇速度がばらついたり、遅くなることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−229055号公報
【特許文献2】特開2010−57829号公報
【特許文献3】特開2011−15737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のようにパンタグラフ式の伸縮機構によりギミックを昇降させる従来技術にあっては、パンタグラフ自体の欠点である横方向への振れによるギミックの振れ発生と、ギミックからの負荷によってパンタグラフの上昇速度にバラツキが発生するという問題があった。
即ち、パンタグラフはギミックをより高く上昇させる際に有効であるが、収縮状態から伸長開始する際にモータから大きな負荷を必要とする点と、伸長した長さが長い程、横方向に揺れが発生してギミックの動作が不安定化するという問題を有している。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、パンタグラフ式の伸縮機構を用いてギミックを昇降させる際に、ギミックの横振れを防止しつつ、上昇途中でギミックからの負荷が増大することによって上昇速度が減速することを効果的に防止することができる可動盤面部品を備えた遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、ベース部材と、該ベース部材により最下降位置から最上昇位置までの間を所定の経路に沿って昇降自在に支持された第1の昇降部材と、該第1の昇降部材を昇降させる昇降駆動機構と、最下降位置から最上昇位置までの間を昇降自在に支持され、且つ上昇途中にある該第1の昇降部材が所定の高さ位置に達した時に該第1の昇降部材により引き上げ開始されて前記最上昇位置まで上昇する第2の昇降部材と、を備え、前記昇降駆動機構は、前記第1の昇降部材と係合してこれを昇降させるパンタグラフと、該パンタグラフが所定の昇降軌道に沿って伸縮するようにガイドする昇降ガイド機構と、モータと、該モータの駆動力を前記パンタグラフに伝達して昇降させる昇降機構と、を有した可動盤面部品を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、前記パンタグラフは複数のリンク片をピンにより連結した伸縮自在な構成を備え、前記昇降ガイド機構は、前記パンタグラフの背面に沿って立設されたガイド壁を備え、該ガイド壁には前記パンタグラフを構成する複数のピンのうちの垂直方向へ移動する中間ピンの少なくとも一つを垂直にガイドする長穴と、前記第1の昇降部材と前記第2の昇降部材に夫々固定されて互いにスライド自在に係合するスライダー片と、から構成されていることを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、前記昇降機構は、前記モータの駆動力により回転するピニオンギヤと、前記パンタグラフの昇降方向と直交する水平方向へ進退自在に支持され、且つ該ピニオンギヤにより進退駆動される2つのラックギヤ部材と、を備え、前記各ラックギヤ部材は、前記パンタグラフを構成する最下部の各リンク片に対して回動自在に連結されており、一方の前記ラックギヤ部材は、前記パンタグラフの横方向位置に配置されており、前記パンタグラフが最収縮状態にある時における一方の前記ラックギヤ部材と一方の前記最下部のリンク片とのなす角度は鈍角であり、前記パンタグラフが伸長する程に該角度が小さくなるように構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、最収縮状態にある前記パンタグラフが伸長を開始する段階では、該パンタグラフには前記第1の昇降部材からの荷重のみが加わっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、パンタグラフ式の伸縮機構を用いてギミックを昇降させる際に、ギミックの横振れを防止しつつ、上昇途中でギミックからの負荷が増大することによって上昇速度が減速することを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る遊技機の一例としてのパチンコ遊技機を示した全体正面図である。
【図2】各種盤面部品を搭載した遊技盤の正面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る可動盤面部品の初期状態を示す正面側斜視図である。
【図4】(a)(b)及び(c)は可動盤面部品の変形手順を示す正面図である。
【図5】可動盤面部品の正面側分解斜視図である。
【図6】可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す正面図である。
【図7】可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す正面図である。
【図8】可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す正面図である。
【図9】可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す正面側斜視図である。
【図10】可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す正面側斜視図である。
【図11】可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す正面側斜視図である。
【図12】可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す背面図である。
【図13】可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す背面図である。
【図14】可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す背面図である。
【図15】(a)乃至(c)は図14のX−X断面図である。
【図16】(a)乃至(c)は図14のY−Y断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る遊技機の一例としてのパチンコ遊技機を示した全体正面図であり、図2は各種盤面部品を搭載した遊技盤の正面図である。
遊技盤1の前面側には、ガラス板を支持したガラス枠2が開閉可能に取り付けられている。また遊技盤1の下部には遊技球を貯留する受け皿部3と、受け皿部内の遊技球を発射する発射レバー4が設けられている。また、受け皿部3の上面には遊技機用ボタンスイッチや、遊技球の購入ボタン、購入取り消しボタン(何れも図示せず)が設けられている。
遊技盤1の裏面には、液晶画面、主制御基板とサブ制御基板等、遊技の進行、演出に関わる裏部品を組み付けた合成樹脂製の機構板(何れも図示せず)が開閉自在に装着されている。遊技盤1における遊技領域1aの周囲には、発射レバー4を操作することにより発射装置から発射された遊技球を遊技領域1aの上部に案内したり、アウト口10に案内する外レールR1、及び内レールR2が設けられている。
遊技盤1のほぼ中央部には、中央が開口したセンター部材5が配置される。センター部材5の内部には図柄表示装置6が配置されている。図柄表示装置6は、例えば、液晶表示装置等の液晶表示パネルによって構成され、通常動作状態の時は、図示しない特別図柄画像が表示される。また、いわゆる特別遊技状態の時は、特別遊技状態であることを示す演出画像等が表示される。
【0010】
センター部材5の下部には本発明に係る可動盤面部品30が設けられている。可動盤面部品30は、後述するように最下降位置から最上昇位置までの間を所定の経路に沿って昇降自在に支持された第1の昇降部材40と、第1の昇降部材を昇降させる昇降駆動機構60と、第1の昇降部材の下方において最下降位置から最上昇位置までの間を昇降自在に配置され、且つ上昇途中にある第1の昇降部材が所定の中間高さ位置に達した時に第1の昇降部材により引き上げられて最上昇位置まで上昇する第2の昇降部材45と、を備えている。
センター部材5の下方には、図柄表示装置6の特別図柄を可変表示させるための可変入賞装置11が設けられている。また、図柄表示装置6の左方の盤面には、普通図柄表示装置16に表示される普通図柄を作動させるためのゲート12が設けられている。さらに可変入賞装置11の右方には、特別遊技状態の一つである大当たり状態のときに開成状態になる開閉扉を有する大入賞口13が設けられている。
可変入賞装置11は、図柄表示装置6を可変表示させるための左右一対の開閉爪(可動片)を有する電動式チューリップを備えて構成される。
また遊技盤1には普通入賞口14やアウト口10等が設けられていると共に、風車15や図示しない多数の遊技釘が突設されている。遊技釘は、遊技球の落下速度を遅くすると共に、落下方向を複雑に変化させて遊技進行上の興趣を高めている。
【0011】
普通図柄表示装置16に表示される普通図柄は、1個または複数個の図柄を変動表示可能であり、普通図柄始動口としてのゲート12が遊技球を検出することを条件に、その図柄が乱数制御等により所定時間可変して停止するようになっている。
また図柄表示装置6に表示される特別図柄は、停止図柄が予め定められた図柄の組合せ、例えば同一図柄の組合せとなった場合に大当たり状態となるように構成されている。また特別図柄は可変入賞装置の電動式チューリップの開成動作により遊技球が誘導される下始動口(図示していない)において遊技球を検出することを条件に乱数制御等により表示がスクロールする等、所定の変動パターンで所定時間変動(可変)して図柄で停止するようになっている。その際、有効ライン上に2個の停止図柄が同一となった場合に、リーチ状態が発生し、このリーチ状態において、有効ライン上の最後の停止図柄が既に停止している2個の図柄と同一となった場合に大当たり状態が発生する。なお、特別図柄としては、数字図柄、アルファベット図柄、キャラクター図柄等が使用可能である。
【0012】
次に、図3は本発明の一実施形態に係る可動盤面部品の初期状態を示す正面側斜視図であり、図4(a)(b)及び(c)は可動盤面部品の変形手順を示す正面図であり、図5は可動盤面部品の正面側分解斜視図であり、図6、図7、及び図8は可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す正面図であり、図9、図10、及び図11は可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す正面側斜視図であり、図12、図13、及び図14は可動盤面部品の変形に伴う昇降駆動機構の動作を示す背面図であり、図15(a)乃至(c)は図14のX−X断面図であり、図16(a)乃至(c)は図14のY−Y断面図である。
【0013】
可動盤面部品30は、遊技盤、或いはセンター部材5に固定されるベース部材31と、ベース部材31により最下降位置から最上昇位置までの間を所定の経路に沿って昇降自在に支持された第1の昇降部材40と、ベース部材31に支持されて第1の昇降部材40を昇降させる昇降駆動機構60と、第1の昇降部材の後方(又は、前方)においてベース部材により最下降位置から最上昇位置までの間を昇降自在に支持され、且つ上昇途中にある第1の昇降部材が所定の中間高さ位置に達した時に第1の昇降部材により引き上げられて最上昇位置まで上昇する第2の昇降部材45と、各昇降部材を安定して昇降させる昇降ガイド機構50、70と、を概略備えている。
【0014】
第1の昇降部材40、及び第2の昇降部材45としては、例えば遊技の演出内容に係わる文字、符号、キャラクター等を象ったギミックが用いられている。第1の昇降部材40と第2の昇降部材45は、二本の並行な昇降ガイド棒46によって係合している。即ち、第1の昇降部材40の上部背面には二本の昇降ガイド棒46の上端部を所定の間隔で固定する固定部材47が固定されると共に、第2の昇降部材45の上部背面には二本の昇降ガイド棒46をスライド自在に支持するスライド穴48aを有したスライド部材48が固定されている。また、二本の昇降ガイド棒46の下端部間は板状のストッパ49により連結されている。固定部材47は、昇降駆動機構60を構成するパンタグラフ65と連結されて上下方向への駆動力を受けるため、第1の昇降部材40、及び昇降ガイド棒46は、昇降駆動機構60によって直接昇降駆動される。第1の昇降部材40が最下降位置から上昇する過程において、ストッパ49がスライド部材48の高さ位置に到達する前段階では、第1の昇降部材は第2の昇降部材45と関係なく単独で上昇する一方で、ストッパ49がスライド部材48の下面に係合した時点以降はストッパ49、昇降ガイド棒46、固定部材47を介して第1の昇降部材が第2の昇降部材45を引き上げる。
【0015】
符号50は第1の昇降部材40の昇降軌道を安定させるための昇降ガイド機構であり、符号52はベース部材31の前面側に固定される中間ベース部材である。中間ベース部材52には固定側ガイドレール52aが設けられており、この固定側ガイドレール52aによって第1のスライダー片51aが昇降自在、且つ抜け落ち不能に支持され、第1のスライダー片51aによって第2のスライダー片51bが昇降自在、且つ抜け落ち不能に支持されている。第2のスライダー片51bは固定部材47(或いは、第1の昇降部材)に固定されているため、固定側ガイドレール52a、及び第2のスライダー片51bとの協働により、第1の昇降部材40の昇降軌道を安定させることができ、その結果として第2の昇降部材45の昇降軌道をも安定させることができる。
第1及び第2のスライダー片51a、51b、及び固定側ガイドレール52aは、昇降ガイド機構50を構成している。
なお、符号53はハーネスガイドであり、各昇降部材に搭載されたプリント基板に対して図示しない電源部からの電力を供給するハーネスをガイドする部材である。
【0016】
昇降駆動機構60は、第1の昇降部材40と係合してこれを昇降させるパンタグラフ65と、パンタグラフ65が所定の昇降軌道に沿って伸縮するようにガイドする昇降ガイド機構70と、モータMと、モータMの駆動力をパンタグラフ65に伝達して昇降させるラックアンドピニオン機構(昇降機構)80と、を有する。
ラックアンドピニオン機構(昇降機構)80は、第1のラックアンドピニオン81と、第2のラックアンドピニオン90と、を備えている。
モータMは、ベース部材31に固定される保持部材61によって支持されると共に、モータMの出力軸一体化された出力ギヤ62はベース部材31に設けた軸支部31aにより回転自在に軸支されたピニオンギヤ63の大径ギヤ部63aと噛合してこれを回転駆動する。大径ギヤ部63aには同軸状に小径ギヤ部63bが一体化されている。
【0017】
第1のラックアンドピニオン81は、パンタグラフの横方向に配置されている。
第1のラックアンドピニオン81は、ピニオンギヤ63(小径ギヤ部63b)と、小径ギヤ部63bと噛合する第1のラックギヤ部82aを上辺に有した第1のラックギヤ部材82と、第1のラックギヤ部材82を一方向(パンタグラフ上昇方向)に付勢する第1の弾性部材83と、を有しており、第1のラックギヤ部材82の一端部はパンタグラフ65の一方の最下部リンク片66aと回動自在に連結している。また、ベース部材31に固定されたガイドレール片84aは第1のラックギヤ部材82に固定されたスライダー84bを水平方向(パンタグラフの昇降方向と直交する方向)へスライド自在にガイドしている。
このため、モータMの駆動力がピニオンギヤ63を介して第1のラックギヤ部材82に伝達されて第1のラックギヤ部材を水平方向へ進退させ、第1のラックギヤ部材の水平方向への移動によってパンタグラフ65の一方の最下部リンク片が回動する。
【0018】
第1の弾性部材83は、パンタグラフを伸長(上昇)させる方向へ常時付勢する手段であり、第1のラックギヤ部材82は矢印イで示す方向へ付勢されている。第1の弾性部材83は、モータMがパンタグラフを伸長させる際の補助手段である。
また、第1のラックギヤ部材82の移動経路にはフォトインタラプタ(センサ)64を配置して、第1のラックギヤ部材の位置を検出することにより、パンタグラフ35が収縮位置にあるか伸長位置にあるかを判定する。
【0019】
次に、第2のラックアンドピニオン90は、第1のラックギヤ部材82の下辺に設けた第2のラックギヤ部82bと噛合するように、ベース部材の軸支部31bによって回転自在に軸支されたピニオンギヤ91と、ピニオンギヤ91と噛合するラックギヤ部92aを上辺に有した第2のラックギヤ部材92と、第2のラックギヤ部材92を一方向(パンタグラフ上昇方向)に付勢する第2の弾性部材93と、を有しており、第2のラックギヤ部材92の一端部はパンタグラフ65の他方の最下部リンク片66bと回動自在に連結している。ベース部材31に固定されたガイドレール片94aは第2のラックギヤ部材92に固定されたスライダー94bを水平方向(パンタグラフの昇降方向と直交する方向)へスライド自在にガイドしている。このため、第2のラックギヤ部材の水平方向への移動によってパンタグラフ65の他方の最下部リンク片が回動する。
第2の弾性部材93は、パンタグラフを収縮(下降)させる方向へ常時付勢する手段であり、第2のラックギヤ部材92は矢印ロで示す方向へ付勢されている。第2の弾性部材93は、モータMがパンタグラフを伸長させる際の補助手段である。
モータMが第1のラックギヤ部材82を水平方向へ進退させると、ピニオンギヤ91が回転し、第2のラックギヤ部材92を水平方向へ進退させる。モータからの駆動力が伝達されない場合には第2の弾性部材93の付勢によって第2のラックギヤ部材92は矢印ロで示す方向へ退避している。
【0020】
パンタグラフ65は、複数本の細長いリンク片66と、各リンク片66の中間部を回動自在に連結する中間ピン67と、各リンク片の端部間を回動自在に連結する端部ピン68と、を有している。最上部の中間ピン67aは固定部材47により軸支されており、パンタグラフの昇降駆動力を第1の昇降部材40に伝達する。一方の最下端のリンク片66aの端部は第1のラックギヤ部材82の一端部に設けた挿通穴82cに対して端部ピン68によって回動自在に連結されている。また、他方の最下端のリンク片66bの端部は第2のラックギヤ部材92の一端部に設けた挿通穴92bに対して端部ピン68によって回動自在に連結されている。
このため、モータMがパンタグラフ65を下降させる方向へ駆動している時には各弾性部材83、93の付勢力に抗して各ラックギヤ部材82、92は、夫々矢印イ、ロとは反対の方向へ移動して退避しているため、最下端の各リンク片66a、66bの下端部は何れも外側へ向けて移動しており、パンタグラフは収縮した状態にある。
【0021】
また、モータMがパンタグラフ65を伸長させる方向へ駆動している時には、各弾性部材83、93の付勢力を補助力として各ラックギヤ部材82、92は夫々矢印イ、ロで示す方向へ移動するため、最下端の各リンク片66a、66bの下端部は何れも内側へ向けて移動し、パンタグラフは伸長した状態となる。
パンタグラフ65が所定の昇降軌道に沿って伸縮するようにガイドする昇降ガイド機構70は、ベース部材31の縦壁(ガイド壁)に設けた上下方向へ延びる長穴71であり、この長穴71には少なくとも一つの中間ピン67(本例では、最下部の中間ピン)が上下動自在に嵌合することにより、パンタグラフが横方向へばたついたり、垂直な昇降軌道からずれることを防止する。
【0022】
次に、以上の構成を備えた可動盤面部品30における各昇降部材の昇降動作について図6乃至図16に基づいて説明する。
図1乃至図3、及び図4(a)には各昇降部材(パンタグラフ)が最下降位置にある状態が示されている。
各昇降部材40、45が最下降位置にある時に昇降駆動機構60は、図6(正面図)、図9(斜視図)、図12(背面図)に示した初期状態にある。即ち、各昇降部材40、45が最下降位置にある時にはパンタグラフ35が最も収縮した状態にあり、この時に各ラックギヤ部材82、92は、各弾性部材83、93に抗して最外側位置にある。各ラックギヤ部材82、92が最外側位置にあることにより、各ラックギヤ部材82、92と夫々回動自在に連結されたパンタグラフを構成する最下部のリンク片66a、66bは、下端部を最外側に位置させている。このため、他のリンク片66は全て最下降位置にある。
この時、最上部の中間ピン67a、固定部材47を介してパンタグラフ65と連結された第1の昇降部材40は最下降位置にあり、第2の昇降部材45も最下降位置にある。
また、この時、第1のラックギヤ部材82の端部がフォトインタラプタ64を遮蔽しているため、図示しない制御手段はパンタグラフ65が最下降位置にあることを知ることができる。
【0023】
次に、第1の昇降部材40が中間位置にあり、且つ第2の昇降部材45が最下降位置にある時に昇降駆動機構60は、図7(正面図)、図10(斜視図)、図13(背面図)に示した中間状態にある。
即ち、図6などに示した初期状態においてモータMを正転開始させると、駆動ギヤ62、ピニオンギヤ63が夫々矢印方向へ回転して第1のラックギヤ部材82を第1の弾性部材83の付勢方向と同じ方向である矢印イ方向へ移動させる。第1のラックギヤの第2のラックギヤ部82bと噛合するピニオンギヤ91を介して連結された第2のラックギヤ部材92も第2の弾性部材93の付勢方向と同じ方向である矢印ロ方向へ移動する。このため、最下部のリンク片66a、66bの下端部は等距離ずつ内側へ移動開始し、パンタグラフは全体として上向きに伸長を開始する。
この中間段階では、パンタグラフの上部と連結した固定部材47によって第1の昇降部材40だけが上昇させられており、固定部材47から下方へ延びる二本の昇降ガイド棒46はスライド部材48のスライド穴48aを通過して上昇する。昇降ガイド棒46の下端に固定されたストッパ49がスライド部材48の下面に当たってこれを引き上げるまでは第1の昇降部材45は上昇を開始しない。
第1のラックギヤ部材82が移動を開始してもその端部がフォトインタラプタ64を遮蔽している限り、制御手段はパンタグラフが最上昇位置に達した旨の判定を行わない。
【0024】
次に、各昇降部材40、45が最上昇位置に達した時に昇降駆動機構60は、図8(正面図)、図11(斜視図)、図14(背面図)に示した最上昇状態にある。
即ち、図7などに示した中間状態においてモータMを更に正転させると、第1のラックギヤ部材82は更に矢印イ方向へ移動し、第2のラックギヤ部材92も更に矢印ロ方向へ移動し、パンタグラフは上限に達する。
中間段階からパンタグラフが更に上昇すると、ストッパ49がスライド部材48の下面を引き上げるため、第2の昇降部材45が第1の昇降部材40と共に上昇を開始し、パンタグラフが図7等に示した上限位置に達した時点で両昇降部材40、45は上昇を停止する。この時、第1の昇降部材40は、図2中に鎖線で示したように図柄表示装置6の中央部を越えた上部にまで達しており、第2の昇降部材45は第1の昇降部材の直下に連続して配置された状態となっている。
【0025】
第1のラックギヤ部材82が矢印イ方向の限界位置に達した時に、フォトインタラプタ64から第1のラックギヤ部材の端部が離脱するため、制御手段はパンタグラフが最上昇位置に達した旨を判定する。なお、パンタグラフ65の昇降動作を直接フォトインタラプタによって検知する方が第1のラックギヤの動作からパンタグラフの動作を判定するよりは直接的であるように思えるが、万が一パンタグラフががたついて昇降動作に遅延が発生した場合に、昇降部材の動作状態を正しく判定できなくなる。このため、第1のラックギヤの動作に基づいて判定している。なお、パンタグラフの昇降動作を直接検知するフォトインタラプタを併用しても良い。
本発明では、パンタグラフを伸長させる際におけるモータMの正転出力に対する抵抗となる両昇降部材40、45等の重量、パンタグラフからの抵抗等を考慮して、各ラックギヤ部材82、92を弾性部材83、93によって補助付勢している。即ち、各弾性部材83、93は、パンタグラフを伸長させる方向へ向けて各ラックギヤ部材82、92を水平に付勢している。
又、パンタグラフ65に対して第1のラックアンドピニオン81を横方向に配置していることから可動盤面部品の高さ方向寸法、厚さ方向寸法を低減することができる。
【0026】
また、図12に示したパンタグラフの収縮(下降)状態では、第1のラックギヤ部材82の長手方向に沿った直線L1と、最下部のリンク片66aの長手方向に沿った直線L2との成す角度θ1は大きな鈍角となっているため、モータMをパンタグラフ上昇方向へ駆動することにより第1のラックギヤ部材82を第1の弾性部材83の付勢方向である矢印イ方向へ移動させる際に、第1の昇降部材40の重量を含めてパンタグラフ側から大きな負荷が加わる。このため、モータの始動時の負荷が大きくなるように見えるが、図7等に示した中間段階に達するまでは第1の昇降部材40だけが上昇するに過ぎず、第2の昇降部材45からの重量負荷は加わらないため、各弾性部材83、93による補助力を併せてモータの負荷を小さくすることができ、スムーズに上昇動作を開始することができる。
つまり、パンタグラフが最下降位置(最収縮状態)にある時には、最下部のリンク片66aとラックギヤ部材82との間の角度θ1が大きな鈍角となっているが、パンタグラフが伸長するに連れてこの角度θ1が小さくなるように構成されている。従って、最下降位置にある時のパンタグラフの姿勢を可能な限り低くしても上昇開始時の負荷が過大になることを防止できる、という利点を提供することができる。
次に、図13に示した中間段階では、第1のラックギヤ部材82の長手方向に沿った直線L1と、最下部のリンク片66aの長手方向に沿った直線L2との成す角度θ2は角度θ1よりも大幅に小さくなっているため、パンタグラフからの抵抗が既に小さくなっており、第2の昇降部材45からの荷重を加味しても小さい出力によって各ラックギヤ部材をパンタグラフ上昇方向へ移動させてパンタグラフをスムーズに上昇させることができる。
【0027】
次に、以上の構成を備えた本発明の可動盤面部品の昇降動作について説明する。
まず、図15、図16の断面図に基づいて各昇降部材を順次上昇させる手順について説明する。
図15(a)、図16(a)の初期状態では第1及び第2の昇降部材40、45は共に最下降位置にあるため、図1中に示すようにセンター部材5の開口の下縁から上部が僅かに突出した状態にある。次いで、モータMを正転方向へ駆動開始するとパンタグラフ65が伸長(上昇)を開始して図15(b)、図16(b)の中間段階に移行する。
第1の昇降部材40が最下降位置から上昇する過程において、ストッパ49がスライド部材48の高さ位置に到達する前段階では、第1の昇降部材は第2の昇降部材45と関係なく単独で上昇する一方で、ストッパ49がスライド部材48の下面に係合した時点以降はストッパ49、昇降ガイド棒46、固定部材47を介して第1の昇降部材が第2の昇降部材45を引き上げる。
第1の昇降部材が第2の昇降部材45と関係なく単独で上昇する期間中は、モータMに対する負荷が小さくなり、モータの耐久性の低下を防止することができる。また、上昇開始当初は、第1のラックギヤ部材82の長手方向に沿った直線L1と、最下部のリンク片66aの長手方向に沿った直線L2との成す角度θ1が大きな鈍角となっているため、モータへの負荷が増すように見えるが、第2の昇降部材45からの負荷がないため、モータは小さい出力でパンタグラフを伸長開始させることができる。
【0028】
次いで、中間段階から図15(c)、図16(c)に示した最上昇段階に達する過程では、ストッパ49がスライド部材48を係止しながら上昇するため、モータに加わる負荷が増大するが、この段階では第1のラックギヤ部材82の長手方向に沿った直線L1と、最下部のリンク片66aの長手方向に沿った直線L2との成す角度θ2は角度θ1よりも大幅に小さくなっているため、パンタグラフからの抵抗が既に小さくなっている。このため、弾性部材による付勢力との相乗効果により、モータに過大な負荷を与えることなくスピーディーな上昇動作を実現することができる。
つまり、パンタグラフが収縮状態から伸長状態に移行する過程における、昇降部材からパンタグラフに加わる負荷は一定ではなく、当初小さく、その後増大する。このため、モータの始動初期においてパンタグラフのリンク片からの負荷が大きかったとしても昇降部材からの荷重が小さいため、これらの初期負荷に対応した出力を有したモータを採用すれば可動盤面部品を耐久性よく長期的に駆動することが可能となる。
【0029】
昇降部材40、45を下降させる際には、モータMへの通電を遮断してパンタグラフを上昇させる方向への力を解消することによりパンタグラフは収縮し、各昇降部材は初期位置に下降して行く。パンタグラフの収縮時には弾性部材83、93からの抵抗が加わるが、弾性部材の付勢力に抗しながら各昇降部材、各リンク片等の重量により下降する。各昇降部材を迅速に下降させるためには、各昇降部材の重量を各弾性部材との兼ね合いである程度大きくする必要があり、各昇降部材の重量増はパンタグラフの伸長時には大きな抵抗となる。しかし、本発明では、パンタグラフの伸長初期には第1の昇降部材からの負荷しか加わらない構成としたので、小さい出力で伸長させることができる。
従来パンタグラフが伸長する過程で加わる負荷が増大すると左右へ揺れを起こし易かったが、本発明ではこのような不具合を解消することができる。
【0030】
また、パンタグラフを構成する2本の最下部リンク片66a、66bを横方向外側へ移動させるために夫々第1のラックアンドピニオン81と、第2のラックアンドピニオン90を配置し、弾性部材83、93によってパンタグラフ上昇方向へ補助付勢するようにしたので、出力の小さいモータを使用してコストを低減し、小型化することができる。
更に本発明ではパンタグラフ65の昇降動作を安定させる昇降ガイド機構50、70を備えているため、従来のパンタグラフの致命的な欠点であった動作中における横方向への揺れと、それに起因した動作のばたつき、昇降動作に要する時間のバラツキという不具合を解消することができる。即ち、まず昇降ガイド機構50は各昇降部材40、45を垂直な軌道に沿って案内するように構成したので、昇降部材自体の軌道が安定する。また、第1の昇降部材40と連結したパンタグラフから横揺れが伝搬したとしてもその影響を最小限に留めて各昇降部材は昇降動作することができる。次に、昇降ガイド機構70では、パンタグラフの中間ピン67の一つを上下方向へガイドする長穴71をベース部材に設けたことにより、モータの出力が一定であっても加重の変化に対応しつつ迅速に上昇させることができる。
【0031】
パンタグラフは一般にギミックを長い距離上昇させる手段として有効であるが、収縮状態から伸長開始する際にモータから大きな負荷を必要とする点と、伸長した距離が長い程、横方向に揺れが発生してギミックの動作が不安定化するという問題を有している。本発明では、パンタグラフの伸長、及び収縮に要する速度を迅速化しながらこのような不具合を共に解消することができる。
また、各種部品のレイアウトの結果として図柄表示装置6を奥寄りに配置することができた場合には図柄表示装置の前方に空間を確保することができるが、この空間を利用して可動盤面部品30を配置することが可能となる。可動盤面部品30は、2つの昇降部材を前後位置関係で配置し、しかもパンタグラフの横方向、下方向に、パンタグラフの厚みの範囲内でラックアンドピニオン機構を配置したので、薄型化が可能となり、狭い収納空間内に収納することができる。
【符号の説明】
【0032】
1…遊技盤、1a…遊技領域、2…ガラス枠、3…皿部、4…発射レバー、5…センター部材、10…アウト口、11…可変入賞装置、12…ゲート、13…大入賞口、14…普通入賞口、15…風車、16…普通図柄表示装置、30…可動盤面部品、31…ベース部材、31a…軸支部、31b…軸支部、35…パンタグラフ、40…昇降部材、45…昇降部材、46…昇降ガイド棒、47…固定部材、48…スライド部材、48a…スライド穴、49…ストッパ、50、70…昇降ガイド機構、51a…スライダー片、51b…スライダー片、52…中間ベース部材、52a…固定側ガイドレール、60…昇降駆動機構、61…保持部材、62…出力ギヤ、63…ピニオンギヤ、63a…大径ギヤ部、63b…小径ギヤ部、64…フォトインタラプタ、65…パンタグラフ、66…リンク片、66a…リンク片、66b…リンク片、67…中間ピン、67a…中間ピン、68…端部ピン、70…昇降ガイド機構、71…長穴、80…ラックアンドピニオン機構、81…第1のラックアンドピニオン、82…ラックギヤ部材、82a…ラックギヤ部、82b…ラックギヤ部、82c…挿通穴、83…弾性部材、84a…ガイドレール片、84b…スライダー、90…第2のラックアンドピニオン、91…ピニオンギヤ、92…ラックギヤ部材、92a…ラックギヤ部、92b…挿通穴、93…弾性部材、94a…ガイドレール片、94b…スライダー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、該ベース部材により最下降位置から最上昇位置までの間を所定の経路に沿って昇降自在に支持された第1の昇降部材と、該第1の昇降部材を昇降させる昇降駆動機構と、最下降位置から最上昇位置までの間を昇降自在に支持され、且つ上昇途中にある該第1の昇降部材が所定の高さ位置に達した時に該第1の昇降部材により引き上げ開始されて前記最上昇位置まで上昇する第2の昇降部材と、を備え、
前記昇降駆動機構は、前記第1の昇降部材と係合してこれを昇降させるパンタグラフと、該パンタグラフが所定の昇降軌道に沿って伸縮するようにガイドする昇降ガイド機構と、モータと、該モータの駆動力を前記パンタグラフに伝達して昇降させる昇降機構と、を有した可動盤面部品を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記パンタグラフは複数のリンク片をピンにより連結した伸縮自在な構成を備え、
前記昇降ガイド機構は、前記パンタグラフの背面に沿って立設されたガイド壁を備え、該ガイド壁には前記パンタグラフを構成する複数のピンのうちの垂直方向へ移動する中間ピンの少なくとも一つを垂直にガイドする長穴と、前記第1の昇降部材と前記第2の昇降部材に夫々固定されて互いにスライド自在に係合するスライダー片と、から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項1】
ベース部材と、該ベース部材により最下降位置から最上昇位置までの間を所定の経路に沿って昇降自在に支持された第1の昇降部材と、該第1の昇降部材を昇降させる昇降駆動機構と、最下降位置から最上昇位置までの間を昇降自在に支持され、且つ上昇途中にある該第1の昇降部材が所定の高さ位置に達した時に該第1の昇降部材により引き上げ開始されて前記最上昇位置まで上昇する第2の昇降部材と、を備え、
前記昇降駆動機構は、前記第1の昇降部材と係合してこれを昇降させるパンタグラフと、該パンタグラフが所定の昇降軌道に沿って伸縮するようにガイドする昇降ガイド機構と、モータと、該モータの駆動力を前記パンタグラフに伝達して昇降させる昇降機構と、を有した可動盤面部品を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記パンタグラフは複数のリンク片をピンにより連結した伸縮自在な構成を備え、
前記昇降ガイド機構は、前記パンタグラフの背面に沿って立設されたガイド壁を備え、該ガイド壁には前記パンタグラフを構成する複数のピンのうちの垂直方向へ移動する中間ピンの少なくとも一つを垂直にガイドする長穴と、前記第1の昇降部材と前記第2の昇降部材に夫々固定されて互いにスライド自在に係合するスライダー片と、から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−81540(P2013−81540A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222129(P2011−222129)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]