説明

遊技球供給装置

【課題】各遊技機に安定して遊技球を供給できる遊技球供給装置を提供すること。
【解決手段】複数の遊技機が配列された遊技島100に設けられ各遊技機で用いられる遊技球を供給する遊技球供給装置1において、遊技島100の長手方向に傾斜して配設され遊技球が転動可能な第1傾斜流路と、第1傾斜流路の下流に直列に配設されその上流端部11aが第1傾斜流路の下流端部10bよりも高い位置に設けられる第2傾斜流路と、第1傾斜流路の下流端部10bから供給される遊技球を第2傾斜流路の上流端部11aに搬送する球搬送ユニット12Aと、を備え、第1傾斜流路は、その上流側に形成された分岐部70から分岐し、球搬送ユニット12Aに遊技球を誘導するための誘導流路71と、分岐部70から分岐し、当該第1傾斜流路の下方に配設された遊技機に遊技球を供給するための供給流路72とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技島に設けられ、遊技機で使用される遊技球を供給する遊技球供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、遊技場には複数の遊技機を配列して設けるための遊技島が、間隔をあけて複数設けられている。この遊技島の上部には、各遊技機に遊技球を供給するための遊技球供給装置が設けられるとともに、遊技島の下部には、各遊技機から排出される遊技球を回収するための遊技球回収装置が設けられ、遊技球回収装置によって回収した遊技球を遊技球供給装置へと揚送する揚送装置を設けることによって、遊技球を遊技島内で循環させている。
【0003】
このような遊技球搬送装置として、特許文献1には、遊技球を搬送する方向に下り傾斜する複数の搬送樋を直列に並べて配設し、各搬送樋の間には上流側の搬送樋の下流端部から受け入れた遊技球を下流側の傾斜樋の上流端部まで搬送する球搬送装置(球搬送ユニット)が設けられ、各搬送樋には各遊技機に遊技球を供給するための複数の遊技媒体供給部(補給シュート)が設けられたものが開示されている。この遊技球搬送装置は、複数の搬送樋の間に球搬送ユニットを設けて直列に連結し、各搬送樋の長さを短くすることで鉛直方向の高さが抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−36234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された遊技球搬送装置は、直列に複数の搬送樋が並べて配設されるため、遊技球の搬送方向の途中に設置されている遊技機で大当たりが発生し、当該遊技機に多量の遊技球が供給されるような場合には、当該遊技機より下流に設置された遊技機に対して必要十分な数の遊技球が供給されないおそれがある。特に、搬送方向の下流側に配置される遊技機まで遊技球が到達するには時間がかかるため、上流側の複数の遊技機で大当たりが集中したような場合には、この問題は顕著になる。
【0006】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、各遊技機に安定して遊技球を供給できる遊技球供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、複数の遊技機が配列された遊技島に設けられ、各遊技機で用いられる遊技球を供給する遊技球供給装置において、前記遊技島の長手方向に傾斜して配設され、遊技球が転動可能な第1傾斜流路と、前記遊技島の長手方向に傾斜して前記第1傾斜流路の下流に直列に配設され、その上流端部が前記第1傾斜流路の下流端部よりも高い位置に設けられる第2傾斜流路と、前記第1傾斜流路の下流端部から供給される遊技球を、前記第2傾斜流路の上流端部に搬送する球搬送ユニットと、を備え、前記第1傾斜流路は、その上流側に形成された分岐部から分岐し、前記球搬送ユニットに遊技球を誘導するための誘導流路と、前記分岐部から分岐し、当該第1傾斜流路の下方に配設された遊技機に遊技球を供給するための供給流路とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、前記球搬送ユニットは、回転軸を中心に回転し、前記第1傾斜流路の下流端部から供給された遊技球を外周面に吸着し、前記回転軸の上方を経由して搬送し前記第2傾斜流路の上流端部に排出する回転体と、前記回転体の外周縁に配設され、前記誘導流路の下流端部から供給された遊技球を磁力によって外周面に吸着する磁性体と、前記回転体を回転駆動するための回転体駆動部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、前記磁性体は、前記回転体の外周縁の周方向に所定の間隔をあけて配設される硬磁性体と、前記硬磁性体と交互に配設され、前記硬磁性体に吸着した遊技球と磁気回路を構成する軟磁性体と、を備えることを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、前記第1傾斜流路は、前記誘導流路の下流側に配設され、当該誘導流路から供給された遊技球を前記回転体に導く供給ガイド部材を備え、前記誘導流路は、遊技球が自重によって転動可能な角度で傾斜して形成され、前記供給ガイド部材は、前記誘導流路よりも大きく傾斜して形成されることを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、前記誘導流路と前記供給ガイド部材とは、別体に形成され、前記供給ガイド部材は、その球転動面が前記誘導流路の下流端部の下方に遊技球一個分以上の段差を設けて配設されることを特徴とする。
【0012】
第6の発明は、前記供給ガイド部材の球転動面は、前記回転体の外周面と遊技球が通過不可能な隙間をもって対向することを特徴とする。
【0013】
第7の発明は、前記第1傾斜流路は、前記遊技島の長手方向に沿って直列に複数設けられ、下流側に位置する第1傾斜流路の上流端部が、上流側に位置する第1傾斜流路の下流端部よりも高い位置に設けられてなり、各第1傾斜流路の間には前記球搬送ユニットを設け、当該球搬送ユニットによって前記搬送方向の上流側に位置する第1傾斜流路の下流端部から供給される遊技球を、前記搬送方向の下流側に位置する第1傾斜流路の上流端部に搬送するよう構成し、各第1傾斜流路に設けられる各分岐部は、各供給流路及び前記第2傾斜流路に流入する遊技球の量が均等になるように前記誘導流路と前記供給流路への遊技球の分岐量の割合が設定されていることを特徴とする。
【0014】
第8の発明は、前記分岐部は、開口面積を変更することによって遊技球の前記分岐量が変更可能であることを特徴とする。
【0015】
第9の発明は、前記球搬送ユニットの下流側に配設される前記第1傾斜流路は、その上流側に設けられ前記回転体により搬送された遊技球を受け入れる排出ガイド部材と、前記排出ガイド部材の下流側に設けられ、前記排出ガイド部材から導かれた遊技球が前記分岐部へと転動可能な分岐前流路と、を備え、前記分岐前流路は、遊技球が自重によって転動可能で傾斜して形成され、前記排出ガイド部材は、前記分岐前流路よりも小さく傾斜して形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、第1傾斜流路は分岐部から誘導流路と供給流路とに分岐し、誘導流路に誘導された遊技球は下流側の第2傾斜流路に誘導されるため、第1傾斜流路の下方の遊技機に大当たりが集中して多量の遊技球が供給されるような場合でも、第2傾斜流路の下方の遊技機に対して必要十分な数の遊技球を供給することができる。したがって、各遊技機に安定して遊技球を供給することができる。
【0017】
第2の発明によれば、球搬送ユニットの回転体が、その外周縁に配設される磁性体の磁力によって外周面に遊技球を吸着させ、回転軸の上方を経由して第2傾斜流路に遊技球を搬送するため、磁性体の磁力に応じた量の遊技球を搬送可能であり、球搬送ユニットよりも下流側に位置する遊技機に充分な遊技球を供給することができる。
【0018】
第3の発明によれば、硬磁性体と軟磁性体とを回転体の外周縁に回転体周方向に交互に配設することで、各硬磁性体を基点として回転体の外周面に遊技球を数珠状に吸着させることができる。
【0019】
第4の発明によれば、誘導流路の傾斜角度より大きく傾斜した供給ガイド部材が誘導流路の下流に配設されるため、供給ガイド部材上に遊技球が連なった状態になっても、あとから供給ガイド部材上に供給される遊技球は、その連なった遊技球に乗り上げて遊技球上を転動するため、回転体の外周面付近まで到達しやすくなり、大量の遊技球を回転体の外周面に吸着させることができる。
【0020】
第5の発明によれば、供給ガイド部材の球転動面が、誘導流路の下流端部の下方に遊技球一個分以上の段差を設けて配設されるため、硬磁性体の磁力が供給ガイド部材上の遊技球を介して誘導流路上の遊技球に影響しにくくなり、誘導流路上で遊技球の転動が阻害されにくくなる。
【0021】
第6の発明によれば、供給ガイド部材の球転動面は、回転体の外周面と遊技球が通過不可能な隙間を持って対向するため、第1傾斜流路から供給される遊技球を、供給ガイド部材と回転体とで挟まれた磁界の影響を受けやすい領域に導くことができる。よって、回転体と外周面近傍の遊技球の個数が多くなるため、次回の作用によって回転体の外周面に遊技球が吸着しやすくなる。
【0022】
第7及び第8の発明によれば、遊技球供給装置による遊技球の搬送方向のどの位置に配設される第1傾斜流路及び第2傾斜流路においても、遊技球の流入量が一定となるため、各遊技機に安定して遊技球を供給することが可能となる。
【0023】
第9の発明によれば、排出ガイド部材の傾斜が小さく設定されているため、第2傾斜流路の鉛直方向の高さを抑制できる。よって、遊技球供給装置の鉛直方向の高さが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る遊技球供給装置が設けられる遊技島の内部構造を示す側面図である。
【図2】図1における揚送装置周辺の拡大図である。
【図3】図2における平面図である。
【図4】(a)は、第1補給樋の斜視図であり、(b)は、第2補給樋の斜視図である。
【図5】(a)は、最上流に配設される第1補給樋の分岐部周辺の斜視図であり、(b)は、図5(a)における平面図である。
【図6】(a)は、下流側に配設される第1補給樋の分岐部周辺の斜視図であり、(b)は、図6(a)における平面図である。
【図7】上部タンク及びバランスタンクの内部構造を示す側面図である。
【図8】上部タンクの内部構造を透過して示した斜視図である。
【図9】球搬送ユニットの斜視図である。
【図10】図9における球搬送ユニットの内部構造を示す斜視図である。
【図11】球搬送ユニットの回転体の分解図である。
【図12】球搬送ユニット周辺の側面図である。
【図13】(a)は、供給ガイド部材周辺の拡大図であり、(b)は、図13(a)において供給ガイド部材が球搬送ユニットに収納された状態を示す図である。
【図14】供給ガイド部材と回転体との関係を示す図である。
【図15】(a)は、遊技球が回転体の外周面に吸着して搬送されている状態を示す図であり、(b)は、図15(a)との比較例を示す図である。
【図16】(a)及び(b)は、回転体における硬磁性体の配置態様を示す図である。
【図17】第1補給樋の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る遊技球供給装置1について説明する。
【0026】
まず、図1から図3を参照して、本発明の実施の形態に係る遊技球供給装置1が設けられる遊技島100について説明する。
【0027】
遊技島100は、遊技場に設置され、複数の遊技機(図示省略)や付帯設備が設けられるものである。一般に、遊技場内には複数の遊技島100が、各遊技機の正面に遊技者が着座して遊技を行えるだけの間隔をあけて並列に設けられる。
【0028】
図1に示すように、遊技島100は、長手方向(図1においては紙面左右方向)に二列に配列された複数の遊技機設置開口部5を有する。図1においては遊技島100の表面側の遊技機設置開口部5の列のみを図示するが、遊技島100の裏面側にも遊技機設置開口部5の列が形成される。この遊技機設置開口部5には、遊技機が設置される。これにより、遊技機は、遊技島100の長手方向に配列されると共に、短手方向(図1においては紙面垂直方向)には、それぞれの背面を合わせた背向状態で配置される。
【0029】
遊技島100には、各遊技機で用いられる遊技球を搬送する遊技球搬送装置101が設けられる。遊技球搬送装置101は、遊技機の上方に設けられ遊技球を各遊技機へと供給する遊技球供給装置1と、遊技機の下方に設けられ遊技に用いられた遊技球を回収する遊技球回収装置2とを備える。
【0030】
なお、本実施の形態では、遊技球を貸し出すための球貸機(図示省略)を各遊技機に併設しているので、遊技球供給装置1は、球貸機にも遊技球を供給している。
【0031】
遊技球供給装置1から遊技機へと供給された遊技球は、遊技機から賞球として遊技者に対して払い出される。払い出された遊技球は、遊技島100に設置された球計数機(図示省略)に投入されて遊技球回収装置2に回収される。なお、払い出された遊技球が遊技に用いられることもあり、遊技に用いられた遊技球は、遊技機から排出されて遊技球回収装置2を通り、遊技島100の長手方向端部に設けられた揚送装置3に導かれる。
【0032】
遊技球供給装置1から球貸機へと供給された遊技球は、遊技者による所定の操作によって遊技機の貯留皿へ払い出されて遊技に用いられ、遊技機から排出された遊技球は、遊技球回収装置2を通り、揚送装置3へ導かれる。
【0033】
一方、遊技球回収装置2は、遊技島100における遊技機の下方に設けられ、遊技機から排出された遊技球を揚送装置3に導く。
【0034】
図1及び図2に示すように、揚送装置3は、遊技球を磨きながら上方へと揚送する装置である。揚送装置3は、受け入れる遊技球を整列させるための受入樋3cを備える。この受入樋3cは、揚送装置3の隣の遊技機の下方まで延設され、遊技球回収装置2から転動してくる遊技球を受け入れる。
【0035】
揚送装置3によって揚送された遊技球は、揚送装置3の上部に設置された上部タンク4へと導かれる。上部タンク4には遊技球供給装置1が連結され、遊技球は再び各遊技機及び各球貸機へと供給される。このように、遊技島100内の遊技球は、遊技島100内を循環する。上部タンク4の内部構造については、後で詳細に説明する。
【0036】
揚送装置3は、最下部に設けられるモータ3aによって駆動される。モータ3aの上方には、揚送装置3の周囲をコの字状に取り囲むように球貯留タンク6(図3参照)が配設される。球貯留タンク6は、遊技島100で使用される大量の遊技球を貯留可能な遊技島100内で最大容量のタンクである。球貯留タンク6の底部には、貯留された遊技球を受入樋3cに流下させて揚送装置3に供給するための開閉可能なシャッター6a(図2参照)が形成される。
【0037】
球貯留タンク6には、揚送装置3を隠ぺいするための開閉可能な一対の扉6b(図3参照)が設けられる。揚送装置3の点検やメンテナンスは、この扉6bを開状態にして行われる。
【0038】
次に、主に図1を参照して、遊技球供給装置1について詳しく説明する。
【0039】
遊技球供給装置1は、上流端部10a(図4(a)参照)が上部タンク4に接続され遊技島100の長手方向に傾斜して配設された二本の第1補給樋10と、遊技島100の長手方向に、かつ第1補給樋10と同一方向に向かって傾斜し、下流側の第1補給樋10の下流に直列に配設された第2補給樋11と、二本の第1補給樋10の間、及び第1補給樋10の下流端部と第2補給樋11の上流端部との間に配設され、上流側の樋の下流端部から供給された遊技球を下流側の樋の上流端部へと搬送する球搬送ユニット12Aとを備える。遊技球供給装置1では、最上流の第1補給樋10と後述する供給ガイド部材41とが、また、下流側の第1補給樋10と後述する供給ガイド部材41(図10参照)と排出ガイド部材42(図10参照)とが第1傾斜流路に該当し、第2補給樋11と後述する排出ガイド部材42(図10参照)とが第2傾斜流路に該当する。
【0040】
遊技球供給装置1では、二本の第1補給樋10と一本の第2補給樋11とを直列に配設しているが、三本以上の第1補給樋10を配設することで全長を長くし、より多くの遊技機に遊技球を供給することが可能である。
【0041】
第1補給樋10及び第2補給樋11は、遊技球が自重によって転動可能な傾斜角度(例えば、4分)に設定され、遊技島100の上部に固定される。第1補給樋10及び第2補給樋11は、上面が開口した樋状に形成されるが、必ずしも上面が開口している必要はなく、内部を遊技球が転動するような閉じられた形状であってもよい。
【0042】
球搬送ユニット12Aは、遊技島100の上部に配設され、下流側の樋の上流端部が上流側の樋の下流端部よりも高い位置となるように、二本の樋を直列に連結する。球搬送ユニット12Aの構造は、後で詳細に説明する。
【0043】
以下、主に図4(a)を参照して、第1補給樋10について詳しく説明する。
【0044】
第1補給樋10は、その上流端部10aに形成され上流から導かれた遊技球が転動可能な共通樋(分岐前流路)73と、共通樋73の下流の分岐部70から分岐し、当該第1補給樋10の下流に配設された球搬送ユニット12Aに遊技球を誘導するための誘導樋(誘導流路)71と、分岐部70から下方に分岐し、その下方(近傍)に配設された遊技機に遊技球を供給するための供給樋(供給流路)72とを備える。分岐部70は、共通樋73から誘導樋71と供給樋72とに上下に分岐させているが、上下でなく左右に分岐させてもよい。
【0045】
共通樋73は、上流から流れてくる遊技球が供給される樋である。最上流に配設された第1補給樋10においては、共通樋73には上部タンク4から遊技球が供給され、下流側に配設された第1補給樋10においては、上流側の球搬送ユニット12Aから遊技球が供給される。
【0046】
分岐部70は、共通樋73の下流に形成され、共通樋73を転動してきた遊技球を、誘導樋71と供給樋72とに振り分ける。分岐部70は、供給樋72に向けて開口する開口部70aを有する。つまり、共通樋73を転動する遊技球の一部は、開口部70aを介して供給樋72に流下する。なお、開口部70aは複数設けてもよい。分岐部70の具体的な構造については、後で詳細に説明する。
【0047】
誘導樋71は、共通樋73の下流端部から分岐し、共通樋73と連続するように形成される樋である。誘導樋71の下流端部10bは、球搬送ユニット12Aに接続される(図1参照)。
【0048】
供給樋72は、共通樋73から下方に分岐して誘導樋71と略平行に形成される。供給樋72には、共通樋73上を転動してきた遊技球の一部が流下して供給される。供給樋72の上流端部には、開口部70aに連通し、開口部70aに流入した遊技球を供給樋72へと導く筒状のダクト70bが形成される。ダクト70bが設けられることによって、共通樋73から開口部70aを介して流下する遊技球が供給樋72の外部へ落下することが防止される。供給樋72の下流端部72bは、閉塞して形成されており、遊技球が供給樋72上に溜まるようになっている。
【0049】
第1補給樋10の供給樋72には、転動する遊技球を各遊技機へと導く複数の補給シュート13が長手方向に沿って配設される。
【0050】
補給シュート13は、第1補給樋10の両側のそれぞれに配設される。図1において手前側の補給シュート13は、遊技島100手前側に設置された遊技機及び球貸機に対して遊技球を導き、奥側の補給シュート13は、遊技島100奥側に設置された遊技機及び球貸機に対して遊技球を導く。
【0051】
以下、図5及び図6を参照して、分岐部70の構造について詳しく説明する。
【0052】
分岐部70の開口部70aは、全ての第1補給樋10と第2補給樋11とに均等な数だけ遊技球を振り分けるように転動面の幅に対する開口幅の割合が調整されている。具体的には、最上流に配設された第1補給樋10の分岐部70における開口部70aは、当該第1補給樋10と下流側の第1補給樋10と第2補給樋11との三本の樋のうち一本分である1/3の遊技球を供給樋72へと流下させるように、転動面の幅の1/3に形成される。つまり、第1補給樋10と第2補給樋11とがn本直列に設けられている場合、最上流に配設された第1補給樋10の開口部70aは、転動面の幅の1/nに形成される。
【0053】
開口部70aからは、共通樋73を転動してきた遊技球の1/3が流下して供給樋72に導かれ、供給樋72に流下しなかった残りの2/3の遊技球は、そのまま誘導樋71へと導かれ、下流側に配設された球搬送ユニット12Aに供給される。
【0054】
同様に、下流側に配設された第1補給樋10の分岐部70における開口部70aは、当該第1補給樋10と下流側の第2補給樋11との二本の樋のうち一本分である1/2の遊技球を供給樋72へと流下させるように、転動面の幅の1/2に形成される。つまり、当該第1補給樋10を含めて下流にm本の樋が直列に設けられている場合、当該第1補給樋10の開口部70aは、転動面の幅の1/mに形成される。
【0055】
開口部70aからは、共通樋73を転動してきた遊技球の1/2が流下して供給樋72に導かれ、供給樋72に流下しなかった残りの1/2の遊技球は、そのまま誘導樋71へと導かれ、下流側に配設された球搬送ユニット12Aに供給される。
【0056】
開口部70aは、開口面積を調整可能に形成される。これにより、直列に配設される樋の本数が変更されたときにも容易に調整することができる。開口面積を調整する構造としては、例えば、シャッターのような開閉可能な部材を配設する構造や、取り外し可能な板材で開口の一部を閉塞する構造などがある。
【0057】
以下、主に図4(b)を参照して、第2補給樋11について詳しく説明する。
【0058】
第2補給樋11は、第1補給樋10には分岐部70が形成されるのに対して、分岐部70が形成されない一本の樋である。第2補給樋11の下流端部11bは閉塞して形成されており、遊技球が第2補給樋11上に留まるようになっている。第2補給樋11には、転動する遊技球を各遊技機へと導く複数の補給シュート13が長手方向に沿って配設される。
【0059】
補給シュート13は、第2補給樋11の両側のそれぞれに配設される。図1において手前側の補給シュート13は、遊技島100手前側に設置された遊技機及び球貸機に対して遊技球を導き、奥側の補給シュート13は、遊技島100奥側に設置された遊技機及び球貸機に対して遊技球を導く。
【0060】
以下、図1を参照して、上部タンク4から遊技球供給装置1に供給される遊技球の流れについて説明する。
【0061】
上部タンク4から最上流の第1補給樋10に供給された遊技球は、その全量が当該第1補給樋10の共通樋73上を転動する。共通樋73から分岐部70に差し掛かると、共通樋73上を転動してきた遊技球の1/3が、開口部70aからダクト70bを介して供給樋72へと流下する。
【0062】
供給樋72に流下した遊技球は、当該供給樋72に設けられた複数の補給シュート13を介して、供給樋72の下方(近傍)に配設された遊技機にそれぞれ供給される。
【0063】
一方、開口部70aから流下しなかった2/3の遊技球は、誘導樋71上を転動し、下流側の球搬送ユニット12Aに導かれ、下流側の第1補給樋10に供給される。つまり、2/3の遊技球は、誘導樋71を通ることによって最上流の第1補給樋10の供給樋72を経由せずに(バイパスして)下流側の第1補給樋10に導かれる。
【0064】
下流側の第1補給樋10に供給された2/3の遊技球は、その全量が当該第1補給樋10の共通樋73上を転動する。共通樋73から分岐部70に差し掛かると、共通樋73上を転動してきた遊技球の1/2が、開口部70aからダクト70bを介して供給樋72へと流下する。つまり、上部タンク4から供給された遊技球のうち、最上流の供給樋72をバイパスしてきた2/3のうち1/2、即ち1/3の遊技球が下流側の第1補給樋10の供給樋72に導かれる。
【0065】
供給樋72に流下した遊技球は、当該供給樋72に設けられた複数の補給シュート13を介して、供給樋72の下方(近傍)に配設された遊技機にそれぞれ供給される。
【0066】
一方、開口部70aから流下しなかった2/3のうち1/2、即ち上部タンク4から供給された遊技球の1/3は、誘導樋71を転動し、下流側の球搬送ユニット12Aに導かれ、下流側の第2補給樋11に供給される。つまり、1/3の遊技球は、誘導樋71を通ることによって下流側の第1補給樋10の供給樋72をバイパスして下流側の第1補給樋10に導かれる。
【0067】
第2補給樋11に供給された遊技球は、当該第2補給樋11に設けられた複数の補給シュート13を介して、第2補給樋11の下方(近傍)に配設された遊技機にそれぞれ供給される。
【0068】
以上のように、最上流の第1補給樋10の供給樋72と、下流側の第1補給樋10の供給樋72と、第2補給樋11とに、上部タンク4から供給された遊技球のうち1/3ずつが導かれ、それぞれの下方(近傍)に配設された遊技球に供給される。下流側の第1補給樋10の下方(近傍)の遊技機に供給される遊技球は、最上流の第1補給樋10の誘導樋71を通ることによって、最上流の第1補給樋10の供給樋72を経由せずに供給される。また、第2補給樋11の下方の遊技機に供給される遊技球は、二本の第1補給樋10の誘導樋71を通ることによって、最上流の第1補給樋10の供給樋72及び下流側の第1補給樋10の供給樋72を経由せずにバイパスして供給される。
【0069】
よって、上流側の供給樋72から遊技球が供給される遊技機に大当たりが集中して多量の遊技球が供給されるような場合であっても、下流側の遊技機には、上流側の誘導樋71及び、下流側の供給樋72又は第2補給樋11から遊技球が供給されるため、誘導樋71の貯留機能により、上流側の遊技機への遊技球の供給量に関わらず、下流側の遊技機に必要充分な遊技球を供給し易くなる。また、分岐部70により、上流側の遊技機への遊技球の供給量に関わらず、上流側の誘導樋71に遊技球が振り分けられるため、下流側の供給樋72又は第2補給樋11に必要充分な遊技球を供給し易くなる。したがって、各遊技機に安定して遊技球を供給し易くなる。
【0070】
なお、遊技島内に設けられる搬送制御装置(図示省略)によって、各遊技機や各球貸機における遊技球の払出状態(例えば、遊技機での賞球払出や球貸機での貸球払出の状況)に応じて各分岐部70の開口部70aの開口面積を自動的に可変調節するような制御をしてもよい。
【0071】
次に、主に図1を参照して、遊技球回収装置2について詳しく説明する。
【0072】
遊技球回収装置2は、遊技島の長手方向に傾斜して直列に配設された二本の第1回収樋60と、下流端部61fが揚送装置3に連結され、遊技島100の長手方向に、かつ第1回収樋60と同一方向に向かって傾斜し、下流側の第1回収樋60の下流に直列に配設される第2回収樋61と、二本の第1回収樋60の間、及び第1回収樋60の下流端部60aと第2回収樋61の上流端部61aとの間に配設され、上流側の樋から供給された遊技球を下流側の樋へと搬送する球搬送ユニット12Bとを備える。遊技球回収装置2では、最上流の第1回収樋60と後述する供給ガイド部材41(図10参照)とが、また、下流側の第1回収樋60と後述する供給ガイド部材41(図10参照)と排出ガイド部材42(図10参照)とが第1傾斜流路に該当し、第2回収樋61と排出ガイド部材42(図10参照)とが第2傾斜流路に該当する。
【0073】
遊技球回収装置2では、二本の第1回収樋60と一本の第2回収樋61とを直列に配設しているが、三本以上の第1回収樋60を配設することで、遊技球回収装置2の全長を長くし、より多くの遊技機から排出される遊技球を回収することが可能である。
【0074】
第1回収樋60及び第2回収樋61は、遊技球が自重によって転動可能な傾斜角度(例えば、4分)に設定され、遊技島100の下部に固定される。第1回収樋60及び第2回収樋61は、上面が開口した樋状に形成される。
【0075】
第2回収樋61の下流端部61fは、揚送装置3の受入樋3cに段差をもって連結される(図2参照)。よって、第2回収樋61上を転動してきた遊技球は受入樋3cに落下し、揚送装置3によって上部タンク4へと揚送されることとなる。
【0076】
第2回収樋61は、長手方向中央付近から下流側に亘って形成され上流側より側壁が高く形成される第1高壁部61dと、第1高壁部61dの下流端から連続するように下流端部61fまで形成され、第1高壁部61dより側壁が更に高く形成される第2高壁部61eとを備える。第2回収樋61上では、上流側より下流側の方が、より多くの遊技機から回収した遊技球が転動する。第1高壁部61d及び第2高壁部61eは、大量の遊技球が重なり合って流れたときに、第2回収樋61から遊技球が溢れることを防止するために形成される。
【0077】
また、遊技球回収装置2には、揚送装置3の隣の遊技機から排出された遊技球を受け、第2高壁部61eを流れる遊技球に合流させるように導く逆傾斜樋62が設けられる。逆傾斜樋62は、第2回収樋61とは反対方向に傾斜し、下流端部が第2高壁部61eの上方に位置するように設けられる。これにより、揚送装置3の隣の遊技機から流下する遊技球を第2回収樋61上を転動する遊技球に合流させることができる。また、揚送装置3の隣の遊技機から流下する遊技球が遊技機の下方に設けられる揚送装置3の受入樋3c上を整列して転動する遊技球に衝突して揚送装置3への遊技球の供給に影響を及ぼすことが防止される。さらに、逆傾斜樋62から流下する遊技球は、第2回収樋61上を転動する遊技球と衝突し、撥ね上がるおそれがある。しかし、第2高壁部61eの高さは遊技球が撥ね上がる高さ以上になるように形成されているため、衝突して撥ね上がった遊技球が第2回収樋61から外に飛び出ることを防止できる。
【0078】
球搬送ユニット12Bは、遊技島100の下部に配設され、下流側の樋の上流端部が上流側の樋の下流端部よりも高い位置となるように、二本の樋を直列に連結する。球搬送ユニット12Bの構造は、後で詳細に説明する。
【0079】
第1回収樋60及び第2回収樋61は、上面が閉じられた形状に形成されてもよい第1補給樋10及び第2補給樋11とは異なり、上方の遊技機(アウトタンク)から排出された遊技球を受け入れるため、上面が開口している必要がある。各遊技機から回収される遊技球の個数は、各遊技機の下方に設けられるアウトタンクの計数部(図示省略)によって計数される。
【0080】
次に、図7及び図8を参照して、上部タンク4について詳しく説明する。
【0081】
上部タンク4は、揚送装置3によって揚送された遊技球が貯留されるタンク本体50と、隣りの遊技島100へと遊技球を受け渡し、遊技球が不足したときに隣りの遊技島100から遊技球を受け入れるバランスタンク7とを備える。
【0082】
上部タンク4は、バランスタンク7から隣の遊技島100に受け渡される遊技球と、遊技球供給装置1の補給シュート13から各遊技機に供給される遊技球とを、優先順位をつけて供給するためのタンクである。具体的には、隣の遊技島100に受け渡される遊技球が優先して供給され、残りの遊技球が遊技球供給装置1に供給される。この上部タンク4の構成は、以下の通りである。
【0083】
タンク本体50とバランスタンク7とは、一体に設けられる。タンク本体50とバランスタンク7との境界面には、タンク本体50内の遊技球をバランスタンク7に導くための上連通口49aと、この上連通口49aより下方に形成され、バランスタンク7内の遊技球をタンク本体50に導くための下連通口49bとが開口して形成される。
【0084】
バランスタンク7には、上連通口49aと連通し、隣りの遊技島100へと遊技球を受け渡すための球受渡口7aと、下連通口49bと連通し、隣りの遊技島100から遊技球を受け入れるための球受入口7bとが形成される。球受入口7bには、遊技球の受け入れ可否を開閉によって切り換え可能なシャッター(図示省略)が設けられる。
【0085】
球受渡口7a及び球受入口7bには、遊技島100間に傾斜して架けられる球受渡樋(図示省略)が連結され、隣りの遊技島100との間での遊技球の受け渡し及び受け入れは、この球受渡樋を介して行われる。
【0086】
タンク本体50は、縦長直方体の有底箱体である。タンク本体50には、揚送装置3によって揚送された遊技球を受け入れるための球受入口59が開口して形成される。球受入口59の下方には、タンク本体50の内部に固定され遊技球が転動可能な第1棚板50a〜第5棚板50eと、タンク本体50内部が遊技球で充分に満たされたときに余剰な遊技球を球貯留タンク6に導くオーバーフロー管51とが設けられる。
【0087】
第1棚板50aは、傾斜して設けられ、球受入口59から排出される遊技球を受ける。第1棚板50a上を転動する遊技球の一部は、上連通口49aを介して球受渡口7aに導かれ、残りの遊技球は第2棚板50bに導かれる。球受渡口7aにはタンク本体50から常に遊技球が供給されるため、タンク本体50の遊技球は、優先的にバランスタンク7へと送られ、隣の遊技島100に受け渡されることとなる。なお、隣の遊技島100のバランスタンク7に形成される球受入口7bにはシャッターが設けられるため、シャッターが閉じられて遊技球を受け入れない状態になっているときには、遊技球は隣の遊技島100に受け渡されない。
【0088】
第2棚板50bは、第1棚板50aと直交するように傾斜して設けられる。第2棚板50b上を転動する遊技球は、第3棚板50cに導かれる。
【0089】
第3棚板50cは、第2棚板50bと直交するように傾斜して設けられ、第1棚板50aと反対方向に傾斜している。第3棚板50cは、その下方に設けられるオーバーフロー管51の上部開口51aの上方を覆って形成される。これにより、第2棚板50bから転動してきた遊技球がオーバーフロー管51に直接流下することが防止される。第3棚板50cの下端は、下方に折り曲げられて形成されており、ここから第4棚板50dに遊技球が流下する。
【0090】
第4棚板50dは、第3棚板50cの下方に位置し、第3棚板50cと反対方向に傾斜して設けられる。第4棚板50dの下端の一部には、オーバーフロー管51が上下に挿通する。第4棚板50d上を転動する遊技球は、第4棚板50dの下端から第5棚板50e上に流下する。
【0091】
第5棚板50eは、第4棚板50dの下方に位置し、第4棚板50dと反対方向に傾斜して設けられる。第5棚板50eの下端の一部には、オーバーフロー管51が上下に連通する。第5棚板50e上を転動する遊技球は、第5棚板50eの下端から底板55上に流下する。
【0092】
第5棚板50eの内部には、球補給通路53が形成される。この球補給通路53の上流端部は、下連通口49bに臨んでおり、球受入口7bに連通する。一方、球補給通路53の下流端部は、オーバーフロー管51の内部に連通する。つまり、球受入口7bを介して隣の遊技島100から受け入れた遊技球は、タンク本体50内部には導かれず、その全てが球補給通路53からオーバーフロー管51に導かれる。
【0093】
底板55は、第5棚板50eの下方に位置し、第5棚板50eと反対方向に傾斜して設けられる。底板55の下流端には、搬送樋取付口49cが開口して形成される(図8参照)。この搬送樋取付口49cは、第1補給樋10に連通する(図7参照)。よって、底板55上を転動する遊技球は、搬送樋取付口49cから第1補給樋10に供給され、第1補給樋10上が遊技球で満たされると、余剰な遊技球は底板55上に重なり合ってタンク本体50内に貯まってゆく。
【0094】
オーバーフロー管51には、上端に位置し上向きに開口する上部開口51aが形成される。上部開口51aは、第3棚板50cと第4棚板50dとの間に形成される。タンク本体50内の遊技球が上部開口51aより上方まで貯まると、オーバーフロー管51内に遊技球が流下する。オーバーフロー管51の下端は、球貯留タンク6内に形成される。
【0095】
以上のように、タンク本体50内の遊技球は、遊技球供給装置1を介して各遊技機に供給され、第1補給樋10が遊技球で満たされるとタンク本体50内に遊技球が貯まってゆく。タンク本体50内に遊技球が充分に貯まると、タンク本体50内の余剰な遊技球がオーバーフロー管51から球貯留タンク6へと送られる。
【0096】
また、タンク本体50は、貯留されている遊技球が不足していることを検知する下リミットスイッチ52bと、遊技球が所定の高さより高い位置まで貯留されていることを検知する上リミットスイッチ52aとを備える。
【0097】
下リミットスイッチ52bは、第5棚板50eの上方であり、かつ第4棚板50dの下方に配設され、オーバーフロー管51の外周に固定される。タンク本体50内に貯留される遊技球の貯留高さが第5棚板50e程度の高さまで低くなると、遊技球によって押圧されていた下リミットスイッチ52bが押圧解除され、遊技島100内の搬送制御装置(図示省略)に信号を送らなくなる。この信号が無くなったことによって、搬送制御装置は、揚送装置3のモータ3aを作動させ、揚送された遊技球が球受入口59からタンク本体50に供給されるようにする。
【0098】
揚送装置3のモータ3aが作動してから搬送制御装置に予め設定してある所定時間が経過すると、モータ3aの作動は停止される。よって、タンク本体50内の遊技球の貯留高さが低下して揚送装置3が作動しても、そのまま揚送装置3が動作し続けて上リミットスイッチ52aが押圧される高さにまで遊技球が貯留され続けることは無い。
【0099】
一方、上リミットスイッチ52aは、第1棚板50aの上方であり、かつ球受入口59の下方の壁面に配設される。通常の運転状態では、上リミットスイッチ52aが押圧される前に揚送装置3が停止するため、上リミットスイッチ52aは押圧されないが、何らかの理由によって、球貯留タンク6及びタンク本体50が遊技球で満たされ、底板55上に重なり合ってタンク本体50内に貯留される遊技球が第1棚板50aより高く積み重なって貯留されたときには、遊技球によって上リミットスイッチ52aが押圧され、信号が搬送制御装置に送られる。この信号によって、搬送制御装置は、揚送装置3のモータ3aを強制的に停止させ、異常を係員に報知する。
【0100】
次に、図9から図16を参照して、遊技球供給装置1及び遊技球回収装置2の球搬送ユニット12A,12B周辺について詳しく説明する。ここでは、遊技球供給装置1における第1補給樋10と第2補給樋11との間に配設された球搬送ユニット12Aを例にとって説明するが、以下に相違点として示す構成を除いて、二本の第1補給樋10間に設けられる球搬送ユニット12A、及び遊技球回収装置2に設けられる球搬送ユニット12Bも同一の構成である。
【0101】
図9に示すように、球搬送ユニット12Aは、遊技島100の上部に締結される基台19と、基台19に取り付けられたカバー部材15とを備え、カバー部材15内には、球搬送ユニット12Aを構成する各部材が収容される。
【0102】
カバー部材15には、第1補給樋10の誘導樋71から供給された遊技球を球搬送ユニット12A(カバー部材15)内に受け入れる球受入部16aと、球搬送ユニット12A(カバー部材15)内から第2補給樋11へ遊技球を排出する球排出部16b(図10参照)とが開口して形成される。
【0103】
一方、図12に示すように、二本の第1補給樋10間に設けられる球搬送ユニット12Aは、上流側の第1補給樋10の誘導樋71から供給された遊技球を球受入部16aを介して受入れ、球排出部16bを介して下流側の第1補給樋10の共通樋73へ遊技球を排出する点で、第1補給樋10と第2補給樋11との間に設けられる球搬送ユニット12Aと相違する。また、図1に示すように、遊技球回収装置2の球搬送ユニット12Bは、第1回収樋60から供給された遊技球を球受入部16aを介して受入れ、球排出部16bを介して下流側の第1回収樋60又は第2回収樋61へ遊技球を排出する点で、球搬送ユニット12Aと相違する。
【0104】
図10に示すように、カバー部材15内には、球受入部16aからの遊技球を保持して球排出部へ向けて搬送する回転体20が収容される。
【0105】
回転体20は、遊技島100の短手方向に延びる回転軸20aを中心に回転し、外周縁に配設された磁性体の磁力によって遊技球を外周面に吸着して搬送するものである。ここで、回転体20の外周縁とは、回転体20の外周面と、その外周面よりも小径な円とで囲まれた環状領域のことを指す。
【0106】
回転体20の回転軸20aの両端は、カバー部材15の一対の側壁15aに支持された軸受(ベアリング)18にて回転自在に支持される。
【0107】
基台19上には、回転体20を回転駆動するためのモータ32が固定され、モータ32の出力軸にはプーリ33が結合される。回転体20の回転軸20aにもプーリ34が結合され、プーリ33とプーリ34にはベルト35が掛け回される。このモータ32,プーリ33,プーリ34,及びベルト35が回転体駆動部に該当する。
【0108】
モータ32が回転駆動することによって、その回転がプーリ33,34及びベルト35を介して回転体20に伝達され、回転体20が回転軸20aを中心に回転する。回転体20は、図10において反時計回りに回転する。
【0109】
図11に示すように、回転体20は、軸中心に回転軸20aを有するベースドラム21と、ベースドラム21の外周に沿って配設され、磁性体を保持する磁石ガイド22とを備える。
【0110】
ベースドラム21は、軟磁性体にて構成された円筒状の胴部21aと、胴部21aの両端開口部を閉塞し回転軸20aを支持する両端面21bとからなる中空状の部材である。このように、ベースドラム21の外周部は、軟磁性体にて構成される。なお、軟磁性体としては、例えば、SUS430等のフェライト系ステンレス鋼が用いられる。
【0111】
磁石ガイド22は、長辺がベースドラム21の外周長さと同等であり、可撓性を有する細長いシート状の部材であり、ベースドラム21の外周に巻き付けられて配設される。磁石ガイド22は、ゴム製であり、非磁性体にて構成される。
【0112】
なお、磁石ガイド22は、非磁性体であれば、常磁性の金属、合成樹脂、又はセラミックス製でもよく、その場合、磁石ガイド22が可撓性を有さない場合には、環状に形成してベースドラム21の外周に嵌挿される。
【0113】
磁石ガイド22には、硬磁性体23を保持する複数の保持部22aが上下面を貫通して形成される。保持部22aは、磁石ガイド22の短手方向に延在し、かつ磁石ガイド22の長手方向に所定間隔を空けて形成される。
【0114】
各保持部22a内には、磁力によって遊技球を吸着するための板状の硬磁性体23がぴったりと装着される。磁石ガイド22がベースドラム21の外周に巻き付けられることによって、各硬磁性体23は、回転軸20a方向に延在し、かつ回転体20周方向に所定間隔を空けて配設される。
【0115】
磁石ガイド22の外周には、硬磁性体23の脱落を防止するための磁石カバー26が装着される。磁石カバー26は、内周面に糊等の粘着物が塗布された薄く細長いフィルム状のものである。
【0116】
なお、硬磁性体23の脱落を防止するための手段として、磁石カバー26を用いずに、磁石ガイド22に硬磁性体23を係止する構造を設けてもよい。
【0117】
以上のように、ベースドラム21の外周に沿って硬磁性体23を保持した磁石ガイド22が配設されることによって、回転体20の外周縁には、硬磁性体23が回転体20周方向に所定間隔を空けて配設されると共に、隣り合う硬磁性体23の間にはゴム製の磁石ガイド22を通じて軟磁性体のベースドラム21が臨むことになる。このように、回転体20の外周縁には、硬磁性体23と軟磁性体が、回転体20周方向に交互に配設される。
【0118】
なお、磁石ガイド22を設けずに、ベースドラム21の外周に硬磁性体23を隙間なく配設してもよい。このときも、硬磁性体23の磁力によって回転体の外周面全体に遊技球を吸着し、大量の遊技球を搬送することが可能である。
【0119】
本明細書において、硬磁性体とは、外部磁場が加わっても磁化し難く、また、一度磁化したらその残留磁化を強く保つ磁性体を指し、永久磁石を含む。
【0120】
また、軟磁性体とは、外部磁場に対して磁化が磁場方向に揃い易く、また、残留磁化の保持力が小さい磁性体を指す。
【0121】
また、非磁性体とは、磁界と相互作用を及ぼさないものを指す。
【0122】
図12に示すように、遊技球供給装置1は、球受入部16aに対応して配設され第1補給樋10の下流端部10bに臨んで第1補給樋10から供給された遊技球を球搬送ユニット12Aに導く供給ガイド部材41と、球排出部16bに対応して配設され下流側の第1補給樋10の上流端部10a(又は第2補給樋11の上流端部11a)に臨んで球搬送ユニット12Aによって搬送された遊技球を下流側の第1補給樋10(又は第2補給樋11)に導く排出ガイド部材42とをさらに備える。下流側の第1傾斜流路は、供給ガイド部材41及び排出ガイド部材42を備えるが、最上流の第1傾斜流路は、球搬送ユニット12Aではなく上部タンク4からの遊技球を受け入れるため、排出ガイド部材42を備えず、供給ガイド部材41のみを備える。
【0123】
また、遊技球回収装置2にも同様に供給ガイド部材41と排出ガイド部材42とが設けられるが、遊技球回収装置2には、回転体20の上方に配設され、上方の遊技機(アウトタンク)から排出された遊技球から回転体20を保護し、排出された遊技球を排出ガイド部材42に導く保護ガイド部材(図示省略)が更に設けられる点で遊技球供給装置1と相違する。
【0124】
供給ガイド部材41は、遊技球が転動する転動面41aと、転動面41aの両側に立設して形成され遊技球の落下を防止するための一対のガイド壁41bとからなる断面コの字状の部材であり、非磁性体にて構成される。
【0125】
供給ガイド部材41は、カバー部材15の球受入部16aを挿通し、ガイド壁41bがカバー部材15の一対の側壁15aに支持される。
【0126】
第1補給樋10の誘導樋71は、下流端部10bが供給ガイド部材41内に挿入されて、供給ガイド部材41と連通する。供給ガイド部材41を誘導樋71と別体に形成せず、一体に形成してもよい。供給ガイド部材41は、誘導樋71から回転体20に向けて下り傾斜して配設され、供給ガイド部材41の転動面41aは、誘導樋71の遊技球が転動する転動面71cと比較して傾斜が大きい。
【0127】
誘導樋71と供給ガイド部材41は、転動面71cと転動面41aが遊技球1個分以上の段差43をもって連通する。つまり、誘導樋71の下流端部10bと供給ガイド部材41の転動面41aとの間には、遊技球1個分以上の段差43が形成される。これにより、誘導樋71の下流端部10bから供給された遊技球は、段差43を落下して供給ガイド部材41の転動面41aに導かれる。
【0128】
供給ガイド部材41の転動面41aの下流側は、回転体20の外周面と遊技球が通過不能な隙間をもって対向する。これにより、供給ガイド部材41に導かれるゴミ等の異物のみが、転動面41aと回転体20の外周面との間を通過するため、供給ガイド部材41を転動する遊技球の落下を防止しつつ、供給ガイド部材41に導かれる異物を取り除くことができる。
【0129】
ここで、回転体20は、供給ガイド部材41から供給される遊技球を回転軸20aの上方を経由して排出ガイド部材42に搬送する方向に回転する。つまり、回転体20の外周面が供給ガイド部材41を転動する遊技球の転動方向と反対向きに動くように回転する。よって、供給ガイド部材41の転動面41aを転動してくる遊技球を転動面41a上に留まらせ、次々と吸着することが可能である。
【0130】
以上のように、供給ガイド部材41は、誘導樋71と回転体20とに亘って配設され、誘導樋71を転動し下流端部10bから供給された遊技球を回転体20へと導くものである。
【0131】
図13に示すように、カバー部材15の一対の側壁15aには、供給ガイド部材41の傾斜に沿って延在するガイド部81が開口して形成される。また、供給ガイド部材41の一対のガイド壁41bのそれぞれには、ガイド部81に沿って摺動して案内される摺動部82が設けられる。摺動部82は、供給ガイド部材41の上流側に設けられる第1摺動部82aと、下流側に設けられる第2摺動部82bとからなる。供給ガイド部材41は、第1摺動部82a及び第2摺動部82bがガイド部81に沿って案内されることによって、カバー部材15の側壁15aに沿ってスライドする。
【0132】
供給ガイド部材41のガイド壁41bの上流端部には、供給ガイド部材41をスライドさせるために作業者が掴むための把持部84が設けられる。把持部84は、ガイド壁41bの上流端部から外側に向かって突出して形成される。
【0133】
通常状態では、図13(a)に示すように、第1摺動部82aはガイド部81の上端部に位置し、供給ガイド部材41は、カバー部材15の球受入部16aを挿通し、上流側がカバー部材15から突出して誘導樋71の下流端部10bに臨んだ第1状態である。この第1状態では、供給ガイド部材41は、誘導樋71と連通した状態となるため、誘導樋71から供給される遊技球を回転体20へと導くことが可能となる。なお、この第1状態で供給ガイド部材41のスライドを防止するため、供給ガイド部材41を固定するためのボルト83(締結部材)がカバー部材15の側壁15a,15bを挿通して設けられる。ボルト83の先端側は、供給ガイド部材41のガイド壁41bに形成された締結穴41c螺合する。
【0134】
球搬送ユニット12Aのメンテナンスや交換を行う際には、球搬送ユニット12Aを遊技球供給装置1に対して着脱する必要がある。その場合には、ボルト83を緩めた後、把持部84を掴み、供給ガイド部材41をカバー部材15内に押し込む。これにより、供給ガイド部材41は、摺動部82がガイド部81に沿って案内されてスライドし、球受入部16aを横切るようにしてカバー部材15内に進入して収納された第2状態となる。このように、供給ガイド部材41は、スライドしてカバー部材15内に収容される。この第2状態では、第2摺動部82bはガイド部81の下端部に位置すると共に、把持部84は球受入部16aの開口縁に係止されて、それ以上の供給ガイド部材41の進入が規制される。なお、この第2状態でも、ボルト83が供給ガイド部材41のガイド壁41bに形成された締結穴に螺合され、供給ガイド部材41のスライドが防止される。
【0135】
以上のように、供給ガイド部材41は、カバー部材15から突出することで誘導樋71の下流端部10bに臨む第1状態と、スライドしてカバー部材15に進入することで誘導樋71の下流端部10bから退避する第2状態とに変換可能に構成される。
【0136】
図13に示すように、ガイド部81は、供給ガイド部材41の傾斜に沿って延在するメインガイド部81aと、供給ガイド部材41の後退限に対応して形成されメインガイド部81aと比較して傾斜が小さいサブガイド部81bとからなる。
【0137】
第1状態では、第1摺動部82a及び第2摺動部82bは、双方ともメインガイド部81a内に位置する。したがって、第1状態では、供給ガイド部材41の転動面41aの下流側は、回転体20の外周面と遊技球が通過不能な隙間をもって対向する。
【0138】
これに対して、第2状態では、第1摺動部82aはメインガイド部81a内に位置し、第2摺動部82bはサブガイド部81b内に位置する。したがって、第2状態では、供給ガイド部材41の転動面41aの傾斜が第1状態と比較して小さくなる。これにより、図13(b)に示すように、供給ガイド部材41の下流端部が基台14に当たることが防止されると共に、供給ガイド部材41の転動面41aの下流側が回転体20の外周面に当接する。このように、第2状態では、供給ガイド部材41の転動面41aと回転体20の外周面とが当接するため、回転体20の回転が規制される。したがって、球搬送ユニット12Aのメンテナンスや交換に伴う着脱時において、供給ガイド部材41を第2状態に変換して遊技島100から取り外す場合においても、回転体20の回転が規制されるため、回転体20の外周面に吸着された遊技球のカバー部材15内での散乱を防止することが可能となる。
【0139】
なお、サブガイド部81bの傾斜は、供給ガイド部材41が後退限において、転動面41aが回転体20の外周面に当接するのであれば制限はなく、水平又はメインガイド部81aとは逆向きの傾斜にて形成するようにしてもよい。
【0140】
図14(a)に示すように、供給ガイド部材41には、転動面41aの下流端部に突出して形成され、遊技球の転動を規制する規制片85が設けられる。規制片85は、先端に向かって細くなる形状に形成される。
【0141】
図14(a)に示すように、第1状態では、供給ガイド部材41は、規制片85にて転動を規制された遊技球が回転体20の外周面に吸着可能なように、転動面41aが回転体20の外周面と所定隙間をもって対向して配設される。これにより、第1状態にある供給ガイド部材41を転動する遊技球の落下を確実に防止することができる。また、球搬送ユニット12Aのメンテナンスを行うにあたって、供給ガイド部材41が第1状態のままで回転体20を逆回転させるような場合においても、供給ガイド部材41からの遊技球の落下を防止することができる。換言すれば、供給ガイド部材41の下流端部に規制片85を設けることによって、回転体20を逆回転させて球搬送ユニット12Aのメンテナンスを行うことが可能となる。
【0142】
図14(b)に示すように、第2状態では、供給ガイド部材41の転動面41aの下流側が回転体20の外周面に当接すると共に、規制片85が回転体20の外周面に係合する。したがって、球搬送ユニット12Aのメンテナンスや交換に伴う着脱時において、回転体20の回転をより確実に規制することが可能となる。
【0143】
図12に示すように、排出ガイド部材42は、遊技球が転動する転動面42cと、転動面42cの両側に立設して形成され遊技球の落下を防止するための一対のガイド壁42bとからなる断面コの字状の部材であり、非磁性体にて構成される。
【0144】
排出ガイド部材42は、カバー部材15の球排出部16bを挿通し、ガイド壁42bがカバー部材15の一対の側壁15aに支持される。
【0145】
排出ガイド部材42は、下流端部42dが下流側の第1補給樋10内に挿入されて、下流側の第1補給樋10と連通する。ここでは、二本の第1補給樋10間に配けられる球搬送ユニット12Aを例にとって説明しているため、排出ガイド部材42は下流側の第1補給樋10に連通するが、第1補給樋10と第2補給樋11との間の球搬送ユニット12Aの場合には、排出ガイド部材42は第2補給樋11に連通する。
【0146】
排出ガイド部材42を下流側の第1補給樋10と別体に形成せず、一体に形成してもよい。排出ガイド部材42の転動面42cは、下流側の第1補給樋10の転動面10cより小さく傾斜する(例えば、1.5分)。
【0147】
下流側の第1補給樋10は、遊技球が自重で転動可能な最低限の角度以上にて傾斜して形成されるため、下流側の第1補給樋10より小さく傾斜して形成される排出ガイド部材42は、遊技球が自重のみでは転動不可能な角度に形成されることがある。
【0148】
しかしながら、排出ガイド部材42には、回転体20から次々と遊技球が搬送されてくるため、転動面42c上の遊技球は後ろから搬送されてくる遊技球に押されて転動することとなる。よって、転動面42cの傾斜が遊技球が自重のみでは転動不可能な角度であっても遊技球は下流側の第1補給樋10へと転動する。そのため、排出ガイド部材42を下流側の第1補給樋10より小さく傾斜して形成することができる。なお、排出ガイド部材42を傾斜させずに、水平に形成してもよい。
【0149】
ここで、排出ガイド部材42を設けずに、下流側の第1補給樋10が球搬送ユニット12Aと摺接するまで長く形成された場合と比較する。この場合、下流側の第1補給樋10における上流端部11aの鉛直方向の高さは、下流側の第1補給樋10の傾斜角度と長さに依存して定まる。つまり、同一の傾斜角度であれば、下流側の第1補給樋10の長さによって、下流側の第1補給樋10における上流端部11aの鉛直方向の高さ、即ち上流側の第1補給樋10の下流端部10bとの高低差が定まる。
【0150】
これに対して、遊技球供給装置1では、球搬送ユニット12Aと下流側の第1補給樋10との間に排出ガイド部材42が設けられる。よって、排出ガイド部材42が設けられる分、下流側の第1補給樋10の長さは短くなるため、その分だけ下流側の第1補給樋10における上流端部10aの鉛直方向の高さを低くすることができる。
【0151】
換言すれば、排出ガイド部材42は、下流側の第1補給樋10が短くなった分を補うように設けられることになる。排出ガイド部材42は、下流側の第1補給樋10より小さく傾斜して形成されるため、排出ガイド部材42を設けずに、下流側の第1補給樋10が球搬送ユニット12Aと摺接するまで長く形成する場合と比べると、排出ガイド部材42を設けたときの下流側の第1補給樋10と排出ガイド部材42とを合わせた鉛直方向の高さの方が低くなる。
【0152】
以上のように、下流側の第1補給樋10が短くなった分を補うように、傾斜角度の小さな排出ガイド部材42が設けられるため、下流側の第1補給樋10と排出ガイド部材42とを合わせた鉛直方向の高さは、排出ガイド部材42を設けずに下流側の第1補給樋10が球搬送ユニット12Aと摺接するまで長く形成する場合より小さくなる。よって、上流側の第1補給樋10の下流端部10bと排出ガイド部材42の上流端部42aとの高低差は小さくなるため、回転体20の径を小さくすることができる。したがって、球搬送ユニット12Aの鉛直方向の高さを低くすることができ、遊技球供給装置1の鉛直方向の高さを抑制することができる。
【0153】
また同様に、遊技球回収装置2の球搬送ユニット12Bの鉛直方向の高さを低くすることができる。よって、遊技球回収装置2を設けるために遊技機下方に必要とされるスペースが小さくなり、図1に示すように床面との間に空間65が形成され、遊技島100は、支柱64のみで支持されることとなる。この空間65は、遊技者が足を入れるレッグスペースとして使用される。
【0154】
排出ガイド部材42の上流端部42aは、回転体20の外周面に摺接する。回転体20の外周面に吸着して搬送される遊技球は、排出ガイド部材42の上流端部42aに当接することによって、回転体20の外周面から離れて排出ガイド部材42内に誘導され、下流側の第1補給樋10へと導かれる。
【0155】
このように、排出ガイド部材42は、下流側の第1補給樋10と回転体20との間に亘って配設され、回転体20の外周面に吸着して搬送される遊技球を下流側の第1補給樋10へと導くものである。なお、排出ガイド部材42の上流端部42aが回転体20の外周面に摺接するものとしたが、遊技球が通過不可能な間隙を空けて近接させるようにしてもよい。
【0156】
以上のように、上流側の第1補給樋10と下流側の第1補給樋10とは、下流側の第1補給樋10の上流端部10aが上流側の第1補給樋10の誘導樋71の下流端部10bよりも高い位置となるように配設され、誘導樋71から供給ガイド部材41を通じて回転体20に導かれた遊技球は、磁力によって回転体20の外周面に吸着する。そして、回転体20の回転によって排出ガイド部材42に搬送され、下流側の第1補給樋10に導かれる。
【0157】
ところで、遊技機等に供給される遊技球が少ない場合には、遊技球供給装置1内の遊技球が多くなり過剰になってしまう場合がある。この対策として、図10に示すように、排出ガイド部材42のガイド壁42bには開口部が形成され、下流側の第1補給樋10が遊技球にて満たされた状態を検出するオーバーフローセンサ47が配設される。下流側の第1補給樋10をオーバーフローした遊技球が排出ガイド部材42に進入した場合には、オーバーフローセンサ47が遊技球にて押圧され、オーバーフローセンサ47から搬送制御装置に信号が出力される。搬送制御装置は、回転体20の回転を停止させるべくモータ32に停止指令を出力する。これにより、球搬送ユニット12Aの運転が停止されるため、上流側の第1補給樋10から下流側の第1補給樋10への遊技球の搬送が停止される。
【0158】
次に、主に図10及び図12を参照して、遊技球供給装置1による遊技球の供給について説明する。
【0159】
第1補給樋10の誘導樋71を転動する遊技球は、誘導樋71から供給ガイド部材41を通じて回転体20へと導かれる。
【0160】
ここで、供給ガイド部材41の転動面41aは、誘導樋71の転動面71cと比較して傾斜が大きいため、遊技球は供給ガイド部材41の転動面41a上を勢いよく転動する。よって、転動面41a上に遊技球が連なった状態になっても、後から供給ガイド部材41へと供給される遊技球は、その連なった遊技球に乗り上げて遊技球上を転動するため、回転体20の外周面近傍まで到達し易い。
【0161】
これに対して、供給ガイド部材41の転動面41aの傾斜が、第1補給樋10の転動面10cの傾斜と比較して同等又は小さい場合には、供給ガイド部材41を転動する遊技球の勢いが弱いため、後から供給ガイド部材41へと供給される遊技球は、連なった遊技球上を転動することができず、第1回収樋60と供給ガイド部材41の接続部近傍に堆積し、回転体20の外周面まで到達し難い。
【0162】
また、誘導樋71の下流端部10bと供給ガイド部材41の転動面41aとの間には、遊技球1個分以上の段差43が形成されるため、転動面41a上に遊技球が連なった状態になっても、後から供給ガイド部材41へと供給される遊技球は、その連なった遊技球上に供給されるため、回転体20の外周面近傍まで到達し易い。
【0163】
これに対して、誘導樋71の下流端部10bと供給ガイド部材41の転動面41aとの間に段差がなく、双方が滑らかに連通している場合には、遊技球が積み重なり難いため、後から供給ガイド部材41へと供給される遊技球は、回転体20の外周面まで到達し難い。
【0164】
以上のように、供給ガイド部材41の傾斜を大きくし、かつ誘導樋71との間に段差43を形成することによって、誘導樋71から供給される遊技球を、供給ガイド部材41の転動面41aと回転体20の外周面とで囲まれた磁界の影響を受け易い領域へと流れ込ませることができる。これにより、回転体20の外周面近傍の遊技球の個数が多くなるため、磁界の作用によって回転体20の外周面に遊技球が吸着され易くなる。
【0165】
供給ガイド部材41によって回転体20の外周面近傍まで到達した遊技球は、回転体20の外周縁に配設された硬磁性体23が及ぼす磁界によって、硬磁性体23に吸着される。
【0166】
硬磁性体23に吸着された遊技球は磁化されるため、その磁化された遊技球に他の遊技球が吸着されて磁化される。このようにして、図15(a)に示すように、遊技球は数珠状に吸着される。
【0167】
また、数珠状に吸着された遊技球は磁化されているため、これらの遊技球の磁場によって、軟磁性体であるベースドラム21の胴部21aも磁化される。これにより、数珠状に吸着された遊技球は、磁石ガイド22と磁石カバー26を隔ててベースドラム21の胴部21aに引き寄せられる。このように、硬磁性体23、数珠状に吸着した遊技球、及び軟磁性体の胴部21aによって、回転体20の外周縁には磁気回路が構成されるため、図15(a)に示すように、遊技球は、各硬磁性体23を基点として、回転体20の外周面に数珠状に吸着される。
【0168】
ここで、仮に、ベースドラム21の胴部21aが非磁性体である場合には、胴部21aは磁化されないため、回転体20の外周縁に磁気回路が構成されない。この場合には、図15(b)に示すように、遊技球は、硬磁性体23を基点として数珠状には吸着されるものの、回転体20の外周面には吸着されず、重力によって鉛直下方へとぶら下がった状態となる。したがって、数珠状に吸着される遊技球の個数には限界があり、多くの遊技球を搬送することができない。また、遊技球の重さによっては落下するため、効率良く遊技球を搬送することができない。
【0169】
また、仮に、供給ガイド部材41が軟磁性体である場合には、供給ガイド部材41内の遊技球が硬磁性体23に吸着された際、硬磁性体23、供給ガイド部材41内の遊技球、及び供給ガイド部材41にて磁気回路が構成される。このため、硬磁性体23と供給ガイド部材41とに亘って遊技球が連なってしまい、遊技球は、回転体20の外周面に効率良く吸着されない。このことから、供給ガイド部材41が非磁性体であることは、効率良く遊技球を搬送するための要件となる。供給ガイド部材41は、例えば、SUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼にて構成される。
【0170】
供給ガイド部材41を非磁性体にて構成すると、回転体20と誘導樋71とは非磁性体によって隔てられることになるため、誘導樋71を転動する遊技球に対して磁界が及び難い構成となる。そのため、誘導樋71は、材料選定にあたって制約がなく、コストの面から自由に選定することができる。例えば、SUS304よりも安価であり、軟磁性体であるSUS430にて構成することもできる。
【0171】
回転体20の外周面に数珠状に吸着された遊技球は、回転体20の回転に伴って搬送され、回転体20の外周面に摺接する排出ガイド部材42の上流端部42aに当接することによって、回転体20の外周面から離れて排出ガイド部材42内に誘導され、第2補給樋11に導かれる。このようにして、誘導樋71から供給された遊技球は、第2補給樋11へと搬送される。
【0172】
硬磁性体23の配列としては、図16(a)に示すように、隣り合う硬磁性体23を、S極とN極が対向するようにして配設するのが望ましい。このように硬磁性体23を配設することによって、遊技球は隣り合う硬磁性体23に亘って吸着されるため、回転体20の外周面により多くの遊技球を吸着させることができる。したがって、遊技球の搬送効率が向上する。
【0173】
また、図16(a)では、回転体20の周方向にN極とS極が着磁された硬磁性体23を示したが、図16(b)に示すように、回転体20の径方向にN極とS極が着磁された硬磁性体23を用いてもよい。
【0174】
以上の実施の形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0175】
遊技球供給装置1では、第1補給樋10は分岐部70から誘導樋71と供給樋72とに分岐し、誘導樋71に誘導された遊技球は下流側の第2補給樋11に誘導されるため、第1補給樋10の下方(近傍)の遊技機に大当たりが集中して多量の遊技球が供給されるような場合でも、第2補給樋11の下方の遊技機に対して必要十分な数の遊技球を供給することができる。したがって、各遊技機に安定して遊技球を供給することができる。
【0176】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【0177】
例えば、図17に示すように、第1補給樋における誘導樋71と供給樋72との上下関係を逆にし、誘導樋71を供給樋72の下方に配設してもよい。このように配設すると、供給樋72が遊技機から上方に離れるため補給シュート13の先端に付けるジャバラ(図示省略)の長さは長くなるが、誘導樋71が遊技機に近づき誘導樋71の下流端部の位置が低くなるため、球搬送ユニット12Aの取り付け位置を低くでき、遊技球供給装置1の鉛直方向高さを更に抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本発明の遊技球供給装置は、遊技機に遊技球を供給する装置として適用することができる。なお、遊技機としては、前記実施の形態に示されるようなパチンコ遊技機に限られるものではなく、例えば、その他のパチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機、スロットマシンなどの遊技球を使用する全ての遊技機に適用可能である。
【符号の説明】
【0179】
100 遊技島
101 遊技球搬送装置
1 遊技球供給装置
2 遊技球回収装置
3 揚送装置
4 上部タンク
6 球貯留タンク
7 バランスタンク
10 第1補給樋
11 第2補給樋
12A 球搬送ユニット
20 回転体
41 供給ガイド部材
42 排出ガイド部材
63 開口孔
70 分岐部
70a 開口部
70b ダクト
71 誘導樋
72 供給樋
73 共通樋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技機が配列された遊技島に設けられ、各遊技機で用いられる遊技球を供給する遊技球供給装置において、
前記遊技島の長手方向に傾斜して配設され、遊技球が転動可能な第1傾斜流路と、
前記遊技島の長手方向に傾斜して前記第1傾斜流路の下流に直列に配設され、その上流端部が前記第1傾斜流路の下流端部よりも高い位置に設けられる第2傾斜流路と、
前記第1傾斜流路の下流端部から供給される遊技球を、前記第2傾斜流路の上流端部に搬送する球搬送ユニットと、を備え、
前記第1傾斜流路は、
その上流側に形成された分岐部から分岐し、前記球搬送ユニットに遊技球を誘導するための誘導流路と、
前記分岐部から分岐し、当該第1傾斜流路の下方に配設された遊技機に遊技球を供給するための供給流路とを備えることを特徴とする遊技球供給装置。
【請求項2】
前記球搬送ユニットは、
回転軸を中心に回転し、前記第1傾斜流路の下流端部から供給された遊技球を外周面に吸着し、前記回転軸の上方を経由して搬送し前記第2傾斜流路の上流端部に排出する回転体と、
前記回転体の外周縁に配設され、前記誘導流路の下流端部から供給された遊技球を磁力によって外周面に吸着する磁性体と、
前記回転体を回転駆動するための回転体駆動部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の遊技球供給装置。
【請求項3】
前記磁性体は、
前記回転体の外周縁の周方向に所定の間隔をあけて配設される硬磁性体と、
前記硬磁性体と交互に配設され、前記硬磁性体に吸着した遊技球と磁気回路を構成する軟磁性体と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の遊技球供給装置。
【請求項4】
前記第1傾斜流路は、前記誘導流路の下流側に配設され、当該誘導流路から供給された遊技球を前記回転体に導く供給ガイド部材を備え、
前記誘導流路は、遊技球が自重によって転動可能な角度で傾斜して形成され、
前記供給ガイド部材は、前記誘導流路よりも大きく傾斜して形成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の遊技球供給装置。
【請求項5】
前記誘導流路と前記供給ガイド部材とは、別体に形成され、
前記供給ガイド部材は、その球転動面が前記誘導流路の下流端部の下方に遊技球一個分以上の段差を設けて配設されることを特徴とする請求項4に記載の遊技球供給装置。
【請求項6】
前記供給ガイド部材の球転動面は、前記回転体の外周面と遊技球が通過不可能な隙間をもって対向することを特徴とする請求項4又は5に記載の遊技球供給装置。
【請求項7】
前記第1傾斜流路は、前記遊技島の長手方向に沿って直列に複数設けられ、下流側に位置する第1傾斜流路の上流端部が、上流側に位置する第1傾斜流路の下流端部よりも高い位置に設けられてなり、
各第1傾斜流路の間には前記球搬送ユニットを設け、当該球搬送ユニットによって前記搬送方向の上流側に位置する第1傾斜流路の下流端部から供給される遊技球を、前記搬送方向の下流側に位置する第1傾斜流路の上流端部に搬送するよう構成し、
各第1傾斜流路に設けられる各分岐部は、各供給流路及び前記第2傾斜流路に流入する遊技球の量が均等になるように前記誘導流路と前記供給流路への遊技球の分岐量の割合が設定されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の遊技球供給装置。
【請求項8】
前記分岐部は、開口面積を変更することによって遊技球の前記分岐量が変更可能であることを特徴とする請求項7に記載の遊技球供給装置。
【請求項9】
前記球搬送ユニットの下流側に配設される前記第1傾斜流路は、その上流側に設けられ前記回転体により搬送された遊技球を受け入れる排出ガイド部材と、
前記排出ガイド部材の下流側に設けられ、前記排出ガイド部材から導かれた遊技球が前記分岐部へと転動可能な分岐前流路と、を備え、
前記分岐前流路は、遊技球が自重によって転動可能で傾斜して形成され、
前記排出ガイド部材は、前記分岐前流路よりも小さく傾斜して形成されることを特徴とする請求項7又は8に記載の遊技球供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−139756(P2011−139756A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1187(P2010−1187)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(507157919)株式会社エビスワーク (34)
【出願人】(390025601)株式会社西陣 (107)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】