説明

遊技盤ユニット

【課題】発光手段を有する流入ユニットにおいて、遊技領域内におけるスペース効率の向上に寄与しつつ、遊技媒体の流下方向を変化させる流路変更機能を発揮できる流入ユニット及び遊技盤ユニットを提供すること。
【解決手段】この流入ユニット29は、遊技領域を流下する遊技媒体23が流入可能な流入開口29aと、流入開口29aの下方に配置された第一発光部29bと、流入開口29aの側方から下方に向かって配置され、第一発光部29bの側方を覆う流路変更部29eと、を有し、流路変更部29eは、遊技領域を流下する遊技媒体23を流入開口29aから離間する方向に向けて誘導可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤ユニットに係り、遊技媒体の流下方向を変化させる流路変更部を有する遊技盤ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機においては、弾球された球が遊技領域(遊技盤面上又はその近傍に形成された領域であって、球の流下による遊技や演出を実現するための領域。)を流下して、その流下の過程で球が遊技領域内の遊技釘(ゲージともいう。)や風車に衝突しつつ転回して流下方向が変化する。その結果、遊技領域上に配置された各種入賞口に球が入賞すれば所定の景品球払出しがされ、一方いずれの入賞口にも入賞せずアウト口に球が流入すれば景品球払出しはされない。遊技者は、弾球における自らの技量を発揮して、又は球の流下における偶然性を利用しつつ球の入賞及び景品球払出しを期待し、遊技を楽しむのである。このパチンコ機の遊技領域に配置される入賞口には、例えば普通入賞口、始動入賞口、大入賞口等の様々なものがある。
【0003】
また、近年遊技機の遊技性が複雑化しており、例えば遊技領域に複数の入賞口を設け、遊技状態に基づいて遊技媒体を流入させる入賞口を異ならせるように構成された遊技機が提供されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、発光手段を備えた流入ユニットが記載されている。この流入ユニットは、球が入球可能な開口部と、開口部への球の流入が容易な状態と困難な状態とを実現する開閉羽根部材と、流入ユニットを遊技盤に取り付けるための台板と、台板に配置された発光手段と、を備えている。発光手段は、台板の遊技盤と対向する面に形成された凹部に配置されている。台板の前方には、開口部及び開閉羽根部材が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−144222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の流入ユニットは、台板に発光手段が配置されているため、発光手段を有しない流入ユニットに比べて台板の寸法が大きくなる。遊技領域には、流入ユニットのみならず、遊技釘、通過ゲート等、各種遊技部品が配置されており、限られた遊技領域においては流入ユニットの寸法は小さいことが望ましい。台板の寸法が大きくなると、遊技釘や入賞口等他の遊技役物の配置スペースが少なくなり、限られた遊技領域の有効活用を図ることが困難である。
【0007】
また、遊技領域を流下する遊技媒体は、遊技領域に配置された遊技釘、各種入賞口に衝突しつつ転回して、その流路を変更しつつ遊技領域を流下する。この遊技媒体の流路を変更させる遊技釘は、遊技者が遊技媒体の流入を期待する開口部の近傍に配置されていることが多い。流入ユニットの開口部の近傍に遊技釘を配置することにより、開口部の近傍で遊技媒体の流路を変化させつつ、開口部に遊技媒体が流入するか否かの遊技者の期待感を高めることができる。
【0008】
この遊技釘は、遊技領域が形成される遊技盤に打ち込まれて遊技盤に固定される。一方、流入ユニットは、遊技盤に形成された穴部に挿入されて、遊技盤に固定される。いずれも遊技盤に挿入されて固定されるため、流入ユニットと遊技釘との距離が近すぎると、遊技盤の耐久性が低下する。したがって、流入ユニットと遊技釘は、一定間隔を空けて配置され、流入ユニットの開口部と隣接して遊技釘を配置することは困難だった。更に、流入ユニットの寸法が発光手段を設けることにより大きくなると、遊技釘と流入ユニットの開口部との間隔は更に大きくなり、開口部の近傍に遊技釘を配置することができなかった。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、遊技領域におけるスペース効率の向上に寄与しつつ、遊技媒体の流入開口の近傍において流下方向を変化させる機能を発揮できる遊技盤ユニットを提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての流入ユニットは、遊技領域を流下する遊技媒体が流入可能な流入開口と、流入開口の下方に配置された第一発光部と、流入開口の側部から下方に向かって配置され、第一発光部の側方を覆う流路変更部と、を有する流入ユニットであって、流路変更部は、遊技領域を流下する遊技媒体を流入開口から離間する方向に向けて誘導可能に構成される。
【0011】
この流入ユニットが遊技盤に取り付けられた状態において、流入ユニットの近傍の遊技領域を流下する遊技媒体は、流入開口に流入したり、流入開口と衝突して流入開口に流入せずに遊技領域を流下したりする。この流入開口に流入せずに流下する遊技媒体の中には、流入開口に衝突した後に、流入開口の側方を流下するものもある。流入開口の側部には、流路変更部が設けられているため、この流路変更部によって流入開口から離間する方向に遊技媒体を誘導することが可能となる。すなわち、流入開口の側部に流路変更部が設けられているため、流入開口の近傍で遊技媒体の流路を変更することが可能となる。
【0012】
具体的には、例えば、流入開口の上方から流下する遊技媒体のみ流入開口に流入させ、他の方向から流入開口に向かう遊技媒体が流入開口に流入するのを阻止するように流入ユニットを構成する。このような流入ユニットによれば、流入開口の側方から流入開口に向かう遊技媒体は、流入開口への流入が阻止されて、流路変更部によって流入開口から離間する方向に導かれる。一方、流入開口の上方から流入開口に向かって流下する遊技媒体は、流入開口への流入が促される。
【0013】
このように遊技媒体の流路を変更する流路変更部を流入ユニットに設けることにより、流入開口の近傍に流路変更部を配置して、流入開口の近傍で遊技媒体の流下態様を変化させ、遊技媒体が流入開口に流入するか否かの遊技者の期待感を高めることができる。更に、遊技領域において流路変更部を配置するスペースを低減することができ、遊技領域内におけるスペース効率を向上させつつ、流入開口の近傍で遊技媒体の流路を変更することが可能となる。また、流入開口の近傍に流路変更部を設けることにより、流入開口の近傍に遊技釘を配置する必要性が低下するため、流入ユニットと遊技釘とを近接して配置することによる遊技盤の耐久性低下を抑制することができる。
【0014】
また、流入ユニットの流入開口の下方には、第一発光部が配置されており、発光機能を発揮することができる。流入開口の近傍を流下する遊技媒体のうち流入開口に流入する遊技媒体は、流入開口の下方を流下しない。また、流入開口の近傍を流下して流入開口に流入しない遊技媒体は、流路変更部によって流入開口の側方を流下するように誘導可能である。したがって、流入開口の下方は、遊技媒体が流下し難い領域である。この遊技媒体が流下し難い領域に第一発光部を配置することにより、遊技媒体が流下する領域に第一発光部を配置する場合と比較して、遊技領域を更に有効活用することができる。
【0015】
すなわち、本発明に係る流入ユニットによれば、遊技媒体が流下する領域の配置スペースに悪影響を及ぼさずに、発光演出が可能となる。また、第一発光部の側面には流路変更部材が配置されており、この流路変更部材によって遊技媒体を流入開口から離間する方向に導くため、第一発光部に対して遊技媒体が衝突することを防ぐことができ、第一発光部に遊技媒体が衝突することによる破損等の不具合を抑制することが可能となる。
【0016】
ここで遊技媒体としては、典型的には遊技機としてのパチンコ機に使用される球(パチンコ球)が概念されるが、もちろん、遊技領域をコインが流下するコインゲーム等においては、そのコインが遊技媒体に該当する。
【0017】
流入開口は、遊技領域を流下する遊技媒体が流入可能に構成されていればよく、例えば遊技媒体の流入が特別遊技の抽選の契機となるとともに、一定数の遊技媒体の払出しの契機となる始動入賞口、始動入賞口への流入による特別遊技の抽選結果が当たりとなった際に大当り遊技を実行する大入賞口、遊技媒体の流入が一定数の遊技媒体の払出しの契機となる一般入賞口を例示することができる。
【0018】
第一発光部は、流入開口の下方に配置され、遊技者及び遊技盤等に向けて発光する機能を備える。具体的には、LED、電球、液晶表示等の光源が内部に設けられて発光する構成を例示できる。第一発光部の奥行方向の配置は、遊技盤よりも前方に配置してもよいし、遊技盤と略同じ位置に配置してもよいし、遊技盤よりも後方に配置してもよい。例えば、遊技盤よりも前方に第一発光部を配置することにより、遊技者に近い位置で発光させることができるため、効果的な発光演出が可能となる。一方、遊技盤よりも後方に第一発光部を配置することにより、第一発光部の前面の領域に他の遊技部品を配置することができ、遊技領域を更に有効活用することができる。
【0019】
なお、流入ユニットが取り付けられた遊技盤ユニットが遊技機に内包された状態において、遊技者から見た手前側が前方であり、遊技者から見た奥側が後方であり、この前方と後方を繋ぐ方向が奥行方向である。また、側方とは、左右方向における中心から離間した側である。
【0020】
流路変更部は、流入開口の側部から下方に向かい、第一発光部の側方を覆うように配置される。流路変更部が配置される流入開口の側部は、流入開口の側面部が好ましいが、これに限られず流入開口の側方近傍を含む概念である。ただし、流入開口の近傍において遊技媒体の流路を変更することが好ましいため、流入開口と流路変更部との間には他の遊技部品等を配置しない構成が望ましい。
【0021】
流路変更部が流入開口の右側又は左側を流下する遊技媒体を流入開口から離間する方向に誘導することにより、流入開口の近傍において流入開口に流入しない遊技媒体を流入開口から離間させて、流入開口に流入する遊技媒体と流入開口に流入しない遊技媒体が干渉することを抑制することができる。
【0022】
なお、流路変更部によって遊技媒体を誘導する流入開口から離間する方向とは、流入開口の左側方又は右側方に離間する方向のみならず、流入開口の下方に離間する方向も含む。すなわち、流入開口から離れる方向を全て含む概念である。
【0023】
また、流路変更部と流入開口を構成する辺の一部とが連なるように、流路変更部と流入開口とを一体に構成してもよいし、流路変更部と流入開口とを別部品として構成してもよい。流路変更部と流入開口の構成する辺の一部とが連なるように構成することにより、流入開口と流路変更部を隣接させて、流入開口に近い位置に流路変更部を配置することができる。
【0024】
更に、流路変更部は、遊技媒体と衝突するため遊技媒体の衝突に耐えられる耐久性を備えていればよく、例えば、樹脂製又は金属製の材質によって形成することができる。また、流路変更部を弾性部材で形成することによって、遊技媒体の衝撃を吸収することが可能となる。
【0025】
また、本発明に係る流入ユニットは、流入開口の側方に配置された第二発光部を更に備え、流入変更部は、第一発光部と第二発光部との間に配置されることが望ましい。第二発光部を備えることにより、流入開口の側方及び下方の両方を発光させることができ、更に効果的な発光演出が可能となる。また、流入開口の側方及び下方に複数の発光部と流路変更部を配置することができ、発光機能と遊技媒体の流路変更機能とを効率よく配置することができ、流入ユニットの小型化を図ることが可能となる。
【0026】
また、第一発光部と第二発光部との間に流路変更部が配置されていることにより、第一発光部と第二発光部が別個の発光部としての機能し、別々の発光演出が可能となる。更に、第一発光部と第二発光部の発光態様を各々制御して、異なる発光態様とすることにより、種々のパターンの発光態様を実現することができる。
【0027】
具体的には、例えば、流入開口に向けて遊技媒体を流下させるように遊技者に注意を促す場合には、第一発光部によって流入開口の下方を発光するように発光制御し、流入開口の左側方又は右側方に向けて遊技媒体を流下させるように遊技者に注意を促す場合には、第二発光部によって流入開口の左側又は右側を発光するように発光制御できる。このように発光制御することにより、第一発光部及び第二発光部を用いて遊技媒体を流下させるべき領域を遊技者に報知することが可能となる。
【0028】
本発明の更に他の例示的側面としての遊技盤ユニットは、遊技領域が形成される遊技盤と、上記の流入ユニットと、遊技領域を流下する遊技媒体の流下方向において流入ユニットの下流に配置され、遊技領域を流下する遊技媒体が流入可能な開口部を有する第二流入ユニットと、備える。
【0029】
この遊技盤ユニットによれば、流入ユニットが第一発光部を備えており、遊技媒体が流下する領域の配置スペースに悪影響を及ぼさずに発光機能を発揮することができる。更に、流入ユニットの流入開口の側部に流路変更部が配置されているため、遊技領域において流路変更部を配置するスペースを低減しつつ、流入開口の近傍において遊技媒体の流路を変更することが可能となる。
【0030】
遊技領域を流下する遊技媒体の流下方向における流入ユニットの下流には第二流入ユニットが配置されており、流入ユニットの近傍を流下する遊技媒体は、第二流入ユニットに向かって流下可能に構成することができる。流入ユニットの流路変更部によって誘導される遊技媒体は、流路変更部に対して衝突したことにより速度エネルギーが低減されている。この速度エネルギーが低減された遊技媒体を第二流入ユニットに導くように構成することにより、第二の流入ユニットにおける遊技媒体の衝撃が低減され、第二流入ユニットの破損を防ぐことができる。
【0031】
また、例えば、流路変更部の形状、角度を調整することにより、流路変更部によって第二流入ユニットに向けて遊技媒体を誘導するように構成したり、流路変更部によって第二流入ユニットに遊技媒体が流入しないように遊技媒体を誘導するように構成したりすることが可能となる。このように流路変更部によって第二流入ユニットの開口部に流入する遊技媒体の流入割合を調整することが可能となり、流入確率を調整するための調整部材を別途設ける場合と比較して、遊技領域の配置スペースの効率を向上することが可能となる。
【0032】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、流入開口の側部に流路変更部が配置されているため、遊技領域において流路変更部を配置するスペースを低減しつつ、流入開口の近傍で流路変更機能を発揮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】図1に示すパチンコ機の中央始動口及び中央大入賞口を拡大した部分拡大図である。
【図3】図1に示すパチンコ機の中央始動口の正面から見た分解斜視図である。
【図4】図1に示すパチンコ機の中央始動口の背面から見た分解斜視図である。
【実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る遊技機としてのパチンコ機2の正面図である。このパチンコ機2は、枠体3、遊技盤ユニット5、前面ガラス(前面透明板)10、発射ユニット(不図示)、貯留皿14を有し、遊技盤ユニットには、遊技媒体としての球の流下による遊技を実現するための遊技領域が形成されている。
【0036】
パチンコ機2は、遊技者が後述する発射ハンドル15を操作することによって、遊技領域16に向けて球が発射ユニットによって発射され、球の流下による遊技が実現される。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にパチンコ式スロットマシン機、コインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技媒体の流下による遊技を実現する遊技領域を有するあらゆる遊技機が含まれる。なお、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施の形態においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)とハネモノ遊技(2種遊技、役物遊技ともいう。)の両方の遊技を実現するいわゆる1種2種タイプのパチンコ機について例示説明する。なお、図柄変動遊技及び役物遊技については後述する。
【0037】
パチンコ機2の枠体3は、後述する遊技盤ユニット5を保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。枠体3の内部側には、遊技盤ユニット5の他にも各種電子基板や遊技媒体用の経路等各種機構部品が配置され、枠体3によって周囲側面及び前面又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部側への不正アクセスが防止されるようになっている。
【0038】
パチンコ機2の周囲を囲む筐体枠4、その内側にヒンジ部(揺動支持部)22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤ユニット5を保持する機枠9、機枠9の前方にヒンジ部22によって前方開閉可能に揺動支持されて前面ガラス10とその周囲を装飾する装飾部材32とを保持する装飾枠12とを有して枠体3が構成される。なお、前面ガラス10は、枠体3内部側に保持された遊技盤6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材である。
【0039】
貯留皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施の形態においては上皿14aと下皿14bとを有している。上皿14aは、球排出ボタン14cを有して遊技盤6の下方、すなわち装飾枠12の下方部分に配置され、下皿14bは、その上皿14aの更に下方に配置されている。
【0040】
遊技盤ユニット5は、遊技盤面(表面)6a側の略中央にセンター役物7が配置された遊技盤6と、そのセンター役物7の一部に配置された2種大入賞口(第2の大入賞口)8とを有しており、その遊技盤面6aには多数の遊技釘27も配置されている。
【0041】
遊技盤6は、その遊技盤面6a側に球(遊技媒体)23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための盤状部材であり、遊技盤面6aを前方から遊技者にとって視認可能となるように枠体3(本実施の形態においては、枠体3の一部としての機枠9。)に保持されている。その遊技盤面6aには略円形状に周囲を囲むようにレール飾り26が取り付けられており、レール飾り26の内周面(内側面)26aが遊技盤面6aに対して立設するように配置されている。そして、その内周面26aによって画定され、内周面26aに面した略円形状の領域が遊技領域16となっている。
【0042】
センター役物7は、遊技領域16の略中央に配置されて、図柄変動遊技(1種遊技)や役物遊技(2種遊技)を実現するものである。センター役物7の中央部には、図柄表示装置7aが配置されるとともに、この図柄表示装置7aの表示画面(映像表示面)7bを露出させるための開口部7dが形成されている。センター役物7の開口部7dの下方には、球23が転動可能なステージ7eと、2種大入賞口8と、が設けられている。ステージ7eは、2種大入賞口8より手前側(遊技者から近い側)に配置されている。ステージ7eと2種大入賞口8との間には、各領域を区画するための透明なプレート部材(図示せず)が設けられている。
【0043】
図柄表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示画面7b上に映像表示を行うものである。この表示画面7b上には、例えば、3桁の数字又は文字等により構成される表示図柄7cが回転又は停止するように映像として表示される。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示画面7b上に表示されるようになっている。
【0044】
センター役物7は、遊技領域16の略中央に位置しており、その上部右側の一部が球通路37の下側壁面を構成している。発射された球23の勢いが比較的強く球通路37を通過すると、センター役物7の右側部分の遊技領域(右側領域)16bへと至ることができるようになっており、発射された球23の勢いが比較的弱く、この球通路37を通過しない場合には、球23はセンター役物7の左側部分の遊技領域(左側領域)16aを流下する。
【0045】
遊技釘27は、遊技領域16を流下する球23と衝突してその流下方向を変更させるものであり、多数が遊技領域16内に配置されている。また、遊技領域16には、普通入賞口28、第一の始動口としての中央始動口(流入ユニット)29、第2の始動口としての開閉始動口36、第1の大入賞口としての中央大入賞口(第二流入ユニット)31等が配置されており、流下する球23が各流入口に流入したり、遊技釘に衝突したりすることによって、球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
【0046】
次いで、図2から図4に基づいて、中央始動口29について詳細に説明する。図2は、中央始動口29及び中央大入賞口31を拡大した部分拡大図である。図3は、中央始動口の正面から見た分解斜視図であり、図4は、中央始動口の背面から見た分解斜視図である。
【0047】
中央始動口29は、遊技領域16を流下する球23が流入可能な流入開口29aと、流入開口29aの下方に配置された第一発光部としての下発光部29bと、流入開口29aの左側方及び右側方に配置された第二発光部としての左発光部29c及び右発光部29dと、流入開口29aの左右側部から下発光部29bの左右側方を覆うように延設された流路変更部としての庇部29eと、中央始動口29を遊技盤6に取り付けるための基板29fと、基板29fの背面側を覆う背面カバー29gと、を備えている。
【0048】
中央始動口29は、センター役物7の下方に配置されている。流入開口29aには、センター役物7のステージ7eから流下した球が流入可能であるとともに、左側領域16a又は右側領域16bを流下して、センター役物7の下方の遊技領域を流下する球が流入可能となるように、中央始動口29は遊技領域16に配置されている。中央始動口29の下方には、中央大入賞口31が配置されており、中央大入賞口31は、中央始動口29に入球しなかった球が流入可能に配置されている。
【0049】
流入開口29aは、球が一個宛流入可能な寸法であり、流入開口29aの側部が庇部29eの上端を兼ねている。庇部29eは、流入開口29aの左側面及び右側面から下方に向けて側方に傾斜しており、流入開口29aに流入しなかった球23を流入開口29aから左下方に向かう方向又は右下方に向かう方向に誘導する。
【0050】
基板29fには、流入開口29a及び庇部29eが一体に形成されているとともに、左発光部29c及び右発光部29dを臨ませるための開口が形成されている。基板29fに対して流入開口29a及び庇部29eが一体に形成されていることにより、部品点数を少なくすることができるとともに、別個に構成して接続する場合と比較して接続部分の強度低下を抑制することが可能となる。
【0051】
左発光部29c、右発光部29d、及び下発光部29bは、一体に形成されており、各発光部の背面には光源としてのLED29hが配置されている。各LED29hは、共通の発光基板に固定されている。発光基板が共通であるため、別個の発光基板に接続する場合と比較して部品点数及び配置スペースの低減を図ることができる。また、各発光部の発光基板は共通であるが、左発光部29cと下発光部29b、及び右発光部29dと下発光部29bの発光面は、各々庇部29eを挟んで左右に離間して配置されており、互いの光が混ざらないため、発光部毎に独立した発光態様を実現することができる。更に、左発光部29cと右発光部29dとの間には、流入開口29aに流入した球23が通る球通路が配置されているため、互いの光が混ざらず、発光部毎に独立した発光態様を実現することができる。
【0052】
更に、LED29hは、図示しない制御手段によって発光状態を制御されており、遊技状態等に応じて発光輝度、発光時間、及び発光色等の発光態様を制御することができる。下発光部29b、左発光部29c、及び右発光部29dにおいて個々に発光制御することにより、発光部毎に異なる発光態様を実現することが可能となり、種々のパターンの発光態様を実現することができる。
【0053】
また、左発光部29c及び右発光部29dは、奥行方向において基板29fと略同一面上に配置されており、下発光部29bは、奥行方向において基板29fより前方に突出して配置されている。発光面とLED29hの距離、及び発光面と遊技者の距離が発光面毎に異なるため、左発光部29c、右発光部29d、及び下発光部29bが同じ輝度で発光するように発光制御しても、異なる発光態様を実現することが可能となる。
【0054】
更に、下発光部29bは、発光面とLED29hとの距離が比較的長く、その周囲を覆う壁面には、奥行方向に沿った直線状の窪みが形成されている。また、下発光部29bの発光面は、LED29hとの距離が比較的短く、正面視にて裏面側に凹凸が形成されている。一方、左発光部29c及び右発光部29dの発光面は、LED29hとの距離が比較的長く、正面視にて表面側に凹凸が形成されている。発光面の表面又は裏面に凹凸を形成することにより、発光面近傍にて光を拡散することができ、凹凸を形成しない場合と比較して効率よく発光面全体を発光させることができる。更に、左発光面29c及び右発光面29dと下発光面29bにおいて、凹凸が形成されている面が異なるため、左右発光部と下発光部毎に異なる発光態様を実現することができる。また、下発光部29bは、LED29hと発光面との距離が比較的長く形成されており、その周囲を覆う壁面に直線状の窪みが形成されるとともに、発光面の裏面側に凹凸が形成されているため、LED29hから発光面に光が導かれる過程で光が効率よく拡散し、発光面全体を発光させることが可能となる。
【0055】
中央始動口29の近傍を流下する球23の一部は、流入開口29aに流入し、この流入を契機として、後述する抽選が開始する。また、流入開口29aに流入しなかった球23の一部は、庇部29eによって左下方又は右下方に誘導される。この球は、遊技盤6に植設された遊技釘27に衝突して転回しつつ流下し、ある球は中央大入賞口31に向けて流下する。
【0056】
中央大入賞口31は、球が流入可能な開口を開閉する開閉扉が設けられており、この開閉扉の開閉動作により球の流入が容易な状態と流入が困難な状態とが実現される。中央大入賞口31の開閉扉が開状態の際に庇部29eによって球23が中央大入賞口31に誘導されると、球23は中央大入賞口31に流入する。このとき、球23の流下速度が速いと球23が開閉扉に衝突し、開閉扉が破損するおそれがある。しかし、庇部29eによって球23を中央大入賞口31に導くことにより、球23の速度が低減されるため、衝突による開閉扉の破損を抑制することが可能となる。
【0057】
図示しない球発射装置により球23が発射されると、球23はレール飾り26の内周面26aに沿いつつ進行して遊技領域16内の上部に至る。その後、球23は、複数の通過軌跡に沿って移動し、あるものはレール飾り26の内周面26aに沿って右側領域16bに移動し、あるものは遊技釘27に衝突しつつ左側領域16aを下方に流下する。あるものは中央始動口29に流入して、あるものはいずれの入賞口にも流入せずに遊技領域16内最下部に位置するアウト口30に流入してアウト球としてパチンコ機2の外部側へと排出される。
【0058】
球23が中央始動口29に流入すると、その流入に起因して図柄表示装置7aの表示図柄7cが回転表示(第1の特別遊技の抽選)を開始し、その表示図柄7cが所定の図柄(例えば、「7・7・7」。)で停止表示すれば、図柄変動遊技における大当り(第1の特別遊技。以下、図柄変動大当りという。)が発生する。そして、中央大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の景品球が貯留皿14へと払い出されるようになっている。
【0059】
球通路37を通過した球23は、右側領域16bを流下し、例えば通過ゲート33を通過する。その通過ゲート33の通過に起因して状態変更抽選手段(不図示)による抽選が行われ、その抽選結果が当りの場合に、開閉始動口36が一定時間開放する。この開閉始動口36は、閉鎖状態では球23の流入が不可能とされているが、その開放中に後続の球23が開閉始動口36に流入すると、それに起因して2種大入賞口8の流入口8aが所定時間開放して大当り遊技が発生する(即ち、第2特別遊技の第1段階)。その開放時間中に、更に後続の球23が2種大入賞口8のV入賞口に入賞すれば、中央大入賞口31の開放により大当り遊技の継続(即ち、第2特別遊技の第2段階)を楽しむことができるようになっている。
【0060】
次に、このパチンコ機2における遊技方法について簡単に説明する。
【0061】
<図柄変動遊技>
遊技者が、発射ハンドル15を操作すると、球発射が行われ、球23が発射レール(不図示)及びレール飾り26の内周面26aに沿って発射されて遊技領域16の上部へと至る。図柄変動遊技においては、遊技者は中央始動口29への球23の流入を狙い、主に左側領域16aで球23を流下させるように発射強度が弱くなるように発射ハンドル15の回転量を調整して球発射を行う。このとき、中央始動口29の左発光部29cを発光制御して、遊技者に球の流入を狙うべき領域を遊技者に報知することができる。遊技者が発射ハンドル15の回転量を調整して、球23が左側領域16aを流下することにより、球23は球通路37へと至る前に内周面26aから落下を開始し、左側領域16aを流下する。この左側領域16aを流下した球23は、例えば普通入賞口28に流入したり、中央始動口29に流入したりする。
【0062】
中央始動口29へと球23が流入すると、図柄表示装置7aが表示図柄7cの回転表示(第1の特別遊技の抽選)を開始する。そして、所定の大当り態様(例えば、「7・7・7」。)で表示図柄7cが停止表示されると、図柄変動大当り発生となり、中央大入賞口31が開放する。そして、多量の球23が中央大入賞口31へと流入し、多量の景品球が払い出される。
【0063】
中央大入賞口31の開閉動作が所定回数繰り返して行われ、その後に図柄変動遊技が終了する。図柄変動大当りの表示図柄7cの停止態様は、例えば「2・2・2」、「6・6・6」「7・7・7」等のように複数の態様を有している。そのうちの一部の態様(例えば、「7・7・7」。)での図柄変動大当り遊技が終了すると、その後に役物遊技が開始される。
【0064】
<役物遊技>
役物遊技が開始されると、遊技者は通過ゲート33への球23の通過を狙い、右側領域16bで球23を流下させるように発射強度が強くなるように発射ハンドル15の回転量を調整して球発射を行う。このとき、中央始動口29の右発光部29dを発光制御して、遊技者に球の流入を狙うべき領域を遊技者に報知することができる。遊技者が発射ハンドル15の回転量を調整して、球23が右側領域16bを流下することにより、ある球23は、レール飾り26の内周面26aに沿って移動し、球通路37を通過して右側領域16bへと至る。球通路37を通過した球23は右側領域16bを流下して、あるものは通過ゲート33を通過する。それに起因して行われた状態変更抽選手段による抽選結果が当たりの場合に、開閉始動口36が一定時間開放する。
【0065】
その開閉始動口36に球23が流入した場合には役物大当り遊技発生となり、2種大入賞口8が所定時間開放する。そして、後続する球23が2種大入賞口8内に流入する。2種大入賞口8に入球した球は、回転抽選体8nに導かれ、この回転抽選体8nのV入賞口に球が入賞すれば、役物大当り遊技継続となって中央大入賞口31が開放する。そして、多量の球23が中央大入賞口31へと流入し、多量の景品球が払い出されつつ役物大当り遊技を継続して楽しむことができる。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。例えば、実施の形態では、中央始動口の真下に中央大入賞口が配置されているが、中央大入賞口は、球の流下方向において中央始動口の下流方向に配置されていればよく、必ずしも中央始動口の真下に配置されていなくてもよい。更に、実施の形態では、左発光部と右発光部の形状及び庇部の形状は、流入開口を中心として左右対称であるが、流入開口を中心として左右非対称であってもよく、いずれか一方側のみに配置してもよいし、左右において形状が異なっていてもよい。例えば、中央始動口の左下方に中央大入賞口が配置されている場合には、球を中央大入賞口に導くことができるように中央始動口の左側のみ庇部を設けることができる。
【符号の説明】
【0067】
2:パチンコ機(遊技機)
3:枠体
4:筐体枠(枠体の一部)
5:遊技盤ユニット
6:遊技盤
6a:遊技盤面(表面)
7:センター役物
7a:図柄表示装置
7b:表示画面(映像表示面)
7c:表示図柄
7d:開口部
7e:ステージ
8:2種大入賞口(第2の大入賞口)
8a:流入口
8n:回転抽選体
9:機枠
10:前面ガラス(前面透明板)
12:装飾枠(枠体の一部)
14:貯留皿
14a:上皿
14b:下皿
14c:球排出ボタン
15:発射ハンドル
16:遊技領域
16a:左側領域
16b:右側領域
22:ヒンジ部(揺動支持部)
23:球(遊技媒体)
26:レール飾り
26a:内周面(内側面)
27:遊技釘
28:普通入賞口
29:中央始動口(流入ユニット)
29a:流入開口
29b:下発光部(第一発光部)
29c:左発光部(第二発光部)
29d:右発光部(第二発光部)
29e:庇部
29f:基板
29g:背面カバー
29h:LED
30:アウト口
31:中央大入賞口(第二の流入ユニット)
32:装飾部材
33:通過ゲート
36:開閉始動口(第2の始動口)
37:球通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域が形成される遊技盤と、
前記遊技領域を流下する遊技媒体が流入可能な流入開口と、
前記流入開口の左側面及び右側面から下方に向けて側方に傾斜することで前記遊技領域を流下する前記遊技媒体を側方方向に向けて誘導可能に構成される流路変更部と、
前記流入開口の下方に配置され、前記流路変更部によって側方方向に流下した前記遊技媒体を入賞可能にする開閉扉を有する入賞口と、
を備える遊技盤ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−90993(P2013−90993A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−31866(P2013−31866)
【出願日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【分割の表示】特願2008−173714(P2008−173714)の分割
【原出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】