説明

運動支援装置、運動支援方法及びコンピュータプログラム

【課題】ユーザが運動を行うと共に歌うことができ、楽しませながらユーザに運動を行わせることができる運動支援装置を提供する。
【解決手段】運動支援装置の制御コンピュータ10は、筺体12に設けた第1表示部121a又は第2表示部121bに三次元人物像などによる支援画像を表示し、ユーザが選択した楽曲を再生してスピーカ123から出力する。このとき制御コンピュータ10は、楽曲を構成する小節毎に設定された重要度に応じて歌詞を表示すると共に、ユーザに行わせる運動の難易度を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動を支援する画像を表示部に表示すると共に、運動に合わせた楽曲を再生して出力することによってユーザの運動を支援することができる運動支援装置、運動支援方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、健康増進及びダイエット等を目的としてスポーツクラブ又はフィットネスクラブ等の運動施設を利用するユーザが増加している。健康増進及びダイエット等を効果的に行うためには、一度に過度の運動を行うのではなく、ユーザの体力及び運動能力に応じた適度な運動を継続的に行う必要がある。上記のような運動施設においては、ユーザに適した運動内容及び運動量等をインストラクタが指導するため、効果的な健康増進及びダイエット等が期待できる。しかし、このような運動施設は、多くのユーザが運動を行うための広い空間と、多くのユーザを指導するための多くのインストラクタとを必要とするため、駅周辺などに設けられる場合が多く、自宅周辺に存在しないなどの理由でユーザの利用が困難な場合もある。また、運動施設を利用するためにはユーザは高額な利用費を支払う必要があるという問題もある。
【0003】
このため近年では、比較的小さなスペースに設置することができ、ユーザに適した運動内容及び運動量等を自動的に決定して提供することによって運動を支援することができる運動支援装置が注目されている。この運動支援装置は、インストラクタを必要としないため人件費を削減でき、ユーザに安価に利用させることが可能となる。また、運動支援装置をユーザの自宅に設置して利用することも可能であり、この場合にはユーザが運動を継続的に行うことが容易であるため、運動をより効果的に行うことができる。このような運動支援装置が、例えば以下の特許文献1及び特許文献2に記載されている。
【0004】
特許文献1においては、ユーザの個体差に応じた適正なトレーニングを提供することができるトレーニング管理システムが提案されている。このシステムは、ホスト装置とユーザが利用するトレーニング装置とにより構成されており、トレーニング装置から送信されたユーザ特定情報に基づいてホスト装置がトレーニングメニューを作成し、作成したトレーニングメニューに従った負荷設定情報をトレーニング装置に送信する。トレーニング装置は、ホスト装置からの負荷設定情報を受信し、負荷設定情報に基づいて負荷を変化させる。
【0005】
特許文献2においては、ユーザの運動能力及び体調の変化に応じて最適な運動コンテンツを提示することができ、ユーザが過不足なく効果的な運動を行うことができる運動支援システムが提案されている。このシステムは、ユーザの運動目的及び個人データを基にセンタ装置がユーザに適した運動コンテンツデータを選択してユーザ端末に配信し、これを受信したユーザ端末が運動コンテンツデータを用いてユーザの運動を支援する。また、ユーザが運動を行っている間に、ユーザ端末はセンサユニットにてユーザのバイタル情報を取得し、バイタル情報を基にユーザの運動量を算出して、算出した運動量が目標値の範囲内であるか否かを判定する。運動量が目標値の範囲内でない場合、ユーザ端末は運動コンテンツデータの変更要求をセンタ装置へ送信し、これを受信したセンタ装置が変更要求に応じて運動コンテンツデータのフレームを変更して配信する。
【特許文献1】特開2000−51390号公報
【特許文献2】特開2006−255028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
運動により健康増進及びダイエット等の効果を得るためには、ユーザは運動を継続的に行う必要がある。しかしながら、運動施設を利用して運動を行う場合又は運動支援装置を利用して運動を行う場合において、十分な効果を得る前にユーザが運動の継続を挫折することも少なくない。これは、運動施設若しくは運動支援装置を利用することに、又は運動すること自体にユーザが飽きることが主たる原因である。よって、ユーザの運動を支援して十分な健康増進及びダイエット等の効果を与えるためには、ユーザを飽きさせないことも重要である。
【0007】
特許文献1に記載のトレーニング管理システムは、ユーザ毎に適切な負荷を設定することを単に目的としたものであり、ユーザが飽きて運動の継続を挫折するという上述の問題を解決し得るものではない。このトレーニング管理システムは、運動によるカロリー消費量に応じてディスプレイにイメージ映像を表示する機能を有しているが、ユーザを飽きさせないという観点から十分な効果を発揮し得るものではない。同様に、特許文献2に記載の運動支援システムもまた、ユーザの運動能力及び体調の変化に応じた運動コンテンツを提示することを単に目的としたものであり、上述の問題を解決し得るものではない。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、運動を支援する支援画像の表示に対応して楽曲の再生を行うと共に、楽曲の歌詞データを取得し、楽曲を構成する複数の楽曲部分について歌詞の表示段階をそれぞれ判定し、例えば楽曲の重要部分(所謂、サビの部分)などで歌詞を表示する構成とすることにより、ユーザが運動を行うと共に歌うことができ、楽しませながらユーザに運動を行わせることができる運動支援装置を提供することにある。
【0009】
また本発明の他の目的とするところは、ユーザの運動能力及び楽曲の歌詞の表示段階に基づいて運動内容を決定し、決定した運動内容に応じた支援画像を表示する構成とすることにより、運動と歌うこととをユーザにバランスよく行わせることができ、運動の効果と歌うことの楽しみとを両立してユーザに与えることができる運動支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る運動支援装置は、運動を支援する支援画像を表示部に表示する処理を行う表示処理手段を備える運動支援装置において、前記支援画像の前記表示部への表示に対応して楽曲を再生する再生手段と、該再生手段が再生する楽曲に係る楽曲データ及び前記楽曲の歌詞に係る歌詞データを取得するデータ取得手段と、前記楽曲を構成する複数の楽曲部分について、対応する歌詞の前記表示部への表示に係る表示段階を判定する判定手段と、該判定手段が判定した表示段階に基づいて、前記再生手段が再生する楽曲の楽曲部分に対応付けた前記表示部への歌詞の表示処理を行う歌詞表示処理手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る運動支援装置は、ユーザの運動能力を取得する運動能力取得手段と、該運動能力取得手段が取得した運動能力及び前記判定手段が判定した歌詞の表示段階に基づいて、支援する運動の内容を決定する運動内容決定手段とを更に備え、前記表示処理手段は、前記運動内容決定手段が決定した運動内容に応じた運動を支援する支援画像を前記表示部に表示する処理を行うようにしてあることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る運動支援装置は、一又は複数の楽曲に係る選択を受け付ける受付手段と、該受付手段が受け付けた楽曲の種別に応じて運動の種別を決定する運動種別決定手段とを更に備え、前記運動内容決定手段は、前記運動能力及び歌詞の表示段階と共に、前記運動種別決定手段が決定した運動種別に基づいて運動内容を決定するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る運動支援装置は、前記判定手段が、前記楽曲部分の歌詞を表示しない非表示、前記歌詞を抽象化又は簡略化して表示する簡単表示、及び前記歌詞を表示する完全表示の3つの表示段階に判定するようにしてあり、前記運動内容決定手段は、歌詞が簡単表示の楽曲部分に対応する運動に比べて、歌詞が非表示の楽曲部分に対応する運動を高難易度の運動に決定し、歌詞が完全表示の楽曲部分に対応する運動を低難易度の運動に決定するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る運動支援装置は、前記データ取得手段が、前記楽曲の楽曲部分毎に定められた重要度に係るデータを更に取得するようにしてあり、前記判定手段は、前記重要度に応じて前記表示段階の判定を行うようにしてあることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る運動支援装置は、前記楽曲部分が、前記楽曲を構成する小節であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る運動支援方法は、運動を支援する支援画像を表示部に表示することによりユーザの運動を支援する運動支援方法において、楽曲に係る楽曲データ及び前記楽曲の歌詞に係る歌詞データを取得し、前記楽曲を構成する複数の楽曲部分について、対応する歌詞の前記表示部への表示に係る表示段階を判定し、前記支援画像の前記表示部への表示に対応して楽曲を再生し、判定した表示段階に基づいて、再生する楽曲の楽曲部分に対応付けた前記表示部への歌詞の表示処理を行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、運動を支援する支援画像を表示部に表示することによりユーザの運動を支援させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記楽曲を構成する複数の楽曲部分について、対応する歌詞の前記表示部への表示に係る表示段階を判定させるステップと、前記支援画像の前記表示部への表示に対応して楽曲を再生させるステップと、判定した表示段階に基づいて、再生する楽曲の楽曲部分に対応付けた前記表示部への歌詞の表示処理を行わせるステップとを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明においては、運動を支援する支援画像の表示に対応して楽曲を再生すると共に、楽曲の歌詞データを取得して歌詞の表示を行う。これにより、ユーザは歌いながら運動を行うことができる。ただし、歌いながら難易度の高い運動を行うことは難しいため、楽曲のすべてについて歌詞を表示してユーザに歌わせると運動量が低下する可能性がある。そこで、楽曲を構成する複数の楽曲部分について歌詞の表示段階を判定し、判定結果に基づいた歌詞の表示を行うことによって、例えば楽曲のサビ部分などでのみユーザに歌わせ、それ以外では運動を主に行わせるなどの楽曲に応じた運動支援が実現できる。
【0019】
また、本発明においては、ユーザの年齢及び運動頻度等の情報から運動能力を取得し、取得したユーザの運動能力と再生する楽曲に係る歌詞の表示段階とに基づいて、ユーザに行わせる運動の内容を決定する。これにより、例えば歌詞を表示してユーザに歌わせて楽しませる場合には難易度の低い運動を行わせ、難易度の高い運動を行わせる場合には歌詞を表示しないなど、運動と歌うこととをユーザにバランスよく行わせることができる。また、ユーザの運動能力を考慮して運動の内容を自動的に決定するため、各ユーザに最適な運動を行わせることができる。
【0020】
また、本発明においては、ユーザによる楽曲の選択を受け付けて、受け付けた楽曲の再生及び歌詞の表示を行うことによって、ユーザは好みの楽曲で運動及び歌を楽しむことができる。また、選択を受け付けた楽曲の種別(ジャンル)に応じて運動の種別(ジャンル)を決定し、この運動ジャンルを考慮して運動内容を決定する。楽曲のジャンルは、例えばJ−POP(日本のポピュラー音楽)、ロック、ユーロビート、ヒップホップ、ラップ及びラテン等とすることができる。また運動ジャンルは、例えばエアロビクス、ヒップホップダンス及びラテンダンス等とすることができる。これにより、選択された楽曲に適した運動をユーザに行わせることができ、よりユーザを楽しませることが可能となる。
【0021】
また、本発明においては、楽曲を構成する楽曲部分毎に歌詞の表示段階を、全く歌詞を表示しない非表示、歌詞を抽象化又は簡略化(例えば、歌詞を「ラララ…」又は「ルルル…」等のハミング表示に置き換えるなど)して表示する簡単表示、及び歌詞を表示する完全表示の3つに判定する。歌詞が非表示の楽曲部分に対応する運動を高難易度の運動に決定することによって、ユーザの運動効果を高めることができる。歌詞が完全表示の楽曲部分に対応する運動を低難易度の運動に決定することによって、ユーザが集中して歌うことができ、歌うことを楽しむことができる。また、歌詞が簡単表示の楽曲部分に対応する運動は中程度の難易度とすればよい。
【0022】
また、本発明においては、楽曲データ及び歌詞データを取得すると共に、楽曲を構成する楽曲部分毎に予め定められた楽曲部分の重要度に係るデータを取得する。一般的な楽曲はイントロ→Aメロ→Bメロ→サビ→…などの構成であるが、これに対して例えばAメロの部分は重要度を低くし、Bメロの部分は中程度の重要度とし、サビの部分の重要度を高くするなど、予め楽曲部分毎の重要度を設定してデータとして記憶しておく。取得した重要度を基に、例えば重要度の低い楽曲部分は歌詞を非表示とし、重要度の高い楽曲部分は歌詞を完全表示するなど、予め楽曲部分の重要度を適切に設定しておくことによって、ユーザに歌うことをより楽しませることができる。
【0023】
また、本発明においては、楽曲部分として楽曲を構成する小節を用いる。楽曲は複数の小節(例えば、再生時間が4〜5分の楽曲であれば120程度の小節で構成される場合が多い)で構成されており、小節毎にイントロ、Aメロ、Bメロ又はサビ等のいずれに属するかを判断することが容易である。また、各小節の時間的な長さは一定である場合が多いため、楽曲、歌詞及び重要度をデータとして対応付けやすく、データの記憶及びデータに対する処理等を画一的に容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明による場合は、運動を支援する支援画像の表示に対応して楽曲の再生を行うと共に、楽曲の例えばサビの部分などで歌詞を表示する構成とすることにより、歌詞を表示した部分でのみユーザに歌わせ、それ以外では運動を主に行わせるなどの楽曲に応じた運動支援が実現できる。このため、ユーザは歌うことにより楽しんで運動を行うことができ、飽きることなく運動を継続して行うことができる。また、楽曲の全てではなく一部分でのみユーザに歌わせる構成であるため、運動量を低下させることなく、ユーザに確実に運動を行わせることができる。よって、ユーザは楽しみながら運動を継続させることができ、健康増進及びダイエット等の目的を確実に達成できる。
【0025】
また、本発明による場合は、ユーザの運動能力と再生する楽曲に係る歌詞の表示段階とに基づいて、ユーザに行わせる運動の内容を決定する構成とすることにより、運動と歌うこととをユーザにバランスよく行わせることができ、各ユーザに最適な運動を行わせることができるため、ユーザをより確実に楽しませながら運動させることができ、より確実に健康増進及びダイエット等の目的を達成させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明に係る運動支援装置を用いたシステムの全体構成を示す模式図である。図1において1は、ユーザの運動を支援する支援画像の表示及び楽曲の再生等を行う運動支援装置であり、画像を表示する表示部及び音声出力のためのスピーカ等を有する筺体12、並びにこれを制御する制御コンピュータ10等で構成してある。運動支援装置1の制御コンピュータ10は、運動支援装置を利用するユーザの個人情報を一括して管理する個人情報管理コンピュータ2、並びに楽曲データ及び歌詞データ等を配信するサーバコンピュータ3等に、LAN(Local Area Network)及びインターネット等で構成される通信網Nを介して接続してあり、相互にデータの送受信を行うことができるようにしてある。なお、本システムは1つのサーバコンピュータ3及び個人情報管理コンピュータ2に対して複数の運動支援装置1を通信網Nを介して接続することができ、図1においては一例として3つの運動支援装置1を接続した構成を図示してある。
【0027】
サーバコンピュータ3は、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)などの形式による楽曲データ、各楽曲の歌詞データ、及び楽曲の小節毎に設定された重要度に係る重要度データを一組にして、楽曲の曲名、歌手名及び種別(ジャンル)等に関連付けて記憶したデータベースを備えている。サーバコンピュータ3は、運動支援装置1の制御コンピュータ10からデータの取得要求を受信した場合、要求されたデータをデータベースから読み出して制御コンピュータ10へ送信するようにしてある。なお、サーバコンピュータ3は、楽曲に係るデータの記憶及び配信等を行うコンピュータであるため、所謂カラオケに係る楽曲のデータを配信するコンピュータを利用してもよい。
【0028】
個人情報管理コンピュータ2は、ユーザによる個人情報(氏名、年齢、性別及び運動習慣等)の入力を受け付ける処理、受け付けた個人情報の登録処理及び管理処理、ユーザの認証処理、並びに運動支援装置1の制御コンピュータ10との間で個人情報の送受信を行う処理等を行うようにしてある。
【0029】
図2は、本発明に係る運動支援装置1の外観を示す模式的外観図である。運動支援装置1は、プライバシーの保護及び防音等のために、個室内に設置されることが望ましい。運動支援装置1の筺体12は、床面上に直立して設けられる略矩形の正面パネル12Fと、この正面パネル12Fの左右に取り付けられた略同じ大きさの左側パネル12L及び右側パネル12Rとを含む構成である。
【0030】
左側パネル12L及び右側パネル12Rは、正面パネル12Fの一面(前面)に対して90°〜150°程度の角度をなすように取り付けられ、床面上に直立して設けられる。ユーザは、筺体12の左側パネル12L及び右側パネル12Rの間に、正面パネル12Fの前面から一定の距離を隔てた位置にて運動を行う。左側パネル12L及び右側パネル12Rには、前面に鏡面が形成してあり、正面パネル12Fに向かって運動を行うユーザが自身の全身を鏡面を利用して視認することができるようにしてある。なお、3つのパネルを安定した状態で床面上に直立して設けるため、及び、ユーザの全身を鏡面に映し出すためには、左側パネル12L及び右側パネル12Rが正面パネル12Fに対して上記のように90°〜150°程度の角度をなすことが望ましい。ただし、図2に示した筺体12の形状は一例であって、これに限るものではない。
【0031】
正面パネル12Fの前面には、液晶モニタなどによる第1表示部121a及び第2表示部121bが上下に並べて設けてある。なお、上側に設けられる第1表示部121aは、その中心位置が女性の平均身長に基づく視線位置と略一致する位置に配置することが望ましい。また、下側に設けられる第2表示部121bは、その中心位置が正面パネル12Fの底辺から(即ち床面から)約50cm程度の位置に配置することが望ましい。
【0032】
また、正面パネル12Fの上部には、中央部にユーザの撮像を目的としたカメラ124が配設してあり、左右の端部にスピーカ123がそれぞれ配設してある。カメラ124は、運動支援装置1を利用するユーザの全身像を撮像できるように、正面パネル12Fの上部から、前側の斜め下方向へ向けて撮像を行うように撮像方向が設定してあり、撮像した画像を制御コンピュータ10へ送信するようにしてある。制御コンピュータ10は、カメラ124が撮像した画像を基に、ユーザの姿勢(ユーザが起立した状態、座った状態又は寝た状態等)を判定するようにしてある。
【0033】
制御コンピュータ10は、ユーザの運動を支援する支援画像を、カメラ124が撮像した画像を基に判定したユーザの姿勢に応じて、正面パネル12Fに設けられた第1表示部121a又は第2表示部121bのいずれか一方に表示するようにしてある。例えば制御コンピュータ10は、ユーザが起立した状態であると判定した場合には、上側に設けられた第1表示部121aに支援画像を表示し、ユーザが座った状態であると判定した場合には、下側に設けられた第2表示部121bに支援画像を表示することができる。
【0034】
第1表示部121a又は第2表示部121bに表示される支援画像には、例えば、ポリゴン及びテクスチャ等で構成された三次元人物像がユーザ毎に決定された運動内容に応じて動作する動画像を用いることができる。また、制御コンピュータ10は、正面パネル12Fの上部に設けられた2つのスピーカ123から、支援画像の表示に応じて、ユーザに運動内容を指示する音声及び運動のリズムに適したテンポの楽曲を再生して出力するようにしてある。
【0035】
これにより、ユーザは、第1表示部121a又は第2表示部121bに支援画像として表示された三次元人物像の動作を真似て、スピーカ123から出力される音声による指示及び楽曲のテンポに合わせて体を動かすことにより、各ユーザに適した運動を行うことができる。このときにユーザは、左側パネル12L及び右側パネル12Rの鏡面に映る自身の姿を見て、支援画像として表示された三次元人物像の動作と比較して運動を行うこともできる。
【0036】
更に、本発明に係る運動支援装置1は、スピーカ123から再生して出力する楽曲の歌詞を、楽曲の適所にて、第1表示部121a又は第2表示部121bに支援画像と共に表示する機能を有している。これにより、ユーザは、支援画像に合わせて運動すると共に、表示された楽曲の歌詞を見て歌うことができる。また、運動支援装置1においてはスピーカ123から再生して出力する楽曲をユーザが選択することができ、制御コンピュータ10が、ユーザによって選択された楽曲に係るデータをサーバコンピュータ3から取得して再生すると共に、支援する運動内容を選択された楽曲に適したものに決定し、楽曲に適した動作を行う三次元人物像の支援画像を表示するようにしてある。
【0037】
図3は、本発明に係る運動支援装置1の構成を示すブロック図である。運動支援装置1の制御コンピュータ10は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、表示部103、操作部104、記憶部105、映像信号出力部106、操作信号入力部107、音声信号出力部108、撮像信号入力部109及び通信部110等を有している。
【0038】
CPU101は、記憶部105に記憶された制御プログラム105aを読み出して実行することにより、制御コンピュータ10の各部の制御処理及び各種の演算処理等を行うものである。RAM102は、SRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)等のメモリ素子で構成され、CPU101の処理過程で発生したデータなどの一時的な記憶及び通信部110により受信したデータの一時的な記憶等を行うものである。表示部103は液晶ディスプレイなどによるものであり、また、操作部104はキーボード及びマウス等の機器によるものである。表示部103及び操作部104は、制御コンピュータ10とユーザとの間のインタフェースをなす。
【0039】
記憶部105は、ハードディスクなどの大容量の記憶装置で構成されるものであり、上述の制御プログラム105a、並びに楽曲ジャンルデータベース(以下、DBという)105b、ジャンル決定テーブル105c、運動DB105d及び歌詞表示テーブル105e等の各種のデータが記憶してある。記憶部105に記憶された各種のデータの詳細は後述する。
【0040】
制御コンピュータ10の映像信号出力部106〜撮像信号入力部109は、運動支援装置1の筺体12に設けられた第1表示部121a、第2表示部121b、操作部122、スピーカ123及びカメラ124との間でデータ又は信号の送受信を行うためのものである。映像信号出力部106は、第1表示部121a及び第2表示部121bに表示する画像(支援画像及び歌詞の他に、メニュー画像及び警告メッセージ等を含む)に係るデータを表示に適した映像信号に変換して出力するようにしてある。
【0041】
また、図2において図示は省略したが、運動支援装置1の筺体12は、スタートボタン、ストップボタン、カーソルキー及び確定キー等の複数のボタン又はスイッチ等が配設された操作部122を有している。操作部122は、例えば筺体12の全面パネル12Fの第1表示部121a及び第2表示部121bの間に設けることができる。操作部122は、ユーザによるボタン又はスイッチ等の操作を検知して制御コンピュータ10へ通知するようにしてある。制御コンピュータ10の操作信号入力部107は、筺体12の操作部122から操作信号として与えられるユーザの操作内容を取得してCPU101へ通知するようにしてある。
【0042】
音声信号出力部108は、CPU101の制御により、運動内容を指示する音声に係るデータ及び再生する楽曲に係るデータを音声信号に変換してスピーカ123へ出力するようにしてある。また、撮像信号入力部109は、カメラ124にて撮像された画像に係る信号を取得して画像データに変換し、RAM102又は記憶部105へ記憶するようにしてある。
【0043】
また、通信部110は、LAN又はインターネット等の通信網Nを介して他の機器との間でデータの送受信を行うものである。通信部110は、CPU101の制御により、予め定められたプロトコルに従ってRAM102又は記憶部105から送信用のデータを読み出して他の機器へ送信すると共に、他の機器からのデータを受信した場合には、受信したデータをRAM102又は記憶部105へ記憶し、データを受信した旨をCPU101へ通知するようにしてある。通信部110により、制御コンピュータ10は、通信網Nを介して個人情報管理コンピュータ2及びサーバコンピュータ3との間で各種のデータの送受信を行うことができる。
【0044】
図4は、個人情報管理コンピュータ2及びサーバコンピュータ3の構成を示すブロック図である。個人情報管理コンピュータ2は、各部の制御処理及び各種の演算処理等を行うCPU21、データを一時的に記憶するRAM22、液晶ディスプレイなどで構成される表示部23、キーボード及びマウス等で構成される操作部24、通信網Nを介してデータの送受信を行うための通信部25、並びにハードディスクなど大容量の記憶装置で構成される記憶部26等を有している。個人情報管理コンピュータ2の記憶部26には、CPU21が読み出して実行する制御プログラム261、運動支援装置1を利用する複数のユーザの個人情報で構成される個人情報DB262、及び各ユーザの運動レベルを取得するための運動レベル変換テーブル263等が記憶してある。なお、個人情報DB262及び運動レベル変換テーブル263の詳細は後述する。
【0045】
同様に、サーバコンピュータ3は、各部の制御処理及び各種の演算処理等を行うCPU31、データを一時的に記憶するRAM32、液晶ディスプレイなどで構成される表示部33、キーボード及びマウス等で構成される操作部34、通信網Nを介してデータの送受信を行うための通信部35、並びにハードディスクなどの大容量の記憶装置で構成される記憶部36等を有している。サーバコンピュータ3の記憶部36には、CPU31が読み出して実行する制御プログラム361、及び運動支援装置1が再生する楽曲に係るデータで構成される楽曲DB362等が記憶してある。なお、楽曲DB362の詳細は後述する。
【0046】
図1に示したシステムにおいて、運動支援装置1を利用して運動を行うことを希望するユーザは、まず、個人情報管理コンピュータ2の表示部23に表示される初期登録画面を閲覧しながら、操作部24を利用して個人情報を登録する必要がある。図5は、個人情報を登録するための初期登録画面の一例を示す模式図である。初期登録画面には、例えば氏名及び年齢を入力するボックスと、性別を選択するための2つのオプションボタンと、運動習慣を選択するための5つのチェックボタンとが設けてあり、ユーザはこれらの個人情報を入力した後で、操作部24により”登録”ボタンを操作することによって個人情報の登録を行うことができる。
【0047】
ユーザにより個人情報が登録された場合、個人情報管理コンピュータ2は、ユーザ毎にID(IDentifier)番号などの識別情報を付与すると共に、登録された個人情報を個人情報DB262に記憶するようにしてある。図6は、個人情報DB262の一構成例を示す模式図である。個人情報DB262には、各ユーザに一意に付与された識別情報に対応付けて、氏名、年齢、性別、運動レベル及び経験値等の個人情報が記憶してある。個人情報DB262に記憶される氏名、年齢及び性別に係る情報は、図5に示した初期登録画面にてユーザが登録した情報である。
【0048】
個人情報DB262の運動レベル及び経験値に係る情報は、各ユーザの運動能力を示すものである。個人情報管理コンピュータ2は、初期登録画面にて登録されたユーザの年齢、性別及び運動習慣を基に、記憶部26に記憶した運動レベル変換テーブル263を参照することによって、各ユーザの運動レベルを決定するようにしてある。図7は、運動レベル変換テーブル263の一構成例を示す模式図である。運動レベル変換テーブル263は、男性又は女性の性別毎に定められた年齢層と、運動習慣を5段階に評価した数値とに対応付けて、1〜5の5段階の数値で運動レベルが記憶してある。運動レベル変換テーブル263の性別及び年齢層は、初期登録画面でユーザにより登録された値を当てはめることができる。
【0049】
運動レベル変換テーブル263の運動習慣の値は、初期登録画面に設けられた5つのチェックボックスのいずれが選択されたかにより決定される。例えば、”毎日運動する”が選択された場合には運動習慣の値が”5”に決定され、”週3回程度運動する”が選択された場合には運動習慣の値が”4”に決定され、”週末だけ運動する”が選択された場合には運動習慣の値が”3”に決定され、”月1回程度運動する”が選択された場合には運動習慣の値が”2”に決定され、”ほとんど運動しない”が選択された場合には運動習慣の値が”1”に決定される。個人情報管理コンピュータ2は、ユーザの性別毎の年齢層と、運動習慣の値とに応じて1つの運動レベルを決定し、個人情報DB262に記憶するようにしてある。
【0050】
また、個人情報DB262の経験値は、運動支援装置1にてユーザが行うことができる運動のジャンル毎に1〜4の4段階の数値が記憶される。図6においては、”ストレッチ”、”エアロビクス”、”ヒップホップ”及び”ラテンダンス”の4種の運動ジャンルについて経験値を記憶する例が図示してある。各運動ジャンルの経験値は、図5に示した初期登録画面の情報を基に決定されるのではなく、各ユーザの運動支援装置1の利用回数及び利用頻度等を基に決定される。よって、個人情報DB262に新規に登録されたユーザについては、各運動ジャンルの経験値は”1”であり、運動支援装置1を利用する毎に運動を行ったジャンルの経験値が増加するようにしてある。また、個人情報管理コンピュータ2は、個人情報DB262の経験値の増加に伴って運動レベルを自動的に上昇させる処理を行ってもよい。
【0051】
個人情報の登録を終了したユーザ(又は既に個人情報を登録してあるユーザ)は、運動支援装置1の筺体12にて操作部122を操作し、各ユーザに付与された識別情報を入力する。識別情報の入力を受け付けた運動支援装置1の制御コンピュータ10は、受け付けた識別情報に係る個人情報の取得要求を通信部110から通信網Nを介して個人情報管理コンピュータ2へ送信するようにしてある。個人情報管理コンピュータ2は、個人情報の取得要求を受信した場合、該当する識別番号に係る個人情報を個人情報DB262から読み出して、通信部25から通信網Nを介して取得要求を送信した制御コンピュータ10へ送信するようにしてある。個人情報管理コンピュータ2からの個人情報を受信した制御コンピュータ10は、受信した個人情報を第1表示部121a又は第2表示部121bに表示する。
【0052】
次いで、運動支援装置1の制御コンピュータ10は、第1表示部121a又は第2表示部121bに楽曲選択画面を表示して、運動を行う際に再生する楽曲の選択をユーザに促すようにしてある。図8は、楽曲選択画面の一構成例を示す模式図である。楽曲選択画面には、楽曲の歌手名を入力するための入力ボックスと、これに対応付けられた検索の実行ボタンと、楽曲のジャンルを選択するためのプルダウンメニューと、これに対応付けられた検索の実行ボタンとが設けられている。歌手名の入力ボックスにはユーザが好みの歌手の名前を操作部122を利用して入力することができ、対応する検索実行ボタンの操作により制御コンピュータ10は入力された歌手名に対応する楽曲の検索を行い、検索結果を一覧表示するようにしてある(図示は省略する)。またユーザは楽曲のジャンルを指定した検索を行うこともでき、楽曲ジャンルのプルダウンメニューから1つの楽曲ジャンルを選択して対応する検索実行ボタンを操作することにより、制御コンピュータ10は選択された楽曲ジャンルに対応する楽曲の検索を行い、検索結果を一覧表示するようにしてある。ユーザは検索結果の一覧から更に一又は複数の楽曲を選択することができるようにしてあり、制御コンピュータ10は選択された楽曲を運動を支援する際に再生するようにしてある。
【0053】
制御コンピュータ10は、楽曲選択画面にて入力された歌手名又は楽曲ジャンルを基に楽曲の検索を行う場合には、記憶部105に記憶した楽曲ジャンルDB105bを基に検索を行うようにしてある。図9は、楽曲ジャンルDB105bの一構成例を示す模式図である。楽曲ジャンルDB105bには、楽曲毎に付された楽曲番号、楽曲名、楽曲に係る歌手名、及び楽曲のジャンル等が対応付けて記憶してある。楽曲ジャンルDB105bは、サーバコンピュータ3の楽曲DB362に記憶された楽曲の一覧であり、制御コンピュータ10は定期的に又は必要に応じてサーバコンピュータ3から楽曲の一覧情報を取得して楽曲ジャンルDB105bを更新するようにしてある。ただし、制御コンピュータ10が楽曲ジャンルDB105bを記憶せず、ユーザの選択に応じてサーバコンピュータ3に楽曲の検索要求を送信し、サーバコンピュータ3からの検索結果を受信して、検索結果を表示する構成としてもよい。
【0054】
図10は、楽曲DB362の一構成例を示す模式図である。サーバコンピュータ3の楽曲DB362には、楽曲毎に付された楽曲番号、楽曲名、楽曲に係る歌手名、楽曲のジャンル、楽曲に係る楽曲データ、歌詞データ、及び重要度データ等が対応付けて記憶してある。これらのうち、楽曲番号、楽曲名、歌手名及び楽曲ジャンル等の項目は、制御コンピュータ10の楽曲ジャンルDB105bに記憶された項目と同じであり、サーバコンピュータ3は制御コンピュータ10からの取得要求に応じてこれらの項目を楽曲の一覧情報として送信するようにしてある。なお、サーバコンピュータ3の楽曲DB362の更新は、サーバコンピュータ3の管理者又は本システムの管理者等が行うものとする。
【0055】
楽曲DB362に記憶される楽曲データは、MIDI形式などの楽曲の再生に必要なデータである。なお、楽曲データは、楽曲の伴奏のみを含むものであってもよく、楽曲の伴奏及び音声(歌声)を含むものであってもよい。楽曲DB362の楽曲データは、楽曲DB362に実データとして埋め込む構成としてもよいが、楽曲データのファイル名又は楽曲データが記憶された記憶部36中のアドレス等を代わりに記憶する構成であってもよい。
【0056】
また、楽曲DB362に記憶される歌詞データは、楽曲を構成する複数の小節毎に対応付けて楽曲の歌詞が記憶されたデータである。なお、楽曲の歌詞はテキストデータであり、制御コンピュータ10は歌詞を文字表示するようにしてあるが、所謂カラオケの歌詞表示にて行われるように、楽曲の再生に同期して歌詞の表示色を変更するなどの処理を行う場合には、これらの処理タイミングに係るデータを歌詞データに含む構成としてもよい。楽曲データと同様に、楽曲DB362の歌詞データは、楽曲DB362に埋め込む構成としてもよいが、歌詞データのファイル名又は歌詞データが記憶された記憶部36中のアドレス等を代わりに記憶する構成であってもよい。
【0057】
また、楽曲DB362に記憶される重要度データは、楽曲の小節毎に対応付けて、各小節の重要度が記憶されたデータである。図11は、重要度データの一例を示す模式図である。一般的に、楽曲は前奏、Aメロ、Bメロ、サビ、間奏及び後奏等の組み合わせにより構成されており、これらは複数の小節で構成されている。図11に一例として示す楽曲は、前奏→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→サビ→サビ→後奏の構成をなし、それぞれが4つの小節で構成されており、総じて32の小節で構成されている。ただしこれは簡略化した一例であり、演奏時間が5分程度の楽曲であれば120程度の小節で構成される場合が多い。
【0058】
楽曲の重要度データは、楽曲を構成する小節に演奏順に付された番号と、各小節に対応する歌詞の有無と、各小節の重要度とを対応付けたものである。図示の例では、前奏、間奏及び後奏の小節は対応する歌詞が無く、Aメロ、Bメロ及びサビの小節は対応する歌詞が有る。また、各小節の重要度は1〜3の3段階に分類されており、数値が大きいほど重要度が高いことを示している。なお、楽曲DB362の重要度データは、サーバコンピュータ3の管理者又は本システムの管理者等が予め作成してサーバコンピュータ3に記憶させるものとする。
【0059】
楽曲ジャンルDB105bに基づいてユーザによる楽曲の選択を受け付けた制御コンピュータ10は、選択された楽曲のジャンルに応じて支援する運動のジャンルを決定し、決定した運動のジャンルに応じて詳細な運動の内容を決定するようにしてある。このとき、制御コンピュータ10は、運動ジャンルの決定を記憶部105に記憶したジャンル決定テーブル105cに基づいて行うようにしてある。図12は、ジャンル決定テーブル105cの一例を示す模式図である。ジャンル決定テーブル105cは、楽曲毎に付された楽曲ジャンルと、運動に係る運動ジャンルとが対応付けられた表である。図示の例では、”J−POP”、”ユーロビート”及び”ロック”の楽曲ジャンルが、”エアロビクス”の運動ジャンルに対応付けられ、”ヒップホップ”及び”ラップ”の楽曲ジャンルが、”ヒップホップ”の運動ジャンルに対応付けられ、”ラテン”の楽曲ジャンルが、”ラテンダンス”の運動ジャンルに対応付けられている。制御コンピュータ10は、ユーザが選択した楽曲毎に楽曲ジャンルDB105bを基に楽曲ジャンルを取得し、取得した楽曲ジャンルに対応する運動ジャンルをジャンル決定テーブル105cを基に決定するようにしてある。
【0060】
楽曲ジャンルに対応する運動ジャンルを決定した制御コンピュータ10は、この運動ジャンルに属する運動を記憶部105に記憶した運動DB105dから検索し、ユーザが選択した楽曲を考慮して、ユーザに適した運動内容(運動メニュー)を決定するようにしてある。図13は、運動DB105dの一構成例を示す模式図である。運動DB105dは、ユーザの運動レベル及び経験値等に応じた詳細な運動が記憶してあり、詳細な運動が運動ジャンル毎に分類して記憶された構造をなしている。図示の例では、運動DB105dは、エアロビクスに関する運動が記憶されたエアロビクスDB、ヒップホップダンスに関する運動が記憶されたヒップホップDB、及びラテンダンスに関する運動が記憶されたラテンダンスDBの3つのデータベースで構成してある。ただし、図示の構成は一例であり、運動DB105dがより多くの運動ジャンルに関するデータベースで構成される構成であってもよい。
【0061】
図14は、エアロビクスDBの一構成例を示す模式図である。なお、ヒップホップDB及びラテンダンスDBの構成は、エアロビクスDBの構成と同様であるため、図示及び説明を省略する。エアロビクスDBには、ユーザ毎の5段階の運動レベルとエアロビクスに関する4段階の経験値との各組み合わせに対応付けて、エアロビクスに関する運動の詳細が記憶されている。例えば、運動レベルが”1”でありエアロビクス経験値が”1”の運動は”ゆっくりマーチ”である。また例えば、運動レベルが”4”でありエアロビクス経験値が”3”の運動は”サイドステップ&クラップ”である。なお、エアロビクスDBには、運動レベルが高いほど運動強度が高い運動が記憶してあり、また、経験値が高いほど難易度が高い運動が記憶してある。即ち、運動レベルが”5”且つエアロビクス経験値が”4”の運動が最も運動強度及び難易度が高く、運動レベルが”1”且つエアロビクス経験値が”1”の運動が最も運動強度及び難易度が低くなるようにしてある。
【0062】
なお、図示のエアロビクスDBは、運動レベル及びエアロビクス経験値に応じた運動として”ゆっくりマーチ”、”マーチ&前後運動”及び”ジョギング&ターン”等の項目のみが記載されているが、実際のエアロビクスDBには、各運動に対応した支援画像を作成するためのデータ及び運動を指示するための音声データ等が各項目に対応付けて記憶してある。支援画像を作成するためのデータとは、例えば表示する人物像を構成するためのポリゴンデータ及びテクスチャデータ等である。
【0063】
本発明に係る運動支援装置1においては、支援画像の表示及び運動を指示する音声の出力を行ってユーザの運動を支援する場合に、ユーザが選択した楽曲を再生して出力すると共に、楽曲の歌詞を表示する機能を備えている。このとき運動支援装置1は、再生する楽曲全部について歌詞を表示するのではなく、楽曲を構成する各小節の重要度が高い歌詞を表示するようにしてある。これにより楽曲の要所にてユーザは歌詞を見て歌いながら運動をすることができるが、難易度の高い運動を行いながら歌詞を見て歌うことは困難である。そこで、運動支援装置1の制御コンピュータ10は、運動DB105dから運動メニューを作成する際に、サーバコンピュータ3から選択された楽曲に係る楽曲データ及び歌詞データと共に重要度データを取得し、取得した重要度データを基に記憶部105に記憶した歌詞表示テーブル105eを参照して、楽曲の小節毎に歌詞を表示するか否か及び運動の難易度を決定するようにしてある。
【0064】
図15は、歌詞表示テーブル105eの一例を示す模式図である。歌詞表示テーブル105eは、楽曲を構成する各小節に付された重要度と、この小節に対応する歌詞の表示段階と、この小節が再生されているときに行う運動の難易度の調整量とが対応付けられたものである。例えば、重要度が”1”の小節(即ち、重要でない小節)は、歌詞の表示段階を非表示とし、運動の難易度を運動DB105dから決定される運動の難易度に対して調整なしとする。また、重要度が”2”の小節は、歌詞の表示段階を「ラララ…」又は「ルルル…」等で置き換えて抽象化したハミング表示とし、運動の難易度を運動DB105dから決定される運動の難易度に対して1段階容易化する。即ち、運動の難易度を1段階容易化する場合、制御コンピュータ10は、図14に示したエアロビクスDBにおいて、運動レベルが同一でエアロビクスの経験値が1段階低い運動を選択するものとする。また、重要度が”3”の小節は、楽曲の歌詞を抽象化することなく完全に表示し(歌詞の表示段階を完全表示とし)、運動の難易度を最も低く、即ち運動なし(直立)とする。
【0065】
なお、図15に示す歌詞表示テーブル105eは、歌詞をハミング表示する場合には運動の難易度を1段階容易化する構成であるが、これに限るものではなく、2段階以上容易化する構成であってもよく、少なくとも歌詞非表示の場合より運動を容易化する構成であればよい。同様に、歌詞表示テーブル105eは、歌詞を完全表示する場合には運動なしとする構成であるが、これに限るものではなく、ハミング表示の場合から1段階容易化するなど、少なくともハミング表示の場合より運動を容易化する構成であればよい。
【0066】
これらにより運動支援装置1の制御コンピュータ10は、ユーザが選択した楽曲に係る重要度データと、楽曲の小節毎に重要度から決定される運動の難易度と、ユーザが選択した楽曲の楽曲ジャンルに応じて決定される運動ジャンルとを基に、ユーザに行わせる運動を楽曲の小節毎に運動DB105dから決定することができ、小節毎の歌詞の表示を決定することができる。図16は、決定された運動内容及び歌詞表示の一例を示す模式図であり、図11に一例として示した楽曲(の第1〜第20小節)に対応する運動内容及び歌詞表示の例が示してある。また本例では、運動ジャンルがエアロビクスに決定される楽曲ジャンルの楽曲をユーザが選択したものとし、ユーザの運動レベルが”4”であり且つエアロビクスの経験値が”2”であるものとする。
【0067】
制御コンピュータ10は、図16に示す例において、楽曲の第1〜第4小節及び第17〜第20小節は対応する歌詞が存在しないため、歌詞表示は”非表示”と決定し、運動内容は運動レベルが”4”且つエアロビクスの経験値が”2”の組み合わせから難易度を調整することなくエアロビクスDBを参照して”サイドステップ&前後運動”と決定する。また制御コンピュータ10は、楽曲の第9〜第12小節の重要度が”1”であるため、同様に、歌詞表示は”非表示”と決定し、運動内容は運動レベルが”4”且つエアロビクスの経験値が”2”の組み合わせから難易度を調整することなくエアロビクスDBを参照して”サイドステップ&前後運動”と決定する。
【0068】
また、制御コンピュータ10は、楽曲の第5〜第6小節は重要度が”2”であるため、歌詞表示を”ハミング表示”と決定し、運動内容は1段階容易化して運動レベルが”4”且つエアロビクスの経験値が”1”の組み合わせからエアロビクスDBを参照して”サイドステップ”と決定する。また制御コンピュータ10は、楽曲の第7〜第8小節及び第13〜第16小節は重要度が”3”であるため、歌詞表示を”完全表示”と決定し、運動内容を運動なしの”直立”と決定する。なお、運動内容が”直立”の場合、制御コンピュータ10が表示する支援画像の人物像もまた直立した状態を維持するか、又はマイクを手に歌っている状態を維持するなど、動作の少ない人物像とすればよい。
【0069】
以上のようにして各楽曲に対する運動内容及び歌詞表示を決定した制御コンピュータ10は、ユーザが運動支援装置1の筺体12に設けられた操作部122を操作して運動の開始指示が与えられた後、決定した運動内容に従って運動DB105dから支援画像を生成するためのデータを読み出して支援画像を生成し、ユーザの姿勢に応じて第1表示部121a又は第2表示部121bのいずれかに支援画像を表示するようにしてある。このとき制御コンピュータ10は、決定した運動内容に従って運動DB105dから音声データを読み出して、音声出力部108からスピーカ123へ音声信号を与えることにより、運動内容に応じた指示を伝える音声の出力を行うようにしてある。
【0070】
また、制御コンピュータ10は、ユーザが選択した楽曲に係る楽曲データをサーバコンピュータ3から取得して、支援画像の表示に合わせて楽曲を再生してスピーカ123から出力するようにしてある。更に、制御コンピュータ10は、ユーザが選択した楽曲に係る歌詞データをサーバコンピュータ3から取得して、決定した歌詞表示に従って、楽曲の各小節の再生に合わせて歌詞の表示を行うようにしてある。なお、楽曲の歌詞を完全表示又はハミング表示する場合において、制御コンピュータ10は、楽曲の歌詞又は「ラララ…」若しくは「ルルル…」等の文字を表示すると共に、所謂カラオケのように、楽曲の再生にタイミングを合わせて表示した歌詞の色などを変化させる処理を行ってもよい。
【0071】
よって、運動支援装置1は、ユーザが選択した楽曲を再生してスピーカ123から出力し、決定した運動内容に応じた三次元人物像の動画を楽曲の再生に合わせて第1表示部121a又は第2表示部121bに表示し、楽曲を構成する小節毎に付された重要度に応じて楽曲の歌詞を第1表示部121a又は第2表示部121bに表示することができる。
【0072】
以下に、運動支援装置1を含む本システムの処理をフローチャートを用いて説明する。図17は、個人情報管理コンピュータ2が行う個人情報の受付処理の手順を示すフローチャートであり、個人情報管理コンピュータ2のCPU21が記憶部26に記憶された制御プログラム261を実行することにより行われる処理である。個人情報管理コンピュータ2は、表示部23に初期登録画面(図5参照)を表示し(ステップS1)、ユーザによる個人情報の入力を受け付けたか否かを調べ(ステップS2)、入力を受け付けていない場合は(S2:NO)、ステップS1へ戻り、初期登録画面を表示して個人情報の入力を待機する。
【0073】
ユーザによる個人情報の入力を受け付けた場合(S2:YES)、個人情報管理コンピュータ2は、記憶部26から個人情報DB262を読み出して(ステップS3)、個人情報DB262に未登録の識別情報を検索して新たなユーザに対する識別情報を決定する(ステップS4)。このとき、個人情報管理コンピュータ2は、決定した識別情報を表示部23に表示してユーザに通知してもよい。
【0074】
次いで、個人情報管理コンピュータ2は、記憶部26に記憶された運動レベル変換テーブル263を読み出して(ステップS5)、受け付けた個人情報の性別、年齢及び運動習慣から運動レベル変換テーブル263に基づいて運動レベルを決定する(ステップS6)。運動レベルの決定後、個人情報管理コンピュータ2は、受け付けた個人情報及び決定した運動レベルを個人情報DB262に記憶し(ステップS7)、処理を終了する。
【0075】
図18〜図20は、運動支援装置1の制御コンピュータ10が行う運動内容及び歌詞表示の決定処理の手順を示すフローチャートであり、制御コンピュータ10のCPU101が記憶部105に記憶された制御プログラム105aを実行することにより行われる処理である。運動支援装置1の制御コンピュータ10は、筺体12に設けられた操作部122からユーザによる識別情報の入力を受け付けたか否かを調べ(ステップS21)、入力を受け付けていない場合には(S21:NO)、入力を受け付けるまで待機する。
【0076】
識別情報の入力を受け付けた場合(S21:YES)、制御コンピュータ10は、受け付けた識別情報に係る個人情報の取得要求を通信部110から通信網Nを介して個人情報管理コンピュータ2へ送信する(ステップS22)。その後、制御コンピュータ10は、個人情報管理コンピュータ2から送信された個人情報を通信部110にて受信したか否かを調べ(ステップS23)、受信していない場合には(S23:NO)、更に個人情報管理コンピュータ2から送信されたエラーを受信したか否かを調べる(ステップS24)。エラーを受信した場合(S24:YES)、制御コンピュータ10は、筺体12の第1表示部121a又は第2表示部121bに、ユーザが入力した識別情報に誤りが含まれている旨を通知するエラー表示を行って(ステップS25)、処理を終了する。エラーを受信していない場合(S24:NO)、制御コンピュータ10は、ステップS23へ戻って個人情報管理コンピュータ2からの個人情報の受信を待機する。個人情報管理コンピュータ2から個人情報を受信した場合(S23:YES)、制御コンピュータ10は、第1表示部121a又は第2表示部121bに受信した個人情報を表示する(ステップS26)。
【0077】
次いで、制御コンピュータ10は、第1表示部121a又は第2表示部121bに楽曲選択画面(図8参照)を表示して(ステップS31)、楽曲選択画面に設けられた検索の実行ボタンに対する操作により、ユーザの検索要求を受け付けたか否かを調べる(ステップS32)。検索要求を受け付けていない場合(S32:NO)、制御コンピュータ10は、ステップS31へ戻り、楽曲選択画面の表示を継続して検索要求の受け付けを待機する。
【0078】
検索要求を受け付けた場合(S32:YES)、制御コンピュータ10は記憶部105に記憶された楽曲ジャンルDB105bを読み出して(ステップS33)、楽曲選択画面にて入力された歌手名又は楽曲ジャンルに該当する楽曲を楽曲ジャンルDB105から検索し(ステップS34)、検索結果を第1表示部121a又は第2表示部121bに表示する(ステップS35)。その後、制御コンピュータ10は、検索結果として表示した楽曲からのユーザの選択を受け付けたか否かを調べ(ステップS36)、選択を受け付けていない場合は(S36:NO)、ステップS35へ戻り、検索結果の表示を継続して楽曲選択の受け付けを待機する。
【0079】
楽曲の選択を受け付けた場合(S36:YES)、制御コンピュータ10は、選択された楽曲の楽曲ジャンルを楽曲ジャンルDB105bから取得し(ステップS37)、記憶部105に記憶したジャンル決定テーブル105cを読み出して(ステップS38)、選択された楽曲の楽曲ジャンルからジャンル決定テーブル105cを基に運動ジャンルを決定する(ステップS39)。
【0080】
次いで、制御コンピュータ10は、選択された楽曲に係る重要度データの取得要求を通信部110から通信網Nを介してサーバコンピュータ3へ送信し(ステップS41)、サーバコンピュータ3から送信された重要度データを受信したか否かを調べる(ステップS42)。重要度データを受信していない場合(S42:NO)、制御コンピュータ10は重要度データを受信するまで待機する。
【0081】
重要度データを受信した場合(S42:YES)、制御コンピュータ10は、記憶部105に記憶された歌詞表示テーブル105eを読み出して(ステップS43)、楽曲の小節毎に歌詞を完全表示するか、ハミング表示するか又は表示しないかの歌詞表示に係る決定を受信した重要度データを基に行うと共に(ステップS44)、楽曲の小節毎に対応する運動内容の難易度を調整しないか、1段階容易化するか又は運動なしとするかの難易度調整に係る決定を重要度データを基に行う(ステップS45)。次いで、制御コンピュータ10は、記憶部105に記憶した運動DB105dを読み出し(ステップS46)、ステップS39にて決定した運動ジャンル及びステップS45にて決定した難易度調整に応じて、運動DB105dを基に楽曲の小節毎に運動内容を決定し(ステップS47)、処理を終了する。
【0082】
図21は、個人情報管理コンピュータ2が行う個人情報の送信処理の手順を示すフローチャートであり、個人情報管理コンピュータ2のCPU21が記憶部26に記憶された制御プログラム261を実行することにより行われる処理である。個人情報管理コンピュータ2は、運動支援装置1の制御コンピュータ10から送信される個人情報取得要求(図18のステップS22参照)を通信部25にて受信したか否かを調べ(ステップS61)、受信していない場合は(S61:NO)、個人情報取得要求を受信するまで待機する。
【0083】
個人情報取得要求を受信した場合(S61:YES)、個人情報管理コンピュータ2は、記憶部26に記憶された個人情報DB262を読み出して(ステップS62)、取得を要求されたユーザの識別情報に該当する個人情報が個人情報DB262内に存在するか否かを調べる(ステップS63)。該当する個人情報が存在する場合(S63:YES)、個人情報管理コンピュータ2は、該当する個人情報を個人情報DB262から取得し(ステップS64)、取得した個人情報を通信部25から通信網Nを介して個人情報取得要求を送信した制御コンピュータ10へ送信し(ステップS65)、処理を終了する。該当する個人情報が存在しない場合(S63:NO)、個人情報管理コンピュータ2は、個人情報取得要求を送信した制御コンピュータ10へエラーを送信し(ステップS66)、処理を終了する。
【0084】
図22は、サーバコンピュータ3が行う重要度データの送信処理の手順を示すフローチャートであり、サーバコンピュータ3のCPU31が記憶部36に記憶された制御プログラム361を実行することにより行われる処理である。サーバコンピュータ3は、運動支援装置1の制御コンピュータ10から送信される重要度データ取得要求(図20のステップS41参照)を通信部35にて受信したか否かを調べ(ステップS81)、受信していない場合は(S81:NO)、重要度データ取得要求を受信するまで待機する。
【0085】
重要度データ取得要求を受信した場合(S81:YES)、サーバコンピュータ3は、記憶部36に記憶された楽曲DB362を読み出して(ステップS82)、取得を要求された楽曲の重要度データを楽曲DB362から取得し(ステップS83)、取得した重要度データを通信部35から通信網Nを介して重要度データ取得要求を送信した制御コンピュータ10へ送信し(ステップS84)、処理を終了する。
【0086】
なお、サーバコンピュータ3は、重要度データの他に楽曲データ及び歌詞データ等の送信処理を行うが、処理手順は重要度データの送信処理と同じであるため、フローチャートの図示及び詳細な説明は省略する。
【0087】
図23は、運動支援装置1の制御コンピュータ10が行う運動支援処理の手順を示すフローチャートであり、制御コンピュータ10のCPU101が記憶部105に記憶された制御プログラム105aを実行することにより行われる処理である。運動支援装置1の制御コンピュータ10は、筺体12に設けられた操作部122からユーザによる運動開始の指示を受け付けたか否かを調べ(ステップS101)、指示を受け付けていない場合には(S101:NO)、指示を受け付けるまで待機する。
【0088】
運動開始の指示を受け付けた場合(S101:YES)、制御コンピュータ10は、再生する楽曲に係る楽曲データ及び歌詞データの取得要求を通信部110から通信網Nを介してサーバコンピュータ3へ送信する(ステップS102)。その後、制御コンピュータ10は、サーバコンピュータ3から送信された楽曲データ及び歌詞データを受信したか否か調べ(ステップS103)、楽曲データ及び歌詞データを受信していない場合には(S103:NO)、楽曲データ及び歌詞データを受信するまで待機する。楽曲データ及び歌詞データを受信した場合(S103:YES)、制御コンピュータ10は、変数iの値を1に初期化し(ステップS104)、楽曲の第i小節の運動支援処理を行う(ステップS105)。
【0089】
図24は、運動支援装置1の制御コンピュータ10が行う第i小節の運動支援処理の手順を示すフローチャートであり、図23のステップS105にて行われる処理である。制御コンピュータ10は、図20に示した処理のステップS47にて決定した運動内容のうち、楽曲の第i小節の運動内容に応じた支援画像を、記憶部105に記憶した運動DB105dに含まれるデータを基に生成し(ステップS121)、カメラ124が撮像したユーザの画像を基に検出したユーザの姿勢に応じて、生成した支援画像を第1表示部121a又は第2表示部121bに表示すると共に(ステップS122)、楽曲の第i小節を再生して(ステップS123)、スピーカ123から出力する。
【0090】
これに伴って、制御コンピュータ10は、図20に示した処理のステップS44にて決定した歌詞表示に従って、第i小節の歌詞が完全表示と決定されたか否かを調べ(ステップS124)、完全表示と決定されていた場合(S124:YES)、第1表示部121a又は第2表示部121bに支援画像と共に歌詞を表示して(ステップS125)、図23に示す処理へ戻る。第i小節の歌詞が完全表示と決定されていない場合(S124:NO)、制御コンピュータ10は、第i小節の歌詞がハミング表示と決定されたか否かを更に調べる(ステップS126)。制御コンピュータ10は、第i小節の歌詞がハミング表示と決定されていた場合(S126:YES)、第i小節の歌詞を「ラララ…」又は「ルルル…」等に置き換えて第1表示部121a又は第2表示部121bに表示するハミング表示を行い(ステップS127)、また、ハミング表示と決定されていない場合には(S126:NO)、歌詞を表示せずに、図23に示す処理へ戻る。
【0091】
なお、図24においては、制御コンピュータ10が支援画像の表示(ステップS122)、楽曲の再生(ステップS123)、歌詞の表示(ステップS125又はS127)の順に処理を行っているが、実際には、これらの処理は並列的にタイミングを合わせて行われる。
【0092】
ステップS105にて第i小節の運動支援処理が終了した後、制御コンピュータ10は、楽曲の全小節について上述の処理が終了したか否かを調べ(ステップS106)、全小節についての処理が終了していない場合には(S106:NO)、変数iに1を加算して(ステップS107)、ステップS105へ戻り、第i小節の運動支援処理を繰り返し行う。全小節についての処理が終了した場合(S106:YES)、制御コンピュータ10は運動支援処理を終了する。
【0093】
以上の構成の本発明に係る運動支援装置1においては、運動を支援する三次元人物像などの支援画像を筺体12に設けられた第1表示部121a又は第2表示部121bに表示し、支援画像の表示に対応してユーザが選択した楽曲を再生してスピーカ123から出力すると共に、楽曲の適所にて歌詞を支援画像と共に表示する構成とすることにより、ユーザは好みの楽曲に合わせて歌いながら運動を行うことができる。また、楽曲を構成する複数の小節などの楽曲部分毎に予め重要度を定めて重要度データとしてサーバコンピュータ3に記憶しておき、これを取得した運動支援装置1の制御コンピュータ10が歌詞の表示を行うか否かを重要度に基づいて決定する構成とすることにより、例えば楽曲のサビ部分などでのみユーザに歌わせ、それ以外では運動を主に行わせるなどの楽曲に応じた運動支援が実現できる。これにより、ユーザは歌うことにより楽しんで運動を行うことができ、飽きることなく運動を継続して行うことができる。また、楽曲の全てではなく一部分でのみユーザに歌わせる構成であるため、運動量を低下させることなく、ユーザに確実に運動を行わせることができる。よって、ユーザは楽しみながら運動を継続させることができ、健康増進及びダイエット等の目的を確実に達成できる。
【0094】
また、運動支援装置1が、ユーザにより入力された年齢、性別及び運動頻度(運動習慣)等から決定されるユーザの運動能力(運動レベル)を個人情報管理コンピュータ2から個人情報として取得し、ユーザの運動能力と楽曲の歌詞の表示段階(又は楽曲の小節の重要度)とに基づいて、ユーザに行わせる運動内容を決定する構成とすることにより、例えば歌詞を表示してユーザに歌わせて楽しませる場合には難易度の低い運動を行わせ、難易度の高い運動を行わせる場合には歌詞を表示しないなど、運動と歌うこととをユーザにバランスよく行わせることができる。また、ユーザの運動能力を考慮して運動の内容を自動的に決定するため、各ユーザに最適な運動を行わせることができる。
【0095】
また、運動支援装置1が図8に示した楽曲選択画面などを表示することによってユーザによる楽曲の選択を受け付けて、選択を受け付けた楽曲の種別(ジャンル)に応じて運動の種別(ジャンル)を決定し、この運動ジャンルを考慮して運動内容を決定する構成とすることにより、選択された楽曲に適した運動をユーザに行わせることができ、ユーザはより楽しみながら運動を行うことができる。
【0096】
また、運動支援装置1は、楽曲を構成する小節毎に歌詞の表示段階を非表示、簡単表示(ハミング表示)又は完全表示の3つのいずれかに重要度を基に判定し、歌詞が非表示の小節に対応する運動を高難易度とすると共に、歌詞が完全表示の小節に対応する運動を低難易度の運動とすることにより、ユーザの運動効果を高めることができると共に、ユーザが集中して歌うことができ、歌うことを楽しむことができる。
【0097】
また、運動支援装置1は、サーバコンピュータ3から楽曲データ及び歌詞データを取得すると共に、楽曲を構成する小節毎に定められた重要度に係る重要度データを取得し、各小節の重要度を基に歌詞の表示及び運動内容等を決定する構成とすることにより、楽曲のサビの部分に係る重要度を高くするなど、各小節の重要度を適切に設定しておくことによって、ユーザは歌うことをより楽しむことができる。
【0098】
また、楽曲を構成する複数の小節毎に重要度を設定し、小節毎に歌詞の表示及び運動内容等を決定する構成とすることにより、小節毎にイントロ、Aメロ、Bメロ又はサビ等のいずれに属するかを判断することが容易であり、また、各小節の時間的な長さは一定である場合が多いため、楽曲、歌詞及び重要度をデータとして対応付けやすく、運動支援装置1がこれらのデータに対する処理を画一的に容易に行うことができる。
【0099】
なお、本実施の形態においては、運動支援装置1の筺体12に2つの表示部(第1表示部121a及び第2表示部121b)を設ける構成としたが、これに限るものではなく1つ又は3つ以上の表示部を設ける構成としてもよい。また、運動支援装置1は支援画像及び楽曲の歌詞を第1表示部121a又は第2表示部121bに共に表示する構成としたが、これに限るものではなく、第1表示部121aに支援画像を表示し、第2表示部121bに歌詞を表示するなどの構成としてもよい。
【0100】
また、本実施の形態は、運動支援装置1、個人情報管理コンピュータ2及びサーバコンピュータ3等の複数の装置を用いたシステムとして構成してあるが、これに限るものではなく、運動支援装置1のみですべての処理を行う構成としてもよい。また、個人情報管理コンピュータ2及びサーバコンピュータ3をそれぞれ1つずつ備えるシステムとしたが、これに限るものではなく、個人情報管理コンピュータ2又はサーバコンピュータ3を2つ以上備えるシステムとしてもよい。
【0101】
また、図8に示した楽曲選択画面では、歌手名の直接入力又は楽曲ジャンルの選択により楽曲の検索を行う構成としたが、これに限るものではなく、例えば歌手名の50音順に楽曲を分類して一覧表示などし、表示された歌手名及び楽曲名をユーザに選択させる構成とするなど、その他の選択方法を採用してもよい。
【0102】
また、重要度の設定、歌詞の表示段階の決定及び運動内容の決定等を楽曲の小節毎に行う構成としたが、これに限るものではなく、楽曲を前奏、Aメロ、Bメロ、サビ、間奏及び後奏などに分割し、各部分毎に重要度の設定などを行う構成としてもよい。また、歌詞の表示段階として非表示、ハミング表示及び完全表示の3つに判定する構成としたが、これに限るものではなく、例えば表示又は非表示の2つに判定する構成としてもよい。また、楽曲の小節の重要度が”3”の場合には運動内容を”運動なし(直立)”としたが、これに限るものではなく、例えば難易度を2段階表示するなどの調整であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明に係る運動支援装置を用いたシステムの全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係る運動支援装置の外観を示す模式的外観図である。
【図3】本発明に係る運動支援装置の構成を示すブロック図である。
【図4】個人情報管理コンピュータ及びサーバコンピュータの構成を示すブロック図である。
【図5】個人情報を登録するための初期登録画面の一例を示す模式図である。
【図6】個人情報DBの一構成例を示す模式図である。
【図7】運動レベル変換テーブルの一構成例を示す模式図である。
【図8】楽曲選択画面の一構成例を示す模式図である。
【図9】楽曲ジャンルDBの一構成例を示す模式図である。
【図10】楽曲DBの一構成例を示す模式図である。
【図11】重要度データの一例を示す模式図である。
【図12】ジャンル決定テーブルの一例を示す模式図である。
【図13】運動DBの一構成例を示す模式図である。
【図14】エアロビクスDBの一構成例を示す模式図である。
【図15】歌詞表示テーブルの一例を示す模式図である。
【図16】決定された運動内容及び歌詞表示の一例を示す模式図である。
【図17】個人情報管理コンピュータが行う個人情報の受付処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】運動支援装置の制御コンピュータが行う運動内容及び歌詞表示の決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】運動支援装置の制御コンピュータが行う運動内容及び歌詞表示の決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図20】運動支援装置の制御コンピュータが行う運動内容及び歌詞表示の決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図21】個人情報管理コンピュータが行う個人情報の送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図22】サーバコンピュータが行う重要度データの送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図23】運動支援装置の制御コンピュータが行う運動支援処理の手順を示すフローチャートである。
【図24】運動支援装置の制御コンピュータが行う第i小節の運動支援処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0104】
1 運動支援装置
2 個人情報管理コンピュータ
3 サーバコンピュータ
10 制御コンピュータ(コンピュータ)
12 筺体
21 CPU
26 記憶部
31 CPU
36 記憶部
101 CPU(表示処理手段、再生手段、データ取得手段、判定手段、歌詞表示処理手段、運動能力取得手段、運動内容決定手段、受付手段、運動種別決定手段)
105 記憶部
105a 制御プログラム(コンピュータプログラム)
105b 楽曲ジャンルDB
105c ジャンル決定テーブル
105d 運動DB
105e 歌詞表示テーブル
121a 第1表示部(表示部)
121b 第2表示部(表示部)
122 操作部
123 スピーカ
124 カメラ
261 制御プログラム
262 個人情報DB
263 運動レベル変換テーブル
361 制御プログラム
362 楽曲DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動を支援する支援画像を表示部に表示する処理を行う表示処理手段を備える運動支援装置において、
前記支援画像の前記表示部への表示に対応して楽曲を再生する再生手段と、
該再生手段が再生する楽曲に係る楽曲データ及び前記楽曲の歌詞に係る歌詞データを取得するデータ取得手段と、
前記楽曲を構成する複数の楽曲部分について、対応する歌詞の前記表示部への表示に係る表示段階を判定する判定手段と、
該判定手段が判定した表示段階に基づいて、前記再生手段が再生する楽曲の楽曲部分に対応付けた前記表示部への歌詞の表示処理を行う歌詞表示処理手段と
を備えることを特徴とする運動支援装置。
【請求項2】
ユーザの運動能力を取得する運動能力取得手段と、
該運動能力取得手段が取得した運動能力及び前記判定手段が判定した歌詞の表示段階に基づいて、支援する運動の内容を決定する運動内容決定手段と
を更に備え、
前記表示処理手段は、前記運動内容決定手段が決定した運動内容に応じた運動を支援する支援画像を前記表示部に表示する処理を行うようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の運動支援装置。
【請求項3】
一又は複数の楽曲に係る選択を受け付ける受付手段と、
該受付手段が受け付けた楽曲の種別に応じて運動の種別を決定する運動種別決定手段と
を更に備え、
前記運動内容決定手段は、前記運動能力及び歌詞の表示段階と共に、前記運動種別決定手段が決定した運動種別に基づいて運動内容を決定するようにしてあること
を特徴とする請求項2に記載の運動支援装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記楽曲部分の歌詞を表示しない非表示、前記歌詞を抽象化又は簡略化して表示する簡単表示、及び前記歌詞を表示する完全表示の3つの表示段階に判定するようにしてあり、
前記運動内容決定手段は、歌詞が簡単表示の楽曲部分に対応する運動に比べて、歌詞が非表示の楽曲部分に対応する運動を高難易度の運動に決定し、歌詞が完全表示の楽曲部分に対応する運動を低難易度の運動に決定するようにしてあること
を特徴とする請求項2又は請求項3に記載の運動支援装置。
【請求項5】
前記データ取得手段は、前記楽曲の楽曲部分毎に定められた重要度に係るデータを更に取得するようにしてあり、
前記判定手段は、前記重要度に応じて前記表示段階の判定を行うようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の運動支援装置。
【請求項6】
前記楽曲部分は、前記楽曲を構成する小節であること
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の運動支援装置。
【請求項7】
運動を支援する支援画像を表示部に表示することによりユーザの運動を支援する運動支援方法において、
楽曲に係る楽曲データ及び前記楽曲の歌詞に係る歌詞データを取得し、
前記楽曲を構成する複数の楽曲部分について、対応する歌詞の前記表示部への表示に係る表示段階を判定し、
前記支援画像の前記表示部への表示に対応して楽曲を再生し、
判定した表示段階に基づいて、再生する楽曲の楽曲部分に対応付けた前記表示部への歌詞の表示処理を行うこと
を特徴とする運動支援方法。
【請求項8】
コンピュータに、運動を支援する支援画像を表示部に表示することによりユーザの運動を支援させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
前記楽曲を構成する複数の楽曲部分について、対応する歌詞の前記表示部への表示に係る表示段階を判定させるステップと、
前記支援画像の前記表示部への表示に対応して楽曲を再生させるステップと、
判定した表示段階に基づいて、再生する楽曲の楽曲部分に対応付けた前記表示部への歌詞の表示処理を行わせるステップと
を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−201799(P2009−201799A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48149(P2008−48149)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(396004833)株式会社エクシング (394)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)