説明

運動補助具機能を備えた椅子

【課題】 椅子として利用することができ、しかも使用者が椅子に腰掛けたり立ち上がったりする動作を補助しながらそれを繰り返すことによって適度な運動を行うことが可能な運動補助具機能を備えた椅子を提供する。
【解決手段】 X字状に交差させたリンク部材201〜204を複数組み合わせてなるリンク機構を有するリンクバネ装置20であって、リンク機構の互いに対向するようにして位置する連結軸19a、19b同士を複数の箇所でそれぞれ弾性部材220によって連結することにより形成されたリンクバネ装置20が椅子1の底面に配設されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動補助具機能を備えた椅子に関し、さらに詳しくは、X字状のリンク部材を複数連設して構成したリンク機構を有するリンクバネ装置を備えた運動補助具機能を備えた椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
わが国の高齢化は急速に進行しており、現在では6人に1人が65歳以上の高齢者であるといわれている。一般に、高齢者の多くは足腰の衰えや関節痛に悩まされている。そのため、次第に日常生活に不自由をきたすようになり、そして、その不自由さが原因でますます運動から遠ざかり一層の運動機能の低下を招くという悪循環が生じている。そのため、そのような問題を解消するために従来から様々な運動器具が開発され、提供されている。
【0003】
このような状況に鑑み本発明者は使用者の体力に合った屈伸運動が簡便に行うことができ、しかも安全性の高い運動補助具を開発し国際出願(国際公開第03/082410号パンフレット(特許文献1))を行うと共に、さらに小型でコンパクトな運動補助具を提供すべく特許出願(特願2005−166657)を行った。
【0004】
しかし、そのような運動補助具を利用して屈伸運動を行うことができる高齢者は比較的健康で気力や体力もそれほど衰えていない者に限られ、多くの高齢者はそのような運動を行うことすらできないというのが現状である。そのような高齢者は、生活レベルの向上に伴い、一日中椅子に腰掛けて過ごしている。短い時間であれば椅子に腰掛けることは最も簡便な休息方法の一つであるが、それが長時間にわたる場合には逆に背中や腰に負担をかけてしまいかえって身体に悪影響を及ぼすことになる。椅子に長時間腰掛けるというのは健常者にとっても非常に苦痛なことであり、まして身体の自由が利き難くなっている高齢者の場合にはそれが顕著である。
【0005】
このような状況において、そのような高齢者の負担を解消すべく種々の提案がなされている。例えば、特開平8−670号公報(特許文献2)には、椅子から立ち上がるときにその立ち上がり動作を補助する機能を備えた椅子が開示されている。具体的には、着座者が足を床面に付けた状態で腰掛けている座板を水平状態のまま上昇させてゆき、着座者の臀部レベルが膝レベルと同等又は高くなったときに座板の上昇を停止させ、そして、座板をその前寄りに設けた枢軸を中心として前のめり状に起立させてゆくことで着座者を容易に立ち上がらせるというものである。
【0006】
また、そのような椅子としては、座部をリンク機構等によって昇降可能に支持すると共に、座部にガススプリング等のばね手段を連結して、そのばね力によって座部を上昇させるようにした椅子が知られている。例えば、特開閉8−112314号公報(特許文献3)には、腰掛部と基台とを腰掛部の昇降動に連動して回動するリンクによって連結し、リンクの回動に連動して伸縮し、かつ、腰掛部を上昇させる方向に反発力を付与するばね手段をリンクに連結し、さらに、ばね手段の反発力の作用線とリンクの回動中心との距離を変化させてばね手段の反発力によるリンクの回転力を調整する回転力調整手段を設けた立ち上がり補助椅子が開示されている。
【0007】
また、特開2004−267410号公報(特許文献4)には、使用者本人が自身の意思で手動により高さ調整することができる安価な高さ調整式椅子が開示されている。具体的には、使用者が腰掛ける座席部と、座席部を昇降自在に支持するパンタグラフ状の昇降機構と、昇降機構を高さ調整する際に駆動する高さ調整機構と、昇降機構を介して座席部を支持する脚部とを含み、高さ調整機構は、昇降機構の座席部側の一方のリンクアームを高さ調整の際にスライドさせて駆動する減速手段であって、定常状態において摩擦力によりリンクアームをスライドしないように支持する減速手段と、減速手段に連結されて減速手段に手動による駆動力を増速して伝達する増速手段と、増速手段に連結された操作レバーであって、座席部の側方に延在して設けられた操作レバーとを含むことにより、座席部に腰掛けた使用者自身が操作レバーを操作して、その駆動力が有効に増速手段を介して減速手段に伝達されて昇降機構を自在に上下動させ、座面の高さを調整すし、高さ調整の操作をしないときは、減速手段の摩擦力により昇降機構のリンクが減速手段に支持されて座面の高さが維持されるというものである。
【0008】
【特許文献1】国際公開第03/082410号パンフレット
【特許文献2】特開平8−670号公報
【特許文献3】特開閉8−112314号公報
【特許文献4】特開2004−267410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述した特許文献2、3に開示された椅子は、いずれも使用者が立ち上がる際の動作を補助するという機能を有するにとどまり、使用者が椅子に腰掛けたり立ち上がったりする動作を運動と捉え、その動作を繰り返すことによって適度な運動を行わしめるという発想は見当たらない。
また、特許文献4に開示された椅子は、単に使用者が高さ位置を調節できるというもので運動という観点は全く示されていない。
【0010】
これに対し、特許文献1及び特願2005−166657号に示された運動補助具は、使用者が屈伸運動を行う際の動作を補助するための運動補助具であり、それに腰掛けて長時間を過ごすというものではなかった。
【0011】
ところで、本発明の発明者は、リンク機構を、従来のように、ただ単に物体を昇降させるために働くのではなく、リンク機構全体があたかも一つのバネのように働くリンクバネ装置を想起し、リンク機構の上部に戴置される物体を弾性的に支持することができるリンクバネ装置を提供すべく特許出願を行った。
【0012】
そこで、このリンクバネ機構を利用することにより、椅子として利用することができ、しかも使用者が椅子に腰掛けたり立ち上がったりする動作を補助しながらそれを繰り返すことによって適度な運動を行うことが可能な運動補助具機能を備えた椅子を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、小さくコンパクトで、さらに補助力の調整や昇降位置を簡単に調整することが可能な運動補助具機能を備えた椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、椅子に腰掛けた使用者がその椅子から立ち上がる動作をした際に使用者の臀部を下から押し上げるようにして力を加えその動作を補助するようにされた運動補助具機能を備えた椅子において、X字状に交差させたリンク部材を複数組み合わせてなるリンク機構を有するリンクバネ装置であって、リンク機構の互いに対向するようにして位置する連結軸同士を複数の箇所でそれぞれ弾性部材によって連結することにより形成されたリンクバネ装置が椅子の底面に配設されていることを特徴とする。
【0015】
椅子の座部にはリンクバネ装置によって上方に押し上げる力が作用しているが、使用者が椅子に腰掛けた場合には使用者の体重によってリンクバネ装置は押し下げられ、所定の高さ位置で座ることができるようになっている。一方、椅子に腰掛けた使用者が立ち上がる動作をすると座部に加わる加重(体重)が減少するので、座部はリンクバネ装置の力によって使用者の臀部を支えるようにして持ち上げられる。これにより、使用者は容易に立ち上がり動作を行うことができるので自分の足腰が強くなったような感覚が生じ、自ら立ち上がりたいという意識が誘発される。この動作はいうまでもなく屈伸運動であり、これを繰り返すことにより次第に立ち上がり動作が苦にならなくなる。
【0016】
上記課題を解決するために請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の運動補助具機能を備えた椅子において、リンクバネ装置は、2つのリンクプレートをX字状に交差させてリンク部材を形成し、一対のリンク部材をそれぞれ対向させるように配置して、各リンク部材の交点同士を中心軸によって連結すると共に各リンクプレートの端部近傍同士をそれぞれ連結軸で連結してリンクユニットを形成し、リンクユニットの上部側の連結軸と他のリンクユニットの下部側の連結軸とを共有させるようにして複数連設することによって伸縮可能なリンク機構を形成し、そして、対向するようにして位置する連結軸同士を少なくとも2ヶ所以上でリンク機構を伸長させる方向に付勢する弾性部材を架設して構成されたことを特徴とする。これにより、リンクバネ装置が全体としてあたかも一つのバネとして作用すると共に椅子の座部を支持する構造体としても働く。
【0017】
上記課題を解決するために請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の運動補助具機能を備えた椅子において、リンクバネ装置は、上限ストッパ及び/又は下限ストッパを備え、これにより昇降ストローク長及び/又は椅子の高さが調整可能とされていることを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決するために請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の運動補助具機能を備えた椅子において、リンクバネ装置は、昇降バネ圧力調整機構を備え、これにより椅子の昇降圧力が調整可能とされていることを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決するために請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の運動補助具機能を備えた椅子において、さらに、肘掛を有して構成され、肘掛の肘掛部は前方側に反転可能とされていることを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決するために請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の運動補助具機能を備えた椅子において、肘掛は、椅子の昇降に追従するように配設されていることを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決するために請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の運動補助具機能を備えた椅子において、使用者が立ち上がる動作をした際に椅子の座部は所定の押圧力で使用者の臀部に接触しつつ使用者の姿勢を支えるように傾斜するように構成されていることを特徴とする。
【0022】
上記課題を解決するために請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の運動補助具機能を備えた椅子において、リンクバネ装置は、使用者の体重の1/2〜3/4の力で押し上げるようにされていることを特徴とする。
【0023】
上記課題を解決するために請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の運動補助具機能を備えた椅子において、リンクバネ装置の可動範囲を限定された狭い範囲に制限する安全ストッパを備え、椅子として安全な使用を可能とすると共に、その限定された範囲内での屈伸運動を可能とする安全ストッパを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明に係る運動補助具機能を備えた椅子によれば、リンクバネ装置全体があたかも一つのバネのように作用すると共に構造体としても機能するので他に座部を支えるための支持手段が不要となる。そのため機構が簡単で故障の少ない運動補助具機能を備えた椅子を提供できるという効果がある。
【0025】
また、本発明に係る運動補助具機能を備えた椅子によれば、椅子の昇降ストローク長や高さ及び昇降圧力が調整可能とされているので使用者の身体に適した屈伸運動を行うことができるという効果がある。
【0026】
さらに、本発明に係る運動補助具機能を備えた椅子によれば、肘掛が前方に反転するように構成されているので、立ち上がる際に自然な位置に手おくことができスムーズな立ち上がり動作を行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る運動補助具機能を備えた椅子の第一の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る運動補助具機能を備えた椅子の第一の実施形態の側面図である。初めに、図1に示された運動補助具機能を備えた椅子1は、概略として、座席部10と、リンクバネ装置20と、台座30とを備えて構成されている。
【0028】
座席部10は、基台部109と、基台部109の上部側に配設された座部105と、支柱101aを介して取り付けられた背もたれ部101と、支柱107aを介して取り付けられた肘掛部107とを有して構成されている。
背もたれ部101は、支柱101aに沿って上下方向にスライド可能に取り付けられており、ツマミ101bによって所定の高さ位置で固定することができるようになっている。
また、使用者が腰掛ける部分である座部105の裏面側には傾斜機構105aが設けられており、誰も腰掛けておらず座部105に加重がかかっていない状態のときには図示しない弾性機構によって図1の仮想線で示すように、座部105の背もたれ部101側が高く持ち上がった状態で傾斜するように付勢されている。これにより、使用者が椅子1から立ち上がる動作を行うと座部105が図示しない弾性機構によって傾斜して使用者の臀部の動きに追従する。従って、使用者の臀部近傍にいつでも座部105が位置することになるので使用者は立ち上がり動作の途中でも直ぐに座部105に腰掛けることができ、安心且つ安全性が確保される。
【0029】
肘掛部107は、支柱107aと固定される下段部117bと、下段部117bの上部側にヒンジ117cによって可動可能に取り付けられた上段部117aを有して形成されている。これにより、上段部117aはヒンジ117cを中心にして前方側へ傾倒することが出来るようになっている(図1参照)。従って、使用者は、反転して前方に長く突き出た肘掛部107の上段部117aに手をつくことができるのでスムーズな立ち上がり動作を行うことができる。
【0030】
基台部109の下にはリンクバネ装置20が配置されている。リンクバネ装置20は、図5に示すように、概略として、後述するリンクユニット201〜204が複数連設されて構成されており、各リンクユニット201〜204は、以下のように形成されている。すなわち、図4に示すように、2つのリンクプレート215a、215bをX字状に交差させて形成された2つのリンク部材211a、211bを、一対としてそれぞれ対向させるように配置し、各リンク部材211a、211bのリンクプレート215a、215bの交点同士を中心軸217によって回動自在に連結すると共に、各リンクプレート215a、215bの端部近傍同士をそれぞれ連結軸219a、219bで連結することによりリンクユニット201〜204が形成されている。
【0031】
リンクユニット202の上部側の連結軸は、それよりも上部側に配置されるリンクユニット201の下部側の連結軸219b、219bと共有となっており、他のリンクユニット203、204も同様に連結軸219b、219bが共有となっている。このようにしてリンクユニット201〜204を上下方向に複数連設することによって伸縮自在なリンク機構が形成されている。そして、それぞれ対向するようにして配置されている連結軸219a、219a同士及び連結軸219b、219b同士を少なくとも2ヶ所以上でリンク機構を伸長させる方向(図4の矢印方向)に付勢する弾性部材220、220を架設することにより構成されている。
【0032】
リンクプレート215a、215bは、例えば、鋼板を細長く薄板状にして形成されており、その両端部近傍にはそれぞれ孔部216b、216bが穿設され、中央部には孔部216aが穿設されている。従って、リンクプレート215a、215bには少なくとも3箇所に孔部が穿設されている。もちろん、リンクプレート215a、215bは、材質や形状はこれに限るものではなく剛性を有する適宜の材質により形成することができる。
【0033】
一対のリンク部材211a、211bの両孔部216a同士を連結する中心軸217は、丸棒状の部材によって構成されている。一方、一対のリンク部材211a、211bの各孔部216b同士を連結する連結軸219a、219bも、同様に、丸棒状の部材によって構成されている。この中心軸217と連結軸219a、219bの長さと、リンクプレート215a、215bの長さを適宜調整することによって取り付け面積が比較的広い安定したリンクバネ装置20としたり、取り付け面積が狭いよりコンパクトなリンクバネ装置20としたりすることができる。尚、中心軸217及び連結軸219a、219bにボールベアリング等を介在させることによりリンクバネ装置20の伸縮をよりスムーズなものにすることができる。
【0034】
以上のようにして伸縮可能なリンク機構が形成されているが、さらに、各リンクユニット201〜204に水平方向に対向するようにして位置している連結軸219a、219a同士及び連結軸219b、219b同士を弾性部材220、例えば、バネ、好ましくは引っ張りコイルバネを架設することによりリンク機構を伸長させる方向(図5の矢印方向)に付勢するようになっている。この弾性部材220は少なくとも上下方向における2ヶ所の連結軸219a、219b同士を連結するようにして配置する。もちろん、一ヶ所の連結軸219a、219aに1又は複数の弾性部材220を配置することも可能である。
【0035】
このようにして形成されたリンクバネ装置20は、これまでのバネには見られない特有の動きをする。すなわち、リンクバネ装置20の上部に何も物体を戴置しない状態では、弾性部材220が連結軸219a、219aを引っ張る方向に力が働くので、全体として上方に伸びた形状となる(図5参照)。
【0036】
そして、リンクバネ装置20の上部に加重を加えるとリンク部材211a、211bは弾性部材220の引っ張り力に抗して連結軸219a、219aが次第に離れる方向に移動する。さらに加重を加えるとリンクプレート215a、215bはさらに拡開しながらその高さが次第に低くなっていく。そして、この動きに追従するようにして下段側のリンクユニット202も同様の動きをすると共に、さらにその下段側のリンクユニット203、204同様の動きをする。このとき、リンクバネ装置20は、弾性部材220である引張りばねの引っ張り力を受けているので上部への加重を加えたり開放したりするとリンクバネ装置20全体があたかも一つのバネのように使用者の体重を柔軟に受け止めるように動作する。
【0037】
さらに加重を加えるとリンクバネ装置20は、さらに低くなるが、特筆すべきはリンク機構がある一定の高さ位置まで低くなると加重を支えるべき力が弱まるということである。すなわち、このリンクバネ装置1は、ある程度の高さまでは強い力加重を支えながら次第に縮まるが、その高さが所定の高さ位置まで押し縮められると今度はこれまで加えられた力よりも更に弱い力でリンク機構を押し縮めることができるようになる。この点、通常の押しバネの場合は、負荷のかかっていない状態から負荷を加えていくと初めは少ない負荷で押し縮めることができるが、次第に押し縮められるに従ってその反発力は大きくなる。このように、リンクバネ装置1は、これまでの押しバネとは加重に対して全く逆の作用をする。
【0038】
この点について、図7〜11を参照しつつ説明する。図7に示すのは、リンクバネ装置20の1つのリンクユニットの正面図であり、互いのリンクプレートのなす角度が60°となった状態を示している。このとき、連結軸に架設される弾性部材としての引っ張りバネは、初張力0.235、バネ定数0.016kg/mm、ストローク70〜140mmとする。そして、バネの引張力をF、リンクユニットの上昇力をW、下側の連結軸と中心軸までの距離をX、中心軸からの鉛直線と下側の連結軸を結んだ線との交点からいずれか一方側の連結軸までの距離をYとすると、上昇力Wは、W=FX/2Yとなる。
具体的には、引張力Fは以下のように計算される。
F=(2Y−バネ自由長)×バネ定数+初張力
すなわち、F=(2×37.5−70)×0.016+0.235
=0.315kg
となる。
そして、上昇力Wは、W=FX/2Yだから、
W=0.315×64.952/2×37.5
=0.2728kg
となる。
また、Fを5kgと設定すれば、Wは4.3301kgとなる。
【0039】
同様にして、互いのリンクプレートのなす角度が80°、100°、120°、140°の場合についてみてみると、上昇力Wは、それぞれ、0.3919kg、0.4000kg、0.3445kg、0.2494kgとなる。このように、上昇力Wは、互いのリンクプレートのなす角度が次第に大きくなるにつれて次第に増加しながらも所定の角度を過ぎると次第に減少していくのがわかる。
【0040】
このようにリンクバネ装置20は、初めに急激に加えられる加重を強い力で支え、次第にその力が減衰していくように働くため、本発明の運動補具助機能を備えた椅子の他にも、例えば、昇降装置やショックアブソーバ等として利用することも可能である。また、リンクバネ装置20は、それ自体が構造体として機能するので特に支持機構を設けなくともその上部に物体を直接戴置することができる。
【0041】
さらに、椅子1は、上下方向の移動範囲を調整するための上限ストッパ機構40と下限ストッパ機構50及びバネ圧調整機構60を備えている。まず、上限ストッパ機構40は、図12に示すように、基台部109の裏面に配置された取付ベース401に設けられており、概略として、節411〜414を備えた4節リンク410と、軸受427a、427bに回転支持された回転軸420と、回転軸420を回すハンドル419とを有して構成されている。4節リンク410の節411と節414との交点411a及び節412と節413との交点411bは、それぞれ回転軸420の回転によって軸方向に互いに反対方向に移動するように螺合された移動体421a、421bに連結されている。また、節411と節412との交点411cは、移動することがないように固定部417に固定されており、その対角である節413と節414との交点411dには硬質ゴム等のやや弾性を備えたストッパ部材425が取り付けられている。
【0042】
回転軸420には、ハンドル419が取り付けられており、ハンドル419を回転することによって移動体421a、421bが回転軸420上を移動するようになっている。これにより、ハンドル419を回すと移動体421a、421bは互いに近づく方向又は互いに離れていく方向に移動するが、4節リンク410は、その交点411cが固定されているので4節リンク410は交点411dが図12における下側に向かって伸びるようにして移動する。尚、回転軸420を回転支持する軸受427a、427bは、交点411dが移動するのに伴ってそれぞれ図12における上下方向に移動するように構成されていると共に、所望の位置で4節リンク410が動かないように固定する図示しない固定機構も備えている。これに対して、ハンドル419をそれとは逆に回転させれば、今度は移動体421a、421bは互いに離れる方向に移動するので4節リンク410は縮むようにして交点411dが図12における上側に向かって移動する。これにより、4節リンク410は、図12の実線及び仮想線で示す位置に固定することが可能となる。
【0043】
一方、図13(a)(b)に示されているように、取付ベース401には、その長手方向に空隙部430aが形成された案内部材430が設けられており、リンクユニット201のリンク部材211aを構成するリンクプレート215aの上部側端部219eが案内部材430の空隙部430aにスライド可能に取り付けられていると共に、リンクプレート215bの上部側端部219fは取付ベース401に固定されている。尚、図示しないがリンクユニット201のリンク部材211b側も同様に形成されている。
【0044】
このような構成を備えた上限ストッパ機構40によれば、ハンドル419を回して4節リンク410を稼働させ、ストッパ部材425を所望の位置に固定させると、リンクバネ装置20の昇降に伴って移動するリンクプレート215aの上部側端部219eが上昇工程の途中でストッパ部材425に当接し、それ以上移動できない状態となり、リンクバネ装置20の上昇位置が規制されることになる。このように、ストッパ部材425の位置を適宜調整することによって座席部10の高さ位置を調整することが可能となる。
【0045】
次に、下限ストッパ機構50について説明する。図14(a)に示すように、台座30の取付ベース31上に2つの下限ストッパ機構50が設けられている。すなわち、図示された下限ストッパ機構50は、概略として、円筒状の本体51の側面に長さの異なるストッパ部51a、51b、51cがそれぞれ45°の角度の方向ごとに取り付けられて形成されている。そして、本体51は、その中心軸を回転中心として左右いずれの方向にも回転可能とされていると共に、ストッパ部51a、51b、51cが最下段のリンクユニット204を構成するリンク部材241aのリンクプレート245bの下部側に取り付けられた連結軸219bと対峙する位置で固定できるようになっている。
【0046】
一方、リンク部材241aのリンクプレート245aの下端部245hは取付ベース31に固定されている。また、取付ベース31には、その長手方向に空隙部530aが形成された案内部材530が設けられており、リンクユニット204のリンク部材241aを構成するリンクプレート245bの下部側端部245gが案内部材530の空隙部530aにスライド可能に取り付けられている。尚、図示しないがリンクユニット204のリンク部材241b側も同様に形成されている。これにより、本体51を回転させて所望の長さのストッパ部51a、51b、51cを連結軸219bに対向させるようにして固定すればリンクバネ装置20が縮んで下降すると最下段のリンクユニット204を構成するリンクプレート245bの下部側端部245gに取り付けられた連結軸219bはストッパ部(図14(a)ではストッパ部51b)に当接してそれ以上の移動が阻止される。これにより、座席部10の下部側の高さ位置を調整することが可能となる。本実施形態においては、ストッパ部51a、51b、51cが3箇所に設けられていることから3段階の高さ調整を行うことができるようになっている。尚、上限ストッパ機構40と下限ストッパ機構50を協働させることによって座席部10を所定の高さ位置で固定し、通常の椅子として使用することもできるようになっている。この場合、リンクバネ装置20の固定機構を別途設けてリンクバネ装置20の動作を停止させるように構成することもできる。
【0047】
次に、バネ圧調整機構60について説明する。図14(a)(b)に示されているように、バネ圧調整機構60は、台座30に取付台33に設けられたクランク軸610と、クランク軸610を回転させると共に、図示しない固定手段を備えたハンドル619とを備えて構成されている。クランク軸610は、図14(b)に最も良く示されているように、回転の中心から偏心した位置に4本の弾性部材220の各一方側端部が取り付けられている。尚、弾性部材220の反対側の端部は連結軸219bに取り付けられている。これによりハンドル619を回すとクランク軸610が回転するのに伴って、弾性部材220の端部位置と連結軸219bに取り付けられた側の端部位置との間の距離が変化し弾性部材220の引っ張り長さを変化させる。これにより、ハンドル619を回して所望の位置で図示しない固定手段によって固定して弾性部材220の強度を適宜調整することによりリンクバネ装置20の上昇圧力が調整できるようになっている(図15(a)(b)参照)。
【0048】
次に、上述した椅子1の動作について簡単に説明する。初めに、使用者の身長、体重に基づいて、座席部10の上方及び下方の高さ位置を調整する。すなわち、上限ストッパ機構40のハンドル419を回して4節リンク410を稼働させ所定の位置で固定する。また、下限ストッパ機構50の本体51を回転させて所望のストッパ部51a、51b、51cを連結軸219bと対峙させて調整する。さらに、バネ圧調整機構60のハンドル619を回して屈伸運動を補助するための補助力となる上昇圧力を調整する。この場合、リンクバネ装置20の上昇圧力は、使用者の体重の略1/2の力で押し上げるようにするとよい。それ以下の上昇圧力であると使用者の立ち上がり動作の補助力があまり発揮されないからである。しかし、使用者の下肢筋力の強弱や体調等によって上昇圧力の高低を調整することが必要となる場合もある。但し、その場合でも上昇圧力の最大は使用者の体重の3/4以下であることが好ましい。それ以上の補助力を付与するとリンクバネ装置20の反発力によって身体が急激に上方に押し上げられるおそれがあり危険だからである。
【0049】
椅子1の調整が済んだら使用は座席部10に腰掛け、立ち上がり動作、すなわち屈伸運動を行う。使用者が立ち上がる動作をするとリンクバネ装置20により座席部10の臀部に上昇圧力が作用して使用者の身体を押し上げる。これにより使用者の立ち上がり動作が補助されて楽に立ち上がることができる。また、座部105は傾斜機構105aにより常に使用者の臀部近傍に位置するように傾斜するようになっているので、座部105が常に使用者の臀部付近に位置され使用者は立ち上がり動作の途中であっても直ちに座席部10に腰掛けることができ、きわめて安全に屈伸運動を行うことができる。尚、椅子1は、そのような屈伸運動を行わなくともそれ自体が椅子としても使用できることはいうまでもない。
【0050】
次に、運動補助具機能を備えた椅子の第二の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図16は本発明に係る運動補助具機能を備えた椅子の第二の実施形態における側面図である。図16に示された運動補助具機能を備えた椅子1の基本的な構成としては第一の実施形態の運動補助具機能を備えた椅子とほぼ同様であり、概略として、座席部10と、リンクバネ装置20と、台座30と、上限ストッパ機構40(図示せず)、第一の実施形態とは異なる機構の下限ストッパ機構50’を備えて構成されている。尚、第一の実施形態と同様の構成については上述した椅子1と同じ符号を付すこととし、その部分の説明は省略する。尚、図16〜図18においては上限ストッパ機構40は省略している。
【0051】
本実施形態における椅子1に設けられた下限ストッパ機構50’の拡大図を図18に示す。まず、リンクバネ装置20の最下部に位置するリンクユニット204を構成するリンク部材241aのリンクプレート245aの下端部245hは取付ベース31に固定されている。また、取付ベース31には、その長手方向に空隙部530aが形成された案内部材530が設けられており、リンクユニット204を構成するリンク部材241aのリンクプレート245bの下部側端部245gが案内部材530の空隙部530aにスライド可能に取り付けられている。そして、リンクプレート245bの下部側端部245gには、板状部材270が設けられている。これに対して、取付ベース31の側面には所定間隔をもって複数のネジ穴部540が所定間隔をもって一列に並んで配置されている。尚、図示しないがリンクユニット204のリンク部材241b側も同様に形成されている。そして、ネジ穴部540の2ヶ所に図示しないネジ部材を取り付けるが、その際板状部材270が2つの図示しないネジ部材の間に位置するようにする。そうすると板状部材270は図示しないネジ部材によってその移動範囲が制限されることになるのリンクバネ装置20の下限位置を適宜に調整することが可能となる。例えば、図18において、リンクプレート245bの下部側端部245hに一番近いネジ穴部540と一つおいた左隣のネジ穴部540に図示しないネジ部材を取り付けた場合(図18の状態)では板状部材270はその範囲内に移動が制限される。そして、図18における最右側のネジ穴部540に図示しないネジ部材を取り付ければリンクバネ装置20は最下段まで下がることができるようになる。
【0052】
ところで、図18において、板状部材270を弾性を備えた板状部材とし、符号「540」を突起部540とすると、リンクユニット204に加重を加えると板状部材270が撓みながら隣の突起部540との隙間に順次移動することとなりその際の負荷が弾性部材220の力に加わることになるのでリンクバネ装置20の圧力調整機構としても機能させることもできる。また、板状部材270を適宜の弾性力を備えたものに付け替えることによりリンクバネ装置20の上昇圧力を調整するように構成することもできる。尚、本実施形態における椅子1は肘掛部107が台座30に取り付けられた支柱107aに取り付けられている点で相違している。肘掛部107を台座30から立設することにより座席部10の構造がシンプルとなるというメリットがある。
【0053】
次に、運動補助具機能を備えた椅子の第三の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図19は、本発明に係る運動補助具機能を備えた椅子の第三の実施形態を示す側面図である。図示された椅子1は、リンクバネ装置20の可動範囲を限定された狭い範囲に制限する安全ストッパ70を備えて構成されている。尚、本実施形態の椅子1は、安全ストッパ70以外については上述した第一又は第二の実施形態の椅子1と同様の構成を備えている。そのため、それらの構成については同じ符号を付することとし、ここでの説明は省略する。
【0054】
初めに、安全ストッパ70の詳細図を図20及び図21に示す。図示された安全ストッパ70は、椅子1の後部側であって台座30の上に設けられた取付ベース31に隣接して設けられた安全ストッパ取付部720に配置されている。図20に最も良く示されているように、安全ストッパ70は概略として、安全ストッパ70を操作するためのノブ701と、ノブ701に固定されたシャフト部703と、シャフト部703の下部側の端部に可動可能に連設されると共にストッパ台座709に取り付けられたリンク継手部705と、リンク継手部705に取り付けられ支点705aを支点として上下運動する移動規制ストッパ710とを備え、その両側から支柱702、702によって立設支持されて構成されている。ノブ701は、図21に示されているように、使用者が手で掴んで上下に動かすことができるように横長のリング状に形成されている。シャフト部703は金属製の棒部材で、ノブ701の上下動をリンク継手部705へ伝達する。移動規制ストッパ710は、リンクバネ装置20のうち最下段のリンクユニット204を構成するリンクプレート245bの下部側端部245gに取り付けられた連結軸219bの移動量を制御する。すなわち、移動規制ストッパ710は、それを構成する腕部711によってリンク継手部705と連結されており、ノブ701を押し下げることにより下方に下がり、図20における連結軸219bの左側に位置することになり、これによって連結軸219bの移動が規制される。すなわち、これと反対側に位置する連結軸219bは固定されているのでリンクバネ装置20は上下方向の動きが規制されることになる。これにより、椅子1は上下方向への移動が制限されるので椅子1を普通の椅子として安全に使用することができる。
【0055】
一方、ストッパ台座709は、その取付位置が変更できるようになっている。すなわち、ストッパ台座709が取り付けられる安全ストッパ取付部720には複数の取付孔723、723が設けられており、この取付孔723、723のうち適宜の取付孔723、723にストッパ台座709の側部からネジ等の締着部材を締着することにより取り付け位置が変更可能で、これによって、移動規制ストッパ710の到達位置を変更することができるようになっている。従って、ストッパ台座709の取付位置を移動規制ストッパ710と連結軸219bとの間に間隔が生じないような位置に配置すればリンクバネ装置20はその動きが全く制限されるので椅子1の上下運動は起こらない。これに対して、ストッパ台座709の取付位置を移動規制ストッパ710と連結軸219bとの間に間隔が生じるような位置に配置すればその分だけ連結軸219bが移動可能となるのでリンクバネ装置20も僅かに上下移動するようになる。これにより、極めて限定され範囲内でリンクバネ装置20の可動させて屈伸運動を行うことができる。例えば、安全ストッパ70の位置を調整してリンクバネ装置20の昇降範囲を100mm以内に制限すれば椅子として使用しているときでも身体が無意識の内に前後左右に動いたり、意識して脚を突っ張ったり、背伸びをするような動作をすると、制限された昇降範囲内において椅子1が使用者の臀部を支えるように押し上げるので、その動作(例えば、小さな屈伸運動)を続けて行うことによって絶えず下肢筋力のトレーニングを行うことができるし、椅子1に腰掛けているときの疲労感も少なくすることができる。
【0056】
以上のように、本発明に係る運動補助具機能を備えた椅子の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいものであり、以下、これら異なる形態について説明する。上限ストッパ機構40及び下限ストッパ機構50はそれぞれハンドル419、519を回すことにより作動させているが、これを電動にしてもよい。また、下限ストッパ機構50には3つのストッパ部51a、51b、51cを設けて3段の高さ調整を可能としたがこれを本体51の側面が次第に直径が大きくなった螺旋状にすれば無段階の高さ調整を可能とすることもできる。
【0057】
以上のように、本発明に係る運動補助具機能を備えた椅子によれば、従来に比べて機構が簡単で故障の少なく、安全かつ使用者の身体に適した屈伸運動を行うことができる。従って、下肢の衰えた高齢者に限らず、中高齢者の下肢力維持・向上及び椅子に長時間座る職業の人たちや学生にもとても効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る運動補助具機能を備えた椅子の第一の実施形態の側面図である。
【図2】図1の椅子の正面図である。
【図3】図1の椅子の平面図である。
【図4】リンクユニットの斜視図である。
【図5】リンクバネ装置の無加重の状態を示す斜視図である。
【図6】リンクバネ装置が押し縮められた状態を示す斜視図である。
【図7】リンクユニットの角度が60°のときの上昇力を示す図である。
【図8】リンクユニットの角度が80°のときの上昇力を示す図である。
【図9】リンクユニットの角度が100°のときの上昇力を示す図である。
【図10】リンクユニットの角度が120°のときの上昇力を示す図である。
【図11】リンクユニットの角度が140°のときの上昇力を示す図である。
【図12】上限ストッパ機構を示す底面図である。
【図13】(a)(b)は上限ストッパ機構を示す側面図である。
【図14】(a)は下限ストッパ機構及びバネ圧調整機構が設けられた台座部、(b)はその正面図である。
【図15】(a)(b)は下限ストッパ機構及びバネ圧調整機構を示す側面図である。
【図16】本発明に係る運動補助具機能を備えた椅子の第二の実施形態の側面図である。
【図17】図16の椅子の正面図である。
【図18】他の下限ストッパ機構の拡大図である。
【図19】本発明に係る運動補助具機能を備えた椅子の第三の実施形態を示す側面図である。
【図20】安全ストッパの側面拡大図である。
【図21】安全ストッパの背面拡大図である。
【符号の説明】
【0059】
1 椅子
10 座席部
30 台座
31 取付ベース
33 取付台
40 上限ストッパ機構
50、50’ 下限ストッパ機構
51 本体
51a、51b、51c ストッパ部
60 バネ圧調整機構
70 安全ストッパ
101 背もたれ部
105 座部
105a 傾斜機構
107 肘掛部
109 基台部
201、202、203、204 リンクユニット
211a、211b リンク部材
215a、215b リンクプレート
219a、219b 連結軸
220 弾性部材
401取付 ベース
410 4節リンク
419 ハンドル
425 ストッパ部材
430 案内部材
530 案内部材
530a 空隙部
540 突起部
610 クランク軸
619 ハンドル
701 ノブ
703 シャフト部
705 リンク継手部
710 移動規制ストッパ
720 安全ストッパ取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子に腰掛けた使用者がその椅子から立ち上がる動作をした際に当該使用者の臀部を下から押し上げるようにして力を加えその動作を補助するようにされた運動補助具機能を備えた椅子において、
X字状に交差させたリンク部材を複数組み合わせてなるリンク機構を有するリンクバネ装置であって、前記リンク機構の互いに対向するようにして位置する連結軸同士を複数の箇所でそれぞれ弾性部材によって連結することにより形成されたリンクバネ装置が前記椅子の底面に配設されていることを特徴とする運動補助具機能を備えた椅子。
【請求項2】
請求項1に記載の運動補助具機能を備えた椅子において、
前記リンクバネ装置は、
2つのリンクプレートをX字状に交差させてリンク部材を形成し、一対の前記リンク部材をそれぞれ対向させるように配置して、各前記リンク部材の交点同士を中心軸によって連結すると共に各前記リンクプレートの端部近傍同士をそれぞれ連結軸で連結してリンクユニットを形成し、当該リンクユニットの上部側の連結軸と他のリンクユニットの下部側の連結軸とを共有させるようにして複数連設することによって伸縮可能なリンク機構を形成し、そして、対向するようにして位置する前記連結軸同士を少なくとも2ヶ所以上で当該リンク機構を伸長させる方向に付勢する弾性部材を架設して構成されたことを特徴とする運動補助具機能を備えた椅子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の運動補助具機能を備えた椅子において、
前記リンクバネ装置は、上限ストッパ及び/又は下限ストッパを備え、これにより昇降ストローク長及び/又は椅子の高さが調整可能とされていることを特徴とする運動補助具機能を備えた椅子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の運動補助具機能を備えた椅子において、
前記リンクバネ装置は、昇降バネ圧力調整機構を備え、これにより椅子の昇降圧力が調整可能とされていることを特徴とする運動補助具機能を備えた椅子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の運動補助具機能を備えた椅子において、
さらに、肘掛を有して構成され、当該肘掛の肘掛部は前方側に反転可能とされていることを特徴とする運動補助具機能を備えた椅子。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の運動補助具機能を備えた椅子において、
前記肘掛は、椅子の昇降に追従するように配設されていることを特徴とする運動補助具機能を備えた椅子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の運動補助具機能を備えた椅子において、
使用者が立ち上がる動作をした際に前記椅子の座部は所定の押圧力で使用者の臀部に接触しつつ当該使用者の姿勢を支えるように傾斜するように構成されていることを特徴とする運動補助具機能を備えた椅子。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の運動補助具機能を備えた椅子において、
前記リンクバネ装置は、使用者の体重の1/2〜3/4の力で押し上げるようにされていることを特徴とする運動補助具機能を備えた椅子。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の運動補助具機能を備えた椅子において、
前記リンクバネ装置の可動範囲を限定された狭い範囲に制限する安全ストッパを備え、椅子として安全な使用を可能とすると共に、その限定された範囲内での屈伸運動を可能とする安全ストッパを備えていることを特徴とする運動補助具機能を備えた椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−105348(P2007−105348A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301348(P2005−301348)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【特許番号】特許第3795057号(P3795057)
【特許公報発行日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【出願人】(301041508)株式会社オージーエー (9)
【Fターム(参考)】