運動補助器具
【課題】 ローラを回転させることによって足裏を刺激する健康器具においては、ローラに足を載せて回転させる必要があることから、椅子に座ったり手摺に掴まって、体を支えた状態で行なう必要がある。
【解決手段】 回転可能に支持したローラを足裏で回転させることによって刺激を与える装置であって、両手を上方に伸ばして掴むもので高さ調整可能に支持した背伸手摺を立設した基台に、ローラを回転可能に支持した足踏箱を左右一対設置する。
【解決手段】 回転可能に支持したローラを足裏で回転させることによって刺激を与える装置であって、両手を上方に伸ばして掴むもので高さ調整可能に支持した背伸手摺を立設した基台に、ローラを回転可能に支持した足踏箱を左右一対設置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両手を上方に伸ばして掴む高さ調整可能に支持した背伸手摺を立設した基台に、足裏で回転させて刺激を与えるローラを備えた足踏箱を左右一対設置した運動補助器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、体調の改善などを目的とする健康法として青竹踏みが広く行なわれていた。一般的に、青竹踏みは二つに割った竹を床に置き、土踏まずが竹の円筒部に当たるように乗り、その場で足踏みをすることで足裏を刺激する方法である。足裏を刺激することで、血流が滞りがちな土踏まず辺りに圧をかけることによって体全体の血流を促す効果があると考えられている。
【0003】
青竹踏みのように足裏を刺激する装置には、種々の形態のものがあるが、回転するローラを利用すれば、足裏全体を刺激することができる。例えば、特許文献1に開示されている健康器具がある。これは、手摺を設けたフレーム本体に突起付ローラを回転自在に設けた構造であり、手摺に掴まって足裏で突起付ローラを回転させる方法である。また、同じような構造のもので、特許文献2のように傾斜フレームの両端に軸支したベルトシーブに懸け渡された無担ベルトの中間に中間ローラを配した構造のものがある。この他、特許文献3のフットローラストレチャーのように、傾斜する踏み板に平行かつ高くなるようにした側板のマッサージ棒ガイドに、ガイド溝を有するマッサージ棒を挿通し、足裏で転がして刺激する構造のものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−146631号
【特許文献2】実用新案登録第3030093号
【特許文献3】実用新案登録第3123647号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
足裏を刺激する健康法は、自身の体重を利用して足裏に圧を加えてマッサージする方法であり、一回の施術を数分程度に抑えて継続して行なうことが好ましいとされている。ローラを回転させることによって足裏を刺激する健康器具においては、ローラに足を載せて回転させる必要があるため、椅子に座ったり手摺に掴まって、体を支えた状態で行なう必要がある。
【0006】
このことは、従来の健康器具が青竹踏みの基本的な考え方と異なり、その場で足踏みするのではなく、足を前後動させて歩行する行動を取ることによって行なわなければならないからである。この場合の歩行する行動は、片方の足を交互にローラに載せることであり、もう片方の足は宙に浮かせた状態にあって、椅子に座ったり手摺に掴まらなければ、体を支えている足が回転するローラ上にあるため体を支えきれなくなる。
【0007】
従って、回転するローラに片足だけを載せるという行為は非常に危険を伴うことに繋がり、ほとんどの場合、手摺に掴まった手で体重を支えながら行なわなければならなくなる。このため、従来の青竹踏みのように自身の体重を利用して足裏に圧を加えるという、本来の効果が大きく阻害される。しかも、体重を支えながらローラに乗るということは、ローラによる足裏の刺激が脚部だけに留まり、単に歩行運動を補助する装置に過ぎないのが実情であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者は上記問題に鑑み鋭意研究の結果、本発明を成し得たものであり、その特徴とするところは、回転可能に支持したローラを足裏で回転させることによって刺激を与える装置であって、両手を上方に伸ばして掴むもので高さ調整可能に支持した背伸手摺を立設した基台に、ローラを回転可能に支持した足踏箱を左右一対設置したことにある。
【0009】
ここで、本明細書中でいう「足踏箱」とは、ローラを回転可能に支持した装置をいう。ローラを回転可能に支持する手段としては、例えばローラの周面やローラの軸を転動させたり、可回転に支持することによって行なう。また、可回転に支持したローラに足踏み用のローラを載せて回転させるようにしてもよい。足裏を刺激するためのローラとしては、丸竹が一般的であるが、プラスチックや金属などのパイプ、木材、陶磁器、石などの円柱体や円筒体などでもよい。
【0010】
ローラの周面を転動させるという構造の場合、ローラが転動するのは足踏箱内である。その場合足踏箱内壁を立ち上げ、ローラの転動方向に対して直角な方向の移動(左右動)が規制されている必要がある。そうすると、現実にはローラの両端のいずれかは足踏箱内壁に押し当てられた状態で転動する。即ち、ローラの左右端の一方だけが摩擦抵抗を受けることになる。これは、円滑な転動動作を阻害することにもなるので、その対策を講じるようにすると好適である。例えば足踏箱内壁の一部(ローラの中心軸の高さ付近)に凸条体を配しておき、ローラはこの凸条体にのみ接触し、足踏箱内壁には一切接触しないようにすると、該凸条体の材質を摩擦係数の小さいものとすることで解消できる。或いは、ローラの両端に同じく摩擦係数の小さい材質より成る例えばリング体を設けるようにしても良いし、凸条体とこのリング体の双方を配するようにしても良い。
【0011】
本発明においては、この足踏箱を基台に左右一対設置する。左右一対とは、左右の足をそれぞれ載せるために、少なくとも二つの独立したローラを設けた構造をいう。このため、足踏箱としては、一つの足踏箱に独立したローラを並列に設けたり、基台に二つの足踏箱を設置する場合がある。二つの足踏箱を設置する場合は、基台の任意の位置に置いてもよく、角度調節できるように蝶番などで連結してもよい。また、基台の表面や足踏箱の底面にゴムなどを設けて運動中に動かないようにするのが好ましい。更に、足踏箱の内部にヒーターを設けるようにすると、これによってローラが暖められることになり冬期冷たい思いをしなくて済む。
【0012】
「背伸手摺」とは、使用者が両手を上に伸ばして掴まるためのもので、足踏箱の上方で使用者が前方に向かってぶら下がるようにして掴まる手摺をいう。この場合、完全にぶら下がってしまう高さであればローラにほとんど体重が乗らなくなるため、両足がローラに乗って手を上に伸ばして背筋が延びる程度の高さにするのが好ましい。このため、使用者の身長に合わせられるように高さ調整可能に支持する。高さ調整可能に支持する手段としては、特に限定するものではないが、例えば入れ子式のテレスコピック構造の支柱に背伸手摺を設ければよい。これによって、例えば190cmを超えるような身長にも対応できる。また、高さ調節により、足裏に対する刺激の強さを調整することもできる。なお、支柱は体荷重を支持し、体荷重はローラを足裏で回転させる動作に従って重心移動が繰り返されることとなるので、ねじれ力を受ける。そこで、2本の支柱を補強板にて連結固定すると好適である。また、ぶら下がる機能を備えたものの場合、両足位置にはローラーが存在するという構造だと、誤って手が外れてしまった時に転倒する恐れがある。そこで、支柱の片方にベルト体を固定しておき、使用者が乗った段階で、身体を包み込むようにこのベルト体の他端を他方の支柱に掛止させることによって転倒防止を図るようにしても良い。
【0013】
更に、支柱同士を連結する背伸手摺の中央付近に、長さ40cm程度のハンドル棒を回動自在に設け、これによって体躯の「ひねり運動」が簡単にできるような構造としても良い。回動自在とする構造については特に限定しないが、強度に優れた連結金具を用いるのが好適である。
【0014】
本発明に係る運動補助器具は、個人が購入し家庭で使用するようにしても良いが、リハビリテーション施設或いは老人養護施設等に複数設置するようにしても良い。その場合、本器具による運動自体は比較的単調なものとなりやすく、なかなか継続使用しづらい部分もある。そこで、複数個を円形状に配置し、使用者同士が語らいながら運動できるようにすると好適である。そのために、装置にコーナー部分に連結機構を設けても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る運動補助器具は、ローラを回転可能に支持した足踏箱を基台に左右一対設置したことにより、足裏に使用者の体重をかけやすくマッサージ効果を高めることができる。これは、足踏箱を左右一対配したことにより使用者の左右の足を同時にローラに載せることができるためである。つまり、従来のように片方の足を交互にローラに載せて足裏でローラを回転させる方法と異なって、もう片方の足を上げなくてもよいからである。このため、ほとんど体を支えることなく交互にローラを回転させて往復運動させることができ、体重を足裏に集中させて足裏のほぼ全体に渡ってマッサージすることができる。
【0016】
また、本発明に係る運動補助器具には、ぶら下がり状態にする背伸手摺を足踏箱の上方に設けている。ぶら下がるようにして体重をかけて足裏のマッサージを行なうことから、血流促進の効果を体全体に及ぼすことができ、姿勢矯正や肩こりの緩和などの効果も同時に得られる。つまり、本発明に係る運動補助器具は、足裏マッサージとして両足を個別にローラに載せて交互に前後動させる運動を、ほとんど体を支えることなく行なうことができ、これを背筋を伸ばした状態で行わせるという実用上極めて有益な効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る運動補助器具の一実施例を示す斜視図である。(実施例1)
【図2】(a)(b)(c)(d)はそれぞれ足踏箱の他の例を示すもので、(a)(b)は縦断面図、(c)は背面図、(d)は平面図である。(実施例2)
【図3】本発明に係る運動補助器具の他の実施例を示す側面図である。(実施例3)
【図4】本発明に係る運動補助器具についての更に他の実施例を示す側面図である。(実施例3)
【図5】本発明に係る運動補助器具のさらに他の実施例を示す斜視図である(実施例4)
【図6】図4に示した運動補助器具により、(a)は背伸手摺にぶら下がって、(b)は前手摺に掴まって足裏マッサージする状態を示す、それぞれ正面図である。
【図7】図4に示した運動補助器具の椅子に腰掛けて足裏マッサージする状態を示す側面図である。
【図8】図4に示した運動補助器具の背伸手摺を最下端に降ろした状態を示す正面図である。
【図9】本発明に係る運動補助器具の配置方法に関する例を示す概略平面図である。
【図10】(a)(b)は本発明に係る運動補助器具の付帯設備に関する一例を示す、(a)は概略側面図、(b)は概略背面図である。
【図11】(a)(b)は本発明に係る運動補助器具の他の例を示すいずれも概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、足裏マッサージを行なう運動補助器具において、両手を上方に伸ばして掴む高さ調整可能に支持した背伸手摺を立設した基台に、ローラを回転可能に支持した足踏箱を左右一対設置したことにより、上述課題を解決した。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明に係る運動補助器具1の一実施例を示すもので、高さ調整可能に設けた背伸手摺2を立設した基台3に、ローラ41を回転可能に支持した足踏箱4を左右一対設置した構造である。背伸手摺2は、基台3に設けたパイプ状の支柱31に入れ子式に挿通させることによって高さ調節できるようにしたもので、締付ネジ21で固定する。足踏箱4は、ローラ41として丸竹を用いており、これを底板42に転動させるようにしている。また、足踏箱4の後部上面には踏台43を設けて、運動前後の足置場としている。なお本例では、使用中二本の支柱31がねじれてしまうことを防止するために、両支柱31同士を連結する補強板32を設けているが、本発明に必須の部材ではなく省略可能である。
【実施例2】
【0020】
足踏箱4としては、図2(a)のように底板42を傾斜させることによって、足裏で転がすときの抵抗を付与させることができる。傾斜角度は、10°程度までで任意の角度に調整できるようにしてもよい。本例では、前部側が高く後部側が低くなるように設けているが、同図(b)のようにV字型に設けたり円弧状に設けてもよい。また、左右一対の足踏箱4は、同図(c)の蝶番44や(d)のピン45で開度を調整できるように可回転に連結してもよい。
【0021】
ローラ41として丸竹を用い、これを足踏箱4内の底板42上を転動するという機構の場合、ローラ41の右端又は左端が足踏箱4の内壁に接触してしまい円滑な転動動作がしにくくなることがある。そこで、図3(a)(b)に示す如き構造とすると好適である。一つは、足踏箱4の内壁両端に同図(a)のように凸条体46を設ける方法である。この凸条体46は、ローラ41の中心軸の高さ付近に水平に配置される板であり、例えば単なる鉄板であってもある程度の効果は期待できると思われるが本例の場合は、摩擦係数の小さいプラスチック(PTFE:ポリテトラフルオロエチレン)を表層に付加した鉄板を用いた。
【0022】
或いは同図(b)のように、ローラ41側に摩擦係数を小さくする部材を取設するという方法を採っても良い。即ち、ローラ41の両端にそれぞれリング体47を嵌め込み固着するというものである。同図(a)又は(b)のいずれか、或いは双方を採用することで、上述した問題は解消される。
なお、足踏箱4内部にヒーターを配置し、ローラ41を暖められるようにしておくと、冬期の運動が心地よくなり好適である(図示せず)。
【実施例3】
【0023】
踏台43は、背伸手摺2を掴む前後の立ち位置であるため、図3のように基台3に設けることによって、より安定させることができる。また、足踏箱4のローラ41を踏台43より下方にすることで、体を伸ばしながらの足裏マッサージ効果がより高められる。
【実施例4】
【0024】
本発明に係る運動補助器具1は、足踏箱4を左右一対設けたことにより、両足を常時ローラ41上に乗っており、ほとんど体を支えることなく自己の体重をローラ41に架けることができる。このため、図4に示すように背伸手摺2だけでなく、手を前にして掴まる前手摺5を設けることで、図5(a)の背伸手摺2によるぶら下がり状態だけでなく、同図(b)のように前手摺5に掴まった状態で足裏マッサージをすることができる。前手摺5は、両側に設けた手摺のように手で体を支えるという効果がほとんどなく、ローラ41に乗ったときの転倒防止や不安感をなくすためのものである。
【0025】
本例に示す運動補助器具1は、背伸手摺2や前手摺5の他、椅子6を基台3に設けており、図6のように椅子6に腰掛けた状態でも足裏マッサージをできるようにしている。また、背伸手摺2を高さ調節可能にする手段として、錘22を設けたロープ23で左右均等に昇降できるようにしている。これは、図に示すように背伸手摺2を懸け渡した子支柱25を、基台3の左右に立設した親支柱24に昇降可能に支持し、一端を各子支柱25の下端部に取り付けたロープ23を、滑車26を介して親支柱24に架け渡した回転棒27に巻回し、錘22でバランスさせるようにした構造である。
【0026】
これによって、回転棒27に設けたハンドル28を回すと、両子支柱25が同時に上下動し、背伸手摺2が水平状態を保ったまま高さを調節を容易にすることができる。図7は、背伸手摺2を最下端に降ろした状態である。子支柱25には、目盛29を設けており、再設定を容易にしている。背伸手摺2の固定は、締付ノブ30を締め付けることによって行なう。
【0027】
なお錘22は、図示したものは球状の鉄球であるが、これを鉄アレイに代えても良い(図示せず)。その場合、鉄アレイを用いて運動することもでき便利である(図示せず)。
【実施例5】
【0028】
本発明に係る運動補助器具1は、個人が購入し家庭で使用するというものであっても良いが、リハビリテーション施設或いは老人養護施設等において複数個を設置するといった使用をしても好適である。その場合これら複数個をバラバラに配置しても構わないが、例えば図9の如く、本発明器具1のコーナー部分に連結金具7を取り付けておき、適当な個数(図示した例では6基)を連結すると、運動しながら使用者同士が語り合うということもできて好適である。
【実施例6】
【0029】
図10(a)(b)は、本発明の他の例の側面図と背面図を示すものであり、支柱31に安全ベルト8を付帯させた例が示されている。安全ベルト8を設けていないと危険であるというわけではないが、本発明に係る運動補助器具1を用いて背伸運動を行う時、足下にはローラー41が存在し使用者はこれに乗った状態となる。これを不安定に思う使用者に対しては安全ベルト8の存在は頼もしい。
【実施例7】
【0030】
図11(a)(b)は、本発明の更に他の例を示すものである。即ち、背伸手摺2の中央付近に設けられた連結金具91を介して長さ40cm程度のハンドル棒9を回動自在に設けた構造である。これによって体躯の「ひねり運動」が簡単にできるよう構成されているので、複合的な運動が可能となっており、例えば風呂上がりに本発明に係る運動補助器具1を用いて各種運動する際に、この捻り運動を加えると、身体がリラックスし運動効果が上がることとなる。
なお本例では、錘22として鉄アレイを使用し、これを運動に活用できるように構成しているが、球形の錘であっても良い。
【符号の説明】
【0031】
1 運動補助器具
2 背伸手摺
21 締付ネジ
22 錘
23 ロープ
24 親支柱
25 子支柱
26 滑車
27 回転棒
28 ハンドル
29 目盛
30 締付ノブ
3 基台
31 支柱
32 補強板
4 足踏箱
41 ローラ
42 底板
43 踏台
44 蝶番
45 ピン
46 凸条体
47 リング体
5 前手摺
6 椅子
7 連結金具
8 安全ベルト
9 ハンドル棒
91 連結金具
【技術分野】
【0001】
本発明は、両手を上方に伸ばして掴む高さ調整可能に支持した背伸手摺を立設した基台に、足裏で回転させて刺激を与えるローラを備えた足踏箱を左右一対設置した運動補助器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、体調の改善などを目的とする健康法として青竹踏みが広く行なわれていた。一般的に、青竹踏みは二つに割った竹を床に置き、土踏まずが竹の円筒部に当たるように乗り、その場で足踏みをすることで足裏を刺激する方法である。足裏を刺激することで、血流が滞りがちな土踏まず辺りに圧をかけることによって体全体の血流を促す効果があると考えられている。
【0003】
青竹踏みのように足裏を刺激する装置には、種々の形態のものがあるが、回転するローラを利用すれば、足裏全体を刺激することができる。例えば、特許文献1に開示されている健康器具がある。これは、手摺を設けたフレーム本体に突起付ローラを回転自在に設けた構造であり、手摺に掴まって足裏で突起付ローラを回転させる方法である。また、同じような構造のもので、特許文献2のように傾斜フレームの両端に軸支したベルトシーブに懸け渡された無担ベルトの中間に中間ローラを配した構造のものがある。この他、特許文献3のフットローラストレチャーのように、傾斜する踏み板に平行かつ高くなるようにした側板のマッサージ棒ガイドに、ガイド溝を有するマッサージ棒を挿通し、足裏で転がして刺激する構造のものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−146631号
【特許文献2】実用新案登録第3030093号
【特許文献3】実用新案登録第3123647号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
足裏を刺激する健康法は、自身の体重を利用して足裏に圧を加えてマッサージする方法であり、一回の施術を数分程度に抑えて継続して行なうことが好ましいとされている。ローラを回転させることによって足裏を刺激する健康器具においては、ローラに足を載せて回転させる必要があるため、椅子に座ったり手摺に掴まって、体を支えた状態で行なう必要がある。
【0006】
このことは、従来の健康器具が青竹踏みの基本的な考え方と異なり、その場で足踏みするのではなく、足を前後動させて歩行する行動を取ることによって行なわなければならないからである。この場合の歩行する行動は、片方の足を交互にローラに載せることであり、もう片方の足は宙に浮かせた状態にあって、椅子に座ったり手摺に掴まらなければ、体を支えている足が回転するローラ上にあるため体を支えきれなくなる。
【0007】
従って、回転するローラに片足だけを載せるという行為は非常に危険を伴うことに繋がり、ほとんどの場合、手摺に掴まった手で体重を支えながら行なわなければならなくなる。このため、従来の青竹踏みのように自身の体重を利用して足裏に圧を加えるという、本来の効果が大きく阻害される。しかも、体重を支えながらローラに乗るということは、ローラによる足裏の刺激が脚部だけに留まり、単に歩行運動を補助する装置に過ぎないのが実情であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者は上記問題に鑑み鋭意研究の結果、本発明を成し得たものであり、その特徴とするところは、回転可能に支持したローラを足裏で回転させることによって刺激を与える装置であって、両手を上方に伸ばして掴むもので高さ調整可能に支持した背伸手摺を立設した基台に、ローラを回転可能に支持した足踏箱を左右一対設置したことにある。
【0009】
ここで、本明細書中でいう「足踏箱」とは、ローラを回転可能に支持した装置をいう。ローラを回転可能に支持する手段としては、例えばローラの周面やローラの軸を転動させたり、可回転に支持することによって行なう。また、可回転に支持したローラに足踏み用のローラを載せて回転させるようにしてもよい。足裏を刺激するためのローラとしては、丸竹が一般的であるが、プラスチックや金属などのパイプ、木材、陶磁器、石などの円柱体や円筒体などでもよい。
【0010】
ローラの周面を転動させるという構造の場合、ローラが転動するのは足踏箱内である。その場合足踏箱内壁を立ち上げ、ローラの転動方向に対して直角な方向の移動(左右動)が規制されている必要がある。そうすると、現実にはローラの両端のいずれかは足踏箱内壁に押し当てられた状態で転動する。即ち、ローラの左右端の一方だけが摩擦抵抗を受けることになる。これは、円滑な転動動作を阻害することにもなるので、その対策を講じるようにすると好適である。例えば足踏箱内壁の一部(ローラの中心軸の高さ付近)に凸条体を配しておき、ローラはこの凸条体にのみ接触し、足踏箱内壁には一切接触しないようにすると、該凸条体の材質を摩擦係数の小さいものとすることで解消できる。或いは、ローラの両端に同じく摩擦係数の小さい材質より成る例えばリング体を設けるようにしても良いし、凸条体とこのリング体の双方を配するようにしても良い。
【0011】
本発明においては、この足踏箱を基台に左右一対設置する。左右一対とは、左右の足をそれぞれ載せるために、少なくとも二つの独立したローラを設けた構造をいう。このため、足踏箱としては、一つの足踏箱に独立したローラを並列に設けたり、基台に二つの足踏箱を設置する場合がある。二つの足踏箱を設置する場合は、基台の任意の位置に置いてもよく、角度調節できるように蝶番などで連結してもよい。また、基台の表面や足踏箱の底面にゴムなどを設けて運動中に動かないようにするのが好ましい。更に、足踏箱の内部にヒーターを設けるようにすると、これによってローラが暖められることになり冬期冷たい思いをしなくて済む。
【0012】
「背伸手摺」とは、使用者が両手を上に伸ばして掴まるためのもので、足踏箱の上方で使用者が前方に向かってぶら下がるようにして掴まる手摺をいう。この場合、完全にぶら下がってしまう高さであればローラにほとんど体重が乗らなくなるため、両足がローラに乗って手を上に伸ばして背筋が延びる程度の高さにするのが好ましい。このため、使用者の身長に合わせられるように高さ調整可能に支持する。高さ調整可能に支持する手段としては、特に限定するものではないが、例えば入れ子式のテレスコピック構造の支柱に背伸手摺を設ければよい。これによって、例えば190cmを超えるような身長にも対応できる。また、高さ調節により、足裏に対する刺激の強さを調整することもできる。なお、支柱は体荷重を支持し、体荷重はローラを足裏で回転させる動作に従って重心移動が繰り返されることとなるので、ねじれ力を受ける。そこで、2本の支柱を補強板にて連結固定すると好適である。また、ぶら下がる機能を備えたものの場合、両足位置にはローラーが存在するという構造だと、誤って手が外れてしまった時に転倒する恐れがある。そこで、支柱の片方にベルト体を固定しておき、使用者が乗った段階で、身体を包み込むようにこのベルト体の他端を他方の支柱に掛止させることによって転倒防止を図るようにしても良い。
【0013】
更に、支柱同士を連結する背伸手摺の中央付近に、長さ40cm程度のハンドル棒を回動自在に設け、これによって体躯の「ひねり運動」が簡単にできるような構造としても良い。回動自在とする構造については特に限定しないが、強度に優れた連結金具を用いるのが好適である。
【0014】
本発明に係る運動補助器具は、個人が購入し家庭で使用するようにしても良いが、リハビリテーション施設或いは老人養護施設等に複数設置するようにしても良い。その場合、本器具による運動自体は比較的単調なものとなりやすく、なかなか継続使用しづらい部分もある。そこで、複数個を円形状に配置し、使用者同士が語らいながら運動できるようにすると好適である。そのために、装置にコーナー部分に連結機構を設けても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る運動補助器具は、ローラを回転可能に支持した足踏箱を基台に左右一対設置したことにより、足裏に使用者の体重をかけやすくマッサージ効果を高めることができる。これは、足踏箱を左右一対配したことにより使用者の左右の足を同時にローラに載せることができるためである。つまり、従来のように片方の足を交互にローラに載せて足裏でローラを回転させる方法と異なって、もう片方の足を上げなくてもよいからである。このため、ほとんど体を支えることなく交互にローラを回転させて往復運動させることができ、体重を足裏に集中させて足裏のほぼ全体に渡ってマッサージすることができる。
【0016】
また、本発明に係る運動補助器具には、ぶら下がり状態にする背伸手摺を足踏箱の上方に設けている。ぶら下がるようにして体重をかけて足裏のマッサージを行なうことから、血流促進の効果を体全体に及ぼすことができ、姿勢矯正や肩こりの緩和などの効果も同時に得られる。つまり、本発明に係る運動補助器具は、足裏マッサージとして両足を個別にローラに載せて交互に前後動させる運動を、ほとんど体を支えることなく行なうことができ、これを背筋を伸ばした状態で行わせるという実用上極めて有益な効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る運動補助器具の一実施例を示す斜視図である。(実施例1)
【図2】(a)(b)(c)(d)はそれぞれ足踏箱の他の例を示すもので、(a)(b)は縦断面図、(c)は背面図、(d)は平面図である。(実施例2)
【図3】本発明に係る運動補助器具の他の実施例を示す側面図である。(実施例3)
【図4】本発明に係る運動補助器具についての更に他の実施例を示す側面図である。(実施例3)
【図5】本発明に係る運動補助器具のさらに他の実施例を示す斜視図である(実施例4)
【図6】図4に示した運動補助器具により、(a)は背伸手摺にぶら下がって、(b)は前手摺に掴まって足裏マッサージする状態を示す、それぞれ正面図である。
【図7】図4に示した運動補助器具の椅子に腰掛けて足裏マッサージする状態を示す側面図である。
【図8】図4に示した運動補助器具の背伸手摺を最下端に降ろした状態を示す正面図である。
【図9】本発明に係る運動補助器具の配置方法に関する例を示す概略平面図である。
【図10】(a)(b)は本発明に係る運動補助器具の付帯設備に関する一例を示す、(a)は概略側面図、(b)は概略背面図である。
【図11】(a)(b)は本発明に係る運動補助器具の他の例を示すいずれも概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、足裏マッサージを行なう運動補助器具において、両手を上方に伸ばして掴む高さ調整可能に支持した背伸手摺を立設した基台に、ローラを回転可能に支持した足踏箱を左右一対設置したことにより、上述課題を解決した。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明に係る運動補助器具1の一実施例を示すもので、高さ調整可能に設けた背伸手摺2を立設した基台3に、ローラ41を回転可能に支持した足踏箱4を左右一対設置した構造である。背伸手摺2は、基台3に設けたパイプ状の支柱31に入れ子式に挿通させることによって高さ調節できるようにしたもので、締付ネジ21で固定する。足踏箱4は、ローラ41として丸竹を用いており、これを底板42に転動させるようにしている。また、足踏箱4の後部上面には踏台43を設けて、運動前後の足置場としている。なお本例では、使用中二本の支柱31がねじれてしまうことを防止するために、両支柱31同士を連結する補強板32を設けているが、本発明に必須の部材ではなく省略可能である。
【実施例2】
【0020】
足踏箱4としては、図2(a)のように底板42を傾斜させることによって、足裏で転がすときの抵抗を付与させることができる。傾斜角度は、10°程度までで任意の角度に調整できるようにしてもよい。本例では、前部側が高く後部側が低くなるように設けているが、同図(b)のようにV字型に設けたり円弧状に設けてもよい。また、左右一対の足踏箱4は、同図(c)の蝶番44や(d)のピン45で開度を調整できるように可回転に連結してもよい。
【0021】
ローラ41として丸竹を用い、これを足踏箱4内の底板42上を転動するという機構の場合、ローラ41の右端又は左端が足踏箱4の内壁に接触してしまい円滑な転動動作がしにくくなることがある。そこで、図3(a)(b)に示す如き構造とすると好適である。一つは、足踏箱4の内壁両端に同図(a)のように凸条体46を設ける方法である。この凸条体46は、ローラ41の中心軸の高さ付近に水平に配置される板であり、例えば単なる鉄板であってもある程度の効果は期待できると思われるが本例の場合は、摩擦係数の小さいプラスチック(PTFE:ポリテトラフルオロエチレン)を表層に付加した鉄板を用いた。
【0022】
或いは同図(b)のように、ローラ41側に摩擦係数を小さくする部材を取設するという方法を採っても良い。即ち、ローラ41の両端にそれぞれリング体47を嵌め込み固着するというものである。同図(a)又は(b)のいずれか、或いは双方を採用することで、上述した問題は解消される。
なお、足踏箱4内部にヒーターを配置し、ローラ41を暖められるようにしておくと、冬期の運動が心地よくなり好適である(図示せず)。
【実施例3】
【0023】
踏台43は、背伸手摺2を掴む前後の立ち位置であるため、図3のように基台3に設けることによって、より安定させることができる。また、足踏箱4のローラ41を踏台43より下方にすることで、体を伸ばしながらの足裏マッサージ効果がより高められる。
【実施例4】
【0024】
本発明に係る運動補助器具1は、足踏箱4を左右一対設けたことにより、両足を常時ローラ41上に乗っており、ほとんど体を支えることなく自己の体重をローラ41に架けることができる。このため、図4に示すように背伸手摺2だけでなく、手を前にして掴まる前手摺5を設けることで、図5(a)の背伸手摺2によるぶら下がり状態だけでなく、同図(b)のように前手摺5に掴まった状態で足裏マッサージをすることができる。前手摺5は、両側に設けた手摺のように手で体を支えるという効果がほとんどなく、ローラ41に乗ったときの転倒防止や不安感をなくすためのものである。
【0025】
本例に示す運動補助器具1は、背伸手摺2や前手摺5の他、椅子6を基台3に設けており、図6のように椅子6に腰掛けた状態でも足裏マッサージをできるようにしている。また、背伸手摺2を高さ調節可能にする手段として、錘22を設けたロープ23で左右均等に昇降できるようにしている。これは、図に示すように背伸手摺2を懸け渡した子支柱25を、基台3の左右に立設した親支柱24に昇降可能に支持し、一端を各子支柱25の下端部に取り付けたロープ23を、滑車26を介して親支柱24に架け渡した回転棒27に巻回し、錘22でバランスさせるようにした構造である。
【0026】
これによって、回転棒27に設けたハンドル28を回すと、両子支柱25が同時に上下動し、背伸手摺2が水平状態を保ったまま高さを調節を容易にすることができる。図7は、背伸手摺2を最下端に降ろした状態である。子支柱25には、目盛29を設けており、再設定を容易にしている。背伸手摺2の固定は、締付ノブ30を締め付けることによって行なう。
【0027】
なお錘22は、図示したものは球状の鉄球であるが、これを鉄アレイに代えても良い(図示せず)。その場合、鉄アレイを用いて運動することもでき便利である(図示せず)。
【実施例5】
【0028】
本発明に係る運動補助器具1は、個人が購入し家庭で使用するというものであっても良いが、リハビリテーション施設或いは老人養護施設等において複数個を設置するといった使用をしても好適である。その場合これら複数個をバラバラに配置しても構わないが、例えば図9の如く、本発明器具1のコーナー部分に連結金具7を取り付けておき、適当な個数(図示した例では6基)を連結すると、運動しながら使用者同士が語り合うということもできて好適である。
【実施例6】
【0029】
図10(a)(b)は、本発明の他の例の側面図と背面図を示すものであり、支柱31に安全ベルト8を付帯させた例が示されている。安全ベルト8を設けていないと危険であるというわけではないが、本発明に係る運動補助器具1を用いて背伸運動を行う時、足下にはローラー41が存在し使用者はこれに乗った状態となる。これを不安定に思う使用者に対しては安全ベルト8の存在は頼もしい。
【実施例7】
【0030】
図11(a)(b)は、本発明の更に他の例を示すものである。即ち、背伸手摺2の中央付近に設けられた連結金具91を介して長さ40cm程度のハンドル棒9を回動自在に設けた構造である。これによって体躯の「ひねり運動」が簡単にできるよう構成されているので、複合的な運動が可能となっており、例えば風呂上がりに本発明に係る運動補助器具1を用いて各種運動する際に、この捻り運動を加えると、身体がリラックスし運動効果が上がることとなる。
なお本例では、錘22として鉄アレイを使用し、これを運動に活用できるように構成しているが、球形の錘であっても良い。
【符号の説明】
【0031】
1 運動補助器具
2 背伸手摺
21 締付ネジ
22 錘
23 ロープ
24 親支柱
25 子支柱
26 滑車
27 回転棒
28 ハンドル
29 目盛
30 締付ノブ
3 基台
31 支柱
32 補強板
4 足踏箱
41 ローラ
42 底板
43 踏台
44 蝶番
45 ピン
46 凸条体
47 リング体
5 前手摺
6 椅子
7 連結金具
8 安全ベルト
9 ハンドル棒
91 連結金具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持したローラを足裏で回転させることによって刺激を与える装置であって、両手を上方に伸ばして掴むもので高さ調整可能に支持した背伸手摺を立設した基台に、ローラを回転可能に支持した足踏箱を左右一対設置したことを特徴とする運動補助器具。
【請求項2】
背伸手摺の高さ調整装置は、基台の左右に立設した親支柱に背伸手摺を架け渡した子支柱を昇降可能に支持した構造で、一端を背伸手摺を設けた各子支柱13の下端部に取り付け、滑車を介して該親支柱に架け渡した回転棒に巻回し、他端に錘を設けたロープでバランスさせたものであって、該回転棒をハンドルで回転させて高さ調節する請求項1記載の運動補助器具。
【請求項1】
回転可能に支持したローラを足裏で回転させることによって刺激を与える装置であって、両手を上方に伸ばして掴むもので高さ調整可能に支持した背伸手摺を立設した基台に、ローラを回転可能に支持した足踏箱を左右一対設置したことを特徴とする運動補助器具。
【請求項2】
背伸手摺の高さ調整装置は、基台の左右に立設した親支柱に背伸手摺を架け渡した子支柱を昇降可能に支持した構造で、一端を背伸手摺を設けた各子支柱13の下端部に取り付け、滑車を介して該親支柱に架け渡した回転棒に巻回し、他端に錘を設けたロープでバランスさせたものであって、該回転棒をハンドルで回転させて高さ調節する請求項1記載の運動補助器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−139481(P2012−139481A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172991(P2011−172991)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(393013858)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(393013858)
[ Back to top ]