運動補助装置
【課題】足の底背屈動作に加えて体重を左右や前後に移す重心移動を併せて訓練することができるものとする。
【解決手段】架台2と、架台2に設けられ底背屈方向に動作する左右一対の足置用のステップ3,3と、上記架台2を支える基台1とからなる。上記架台2は基台1に対して、水平方向または水平軸周りの回転方向に可動となるように支持されている。
【解決手段】架台2と、架台2に設けられ底背屈方向に動作する左右一対の足置用のステップ3,3と、上記架台2を支える基台1とからなる。上記架台2は基台1に対して、水平方向または水平軸周りの回転方向に可動となるように支持されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の脚部の運動を促したり脚部の運動を矯正したりするための運動補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脚部の運動を補助する装置として、種々のものが提案されている。リハビリテーションという観点からは、使用者が自発的に筋力を発揮するのではなく、使用者の身体に外力を与えることで使用者の筋群に伸縮を行わせる他動運動によって運動効果を得る運動補助装置が知られている。
【0003】
このような運動補助装置において、脚部を対象とし且つ使用者が立位で使用するものとしては、左右の足をそれぞれ載せる一対のステップに底背屈方向の動作を行わせるとともに上記ステップを前後方向に往復駆動することで、ステップが歩行運動を模擬した動きを行うものとし、この左右のステップに足を載せている使用者は、歩行動作を他動運動として行うことになるものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2008/041554
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のものは、足関節の可動域を広げることや、歩行に伴って使用することになる下腿部の筋群を刺激するという点において、きわめて有効である。
【0006】
一方、歩行訓練を行う場合、殊にリハビリテーション目的の歩行訓練を行う場合、関節可動域の拡大や下腿部の筋群の訓練に加えて、踏み出しに際しての重心移動も重要となる。
【0007】
つまりは歩行時の足の踏み出しは、身体の前後左右のバランスをいったん崩すことでなされるものであり、上記バランスを崩すための体幹移動を恐怖感なく行うことができるようにならなければ、歩行動作はぎこちないものとなる。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、足の底背屈動作に加えて体重を左右や前後に移す重心移動(体幹移動)を併せて訓練することができる運動補助装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、架台と、架台に設けられ底背屈方向に動作する左右一対の足置用のステップと、上記架台を支える基台とからなり、上記架台は基台に対して、水平方向または水平軸周りの回転方向に可動となるように支持されていることに特徴を有している。
【0010】
足置用の左右のステップはその底背屈方向動作に前後方向の水平成分をもつ動作をするものであり、架台は上記基台に対して左右の水平方向動作を含む動きを行うものであることが好ましく、更には上記架台は、上記ステップの動作に同期した水平方向動作または水平軸周りの回転動作を行うものであることが好ましい。
【0011】
上記ステップの動作と上記架台の動作の少なくとも一方を担う駆動源を備えていることも好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、底背屈動作を行うステップが設けられた架台が基台に対して水平方向または水平軸周りの回転方向に可動となるように支持されているために、足の底背屈動作に加えて、前後あるいは左右の体幹移動や体幹の傾きを行わせることができるものであり、歩行動作の訓練としてより好ましいものとなっている。
【0013】
特に足置用の左右のステップがその底背屈方向動作に前後方向の水平成分をもつ動作を行い、架台は上記基台に対して左右の水平方向動作を含む動きを行うものであると、前後方向と左右方向の体幹移動を共に行うことができるために、歩行動作の訓練に更に好ましい結果を得ることができる。
【0014】
また上記架台が、上記ステップの動作に同期した水平方向動作または水平軸周りの回転動作を行うものであると、足の底背屈動作と体幹の移動方向とを関連づけて行うことができるために、歩行の訓練において特に好ましい結果を得ることができる。
【0015】
上記ステップの動作と上記架台の動作の少なくとも一方を担う駆動源を備えたものとすれば、いわゆる他動運動として歩行訓練を行うことができるために、自発的な動きが困難な場合においても、有効な運動を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図2】(a)は同上の動作時の正面図、(b)は側面図である。
【図3】同上の他例の部分斜視図である。
【図4】他の実施の形態の一例を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】別の例を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図6】更に別の例を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図7】他の例を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図8】(a)(b)は同上のステップ及び架台の動作説明図である。
【図9】更に他の例を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は部分斜視図である。
【図10】別の実施の形態の一例を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図11】他の例を示す平面図である。
【図12】(a)は同上の正面図、(b)は同上の側面図である。
【図13】別の例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施の形態の一例に基づいて詳述すると、この運動補助装置は、上面に左右一対のステップ3,3が配されている架台2と、上記架台2内に配設されて上記ステップ3,3の駆動を担う駆動手段4と、架台2を支えている基台1とからなる。
【0018】
上記ステップ3,3は、使用者の足裏全体を載せることができる寸法のもので、各ステップ3の後端寄りの部分が架台2上に設けた支柱21に配したほぼ左右方向の軸30によって支持されて夫々上下に回動自在となっているとともに、各ステップ3の前端側が上記駆動手段4に連結されており、各ステップ3,3は駆動手段4によって上下に回動駆動される。
【0019】
上記駆動手段4は、架台2上に配されたモータ40と、該モータ40の回転がピニオン41を介して伝達されるギア42と、ギア42の周部に各一端が連結され且つ他端が各ステップ3,3に連結された連接棒43とからなるもので、一方の連接棒43とギア42との連結点は、他方の連接棒43とギア42との連結点からギア42の軸回りにおいてほぼ180°ずれたところにあるために、モータ40によるギア42の回転に伴い、両ステップ3,3はほぼ180°ずれた位相で上下に回動する。
【0020】
このために、ステップ3,3に使用者が足を載せて立っている時、ステップ3,3の上記回動に伴い、使用者は足のつま先側を下げる底屈(plantar flexion)動作と、つま先側を上げる背屈(dorsi flexion)動作とを繰り返し行うことになる。また、左足が底屈を行う時、右足が背屈を、左足が背屈を行う時、右足が底屈を行う。
【0021】
なお、両ステップ3,3は平行ではなく、ステップ3,3に足を載せた時、つま先側が外側に少し開くように設けられており、この関係で、連接棒43とギア42との連結点及び連接棒43とステップ3との連結点は、夫々自在継手で形成してある。
【0022】
そして、上記左右一対のステップ3,3や駆動手段4が設置されている上記架台2は、基台1上の支柱10に設けた前後方向の回転軸20によって、左右方向中央部が支持されることで、左右方向に回動自在となっている。
【0023】
このために、上記ステップ3,3に左右の足を載せて立ち、この状態で上記駆動手段4を作動させてステップ3,3を動かすことで、使用者の脚部に対して他動運動を行わせる時、使用者は架台2の左右回動に伴って左右に体幹を傾かせることになる。
【0024】
すなわち、ステップ3,3に使用者が両足を載せた状態で、一方の足を底屈、他方の足を背屈させると、通常、底屈させた足の方に重心が移るために、左右のバランスが変化し、架台2は回転軸20を中心に重心が移った方の足側が下がり、他方が上がる。
【0025】
駆動機構4によるステップ3,3の回動で、底屈させる側と背屈させる側とが入れ替われば、使用者の左右の重心移動で架台2は逆方向に傾く。使用者の足に底屈と背屈とを交互に行わせることができるとともに、この時に生じる使用者の重心の左右移動を利用して、使用者の体幹を左右交互に傾かせることができるものである。
【0026】
なお、架台2の左右両端と基台1との間には弾性体5,5を配置することで、架台2の左右の傾きがステップ3,3の回動駆動に応じた緩慢な速度で行われるようにしてある。弾性体5は使用者の体重に応じてばね力を調節することができるものが好ましい。弾性体5に代えてダンパーを用いてもよいのはもちろんである。また、架台2を支えることになる支柱10は、強度の点からすれば、図1及び図2に示すような架台2の前後端に配したものではなく、架台2の左右方向中央部の前後方向全長にわたり支える形態のものが好ましい。
【0027】
ところで、使用者によっては、底屈させた足側に重心を移動させる動作が困難であったりする場合がある。この点からすれば、架台2の左右方向の揺動(シーソー動)も、動力で行うものとしてもよい。図4はこの場合の一例を示しており、前記駆動手段4におけるピニオン41と噛み合うドリブンギア45を設けるとともに、ドリブンギア45の周部と架台2における回転軸20から離れた部分とを連接棒46で連結してある。なお、ステップ3の駆動のためのギア42と、架台2の駆動のためのドリブンギア43とは等速で1回転するものとして、右足を載せたステップ3が右足を底屈させる時、架台2の右側(右足が載った側)を下げ、左足を載せたステップ3が左足を底屈させる時、架台2の左側(左足が載った側)を下げるようにしている。
【0028】
上記ドリブンギア45は架台2上に配置するが、支柱10側に設けてもよい。ただし、ドリブンギア45とピニオン41との噛み合いが架台2が傾いても保たれるものとしておく。
【0029】
このように架台2の動きも動力で行う時、左右の足の底屈背屈動作と、体幹を左右に傾ける動作とを確実に同期させることができ、安定したリズミカルな動きを使用者に行わせることができる。
【0030】
動力による駆動は架台2側だけとし、足を底背屈させるステップ3の回動は、架台2の傾きによる使用者の重心移動によってなされるようにしてもよい。図5はこの場合の一例を示しており、図4に示したものとほぼ同じ構成であるが、ステップ3,3に連接棒43,43で連結されたギア42をピニオン41と噛み合わずに自由回転するものとしてある。なお、この例におけるギア42の回転には常に抵抗が加わるようにしておくことが好ましい。
【0031】
駆動手段4による駆動で架台2の右側が下がる時、両ステップ3,3に足を載せている使用者は右足側に重心を移動させることになるが、架台2の右足側が下がっていることもあって、使用者は右足のつま先を底屈させることで、つまりは右足のつま先側に重心をかけることで安定を保とうとする。架台2の左右の傾きが変われば、逆に左足のつま先側に重心をかけて安定を保とうとする。このために、架台2の左右揺動に伴い、使用者は左右の足に底屈と背屈とを行わせることになる。
【0032】
図6に他例を示す。基本的構成は図4に示したものとほぼ同じで、駆動手段4によってステップ3,3の駆動を行うと同時に、ピニオン41の回転がドリブンギア46を介して伝達されるギア47の偏心部と架台2とが連接棒46で連結されている。なお、架台2上のドリブンギア46から基台1上のギア47には架台2が左右回動しても動力が伝達されるものとしておく。
【0033】
ステップ3の動きに同期させた左右揺動を架台2に行わせることができるものであり、また、ここでは架台2側から支柱22を下方に突出させて支柱22の下端を回転軸12によって基台1に連結して架台2を左右回転自在に支持して、架台2を回転自在とする回転軸12が架台2から下方に離れた位置に設けているために、回転軸12を中心とした架台2の左右揺動は、先に示した実施例のものよりも左右方向の移動量が大きくなる。このために使用者の体幹の左右移動量を大きくすることができる。
【0034】
図8に示すものは、図7に示したものに更にステップ3,3の前後動が加わるようにしたもので、ステップ3から突出させたアーム33の先端を支柱21に回転軸30で取り付けている。回転軸30を中心にステップ3が回動する時、ステップ3は前後にも移動する。このステップ3の前後動は、つま先側が下がる時、前方に移動し、つま先側が上がる時、後方に移動する。歩行にとって重要な左右の体幹移動と前後の体幹移動の双方を行わせることができるものである。
【0035】
なお、架台2の左右の動きと、ステップ3の前後の動きとは同期して行われるものであり、また、前述のように架台2はつま先側が下がるステップ3が設けられている側が下がりつつ基台1の左右方向中心から離れる方向に移動するようにしていることから、架台2の左右の動きとステップ3の前後の動きとの合成は、図8(a)に示すように、V字形の軌道となる。
【0036】
しかし、ギア47における連接棒46の連結点が180°異なっておれば、架台2はつま先側が上がるステップ3が設けられている側が下がりつつ基台1の左右方向中心から離れる方向に移動することになり、架台2の左右の動きとステップ3の前後の動きとの合成が、図8(b)に示すように、ハ字形の軌道となる。このために、ギア47における上記連結棒46の連結点を180°異なる位置に変更できるようにしておけば、図8(a)(b)に示す2つの動きを選択的に行わせることができることになる。ちなみに図8(a)に示す動きは、歩行の蹴り出しや接地の動作を模擬するものとなり、図8(b)に示す動きは、スケートでの蹴り出し様のトレーニングとなる。
【0037】
図9に別の実施例を示す。架台2とステップ3及び駆動手段4におけるステップ3の駆動部分については図7に示したものと同じである。しかし、基台1に対して架台2はリニアガイド6によって左右にスライド自在に配してある。また、基台1の左右に夫々配したリニアガイド6は、左側と右側が共に外側方が下がる勾配を持つものとしてある。
【0038】
左右のステップ3,3に載せた足のうちの一方に重心を移せば、左右のリニアガイド6のうちの上記重心に近い側のリニアスライド6には、上記勾配のために架台2を外側方へスライドさせる力が発生し、架台2はその方向に移動する。逆の足に重心を移せば、架台2も逆方向にスライドする。
【0039】
左右のステップ3,3に回動を(本例ではステップ3の前後動も)行わせたことでステップ3上に立つ使用者の重心移動が起これば、架台2の左右移動もなされるものである。この左右移動に際し、図中の弾性体5は、架台2を基台1の左右方向中央に保つように働く。弾性体5は必須のものではなく、無くてもよい。
【0040】
なお、本例では架台2がスライド動作に伴ってわずかに傾くものであり、この傾きを許すために、リニアガイド6における架台2との連結は回転軸60を介して行っている。リニアガイド6に代えて、図9(c)に示すように、傾斜面61をローラ62が転動する構成としてもよい。
【0041】
図10は架台2の水平スライド移動を駆動手段4によって行うようにしたものを示している。駆動手段4のピニオン41の回転は、ギア42を介してステップ3,3を駆動するほか、ドリブンギア45及びギア47と連接棒46を介して架台2を左右に水平スライド移動させる。左右スライド移動に伴って架台2が傾きを持つようにするために、リニアガイド6を図9に示す傾きを持つものとしてもよい。リニアガイド6に代えてローラを用いてもよいのも同様である。
【0042】
架台2が左右に移動したり左右方向に傾くものを示したが、このほか、図11及び図12に示すように、架台2の中央1点を球ジョイント8で受けることにより、前後左右に架台2が傾くようにしてもよい。架台2は、使用者2の重心が球ジョイント8から見てどちらにあるかによって傾く方向を変化させるものであり、このために使用者は足の底背屈動作に加えて、重心がどの位置にあるかを架台2の傾き方向から容易に認識することができ、前後左右方向への重心のかけ方の訓練に好適に用いることができる。
【0043】
架台2に前後左右の自在な傾きを許す構成は、球ジョイント8ではなく、図13に示すように、基台1と架台2との間の空間全体にフォーム材からなる弾性体5を配置することによっても得ることができる。コイルばねなどからなる弾性体5を上記空間に並べるようにしてもよい。図中50は基台1の下面に配した弾性材であり、接地面に凹凸があっても安定させることができる。
【0044】
ステップ3の駆動に加えて架台2もモータ40にて駆動する場合、上述の例では両者を同期させているが、この同期は位相を少しずらせておいてもよい。また、架台2が1往復する間にステップ3が2往復するようにしてもよく、ステップ3の動きと架台2の動きとは上記の例で示したものに限定されるものではない。
【0045】
ドリブンギア45やギア47等のギア類で且つ回転軸方向を変換しているものは、たとえばベベルギアなどで形成されるのであるが、図ではこの点を反映させていない。またギア47に一端を連結した連接棒46の他端を基台1に連結する場合は、ギア47を架台2側に配置することができることから、どのように駆動するかについても上記実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0046】
1 基台
2 架台
3 ステップ
4 駆動手段
5 弾性体
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の脚部の運動を促したり脚部の運動を矯正したりするための運動補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脚部の運動を補助する装置として、種々のものが提案されている。リハビリテーションという観点からは、使用者が自発的に筋力を発揮するのではなく、使用者の身体に外力を与えることで使用者の筋群に伸縮を行わせる他動運動によって運動効果を得る運動補助装置が知られている。
【0003】
このような運動補助装置において、脚部を対象とし且つ使用者が立位で使用するものとしては、左右の足をそれぞれ載せる一対のステップに底背屈方向の動作を行わせるとともに上記ステップを前後方向に往復駆動することで、ステップが歩行運動を模擬した動きを行うものとし、この左右のステップに足を載せている使用者は、歩行動作を他動運動として行うことになるものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2008/041554
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のものは、足関節の可動域を広げることや、歩行に伴って使用することになる下腿部の筋群を刺激するという点において、きわめて有効である。
【0006】
一方、歩行訓練を行う場合、殊にリハビリテーション目的の歩行訓練を行う場合、関節可動域の拡大や下腿部の筋群の訓練に加えて、踏み出しに際しての重心移動も重要となる。
【0007】
つまりは歩行時の足の踏み出しは、身体の前後左右のバランスをいったん崩すことでなされるものであり、上記バランスを崩すための体幹移動を恐怖感なく行うことができるようにならなければ、歩行動作はぎこちないものとなる。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、足の底背屈動作に加えて体重を左右や前後に移す重心移動(体幹移動)を併せて訓練することができる運動補助装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、架台と、架台に設けられ底背屈方向に動作する左右一対の足置用のステップと、上記架台を支える基台とからなり、上記架台は基台に対して、水平方向または水平軸周りの回転方向に可動となるように支持されていることに特徴を有している。
【0010】
足置用の左右のステップはその底背屈方向動作に前後方向の水平成分をもつ動作をするものであり、架台は上記基台に対して左右の水平方向動作を含む動きを行うものであることが好ましく、更には上記架台は、上記ステップの動作に同期した水平方向動作または水平軸周りの回転動作を行うものであることが好ましい。
【0011】
上記ステップの動作と上記架台の動作の少なくとも一方を担う駆動源を備えていることも好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、底背屈動作を行うステップが設けられた架台が基台に対して水平方向または水平軸周りの回転方向に可動となるように支持されているために、足の底背屈動作に加えて、前後あるいは左右の体幹移動や体幹の傾きを行わせることができるものであり、歩行動作の訓練としてより好ましいものとなっている。
【0013】
特に足置用の左右のステップがその底背屈方向動作に前後方向の水平成分をもつ動作を行い、架台は上記基台に対して左右の水平方向動作を含む動きを行うものであると、前後方向と左右方向の体幹移動を共に行うことができるために、歩行動作の訓練に更に好ましい結果を得ることができる。
【0014】
また上記架台が、上記ステップの動作に同期した水平方向動作または水平軸周りの回転動作を行うものであると、足の底背屈動作と体幹の移動方向とを関連づけて行うことができるために、歩行の訓練において特に好ましい結果を得ることができる。
【0015】
上記ステップの動作と上記架台の動作の少なくとも一方を担う駆動源を備えたものとすれば、いわゆる他動運動として歩行訓練を行うことができるために、自発的な動きが困難な場合においても、有効な運動を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図2】(a)は同上の動作時の正面図、(b)は側面図である。
【図3】同上の他例の部分斜視図である。
【図4】他の実施の形態の一例を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】別の例を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図6】更に別の例を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図7】他の例を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図8】(a)(b)は同上のステップ及び架台の動作説明図である。
【図9】更に他の例を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は部分斜視図である。
【図10】別の実施の形態の一例を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図11】他の例を示す平面図である。
【図12】(a)は同上の正面図、(b)は同上の側面図である。
【図13】別の例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施の形態の一例に基づいて詳述すると、この運動補助装置は、上面に左右一対のステップ3,3が配されている架台2と、上記架台2内に配設されて上記ステップ3,3の駆動を担う駆動手段4と、架台2を支えている基台1とからなる。
【0018】
上記ステップ3,3は、使用者の足裏全体を載せることができる寸法のもので、各ステップ3の後端寄りの部分が架台2上に設けた支柱21に配したほぼ左右方向の軸30によって支持されて夫々上下に回動自在となっているとともに、各ステップ3の前端側が上記駆動手段4に連結されており、各ステップ3,3は駆動手段4によって上下に回動駆動される。
【0019】
上記駆動手段4は、架台2上に配されたモータ40と、該モータ40の回転がピニオン41を介して伝達されるギア42と、ギア42の周部に各一端が連結され且つ他端が各ステップ3,3に連結された連接棒43とからなるもので、一方の連接棒43とギア42との連結点は、他方の連接棒43とギア42との連結点からギア42の軸回りにおいてほぼ180°ずれたところにあるために、モータ40によるギア42の回転に伴い、両ステップ3,3はほぼ180°ずれた位相で上下に回動する。
【0020】
このために、ステップ3,3に使用者が足を載せて立っている時、ステップ3,3の上記回動に伴い、使用者は足のつま先側を下げる底屈(plantar flexion)動作と、つま先側を上げる背屈(dorsi flexion)動作とを繰り返し行うことになる。また、左足が底屈を行う時、右足が背屈を、左足が背屈を行う時、右足が底屈を行う。
【0021】
なお、両ステップ3,3は平行ではなく、ステップ3,3に足を載せた時、つま先側が外側に少し開くように設けられており、この関係で、連接棒43とギア42との連結点及び連接棒43とステップ3との連結点は、夫々自在継手で形成してある。
【0022】
そして、上記左右一対のステップ3,3や駆動手段4が設置されている上記架台2は、基台1上の支柱10に設けた前後方向の回転軸20によって、左右方向中央部が支持されることで、左右方向に回動自在となっている。
【0023】
このために、上記ステップ3,3に左右の足を載せて立ち、この状態で上記駆動手段4を作動させてステップ3,3を動かすことで、使用者の脚部に対して他動運動を行わせる時、使用者は架台2の左右回動に伴って左右に体幹を傾かせることになる。
【0024】
すなわち、ステップ3,3に使用者が両足を載せた状態で、一方の足を底屈、他方の足を背屈させると、通常、底屈させた足の方に重心が移るために、左右のバランスが変化し、架台2は回転軸20を中心に重心が移った方の足側が下がり、他方が上がる。
【0025】
駆動機構4によるステップ3,3の回動で、底屈させる側と背屈させる側とが入れ替われば、使用者の左右の重心移動で架台2は逆方向に傾く。使用者の足に底屈と背屈とを交互に行わせることができるとともに、この時に生じる使用者の重心の左右移動を利用して、使用者の体幹を左右交互に傾かせることができるものである。
【0026】
なお、架台2の左右両端と基台1との間には弾性体5,5を配置することで、架台2の左右の傾きがステップ3,3の回動駆動に応じた緩慢な速度で行われるようにしてある。弾性体5は使用者の体重に応じてばね力を調節することができるものが好ましい。弾性体5に代えてダンパーを用いてもよいのはもちろんである。また、架台2を支えることになる支柱10は、強度の点からすれば、図1及び図2に示すような架台2の前後端に配したものではなく、架台2の左右方向中央部の前後方向全長にわたり支える形態のものが好ましい。
【0027】
ところで、使用者によっては、底屈させた足側に重心を移動させる動作が困難であったりする場合がある。この点からすれば、架台2の左右方向の揺動(シーソー動)も、動力で行うものとしてもよい。図4はこの場合の一例を示しており、前記駆動手段4におけるピニオン41と噛み合うドリブンギア45を設けるとともに、ドリブンギア45の周部と架台2における回転軸20から離れた部分とを連接棒46で連結してある。なお、ステップ3の駆動のためのギア42と、架台2の駆動のためのドリブンギア43とは等速で1回転するものとして、右足を載せたステップ3が右足を底屈させる時、架台2の右側(右足が載った側)を下げ、左足を載せたステップ3が左足を底屈させる時、架台2の左側(左足が載った側)を下げるようにしている。
【0028】
上記ドリブンギア45は架台2上に配置するが、支柱10側に設けてもよい。ただし、ドリブンギア45とピニオン41との噛み合いが架台2が傾いても保たれるものとしておく。
【0029】
このように架台2の動きも動力で行う時、左右の足の底屈背屈動作と、体幹を左右に傾ける動作とを確実に同期させることができ、安定したリズミカルな動きを使用者に行わせることができる。
【0030】
動力による駆動は架台2側だけとし、足を底背屈させるステップ3の回動は、架台2の傾きによる使用者の重心移動によってなされるようにしてもよい。図5はこの場合の一例を示しており、図4に示したものとほぼ同じ構成であるが、ステップ3,3に連接棒43,43で連結されたギア42をピニオン41と噛み合わずに自由回転するものとしてある。なお、この例におけるギア42の回転には常に抵抗が加わるようにしておくことが好ましい。
【0031】
駆動手段4による駆動で架台2の右側が下がる時、両ステップ3,3に足を載せている使用者は右足側に重心を移動させることになるが、架台2の右足側が下がっていることもあって、使用者は右足のつま先を底屈させることで、つまりは右足のつま先側に重心をかけることで安定を保とうとする。架台2の左右の傾きが変われば、逆に左足のつま先側に重心をかけて安定を保とうとする。このために、架台2の左右揺動に伴い、使用者は左右の足に底屈と背屈とを行わせることになる。
【0032】
図6に他例を示す。基本的構成は図4に示したものとほぼ同じで、駆動手段4によってステップ3,3の駆動を行うと同時に、ピニオン41の回転がドリブンギア46を介して伝達されるギア47の偏心部と架台2とが連接棒46で連結されている。なお、架台2上のドリブンギア46から基台1上のギア47には架台2が左右回動しても動力が伝達されるものとしておく。
【0033】
ステップ3の動きに同期させた左右揺動を架台2に行わせることができるものであり、また、ここでは架台2側から支柱22を下方に突出させて支柱22の下端を回転軸12によって基台1に連結して架台2を左右回転自在に支持して、架台2を回転自在とする回転軸12が架台2から下方に離れた位置に設けているために、回転軸12を中心とした架台2の左右揺動は、先に示した実施例のものよりも左右方向の移動量が大きくなる。このために使用者の体幹の左右移動量を大きくすることができる。
【0034】
図8に示すものは、図7に示したものに更にステップ3,3の前後動が加わるようにしたもので、ステップ3から突出させたアーム33の先端を支柱21に回転軸30で取り付けている。回転軸30を中心にステップ3が回動する時、ステップ3は前後にも移動する。このステップ3の前後動は、つま先側が下がる時、前方に移動し、つま先側が上がる時、後方に移動する。歩行にとって重要な左右の体幹移動と前後の体幹移動の双方を行わせることができるものである。
【0035】
なお、架台2の左右の動きと、ステップ3の前後の動きとは同期して行われるものであり、また、前述のように架台2はつま先側が下がるステップ3が設けられている側が下がりつつ基台1の左右方向中心から離れる方向に移動するようにしていることから、架台2の左右の動きとステップ3の前後の動きとの合成は、図8(a)に示すように、V字形の軌道となる。
【0036】
しかし、ギア47における連接棒46の連結点が180°異なっておれば、架台2はつま先側が上がるステップ3が設けられている側が下がりつつ基台1の左右方向中心から離れる方向に移動することになり、架台2の左右の動きとステップ3の前後の動きとの合成が、図8(b)に示すように、ハ字形の軌道となる。このために、ギア47における上記連結棒46の連結点を180°異なる位置に変更できるようにしておけば、図8(a)(b)に示す2つの動きを選択的に行わせることができることになる。ちなみに図8(a)に示す動きは、歩行の蹴り出しや接地の動作を模擬するものとなり、図8(b)に示す動きは、スケートでの蹴り出し様のトレーニングとなる。
【0037】
図9に別の実施例を示す。架台2とステップ3及び駆動手段4におけるステップ3の駆動部分については図7に示したものと同じである。しかし、基台1に対して架台2はリニアガイド6によって左右にスライド自在に配してある。また、基台1の左右に夫々配したリニアガイド6は、左側と右側が共に外側方が下がる勾配を持つものとしてある。
【0038】
左右のステップ3,3に載せた足のうちの一方に重心を移せば、左右のリニアガイド6のうちの上記重心に近い側のリニアスライド6には、上記勾配のために架台2を外側方へスライドさせる力が発生し、架台2はその方向に移動する。逆の足に重心を移せば、架台2も逆方向にスライドする。
【0039】
左右のステップ3,3に回動を(本例ではステップ3の前後動も)行わせたことでステップ3上に立つ使用者の重心移動が起これば、架台2の左右移動もなされるものである。この左右移動に際し、図中の弾性体5は、架台2を基台1の左右方向中央に保つように働く。弾性体5は必須のものではなく、無くてもよい。
【0040】
なお、本例では架台2がスライド動作に伴ってわずかに傾くものであり、この傾きを許すために、リニアガイド6における架台2との連結は回転軸60を介して行っている。リニアガイド6に代えて、図9(c)に示すように、傾斜面61をローラ62が転動する構成としてもよい。
【0041】
図10は架台2の水平スライド移動を駆動手段4によって行うようにしたものを示している。駆動手段4のピニオン41の回転は、ギア42を介してステップ3,3を駆動するほか、ドリブンギア45及びギア47と連接棒46を介して架台2を左右に水平スライド移動させる。左右スライド移動に伴って架台2が傾きを持つようにするために、リニアガイド6を図9に示す傾きを持つものとしてもよい。リニアガイド6に代えてローラを用いてもよいのも同様である。
【0042】
架台2が左右に移動したり左右方向に傾くものを示したが、このほか、図11及び図12に示すように、架台2の中央1点を球ジョイント8で受けることにより、前後左右に架台2が傾くようにしてもよい。架台2は、使用者2の重心が球ジョイント8から見てどちらにあるかによって傾く方向を変化させるものであり、このために使用者は足の底背屈動作に加えて、重心がどの位置にあるかを架台2の傾き方向から容易に認識することができ、前後左右方向への重心のかけ方の訓練に好適に用いることができる。
【0043】
架台2に前後左右の自在な傾きを許す構成は、球ジョイント8ではなく、図13に示すように、基台1と架台2との間の空間全体にフォーム材からなる弾性体5を配置することによっても得ることができる。コイルばねなどからなる弾性体5を上記空間に並べるようにしてもよい。図中50は基台1の下面に配した弾性材であり、接地面に凹凸があっても安定させることができる。
【0044】
ステップ3の駆動に加えて架台2もモータ40にて駆動する場合、上述の例では両者を同期させているが、この同期は位相を少しずらせておいてもよい。また、架台2が1往復する間にステップ3が2往復するようにしてもよく、ステップ3の動きと架台2の動きとは上記の例で示したものに限定されるものではない。
【0045】
ドリブンギア45やギア47等のギア類で且つ回転軸方向を変換しているものは、たとえばベベルギアなどで形成されるのであるが、図ではこの点を反映させていない。またギア47に一端を連結した連接棒46の他端を基台1に連結する場合は、ギア47を架台2側に配置することができることから、どのように駆動するかについても上記実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0046】
1 基台
2 架台
3 ステップ
4 駆動手段
5 弾性体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台と、架台に設けられ底背屈方向に動作する左右一対の足置用のステップと、上記架台を支える基台とからなり、上記架台は基台に対して、水平方向または水平軸周りの回転方向に可動となるように支持されていることを特徴とする運動補助装置。
【請求項2】
足置用の左右のステップはその底背屈方向動作に前後方向の水平成分をもつ動作をするものであり、架台は上記基台に対して左右の水平方向動作を含む動きを行うものであることを特徴とする請求項1記載の運動補助装置。
【請求項3】
上記架台は、上記ステップの動作に同期した水平方向動作または水平軸周りの回転動作を行うものであることを特徴とする請求項1または2記載の運動補助装置。
【請求項4】
上記ステップの動作と上記架台の動作の少なくとも一方を担う駆動源を備えていることを特徴とする運動補助装置。
【請求項1】
架台と、架台に設けられ底背屈方向に動作する左右一対の足置用のステップと、上記架台を支える基台とからなり、上記架台は基台に対して、水平方向または水平軸周りの回転方向に可動となるように支持されていることを特徴とする運動補助装置。
【請求項2】
足置用の左右のステップはその底背屈方向動作に前後方向の水平成分をもつ動作をするものであり、架台は上記基台に対して左右の水平方向動作を含む動きを行うものであることを特徴とする請求項1記載の運動補助装置。
【請求項3】
上記架台は、上記ステップの動作に同期した水平方向動作または水平軸周りの回転動作を行うものであることを特徴とする請求項1または2記載の運動補助装置。
【請求項4】
上記ステップの動作と上記架台の動作の少なくとも一方を担う駆動源を備えていることを特徴とする運動補助装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−81490(P2013−81490A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37916(P2010−37916)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
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