説明

運搬用取手

【課題】外装パネルに対して強固に固定できるようにする。
【解決手段】取付口32aから挿入される筒状部41と、筒状部41の外周面に形成され、筒状部41が取付口32aに挿入された際に外装パネル32の内面に係止される固定爪42及び可動爪と、筒状部41の開放端に形成された鍔部45とを備える。鍔部45は、筒状部41が取付口32aに挿入された際に外装パネル32の外面に当接する当接面46aを有している。取付口32aに取り付けられる前の状態において、鍔部45の当接面46aが、筒状部41が取付口32aに挿入された際に固定爪42及び可動爪によって係止される外装パネル32の外面の位置に対して固定爪42及び可動爪側に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装パネルに形成された取付口に取り付けられる運搬用取手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、空気調和機の室外機や、給湯機のヒートポンプユニット及び貯湯タンクユニットとして、図9に示すような運搬用取手104を有するものが知られている(例えば、特許文献1)。かかる運搬用取手104は、外装パネル132に形成された取付口132aに取り付けられるものであり、取付口132aから挿入される筒状部141と、筒状部141の外周面から延在した鍔部145とを有している。運搬用取手104が取付口132aに取り付けられた際には、鍔部145は外装パネル132の外面と接触する。
【0003】
特許文献1に開示されている運搬用取手204には、図10に示すように、取付口232aからの抜け落ちを防ぐための爪242が筒状部241の外周面に形成されている。爪242と鍔部245との間の幅D10のすきまに、厚みD20の外装パネル232に形成された取付口232aの縁部が嵌まり込むようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−114245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているような運搬用取手204では、爪242と鍔部245との間のすきまの幅D10は、製造誤差を考慮して、外装パネル232の厚みD20よりも大きくなっていることが多い。この場合には、運搬用取手204の外装パネル232に対する固定が甘くなり、がたつき等の不具合の原因となる。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、外装パネルに対して強固に固定することができる運搬用取手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明にかかる運搬用取手は、外装パネルに形成された取付口に取り付けられる運搬用取手であって、前記取付口から挿入される筒状部と、前記筒状部の外周面に形成され、前記筒状部が前記取付口に挿入された際に前記外装パネルの内面に係止される係止部と、前記筒状部の外周面において前記係止部から離れた位置から前記筒状部の外周面と交差する方向に延在した鍔部とを備え、前記鍔部は、前記筒状部が前記取付口に挿入された際に前記外装パネルの外面に当接する当接部を有しており、前記取付口に取り付けられる前の状態において、前記当接部は、前記筒状部が前記取付口に挿入された際に前記係止部によって係止される前記外装パネルの外面に対応した面に対して前記係止部側に配置される。
【0008】
この運搬用取手では、鍔部の当接部は、取付口に取り付けられる前の状態において、筒状部が取付口に挿入された際に係止部によって係止される外装パネルの外面に対応した面に対して係止部側に配置されている。したがって、運搬用取手が取付口に取り付けられた状態においては、鍔部の当接部は、外装パネルの外面に押し付けられる。すなわち、取付口に取り付けられた際に、鍔部の当接部が外装パネルの外面に密着する。したがって、運搬用取手を外装パネルに対して強固に固定できる。また、鍔部の当接部が外装パネルに密着している部分においては、外装パネルの外面と鍔部との間から水が侵入するのを防止できる。
【0009】
第2の発明にかかる運搬用取手では、第1の発明にかかる運搬用取手において、前記筒状部の奥側の端部は、閉塞された閉塞端として構成されている。
【0010】
この運搬用取手では、筒状部の奥側の端部が閉塞された閉塞端であることから、筒状部の内側から水が侵入するのを防止できる。
【0011】
第3の発明にかかる運搬用取手では、第1または第2の発明にかかる運搬用取手において、前記当接部は、前記鍔部の先端に配置されている。
【0012】
この運搬用取手では、取付口に取り付けられた状態にける外装パネルへの押し付け力が最も大きくなる位置に当接部が配置されている。したがって、運搬用取手を外装パネルに対してより強固に固定できる。
【0013】
第4の発明にかかる運搬用取手では、第1〜第3のいずれかの発明にかかる運搬用取手において、前記鍔部及び前記当接部は、前記筒状部の全周にわたって設けられている。
【0014】
この運搬用取手では、取付口に取り付けられた状態において、当接部が筒状部の全周にわたって外装パネルに押し付けられる。したがって、運搬用取手を外装パネルに対してより強固に固定できる。また、外装パネルの外面と鍔部とが筒状部の全周にわたって密着するので、外装パネルの外面と鍔部との間から水が侵入するのを効果的に防止できる。
【0015】
第5の発明にかかる運搬用取手は、第1〜第4のいずれかの発明にかかる運搬用取手において、前記係止部は、前記筒状部の外周面のうち前記筒状部内の空洞を挟んで両側に位置する外周面に設けられた一対の係止部を含んでいる。
【0016】
この運搬用取手では、外装パネルに対して安定した状態で固定できる。
【発明の効果】
【0017】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0018】
第1の発明では、鍔部の当接部は、取付口に取り付けられる前の状態において、筒状部が取付口に挿入された際に係止部によって係止される外装パネルの外面に対応した面に対して係止部側に配置されている。したがって、運搬用取手が取付口に取り付けられた状態においては、鍔部の当接部は、外装パネルの外面に押し付けられる。すなわち、取付口に取り付けられた際に、鍔部の当接部が外装パネルの外面に密着する。したがって、運搬用取手を外装パネルに対して強固に固定できる。また、鍔部の当接部が外装パネルに密着している部分においては、外装パネルの外面と鍔部との間から水が侵入するのを防止できる。
【0019】
第2の発明では、筒状部の奥側の端部が閉塞された閉塞端であることから、筒状部の内側から水が侵入するのを防止できる。
【0020】
第3の発明では、取付口に取付られた状態にける外装パネルへの押し付け力が最も大きくなる位置に当接部が配置されている。したがって、運搬用取手を外装パネルに対してより強固に固定できる。
【0021】
第4の発明では、取付口に取り付けられた状態において、当接部が筒状部の全周にわたって外装パネルに押し付けられる。したがって、運搬用取手を外装パネルに対してより強固に固定できる。また、外装パネルの外面と鍔部とが筒状部の全周にわたって密着するので、外装パネルの外面と鍔部との間から水が侵入するのを効果的に防止できる。
【0022】
第5の発明では、外装パネルに対して安定した状態で固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態にかかる運搬用取手が設けられた貯湯タンクユニットを備えたヒートポンプ式給湯機を示す図である。
【図2】図1の運搬用取手を示す図であり、(a)は外装パネルに固定された姿勢での上面図、(b)は外装パネルに固定された姿勢での正面図、(c)は外装パネルに固定された姿勢での下面図、(d)は外装パネルに固定された姿勢での側面図である。
【図3】図2(a)の運搬用取手のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】図3の運搬用取手を外装パネルに形成された取付口に取り付けた状態を示す図である。
【図5】図4の運搬用取手の拡大図であり、(a)は固定爪近傍の拡大図、(b)は可動爪近傍の拡大図である。
【図6】(a)は図3に示す固定爪近傍の拡大図であり、(b)は(a)の当接部近傍の拡大図である。
【図7】(a)は図3に示す可動爪が係止位置にある状態の可動爪近傍の拡大図であり、(b)は(a)の当接部近傍の拡大図である。
【図8】図3の運搬用取手を外装パネルに形成された取付口へ取り付ける際の手順を示す図であり、(a)は取り付け前の状態、(b)は固定爪のみを外装パネルに係合させた状態、(c)は取り付けた状態を示す。
【図9】一般的な運搬用取手を示す斜視図である。
【図10】従来の運搬用取手を示す図であり、(a)は外装パネルの取付口に取り付ける前の状態、(b)は外装パネルの取付口に取り付けた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明にかかる運搬用取手の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
本実施形態の運搬用取手4は、図1に示すように、ヒートポンプ式給湯機1に備えられた貯湯タンクユニット3に適用されるものである。貯湯タンクユニット3は、水を貯える貯湯タンク31と、貯湯タンク31を覆う外装パネル32とを備えている。運搬用取手4は、貯湯タンクユニット3の側壁(鉛直方向に立設された壁)を構成する外装パネル32に固定されている。また、貯湯タンクユニット3は、送出管5a及び返還管5bを介してヒートポンプユニット2に接続されている。
【0026】
ヒートポンプ式給湯機1においては、貯湯タンク31内の水は、送出管5aを介してヒートポンプユニット2に送られる。ヒートポンプユニット2では、外気から吸収した熱エネルギーを空気熱交換器により冷媒に吸収させると共に冷媒を圧縮することにより冷媒の温度を高め、その高温の冷媒により貯湯タンク31から送れられてきた水を加熱する。そして、ヒートポンプユニット2で加熱された水は、返還管5bを介して貯湯タンク31内に戻る。ヒートポンプ式給湯機1、このようにして貯湯タンク31内の水を沸き上げる。
【0027】
ここで、図2〜図7を参照しつつ、運搬用取手4についてより詳細に説明する。なお、以下の説明において断りがない限りは、運搬用取手4が外装パネル32に固定された姿勢をとっているものとする。運搬用取手4は、樹脂等の可撓性を有する材料で形成されており、一端(図2(d)における右側端)が閉じた筒状の部材である筒状部41と、筒状部41の開放されている側の端部(図2(d)における左側端部)における外周面からその外周面と交差する方向に延在した鍔部45とで主に構成されている。なお、以降の説明において、筒状部41の奥側に配置された閉じた側の端を「閉塞端」、開放された側の端を「開放端」と称する。
【0028】
筒状部41は、開放端よりも閉塞端の方が上方に位置するように斜めに設けられている。筒状部41の閉塞端から開放端に向かう方向と直交する面での断面は、水平方向に長い略長方形形状を有している。そして、筒状部41の外周面は、いずれも開放端側よりも閉塞端側の方が上方に位置するように傾斜しており且つ筒状部41内の空洞を挟んで両側に位置する上面41a及び下面41bと、上面41a及び下面41bを連結する側面41cとで構成されている。図4に示すように、筒状部41は、閉塞端側が奥となるように、外装パネル32に形成された取付口32aを介して貯湯タンクユニット3の外側から内側へと挿入される。
【0029】
鍔部45は、筒状部41の開放端から鉛直方向に延在している。すなわち、筒状部41の上面41aと鍔部45とのなす角は鋭角であり、下面41bと鍔部45とのなす角は鈍角である。また、鍔部45は、筒状部41の全周にわたって設けられており、図2(b)に示すように、その先端部の輪郭は水平方向に長い略長方形形状を有している。図3に示すように、鍔部45の先端部には、鍔部45の全周にわたって筒状部41側(図中右方)に屈曲した当接部46が形成されている。すなわち、鍔部45の筒状部41側の面では、当接部46が形成された部分がその他の部分よりも筒状部41側に突出している。この当接部46の筒状部41側の面は、図4に示すように、筒状部41が取付口32aに挿入された際に外装パネル32の外面に当接する当接面46aとなる。
【0030】
図2(a)、(d)に示すように、筒状部41の上面41aには、2つの固定爪42が形成されている。これら2つの固定爪42は、上面41aにおける鍔部45から若干離れた位置に配置されている。また、2つの固定爪42は、運搬用取手4の取付口32aへの取付方向(図2(a)中上下方向;以降単に「取付方向」と称する)と平行であり且つ運搬用取手4の幅方向(図2(a)中左右方向;以降単に「幅方向」と称する)の中央を通る線(図2(a)において一点鎖線で示す線)に対して対称に配置されている。固定爪42は、上面41aから突出するように形成されており、その上面は開放端側よりも閉塞端側の方が上方に位置するように傾斜している。図4、図5(a)に示すように、固定爪42は、筒状部41が取付口32aに挿入された際に外装パネル32の内面に係止される。
【0031】
図2(c)、(d)に示すように、筒状部41の下面41bには、2つの可動爪43が形成されている。これら2つの可動爪43は、下面41bにおける鍔部45から若干離れた位置に配置されている。また、2つの可動爪43は、取付方向と平行であり且つ幅方向の中央を通る線(図2(c)において一点鎖線で示す線)に対して対称に配置されている。さらに、2つの可動爪43間の長さL2は、2つの固定爪42間の長さL1よりも長い。
【0032】
可動爪43は、図3に示すように、その閉塞端側の端部(図中右側端部)が下面41bから突出して設けられた台座部44に接続されている。そして、可動爪43は、台座部44に接続された部分を支点として回動し、その開放端側の端部(図中左側端部)は、筒状部41に近づく方向及び筒状部41から離れる方向に移動可能である。可動爪43の下面は、運搬用取手4が外装パネル32に固定される前の状態では、開放端側よりも閉塞端側の方が上方に位置するように傾斜している。また、可動爪43の下面における開放端側の端部近傍には、段差部43aが形成されている。
【0033】
可動爪43の開放端側の端部は、筒状部41が取付口32aに挿入された際において取付口32aを通過するときに、取付口32aの下縁によって押されて上方に移動する。そして、可動爪43の開放端側の端部は、可動爪43の下面における段差部43aが形成された部分よりも閉塞端側(図5(b)中右端側)の部分が、取付口32aの下縁と接触している際に、最も筒状部41に近づく最近接位置(図5(b)において破線で示す位置)まで移動する。そして、可動爪43の開放端側の端部は、取付口32aの下縁が段差部43aを乗り越えると、下方に移動して最近接位置よりも筒状部41から若干離れた係止位置(図5(b)において実線で示す位置)に移動する。このとき、可動爪43は、外装パネル32の内面に係止される。
【0034】
図6に示すように、運搬用取手4が取付口32aに取り付けられる前の状態では、鍔部45の当接面46aは、筒状部41が取付口32aに挿入された際に固定爪42によって係止される外装パネル32(図中破線で示す)の外面の位置に対して固定爪42側(図中右方)に配置されている。同様に、図7に示すように、運搬用取手4が取付口32aに取り付けられる前の状態では、鍔部45の当接面46aは、可動爪43によって係止される外装パネル32(図中破線で示す)の外面の位置に対して可動爪43側(図中右方)に配置されている。したがって、図5に示すように、運搬用取手4が取付口32aに取り付けられた際には、鍔部45の当接部46は、外装パネル32の外面によって図中左方に押し返された状態となる。
【0035】
なお、本実施の形態においては、外装パネル32の厚みD2は0.5mmであり、運搬用取手4が取付口32aに取り付けられる前の状態において、外装パネル32の外面の位置と当接面46aとの間の長さD1は0.3mmである。すなわち、鍔部45の当接面46aと、外装パネル32の内面の位置(固定爪42及び可動爪43が外装パネル32に係止される面を含む面の位置)との間のすきまの幅はいずれも0.2mmである。よって、運搬用取手4が取付口32aに取り付けられた際には、鍔部45の当接部46は、外装パネル32の外面によって0.3mmだけ押し返された状態となる。このように、外装パネル32の厚みD2が、鍔部45の当接面46aと、外装パネル32の内面の位置との間のすきまの幅より大きい場合には、外装パネル32の厚みにかかわらず、運搬用取手4が取付口32aに取り付けられた際には、鍔部45の当接部46は、外装パネル32の外面によって押し返された状態となる。
【0036】
次に、図8を参照しつつ、運搬用取手4を取付口32aに取り付ける際の手順について説明する。まず、図8(a)に示すように、筒状部41を閉塞端側から取付口32aに挿入する。この挿入作業は、鍔部45の下端よりも上端の方が外装パネル32に近くなるように傾けた状態で行われる。そして、図8(b)に示すように、固定爪42を外装パネル32の内面に係止させる。その後、固定爪42を中心にして運搬用取手4を図8(b)中反時計回りに回転させる。このとき、可動爪43の下面は、閉塞端側から開放端側に向かって取付口32aの下縁上を摺動する。また、このとき可動爪43は、取付口32aの下縁によって上方に押されて最近接位置まで移動する。
【0037】
そして、取付口32aの下縁が段差部43aを乗り越えると可動爪43が係止位置に移動し、図8(c)に示すように、可動爪43が外装パネル32の内面に係止される。このとき、鍔部45の当接部46は、全周にわたって外装パネル32に押し付けられる。これにより、運搬用取手4が外装パネル32に固定される。
【0038】
以上のように、本実施形態の運搬用取手4では、取付口32aに取り付けられる前の状態において、鍔部45の当接部46における当接面46aが、筒状部41が取付口32aに挿入された際に固定爪42及び可動爪43によって係止される外装パネル32の外面の位置に対して固定爪42及び可動爪43側に配置されている。したがって、当接部46は、運搬用取手4が取付口32aに取り付けられた状態においては、外装パネル32の外面に押し付けられる。すなわち、運搬用取手4が取付口32aに取り付けられた際に、鍔部45の当接部46が外装パネル32の外面に密着する。よって、外装パネル32に対して強固に固定できる。また、鍔部45の当接部46が外装パネル32に密着している部分においては、外装パネル32の外面と鍔部45との間から貯湯タンクユニット3内に水が侵入するのを防止できる。その結果、例えば、貯湯タンク31内の湯水の温度を検知するために貯湯タンク31の側面に設けられたセンサ(図示せず)等、貯湯タンクユニット3内に配置された電気機器等が濡れて故障するのを抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態の運搬用取手4では、筒状部41の奥側の端部が閉塞された閉塞端であることから、筒状部41の内側から貯湯タンクユニット3内に水が侵入するのを防止できる。
【0040】
また、本実施形態の運搬用取手4では、当接部46は、鍔部45の先端に配置されている。つまり、取付口32aに取り付けられた状態にける外装パネル32への押し付け力が最も大きくなる位置に当接部46が配置されている。よって、外装パネル32に対してより強固に固定できる。
【0041】
さらに、本実施形態の運搬用取手4では、鍔部45及び当接部46が、筒状部41の全周にわたって設けられている。したがって、取付口32aに取り付けられた状態において、当接部46が筒状部41の全周にわたって外装パネル32に押し付けられる。よって、外装パネル32に対してより強固に固定できる。また、外装パネル32の外面と鍔部45とが筒状部41の全周にわたって密着するので、外装パネル32の外面と鍔部45との間から水が侵入するのを効果的に防止できる。
【0042】
また、本実施形態の運搬用取手4では、筒状部41の上面41aに固定爪42が設けられており、筒状部41内の空洞を挟んで上面41aとは反対側に位置する下面41bに可動爪43が設けられている。したがって、外装パネルに対して安定した状態で固定できる。
【0043】
さらに、本実施形態の運搬用取手4では、可動爪43は、筒状部41が取付口32aに挿入された際において取付口32aを通過するときに、取付口32aの下縁によって押されて上方に移動し、取付口32aの下縁が段差部43aを乗り越えると下方に移動する。したがって、運搬用取手4を取付口32aに取り付ける際に、係止用の爪によって取付口32aの縁が押圧されて破損するのを防ぐことができる。
【0044】
また、本実施形態の運搬用取手4では、筒状部41は、鍔部45に対して斜めに設けられていると共に、その外周面における上面41aと鍔部45とのなす角は鋭角であり、下面41bと鍔部45とのなす角は鈍角である。そして、上面41aに固定爪42が設けられており、下面41bに可動爪43が設けられている。したがって、筒状部41を取付口32aから挿入し、固定爪42を外装パネル32の内面に係止した後で、可動爪43を外装パネル32の内面に係止させるように固定爪42を中心に回転させることで、運搬用取手4の取付口32aへの取り付けを容易に行うことができる。
【0045】
以上、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0046】
また、上述の実施形態では、筒状部41の奥側に配置された端部が閉じられた閉塞端として構成されている場合について説明したが、これには限られない。筒状部41の奥側に配置された端部が開放された開放端として構成されてもよい。したがって、上述の実施形態の筒状部41の閉塞端の一部に開口が形成され、閉塞端の一部が開放されていてもよい。
【0047】
例えば、上述の実施形態では、当接部46が鍔部45の先端に配置されている場合について説明したが、当接部46は、鍔部45の先端以外の部分(例えば、鍔部45の先端より筒状部41の外周面側の部分)に配置されていてもよい。
【0048】
また、上述の実施形態では、鍔部45及び当接部46が、筒状部41の全周にわたって設けられている場合について説明したが、これには限定されない。鍔部45及び当接部46は、筒状部41の周囲の一部分のみに設けられていてもよい。
【0049】
また、上述の実施形態では、筒状部41の外周面のうち筒状部41内の空洞を挟んで両側に位置する上面41a及び下面41bにそれぞれ設けられた固定爪42及び可動爪43について説明したが、固定爪42及び可動爪43が配置される面はこれには限定されない。すなわち、例えば、固定爪42及び可動爪43は、上面41a、下面41b及び側面41cの少なくともいずれかの面に設けられていればよく、左側の側面41cと右側の側面41cとにそれぞれ設けられてもよいし、上面41aと側面41cとにそれぞれ設けられていてもよい。
【0050】
さらに、上述の実施形態では、筒状部41の外周面に2つの固定爪42及び2つの可動爪43が設けられている場合について説明したが、爪の個数はこれには限定されない。また、筒状部41の外周面に環状の爪が1つ形成されていてもよい。
【0051】
加えて、上述の実施形態では、固定爪42が、筒状部41の外周面における鍔部45とのなす角が鋭角である上面41aに設けられており、可動爪43が、鍔部45とのなす角が鈍角である下面41bに設けられている場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、可動爪43が上面41aに設けられており、固定爪42が下面41bに設けられていてもよい。また、全ての爪が固定爪42であってもよいし、全ての爪が可動爪43であってもよい。
【0052】
また、上述の実施形態では、運搬用取手4は、樹脂等の可撓性を有する材料で形成されているが、金属で形成されたものであってもよい。
【0053】
また、上述の実施の形態においては、ヒートポンプ式給湯機1に備えられた貯湯タンクユニット3に適用される運搬用取手4について説明したが、これには限定されない。本発明は、外装パネルに形成された取付口に取り付けられる運搬用取手一般に適用可能であり、例えば、空気調和機の室外機や給湯機のヒートポンプユニット等に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明を利用すれば、外装パネルに対して強固に固定することができる。
【符号の説明】
【0055】
4 運搬用取手
32 外装パネル
32a 取付口
41 筒状部
42 固定爪(係止部)
43 可動爪(係止部)
45 鍔部
46 当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装パネルに形成された取付口に取り付けられる運搬用取手であって、
前記取付口から挿入される筒状部と、
前記筒状部の外周面に形成され、前記筒状部が前記取付口に挿入された際に前記外装パネルの内面に係止される係止部と、
前記筒状部の外周面において前記係止部から離れた位置から前記筒状部の外周面と交差する方向に延在した鍔部とを備え、
前記鍔部は、前記筒状部が前記取付口に挿入された際に前記外装パネルの外面に当接する当接部を有しており、
前記取付口に取り付けられる前の状態において、
前記当接部は、前記筒状部が前記取付口に挿入された際に前記係止部によって係止される前記外装パネルの外面に対応した面に対して前記係止部側に配置されることを特徴とする運搬用取手。
【請求項2】
前記筒状部の奥側の端部は、閉塞された閉塞端として構成されていることを特徴とする請求項1に記載の運搬用取手。
【請求項3】
前記当接部は、前記鍔部の先端に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の運搬用取手。
【請求項4】
前記鍔部及び前記当接部は、前記筒状部の全周にわたって設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の運搬用取手。
【請求項5】
前記係止部は、前記筒状部の外周面のうち前記筒状部内の空洞を挟んで両側に位置する外周面に設けられた一対の係止部を含んでいることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の運搬用取手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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