説明

運搬用車両

【課題】バンパーが凹んだ場合でも、確実に、ハンドル操作を行い得る運搬用車両を提供する。
【解決手段】前部に走行用駆動輪2を有する走行装置3および後部に従動輪4を有する案内装置5が設けられるとともに、前部上面に運転台6および後部上面に荷台7が設けられた車両本体1を有する運搬用車両であって、上記車両本体に、走行装置を支持する支持体11を設けるとともに、この支持体の上部に換向用ハンドル33が取り付けられた回転体を回転自在に設け、上記車両本体の前縁部に所定高さでもってバンパー41を取り付けるとともに、上記回転体に当該回転体の外周を覆う筒状カバー体34を設け、さらにこの筒状カバー体の下端縁が、バンパーの上端縁よりも上方位置となるように構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を搬送するための運搬用車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、野菜、魚などの卸売市場においては、競りにかけられる野菜、魚などを入れた箱を運搬するために、箱の積み下ろしおよび作業の利便性を図るために、専用の運搬用車両が用いられている。
【0003】
そして、この種の運搬用車両の車両本体(シャーシ)の前部には走行用駆動輪を有する走行装置が設けられるとともに後部には従動輪を有する案内装置が設けられており、また当該車両本体の前部には運転台が設けられるとともに、この運転台の後部には、箱などの荷物を積載するための荷台が設けられている。
【0004】
従来、このような車両本体の走行装置は、車両本体の前部に立設された筒状の支持体を介して取り付けられるとともに、当該走行装置を換向させるハンドルを有するステアリング装置は、上記支持体の上部に配置されていた。
【0005】
また、上記ステアリング装置には、当該ステアリング装置を覆うカバー体が設けられているとともに、このカバー体の下端縁は、バンパーよりも内側で且つその上端縁よりも下方に位置するように長くされていた。つまり、側面視および正面視において、カバー体の下端縁がバンパーの内面側に入り込み、所定高さだけ重なるようにされていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−1330号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の運搬用車両によると、当該運搬用車両が、柱または床面上にある硬い物体などに衝突した場合、当然にバンパーが凹み、その後方に位置するカバー体に接触して、ハンドル操作ができなくなる惧があった。
【0007】
そこで、本発明は、バンパーが凹んだ場合でも、確実に、ハンドル操作を行い得る運搬用車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の運搬用車両は、前部に駆動輪を有する走行装置および後部に従動輪を有する案内装置が設けられるとともに、前部上面に運転台および後部上面に荷台が設けられた車両本体を有する運搬用車両であって、
上記車両本体に、上記走行装置を支持する支持体を設けるとともに、この支持体の上部に換向用ハンドルが取り付けられた回転体を回転自在に設け、
上記車両本体の前縁部に所定高さでもって緩衝器を取り付けるとともに、上記回転体に、当該回転体の外周を覆う筒状カバー体を設け、
さらにこの筒状カバー体の下端縁が、上記緩衝器の上端縁よりも上方位置となるように構成したものである。
【発明の効果】
【0009】
上記運搬用車両の構成によると、当該運搬用車両が、運搬中に、柱、床面に載置された硬い物体などに衝突した際に、緩衝器例えばバンパーが凹んだとしても、直ぐ後方に筒状カバー体が配置されていないため、従来のように、バンパーが筒状カバー体に接触することがなく、したがって衝突が起こったとしても、ハンドル操作を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態に係る運搬用車両を、図1〜図5に基づき説明する。
この運搬用車両は、例えば卸売市場などで、野菜、魚などを入れた箱(荷物の一例である)を運搬するためのもので、前部に、作業員が立った状態で運転し得る運転台と、後部に野菜、魚などが入った箱を多数積載し得る荷台が具備されたものである。
【0011】
すなわち、図1〜図3に示すように、この運搬用車両の車両本体(シャーシともいう)1の前部には1個の走行用駆動輪2を有する走行装置(前輪装置ともいう)3が設けられるとともに、その後部には2個の従動輪4を有する案内装置(後輪装置ともいう)5が設けられている。
【0012】
上記車両本体1の前部には、上記走行装置3を車両本体1に取り付けるとともにこの走行装置3を介して当該車両本体1の前部を支持するための支持体11が設けられている。
なお、車両本体1の前部位置で且つこの支持体11の直ぐ後方には、運転台6が設けられるとともに、この運転台6の後方部が荷台7にされており、運転台6の後面には、ガード部材8が立設されている。
【0013】
上記支持体11は、図4および図5に示すように、車両本体1の上面に立設された筒状部材(例えば、円筒であり、勿論、その軸心方向は鉛直方向にされている)12と、この筒状部材12の上端に取り付けられた上板材(蓋板材、取付板材ともいえる)13と、この上板材13の中央に形成された穴部13aに鉛直方向で取り付けられた小径の筒状支持部14とから構成されている。
【0014】
そして、上記走行装置3は、上端側に上記筒状支持部14の穴部14a内に挿入され且つ上下の軸受15,16を介して回転自在に支持された筒状部17が形成されるとともに下部に駆動輪2を水平軸心回りで回転自在に支持するハブ部18が形成され且つ途中の鉛直部分に空間室(図示せず)が設けられたケーシング19と、このケーシング19の上部の側面に取り付けられた駆動源である電動機(勿論、内燃機関であってもよい)20と、同じくケーシング19の空間室内に配置されて電動機20の出力軸と駆動輪2との間に配置された減速機構(図示しないが、複数の歯車からなる)とから構成されている。なお、上記筒状部17の上端には、筒状支持部14の上方に配置されるとともに中央に穴部21aおよび当該穴部21aから下方に突設された筒状突出部21bを有する円形の取付用板体21が配置され、しかもこの取付用板体21の筒状突出部21bが筒状部17に上方から当接されるとともにボルトなどにより連結されており、この構成により、ケーシング19が支持体11に回転自在に取り付けられることになる。
【0015】
さらに、上記取付用板体21には、この筒状部17内を挿通された連結軸体22を介して上記ケーシング19を回転させて駆動輪2の方向を換えるためのステアリング装置(換向装置)31が設けられている。すなわち、この連結軸体22を介して取付用板体21とケーシング19とが互いに連結されている。
【0016】
上記ステアリング装置31は、上記取付用板体21に固定された枠状回転体32と、この枠状回転体32の上部にそれぞれ設けられた円形の換向用ハンドル33と、上記枠状回転体32の全外周面すなわちステアリング装置31の略全体を覆うように当該枠状回転体32に設けられた筒状カバー体34とから構成されている。
【0017】
また、上記枠状回転体32には、アクセルスイッチ35、前後進切換用レバー36、前照灯37などが設けられている。
さらに、上記車両本体1の前縁部には、その前端面を車幅方向に亘って覆うように、例えば平面視が半円状となるように形成された所定高さのバンパー(緩衝器である)41が取り付けられている。
【0018】
そして、このバンパー41の上端縁(上端面)は、運転台6の床面から所定高さの位置となるように、具体的には、足元より少し高くなるようにされるとともに、筒状カバー体34の下端縁(下端面)が、上記支持体11のバンパー41よりも上方の略全体を覆い得るように、すなわちバンパー41の上端縁より少し上方となるような位置にされている。
【0019】
したがって、正面から見た場合、バンパー41の直ぐ上方に筒状カバー体34の下端縁が位置していることになる。
なお、図4および図5から判るように、上記バンパー41および筒状カバー体34には、所定厚さの鋼板が用いられるとともに、その水平断面において、筒状カバー体34が、バンパー41と支持体11を構成する筒状部材12との間に位置するような形状(つまり半径距離)にされている。勿論、筒状カバー体34と支持体11の筒状部材12との間には、当然に、通常考えられる衝突などによるバンパー41の凹み量以上の隙間(間隔)が設けられている。
【0020】
上記運搬用車両により、例えば野菜などが入った箱を運搬する場合、荷台7に箱を載せた後、作業員が運転台6に立ち、運転スイッチを入れてブレーキを解除し、アクセルスイッチ35を操作するとともにハンドル33を操作することにより、所定場所まで箱を容易に搬送することができる。
【0021】
ところで、バンパー41について説明すると、当該運搬用車両が、運搬中に、柱、床面に載置された硬い物体などに衝突した場合、当然に、バンパー41が凹むことになる。しかし、バンパー41が後方に凹んだとしても、直ぐ後方に、筒状カバー体34が配置されていないため、すなわち支持体11の筒状部材12との間には、通常考えられる衝突などによる凹み量以上の隙間が形成されているため、従来のように、バンパーが筒状カバー体に接触することがなく、したがって衝突が起こったとしても、ハンドル操作を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る運搬用車両の側面図である。
【図2】同運搬用車両の平面図である。
【図3】同運搬用車両の正面図である。
【図4】図1のA−A断面図である。
【図5】図2のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 車両本体
2 走行用駆動輪
3 走行装置
4 従動輪
5 案内装置
6 運転台
7 荷台
11 支持体
12 筒状部材
21 取付用板体
22 連結軸体
31 ステアリング装置
32 枠状回転体
33 換向用ハンドル
34 筒状カバー体
41 バンパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部に駆動輪を有する走行装置および後部に従動輪を有する案内装置が設けられるとともに、前部上面に運転台および後部上面に荷台が設けられた車両本体を有する運搬用車両であって、
上記車両本体に、上記走行装置を支持する支持体を設けるとともに、この支持体の上部に換向用ハンドルが取り付けられた回転体を回転自在に設け、
上記車両本体の前縁部に所定高さでもって緩衝器を取り付けるとともに、上記回転体に、当該回転体の外周を覆う筒状カバー体を設け、
さらにこの筒状カバー体の下端縁が、上記緩衝器の上端縁よりも上方位置となるように構成したことを特徴とする運搬用車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−216844(P2007−216844A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40053(P2006−40053)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000003241)TCM株式会社 (319)