説明

運用効率化支援システム及び運用効率化支援方法

【課題】仮想マシンの運用効率を向上する支援システムの提供。
【解決手段】運用課題に対するアクティビティを格納した課題原因プロセスマップ情報22と、アクティビティに対応した課題解決ツール名を格納したツールプロセスマップ情報23と、アクティビティに対応したプロセス名を格納したアクティビティ一覧情報24と、ツールの設定条件を含むツール構成情報を格納した課題解決データベース20を用意し、ヒアリング項目情報に基づき課題原因プロセスマップ情報22から課題に対するアクティブテイを抽出し、この抽出情報に基づきツールプロセスマップ情報23から課題解決ツール名を抽出し、該ツール名をキーとしてツール構成情報25からアクティブテイに対応したプロセス名を抽出し、このプロセス名及びツール構成情報に基づいて仮想マシンの評価環境を構築し、該構築した仮想マシン環境をユーザに提供するもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想マシンの効率的な運用を支援することができる運用効率化支援システム及び運用効率化支援方法に係り、特にITILをベースとした仮想マシン運用の課題を抽出し、この抽出した課題の解決を支援することができる運用効率化支援システム及び運用効率化支援方法に関する。
【0002】
従来のコンピュータシステムは、クライアントのコンピュータ(PC)を物理マシンとして用意し、ユーザが利用する場合、クライアントPCにOS(Operating System)及びアプリケーションプログラムのインストールやネットワーク設定や各種のアプリケーションプログラムの設定をするなど、1台のPCを利用できるまでに多くの作業時間及びコストがかかるものであった。これに対して近年のコンピュータシステムでは、仮想化ソフトウェアを利用し、クライアント端末からアクセスする仮想クライアントPCを実サーバコンピュータの仮想ソフトウェア上に配置して利用する仮想マシンが実現されている。この仮想マシンは、仮想化ソフトウェア上に作成した仮想クライアントPCをユーザへ提供する際、仮想化ソフトウェアに標準に付属するテンプレート機能によって、仮想クライアントPC用のテンプレートからのコピーにより仮想マシンを作成することができ、インストール作業などの煩わしい作業を低減することができる。
【0003】
他方、近年のコンピュータシステムは、コンプライアンス対策、運用管理コスト削減等を目的として、仮想マシンの運用環境を見直す必要性が生じ、この運用環境を見直す観点としては、ITIL(ITIL:Information Technology Infrastructure Library:イギリス政府が策定した、コンピュータシステムの運用・管理業務に関する体系的なガイドライン)やCOBIT(COBIT:Control Objectives for Information and Related Technology:自社の情報システムを適切に構築・活用するための基準を示し、ITガバナンスの成熟度を測るための国際的な規格)といった国際的なガイドライン・規格が提案されている。また、前述の課題を解決するための管理ツール(プログラム)は、各社から販売されている。
【0004】
なお、前述の仮想マシンの動作環境を再構築する技術が記載された文献としては、下記特許文献が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−244999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の特許文献には、システム環境に応じた仮想マシンの安定稼動を図ることを目的とし、この目的を達成するために、管理サーバが、複数の物理マシンの内、CPU(Central Processing Unit)環境温度が基準温度以上の物理マシンを移動対象物理マシンとして選定し、最もCPU使用率の低い物理マシンを移動対象仮想マシンの移動先として選定する技術が記載されている。
【0007】
しかしながら前記特許文献記載の技術は、物理マシンに割り当てる仮想マシンを物理マシンのCPU温度監視によって判定するのみの技術であって、仮想マシンの効率的な運用を図ることができないと言う不具合があった。特に多数の仮想マシンの運用を効率的に行うためには、最初に複数の仮想マシン運用状況の把握を行い、そこから課題を発見し、発見した課題を解決することが必要であるが、このような分析、評価、解決が属人的な作業となるため、安定した高い品質を保つことが困難であり、かつ手間がかかるという不具合があった。
【0008】
本発明の目的は、前述の従来技術による不具合を除去することであり、複数の物理マシンを構築するコンピュータシステムにおいて、仮想マシン運用の課題抽出から該抽出した課題の解決を支援することができる運用効率化支援システム及び運用効率化支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために本発明は、コンピュータの定義情報を格納したテンプレート情報及び仮想化ソフトウェアを用いて仮想マシンをコンピュータ上に仮想的に生成する仮想化コンピュータシステムにおける仮想マシンの運用を効率化する運用効率化支援システムであって、
ユーザからの課題を含むヒアリング項目を基に稼働中の仮想マシンの運用課題に対して想定されるITILアクティビティを格納した課題原因プロセスマップ情報部と、複数のITILアクティビティに対応した課題解決ツール名とプロセス分類と価格とを格納したツールプロセスマップ情報部と、複数のITILアクティビティに対応したプロセス名を格納したITILアクティビティ一覧情報部と、複数ツールの設定条件情報及び処理手順情報を含むツール構成情報とを格納した課題解決データベースと、
前記ユーザからのヒアリング項目と前記課題解決データベースに格納された課題原因プロセスマップ情報とツールプロセスマップ情報とITILアクティビティ一覧情報とツール構成情報とを参照して前記運用課題を解決する仮想マシン環境の生成を支援する仮想マシン環境分析生成コンピュータとを備え、
該仮想マシン環境分析生成コンピュータは、
前記ヒアリング項目情報の課題をキーとして前記課題原因プロセスマップ情報からITILアクティブテイを抽出する第1工程と、
該抽出したITILアクティブテイをキーとして前記ツールプロセスマップ情報から課題解決ツール名とプロセス分類と価格とを抽出する第2工程と、
該第2ステップにより抽出したツール名をキーとして前記ツール構成情報及び仮想マシンテンプレート情報からアクティブテイに対応したプロセス名及びツール構成情報を抽出する第3工程と、
該抽出したプロセス名及びツール構成情報を基に新たな仮想マシンを構築するための評価環境を構築する第4工程と、
該第4工程により構築した仮想マシン環境をユーザに提供する第5工程とを実行することを第1の特徴とする。
【0010】
また本発明は、第1の特徴の運用効率化支援システムにおいて、前記ヒアリング項目が課題を解決するための上限価格を含み、前記仮想マシン環境分析生成コンピュータは、前記第3工程において前記ツールプロセスマップ情報から抽出したプロセス名が複数存在するとき、前記課題解決ツールの価格が前記上限価格を超えるプロセス名を除外する第6工程を実行することを第2の特徴とする。
【0011】
更に本発明は、コンピュータの定義情報を格納したテンプレート情報及び仮想化ソフトウェアを用いて仮想マシンをコンピュータ上に仮想的に生成する仮想化コンピュータシステムにおける仮想マシンの運用を効率化する運用効率化支援方法であって、
ユーザからの課題を含むヒアリング項目を基に稼働中の仮想マシンの運用課題に対して想定されるITILアクティビティを格納した課題原因プロセスマップ情報部と、複数のITILアクティビティに対応した課題解決ツール名とプロセス分類と価格とを格納したツールプロセスマップ情報部と、複数のITILアクティビティに対応したプロセス名を格納したITILアクティビティ一覧情報部と、複数ツールの設定条件情報及び処理手順情報を含むツール構成情報とを格納した課題解決データベースと、
前記ユーザからのヒアリング項目と前記課題解決データベースに格納された課題原因プロセスマップ情報とツールプロセスマップ情報とITILアクティビティ一覧情報とツール構成情報とを参照して前記運用課題を解決する仮想マシン環境の生成を支援する仮想マシン環境分析生成コンピュータとを設け、
該仮想マシン環境分析生成コンピュータは、
前記ヒアリング項目をキーとして前記課題原因プロセスマップ情報からITILアクティブテイを抽出する第1工程と、
該抽出したITILアクティブテイをキーとして前記ツールプロセスマップ情報から課題解決ツール名とプロセス分類と価格とを抽出する第2工程と、
該第2ステップにより抽出したツール名をキーとして前記ツール構成情報及び仮想マシンテンプレート情報からアクティブテイに対応したプロセス名及びツール構成情報を抽出する第3工程と、
該抽出したプロセス名及びツール構成情報を基に新たな仮想マシンを構築するための評価環境を構築する第4工程と、
該第4工程により構築した仮想マシン環境をユーザに提供する第5工程とを実行することを第3の特徴とする。
【0012】
また本発明は、第3の特徴の運用効率化支援方法において、前記ヒアリング項目が課題を解決するための上限価格を含み、前記仮想マシン環境分析生成コンピュータは、前記第3工程において前記ツールプロセスマップ情報から抽出したプロセス名が複数存在するとき、前記課題解決ツールの価格が前記上限価格を超えるプロセス名を除外する第6工程を実行することを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明による運用効率化支援システム及び方法は、仮想マシンの運用課題に対するアクティビティを格納した課題原因プロセスマップ情報部と、アクティビティに対応した課題解決ツール名を格納したツールプロセスマップ情報部と、アクティビティに対応したプロセス名を格納したアクティビティ一覧情報部と、ツールの設定条件情報を含むツール構成情報を格納した課題解決データベースを用意し、ヒアリング項目を基に課題原因プロセスマップ情報から課題に対するアクティブテイを抽出し、該アクティブテイを基にツールプロセスマップ情報から課題解決ツール名等を抽出し、抽出したツール名をキーとしてツール構成情報からアクティブテイに対応したプロセス名を抽出し、該抽出したプロセス名及びツール構成情報を基に仮想マシンの評価環境を構築し、該構築した仮想マシン環境をユーザに提供することによって、仮想マシン運用の課題抽出し、この抽出した課題の解決を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による運用効率化支援システムを説明するための図。
【図2】本実施形態によるヒアリング項目情報を説明するための図。
【図3】本実施形態による課題原因プロセスマップ情報を示す図。
【図4】本実施形態によるツールプロセスマップ情報を示す図。
【図5】本実施形態によるITILアクティビティ一覧情報を示す図。
【図6】本実施形態によるツール構成情報を示す図。
【図7】本実施形態による支援システムの全体処理フローを示す図。
【図8】本実施形態による原因抽出機能の処理フローを示す図。
【図9】本実施形態によるツール抽出機能の処理フローを示す図。
【図10】本実施形態による評価環境構築機能の処理フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による運用効率化支援システム及び運用効率化支援方法の一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
[構成]
本実施形態による運用効率化支援方法を実現する運用効率化支援システムは、図1に示す如く、ユーザ10がインターネット等の公衆通信回線網11を介して接続される仮想化コンピュータシステムに含まれる仮想マシン50に接続されるものであって、ユーザ10からのヒアリング項目(情報)を基に仮想マシン環境の分析乃至最適な環境を生成する仮想マシン環境分析生成コンピュータ40と、該仮想マシン環境分析生成コンピュータ40に接続され、仮想マシン環境の課題を解決するための各種情報をテーブルとして格納する課題解決データベース(DB)20とから構成される。
【0016】
前記仮想マシン環境分析生成コンピュータ40は、後述するユーザからヒアリングしたヒアリング項目情報30を基に該当の仮想マシンの課題に対する原因を抽出する原因抽出機能部41と、予め課題に対する解決手法を実行する市販製品(ツール又は管理ツールとも呼ぶ)のツール情報を抽出するツール抽出機能部42と、仮想マシンを構築するための仮想マシンテンプレート情報44及び前述したツールのファイル情報を基に仮想マシンの新たな評価環境を構築する評価環境構築機能部43と、前述の各機能を制御するための制御機能部46とを、ソフトウェア又はハードウェアとして備える。
【0017】
前記課題解決データベースDB20は、ユーザに仮想マシンの使用状況に応じた課題等の聞き取りを行うためのヒアリング内容を含むヒアリング項目情報21と、ヒアリングした課題に対する原因及び該原因を解決するために使用するITILアクティビティを格納した課題原因プロセスマップ情報22と、前述の課題を解決するためのITILアクティビティに対応した管理ツールの情報を格納したツールプロセスマップ情報23と、後述する複数のプロセスに対応するアクティビティID(識別子)との対応を格納したITILアクティビティ一覧情報24と、管理ツールの製品名称及び該製品が実行する処理を記載したツール情報を格納したツール構成情報25とから構成され、これら情報はテーブル形式のデータとして格納されている。なお、ITILアクティビティとは、プロセス内の1つのステップに相当するタスクを定義し、1個以上の業務処理[ガイドライン・規格、管理ツール]を意味のある単位にグルーピングしたものであって、新しいアクティビティを追加することにより、新しいステップを作成し、それをプロセス内の役割に割り当てるためのものである。
【0018】
前記ヒアリング項目情報21は、例えば図2に示す如く、ユーザに対する質問内容欄と、該質問内容に対するユーザの回答(「はい又はいいえ」)欄と、該回答が「はい」のときに想定される課題番号(No)欄の各欄とから成り、例えば、質問「ITサービスが期待したほどユーザに利用されない」の回答が「はい」のときの課題番号が「34」、質問「問合わせ窓口が期待したほどユーザに利用されない」の回答が「はい」のときの課題番号が「1」又は「2」である旨を格納している。また、本ヒアリング項目情報21には、ユーザが仮想マシンの再構築にかける費用の上限値をヒアリングする項目も含まれ、本図の場合は上限値が10万円以上を許容するか否かをヒアリングする。
【0019】
前記課題原因プロセスマップ情報22は、前記ヒアリング項目情報21の課題番号に対応した具体的課題内容の欄と、該課題に想定される原因の欄と、該原因に対するITILアクティビティを示す欄との各欄とから成り、例えば、課題番号「1」の「スタッフのトレーニング未実施等」の課題に対する原因が「管理者層の確約が得られていない」であり、この原因に対するITILアクティビティが図中「○」で示した「Fine01」であることを示している。
【0020】
前記ツールプロセスマップ情報23は、図4に示す如く、管理ツールの提供元の社名欄と、該管理ツールの製品名称の欄と、処理を行うプロセスの分類欄と、当該製品の価格欄と、当該製品に含まれるITILアクティビティを示す欄とから成り、例えば、項番1の製品の提供元が「H社」、製品名称が「Intergated Management」、実行するプロセスの分類が「イベント管理」、価格が「¥52,000」、ITILアクティビティが「Fine01」及び「Cap01」であることを示している。
【0021】
前記ITILアクティビティ一覧情報24は、図5に示す如く、実行するプロセスの内容を示すプロセス名の欄と、該プロセスに対応するITILアクティビティID(識別子)欄と、アクティビティの内容の欄とから成り、例えば、項番4のプロセス名「財務管理」のプロセスのアクティビティIDが「Fine01」、項番16のプロセス名「変更管理」のプロセスのアクティビティIDが「Cha01」、内容が「変更要求の作成と記録」であることを示している。
【0022】
前記ツール構成情報25は、製品の名称欄と、該製品に対応した仮想マシンに対する設定条件情報及び処理手順情報を含む示すツール情報の各欄から成り、例えば製品「Intergrated Manegement」のツール情報が、プログラム格納ディレクトリとして[C¥Program Files¥HIA¥im¥・・]を指定し、レジストリとして[HKEY_LACALMACHINE¥Software¥・・]を設定し、DLL(ダイナミックリンクライブラリ)の格納ディレクトリとして[C¥Program Files¥HIA¥pm¥・・]を指定することを示している。
【0023】
[動作]
[全体動作]
次に前述のように構成された本実施形態による仮想マシンの運用効率化支援システムの制御機能部46による動作を図7以降を参照して説明する。
本実施形態による運用効率化支援システムの全体動作は、図7に示す如く、仮想マシン環境分析生成コンピュータ40の制御機能部46が、課題解決DB20のヒアリング項目情報21に格納されたヒアリング項目(図2参照)の記入シートをユーザ10(図2参照)に渡し(オンラインでの提供も含む。)、ユーザ10が当該記入シートの各項目について回答を記入(オンラインでの入力も含む。)を依頼するヒアリングシート記入ステップ100と、該ステップ100により記入(入力)されたヒアリング項目情報102の課題番号をキーとして課題解決DB20の課題原因プロセスマップ情報22(図3)を検索し、課題番号に対応するITILアクティブテイ情報を抽出するステップ103を実行する。例えば、本システムは、ヒアリング項目情報102の回答が「はい」の項目がNo13の「問い合窓口転倒者が担当している役割の責任を果たしていないことがある」の場合、この回答に対応する課題番号として「1」「2」を抽出し、該課題番号「1」「2」をキーとして、課題原因プロセスマップ情報22(図3)を検索し、課題番号「1」「2」に対応するITILアクティブテイ一覧情報として「○」印の「Finr01」を抽出するように動作する。
【0024】
次いで本運用効率化支援システムは、ステップ103により抽出したITILアクティブテイ一覧情報105をキーとして当該ITILアクティブテイ情報に対して必要な課題解決製品(管理ツール)のツール一覧情報108をツールプロセスマップ情報23(図4)から抽出するステップ106と、該ステップ106により抽出した課題解決製品(管理ツール)のアクティビティIDをキーとしてツール構成情報25(図5)及び仮想マシンテンプレート情報44(図6)から、アクティブテイに対応したプロセス名及びツール情報並びに仮想マシンのテンプレート情報を抽出し、これら抽出した情報を基に新たな仮想マシンを構築するための評価環境を構築するステップ109とを実行する。
【0025】
これら一連のステップは、例えば、ステップ103により抽出したITILアクティブテイ一覧情報が「Finr01」の場合、ステップ106によりツールプロセスマップ情報23(図4)から課題解決製品のツール情報として項番1及び7の製品「Intergrated Managemet」及び「Service Disk」等を抽出し、ステップ109により前記抽出したツール情報を基に図5のアクティビティID「Fine01」のプロセスが「財務管理」であること及び図6項番1の製品「Intergrated Managemet」のツール情報を抽出し、これら情報及び仮想マシンテンプレート情報44を基に新たな評価用の仮想マシン環境を構築する様に動作する。
【0026】
更に本実施形態による運用効率化支援システムは、当該構築した仮想マシン50を公衆通信回線網11を介してユーザ10に提供するステップ112と、この提供した仮想マシン環境の再診断を行うか否かを管理者が入力した判定を行うステップ113とを実行し、該ステップ113により再診断と入力されたと判定したときにはステップ100に戻り、再診断が不要と入力されたと判定したときには処理を終了するように動作する。
【0027】
このように本実施形態による運用効率化支援システムは、仮想マシン環境分析生成コンピュータ40の制御機能部46が、ユーザからのヒアリング情報(課題)を基に該課題の原因及び原因を解決するための管理ツールを抽出し、該管理ツールを基に新たな仮想マシンを構築してユーザに提供することによって、仮想マシン運用の課題抽出乃至抽出した課題の解決を支援することができる。
【0028】
[原因抽出処理の説明]
次に前述の支援システム処理フローにおける詳細を説明する。まず、前述の図7のステップ103による課題に対する原因を抽出する処理は、図8に示す如く、制御機能部46が、図3に示したユーザからのヒアリング項目情報102から回答が「はい」である全てのヒアリング項目を抽出するステップ200と、この抽出した課題に対応する課題番号(本例の場合「項番2」)を抽出するステップ202と、該抽出した課題番号に対応する課題内容の一覧を課題原因プロセスマップ情報22から抽出するステップ203と、該ステップ203により抽出した課題に対応するITILアクティビティ情報の一覧を抽出する処理を実行することによって、ユーザから指摘された課題に対する原因及びITILアクティビティ情報を取得するように動作する。
【0029】
[ツール抽出処理の説明]
次に図7のステップ106によるツールを抽出する処理工程は、図9に示す如く、ステップ103により抽出したITILアクティビティ一覧情報(本例の場合「Finr01」)をキーとしてITILアクティビティ一覧情報24及びツールプロセスマップ情報23を参照し、ツールプロセスマップ情報302から該当するITILプロセスのアクティビティに対応するツール全てを抽出するステップ300と、この抽出したツール一覧の中にプロセス分類(例えば、図4中の項番1と項番7。)が重複しているツールがあるか否かを判定するステップ303と、該ステップ303により重複するツールがあると判定したとき、該当するアクティビティ列の個数を求め、その個数が多いツールにマーク(フラグ)を付け、重複した中の有力候補として図示しないメモリに保持するステップ304と、前記ステップ303において重複するツールがないと判定したとき、ステップ300により抽出したツールにマーク(フラグ)を付けるステップ305と、該ステップ305又はステップ304に続き、ヒアリング項目(図2の項番99)で得られた価格の上限値(本例では「10万円」)を、前記抽出したツールの価格合計が超えているか判断するステップ306と、該ステップ306において超えていると判定したとき、抽出したツールのプロセス分類が重複しているツールが存在するか否かを判定するステップ307と、該ステップ307において重複しているツールが存在すると判定したとき、抽出したツール内の最も価格の高いツールを除外し、前記ステップ303に戻るステップ308と、前記ステップ307において重複しているツールが存在しないと判定したとき、又はステップ306において価格の上限値を超えていないと判定したとき、マーク(フラグ)を付与したツールを抽出するステップ309を実行する。
【0030】
これら一連のステップにより、本実施形態による運用効率化支援システムは、課題及び原因から導いたITILアクティビティを基に課題に応じた管理ツール(課題解決製品)をユーザの予算に応じて選択することができる。
【0031】
[評価環境構築処理の説明]
前記ステップ109による新たな仮想マシンの評価環境を構築する処理手順は、図10に示す如く、事前に準備したOSのみを導入した仮想マシンのテンプレート情報44から1台分新たに仮想マシンを作成するためのテンプレートをコピーするステップ400と、前述の図9のステップ309により抽出した管理ツールをツール一覧情報32から取得するステップ402と、抽出した管理ツールを使用するための情報をツール構成情報25から取得するステップ404と、ツール構成情報に記載されたツールに必要な情報(レジストリ情報、DLL他)をツールファイル情報45から取得するステップ406と、該ステップ406により得たツールのレジストリ情報等及びツール構成情報25から得た各種設定値とを基に前記ステップ400によりコピーした仮想マシンに対してファイルの展開および構成情報(マシンレジストリ情報、DLL、設定値)を登録するステップ408と、全てのツール登録が完了したか否かを判定し、完了していないと判定したときに前記ステップ400に戻るステップ409と、該ステップ409において完了したと判定したとき、新たに生成した仮想マシンをユーザに提供するステップ410とを実行することによって、ユーザからの課題を解決した仮想マシン環境をユーザに提供することができる。なお、前記ステップ400においては、ハードウェアコストのかからない仮想マシンの利便性を考慮し、ツール1つにつき仮想マシン1台を用意するものとする。
【0032】
以上述べた如く、本実施形態による運用効率化支援システム及び方法は、仮想マシン環境分析生成コンピュータ40の制御機能部46が、ユーザから入手したヒアリング項目情報の課題番号をキーとして課題原因プロセスマップ情報22(図3)を検索し、課題番号に対応するITILアクティブテイ情報を抽出する第1ステップ(図7)と、該抽出したITILアクティブテイ情報に対して必要な製品(管理ツール)の価格を含むツール一覧情報をツールプロセスマップ情報23(図4)から抽出する第2ステップ(図8)と、該第2ステップにより抽出した製品(管理ツール)のアクティビティIDをキーとしてツール構成情報25(図5)及び仮想マシンテンプレート情報44(図6)からアクティブテイに対応したプロセス名及びツール情報を抽出する第3ステップと、該抽出したプロセス名及びツール情報を基に新たな仮想マシンを構築するための評価環境を構築する第4ステップ(図9)と、該第4ステップにより構築した仮想マシン環境をユーザに提供する第4ステップ(図10)とを実行することによって、仮想マシン運用の課題抽出し、この抽出した課題の解決を支援することができる。
【0033】
特に本実施形態においては、前記第3ステップにおいて、ツールプロセスマップ情報23からアクティブテイに対応したプロセス名を抽出し、プロセス名が重複するか否かを判定し、重複すると判定したとき、ユーザから指定された製品(管理ツール)価格上限値未満か否かを判定し、上限値を超えると判定したとき、価格の高い製品(ツール)を除外することによって、ユーザの価格希望に応じた仮想マシン環境を生成することができる。
【符号の説明】
【0034】
10:ユーザ、11:公衆通信回線網、20:課題解決データベース、21:ヒアリング項目情報、22:課題原因プロセスマップ情報、23:ツールプロセスマップ情報、24:ITILアクティビティ一覧情報、25:ツール構成情報、30:ヒアリング項目情報、40:仮想マシン環境分析生成コンピュータ、41:原因抽出機能
42:ツール抽出機能、43:評価環境構築機能、44:仮想マシンテンプレート情報、45:ツールファイル情報、46:制御機能、50:仮想マシン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータの定義情報を格納したテンプレート情報及び仮想化ソフトウェアを用いてコンピュータ上に仮想的に生成した仮想マシンの運用を効率化する運用効率化支援システムであって、
ユーザからの課題を含むヒアリング項目に基づき稼働中の仮想マシンの運用課題に対して想定されるITILアクティビティを格納した課題原因プロセスマップ情報部と、複数のITILアクティビティに対応した課題解決ツール名とプロセス分類と価格とを格納したツールプロセスマップ情報部と、複数のITILアクティビティに対応したプロセス名を格納したITILアクティビティ一覧情報部と、複数ツールの設定条件情報及び処理手順情報を含むツール構成情報とを格納した課題解決データベースと、
前記ユーザからのヒアリング項目と前記課題解決データベースに格納された課題原因プロセスマップ情報とツールプロセスマップ情報とITILアクティビティ一覧情報とツール構成情報とを参照して前記運用課題を解決する仮想マシン環境の生成を支援する仮想マシン環境分析生成コンピュータとを備え、
該仮想マシン環境分析生成コンピュータは、
前記ヒアリング項目情報の課題をキーとして前記課題原因プロセスマップ情報からITILアクティブテイを抽出する第1工程と、
該抽出したITILアクティブテイをキーとして前記ツールプロセスマップ情報から課題解決ツール名とプロセス分類と価格とを抽出する第2工程と、
該第2ステップにより抽出したツール名をキーとして前記ツール構成情報及び仮想マシンテンプレート情報からアクティブテイに対応したプロセス名及びツール構成情報を抽出する第3工程と、
該抽出したプロセス名及びツール構成情報に基づき新たな仮想マシンを構築するための評価環境を構築する第4工程と、
該第4工程により構築した仮想マシン環境をユーザに提供する第5工程とを実行する運用効率化支援システム。
【請求項2】
前記ヒアリング項目が課題を解決するための上限価格を含み、前記仮想マシン環境分析生成コンピュータは、
前記第3工程において前記ツールプロセスマップ情報から抽出したプロセス名が複数存在するとき、前記課題解決ツールの価格が前記上限価格を超えるプロセス名を除外する第6工程を実行する請求項1記載の運用効率化支援システム。
【請求項3】
コンピュータの定義情報を格納したテンプレート情報及び仮想化ソフトウェアを用いて仮想マシンをコンピュータ上に仮想的に生成する仮想化コンピュータシステムにおける仮想マシンの運用を効率化する運用効率化支援方法であって、
ユーザからの課題を含むヒアリング項目に基づき稼働中の仮想マシンの運用課題に対して想定されるITILアクティビティを格納した課題原因プロセスマップ情報部と、複数のITILアクティビティに対応した課題解決ツール名とプロセス分類と価格とを格納したツールプロセスマップ情報部と、複数のITILアクティビティに対応したプロセス名を格納したITILアクティビティ一覧情報部と、複数ツールの設定条件情報及び処理手順情報を含むツール構成情報とを格納した課題解決データベースと、
前記ユーザからのヒアリング項目と前記課題解決データベースに格納された課題原因プロセスマップ情報とツールプロセスマップ情報とITILアクティビティ一覧情報とツール構成情報とを参照して前記運用課題を解決する仮想マシン環境の生成を支援する仮想マシン環境分析生成コンピュータとを設け、
該仮想マシン環境分析生成コンピュータは、
前記ヒアリング項目をキーとして前記課題原因プロセスマップ情報からITILアクティブテイを抽出する第1工程と、
該抽出したITILアクティブテイをキーとして前記ツールプロセスマップ情報から課題解決ツール名とプロセス分類と価格とを抽出する第2工程と、
該第2ステップにより抽出したツール名をキーとして前記ツール構成情報及び仮想マシンテンプレート情報からアクティブテイに対応したプロセス名及びツール構成情報を抽出する第3工程と、
該抽出したプロセス名及びツール構成情報に基づき新たな仮想マシンを構築するための評価環境を構築する第4工程と、
該第4工程により構築した仮想マシン環境をユーザに提供する第5工程とを実行する運用効率化支援方法。
【請求項4】
前記ヒアリング項目が課題を解決するための上限価格を含み、前記仮想マシン環境分析生成コンピュータは、
前記第3工程において前記ツールプロセスマップ情報から抽出したプロセス名が複数存在するとき、前記課題解決ツールの価格が前記上限価格を超えるプロセス名を除外する第6工程を実行する請求項3記載の運用効率化支援方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−108066(P2011−108066A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263545(P2009−263545)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000152985)株式会社日立情報システムズ (409)