説明

運転支援装置

【課題】車両の所定位置に固定された撮像手段により車両周囲を撮像した画像を使用して、運転者にとってより使用感の良い運転支援画像を表示する運転支援装置を提供する。
【解決手段】運転者が車両40を運転して道路61から道路60に進入して右折するために、車両40を交差点80に進入させようとして停止線65で停止しているとき、撮像手段1で撮像した車両前方画像51には、道路60の左右方向がほぼ180°にわたって表示される。従って、運転者が目視した場合に死角となる領域(視線64より左側の領域)も運転支援画像70に表示されるため、運転者が交差点80に接近してくる車両41を把握できるとともに、運転支援画像70に表示されている左側車幅表示線72aと左側第1距離目盛線71aおよび左側第2距離目盛線71cとを見ることによって、車両41と交差点80との距離を把握することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転を支援する運転支援装置に係わり、特に、車両に固定された撮像手段により車両周囲を撮像した画像を使用して、運転支援画像を車内の表示手段に表示する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者が車両を運転する際に行う車両周囲の確認を支援する装置として、車両の前部や後部等、所定の位置に設置された撮像手段で車両周囲を撮像し、撮像した画像を車内に設置された表示手段に表示する運転支援装置がある。この運転支援装置を使用すれば、撮像手段が車両前部に備えられている場合は、運転者が車両を運転して交差点に進入する際に、交差点に左右から接近する他車両や人を確認し易くなる。また、撮像手段が車両後部に備えられている場合は、運転者が駐車場等の駐車スペースで車両をバックさせて駐車を行なう際に、車両後方に障害物や人が存在するか否かを確認し易くなる。
【0003】
このような運転支援装置では、車内に設置された表示手段に表示する画像によって、運転者による車両周囲の確認のしやすさが左右されるため、撮像手段で撮像した画像を使用して、視点変換や画像処理を行い、より運転者にとって確認のしやすい画像を表示手段に表示する様々な運転支援装置が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、車両後部の所定位置に設置された撮像手段であるカメラユニットと、車内に設置されカメラユニットで撮像した画像を表示するための表示手段とを有する運転支援装置であって、車両後方周囲をカメラユニットで撮像した画像に、ハンドルの操舵角に応じて予測進路を表示するとともに、車両の車幅に対応するガイドラインや、車両の後端部からの距離を表す距離目盛を表示した運転支援画像を運転者に提供する運転支援装置が提案されている。
【0005】
運転者が駐車運転を行う際は、この運転支援装置が提供する運転支援画像に表示されるガイドラインを見ることによって、車両の車幅と駐車スペースの幅との相対関係が把握し易くなる。また、駐車スペースの後方に壁等の障害物が存在する場合は、運転者は運転支援画像に表示される距離目盛を見ることで障害物と車両後端との距離を把握し易くなる。従って、運転者は、駐車運転時に駐車スペース周辺の安全確認が行い易くなるとともに、駐車スペースでの車両の位置決めも行い易くなる。
【0006】
しかし、特許文献1に記載された運転支援装置では、車両後端からの距離目盛は運転支援画像に表示されるものの、車両の側面方向の距離、具体的には、車両の車幅を表す左右のガイドラインから左右方向の距離を表す距離目盛は表示されない。従って、車両の左右方向から接近してくる他の車両や歩行者等と車両との距離を把握することが困難である。
【0007】
例えば、運転者が車両を運転して、角に建物等があって左右を目視することができない、所謂、運転者の死角が存在するような交差点に進入する場合、車両をある程度交差点に進入させないと、運転者が目視で交差点に左右から接近してくる他の車両や歩行者等を確認することができないため、運転者にとって、車両前方に備えられた撮像手段で車両前方周囲を撮像し表示手段に表示される運転支援画像を見て、交差点に左右から接近してくる他の車両や歩行者等の存在を確認できることは便利ではあるが、その距離感(運転者が運転する車両と歩行者や他の車両との距離)については運転者が感覚で把握するしか方法がなく、運転者にとって使用感の悪いものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−191877号公報(第6〜9頁、第4図〜第6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上述べた問題点を解決し、車両の所定位置に固定された撮像手段により車両周囲を撮像した画像を使用して、運転者にとってより使用感の良い運転支援画像を表示する運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述の課題を解決するものであって、本発明の運転支援装置は、車両前部(または後部、以下「または」は省略)の所定位置に設置された少なくとも1台の撮像手段と、撮像手段で撮像した車両の前方周囲(後方周囲)の画像に対し画像処理を行なって運転支援画像を生成する画像処理手段と、画像処理手段から出力された運転支援画像を表示する表示手段とを有するものであって、画像処理手段は、撮像手段で車両の前方周囲(後方周囲)を撮像した前方周囲画像(後方周囲画像)を取り込んで、前方周囲画像(後方周囲画像)に画像処理を行って車両前方画像(車両後方画像)を作成するものである。
【0011】
そして、画像処理手段は、車両の車幅に対応する複数の車幅表示線と、車幅表示線に平行であり、かつ、車両の側面から遠ざかる方向の距離を表す複数の距離目盛線とを記憶しており、運転支援画像を表示手段に表示する際に、車両前方画像(車両後方画像)に、車幅表示線と距離目盛線とを重畳させて表示するものである。また、車両前方周囲に対応する運転支援画像を表示する場合は、車幅表示線を表示せず複数の距離目盛線のみを表示するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の運転支援装置は、運転支援画像に車幅表示線に平行で、かつ、車両の側面から遠ざかる方向の距離を表す距離目盛線を表示するようにしたので、運転者が車両を前進あるいは後進させる際に運転支援画像を見ることによって、車両の左右方向から接近してくる他の車両や歩行者等との距離が把握し易くなるため、運転者にとって使用感の良い運転支援画像を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例である運転支援装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施例における、前方周囲画像の撮像を説明する図であり、(A)は撮像手段の配置および撮像範囲を、(B)は撮像手段で撮像した車両前方画像を示している。
【図3】本発明の実施例における、運転支援画面を説明する図であり、(A)は車幅表示線や距離目盛線の説明図を示し、(B)は車両前方画像に車幅表示線や距離目盛線を重畳させた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施例としては、車両前部に撮像手段を1台設置する運転支援装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することができる。
【実施例】
【0015】
図1の構成ブロック図に示すように、本発明による運転支援装置10は、撮像手段1と、表示手段3と、画像処理手段20とを備えている。更には、画像処理手段20は、ROM4と、RAM5と、撮像手段I/F部6と、表示手段I/F部7と、これらを制御する制御部2とを備えている。
【0016】
撮像手段1は、図示は省略するが、魚眼レンズ等の広角レンズや、広角レンズを保持するレンズホルダ、絞りやフィルタ、及び広角レンズを透過した光束が結像されるCCD等の撮像素子で構成されている。この撮像手段1は、図2(A)に示すように、車両40前部のバンパー40a下方でかつ幅方向は略中央部(例えば、車両40前部に設置されたナンバープレート下部)に1台配置されており、車両40の前方周囲について、撮像手段1で撮像できる範囲全てである撮像範囲50(撮像手段1を通り、バンパー40aに平行な直線である撮像境界50aより前方の、180°に渡る範囲)を撮像する。尚、本実施例では、撮像手段1が1台設置されている場合について説明するが、撮像手段を複数台配置し、車両40の前方周囲を各撮像手段で分担して撮像するようにしてもよい。
【0017】
表示手段3は、タッチパネル機能を有する液晶パネルを備え、画像処理手段20から送信されるデータに基づいた画像を表示する。尚、詳細な説明は省略するが、表示手段3は、車両40に設置されている図示しないカーナビゲーションシステムから送信される地図画像や、DVDプレーヤ等の画像再生機器から送信される画像を表示させてもよい。
【0018】
次に、画像処理手段20について説明する。撮像手段I/F部6は、撮像手段1と制御部2との間に介在し、撮像手段1で撮像された画像を取り込んで制御部2に画像データとして出力するインターフェイスである。制御部2は、内部に図示しない画像ASICを備えており、撮像手段1で撮像され撮像手段I/F部6を介して入力された画像データに対し、座標変換や歪補正等の画像処理を行なう。表示手段I/F部7は、制御部2と表示手段3との間に介在し、制御部2で画像処理された画像データを取り込んで表示手段3に出力するインターフェイスである。
【0019】
ROM4には、制御部2での画像処理を実行するプログラムや、制御部2が取り込んだ画像の座標変換を行なう際に参照する座標変換テーブル等が格納されており、制御部2は、このプログラムや座標変換テーブルに従って上述した画像処理を行なう。また、RAM5は、撮像手段1で常時撮像されている車両40の前方周囲画像を一時的に記憶すると共に、制御部2が画像処理を行なう際に、一時的に画像処理された画像を保存する等、制御部2の作業領域として使用される。
【0020】
次に、図1乃至図3を使用して、本実施例による運転支援装置10の原理について説明する。尚、以下の説明では、図2(A)に示す車両40の右側ドアミラー40bが備えられた車両側方を右側、左側ドアミラー40cが備えられた車両側方を左側、として説明する。また、図3(A)に示すように、運転者が車両40を運転し、交差点80に進入して右折する場合を例に挙げて説明する。
【0021】
図3に示す交差点80は、車両40や車両41がすれ違うことができる程度の道幅を有する道路60と、道路60より狭く車両40や車両41が1台走行できる程度の道幅を有する道路61とが略直角に交差している交差点であり、道路61の左側にはビル等の建物62が、道路61の右側には同じくビル等の建物63が、それぞれ存在する。また、道路60の左方向からは、車両41が交差点80に接近している。
【0022】
これら建物62や建物63が存在するために、運転者が交差点80に進入しようとして停止線65で車両40を停止した場合、運転者視点42(運転者が車両40の運転席に座っている際の、運転者の頭部の位置に対応)からは道路60の一部しか目視で見ることができない。例えば、運転者が道路60の左側(車両40の左前方)を目視で確認しようとしても、運転者視点42と、建物62の角62aとを結ぶ視線64より左側は死角となって見ることができない。
【0023】
一方、撮像手段1は、上述したように車両40の前部に配置されており、運転者視点42より前方に位置しているので、図3(A)に示すように、運転者は車両40を停止線65で停止させた際は、撮像手段1の撮像境界50aが、建物62や建物63の道路60に臨む壁面62bや壁面63bと同一平面上に位置することとなる。従って、図2(B)に示すように、撮像手段1で撮像され画像処理を行った車両前方画像51には、運転者が目視では見ることができない道路60の左右方向が表示される。
【0024】
制御部2は、撮像手段1で撮像した車両前方画像51を使用して、図3(B)に示すような運転支援画像70を作成し、表示手段3に表示する。画像処理手段20のROM4には、図3(A)に示すような車両40の車幅に対応する左右2本の車幅表示線72と、車幅表示線72からの距離を表す複数の距離目盛線71とが、データとして記憶されている。
【0025】
制御部2は、撮像手段1で撮像し一時的にRAM5に記憶している車両前方画像51と、ROM4に記憶している車幅表示線72や距離目盛線71とを読み出して、車両前方画像51に車幅表示線72や距離目盛線71が重畳して表示されるよう画像合成を行い、これを運転支援画像データとして表示手段I/F部7を介して表示手段3に出力する。そして、表示手段3の表示画面には、運転支援画像データに対応する画像が、運転支援画像70として表示される。
【0026】
次に、図1乃至図3を用いて、本実施例による運転支援装置10の具体的な動作及び効果について説明する。運転者は、道路61から道路60へ進入して右折するために車両40を運転している。道路60へ進入する際、運転者は車両40を停止線65で一旦停止させるために、車両40のブレーキを操作して車両40を減速させる。
【0027】
車両40が減速して所定の速度以下、例えば、時速10キロメートル以下となれば、制御部2は、撮像手段1で車両40の前方周囲を撮像し、これを画像データとして撮像手段I/F部6を介して取り込む。制御部2はこの画像データの歪みの補正等といった画像処理を行い、図2(B)に示す車両前方画像51を作成し、RAM5に一時的に記憶する。尚、歪の補正については、公知技術(例えば、特開2008−311890号)であり、本発明に直接関係がないため、詳細な説明は省略する。
【0028】
次に、制御部2は、ROM4に記憶している車幅表示線72と距離目盛線71を読み出すとともに、RAM5に記憶している車両前方画像51を読み出し、これらの画像合成を行う。車幅表示線72は、車両40の車幅を表すものであり、具体的には、図3(A)に示すように、車両40のバンパー40a先端面、つまり、撮像境界50aから前方に長さL(例えば、L=5メートル)で、車両40の左側に対応する左側車幅表示線72aと、車両40の右側に対応する右側車幅表示線72bとを仮想的に設定したものである。
【0029】
また、距離目盛線71は、車幅表示線72に平行でかつ左右に遠ざかる方向の距離を表すものであり、具体的には、図3(A)に示すように、車両40の左側前方については、左側車幅表示線72aから幅H1に左側第1距離目盛線71aと、左側第1距離目盛線71aから幅H2に左側第2距離目盛線71cとを仮想的に設定したものである。一方、車両40の右側前方については、右側車幅表示線72bから幅H3に右側第1距離目盛線71bと、右側第1距離目盛線71bから幅H4に右側第2距離目盛線71dとを仮想的に設定したものである。これら各距離目盛線71の長さは、車幅表示線と同じ長さLである。
【0030】
尚、本実施例では、各距離目盛線71の間隔である幅H1〜幅H4は全て同じ値(例えば、1メートル)である場合について説明するが、幅H1〜幅H4が全て異なる値であってもよく、また、車両40の左側の距離目盛線71に対応する幅H1と幅H2と、車両40の右側の距離目盛線71に対応する幅H3と幅H4とで、それぞれ異なる値(例えば、幅H1と幅H2とが1メートル、幅H3と幅H4とが2メートル)としてもよい。
【0031】
また、車幅表示線72と距離目盛線71とが全て同じ長さLである場合について説明するが、これらが全て異なる長さでもよく、また、車両40の左側と右側とで異なる長さ(例えば、左側の車幅表示線72と距離目盛線71は5メートル、右側の車幅表示線72と距離目盛線71は4メートル)としてもよい。あるいは、2本の車幅表示線72および4本の距離目盛線71は、各々が同じ長さでかつ車幅表示線72と距離目盛線71とを異なる長さ(例えば、2本の車幅表示線72は5メートル、4本の距離目盛線71は4メートル)としてもよい。さらには、距離目盛線71は車両40の左右に2本ずつとしているが、左右に3本以上ずつでもよく、左右で異なる本数としてもよい。
【0032】
制御部2は、車両前方画像51に左側車幅表示線72aや右側車幅表示線72bを、また、左側第1距離目盛線71a、左側第2距離目盛線71c、右側第1距離目盛線71bおよび右側第2距離目盛線71dが重畳して表示されるよう、画像合成を行って運転支援画像データを作成する。そして、制御部2は、運転支援画像データを表示手段I/F部7を介して表示手段3に出力し、表示手段3の表示画面に、図3(B)に示すような運転支援画像70を表示する。尚、図3(B)の運転支援画像70は、図3(A)に示すように、車両40が道路61の停止線65で停止しているときに、撮像手段1で撮像した車両40の前方周囲画像に基づいて生成されたものである。
【0033】
図3(A)に示すように、運転者が車両40を運転して道路61から道路60に進入して右折するために、車両40を交差点80に進入させようとして停止線65で停止しているとき、撮像手段1は、建物62の壁面62bや建物63の壁面63bと同じライン上に位置、つまり、撮像境界50aが壁面62bや壁面63bと同一平面上に位置することになるため、撮像手段1で撮像した車両前方画像51には、道路60の左右方向がほぼ180°にわたって表示される。
【0034】
従って、運転者が目視した場合に死角となる領域(例えば、視線64より左側の領域)も運転支援画像70に表示されるため、運転者が交差点80に接近してくる車両41を把握できるとともに、運転支援画像70に表示されている左側車幅表示線72aと左側第1距離目盛線71aおよび左側第2距離目盛線71cとを見ることによって、運転する車両40から車両41までの距離を把握することができる。
【0035】
これにより、運転者が目視で確認する場合に比べて、接近する車両41をいち早く把握することができるとともに、運転する車両40から車両41までの距離が把握し易くなるため、運転者が車両40を交差点80に進入させる際のタイミングの把握や安全確認が行いやすくなり、運転者にとってより使用感の良い運転支援画像70となる。
【0036】
尚、以上説明した実施例では、運転支援画像70で車両40の左右前方にそれぞれ車幅表示線72および距離目盛線71を表示する場合について説明したが、車幅表示線72を表示せずに距離目盛線71のみを表示するようにしてもよい。尚、この場合の距離目盛線71は、車両40の左右側面に平行で、かつ、車両40の左右側面から遠ざかる方向に、所定の幅で運転支援画像70に表示するように設定される。
【0037】
運転支援画像70に、車幅表示線72が表示されていれば、運転者が車両40の車幅より少し広い程度の狭い空間に車両40を進入させるような場合、例えば、運転者が車両40の駐車スペースに前向きで駐車するような場合に、運転者が駐車スペースを区画する壁や隣の駐車車両との距離を把握し易くなり、駐車スペースでの車両40の位置決めが行い易くなる。また、車幅表示線72が表示されていない場合は、上述した利点が得られない反面、運転者が車幅表示線72が表示されない分、距離目盛線71がより認識し易くなることによって、車両40の左右から接近する他の車両や歩行者等と車両40との距離の把握が行いやすくなる。
【0038】
以上説明した通り、本発明の運転支援装置によれば、運転支援画像に車幅表示線に平行、または、車両の側面に平行で、かつ、車両の側面から遠ざかる方向の距離を表す距離目盛線を表示するようにしたので、運転者が車両を前進あるいは後進させる際に運転支援画像を見ることによって、車両の左右方向から接近してくる他の車両や歩行者等との距離が把握し易くなるため、運転者にとって使用感の良い運転支援画像を提供できる。
【0039】
以上説明した実施例では、撮像手段を車両前部に設けて車両の前方周辺を撮像し、これに車幅表示線や距離目盛線を重畳して運転支援画像を作成し運転者に提供する場合について説明したが、撮像手段を車両の後部に設けて車両の後方周辺を撮像し、これに車幅表示線および距離目盛線を重畳して運転支援画像を作成してもよい。尚、撮像手段を車両の後部に設けて車両の後方周辺を撮像する場合は、運転者の視線方向と撮像手段の撮像方向とが逆方向となるため、撮像した画像から運転支援画像を作成する際には、左右を反転させる必要がある。
【0040】
運転者が車両をバックさせて駐車スペースから道路に車両を進入させる場合等では、道路の左右方向から他の車両等が接近してくる場合があり、特に駐車スペースが家屋の車庫のように周囲が壁等で覆われている場合や、隣の駐車スペースに他の車両が駐車している場合のように、運転者が目視で道路の車両後方左右周囲の確認ができない死角が存在する場合は、道路の左右から接近してくる他の車両等の察知が遅れる虞がある。
【0041】
このような場合に、本発明による、車両の後方周囲画像に車幅表示線や距離目盛線を重畳して表示する運転支援画像が表示手段に表示されれば、運転支援画像を見ることにより、道路の左右から接近してくる他の車両等をいち早く察知することができるとともに、車幅表示線や距離目盛線を見ることによって他の車両等との距離も把握し易くなるので、運転者にとって使用感の良い運転支援画像を提供することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 撮像手段
2 制御部
3 表示手段
4 ROM
5 RAM
10 運転支援装置
20 画像処理手段
40 車両
40a バンパー
40b 右側ドアミラー
40c 左側ドアミラー
41 車両
42 運転者視点
50 撮像範囲
50a 撮像境界
60 道路
61 道路
62 建物
62a 角
62b 壁面
63 建物
63b 壁面
64 視線
65 停止線
70 運転支援画像
71 距離目盛線
71a 左側第1目盛線
71b 右側第1目盛線
71c 左側第2目盛線
71d 右側第2目盛線
72 車幅表示線
72a 左側車幅線
72b 右側車幅線
80 交差点
H1〜H4 幅
L 長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前部の所定位置に設置された少なくとも1台の撮像手段と、同撮像手段で撮像した前記車両の前方周囲の画像に対し画像処理を行なって運転支援画像を生成する画像処理手段と、同画像処理手段から出力された前記運転支援画像を表示する表示手段とを有する運転支援装置であって、
前記画像処理手段は、前記撮像手段で前記車両の前方周囲を撮像した前方周囲画像を取り込んで、同前方周囲画像に画像処理を行って車両前方画像を作成し、
前記画像処理手段は、前記車両の側面に平行であり、かつ、同車両の側面から遠ざかる方向の距離を表す複数の距離目盛線を記憶しており、
前記運転支援画像を前記表示手段に表示する際に、前記車両前方画像に、前記距離目盛線を重畳させて表示することを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
車両前部の所定位置に設置された少なくとも1台の撮像手段と、同撮像手段で撮像した前記車両の前方周囲の画像に対し画像処理を行なって運転支援画像を生成する画像処理手段と、同画像処理手段から出力された前記運転支援画像を表示する表示手段とを有する運転支援装置であって、
前記画像処理手段は、前記撮像手段で前記車両の前方周囲を撮像した前方周囲画像を取り込んで、同前方周囲画像に画像処理を行って車両前方画像を作成し、
前記画像処理手段は、前記車両の車幅に対応する複数の車幅表示線と、同車幅表示線に平行であり、かつ、前記車両の側面から遠ざかる方向の距離を表す複数の距離目盛線とを記憶しており、
前記運転支援画像を前記表示手段に表示する際に、前記車両前方画像に、前記車幅表示線と前記距離目盛線とを重畳させて表示することを特徴とする運転支援装置。
【請求項3】
車両後部の所定位置に設置された少なくとも1台の撮像手段と、同撮像手段で撮像した前記車両の後方周囲の画像に対し画像処理を行なって運転支援画像を生成する画像処理手段と、同画像処理手段から出力された前記運転支援画像を表示する表示手段とを有する運転支援装置であって、
前記画像処理手段は、前記撮像手段で前記車両の後方周囲を撮像した後方周囲画像を取り込んで、同後方周囲画像に画像処理を行って車両後方画像を作成し、
前記画像処理手段は、前記車両の車幅に対応する複数の車幅表示線と、同車幅表示線に平行であり、かつ、前記車両の側面から遠ざかる方向の距離を表す複数の距離目盛線とを記憶しており、
前記運転支援画像を前記表示手段に表示する際に、前記車両後方画像に、前記車幅表示線と前記距離目盛線とを重畳させて表示することを特徴とする運転支援装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−11903(P2012−11903A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150937(P2010−150937)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】