説明

運転支援装置

【課題】運転者の車両感覚に頼らずに正確に素早く通行可否を判定でき、自車両及び他車両の乗員に安心感を与えることができ、未熟な運転者でも通行可否の判断に迷わないようにすることができ、精度の高い支援情報を提供する。
【解決手段】自車両前方の物標を検出するレーダ5と、道路外周の物標の情報から走行可能車線幅を算出する走行可能車線幅演算手段8と、障害物となる物標の情報及び走行可能車線幅から障害物の横空間距離を算出する横空間距離演算手段10と、障害物となる物標に対して自車両が車線変更せずに通行可能であるか否かを判定する通行可否判定手段11と、通行不可と判定された場合に横空間距離と自車両の車両幅とに基づいて通行可能となる推奨コースを算出する推奨コース演算手段12と、自車両の運転操作に応じて、通行可否の判定結果及び推奨コースを表示装置7に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は運転支援装置に係り、特に、車線上に位置する障害物の横を自車両が通行可能か否かの支援情報を運転者に迅速に提供することができる運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両が走行する車線上に障害物がある場合に、障害物の横を通行するための情報を運転者に提供する運転支援装置には、特開2003−132498号公報、特開平11−259798号公報に開示されるものがある。
特開2003−132498号公報は、前方監視カメラを用いて先行車または前方障害物の横空間距離を算出し、追従制御、追い越し制御、停止制御の制御量を求め、横空間距離に応じた運転者に違和感を与えない制御をするものである。
特開平11−259798号公報は、追い越し時の表示方法について、前方監視カメラからの前方画像に横空間距離に応じた幅の2本線を用いて予測進行ルートを表示し、現在の予測進行ルートでは横空間距離に余裕がない場合に警報を出すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−132498号公報
【特許文献2】特開平11−259798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記各公報に開示される運転支援装置は、
・横空間距離の検出のために、前方監視カメラを使用しなくてはならない。
・カメラで取得した画像情報による処理では、自車両と先行する他車両および前方障害物との距離検出精度および相対速度検出精度が低く、システムの信頼性が低くなる。
・カメラで取得した画像情報による処理では、自車両から先行する他車両および前方障害物までの距離が遠くなると、距離検出精度および相対速度検出精度が低くなるため、高速走行により遠くの物標まで制御が必要になった場合に信頼性が低くなる。
・カメラは環境依存度が高く、降雨・霧・逆光などの状況下では明瞭な画像情報を取得することが困難であり、このような状況下では使用できない。
・予測進行ルートを表示するだけなので、横空間距離に余裕がない警報の出力時にどちらにステアリング操作が必要なのかわからない。
などの問題がある。
【0005】
この発明は、車線上に位置する障害物の横を通行する場合に、運転者の車両感覚に頼らずに正確に素早く通行可否を判定して適切に支援情報を提供することができ、自車両及び他車両の乗員に安心感を与えることができ、未熟な運転者でも通行可否の判断に迷わないようにすることができ、精度の高い支援情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、自車両前方の物標を検出するレーダと、前記レーダにより検出された道路外周の物標の情報から自車両の走行可能車線幅を算出する走行可能車線幅演算手段と、前記レーダにより検出された自車両が走行する車線上に位置する障害物となる物標の情報及び前記走行可能車線幅演算手段により算出された走行可能車線幅から前記障害物の横空間距離を算出する横空間距離演算手段と、前記自車両が走行する道路の車線上に位置する障害物となる物標に対して自車両が車線変更せずに通行可能であるか否かを判定する通行可否判定手段と、前記通行可否判定手段により通行不可と判定された場合に前記横空間距離演算手段により算出された横空間距離と自車両の車両幅とに基づいて通行可能となる推奨コースを算出する推奨コース演算手段と、自車両の運転操作に応じて、前記通行可否判定手段により判定された結果及び前記推奨コース演算手段により算出された推奨コースを表示する表示装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明の運転支援装置は、レーダにより自車両前方の物標を検出し、車線上に位置する障害物である物標を避けずに通行可能か否かの判定結果と通行可能となる推奨コースとを表示することで、運転者の車両感覚に頼らずに正確に素早く通行可否を判定することができ、適切に支援情報を提供することができる。したがって、この発明の運転支援装置は、自車両及び他車両の乗員に安心感を与えることができる。また、未熟な運転者でも通行可否の判断に迷わないようにすることができる。
また、この発明の運転支援装置は、自車両前方の物標の検出にレーダを用いるため、通行可否の判定に対して降雨・霧・逆光等の環境の影響を受けにくくすることができ、精度の高い支援情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は運転支援装置のシステム構成を示すブロック図である。(実施例)
【図2】図2は運転支援装置による障害物の横を通行する必要がある場合の運転支援判定のフローチャートである。(実施例)
【図3】図3(A)、(B)、(C)は物標の横空間距離の算出例を示す図である。(実施例)
【図4】図4は横空間距離演算のフローチャートである。(実施例)
【図5】図5(A)、(B)、(C)は道路外周の物標による走行可能車線幅の算出例を示す図である。(実施例)
【図6】図6(A)、(B)は過去の物標情報による自車両近傍の走行可能車線幅の算出例を示す図である。(実施例)
【図7】図7は走行可能車線幅算出のフローチャートである。(実施例)
【図8】図8は表示装置による支援情報の表示画面を示す図である。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0010】
図1〜図8は、この発明の実施例を示すものである。図1において、1は自車両、2は運転支援装置である。運転支援装置2は、道路3を走行する自車両1前方の物標4(図3・図5参照)を検出するレーダ5を備え、レーダ5で検出した物標4の情報を処理して支援情報を作成する情報処理部6を備え、情報処理部6が作成した支援情報を表示する表示装置7を備えている。
前記レーダ5は、自車両1の前方の物標4を検出する。物標4には、図3に示すように、道路3内に位置する電柱4A、歩行者4B、停止した他車両4C、対向車線を走行する他車両4Dなどがある。また、物標4には、図5に示すように、道路3外周に位置する塀4E、ガードレール4F、歩道4Gなどがある。
前記情報処理部6は、走行可能車線幅演算手段8と、自車両位置変動演算手段9と、横空間距離演算手段10と、通行可否判定手段11と、推奨コース演算手段12と、操舵量演算手段13とを備えている。情報処理部6には、自車両1の挙動情報を入力する車速センサ14と加速度センサ15とヨーレートセンサ16と舵角センサ17とを接続し、また、自車両1の寸法である車両幅X1や運転操作(ウインカー操作など)の情報を入力する車両側手段18を接続している。
【0011】
前記走行可能車線幅演算手段8は、図5に示すように、レーダ5により検出された道路3外周に位置する塀4E、ガードレール4F、歩道4Gなどの物標4の情報(物標4までの距離、相対速度、寸法など)から、自車両1が走行する道路3の走行可能車線幅X3を算出する。このとき、走行可能車線幅演算手段8は、自車両位置変動演算手段9によってレーダ検出範囲外まで走行可能車線幅X3を算出する。
自車両位置変動演算手段9は、各センサ14〜17から入力する挙動情報(車速、加速度、ヨーレート、舵角など)に基づいて自車両1の位置変動を算出する。走行可能車線幅演算手段8は、自車両位置変動演算手段9により算出された自車両位置変動分だけレーダ5により検出された過去の道路3外周の物標4の情報をオフセットして現在の物標4の情報に加え、この現在の物標4の情報から走行可能車線幅X3を算出する。
図6に示すように、自車両1がある時間tの間に距離y1だけ移動した後では、移動前にレーダ5により位置z1に検出された道路3外周の物標4は、レーダ5によの検知範囲から外れているため検知されない。そこで、自車両1がある時間tの間に距離y1だけ移動した場合、移動前にレーダ5により検出された道路3外周の物標4の位置z1から距離y1をオフセットして、現在の物標4とする。走行可能車線幅演算手段8は、この現在の物標4の情報から走行可能車線幅X3を算出する。
このように、現在の物標4の情報から算出された走行可能車線幅X3は、自車両1がある時間tの間に距離y1だけ移動して、ある時間t前の過去においてレーダ5により検出された道路3外周の物標4の位置z1に自車両1が近づくことで、現在の自車両1の近傍から側方までのレーダ検出範囲外となった、前記過去の道路3外周の物標4の位置z1における走行可能車線幅X3である。
【0012】
前記横空間距離演算手段10は、レーダ5により検出された自車両1が走行する道路3の車線上に位置する障害物となる電柱4Aなどの物標4の情報及び走行可能車線幅演算手段8により算出された走行可能車線幅X3から、図5に示すように、障害物となる物標4の横空間距離X2を算出する。
前記通行可否判定手段11は、自車両1が走行する道路3の車線上に位置する障害物となる物標4に対して、車線変更せずに自車両1が通行可能であるか否かを判定する。
前記推奨コース演算手段12は、通行可否判定手段11により通行不可と判定された場合に、横空間距離演算手段10により算出された横空間距離X2と車両側手段18から入力された自車両1の車両幅X1とに基づいて、通行可能となる推奨コースを算出する。ここで、推奨コース演算手段12は、障害物となる物標4の横空間距離X2が自車両1の車両幅X1よりも一定値以上大きい場合に、自車両1が横空間距離X2を通行可能とするよに推奨コースを算出する。
前記操舵量演算手段13は、推奨コース演算手段12により算出された推奨コースを走行するのに必要なステアリングホイールの操舵方向と操舵量とを算出する。
前記表示装置7は、車両側手段18から入力する自車両1の運転操作(ウインカー操作など)に応じて、運転者が車線変更する意思がある場合に、図8に示すように、通行可否判定手段11により判定された結果を表す「通行不可」、「通行可能」などの語句19及び推奨コース演算手段12により算出された推奨コースを表す形状を有する矢印や曲線などの図形20を画面21に表示する。また、表示装置7は、前記操舵量演算手段13により算出されたステアリングホイールの操舵方向と操舵量とを表す向きと大きさを有する矢印などの図形22を画面21に表示する。
【0013】
次に、作用を説明する。
運転支援装置2は、図2に示すように、プログラムがスタートすると(A01)、レーダ5で検出した物標4の情報を入力し(A02)、走行可能車線幅演算手段8によって自車両1が走行する道路3の走行可能車線幅X3を算出する(A03)。
走行可能車線幅X3の算出(A03)は、レーダ5により検出された道路3外周に位置する塀4Eなどの物標4の情報から算出する。このとき、走行可能車線幅演算手段8は、自車両位置変動演算手段9によって算出した自車両1の位置変動と過去の物標4の情報から、現在の自車両1の前方の走行可能車線幅X3だけでなく、レーダ検出範囲外に位置する現在の自車両1の近傍ないし側方の走行可能車線幅X3を算出する。
走行可能車線幅演算手段8は、図7に示すように、プログラムがスタートすると(B01)、レーダ5で自車両1の前方の物標4を検出して認識し(B02)、前の制御サイクルにおける位置からの自車両1の位置変動を自車両位置変動演算手段9によって算出し(B03)、過去の物標4の位置情報を自車両1の位置変動分だけオフセットして現在の制御サイクルでの位置に換算する(B04)。
次いで、過去と現在の道路3の外周の物標4の情報を平均し(B05)、道路3の外周にある左右の物標4(例えば、塀4E、ガードレール4Fなど)の間を走行可能車線幅X3とし(B06)、この走行可能車線幅X3から対向車線を走行する他車両4Dの通行頻度の高い場所を取り除いて最終の走行可能車線幅X3とし(B07)、プログラムをエンドにする(B08)。
【0014】
前記走行可能車線幅X3の算出(A03)に続いて、横空間距離演算手段10によって物標4の横空間距離X2を算出する(A04)。
横空間距離X2の算出(A04)は、図4に示すように、プログラムがスタートすると(C01)、自車両1が走行する道路3の車線を推定し(C02)、車線上に物標4があるかを判断する(C03)。
この判断(C03)がNOの場合は、走行可能車線幅X3を横空間距離X2とし(C04)、プログラムをエンドにする(C05)。この判断(C03)がYESの場合は、左右に隣接する物標4があるかを判断する(C06)。
この判断(C06)がNOの場合は、自車両1が走行する車線上の物標4から走行可能車線幅X3端部までを横空間距離X2とし(C07)、プログラムをエンドにする(C05)。この判断(C06)がYESの場合は、自車両1の車線上の物標4から隣接する物標4までを横空間距離X2とし(C08)、プログラムをエンドにする(C05)。
【0015】
前記横空間距離X2の算出(A04)に続いて、通行可否判定手段11によって、自車両1が走行する道路3の車線上に位置する障害物となる物標4に対して、車線変更せずに自車両1が通行可能であるか否かを判定する(A05)。
この判断(A05)がYESの場合は、車線変更せずに通行可能なので、前記物標4の情報の入力(A02)に戻る。この判断(A05)がNOの場合は、車両側手段18から入力する自車両1の運転操作(ウインカー操作)の情報から運転者が車線変更する意思があるかを判断する(A06)。
この判断(A06)がNOの場合は、前記物標4の情報の入力(A02)に戻る。この判断(A06)がYESの場合は、推奨コース演算手段12によって横空間距離X2と自車両1の車両幅X1とに基づいて通行可能となる推奨コースを算出し(A07)、操舵量演算手段13によって推奨コースを走行するのに必要なステアリングホイールの操舵方向と操舵量とを算出し(A08)、通行可否判定手段11の判定結果を表す語句19及び推奨コース演算手段12の推奨コースを表す図形20と、操舵量演算手段13の操舵方向と操舵量とを表す図形22とを支援情報として表示装置7の画面21に表示し(A09)し、前記物標4の情報の入力(A02)に戻る。
【0016】
このように、この運転支援装置2は、レーダ5により自車両1の前方の物標4を検出し、車線上に位置する障害物である物標4を避けずに通行可能か否かの判定結果と通行可能となる推奨コースとを表示することで、運転者の車両感覚に頼らずに正確に素早く通行可否を判定することができ、適切に支援情報を提供することができる。したがって、この運転支援装置2は、極端に狭い隙間で通行することがなく、自車両1及び追い越された他車両4Cの乗員に安心感を与えることができる。また、未熟な運転者でも通行可否の判断に迷わないようにすることができる。
また、この運転支援装置2は、自車両1の前方の物標4の検出にレーダ5を用いるため、通行可否の判定に対して降雨・霧・逆光等の環境の影響を受けにくくすることができ、精度の高い支援情報を提供することができる。
前記運転支援装置2は、走行可能車線幅演算手段8に備えた自車両位置変動演算手段9により自車両1の位置変動を算出し、算出された自車両1の位置変動分だけレーダ5により検出された過去の道路3の外周にある物標4の情報をオフセットして現在の物標4の情報に加え、この現在の物標4の情報から走行可能車線幅X3を算出している。
これにより、この運転支援装置2は、自車両1の側方を直接検出するセンサを設けなくても、自車両1の位置変動分と過去の物標4の情報によって、レーダ5の検出範囲外となる現在の自車両1の近傍から側方までの走行可能車線幅X3を算出することができる。自車両1の側方を直接検出するセンサを設けた場合でも、レーダ5を用いて算出した結果を照合することで、車線情報の信頼性を向上することができる。過去と現在の物標4の情報を比較することにより、車線情報の信頼性を向上することができる。レーダ5の検知精度が低い検知境界近傍の物標4の情報も、検知精度の高い位置で検出した物標4の情報を用いることにより、支援情報の精度を向上することができる。
前記運転支援装置2は、操舵量演算手段13により算出された推奨コースを走行するのに必要な操舵方向と操舵量とを表示装置7により表示している。
これにより、この運転支援装置2は、車線上に位置する障害物となる物標4の横を通行するのに必要な操舵情報を表示するので、運転者は、素早く直感的に操舵方向と操舵量とを把握することができ、運転操作に集中することができる。
【0017】
さらに、運転支援装置2は、塀4E、ガードレール4F、歩道4Gなどの道路3の外周にある物標4と他車両4C、4Dや歩行者4Bなどの道路3内にある物標4の情報を、別データとして取り扱うことで、急激に変化することが少なく、検知時間も長い道路3の外周にある物標4について専用の制御が可能になり、演算負荷を低減させられる。
また、対向車線の判定は、対向車線を走行する他車両4Dの数量とナビゲーションシステムの地図データから判別することができる。これにより、追い越し時に間違って対向車線を走行することを防ぐことができる。
運転支援装置2は、表示装置7に、通行可否の判定結果を表す「通行不可」、「通行可能」などの語句19、推奨コースを表す矢印や曲線などの図形20を画面21、ステアリングホイールの操舵方向と操舵量とを表す矢印などの図形22を表示する。このとき、運転支援装置2は、語句や図形の大きさ、色、形状を変えることで、運転者は素早く直感的に支援を受けることができ、ストレスなく運転に集中できる。ウインカーや減速、停車をトリガにして表示の有無を切り替えることで、運転者の意図しない支援画面の表示を低減することができる。
この運転支援装置2は、レーダ5を用いて先行車や前方障害物である物標4とその横空間距離X2を検出している。従来、レーダ5は、横位置精度の低いセンサと考えられてきたが、広帯域を利用するミリ波レーダやUWBレーダの登場により高い横位置精度を実現できるようになった。
これにより、運転支援装置2は、降雨・霧・逆光などの悪環境下でも使用可能であり、高い距離精度・相対速度精度を持つ信頼性の高いシステムが実現できる。レーダ5は、遠方まで先行車および障害物である物標4を検知可能であり、高速で走行する車両での制御にも使用できる。また、レーダ5は、アクティブクルーズコントロールシステムやプリクラッシュセーフティシステム用のセンサとして普及していることから、本システムは上記システムとセンサとしてのレーダを共用でき、カメラを用いるシステムと比較してコストダウン・軽量化・省スペース化できる利点もある。
【0018】
この発明は、上述実施例に限定されることなく、種々応用改変が可能である。
例えば、図6、図7で示した、レーダ5の検知範囲外まで走行可能車線幅X3の演算を行う技術は、レーダに限らず、カメラやレーザレーダなど、他の周辺監視装置に応用でき、同様の効果が期待できる。
駐車支援システムや後方プリクラッシュセーフティシステムで使用している近距離レーダを共用し、レーダから自車両1の側方および後方の他車両および障害物である物標4の有無の情報を取得し、自車両1の側方および後方に他車両および障害物である物標4がある場合は、物標4の横の通行を促す表示を行わない。もしくは、注意して物標4の横を通行する旨を、表示だけでなく音声・警報で知らせても良い。
これにより、物標4の横を通過することにより後方からの追突や側方の障害物である物標4への衝突を防ぐことができる。駐車支援システムや後方プリクラッシュセーフティシステムとセンサを共用するため、追加でセンサを取り付ける必要がなく、コストダウン・軽量化・省スペース化の利点がある。
【0019】
運転支援装置2は、検知範囲の広い近距離レーダを側面に取り付けて、道路3の脇の側溝や縁石、荒れた路面を検出し、自車両1が通行可能な横空間距離X2を補正しても良い。これにより、誤って道路3の脇の側溝や歩道、荒れた路面など走行できない場所を通って追い越すように誘導されることがなくなる。
超音波ソナーを自車両1の側面下部に取り付けて、道路3の脇の側溝や縁石、荒れた路面を検出し、自車両1が通行可能な横空間距離X2を補正しても良い。これにより、安価に自車両1の側方の路面状況を確認でき、誤って走行不可能な場所を通るように誘導をされることがなくなる。
運転支援装置2は、右左折支援用の巻き込み確認カメラやサイドビューカメラで、道路3の脇の側溝や縁石、荒れた路面を検出し、自車両1が通行可能な横空間距離X2を補正しても良い。これにより、誤って道路3の脇の側溝や歩道、荒れた路面など走行できない場所を通って、物標4の横を通行するように誘導されることがなくなる。他システムとセンサを共用するため、追加でセンサを取り付ける必要がなく、コストダウン・軽量化・省スペース化の利点がある。
自車両1の側方および後方の他車両および障害物である物標4を検知できるセンサを備え、十分な信頼性が得られるのならば、物標4の横空間通行支援にとどまらず、ステアリングやアクセル、ブレーキを制御して自動で物標の横空間を通行するように追い越しや車線変更を行っても良い。
これにより、運転者の運転負荷低減ができ、運転者の技術に依存せず追い越しや車線変更ができる。追い越し、車線変更が可能になることで、直進では通行できない場所をアクティブクルーズコントロールシステムで通行する手段を提供できる。高速域での遠方まで車間制御が必要な場合でも、制御が可能な自動操舵・追い越し・車線変更制御が実現できる。高速道路でナビゲーション装置と連動して複数車線を有効に使うアクティブクルーズコントロールシステムの実現手段を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
この発明は、車線上に位置する障害物の横を通行する場合に、運転者の車両感覚に頼らずに正確に素早く通行可否を判定して適切に支援情報を提供することができるものであり、アクティブクルーズコントロールシステムやプリクラッシュセーフティシステム、駐車支援システムなどに応用が可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 自車両
2 運転支援装置
3 道路
4 物標
5 レーダ
6 情報処理部
7 表示装置
8 走行可能車線幅演算手段
9 自車両位置変動演算手段
10 横空間距離演算手段
11 通行可否判定手段
12 推奨コース演算手段
13 操舵量演算手段
14 車速センサ
15 加速度センサ
16 ヨーレートセンサ
17 舵角センサ
18 車両側手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両前方の物標を検出するレーダと、前記レーダにより検出された道路外周の物標の情報から自車両の走行可能車線幅を算出する走行可能車線幅演算手段と、前記レーダにより検出された自車両が走行する車線上に位置する障害物となる物標の情報及び前記走行可能車線幅演算手段により算出された走行可能車線幅から前記障害物の横空間距離を算出する横空間距離演算手段と、前記自車両が走行する道路の車線上に位置する障害物となる物標に対して自車両が車線変更せずに通行可能であるか否かを判定する通行可否判定手段と、前記通行可否判定手段により通行不可と判定された場合に前記横空間距離演算手段により算出された横空間距離と自車両の車両幅とに基づいて通行可能となる推奨コースを算出する推奨コース演算手段と、自車両の運転操作に応じて、前記通行可否判定手段により判定された結果及び前記推奨コース演算手段により算出された推奨コースを表示する表示装置とを備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記走行可能車線幅演算手段は、自車両の位置変動を算出する自車両位置変動演算手段を備え、前記自車両位置変動演算手段により算出された自車両位置変動分だけ前記レーダにより検出された過去の道路外周の物標の情報をオフセットして現在の物標情報に加え、この現在物標の情報から走行可能車線幅を算出することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記推奨コース演算手段により算出された推奨コースを走行するのに必要な操舵方向と操舵量とを算出する操舵量演算手段を備え、前記操舵量演算手段により算出された操舵方向と操舵量とを前記表示装置により表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−37601(P2013−37601A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174610(P2011−174610)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】