説明

運転概況管理装置、運転概況管理方法

【課題】上下水処理場の外部管理者に、各設備の運転概況情報を提供する。
【解決手段】閲覧者端末に接続される運転概況管理装置であって、各設備を識別する設備識別情報に対応付けて、各設備が備える各機器の状況を点検項目ごとに実測した点検実測値情報が記憶された詳細情報記憶装置から点検実測値情報を読み出し、各設備の状況についての文章情報とその設備に異常があるか否かの情報とのうちいずれか一方またはその両方の情報である手入力設備情報のデータ入力を受付ける入力手段と、各機器を識別する機器識別情報ごとに、点検項目に対応付けて、点検実測値が異常であるか否かを判定するための基準値となる判定基準値を記憶し、手入力設備情報と、点検実測値情報と、判定基準値とに基づいて、その設備に異常があるか否かの判定処理を行って判定結果情報を生成し、設備識別情報ごとに判定結果情報を運転概況情報として閲覧者端末に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下水処理場の設備情報、運転状況情報を閲覧するための運転概況管理装置、運転概況管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上下水処理場が備える設備や機器の運転状況を把握するために、各機器の仕様情報や点検結果など様々な情報を記憶して効率的に情報管理、活用を行うための上下水処理場管理システムが提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
これらのシステムでは、コンピュータにて管理される設備の運転状況情報が、通信回線を通じて外部の管理者に提供されるため、管理者は設備の運転状況や故障状況を効率的に把握できる。このようなシステムを用いて、上下水処理場の所有者や管理責任者(以下、委託者)が、管理委託業者(以下、被委託者)に上下水処理場の管理を委託するような場合に、委託者は、上下水処理場の運転状況や設備状況などを監視し、逐次報告を受けている。
【特許文献1】特開2002−259511号公報
【特許文献2】特開2004−94580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、委託者は、上下水処理場の設備について、必ずしも詳細な知識を有しているとは限らない。このような場合に、被委託者が、上下水処理場現場で各設備や各機器の点検を行い、詳細情報記憶装置に点検情報を記憶させるようなシステムが考えられる。しかし、このような上下水処理場管理システムにて情報を検索すれば詳細な状況の把握は可能であるが、各点検値の重要性や、設備全体としての稼動概況などを委託者が効率良く把握することはできない。すなわち、各設備や各機器に関する詳細で専門的な全ての情報を逐次確認するのは委託者にとって大きな負担となってしまうことが考えられる。ここで、設備の運転状況を如何に簡潔かつ的確に集約するかは重要な課題となる。
【0004】
そこで、数値にて入力された点検値に閾値を設けて、その良否を判定した結果情報を委託者に提供することが考えられるが、その具体的な方法の開示は行われておらず、また、これでは文章による状況説明などの情報を考慮した概況情報を得ることはできない。
特に、複数の機器から構成される設備では、その備える個々の機器の重要性や故障の度合いなどによって、設備全体への影響度は異なるが、このような違いを機械的に判定する必要がある。
さらに、予め定められた一定の閾値を超えるか否かにより設備異常の判定を行うのでは、季節変化や機器の履歴や特性などに柔軟に対応した判定結果を得ることはできない。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、上下水処理場の運転状況の概況を、外部の管理者が把握することを可能とする上下水処理場管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、閲覧者端末に接続され、上下水処理場の各設備の運転概況を管理する運転概況管理装置であって、各設備を識別する設備識別情報に対応付けて、この設備識別情報が示す設備が備える各機器の状況を点検項目ごとに実測した値である点検実測値情報が記憶された詳細情報記憶装置から点検実測値情報を読み出す点検値抽出手段と、各設備の状況についての文章情報とその設備に異常があるか否かの情報とのうちいずれか一方またはその両方の情報である手入力設備情報のデータ入力を受付ける入力手段と、各機器を識別する機器識別情報ごとに、点検項目に対応付けて、点検実測値が異常であるか否かを判定するための基準値となる判定基準値が記憶される判定基準値記憶手段と、手入力設備情報と、点検実測値情報と、判定基準値とに基づいて、その設備に異常があるか否かの判定処理を行って判定結果情報を生成する判定手段と、設備識別情報ごとに判定結果情報を運転概況情報として閲覧者端末に配信する運転概況配信手段とを備えることを特徴とする運転概況管理装置である。
【0007】
本発明は、点検実測値が判定基準値を超えている場合に、判定基準値記憶手段に記憶された判定基準値を変更して更新する判定基準値補正手段をさらに備え、判定手段は、この判定基準値補正手段が判定基準値を更新した後に、判定処理を行うことをさらに特徴とする上述の運転概況管理装置である。
【0008】
本発明は、判定基準値記憶手段は、機器識別情報ごとに、点検項目に対応付けて、判定基準値を変更するか否かを判定するための判定基準変更条件(例えば、実施形態におけるルール)を記憶し、判定基準変更条件に基づいて、点検項目ごとに判定基準値を補正するか否かを判定する基準値となる補正可否判定値を算出し、算出された補正可否判定値が予め定められた閾値を超える場合に変更可を示す変更可否判定情報を生成する判定基準値補正可否判定手段をさらに備え、判定基準補正手段は、変更可否判定情報が変更可を示す場合に、判定基準値を変更して更新することをさらに特徴とする上述の運転概況管理装置である。
【0009】
本発明は、判定基準変更条件は、処理時の月日情報と予め定められた季節情報とに基づいて、補正可否判定値を上げる、または補正可否判定値を下げる判定基準変更条件を含むことを特徴とする上述の運転概況管理装置である。
【0010】
本発明は、判定基準変更条件は、入力される天気情報に基づいて、補正可否判定値を上げる、または補正可否判定値を下げる判定基準変更条件を含むことを特徴とする上述の運転概況管理装置である。
【0011】
本発明は、機器識別情報ごとに、その機器の重要度の高さを示す情報が記憶される機器情報記憶手段と、判定基準変更条件は、機器重要度情報に基づいて、機器重要度が高ければ補正可否判定値を上げ、機器重要度が低ければ補正可否判定値を下げる判定基準変更条件を含むことを特徴とする上述の運転概況管理装置である。
【0012】
本発明は、詳細情報記憶装置には、設備識別情報に対応付けて、過去に設備異常ありと判定された回数が記憶され、判定基準変更条件は、回数が多いほど、補正可否判定値を上げる判定基準変更条件を含むことを特徴とする上述の運転概況管理装置である。
【0013】
本発明は、判定基準変更条件は、入力される故障重要度に基づいて、補正可否判定値を上げる、または補正可否判定値を下げる判定基準変更条件を含むことを特徴とする上述の運転概況管理装置である。
【0014】
本発明は、判定基準変更条件は、入力される雨量情報と、予め定められた雨量情報と対応付けて記憶される数値に基づいて補正可否判定値を算出する判定基準変更条件を含むことを特徴とする上述の運転概況管理装置である。
【0015】
本発明は、閲覧者端末に接続される運転概況管理装置が、上下水処理場の各設備の運転概況を管理する運転概況管理方法であって、運転概況管理装置の点検値抽出手段が、前記各設備を識別する設備識別情報に対応付けて、この設備識別情報が示す設備が備える各機器の状況を点検項目ごとに実測した値である点検実測値情報が記憶された詳細情報記憶装置から点検実測値情報を読み出すステップと、運転概況管理装置の入力手段が、前記各設備の状況についての文章情報とその設備に異常があるか否かの情報とのうちいずれか一方またはその両方の情報である手入力設備情報のデータ入力を受付けるステップと、運転概況管理装置の判定基準値記憶手段が、前記各機器を識別する機器識別情報ごとに、前記点検項目に対応付けて、前記点検実測値が異常であるか否かを判定するための基準値となる判定基準値が記憶されるステップと、運転概況管理装置の判定手段が、前記手入力設備情報と、前記点検実測値情報と、前記判定基準値とに基づいて、その設備に異常があるか否かの判定処理を行って判定結果情報を生成するステップと、運転概況管理装置の運転概況配信手段が、前記設備識別情報ごとに前記判定結果情報を運転概況情報として前記閲覧者端末に配信するステップとを備えることを特徴とする運転概況管理方法である。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、複数の機器の数値的な点検実測値と、設備担当者が入力する文章情報等とに基づいた設備全体としての運転状況、異常状況を集約した運転概況情報を上下水処理場の外部管理者に提供するようにしたので、外部管理者は、各設備や各機器の具体的な点検状況を個々に閲覧しなくとも、全体として異常があるのか否かの情報を効率的に知ることができる。
さらに、設備に異常があるか否かを判定する基準値を、季節や天候などにより変動させるようにしたので、状況に柔軟に対応した異常状況を把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、本実施形態による運転概況管理装置を有する上下水処理場管理システムの全体像を説明する。
図1は、本実施形態による上下水処理場管理システムを示す概念図である。
例えば、委託者は、上下水処理場の所有者や管理責任者であり、運転概況管理装置から提供される運転概況情報を閲覧することで、上下水処理場の運転概況を把握する。また、運転概況管理装置の予定表記憶部や掲示板装置に情報を記憶させる。管理委託業者である被委託者は、上下水処理場現場で各設備や各機器の点検を行い、詳細情報記憶装置に点検情報を記憶させる。そして、詳細情報記憶装置に記憶された点検情報を、運転概況管理装置が抽出し、上下水処理場の運転情報を簡易にまとめた運転概況情報を生成し、委託者はこの運転概況情報を閲覧することで、運転状況を確認する。
【0018】
次に、本実施形態による上下水処理場管理システムの構成例を説明する。
図2は、本実施形態による上下水処理場管理システムの構成を示すブロック図である。
本実施形態による水処理場管理システムは、例えば、委託者が上下水処理場の運転概況情報の閲覧を行う閲覧者端末100と、上下水処理場の各設備の点検実測値が記憶される詳細情報記憶装置200と、点検実測値と設備場端末400からの入力値とに基づいて運転概況情報を生成する運転概況管理装置300と、上下水処理場の現場にて点検実測値を入力する設備場端末400とを備えている。各端末または装置はLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などの電気通信回線で接続されており、互いに情報通信が可能である。
閲覧者端末100は、委託者が利用する情報端末であり、本実施形態では、制御部や表示部や入力部を備えるいわゆるPC(Personal Computer)が適用可能であるが、情報通信が可能であって、表示部を有する情報端末であれば、PCでなくとも良い。閲覧者端末100は、例えば、運転概況管理装置300から受信した運転概況情報を、表示部に表示する。
【0019】
詳細情報記憶装置200には、設備を識別する設備識別情報と、この設備が備える機器を識別する機器識別情報とに対応付けて、点検項目と、点検実測値とが記憶される。設備識別情報は、上下水処理場が備える設備を一意に特定する情報であり、例えば、設備名でも良いし、連番の数値情報でも良い。機器識別情報は、設備識別情報が示す設備が備える機器の識別情報であり、例えば、機器名でも良いし、設備識別情報の数値情報の末尾に、連番の数値情報を付した情報でも良い。ここで、設備識別情報と機器識別情報とは、1対N(N>0)の関係となる。例えば、設備が取水設備であれば、電動機、取水ポンプ、取水口などの機器の機器識別情報が対応付けられる。ここで、設備は、一の機器から構成されても良い。
【0020】
運転概況管理装置300は、運転概況配信部310と、判定部320と、判定基準値補正部330と、判定基準値補正可否判定部340と、点検値抽出部350と、入力部360と、記憶部370とを備えている。
運転概況配信部310は、後述する設備異常判定処理が行われた結果に基づいて、設備全体の概況情報を生成し、閲覧者端末100に送信する。
判定部320は、手入力設備情報と、点検実績値情報と、判定基準値とから、設備異常があるか否かを判定する。
【0021】
判定基準値補正可否判定部340は点検実績値が判定基準値を超えた場合に、季節や故障履歴などの外部要因、内部要因に応じて、判定基準値を変更するか否かを判定する。
判定基準値補正部330は、判定基準値補正可否判定部340が判定基準値を変更すると判定した場合に、判定基準値を変更する。
点検値抽出部350は、詳細情報記憶装置200から点検実績値や設備情報などを取得する。
入力部360は、設備場端末400等からの、文章入力等の情報入力を受け付ける。
【0022】
記憶部370は、運転概況情報を配信するために必要な情報を記憶し、判定基準値記憶部371と、第1のルール記憶部372と、第2のルール記憶部373と、第3のルール記憶部374と、第4のルール記憶部375と、第5のルール記憶部376と、第6のルール記憶部377と、運転概況記憶部378と、予定表記憶部379と、掲示板記憶部380と、機器情報記憶部381と、故障情報記憶部382と、手入力設備情報記憶部382とを備えている。
【0023】
判定基準値記憶部371には、点検項目に対応した、上、下限値の判定基準値や、判定基準値の増減率が記憶される。図9は、本実施形態による判定基準値記憶部が記憶する判定基準情報の構成を示す図である。この判定基準情報は、機器を識別する機器識別情報に対応づけて、点検項目と、変更可否と、適用ルールと、変更値と、上限(HH)と、上限(H)と、下限(L)と、下限(LL)と、基準値復元可否との情報が記憶される。
【0024】
点検項目は、機器識別情報が示す機器を点検する項目であり、例えば、機器が汚水ポンプであれば、電流値、電圧値、流量、回転数などである。変更可否は、点検実測値が判定基準値を超えた場合に、判定基準値の補正を行うか否かを示す情報である。適用ルールは、判定基準値を変更するか否かを判定する際に、適用する補正判定ルールを識別する情報であり、例えば、本実施形態例では、第1〜第6のルール記憶部が備えられているので、その番号を記憶する。変更値は、判定基準値を変更する度合の情報であり、ここでは、パーセント(%)表記で示されている。判定基準値補正部330が判定基準値を変更する際には、変更値として記憶されたパーセント分の増減を行う。
【0025】
また、上限(HH)は、判定基準値を変更する際に、変更後の上限値を示す情報である。判定基準値補正可否判定部340が判定基準値を変更すると判定した場合でも、上限(H)として示される値は、上限(HH)を超えることができない。上限(H)は、判定基準値としての上限値を示す情報であり、点検実測値が上限(H)に示される値を超える場合には、判定部320により点検異常とされる。下限(L)は、判定基準値としての下限値を示す情報であり、点検実測値が下限(L)に示される値を超える場合には、判定部320により点検異常とされる。下限(LL)は、判定基準値を変更する際に、変更後の下限値を示す情報である。判定基準値補正可否判定部340が判定基準値を変更すると判定した場合でも、下限(L)として示される値は、下限(LL)を超えることができない。基準値復元可否は、補正により変更した判定基準値の復元を行うか否かを示す情報であり、例えば、基準値復元可否として可の情報が記憶されていれば、判定基準値補正部330が、例えば四半期に一度などに定期的に判定基準値を補正前の値に復元する処理を行うようにしても良い。
【0026】
第1〜第6のルール記憶部には、適用ルールに対応する判定基準値補正ルールが記憶されている。本実施形態例では、第1〜第6の6種のルールを予め記憶することしたが、ルールは1種でも良いし、7種以上でも良い。それぞれが予め定められた値に補正値が対応付けられて記憶されており、補正値は、大きいほど、変更可能性が高いことを示す。すなわち、補正値が高ければ、判定基準値が変更される。これらのルールは、上下水処理場の運営のノウハウに基づくルールが数値化されたものである。
【0027】
第1のルール記憶部372には、処理月に基づいて定められた補正ルールが予め記憶される。図3は、本実施形態による第1のルール記憶部が記憶する第1のルールの構成を示す図である。第1のルール記憶部372には、例えば、月情報(1〜12)に対応付けて、補正値が記憶される。図3に示す例では、月が「1」、「2」、「12」である場合の補正値が「1.5」と、月が「3」、「4」、「5」、「6」、「10」、「11」である場合の補正値が「1」と、月が「7」、「8」、「9」である場合の補正値が「0.5」となっている。すなわち、冬は気温が低く汚水中の有機分が高く、一般的に、汚水濃度が高くなるため、補正値が高く設定され(変更可能性が上がり)、一方、夏は汚水濃度が低くなるため、補正値は低く設定されている。
【0028】
第2のルール記憶部373には、天候に基づいて定められた補正ルールが予め記憶される。図4は、本実施形態による第2のルール記憶部が記憶する第2のルールの構成を示す図である。第2のルール記憶部373には、例えば、天候情報(晴、曇、雨、雪)に対応付けて、補正値が記憶される。図4に示す例では、天候が「雨」、「雪」である場合の補正値が「1.5」と、天候が「曇」である場合の補正値が「1」と、天候が「晴」である場合の補正値が「0.5」となっている。
【0029】
第3のルール記憶部374には、機器重要度に基づいて定められた補正ルールが予め記憶される。図5は、本実施形態による第3のルール記憶部が記憶する第3のルールの構成を示す図である。第3のルール記憶部374には、例えば、機器重要度(A、B、Cにわかれており、Aが最も重要度が高く、Cが低い)に対応付けて、補正値が記憶される。図5に示す例では、機器重要度が「C」である場合の補正値が「1.5」と、機器重要度が「B」である場合の補正値が「1」と、機器重要度が「A」である場合の補正値が「0.5」となっている。すなわち、機器重要度が高ければ、点検実測値が判定基準値を超えた際に、判定基準値が補正されることなく設備異常判定となるので、早急に設備異常が報告されることになる。
【0030】
第4のルール記憶部375には、点検異常件数に基づいて定められた補正ルールが予め記憶される。図6は、本実施形態による第4のルール記憶部が記憶する第4のルールの構成を示す図である。第4のルール記憶部375には、例えば、点検異常数の閾値(0、2、4、6、8、10)に対応付けて、補正値が記憶される。図6に示す例では、機器重要度が「10」である場合の補正値が「2.5」と、機器重要度が「8」である場合の補正値が「2」と、機器重要度が「6」である場合の補正値が「1.5」と、機器重要度が「4」である場合の補正値が「1」と、機器重要度が「2」である場合の補正値が「0.5」と、機器重要度が「0」である場合の補正値が「0」となっている。
【0031】
第5のルール記憶部376には、故障重要度に基づいて定められた補正ルールが予め記憶される。図7は、本実施形態による第5のルール記憶部が記憶する第5のルールの構成を示す図である。第5のルール記憶部376には、例えば、故障重要度(重故障、軽故障、無し)に対応付けて、補正値が記憶される。図7に示す例では、故障重要度が「無し」である場合の補正値が「1.5」と、故障重要度が「軽故障」である場合の補正値が「1」と、故障重要度が「重故障」である場合の補正値が「0.5」となっている。
【0032】
第6のルール記憶部377には、雨量に基づいて定められた補正ルールが予め記憶される。図8は、本実施形態による第6のルール記憶部が記憶する第6のルールの構成を示す図である。第6のルール記憶部377には、例えば、雨量(0mm、20mm、40mm、60mm、100mm)に対応付けて、補正値が記憶される。図8に示す例では、雨量が「20mm」である場合の補正値が「1」と、雨量が「40mm」である場合の補正値が「0.5」と、雨量が「0mm」「60mm」「100mm」である場合の補正値が「0」となっている。すなわち、雨が降れば補正値は高いが、雨量が一定量よりも多い場合(この例では、60mm)は、突発的な雨であると考えられるため、補正値は低い構成となっている。
【0033】
運転概況記憶部378は、設備識別情報に対応付けて、運転概況情報を記憶する。
予定表記憶部379には、設備に関する、例えば避難訓練をいつ行うかなどの予定が記憶される。掲示板記憶部380は、設備や設備の運営に関する電子掲示板のための情報が記憶される。
【0034】
機器情報記憶部381には、例えば、機器ごとに1件の機器情報が記憶され、設備を識別する設備識別情報と、この設備が備える機器を識別する機器識別情報とに対応付けて、その機器が重要機器であるか否かを示す重要機器フラグの情報が記憶される。設備識別情報は、上下水処理場が備える設備を一意に特定する情報であり、例えば、連番の数値情報である。機器識別情報は、設備識別情報が示す設備が備える機器の識別情報であり、例えば、設備識別情報の数値情報の末尾に、連番の数値情報を付した情報である。ここで、設備識別情報と機器識別情報とは、一対多の関係となる。例えば、設備が取水設備であれば、電動機、取水ポンプ、取水口などの機器の機器識別情報が対応付けられる。重要機器フラグは、例えば、その機器が重要機器であれば1が、重要機器でなければ0が記憶される。
【0035】
手入力設備情報記憶部382には、例えば、設備を識別する設備識別情報に対応付けて、設備担当者が入力する点検状況文章情報と、異常があるか否かを示す設備異常フラグと、故障が重故障であるか否かを示す重故障フラグとの情報が記憶される。設備識別情報は、上下水処理場が備える設備を一意に特定する情報であり、例えば、連番の数値情報である。点検状況文章情報は、設備担当者が、設備場端末400の入力部から自由に入力する文章情報であり、例えば、設備担当者が故障を発見したときは、「ポンプの閉塞」、「軸受け発熱」などの故障件名情報とともに、故障発見日時、故障発見者、詳細な故障状況などを入力する。または、設備担当者は、故障ではないが、特記事項があるときにはその内容を入力しても良い。設備異常フラグは、点検状況文章情報に故障状況を入力したときには、例えば、1が入力され、故障でなければ、0が入力される。重故障フラグは、例えば、設備異常フラグに1が入力された場合には、その故障が重故障であれば1が、軽故障であれば0が入力される。
【0036】
手入力設備情報記憶部382に記憶される各情報は、設備担当者が設備場端末400を用いて入力しても良いし、設備担当者は設備識別情報に対応した点検状況文章情報のみを入力し、後に、設備責任者が、入力された点検状況文章情報を参照して、設備異常であるか否か、および重故障であるか否かの判断をして、設備異常フラグと重故障フラグとの情報を設備場端末400から入力する運営としても良い。
設備場端末400は、上下水処理場の現場で被委託者である設備担当者などが利用する情報端末であり、いわゆるPCでも良いし、PDA(Personal Digital Assistant)でも良い。
【0037】
次に、本実施形態による上下水処理場管理システムの動作例を説明する。
<情報入力>
被委託者は、上下水処理場の各設備が備える各機器を、予め定められた点検項目、点検方法によって点検を行う。例えば、設備担当者が、PDAなどの設備場端末400を持ち歩いて各機器の電流値、電圧値、流量、回転数などの値を点検した点検実測値を設備場端末400に記憶させる。設備場端末400は、記憶された点検実測値を詳細情報記憶装置200に送信して記憶させる。また、入力部360が、運転概況の詳細情報を閲覧、入力可能な画面から、点検実測値の入力を受付ける。
【0038】
また、設備場端末400は、計器などにより取得した数値情報である点検実測値情報の他に、設備担当者から入力される設備ごとの文章情報を、運転概況管理装置300の入力部360を介して手入力設備情報記憶部382に入力しても良い。文章情報は、設備に関する情報であり、「管理棟周辺の除草作業を行った」、「電気棟の壁面塗装作業を行った」、「中央棟に床ワックスをかけた」などの、機器とは直接結びつかない情報でも良い。あるいは、文章情報は、「AA設備について清掃作業を実施した」「BB設備についてオイルの定期交換を行った」などの、定期作業の情報でも良い。入力部360は、設備識別情報に対応付けて、概況情報の文章入力欄と、連絡事項である文章入力欄と、設備の異常有無を入力するチェックボックスと、異常である場合にはその故障が重故障であるか否かを入力するチェックボックスとを備える。
【0039】
<設備異常判定処理>
図10は、本実施形態による設備異常判定処理の動作例を示すアクティビティ図である。
運転概況管理装置300は、設備識別情報ごとに、設備異常判定処理を行う。判定部320は、まず、手入力設備情報記憶部382から読み出した手入力設備情報について、故障判定処理を行う(ステップS1000)。そして、判定部320は、故障判定処理を行った設備識別情報に対応する全ての機器情報を機器情報記憶部381から読み出す。そして、判定部320は、読み出した全ての機器情報について機器異常判定処理を行う(ステップS1100)。図14は、本実施形態による機器異常判定処理に用いる項目を示す図である。そして、判定部320は、故障判定処理と機器異常判定処理との結果を参照し(ステップS1200)、故障判定処理にて故障ありとの出力がされるか、あるいは機器異常判定処理にて機器異常ありとの出力がされれば、設備異常ありとの判定を行う(ステップS1300)。一方、故障判定処理にて故障なしとの出力がされ、かつ、機器異常判定処理にて機器異常なしの出力がされれば、設備異常なしとの判定を行う(ステップS1400)。
【0040】
<故障判定処理>
以下、図10におけるステップS1000の故障判定処理について、詳しく説明する。
図11は、本実施形態による故障判定処理の動作例を示すアクティビティ図である。
判定部320は、手入力設備情報記憶部382に記憶された手入力設備情報を読み出す。そして、判定部320は、手入力設備情報のうち、設備異常フラグが1であれば、故障であると判定し、設備異常フラグが0であれば、故障でないと判定する(ステップS1001)。判定部320が、故障でないと判定すれば、故障なしとの判定結果を出力する(ステップS1005)。
【0041】
一方、判定部320が、故障であると判定すると、その設備識別情報に対応する重要機器フラグを機器情報記憶部381から読み出す(ステップS1002)。判定部320は、重要機器フラグが1であれば、故障ありとの判定結果を出力する(ステップS1004)。判定部320は、重要機器フラグが0であれば、手入力設備情報のうち、重故障フラグを参照する(ステップS1003)。判定部320は、重故障フラグが1であれば、故障ありとの判定結果を出力する。一方、判定部320は、重故障フラグが0であれば、故障なしとの判定結果を出力する。
このようにすれば、機器に故障があったとしても、その機器が重要機器でなく、かつ、故障が軽故障であった場合には、その故障の設備全体への影響度、致命度は低いために、運転概況情報として委託者への故障報告を行う必要はないとの判定を行うことができる。
【0042】
<機器異常判定処理>
以下、図10におけるステップS1100の機器異常判定処理について、詳しく説明する。図12は、本実施形態による機器異常判定処理の動作例を示すアクティビティ図である。また、図13は、本実施形態による機器異常判定処理の動作例を示す概念図である。図13には、機器異常判定処理の対象機器を汚水ポンプであることとした場合の動作概念が示されている。
【0043】
まず、点検値抽出部350は、ステップS1000で故障判定処理を行った設備識別情報に対応する点検実測値情報を、詳細情報記憶装置200から取得する。例えば、上記汚水ポンプの例では、点検値抽出部350は、点検項目が電流値である点検実測値として58(A)、点検項目が電圧値である点検実測値として430(V)、点検項目が流量値である点検実測値として230(m/h)、点検項目が回転数である点検実測値として940(prm)とする点検実測値情報を詳細情報記憶装置200から取得する。
【0044】
判定部320は、上記点検項目ごとに、判定基準値記憶部371から読み出す判定基準値と比較する(ステップS1101)。例えば、上記汚水ポンプの例では、図9に示す例と比較すると、まず、電流値の点検実測値(58(A))は、上限(HH)が65であり、下限(LL)が50であるから、判定基準値を超えてない。判定部320は、点検値異常なしと判定する(ステップS1105)。また、判定部320は、機器異常なしとして、点検項目が電流値である機器異常判定処理を完了する(ステップS1108)。
【0045】
判定部320は、電流値の機器異常判定処理と同様に、電圧値、流量値の機器異常判定処理を行う。本実施形態の例では、電圧値、流量値はいずれも図9に示す判定基準値を超えていない。そして、判定部320は、回転数の点検実測値(940(prm))の機器異常判定処理を行う。図9に示される汚水ポンプの回転数の判定基準値は、上限(H)が900であり、点検実測値が判定基準値を超えているため、判定基準値補正可否判定部340が、基準値補正可否判定処理を行う(ステップS1102)。
【0046】
判定基準値補正可否判定部340は、判定基準値記憶部371に記憶された判定基準情報のうち、汚水ポンプの回転数に対応付けられた適用ルールを参照する。図9に示す例から、該当する適用ルールは「12345」なので、判定基準値補正可否判定部340は、第1のルール記憶部372と、第2のルール記憶部373と、第3のルール記憶部374と、第4のルール記憶部375と、第5のルール記憶部376とに記憶されたそれぞれのルールに基づいて、補正値を検出し、補正値の合計を補正可否判定値として算出する。
【0047】
本実施形態では、例えば、処理月が1月、天候が雨、汚水ポンプの機器重要度がB、過去の点検異常回数が5回、故障重要度は軽故障であることとすると、第1のルールによる補正値が1.5、第2のルールによる補正値が1.5、第3のルールによる補正値が1、第4のルールによる補正値が1、第5のルールによる補正値が1であり、補正値の合計である補正可否判定値は6となる。判定基準値補正可否判定部340は、このように、補正可否判定値が適用ルール数を超えていれば、判定基準補正可否判定結果として、可を出力する。一方、補正可否判定値が適用ルール数を超えていなければ、判定基準値補正可否判定部340が、判定基準補正可否判定結果として否を出力する。
【0048】
判定基準補正可否判定結果が可であれば、判定基準値補正部330が、判定基準値記憶部371に記憶された判定基準値の補正を行う(ステップS1103)。例えば、判定基準値記憶部371の、機器が汚水ポンプであり、点検項目が回転数である判定基準情報を読み出す。図9のように、判定基準情報の変更値は5%となっているので、判定基準値補正部330は、判定基準値記憶部371に記憶された判定基準情報の、上限(H)である900の値を、5%増加させた値である945に更新して記憶させる。
【0049】
判定基準値補正部330が判定基準値を更新すると、判定部320が、ステップS1103で補正した判定基準値を用いて、点検実測値と判定基準値との比較を行う(ステップS1104)。回転数の点検実測値(940(prm))は、補正された判定基準値(945)を超えていないので、判定部320は、回転数を点検値異常なしと判定する(ステップS1105)。一方、ここで、点検実測値が補正された判定基準値を上回っていれば、判定部320は、点検値異常ありと判定する(ステップS1106)。
【0050】
判定部320にて、点検実測値が点検値異常ありと判定された場合、判定部320は、点検実測値情報に対応する機器識別情報に対応する重要機器フラグを、機器情報記憶部381から読み出す。判定部320は、読み出した重要機器フラグが、0であれば、機器異常なしとの判定結果を出力する。一方、判定部320は、読み出した重要機器フラグが、1であれば、機器異常ありとの判定結果を出力する(ステップS1109)。
【0051】
<運転概況情報配信>
判定部320が、詳細情報記憶装置200に記憶された全ての点検実測値情報について設備異常判定処理を行うと、運転概況配信部310が、設備異常判定処理結果を集約する。すなわち、運転概況配信部310は、設備識別情報ごとに、設備異常ありか設備異常なしかの判定を設備異常フラグとして対応付けた運転概況情報を生成し、運転概況記憶部378に記憶させる。運転概況配信部310は、運転概況情報を、閲覧者端末100に配信しても良いし、閲覧者端末100からの運転概況情報要求に応じて配信するようにしても良い。
【0052】
閲覧者端末100には、運転概況情報を表示する閲覧アプリケーションを備えることとして、閲覧者端末100から運転概況情報を閲覧しても良い。図15は、本実施形態による運転概況提供画面の例を示す図である。
また、運転概況配信部310は、運転概況情報を表計算ファイルの形式にして出力しても良い。このような表計算ファイルを生成すれば、例えば、運転概況情報をノートPCやメモリスティックなどに保存して持ち歩くことができるし、閲覧者端末100から運転概況管理装置300へのアクセスを特定のLANネットワーク内に限っている場合にも、電子メールなどで送信することができる。図16は、本実施形態により出力される運転概況詳細情報の閲覧例を示す図である。
【0053】
また、判定基準値補正部330は、予め定められた期間ごと、例えば四半期ごとに、補正して変更した判定基準値を、元に戻す処理を行っても良い。例えば、判定基準値補正部330は、予め、各判定基準値の初期値(デフォルト値)を記憶しておき、運転概況管理装置300が備えるタイマ機能を参照して、四半期ごとに、判定基準値記憶部371に記憶された基準値復元が可となっている判定基準値情報の判定基準値を、初期値に更新する。
【0054】
以上説明したように、本発明によれば、上下水処理場の管理を被委託者に委託した委託者が、上下水処理場の運営に関する専門的な知識を備えていなくても、設備異常があるか否かを把握することができる。
さらに、詳細情報記憶装置200に記憶された点検実測値情報などの情報を用いて既に稼動しているシステムがある場合にも、運転概況管理装置300は、詳細情報記憶装置200から情報を抽出して加工することにより閲覧者端末100に運転概況情報を提供するようにしたので、既存のシステムに影響を与えることなく、運転概況情報を生成することができる。
【0055】
なお、本発明における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより運転概況情報の配信を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0056】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態による上下水処理場管理システムを示す概念図である。
【図2】本発明の一実施形態による上下水処理場管理システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による第1のルール記憶部が記憶する第1のルールの構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による第2のルール記憶部が記憶する第2のルールの構成を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による第3のルール記憶部が記憶する第3のルールの構成を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による第4のルール記憶部が記憶する第4のルールの構成を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による第5のルール記憶部が記憶する第5のルールの構成を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による第6のルール記憶部が記憶する第6のルールの構成を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態による判定基準値記憶部が記憶する判定基準情報の構成を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態による設備異常判定処理の動作例を示すアクティビティ図である。
【図11】本発明の一実施形態による故障判定処理の動作例を示すアクティビティ図である。
【図12】本発明の一実施形態による機器異常判定処理の動作例を示すアクティビティ図である。
【図13】本発明の一実施形態による機器異常判定処理の動作例を示す概念図である。
【図14】本発明の一実施形態による設備異常判定処理に用いる項目を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態による運転概況提供画面の例を示す図である。
【図16】本発明の一実施形態により出力される運転概況詳細情報の閲覧例を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
100 閲覧者端末
200 本発明の一細情報記憶装置
300 運転概況管理装置
310 運転概況配信部
320 判定部
330 判定基準値補正部
340 判定基準値補正可否判定部
350 点検値抽出部
360 入力部
370 記憶部
371 判定基準値記憶部
372 第1のルール記憶部
373 第2のルール記憶部
374 第3のルール記憶部
375 第4のルール記憶部
376 第5のルール記憶部
377 第6のルール記憶部
378 運転概況記憶部
379 予定表記憶部
380 掲示板記憶部
381 機器情報記憶部
382 手入力設備情報記憶部
400 設備場端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閲覧者端末に接続され、上下水処理場の各設備の運転概況を管理する運転概況管理装置であって、
前記各設備を識別する設備識別情報に対応付けて、この設備識別情報が示す設備が備える各機器の状況を点検項目ごとに実測した値である点検実測値情報が記憶された詳細情報記憶装置から点検実測値情報を読み出す点検値抽出手段と、
前記各設備の状況についての文章情報とその設備に異常があるか否かの情報とのうちいずれか一方またはその両方の情報である手入力設備情報のデータ入力を受付ける入力手段と、
前記各機器を識別する機器識別情報ごとに、前記点検項目に対応付けて、前記点検実測値が異常であるか否かを判定するための基準値となる判定基準値が記憶される判定基準値記憶手段と、
前記手入力設備情報と、前記点検実測値情報と、前記判定基準値とに基づいて、その設備に異常があるか否かの判定処理を行って判定結果情報を生成する判定手段と、
前記設備識別情報ごとに前記判定結果情報を運転概況情報として前記閲覧者端末に配信する運転概況配信手段と
を備えることを特徴とする運転概況管理装置。
【請求項2】
前記点検実測値が判定基準値を超えている場合に、前記判定基準値記憶手段に記憶された前記判定基準値を変更して更新する判定基準値補正手段をさらに備え、
前記判定手段は、この判定基準値補正手段が前記判定基準値を更新した後に、前記判定処理を行うこと
をさらに特徴とする請求項1に記載の運転概況管理装置。
【請求項3】
前記判定基準値記憶手段は、前記機器識別情報ごとに、前記点検項目に対応付けて、判定基準値を変更するか否かを判定するための判定基準変更条件を記憶し、
前記判定基準変更条件に基づいて、前記点検項目ごとに前記判定基準値を補正するか否かを判定する基準値となる補正可否判定値を算出し、算出された補正可否判定値が予め定められた閾値を超える場合に変更可を示す変更可否判定情報を生成する判定基準値補正可否判定手段をさらに備え、
前記判定基準補正手段は、前記変更可否判定情報が変更可を示す場合に、前記判定基準値を変更して更新すること
をさらに特徴とする請求項2に記載の運転概況管理装置。
【請求項4】
前記判定基準変更条件は、処理時の月日情報と予め定められた季節情報とに基づいて、補正可否判定値を上げる、または補正可否判定値を下げる判定基準変更条件を含むこと
を特徴とする請求項3に記載の運転概況管理装置。
【請求項5】
前記判定基準変更条件は、入力される天気情報に基づいて、補正可否判定値を上げる、または補正可否判定値を下げる判定基準変更条件を含むこと
を特徴とする請求項3または請求項4に記載の運転概況管理装置。
【請求項6】
前記機器識別情報ごとに、その機器の重要度の高さを示す情報が記憶される機器情報記憶手段と、
前記判定基準変更条件は、前記機器重要度情報に基づいて、機器重要度が高ければ補正可否判定値を上げ、機器重要度が低ければ補正可否判定値を下げる判定基準変更条件を含むこと
を特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の運転概況管理装置。
【請求項7】
前記詳細情報記憶装置には、設備識別情報に対応付けて、過去に設備異常ありと判定された回数が記憶され、
前記判定基準変更条件は、前記回数が多いほど、補正可否判定値を上げる判定基準変更条件を含むこと
を特徴とする請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の運転概況管理装置。
【請求項8】
前記判定基準変更条件は、入力される故障重要度に基づいて、補正可否判定値を上げる、または補正可否判定値を下げる判定基準変更条件を含むこと
を特徴とする請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の運転概況管理装置。
【請求項9】
前記判定基準変更条件は、入力される雨量情報と、予め定められた雨量情報と対応付けて記憶される数値に基づいて補正可否判定値を算出する判定基準変更条件を含むこと
を特徴とする請求項3から請求項8のいずれか1項に記載の運転概況管理装置。
【請求項10】
閲覧者端末に接続される運転概況管理装置が、上下水処理場の各設備の運転概況を管理する運転概況管理方法であって、
前記運転概況管理装置が備える点検値抽出手段が、前記各設備を識別する設備識別情報に対応付けて、この設備識別情報が示す設備が備える各機器の状況を点検項目ごとに実測した値である点検実測値情報が記憶された詳細情報記憶装置から点検実測値情報を読み出すステップと、
前記運転概況管理装置が備える入力手段が、前記各設備の状況についての文章情報とその設備に異常があるか否かの情報とのうちいずれか一方またはその両方の情報である手入力設備情報のデータ入力を受付けるステップと、
前記運転概況管理装置が備える判定基準値記憶手段が、前記各機器を識別する機器識別情報ごとに、前記点検項目に対応付けて、前記点検実測値が異常であるか否かを判定するための基準値となる判定基準値が記憶されるステップと、
前記運転概況管理装置が備える判定手段が、前記手入力設備情報と、前記点検実測値情報と、前記判定基準値とに基づいて、その設備に異常があるか否かの判定処理を行って判定結果情報を生成するステップと、
前記運転概況管理装置が備える運転概況配信手段が、前記設備識別情報ごとに前記判定結果情報を運転概況情報として前記閲覧者端末に配信するステップと
を備えることを特徴とする運転概況管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−48368(P2009−48368A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212867(P2007−212867)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【出願人】(590002208)横浜市 (13)
【出願人】(000165273)月島機械株式会社 (253)
【出願人】(500433959)月島テクノメンテサービス株式会社 (7)
【Fターム(参考)】