説明

過冷却促進剤

【課題】高い過冷却活性を示し、より実用的な凍らない水を作成するための新たな過冷却促進剤、及び生物材料の低温保存、材料表面の塗装など、様々な分野に有用である過冷却促進剤を含有する不凍性液体を提供する。
【解決手段】非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤および両性界面活性剤から選ばれる界面活性剤からなる過冷却促進剤、及びそれを含有する不凍性液体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は過冷却促進剤に関する。詳しくは、低濃度の添加により水の過冷却を促進する過冷却活性を有する界面活性剤からなる過冷却促進剤、前記界面活性剤を含有する不凍性液体に関する。
【背景技術】
【0002】
水を氷点下で長期間、安定的に凍らせない物質があれば様々な産業への応用が期待される。現在、各種の産業において応用が期待できるようなレベルで、低濃度の添加により、水を少なくとも10℃程度、また1日以上過冷却させるような物質が求められている。
【0003】
水を凍結させにくくする物質としては、一般的に不凍タンパク質が知られている。不凍タンパク質とは、氷晶の成長を阻害することで水の凍結温度を低下させるタンパク質と考えられており、これらの物質は、低温環境下で生息している生物種によって生産される。それらの生物種とは、例えば、南極海などに生息する魚、寒冷地で越冬する昆虫の幼虫などが挙げられる。
しかしながら、これらの不凍タンパク質の活性温度はせいぜい−5℃程度であり、より低温での活性がなく、また、安定的な供給が困難であること、さらに高価格であることなどから、広く産業に応用されるには至っていない。
【0004】
一方、寒冷地に生育する樹木の細胞水は、極低温で液体状態を保持することが知られている。これらの樹木は、木部柔細胞内の水が、外界から分離された水滴のために水の物理的特性によって−40℃程度まで過冷却すると考えられている(非特許文献1参照)。
木部柔細胞を取り囲む細胞壁は、細胞からの脱水及び細胞外の氷が細胞内に侵入することを防ぐため、細胞外に氷ができても、細胞内の水が外界から孤立した水滴として振舞って過冷却すると考えられる。
また、越冬植物に含まれるフェノール化合物は、凍結防御物質として働くことが示唆されている(非特許文献2参照)。これらの物質は、生殖細胞等を培養するための凍結培地(特許文献1参照)や、内燃機関等の冷却液として用いる不凍液の一成分(特許文献2参照)として使用することが開示されている。
【0005】
本発明者らは、寒冷地に生育する樹木がその細胞水を氷点下でも液体状態に保持することができるメカニズムを解明するための研究を開始した。その過程において、細胞内に存在する何らかの物質が−20℃程度の過冷却を引き起こすことを見出している(非特許文献3)。
さらに研究を推進し、その原因物質の一つとして、フラボノール配糖体が過冷却活性を有することを見出し、先に特許出願している(特許文献3)。
【0006】
しかしながら、上記のフラボノール配糖体を得るためには、樹木などの生物体からの抽出、或いは複雑な化学合成が必要であり、容易に入手することができないという課題が残されており、現在のところ、広く応用されるには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2000−500327(WO97/14785)
【特許文献2】WO2004/074397
【特許文献3】WO2008/007684
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】化学と生物vol.43,No. 5,280−282(2005)
【非特許文献2】化学と生物vol.37,No.12,778−780(1999)
【非特許文献3】Role of intracellular contents to facilitate supercooling capabilityin beech (Fagus crenata) xylem parenchyma cells. CryoLetters, 27 (5), 305−310 (2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、前述のフラボノール配糖体の物資以外で、高い過冷却活性を有し、より入手が容易な物質を見出し、より実用的な凍らない水を作成するための、新たな過冷却促進剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、界面活性剤が過冷却活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。従来から界面活性剤は、多くの化合物が知られており、広く産業に利用されているが、界面活性剤が凝固点降下にほとんど影響を与えないような低濃度の添加によって水の過冷却を促進することは知られていなかった。
【0011】
すなわち、本発明は、下記[1]〜[6]の界面活性剤からなる過冷却促進剤、[7]、[8]の不凍性液体に関する。
[1].界面活性剤からなる過冷却促進剤。
[2].界面活性剤が非イオン性界面活性剤である前項[1]に記載の過冷却促進剤。
[3].界面活性剤がイオン性界面活性剤である前項[1]に記載の過冷却促進剤。
[4].イオン性界面活性剤がカチオン性界面活性剤である前項[1]に記載の過冷却促進剤。
【0012】
[5].イオン性界面活性剤がアニオン性界面活性剤である前項[1]に記載の過冷却促進剤。
[6].イオン性界面活性剤が両性界面活性剤である前項[1]に記載の過冷却促進剤。
[7].前項[1]〜[6]のいずれかに記載の過冷却促進剤を水に溶解させてなる不凍性液体。
[8].凍害防止剤を1種単独または2種以上組み合わせて含有する前項[7]に記載の不凍性液体。
【発明の効果】
【0013】
本発明の過冷却促進剤は、水が凍結する際に形成する氷核の形成を阻害することで、過冷却を促進すると考えられる。この結果、水の凍結温度を本来水が凍結する温度より10℃前後低下させることができる。この過冷却促進剤は、バルクの水を低温で長期にわたって安定的に過冷却させることが可能である。
また、本発明の過冷却促進剤を水と混合することで、−10℃前後で使用できる不凍性液体となり、この不凍性液体中で、例えば、生物材料等を長期間低温保存することが可能である。
【0014】
本発明の過冷却促進剤は、水や用途に応じた種々の添加物を含んだ水溶液、及び水を含んだ物質に溶解させることで、これらの溶液の氷晶の大きさを制御する、凍結制御剤として使用することができる。本発明の過冷却促進剤の添加によって過冷却が促進され、凍結開始温度が低下するため、形成される氷晶の大きさを小さくできる。このため、本発明の過冷却促進剤を添加した水溶液を、冷却速度や添加物の組成、濃度を変化させて凍結することで、氷の大きさを様々に変化させる凍結制御剤として使用することができる。
更に、凍結防止剤を高濃度で含有するガラス化液に本発明の過冷却促進剤を添加すると、ガラス化液の濃度を低下させることができ、ガラス化液への浸漬による毒性を軽減することができる。従って、超低温のガラス体中で、これまでガラス保存が困難だった生物材料等を保存することも可能であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】各種界面活性剤の過冷却活性を測定した結果を示す。
【図2】10質量%濃度のエチレングリコール水溶液と、そこにtween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを0.01質量%濃度添加した時のDSC(示差走査熱量計)チャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明における、界面活性剤とは親水基と疎水基からなる両親媒性物質で、表(界)面張力を低減し、ミセル形成能を有する物質を指す。これらの界面活性剤は化学合成によっても得られるが、レシチン、サポニン等の天然に存在する物質も含まれる。また、界面活性剤は水中で電離するかしないかによって、非イオン性界面活性剤とイオン性界面活性剤に大別できる。さらに、イオン性界面活性剤は水に溶解した時のイオンの種類によってカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤に分類できる。
【0017】
本発明に係る非イオン性界面活性剤は親水基の構造によって、さらにエーテル型、エステル型、エステルエーテル型、アルカノールアミド型、高級アルコール型に分類できる。
非イオン性界面活性剤の具体例としては、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレンモノエーテル、一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンモノエステル、一般式(3)で表されるポリオキシアルキレンアミドなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0018】
−O−(R−O)−H (1)
(式中、Rは炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基、あるいは炭素数6〜12のアルキル基又はアルケニル基を有するフェニル基を示し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、mは1〜100の整数を示す。mが2以上である場合は、Rは1種単独であってもよし、2種以上であってもよく、Rが2種以上の場合の(R−O)はブロック構造であってもよいし、ランダム構造であってもよい。)
一般式(1)において、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であるが、炭素数2〜3のアルキレン基が好ましい。mは1〜100の整数であるが、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。
【0019】
COO−(R−O)−R (2)
(式中、Rは炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Rは水素原子又はソルビタン残基を示し、nは1〜100の整数を示す。nが2以上である場合は、Rは1種単独であってもよし、2種以上であってもよく、Rが2種以上の場合の(R−O)はブロック構造であってもよいし、ランダム構造であってもよい。)
一般式(2)において、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であるが、炭素数2〜3のアルキレン基が好ましい。また、Rのソルビタン残基は、ソルビタンの一つの水酸基を除いた残りの部分をいう。nは1〜100の整数であるが、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。
【0020】
【化1】

(式中、Rは炭素数7〜21のアルキル基、アルケニル基又は脂肪酸基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、pは1〜20の整数を示し、qは0〜20の整数を示す。)
一般式(3)において、pは1〜20の整数であるが、1〜10が好ましく、qは1〜20の整数であるが、1〜10が好ましい。
【0021】
また、非イオン性界面活性剤としては、上記一般式(1)〜(3)の非イオン性界面活性剤の他に、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、高級アルコール、天然由来のサポニンなどが挙げられる。
ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルにおいては、オキシアルキレン基は炭素数2〜3のオキシアルキレン基が好ましく、炭素数2のオキシエチレン基がより好ましい。ソルビタンに置換するポリオキシアルキレン基の数は、1であってもよいし、2又は3であってもよい。また、ソルビタンに置換する脂肪酸基の炭素数は8〜22が好ましく、12〜18がより好ましい。ソルビタンに置換する脂肪酸基の数は、1であってもよいし、2又は3であってもよい。
【0022】
ソルビタン脂肪酸エステルにおいては、ソルビタンに置換する脂肪酸基の炭素数は8〜22が好ましく、12〜18がより好ましい。ソルビタンに置換する脂肪酸基の数は、1であってもよいし、2又は3であってもよい。
高級アルコールとしては、炭素数12〜24アルキル基又はアルケニル基を有するアルコールなどが挙げられ、具体的にはセタノールなどが挙げられる。
非イオン性界面活性剤の好適な具体例としては、例えば、ポリソルベート、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレート、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、茶種子由来サポニン、あるいはセタノールなどが挙げられる。
【0023】
また、非イオン性界面活性剤の分子量は、特に制限ないが、好ましくは200〜3000であり、さらに好ましくは400〜2000である。なお、好ましい範囲以外の分子量であっても、ある程度の効果が期待できる。
【0024】
また、カチオン性界面活性剤は親水基の構造によってさらに、4級アンモニウム塩型、アルキルアミン塩型に分類でき、4級アンモニウム塩型の方が、過冷却促進剤としてより好ましい。
4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤としては、窒素原子の4つの置換基の少なくとも1つが炭素数1〜24のアルキル基又はアルケニル基、或いは炭素数1〜24のアシルアミノアルキル基であり、他の置換基は炭素数1〜5のアルキル基である4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤、窒素原子の4つの置換基の少なくとも1つが炭素数1〜24のアルキル基又はアルケニル基であり、置換基の少なくとも1つがベンジル基であり、他の置換基は炭素数1〜5のアルキル基である4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0025】
アルキルアミン塩型カチオン性界面活性剤としては、炭素数8〜24の脂肪酸と炭素数1〜5のアルキル基を1つ又は2つ有するアミンの塩、炭素数8〜24の脂肪酸とトリエタノールアミンの塩などが挙げられる。
カチオン性界面活性剤の好適な具体例としては、例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルアミンアセテートなどが挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤の分子量は、特に制限ないが、好ましくは200〜400である。なお、好ましい範囲以外の分子量であっても、ある程度の効果は得られる。
【0026】
また、アニオン性界面活性剤は親水基の構造によってさらに、カルボン酸塩型、スルホン酸塩型、硫酸エステル塩型、リン酸エステル塩型に分類できる。
カルボン酸塩型アニオン性界面活性剤としては、炭素数6〜24の脂肪酸塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩)、ナフテン酸塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アルカノールアミン塩)、炭素数10〜20のアルキル基を有し、エチレンオキシドを0.5〜8モル付加させたアルキルポリエトキシカルボン酸塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩)、ロジン酸セッケン、脂肪酸サルコシドなどが挙げられる。
【0027】
スルホン酸塩型アニオン性界面活性剤としては、炭素数10〜16のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩、アンモニウム塩)、炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩、アンモニウム塩)、石油スルホン酸塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩)、炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩)、炭素数10〜20のスルホ脂肪酸塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩)、炭素数2〜8のアルキル基を有するアルキルナフタリンスルホン酸塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩、アンモニウム塩)などが挙げられる。
【0028】
硫酸エステル塩型アニオン性界面活性剤としては、炭素数10〜20のアルキル基を有し、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを0.5〜8モル付加させたポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩)、炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸エステル塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩)、炭素数10〜20の長鎖アルコールの硫酸エステル塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩)、炭素数10〜20の脂肪酸の炭素数1〜5のアルキルエステル、アミド、アニリド又はアルカノールアミドの硫酸エステル塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩)などが挙げられる。
【0029】
リン酸エステル塩型アニオン性界面活性剤としては、炭素数6〜16のアルキル基を有するアルキルリン酸エステル塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩)、炭素数10〜20のアルキル基を有し、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを0.5〜8モル付加させたポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩)、炭素数6〜16のアルキル基を有し、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを0.5〜8モル付加させたポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩(塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩)などが挙げられる。
【0030】
アニオン性界面活性剤の好適な具体例としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム、リン酸モノドデシルナトリウムなどが挙げられる。さらに、レシチンなどのリン脂質もアニオン性界面活性剤に分類することができる。
また、アニオン性界面活性剤の分子量は、特に制限ないが、好ましくは200〜400である。なお、好ましい範囲以外の分子量であっても、ある程度の効果は得られる。
【0031】
また、両性界面活性剤は親水基の構造によってさらに、カルボキシベタイン型、アミンオキシド型、スルホベタイン型に分類できる。
両性界面活性剤としては、窒素原子の4つの置換基の1つが炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基であり、他の置換基の2つは炭素数1〜5のアルキル基であり、残りの置換基が炭素数2〜3のカルボキシアルキレン基であるカルボキシベタイン型両性界面活性剤、窒素原子の4つの置換基の1つが炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基であり、他の置換基の2つは炭素数1〜5のアルキル基であり、残りの置換基がオキシド基であるアミノオキシド型両性界面活性剤、窒素原子の4つの置換基の1つが炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基であり、他の置換基の2つは炭素数1〜5のアルキル基であり、残りの置換基が炭素数2〜3のスルホン酸アルキレン基であるスルホベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0032】
両性界面活性剤の好適な具体例としては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド、3−(テトラデシルジメチルアンモニオ)プロパンスルホナートなどが挙げられる。
また、両性界面活性剤の分子量は、特に制限ないが、好ましくは200〜400である。なお、好ましい範囲以外の分子量であっても、ある程度の効果は得られる。
【0033】
次に、本発明の作用について説明する。
従来のエチレングリコールなどの不凍液は、濃度依存のモル凝固点降下によるものである。それに対し、本発明に係る界面活性剤からなる過冷却促進剤は、モル凝固点降下によらず、極微量の添加によって過冷却を促進する。これは、本発明の界面活性剤からなる過冷却促進剤が、水が凍結する際に形成される氷核の形成そのものを阻害することによるものと考えられる。
【0034】
すなわち、本発明に係る過冷却促進剤は、凝固点降下にほとんど影響を与えない濃度、例えば、1容積%以下、または1質量%以下の低濃度で水に添加することで、添加濃度依存による束一的な凝固点降下をはるかに上回る過冷却促進を示すものである。
塩、糖、糖アルコールなどの一般的な物質では、凝固点降下度の2倍程度の過冷却促進を示すが、本発明に係る過冷却促進剤は10倍以上、条件によっては100倍以上の過冷却促進を示す。
【0035】
また、特異的に水の凍結温度を低下させる物質として、不凍タンパク質が知られているが、これらは形成された氷核の結晶成長を抑制するものであり、氷核の形成そのものを阻害するものではないと考えられている。これに対して、本発明に係る過冷却促進物質は、氷核の形成そのものを阻害するものと考えられ、不凍タンパク質とは、その性質が大きく異なる物質であると推測される。
【0036】
一般的に水の凍結には、氷核形成物質と呼ばれる物質が大きく関わっているとされており、それらの働きによって氷核が形成され、氷核が結晶成長することで水の凍結が起こると考えられている。氷核形成物質としては、種々の物質が知られているが、本発明の後述する実施例においては、無生物由来のヨウ化銀(AgI)を用いて界面活性剤の過冷却活性を測定し評価した。
【0037】
本発明の界面活性剤からなる過冷却促進剤は、AgIに対して−4℃〜−12℃程度の過冷却活性を示す。
特に、カチオン性界面活性剤は高い活性を示し、AgIに対して最大で約−12℃の過冷却活性を示す。
また、本発明の界面活性剤からなる過冷却促進剤は、AgI以外の他の物質に対しても優れた過冷却活性を示す。例えば、水中では、様々な異物が氷核となり水の凍結が起こると考えられており、これらの異物は、非常に多種にわたる。場合によっては、容器のヒビ等も氷核形成の開始点となり得る。このように、実用的には、同定できない様々な氷核形成物質が含有される水に対しても、本発明の界面活性剤からなる過冷却促進剤は、優れた過冷却活性を示す。
【0038】
また、本発明の界面活性剤からなる過冷却促進剤は、純水に対しても過冷却活性を有する。つまり、−2℃〜−10℃程度の過冷却活性を有している。一例をあげると、triton X−100、つまりオクチルフェノキシポリエトキシエタノール(分子量 650)は超純水(MilliQ Water)に対して−3.5℃の過冷却活性を示す。さらに、界面活性剤からなる過冷却促進剤は、フラボノイド配糖体等と比較して、はるかに安価で容易に、かつ大量に入手できるため、大容量の水(例えば、石油備蓄設備での消火用水など)に対しても利用できる。また、人体に対する影響が少ない界面活性剤は、−10℃程度での飲料や薬品などが作製できる。
【0039】
また、本発明に係る界面活性剤の過冷却活性は、例えば、以下のような他の過冷却促進物質といわれるものの過冷却活性と比較しても、優れている。
(1)種々の植物(桃など)の種子から抽出した未同定の粗抽出物は、−2.6〜−8.1℃の水の過冷却活性を示すことが記載されている(Caple et al.,(1983)Cryoletters,4,59−64)。しかし、この値は冷却速度1℃/minと本発明における過冷却促進剤の冷却速度0.2℃/minより非常に速く、一時的な過冷却を起こしやすい条件下での評価であるため、これらの粗抽出物は、本発明の過冷却促進剤の過冷却活性には及ばない。
(2)様々な不凍タンパク質は、最大−7.8℃の水の過冷却活性を示すことが記載されている(Duman(2002) J.Comp.Physio1.,172,163−168.)。しかし、この文献では、この最大値が得られる不凍タンパク質の添加濃度が不明であるとともに、0.5Mという高濃度のクエン酸を添加した時に得られた値であり、不凍タンパク質単独では−1.2℃の過冷却を促進するのみである。
【0040】
本発明の界面活性剤からなる過冷却促進剤は、通常、水に0.002g/L以上、好ましくは0.005〜10g/L、より好ましくは0.01〜1.0g/L、さらに好ましくは0.1〜1.0g/L溶解させて不凍性液体として用いることができる。
この不凍性液体は、通常は界面活性剤を水に溶解させることで得られるが、水の代わりに用途に応じた添加物を含む水溶液を用いてもよい。このような添加物としては、例えば、動植物細胞の培地成分、生物材料の保存液成分、あるいは防錆剤、酸化防止剤などが挙げられる。水溶液中の添加物の濃度は、用途に応じて適宜定めることができる。
【0041】
また、この不凍性液体は、このほかの過冷却促進剤や凍害防止剤を含んでもよい。
凍害防止剤を含む場合は、凍害防止剤を1種単独または2種以上組み合わせて1〜40溶積%、好ましくは1〜20容積%含有させることができる。
凍害防止剤とは、生物材料やこれらを浸漬させた水溶液に添加することで、凍結による障害を軽減する物質をいい、いずれも濃度依存の凝固点降下をもたらす、氷晶の形成量を軽減する、凍結材料の塩濃度の上昇を軽減する、ガラス化を容易にするなどの効果のうち、一つあるいは複合的な効果を有するものを指す。
【0042】
このような凍害防止剤として、例えば、メタノール、エタノール、アセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ホルムアルデヒド、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、プロリン、グルコース、ソルビトール、シュークロース、トレハロース、ポリエチレングリコール、デキストラン10−150、ポリビニルピロリドン(PVP)、アルブミン、フイコール、ヒドロキシエチルスターチ(HES)などが挙げられる。
【0043】
このような不凍性液体は、凍害防止剤を全く加えない場合、あるいは凝固点降下には殆ど影響を与えない濃度(1質量%以下程度)で凍害防止剤などの添加物を加えた場合には、長期間(例えば、1〜2週間)−10℃付近まで液体状態を保持できる。
この不凍性液体中に生物材料(植物や動物の細胞や組織、食用または観賞用等の魚介類、野菜などの植物、及びその一部などを指す。)を入れて冷却することで、通常5℃以下の低温で用いられるが、0℃以下、特に0〜−10℃の温度範囲で凍結を起こさずに、長期低温保存が可能となる。この不凍性液体は、過冷却により凍結開始温度が下がることで、氷晶を小さく制御することができ、また単独または凍害防止剤などとの併用によって、凍結乾燥により調製する医薬品や食品などの凍結制御剤としても使用できると考えられる。
【0044】
一方、上記の凍害防止剤を高濃度で含有する水溶液は「ガラス化液」と呼ばれ、超低温(例えば、液体窒素温度)においても、結晶を形成せず、ガラス体(非晶質の氷)となる(新野孝男ら編「植物超低温保存マニュアル」農業生物資源研究所発行2006年)。
ガラス化液とは、上記凍害防止剤を1種単独または2種以上組み合わせて20〜90容積%、好ましくは40〜90容積%含有し、残余が水である溶液のことを指す。この水として、動植物培養液などの溶媒を用いてもよい。動植物の培養や保存に用いる場合には、水や動植物培養液を30容積%以上、特に好ましくは40容積%以上混合することが望ましい。
【0045】
最も一般的なガラス化液の一例としては、30容積%のグリセリン、15容積%のエチレングリコール、15容積%のDMSO、0.4Mのシュークロースを培地溶液に添加したものがある。培地溶液の種類や濃度は、培養または保存する材料によって適宜変更することができる。
本発明においては、このガラス化液に本発明の界面活性剤からなる過冷却促進剤を通常、0.002g/L以上、好ましくは0.005〜10g/L、より好ましくは0.01〜1.0g/L、さらに好ましくは0.1〜1.0g/L添加する。このようなガラス化液は、ガラス化液の凍結温度以下、例えば−10℃以下、特に−60〜−273℃の温度範囲で非晶質の状態を保持させることが可能である。
【0046】
ガラス化による凍結保存では、通常予め保存したい材料を室温あるいは0℃以上の温度で、短時間浸漬処理する。この前処理によって、材料中の水は高濃度のガラス化液で脱水されると共に、ガラス化液が材料内水分と置換される。
このため、これらの材料を液体窒素に投入すると材料内外の水は氷晶を形成せずにガラス化する。植物などの生物材料をガラス化液に入れて液体窒素に投入すると、生物材料内外の水はガラス体(非晶質の氷)になる。ガラス状態では凍結による傷害が起こらないため、生物材料を超低温のガラス化液中で凍結保存することができるようになる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの例は本発明を限定することを意図するものではない。
下記実施例1〜9における過冷却活性(氷核阻害活性)は、以下の方法で測定した。
すなわち、氷核物質を含有する緩衝液に被測定物を任意の割合で混合した溶液の2μLの液滴を多数、温度コントロールができる銅板上に静置し、銅板を0.2℃/minで冷却した。その冷却過程において、凍結する液滴数を肉眼で観察し、50%の液滴が凍結した温度(INT50(℃))を凍結温度とし、被測定物と氷核物質を含む溶液と、氷核物質と緩衝液のみからなる溶液(control)のそれぞれの凍結温度の差を過冷却活性とした。緩衝液は50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を用いた。
下記の実施例1〜9では氷核物質として10mMのヨウ化銀(AgI)(ナカライ製)を、超純水(MilliQ Water)はミリポア社製超純水装置を通したものを用いた。
【0048】
(実施例1)
エステルエーテル型の親水基を持つ非イオン性界面活性剤、tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、分子量1300)を0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。INT50は−14.5℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−10.1℃であった。
(実施例2)
エーテル型の親水基を持つ非イオン性界面活性剤、triton X−100(オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、分子量 650)を0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。INT50は−11.5℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−7.1℃であった。
【0049】
(実施例3)
エーテル型の親水基を持つ非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル(分子量1400)を0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。INT50は−16.1℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−11.7℃となった。
(実施例4)
エステルエーテル型の親水基を持つ非イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコールモノステアラート(分子量2000)を0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。INT50は−14.1℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−9.7℃となった。
【0050】
(実施例5)
4級アンモニウム塩型の親水基を持つカチオン性界面活性剤、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(分子量360)を0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。INT50は−16.2℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−11.8℃であった。
(実施例6)
4級アンモニウム塩型の親水基を持つカチオン性界面活性剤、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(分子量320)を0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。INT50は−16.3℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−11.9℃であった。
【0051】
(実施例7)
スルホベタイン型の親水基を持つ両性界面活性剤、3−(テトラデシルジメチルアンモニオ)プロパンスルホナート(分子量360)を0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。INT50は−11.2℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−7.3℃であった。
(実施例8)
カルボン酸塩型の親水基を持つアニオン性界面活性剤、コール酸ナトリウム(分子量430)を0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。INT50は−8.5℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−4.0℃であった。
【0052】
(実施例9)
天然の界面活性剤であり、ノニオン性界面活性剤に分類することが可能な、茶種子由来サポニン(分子量)を0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。INT50は−9.8℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−5.3℃であった。
実施例1〜9の結果を図1にまとめた。
【0053】
(実施例10)
超純水に対する界面活性剤の過冷却活性について、測定を行った。測定方法は実施例1〜9と概ね同様であるが、ヨウ化銀は用いずに測定を実施し、Control溶液は超純水とした。
界面活性剤としてはtriton X−100(オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、分子量 650)を用い、超純水に0.1g/Lの濃度で添加した溶液の過冷却活性を測定した。
INT50は−24.8℃となり、Controlとの差、すなわち過冷却活性は−3.5℃となった。
【0054】
以下に示す実施例11、12においては、凍結防止剤として、エチレングリコールを含む超純水に界面活性剤を添加した場合の過冷却活性について測定を行った。
本実施例における過冷却活性は、下記に記載する方法で測定した。
すなわち、示差走査熱量計(DSC(TA Instruments 社製、Q20))を用いて、各溶液の凍結温度を測定した。冷却速度は1.0℃/minとして、冷却過程で現れる発熱ピークのピークトップ温度を凍結温度とし、Control溶液との差を過冷却活性とした。Control溶液には、エチレングリコールを10容積%の濃度で含有する超純水を用いた。また、窒素ガスを50ml/minでパージし、不活性状態で測定を実施した。
ここで、図2は、DSC(示差走査熱量計)チャートを示す。
【0055】
横軸は温度(℃)、縦軸は熱流(Heat Flow、W/g)を示し、上方向が発熱を示す。空のアルミ容器とアルミ容器に測定試料を秤量したものとを同一炉内で同時に冷却した際に生じるそれぞれの温度差から、熱流を算出することで、図2に示すチャートを得た。チャートに現れるピークは、溶液が凍結する際の発熱ピークであると考えられるため、それぞれのピークトップ温度を凍結温度とし、エチレングリコール水溶液とそこに過冷却促進剤を添加した試料との凍結温度の差を過冷却活性として評価した。
【0056】
(実施例11)
界面活性剤として、tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)を用いて、Control溶液に0.1g/L添加し、過冷却活性の測定を実施した。過冷却活性は−5.5℃であった。
(実施例12)
界面活性剤として、ヘキサデシルトリメチルアンモウムブロミドを用いて、Control溶液に0.1g/L添加し、過冷却活性の測定を実施した。過冷却活性は−7.5℃であった。
実施例11、12についてDSCのチャートを図2に示した。
【0057】
(実施例13)
超純水に非イオン性界面活性剤、tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)を0.1g/L、凍害防止剤である市販ロングライフクーラント(LLC)(トヨタ製、スーパーロングライフクーラント)を添加し、過冷却活性の測定を行った。本実施例で用いたLLCは、エチレングリコール(87〜90質量%)と防錆剤からなる。測定は示差走査熱量計を用いて、実施例11、12と同様の方法で行った。
超純水に上記LLCを10容量%添加したものをControlとし、そこへtween80を0.1g/Lの濃度で添加した溶液を被測定溶液とした。
その場合の過冷却活性は−5.0℃となり、防錆剤などの添加剤が含まれると考えられる不凍性液体においても、過冷却活性を示した。
【0058】
(比較例1)
実施例1に記載の方法と同様の方法で、同濃度(0.1g/L濃度)の食塩(NaCl)を添加した溶液の過冷却活性を測定した。しかし、Control溶液との差は見られず、NaClは極微量の添加で発現するような過冷却活性は持たないことが示唆される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の過冷却促進剤は、溶液に添加し、不凍性液体やガラス化液として使用することができる。この不凍性液体中に、植物や動物などの細胞や組織、食用の魚介類、野菜などの生物材料を入れて、冷却することで、0℃以下、特に0〜−10℃の温度範囲で凍結を起こさず、長期低温保存が可能となる。また、過冷却飲料としての応用も可能である。
例えば、魚や肉などの生鮮食品の保存、ジュースなどの食品原料の輸入などを凍結保存から過冷却保存へと変換することが可能で、エネルギーの削減が可能となる。
【0060】
また、臓器移植時の臓器保存液としての利用等、臓器保存への適用も可能である。コンピューター、車のエンジン冷却液など、石油系に代わる冷却剤としての応用も可能である。 また、冷凍庫などの着霜防止、車窓ガラスの曇り防止、トンネル結露防止などの目的で材料表面を塗装して結氷を防止することも可能である。さらに、植物への低温耐性の付与により氷点下で凍結しないで生長する植物の作出も可能となる。また雲への散布によって氷晶化を抑制し、降雪量を調整することも可能である。その他、凍結制御剤として凍結保存への応用が可能である。また。氷蓄熱、輸送システムによる電力利用の平準化にも寄与できる。









【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤からなる過冷却促進剤。
【請求項2】
界面活性剤が非イオン性界面活性剤である請求項1に記載の過冷却促進剤。
【請求項3】
界面活性剤がイオン性界面活性剤である請求項1に記載の過冷却促進剤。
【請求項4】
イオン性界面活性剤がカチオン性界面活性剤である請求項3に記載の過冷却促進剤。
【請求項5】
イオン性界面活性剤がアニオン性界面活性剤である請求項3に記載の過冷却促進剤。
【請求項6】
イオン性界面活性剤が両性界面活性剤である請求項3に記載の過冷却促進剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の過冷却促進剤を水に溶解させてなる不凍性液体。
【請求項8】
凍害防止剤を1種単独または2種以上組み合わせて含有する請求項7に記載の不凍性液体。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−32456(P2013−32456A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169821(P2011−169821)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(504173471)国立大学法人北海道大学 (971)
【出願人】(398053147)コスモ石油ルブリカンツ株式会社 (123)