過熱検知アダプタおよび過熱検知アダプタを有する酸素濃縮装置
【課題】患者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に火災や異常な過熱環境にさらされた場合に、確実に安全性を確保することができ、既存の酸素濃縮装置に対して後付けが可能な過熱検知アダプタおよび酸素濃縮装置を提供する。
【解決手段】濃縮酸素を供給するための酸素出口部15を有する酸素濃縮装置に装着される過熱検知アダプタ300であって、前記酸素出口部と接続する第1端部300Aと使用者まで前記濃縮酸素を届けるカニューラと接続する第2端部300Bを有する本体部と、前記第1端部と前記第2端部を連通させる酸素経路303と、前記カニューラの過熱により熱が伝わると前記酸素経路を閉塞して前記濃縮酸素の供給を遮断する酸素遮断部330とを有する。
【解決手段】濃縮酸素を供給するための酸素出口部15を有する酸素濃縮装置に装着される過熱検知アダプタ300であって、前記酸素出口部と接続する第1端部300Aと使用者まで前記濃縮酸素を届けるカニューラと接続する第2端部300Bを有する本体部と、前記第1端部と前記第2端部を連通させる酸素経路303と、前記カニューラの過熱により熱が伝わると前記酸素経路を閉塞して前記濃縮酸素の供給を遮断する酸素遮断部330とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中から酸素を分離生成する酸素濃縮装置に後付け可能な過熱検知アダプタおよび過熱検知アダプタを有する酸素濃縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
肺に疾病を抱える患者(使用者)が高濃度の酸素を吸引するために使用する酸素濃縮器は、種々提案されている。大気の一部を用いてコンプレッサにより圧縮空気を作り、この圧縮空気を吸着用の筒体内部に送り込み、該吸着筒体内の吸着剤に窒素を吸着させることにより生成した濃縮酸素を、カニューラを用いて患者に摂取させる比較的コンパクトな酸素濃縮装置は、特許文献1のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−137853号公報
【特許文献2】特開2009−183544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の酸素濃縮装置では、患者は鼻カニューラを、カプラを介して酸素濃縮装置の酸素出口部に対して接続して、酸素出口部から出る濃縮酸素を吸入する。しかし、患者が鼻カニューラを用いて濃縮酸素を吸入している際に、酸素が助燃性ガスであるために、酸素濃縮装置の近くで喫煙する行為や火気を使用する行為は厳禁である。にもかかわらず、例えば患者が喫煙することにより、鼻カニューラ等のチューブに直接引火して事故が発生する恐れがあり、場合によっては酸素濃縮装置自体に引火して火災が拡大してしまう懸念がある。
特許文献2の酸素濃縮装置は、カニューラの途中に温度感知センサを配置して、その検出信号により酸素の供給を止めるというだけの構成であるが、該文献に記載の摂氏50度付近で酸素供給を停止するというきわめて単純な仕組みでは、例えば酸素濃縮装置を使用している室内に暖房機があり、その輻射熱が当たっただけで酸素供給を遮断したり、夏季の密室等において酸素濃縮装置が置かれた環境温度が上昇すると、それだけで装置が動作しない恐れがあり、使い勝手に乏しく、実現性が低い。
【0005】
そこで、本発明は、患者が鼻カニューラ等のカニューラを用いて酸素を吸入している際に火災や異常な過熱環境にさらされた場合に、確実に過熱環境を検知して安全性を確保することができるだけではなく、既存の火災予防対策の施されていない酸素濃縮装置に対して後付けすることも可能な過熱検知アダプタおよび過熱検知アダプタを有する酸素濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の過熱検知アダプタは、濃縮酸素を供給するための酸素出口部を有する酸素濃縮装置に装着される過熱検知アダプタであって、前記酸素出口部と接続する第1端部と使用者まで前記濃縮酸素を届けるカニューラと接続する第2端部を有する本体部と、前記第1端部と前記第2端部を連通させる酸素経路と、前記カニューラの過熱により熱が伝わると前記酸素経路を閉塞して前記濃縮酸素の供給を遮断する酸素遮断部とを有することを特徴とする。
上記構成によれば、アダプタの本体内にある酸素経路に過熱を検出すると該酸素経路を閉じる酸素遮断部を設けたので、以上な加熱環境や火災の発生を未然に防止できる。しかもこれらの仕組みはアダプタ内に組み込まれているので、既成の製品に組み込むことも容易である。
【0007】
好ましくは、前記カニューラの過熱を検知する過熱検知部を有し、前記酸素出口部と前記第1端部とは、第1接続体により接続され、前記第2端部と前記カニューラとは、第2接続体を介して接続され、前記過熱検知部は前記第1端部に配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、酸素出口部と本体部内の酸素経路の第1端部は、第1接続体により簡単に接続でき、本体部内の酸素経路の第2端部とカニューラは、第2接続体により簡単に接続できるので、過熱検知アダプタが、酸素濃縮装置の既設の酸素出口部に対して簡単に後付けをすることができる。
好ましくは、前記酸素経路がチューブであり、該チューブは弾性変形可能なチューブであって、前記酸素遮断部は、前記カニューラの過熱により温度上昇して前記チューブの前記酸素流路を閉塞させる感温体であることを特徴とする。
上記構成によれば、感温体が、機械的にチューブに押し付けるだけで、チューブの酸素流路を閉塞して酸素の供給を確実に遮断できる。
【0008】
好ましくは、前記酸素経路がチューブであり、該チューブは弾性変形可能なチューブであり、前記酸素遮断部は、の前記酸素流路を開く方向に保持し前記カニューラの過熱により温度上昇することで溶断する溶断部材と、前記溶断部材が溶断すると前記チューブの前記酸素流路を閉塞させる付勢部材とを有することを特徴とする。
上記構成によれば、付勢部材が、機械的にチューブに押し付けるだけで、チューブの酸素流路を閉塞して酸素の供給を確実に遮断できる。
好ましくは、前記酸素経路としてのチューブは、前記カニューラの過熱により温度上昇することで形状が変形して前記酸素流路を閉塞させる形状記憶チューブであることを特徴とする。
上記構成によれば、チューブ自体が、機械的に酸素流路を閉塞して酸素の供給を確実に遮断できる。
【0009】
好ましくは、前記第1接続体と前記第2接続体は同形状を有していることを特徴とする。
上記構成によれば、第1接続体と第2接続体は同形状のものを採用できるので、酸素濃縮装置の第1接続体からカニューラを取り外した後に、第1接続体には本体部内のチューブの第1端部を接続し、第2接続体にはカニューラを接続すれば、過熱検知アダプタは簡単に後付けすることができるとともに、第1接続体と第2接続体は同形状のものを採用できるのでコストダウンを図ることができる。
【0010】
好ましくは、前記本体部内には、前記過熱検知部により検知された温度が予め定めた温度以上に達すると前記濃縮酸素の供給を遮断したことを報知する報知部が配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、患者は、濃縮酸素の供給が遮断されたことを確実に認知することができる。
好ましくは、前記報知部は、音で報知するブザーまたは光で報知するランプの少なくとも一方であることを特徴とする。
上記構成によれば、患者は、濃縮酸素の供給が遮断されたことを、音または光の少なくとも一方により確実に認知することができる。
好ましくは、前記本体部を前記酸素濃縮装置に対して固定するための取り付け部材を有することを特徴とする。
上記構成によれば、過熱検知アダプタは酸素濃縮装置に対して確実に固定できる。
【0011】
好ましくは、酸素濃縮装置は、前記過熱検知アダプタを備えることを特徴とする。
上記構成によれば、患者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に火災や異常な過熱環境にさらされた場合に、過熱検知アダプタは、確実に過熱環境を検知して安全性を確保することができ、既存の酸素濃縮装置に対して後付けが可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、患者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に火災や異常な過熱環境にさらされた場合に、確実に安全性を確保することができ、既存の酸素濃縮装置に対して後付けが可能な過熱検知アダプタおよび過熱検知アダプタを有する酸素濃縮装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態にかかる酸素濃縮装置の外観斜視図である。
【図2】酸素濃縮装置の操作パネルの概略平面図である。
【図3】酸素濃縮装置の内部構成を示すために背面側から見た立体分解図である。
【図4】酸素濃縮装置の系統図である。
【図5】酸素濃縮装置と、過熱検知アダプタと、カニューラの接続端部を示す図である。
【図6】酸素濃縮装置の酸素出口の付近と、過熱検知アダプタと、カニューラの接続端部の構造例を示す斜視図である。
【図7】酸素濃縮装置の酸素出口の付近と、過熱検知アダプタと、カニューラの接続端部の構造例を示す断面図である。
【図8】酸素遮断部の構造例を示す図である。
【図9】酸素遮断部の別の構造例を示す図である。
【図10】酸素遮断部の別の構造例を示す図である。
【図11】本発明の別の実施形態を示している一部を省略した側面図である。
【図12】本発明の別の実施形態を示す断面図である。
【図13】本発明の別の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1は、本発明の実施形態にかかる酸素濃縮装置の外観斜視図、図2は、酸素濃縮装置の操作パネルの概略平面図である。
図1と図2では、酸素濃縮装置10は、後付けの過熱検知アダプタ300を有する酸素濃縮装置であり、例えば上端に取手となるハンドル12を設けた縦長の本体ケース11を備えている。本体ケース11を除く酸素濃縮装置10の内部構造は、後述する図3に示されている。
【0015】
本体ケース11の上端付近には操作パネル13がやや前傾して設けられている。この操作パネル13には、左から順に、ダイヤル式の電源スイッチ14と、酸素出口部15と、酸素流量設定スイッチ16と、例えば、LED(発光ダイオード)または液晶表示等にて、セグメント数字で表示を行う酸素流量表示部18が配置されている。
図1では、第1接続体としての例えば、第1カプラソケット400が酸素出口部15の上方位置に離して図示されている。この第1カプラソケット400は、酸素出口部15に形成された段差部に対して装着されることで酸素出口部15に対して気密状態でしかも着脱自在に接続できる。後で詳しく説明するが、過熱検知アダプタ300の本体部301の第1端部301Aが、この第1カプラソケット400に対して、着脱自在に接続できるようになっている。過熱検知アダプタ300の本体部301の第2端部301Bには、第2接続体としての例えば、第2カプラソケット500が取り付けられており、第2カプラソケット500は、酸素吸入用のカニューラ22に対して、着脱自在に接続できる。
【0016】
図1に示す本体ケース11の底蓋26には、4つのゴム足27が四隅に固定されており、床面上に設置して使用するときに横滑りを防止している。2本の固定ネジを穴10aにそれぞれ通してねじ込むことで、外出時等の移動時に使用するキャリア25が、底蓋26に対して固定できる。このキャリア25には、上記の各ゴム足27を収容できる孔部10bが対応位置に穿設されるとともに、四隅に樹脂製の自在キャスタが配置されている。
【0017】
図2は、上述した操作パネル13を拡大して示している。電源スイッチ14は図示のオフ位置と約90度分時計周りに回転したオン位置との間で操作される。この電源スイッチ14のオン位置に相当する位置には緑と赤に点灯する例えば発光ダイオード等を内蔵した運転状態ランプが設けられている。また、この運転状態ランプ14Bの上にはバッテリ残量モニタ14Cが設けられている。
【0018】
中央の酸素出口部15の上には、「点検」の文字またはこれに相当するキャラクター表示等を横に印刷した警報表示部15Cが配置され、この警報表示部15Bの下方には緑と赤と黄色とに点灯する例えば発光ダイオードを内蔵した酸素ランプ15Cが設けられている。
酸素流量設定スイッチ16は、上下矢印を印刷したフラットスイッチ16a,16bとして設けられている。この酸素流量設定スイッチ16は、90%程度以上に濃縮された酸素を、最小で毎分当たり0.25L(リットル)から最大で5Lまでの間、0.25L段階または0.01L段階で押圧操作する度に酸素流量が設定できるように構成されており、上方の酸素流量表示部18によりその時の流量設定を表示することにより、酸素生成能力を変えることが可能である。同調ランプ19は、濃縮酸素を呼吸同調により断続供給状態で運転中であることを、点灯または点滅表示により患者に知らせるために設けられている。
【0019】
図3は、酸素濃縮装置10の内部構成を示すために背面側から見た立体分解図である。
図3の下方の位置には、上記のゴム足27を四隅に固定した樹脂製の底蓋26が、配置され、この底蓋26は図1では二点鎖線で示している。底蓋26は、樹脂製のベース体40の底面に対して複数の固定ネジを用いて固定されている。このベース体40は、四面から下方に向けて連続形成された壁面を一体成形した箱状に成形されており、裏面の壁面上には、各コネクタ131、130が固定されている。このベース体40の上には二段式防音室34が配置されるようになっている。
図3に示すように、排気口40c、40cが、図1のケース本体11に設けた図示しない裏面カバーの各排気口に対向するとともに内部の電源室に連通するように穿設されており、これらの排気口40cを介して最終的な外部排気が行われる。このベース体40の上面は、図示のように平らに形成されるとともに、二段式防音室34の左右面と裏面の三方側から固定ネジで固定するための孔部を穿設した起立部40fを3方から一体成形している。また、ベース体40の上面には、上記の電源室に連通した排気用開口部40bをさらに穿設している。
【0020】
図3に示す二段式防音室34は、図面の手前側の側方から出し入れ可能な上段部材36上に2個の送風ファン104を固定し、同じく側方から出し入れ可能な下段部材37上に設けた圧縮空気発生部としてのコンプレッサ105を防振状態で配設した密閉箱35であり、軽量金属板から構成されている。
この二段式防音室34は、図3において手前側に示した防音室蓋39と奥側に示した防音室蓋38を、複数の固定ネジで固定するようにしている。このために、二段式防音室34は、図示のように曲げ加工されるとともにインサートナットを植設した取付部が一体的に設けられている。この二段式防音室34の内部には防音材51が敷設される。また二段式防音室34の外周面には制振部材であって、合成ゴムと特殊樹脂材料を混合した素材をシート状のものが敷設されており、アルミの薄板製である二段式防音室34自体が共鳴等で振動しないように防止している。
【0021】
図3に示すように、二段式防音室34の上段部材36の上方の左右の側壁面には、第1開口部35aが穿設されており、外気を内部に導入するように構成されている。この上段部材36には、図4で説明する配管24をラバーブッシュにより固定するための複数の固定孔36hが穿設されており、配管24を支持するとともに振動防振機能をラバーブッシュと協働して行う。
図3の各送風ファン104は、例えば、インバータ制御のシロッコファンを用いることができる。各送風ファン104は、それぞれの送風口が下方に向くようにしてブラケットを用いて上段部材36に固定されている。この各送風ファン104の間には、図4に示す三方向切換弁109a,109b等が配置されている。図3に示すように、各送風ファン104には、ファン回転検出部126が設けられている。ファン回転検出部126は、例えばインタラプタ型フォトセンサ等の回転検出計等を利用することができる。
【0022】
図3に示す二段式防音室34の左側の側壁面には、筒状の吸着筒体108a、108bが、吸気用バッファタンク101と並べて配置されており、側壁面に固定された固定具49kにバンド49を通過後にバンド49を締め上げることで図示のように固定されている。吸着筒体108a、108bはベース体40の上面に載るが、全長の長いバッファタンク101の一部は開口部40d中に挿入されて固定される。
図3に示す製品タンク111は、ブロー成形されるポリプロピレン樹脂製であって図示のように長手方向に横たえて上方に配置される。遮蔽板32も軽量化のために樹脂製であり、図示のようにスピーカ23と外部コネクタ133を設けており、二段式防音室34の上方の外壁面に対して固定ネジを用いて固定される補強を兼ねた取り付け部を一体成形している。
【0023】
二段式防音室34の上方の壁面には、放熱部材52、53が固定ネジで固定されるとともに、各制御基板200C(後述するCPU200を含む基板)と、制御基板201(モータ制御部を含む基板)とその他の要素が、起立状態で固定されている。放熱部材52,53は、制御基板200C,201の放熱効果を高めている。遮蔽板32は上記のように一部が外部に出るので黒色顔料を用いて黒色に着色されている。二段式防音室34の右側の側壁面には、酸素センサ114と比例開度弁115と圧力調整器112と流量センサ116とデマンド弁117と、回路基板202と温度センサ125が固定されている。
【0024】
図4は、酸素濃縮装置10の系統図(配管図)である。
図4では、二重線は空気、酸素、窒素ガスの流路であり、概ね配管24、24a〜24gで示されている。また、細い実線は電源供給または電気信号の電気配線を示している。
以下の説明では、コンプレッサ105として圧縮手段(圧縮空気発生部)と減圧手段(負圧発生部)を一体化構成したものを用いる場合について述べる。しかしながら、この構成に限定されず、圧縮空気発生部と負圧発生部を個別に構成しても良いことは言うまでもない。加えて、負圧発生部が無くても良い。また、吸気口を介して外気を内部に導入し、排気口を介して外部に排出する表面カバーと裏面カバー(本体ケース11の一部)は、密閉容器として図4において破線で図示されている。
【0025】
次に、図4を参照して導入空気の流れに沿って順次述べる。
図4において、空気(外気)が、フィルタ交換用蓋体に内蔵された外気導入用フィルタ20を通過して、酸素濃縮装置10内部に矢印F方向に導入される。この空気は、一対の送風ファン104、104による送風により、破線で示す二段式防音室34内に入る。図3を参照して説明したように、二段式防音室34では、空気が、二段式防音室34(破線図示の)側面に穿設された開口部35aを介して、二段式防音室34内に入る。二段式防音室34では、上段部材上に送風ファン104、104を配設し、下段部材にコンプレッサ105を防振状態で配設している。
この空気の一部を、コンプレッサ105の圧縮手段105aに対して原料空気として供給するために、配管24aの開口部が二段式防音室34内に開口して設けられており、配管24aの途中に二次濾過を行う吸気フィルタ101と大容量の吸気マフラ102とが設けられている。このように構成することで、原料空気の吸気音が二段式防音室34内に留まるようにして吸気音を低減している。
【0026】
図4に示す二段式防音室34は、軽量化のために厚さ約0.5mm〜2.0mmの強化軽合金、アルミ合金、チタン合金板または他の好適な材料から構成される。このように薄板から構成するとネジ孔部の強度が確保されない。そこで、ネジ孔部としてインサートナットを適所に固定している。この二段式防音室34の内部には、原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサ105の圧縮手段105aと減圧手段105bとを好ましくは一体構成したコンプレッサ105が、防振状態で固定されている。このコンプレッサ105に近接して、温度的環境がほぼ同一の箇所に温度センサ125が配置されている。
【0027】
次に、濾過された原料空気は、コンプレッサ105の圧縮手段105aで加圧されて圧縮空気となるが、この時に圧縮空気は温度上昇した状態で配管24cに送り出されるので、この配管24cを放熱効果に優れた軽量の金属パイプとし、送風ファン104からの送風で冷却すると良い。このように圧縮空気を冷却することで高温では機能低下する吸着剤であるゼオライトが窒素の吸着により酸素を生成するための吸着剤として、十分に酸素を90%程度以上に濃縮できることとなる。
【0028】
圧縮空気は、配管24cを介して吸着部としての第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bに対して交互に供給される。このため切換弁(三方向切換弁)109a、109bが図示のように接続されている。これらの切換弁109a、109bと、さらに第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの不要ガスを脱離させるため(パージ(浄化)を行うため)に、減圧手段105bに連通する配管24fには、負圧破壊第1弁120と負圧破壊第2弁(圧調整弁)121が直列に複数(少なくとも2つ)配置されている。これらの負圧破壊第1弁120と負圧破壊第2弁(圧調整弁)121を開くことで、配管24f内の圧力を均圧工程時には大気圧付近まで、所定流量以下では圧力コントロールすることでコンプレッサの振動抑制と低電量化を図っている。
【0029】
図4に示す第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内に夫々貯蔵されている触媒吸着剤の一例としては、ゼオライトが用いられている。
第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの上方の出口側には、逆止弁と、絞り弁と開閉弁とからなる均等圧弁107が分岐接続されている。また、均等圧弁107の下流側は合流するように配管24dが成されており、分離生成された90%程度以上の濃度の酸素を貯蔵するための容器となる製品タンク111が配管されている。また、各吸着筒体内の圧力を検出する圧力センサ208が配管されている。
【0030】
図4の製品タンク111の下流側には、出口側の酸素の圧力を一定に自動調整する圧力調整器112が配管されている。この圧力調整器112の下流側には、ジルコニア式あるいは超音波式の酸素(濃度)センサ114が接続されており、酸素濃度の検出を間欠(10〜30分毎)または連続で行うようにしている。
酸素(濃度)センサ114の下流側には、酸素流量設定スイッチ16に連動して開閉する比例開度弁115が接続されており、その下流側には酸素流量センサ116が接続されている。このセンサ116の下流には、呼吸同調制御のための負圧回路基板を介してデマンド弁117が接続されており、滅菌フィルタ119を経て、酸素濃縮装置10の酸素出口部15に対して接続されている。以上の構成により、患者は、酸素出口部15と、後付けの過熱検知アダプタ300と、カニューラ22を経て、最大流量5L/分で約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能になる。
【0031】
次に、図4に示す電源系統は、AC(商用交流)電源のコネクタ130と、装置本体に内蔵される内蔵バッテリ228と、コネクタ131を介して着脱自在可能に設けられる外部バッテリ227と電源制御回路226から構成されている。コネクタ130は、所定直流電圧に整流するスイッチングレギュレータ式のACアダプタ19に接続される。
内蔵バッテリ228および外部バッテリ227は繰り返し充電可能な2次電池であり、内蔵バッテリ228は電源制御回路226からの電力供給を受けて充電される。なお、少なくとも内蔵バッテリ228は、少なくとも500回(数100回程度)程度の繰り返し充放電が可能で、バッテリ残量、使用充放電サイクル数、劣化程度、出力電圧等のマネジメント機能を有するものが使用され、バッテリ残量、残充電容量、充放電回数を外部の携帯端末などで確認可能なマネジメント機能を有するものが好ましい。
【0032】
図4の外部バッテリ227については、コネクタ131を介する接続状態において、電源制御回路226からの電力供給を受けて充電することもできるが、通常は別途準備されるバッテリチャージャーを用いて繰り返し充電される。または、専用設計されたバッテリチャージャーを一体化した外部バッテリ227として準備しても良い。
以上の電源系統の構成において、酸素濃縮装置はACアダプタ19からの電力供給を受けて作動する第1電力供給状態と、内蔵バッテリ228からの電力供給を受けて作動する第2電力供給状態と、外部バッテリからの電力供給を受けて作動する第3電力供給状態との3系統の電力供給状態の内の一つに自動切換えされて使用される。
【0033】
この電源自動切換えのための優先順位は、上記の第1電力供給状態、第3電力供給状態、第2電力供給状態の順序で自動決定するように中央制御部200により電源制御回路226が制御される。また、電源制御回路226と、内蔵バッテリ228については、酸素濃縮装置10の低重心化を図るために後述するように底面に配設される。外部バッテリ227は、キャリア25の収容部に内蔵されることにより外出時等で使用可能になる。この外部バッテリ227には、上記の充電残量表示部他が設けられているので残り使用時間を音声ガイドとともに知ることができる。
【0034】
図4のACアダプタ19は、周波数の違いの影響および電圧の変動を受けずに所定直流電圧を発生することが可能であり、かつまた小型軽量に構成できるスイッチングレギュレータ式が良いが、通常のトランス式でも良い。また、内蔵バッテリ228および外部バッテリ227は充電時のメモリ効果が少なく再充電時にも満杯充電できるリチウムイオン、リチウム水素イオン2次電池が良いが、従来からのニッケルカドミウム電池でも良い。さらに、緊急時に備えて、どこでも入手可能な単2乾電池のボックスとして外部バッテリを構成しても良い。
【0035】
酸素濃縮装置10の中央制御部200は、生成する酸素量に応じた、最適な動作モードに切り替える機能を備えており、自動的にコンプレッサ105、送風ファン104を、多くの酸素生成をする場合は高速に、少ない酸素生成時において低速に回転駆動する制御を行うことで特に、内蔵バッテリ228を温存させるようにしている。この結果、外部バッテリ227を充電し忘れた場合であっても突然の外出時や停電時等の対応が可能になるように配慮されている。
【0036】
図4の中央制御部200には、コンプレッサ105の回転体である直流モータおよび送風ファン104のモータの駆動制御を夫々行うモータ制御部201および上記のスピーカ23Sに接続されることで音声内容を発生する音声制御部203、酸素流量表示部18が接続されている。
この中央制御部200には、所定動作プログラムを記憶したROM(読み出し専用メモリ)が内蔵されるとともに、記憶装置210と不揮発メモリ205と一時記憶装置206とリアルタイムクロック207とがさらに接続されており、外部コネクタ133を介して通信回線などと接続することで記憶内容へのアクセスが可能となるように構成されている。
【0037】
上記の三方向切換弁109a、109bと均等圧弁107と、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の不要ガスを脱離させるための負圧発生部105bと配管24f内の圧力を制御するための負圧破壊第1弁120と負圧破壊第2弁121と酸素濃度センサ114と比例開度弁115と、流量センサ116とデマンド弁117を駆動制御する弁及び流量制御部202が、中央制御部200に電気的に接続されている。ただし、図4の図示の簡単化のために配線の図示は省略している。
ところで、総重量が約1kgのコンプレッサ105は、モータ制御部201に内蔵される可変速度制御器であって正弦波駆動波形によりモータの駆動制御が行われることで運転音を低くしている。このコンプレッサ105は、各速度で運転可能であって、必要な真空(負圧)/正圧の圧力レベルと流量を発生でき、僅かな騒音と振動しか出さず、僅かな熱しか発生せず、小型軽量であって僅かな電力消費で運転できることが好ましい。
【0038】
可変速度制御手段である可変速度制御器をモータ制御部201に備えることにより、患者の活動レベル、環境条件に基づいてコンプレッサ105の速度を自在に変化させることができる。この結果、患者が座ったり寝たりしている等、患者の酸素要求が比較的低いことがデマンド弁117によって呼吸同調により判断されると、コンプレッサ105の駆動回転速度を自動的に落とすことができる。また、患者が立ったり、活動的であったり、酸素濃度の低い高地にいるときなど、患者の酸素要求が比較的高く、酸素要求量が高まったと判断されると速度を自動的に高めることができる。
以上のモータ制御によって酸素濃縮装置10全体の消費電力が低減され、充電式バッテリでの駆動時の寿命を延ばすことが可能になるとともに、充電式バッテリの重量と大きさを軽減し、コンプレッサ105の摩耗度を低めて寿命を延ばすことで信頼性を向上できる。
【0039】
このコンプレッサ105は、上記のように圧縮空気発生と負圧発生の両方の機能を備えるものであり、取り出される酸素流量に応じて回転数が自動制御される。具体的には、回転速度が500rpmから3000rpmの間で制御され、通常の速度である1700rpm程度で回転するときの操作寿命を15000時間と長くできるようにしている。また、このコンプレッサ105は、空気を100kPa、好ましくは75kPa程度に圧縮する性能を備えている。また、上記の操作寿命が経過すると音声ガイドにて知らせる機能を備えている。
ここで、冷却ファンである送風ファン104を駆動するファンモータは、DCブラシレスファンが用いられており、PWM制御又は電圧制御により回転数制御を容易に行うことができるようにされている。
【0040】
次に、図5〜図7を参照して、図1と図4に示す過熱検知アダプタ300の構成例を説明する。
図5は、酸素濃縮装置10と、過熱検知アダプタ300と、カニューラの接続端部23Tを示し、図6は、酸素濃縮装置10の酸素出口部15の付近と、過熱検知アダプタ300と、カニューラの接続端部23Tの構造例を示す斜視図である。図7は、酸素濃縮装置10の酸素出口部15の付近と、過熱検知アダプタ300と、カニューラの接続端部23Tの構造例を示す断面図である。
【0041】
図5と図6に示すように、酸素濃縮装置10の酸素出口部15は、出口凹部15Wを有しており、この出口凹部15Wの底部15Bは、図7に示すように水平線HLに対して所定角度θだけ傾けて形成されている。これにより、酸素出口部15が患者に対面して見やすくしているので、過熱検知アダプタ300の脱着操作が容易に行える。過熱検知アダプタ300は、過熱検知ユニットとも呼ぶことができ、酸素濃縮装置10の酸素出口部15とカニューラの接続端部23Tとの間に、後付けで簡単にしかも確実に装着することができる構造を有している。カニューラ22
【0042】
図7に示すように、酸素出口部15は、出口凹部15W内において、底部15Bに対して垂直に立てて固定されている。図6と図7に示すように、酸素出口部15は、連結部材420を介して配管24に接続されている。酸素出口部15は、リング状のフランジ部15Fと円筒部15G、15Hを有している。円筒部15Gは段差状の部分であり、フランジ部15Fは、円筒部15Gと円筒部15Hの間に形成されている。この酸素出口部15は、熱伝導率の高いさびにくい金属材料、例えば銅合金やアルミニウム合金等により作られている。
図7に示す第1カプラソケット400は、酸素出口部15へワンタッチで装着して接続することができる。すなわち、図6に示すように第1カプラソケット400は押圧ボタン400Nと先端部400Sを有している。図6に示すように、患者がこの押圧ボタン400Nを矢印方向に押しながら、第1カプラソケット400を上方向に引くことで、第1カプラソケット400は酸素出口部15からワンタッチで外すことができる。また、患者が第1カプラソケット400を逆方向に押すことで、第1カプラソケット400は酸素出口部15へワンタッチで装着して接続することができる。
【0043】
次に、図5から図7を参照して、過熱検知アダプタ300の構造例を説明する。
図5から図7に示すように、過熱検知アダプタ300は、第1カプラソケット400と、カニューラの接続端部23Tとの間に、後付けにより簡単に着脱自在に連結して配置することができる構造を有している。
図6と図7に示すように、この過熱検知アダプタ300は、本体部301の第2カプラソケット500と接続されている。
【0044】
図6と図7に示すように、第1カプラソケット400と第2カプラソケット500は、望ましくは同形状のものを採用している。これにより、図7に示す酸素濃縮装置10側の第1カプラソケット400に対してカニューラ22が直接接続されているこれまでの使用状態から、患者が第1カプラソケット400からカニューラ22を取り外した後に、第1カプラソケット400の先端部400Sには本体部301の酸素経路としての、例えば、チューブ303の第1端部303Aを接続し、しかも本体部301の第2カプラソケット500にはカニューラ22を接続すれば、過熱検知アダプタ300は簡単に後付けすることができる。第1カプラソケット400と第2カプラソケット500は同形状のものを採用できるので,別の形状を有する2つのカプラソケットを用いるのに比べてコストダウンを図ることができる。
第1カプラソケット400と第2カプラソケット500は、好ましくは屈曲可能な難燃性樹脂、例えば米国のUL−94規格のV−0ランク品、または酸素指数が26以上の性能を有する難燃性樹脂を使用している。この第1カプラソケット400と第2カプラソケット500は、自己消火性を有する難燃性樹脂により形成されているが、自己消火性を有する難燃性樹脂とは、耐燃性を有する樹脂であり、接炎するときに過熱するが、火炎が伝搬せずに火炎を取り去った後、一定時間内に自己消火する性質をいう。
【0045】
図7に示す第2カプラソケット500は、接続部材530へワンタッチで装着して接続することができる。すなわち、図6に示すように第2カプラソケット500は押圧ボタン500Nと先端部500Sを有している。図6に示すように、患者がこの押圧ボタン500Nを矢印方向に押しながら、第2カプラソケット500を上方向に引くことで、第2カプラソケット500は接続部材530からワンタッチで外すことができる。また、患者が第2カプラソケット500を逆方向に押すことで、第2カプラソケット500は接続部材530へワンタッチで装着して接続することができる。
【0046】
図6と図7に示すように、接続部材530は連結部材520に接続されている。接続部材530は、リング状のフランジ部530Fと円筒部530G、530Hを有している。円筒部530Gは段差状の部分であり、フランジ部530Fは、円筒部530Gと円筒部530Hの間に形成されている。接続部材530は、熱伝導率の高いさびにくい金属材料、例えば銅合金やアルミニウム合金等により作られている。図7に示すように、第1カプラソケット400の先端部400Sは、チューブ303の第1端部303Aに対して圧入により接続されている。しかも連結部材520は、チューブ303の第2端部303Bに対して圧入により接続されている。例えば、酸素出口部15と接続部材530は、同じものを使用することが好ましい。連結部材420と連結部材520は、同じものを使用することが望ましい。これにより、コストダウンを図ることができる。
図5と図7に示す過熱検知アダプタ300の本体部301は、例えば難燃性樹脂あるいは金属により作られている。本体部301は例えば円筒状の部材であり、本体部301の内部には、断面円形の貫通路302が形成されている。この貫通路302内には、チューブ303が配置されており、このチューブ303は、カニューラ22と同様に柔軟性を有する、例えば塩化ビニル、ポリエチレン、シリコーンゴムにより作られている。通常の大気酸素濃度では燃えない、自己消火性の塩化ビニルが好ましい。もちろん難燃性のフッ素樹脂でもよい。
【0047】
図5と図7に示すように、本体部301は、制御部310と、バッテリ311と、火炎検知部の一例である温度センサ320と、警報ランプ325、警報ブザー327と、酸素遮断部330を有している。バッテリ311は、制御部310に電源供給するために配置され、例えばボタン電池のような小さな電池を採用している。制御部310は、警報ランプ325、警報ブザー327のそれぞれの動作を制御する。温度センサ320は、好ましくは接続部材530のフランジ部530Fに内蔵されている。温度センサ320が温度を検出した時の温度信号TSは、制御部310に送られる。
【0048】
このように、接続部材530は、熱伝導率の高いさびにくい金属材料、例えば銅合金やアルミニウム合金等により作られていることで、接続部材530は、カニューラ22と第2カプラソケット500からの熱を、素早く温度センサ320に伝導できるので、温度センサ320による温度検知速度を早くすることができる。
患者が図1に示すカニューラ22を用いて濃縮酸素を吸入している際に、火災や異常な高温環境にさらされた時に、カニューラ22が直接過熱して高温状態になるおそれがある。そこで、カニューラ22に直接過熱してしまった場合に、患者の安全性を確保するために、濃縮酸素の供給を遮断する必要がある。すなわち、患者が例えば喫煙していて、たばこの火が図7に示すカニューラ22に万一引火した場合には、火炎はカニューラ22を経て図7の第2カプラソケット500に向かって進み、そして第2カプラソケット500に炎達して、第2カプラソケット500が引火して空気中の酸素により燃焼または過熱する。このように、第2カプラソケット500が燃焼または過熱すると、熱がカプラソケット500から接続部材530に直接伝わって接続部材530と連結部材520が温度上昇する。そこで、接続部材530と連結部材520が温度上昇することで、酸素遮断部330が過熱されると、酸素遮断部330は、本体部301内のチューブ303の途中を機械的に閉塞することで、濃縮された酸素の供給を遮断することができるようになっている。
この酸素の供給の遮断とともに、制御部310は、温度センサ320からの温度信号TSにより温度が一定温度以上、例えば40℃以上になったと判断し、例えば予め定めた単位時間当たりの温度の上昇値である温度上昇率1℃/1秒(1秒間で1℃上昇)以上となる現象が、予め定めた継続時間以上、例えば3秒間以上継続すると、報知部である警報ランプ325を点灯させ、警報ブザー327により警報音を発生することができるようになっている。
【0049】
ここで、図7から図10を参照して、酸素遮断部330の構造例を説明する。
図8は、酸素遮断部330の構造例を示している。
図7と図8に示す酸素遮断部330は、熱を受けると変形をする感温体、例えば熱膨張率が異なる2種の金属片を重ねて接着した金属接合板としての感温体331,332により構成されている。感温体331,332は、熱膨張率の異なる2種類以上の金属を一体化して接着することにより、温度上昇に伴って熱膨張の大きい金属が大きく伸びて熱膨張の小さい方へ曲がっていく性質を持っている金属接合版である。
この感温体331,332は、温度変化により変形するバイメタル金属であり、チューブ303の外周面に対して貼り付けて固定されており、これらの感温体331,332は対向する位置に配置されている。
【0050】
患者が例えば喫煙していて、たばこの火が図7に示すカニューラ22に万一引火した場合には、火炎はカニューラ22を経て図7の第2カプラソケット500に向かって進み、そして第2カプラソケット500に炎達して、第2カプラソケット500が引火して空気中の酸素により燃焼または過熱する。このように、第2カプラソケット500が燃焼または過熱すると、熱が第2カプラソケット500から接続部材530に直接伝わって接続部材530と連結部材520が温度上昇する。これらの感温体331,332の温度が、接続部材530と連結部材520における温度変化によって、例えば40℃以上に上昇すると感温体331,332は変形して、図8(A)に示すチューブ303が濃縮酸素を通す状態から、図8(B)に示すチューブ303の酸素流路330を機械的に弾性変形させて閉塞して濃縮酸素を遮断する状態に変化させることができるようになっている。
【0051】
図1に示すように、患者が、酸素濃縮装置10に対して上述した過熱検知アダプタ300を、後付けする際には、次のようにして行う。
図7と図8に示すように、第1カプラソケット400は予め酸素濃縮装置10の酸素出口部15に対して着脱自在に装着されている。一方、本体部301の第2端部372側のチューブ303の第2端部303Bには、連結部材520の先端部が圧入されている。接続部材530は、連結部材520に連結され、第2カプラソケット500は接続部材530に接続されている。
【0052】
患者は、第1カプラソケット400の先端部400Sを、第1端部371側のチューブ303の第1端部303Aに圧入することで、第1カプラソケット400の先端部400Sはチューブ303内に挿入された状態で確実に接続できる。そして、患者は、第2カプラソケット500の先端部500Sを、カニューラの接続端部23Tを圧入することで、確実に接続できる。すなわち、酸素出口部15と本体部301内のチューブ303の第1端部303Aとは、第1カプラソケット400により接続され、本体部301内のチューブ303の第2端部303Bとカニューラ22とは、接続部材530とこの接続部材530に連結された第2カプラソケット500とにより接続されている。過熱検知部としての温度センサ320は、接続部材530内に配置されている。
これにより、酸素出口部15から過熱検知アダプタ300を通じてカニューラ22へ濃縮酸素を供給することができる。この場合に、酸素は、例えば最大流量5L/分の流量で送ることができ、患者はカニューラを用いて約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能である。
【0053】
ところで、患者が図1に示すカニューラ22を用いて濃縮酸素を吸入している際に、火災や異常な高温環境にさらされた時に、カニューラ22が直接過熱して高温状態になるおそれがある。そこで、カニューラ22に直接過熱してしまった場合に、患者の安全性を確保するために、濃縮酸素の供給を遮断する動作について説明する。
患者が例えば喫煙していて、たばこの火が図7に示すカニューラ22に万一引火した場合には、火炎はカニューラ22を経て図7の第2カプラソケット500に向かって進み、そして第2カプラソケット500に炎達して、第2カプラソケット500が引火して空気中の酸素により燃焼または過熱する。このように、第2カプラソケット500が燃焼または過熱すると、熱がカプラソケット500から接続部材530に直接伝わって接続部材530と連結部材520が温度上昇する。
【0054】
これらの感温体331,332は、接続部材530は連結部材520における温度変化によって、例えば40℃以上に上昇すると変形作動する。従って、感温体331,332は、チューブ303を機械的に押し潰して、図8(A)に示すチューブ303が濃縮酸素を通す状態から、図8(B)に示すチューブ303を矢印方向に機械的に弾性変形させて酸素流路330を閉塞して濃縮酸素を遮断する状態に変化させる。これにより、患者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に火災や異常な過熱環境にさらされた場合に、過熱検知アダプタは、確実に過熱環境を検知して安全性を確保することができ、既存の酸素濃縮装置に対して後付けが可能である。
【0055】
このように、カニューラ22が直接過熱して火炎がカプラソケット500に炎達して接続部材530の温度が上昇した場合であっても、安全性を確保するために、酸素遮断部330は、酸素出口部15からカニューラ22側への濃縮酸素の供給を遮断することができる。
なお、濃縮酸素の供給が遮断すると、酸素濃縮装置10では、カニューラ22が折れたことを示すアラームが作動するが、酸素濃縮装置10では、酸素の供給動作は継続される。酸素の供給動作が継続しても過熱検知アダプタ300の酸素遮断部330によりカニューラ22への濃縮酸素の供給は遮断されているが、この供給が停止された濃縮酸素は図3に示す本体ケース11の排気用開口部40bから窒素とともに排出される。この場合の酸素の濃度は、室内の空気の酸素濃度とほぼ同等である。
【0056】
しかも、図5と図7に示す制御部310は、接続部材530の測定温度が予め定めた温度である40℃以上である場合には、例えば予め定めた単位時間当たりの温度の上昇値である温度上昇率1℃/1秒(1秒間で1℃上昇)以上となる現象が、予め定めた継続時間以上、例えば3秒間以上継続したことを、制御部310が判断する。この場合には、図8に示す制御部310は、警報ブザー327により警報音を発生することができるので、患者は濃縮酸素の供給が遮断されたことを、耳と目で確実に認知することができる。
第2カプラソケット500は、すでに説明したように自己消火性を有する難燃性樹脂で作られているで、酸素出口部15からの濃縮酸素の供給が停止すると、第2カプラソケット500の燃焼は続かずに自己消火する。なお、カニューラ22をフッ素樹脂で作れば、カニューラ22が過熱しても自己消火できるが、フッ素樹脂は硬い材質なので柔軟性に乏しく、使用者はこのカニューラ22を装着してフィットさせることが難しい。
シンプルな構造の過熱検知アダプタ300は、酸素濃縮装置10の酸素出口部15に対して、後付けにより直結で容易に装着でき、過熱検知アダプタ300が酸素供給を停止させた時に、燃焼している第2カプラソケット500は鎮火して酸素濃縮装置10への延焼を防止でき、第2カプラソケット500へ引火してから鎮火するまでの時間は、おおよそ15〜30秒である。
【0057】
図9は、酸素遮断部の別の構造例を示している。
図9(A)に示す酸素遮断部330Aは、付勢部材800と、溶断部材としての溶断式の温度ヒューズ801を有している。付勢部材800の一端部は、本体部301の固定部301Kに連結され、付勢部材800の他端部は、チューブ303に連結されており、チューブ303を固定部301K側に付勢して酸素流路333を閉塞する機能を有している。一方、温度ヒューズ801の一端部は、本体部301の固定部301Lに連結され、温度ヒューズ801の他端部は、チューブ303に連結されている。
【0058】
患者が例えば喫煙していて、たばこの火が図7に示すカニューラ22に万一引火した場合には、火炎はカニューラ22を経て図7の第2カプラソケット500に向かって進み、そして第2カプラソケット500に炎達して、第2カプラソケット500が引火して空気中の酸素により燃焼または過熱する。このように、第2カプラソケット500が燃焼または過熱すると、熱がカプラソケット500から接続部材530に直接伝わって接続部材530と連結部材520が温度上昇する。
この温度上昇により、図9(A)に示す温度ヒューズ801は過熱されて、例えば40℃以上に達して図9(B)に示すように溶断すると、付勢部材800がチューブ303を固定部301K側に引っ張るので、チューブ303は濃縮酸素を通す状態から、図9(B)に示すチューブ303を矢印方向に機械的に弾性変形させての酸素流路330を閉塞して濃縮酸素を遮断する状態に変化させることができる。
これにより、患者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に火災や異常な過熱環境にさらされた場合に、過熱検知アダプタは、確実に過熱環境を検知して安全性を確保することができ、既存の酸素濃縮装置に対して後付けが可能である。
【0059】
図10は、酸素遮断部の別の構造例を示している。
図10(A)に示す酸素遮断部330Bは、チューブ303自体を形状記憶材料により作ることで形状記憶チューブとしたことで構成されている。形状記憶材料としては、例えばニッケル−チタン合金を採用できる。
患者が例えば喫煙していて、たばこの火が図7に示すカニューラ22に万一引火した場合には、火炎はカニューラ22を経て図7の第2カプラソケット500に向かって進み、そして第2カプラソケット500に炎達して、第2カプラソケット500が引火して空気中の酸素により燃焼または過熱する。このように、第2カプラソケット500が燃焼または過熱すると、熱がカプラソケット500から接続部材530に直接伝わって接続部材530と連結部材520が温度上昇する。この温度上昇により、図10(A)に示すチューブ303自体が、例えば40℃以上になると図10(B)に示すように形状変形して、チューブ303は濃縮酸素を通す状態から、図10(B)に示すチューブ303を矢印方向に機械的に弾性変形させて酸素流路330を閉塞して濃縮酸素を遮断する状態に変化させることができる。
これにより、患者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に火災や異常な過熱環境にさらされた場合に、過熱検知アダプタは、確実に過熱環境を検知して安全性を確保することができ、既存の酸素濃縮装置に対して後付けが可能である。
【0060】
上述した図8と図9と図10に示す酸素遮断部330,330A,330Bは、シンプルな構成ながらチューブ303を機械的に押し潰して酸素流路333を閉塞することで酸素の供給を遮断する構造であり、いわゆる機械的な酸素遮断方式を採用している。
【0061】
図11は、本発明の別の実施形態を示している一部を省略した側面図である。
図11に示す酸素濃縮装置10では、過熱検知アダプタ300が酸素出口部15の第1カプラソケット400に対して装着された状態で、過熱検知アダプタ300がより確実に固定できるようにするために、取り付け部材700が用いられている。この取り付け部材700は、過熱検知アダプタ300の本体部301を本体ケース11のハンドル12に対して固定することができる。これにより、過熱検知アダプタ300を後付けで装着しようとする場合に、後付けの過熱検知アダプタ300の本体部301は、本体ケース11に対して確実に安定して保持することができるので、酸素濃縮装置10を移動しても、過熱検知アダプタ300が脱落するといった問題が起こらない。なお、過熱検知アダプタ300の本体部301を本体ケース11に固定する位置は、ハンドル12に限らず、他の部分であっても良い。
【0062】
図12は、本発明の別の実施形態を示す断面図である。
図12に示すのは、図7に示す発光ダイオード等の警報ランプ325に代えて用いる警報表示部720である。警報表示部720は、本体部301に設けられた表示用の窓部721と、スライド表示板722と、スライド表示板保持部723を有している。スライド表示板722は、例えば赤色部分722Aと白色部分722Bを有している。
図7の酸素流路333を閉塞した時に、制御部310が駆動部390を制御することで、図12(A)から図12(B)に示すように、スライド表示板722がスライド表示板保持部723内で移動することにより、白色部分722Bが窓部721に露出している状態から赤色部分722Aが窓部721に露出している状態に代えることができるようになっている。これにより、窓部721に表示されるのが白色部分722Bから赤色部分722Aに変わることで、患者は酸素流路333が閉鎖されて酸素の供給が遮断されたことを視覚により認知できる。
【0063】
図13は、本発明のさらに別の実施形態を示す斜視図である。
図13に示す酸素濃縮装置10Aでは、過熱検知アダプタ300の本体部301の第1端部は、酸素出口部15に対して直接接続されるのではなく、延長接続管770を用いて接続されている。この延長接続管770は、好ましくは屈曲可能な金属管や難燃性樹脂により作られている。このように、過熱検知アダプタ300は、すでに使用している既設の酸素濃縮装置10Aの酸素出口部15に対して、延長接続管770を用いて接続する構造を採用することもできる。過熱検知アダプタ300の本体部301は、酸素濃縮装置10Aの例えば側面部10Dに対して粘着テープにより固定することができる。このように、過熱検知アダプタ300の後付けの仕方としては、過熱検知アダプタ300の本体部301と第1カプラソケット400を直接接続するだけでなく、本体部301と第1カプラソケット400は、金属製やフッ素樹脂製等の燃えないチューブを通じて間接的に接続することもできる。
【0064】
上述した本発明の実施形態の過熱検知アダプタ300は、図示した酸素濃縮装置10に対して後付けで装着できるが、過熱検知アダプタ300は、この酸素濃縮装置10以外の別の形式の酸素濃縮装置であっても後付けで装着することができるので、患者がすでに使用している既設の酸素濃縮装置であっても、過熱検知アダプタ300は、酸素濃縮装置の既設の金属管である酸素出口部に対して、容易に後付けで簡単に装着でき、過熱検知アダプタ300は汎用性が高い。
【0065】
本発明の実施形態の過熱検知アダプタは、原料空気から濃縮酸素を発生させて該濃縮酸素を供給するための酸素出口部を有する酸素濃縮装置に装着される過熱検知アダプタであって、酸素出口部とカニューラの間に着脱可能に接続される本体部と、本体部内に配置されて酸素出口部からカニューラへ濃縮酸素を通すためのチューブと、カニューラの過熱により熱が伝わるとチューブの酸素流路を閉塞して濃縮酸素の供給を遮断する酸素遮断部と、を有する。これにより、患者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に火災や異常な過熱環境にさらされた場合に、過熱検知アダプタは、確実に安全性を確保することができ、既存の酸素濃縮装置に対して後付けが可能である。
【0066】
また、カニューラの過熱を検知する過熱検知部を有し、酸素出口部と本体部内のチューブの第1端部とは、第1カプラソケットにより接続され、本体部内のチューブの第2端部とカニューラのチューブとは、接続部材と接続部材に連結された第2カプラソケットとにより接続され、過熱検知部は接続部材に配置されている。これにより、酸素出口部と本体部内のチューブの第1端部は、第1カプラソケットにより簡単に接続でき、本体部内のチューブの第2端部とカニューラは、第2カプラソケットにより簡単に接続できるので、過熱検知アダプタが、酸素濃縮装置の既設の酸素出口部に対して簡単に後付けをすることができる。
チューブは弾性変形可能なチューブであり、酸素遮断部は、カニューラの過熱により温度上昇してチューブの酸素流路を閉塞させる感温体である。これにより、感温体が、機械的にチューブに押し付けるだけで、チューブの酸素流路を閉塞して酸素の供給を確実に遮断できる。
【0067】
チューブは弾性変形可能なチューブであり、酸素遮断部は、チューブの酸素流路を開く方向に保持しカニューラの過熱により温度上昇することで溶断する溶断部材と、溶断部材が溶断するとチューブの酸素流路を閉塞させる付勢部材と、を有する。これにより、付勢部材が、機械的にチューブに押し付けるだけで、チューブの酸素流路を閉塞して酸素の供給を確実に遮断できる。
チューブは、カニューラの過熱により温度上昇することで形状が変形して酸素流路を閉塞させる形状記憶チューブである。これにより、チューブ自体が、機械的に酸素流路を閉塞して酸素の供給を確実に遮断できる。
【0068】
第1カプラソケットと第2カプラソケットは、同形状を有している。これにより、第1カプラソケットと第2カプラソケットは同形状のものを採用できるので、酸素濃縮装置の第1カプラソケットからカニューラを取り外した後に、第1カプラソケットには本体部内のチューブの第1端部を接続し、第2カプラソケットにはカニューラを接続すれば、過熱検知アダプタは簡単に後付けすることができるとともに、第1カプラソケットと第2カプラソケットは同形状のものを採用できるのでコストダウンを図ることができる。
【0069】
本体部内には、過熱検知部により検知された温度が予め定めた温度以上に達すると濃縮酸素の供給を遮断したことを報知する報知部が配置されている。これにより、患者は、濃縮酸素の供給が遮断されたことを確実に認知することができる。
報知部は、音で報知するブザーまたは光で報知するランプの少なくとも一方であることを特徴とする。これにより、患者は、濃縮酸素の供給が遮断されたことを、音または光の少なくとも一方により確実に認知することができる。
【0070】
本体部を酸素濃縮装置に対して固定するための取り付け部材を有する。これにより、過熱検知アダプタは酸素濃縮装置に対して確実に固定できる。酸素濃縮装置は、過熱検知アダプタを備える。これにより、患者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に火災や異常な過熱環境にさらされた場合に、過熱検知アダプタは、確実に過熱環境を検知して安全性を確保することができ、既存の酸素濃縮装置に対して後付けが可能である。
【0071】
本発明の各実施形態は、任意に組み合わせることができる。
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形例を採用することができる。
図7に示すように、過熱検知アダプタ300の本体部301内には、警報ランプ325と警報ブザー327の両方が配置されているが、いずれか1つを配置しても良い。
図7に示す過熱検知アダプタ300では、温度センサ320に代えて、炎センサを用いても良い。この炎センサは、例えば火炎の紫外線を検出するセンサ、赤外線を検出するセンサ、あるいは火炎電流を検出センサである。
上述の本発明の実施形態では、酸素濃縮装置の大きさや容量によりコンプレッサの回転数や送風ファンの回転数は適宜定めることができる。上記本発明の実施形態に記載された事項は、その一部を省略してもよいし、上記で説明しない他の構成と組み合わせることによっても本発明の範囲を逸脱するものではない。
【符号の説明】
【0072】
10・・・酸素濃縮装置、11・・・本体ケース、15・・・酸素出口部、22・・・カニューラ、23・・・スピーカ、23T・・・カニューラの接続端部、300・・・過熱検知アダプタ、301・・・過熱検知アダプタの本体部、303・・・チューブ、303A・・・チューブの第1端部、303B・・・チューブの第2端部、310・・・制御部、311・・・バッテリ、320・・・火炎検知部の一例である温度センサ、325・・・報知部の一例である警報ランプ、327・・・報知部の一例である警報ブザー、330,330A,330B・・・酸素遮断部、333・・・チューブの酸素流路、334・・・駆動部のロッド、400・・・第1カプラソケット、500・・・第2カプラソケット、520・・・連結部材、530・・・接続部材、700・・・取り付け部材、800・・・付勢部材、801・・・溶断式の温度ヒューズ(溶断部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中から酸素を分離生成する酸素濃縮装置に後付け可能な過熱検知アダプタおよび過熱検知アダプタを有する酸素濃縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
肺に疾病を抱える患者(使用者)が高濃度の酸素を吸引するために使用する酸素濃縮器は、種々提案されている。大気の一部を用いてコンプレッサにより圧縮空気を作り、この圧縮空気を吸着用の筒体内部に送り込み、該吸着筒体内の吸着剤に窒素を吸着させることにより生成した濃縮酸素を、カニューラを用いて患者に摂取させる比較的コンパクトな酸素濃縮装置は、特許文献1のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−137853号公報
【特許文献2】特開2009−183544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の酸素濃縮装置では、患者は鼻カニューラを、カプラを介して酸素濃縮装置の酸素出口部に対して接続して、酸素出口部から出る濃縮酸素を吸入する。しかし、患者が鼻カニューラを用いて濃縮酸素を吸入している際に、酸素が助燃性ガスであるために、酸素濃縮装置の近くで喫煙する行為や火気を使用する行為は厳禁である。にもかかわらず、例えば患者が喫煙することにより、鼻カニューラ等のチューブに直接引火して事故が発生する恐れがあり、場合によっては酸素濃縮装置自体に引火して火災が拡大してしまう懸念がある。
特許文献2の酸素濃縮装置は、カニューラの途中に温度感知センサを配置して、その検出信号により酸素の供給を止めるというだけの構成であるが、該文献に記載の摂氏50度付近で酸素供給を停止するというきわめて単純な仕組みでは、例えば酸素濃縮装置を使用している室内に暖房機があり、その輻射熱が当たっただけで酸素供給を遮断したり、夏季の密室等において酸素濃縮装置が置かれた環境温度が上昇すると、それだけで装置が動作しない恐れがあり、使い勝手に乏しく、実現性が低い。
【0005】
そこで、本発明は、患者が鼻カニューラ等のカニューラを用いて酸素を吸入している際に火災や異常な過熱環境にさらされた場合に、確実に過熱環境を検知して安全性を確保することができるだけではなく、既存の火災予防対策の施されていない酸素濃縮装置に対して後付けすることも可能な過熱検知アダプタおよび過熱検知アダプタを有する酸素濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の過熱検知アダプタは、濃縮酸素を供給するための酸素出口部を有する酸素濃縮装置に装着される過熱検知アダプタであって、前記酸素出口部と接続する第1端部と使用者まで前記濃縮酸素を届けるカニューラと接続する第2端部を有する本体部と、前記第1端部と前記第2端部を連通させる酸素経路と、前記カニューラの過熱により熱が伝わると前記酸素経路を閉塞して前記濃縮酸素の供給を遮断する酸素遮断部とを有することを特徴とする。
上記構成によれば、アダプタの本体内にある酸素経路に過熱を検出すると該酸素経路を閉じる酸素遮断部を設けたので、以上な加熱環境や火災の発生を未然に防止できる。しかもこれらの仕組みはアダプタ内に組み込まれているので、既成の製品に組み込むことも容易である。
【0007】
好ましくは、前記カニューラの過熱を検知する過熱検知部を有し、前記酸素出口部と前記第1端部とは、第1接続体により接続され、前記第2端部と前記カニューラとは、第2接続体を介して接続され、前記過熱検知部は前記第1端部に配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、酸素出口部と本体部内の酸素経路の第1端部は、第1接続体により簡単に接続でき、本体部内の酸素経路の第2端部とカニューラは、第2接続体により簡単に接続できるので、過熱検知アダプタが、酸素濃縮装置の既設の酸素出口部に対して簡単に後付けをすることができる。
好ましくは、前記酸素経路がチューブであり、該チューブは弾性変形可能なチューブであって、前記酸素遮断部は、前記カニューラの過熱により温度上昇して前記チューブの前記酸素流路を閉塞させる感温体であることを特徴とする。
上記構成によれば、感温体が、機械的にチューブに押し付けるだけで、チューブの酸素流路を閉塞して酸素の供給を確実に遮断できる。
【0008】
好ましくは、前記酸素経路がチューブであり、該チューブは弾性変形可能なチューブであり、前記酸素遮断部は、の前記酸素流路を開く方向に保持し前記カニューラの過熱により温度上昇することで溶断する溶断部材と、前記溶断部材が溶断すると前記チューブの前記酸素流路を閉塞させる付勢部材とを有することを特徴とする。
上記構成によれば、付勢部材が、機械的にチューブに押し付けるだけで、チューブの酸素流路を閉塞して酸素の供給を確実に遮断できる。
好ましくは、前記酸素経路としてのチューブは、前記カニューラの過熱により温度上昇することで形状が変形して前記酸素流路を閉塞させる形状記憶チューブであることを特徴とする。
上記構成によれば、チューブ自体が、機械的に酸素流路を閉塞して酸素の供給を確実に遮断できる。
【0009】
好ましくは、前記第1接続体と前記第2接続体は同形状を有していることを特徴とする。
上記構成によれば、第1接続体と第2接続体は同形状のものを採用できるので、酸素濃縮装置の第1接続体からカニューラを取り外した後に、第1接続体には本体部内のチューブの第1端部を接続し、第2接続体にはカニューラを接続すれば、過熱検知アダプタは簡単に後付けすることができるとともに、第1接続体と第2接続体は同形状のものを採用できるのでコストダウンを図ることができる。
【0010】
好ましくは、前記本体部内には、前記過熱検知部により検知された温度が予め定めた温度以上に達すると前記濃縮酸素の供給を遮断したことを報知する報知部が配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、患者は、濃縮酸素の供給が遮断されたことを確実に認知することができる。
好ましくは、前記報知部は、音で報知するブザーまたは光で報知するランプの少なくとも一方であることを特徴とする。
上記構成によれば、患者は、濃縮酸素の供給が遮断されたことを、音または光の少なくとも一方により確実に認知することができる。
好ましくは、前記本体部を前記酸素濃縮装置に対して固定するための取り付け部材を有することを特徴とする。
上記構成によれば、過熱検知アダプタは酸素濃縮装置に対して確実に固定できる。
【0011】
好ましくは、酸素濃縮装置は、前記過熱検知アダプタを備えることを特徴とする。
上記構成によれば、患者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に火災や異常な過熱環境にさらされた場合に、過熱検知アダプタは、確実に過熱環境を検知して安全性を確保することができ、既存の酸素濃縮装置に対して後付けが可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、患者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に火災や異常な過熱環境にさらされた場合に、確実に安全性を確保することができ、既存の酸素濃縮装置に対して後付けが可能な過熱検知アダプタおよび過熱検知アダプタを有する酸素濃縮装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態にかかる酸素濃縮装置の外観斜視図である。
【図2】酸素濃縮装置の操作パネルの概略平面図である。
【図3】酸素濃縮装置の内部構成を示すために背面側から見た立体分解図である。
【図4】酸素濃縮装置の系統図である。
【図5】酸素濃縮装置と、過熱検知アダプタと、カニューラの接続端部を示す図である。
【図6】酸素濃縮装置の酸素出口の付近と、過熱検知アダプタと、カニューラの接続端部の構造例を示す斜視図である。
【図7】酸素濃縮装置の酸素出口の付近と、過熱検知アダプタと、カニューラの接続端部の構造例を示す断面図である。
【図8】酸素遮断部の構造例を示す図である。
【図9】酸素遮断部の別の構造例を示す図である。
【図10】酸素遮断部の別の構造例を示す図である。
【図11】本発明の別の実施形態を示している一部を省略した側面図である。
【図12】本発明の別の実施形態を示す断面図である。
【図13】本発明の別の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1は、本発明の実施形態にかかる酸素濃縮装置の外観斜視図、図2は、酸素濃縮装置の操作パネルの概略平面図である。
図1と図2では、酸素濃縮装置10は、後付けの過熱検知アダプタ300を有する酸素濃縮装置であり、例えば上端に取手となるハンドル12を設けた縦長の本体ケース11を備えている。本体ケース11を除く酸素濃縮装置10の内部構造は、後述する図3に示されている。
【0015】
本体ケース11の上端付近には操作パネル13がやや前傾して設けられている。この操作パネル13には、左から順に、ダイヤル式の電源スイッチ14と、酸素出口部15と、酸素流量設定スイッチ16と、例えば、LED(発光ダイオード)または液晶表示等にて、セグメント数字で表示を行う酸素流量表示部18が配置されている。
図1では、第1接続体としての例えば、第1カプラソケット400が酸素出口部15の上方位置に離して図示されている。この第1カプラソケット400は、酸素出口部15に形成された段差部に対して装着されることで酸素出口部15に対して気密状態でしかも着脱自在に接続できる。後で詳しく説明するが、過熱検知アダプタ300の本体部301の第1端部301Aが、この第1カプラソケット400に対して、着脱自在に接続できるようになっている。過熱検知アダプタ300の本体部301の第2端部301Bには、第2接続体としての例えば、第2カプラソケット500が取り付けられており、第2カプラソケット500は、酸素吸入用のカニューラ22に対して、着脱自在に接続できる。
【0016】
図1に示す本体ケース11の底蓋26には、4つのゴム足27が四隅に固定されており、床面上に設置して使用するときに横滑りを防止している。2本の固定ネジを穴10aにそれぞれ通してねじ込むことで、外出時等の移動時に使用するキャリア25が、底蓋26に対して固定できる。このキャリア25には、上記の各ゴム足27を収容できる孔部10bが対応位置に穿設されるとともに、四隅に樹脂製の自在キャスタが配置されている。
【0017】
図2は、上述した操作パネル13を拡大して示している。電源スイッチ14は図示のオフ位置と約90度分時計周りに回転したオン位置との間で操作される。この電源スイッチ14のオン位置に相当する位置には緑と赤に点灯する例えば発光ダイオード等を内蔵した運転状態ランプが設けられている。また、この運転状態ランプ14Bの上にはバッテリ残量モニタ14Cが設けられている。
【0018】
中央の酸素出口部15の上には、「点検」の文字またはこれに相当するキャラクター表示等を横に印刷した警報表示部15Cが配置され、この警報表示部15Bの下方には緑と赤と黄色とに点灯する例えば発光ダイオードを内蔵した酸素ランプ15Cが設けられている。
酸素流量設定スイッチ16は、上下矢印を印刷したフラットスイッチ16a,16bとして設けられている。この酸素流量設定スイッチ16は、90%程度以上に濃縮された酸素を、最小で毎分当たり0.25L(リットル)から最大で5Lまでの間、0.25L段階または0.01L段階で押圧操作する度に酸素流量が設定できるように構成されており、上方の酸素流量表示部18によりその時の流量設定を表示することにより、酸素生成能力を変えることが可能である。同調ランプ19は、濃縮酸素を呼吸同調により断続供給状態で運転中であることを、点灯または点滅表示により患者に知らせるために設けられている。
【0019】
図3は、酸素濃縮装置10の内部構成を示すために背面側から見た立体分解図である。
図3の下方の位置には、上記のゴム足27を四隅に固定した樹脂製の底蓋26が、配置され、この底蓋26は図1では二点鎖線で示している。底蓋26は、樹脂製のベース体40の底面に対して複数の固定ネジを用いて固定されている。このベース体40は、四面から下方に向けて連続形成された壁面を一体成形した箱状に成形されており、裏面の壁面上には、各コネクタ131、130が固定されている。このベース体40の上には二段式防音室34が配置されるようになっている。
図3に示すように、排気口40c、40cが、図1のケース本体11に設けた図示しない裏面カバーの各排気口に対向するとともに内部の電源室に連通するように穿設されており、これらの排気口40cを介して最終的な外部排気が行われる。このベース体40の上面は、図示のように平らに形成されるとともに、二段式防音室34の左右面と裏面の三方側から固定ネジで固定するための孔部を穿設した起立部40fを3方から一体成形している。また、ベース体40の上面には、上記の電源室に連通した排気用開口部40bをさらに穿設している。
【0020】
図3に示す二段式防音室34は、図面の手前側の側方から出し入れ可能な上段部材36上に2個の送風ファン104を固定し、同じく側方から出し入れ可能な下段部材37上に設けた圧縮空気発生部としてのコンプレッサ105を防振状態で配設した密閉箱35であり、軽量金属板から構成されている。
この二段式防音室34は、図3において手前側に示した防音室蓋39と奥側に示した防音室蓋38を、複数の固定ネジで固定するようにしている。このために、二段式防音室34は、図示のように曲げ加工されるとともにインサートナットを植設した取付部が一体的に設けられている。この二段式防音室34の内部には防音材51が敷設される。また二段式防音室34の外周面には制振部材であって、合成ゴムと特殊樹脂材料を混合した素材をシート状のものが敷設されており、アルミの薄板製である二段式防音室34自体が共鳴等で振動しないように防止している。
【0021】
図3に示すように、二段式防音室34の上段部材36の上方の左右の側壁面には、第1開口部35aが穿設されており、外気を内部に導入するように構成されている。この上段部材36には、図4で説明する配管24をラバーブッシュにより固定するための複数の固定孔36hが穿設されており、配管24を支持するとともに振動防振機能をラバーブッシュと協働して行う。
図3の各送風ファン104は、例えば、インバータ制御のシロッコファンを用いることができる。各送風ファン104は、それぞれの送風口が下方に向くようにしてブラケットを用いて上段部材36に固定されている。この各送風ファン104の間には、図4に示す三方向切換弁109a,109b等が配置されている。図3に示すように、各送風ファン104には、ファン回転検出部126が設けられている。ファン回転検出部126は、例えばインタラプタ型フォトセンサ等の回転検出計等を利用することができる。
【0022】
図3に示す二段式防音室34の左側の側壁面には、筒状の吸着筒体108a、108bが、吸気用バッファタンク101と並べて配置されており、側壁面に固定された固定具49kにバンド49を通過後にバンド49を締め上げることで図示のように固定されている。吸着筒体108a、108bはベース体40の上面に載るが、全長の長いバッファタンク101の一部は開口部40d中に挿入されて固定される。
図3に示す製品タンク111は、ブロー成形されるポリプロピレン樹脂製であって図示のように長手方向に横たえて上方に配置される。遮蔽板32も軽量化のために樹脂製であり、図示のようにスピーカ23と外部コネクタ133を設けており、二段式防音室34の上方の外壁面に対して固定ネジを用いて固定される補強を兼ねた取り付け部を一体成形している。
【0023】
二段式防音室34の上方の壁面には、放熱部材52、53が固定ネジで固定されるとともに、各制御基板200C(後述するCPU200を含む基板)と、制御基板201(モータ制御部を含む基板)とその他の要素が、起立状態で固定されている。放熱部材52,53は、制御基板200C,201の放熱効果を高めている。遮蔽板32は上記のように一部が外部に出るので黒色顔料を用いて黒色に着色されている。二段式防音室34の右側の側壁面には、酸素センサ114と比例開度弁115と圧力調整器112と流量センサ116とデマンド弁117と、回路基板202と温度センサ125が固定されている。
【0024】
図4は、酸素濃縮装置10の系統図(配管図)である。
図4では、二重線は空気、酸素、窒素ガスの流路であり、概ね配管24、24a〜24gで示されている。また、細い実線は電源供給または電気信号の電気配線を示している。
以下の説明では、コンプレッサ105として圧縮手段(圧縮空気発生部)と減圧手段(負圧発生部)を一体化構成したものを用いる場合について述べる。しかしながら、この構成に限定されず、圧縮空気発生部と負圧発生部を個別に構成しても良いことは言うまでもない。加えて、負圧発生部が無くても良い。また、吸気口を介して外気を内部に導入し、排気口を介して外部に排出する表面カバーと裏面カバー(本体ケース11の一部)は、密閉容器として図4において破線で図示されている。
【0025】
次に、図4を参照して導入空気の流れに沿って順次述べる。
図4において、空気(外気)が、フィルタ交換用蓋体に内蔵された外気導入用フィルタ20を通過して、酸素濃縮装置10内部に矢印F方向に導入される。この空気は、一対の送風ファン104、104による送風により、破線で示す二段式防音室34内に入る。図3を参照して説明したように、二段式防音室34では、空気が、二段式防音室34(破線図示の)側面に穿設された開口部35aを介して、二段式防音室34内に入る。二段式防音室34では、上段部材上に送風ファン104、104を配設し、下段部材にコンプレッサ105を防振状態で配設している。
この空気の一部を、コンプレッサ105の圧縮手段105aに対して原料空気として供給するために、配管24aの開口部が二段式防音室34内に開口して設けられており、配管24aの途中に二次濾過を行う吸気フィルタ101と大容量の吸気マフラ102とが設けられている。このように構成することで、原料空気の吸気音が二段式防音室34内に留まるようにして吸気音を低減している。
【0026】
図4に示す二段式防音室34は、軽量化のために厚さ約0.5mm〜2.0mmの強化軽合金、アルミ合金、チタン合金板または他の好適な材料から構成される。このように薄板から構成するとネジ孔部の強度が確保されない。そこで、ネジ孔部としてインサートナットを適所に固定している。この二段式防音室34の内部には、原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサ105の圧縮手段105aと減圧手段105bとを好ましくは一体構成したコンプレッサ105が、防振状態で固定されている。このコンプレッサ105に近接して、温度的環境がほぼ同一の箇所に温度センサ125が配置されている。
【0027】
次に、濾過された原料空気は、コンプレッサ105の圧縮手段105aで加圧されて圧縮空気となるが、この時に圧縮空気は温度上昇した状態で配管24cに送り出されるので、この配管24cを放熱効果に優れた軽量の金属パイプとし、送風ファン104からの送風で冷却すると良い。このように圧縮空気を冷却することで高温では機能低下する吸着剤であるゼオライトが窒素の吸着により酸素を生成するための吸着剤として、十分に酸素を90%程度以上に濃縮できることとなる。
【0028】
圧縮空気は、配管24cを介して吸着部としての第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bに対して交互に供給される。このため切換弁(三方向切換弁)109a、109bが図示のように接続されている。これらの切換弁109a、109bと、さらに第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの不要ガスを脱離させるため(パージ(浄化)を行うため)に、減圧手段105bに連通する配管24fには、負圧破壊第1弁120と負圧破壊第2弁(圧調整弁)121が直列に複数(少なくとも2つ)配置されている。これらの負圧破壊第1弁120と負圧破壊第2弁(圧調整弁)121を開くことで、配管24f内の圧力を均圧工程時には大気圧付近まで、所定流量以下では圧力コントロールすることでコンプレッサの振動抑制と低電量化を図っている。
【0029】
図4に示す第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内に夫々貯蔵されている触媒吸着剤の一例としては、ゼオライトが用いられている。
第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの上方の出口側には、逆止弁と、絞り弁と開閉弁とからなる均等圧弁107が分岐接続されている。また、均等圧弁107の下流側は合流するように配管24dが成されており、分離生成された90%程度以上の濃度の酸素を貯蔵するための容器となる製品タンク111が配管されている。また、各吸着筒体内の圧力を検出する圧力センサ208が配管されている。
【0030】
図4の製品タンク111の下流側には、出口側の酸素の圧力を一定に自動調整する圧力調整器112が配管されている。この圧力調整器112の下流側には、ジルコニア式あるいは超音波式の酸素(濃度)センサ114が接続されており、酸素濃度の検出を間欠(10〜30分毎)または連続で行うようにしている。
酸素(濃度)センサ114の下流側には、酸素流量設定スイッチ16に連動して開閉する比例開度弁115が接続されており、その下流側には酸素流量センサ116が接続されている。このセンサ116の下流には、呼吸同調制御のための負圧回路基板を介してデマンド弁117が接続されており、滅菌フィルタ119を経て、酸素濃縮装置10の酸素出口部15に対して接続されている。以上の構成により、患者は、酸素出口部15と、後付けの過熱検知アダプタ300と、カニューラ22を経て、最大流量5L/分で約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能になる。
【0031】
次に、図4に示す電源系統は、AC(商用交流)電源のコネクタ130と、装置本体に内蔵される内蔵バッテリ228と、コネクタ131を介して着脱自在可能に設けられる外部バッテリ227と電源制御回路226から構成されている。コネクタ130は、所定直流電圧に整流するスイッチングレギュレータ式のACアダプタ19に接続される。
内蔵バッテリ228および外部バッテリ227は繰り返し充電可能な2次電池であり、内蔵バッテリ228は電源制御回路226からの電力供給を受けて充電される。なお、少なくとも内蔵バッテリ228は、少なくとも500回(数100回程度)程度の繰り返し充放電が可能で、バッテリ残量、使用充放電サイクル数、劣化程度、出力電圧等のマネジメント機能を有するものが使用され、バッテリ残量、残充電容量、充放電回数を外部の携帯端末などで確認可能なマネジメント機能を有するものが好ましい。
【0032】
図4の外部バッテリ227については、コネクタ131を介する接続状態において、電源制御回路226からの電力供給を受けて充電することもできるが、通常は別途準備されるバッテリチャージャーを用いて繰り返し充電される。または、専用設計されたバッテリチャージャーを一体化した外部バッテリ227として準備しても良い。
以上の電源系統の構成において、酸素濃縮装置はACアダプタ19からの電力供給を受けて作動する第1電力供給状態と、内蔵バッテリ228からの電力供給を受けて作動する第2電力供給状態と、外部バッテリからの電力供給を受けて作動する第3電力供給状態との3系統の電力供給状態の内の一つに自動切換えされて使用される。
【0033】
この電源自動切換えのための優先順位は、上記の第1電力供給状態、第3電力供給状態、第2電力供給状態の順序で自動決定するように中央制御部200により電源制御回路226が制御される。また、電源制御回路226と、内蔵バッテリ228については、酸素濃縮装置10の低重心化を図るために後述するように底面に配設される。外部バッテリ227は、キャリア25の収容部に内蔵されることにより外出時等で使用可能になる。この外部バッテリ227には、上記の充電残量表示部他が設けられているので残り使用時間を音声ガイドとともに知ることができる。
【0034】
図4のACアダプタ19は、周波数の違いの影響および電圧の変動を受けずに所定直流電圧を発生することが可能であり、かつまた小型軽量に構成できるスイッチングレギュレータ式が良いが、通常のトランス式でも良い。また、内蔵バッテリ228および外部バッテリ227は充電時のメモリ効果が少なく再充電時にも満杯充電できるリチウムイオン、リチウム水素イオン2次電池が良いが、従来からのニッケルカドミウム電池でも良い。さらに、緊急時に備えて、どこでも入手可能な単2乾電池のボックスとして外部バッテリを構成しても良い。
【0035】
酸素濃縮装置10の中央制御部200は、生成する酸素量に応じた、最適な動作モードに切り替える機能を備えており、自動的にコンプレッサ105、送風ファン104を、多くの酸素生成をする場合は高速に、少ない酸素生成時において低速に回転駆動する制御を行うことで特に、内蔵バッテリ228を温存させるようにしている。この結果、外部バッテリ227を充電し忘れた場合であっても突然の外出時や停電時等の対応が可能になるように配慮されている。
【0036】
図4の中央制御部200には、コンプレッサ105の回転体である直流モータおよび送風ファン104のモータの駆動制御を夫々行うモータ制御部201および上記のスピーカ23Sに接続されることで音声内容を発生する音声制御部203、酸素流量表示部18が接続されている。
この中央制御部200には、所定動作プログラムを記憶したROM(読み出し専用メモリ)が内蔵されるとともに、記憶装置210と不揮発メモリ205と一時記憶装置206とリアルタイムクロック207とがさらに接続されており、外部コネクタ133を介して通信回線などと接続することで記憶内容へのアクセスが可能となるように構成されている。
【0037】
上記の三方向切換弁109a、109bと均等圧弁107と、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の不要ガスを脱離させるための負圧発生部105bと配管24f内の圧力を制御するための負圧破壊第1弁120と負圧破壊第2弁121と酸素濃度センサ114と比例開度弁115と、流量センサ116とデマンド弁117を駆動制御する弁及び流量制御部202が、中央制御部200に電気的に接続されている。ただし、図4の図示の簡単化のために配線の図示は省略している。
ところで、総重量が約1kgのコンプレッサ105は、モータ制御部201に内蔵される可変速度制御器であって正弦波駆動波形によりモータの駆動制御が行われることで運転音を低くしている。このコンプレッサ105は、各速度で運転可能であって、必要な真空(負圧)/正圧の圧力レベルと流量を発生でき、僅かな騒音と振動しか出さず、僅かな熱しか発生せず、小型軽量であって僅かな電力消費で運転できることが好ましい。
【0038】
可変速度制御手段である可変速度制御器をモータ制御部201に備えることにより、患者の活動レベル、環境条件に基づいてコンプレッサ105の速度を自在に変化させることができる。この結果、患者が座ったり寝たりしている等、患者の酸素要求が比較的低いことがデマンド弁117によって呼吸同調により判断されると、コンプレッサ105の駆動回転速度を自動的に落とすことができる。また、患者が立ったり、活動的であったり、酸素濃度の低い高地にいるときなど、患者の酸素要求が比較的高く、酸素要求量が高まったと判断されると速度を自動的に高めることができる。
以上のモータ制御によって酸素濃縮装置10全体の消費電力が低減され、充電式バッテリでの駆動時の寿命を延ばすことが可能になるとともに、充電式バッテリの重量と大きさを軽減し、コンプレッサ105の摩耗度を低めて寿命を延ばすことで信頼性を向上できる。
【0039】
このコンプレッサ105は、上記のように圧縮空気発生と負圧発生の両方の機能を備えるものであり、取り出される酸素流量に応じて回転数が自動制御される。具体的には、回転速度が500rpmから3000rpmの間で制御され、通常の速度である1700rpm程度で回転するときの操作寿命を15000時間と長くできるようにしている。また、このコンプレッサ105は、空気を100kPa、好ましくは75kPa程度に圧縮する性能を備えている。また、上記の操作寿命が経過すると音声ガイドにて知らせる機能を備えている。
ここで、冷却ファンである送風ファン104を駆動するファンモータは、DCブラシレスファンが用いられており、PWM制御又は電圧制御により回転数制御を容易に行うことができるようにされている。
【0040】
次に、図5〜図7を参照して、図1と図4に示す過熱検知アダプタ300の構成例を説明する。
図5は、酸素濃縮装置10と、過熱検知アダプタ300と、カニューラの接続端部23Tを示し、図6は、酸素濃縮装置10の酸素出口部15の付近と、過熱検知アダプタ300と、カニューラの接続端部23Tの構造例を示す斜視図である。図7は、酸素濃縮装置10の酸素出口部15の付近と、過熱検知アダプタ300と、カニューラの接続端部23Tの構造例を示す断面図である。
【0041】
図5と図6に示すように、酸素濃縮装置10の酸素出口部15は、出口凹部15Wを有しており、この出口凹部15Wの底部15Bは、図7に示すように水平線HLに対して所定角度θだけ傾けて形成されている。これにより、酸素出口部15が患者に対面して見やすくしているので、過熱検知アダプタ300の脱着操作が容易に行える。過熱検知アダプタ300は、過熱検知ユニットとも呼ぶことができ、酸素濃縮装置10の酸素出口部15とカニューラの接続端部23Tとの間に、後付けで簡単にしかも確実に装着することができる構造を有している。カニューラ22
【0042】
図7に示すように、酸素出口部15は、出口凹部15W内において、底部15Bに対して垂直に立てて固定されている。図6と図7に示すように、酸素出口部15は、連結部材420を介して配管24に接続されている。酸素出口部15は、リング状のフランジ部15Fと円筒部15G、15Hを有している。円筒部15Gは段差状の部分であり、フランジ部15Fは、円筒部15Gと円筒部15Hの間に形成されている。この酸素出口部15は、熱伝導率の高いさびにくい金属材料、例えば銅合金やアルミニウム合金等により作られている。
図7に示す第1カプラソケット400は、酸素出口部15へワンタッチで装着して接続することができる。すなわち、図6に示すように第1カプラソケット400は押圧ボタン400Nと先端部400Sを有している。図6に示すように、患者がこの押圧ボタン400Nを矢印方向に押しながら、第1カプラソケット400を上方向に引くことで、第1カプラソケット400は酸素出口部15からワンタッチで外すことができる。また、患者が第1カプラソケット400を逆方向に押すことで、第1カプラソケット400は酸素出口部15へワンタッチで装着して接続することができる。
【0043】
次に、図5から図7を参照して、過熱検知アダプタ300の構造例を説明する。
図5から図7に示すように、過熱検知アダプタ300は、第1カプラソケット400と、カニューラの接続端部23Tとの間に、後付けにより簡単に着脱自在に連結して配置することができる構造を有している。
図6と図7に示すように、この過熱検知アダプタ300は、本体部301の第2カプラソケット500と接続されている。
【0044】
図6と図7に示すように、第1カプラソケット400と第2カプラソケット500は、望ましくは同形状のものを採用している。これにより、図7に示す酸素濃縮装置10側の第1カプラソケット400に対してカニューラ22が直接接続されているこれまでの使用状態から、患者が第1カプラソケット400からカニューラ22を取り外した後に、第1カプラソケット400の先端部400Sには本体部301の酸素経路としての、例えば、チューブ303の第1端部303Aを接続し、しかも本体部301の第2カプラソケット500にはカニューラ22を接続すれば、過熱検知アダプタ300は簡単に後付けすることができる。第1カプラソケット400と第2カプラソケット500は同形状のものを採用できるので,別の形状を有する2つのカプラソケットを用いるのに比べてコストダウンを図ることができる。
第1カプラソケット400と第2カプラソケット500は、好ましくは屈曲可能な難燃性樹脂、例えば米国のUL−94規格のV−0ランク品、または酸素指数が26以上の性能を有する難燃性樹脂を使用している。この第1カプラソケット400と第2カプラソケット500は、自己消火性を有する難燃性樹脂により形成されているが、自己消火性を有する難燃性樹脂とは、耐燃性を有する樹脂であり、接炎するときに過熱するが、火炎が伝搬せずに火炎を取り去った後、一定時間内に自己消火する性質をいう。
【0045】
図7に示す第2カプラソケット500は、接続部材530へワンタッチで装着して接続することができる。すなわち、図6に示すように第2カプラソケット500は押圧ボタン500Nと先端部500Sを有している。図6に示すように、患者がこの押圧ボタン500Nを矢印方向に押しながら、第2カプラソケット500を上方向に引くことで、第2カプラソケット500は接続部材530からワンタッチで外すことができる。また、患者が第2カプラソケット500を逆方向に押すことで、第2カプラソケット500は接続部材530へワンタッチで装着して接続することができる。
【0046】
図6と図7に示すように、接続部材530は連結部材520に接続されている。接続部材530は、リング状のフランジ部530Fと円筒部530G、530Hを有している。円筒部530Gは段差状の部分であり、フランジ部530Fは、円筒部530Gと円筒部530Hの間に形成されている。接続部材530は、熱伝導率の高いさびにくい金属材料、例えば銅合金やアルミニウム合金等により作られている。図7に示すように、第1カプラソケット400の先端部400Sは、チューブ303の第1端部303Aに対して圧入により接続されている。しかも連結部材520は、チューブ303の第2端部303Bに対して圧入により接続されている。例えば、酸素出口部15と接続部材530は、同じものを使用することが好ましい。連結部材420と連結部材520は、同じものを使用することが望ましい。これにより、コストダウンを図ることができる。
図5と図7に示す過熱検知アダプタ300の本体部301は、例えば難燃性樹脂あるいは金属により作られている。本体部301は例えば円筒状の部材であり、本体部301の内部には、断面円形の貫通路302が形成されている。この貫通路302内には、チューブ303が配置されており、このチューブ303は、カニューラ22と同様に柔軟性を有する、例えば塩化ビニル、ポリエチレン、シリコーンゴムにより作られている。通常の大気酸素濃度では燃えない、自己消火性の塩化ビニルが好ましい。もちろん難燃性のフッ素樹脂でもよい。
【0047】
図5と図7に示すように、本体部301は、制御部310と、バッテリ311と、火炎検知部の一例である温度センサ320と、警報ランプ325、警報ブザー327と、酸素遮断部330を有している。バッテリ311は、制御部310に電源供給するために配置され、例えばボタン電池のような小さな電池を採用している。制御部310は、警報ランプ325、警報ブザー327のそれぞれの動作を制御する。温度センサ320は、好ましくは接続部材530のフランジ部530Fに内蔵されている。温度センサ320が温度を検出した時の温度信号TSは、制御部310に送られる。
【0048】
このように、接続部材530は、熱伝導率の高いさびにくい金属材料、例えば銅合金やアルミニウム合金等により作られていることで、接続部材530は、カニューラ22と第2カプラソケット500からの熱を、素早く温度センサ320に伝導できるので、温度センサ320による温度検知速度を早くすることができる。
患者が図1に示すカニューラ22を用いて濃縮酸素を吸入している際に、火災や異常な高温環境にさらされた時に、カニューラ22が直接過熱して高温状態になるおそれがある。そこで、カニューラ22に直接過熱してしまった場合に、患者の安全性を確保するために、濃縮酸素の供給を遮断する必要がある。すなわち、患者が例えば喫煙していて、たばこの火が図7に示すカニューラ22に万一引火した場合には、火炎はカニューラ22を経て図7の第2カプラソケット500に向かって進み、そして第2カプラソケット500に炎達して、第2カプラソケット500が引火して空気中の酸素により燃焼または過熱する。このように、第2カプラソケット500が燃焼または過熱すると、熱がカプラソケット500から接続部材530に直接伝わって接続部材530と連結部材520が温度上昇する。そこで、接続部材530と連結部材520が温度上昇することで、酸素遮断部330が過熱されると、酸素遮断部330は、本体部301内のチューブ303の途中を機械的に閉塞することで、濃縮された酸素の供給を遮断することができるようになっている。
この酸素の供給の遮断とともに、制御部310は、温度センサ320からの温度信号TSにより温度が一定温度以上、例えば40℃以上になったと判断し、例えば予め定めた単位時間当たりの温度の上昇値である温度上昇率1℃/1秒(1秒間で1℃上昇)以上となる現象が、予め定めた継続時間以上、例えば3秒間以上継続すると、報知部である警報ランプ325を点灯させ、警報ブザー327により警報音を発生することができるようになっている。
【0049】
ここで、図7から図10を参照して、酸素遮断部330の構造例を説明する。
図8は、酸素遮断部330の構造例を示している。
図7と図8に示す酸素遮断部330は、熱を受けると変形をする感温体、例えば熱膨張率が異なる2種の金属片を重ねて接着した金属接合板としての感温体331,332により構成されている。感温体331,332は、熱膨張率の異なる2種類以上の金属を一体化して接着することにより、温度上昇に伴って熱膨張の大きい金属が大きく伸びて熱膨張の小さい方へ曲がっていく性質を持っている金属接合版である。
この感温体331,332は、温度変化により変形するバイメタル金属であり、チューブ303の外周面に対して貼り付けて固定されており、これらの感温体331,332は対向する位置に配置されている。
【0050】
患者が例えば喫煙していて、たばこの火が図7に示すカニューラ22に万一引火した場合には、火炎はカニューラ22を経て図7の第2カプラソケット500に向かって進み、そして第2カプラソケット500に炎達して、第2カプラソケット500が引火して空気中の酸素により燃焼または過熱する。このように、第2カプラソケット500が燃焼または過熱すると、熱が第2カプラソケット500から接続部材530に直接伝わって接続部材530と連結部材520が温度上昇する。これらの感温体331,332の温度が、接続部材530と連結部材520における温度変化によって、例えば40℃以上に上昇すると感温体331,332は変形して、図8(A)に示すチューブ303が濃縮酸素を通す状態から、図8(B)に示すチューブ303の酸素流路330を機械的に弾性変形させて閉塞して濃縮酸素を遮断する状態に変化させることができるようになっている。
【0051】
図1に示すように、患者が、酸素濃縮装置10に対して上述した過熱検知アダプタ300を、後付けする際には、次のようにして行う。
図7と図8に示すように、第1カプラソケット400は予め酸素濃縮装置10の酸素出口部15に対して着脱自在に装着されている。一方、本体部301の第2端部372側のチューブ303の第2端部303Bには、連結部材520の先端部が圧入されている。接続部材530は、連結部材520に連結され、第2カプラソケット500は接続部材530に接続されている。
【0052】
患者は、第1カプラソケット400の先端部400Sを、第1端部371側のチューブ303の第1端部303Aに圧入することで、第1カプラソケット400の先端部400Sはチューブ303内に挿入された状態で確実に接続できる。そして、患者は、第2カプラソケット500の先端部500Sを、カニューラの接続端部23Tを圧入することで、確実に接続できる。すなわち、酸素出口部15と本体部301内のチューブ303の第1端部303Aとは、第1カプラソケット400により接続され、本体部301内のチューブ303の第2端部303Bとカニューラ22とは、接続部材530とこの接続部材530に連結された第2カプラソケット500とにより接続されている。過熱検知部としての温度センサ320は、接続部材530内に配置されている。
これにより、酸素出口部15から過熱検知アダプタ300を通じてカニューラ22へ濃縮酸素を供給することができる。この場合に、酸素は、例えば最大流量5L/分の流量で送ることができ、患者はカニューラを用いて約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能である。
【0053】
ところで、患者が図1に示すカニューラ22を用いて濃縮酸素を吸入している際に、火災や異常な高温環境にさらされた時に、カニューラ22が直接過熱して高温状態になるおそれがある。そこで、カニューラ22に直接過熱してしまった場合に、患者の安全性を確保するために、濃縮酸素の供給を遮断する動作について説明する。
患者が例えば喫煙していて、たばこの火が図7に示すカニューラ22に万一引火した場合には、火炎はカニューラ22を経て図7の第2カプラソケット500に向かって進み、そして第2カプラソケット500に炎達して、第2カプラソケット500が引火して空気中の酸素により燃焼または過熱する。このように、第2カプラソケット500が燃焼または過熱すると、熱がカプラソケット500から接続部材530に直接伝わって接続部材530と連結部材520が温度上昇する。
【0054】
これらの感温体331,332は、接続部材530は連結部材520における温度変化によって、例えば40℃以上に上昇すると変形作動する。従って、感温体331,332は、チューブ303を機械的に押し潰して、図8(A)に示すチューブ303が濃縮酸素を通す状態から、図8(B)に示すチューブ303を矢印方向に機械的に弾性変形させて酸素流路330を閉塞して濃縮酸素を遮断する状態に変化させる。これにより、患者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に火災や異常な過熱環境にさらされた場合に、過熱検知アダプタは、確実に過熱環境を検知して安全性を確保することができ、既存の酸素濃縮装置に対して後付けが可能である。
【0055】
このように、カニューラ22が直接過熱して火炎がカプラソケット500に炎達して接続部材530の温度が上昇した場合であっても、安全性を確保するために、酸素遮断部330は、酸素出口部15からカニューラ22側への濃縮酸素の供給を遮断することができる。
なお、濃縮酸素の供給が遮断すると、酸素濃縮装置10では、カニューラ22が折れたことを示すアラームが作動するが、酸素濃縮装置10では、酸素の供給動作は継続される。酸素の供給動作が継続しても過熱検知アダプタ300の酸素遮断部330によりカニューラ22への濃縮酸素の供給は遮断されているが、この供給が停止された濃縮酸素は図3に示す本体ケース11の排気用開口部40bから窒素とともに排出される。この場合の酸素の濃度は、室内の空気の酸素濃度とほぼ同等である。
【0056】
しかも、図5と図7に示す制御部310は、接続部材530の測定温度が予め定めた温度である40℃以上である場合には、例えば予め定めた単位時間当たりの温度の上昇値である温度上昇率1℃/1秒(1秒間で1℃上昇)以上となる現象が、予め定めた継続時間以上、例えば3秒間以上継続したことを、制御部310が判断する。この場合には、図8に示す制御部310は、警報ブザー327により警報音を発生することができるので、患者は濃縮酸素の供給が遮断されたことを、耳と目で確実に認知することができる。
第2カプラソケット500は、すでに説明したように自己消火性を有する難燃性樹脂で作られているで、酸素出口部15からの濃縮酸素の供給が停止すると、第2カプラソケット500の燃焼は続かずに自己消火する。なお、カニューラ22をフッ素樹脂で作れば、カニューラ22が過熱しても自己消火できるが、フッ素樹脂は硬い材質なので柔軟性に乏しく、使用者はこのカニューラ22を装着してフィットさせることが難しい。
シンプルな構造の過熱検知アダプタ300は、酸素濃縮装置10の酸素出口部15に対して、後付けにより直結で容易に装着でき、過熱検知アダプタ300が酸素供給を停止させた時に、燃焼している第2カプラソケット500は鎮火して酸素濃縮装置10への延焼を防止でき、第2カプラソケット500へ引火してから鎮火するまでの時間は、おおよそ15〜30秒である。
【0057】
図9は、酸素遮断部の別の構造例を示している。
図9(A)に示す酸素遮断部330Aは、付勢部材800と、溶断部材としての溶断式の温度ヒューズ801を有している。付勢部材800の一端部は、本体部301の固定部301Kに連結され、付勢部材800の他端部は、チューブ303に連結されており、チューブ303を固定部301K側に付勢して酸素流路333を閉塞する機能を有している。一方、温度ヒューズ801の一端部は、本体部301の固定部301Lに連結され、温度ヒューズ801の他端部は、チューブ303に連結されている。
【0058】
患者が例えば喫煙していて、たばこの火が図7に示すカニューラ22に万一引火した場合には、火炎はカニューラ22を経て図7の第2カプラソケット500に向かって進み、そして第2カプラソケット500に炎達して、第2カプラソケット500が引火して空気中の酸素により燃焼または過熱する。このように、第2カプラソケット500が燃焼または過熱すると、熱がカプラソケット500から接続部材530に直接伝わって接続部材530と連結部材520が温度上昇する。
この温度上昇により、図9(A)に示す温度ヒューズ801は過熱されて、例えば40℃以上に達して図9(B)に示すように溶断すると、付勢部材800がチューブ303を固定部301K側に引っ張るので、チューブ303は濃縮酸素を通す状態から、図9(B)に示すチューブ303を矢印方向に機械的に弾性変形させての酸素流路330を閉塞して濃縮酸素を遮断する状態に変化させることができる。
これにより、患者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に火災や異常な過熱環境にさらされた場合に、過熱検知アダプタは、確実に過熱環境を検知して安全性を確保することができ、既存の酸素濃縮装置に対して後付けが可能である。
【0059】
図10は、酸素遮断部の別の構造例を示している。
図10(A)に示す酸素遮断部330Bは、チューブ303自体を形状記憶材料により作ることで形状記憶チューブとしたことで構成されている。形状記憶材料としては、例えばニッケル−チタン合金を採用できる。
患者が例えば喫煙していて、たばこの火が図7に示すカニューラ22に万一引火した場合には、火炎はカニューラ22を経て図7の第2カプラソケット500に向かって進み、そして第2カプラソケット500に炎達して、第2カプラソケット500が引火して空気中の酸素により燃焼または過熱する。このように、第2カプラソケット500が燃焼または過熱すると、熱がカプラソケット500から接続部材530に直接伝わって接続部材530と連結部材520が温度上昇する。この温度上昇により、図10(A)に示すチューブ303自体が、例えば40℃以上になると図10(B)に示すように形状変形して、チューブ303は濃縮酸素を通す状態から、図10(B)に示すチューブ303を矢印方向に機械的に弾性変形させて酸素流路330を閉塞して濃縮酸素を遮断する状態に変化させることができる。
これにより、患者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に火災や異常な過熱環境にさらされた場合に、過熱検知アダプタは、確実に過熱環境を検知して安全性を確保することができ、既存の酸素濃縮装置に対して後付けが可能である。
【0060】
上述した図8と図9と図10に示す酸素遮断部330,330A,330Bは、シンプルな構成ながらチューブ303を機械的に押し潰して酸素流路333を閉塞することで酸素の供給を遮断する構造であり、いわゆる機械的な酸素遮断方式を採用している。
【0061】
図11は、本発明の別の実施形態を示している一部を省略した側面図である。
図11に示す酸素濃縮装置10では、過熱検知アダプタ300が酸素出口部15の第1カプラソケット400に対して装着された状態で、過熱検知アダプタ300がより確実に固定できるようにするために、取り付け部材700が用いられている。この取り付け部材700は、過熱検知アダプタ300の本体部301を本体ケース11のハンドル12に対して固定することができる。これにより、過熱検知アダプタ300を後付けで装着しようとする場合に、後付けの過熱検知アダプタ300の本体部301は、本体ケース11に対して確実に安定して保持することができるので、酸素濃縮装置10を移動しても、過熱検知アダプタ300が脱落するといった問題が起こらない。なお、過熱検知アダプタ300の本体部301を本体ケース11に固定する位置は、ハンドル12に限らず、他の部分であっても良い。
【0062】
図12は、本発明の別の実施形態を示す断面図である。
図12に示すのは、図7に示す発光ダイオード等の警報ランプ325に代えて用いる警報表示部720である。警報表示部720は、本体部301に設けられた表示用の窓部721と、スライド表示板722と、スライド表示板保持部723を有している。スライド表示板722は、例えば赤色部分722Aと白色部分722Bを有している。
図7の酸素流路333を閉塞した時に、制御部310が駆動部390を制御することで、図12(A)から図12(B)に示すように、スライド表示板722がスライド表示板保持部723内で移動することにより、白色部分722Bが窓部721に露出している状態から赤色部分722Aが窓部721に露出している状態に代えることができるようになっている。これにより、窓部721に表示されるのが白色部分722Bから赤色部分722Aに変わることで、患者は酸素流路333が閉鎖されて酸素の供給が遮断されたことを視覚により認知できる。
【0063】
図13は、本発明のさらに別の実施形態を示す斜視図である。
図13に示す酸素濃縮装置10Aでは、過熱検知アダプタ300の本体部301の第1端部は、酸素出口部15に対して直接接続されるのではなく、延長接続管770を用いて接続されている。この延長接続管770は、好ましくは屈曲可能な金属管や難燃性樹脂により作られている。このように、過熱検知アダプタ300は、すでに使用している既設の酸素濃縮装置10Aの酸素出口部15に対して、延長接続管770を用いて接続する構造を採用することもできる。過熱検知アダプタ300の本体部301は、酸素濃縮装置10Aの例えば側面部10Dに対して粘着テープにより固定することができる。このように、過熱検知アダプタ300の後付けの仕方としては、過熱検知アダプタ300の本体部301と第1カプラソケット400を直接接続するだけでなく、本体部301と第1カプラソケット400は、金属製やフッ素樹脂製等の燃えないチューブを通じて間接的に接続することもできる。
【0064】
上述した本発明の実施形態の過熱検知アダプタ300は、図示した酸素濃縮装置10に対して後付けで装着できるが、過熱検知アダプタ300は、この酸素濃縮装置10以外の別の形式の酸素濃縮装置であっても後付けで装着することができるので、患者がすでに使用している既設の酸素濃縮装置であっても、過熱検知アダプタ300は、酸素濃縮装置の既設の金属管である酸素出口部に対して、容易に後付けで簡単に装着でき、過熱検知アダプタ300は汎用性が高い。
【0065】
本発明の実施形態の過熱検知アダプタは、原料空気から濃縮酸素を発生させて該濃縮酸素を供給するための酸素出口部を有する酸素濃縮装置に装着される過熱検知アダプタであって、酸素出口部とカニューラの間に着脱可能に接続される本体部と、本体部内に配置されて酸素出口部からカニューラへ濃縮酸素を通すためのチューブと、カニューラの過熱により熱が伝わるとチューブの酸素流路を閉塞して濃縮酸素の供給を遮断する酸素遮断部と、を有する。これにより、患者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に火災や異常な過熱環境にさらされた場合に、過熱検知アダプタは、確実に安全性を確保することができ、既存の酸素濃縮装置に対して後付けが可能である。
【0066】
また、カニューラの過熱を検知する過熱検知部を有し、酸素出口部と本体部内のチューブの第1端部とは、第1カプラソケットにより接続され、本体部内のチューブの第2端部とカニューラのチューブとは、接続部材と接続部材に連結された第2カプラソケットとにより接続され、過熱検知部は接続部材に配置されている。これにより、酸素出口部と本体部内のチューブの第1端部は、第1カプラソケットにより簡単に接続でき、本体部内のチューブの第2端部とカニューラは、第2カプラソケットにより簡単に接続できるので、過熱検知アダプタが、酸素濃縮装置の既設の酸素出口部に対して簡単に後付けをすることができる。
チューブは弾性変形可能なチューブであり、酸素遮断部は、カニューラの過熱により温度上昇してチューブの酸素流路を閉塞させる感温体である。これにより、感温体が、機械的にチューブに押し付けるだけで、チューブの酸素流路を閉塞して酸素の供給を確実に遮断できる。
【0067】
チューブは弾性変形可能なチューブであり、酸素遮断部は、チューブの酸素流路を開く方向に保持しカニューラの過熱により温度上昇することで溶断する溶断部材と、溶断部材が溶断するとチューブの酸素流路を閉塞させる付勢部材と、を有する。これにより、付勢部材が、機械的にチューブに押し付けるだけで、チューブの酸素流路を閉塞して酸素の供給を確実に遮断できる。
チューブは、カニューラの過熱により温度上昇することで形状が変形して酸素流路を閉塞させる形状記憶チューブである。これにより、チューブ自体が、機械的に酸素流路を閉塞して酸素の供給を確実に遮断できる。
【0068】
第1カプラソケットと第2カプラソケットは、同形状を有している。これにより、第1カプラソケットと第2カプラソケットは同形状のものを採用できるので、酸素濃縮装置の第1カプラソケットからカニューラを取り外した後に、第1カプラソケットには本体部内のチューブの第1端部を接続し、第2カプラソケットにはカニューラを接続すれば、過熱検知アダプタは簡単に後付けすることができるとともに、第1カプラソケットと第2カプラソケットは同形状のものを採用できるのでコストダウンを図ることができる。
【0069】
本体部内には、過熱検知部により検知された温度が予め定めた温度以上に達すると濃縮酸素の供給を遮断したことを報知する報知部が配置されている。これにより、患者は、濃縮酸素の供給が遮断されたことを確実に認知することができる。
報知部は、音で報知するブザーまたは光で報知するランプの少なくとも一方であることを特徴とする。これにより、患者は、濃縮酸素の供給が遮断されたことを、音または光の少なくとも一方により確実に認知することができる。
【0070】
本体部を酸素濃縮装置に対して固定するための取り付け部材を有する。これにより、過熱検知アダプタは酸素濃縮装置に対して確実に固定できる。酸素濃縮装置は、過熱検知アダプタを備える。これにより、患者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に火災や異常な過熱環境にさらされた場合に、過熱検知アダプタは、確実に過熱環境を検知して安全性を確保することができ、既存の酸素濃縮装置に対して後付けが可能である。
【0071】
本発明の各実施形態は、任意に組み合わせることができる。
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形例を採用することができる。
図7に示すように、過熱検知アダプタ300の本体部301内には、警報ランプ325と警報ブザー327の両方が配置されているが、いずれか1つを配置しても良い。
図7に示す過熱検知アダプタ300では、温度センサ320に代えて、炎センサを用いても良い。この炎センサは、例えば火炎の紫外線を検出するセンサ、赤外線を検出するセンサ、あるいは火炎電流を検出センサである。
上述の本発明の実施形態では、酸素濃縮装置の大きさや容量によりコンプレッサの回転数や送風ファンの回転数は適宜定めることができる。上記本発明の実施形態に記載された事項は、その一部を省略してもよいし、上記で説明しない他の構成と組み合わせることによっても本発明の範囲を逸脱するものではない。
【符号の説明】
【0072】
10・・・酸素濃縮装置、11・・・本体ケース、15・・・酸素出口部、22・・・カニューラ、23・・・スピーカ、23T・・・カニューラの接続端部、300・・・過熱検知アダプタ、301・・・過熱検知アダプタの本体部、303・・・チューブ、303A・・・チューブの第1端部、303B・・・チューブの第2端部、310・・・制御部、311・・・バッテリ、320・・・火炎検知部の一例である温度センサ、325・・・報知部の一例である警報ランプ、327・・・報知部の一例である警報ブザー、330,330A,330B・・・酸素遮断部、333・・・チューブの酸素流路、334・・・駆動部のロッド、400・・・第1カプラソケット、500・・・第2カプラソケット、520・・・連結部材、530・・・接続部材、700・・・取り付け部材、800・・・付勢部材、801・・・溶断式の温度ヒューズ(溶断部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃縮酸素を供給するための酸素出口部を有する酸素濃縮装置に装着される過熱検知アダプタであって、
前記酸素出口部と接続する第1端部と使用者まで前記濃縮酸素を届けるカニューラと接続する第2端部を有する本体部と、
前記第1端部と前記第2端部を連通させる酸素経路と、
前記カニューラの過熱により熱が伝わると前記酸素経路を閉塞して前記濃縮酸素の供給を遮断する酸素遮断部と
を有することを特徴とする過熱検知アダプタ。
【請求項2】
前記カニューラの過熱を検知する過熱検知部を有し、前記酸素出口部と前記第1端部とは、第1接続体を介して接続され、前記第2端部と前記カニューラとは、第2接続体を介して接続され、前記過熱検知部は前記第1端部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の過熱検知アダプタ。
【請求項3】
前記酸素経路がチューブであり、該内臓チューブは弾性変形可能なチューブであって、前記酸素遮断部は、前記カニューラの過熱により温度上昇して前記チューブの前記酸素流路を閉塞させる感温体であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の過熱検知アダプタ。
【請求項4】
前記酸素経路がチューブであり、該チューブは弾性変形可能なチューブであり、前記酸素遮断部は、前記チューブの前記酸素流路を開く方向に保持し前記カニューラの過熱により温度上昇することで溶断する溶断部材と、前記溶断部材が溶断すると前記チューブの前記酸素流路を閉塞させる付勢部材とを有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の過熱検知アダプタ。
【請求項5】
前記酸素経路としてのチューブは、前記カニューラの過熱により温度上昇することで形状が変形して前記酸素流路を閉塞させる形状記憶チューブであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の過熱検知アダプタ。
【請求項6】
前記第1接続体と前記第2接続体は同形状を有していることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の過熱検知アダプタ。
【請求項7】
前記本体部内には、前記過熱検知部により検知された温度が予め定めた温度以上に達すると前記濃縮酸素の供給を遮断したことを報知する報知部が配置されていることを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の過熱検知アダプタ。
【請求項8】
前記報知部は、音で報知するブザーまたは光で報知するランプの少なくとも一方であることを特徴とする請求項7に記載の過熱検知アダプタ。
【請求項9】
前記本体部を前記酸素濃縮装置に対して固定するための取り付け部材を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の過熱検知アダプタ。
【請求項10】
前記過熱検知アダプタを備えることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の酸素濃縮装置。
【請求項1】
濃縮酸素を供給するための酸素出口部を有する酸素濃縮装置に装着される過熱検知アダプタであって、
前記酸素出口部と接続する第1端部と使用者まで前記濃縮酸素を届けるカニューラと接続する第2端部を有する本体部と、
前記第1端部と前記第2端部を連通させる酸素経路と、
前記カニューラの過熱により熱が伝わると前記酸素経路を閉塞して前記濃縮酸素の供給を遮断する酸素遮断部と
を有することを特徴とする過熱検知アダプタ。
【請求項2】
前記カニューラの過熱を検知する過熱検知部を有し、前記酸素出口部と前記第1端部とは、第1接続体を介して接続され、前記第2端部と前記カニューラとは、第2接続体を介して接続され、前記過熱検知部は前記第1端部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の過熱検知アダプタ。
【請求項3】
前記酸素経路がチューブであり、該内臓チューブは弾性変形可能なチューブであって、前記酸素遮断部は、前記カニューラの過熱により温度上昇して前記チューブの前記酸素流路を閉塞させる感温体であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の過熱検知アダプタ。
【請求項4】
前記酸素経路がチューブであり、該チューブは弾性変形可能なチューブであり、前記酸素遮断部は、前記チューブの前記酸素流路を開く方向に保持し前記カニューラの過熱により温度上昇することで溶断する溶断部材と、前記溶断部材が溶断すると前記チューブの前記酸素流路を閉塞させる付勢部材とを有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の過熱検知アダプタ。
【請求項5】
前記酸素経路としてのチューブは、前記カニューラの過熱により温度上昇することで形状が変形して前記酸素流路を閉塞させる形状記憶チューブであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の過熱検知アダプタ。
【請求項6】
前記第1接続体と前記第2接続体は同形状を有していることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の過熱検知アダプタ。
【請求項7】
前記本体部内には、前記過熱検知部により検知された温度が予め定めた温度以上に達すると前記濃縮酸素の供給を遮断したことを報知する報知部が配置されていることを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の過熱検知アダプタ。
【請求項8】
前記報知部は、音で報知するブザーまたは光で報知するランプの少なくとも一方であることを特徴とする請求項7に記載の過熱検知アダプタ。
【請求項9】
前記本体部を前記酸素濃縮装置に対して固定するための取り付け部材を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の過熱検知アダプタ。
【請求項10】
前記過熱検知アダプタを備えることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の酸素濃縮装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−10781(P2012−10781A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148091(P2010−148091)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【出願人】(396007694)株式会社医器研 (57)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【出願人】(396007694)株式会社医器研 (57)
[ Back to top ]