説明

過酸および2−ヒドロキシ有機酸組成物および農産物を処理する方法

微生物を制御するために農産物を処理するための方法および組成物が提供される。該方法は、農産物の表面をi)式RC(O)OOH(式中:Rはメチル、エチル、n−プロピル、またはs−プロピルである)の有機過酸;ii)酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸、および乳酸から選択される2−ヒドロキシ有機酸;および(所望により)iii)陰イオン界面活性剤を含む水性溶液と接触させることによって農産物を処理する、ここで、該水性溶液は、2.5〜6.0のpHを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2008年6月24日付出願の、米国仮出願シリアル番号第61/075,267号の優先権を主張し、その内容はすべての目的としてその全体を本明細書の一部とする。
【0002】
(連邦支援の研究および開発の下で行われた発明の権利についての記載)
適用なし
【0003】
(コンパクト・ディスクで提出される「配列表」、表、またはコンピュータプログラム表の付録に関する記載)
適用なし
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
農産物、例えば、フルーツおよび野菜の表から微生物を除去する安全かつ確実な方法はその国際貿易および消費の発展の促進をもたらす公衆衛生問題を高めることである。食品から微生物を除去するかまたは減少させるための既存の方法は、疾患をもたらす可能性があるかまたは農産物を腐敗する微生物を十分に制御しない。したがって、農産物における微生物の存在を著しく減少させうる新規の方法および組成物が大いに必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、これらの必要に応える組成物および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本発明は、農産物、例えば、フルーツおよび野菜を殺菌し、その品質を維持するのに有用な組成物および方法を提供する。第1の態様において、本発明は、農産物を殺菌するのに有用な組成物を提供する。組成物は、2.5〜6.0のpHを有し、i)式RC(O)OOH(式中:Rはメチル、エチル、n−プロピル、またはs−プロピルである)の有機過酸;ii)酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸、および乳酸から選択される2−ヒドロキシ有機酸;iii)水;および所望によりiv)陰イオン界面活性剤を含む水溶液である。好ましい実施態様において、過酸はペルオキシ酢酸(過酢酸またはアセチルヒドロペルオキシドとしても知られている)であり、有機酸は乳酸(2−ヒドロキシプロピオン酸としても知られている)であり、存在する場合、好ましい陰イオン界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。過酸の水性殺菌溶液は、過酸化水素、その対応する酸、および水の濃縮溶液と平衡状態で存在しうるかまたはその濃縮溶液から形成されうるので、水性殺菌溶液はまた、過酸化水素および対応する酸(例えば、ペルオキシ酢酸の場合における酢酸)を含有しうる。殺菌溶液は、濃縮物としてまたはすぐに使える水性製剤として提供されうる。組成物はまた、農産物を殺菌または処理するのに用いるためのキットの一部として提供されうる。
【0007】
第2の態様において、本発明は、農産物の表面を本発明の殺菌溶液と接触させることによって野菜およびフルーツを含む、農産物を殺菌または処理する方法を提供する。接触は、存在する、任意のヒト病原体を含む、多数の微生物を著しく減少させるかまたは農産物の表面に付着することによって農産物の表面を殺菌しうる。接触はまた、農産物の表面上の常在微生物汚染による農産物の腐敗を防止するのに有用でありうる。接触はまた、異臭、腐敗を減少させることおよび/または農産物の表面上の常在微生物の成長を抑制することによって保存中の農産物の品質を保持するのに有用でありうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
(図面の簡単な説明)
【図1】図1は、フリューム水(flume-water)浮遊細胞攻撃試験における、左から右の順序の、5つの処理:a)塩素処理水:pH6.5の50〜70ppm活性塩素;b)CS:クエン酸として主活性成分を有する市販の抗菌産物クリーナー+表面活性剤;c)ペルオキシ酢酸:70〜80ppmペルオキシ酢酸+0.01%界面活性剤;d)乳酸溶液:0.9〜1.2%乳酸+0.01%界面活性剤;およびe)FE:70〜80ppmペルオキシ酢酸+0.9〜1.2%乳酸+0.01%界面活性剤の比較である。用いられる界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムであった。
【図2】図2は、葉付着(leaf-attached)細胞攻撃試験における図1の5つの処理の各々の比較である。
【図3】図3は、処理された農産物の劣化を減少させるための、塩素処理水および本発明の水性溶液(FE:ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の能力の比較である。
【図4】図4は、処理された農産物の異臭を減少させるための、塩素処理水および本発明の水性溶液(FE:ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の能力の比較である。
【図5】図5は、低含水率のスプリング・ミックスの劣化を減少させるための、塩素処理水および本発明の水性溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の能力の比較である。
【図6】図6は、低含水率のスプリング・ミックスの異臭を減少させるための、塩素処理水および本発明の水性溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の能力の比較である。
【図7】図7は、低含水率のスプリング・ミックスにおける常在微生物の増殖を抑制するための、塩素処理水および本発明の水性溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の能力の比較である。
【図8】図8は、低含水率のスプリング・ミックスの腐敗を抑制するための、塩素処理水および本発明の水性溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の能力の比較である。
【図9】図9は、高含水率のスプリング・ミックスの劣化を減少させるための、塩素処理水および本発明の水性溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の能力の比較である。
【図10】図10は、高含水率のスプリング・ミックスの異臭を減少させるための、塩素処理水および本発明の水性溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)での処理の能力の比較である。
【図11】図11は、高含水率のスプリング・ミックスにおける常在微生物の増殖を抑制するための、塩素処理水および本発明の水性溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の能力の比較である。
【図12】図12は、高含水率のスプリング・ミックスの腐敗を抑制するための、塩素処理水および本発明の水性溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の能力の比較である。
【図13】図13は、ホウレンソウの劣化を減少させるための、塩素処理水および本発明の水性溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の能力の比較である。
【図14】図14は、ホウレンソウの異臭を減少させるための、塩素処理水および本発明の水性溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)での処理の能力の比較である。
【図15】図15は、高含水率のホウレンソウにおける常在微生物の増殖を抑制するための、塩素処理水および本発明の水性溶液(ペルオキシ酢酢酸、乳糖およびラウリル硫酸ナトリウム)の能力の比較である。
【図16】図16は、ホウレンソウにおける腐敗微生物を抑制するための、塩素処理水および本発明の水性溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の能力の比較である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明は、ペルオキシ酢酸、乳酸、および(所望により)ラウリル硫酸ナトリウムを含む水性溶液が、意外にも、農産物の処理に有効であり、処理された農産物の表面上の微生物汚染を減少させ、処理された農産物の腐敗または劣化を防止するという知見に関する。これらの利点は、レタス、ホウレンソウおよび種々のベビーレタスおよび葉野菜のスプリング・ミックスで示されている。成分の組み合わせは、単独で作用する成分のいずれか1つより葉付着微生物を減少させるのに非常に有効であり、また、農産物の劣化または腐敗を減少させるのに特に有効である。
【0010】
ペルオキシ酢酸抗菌活性は、その強い酸化力に依存する。酸化のメカニズムは電子の移動であるため、酸化剤はより強力で、より速く電子を微生物に移動させて、より速く微生物を不活化するかまたは死滅する。そのため、下表に基づくと、ペルオキシ酢酸は、塩素系殺菌剤より強い酸化力を有するが、オゾンのものよりは低い。
【表1】

【0011】
分子の拡散はその半減期より遅いので、ペルオキシ酢酸は、その隣接する任意の酸化化合物と反応するであろう。それは、実質的に、微生物に関連する全種類の高分子、例えば、炭水化物、核酸(変異)、脂質(脂質過酸化反応)およびアミノ酸(例えば、Pheのm−Tyrおよびo−Tyrへの転換)、および最終的な細胞溶解に障害をもたらしうる。通常、酸化有機化合物の化学特性を有する2−ヒドロキシ有機酸、例えば、乳酸は、強力な酸化剤、特に過酸と一緒に用いられることからは逸脱しているであろう。したがって、本発明において過酢酸および乳酸を組み合わせることは特に意外なことであり、2つの化合物が他方に対して拮抗する作用よりむしろ相乗的効果を有することを示されている。
【0012】
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲に用いられる、単数形「a」、「an」および「the」には、内容を明確に示さない限り、複数の指示対象が含まれることを留意しなければならない。したがって、例えば、「界面活性剤」の言及には、2種または複数のかかる界面活性剤が含まれる。
【0013】
特に明記しない限り、本明細書に用いられる、すべての技術的および科学的用語は、本発明に関連する当業者によって一般的に理解される意味と同一の意味を有する。すべての範囲には終値が含まれる。
【0014】
本発明の水性溶液および方法に関して、「過酸」および「有機過酸」は、Rが1〜3個の炭素原子を有する脂肪族基である、構造RC(O)OOHの化合物をいう。Rは、メチル、エチル、n−プロピル、またはs−プロピルであってもよい。特に好ましい過酸は、過酢酸/ペルオキシ酢酸/PAA/(CHC(O)OOH)である。上記の有機過酸の混合物は用いられうる。
【0015】
水性溶液中には、有機過酸は、過酸化水素と化学平衡状態で存在するので、反応式:
【化1】

において対応する有機酸および過酸化水素から形成されうる。
【0016】
各反応体の平衡濃度は、平衡方程式:
([RCOOOH][HO])/([RCOOH][H])=Kap (方程式1)
[式中:[RCOOOH]は過酸のモル/L濃度であり;[HO]は水のモル/L濃度であり;[RCOOH]は有機酸のモル/L濃度であり;および[H]は過酸化水素のモル/L濃度であり;およびKapは過酸平衡方程式(方程式I)の見掛け平衡定数である]
から算出されうる。
【0017】
見掛け平衡定数、Kapは、選択された過酸および温度によって変化する。過酸形成の平衡定数は、D. Swern, ed., Organic Peroxides, Vol. 1, Wiley-Interscience, New York, 1970にて見出されうる。40℃の温度にて、ペルオキシ酢酸の見掛け平衡定数は、約2.21である。該平衡反応式にしたがって、有機過酸溶液は、有機過酸に加えて、過酸化水素および対応する有機酸を含む。
【0018】
希釈すると、新たに平衡状態に達する前に比較的長期間経過しうる。例えば、約5%ペルオキシ酢酸を含む平衡溶液は、典型的には、約22%過酸化水素を含む。約15%ペルオキシ酢酸を含む平衡溶液は、典型的には、約10%過酸化水素を含む。これらの平衡溶液を約50ppmのペルオキシ酢酸を含む溶液に希釈すると、5%ペルオキシ酢酸溶液の希釈によってもたらされる溶液は、約220ppmの過酸化水素を含み、15%溶液の希釈によってもたらされる溶液は、約33ppmの過酸化水素を含む。したがって、いくつかの実施態様において、殺菌溶液は、使用直前に水または本発明に記載の殺菌溶液の他の成分を含む水性溶液で所望の過酸濃度に希釈される濃縮物として提供される。いくつかの実施態様において、殺菌溶液は、使用直前に希釈される濃縮物として提供される。
【0019】
過酸は、上記の平衡式にしたがって容易に商業的に入手可能である。ペルオキシ酢酸(CAS No.79-21-0)は、例えば、ペルオキシ酢酸(35%)、過酸化水素(6.5%)、酢酸64−19−7(40%)、硫酸(約1%)および水(約17%)(全単位w/w)を含む水性溶液として容易に商業的に入手可能である。
【0020】
2−ヒドロキシ有機酸は、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸、および乳酸から選択される。主要な生物学的光学異性体が好ましい。2−ヒドロキシ有機酸はまた、ラセミ化合物ならびにその光学的に純粋な異性体のいずれかとして提供されうる。いくつかの実施態様において、(+)エナンチオマーが好ましい(例えば、L−乳酸、L(+)−乳酸)。
【0021】
本明細書に用いられる、「殺菌する」なる語は、細菌性芽胞を除く表面上の生存微生物の減少を意味するであろう。いくつかの実施態様において、減少は、少なくとも99.9%、99.99%、99.999%(例えば、各々、3、4、または5 log単位)あるいは本発明の殺菌溶液との接触前後に測定される少なくとも3、4、5、6、7、または8 log単位である。いくつかの実施態様において、殺菌表面は、任意の適用可能な公衆衛生慣習によって安全と考えられる病原性微生物のレベルまたは感染もしくは疾患の危険性があると考えられる閾値以下を有する。したがって、表面は、殺菌される全ての形態の微生物の生命を完全に排除または破壊する必要はない。減少は、物理的除去、あるいは微生物の増殖の破壊または抑制をもたらす微生物への毒性によるものでありうる。
【0022】
「農産物」は、限定されるものではないが、生で食べられるものを含む、全体または切られた有機および非有機野菜およびフルーツに言及する。いくつかの実施態様において、農産物は、スプリング・ミックス、ホウレンソウ、ロメインレタス、アボカド、ヤムイモ、アスパラガス、キクヂシャ、ルッコラ、赤チコリ、豆苗、イノンド、ニラ、結球レタス、リーフレタス(例えば、赤および緑レタス)、アイスバーグレタス、エンダイブ、パセリ、ホウレンソウ、ダイコン、セロリ、ニンジン、ビート、タマネギ、ダイオウ、ナス、カラシ、カボチャ、ズッキーニ、キュウリ、トマト、ジャガイモ、サツマイモ、カブ、ルタバガ、ズッキーニ、キャベツ(例えば、赤および緑キャベツ)、ケール(例えば、緑および紫ケール)、コールラビ、コラードグリーン、カリフラワー、東洋野菜(例えば、ベビー・バッチョイ、サヤマメ、マスタード植物、中国ブロッコリー、白菜、ニラ、パクチー、ヤウチョイ(yau-choy)、ヘチマ)、芽キャベツ、オクラ、マッシュルーム、サヤエンドウ、ダイズ、ブロッコリー、キンギョソウ・エンドウ(snapdragon pea)、トウモロコシ、およびタンポポ若葉;フルーツ、例えば、リンゴ、パイナップル、メロン(例えば、カンタロープメロン、スイカ、甘露メロン、マスクメロン、冬瓜)、かんきつ類フルーツ(例えば、ミカン、レモン、タンジェリン、グレープフルーツ)、ゴルジ、アサイ、モモ、ベリー、アンズ、柿、キーウィ、マルメロ、プラム、プルーン、ブドウ、および西洋ナシ;ならびにベリー類、例えば、ストロベリー、ラズベリー、グーズベリ−、ローガンベリー、ボイゼンベリー、クランベリー、スグリ、エルダーベリー、ブラックベリー、およびブルーベリーである。
【0023】
「実質的に含まない」なる語は、目的化合物または物質が約300ppm未満、好ましくは約150ppm未満およびより好ましくは約50ppm未満および最も好ましくは約10ppm未満あるいは1重量ppmのレベルで溶液中に存在することを意味する。
【0024】
本発明の組成物
したがって、第1の態様において、本発明は、2.5〜6.0のpHを有し、1)式RC(O)OOH(式中:Rはメチル、エチル、n−プロピル、またはs−プロピルである)の有機過酸;ii)酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸、および乳酸から選択される2−ヒドロキシ有機酸;iii)水;および所望によりiv)陰イオン界面活性剤を含む水性溶液を提供する。いくつかの実施態様において、pHは、2.5〜3.5、2.5〜4.0、2.7〜3.5、2.5〜5.0、3.0〜4.0、3.0〜5.0、3.0〜6.0、または3.5〜4.5である。
【0025】
本発明の水性溶液において用いるための適当な2−ヒドロキシ有機酸は、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸、および乳酸(すなわち、2−ヒドロキシプロパン酸)である。典型的な2−ヒドロキシ有機酸は乳酸である。2つまたは複数の上記の2−ヒドロキシ有機酸のいずれかの組み合わせが用いられうる(例えば、乳酸+クエン酸;乳酸+酒石酸;乳酸+リンゴ酸;乳酸+マンデル酸)。
【0026】
いくつかの実施態様において、過酸はペルオキシ酢酸であり、有機酸は乳酸であり、陰イオン界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。他の実施態様において、過酸の溶液中濃度は3〜100ppm(w/w)であり、2−ヒドロキシ有機酸の溶液中濃度は0.1%〜2%(w/w)であって、pHは2.5〜5.0である。またさらなる実施態様において、過酸の濃度は5〜100ppm(w/w)であり、2−ヒドロキシ有機酸の濃度は0.1〜2%(w/w)である。
【0027】
さらなる実施態様において、本発明の水性溶液は、約60〜80ppm(w/w)の過酸の溶液中濃度、約0.2%〜1.25%(w/w)の2−ヒドロキシ有機酸の溶液中濃度、および約2.8〜4.2または3.8〜4.2のpHを有する。
【0028】
いくつかの実施態様において、過酸の溶液中濃度は3〜100ppm(w/w)であり、2−ヒドロキシ有機酸の溶液中濃度は0.1%〜2%(w/w)であり、pHは2.5〜5.0である。またさらなる実施態様において、過酸の濃度は50〜100ppm(w/w)であり、2−ヒドロキシ有機酸の濃度は0.1〜1%(w/w)である。さらなる実施態様において、過酸はペルオキシ酢酸であり、2−ヒドロキシ有機酸は乳酸(例えば、L(+)−乳酸)である。またさらなる実施態様において、過酢酸の濃度は60〜90ppmまたは70〜80ppmである。またさらなる実施態様において、乳酸の濃度は0.1〜0.8%または0.2〜0.4%(w/w)である。
【0029】
特に好ましい実施態様において、本発明は、約2.5〜6.0のpH、より好ましくは2.8〜4.2または3.8〜4.2のpHのペルオキシ酢酸および乳酸(例えば、L−(+)−乳酸)の水性溶液からなるかまたは基本的にそれからなる組成物であって、該溶液が過酸化水素または酢酸をさらに含み、任意の界面活性剤を実質的に含まない、組成物を提供する。いくつかの実施態様において、水性溶液は、L−(+)−乳酸以外の乳酸の任意の異性体を実質的に含まない。上記のいずれかのさらなる実施態様において、過酸(例えば、ペルオキシ酢酸)の溶液中濃度は、30〜300ppm(w/w)、60〜80ppm(w/w)、50〜200ppm(w/w)、60〜160ppm(w/w)、120〜160ppm(w/w)、または140〜160ppm(w/w)であって、2−ヒドロキシ有機酸(例えば、乳酸)の溶液中濃度は、0.1%〜5%(w/w)、0.1%〜2%、0.2%〜1%、0.2%〜0.6%、もしくは0.1%〜0.5%、または約2%、3%、もしくは4%から選択され、pHは、2.5〜6.0、2.5〜5.0、2.8〜3.2、2.5〜3.5、または2.6および3.2である。上記の他の実施態様において、溶液は、10、20もしくは30秒〜2分または約10、20、30もしくは40秒、殺菌される農産物を接触させるものである。さらなる実施態様において、過酸の濃度は30〜100ppm(w/w)であり、2−ヒドロキシ有機酸の濃度は0.3〜2.0%(w/w)である。特に好ましい実施態様において、過酸の濃度は70〜80ppm(w/w)であり、2−ヒドロキシ有機酸の濃度は0.2〜0.4%(w/w)である。上記のいずれかの他の実施態様において、溶液は35°F〜45°Fの温度または常温である。これらの水性溶液は、任意のまたはすべての非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤または陰イオン界面活性剤を含む界面活性剤を含み得ないかまたは実質的に含み得ない。一般に、1〜20ppm、5〜15ppm、または7〜12ppmの低レベルの過酸化水素は、溶液中に存在しうる。いくつかの実施態様において、過酸化水素から形成されるかまたは水性溶液中に存在する2−ヒドロキシ有機酸の任意の過酸は、溶液中1/10、1/5、または1/50未満の対応する2−ヒドロキシ有機酸の量で存在しうる。上記の好ましい実施態様において、過酸はペルオキシ酢酸であり、2−ヒドロキシ有機酸は、1つまたは複数の酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸、および乳酸から選択される。上記のいずれかの特に好ましい実施態様において、2−ヒドロキシ有機酸は乳酸である。
【0030】
有機過酸が平衡に達する速度を加速するために加えられる、触媒はまた、所望により本発明に記載の溶液中に存在しうる。典型的な触媒は、強酸、例えば、硫酸、スルホン酸、リン酸およびホスホン酸である。過酸溶液が所望の過酸レベルをもたらすために希釈される場合、触媒も希釈されうる。低レベルの硫酸、例えば、約1ppm〜約50ppmの範囲の濃度の存在は、殺菌剤組成物の特性に悪影響を及ぼさない。
【0031】
所望により、本発明の溶液のいずれかは、農産物に使用するかまたは接触させる間、溶液の発泡または起泡を低下または抑制する物質をさらに含みうる。本発明に記載の溶液はまた、任意の非イオン性、陰イオン、および/または陽イオン界面活性剤を本質的に含んでいなくてもよくならびに/あるいは任意の造粘剤も本質的に含んでいなくてもよい。
【0032】
本発明に記載の溶液はまた、農産物上の溶液の検出を促進するための着色剤を含んでいてもよい。
【0033】
陰イオン界面活性剤が本発明の水性溶液に加えられるものならば、それらは、好ましくは、当該分野にて周知の食品安全物質、C6−18アルキルスルファートおよび/またはスルホネート(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムまたはカリウム)ならびにその混合物から選択される。アルキルスルファートは、特にナトリウムおよび/またはカリウム塩として、抗菌有効性および食味について好ましい。ドデシル硫酸ナトリウムまたはラウリル硫酸ナトリウムは、特に好ましい陰イオン界面活性剤である。
【0034】
いくつかの実施態様において、それに応じて、過酸はペルオキシ酢酸であり、有機酸は乳酸、陰イオン界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。他の実施態様において、過酸の溶液中濃度は3〜100ppm(w/w)であり、2−ヒドロキシ有機酸の溶液中濃度は0.1%〜2%(w/w)であり、陰イオン界面活性剤の溶液中濃度は10〜2500ppmであり、pHは2.5〜5.0である。またさらなる実施態様において、過酸の濃度は5〜100ppm(w/w)であり、2−ヒドロキシ有機酸の濃度は0.1〜2%(w/w)であり、陰イオン界面活性剤の濃度は50〜400ppmである。
【0035】
一般には、過酸化水素の水性溶液中濃度は、過酸の濃度の5倍〜10倍未満であり、その存在は、過酸と対応する酸および過酸化水素との平衡状態または相互変換を示す。過酸化水素の濃度は、例えば、過酸の選択および濃度に応じて、5ppm、10ppmまたは20ppm未満でありうる。したがって、過酸化水素の水性溶液中濃度は、典型的には、過酸の濃度より大幅に低い。
【0036】
したがって、いくつかの実施態様において、本発明は、i)式RC(O)OOH(式中:Rはメチル、エチル、n−プロピル、またはs−プロピルである)の有機過酸;ii)酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸、および乳酸から選択される2−ヒドロキシ有機酸;および、所望によりiii)陰イオン界面活性剤を含む水性溶液であって、2.5〜6.0、4.0〜6.0、3.5〜4.5、3.0〜5.0、3.6〜4.2、2.5〜5.0、2.5〜4.5、2.5〜3.5、2.7〜3.5、3.6〜4.6、2.8〜3.2、または約3.0(例えば、3.0+/−0.2;3.0+/−0.3)のpHを有し、過酸の濃度が40〜250ppm(w/w)であり、2−ヒドロキシ有機酸の濃度が0.1〜1%(w/w)である、水性溶液を提供する。さらなる実施態様において、水性溶液は、ペルオキシ酢酸である過酸およびL−(+)−乳酸である2−ヒドロキシ有機酸を有する。またさらなる実施態様において、ペルオキシ酢酸の溶液中濃度は50〜100ppm(w/w)であり、乳酸の溶液中濃度は0.1%〜0.6%(w/w)である。好ましい水性溶液は、60〜80ppm(w/w)のペルオキシ酢酸の濃度および0.1%〜0.4%(w/w)の乳酸の濃度を有する。上記のいずれかの他の実施態様において、pHは、2.5〜4.5、2.8〜3.2、2.5〜5.0、および2.7〜3.5から選択される範囲になる。上記のいずれかの他の実施態様において、溶液は、35°F〜45°Fの温度または常温である。これらの水性溶液は、任意のまたはすべての非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤または陰イオン界面活性剤を含む界面活性剤を実質的に含み得ない。一般に、1〜20ppm、5〜15ppm、または7〜12ppmの低レベルの過酸化水素は、溶液中に存在しうる。形成されるかまたは溶液中に存在する任意のペルオキシ2−ヒドロキシ有機酸は、溶液中1/10量、1/5量、1/20量、1/50量未満の対応する2−ヒドロキシ有機酸の量で存在しうる。
【0037】
いくつかの実施態様において、水性溶液は、過酸化水素を実質的に含まない2−ヒドロキシ有機酸の溶液を過酸の溶液に加えることによってまたは過酸の溶液を過酸化水素を実質的に含まない2−ヒドロキシ有機酸の溶液に加えることによって形成される。得られた混合物は、上記のまたは本明細書に記載の農産物と接触させるのに適当な殺菌濃度の濃縮物または予混合物でありうる。他の実施態様において、任意の過酸化水素を実質的に含まない有機酸および過酸は、農産物を洗浄または殺菌するのに用いられる水性流体に別々に加えられる。いくつかの実施態様において、pHおよび/または過剰の溶液中濃度および/または2−ヒドロキシ有機酸の溶液中濃度は、1つまたは複数のpH、過酸の濃度、2−ヒドロキシ有機酸の濃度、または溶液の酸化還元力をモニターすることならびに農産物の接触に溶液を用いる場合にpH、過酸および乳酸の水性溶液中濃度を維持するために水性溶液の濃縮物または予混合物を加えることによって維持される。
【0038】
本発明の上記溶液のいずれかは、特に、農産物に使用するかまたは接触させる間、溶液の発泡または起泡を低下または抑制する物質をさらに含む。本発明に記載の溶液はまた、任意の非イオン性および/または陽イオン界面活性剤を本質的に含んでいなくてもよくならびに/あるいは任意の造粘剤も本質的に含んでいなくてもよい。
【0039】
付加的な実施態様において、本発明の水性溶液は、約60〜80ppm(w/w)の過酸の溶液中濃度、約0.2%〜1.25%(w/w)の2−ヒドロキシ有機酸の溶液中濃度、および約150〜200ppm(w/w)の陰イオン界面活性剤の溶液中濃度、ならびに約3.8〜4.2または3.8〜4.2のpHを有する。
【0040】
本発明に記載の水性溶液はまた、所望により、過酸化水素の分解を触媒する金属をキレートする金属イオン封鎖剤を含んでいてもよい。これらの物質には、限定されるものではないが、二価金属カチオンを封鎖可能な有機ホスホン酸、ならびにかかる酸の水溶性塩が含まれる。一般的なキレート剤は、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸である。殺菌剤組成物中に存在するキレート剤は、典型的には、使用すると希釈されるため、使用中その効果を最小限に抑える。特に、本発明の水性殺菌剤溶液は、所望により、マグネシウムまたはカルシウムをキレートする物質を含有しうる。
【0041】
理論にとらわれることなく、所望の陰イオン界面活性剤の存在は、水性溶液の表面張力および粘度を低下させ、農産物の表面に対する溶液の拡散を促進するのに有用でありうる。低粘度は、特に、層、しわなどが存在する場合、食品の表面に対する拡散を促進することによって処理の完全性を改善する。低粘度はまた、洗浄特性および任意の残存乾燥の速度を改善する。
【0042】
いくつかの実施態様において、水性溶液は、実施例に記載の任意の方法にしたがって(例えば、レタス葉に付着したイー・コリまたはリステリア病原体サロゲートを用いて)、少なくとも2 log単位まで、より好ましくは少なくとも3 log単位まで、およびさらにより好ましくは少なくとも4 log単位まで農産物の表面上の微生物汚染物質を減少させうる。他の実施態様において、方法は、実施例に記載の任意の方法にしたがって10%、20%、30、40%、20〜50%までまたは1、2、3、4、もしくは5日まで腐敗を抑制するかまたは農産物の保存期間を延長する。
【0043】
米国において、フルーツおよび野菜を洗浄するための洗浄成分の使用および選択は、米国連邦規則集、第21巻、セクション173.315:「Ingredients for use in washing or lye peeling of fruits and vegetables」に記載されている。出典明示により本明細書の一部とする、これらの規則は、食品と直接接触させるために用いられ得、「一般に安全と認められる」(GRAS)として記載される成分、および少しの他の選択された成分を明記する。これらのセクションはまた、ある状況下で用いられうる物質の量にある制限を与える。
【0044】
好ましくは、ヒト食品に直接加えられるかまたは接触させる物質は、上記に組み込まれるように、一般に安全と認められる(GRAS)となるように選択されうる。直接GRAS成分は、直接ヒト食品成分が適当な食品等級であること;食品成分として製造および処理されること、および食品に加えられる成分量が、食品における目的とする物理的、栄養的、または他の技術的効果を達成するのに合理的に必要な量を超えないことを含む、医薬品適正製造基準下で用いられるであろう。
【0045】
溶液は、本明細書に記載の農産物と接触させる殺菌溶液を得るために水で希釈される予混合物または濃縮物として得られうる。予混合物または濃縮物は、使用前に水で4〜200倍、10〜100倍、10〜50倍、10〜25倍、4〜10倍希釈する必要があると考えられている(例えば、約5倍、10倍、20倍、40倍、50倍、100倍希釈)。
【0046】
「実質的に含まない」なる語は、一般に、目的物質が存在しないかまたは目的物質の特性を実質的に変化させ得ない微量成分として存在することを意味する。過酸化水素に関して、過酸化水素を実質的に含まない2−ヒドロキシ有機酸溶液は、過酸化水素を有しないものでありうるかあるいは0.1ppm(w/w)未満の過酸化水素の量を有する。ペルオキシ2−ヒドロキシ有機酸に関して、2−ヒドロキシ有機過酸が目的組成物に存在しないかまたは1/10量、1/20量、1/40量、または1/100量未満の対応する2−ヒドロキシ有機酸の量で存在するかまたは過酸化水素および式RC(O)OOH(式中:Rはメチル、エチル、n−プロピル、またはs−プロピルである)の有機過酸を含有する溶液における2−ヒドロキシ有機酸の反応によって最初に形成される反応生成物としてのみ存在する場合、殺菌溶液は、2−ヒドロキシ有機過酸を実質的に含まない。したがって、いくつかの実施態様において、殺菌組成物または殺菌組成物の製造に用いられる2−ヒドロキシ有機溶液は、2−ヒドロキシ有機酸の過酸を実質的に含まない。
【0047】
容器およびキット
いくつかの実施態様において、本発明は、本発明の水性殺菌溶液および農産物の処理に用いるための使用説明書を含むキットを提供する。いくつかのさらなる実施態様において、キットは、平衡状態または平衡状態近傍の過酸溶液を含む第1部を提供する。典型的には、すぐに使えるかあるいは約5重量%〜約35重量%の過酸、例えば、ペルオキシ酢酸、または過酸の混合物を含む、溶液が提供され、使用前にどの程度水で希釈すべきかについての使用説明書を備えている。キットは、浸漬ボウルおよびストレーナーを含有する。すぐに使える製剤は、噴霧ボトル中に提供されうる。他の実施態様において、キットは、すぐに使える製剤の量を所望により含有する再充填噴霧ボトルと一緒に1つの容器中で濃縮物として水性殺菌溶液を提供しうる。該キットには、濃縮物を水で送達する場合に、使用するために希釈する適当な因子についての指示書が含まれるであろう。典型的には、濃縮物は、すぐに使える製剤より4、5、6、8、10または20倍以上濃縮されるであろう。かかるキットは、特に、消費者用として適当であろう。
【0048】
本発明の方法
第2の態様において、本発明は、農産物の処理方法であって、表面を本発明に記載の水性殺菌溶液と接触させることを含む、方法を提供する。溶液は、当業者に周知の任意の適当な手法によって農産物に接触または適用されうる。例えば、溶液は、殺菌される表面と殺菌溶液の間で強く接触させる任意の方法によって適用されうる。かかる方法には、水浴、洗浄、コーティング、ブラッシング、ディッピング、イマージング、ワイピング、ミスティング、噴霧、およびフォギングが含まれる。これらの工程は、完全な接触を確保するために繰り返されうる。適用されると、所望の殺菌作用(例えば、4、5、6、7、または8 log倍の微生物汚染物質の除去)を確保するのに十分な滞留時間の後に、溶液は、遠心分離および/または脱水および/または食品に用いるのに適当な水(例えば、飲料水)で農産物をすすぎもしくは洗浄することによって農産物の表面から物理的に除去されうる。これらの工程の任意の組み合わせは、順々に行われうる。すすぎは、過酸、2−ヒドロキシ有機酸、およびラウリル硫酸ナトリウムがGRAS量で存在する場合には必須ではない。特に、好ましく用いられる過酸は揮発性物質であるので、乾燥すると農産物上に残留物はほとんど残らないであろう。
【0049】
滞留時間は、過酸(例えば、ペルオキシ酢酸)、2−ヒドロキシ有機酸(例えば、L−(+)−乳酸)、および界面活性剤(もしあれば)の濃度によって異なるであろう。しかしながら、一般に、約10秒〜約10分の滞留時間、農産物の表面を水性殺菌剤溶液と接触させうると考えられる。より好ましくは、滞留時間は約20秒〜最大約1、2または4分である。滞留時間は、過酸および2−ヒドロキシ有機酸の温度および濃度にしたがって変化しうる。より低い温度および濃度は、当業者が容易に経験的に決定しうるので、より長い接触時間を必要とするであろう。
【0050】
水性殺菌剤溶液/リンス溶液が適用する温度は、農産物の熱耐性に基づくべきである。一般に、より低い温度は、農産物の保存時間を延長する。したがって、殺菌剤溶液は、35°F〜60°Fの温度にて効果的に適用されうる。好ましくは、温度は38°F〜45°Fである。最も好ましくは、温度は38°F〜約42°Fである。しかしながら、他の温度は、処理される農産物の熱耐性にしたがって用いられうる。
【0051】
いくつかの実施態様において、接触は、少なくとも4 log単位、より好ましくは少なくとも5 log単位、およびさらにより好ましくは少なくとも6、7、または8 log単位まで農産物の表面上の微生物汚染を減少させる。他の実施態様において、方法は、腐敗を防止するかあるいは10%、20%、30、40%、20〜50%または1、2、3、4、または5日まで農産物の保存期間を延長する。汚染物質は、ヒト病原体(例えば、イー・コリ(E. coli)O157H7、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocyogenes)、サルモネラ菌(Salmonella)の株)または農産物の表面上で典型的に見出される常在微生物でありうる。
【0052】
本発明に記載の水性殺菌剤溶液は、国内および商業的用途に、例えば、食品サービス、食品加工、およびヘルスケア産業において用いられうる。殺菌剤組成物は、特に食品および食品接触表面上に用いられるけれども、他の接触表面上にも用いられうる。具体的な実施態様において、本発明に記載の溶液は、輸送前、輸送中もしくは輸送後、陳列中、保存中、あるいは食事の準備および/または摂取直前に農産物を処理するために用いられる。
【0053】
方法は、特に生で食べてもよいものを含む、フルーツおよび野菜の処理に特に好適である。例えば、限定されるものではないが、方法は、スプリング・ミックス、ルッコラ、赤チコリ、豆苗、イノンド、ニラ、ホウレンソウ、ロメインレタス、アルパラガス、結球レタス、リーフレタス、アイスバーグレタス、エンダイブ、パセリ、ホウレンソウ、ダイコン、セロリ、ニンジン、ビート、タマネギ、ダイオウ、ナス、カラシ、キュウリ、トマト、ジャガイモ、サツマイモ、カブ、ルタバガ、ズッキーニ、キャベツ、ケール、コールラビ、コラードグリーン、カリフラワー、芽キャベツ、オクラ、マッシュルーム、サヤエンドウ、ダイズ、ブロッコリー、キンギョソウ・エンドウ、トウモロコシ、およびタンポポ若葉;フルーツ、例えば、リンゴ、カンタロープメロン、パイナップル、スイカ、甘露メロン、ミカン、レモン、タンジェリン、モモ、ベリー、アンズ、マルメロ、プラム、ブドウ、および西洋ナシ;ならびにベリー類、例えば、ストロベリー、ラズベリー、グーズベリ−、ローガンベリー、ボイゼンベリー、クランベリー、スグリ、エルダーベリー、ブラックベリー、およびブルーベリー;ならびにハーブ類で行われうる。
【0054】
いくつかの実施態様において、処理によって低下する微生物汚染物質は、これらに限定されるものではないが、細菌(例えば、イー・コリO157H7、リステリア・モノサイトゲネス、サルモネラ菌)、ウイルス、真菌、またはカビを含む、ヒト病原体(例えば、腸管毒性細菌)である。他の実施態様において、微生物汚染物質は、農産物の腐敗または劣化を速めうるものである。
【0055】
驚くべきことには、水性殺菌剤組成物中の過酸(例えば、ペルオキシ酢酸)と2−ヒドロキシ有機酸(例えば、L−(+)−乳酸)との共製剤が、使用時に、特に効果的かつ長期の殺菌剤組成物を提供することも見出された。農産物を処理するのに用いられる場合、組成物は、約60〜80ppmの濃度範囲の過酸および0.2〜0.4%、または約2.5%の濃度の乳酸を維持するためにはるかに少ない割合で追加の過酸および2−ヒドロキシ有機酸を補給または補充しなければならない。
【0056】
いくつかの実施態様において、殺菌剤組成物は、農産物と接触させるために水に加えられる水性予混合物(例えば、約5〜200倍濃縮物、5、10、20、40、50または100倍濃縮物)として提供される。いくつかの実施態様において、過酸および/または2−ヒドロキシ有機酸の濃度は、実測値または過去の消費データによって決定されるように、過酸および/または2−ヒドロキシ有機酸の濃度に基づき、予混合物または濃縮物を加えてその濃度を維持するように洗浄溶液中にて調整される。
【0057】
商業的用途では、いくつかの実施態様において、溶液に浸して農産物を殺菌溶液と接触させる場合、農産物は洗浄水に移される。気泡は、予混合物の接触および/または混合を容易にするために発生しうる。次いで、農産物は、殺菌溶液から除去され、所望により過酸および2−ヒドロキシ有機酸を含まない水でスプレーすることによっておよび/または過酸および2−ヒドロキシ有機酸を含まない水に浸されることによって洗浄されうる。洗浄水は、過剰水分を除去するために所望によりさらに空気乾燥されうる農産物の振盪または農産物の遠心分離によってさらに除去されうる。
【0058】
以下の実施例は、本発明を説明するものであって、制限することを意図とするものではない。
【実施例】
【0059】
(実施例)
実施例1.本実施例は、本発明に記載の水性殺菌溶液の使用を説明する。図1〜16に示されるように、本発明に記載の溶液は、有利なことには、種々の農産物の表面から微生物を除去し、処理された農産物上の常在微生物の増殖を抑制し、農産物の表面からモデル病原体を除去しうる。本発明の方法および組成物はまた、農産物の保存期間を大幅に改善し、農産物の劣化を大幅に遅らせることが示されている。該知見は、細菌、酵母、およびカビなどの種々の微生物にまで及ぶ。
【0060】
A.保存期間研究の標準的操作手順
該方法は、殺菌溶液、一般的におよび特に、本発明のものによって処理されている農産物の保存期間を決定するために用いられうる。
【0061】
調製
8個の75%水を有する20ガロン容器を〜45°Fに冷却した。
プロセシングの前に少なくとも1日、12個のスズ箔で十分に覆われている5ガロンチューブをオートクレーブする。
1.農産物の種類によって、対応するOTRチューブを使用する;切断し、印を付け、密封して、バッグを形成する。汚染を最小限にするために紫外線照射下生物学的安全キャビネット中で2時間静置する。
【0062】
プロセシング
1.使用直前に化学的殺菌剤を処方する。すべての計算は、質量/質量に基づく。
2.プロセシング中にあふれないように容器の3/4のみを満たす。
3.生の農産物を蓋付きステンレス製バスケットにそっと入れ、それを全体の3/4まで満たす。
4.バスケットを化学的殺菌剤に浸す時にタイマーを開始する。
5.満たされたバスケットを30秒間そっと上下する。
6.化学溶液を有する溶液から農産物を有する処理されたバスケットを取り除き、すぐに、それをすすぎのために水で3/4満たした別の容器に移す。
7.処理された農産物表面上の残存化学物質の大部分を取り除くために水中で10回上下する。
8.逆の方法で処理された農産物を有するバスケットを入れ、該含有物を乾燥機ポリ袋(dryer bin liner)にそっと注ぐ。
9.乾燥機ポリ袋が満たされるまで工程「3」〜「8」を繰り返す。20分間、乾燥機の蓋および遠心分離機を閉めた。
10.乾燥農産物をポリ袋から滅菌タブに移し、対応する生産設備と同一の水分率を達成する環境と水分平衡させるために乾燥処理された農産物をさらに10〜15分間寝かせる。
11.すべての道具、装置、および容器を消毒する。
12.他の殺菌剤処理の工程「1」〜「11」を繰り返す。
【0063】
包装および密封
1.毎回、バッグを有するスケールの包装の重さを量る。
2.バッグを標的農産物の量で満たす。
3.バッグを適当な密封機で密封する。
4.45Fにて箱に保存し、評価を行う:微生物分析、オープンバッグ評価(OBE)、目的とする適当な日数の外観検査
【0064】
評価
1.OBEの適当な形態を使用する。
2.農産物を目視し、種々の化学物質からの試料の相違点を撮影する。
a.OBE水分定量−葉の初期重量を量り、折り畳んだペーバータオル上に葉を広げ、外水分を除去して、最終重量を量るために圧縮することによって水分を拭き取る。
計算:
濃縮溶液を有するストック溶液の用いられる容量:
【数1】

水分相違:
【数2】

水分率:
【数3】

3.視覚分析について、保存期間を通して同一バッグをもたらすために最初の分析前に必ずバッグを標識する。
4.連続希釈およびスプレッドプレーティング(spread plating)を用いて処理された農産物の微生物個体群を計数する。
5.微生物およびOBE分析の試料は、例えば、1、5、7、9、12、および15日目に回収されうる。
【0065】
B.浮遊細胞攻撃試験の標準的操作手順
該手順は、液体に懸濁される微生物に対する殺菌剤の抗菌活性を測定するために用いられる。
【0066】
プロセシングパラメータおよび処理
1.温度:45F
2.滞留時間:30+/−10秒
3.pH:3+/−0.3
4.病原体サロゲート:イー・コリK12、リステリア・イノキュア(Listeria innocua)
5.汚染微生物サロゲート:シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas flourescens)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)
【0067】
試験の実施
1.1.00mLの10cfu/gストック培養物を9.00gmの試験溶液を含有する試験管に移す。
2.混合物を15秒間ボルテックスする。
3.1mLの処理された試料を9mLのバターフィールドリン酸バッファーに移して反応を停止する。
4.連続希釈およびスプレッドプレーティングで生存残存細胞を計数する。
5.必ず操作温度を45±1Fで維持する(全試験を室温にて実施する場合には化学物質の動態が有意に変化するので一度冷蔵庫から唯一の試験管を取り出す)。
【0068】
C.付着細胞攻撃試験の標準的操作手順
該方法は、葉の表面に付着する微生物に対する殺菌剤の抗菌活性を測定するために用いられうる。
【0069】
プロセシングパラメータおよび処理
1.温度:45°F
2.滞留時間:45秒
3.pH:3+/−0.3
4.処理:水、塩素処理水、CS、乳酸、ペルオキシ酢酸、16レベルのFE殺菌剤(すなわち、ここでは、ペルオキシ酢酸および乳酸を含む水性溶液)
5.試験農産物:ロメインレタス、ホウレンソウ、スプリング・ミックス
6.病原体サロゲート:イー・コリK12、リステリア・イノキュア
7.試験微生物:農産物の葉上の常在微生物(全生菌数[APC]、酵母、およびカビ[YM])
【0070】
試料調製
1.3〜4枚の試験農産物の葉を取得し、6”x6”x5”の滅菌ポリプロピレン(PP)バスケットに加える。試験農産物がロメインレタスである場合には、ロメインレタスを2”x4”の長方形に切る。
2.1.00mLの10cfu/gストック培養物を1mLピペットマンで回収し、葉表面上に小滴の接触材料を滴下することによって葉表面を徐々にスパイクする。PPバスケットを振盪しないように注意し、乾燥前に葉から小滴を落とす。
3.1.75時間風を送りながら(約0.5W.C.)、スパイクされた葉を有するバスケットを生物学的安全キャビネット中に寝かせる。
4.キャビネットからスパイクされた葉を有するPPバスケットを取り除き、それらを0.25時間40〜45°Fにて冷蔵室/冷蔵庫に移動する。
【0071】
スパイクされた葉の処理
1.45秒間撹拌させながらスパイクされた葉を有するPPバスケットを3Lの45F水を含有する滅菌容器に加える。
2.処理されたバスケットを45Fにて水道水に浸してすぐに10秒間すすぐ。
3.処理された葉をバスケットから得、それらを滅菌トングを用いてストマッカーバッグに加える。
4.ストマッカーバッグを葉に対する関連処理で標識する。
5.試験物を他の処理をして工程1〜4を繰り返す。
【0072】
処理された葉の計数(enumeration)
1.10倍希釈を達成するまで処理された葉を有するストマッカーバッグにリン酸バッファーを加える。
2.30秒間リン酸バッファーおよび処理された葉を有するバッグを消化する。
3.リン酸バッファー溶液に葉を戻して振盪して、さらに30秒間消化を繰り返す。
4.消化された試料からバッファーを除去し、連続希釈およびスプレッドプレーティングによって残存細胞を計数する。
5.すべての他の処理について工程1〜4を繰り返す。
【0073】
D.微生物ストック培養物の調製のための標準的操作手順
該手順は、浮遊および付着細胞攻撃試験のための10〜10cfu/mLストック培養物を調製するために用いられる。ストック培養物の細胞濃度は、溶液を試験する前に測定される。
【0074】
1.ストック培養物の活性化
a.すべての手順は滅菌環境下で行われる(例えば、生物学的安全キャビネット内)。
b.細胞のループは、殺菌ループによって純粋なストック培養物から回収される。細胞のループは、無菌状態にて10mLの滅菌成長培地(培養液)を有する試験管に移される。
c.工程「b」は3回繰り返される。
d.活性化される微生物について最適成長温度下で2日間、工程「b」および「c」から接種管を培養する。
e.工程「b」〜「d」は、第1輸送(第1T)と称される。
f.第1Tの試験管から0.1mLの成長培地を回収し、それを無菌状態にて10mLの滅菌成長培地を有する別の試験管に移す。
g.第1Tからの管が純粋な培養物を有することを寒天培地上に成長培地の50〜100uL試料をスプレッドプレーティングによって確認する。
h.工程「g」を2回繰り返す。
i.両方のプレートを培養し、選択された最適温度にて2日間、管#2に移す。
j.工程「f」〜「i」は、第2Tと称される。
k.第3Tのために100mLの成長培地で工程「f」〜「i」を繰り返す。
l.第3Tから得られたエルレンマイヤー培養物フラスコを冷蔵庫中で一晩保存する。
m.工程「l」から第3Tフラスコを得、それを均等に4つの遠心分離管に移した。
n.10分間10,000RPMにて純粋なストック培養物を含む管を遠心分離する。
o.成長培地をすぐに廃棄する。細胞のペレットは、遠心分離管の底に形成されるであろう。
p.同量の滅菌脱イオン水を細胞のペレットに加える。
q.細胞のペレットを緩め、再懸濁するためにボルテックスする。
r.工程「n」および「o」を2回以上繰り返す。
s.最終10−10cfu/gmの浮遊細胞培養物を得るために、初期容量1/10量の滅菌脱イオン水を工程「r」の細胞ペレットに加える。
t.最終懸濁ストック培養物を形成するために、すべての再懸濁細胞培養物を1つの遠心分離管に統合する。
【0075】
農産物の表面上の微生物の除去に対する本明細書に記載の殺菌溶液の効果
結果
下表は、界面活性剤の有無の浮遊細胞攻撃試験の結果を示す。
【表2】

【表3】


【0076】
下表は、付着細胞攻撃試験の結果を示す。
【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【0077】
上記の結果は、微生物の除去の予想外に効果的かつ著しい増加および本発明に記載の水性溶液の使用に関連する農産物の保存期間の改善に一致する。
【0078】
実施例2.次の実施例は、2−ヒドロキシ有機酸(例えば、乳酸)の存在が、農産物の処理中にペルオキシ酢酸の消費を大幅に減少させることを立証し、本発明に記載の水性殺菌溶液の使用を説明する。以下に示すように、本発明に記載の溶液は、有利なことに、種々の農産物の表面から微生物を除去する間、ペルオキシ酢酸を保存する。本発明の方法および組成物はまた、農産物の保存期間を大幅に改善し、農産物の劣化を大幅に遅らせることを示している。保存は、細菌、酵母、およびカビなどの種々の微生物まで及ぶであろう。
【0079】
界面活性剤を有しない20秒の滞留時間での浮遊細胞攻撃試験における相乗的効果
実験処理群は、水道水、塩素処理水、FE殺菌剤洗浄水(所定の実験にてさらに規定される、FE、FE殺菌剤、ペルオキシ酢酸および乳酸の溶液)であった。実験パラメータは、40〜45F;滞留時間20秒;pH:
水(〜7)
塩素処理水(6.5〜7.1)
乳酸(3.8〜4.0)
ペルオキシ酢酸(6.5〜6.8)
FE殺菌剤洗浄水(2.7〜3.2)
であった。
【0080】
微生物サロゲートは、ストレプトマイシン耐性遺伝子を有するリステリア・イノキュアまたはイー・コリK−12であった。
【0081】
実験プロトコールは以下のとおりであった:
1.1.00mLの約10cfu/gラクトバチリス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)(ATCC14917)ストック培養物を9.00mLの処理試験溶液を含有する試験管に移す。
2.15秒間混合物をボルテックスする。
3.1mLの処理試料を9mLのバターフィールドリン酸バッファーに移すことによって反応を停止する。
4.連続希釈および1mL輸送物でスプレッドプレーティングして生存残存細胞を計数する。
5.必ず操作温度を40〜45Fで維持する(全試験を室温にて実施する場合には化学物質の動態が有意に変化するので一度冷蔵庫から唯一の試験管を取り出す)。
6.2回以上、工程1〜5を繰り返す。
7.フリューム水で工程1〜6を繰り返す。
8.塩素処理水で工程1〜6を繰り返す。
9.種々のレベルのFEで工程1〜8を繰り返す。
10.種々のレベルの乳酸で工程1〜8を繰り返す。
11.種々のレベルのペルオキシ酢酸で工程1〜8を繰り返す。
12.リステリア・イノキュア(ATCC33090)で工程1〜11を繰り返す。
【0082】
対数減少値の予測
1.対数活性は、殺菌プロセス中に不活化される微生物の割合の測定値であり、対数不活性=Log10(N/N)(式中:Nは生存微生物の初期流入濃度であり;Nは残存微生物の濃度である)として定義される。M(cfu/g)=ストック培養物の微生物個体群;W(cfu/g)=「水処理群」の溶液中の微生物個体群およびX(cfu/g)=「X処理群」の溶液中の微生物個体群であるので、「処理群X」に起因する対数減少値=Log(w/x)である。
【0083】
結果および結論
【表8】

【表9】

【0084】
試験FE殺菌剤(ここで、上記の乳酸およびペルオキシ酢酸の組み合わせ)のエル・イノキュア(L. innocua)およびエル・プランタルム(L. plantarum)に対する対数減少値は、PA洗浄水およびLA洗浄水より有意に大きい。これは、LAおよびPAの組み合わせの相乗的効果を明確に示した。70ppm PAおよび2000ppm LAを伴うFE殺菌剤洗浄水は、20秒の滞留時間にてリステリア・イノキュアに対して〜3−log10減少をもたらした。乳酸およびペルオキシ酢酸の組み合わせによってもたらされる対数減少値は、乳酸を添加しないペルオキシ酢酸より有意に約2〜4倍大きかった。
【0085】
実施例3.次の実験は、液体中に浮遊する野菜病原体に対する殺菌剤の効果を比較する。
プロセシングパラメータおよび処理
処理:水道水、塩素処理水、FE殺菌剤洗浄水;温度:40〜45F;滞留時間:30秒
pH:
水(〜7)
塩素処理水(6.5〜7.1)
FE殺菌剤洗浄水(2.7〜3.2)
病原体:
イー・コリO157:H7の5株混合物(F4546、F4637、SEA13B88、TW14359、960218)
リステリア・モノサイトゲネスの5株混合物(ATCC19115、ATCC51414、ATCC15313、FRR B2472(SCOTT A)、1838)
サルモネラ菌の5株混合物(エス・ニューポート(S. Newport)、エス・テネシー(S. Tennessee)、エス・ミュンヘン(S. muenchen)、エス・クバーナ(S. cubana)、エス・セント・ポール(S. St. Paul))
【0086】
ストック培養物の活性化
1.ストック培養物の活性化は、生物学的安全キャビネット中で無菌状態にて一連のストック培養物の最適成長培地への移動を介して達成される。
2.保存中ストック培養物から小ループ(約100uL)の純粋培養物を回収し、それを10mLのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)または公開された論文によって推奨される各微生物に対し特異的な最適成長培養液を含有する試験管に移す。
3.ATCCまたは公開された論文によって推奨されるその最適成長温度にて対数成長期の終期に達するまで培養物を培養する。
4.ストリークプレーティング(streak plating)およびスプレッドプレーティングによって移した培養物の純度を確認する。
5.工程3から1.5mlの培養液を回収し、それを150mLのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)または公開された論文によって推奨される各微生物に特異的な最適成長培養液を含有する250mLのエルレンマイヤー・フラスコに移す。
6.ATCCまたは公開された論文によって推奨されるその最適成長温度にて対数成長期の終期に達するまで培養物を培養する。
7.スプレッドプレーティングによって移した培養物の純度を確認する。
8.スプレッドプレーティングによって工程6から培養液の濃度を並べ、1mLに連続希釈して、移す。
9.接種前に1〜4時間冷蔵温度にて150mLのエルレンマイヤー・フラスコのストック培養物を冷却する。
【0087】
接種材料調製および計数
1.第2輸送エルレンマイヤー・フラスコ中の150mLの冷却ストック培養物を等量(各50mL)にて3つの50mL遠心分離管に分ける。
2.管を4℃にて15分間10,000RPMで遠心分離する。
3.細胞のペレットを残して各遠心分離管から液体培養液を廃棄する。
4.工程3から遠心分離管を5mLの滅菌0.1%ペプトン水で満たし、細胞のペレットを緩め、混合するためにボルテックスする。
5.すべての再懸濁ストック培養物を1つの遠心分離管に注ぎ、約10cfu/gmの接種材料を形成する。
1mL輸送物で連続希釈して、スプレットプレーティングによって工程5から得られた接種材料の微生物個体群を計数して、確認する。
【0088】
方法
1.1.00mLの約10cfu/gイー・コリO157:H7の5種混合物のストック培養物を9.00mLの試験溶液を含有する試験管に移す。
2.15秒間混合物をボルテックスする。
3.1mLの処理試料を9mLのバターフィールドリン酸バッファーに移すことによって反応を停止する。
4.連続希釈および1mL輸送物でスプレッドプレーティングして生存残存細胞を計数する。
5.必ず操作温度を40〜45Fで維持する(全試験を室温にて実施する場合には化学物質の動態が有意に変化するので一度冷蔵庫から唯一の試験管を取り出す)。
6.2回以上、工程1〜5を繰り返す。
7.フリューム水で工程1〜6を繰り返す。
8.塩素処理水(pH6.5〜7の10ppm活性塩素)で工程1〜6を繰り返す。
9.別レベルのFEで工程1〜8を繰り返す。
10.リステリア・モノサイトゲネスの別の5株混合物で工程1〜8を繰り返す。
11.サルモネラ菌の別の5株混合物で工程1〜8を繰り返す。
【0089】
結果および結論
【表10】

【表11】

【表12】

【0090】
10ppm塩素処理水は、水道水対照と比較すると、〜1−log10まで各病原体の個体群を減少させた。2つの濃度のFE殺菌剤洗浄水生菌数は残存コロニーを有しておらず、結果は<1.0 log10cfu/mLとして記録された。したがって、FE殺菌剤洗浄水は、水道水対照と比較すると、イー・コリO157:H7およびサルモネラ菌に対し7−log10以上、ならびにリステリア・モノサイトゲネスに対し5.2−log10以上の減少をもたらした。リステリア・モノサイトゲネスにて観察されるより低い減少は、FE殺菌剤が、記録された結果がストック接種材料の初期個体群によって制限される病原体に対し効果が弱いことを示すものではない。
【0091】
実施例4.これらの実験の目的は、葉の表面上に付着する植物病原体における殺菌剤の抗菌活性を測定することであった。
プロセシングパラメータおよび処理
処理:水道水、塩素処理水、試験FE殺菌剤洗浄水;
温度:40〜45°F;滞留時間:30秒;
pH:
水(〜7)
塩素処理水(6.5〜7.1)
FE殺菌剤洗浄水(2.7〜3.2)
試験農産物:ダイスカットロメインレタス葉および変異ホウレンソウ葉
病原体:
イー・コリO157の5株混合物:H7(F4546、F4637、SEA13B88、TW14359、960218)
リステリア・モノサイトゲネスの5株混合物(ATCC19115、ATCC51414、ATCC15313、FRR B2472(SCOTT A)、1838)
サルモネラ菌の5株混合物(エス・ニューポート、エス・テネシー、エス・ミュンヘン、エス・クバーナ、エス・セント・ポール)
【0092】
ストック培養物の活性化
1.ストック培養物の活性化は、生物学的安全キャビネット中で無菌状態にて一連のストック培養物の最適成長培地への移動を介して達成される。
2.保存中ストック培養物から小ループ(約100uL)の純粋培養物を回収し、それを10mLのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)または公開された論文によって推奨される各微生物に特異的な最適成長培養液を含有する試験管に移す。
3.ATCCまたは公開された論文によって推奨されるその最適成長温度にて対数成長期の終期に達するまで培養物を培養する。
4.ストリークプレーティングおよびスプレッドプレーティングによって移した培養物の純度を確認する。
5.工程3から1.5mlの培養液を回収し、それを150mLのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)または公開された論文によって推奨される各微生物に特異的な最適成長培養液を含有する250mLのエルレンマイヤー・フラスコに移す。
6.ATCCまたは公開された論文によって推奨されるその最適成長温度にて対数成長期の終期に達するまで培養物を培養する。
7.ストリークプレーティングによって移した培養物の純度を確認する。
8.スプレッドプレーティングおよび1mL輸送物での連続希釈によって工程6からの培養液の濃度を計数する。
9.接種前に1〜4時間冷蔵温度にて150mLのエルレンマイヤー・フラスコのストック培養物を冷却する。
【0093】
接種材料調製および計数
1.第2輸送エルレンマイヤー・フラスコ中150mLの冷却ストック培養物を等量(各50mL)で3つの50mL遠心分離管に分離する。
2.4℃にて15分間10,000RPMにて管を遠心分離する。
3.細胞のペレットを残しながら培養液を各遠心分離管から廃棄する。
4.工程3からの遠心分離管を5mLの滅菌5%ウマ血清溶液で満たし、細胞のペレットを緩め、混合するためにボルテックスする。
5.すべての再懸濁したストック培養物を1つの遠心分離管に流し込み、約108cfu/gmの接種材料を形成する。
6.1mL輸送物で連続希釈して、スプレッドプレーティングによって工程5から得られた接種材料の微生物個体群を計数して、確認する。
【0094】
試料調製
1.4枚の試験農産物の葉を得、それらを6”x6”x5”滅菌ポリプロピレン(PP)バスケットに加える。試験農産物がロメインレタスである場合、ロメインレタスを1.5”x2.5”の長方形に切る。
2.工程1における4枚の葉のうち、2枚は上向きのその表皮上層を有し、2枚は上向きのその表皮下層を有するであろう。
3.50uLの約10cfu/gストック培養物を100uLピペットで回収し、上向きの葉の平面および中央脈上に小滴(10〜15滴)の接種材料を滴下することによって各葉を徐々にスパイクする。葉をスパイクする前にピペットチップの側面で過剰ストックを必ず取り除く。PPバスケットを振盪しないように注意し、乾燥前に小滴を葉から落とす。
4.70〜80Fおよび38〜48%相対湿度にて1〜1.5時間、フォト1に示されるDrieriteを有する生物学的安全キャビネット中にてスパイクされた葉を有するバスケットを配列する。フード温度を乾燥工程の間必ず一定にする(<±2F)。
5.必ず葉が乾燥期間の終わりにしおれた状態にならないようにする。
【0095】
スパイクされた葉の処理
PPカーボイからの3Lの試験溶液を5L滅菌PPタブに移す。
1.必要量の最終成分を3L溶液に加え、必要に応じて滅菌トングで完全に混合する。
2.2枚のスパイクされた葉(1枚は表皮上層にスパイクされ、もう1枚は表皮下層にスパイクされる)を空の滅菌PPバスケットに移す。
3.スパイクされた葉を有するPPバスケットを3Lの試験溶液の完全な処方を含有する滅菌容器に入れる。
4.40−45°Fにて試験溶液の温度を維持する。
5.葉全体を常に浸水させ、葉の折り畳みおよび重なりを防止するために試験溶液中の葉を徐々に圧縮するためのトングを使用する。
6.葉全体を浸すとすぐに30秒の時間を計るためにストップウォッチを開始する。
7.バスケットから処理された葉を得、滅菌トングを用いてそれらをストマッカーバッグに入れる。
8.葉の関連処理でストマッカーバッグを標識する。
9.滅菌ゴム製メロンハンマーを用いて葉を粉々にした。
10.試験の他の処理で工程1〜7を繰り返す。
11.工程13の後に、各工程を3回行わなければならない。
12.乾燥工程中の細菌の死滅からのエラーを避けるために各複製を別々に行わなければならない。試験の順序は以下のとおりである:
a.第1の複製:1サンプルのスパイクされていない対照、スパイクされた細菌を有する対照、水洗浄したスパイクされた対照、塩素処理水洗浄したスパイクされた細菌、FE1洗浄したスパイクされた細菌、およびFE2洗浄したスパイクされた細菌。
b.第2の複製:1サンプルのスパイクされていない対照、スパイクされた細菌を有する対照、水洗浄したスパイクされた対照、塩素処理水洗浄したスパイクされた細菌、FE1洗浄したスパイクされた細菌、およびFE2洗浄したスパイクされた細菌。
c.第3の複製:1サンプルのスパイクされていない対照、スパイクされた細菌を有する対照、水洗浄したスパイクされた対照、塩素処理水洗浄したスパイクされた細菌、FE1洗浄したスパイクされた細菌、およびFE2洗浄したスパイクされた細菌。
試料の計数は各複製直後に行わなければならない。
【0096】
処理された葉の計数
1.100倍希釈されるまで、100mLリン酸バッファーをすりつぶり処理した葉を有するストマッカーバッグに加える。
2.30秒間リン酸バッファーおよび処理された葉を有するバッグを消化する。
3.リン酸バッファーに葉を戻して振盪し、さらに30秒間消化を繰り返す。
4.消化された試料からバッファーを除去し、連続希釈および1mL輸送物でスプレッドプレーティングによって残存細胞を計数する。
5.すべての他の処理について工程1〜4を繰り返す。
対数減少値の予測
M(cfu/g)=任意の処理を伴わない葉上の微生物個体群;
R(cfu/g)=「水処理群」の水溶液中微生物個体群;
W(cfu/g)=「水処理群」からの葉上の微生物個体群;
X(cfu/g)=「X処理群」からの葉上の微生物個体群;
したがって、「処理群X」に起因する対数減少値=Log(w/x)
機械的洗浄によって除去される微生物=R
乾燥プロセス間に死滅した微生物=M−W−R
【0097】
結果
【表13】

【0098】
水道水洗浄は、細胞が葉上に完全に付着しなかったことを示す葉からの0.3〜1.5 log10の接種細胞を除去した。これは、恐らく、低い相対湿度の環境下(プロトコールに記載の38〜48%よりも20〜23%)で葉の乾燥およびしおれによってもたらされた。
【表14】

【0099】
10ppm塩素処理水は、病原体をさらに0.1−log10〜1.4−log10減少させた。ホウレンソウの場合の、2.3−log10は、サロゲート付着細胞の結果に比べて例外的に高く、恐らく、水道水洗浄の結果によって示されるように、葉上の細胞の不完全な付着によってもたらされた。
【表15】

【0100】
試験FE殺菌洗浄水(69ppmペルオキシ酢酸および4800ppm乳酸)は、水道水洗浄に比べて、病原体をさらに2.1−log10〜3.4−log10減少させた。
塩素処理水に比べて、FE殺菌剤は、葉に付着した病原体をさらに2− log10減少させた。さらに、40Fにてスプレッドプレートを保存することは、傷害細胞が1週間以内に冷凍温度にて増殖し得なかったことを示した。細菌細胞が栄養富化寒天プレート上で増殖できなければ、それらは、処理された新鮮な農産物上で増殖しない可能性が高いであろう。
【0101】
実施例5.これらの実験は、農産物を洗浄するために用いられる場合のペルオキシ酢酸の消費または枯渇を評価した。したがって、目的は、600ガロンの塩素処理水、600ガロンのペルオキシ酢酸洗浄水、および600ガロンのFE殺菌剤洗浄水を消費するのに必要な刻んだロメインレタスの量を比較することであった。
プロセシングパラメータおよび処理
処理:塩素処理水、ペルオキシ酢酸洗浄水、およびFE殺菌剤洗浄水
温度:38〜40
滞留時間:20秒
pH:
塩素処理水(6.5〜7.1)
ペルオキシ酢酸(6.5〜6.8)
FE殺菌剤洗浄水(2.7〜3.2)
農産物:1.5”x2”ダイスカットロメインレタス
【0102】
A.600ガロンのペルオキシ酢酸洗浄水を消費しうるロメインレタスの量の測定
1.パイロット・ライン・システム(Pilot Line System)で完全に殺菌する。
2.第2フリューム式タンク、第2容器、および第2濾過タンクを水道水で満たす。
3.システム中の水が40°Fに冷却されるまでシステムを介して水を再利用する。
4.プロミネントシステム(Prominent System)を調整し、洗浄水中のPAA濃度をモニターするためにプロミネントシステムを使用する。
5.標的プロセシング制限値に達するまでPAAを第2濾過タンクに加える。
6.translicerでロメインレタスをダイスカットする。
7.トート(tote)中に2”x2”ダイスカットロメインレタスを回収する。
8.それを第2フリュームに移す前に各トートの重量を記録する。
9.各ビンから3つの未処理バッグのロメインレタスを回収する(1つは上部、1つは中間、および1つは下部)。
10.F2の最後部にて3つの処理バッグのロメインレタスを回収する(1つはビンの先頭、1つはビンの中間、および1つはビンの最後)。
11.水がこぼれた位置の下部に白色トートを入れる。必要に応じて、フリューム式タンクにこぼれた水を戻す。
12.葉から取り除かれる液体を回収するために遠心分離機の下部出口に白色トートを入れる。必要に応じて、フリューム式タンクに回収した水を戻す。
13.FE濃度が最も低いプロセシング制限値を下回るまで、残りのビンについて工程「e」〜「k」を繰り返す。
14.回収した試料上の微生物個体群(APCおよび酵母およびカビ)を計数する。
【0103】
B.ガロンのFE洗浄水を消費しうるロメインレタスの量の測定
1.パイロット・ライン・システムで完全に殺菌する。
2.第1フリューム式タンク、第2フリューム式タンク、第1容器、第2容器、第1濾過タンク、および第2濾過タンクを水道水で満たす。
3.システム中の水が40°Fに冷却されるまでシステムを介して水を再利用する。
4.水が濾過システムを通過するのではなく、連続してフリューム式タンクからその付随容器へ再利用するのみとなるように第1および第2フリューム式タンクのバイパスの電源を入れる。
5.標的プロセシング制限値に達するまで化学的成分を両方のタンクに加える。
6.第1フリューム式タンク(F1)、第1容器(R1)、第2フリューム式タンク(F2)、および第2容器(R2)でプロミネントモニタリングシステムのプローブによってFEの濃度を確認する。
7.F1およびF2から水試料を回収する。
8.ダンプスターの隣にロメインレタスビンを取り付ける。
9.ビンからコンベヤーにすべてのロメインレタスの葉を移す。
10.必ずF1の上のフタを閉める。translicerの「オン/オフ」スイッチを「オン」にする。
11.葉をtranslicerに移すためのコンベヤーを「オン」にする。
12.必ず刻んだロメインレタスをフリューム式タンクに均等に供給する。
13.各ビンから3つの未処理バッグのロメインレタスを回収する(1つは上部、1つは中間、および1つは下部)。
14.F2の最後部にて3つの処理バッグのロメインレタスを回収する(1つはビンの先頭、1つはビンの中間、および1つはビンの最後)。
15.ビンをプロセシングする前後に、第1フリューム式タンク(F1)、第1容器(R1)、第2フリューム式タンク(F2)、および第2容器(R2)にてpH、温度、およびFEの濃度を確認する。
16.水がこぼれた位置の下部に白色トートを入れる。必要に応じて、フリューム式タンクにこぼれた水を戻す。
17.葉から取り除かれる液体を回収するために遠心分離機の下部出口に白色トートを入れる。必要に応じて、フリューム式タンクに回収した水を戻す。
18.FE濃度が最も低いプロセシング制限値を下回るまで、残りのビンについて工程「e」〜「o」を繰り返す。
19.回収した試料上の微生物個体群(APCおよび酵母およびカビ)を計数する。
【0104】
c.最適条件以下の濃度に600ガロンの塩素処理水を消費しうるロメインレタスの量の測定
1.パイロット・ライン・システムで完全に殺菌する。
2.第1フリューム式タンク、第2フリューム式タンク、第1容器、第2容器、第1濾過タンク、および第2濾過タンクを水道水で満たす。
3.システム中の水が40°Fに冷却されるまでシステムを介して水を再利用する。
4.水が濾過システムを通過するのではなく、連続してフリューム式タンクからその付随容器へ再利用するのみとなるように第1および第2フリューム式タンクのバイパスの電源を入れる。
5.標的プロセシング制限値に達するまで化学的成分を両方のタンクに加える。
6.第1フリューム式タンク(F1)、第1容器(R1)、第2フリューム式タンク(F2)、および第2容器(R2)でHACHシステムのプローブによって塩素処理水の濃度を確認する。
7.F1およびF2から水試料を回収する。
8.ダンプスターの隣にロメインレタスビンを取り付ける。
9.ビンからコンベヤーにすべてのロメインレタスの葉を移す。
10.必ずF1の上のフタを閉める。translicerの「オン/オフ」スイッチを「オン」にする。
11.葉をtranslicerに移すためのコンベヤーを「オン」にする。
12.凝集および塊にならないように刻んだロメインレタスをフリューム式タンクに必ず均等に供給する。
13.各ビンから3つの未処理バッグのロメインレタスを回収する(1つは上部、1つは中間、および1つは下部)。
14.F2の最後部にて3つの処理バッグのロメインレタスを回収する(1つはビンの先頭、1つはビンの中間、および1つはビンの最後)。
15.ビンをプロセシングする前後に、第1フリューム式タンク(F1)、第1容器(R1)、第2フリューム式タンク(F2)、および第2容器(R2)にてpH、温度、および塩素処理水の濃度を確認する。
16.水がこぼれた位置の下部に白色トートを入れる。必要に応じて、フリューム式タンクにこぼれた水を戻す。
17.葉から取り除かれる液体を回収するために遠心分離機の下部出口に白色トートを入れる。必要に応じて、フリューム式タンクに回収した水を戻す。
18.回収した試料上の微生物個体群(APCおよび酵母およびカビ)を計数する。
【0105】
結果および結論
【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【表20】

【表21】

【0106】
FE殺菌剤におけるペルオキシ酢酸の枯渇は、乳酸不含のペルオキシ酢酸溶液のものより5倍(500%)低かった。これは、ペルオキシ酢酸の同一容量および濃度で、試験FE殺菌剤が乳酸不含のペルオキシ酢酸殺菌剤より5倍以上農産物を殺菌しうることを示す。さらに、1ポンドのロメインレタスを処理するのに必要な遊離塩素のlbsは、試験FE殺菌剤のものの8.5倍(850%)以上であったので、ポンド当たりの試験FE殺菌剤がポンド当たりの塩素処理水より8.5倍以上農産物を殺菌しうることを示した。
【0107】
73〜84ppmペルオキシ酢酸洗浄水、殺菌洗浄水(59〜69ppm PAおよび2,389〜2,724ppm LA)、および1.2〜7.6ppm遊離塩素洗浄水に対するロメインレタス葉上の常在微生物のlog10減少は、それぞれ、0.7、2.6、および1.2−log10であった。試験におけるFE殺菌剤は最適下限値以下であったけれども、ロメインレタス葉上に付着した常在微生物のそのlog10減少は、それでも塩素処理水およびペルオキシ酢酸洗浄水のものより、それぞれ、2.2倍および3.7倍高かった。
【0108】
上記または下記のいずれかの、本明細書に引用されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、まるで個々の刊行物、特許または特許出願が出典明示により一部となるように明確かつ個々に示されるように、同一内容についてその全体を出典明示により本明細書の一部とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)式RC(O)OOH(式中:Rはメチル、エチル、n−プロピル、またはs−プロピルである)で示される有機過酸;
ii)酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸、および乳酸から選択される2−ヒドロキシ有機酸;および、所望により
iii)陰イオン界面活性剤
を含む水性溶液であって、2.5〜6.0のpHを有し、過酸の濃度が40〜250ppm(w/w)であり、2−ヒドロキシ有機酸の濃度が0.1〜1%(w/w)である、水性溶液。
【請求項2】
過酸がペルオキシ酢酸であり、2−ヒドロキシ有機酸がL−(+)−乳酸である、請求項1記載の溶液。
【請求項3】
ペルオキシ酢酸の溶液中濃度が50〜100ppm(w/w)であり、乳酸の溶液中濃度が0.1%〜0.6%(w/w)である、請求項2記載の溶液。
【請求項4】
ペルオキシ酢酸の溶液中濃度が60〜80ppm(w/w)であり、乳酸の溶液中濃度が0.1%〜0.4%(w/w)である、請求項2記載の溶液。
【請求項5】
pHが2.5〜4.5である、請求項2記載の溶液。
【請求項6】
pHが2.8〜3.2である、請求項1記載の溶液。
【請求項7】
pHが約3.0である、請求項1記載の溶液。
【請求項8】
溶液が35°F〜45°Fの温度である、請求項1記載の溶液。
【請求項9】
溶液が、非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤または陰イオン界面活性剤を実質的に含まない、請求項1記載の溶液。
【請求項10】
i)式RC(O)OOH(式中:Rはメチル、エチル、n−プロピル、またはs−プロピルである)で示される有機過酸;
ii)酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸、および乳酸から選択される2−ヒドロキシ有機酸;および、所望により
iii)陰イオン界面活性剤
を含む水性溶液と農産物の表面とを接触させることによって農産物を処理する方法であって、該水性溶液が2.5〜6.0のpHを有し、過酸の濃度が40〜250ppm(w/w)であり、2−ヒドロキシ有機酸の濃度が0.1〜1%(w/w)である、方法。
【請求項11】
接触時間が少なくとも10秒間である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
接触時間が10秒〜1分間である、請求項10記載の方法。
【請求項13】
過酸がペルオキシ酢酸であり、2−ヒドロキシ有機酸がL−(+)−乳酸である、請求項10記載の方法。
【請求項14】
過酢酸の溶液中濃度が50〜100ppm(w/w)であり、乳酸の溶液中濃度が0.1%〜0.6%(w/w)である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
ペルオキシ酢酸の溶液中濃度が60〜80ppm(w/w)であり、乳酸の溶液中濃度が0.1%〜0.4%(w/w)である、請求項13記載の方法。
【請求項16】
ペルオキシ酢酸の濃度が70〜80ppm(w/w)であり、乳酸の濃度が0.2〜0.4%(w/w)である、請求項13記載の方法。
【請求項17】
溶液の温度が、室温、常温、または35°F〜85°Fから選択される、請求項13記載の方法。
【請求項18】
溶液の温度が、室温、常温、または35°F〜45°Fから選択される、請求項13記載の方法。
【請求項19】
溶液が、非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤または陰イオン界面活性剤を実質的に含まない、請求項10記載の方法。
【請求項20】
追加量の過酸または2−ヒドロキシ有機酸が、農産物の接触に使用している間水性溶液のpH、過酸、または2−ヒドロキシ有機酸濃度を維持するために、1つまたは複数のpH、過酸濃度、酸化還元力、または2−ヒドロキシ有機酸濃度の測定値に応じて水性溶液に加えられる、請求項10記載の方法。
【請求項21】
水性溶液が、過酸化水素を実質的に含まない2−ヒドロキシ有機酸の溶液を過酸の溶液に加えることによってまたは過酸の溶液を過酸化水素を実質的に含まない2−ヒドロキシ有機酸の溶液に加えることによって形成される、請求項10記載の方法。
【請求項22】
任意の過酸化水素を実質的に含まない2−ヒドロキシ有機酸および過酸が、農産物を輸送または洗浄するために用いられる水性流体に別々に加えられる、請求項10記載の方法。
【請求項23】
処理が、農産物上のまたは農産物に付着した細菌を死滅させるかまたはその増殖を抑制することによって農産物を殺菌する、請求項10記載の方法。
【請求項24】
農産物を殺菌するためのキットであって、
i)請求項1記載の水性殺菌剤溶液を保持する容器または請求項1記載の水性殺菌剤溶液を得るために希釈されうる濃縮水性溶液を保持する容器、および
ii)水性殺菌剤溶液を農産物に適用するための使用説明書
を含むキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2011−525539(P2011−525539A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516621(P2011−516621)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/048517
【国際公開番号】WO2010/008899
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(510338190)フレッシュ・エクスプレス・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】FRESH EXPRESS INCORPORATED
【Fターム(参考)】