説明

過酸化物硬化ゴム組成物及び過酸化物硬化ゴム組成物の製造方法

【課題】殆ど架橋していないブチルゴム重合体を含む、過酸化物単独硬化性のゴム組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、架橋していないか又は殆ど架橋していない(ゲル<10重量%)ブチルゴム重合体、マルチオレフィン架橋剤、過酸化物硬化剤及び少なくとも1種の充填剤を含む過酸化物硬化組成物に関する。また本発明は、前記ブチルゴム重合体をマルチオレフィン架橋剤、過酸化物硬化剤及び少なくとも1種の充填剤と混合する工程を含むが、硫黄、キノイド、樹脂及び硫黄供与体のような非過酸化物硬化剤の添加を含まない該過酸化物硬化組成物の製造法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、架橋していないか又は殆ど架橋していない(ゲル<10重量%)ブチルゴム重合体、マルチオレフィン架橋剤、過酸化物硬化剤及び少なくとも1種の充填剤を含む過酸化物硬化ゴム組成物に向けたものである。また本発明は、架橋していないか又は殆ど架橋していない(ゲル<10重量%)ブチルゴム重合体をマルチオレフィン架橋剤、少なくとも1種の充填剤及び過酸化物硬化剤と混合することを特徴とする過酸化物硬化ブチル組成物の製造方法であって、硫黄、キノイド、樹脂及び硫黄供与体のような非過酸化物硬化剤の添加を含まない該方法にも向けたものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ブチルゴム(イソブチレンと少量のイソプレンとの共重合体)は、優れた絶縁特性及び気体遮断特性を有することで知られている。ブチルゴムを利用する場合、硬化コンパウンドの形態で使用することが多い。ブチルゴムに通常使用される加硫系は、硫黄、キノイド、樹脂、硫黄供与体及び低硫黄の高性能加硫促進剤を含有する。しかし、コンパウンド中の硫黄残留物は、望ましくない場合が多く、硫黄硬化コンパウンドとの接触で部材の腐食を促進する。
【0003】
過酸化物硬化性ゴムコンパウンドは、従来の硫黄硬化系よりも幾つかの利点を有する。通常、これらコンパウンドは、硬化速度が非常に速く、得られる硬化物は、優れた耐熱性及び低圧縮永久歪を持ちやすい。更に、過酸化物硬化性配合物は、抽出可能な無機不純物(例えば硫黄)を含有しない点でかなり“一層クリーン”である。したがって、このようなゴム物品は、例えばコンデンサーキャップ、生物医学装置、薬剤装置(例えば薬瓶、注射器の栓)及び可能ならば燃料電池のシールに使用できる。ブチル型ゴムは、酸素、窒素等の気体や湿気に不浸透で、酸、アルカリ及び薬品に対し安定であるため、その用途は、特にシーリング用に好ましい。
【0004】
同時係属カナダ特許出願2,458,741は、新グレードの高イソプレン(約5.5〜7.5モル%)ブチルゴムを用いた、ブチルベース過酸化物硬化性コンパウンドの製造法を開示している。この出願特許では硬化促進剤(助剤)としてN,N’−m−フェニレンジアミンが使用されている。このように従来よりもイソプレン含有量(>2.2モル%)の多いブチルゴムは、加硫用に遊離基を含む用途には当然、有益である。Rubber Chem.Technol.42,(1969)1147〜1154には、イソプレン単位はブチルゴムと過酸化物との架橋反応に寄与し、ゴム中のイソプレンレベルが約3モル%では架橋反応と分断反応とは釣合うと開示されている。
【0005】
市販の、イソブチレン、イソプレン及びジビニルベンゼン(DVB)系の三元共重合体(Bayer XL−10000)は、過酸化物単独で硬化可能である。しかし、この材料は幾つかの欠点を持っている。DVBは、重合工程中に取込まれるので、製造中、かなりの量の架橋が起こる。得られる材料は、ムーニー粘度が高く(約60〜75MU、M 1+8@125℃)、かつゲル含有量が非常に多い(約70〜80重量%)ので、加工困難である。この特定のゴムグレードには製造中、加工装置の改造が必要で、コストが高くなる。したがって、過酸化物硬化性で完全又はほぼ完全溶解性(即ち、ゲルを含まない)のイソブチレン系重合体を得ることが望ましい。
【0006】
過酸化物で硬化したXL−10000の用途の一つは、アルミニウム電解コンデンサーキャップである。コンデンサーキャップ用の材料は、高硬度(ショアーA>70単位)及び良好な伸び(≧200%)の両方を持っていなければならない。XL−10000では、これら2つの要件を同時に満足するのは容易ではない。通常、溶解性の高いXL−10000は、低硬度のコンパウンドを生成し、また高不溶性のゴムは、伸びの低いコンパウンドを生成する。XL−10000は、溶解度限界を制御(溶解度は20〜30重量%の範囲内)する(溶解度:20〜30重量%の範囲内)と共に、良好な性能のための“窓”が非常に狭くなるように製造される。
【0007】
ブチルゴム及びポリイソブチレンは、周知のように、有機過酸化物の作用下で分解する。更に米国特許No.3,862,265及び同No.4,749,505は、C〜Cイソモノオレフィンとイソプレン10重量%以下又はp−アルキルスチレン20重量%との共重合体は、高剪断混合を行うと、分子量の低下を受けると開示している。この影響はフリーラジカル開始剤の存在下で高まる。
【0008】
White等の米国特許No.5,578,682は、本来、一様式の分子量分布を有する重合体から誘導した二様式の分子量分布を有する重合体の製造方法を先に開示した。重合体、例えばポリイソブチレン、ブチルゴム、又はイソブチレンとp−メチルスチレンとの共重合体をポリ不飽和架橋剤(及び任意にフリーラジカル開始剤)と混合し、有機過酸化物の存在下で高剪断混合条件を施した。この二様式化は、架橋助剤中に存在する不飽和基において、フリーラジカル減成重合体鎖の幾つかがカップリングした結果である。ポリ不飽和架橋剤は、ポリアリル、ポリエチレン又はポリビニルの不飽和(例えばジ−又はトリ−ビニルベンゼン)を含有できる。最も好ましい架橋剤はジ−不飽和ビスマレイミドである。しかし、White等は、改質重合体の充填コンパウンド又はこのようなコンパウンドの硬化状態については、何も述べていない。
【0009】
Mori等のJP06−172547/1994には、有機過酸化物及び電子吸引基(例えばエチレンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、N,N’−m−フェニレンジアミン)含有多官能性モノマーの存在下でのブチルゴムの架橋法が記載されている。生成物は、架橋点に炭素−炭素二重結合を有し、したがって、従来の硫黄で硬化させたブチルゴムに比べて、かなり耐熱性が向上する。
【0010】
Kawasaki等のJP05−107738/1994には、優れた物性、耐熱性及び低圧縮永久歪を有する硬化物が得られる部分架橋ブチルゴム組成物が記載されている。この組成物は、正ブチルゴムにビニル芳香族化合物(例えばスチレン、ジビニルベンゼン)及び有機過酸化物を加え、このブレンド系に機械的剪断力を加えながら、ブチルゴムを部分架橋して得られる。まず、ゴムと液状ジビニルベンゼンとを一緒に混練機で混合し、次いで、更なる剪断下で過酸化物及び他の成分を加える。しかし、実施例では過酸化物及びDVBの他、配合物には硫黄、キノンジオキシム又はアルキルフェノール樹脂(ブチルゴム用の周知加硫剤)のような追加の硬化剤が存在することを必要としている。
【特許文献1】同時係属カナダ特許出願2,458,741
【特許文献2】米国特許No.3,862,265
【特許文献3】米国特許No.4,749,505
【特許文献4】米国特許No.5,578,682
【特許文献5】P06−172547/1994
【特許文献6】JP05−107738/1994
【特許文献7】EP 1,449,859A1
【非特許文献1】Rubber Chem.Technol.42,(1969)1147〜1154
【非特許文献2】Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry(第5完全改訂版、A23巻、Elvers等編、290〜292頁)
【非特許文献3】Joseph P.Kennedyによる“Cationic Polymerization of Olefins”:A Critical Inventory“(John Wiley & Sons,Inc.著作権、1975,10〜12)
【非特許文献4】Encyclopedia of Polymer Science and Engeering,Vol.4,p66以下(配合)及びVol.17,p666以下(加硫)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
殆ど架橋していない(ゲル<10重量%)ブチルゴム重合体及びDVBを含有する組成物は、過酸化物単独で(即ち、硫黄、アルキルフェノール樹脂、又はキノンジオキシムが存在しないで)硬化できることが意外にも見出された。更に、このような殆ど架橋していないブチルゴム重合体は、ジビニルベンゼンの存在下、過酸化物で架橋して、市販の殆ど架橋した(ゲル70〜80重量%)過酸化物硬化性ブチルゴム重合体Bayer XL−10000をベースとする加硫生成物と同等か又は加硫生成物よりも良好な特性を有するコンパウンドが得られることを意外にも発見した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の概要
本発明は、架橋していないか又は殆ど架橋していないブチルゴム重合体をマルチオレフィン架橋剤、過酸化物硬化剤及び少なくとも1種の充填剤と混合する工程を含む過酸化物硬化ブチル組成物の製造方法であって、硫黄、キノイド、樹脂及び硫黄供与体のような非過酸化物硬化剤の添加を含まない該方法に向けたものである。
【0013】
また本発明は、架橋していないか又は殆ど架橋していないブチルゴムと、マルチオレフィン架橋剤と、少なくとも1種の充填剤と、過酸化物だけ含む硬化剤とを含有する過酸化物硬化ブチルコンパウンドにも向けたものである。
【0014】
更に本発明は、過酸化物硬化ブチルコンパウンドを含む電解コンデンサーキャップのような加硫材料及び加硫品に向けたもので、該加硫材料のMDR及び応力歪特性は、殆ど架橋した過酸化物硬化性ブチルゴム重合体Bayer XL−10000をベースとする比較コンパウンドと同等か又は比較コンパウンドよりも良好である。
図面の簡単な説明
図1は、例3、4、5に従って製造したコンパウンドのMDRの足跡を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明はブチルゴム重合体含有コンパウンドに関する。用語“ブチルゴム”、“ブチル重合体”及び“ブチルゴム重合体”は、本明細書中で交換可能に使用される。従来技術は、ブチルゴムを使用する際、C〜CイソモノオレフィンモノマーとC〜C14マルチオレフィンモノマーと架橋剤とを含む混合物を反応させて製造される、架橋し又は部分架橋した重合体に言及しているが、特に本発明は、少なくとも1種のC〜Cイソモノオレフィンモノマーと少なくとも1種のC〜C14マルチオレフィンモノマーとを含む架橋していないブチルゴム(ゲルは存在しない)を含有するコンパウンド、或いは少なくとも1種のC〜Cイソモノオレフィンモノマーと少なくとも1種のC〜C14マルチオレフィンモノマーと0.15モル%未満のマルチオレフィン架橋剤とを含む殆ど架橋していないブチルゴム(ゲル<10重量%)を含有するコンパウンドに関する。明細書中、“殆ど架橋していないブチルゴム”とは、ゲル含有量が10重量%未満であり、かつマルチオレフィン架橋剤を0.15モル%未満含むブチルゴムを示すものと理解する。本発明の重合体は、ハロゲン化同族体を含有してよいが、コンデンサーキャップのような特定の用途には、ハロゲン化していない重合体が好ましい。
【0016】
本発明と関連して、用語“ゲル”は、還流下、沸騰するシクロヘキサン中で60分間不溶の重合体画分を示すものと理解する。本発明ではゲル含有量は、好ましくは10重量%未満、更に好ましくは5重量%未満、最も好ましくは3重量%未満、なお最も好ましくは1重量%未満である。
【0017】
本発明の架橋していないか又は殆ど架橋していないブチルゴムは、少なくとも1種のC〜Cイソモノオレフィンモノマー、及び少なくとも1種のC〜C14マルチオレフィンモノマーを含有する。
【0018】
本発明は、いかなる特定のC〜Cイソモノオレフィンモノマーを使用することにも限定されない。有用なC〜Cイソモノオレフィンとしては、イソブチレン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、4−メチル−1−ペンテン及びそれらの混合物が挙げられる。例えばC〜Cイソモノオレフィンモノマーはイソブチレンであり得る。
【0019】
本発明は、いかなる特定のマルチオレフィンモノマーを使用することにも限定されない。有用なモノマーとしては、イソプレン、ブタジエン、2−メチルブタジエン、2,4−ジメチルブタジエン、ピペリレン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、2−ネオペンチルブタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2−メチル−1,6−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、1−ビニルシクロヘキサジエンが挙げられる。本発明では、ブチルゴム中のマルチオレフィン含有量は、好ましくは4.1モル%を超え、更に好ましくは5.0モル%を超え、なお更に好ましくは6.0モル%を超え、なおまた更に好ましくは7.0モル%を超える。ブチル重合体中のマルチオレフィンの含有量がかなり多いと(例えば20モル%を超える)、ブチルゴムの代表的な或る特性、例えば浸透性に悪影響を与える可能性がある。
【0020】
好ましくはモノマー混合物は、モノマー混合物の重量に対し、少なくとも1種のイソオレフィンモノマーを80〜95重量%の範囲及び少なくとも1種のマルチオレフィンモノマーを5.0〜20重量%の範囲で含有する。更に好ましくはモノマー混合物は、少なくとも1種のイソオレフィンモノマーを83〜94重量%の範囲及び少なくとも1種のマルチオレフィンモノマーを6.0〜17重量%の範囲で含有する。最も好ましくはモノマー混合物は、少なくとも1種のイソオレフィンモノマーを85〜93重量%の範囲及び少なくとも1種のマルチオレフィンモノマーを7.0〜15重量%の範囲で含有する。
【0021】
本発明に有用なブチルゴム重合体用のモノマー混合物は、1種以上の追加の重合性コモノマーを少量含有してよい。例えばモノマー混合物は、p−メチルスチレン、スチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−メトキシスチレン、インデン(インデン誘導体を含む)及びそれらの混合物のようなスチレン系モノマーを少量含有してよい。スチレン系モノマーは、モノマー混合物の5.0重量%以下まで使用できる。これに従って、C〜Cイソモノオレフィンモノマー及びマルチオレフィンモノマーの量は、合計の100重量%になるように調節しなければならない。
【0022】
本発明では、実質的に架橋していないブチルゴムの製造に使用されるモノマー混合物は、少なくとも1種のマルチオレフィン架橋剤を1重量%以下含有できる。これに従って、C〜Cイソモノオレフィンモノマー及びマルチオレフィンモノマーの量は、モノマー混合物の合計が100重量%になるように調節しなければならない。
【0023】
本発明方法では、ブチルゴム重合体は架橋剤又は硬化剤の不存在下で製造でき、次いで、架橋していないブチルゴム重合体は、架橋剤及び過酸化物硬化剤並びに少なくとも1種の充填剤と混合できる。更に本発明では過酸化物硬化ゴム組成物は、硫黄、キノイド、樹脂及び硫黄供与体のような非過酸化物硬化剤が全く存在しなくても、ブチルゴム重合体、架橋剤(例えばDVB)及び過酸化物硬化剤により製造できる。
【0024】
本発明は、いかなる特定のマルチオレフィン架橋剤にも限定されない。好ましくはマルチオレフィン架橋剤は、マルチオレフィン性炭化水素化合物である。これらの例は、ノルボルナジエン、2−イソプロペニルノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、1,3,5−ヘキサトリエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン又は以上の化合物のC〜C20アルキル置換誘導体である。更に好ましくはマルチオレフィン架橋剤は、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン又は前記化合物のC〜C20アルキル置換誘導体である。最も好ましくはマルチオレフィン架橋剤はジビニルベンゼン又はジイソプロペニルベンゼンである。本発明の過酸化物硬化ゴム組成物は、マルチオレフィン架橋剤を1〜25phr、好ましくは2〜20phr、更に好ましくは3〜15phrの量含有する。
【0025】
モノマー混合物中の他のモノマーと共重合可能であれば、ブチルゴム重合体中に更に他のモノマーも使用可能である。
本発明は、モノマー混合物を製造/重合して、ブチルゴム重合体を製造する特定の方法に限定されない。重合の種類は当業者に周知で,通常、前記モノマー混合物を触媒系と接触させる方法である。
【0026】
重合はブチル重合体を製造する際の従来の温度、例えば−100〜+50℃の範囲の温度で実施できる。重合体は、溶液中での重合により、或いはスラリー重合法により製造できる。重合は、懸濁液(スラリー法)中で実施できる。例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry(第5完全改訂版,A23巻,Elvers等編,290〜292頁)参照。
【0027】
本発明に有用な架橋していないか又は殆ど架橋していないブチルゴム重合体のムーニー粘度(ASTM D1646)ML(1+8@125℃)は、25〜65単位、例えば35〜50単位の範囲であってよい。
【0028】
一例として重合は、不活性脂肪族炭化水素希釈剤(例えばn−ヘキサン)と、大量(80〜99モル%の範囲)のハロゲン化ジアルキルアルミニウム(例えば塩化ジエチルアルミニウム)、少量(1〜20モル%の範囲)のジハロゲン化モノアルキルアルミニウム(例えば二塩化イソブチルアルミニウム)、及び少量(0.01〜10ppmの範囲)の、水、アルミノオキサン(例えばメチルアルミノオキサン)及びそれらの混合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の部材を含有する触媒混合物との存在下で実施できる。勿論、従来よりブチル重合体の製造に使用されている有用な他の触媒系が使用できる。例えばJoseph P.Kennedyによる“Cationic Polymerization of Olefins”:A Critical Inventory“(John Wiley & Sons,Inc.著作権、1975,10〜12)
【0029】
重合は、連続的又は断続的に行ってよい。連続操作の場合、重合法は以下の原料流で実施できる。
I) 溶剤/希釈剤+イソモノオレフィン+マルチオレフィン
II) 触媒
【0030】
連続法は工業的ブチルゴムプラントで使用される。
断続的操作の場合、重合法は、例えば次のように行ってよい。反応温度に予備冷却した反応器に、溶剤又は希釈剤及びモノマーを装填する。次いで、重合熱が問題なく拡散するような方法で触媒を希釈溶液の形態でポンプ送りする。反応過程は,熱の発生によりモニターできる。
【0031】
本発明の過酸化物硬化ブチル組成物は、マルチオレフィン架橋剤も含有する。本発明に有用なマルチオレフィン架橋剤は、マルチオレフィン系炭化水素化合物であり得る。これら化合物の例としては、ノルボルナジエン、2−イソプロペニルノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、1,3,5−ヘキサトリエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン又は以上の化合物のC〜C20アルキル置換誘導体が挙げられる。或いは、マルチオレフィン架橋剤は、例えばジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン又は前記化合物のC〜C20アルキル置換誘導体である。マルチオレフィン架橋剤は、ジビニルトルエン又はジイソプロペニルベンゼンであり得る。
【0032】
本発明の過酸化物硬化ブチルコンパウンドは、少なくとも1種の活性又は不活性の充填剤も含有する。充填剤は下記のものであってよい。
・例えばシリケート溶液の沈殿、又はハロゲン化珪素の火炎加水分解により製造した高分散シリカで、比表面積は5〜1000m/g、主な粒度は10〜400nmの範囲である。このシリカは、任意に、Al、Mg、Ca、Ba、Zn、Zr及びTiのような他の金属の酸化物との混合酸化物として存在してもよい。
・珪酸アルミニウム、及びアルカリ土類金属シリケート(例えば珪酸マグネシウム又は珪酸アルミニウム)のような合成シリケート。
・BET比表面積が20〜400m/gで、主な粒度が10〜400nmである、珪酸マグネシウム又は珪酸カルシウム。
・ カオリン及びその他の天然産シリカのような天然シリケート。
ガラスファイバー及びガラスファイバー製品(マット、押出品)又は微小ガラス球。
・酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムのような金属酸化物。
・炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム及び炭酸亜鉛のような金属炭酸塩。
・ 金属水酸化物、例えば水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム。
・ カーボンブラック。ここで使用されるカーボンブラックは、ランプブラック法、ファーネスブラック法又はガスブラック法で製造され、BET(DIN 66 131)比表面積は20〜200m/gで、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF又はGPFカーボンブラックである。
・ゴムゲル、特にポリブタジエン、ブタジエン/スチレン共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体及びポリクロロプレンをベースとするゴムゲル。
又はそれらの混合物である。
【0033】
本発明のコンパウンドにはカーボンブラックと無機充填剤との組合わせが有利かも知れない。このような組合わせにおいて、無機充填剤とカーボンブラックとの比は、通常、0.05〜20の範囲、又は例えば0.1〜10の範囲である。本発明のゴム組成物では、ゴム100部に対し、カーボンブラックを20〜200部、例えば30〜150重量部、又は例えば40〜100重量部の範囲の量で含有するのが、通常、有利である。異なる種類のカーボンブラック及び充填剤が、幾つかのハンドブック、例えば“The Vanderbilt Rubber Handbook”の各種版に記載されている。
【0034】
本発明で製造される過酸化物硬化組成物は、少なくとも1種の過酸化物硬化系を含有する。本発明は、特定の過酸化物硬化系に限定されない。例えば有機又は無機の過酸化物が好適である。例えばジアルキルパーオキシド、ケタールパーオキシド、アラルキルパーオキシド、パーオキシドエーテル、パーオキシドエステル、例えばジ−tert−ブチルパーオキシド、ビス−(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)−ベンゼン、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−ヘキセン−(3)、1,1−ビス−(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド及びtert−ブチルパーベンゾエートのような有機過酸化物がある。コンパウンド中の過酸化物の量は、通常、1〜10phr(ゴム100部当たり)、例えば4〜8phrの範囲である。次の硬化は、通常、100〜200℃、例えば130〜180℃の範囲の温度で行われる。過酸化物は、重合体に結合した状態で適用するのが有利である。好適な系は、例えばRhein Chemie Rheinau GmbHからPolydispersion T(VC)D−40P、D(=重合体結合したジ−tert−ブチルパーオキシ−イソプロピルベンゼン)のような市販品として入手できる。
【0035】
組成物は、更に他の天然又は合成ゴムを含有してよい。このようなゴムは、例えばBR(ポリブタジエン)、ABR(ブタジエン/アクリル酸C〜Cアルキルエステル共重合体)、CR(ポリクロロプレン)、IR(ポリイソプレン)、SBR(スチレン含有量が1〜60重量%の範囲のスチレン/ブタジエン共重合体)、NBR(アクリロニトリル含有量が5〜60重量%の範囲のブタジエン/アクリロニトリル共重合体)、HNBR(一部又は全部水素化したNBRゴム)、EPDM(エチレン/プロピレン/ジエン共重合体)、FKM(フルオロポリマー又はフルオロゴム)、及びそれらの混合物である。
【0036】
本発明の過酸化物硬化組成物は、更にゴム業界で公知のゴム用の助剤製品、例えば反応促進剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、酸化防止剤、泡立て剤、経時変化防止剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン安定剤、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、増量剤、有機酸、禁止剤、金属酸化物、及びトリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオール等のような活性剤を含有してよい。これらのゴム助剤は、特に意図する用途に応じた従来量で使用される。従来量は、例えばブチルゴムに対し0.1〜50重量%である。組成物は、更に有機脂肪酸を0.1〜20phrの範囲含有してよい。このような有機脂肪酸は、分子中に1つ以上の炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸で、更に好ましくは分子中に少なくとも1つの共役炭素?炭素二重結合を有する共役ジエン酸を10重量%以上含む不飽和脂肪酸である。これら脂肪酸は、例えば炭素数8〜22、又は例えば12〜18の範囲のものである。このような脂肪酸としては、例えばステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、及びそれらのカルシウム、亜鉛、マグネシウム、カリウム及びアンモニウムの塩である。
【0037】
過酸化物硬化ブチルゴム組成物の成分は、好適には25℃から100℃を超える範囲であってよい高温で一緒に混合する。混合時間は、普通、1時間を越えず、2〜30分の範囲で通常、十分である。混合は、好適な混合手段、例えばBanburyミキサーのような密閉式ミキサー、或いはHaake又はBrabender小型密閉式ミキサーで行うのが好適である。2本ロールミルミキサーもエラストマー中に添加剤を良好に分散できる。押出機も良好に混合でき、混合時間も短くて済む。混合を2段階以上で行うことが可能であり、また異なる装置、例えば1つの段階を密閉式ミキサーで行い、また1つの段階を押出機で行うことも可能である。しかし、混合段階中、不要の予備架橋(=スコーチ)が起こらないように注意すべきである。配合及び加硫については、Encyclopedia of Polymer Science and Engeering,Vol.4,p66以下(配合)及びVol.17,p666以下(加硫)も参照。
【0038】
本発明の最終過酸化物硬化ブチル組成物は、次の順序の一方でミキサーに添加される。
I. 架橋していないか又は殆ど架橋していないブチルゴム重合体
II. 充填剤、及び増加分(increment)添加した架橋剤
III.過酸化物硬化剤
又は
I. 充填剤、及び増加分添加した架橋剤
II. 架橋していないか又は殆ど架橋していないブチルゴム重合体
III.過酸化物硬化剤
【0039】
更に本発明は、本発明の過酸化物硬化性コンパウンドを含む造形品を提供する。コンパウンドは、次に過酸化物の分解温度を超える温度に加熱する及び/又は放射線により加硫される。このような加硫品又は非加硫品にとって好適な用途は多数あり、例えば薬剤容器、特にガラス又はプラスチックの小瓶、管、注射器の部品、医療用及び非医療用袋、コンデンサーキャップ、燃料電池のシール、電子機器の部品、特に絶縁部品、電解質含有容器のシール及び部品、リング、防振装置、通常シール、及びシーラントがある。
【実施例】
【0040】
以下の例に示すコンパウンドには、カーボンブラック(IRB #7)、ジビニルベンゼン(約63.5%, Dow Chemical)、過酸化物(DI−CUP 40C, Struktol Canada Ltd.)を使用した。混合は、駆動ユニット(Plastioorder(登録商標)Type PL−V151)とデータインターフェースモジュールとからなる小型密閉式ミキサー(C.W.BrabenderのBrabender MIM)を用いて行った。
【0041】
硬化特性は、ASTM規格D−5289に従って行う可動ダイ流動計(Moving Die Rheometer)(MDR)試験で、Monsanto MDR 200(E)を用いて測定した。上部ディスクは、1°の小弧度(arc)により発振させた。
硬化は、Alan−Bradleyプログラマブルコントローラーを備えた電気プレスを用いて行った。
応力−歪試験は、Instron Testmaster Automation System, Model 4464を用いて行った。
【0042】
検討した本発明のコンパウンドは全て、
重合体: 90又は85部
ジビニルベンゼン: 10又は15部
カーボンブラック(IRB #7, N330): 50部
過酸化物(DI−CUP 40C): 2部
で構成した。
【0043】
混合は、Brabender密閉式ミキサー(容量:約75g)を用い、出発温度23℃、回転速度50rpmで以下の2つの順序の一方で行った。
1)
0.0分: 重合体添加
1.5分: DVBと一緒に増加分でカーボンブラックを添加
7.0分: 過酸化物添加
8.0分: 混合物除去
最終コンパウンドは6”×12”ミルで精製した。
2)
0.0分: DVBと一緒に増加分でカーボンブラックを添加
1.5分: 重合体添加
7.0分: 過酸化物添加
8.0分: 混合物除去
最終コンパウンドは6”×12”ミルで精製した。
【0044】
例1(比較例)
このコンパウンドは、市販のブチルゴム(Bayer Butyl 402、イソブチレン含有量=97.8モル%、イソプレン含有量=2.2モル%)をベースとした。この場合、BrabenderミキサーにDVBは添加しなかった。
ブチルゴム(100部)、カーボンブラック(50部)及び過酸化物(3部)を前記順序1に従って混合した。予想通り、MDR試験中、硬化の証拠は見られなかった。
【0045】
例2(比較例)
このコンパウンドは、カナダのSaniaにあるBayer Inc.の商用施設で製造した高イソプレンブチルゴム(高IP IIR)をベースとした。製造法は以下のとおりである(EP 1,449,859A1も参照)。
【0046】
モノマー原料組成物は、イソプレン(IP又はIC5)4.40重量%及びイソブテン27.5重量%(IP又はIC4)からなる。混合原料を連続重合反応器に5900kg/hrの速度で導入した。更にDVBを反応器中に5.4〜6kg/hrの速度で導入した。AlCl/MeCl溶液(MeCl中AlCl0.23重量%)を204〜227k/hrの速度で導入して、重合を開始させた。連続反応の内部温度は、蒸発冷却法を用いて−95〜−100℃に維持した。反応器内に充分滞留させた後、水性フラッシュタンクを用いてMeClから、新たに生成した重合体クラム(crumb)を分離した。この時点で重合体クラムにステアリン酸約1重量%を導入した。乾燥前に、重合体にIrganox (登録商標)1010を0.1重量%添加した。得られた材料の乾燥は、コンベヤ式オーブンを用いて行った。
【0047】
このゴムのイソプレン含有量は7.5モル%、ムーニー粘度(MU、ML 1+8@125℃)は約38単位、Mは約800kg/モルであった。この実験的高イソプレンIIRエラストマーは、その製造工程から、痕跡量(約0.07〜0.11モル%)のDVBを含有していた。
このDVBレベルは、市販のXL−10000(約1.2〜1.3モル%)の10%未満である。このゴムのゲル含有量は5重量%未満であった。この場合、ゴムコンパウンドの製造用BrabenderミキサーにDVBは添加しなかった。
【0048】
ゴム(100部)、カーボンブラック(50部)及び過酸化物(4部)を前記順序1に従って混合した。得られた硬化コンパウンドは、以下の試験結果を示した。Δトルク=2.15dN・m、ショアーA硬度=30点、極限引張=4.70MPa、極限伸び=998%。例2は、高イソプレンブチルゴムが従来のブチルゴムよりも過酸化物硬化に対し一層好適であることを示している。
【0049】
例3(比較例)
例3のコンパウンドは、市販のゴム(Bayer XL−10000)をベースとした。この場合、BrabenderミキサーにDVBは添加しなかった。
ゴム(100部)、カーボンブラック(50部)及び過酸化物(2部)を前記順序1に従って混合した。
このコンパウンドは、以下の試験結果を示した。Δトルク=11.45dN・m、ショアーA硬度=57点、極限引張=4.86MPa、極限伸び=126%。
【0050】
例4(実施例)
このコンパウンドは、例2で説明した高イソプレンブチルゴムをベースとする。
ゴム(90部)、DVB(10部)、カーボンブラック(50部)及び過酸化物(2部)を前記順序2に従って混合した。得られた硬化コンパウンドは、以下の試験結果を示した。Δトルク=18.19dN・m、ショアーA硬度=58点、極限引張=5.84MPa、極限伸び=335%。
これらの結果は、コンデンサーキャップの用途には、例3の結果よりも良好である。
【0051】
例5(実施例)
このコンパウンドは、例2で説明した高イソプレンブチルゴムをベースとする。
ゴム(85部)、DVB(15部)、カーボンブラック(50部)及び過酸化物(2部)を前記順序1に従って混合した。得られた硬化コンパウンドは、以下の試験結果を示した。Δトルク=39.90dN・m、ショアーA硬度=71点、極限引張=5.33MPa、極限伸び=229%。
これらの結果から、本発明方法を用いると、ショアーA硬度値が70点を超え、かつ極限伸びが200%を超えるコンパウンドを得ることが可能であることが判る。同時に極限引張は、XL−10000をベースとする対照コンパウンドと同様又はこれよりも良好であった。
【0052】
例6(実施例)
このコンパウンドは、市販のゴム(Bayer Butyl 301)をベーストする。
ゴム(85部)、DVB(15部)、カーボンブラック(50部)及び過酸化物(2部)を前記順序1に従って混合した。
コンパウンドは、以下の試験結果を示した。Δトルク=13.84dN・m、ショアーA硬度=61点、極限引張=3.57MPa、極限伸び=987%。
以上の結果を第1表にまとめ、またコンパウンドのMDR足跡を図1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
以上の例に示すように、完全溶解性ブチルゴム(RB 402)で製造したコンパウンドは、過酸化物単独、即ち、ゴム混合物中にDVBが存在しない場合(例1)、硬化しなかった。これに対し、殆ど架橋していない高イソプレンブチルゴムは、過酸化物単独(例2)で硬化したが、硬化特性(硬度、極限伸び及びΔトルク)は、殆ど架橋した比較用ブチル重合体XL−10000(例3)をベースとして製造したコンパウンドに比べてかなり劣っていた。本発明に従って製造した例4、5のコンパウンド(即ち、架橋剤、充填剤及び過酸化物と混合した、殆ど架橋していないブチルゴム)もXL−10000のコンパウンドよりも優れた特性を有し、コンデンサーキャップのような用途において公知のブチルゴムよりも優れている。最後に、本発明の全く架橋していないブチルゴムコンパウンド(例6)は、ブチルXL−10000をベースとして製造したコンパウンドと同様な特性を示した。
【0055】
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、このような詳細な説明は、単にその目的のためであり、特許請求の範囲で限定した他は、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、当業者ならば変化が可能であると理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】例3、4、5に従って製造したコンパウンドの可動ダイ流動計(MDR)試験による硬化曲線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋していないか又は殆ど架橋していない(ゲル<10重量%)ブチルゴム重合体をマルチオレフィン架橋剤、過酸化物硬化剤及び少なくとも1種の充填剤と混合する工程を含む過酸化物硬化ブチル組成物の製造方法であって、非過酸化物硬化剤の添加を含まない該方法。
【請求項2】
ブチル重合体が、少なくとも1種のC〜Cイソモノオレフィンモノマーと、少なくとも1種のC〜C14マルチオレフィンモノマーと、任意に少なくとも1種のマルチオレフィン架橋剤との重合生成物を含み、かつ該重合体中に取込まれるマルチオレフィン架橋剤が0.15モル%未満である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
マルチオレフィン架橋剤が、ノルボルナジエン、2−イソプロペニルノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、1,3,5−ヘキサトリエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、それらのC〜C20アルキル置換誘導体又はそれらの混合物よりなる群から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
過酸化物硬化剤が、ジアルキルパーオキシド、ケタールパーオキシド、アラルキルパーオキシド、パーオキシドエーテル及びパーオキシドエステルである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
架橋していないか又は殆ど架橋していないブチルゴム重合体のゲル含有量が5重量%未満である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
過酸化物硬化剤が、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ビス−(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)−ベンゼン、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−ヘキセン−(3)、1,1−ビス−(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド及びtert−ブチルパーベンゾエートよりなる群から選ばれる請求項4に記載の方法。
【請求項7】
架橋していないか又は殆ど架橋していない(ゲル<10重量%)ブチルゴム重合体、マルチオレフィン架橋剤、過酸化物硬化剤及び少なくとも1種の充填剤を含む、請求項1に記載の方法で製造した組成物。
【請求項8】
ブチルゴム重合体が、少なくとも1種のC〜Cイソモノオレフィンモノマーと、少なくとも1種のC〜C14マルチオレフィンモノマーと、任意に少なくとも1種のマルチオレフィン架橋剤との重合生成物を含み、かつ該重合体中のマルチオレフィン架橋剤の量が0.15モル%未満である請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
マルチオレフィン架橋剤が、ノルボルナジエン、2−イソプロペニルノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、1,3,5−ヘキサトリエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、それらのC〜C20アルキル置換誘導体又はそれらの混合物よりなる群から選ばれる請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
過酸化物硬化剤が、ジアルキルパーオキシド、ケタールパーオキシド、アラルキルパーオキシド、パーオキシドエーテル及びパーオキシドエステルである請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
過酸化物硬化剤が、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ビス−(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)−ベンゼン、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−ヘキセン−(3)、1,1−ビス−(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド及びtert−ブチルパーベンゾエートよりなる群から選ばれる請求項10に記載の組成物。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2008−520771(P2008−520771A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541599(P2007−541599)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【国際出願番号】PCT/CA2005/001736
【国際公開番号】WO2006/053425
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(506183100)ランクセス・インク. (13)
【Fターム(参考)】