説明

道路勾配計測装置、道路勾配計測方法

【課題】車両を走行させながら高い精度で道路勾配を計測する。
【解決手段】ジャイロセンサを用いて、車両の走行中のピッチ角を検出する。また、車両の前後方向に位置を異ならせた複数箇所で、車両の車体と路面との距離を検出することによって、車両傾き角を検出する。そして、ピッチ角と車両傾き角との偏差に基づいて、走行中の道路の道路勾配を検出する。ピッチ角は、車両傾き角および道路勾配のみによって決定され、ジャイロセンサを用いれば精度良くピッチ角を検出することができる。従って、車両の前後で路面との距離を検出して車両傾き角を求めてやれば、ピッチ角と車両傾き角との偏差から、精度良く道路勾配を算出することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を走行させながら、道路の勾配を計測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
環境意識の高まりを背景として、車両に搭載された内燃機関の排ガス中に含まれる有害物質を減少させ、あるいは内燃機関の燃料消費量を減少させるための努力が続けられてきた。その結果、定められた評価条件(シャーシダイナモ設備を用いたモード試験など)では、有害物質の排出量や燃料消費量が着実に減少してきており、今日では更に一歩進んで、車両の実際の走行条件での評価にも大きな関心が寄せられるようになってきた。
【0003】
ここで、車両の実際の走行条件での評価には、「道路勾配」という新たな要因が存在している。たとえ走行速度や加速度が同じであっても、上り勾配の道と、平坦な道と、下り勾配の道とでは、車両に搭載された内燃機関の動作条件は全く異なっている。それに伴って、排ガス中に含まれる有害物質の排出量や燃料消費量の評価結果も大きく異なったものとなる。従って、実際に車両で道路を走行して評価を行う際には、試験条件として、車両の走行速度だけでなく、道路勾配についても精度良く計測しておく必要がある。
【0004】
このような理由から、道路勾配を計測するための種々の方法が提案されてきた。例えば、車両に加速度センサを搭載しておき、加速度センサによって得られた加速度と、車輪の回転速度(走行速度に対応)などから算出した加速度との偏差が、道路の勾配に対応しているものとして、勾配を算出する技術が提案されている(特許文献1、特許文献2など)。また、加速度センサの出力に何らかの外乱が作用した場合でも、できるだけ正確な道路勾配を計測可能とすることを目的として種々の改良が試みられている(特許文献3、特許文献4など)。更には、いわゆるGPS(地球全測位システム)からの信号に基づいて車両の絶対的な位置情報(緯度、経度、標高)を時々刻々と取得し、標高の変化から道路勾配を算出しようとする技術や(特許文献5)、大気圧を精度良く計測して車両の標高を算出することにより、標高の変化から道路勾配を算出しようとする技術も提案されている(特許文献6)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−201380号公報
【特許文献2】特開平8−327378号公報
【特許文献3】特開平7−083659号公報
【特許文献4】特開2001−296122号公報
【特許文献5】特開2001−331832号公報
【特許文献6】特開2004−110590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これら提案されている何れの技術によっても、十分に実用可能な精度では、道路勾配を計測することができないという問題があった。例えば、加速度センサを用いた方法では、車両を走らせながら道路勾配を計測して、得られた道路勾配から標高を算出してみると、出発地点と同じ地点に戻った場合でも出発地点と終着地点とで標高が食い違ってしまうのが現状である。従って、加速度センサを用いた方法は、少なくとも排ガス中の有害物質や燃料消費量の評価に適用するためには、計測精度が不十分である。また、GPSを用いた方法や大気圧を用いた方法も、次の理由から、十分な精度で道路勾配を計測することは困難である。先ずGPSを用いた方法は、原理上の制約から、標高に関しては十分な精度で計測することが困難である。更に、大気圧を用いた方法についても、十分な精度で標高を算出可能なほどに、高い精度で大気圧を計測可能な装置は存在しない。このように、十分な精度では標高を計測することができないので、GPSあるいは大気圧を用いた方法では道路勾配を十分な精度で計測することは困難である。
【0007】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、車両を走行させながら、排ガス中の有害物質や燃料消費量などの評価にも十分に適用可能な程度に高い精度で、道路勾配を計測する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の道路勾配計測装置は次の構成を採用した。すなわち、
車両に搭載されて走行中の道路の道路勾配を計測する道路勾配計測装置であって、
前記車両の後部から前部に向かって該車両に対して設定された前後軸の先端側が、重力の方向に沿って上下方向に回転する角度であるピッチ角を、ジャイロセンサを用いて検出するピッチ角検出手段と、
前記車両の前後方向に位置を異ならせて設けられた複数箇所で、該車両の車体と路面との距離を検出することにより、該路面に対する該車両の傾きを示す車両傾き角を検出する車両傾き角検出手段と、
前記ピッチ角と前記車両傾き角との偏差に基づいて、走行中の道路の道路勾配を検出する道路勾配検出手段と
を備えることを要旨とする。
【0009】
また、上記の道路勾配計測装置に対応する本発明の道路勾配計測方法は、
車両に搭載されて走行中の道路の道路勾配を計測する道路勾配計測方法であって、
前記車両の後部から前部に向かって該車両に対して設定された前後軸の先端側が、重力の方向に沿って上下方向に回転する角度であるピッチ角を、ジャイロセンサを用いて検出する第1の工程と、
前記車両の前後方向に位置を異ならせて設けられた複数箇所で、該車両の車体と路面との距離を検出することにより、該路面に対する該車両の傾きを示す車両傾き角を検出する第2の工程と、
前記ピッチ角と前記車両傾き角との偏差に基づいて、走行中の道路の道路勾配を検出する第3の工程と
を備えることを要旨とする。
【0010】
かかる本発明の道路勾配計測装置および道路勾配計測方法においては、車両の走行中のピッチ角を、ジャイロセンサを用いて検出する。ここでピッチ角とは、大まかに言えば、車両の前方と後方とが逆方向に上下に回転する方向に、車両がどの程度傾いているかを示す角度である。また、車両の前後方向に位置を異ならせた複数箇所で、車両の車体と路面との距離を検出することによって、車両傾き角を検出する。そして、ピッチ角と車両傾き角との偏差に基づいて、走行中の道路の道路勾配を検出する。
【0011】
ジャイロセンサを用いれば、ピッチ角を精度良く検出することができる。また詳細には後述するが、このピッチ角に影響を与える要因は、車両傾き角および道路勾配しか存在していない。更に、車両傾き角は、車両の前後で路面との距離を検出することによって、精度良く検出することができる。従って、ピッチ角と車両傾き角との偏差を求めれば、道路勾配を精度良く検出することが可能となる。
【0012】
また、かかる本発明の道路勾配計測装置においては、次のようにして道路勾配を計測しても良い。先ず、道路勾配の計測に際して、道路勾配の初期値を設定する。また、ピッチ角としては、初期値を設定した時点からの前後軸の回転角度に、実質的に対応するピッチ角を検出するとともに、車両傾き角としては、初期値を設定した時点からの車両の傾きに、実質的に対応する車両傾き角を検出する。そして、検出したピッチ角および車両傾き角に基づいて道路勾配の変化量を算出し、初期値として設定された道路勾配を更新することによって、道路勾配を計測することとしても良い。
【0013】
道路勾配は、ピッチ角と車両傾き角との偏差によって決定されるものであるから、ピッチ角および車両傾き角の数値そのものについては、必ずしも正確な値が得られなくても構わない。そこで、道路勾配の初期値を設定しておき、初期値を設定した時点からの、前後軸の回転角度および車両の傾き角度を、それぞれピッチ角および車両傾き角として検出して、これらの偏差から道路勾配に変化量を算出して、初期値の道路勾配を更新していけば、比較的容易に道路勾配を計測することが可能となる。
【0014】
また、かかる本発明の道路勾配計測装置においては、次のようにして、検出した道路勾配を修正することとしても良い。先ず、車両の走行速度を検出する。そして、検出した道路勾配と走行速度とに基づいて、車両の位置での標高を算出しながら、道路勾配を計測する。その結果、予め標高が分かっている基準位置を車両が通過した際に、算出した標高と、予め分かっている標高とを比較して、算出した標高が既知の標高に近付くように、検出した道路勾配を修正するようにしてもよい。
【0015】
実際の道路には、正確な標高が分かっている地点が複数存在している。従って、道路勾配から標高を算出しておけば、正確な標高が分かっている地点を通過した際に、算出した標高と、予め分かっている標高とを比較することで、道路勾配の計測値が正しいか否かを判断することができる。そして、標高が食い違っている場合には、算出した標高が正しい標高に近付くように、道路勾配の計測値を修正することで、より正しい計測値の道路勾配を得ることができる。尚、道路勾配の計測値を修正するに際しては、算出した標高が正しい標高と一致するように修正しても良いが、算出した標高が正しい標高に近付くように修正するだけでもよい。こうすれば、車両の走行速度に誤差が混入するなど、何らかの要因で標高の算出結果が一時的に変わってしまった場合でも、道路勾配の計測結果に与える影響を抑制することが可能となる。
【0016】
また、本発明の道路勾配計測装置においては、地球を周回する複数のGPS衛星からの信号を受信して、道路勾配を検出した時点での車両の緯度および経度を示すGPS情報を取得することとしてもよい。
【0017】
こうすれば、計測した道路勾配が、どの地点での道路勾配であるかを、正確に且つ容易に特定することが可能となるので好ましい。
【0018】
また、GPS情報を取得しながら道路勾配を計測する本発明の道路勾配計測装置においては、次のように道路勾配を修正しながら計測しても良い。先ず、緯度および経度の組毎に標高が設定された地図データを予め記憶しておく。また、車両の走行速度を検出して、道路勾配と走行速度とに基づいて、車両の位置での標高を算出する。そして、標高を算出すると、同時に取得したGPS情報に基づいて地図データを参照し、算出した標高が、地図データに設定された標高に近付くように、道路勾配を修正しながら計測する。
【0019】
こうすれば、地図データを参照しながら道路勾配を修正することができるので、高い精度で道路勾配を計測することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.装置構成:
B.道路勾配の計測原理:
C.変形例:
【0021】
A.装置構成 :
図1は、本実施例の道路勾配計測装置100の構成を示した説明図である。図1(a)には、本実施例の道路勾配計測装置100を車両10に搭載した様子が示されている。図1(a)に示されるように、本実施例の道路勾配計測装置100は、車両10に固定されたジャイロセンサ102と、車両10の前部および後部にそれぞれ設けられたハイトセンサ104と、ジャイロセンサ102およびハイトセンサ104からのデータに対してデータ処理を行うデータ処理部106などから構成されている。
【0022】
ジャイロセンサ102は、物体が回転したときに発生するコリオリ力を利用して、物体が回転する速度(すなわち角速度)を検出するセンサである。また、物体(ここでは車両10)が回転する方向は三つの方向が存在するが、本実施例のジャイロセンサ102は、車両10の前方が上下に回転する方向(ピッチ方向)の角速度を検出可能な状態に取り付けられている。尚、本実施例のジャイロセンサ102は、GPSアンテナも内蔵されており、緯度や経度などのGPS情報を取得することも可能となっている。
【0023】
ハイトセンサ104は、前輪の車軸位置付近および後輪の車軸位置付近に取り付けられており、路面に対してレーザー光を照射することにより、それぞれの位置で路面に対する車体の高さを検出することが可能である。また、データ処理部106は、CPUやROM、RAMなどがデータをやり取り可能に接続されたいわゆるコンピュータであり、ジャイロセンサ102やハイトセンサ104からのデータが入力されている。
【0024】
図1(b)には、ジャイロセンサ102や、ハイトセンサ104、データ処理部106に搭載された各種の機能に着目して、本実施例の道路勾配計測装置100の構成が示されている。ジャイロセンサ102には、車両10のピッチ角を検出するピッチ角検出部と、GPS情報を取得するGPS情報取得部が設けられており、これらで得られたデータは、データ処理部106に入力される。また、車両の前部および後部にそれぞれ設けられたハイトセンサ104からのデータも、データ処理部106に入力されている。
【0025】
データ処理部106は、演算部を中心として、設定部、地図データ記憶部、データ出力部などから構成されている。このうち演算部は、ジャイロセンサ102およびハイトセンサ104からのデータを受け取って、後述する内容の演算を行うことにより、道路勾配を算出する機能を有している。また設定部は、道路勾配の計測を開始する際に、道路勾配の初期値を、演算部に対して外部から設定する機能を有している。こうして初期値が設定されると、演算部は、ジャイロセンサ102およびハイトセンサ104からのデータに基づいて道路勾配を算出する。また、データ出力部は、こうして得られた道路勾配を外部に出力したり、各種の記録媒体に保存したりする機能を有している。
【0026】
以上のようにして道路勾配を計測する機能に加えて、本実施例のデータ処理部106には、次のような機能も搭載されている。先ず、演算部は、車両10の制御用のコンピュータから車速のデータを読み込むことで、道路勾配から標高の変化を算出することが可能である。そこで、計測を開始する地点での標高を予め調べておき、この標高を初期値として設定部から演算部に設定することで、標高を計測することも可能である。
【0027】
更に、車両の現在位置を示すGPS情報(緯度および経度)を取得することも可能である。そこで、データ処理部106の内部に地図データ記憶部を設けて、各地点での緯度、経度、および標高が設定された地図データを、予め記憶しておく。そして、地図データに登録されている地点を車両が通過したら、地図データに記憶されている標高のデータを用いて、算出した値を修正しながら、道路勾配および標高を計測することも可能である。図1(b)には、データ処理部106の演算部が、地図データ記憶部に記憶された地図データを参照している様子が破線の矢印によって示されている。
【0028】
尚、図1(b)において、GPS情報取得部、地図データ記憶部、および車両制御用コンピュータが破線の矩形で示されているのは、道路勾配を計測するだけであれば、これらは必ずしも必須ではない機能であることを表したものである。
【0029】
以上のような構成を有する本実施例の道路勾配計測装置100は、車両10の走行中に道路勾配を、極めて高い精度で計測することが可能となっている。以下では、この点について詳しく説明する。
【0030】
B.道路勾配の計測原理 :
図2は、本実施例の道路勾配計測装置100が、道路勾配を計測する原理を示した説明図である。図中に太い破線で示した矢印は、車両10の前後軸である。ここで、前後軸とは、車両10のほぼ中央に、後部から前部に向かって車体を基準に設定された軸である。前後軸は、大まかには車両10の進行方向と一致するが、あくまでも車体を基準に設定されているので、厳密には一致しない。例えば、車両10の前部が少し上がり、後部が少し下がった状態で走行しているような場合を考えれば明らかなように、車両10の進行方向と前後軸とは本質的に異なるものであって、厳密には、両者が一致することはない。
【0031】
この前後軸の先端側が重力の方向に沿って上下に移動するような方向(ピッチ方向)に車両10が回転すると、車両10に搭載されたジャイロセンサ102は、ピッチ方向の回転に伴う角速度を検出し、検出した角速度からピッチ角θpを算出して出力する。ここで、車両10の前後軸は、車両10が傾いても回転するし、路面が傾いても回転する。このことから明らかなように、ジャイロセンサ102によって得られたピッチ角θpは、車両10の路面に対する傾き角(車両傾き角θv)と、道路勾配θrとが合わさったものとなっている。従って、ピッチ角θpから、車両傾き角θvを減算することで、道路勾配θrを求めることが可能である。
【0032】
また、図1を用いて前述したように、本実施例では車両10の前部および後部にそれぞれハイトセンサ104が設けられており、それぞれの位置で、路面に対する車体の高さを検出可能である。従って、車両10の進行方向へのハイトセンサ104間の距離Lを予め求めておけば、前後のハイトセンサ104で得られた高さの差(高低差dH)をLで除算した値の逆正弦関数(sin−1)を算出することによって、車両傾き角θvを求めることができる。そして、ジャイロセンサ102によって得られたピッチ角θpから車両傾き角θvを減算することで、道路勾配θrを算出することができる。
【0033】
本実施例の道路勾配計測装置100では、このような方法により、車両10を走行させながら、極めて高い精度で道路勾配θrを計測している。ここで、本実施例の方法で計測した道路勾配θrの精度が極めて高い理由を、加速度センサを用いて道路勾配θrを算出する方法と対比することによって説明する。
【0034】
図3は、加速度センサを用いて道路勾配θrを算出する原理を示した説明図である。図3(a)は、平坦な道路を一定の加速度で加速している状態を示している。車両に働く加速度は、車両が加速することによる加速度(走行加速度av)、および重力加速度gである。従って、車両に搭載された加速度センサによって検出される加速度(検出加速度am)は、これらの加速度(走行加速度avおよび重力加速度g)が合成したものとなる。仮に、車両が完全に平坦な道路を走行しているのであれば、加速度センサで検出される検出加速度amと、車輪の回転から求めた走行加速度avとの間には、
(am)=(av)+g
の関係が成り立っている。
【0035】
一方、図3(b)は、上り勾配の道路を加速している状態を示している。車両の走行加速度avおよび重力加速度gの大きさが図3(a)の場合と全く同じであっても、重力加速度gに対する走行加速度avの角度が変わるため、実際に加速度センサで検出される検出加速度amの大きさは、図3(a)の場合を想定して上式で算出した値とは異なったものとなる。そして、走行加速度avおよび重力加速度gから上式を用いて算出した加速度と、加速度センサで検出された実際の検出加速度amとの偏差は、道路勾配θrが大きくなるほど増加する。換言すれば、走行加速度avおよび重力加速度gから算出した加速度と、加速度センサで検出された検出加速度amとを比較することによって、道路勾配θrを算出することが可能となる。詳細には種々の方法が存在しているが、加速度センサを用いた方法では、大まかには、このような原理を用いて道路勾配θrを計測している。ところが、実際に加速度センサで得られる検出加速度amには、車両の揺れに起因する種々の外乱が混入する。
【0036】
図4は、加速度センサの出力に影響を与える車体の揺れをまとめて示した説明図である。図4(a)は、車両の前部と後部とが異なる方向に上下に揺れる動き(ピッチ動)をしている様子を示している。図4(b)は、車両の前部と後部とが同じ方向に上下に揺れる動き(上下動)をしている様子を示し、図4(c)は、車両が前後方向に揺れる動き(前後動)をしている様子を示している。更に、図4(d)には、車両の左部と右部とが異なる方向に上下に揺れる動き(ロール動)をしている様子が示されている。これらの車両の動きは、実際には加速度センサの出力に影響を与える。
【0037】
特に、車両は、振動学的には、タイヤやサスペンションの上に重い車体が取り付けられた所謂バネ−マス振動系となっているので、車両の走行速度および路面の小さな凹凸によって、図4に示す各種の動きが、互いに重畳した状態で発生し得る。そして、これらの動きが発生すると、車両の走行中に計測した加速度センサの出力から、これらの外乱に起因した成分を取り除くことは極めて困難である。例えば、本実施例の方法と同様に、前後の車軸の付近にハイトセンサを設けてピッチ動の大きさを検出したとしても、ピッチ動の大きさが、加速度センサの出力にどの程度の影響を与えるかを正確に評価することは容易なことではない。また、仮に、ピッチ動に起因する加速度を取り除いたとしても、その他の動きに起因する加速度も取り除かなければならない。そして、これら各種の動きが互いに重畳すると、加速度センサの出力から、これら動きによる成分を取り除くことは極めて困難となる。
【0038】
これに対して、図2を用いて説明した本実施例の計測方法では、ジャイロセンサ102で車両のピッチ角θpを検出しており、このピッチ角θpは、道路勾配θrおよび車両傾き角θvの2つの要因のみから決定される。例えば、図4(b)〜図4(d)の何れの動きに対しても、ジャイロセンサ102の出力は影響を受けることはない。そして、車両傾き角θvであれば、車両10の前後に設けたハイトセンサ104の出力から精度良く検出することができる。従って、ジャイロセンサ102で得られたピッチ角θpから、ハイトセンサ104を用いて検出した車両傾き角θvを減算することで、極めて精度良く道路勾配θrを計測することが可能となるのである。
【0039】
図5は、本実施例の道路勾配計測装置100を車両に搭載して、実際に道路を走行しながら道路勾配θrを計測した結果を例示した説明図である。図5(a)は、走行距離に対する走行速度の変化を示しており、図5(b)は、道路勾配の計測結果が示されている。走行速度は、車両の制御用コンピュータから取得することができる。あるいは、車輪に回転速度センサを取り付けて、得られた回転速度に車輪の半径を乗算することによって走行速度を算出しても良い。また、図5(c)には、計測した道路勾配θrと走行速度とに基づいて標高を算出した結果が示されている。すなわち、道路勾配θrの正弦関数(sin)に走行速度を乗算すれば、単位時間あたりの標高の変化量を算出することができる。そこで、計測開始時点での標高を予め求めておき、この標高に、単位時間あたりの標高の変化量を累積していくことで、道路勾配θrから標高を算出することができる。
【0040】
図5では、2回分の計測結果が示されており、1回目の計測結果は実線で、2回目の計測結果は破線で示されている。図5(a)に示されているように、1回目と2回目とでは走行速度がかなり異なっている。これは、1回目の計測時と2回目の計測時とでは、道路の混み方がかなり異なっており、それに伴って車両10の走り方が大幅に異なったためである。
【0041】
このように車両10の走り方が大幅に異なっているにも拘わらず、図5(b)に示した道路勾配θrの計測結果は、1回目と2回目とで良く似た結果が得られている。ここで、走行した道路は、走行距離1km付近までは片側1車線であったが、1km付近から2.2km付近までは複数車線となり、2.2km付近以降は再び片側1車線となっていた。そして、複数車線となっている1km付近から2.2km付近までは、1回目の計測時と2回目の計測時とで異なる車線を走行した。このため、車線変更を繰り返した1回目よりも、車線変更をほとんど行わなかった2回目の方が、走行距離が短くなり、その結果、走行距離2km以降では、2回目の計測結果が1回目の計測結果に対して少しシフトしたような結果が得られている。
【0042】
また、図5(c)に示した標高の算出結果についても同様に、走行距離2.2km以降では、2回目の算出結果が1回目の算出結果に対して、少しシフトしたような結果となっている。また、走行距離1km〜2.2kmの間で、標高の計算結果が1回目と2回目とで乖離しているのは、走行車線の違いによるものである。
【0043】
図5(b)および図5(c)を観察すると、本実施例の道路勾配計測装置100では、極めて高い精度で道路勾配θrを計測可能なことが分かる。例えば、走行距離の違いが現れない走行距離1km付近までは、図5(b)に示した道路勾配θrおよび図5(c)に示した標高の計算結果の何れについても、1回目の計測と2回目の計測とで高い再現性を示している。また、再び片側1車線となる走行距離2.2km付近以降については、それまでの走行距離が1回目と2回目とで違っていることを考慮して、一方のデータを平行移動してやると、図5(b)に示した道路勾配θrおよび図5(c)に示した標高の計算結果の何れについても、ほとんど重なってしまう。これらのことは、走行車線を決めておけば、1回の計測で、極めて高い精度で道路勾配θrおよび標高のデータを取得可能であることを示している。従って、本実施例の道路勾配計測装置100を用いて道路勾配θr(および標高)を計測しておけば、同じ車線を走行する限り(たとえ車両が違っていても)、道路勾配θr(および標高)については、先に計測したデータをそのまま使用することが可能となる。
【0044】
C.変形例 :
上述したように、本実施例の道路勾配計測装置100は、車両に搭載して1回だけ道路を走行するだけで、道路勾配θrを精度良く計測することができる。また、精度良く計測した道路勾配θrから、精度良く標高を算出することができる。このように、計測した道路勾配θrを標高に変換しておけば、既に得られている標高のデータを用いて計測結果を修正しながら、道路勾配θrを計測することが可能である。以下では、このような変形例について説明する。
【0045】
図6は、道路勾配θrの計測経路を地図上で示した説明図である。図中に示した太い実線が道路勾配θrの計測経路を表している。また、図中に示した破線は、計測経路の周囲を走っている道路を表している。図示されているように、計測経路は、複数の道路と交差しているのが通常である。従って、これら周辺の道路の幾つかで既に標高のデータが得られていれば、交差する位置で既に得られている標高のデータと、新たに計測中のデータとを付き合わせることで、計測データを修正しながら道路勾配θrおよび標高を計測することが可能と考えられる。
【0046】
図6中に示した太い破線は、既に道路勾配θrを計測して、標高のデータが得られている道路を表している。図1を用いて前述したように、本実施例のジャイロセンサ102はGPS機能を搭載しており、車両が存在する地点の緯度および経度を取得することが可能である。従って、道路勾配θrおよび標高を計測しながら、同時にその地点の緯度および経度も取得することで、図6に示したように、地図上で道路に沿った標高のデータを得ることが可能である。このようにして得られたデータ(緯度および経度の組に対して標高が設定されたデータ)を、予め記憶しておく。尚、緯度および経度の組に対して標高が設定されたデータを、本明細書中では「地図データ」と呼んでいる。図6に示した例では、4つの経路に沿った地図データが、予め記憶されていることになる。
【0047】
また、図6中に太い実線で示した計測経路に沿って道路勾配θr(および標高)を計測する際にも、道路勾配θr(および標高)を計測すると同時に、GPS機能を用いてその地点での緯度および経度を取得する。そして、取得した緯度および経度の値が、地図データに記憶されているか否かを判断して、記憶されている場合には、地図データの標高を用いて、計測中の標高の値を修正する。例えば、図6に示した「a」点で、計測経路が、地図データの記憶されている道路と交わるので、地図データに記憶されている標高のデータによって、計測中の標高の値を修正する。また、このような標高差が生じた原因は、計測開始時に初期値として設定した道路勾配θrなどに誤差が含まれていたためと考えられるので、標高差が生じないように初期値を修正して、道路勾配θrや標高などを再計算してもよい。
【0048】
図6に示されるように、計測経路上の「b」点、「c」点、「d」点についても地図データが存在するので、「a」点と同様にして、道路勾配θrの計測値や標高の計算結果を修正することができる。また、このとき、既に行った修正の結果を利用して、修正することで、道路勾配θrおよび標高の計測精度を高めることができる。例えば「b」点について説明すると、「a」点で行った修正で初期値に含まれる誤差は除かれている。従って、「b」点での地図データの標高と、計測中の標高との間に生じた標高差は、「a」点での道路勾配θrに含まれる僅かな誤差に起因しているものと考えられる。そこで、「b」点での標高差が生じないように、「a」点での道路勾配θrを修正して、「a」点から「b」点までの道路勾配θrおよび標高を再計算する。「c」点、「d」点についても同様にして、地図データに基づいて修正しながら、道路勾配θrおよび標高を計測することで、極めて高い精度を確保することが可能となる。
【0049】
尚、GPSの信号は、必ずしも常に受信可能なわけではない。上述した修正方法では、緯度および経度のデータが必要なので、たまたま「a」点、「b」点、「c」点、「d」点で、GPSの信号が受信できなかった場合には、修正することができなくなってしまう。しかし、このような場合でも、カルマンフィルター(離散的な誤差のある計測に対して時々刻々と時間変化する量を推定するフィルター)を用いれば、緯度および経度の情報を推定して修正を行うことができ、その結果、高い精度で道路勾配θrおよび標高を計測することが可能となる。
【0050】
また、上述した説明では、地図データは、本実施例の道路勾配計測装置100を用いて標高を計測しながら、同時に緯度および経度を計測することによって得られたデータであるものとして説明した。この場合は、計測経路と交差するような道路で、既に道路勾配θrおよび標高が計測されて、地図データとして保存されていることが必要となる。しかし、このような地図データが常に存在するとは限らない。このような場合は、信頼のできる機関から提供される地形データ(緯度および経度と、その地点での標高が表示されているデータ)を、地図データとして用いながら上述した修正を行うことによっても、道路勾配θrおよび標高を精度良く計測することが可能である。
【0051】
尚、実際の道路には、高架になって他の道路の上を跨いだり、地下に潜って他の道路の下をくぐったり、更には、複数の道路が、上下に平行して走っている場合も存在する。している。このような場合、緯度および経度が同じ地点に、正しい標高が複数存在している。従って、単に地図データが存在するからといって、計測結果を修正してしまっては、却って計測精度を低下させてしまうことが考えられる。また、地形データを地図データとして用いる場合にも、道路が高架になっている部分や、地下に潜っている部分などでは、地形データの標高を用いて計測結果を修正すると、却って計測精度を低下させてしまうことが考えられる。
【0052】
図7は、高速道路を含む経路に沿って計測した道路勾配θrから、標高を算出した結果を示した説明図である。図中に示した実線が、道路勾配θrから計算した標高である。また、図中に示した破線は、地形データから求めた計測経路上での標高を表している。図中で走行距離1km付近〜17km付近までが高速道路であり、その他の部分は一般道である。
【0053】
図示されているように、一般道の部分(走行距離1km付近まで、および17km付近以降)では、道路勾配θrから算出した標高の値は、地図データ(ここでは地形データ)から求めた標高と良く一致している。しかし、高速道路に入ってしばらくの間(走行距離にして1km付近〜3km付近まで)は、道路勾配θrから算出した標高が、地図データが示す標高よりも低くなっている。この区間では、高速道路がトンネル内を通過しているものと考えられる。また、トンネルを抜けて以降(走行距離にして3km付近〜17km付近まで)では、道路勾配θrから算出した標高が、地図データが示す標高よりも高くなっている。この区間では、高速道路が高架になっているものと考えられる。これらのような区間では、地図データの標高を用いて計測結果を修正すると、却って計測精度を低下させてしまう。
【0054】
そこで、地図データの標高を修正に用いることができるか否かを示すフラグを、地図データ中の地点(緯度および経度)毎に予め設定しておき、フラグの設定を確認して、修正に用いることができる地点でのみ、地図データの標高を用いて修正する。例えば、図7に示した例では、高速道路が通っている地点の地図データには、修正に用いることができない旨のフラグを設定しておく。こうすれば、走行距離1km付近までは修正を行いながら道路勾配θrおよび標高を計測し、高速道路の走行中は修正を行うことなく計測することになる。そして、一般道に入った走行距離17km付近で再び地図データに基づいて修正を行う。高速道路を抜けた直後の修正においては、高速道路の走行中に修正せずに計測した区間のデータ(走行距離1km付近〜17km付近のデータ)をまとめて修正すればよい。こうすれば、高架やトンネルなどの部分でも極めて高い精度で道路勾配θrおよび標高を計測することが可能となる。
【0055】
また、地図データの地点毎に予めフラグを設定しておくのは面倒なので、次のようにしても良い。すなわち、道路勾配θrから算出した標高と、地図データの標高とを比較して、標高差が所定値以上に大きい場合には、高架あるいはトンネルなどを通過しているものと判断して、修正しないこととしてもよい。また、地図データを用いて修正するか否かの判断を、個々の地点毎に行うのではなく、それより前の地点での標高差も参照しながら判断することとしても良い。例えば、道路勾配θrから算出した標高と、地図データの標高との標高差が所定値以上となる地点が、3点以上連続した場合に、両端を除いた地点では修正を行わないものと判断しても良い。あるいは逆に、標高差が所定値以上となる地点が孤立している場合、換言すれば、その地点の前後の地点では、標高差が所定値以下である場合には、その地点では修正しないものと判断しても良い。
【0056】
更には、車両の走行速度を考慮して地点間の距離を算出し、標高差が所定値以上となる区間が、所定の距離以上連続した場合には、地図データの標高を用いた修正は行わないものと判断しても良い。あるいは逆に、標高差が所定値以上となる区間が、あまりに短い距離であった場合には、その区間では、地図データによる修正は行わないものと判断しても良い。
【0057】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0058】
例えば、上述した実施例では、ハイトセンサ104は、車体と路面との距離を直接検出するものとして説明した。しかし、車体と路面との距離が検出できるのであれば、どのような方法を用いることもできる。例えば、車輪を支える車軸と、車体と距離を検出することによって、間接的に車体と路面との距離を検出するようにしても良い。
【0059】
また、上述した実施例では、ハイトセンサ104は、前輪の車軸位置付近、および後輪の車軸位置付近に設けられているものとして説明した。それぞれのハイトセンサ104が正確に車軸位置に設けられている場合は、いわゆるホイールベース長を、車両傾き角θvを算出する際の距離Lとして用いることができるので、距離Lを計測する手間をかけることなく車両傾き角θvを算出することができる。これに対して、前側のハイトセンサ104は前輪の車軸位置よりも前方に設け、後側のハイトセンサ104は後輪の車軸位置よりも後方に設けることとしてもよい。こうすれば、長い距離Lを確保することができるので、車両傾き角θvを、より高い精度で算出することが可能となる。もちろん、他の適切な取付箇所が無い場合は、前輪の車軸および後輪の車軸の内側にハイトセンサ104を取り付けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施例の道路勾配計測装置100の構成を示した説明図である。
【図2】本実施例の道路勾配計測装置100が道路勾配を計測する原理を示した説明図である。
【図3】加速度センサを用いて道路勾配θrを算出する原理を示した説明図である。
【図4】加速度センサの出力に影響を与える車体の揺れの各種態様を示した説明図である。
【図5】本実施例の道路勾配計測装置100を車両に搭載して、実際に道路を走行しながら道路勾配θrを計測した結果を例示した説明図である。
【図6】地図上で道路勾配θrの計測経路を示した説明図である。
【図7】高速道路を含む経路に沿って道路勾配θrを計測した後、標高を算出した結果を示した説明図である。
【符号の説明】
【0061】
10…車両、 100…道路勾配計測装置、 102…ジャイロセンサ、
104…ハイトセンサ、 106…データ処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて走行中の道路の勾配を計測する道路勾配計測装置であって、
前記車両の後部から前部に向かって該車両に対して設定された前後軸の先端側が、重力の方向に沿って上下方向に回転する角度であるピッチ角を、ジャイロセンサを用いて検出するピッチ角検出手段と、
前記車両の前後方向に位置を異ならせて設けられた複数箇所で、該車両の車体と路面との距離を検出することにより、該路面に対する該車両の傾きを示す車両傾き角を検出する車両傾き角検出手段と、
前記ピッチ角と前記車両傾き角との偏差に基づいて、走行中の道路の道路勾配を検出する道路勾配検出手段と
を備える道路勾配計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の道路勾配計測装置であって、
前記道路勾配の計測に際して、該道路勾配の初期値を設定する初期値設定手段を備え、
前記ピッチ角検出手段は、前記道路勾配の初期値を設定した時点からの、前記前後軸の回転角度に対応する前記ピッチ角を検出する手段であり、
前記車両傾き角検出手段は、前記道路勾配の初期値を設定した時点からの、前記車両の傾きに対応する前記車両傾き角を検出する手段であり、
前記道路勾配検出手段は、前記ピッチ角と前記車両傾き角とに基づいて前記道路勾配の変化量を算出し、前記初期値として設定された道路勾配を更新することによって、該道路勾配を検出する手段である道路勾配計測装置。
【請求項3】
請求項1に記載の道路勾配計測装置であって、
前記車両の走行速度を検出する走行速度検出手段と、
前記道路勾配と前記走行速度とに基づいて、前記車両の位置での標高を算出する標高算出手段と、
予め標高が分かっている基準位置で前記標高算出手段によって算出された標高が、該既知の標高に近付くように、前記検出した道路勾配を修正する道路勾配修正手段と
を備える道路勾配計測装置。
【請求項4】
請求項1に記載の道路勾配計測装置であって、
地球を周回する複数のGPS衛星からの信号を同時に受信することにより、前記道路勾配を検出した時点での前記車両の緯度および経度を示すGPS情報を取得するGPS情報取得手段を備える道路勾配計測装置。
【請求項5】
請求項4に記載の道路勾配計測装置であって、
緯度および経度の組毎に標高が設定された地図データを予め記憶している地図データ記憶手段と、
前記車両の走行速度を検出する走行速度検出手段と、
前記道路勾配と前記走行速度とに基づいて、前記車両の位置での標高を算出する標高算出手段と、
前記標高が算出されると、同時に取得された前記GPS情報に基づいて前記地図データを参照し、該算出された標高が、該地図データに設定された標高に近付くように、前記検出した道路勾配を修正する道路勾配修正手段と
を備える道路勾配計測装置。
【請求項6】
車両に搭載されて走行中の道路の勾配を計測する道路勾配計測方法であって、
前記車両の後部から前部に向かって該車両に対して設定された前後軸の先端側が、重力の方向に沿って上下方向に回転する角度であるピッチ角を、ジャイロセンサを用いて検出する第1の工程と、
前記車両の前後方向に位置を異ならせて設けられた複数箇所で、該車両の車体と路面との距離を検出することにより、該路面に対する該車両の傾きを示す車両傾き角を検出する第2の工程と、
前記ピッチ角と前記車両傾き角との偏差に基づいて、走行中の道路の道路勾配を検出する第3の工程と
を備える道路勾配計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−276109(P2009−276109A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125562(P2008−125562)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(301028761)独立行政法人交通安全環境研究所 (55)