説明

道路舗装の透水性能試験方法及び装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、道路交通を妨げたり路面を傷付けたりすることなく、舗装の透水性能をリアルタイムに測定する試験方法、及び、その方法を用いた試験装置に関する。
【0002】高速道路をはじめとする幹線道路では、スリップ事故防止による安全確保を目的として、車のわだち堀れに水の溜ることを防ぐための透水性舗装が多用されるようになっている。通常の透水性の道路舗装は、開粒度アスファルト舗装と称されるもので、大半の骨材の粒径を5〜13mmとし、骨材のアーチ作用とアスファルトバインダーのグリップ力によって舗装構造を保持するとともに、骨材相互間で構成される間隙をぬって水が路面下に透るようになっている。
【0003】開粒度アスファルト型の舗装の透水性能は、骨材間の空孔が目詰まりを起すことによって損なわれる。この目詰まりの速さは、道路を通過する車の交通量、車種、速度などの交通条件や、砂塵等の周辺環境によって左右される。目詰まりして透水性の損なわれた道路は改修舗装の対象となるが、この改修の時期を判定する必要がある。
【0004】
【従来の技術】これまで行われている舗装道路面の透水性能の試験には、大別して2つの方法がある。1つは、試験体を現場道路から切断採取し、試験室に持ち帰って試験する方法であり、もう1つは、現場道路面に試験装置を設置し、一定量の水を用いて透水速度を測定して透水性能を求めるものであり、いずれも道路交通を一時遮断することが不可欠のものである。また、測定結果を得るまでに数時間要し、手間と費用もかかる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、道路交通を妨げたり路面を傷付けたりすることなく、手間と費用を最少に抑制することができて、広い範囲の舗装路面の透水性能をリアルタイムに測定することのできる試験方法及び試験装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者は、透水性舗装道路の透水劣化度合を捉える指標となりうる物理量として、舗装表面の凹凸に着目した。開粒度アスファルト型の舗装道路においては、舗装作業直後の道路表面に骨材によって形成される凹凸(うねりの波長5〜20mm、深さ10〜15mm)が存在する。この凹凸の山が摩耗したり、孔が埋まったりするに従い、骨材間の空孔が目詰まりを起こして、路面の透水性が失われる。この状況は図9に示されている。すなわち、竣工直後の透水性路面の凹凸はシャープで大きい(A)のに対し、竣工17ケ月後には凹凸の山が削られ谷が埋まっている(B)。通常路面の凹凸状態も参考のために示した(C)。このことから、『路面の凹凸を何らかの方法で測定し、その凹凸の情報を何らかの方法によって解析することによって、透水性の試験ができる可能性がある。』との着想を抱き、種々の実験・試作を重ねて本発明を完成するに至った。
【0007】本発明の一態様に係る道路舗装の透水性能試験方法は、舗装路面の減音効果を指標として該路面の透水性能を試験することを特徴とする。舗装路面の凹凸が小さくなるに従って路面の減音効果が小さくなると同時に音圧の周波数特性に変化があるという関係を見出し、減音効果を測定することによって路面の凹凸状態を測定する基本構成とした。ここで、周波数が250〜5000Hzの範囲にある音波を舗装路面に対して放射して該路面からの反射音波を測定し、反射音波の放射音波に対する減音効果特性を測定し、これを透水性の劣化した舗装路面の減音効果特性と比較することにより上記指標を得ることが好ましい。この周波数の音波の吸収率が、舗装表面の骨材間空孔の目詰まりと相関性が高いからである。試験判定の一例として、周波数500〜1200Hzの範囲にある音波の減音効果量が一定値(例えば1〜2dB)以下であることをもって透水性能劣化と判定できる。
【0008】また、本発明の一態様に係る道路舗装の透水性能試験装置は、周波数が250〜5000Hzの範囲にある音波を舗装路面に対して放射しうる音源と、上記音波が上記舗装路面で反射することにより形成される反射音波の音圧を測定しうる音圧計と、放射音波に対する反射音波の音圧減量を演算しうる演算器と、を有することを特徴とする。上記試験方法の原理に基づき、音圧減量があるレベル以下になれば、路面の凹凸が小さくなっていること、すなわち透水性が落ちていることを把握できる。
【0009】ここで、上記音源が、ノイズジェネレータと、ノイズジェネレータで発生したノイズ信号の周波数特性補正を行うイコライザーと、イコライザーの出力信号を増幅するアンプと、このアンプの出力電圧を監視する出力電圧監視計と、アンプの出力電圧を入力されて音波を放射するスピーカとからなり;スピーカから放射される音波の音圧の周波数特性をフラットにしうるものであることが好ましい。フラットな周波数特性の放射音波による路面からの反射波を周波数解析することにより、より安定して路面の減音効果を把握できるからである。
【0010】本発明の他の一態様に係る道路舗装の透水性能試験方法は、舗装路面と車輪との接触によって発生する騒音の周波数スペクトルを指標として該路面の透水性能を試験することを特徴とする。車輪が路面に接する際には、車輪の表面に空気の粘性によって巻き込まれる空気層が車輪と路面との間で押しつぶされ、次いで膨張することによって音(タイヤ騒音、ポンピング音)を発生する。この音は路面の凹凸の状況によって異なるので、透水性のある正常時と凹凸が目詰りして透水性が損なわれた要改修時のタイヤ騒音の周波数スペクトルを予め採取しておいて、試験時のスペクトルと比較する等の手段により、路面の目詰り状況を把握することができる。
【0011】タイヤ騒音に関する情報のうちで、波長が5〜20mmの舗装路面の凹凸に対応する上記騒音の音圧レベルを指標とすることが好ましい。この波長の凹凸の高さが低くなることが路面の目詰りと相関性が高いからである。
【0012】本発明の他の一態様に係る道路舗装の透水性能試験装置は、フラットタイヤと、このフラットタイヤと舗装路面との接触によって発生するタイヤ騒音の音圧を測定する音圧計と、測定された騒音音圧を周波数スペクトル解析する解析装置とを有することを特徴とする。タイヤ騒音はタイヤ溝の形状・寸法によっても影響を受け、路面の凹凸に起因するタイヤ騒音情報に対する外乱となる。外乱を減らすには、溝の無いフラットタイヤを用いることが好ましい。
【0013】音波を利用するタイプの本発明の透水性能試験装置は、自動車によって牽引される試験車に搭載することが好ましい。エンジン騒音による測定外乱を減少させるためである。また、フラットタイヤを一般の自動車に装着することは安全上好ましくないので、専用の試験車にフラットタイヤを装着して試験を行うこととするほうがよい。
【0014】本発明の他の一態様に係る道路舗装の透水性能試験方法は、レーザー光線によって測定した舗装路面の凹凸の情報を指標に用いること特徴とする。ここで、波長が5〜20mmの上記舗装路面の凹凸の高さ平均値を測定し、この値が一定値以下であることをもって透水性能劣化と判定することが好ましい。路面の目づまりとの相関性が高いからである。
【0015】本発明の他の一態様に係る道路舗装の透水性能試験装置は、波長が5〜20mmの上記舗装路面の凹凸の高さの平均値を測定し、この値が一定値以下であることをもって透水性能劣化と判定することを特徴とする。わだち掘れの部分と、それ以外の部分の路面の凹凸を広範囲に観測することにより、より多様な情報に基づいて透水性能の劣化を判定することができる。
【0016】本発明の他の一態様に係る道路舗装の透水性能試験方法は、舗装路面の減音効果、舗装路面と車輪との接触によって発生する騒音の周波数スペクトル、及び、レーザー光線によって測定した舗装路面の凹凸の情報を指標に用い、それらの指標による試験結果を総合勘案することによって舗装路面の透水性能を試験することを特徴とする。3指標による情報を総合勘案することによって、より正確な試験結果を得ることができる。
【0017】
【実施例】以下、図面を参照しつつ、本発明の実施例について説明する。図1は、本発明の第一の態様(減音効果型)の一実施例に係る透水性能試験方法及び装置を示す図である。ラウドスピーカ等の音源1は、車体のシャーシ5の下部に下向きに取付けられており、オクターブバンドノイズ(信号音)を5秒毎に断続して発生する。断続するのは、エンジン等の騒音の影響を把握する(SN比を確認する)ためである。音源1のノイズは下方の路面へと放射され、放射音波13は、道路舗装11の路面9で反射されて反射音波15になる。
【0018】シャーシ5と路面9とは音場空間7を形成し、路面9やシャーシ5で反射された音は無指向性マイク等の音圧計マイクロホン3でキャッチされる。図5に示すように、マイク55で受音した信号音は、リアルタイムアナライザー59によって100Hz〜5kHz の周波数範囲で周波数分析され、各周波数帯域ごとの音圧レベルが求められる。ここで、図5は、本発明の各態様(減音効果型、タイヤ騒音型、レーザー型)の透水性能試験方法及び装置に係る一実施例を示す全体ブロック図である。
【0019】次に、減音効果型の透水性能試験の原理について説明する。図1に示す路面9シャーシ5とで構成される対向面の間の空間を音場空間と考えるとき、一般音場内の音響密度が、空間の壁面を構成する材料の吸音率及び材料の面積によって変化すること、すなわち壁面材料の吸音力によって音圧レベルが変化することに着目し、対象音場空間に一定の信号音を放射して、舗装面の吸音効果を音圧レベルの周波数別に捉えて、通常舗装や目詰りした透水性舗装と比較して透水性能を求めるものである。
【0020】音場空間内の任意点(マイクロホン位置)における音圧レベルは次の(1)式で計算する。
Lp=Lw+10・log10 (Q/4πr2+4/R)…………(1)
ここで、Lpは受音点の音圧レベル(dB)、Lwは音源のパワーレベル(dB)、Qは音源の指向係数、rは音源の受音点間の距離を示す。RはSα/(1−α)で計算される値である。ここでSは空間表面積(m2)、αは室内吸音率を示す。
【0021】図2は、本発明の一実施例に係る減音効果型の試験装置を搭載し、さらに拡散音場を備えた自走式の透水性能試験車を示す図である。自動車25の後部には、拡散音場23が設置されており、拡散音場23の内部の中央上方には音圧計マイクロホン3が取付けられている。拡散音場23の両サイドには、測定解析装置21が据え付けられている。拡散音場23の前方端には、音源1(スピーカ)がシャーシ下面中央に取付けられている。
【0022】音源1から放射された音源は、路面で反射して、拡散音場23内に侵入する。拡散音場を備える主な目的は、次の4点である。
■ 路面とシャーシ間の平行面で生じやすい定在波による音圧変動の影響を避け、より安定した音場を確保し、(1)式の計算値に近づける。
■ 受音マイクロホンを音源スピーカより遠ざけ直接音の侵入を避ける。
■ 車輪の発生音はタイヤの部位によって微妙に異なるので、より平均的なものとして把握する。
■ 拡散音場用パネルのスカート部によって通気空間を小さくし、他の走行車からの騒音を遮断しS/N比を増す効果を得る。
【0023】減音効果量の測定結果について説明する。図6は、3種類の周波数(500Hz、1kHz、2kHzの音波についての減音効果の時系列変化を示すグラフである。縦軸は減音効果量(dB)を、横軸は透水性舗装の工事の竣工後経過月数を示す。
【0024】500Hz(△)、1kHz(○)の音波の減音効果量を示す折れ線は、右下りの傾向をはっきりと示している。これに対して、2kHz(黒○)の音波のそれは、やや右下りと言える。2kHzの音波の場合は減音効果の影響が小さいものと考えられる。したがって、500Hzや1kHzの音波の減音効果量を試験の指標として用いることが好ましい。透水性劣化による再舗装が必要との判断を行う限界値としては、減音効果量で1〜2dBが適している。
【0025】次に、タイヤ騒音型の試験方法及び装置について説明する。図3は、本発明の減音効果型及びタイヤ騒音型の透水性能試験装置を搭載した牽引型試験車の一実施例を示す図である。
【0026】牽引車31は、牽引アーム35を介して測定車37に牽引される。測定車37は、普通の自動車に音波の測定解析装置を搭載したものである。牽引アーム35には、牽引車31と測定車37間で情報や動力をやり取りするケーブルを添わせている。牽引車31内には雑音の出るエンジン等は搭載されておらず、また測定車37からも遠い(望ましくは2m 以上)ので、雑音の影響の少ない高精度の測定が行える。測定車37を電気自動車とすれば、さらに雑音の影響を低減できる。
【0027】牽引車31内には、先端部シャーシ下面の音源1(スピーカ)、フラットタイヤ33、フラットタイヤの近傍のタイヤ騒音測定用音圧計3b(マイク)及び、減音効果量測定用音圧計3a(マイク)が取付けられている。この牽引車には拡散音場を設けることもできる。
【0028】タイヤ騒音が、車輛速度、タイヤトレッド、路面の凹凸などによって特有の周波数成分を持つことに着目し、タイヤ騒音型の試験においては、走行車輛のタイヤ近傍に音圧計のマイクロホンを設置しタイヤ騒音を受音して、リアルタイムアナライザーによって100Hz〜5kHzの範囲の周波数帯域の各音圧レベルを求め、通常舗装や目詰りした透水性舗装の場合の周波数特性変化パターンと測定されたパターンとを比較することにより、透水性能の限界を試験車を走らせながらリアルタイムに判断することが可能となる。試験に供するタイヤは、特定のタイヤトレッド(溝)パターンを有するものか、溝の無いフラットタイヤが好ましい。
【0029】タイヤ騒音の測定結果について説明する。図7は、通常舗装の道路と透水舗装の道路(竣工直後と17ケ月後)を、時速90km/Hr で自動車を走らせながら、タイヤ騒音を測定し、その音圧の周波数特性を分析し表示したグラフである。竣工直後の透水性舗装の騒音音圧レベル(点線)と竣工後17ケ月間経過後のそれ(破線)とは、グラフ中の全周波数域で明瞭な差異が認められる。つまり、竣工後17ケ間経過後のほうが、タイヤ騒音がウルサクなっている。要改修の判定方法としては、例えば、周波数125〜2000Hz間のタイヤ騒音音圧レベルの値が、竣工直後と比較して、平均で10〜15dB以上高くなったことで要改修と判定できる。
【0030】次に、レーザー型の試験方法及び装置について説明する。図4は、本発明のレーザー型の透水性能試験方法及び装置の一実施例を示す概念図である。
【0031】レーザー発光器101より発せられたレーザー光は、非球面レンズ103を通って、路面へと進んで乱反射される。路面の凹凸109の具合によって反射角度θが異なり、そのため、受光レンズを通って光位置検出素子(PSD)107に達する拡散反射レーザー光の至達スポットが異なってくる。この三角距離法によって路面の凹凸・粗さの状況を、一定速度で走りながら測定することができる。
【0032】図8は、路面の凹凸の深さの時系列変化を示すグラフである。縦軸は深さ(mm)を、横軸は透水性舗装工事の竣工後経過月数を示す。竣工後3ケ月における深さは約13mmであったのに対して、17ケ月後には約7mmになっている。ちなみに通常路面は深さ約5.5mmである。現在の透水性舗装の施工方法においては、要補修の判定は深さ8〜5mmで行うことが好ましい。
【0033】図10は、スキャナーを備えたレーザー型の試験装置を搭載した牽引型試験車の一実施例を示す図である。Aは横断面を、Bは底面を,Cはレーザー観測の軌跡を示す。レーザーセンサー63は、牽引車31内下部に横方向に可動に設けられたスキャナー115に取付けられており、走行観測中にはCの64に示す軌跡に沿って路面9の凹凸を測定する。レーザーセンサー75は車内の車輪手前に固定されており、路面9のわだち掘れ部の凹凸を測定する。レーザーセンサー83は、わだち掘れ部以外の部分の路面凹凸を測定する。レーザーンサー75、83の位置は調整可能としておくことが好ましい。
【0034】次に図5の全体ブロック図についてまとめて説明する。図のAの系統は減音効果型の試験に用いる信号音の発生系統である。ノイズジェネレータ53が発生したノイズ信号は、イコライザー51に送られてスピーカ出力時の音波の周波数特性を平準化すべく、本系統の特性に応じた周波数特性の操作が行われる。イコライザーの出力は自動断続スイッチ49に供給され、タイムコントローラ47の指令に応じて断続的にアンプ45に送られる。アンプの出力電圧は出力電圧監視計43によって所定値となっているか否かを常時監視されている。アンプの出力電圧はスピーカ41に入力され、周波数特性がフラットな音波がスピーカ41より放射される。
【0035】B系統は、減音効果型及びタイヤ騒音型の試験に用いる音圧計の系統である。無指向性マイク55で集められた音波は電圧情報に変換され音圧計本体57に送られる。音圧計本体57は、音波の周波数特性の重み付けをし周波数分析装置59に電圧情報を供給する。周波数分析装置59は、該情報を各1/3オクターブ帯域周波数毎の電圧情報に変換し、それをAC−DCコンバータ61に送る。
【0036】C系統は、移動観測用レーザーの系統である。レーザーセンサー63のレーザーの発光・受光部で道路長1.2m単位間隔に把えたレーザー光を電圧に変換しイコライザーB67に送る。イコライザーB67は、3〜80mmの範囲の波長毎に分析し、分析値をAC−DCコンバータ69に送る。
【0037】D、E系統は、固定型観測用レーザーの系統である。レーザーセンサー75、83のレーザーの発光・受光部で道路長1.2m単位間隔に把えたレーザー光を電圧に変換しイコライザーC79、85に送る。イコライザーC79,85は、3〜80mmの範囲の波長毎に分析し、分析値をAC−DCコンバータ81、87に送る。
【0038】減音効果型、タイヤ騒音型及びレーザー型の試験結果を総合勘案することによって透水性能を試験する方法の一例について説明する。まず、それぞれの試験結果を、透水性能劣化大:3点、透水性能劣化中:2点、透水性能劣化小:1点のようにグレード分けして定量化する。各試験結果を信頼性に応じて重み付けしてもよい。次に、3試験の点数を合計し、合計点数が7点以上をもって総合透水性能劣化大と判定する。対象道路区間長さ内で上記総合透水性能を判定し、判定結果の70%以上が劣化大のときは舗装修理要と判断する。この総合試験によって、より確度の高い透水性能試験を行うことができる。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明の道路舗装の透水性能試験方法及び試験装置は以下の効果を発揮する。
■ 測定車が走りながら路面を破壊することなく試験するので、道路交通を一瞬とも妨げることなく試験できる。
■ 同じ理由によって、試験後に路面の補修をする必要がない。
【0040】■ 試験そのものも自動的に行われるので人手がかからない。もちろん道路遮断の手間、路面サンプルの採取の手間、サンプル切出し部分の補修の手間も一切不要である。
■ 上述のように人手がかからないので試験費用が安い。
【0041】■ 広い範囲の路面の透水性能情報を集めることができるので、道路補修時期及び場所の適切な判断がしやすくなる。
■ リアルタイムで透水性能が試験できるので、試験してから道路補修の判断をするまでの時間を短縮できる。
■〜■の結果、適切な道路管理を行いやすくなり、道路交通の安全に資するところきわめて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の態様(減音効果型)の一実施例に係る透水性能試験方法及び装置に係る一実施を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係る減音効果型の試験装置を搭載し、さらに拡散音場を備えた自走式の透水性能試験車を示す図である。
【図3】本発明の減音効果型及びタイヤ騒音型の透水性能試験装置を搭載した牽引型試験車の一実施例を示す図である。
【図4】本発明のレーザー型の透水性能試験方法及び装置の一実施例を示す概念図である。
【図5】本発明の各態様(減音効果型、タイヤ騒音型、レーザー型)の透水性能試験方法及び装置に係る一実施例を示す全体ブロック図である。
【図6】3種類の周波数(500Hz、1KHz 、2KHz の音波についての減音効果の時系列変化を示すグラフである。縦軸は減音効果量(dB)を、横軸は透水性舗装の工事の竣工後経過月数を示す。
【図7】通常舗装の道路と透水舗装の道路を、時速90km/Hr で自動車を走らせながら、タイヤ騒音を測定し、その音圧の周波数特性を分析し表示したグラフである。
【図8】路面の凹凸の深さの時系列変化を示すグラフである。縦軸は深さ(mm)を、横軸は透水性舗装工事の竣工後経過月数を示す。
【図9】舗装路面の表面凹凸の状態を示すグラフである。Aは透水性舗装路面の竣工直後の状態を、Bは竣工から17ケ月経過後の状態を、Cは通常舗装路面の状態を示す。
【図10】スキャナーを備えたレーザー型の試験装置を搭載した牽引型試験車の一実施例を示す図である。
【符号の説明】
1: 音源
3: 音圧計マイクロホン
5: シャーシ
7: 音場空間
9: 路面
11: 道路舗装
13: 放射音波
15: 反射音波
21: 測定解析装置
23: 拡散音場
25: 自動車
31: 牽引車
33: フラットタイヤ
35: 牽引アーム
37: 測定車
41: スピーカ
43: 出力電圧監視計
45: アンプ
47: タイムコントローラ
49: 自動断続スイッチ
51: イコライザーF
53: ノイズジェネレータ
55: 無指向性マイク
57: 音圧計本体
59: リアルタイムアナライザー
61、69、81、87: AC−DCコンバータ
63、75、83: レーザーセンサー
64、76、84: レーザーセンサーの軌跡
65: レーザーコンバータ
67: イコライザーB
71: A/Dコンバータ
73: パソコン
77: レーザーコンバータ
79、85: イコライザーC
89: DC−DCコンバータ
91: 大型バッテリー(12V)
101: レーザー発光器
103: 非球面レンズ
105: 受光レンズ
107: 光位置検出素子(PSD)
109: 路面の凹凸
111: レーザー光
113: 反射光
115: スキャナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 周波数が250〜5000Hzの範囲にある音波を舗装路面に対して放射しうるスピーカーと、上記音波が上記舗装路面で反射することにより形成される反射音波の音圧を測定しうる音圧計と、放射音波に対する反射音波の音圧減量を演算しうる演算器と、拡散音場と、を有し:該拡散音場内に上記音圧計のセンサーを備えていることを特徴とする道路舗装の透水性能試験装置。
【請求項2】 上記音源が、ノイズジェネレータと、ノイズジェネレータで発生したノイズ信号の周波数特性補正を行うイコライザーと、イコライザーの出力信号を増幅するアンプと、このアンプの出力電圧を監視する出力電圧監視計と、アンプの出力電圧を入力されて音波を放射するスピーカとからなり:スピーカから放射される音波の音圧周波数特性をフラットにしうる請求項1記載の道路舗装の透水性能試験装置。
【請求項3】 上記音源が車輛シャーシ下部に取付けられているラウドスピーカであり、上記音圧計がラウドスピーカから一定の距離後方のシャーシ下部に取付けられた無指向性マイクを含む請求項1又は2記載の道路舗装の透水性能試験装置。
【請求項4】 フラットタイヤと、このフラットタイヤと舗装路面との接触によって発生するタイヤ騒音の音圧を測定する音圧計と、測定された騒音音圧を周波数スペクトル解析する解析装置と、を有することを特徴とする道路舗装の透水性能試験装置。
【請求項5】 請求項4記載の道路舗装の透水性能試験装置を搭載しており、自動車によって牽引される道路舗装の透水性能試験車。
【請求項6】 さらに拡散音場を有し、該拡散音場内に上記音圧計のセンサーを備えている請求項4記載の道路舗装の透水性能試験装置。
【請求項7】 舗装路面の凹凸の高さをレーザー光線を用いて測定し、得られた情報を指標として道路舗装の透水性能を試験する装置であって、路面のわだち掘れ部を観測する第一の固定式レーザーセンサーと、わだち堀れ部以外の路面を観測する第二の固定式レーザーセンサーと、を有することを特徴とする道路舗装の透水性能試験装置。
【請求項8】 さらに、道路の幅方向に往復運動可能なスキャナーを備えて路面を走査観測する移動式レーザーセンサーを有する請求項7記載の道路舗装の透水性能試験装置。
【請求項9】 舗装路面の減音効果、舗装路面と車輪との接触によって発生する騒音の周波数スペクトル、及び、レーザー光線によって測定した舗装路面の凹凸の情報を指標に用い、それらの指標による試験結果を総合勘案することによって舗装路面の透水性能を試験することを特徴とする道路舗装の透水性能試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【特許番号】第2559658号
【登録日】平成8年(1996)9月5日
【発行日】平成8年(1996)12月4日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−304528
【出願日】平成4年(1992)10月19日
【公開番号】特開平6−138103
【公開日】平成6年(1994)5月20日
【出願人】(592235732)株式会社環境工学研究所 (1)
【参考文献】
【文献】「平成4年東京都土木技術研究所年報」(平成4年9月1日発行)、P.53−60、「排水性歩道鋪装の浸透能・目詰まりの検討」
【文献】「第18回日本道路会議論文集」(平成元年)、P.56−57、(透水性鋪装の交通騒音低減効果について」