説明

道路舗装工事用屋根構造

【課題】 舗装面に与えられる環境的外乱因子を遮断し、好適な舗装工事環境を提供する屋根構造の提供。
【解決手段】 舗装道路の上方に位置する屋根部と、屋根部を支持し、舗装道路表面と屋根部の間に舗装作業用の空間を確保する複数の脚部からなり、屋根部は、一対の側縁同士を接続する少なくとも1つのベースフレームを備え、各脚部は、ベースフレームに沿って延設するとともにベースフレームに固定される第1フレームと、第1フレームの外側端部に回動可能に接続する第2フレームと、第1フレーム途中部と第2フレーム途中部と接続する中間フレームからなり、第1フレーム途中部との接続点と第2フレーム途中部との接続点の少なくとも一方において、中間フレームと第1フレーム又は第2フレームとの間の接続解除が可能であることを特徴とする道路舗装工事用屋根構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路舗装工事の際に用いられる屋根構造に関し、より詳しくは、舗装面に与えられる環境的外乱因子を遮断し、好適な舗装工事環境を提供する屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
道路舗装工事の現場において、プレートコンパクタを用いた路面圧縮固化作業とともに舗装面への水の散布作業が行われる。水の散布により、プレートコンパクタとアスファルト面との剥がれが円滑に行われることとなる。
特許文献1は、この水の散布作業の問題点に言及する。特許文献1によれば、散布水量が小さい場合には、プレートコンパクタのプレート面とアスファルト面との間の剥離が円滑に行われず、アスファルト面がプレートに付着し、アスファルト面の良好な仕上げ面を得ることができないこととなり、散布水量が大きい場合には、アスファルト表面の冷却固化が速く進行することとなり、プレートからの押圧力がアスファルト内層まで及ばず、アスファルトと骨材との間の固着が不十分となる問題が現存する。
特許文献1の開示発明は、150℃から200℃の温度にプレートコンパクタのプレート温度を制御することにより、上記の水散布に係る問題点を解消しようとしている。
【0003】
【特許文献1】特開2008−38581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の開示発明は、特定温度範囲内にプレート温度を制御することで水散布に係る問題点を解消しようとしているが、道路舗装工事は、トンネル内などの特定の現場を除いて、多くの場合、周囲環境に対して開放された現場で行なわれる。したがって、周囲環境温度、天候或いは現場高度などの環境的外乱因子によってもプレートの適切な温度は変化すると考えられる。したがって、特許文献1のプレートコンパクタを利用したとしても、尚、環境的外乱因子からの影響を最小限化することが望ましい。
【0005】
特許文献1に言及される如く、過度の水散布は、アスファルトと骨材間の固着強度を低下させることとなる。したがって、雨天時において、アスファルト圧縮固化作業を行うことは好ましいとはいえない。よって、アスファルト舗装現場環境を外部環境から遮断する手段の構築が望まれている。
【0006】
外部環境からアスファルト舗装現場を遮断する手法としては、舗装現場を壁及び屋根で取り囲むことが考えられるが、このような追加的な構造物の構築は、構造物建設のための膨大な労力・費用を要するのに加え、撤去作業にも膨大な労力・費用を要し、現実的な手段ということはできない。
【0007】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであって、舗装面に与えられる環境的外乱因子を遮断し、好適な舗装工事環境を提供する屋根構造を提供することを目的とする。本発明の屋根構造は、舗装工事現場への据付並びに撤去作業において過大な労力・費用を要することはない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、舗装道路の所定面積を覆うように、該舗装道路の上方に位置する屋根部と、該屋根部の一対の側縁それぞれに沿って整列して配されるとともに前記屋根部を支持し、前記舗装道路表面と前記屋根部の間に舗装作業用の空間を確保する複数の脚部からなり、前記屋根部は、該屋根部の一対の側縁同士を接続する少なくとも1つのベースフレームを備え、前記各脚部は、前記ベースフレームに沿って延設するとともに前記ベースフレームに固定される第1フレームと、該第1フレームの外側端部に回動可能に接続するとともに前記第1フレームに対して直角方向に延設する第2フレームと、前記第1フレーム途中部と前記第2フレーム途中部と接続する中間フレームからなり、前記第1フレーム途中部との接続点と前記第2フレーム途中部との接続点の少なくとも一方において、前記中間フレームと前記第1フレーム又は前記第2フレームとの間の接続解除が可能であることを特徴とする道路舗装工事用屋根構造である。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記第1フレームは、前記中間フレームを接続固定するための第1の固定部と第2の固定部を備え、前記第1の固定部と前記中間フレームの一端部の接続により、前記第2のフレームが前記第1のフレームに対して直角方向に延設する第1位置で固定され、前記第2の固定部と前記中間フレームの一端部の接続により、前記第2のフレームが前記第1のフレームに対して平行方向に延設する第2位置で固定されることを特徴とする請求項1記載の道路舗装工事用屋根構造である。
請求項3記載の発明は、前記第1フレームは、該第1フレーム長手方向に沿って整列して配される複数の穴部が形成され、前記ベースフレームは、前記第1フレームの穴部と一致する穴部を有する突出部を有し、該第1フレームの穴部と前記ベースフレームの穴部に固定具を挿通することにより、前記第1フレームが前記ベースフレームに固定されることを特徴とする請求項1又は2記載の道路舗装工事用屋根構造である。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記第2フレームの一端部に第1のキャスタが固定され、
該第1のキャスタは、前記第2フレームが前記第1位置にあるとき、舗装道路表面上を転動可能であることを特徴とする請求項2記載の道路舗装工事用屋根構造である。
請求項5記載の発明は、前記第2フレームの外縁から外方に突出して配される第2のキャスタを備え、該第2のキャスタは、前記第2フレームが前記第2位置にあるとき、舗装道路表面上を転動可能であることを特徴とする請求項2又は4記載の道路舗装工事用屋根構造である。
請求項6記載の発明は、前記ベースフレームが、リフトフォークを挿入可能な開口部を備えることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の道路舗装工事用屋根構造である。
請求項7記載の発明は、前記複数の脚部のうち一の脚部が前記第1フレームに対して直角方向に延設する前記第2フレームの長手方向軸上に回転中心を有する前記第1キャスタを備え、前記一の脚部に隣合う他の脚部が、前記第2フレームの軸を中心に前記屋根部側縁に対して平行な方向に延設するキャスタ基台部を備え、該キャスタ基台部に前記第2フレームの軸を挟んで配される一対の前記第1キャスタが固定されることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の道路舗装工事用屋根構造である。
請求項8記載の発明は、前記一の脚部と前記他の脚部が、伸縮自在な格子構造により、連結されることを特徴とする請求項7記載の道路舗装工事用屋根構造である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、中間フレームの第1フレーム又は第2フレームに対する接続が解除可能な構造であるため、脚部の折り畳みが可能となる。結果として、屋根構造のコンパクト化が可能となり、作業現場への屋根構造体の搬送、作業現場での屋根構造体の配設、作業現場からの屋根構造体の撤去作業いずれもが容易となる。したがって、多大な労力・費用を必要とすることなく、道路舗装の現場を外部環境から遮断することが可能となり、例えば、雨天時においても舗装工事を好適に実施可能となる。
請求項2記載の発明によれば、屋根構造体を展開して、道路舗装工事現場に屋根構造体を配設したとき及び屋根構造体を折り畳んで、道路舗装現場から屋根構造体保管現場に屋根構造体を移設したときのいずれにおいても、第1フレームと第2フレームが中間フレームにより接続されるので、屋根構造体の展開・折り畳みにかかわらず、構造安定性を確保でき、屋根構造体の安全性を向上させることができる。
請求項3記載の発明によれば、一対の脚部間の距離を調整可能となる。したがって、様々な幅員の道路舗装工事現場に屋根構造体を配設することが可能となり、屋根構造体の現場適応性を向上させることが可能となる。
請求項4記載の発明によれば、第1キャスタにより、展開時の屋根構造体の移動が容易となる。したがって、一の道路舗装箇所から他の道路舗装箇所への移動並びに屋根構造体の長さ寸法の短縮を容易に行なうことができ、作業性の向上を図ることが可能となる。
請求項5記載の発明によれば、第2のキャスタにより、屋根構造体を展開状態から折り畳み状態に変形する際に、第2キャスタが路面上を転動するので、屋根構造体の変形作業を容易に行うことができる。また、折り畳み後の屋根構造体の移動も容易になる。したがって、屋根構造体の折り畳み、屋根構造体の保管現場への移設や屋根構造体の道路舗装工事現場への移設などの作業効率を向上させることが可能となる。
請求項6記載の発明によれば、屋根構造体全体を持ち上げることが容易となり、屋根構造体の折り畳み作業或いは展開作業の効率化を図ることができる。
請求項7記載の発明によれば、第2フレームの直立状態を維持並びに安定化を図ることができ、屋根構造体の安全性が向上する。
請求項8記載の発明によれば、脚部間の接続が図られることにより、屋根構造体全体の立設安定性が向上し、屋根構造体の安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る屋根構造体の実施形態について、図を参照しつつ説明する。図1は、本発明の屋根構造体の正面概略図であり、図2は、本発明の屋根構造体の側面概略図である。
屋根構造体(1)は、前後方向に整列したフレーム構造体(10)と、前後方向に隣接する複数のフレーム構造体(10)上縁間を接続する折り畳み可能なテント幕(11)から構成される。
フレーム構造体(10)は、屋根部(2)と、屋根部(2)の左右側縁から下方に延設する脚部(3)から構成される。
屋根部(2)は、路面に対して平行な方向に延設するベースフレーム(21)と、ベースフレーム(21)から上方に延設するとともに上方に向けて湾曲するアーチフレーム(22)を備える。アーチフレーム(22)には、テント幕(11)が固定される。テント幕(11)は、前後方向に隣接するアーチフレーム(22)間で延設する。ベースフレーム(21)とアーチフレーム(22)で定められる空間内には複数の補強フレーム(23)が配され、補強フレーム(23)は、三角形トラスを形成する。これにより、テント幕(11)の自重による屋根部(2)の変形を防ぐ。
ベースフレーム(21)の略中間位置には、左右一対のコ字状フレーム(211)が接続し、一対の開口部(212)が形成される。開口部(212)内には、フォークリフトのフォークを挿入可能である。
【0013】
脚部(3)は、ベースフレーム(21)の下縁に隣接するとともにベースフレーム(21)に沿って延設するスライドフレーム(31)と、スライドフレーム(31)の外側端部と接続するL字フレーム(32)を備える。L字フレーム(32)は、スライドフレーム(31)延長線に沿って延設する水平部材(321)と、水平部材(321)の外側端部から直角下方に屈曲して延設する垂直部材(322)からなる。水平部材(321)の内側端部とスライドフレーム(31)の外側端部がピンにより接続することにより、L字フレーム(32)はスライドフレーム(31)に対して回動可能となる。
垂直部材(322)の途中部には、フレーム構造体(10)内部中心方向に突出する接続部(323)が形成される。また、スライドフレーム(31)の途中部には、下方に突出する第1接続部(311)と、下方に突出するとともに第1接続部(311)よりもフレーム構造体(10)内部中心に近い位置に形成される第2接続部(312)が形成される。脚部(3)は、中間フレーム(33)を備え、フレーム構造体(10)を展開した状態(路面に対して垂直部材(322)を略直角に立設した状態)のとき、中間フレーム(33)は、垂直部材(322)の接続部(323)とスライドフレーム(31)の第1接続部(311)の間で延設し、中間フレーム(33)の両端部は一対の接続部(323,311)にピンにより固定される。ピンの除去により、中間フレーム(33)のいずれか一方或いは両方における接続を解除可能である。また、一方のピンを除去することにより、中間フレーム(33)は、他方のピンを軸に回動可能となる。
尚、図示例において、中間フレーム(33)、L字フレーム(32)及びスライドフレーム(31)で囲まれる空間は正面視略直角三角形状であり、構造的に最も安定した構造を構築している。
【0014】
図3は、フレーム構造体(10)を折り畳んだ状態を示す。
図3に示すフレーム構造体(10)の折り畳み状態は、ベースフレーム(21)上の開口部(212)にフォークを挿入し、フレーム構造体(10)を若干路面から浮かせた後、中間フレーム(33)と第1接続部(311)間の接続を解除し、L字フレーム(32)とスライドフレーム(31)を接続するピンを軸にして、L字フレーム(32)をフレーム構造体(10)内部中心方向に回動させて得られる。この間、中間フレーム(33)は、垂直部材(322)の接続部(323)に取付けられたピンを軸に回転し、フレーム構造体(10)が完全に折り畳まれると、中間フレーム(33)の自由端は、スライドフレーム(31)の第2接続部(312)に至る。その後、中間フレーム(33)の自由端は、第1接続部(311)から取り外されたピンを用いて、第2接続部(312)に固定される。
フレーム構造体(10)が完全に折り畳まれると、垂直部材(322)は、スライドフレーム(31)下方において、スライドフレーム(31)に対して平行となり、フレーム構造体(10)内部中心方向に延設する。一方、水平部材(321)は、スライドフレーム(31)に対して直角下方に延設する。これにより、垂直部材(322)とスライドフレーム(31)間に空間が確保され、この空間に中間フレーム(33)を収容可能となる。
【0015】
図1及び図2を再度参照する。
垂直部材(322)の下端には、第1のキャスタ(324)が固定される。フレーム構造体(10)が展開状態にあるとき、第1のキャスタ(324)は、路面上を転動可能である。これにより、屋根構造体(1)全体を引っ張り移動させるとき、屋根構造体(1)正面位置或いは背面位置に配されるフレーム構造体(10)を押し、伸長状態にある屋根構造体(1)の全長を短縮するとき、屋根構造体(1)正面位置或いは背面位置に配されるフレーム構造体(10)を引っ張り、短縮状態にある屋根構造体(1)を伸長させるときに、これら作業を円滑に行うことができる。これら作業に当たっては、ベースフレーム(21)上に形成された開口部(212)にフォークリフトのフォークを挿入してもよい。
尚、図2に示す如く、前後方向に整列する脚部(3)のうち、一の脚部(3)には、脚部(3)(垂直部材(322))の軸の延長線上に第1のキャスタ(324)の回転中心が位置し、一の脚部(3)と隣合う他の脚部(3)の垂直部材(322)の下端にはキャスタ基台部(326)が固定される。キャスタ基台部(326)は、垂直部材(322)の軸を中心にして、屋根構造体(1)前後方向に伸び、第1のキャスタ(324)はキャスタ基台部(326)下面前後端に取付けられる。これにより、脚部(3)一本おきに路面に対して安定して立設する脚部(3)を構築でき、屋根構造体(1)全体の構造安定性を高めることが可能となる。
【0016】
図1及び図3を参照する。
展開状態にあるフレーム構造体(10)において(図1参照)、垂直部材(322)外側縁下部から斜め下方に向けて第2のキャスタ(325)が延設する。上記のフレーム構造体(10)折り畳み作業時において、L字フレーム(32)の内方への回動に伴って第1のキャスタ(324)が路面から離間した直後に、第2のキャスタ(325)は、第1のキャスタ(324)の代わりに路面に当接する。第2のキャスタ(325)が路面に当接した後、ベースフレーム(21)上に形成された開口部(212)に挿入されたフォークを降下させる。この結果、第2のキャスタ(325)は、路面上を転動し、L字フレーム(32)の回動動作を補助する。
また、図3に示すような屋根構造体(1)折り畳み時において、第2のキャスタ(325)は、屋根構造体(1)の移動を補助する。
【0017】
図1を再度参照する。図1には、ベースフレーム(21)正面に固定されるとともにベースフレーム(21)下縁から下方に突出する正面視五角形状の8つの案内板(213)が示される。4つの案内板(213)の組は、ベースフレーム(21)左側に配され、他の4つの案内板(213)の組は、ベースフレーム(21)右側に配される。各4つの案内板(213)の組の中で、各案内板(213)は互いに所定間隔を空けて配されている。
【0018】
図4は、図1に示すA−A線における断面図である。
図1においては、ベースフレーム(21)正面側に固定される案内板(213)により、隠されていたが、ベースフレーム(21)背面側にも、ベースフレーム(21)正面側と同一の配置構成の8つの案内板(213)が配される。したがって、図示例においては、一のベースフレーム(21)に合計16枚の案内板(213)が固定されている。
ベースフレーム(21)正面側及び背面側に対向して配される案内板(213)の組は、ベースフレーム(21)下縁から下方に突出して、スライドフレーム(31)のスライド経路を形成する。スライドフレーム(31)は、ベースフレーム(21)正面側及び背面側に固定される案内板(213)の間で形成される空間内を移動する。これにより、ベースフレーム(21)下面に沿って、スライドフレーム(31)が摺動することとなる。
各案内板(213)には、ピン挿通穴が形成される。また、ベースフレーム(21)は、ベースフレーム(21)正面から背面に向けて貫通するピン挿通穴が形成される。スライドフレーム(31)を摺動させ、スライドフレーム(31)のピン挿通穴と案内板(213)のピン挿通穴が一致すると、ピン(131)がこれら部材(31,213)のピン挿通穴に挿通され、スライドフレーム(31)がベースフレーム(21)に対して固定される。
【0019】
図5は、図2に示す格子構造体(4)の一部を取り出した図である。尚、格子構造体(4)は、隣合う脚部(3)の垂直部材(322)を接続する。
格子構造体(4)は、X字状に配置されたリンク棒(41)を端部及び中間位置でピンにより接続し、リンク棒(41)をリンク接続した形態である。リンク棒(41)と接続する垂直部材(322)の接続部は長穴であり、長穴に沿って、リンク棒(41)端部のピンが移動する。この構造により、格子構造体(4)は伸縮自在となり、脚部(3)間の前後方向距離を調節可能となる。
【0020】
本発明の屋根構造体(1)は、全長寸法を伸縮自在であるとともに脚部折り曲げ構造を採用するので、保管時並びに搬送時の屋根構造体(1)の占有体積を最小限化可能である。したがって、保管並びに搬送に係る労力や費用を最小限化可能である。また、上述の如く、道路舗装工事現場に屋根構造体(1)を搬送した後、屋根構造体(1)を道路舗装工事現場に立設可能であるとともに、道路舗装工事完了後、簡単に屋根構造体(1)を撤去可能である。したがって、屋根構造体(1)の据付並びに撤去に係る労力及び費用を最小限化可能となる。
【0021】
更に、道路舗装工事中において、テント幕(11)は、太陽光エネルギがアスファルト表面へ直接的に到達することを防止するので、太陽光エネルギによるアスファルト表面の温度上昇を最小限化可能となる。更に、テント幕(11)は、降雨によるアスファルト層の水分含有量の増大を最小限化する。したがって、屋根構造体(1)は、周囲環境からの外乱因子に起因する工事途中のアスファルトの性質・状態の変動を抑制することができ、各工事作業に好適なアスファルトの状態を維持することに貢献する。加えて、強風時などにおいては、適宜、屋根構造体(1)を素早く折り畳むことができ、屋根構造体(1)の吹き飛び或いは倒壊の危険を迅速に回避可能となる。また、必要に応じて、伸長状態の屋根構造体(1)の下に工事機器を保管することができ、電気器具の故障の防止に貢献することも可能である。
【0022】
図6及び図7は、本発明の屋根構造体(1)により確保された空間内での道路舗装工事の一例を示す。屋根構造体(1)は、テント幕(11)により、太陽光エネルギや雨を遮り、アスファルト層の温度や含水量の変動を最小限化する。また、脚部(3)は、屋根部(2)とアスファルト表面間に作業を行うのに十分な空間を確保する。この空間内で作業者は、例えば、プレートコンパクタを使用して、アスファルトを押し固め、その傍らで、他の作業者が水散布作業を行うことができる。また、屋根構造体(1)の側面は、開放されており、舗装工事中のアスファルト表面からの熱が作業空間に蓄積されることがない。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、道路舗装工事に好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の屋根構造体の正面図である。
【図2】本発明の屋根構造体の側面図である。
【図3】本発明の屋根構造体を折り畳んだ状態を示す図である。
【図4】図1に示すA−A線における断面図である。
【図5】屋根構造体の脚部同士を接続する格子構造の一例を示す図である。
【図6】本発明の屋根構造体の使用形態の一例を示す図である。
【図7】本発明の屋根構造体の使用形態の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1・・・・・屋根構造体
2・・・・・屋根部
21・・・・ベースフレーム
212・・・フォーク用開口部
3・・・・・脚部
31・・・・スライドフレーム
32・・・・L字フレーム
324・・・第1キャスタ
325・・・第2キャスタ
33・・・・中間フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装道路の所定面積を覆うように、該舗装道路の上方に位置する屋根部と、
該屋根部の一対の側縁それぞれに沿って整列して配されるとともに前記屋根部を支持し、前記舗装道路表面と前記屋根部の間に舗装作業用の空間を確保する複数の脚部からなり、
前記屋根部は、該屋根部の一対の側縁同士を接続する少なくとも1つのベースフレームを備え、
前記各脚部は、前記ベースフレームに沿って延設するとともに前記ベースフレームに固定される第1フレームと、
該第1フレームの外側端部に回動可能に接続するとともに前記第1フレームに対して直角方向に延設する第2フレームと、
前記第1フレーム途中部と前記第2フレーム途中部と接続する中間フレームからなり、
前記第1フレーム途中部との接続点と前記第2フレーム途中部との接続点の少なくとも一方において、前記中間フレームと前記第1フレーム又は前記第2フレームとの間の接続解除が可能であることを特徴とする道路舗装工事用屋根構造。
【請求項2】
前記第1フレームは、前記中間フレームを接続固定するための第1の固定部と第2の固定部を備え、
前記第1の固定部と前記中間フレームの一端部の接続により、前記第2のフレームが前記第1のフレームに対して直角方向に延設する第1位置で固定され、
前記第2の固定部と前記中間フレームの一端部の接続により、前記第2のフレームが前記第1のフレームに対して平行方向に延設する第2位置で固定されることを特徴とする請求項1記載の道路舗装工事用屋根構造。
【請求項3】
前記第1フレームは、該第1フレーム長手方向に沿って整列して配される複数の穴部が形成され、前記ベースフレームは、前記第1フレームの穴部と一致する穴部を有する突出部を有し、該第1フレームの穴部と前記ベースフレームの穴部に固定具を挿通することにより、前記第1フレームが前記ベースフレームに固定されることを特徴とする請求項1又は2記載の道路舗装工事用屋根構造。
【請求項4】
前記第2フレームの一端部に第1のキャスタが固定され、
該第1のキャスタは、前記第2フレームが前記第1位置にあるとき、舗装道路表面上を転動可能であることを特徴とする請求項2記載の道路舗装工事用屋根構造。
【請求項5】
前記第2フレームの外縁から外方に突出して配される第2のキャスタを備え、
該第2のキャスタは、前記第2フレームが前記第2位置にあるとき、舗装道路表面上を転動可能であることを特徴とする請求項2又は4記載の道路舗装工事用屋根構造。
【請求項6】
前記ベースフレームが、リフトフォークを挿入可能な開口部を備えることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の道路舗装工事用屋根構造。
【請求項7】
前記複数の脚部のうち一の脚部が前記第1フレームに対して直角方向に延設する前記第2フレームの長手方向軸上に回転中心を有する前記第1キャスタを備え、
前記一の脚部に隣合う他の脚部が、前記第2フレームの軸を中心に前記屋根部側縁に対して平行な方向に延設するキャスタ基台部を備え、該キャスタ基台部に前記第2フレームの軸を挟んで配される一対の前記第1キャスタが固定されることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の道路舗装工事用屋根構造。
【請求項8】
前記一の脚部と前記他の脚部が、伸縮自在な格子構造により、連結されることを特徴とする請求項7記載の道路舗装工事用屋根構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−31489(P2010−31489A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192838(P2008−192838)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(504260782)アメリカンテント株式会社 (2)
【出願人】(000201515)前田道路株式会社 (61)
【Fターム(参考)】