説明

遠心分離フィルタおよび当該遠心分離フィルタを用いた水処理装置

【課題】比重の大きい異物だけでなく比重の小さい異物をも分離することのできる遠心分離フィルタおよび当該遠心分離フィルタを用いた水処理装置を得る。
【解決手段】流入口32aと吐出口42とが形成されたフィルタ本体10と、フィルタ本体10内の流体に遠心力を発生させる遠心力発生手段と、を備える遠心分離フィルタであって、フィルタ本体10内の空間11を、遠心力の作用方向に略並設された複数の多孔質セパレータ51,52により複数の空間11a,11b,11cに区画するとともに、吐出口42を、それぞれの空間と連通するように複数設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心分離フィルタおよび当該遠心分離フィルタを用いた水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遠心分離フィルタとして、モーターによって容器形フィルタに遠心力を加え、容器形フィルタの底へ大比重物を沈殿させて分離するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−192608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、水中の粗ごみを分離することは出来るが、細かい粒子や溶解成分を分離することが出来なかった。
【0005】
そこで、本発明は、比重の大きい異物だけでなく比重の小さい異物をも分離することのできる遠心分離フィルタおよび当該遠心分離フィルタを用いた水処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にあっては、流入口と吐出口とが形成されたフィルタ本体と、前記フィルタ本体内の流体に遠心力を発生させる遠心力発生手段と、を備え、前記フィルタ本体内の空間が、遠心力の作用方向に略並設された複数の多孔質セパレータにより複数の空間に区画されるとともに、前記吐出口が、それぞれの空間と連通するように複数設けられていることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、比重の大きい異物だけでなく比重の小さい異物をも分離することのできる遠心分離フィルタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる遠心分離フィルタを示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態にかかる遠心分離フィルタを示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の第2実施形態にかかる遠心分離フィルタを示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の第3実施形態にかかる遠心分離フィルタを模式的に示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明の第3実施形態の第1変形例にかかる遠心分離フィルタを模式的に示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明の第3実施形態の第2変形例にかかる遠心分離フィルタを模式的に示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の第4実施形態にかかる水処理装置を模式的に示す斜視図である。
【図8】図8は、本発明の第5実施形態にかかる水処理装置を示す分解断面図である。
【図9】図9は、本発明の第5実施形態にかかる水処理装置の濾過状態を示す側面視断面図である。
【図10】図10は、本発明の第5実施形態にかかる水処理装置の浄水取り出し状態を示す側面視断面図である。
【図11】図11は、本発明の第5実施形態にかかる水処理装置の浄水取り出し時における基台部とフィルタ本体との嵌合状態を示す正面視断面図である。
【図12】図12は、本発明の第5実施形態にかかる水処理装置のフィルタ本体の吐出口と基台部の取出口とを示す図であって、(a)は濾過状態を示す断面図、(b)は浄水取り出し状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
本実施形態にかかる遠心分離フィルタ1は、流入口32aと吐出口42とが形成されたケーシング(フィルタ本体)10を備えている。
【0011】
ケーシング10は、略円筒状の筒部材20と、当該筒部材20の径よりも小径の縮径筒部材30と、蓋部材40と、を備えており、略円筒状の縮径部10aと、当該縮径部10aの上部に設けられた略円筒状の拡径部10bと、が形成されている。
【0012】
筒部材20の軸方向両端には、それぞれ上側フランジ21および下側フランジ22が設けられており、この上側フランジ21および下側フランジ22には、挿通孔21a,22aがそれぞれ設けられている。
【0013】
また、縮径筒部材30は、底壁部31と側壁部32とを備える有底円筒状をしており、側壁部32の上端には、フランジ33が形成されている。そして、このフランジ33の、筒部材20の下側フランジ22に設けられた挿通孔22aと対応する位置に、挿通孔33aが形成されている。また、側壁部32には、流入口32aが、略円筒状の側壁部32の下部に接線方向に延在するように形成されており、底壁部31の内側には、略円筒状の小径筒状突部31aが上方に向けて突設されている。そして、この小径筒状突部31aには、複数の貫通口31bが形成されている。さらに、フランジ33の内周側には、上方に向けて突出する大径筒状突部33bが形成されており、この大径筒状突部33bにも、複数の貫通口33cが形成されている。
【0014】
蓋部材40は、略円板状をしており、外周部41の筒部材20の上側フランジ21に設けられた挿通孔21aと対応する位置には、挿通孔41aが形成されている。また、蓋部材40には、略中心部に内側排水吐出口42a、外周部に外側排水吐出口42bが設けられており、蓋部材40の径方向略中間部には、浄水吐出口42cが設けられている。なお、本実施形態では、内側排水吐出口42aを外側排水吐出口42bに連通させている。
【0015】
また、蓋部材40の下面40aには、小径筒状突部31aと略同径の小径筒状突部43と、大径筒状突部33bと略同径の大径筒状突部44が下方に向けて同心状に突設されている。
【0016】
また、本実施形態では、ケーシング(フィルタ本体)10内の空間11が、小径セパレータ51および大径セパレータ52(複数の多孔質セパレータ)によって、径方向に、3つの空間(内側排水空間11a,外側排水空間11b,浄水空間11c)に区画されている。
【0017】
小径セパレータ51および大径セパレータ52は、略円筒状の多孔質の分離膜51a,52aが、当該分離膜51a,52aの上下で略円筒状の支持体51b,52bに支持されている。この小径セパレータ51および大径セパレータ52は、多孔質の分離膜51a,52aを支持体51b,52bにインサート成型することで形成されている。
【0018】
そして、小径セパレータ51の上下の支持体51bを、それぞれ小径筒状突部31aおよび小径筒状突部43に圧入することで、小径セパレータ51がケーシング(フィルタ本体)10内に取り付けられる。
【0019】
同様に、大径セパレータ52の上下の支持体52bを、それぞれ大径筒状突部33bおよび大径筒状突部44に圧入することで、大径セパレータ52もケーシング(フィルタ本体)10内に取り付けられる。
【0020】
そして、蓋部材40の挿通孔41aと筒部材20の上側フランジ21の挿通孔21aとを連通させた状態で、螺子60等により固定することで、蓋部材40と筒部材20とを取り付ける。また、縮径筒部材30のフランジ33の挿通孔33aと筒部材20の下側フランジ22の挿通孔22aとを連通させた状態で、螺子60等により固定することで、縮径筒部材30と筒部材20とを取り付ける。
【0021】
なお、符号63は、Oリングであり、筒部材20の上側フランジ21と蓋部材40の外周部41との間に設けたOリング63によって、蓋部材40と筒部材20との液密性が確保されている。また、筒部材20の下側フランジ22と縮径筒部材30のフランジ33との間に設けたOリング63によって、縮径筒部材30と筒部材20との液密性が確保されている。
【0022】
こうして、本実施形態にかかる遠心分離フィルタ1が形成される。
【0023】
このとき、ケーシング(フィルタ本体)10内の空間11は、小径セパレータ51および大径セパレータ52によって、径方向中心側から外側に向けて順に、内側排水空間11a、浄水空間11c、外側排水空間11bの3つの空間に区画される。そして、内側排水吐出口42a、浄水吐出口42c、外側排水吐出口42bが、内側排水空間11a、浄水空間11c、外側排水空間11bとそれぞれ連通している。
【0024】
ここで、本実施形態では、ケーシング(フィルタ本体)10に流入される水(流体)に遠心力を発生させる遠心力発生手段を備えている。
【0025】
具体的には、略円筒状に設けた縮径筒部材30の接線方向に延在する流入口32aから水を流入することで、縮径筒部材30の側壁部32内面に沿った壁面流を発生させるようにしている。このように、流入口32aから流入した水に壁面流を発生させることで水が旋回し、水を旋回させることによって、ケーシング(フィルタ本体)10内に流入される水(流体)に遠心力を発生させている。
【0026】
このとき、図2に示すように、ケーシング(フィルタ本体)10内に流入した水は、壁面流により螺旋状に旋回しながらケーシング(フィルタ本体)10内部を上昇し、内側排水吐出口42a、浄水吐出口42c、外側排水吐出口42bからケーシング(フィルタ本体)10外部に吐出される。
【0027】
このように、本実施形態では、水を螺旋状に旋回させているため、水に生じる遠心力の作用方向は、ほぼ径方向となる。
【0028】
すなわち、本実施形態にかかるケーシング(フィルタ本体)10内の空間11は、径方向(遠心力の作用方向)に略並設された小径セパレータ51および大径セパレータ52(複数の多孔質セパレータ)により、内側排水空間11a、浄水空間11c、外側排水空間11b(複数の空間)に区画されている。そして、内側排水空間11a、浄水空間11c、外側排水空間11b(それぞれの空間)と連通するように、複数の吐出口(内側排水吐出口42a、浄水吐出口42c、外側排水吐出口42b)が設けられている。
【0029】
次に、本実施形態にかかる遠心分離フィルタ1の作用を説明する。
【0030】
まず、略円筒状に設けた縮径筒部材30の接線方向に延在する流入口32aから流入した水は、壁面流により螺旋状に旋回する。
【0031】
このとき、水に浮遊するゴミ等、粒径が大きく比較的比重の小さい異物は、水(流体)に生じる遠心力によって、内側(旋回流の中心側)に移動する。そして、貫通口31bを通過して内側排水空間11a内に移動し、内側排水空間11aを通って内側排水吐出口42aからケーシング(フィルタ本体)10外部へ排出される。また、粒径の大きい砂礫等、比較的比重の大きい異物は、貫通口33cを通過して外側排水空間11b内に移動し、外側排水空間11bを通って外側排水吐出口42bからケーシング(フィルタ本体)10外部に排出される。
【0032】
このように、粒径が大きく比較的比重の大きい異物や、粒径が大きく比較的比重の小さい異物が取り除かれた水は、旋回しながら浄水空間11c内を上昇する。このとき、旋回流によって水に遠心力が作用するため、当該遠心力によって、貫通口33cbで取り除けなかった比重の大きな異物が、水とともに大径セパレータ52を通過して外側排水空間11b内に移動する。そして、比重の小さい異物が、水とともに小径セパレータ51を通過して内側排水空間11a内に移動する。そして、外側排水空間11bに移動した異物は、外側排水吐出口42bからケーシング(フィルタ本体)10外部に排出される。また、内側排水空間11aに移動した異物は、内側排水吐出口42aを通って外側排水吐出口42bに合流し、外側排水吐出口42bからケーシング(フィルタ本体)10外部に排出される。
【0033】
こうして、比重の大きい異物および比重の小さい異物が取り除かれた浄水が、浄水空間11c内から浄水吐出口42cへと流れることとなる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態では、ケーシング(フィルタ本体)10内の空間11を、径方向(遠心力の作用方向)に略並設された小径セパレータ51および大径セパレータ52(複数の多孔質セパレータ)により内側排水空間11a、浄水空間11c、外側排水空間11b(複数の空間)に区画している。そして、内側排水空間11a、浄水空間11c、外側排水空間11b(それぞれの空間)と連通するように、複数の吐出口(内側排水吐出口42a、浄水吐出口42c、外側排水吐出口42b)を設けている。
【0035】
さらに、本実施形態では、ケーシング(フィルタ本体)10内に流入される水(流体)に遠心力を発生させる遠心力発生手段を設けている。
【0036】
このように、遠心力発生手段を設けることで、水(流体)に生じる遠心力によって、比重の大きい異物を外周側に、比重の小さい異物を内周側に移動させることができる。そして、径方向略中間部に、浄水空間11cを設け、浄水吐出口42cを当該浄水空間11cに連通させているため、比重の大きい異物および比重の小さい異物が取り除かれた水を浄水吐出口42cから吐出することができる。
【0037】
すなわち、本実施形態によれば、比重の大きい異物だけでなく比重の小さい異物をも分離することのできる遠心分離フィルタ1を得ることができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、ケーシング(フィルタ本体)10の構成の簡素化を図ることができ、遠心分離フィルタ1の小型化を図ることができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、小径セパレータ51および大径セパレータ52を設けることで、旋回流によって取り除かれた異物が逆流して浄水中に混合してしまうのを抑制することができるため、異物の分離効率をより一層高めることができる。さらに、本実施形態にかかる遠心分離フィルタ1は、交換が不要であり経済的である。
【0040】
また、本実施形態によれば、略円筒状に設けた縮径筒部材30の接線方向に延在する流入口32aから水を流入することで、縮径筒部材30の側壁部32内面に沿った壁面流を発生させている。そして、壁面流によって水を旋回させることで、フィルタ本体内に流入される水(流体)に遠心力を発生させている。したがって、遠心分離フィルタ1に駆動手段を設ける必要がなくなるため、当該遠心分離フィルタ1をより簡素な構成とすることができ、小型化を図ることができる。
【0041】
(第2実施形態)
本実施形態にかかる遠心分離フィルタ1Aは、流入口32aと吐出口42とが形成されたケーシング(フィルタ本体)10を備えている。
【0042】
ケーシング10は、略円筒状の筒部材20と、当該筒部材20の径よりも小径の縮径筒部材30と、蓋部材40と、を備えており、略円筒状の縮径部10aと、当該縮径部10aの上部に設けられた略円筒状の拡径部10bと、が形成されている。
【0043】
筒部材20の軸方向両端には、それぞれ上側フランジ21および下側フランジ22が設けられており、この上側フランジ21および下側フランジ22には、挿通孔21a,22aがそれぞれ設けられている。
【0044】
また、縮径筒部材30は、側壁部32と、当該側壁部32の上端に形成されたフランジ33と、を備えており、このフランジ33の、筒部材20の下側フランジ22に設けられた挿通孔22aと対応する位置に、挿通孔33aが形成されている。また、側壁部32には流入口32aが形成されている。そして、フランジ33の内周側には凹部33dが形成されている。
【0045】
蓋部材40は、略円板状をしており、外周部41の筒部材20の上側フランジ21に設けられた挿通孔21aと対応する位置には、挿通孔41aが形成されている。また、蓋部材40には、略中心部に内側排水吐出口42a、外周部に外側排水吐出口42bが設けられており、蓋部材40の径方向略中間部には、浄水吐出口42cが設けられている。なお、本実施形態では、内側排水吐出口42aを外側排水吐出口42bに連通させている。
【0046】
また、蓋部材40の下面40aの中心部には、内側排水吐出口42aに連通する凹部45が形成されており、下面40aの径方向外方には、大径筒状突部46が下方に向けて突設されている。
【0047】
また、ケーシング(フィルタ本体)10内の空間11が、小径セパレータ51および大径セパレータ52(複数の多孔質セパレータ)によって、径方向に、3つの空間(内側排水空間11a,外側排水空間11b,浄水空間11c)に区画されている。
【0048】
小径セパレータ51および大径セパレータ52は、略円筒状の多孔質の分離膜51a,52aが、当該分離膜51a,52aの上下で略円筒状の支持体51b,52bに支持されている。この小径セパレータ51および大径セパレータ52は、多孔質の分離膜51a,52aを支持体51b,52bにインサート成型することで形成されている。
【0049】
本実施形態では、この小径セパレータ51および大径セパレータ52は、上下の支持体51b,52bが上側固定台81および下側固定台82にそれぞれ固定されている。そして、これら小径セパレータ51、大径セパレータ52、上側固定台81および下側固定台82で回転体80を構成し、当該回転体80を、ケーシング(フィルタ本体)10に回転可能に取り付けている。
【0050】
上側固定台81は、略円板状の天壁部81aを有しており、当該天壁部81aの中心部には、凹部45に挿入されて内側排水吐出口42aに連通する筒状部81bが天壁部81aを貫通するようにして設けられている。この筒状部81bは、小径セパレータ51とほぼ同径となっている。そして、天壁部81aの外周部には、大径セパレータ52とほぼ同径の筒状突部81cが下方に向けて突設されている。なお、筒状部81bと筒状突部81cとの間の天壁部81aには、浄水空間11cと浄水吐出口42cとを連通する連通孔(図示せず)が複数形成されている。
【0051】
下側固定台82は、凹部33d内に配置される略円板状の底壁部82aを有しており、当該底壁部82aの中心部には、筒状部82bが底壁部82aを貫通するようにして設けられている。この筒状部82bは、小径セパレータ51とほぼ同径となっている。そして、底壁部82aの外周部には、大径セパレータ52とほぼ同径の筒状突部82cが上方に向けて突設されている。
【0052】
筒状部82bは、縮径筒部材30内を貫通するように配置されており、モータ70の回転軸に接続されている。なお、筒状部82bは、止め金具61によって抜け止めがなされている。
【0053】
また、筒状部82bの内部には、通水路82dが形成されており、通水路82dの下端には、径方向に開口するとともに、流入口32aと連通可能な貫通口82eが少なくとも1つ形成されている。そして、回転体80が回転する際に、この貫通口82eが流入口32aと連通することで、流入口32aから流入する水が通水路82dに導入されるようになっている。
【0054】
また、筒状部82bの上部には、通水路82dと内側排水空間11aとを区画する隔壁82fが形成されており、筒状部82bの隔壁82fの下方に、通水路82dと浄水空間11cとを連通する貫通口82gが形成されている。すなわち、本実施形態では、通水路82dに導入された水が、貫通口82gを介して浄水空間11c内に導入されるようにしている。
【0055】
そして、筒状部82bの隔壁82fの上方には、小径セパレータ51の下側支持体51bを取り付ける取付筒部82hが形成されており、この取付筒部82hの下部には、内側排水空間11aと浄水空間11cとを連通する貫通口82iが形成されている。
【0056】
また、筒状突部82cは、大径セパレータ52の下側支持体52bを取り付ける取付部となっており、この筒状突部82cの下部には、外側排水空間11bと浄水空間11cとを連通する貫通口82jが形成されている。
【0057】
なお、符号63は、Oリングであり、上側固定台81に設けたOリング63によって、浄水空間11cから浄水吐出口42cに流れる水に、内側排水空間11aや外側排水空間11b内の水が混入してしまうのを抑制している。また、下側固定台82に設けたOリング63によって、流入口32aから流入する水が確実に通水路82dに導入されるようにしている。
【0058】
そして、小径セパレータ51の上下の支持体51bを、それぞれ筒状部81bおよび取付筒部82hに圧入することで、小径セパレータ51が、上側固定台81および下側固定台82にそれぞれ取り付けられる。
【0059】
同様に、大径セパレータ52の上下の支持体52bを、それぞれ筒状突部81cおよび筒状突部82cに圧入することで、大径セパレータ52も上側固定台81および下側固定台82にそれぞれ取り付けられる。
【0060】
こうして形成される回転体80をケーシング(フィルタ本体)10に取り付けるとともにモータ70に接続することで、回転体80がケーシング(フィルタ本体)10に回転可能に取り付けられる。
【0061】
このように、本実施形態では、小径セパレータ51および大径セパレータ52を含む回転体80と、当該回転体80に接続されたモータ70と、で遠心力発生手段を構成している。
【0062】
そして、蓋部材40の挿通孔41aと筒部材20の上側フランジ21の挿通孔21aとを連通させた状態で、螺子60等により固定することで、蓋部材40と筒部材20とを取り付ける。また、縮径筒部材30のフランジ33の挿通孔33aと筒部材20の下側フランジ22の挿通孔22aとを連通させた状態で、螺子60等により固定することで、縮径筒部材30と筒部材20とを取り付ける。
【0063】
なお、筒部材20の上側フランジ21と蓋部材40の外周部41との間に設けたOリング63によって、蓋部材40と筒部材20との液密性が確保されている。また、筒部材20の下側フランジ22と縮径筒部材30のフランジ33との間に設けたOリング63によって、縮径筒部材30と筒部材20との液密性が確保されている。
【0064】
こうして、本実施形態にかかる遠心分離フィルタ1Aが形成される。
【0065】
このとき、ケーシング(フィルタ本体)10内の空間11は、小径セパレータ51および大径セパレータ52によって、径方向中心側から外側に向けて順に、内側排水空間11a、浄水空間11c、外側排水空間11bの3つの空間に区画される。そして、内側排水吐出口42a、浄水吐出口42c、外側排水吐出口42bが、内側排水空間11a、浄水空間11c、外側排水空間11bとそれぞれ連通している。
【0066】
次に、本実施形態にかかる遠心分離フィルタ1Aの作用を説明する。
【0067】
まず、モータ70を駆動させて回転体80を回転させる。そして、回転体80を回転させた状態で、流入口32aから通水路82dに水を導入すると、通水路82d内に導入された水は、貫通口82gを介して浄水空間11c内に導入される。
【0068】
このとき、回転体80の回転により、浄水空間11c内に導入された水に、径方向に作用する遠心力が発生する。
【0069】
そして、この遠心力により、粒径の大きい砂礫等、比較的比重の大きい異物は、貫通口82jを通過して外側排水空間11b内に移動し、外側排水空間11bを通って外側排水吐出口42bからケーシング(フィルタ本体)10外部に排出される。また、水に浮遊するゴミ等、比較的比重の小さい異物は、水(流体)に生じる遠心力によって、内側(旋回流の中心側)に移動する。そして、貫通口82iを通過して内側排水空間11a内に移動し、内側排水空間11aを通って内側排水吐出口42aからケーシング(フィルタ本体)10外部へ排出される。
【0070】
このように、比較的比重の大きい異物や、比較的比重の小さい異物が取り除かれた水は、回転体80の回転により旋回しながら浄水空間11c内を上昇する。そして、水に生じる遠心力によって、貫通口82jで取り除けなかった比重の大きな異物が、水とともに大径セパレータ52を通過して外側排水空間11b内に移動する。そして、比重の小さい異物は、水とともに小径セパレータ51を通過して内側排水空間11a内に移動する。このように外側排水空間11bに移動した異物は、外側排水吐出口42bからケーシング(フィルタ本体)10外部に排出される。また、内側排水空間11aに移動した異物は、内側排水吐出口42aからケーシング(フィルタ本体)10外部に排出される。
【0071】
こうして、比重の大きい異物および比重の小さい異物が取り除かれた浄水が、浄水空間11c内から浄水吐出口42cへと流れることとなる。
【0072】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0073】
また、本実施形態では、小径セパレータ51および大径セパレータ52を含む回転体80と、当該回転体80に接続されたモータ70と、で遠心力発生手段を構成している。
【0074】
このように、モータ70を用いて水に遠心力を発生させるようにすることで、強い遠心力を作用させることができ、異物の分離効率をより一層高めることができる。
【0075】
(第3実施形態)
本実施形態にかかる遠心分離フィルタ1Bは、上記第1および第2実施形態で例示した遠心分離フィルタ1および遠心分離フィルタ1Aを直列に接続したものである。
【0076】
遠心分離フィルタ1Bは、図4に示すように、遠心分離フィルタ1を、遠心分離フィルタ1Aよりも上流側に配置させている。
【0077】
すなわち、水(流体)に生じる遠心力が大きい遠心分離フィルタ1Aを、当該遠心分離フィルタ1Aよりも水(流体)に生じる遠心力が小さい遠心分離フィルタ1の下流側に配置している。
【0078】
このように、本実施形態にかかる遠心分離フィルタ1Bでは、上流側に配置した遠心分離フィルタ1で粗いゴミ取りを行い、下流側に配置した遠心分離フィルタ1Aで、より細かなゴミ取りを行うようにしている。
【0079】
なお、セパレータの分離径は順次小さいものを選定するのが好ましい。
【0080】
本実施形態では、上流側の遠心分離フィルタ1では、セパレータとして約10μmの分離膜を用い、下流側の遠心分離フィルタ1Aでは、セパレーターとして約1μmの分離膜を用いている。
【0081】
以上の本実施形態によれば、モータを設けて回転数を高めるて強い遠心力を作用させることにより、不純物の分離効率をより高めることができる。
【0082】
次に、本実施形態にかかる遠心分離フィルタの変形例を説明する。
【0083】
(第1変形例)
本変形例にかかる遠心分離フィルタ1Cは、図5に示すように、上記第1実施形態の遠心分離フィルタを2つ直列に接続するとともに、上流側の遠心分離フィルタと下流側の遠心分離フィルタとの間に加圧ポンプPを配置している。
【0084】
このように、下流側の遠心分離フィルタに流入する水の流速を高めることで、流体に生じる遠心力が大きくなるようにしている。
【0085】
以上の本変形例によっても、上記第3実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0086】
(第2変形例)
本変形例にかかる遠心分離フィルタ1Dは、図6に示すように、上記第2実施形態の遠心分離フィルタを2つ直列に接続するとともに、上流側の遠心分離フィルタのモータ回転数よりも下流側の遠心分離フィルタのモータ回転数の方が多くなるようにしている。
【0087】
このように、下流側の遠心分離フィルタのモータ回転数を高めることで、流体に生じる遠心力が大きくなるようにしている。
【0088】
以上の本変形例によっても、上記第3実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0089】
なお、本実施形態およびその変形例では、遠心分離フィルタを2つ接続したものを例示したが、遠心分離フィルタ1,1Aを3つ以上接続させ、複数の遠心分離フィルタを、上流側から下流側に向かうにつれて流体に生じる遠心力が大きくように配置してもよい。
【0090】
このとき、全ての遠心分離フィルタを遠心分離フィルタ1で構成してもよいし、全ての遠心分離フィルタを遠心分離フィルタ1で構成してもよい。また、2種類(遠心分離フィルタ1および遠心分離フィルタ1A)の遠心分離フィルタを用いて構成してもよい。
【0091】
(第4実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置90は、遠心分離フィルタ1をプレフィルタとして用い、粗いゴミ取りを行うとともに、当該遠心分離フィルタ1の下流側に、内部に活性炭及び中空糸膜等のろ材を有する浄化部91を設け、順次ろ過処理を行うようにしたものである。
【0092】
この水処理装置90を用いると、遠心分離フィルタ1で粒子等の粗ゴミを分離除去したのち、浄化部91内の活性炭により遊離残留塩素やトリハロメタンやカビ臭等の有機物を除去し、中空糸膜によりさらに微細な粒子成分を除去することができる。
【0093】
このように、遠心分離フィルタ1をプレフィルタとして用い、粒子を分離除去することで、浄化部91内に異物が挿入してしまうのを抑制することができる。その結果、活性炭表面に異物が被覆されることが抑制され、活性炭の吸着効率が低下してしまうのを抑制することができる。また、中空糸膜の目詰まりによる流量低下の低減を図ることもでき、水処理装置90の除去性能をより安定して維持することができる。
【0094】
なお、本実施形態では、水処理装置90として、遠心分離フィルタ1を用いたものを例示したが、遠心分離フィルタ1A、1B、1C、1Dのいずれかを用いることも可能である。
【0095】
(第5実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置100は、モータ70が取り付けられた基台部130と、吸水口(吸入口)123および吐出口42が形成されたフィルタ本体111を有する遠心分離フィルタ110と、を備えている。なお、以下では、図8における右側を前方、左側を後方として説明する。
【0096】
フィルタ本体111は、上方に開口する吸水口(流入口)123が形成された略円筒状の水収容部120と、吸水口123を塞ぐように取り付けられる蓋部材130と、を備えている。水収容部120は、底壁部121と側壁部122とで形成されている。
【0097】
そして、水収容部120内には、径方向に略並設される小径セパレータ51および大径セパレータ52(複数の多孔質セパレータ)が設けられている。フィルタ本体111内の空間11は、この小径セパレータ51および大径セパレータ52によって、径方向に、3つに区画されている。本実施形態では、フィルタ本体111内の空間11は、径方向内側から順に、内側排水空間11a,浄水空間11c,外側排水空間11bに区画されている。
【0098】
小径セパレータ51および大径セパレータ52は、略円筒状の多孔質の分離膜51a,52aを、当該分離膜51a,52aの上下で略円筒状の支持体51b,52bで支持することで形成されている。この小径セパレータ51および大径セパレータ52は、多孔質の分離膜51a,52aを支持体51b,52bにインサート成型することで形成することができる。
【0099】
底壁部121の略中心部には、モータ70に接続される接続軸部124が立設されており、この接続軸部124の上部には、小径セパレータ51および大径セパレータ52の上部の支持体51b,52bを固定する支持板125が設けられている。
【0100】
そして、小径セパレータ51および大径セパレータ52の上部の支持体51b,52bが支持板125に固定されるとともに、小径セパレータ51および大径セパレータ52の下部の支持体51b,52bが底壁部121に固定されている。なお、支持板125としては、水を通さない部材あるいは難透水性の部材を用いるのが好適である。
【0101】
さらに、底壁部121の略中心部に位置する接続軸部124の近傍には内側排水吐出口42aが設けられるとともに、底壁部121の外周部には外側排水吐出口42bが設けられている。また、底壁部121の径方向略中間部には、浄水吐出口42cが設けられている。これらの内側排水吐出口42a、浄水吐出口42c、外側排水吐出口42bは、内側排水空間11a、浄水空間11c、外側排水空間11bにそれぞれ連通している。
【0102】
また、本実施形態では、内側排水吐出口42a、浄水吐出口42cおよび外側排水吐出口42bのそれぞれには、当該吐出口を開閉自在に塞ぐパッキン150が、上下方向(モータ軸方向:回転軸方向)に移動可能に設けられている。
【0103】
そして、接続軸部124の下面には、後述するモータ70のモータ軸71を挿入する挿入孔(図示せず)が形成されている。この挿入孔(図示せず)は、内面が内歯車状に形成されており、平面視で歯車状のモータ軸71が、内面の内歯車と噛み合うように挿入される。このように、モータ軸71の外歯車と挿入孔内面の内歯車を噛み合わせることで、モータ軸71を回転させると、フィルタ本体111がモータ軸71と一体に回転するようになる。すなわち、本実施形態では、遠心分離フィルタ110が、モータ70に接続されて基台部130に対して回転可能な回転体を有しており、小径セパレータ51、大径セパレータ52およびフィルタ本体111が回転体となっている。言い換えると、本実施形態では、回転体が、径方向(遠心力の作用方向)に略並設された小径セパレータ51、大径セパレータ52と、フィルタ本体111とを含んでいる。
【0104】
また、本実施形態では、フィルタ本体111は、基台部130にモータ70のモータ軸71方向(図8中上下方向)に移動可能に取り付けられている。具体的には、モータ軸71を、接続軸部124の挿入孔(図示せず)に、上下方向に移動できるように挿入することで、フィルタ本体111を基台部130に上下方向に移動可能に取り付けている。
【0105】
このとき、抜け止めを施した構成とし、フィルタ本体111がモータ軸71から外れないようにするのが好ましい。
【0106】
基台部130は、底壁部131と側壁部132とで上方に開口する略円筒状に形成されている。
【0107】
この基台部130には、上側仕切板133および下側仕切板134が略水平に設けられており、この上側仕切板133および下側仕切板134によって、上下に3つの空間が区画されている。
【0108】
本実施形態では、上から順に、上方に開口してフィルタ本体111を回転可能に支持するフィルタ本体支持空間135、モータ70が固定されるモータ収容空間136、浄水および排水を吐出する吐出空間137となっている。
【0109】
上側仕切板133の略中央部には、モータ70のモータ軸71を挿通する挿通孔133aが設けられている。そして、挿通孔133aの径方向外方には、フィルタ本体111を上方に付勢するスプリング138を取り付けるための略円筒状のばね受け133bが、上方に向けて突設されている。また、上側仕切板133の略中心部に位置するモータ軸71の近傍、上側仕切板133の外周部、および上側仕切板133の径方向略中間部には、内側排水吐出口42a、外側排水吐出口42bおよび浄水吐出口42cが挿通可能な挿通孔133c,133d,133eがそれぞれ設けられている(図12参照)。
【0110】
下側仕切板134上部の略中心部には、モータ70が、モータ軸71を挿通孔133aに挿通させた状態で固定されている。
【0111】
また、モータ収容空間136には、前方に突出する鍔部136aが延設されており、この鍔部136a内に、スイッチ部136bが取り付けられている。スイッチ部136bは、操作ボタン136cが鍔部136aの上面から露出するように取り付けられている。この操作ボタン136cを操作することで、モータ70を駆動させたり、後述する電磁弁143,144の開閉操作を行ったりすることができる。
【0112】
また、下側仕切板134の前方には、浄水取出口140が挿通される挿通孔134aが設けられており、下側仕切板134の後方には排水取出口141が挿通される挿通孔134bが設けられている。
【0113】
そして、浄水取出口140および排水取出口141が、モータ収容空間136に配置されている。
【0114】
具体的には、浄水取出口140は、上端140aを浄水吐出口42cが挿通可能な挿通孔133eに挿通するとともに、下端140bを挿通孔134aに挿通させた状態でモータ収容空間136に配置されている。
【0115】
また、排水取出口141は、上部が二股状に分岐しており、それぞれの上端141a、141bを内側排水吐出口42aおよび外側排水吐出口42bが挿通可能な挿通孔133c,133dにそれぞれ挿通するとともに、下端141cを挿通孔134bに挿通させた状態でモータ収容空間136に配置されている。
【0116】
また、浄水取出口140および排水取出口141には、電磁弁143,144がそれぞれ設けられている。
【0117】
吐出空間137は、隔壁145によって前後に区画されており、前方には、浄水取出口140から吐出する浄水を取り出すことのできる取水空間146が形成されている。この取水空間146は前方に開口しており、コップ等の容器160を載置できるようになっている。
【0118】
また、後方には、排水取出口141から吐出する排水を貯留するための排水容器161が収容される収納空間147が形成されている。この収納空間147は、隔壁145、底壁部131、側壁部132および下側仕切板134で画成される空間であり、側壁部132には、排水容器161を着脱可能に収入する図示せぬ容器取出部が設けられている。
【0119】
ここで、本実施形態では、フィルタ本体111を基台部130に上下方向(モータの軸方向)に移動可能に取り付けた状態で、フィルタ本体111が上方(モータの軸方向一方側)に移動した(図9参照)際には、回転体(フィルタ本体111)が基台部130に対して回転可能となるようにしている。具体的には、図9に示すように、接続軸部124とモータ軸71とを接続させた状態のまま、フィルタ本体111を、スプリング138によって上方に持ち上げるようにしている。このとき、フィルタ本体111は、吐出口42が回転の邪魔をしない位置まで持ち上げられる。このような状態とすることで、フィルタ本体111が基台部130に対して回転できるようにしている。このとき、各吐出口42はパッキン150によって塞がれており、パッキン150によってフィルタ本体111内の水が外にこぼれてしまうのを抑制している。
【0120】
そして、フィルタ本体111を基台部130に上下方向(モータの軸方向)に移動可能に取り付けた状態で、フィルタ本体111が下方(モータの軸方向他方側)に移動した(図10参照)際には、各吐出口42a、42b、42cと基台部130の各取出口141,141,140とが連通するようにしている。
【0121】
具体的には、図12に示すように、吐出口42の下端42fには、ばね163によって閉止方向(本実施形態では、下方)に付勢されたパッキン150が上下動可能に取り付けられている。
【0122】
このパッキン150は、シャフト151の一端に封止材152を取り付けることで形成されている。そして、シャフト151の軸151aを、吐出口42のばね受け壁部42dに形成した挿通孔42eに挿通するとともに、シャフト151の頭部151bの上面とばね受け壁部42dの下面との間にばね163を介在させることで、パッキン150を閉止方向に付勢している。
【0123】
そして、挿通孔133c,133d,133eに挿入される浄水取出口140および排水取出口141の上端140a,141a,141bには、シャフト151の頭部151bを押圧する押圧突部164が形成されている。なお、挿通孔133c,133d,133eと上端140a,141a,141bとの間にはOリング63が設けられており、吐出口42を浄水取出口140および排水取出口141に挿入した際には、吐出口42と浄水取出口140および排水取出口141とが液密に連通されるようにしている。
【0124】
そして、フィルタ本体111を下方に移動すると、シャフト151の頭部151bの下面が押圧突部164の上面に当接し、パッキン150がばね163の付勢力に抗して吐出口42に対して相対的に上方に移動する。このように、パッキン150が吐出口42に対して上方に相対移動することで、パッキン150と吐出口42との間に隙間が形成されて吐出口42と取出口140,141とが連通する。
【0125】
さらに、本実施形態では、図11に示すように、フィルタ本体111に嵌合凹部171が設けられ、基台部130に嵌合突部172が設けられている。この、嵌合凹部171および嵌合突部172は、嵌合突部172に形成されたヒンジ機構173によって着脱自在に嵌合する。
【0126】
そして、吐出口42と取出口140,141とを連通させた際には、嵌合凹部171と嵌合突部172とが嵌合し、フィルタ本体111が基台部130に固定されるようになっている。このように、フィルタ本体111を基台部130に固定することで、フィルタ本体111がスプリング138によって上方に持ち上げられないようにし、吐出口42と取出口140,141との連通状態を維持できるようにしている。
【0127】
なお、この嵌合凹部171および嵌合突部172は、吐出口42と取出口140,141とを連通させる際の位置合わせの目印としても利用できる。
【0128】
次に、本実施形態にかかる水処理装置100の作用を説明する。
【0129】
まず、図9に示す状態、すなわち、フィルタ本体111が基台部130に対して回転可能となるようにした状態で、吸水口(吸入口)123から水収容部120内に水を導入する。そして、操作ボタン136cを操作することで、モータ70を駆動し、フィルタ本体111を回転させる。
【0130】
このとき、フィルタ本体111の回転により、水収容部120内に導入された水に、径方向に作用する遠心力が発生する。
【0131】
そして、この遠心力により、比重の大きな異物が、外側排水空間11b内に移動するとともに、比重の小さい異物が、内側排水空間11a内に移動する。そして、比重の大きい異物および比重の小さい異物が取り除かれた浄水が、浄水空間11c内に生成される。
【0132】
次に、操作ボタン136cを操作することで、モータ70の駆動を停止し、フィルタ本体111の回転を停止する。
【0133】
そして、嵌合凹部171および嵌合突部172を利用して、吐出口42と取出口140,141とを連通させることができるように、フィルタ本体111の位置合わせを行う。
【0134】
そして、図10に示す状態となるように、フィルタ本体111を下方に移動させ、各吐出口42a、42b、42cと各取出口141,141,140とを連通させる。
【0135】
なお、本実施形態では、この状態では、電磁弁143,144が閉じており、水収容部120内の水が各取出口140,141から吐出することはない。
【0136】
そして、操作ボタン136cを操作することで、電磁弁143,144を開放すると、浄水空間11c内の水を浄水取出口140から取り出すことができ、内側排水空間11aおよび外側排水空間11b内の水は、排水取出口141から排水容器161内に吐出される。
【0137】
こうして、比重の大きい異物および比重の小さい異物が取り除かれた浄水を得ることができる。
【0138】
以上の本実施形態によっても、上記実施形態とほぼ同様の作用、効果を得ることができる。
【0139】
また、本実施形態によれば、比較的簡素な構成とすることができる上、携帯に便利な水処理装置100を得ることができる。
【0140】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0141】
例えば、上記第5実施形態では、回転体としてフィルタ本体を含むものを例示したが、回転体としてフィルタ本体を含まなくてもよい。すなわち、遠心分離フィルタの一部のみ回転させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0142】
1 遠心分離フィルタ
10 ケーシング(フィルタ本体)
11 空間
11a 内側排水空間
11b 外側排水空間
11c 浄水空間
32a 流入口
42 吐出口
42a 内側排水吐出口
42b 外側排水吐出口
42c 浄水吐出口
51 小径セパレータ(多孔質セパレータ)
52 大径セパレータ(多孔質セパレータ)
70 モータ
71 モータ軸(モータの軸)
90,100 水処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口と吐出口とが形成されたフィルタ本体と、
前記フィルタ本体内の流体に遠心力を発生させる遠心力発生手段と、
を備え、
前記フィルタ本体内の空間が、遠心力の作用方向に略並設された複数の多孔質セパレータにより複数の空間に区画されるとともに、前記吐出口が、それぞれの空間と連通するように複数設けられていることを特徴とする遠心分離フィルタ。
【請求項2】
前記フィルタ本体を略円筒状に形成するとともに、前記流体が当該フィルタ本体の接線方向から流入するように前記流入口を設け、
前記遠心力発生手段が、前記フィルタ本体の接線方向から流入した流体を壁面流により旋回させるものであることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離フィルタ。
【請求項3】
前記遠心力発生手段は、少なくとも前記多孔質セパレータを含む回転体と、当該回転体に接続されたモータと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離フィルタ。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の遠心分離フィルタを複数備えるとともに、当該複数の遠心分離フィルタを、上流側から下流側に向かうにつれて前記流体に生じる遠心力が大きくように配置したことを特徴とする遠心分離フィルタ。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の遠心分離フィルタを備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項6】
モータが取り付けられた基台部と、
流入口および吐出口が形成されるとともに前記基台部に前記モータの軸方向に移動可能に取り付けられるフィルタ本体を有する遠心分離フィルタと、を備える水処理装置であって、
前記フィルタ本体内の空間が、複数の多孔質セパレータにより複数の空間に区画されるとともに、前記吐出口が、それぞれの空間と連通するように複数設けられており、
前記遠心分離フィルタは、前記モータに接続されて前記基台部に対して回転可能な回転体を有しており、
前記回転体は、遠心力の作用方向に略並設された前記多孔質セパレータを含んでおり、
前記基台部には、前記複数の吐出口と連通可能な取出口が複数設けられており、
前記フィルタ本体が前記モータの軸方向一方側に移動した際には、前記回転体が前記基台部に対して回転可能となり、前記フィルタ本体が前記モータの軸方向他方側に移動した際には、前記吐出口と前記基台部の取出口とが連通することを特徴とする水処理装置。
【請求項7】
前記回転体は、前記フィルタ本体を含むことを特徴とする請求項6に記載の水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−152488(P2011−152488A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13939(P2010−13939)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】