説明

遠投カゴ釣りに使用する遠投用テンビン籠

【課題】 従来の遠投用テンビン籠は、飛行中の風圧や着水のショックで中のコマセが途中で落下し易かった。
【解決手段】 係合離脱可能な下側部材2と上側部材3の二部材からなる中空の遠投用テンビン籠1であり、下側部材2の内部に重り4を設けるとともに下側部材2の下側外部にも外部の重り5を設け外部の重り5は着脱可能に設けられ、かつ下側部材2の係合部20は、上側部材3の係合部30との係合において外側になる外係合部20とし、上側部材3の係合部30が内側になる内係合部30とするとともに、下側部材2の外係合部20に糸用溝7を設けた遠投用テンビン籠によって解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磯釣りなどにおいて遠投カゴ釣りに使用する遠投用テンビン籠、いわゆる片テンビンとコマセ籠を組み合わせてなる遠投用テンビン籠に関する。
【背景技術】
【0002】
遠投カゴ釣りに使用する道具は、遠投用のリール付き竿、道糸、浮き、コマセ籠、付け餌用ハリ、ハリス、ハリなどからなり、投げる距離は50mから80mにも達する。そして遠投カゴ釣りは、前述の道具を使用して磯から50m〜80m離れた水深15m以上のタナにいるタイなどを釣るために、磯から直接遠投し、一定の遠さと深さの中でコマセ籠からコマセを放出するとともにコマセ籠に設けている付け餌用ハリなどにより、タイなどの獲物をおびき寄せて釣る方法である。
【0003】
従来の遠投カゴ釣りに使用する遠投用テンビン籠は、図9に示すように係合離脱可能な下側部材90と上側部材91の二部材からなる中空の遠投用テンビン籠であり、下側部材90の下側外部に重り94を固定して設けてあり、上側部材91の係合部分93を外側にして下側部材90の係合部分92を内側にして軽く接している構成であった。
【0004】
このような従来の遠投用テンビン籠を付けた遠投カゴ釣りは、竿を振ってハリ、浮きや遠投用テンビン籠などを約50mから80m先のタナまで投げ入れるが、遠投用テンビン籠には、タイなどを誘き寄せるエサを入れておく。更に一般的に遠投用テンビン籠から数本の補助ハリスを付けておく。
【0005】
遠投され空中を飛行中の遠投用テンビン籠は、下側部材がその内部にある重りにより先行する位置、上側部材が後行の位置で飛行している。
【0006】
そして海に着水したハリ、浮きや遠投用テンビン籠は、下側部材の内部に設けた重りを下にして海中へ沈み(図5参照)、浮きが立った後(図6参照)、道糸を引くと遠投用テンビン籠の下側部材と上側部材の二部材は離れ中に入れたコマセが海中に放出され(図7及び図8参照)、この状態で付け餌を付けたハリはコマセと同調してタイなどを誘って釣る。
【非特許文献1】月刊雑誌「磯・投げ情報」2005年6月号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の遠投カゴ釣りに使用する遠投用テンビン籠であると、投げ入れ後、50m〜80m先のタナまでの飛行中に下側部材と上側部材が開いてしまい、中に詰めてあるコマセが途中で落ちてしまいやすかった。また海水面に着水したときにもそのショックで下側部材と上側部材が開いてしまい、中に詰めてあるコマセが海水面近くで散ってしまい、一定の深さのタナにおいてコマセを蒔くことができない問題点があった。
【0008】
特に、遠投用テンビン籠に補助ハリを数本付ける場合が通常多いが、この数本の補助ハリの糸が、下側部材と上側部材との間から外に出ているため、より下側部材と上側部材との係合が外れやすかった。
【0009】
また、係合をしっかりしすぎると海中に沈み浮きにより一定の深さのタナで静止後、道糸をたぐり下側部材と上側部材との係合を外そうとしても、外れなくなってしまう課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、遠投カゴ釣りに使用する遠投用テンビン籠において、係合離脱可能な下側部材と上側部材の二部材からなる中空の遠投用テンビン籠であり、下側部材の内部に重りを設けるとともに下側部材の下側外部にも重りを設け外部の重りは着脱可能に設けられ、かつ下側部材の係合部は、上側部材の係合部との係合において外側になる外係合部とし、上側部材の係合部が内側になる内係合部とするとともに、下側部材の外係合部に糸用溝を設けたことを特徴とする遠投用テンビン籠を提案する。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、テンビン籠の二部材の係合が、飛行中の風圧や着水のショックにより外れることを防止することができ、かつ下側部材の内部に重りを設けているので着水後、一定の深さのタナに沈んだ後に下側部材をよりスムースに沈ませ上側部材から外し、内部のコマセを海中に放出することができる。
【0012】
特に、補助ハリ用の糸用溝を設けているため、従来のようにテンビン籠に補助ハリを付けても二部材の係合が外れやすくなることがなくなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、この発明を実施形態を示す正面分解図である図1、飛行中の正面説明図である図2、着水後の説明図である図3に基づいて説明する。
【0014】
1は、この発明の遠投カゴ釣りに使用する遠投用テンビン籠である。遠投用テンビン籠1は、係合離脱可能な下側部材2と上側部材3の二部材からなり、中間部を中空の円筒状とし両端部が円錐状の籠である。ここに下側、上側の区別は、遠投用テンビン籠1が着水した状態で上側になるのが上側部材3であり、下側になるのが下側部材2である。下側部材2は、円錐状部のみからなり、内部に1号乃至2号程度の重量の内部の重り4を設けるとともに、円錐底部に当たる上側に円盤部21を設けている。さらに下側部材2の下側に着水時に下側となる外部の重り5を設ける。外部の重り5は、遠投用テンビン籠1の両端の円錐頂点の間を通って籠長手方向中心部を貫通している針金6の先端に着脱可能に設けらる。
【0015】
下側部材2の係合部20は、上側部材3の係合部30との係合において外側になる外係合部20として構成する。上側部材3の係合部30は、下側部材2の外係合部20の内側になって係合する内係合部30として構成する。外係合部20の幅長の方が内係合部30の幅長の方より数mm長く形成する。この実施例では外係合部20の幅長が4mm、内係合部30の幅長が3mm前後である。
【0016】
下側部材2の外係合部20には、糸用溝7を複数設けている。糸用溝7の深さは外係合部20の幅長と同じであり円周幅は5mm前後のU字溝に形成する。下側部材2と上側部材3が確実に係合状態でも糸穴70が残る深さを有する。糸用溝7は、この実施例では、ほぼ等間隔に4つ設けているが、2〜8程度の数を設けることもできる。
【0017】
8は、遠投用テンビン籠1の針金6に着脱可能に取り付けられ糸用溝7の糸穴70から外側に取り付けられる補助ハリである。補助ハリ8は、この実施例では4本の糸の先に設けている。
【0018】
次に、この発明の遠投カゴ釣りに使用する遠投用テンビン籠1の使用方法について説明する。遠投用テンビン籠1が取り付けられている図4に示すような遠投投げ釣り用竿100には、竿に取り付けられたリール101、リール101に巻き取られる道糸102に浮き103、シモリ玉104、マーキングストッパー105を介して取り付けられる遠投用テンビン籠1、マーキングストッパー105からクッションゴム106,ハリス107を介して主ハリ108が取り付けられている。
【0019】
そして、遠投用テンビン籠1の下側部材2と上側部材3を開けて、その中にコマセを押し込める。主ハリ108と、補助ハリ8には小エビ等のエサが付けられる。補助ハリ8は、下側部材2と上側部材3が係合された後の糸穴70から外に出ている状態になる。
【0020】
この状態で、竿100を振って外部の重り6の重さにより遠投用テンビン籠1などを50m〜80m先まで飛行させる(図2参照)。飛行先は矢印F方向である。このとき遠投用テンビン籠1は、下側部材2が外部の重り6の方向に押し付けられて先行する位置にある。外部の重りは着脱可能なので、投げやすい重さの重りに適宜変更して装着できる。係合部で言えば下側部材2の外係合部20が先行しているので、飛行中、風は上側部材3の内係合部30から中に入ることはなく、その外側を通り過ぎる。また補助ハリ8の糸が係合状態を損なうことがない。そのため飛行中にあおられて係合している二部材が離れることがない。
【0021】
また、着水後は、下側部材2の外部の重り6により早急にタナまで沈み、竿100を引くことで上側部材3を下側部材2から外し、テンビン籠1内のコマセを海中に放出することができる。このとき下側部材2は、内部の重り4によって容易に沈むので上側部材3との係合が解除できるとともに円盤部21があるので上側部材3内のコマセが、下側部材2の円錐内部に入り込むのを防いでいる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
磯からの投げ釣り、特に遠投用の投げ釣りに利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明を実施形態を示す遠投用テンビン籠の正面分解図
【図2】同じくこの発明を実施形態を示す遠投用テンビン籠の飛行中の正面説明図
【図3】同じくこの発明を実施形態を示す遠投用テンビン籠の着水後の説明図
【図4】一般的な遠投用テンビン籠が取り付けられている遠投投げ釣り用竿
【図5】遠投用テンビン籠の着水からアタリ待ちまでの動きを示す説明図
【図6】遠投用テンビン籠の着水からアタリ待ちまでの動きを示す説明図
【図7】遠投用テンビン籠の着水からアタリ待ちまでの動きを示す説明図
【図8】遠投用テンビン籠の着水からアタリ待ちまでの動きを示す説明図
【図9】従来の遠投用テンビン籠の正面分解図
【符号の説明】
【0024】
1 遠投用テンビン籠
2 下側部材
20 外係合部
21 円盤部
3 上側部材
30 内係合部
4 内部の重り
5 外部の重り
6 内部貫通する針金
7 糸用溝
70 糸穴
8 補助ハリ
100 投げ釣り用竿
101 リール
102 道糸
103 浮き
104 シモリ玉
105 マーキングストッパー
106 クッションゴム
107 ハリス
108 主ハリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠投カゴ釣りに使用する遠投用テンビン籠において、係合離脱可能な下側部材と上側部材の二部材からなる中空の遠投用テンビン籠であり、下側部材の内部に重りを設けるとともに下側部材の下側外部にも重りを設け外部の重りは着脱可能に設けられ、かつ下側部材の係合部は、上側部材の係合部との係合において外側になる外係合部とし、上側部材の係合部が内側になる内係合部とするとともに、下側部材の外係合部に糸用溝を設けたことを特徴とする遠投用テンビン籠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−14302(P2007−14302A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−201455(P2005−201455)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(505262251)
【Fターム(参考)】